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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

22明神 ◆9EasXbvg42:2019/10/07(月) 01:21:32
>『皆さま、大変お待たせ致しましタ。
 当魔法機関車は、間もなくアコライト外郭に到着致しまス。お手回りのお荷物など、お忘れにならないようお願い致しまス』

汽車のガタゴト揺れる音に混じって、ボノのアナウンスが聞こえてきた。
コンパートメントの一室でジョンと組手の復習をやってた俺は、鬼軍曹から逃げ出すように部屋を出た。

「ついに来たな、アコライト。マル様親衛隊にベチボコにされて以来だぜ」

すでに客室にはパーティーメンバーが集まっていて、壁に石油王の顔が投影されていた。
遠隔通信魔法だ。バロールのサポートもあろうが、あいつもう魔法をここまで使いこなしてんのかよ。

>《はいは〜い。うちやで〜。
 これからナビとしてみんなのバックアップをさせてもらうさかい、改めてよろしゅうなぁ。

映像越しの石油王はいつものぽやぽやした顔で俺達を見回す。
俺はと言えば、昨日あんだけ名残惜しんだ手前、こっ恥ずかしくて目も合わせられなかった。

>《ほな、到着前にもういっぺん説明すんで〜。
 アコライト外郭は、現在アルフヘイムとニヴルヘイムの激突しとる最前線やね。
 みんなも知っての通り、ゲームだと『聖灰』のマルグリットはんと最初に出会うイベントで有名な場所や。
 ま……終盤でバロールはんと三魔将のひとり・幻魔将軍ガザーヴァが綺麗さっぱり消し去ってまうんやけどなぁ》

「出たなブレモン7大害悪パッチの一つ、アコライト消失……
 マル公の信者共が更地を巡礼する羽目になったアレだな」

アコライト外郭はマルグリット絡みのイベントでプレイヤーにとっても思い出深い人気スポットだ。
マル公のファン団体、通称親衛隊はここを拠点に活動しているし、プレイヤー同士が交流する場でもあった。
それを知ってか知らずか悪意の塊たる開発チーム様は大型パッチでガザーヴァにここを破壊させ、更地に変えちまった。
当然フォーラムは荒れに荒れ、親衛隊の何割かはゲーム自体引退したっつういわくつきの場所でもある。

>「アコライト外郭……か……」

なゆたちゃんが感慨深げにつぶやいて、窓の外に目を遣った。
車窓越しに見える城塞都市は、過日の峻険な姿が未だ健在だ。

アコライト外郭。
アルメリア王国の鎮守の要であり、国内最大規模の軍事拠点。
ぐるりと街を囲む城壁からは、国内各地へ向けて幾条にも鉄道や大街道が伸びている。

この整備され尽くした交通網によって、アルメリア国軍はアコライトの駐留部隊を全土に迅速に送り込める。
国内のどこが侵略されようが、反乱が起きようが、一両日には大部隊が陸運されて戦地に急行できるってわけだ。
内陸国家のアルメリア王国において、陸上の兵站輸送は何にも優先されるべき重要な要素である。

で、あるがゆえに。
ここアコライト外郭が落とされれば、その影響は国土の全てに波及する。
敵に奪われた鉄道や街道は、そのまま国内各地への進撃を迅速容易にしてしまうからだ。

アコライトからは俺達が乗ってきたキングヒルへの直行便も出てる。
魔法機関車で大部隊を王都に送り込まれれば、待ってるのはあの防衛観念のカケラもない都市構造。
つまりアコライトは国防の要であると同時に、致命的なウィークポイントでもあるのだ。

戦争で真っ先に狙われるであろうアコライトが、未だ陥落していないのは奇跡に近い。
その奇跡は……バロールが異世界から喚び起こした奇跡だ。
最前線で未だ戦い続けている、俺達より先輩の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』――。


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