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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

208カケル ◆92JgSYOZkQ:2020/01/11(土) 03:08:40
私は全速力で飛びながら、遠い昔のことを思い出していた。
それは、姉さんとバロールさんに出会った日のこと。
確か狂暴なモンスターに襲われていたところを姉さんとバロールさんに助けられたんだっけ。
正確には姉さんが考え無しに飛び出してきて二匹揃ってのされそうになっていたところをバロールさんに助けられたような気もするが。
『どうして助けてくれたの?』
『君が美少女だからさ!』
『美少女の姿をしてると通りすがりの人に助けて貰えるんだ! じゃあ毎日美少女の姿をしていよう!』
この時の二人のやりとりにはずっこけそうになったものだ。
ということは美少女の姿をした姉さんが来なければ私は助けてもらえなかったわけで、やっぱり姉さんに助けられたのか。

恐れることを知らない それが勇気ではなく、恐れてなお逃げないこと それが本当の勇気
恐れることを知らないこと それが強さではなくて、恐れるものに打ち克つこと それがが本当の強さ

とは地球のとある歌の歌詞の一節だが、

『ボクは勇者にはなれない――恐れることを知らないから』

それが“姉さん”の口癖だった。
この世界に存在する四大属性の精霊族――地のノーム、水のウンディーネ、火のサラマンドラ、そして風のシルヴェストル。
その属性の魔力の集まる場から自然発生し、永遠に近い寿命を持ちながら世界に干渉せず、生きる事に飽きたら自然消滅するという。
彼らはその属性に応じた性質を持ち、一族の中でも最もその属性を色濃く体現する魂を持つ者が族長となる。
“風渡る始原の草原”に住まうシルヴェストルも例外ではなく、そして姉さんは次期族長候補の一人だった。
気まぐれで飽きっぽくて無責任、それでいて恐れを知らず、勢いだけで体を張って人助けしてしまうような、人間では決して持ち得ない純粋な魂――
精霊族は表立って世界に干渉しないのが常だが、姉さんが世界を救う旅に出ると言い出した時、誰も驚かなかったし止めなかった。
「どうせ3日で飽きて帰ってくる」と誰もが思ったからだ。
しかしその予想は外れ、悲劇は起きた――

そんな事を考えている間に、気付けば私はバロールさんの元へ辿り着いていた。

《世界を救うといったあの言葉は本当なんですよね?
小一時間ほど問い詰めたいところですが今はそんな暇はありません。
――トランスファー・メンタルパワー!》

自分が行動不能にならない分だけ残して精神力を譲渡する。
多分魔法機関車でGOで魔力を使い果たしてそうだが、これで少しは魔法が使えるようになるだろう。
勢いで来てしまったが、そういえばこの人、私の言葉は分かるんだろうか。
まあいいか。問答無用で信じると決めているので、大きな問題ではない。
信じる根拠はないどころか、冷静に考えれば改心した振りをして何かを企んでいる可能性の方が高い。
それでも信じるのは、そうでなければカザハは絶対助からないし、なゆたちゃん達の足元も全てが崩れてしまうからだ。
だから、これは信じるというよりも賭けるに近いかもしれない。

《乗ってください!》

そう言って背中を差し出す。もし言葉が伝わらなかったとしても、意図は伝わるだろう。


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