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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

213明神 ◆9EasXbvg42:2020/01/14(火) 03:07:24
>「くふふふふふふふ! 召喚――アジ・ダハーカ!!」

出現したのは、ゴッドポヨリンさんが三体肩車してようやく届くかってぐらいに巨大な竜。
都合3つの首がうねるたびに突風が吹き荒れ、暗い体色はそれそのものが夜空のようだ。

――六芒星の魔神。魔皇竜『アジ・ダカーハ』。
国内はおろか全世界でもいまだかつて目撃されたことはないであろう、超レイド級の完全体だ。
各国の神話をモチーフとした六種の魔神は、プレイヤーが唯一『理論上』入手出来る超レイド級。
実際に揃えられた例など世界規模でも存在しないとされていた……はずだ。

「マジに揃えたってのかよ……!石油王でも切り身でしか持ってねえ、超レイド級を!」

一体どれほどの人脈と時間、何より金を注ぎ込めばアジ・ダカーハを手にできるのか。
その計算にはきっと天文学者が必要になるだろう。
会計どうなってんだ帝龍有限公司。株主激おこぷんぷん丸やぞ!

>《バカな……、ニヴルヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』はそんなものまで持ってるっていうのか!?
 みんな、退却だ! 今キミたちがアジ・ダハーカと戦っても絶対に勝てない! 戦力が違いすぎる!》

バロールの退避勧告が頭の上を擦過していく。
足が竦んで動けない。アジ・ダカーハなんて、画面越しにだって見たことはなかった。
プレイ動画でも超レイド級との戦闘は配信されてない。
そもそも挑戦条件として各部位を揃えるのが難しすぎて、完全体と戦った事例が皆無に等しいのだ。
知見がない。Wikiの内容を諳んじられる俺でも、アジ・ダカーハが何をしてくるのか、分からない。

今すぐここから逃げる……ことは、出来なくはないだろう。
こっちにはマホたんという"人質"が居る。いきなり範囲焼きが飛んでくることはあるまい。
迷夢に紛れてうまいこと前線を離脱して、アコライトまで引き返すことは不可能じゃない。

帝龍がどれだけ潤沢な資産を抱えていても、結局は有限なクリスタルで超レイド級を常に召喚し続けることはできまい。
俺達が退却すれば、つまり短期決戦が不可能と見れば、無意味に消費を続ける愚は侵さないはず。

……だけど。
逆に言えばそれは、帝龍側にも仕切り直しのチャンスを与えることになるってことだ。
後日こっそりアコライトまで肉薄して、その場で召喚からの蹂躙コンボを決めることだってできる。
外郭から程よく離れたこの戦場に帝龍とアジ・ダカーハを釘付けに出来るのは、今だけだ。

ふわふわと足元がおぼつかない。
歯の根が合わない。
指先が氷みたいに冷たくなって、まともにスマホを手繰れるかも分からない。

それでも決めた。
どれだけ高難易度だろうが、この戦いから逃げはしない。
これを蛮勇と呼びたきゃ呼べ。譲れない矜持ってやつが、俺にはある。

>「……逃げないよ」

ぶるぶる震える俺の耳朶を、なゆたちゃんの声が力強く打った。

>「このデカブツは、ここで食い止める……! どんなことをしてでも!
 エンバース、みんな! 手を貸して――! アイツを止める方法を、みんなで考えるんだ!」

「……よくぞ言ったぜ、リーダー。理不尽なこのクソゲーにゃ、難易度の急上昇なんて珍しくもねえ。
 クリア条件は変わってない。あの腐れCEOをぶっ倒して、アコライトを解放する。それだけだ」

勝算なんざぴくちりありゃしねーけどよ。
俺がかつて目指したプレイヤー像は、こういう逆境でこそ、強く笑った。
世界まるごと救おうってんだ。アジだかサバだか知らねえが、超レイド級がナンボのもんじゃい。


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