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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

215明神 ◆9EasXbvg42:2020/01/14(火) 03:08:32
>「風の防壁《ミサイルプロテクション》!」

その時、俺の目の前に飛び出す影がひとつ。
カザハ君だ。防御スペルが展開し、アジ・ダカーハのブレスが横に逸れていく。

「カザハ君!!」

地属性のブレスに、風属性の防御スペル。
相性的にはそりゃ優位だろうが、超レイド級の攻撃力相手に打ち勝てるはずがない。
だとすれば、やはりカザハ君は――

「ガザーヴァの魔力か……!」

カザハ君の身にまとうエフェクトがどす黒く変色するのを見た。
レイド級の中でも上位に位置する三魔将の魔力ならば、アジ・ダカーハの攻撃を凌ぐくらいは出来るだろう。
真空刃の威力を超強化したように。カザハ君は、ガザーヴァの力を使いこなせているのか?

だけど、黒のエフェクトは加速度的にカザハ君の総身を覆っていく。
さっきまで明滅する程度だった闇の魔力が、確かな存在感を持ち始めている。

「やめろ、それ以上力を使うなカザハ君!体真っ黒になってんぞ!!」

カザハ君は俺の制止に構わず、アジ・ダカーハと相対したまま語り始める。

>「ボクは昔罪を犯した――罠と分かりきってる幻魔将軍の甘言に乗ってしまった
 ううん、世界に干渉すべきでない種でありながら世界を救おうなんて思ってしまったこと――それが間違いの始まりだったんだ」

溢れるような声で告げられたのは、カザハ君とガザーヴァのつながり。
自覚が……あったのか?自分の中にガザーヴァが居る、そのことに。

とっさに俺達を守ったその挙動は、間違いなくカザハ君の意思だ。
カザハ君はまるで別れの挨拶のようになゆたちゃん達一人ひとりに言葉を告げる

>「明神さん、カケルをよろしくね。理由は……”翔 中国語”で検索してみて」

「待て、おい、待て!!よろしくって何だよ!お前何するつもりだ!!」

何するつもりか。
なんとなくだけれど、俺にはもう分かっていた。
分かっちまったんだよ。分かるくらいには、こいつとも長く付き合って来たのだから。

>「このブレスが止んだらボクは幻魔将軍ガザーヴァだ。もし命乞いしても騙されちゃいけない」

カザハ君は、ずっとガザーヴァを抑え込んでいた。
幻魔将軍が俺達に害をもたらさないように。その悪意が、解き放たれないように。
そして限界を悟ると同時に、死に場所を見つけた。

>「君達に会えてよかった。本当にありがとう」

カザハ君が振り向く。
首まで迫った黒の侵食。唯一無事なシルヴェストルの美貌が、ふっと微笑んだ。

>「自由の翼《フライト》――風精王の被造物《エアリアルウェポン》!」

ブレスが止む。
もはやそれ以上言葉を交わすことはなく、カザハ君はアジ・ダカーハに飛び込んでいく。
俺はその背中を眼だけで追って、視線を地面に落とした。


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