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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

20明神 ◆9EasXbvg42:2019/10/07(月) 01:18:39
「魔法の習得は、君たちブレイブにとってそう難しいことではないよ。
 この世界においては資質と感性に恵まれてなければ会得し難いものだけど、君たちに限っては違う」

暖炉の火が煌々と燃える傍らで、その炎の揺らめきを映すグラスの中身を飲み干しながら……
バロールは言った。俺は対面で同じワインを傾けながら聞く。

「へえ。なんか転生チート的な特典で魔法適正アップとかあったりすんの?」

正確には転生じゃなくて転移だが、召喚の際になんらかの加護がもたらされてもおかしくはない。
少なくともミハエルとの一件で、言語の翻訳機能が追加されてることは明らかだ。

「そうわけではないんだ。アルフヘイム式の召喚技術では、召喚者に利するような加護は与えられなかった。
 翻訳は、召喚魔法ではなくアプリケーション側の機能だね。"多言語対応"が拡大解釈されたものなんだろう」

バロールは述懐する。俺は速攻で眠たくなりそうだったが、全然眠気は出てこない。
回復魔法の影響で疲れが消え失せたせいか、他の連中が寝静まっても俺は眠れなかった。
バロールが不眠不休で働き続けてるってのはこういうことか。

いつか絶対体壊すと思うけど、まぁ嫌な思いするのは俺じゃないしどーでもいーや。
そんなこんなで眠れない俺は、夜明けまでの時間、バロールから魔法について講釈を受けていた。
ジョンも指摘した、俺自身の戦力強化の為。魔法の習得は試しておくべきだろう。

「これは少し自慢になるけどね。元来、才ある者達が感覚的に理解し、行使してきた『魔法』という技術を――
 我が師、ローウェルは体系立てて纏め上げ、理論化することに成功した。私も手伝ってね。
 ある程度、読み書きや掛け算割り算が出来る知識水準の者ならば、誰でも魔法を習得出来るようになったんだ」

もちろん、専門的に学ぶにはやはり資質が必要になるけどね、と付け足す。
しかしそれじゃ、アルメリアはとっくの昔に魔法大国になってるはずだ。
国民全員が魔法を使えるなら、バルゴスみたいな肉弾特化の傭兵が幅を効かせてる理由がない。
肉体労働にしたって、魔法を使えばもっと効率よく大規模にやれるはずだ。

「読み書きも算数も、皆が当たり前のように習得しているわけじゃないよ。
 アルメリアの識字率は人口の半分にも満たない。その人口も、あくまで王都が把握出来ている限りだ。
 都市部から離れた村落では、未だに戸籍を持たない住民も多数存在しているからね」

「あ、あー……そりゃそうか。そうだよなぁ……」

見たところアルフヘイムは中世から近世の西洋くらいの文明レベルだ。
地球なら読み書きが特殊技能扱いだった時代だ。御触書を読み上げる公示人が専門職だったくらいの。
文字を読めない人間が、当たり前に存在している。これを異様と思うのは、文明人気取りの傲慢さなのかもしれない。

「私が召喚のターゲットに日本という地域を選んだ理由には、プレイヤー総数の多さの他にもう一つあるんだ。
 国民のほぼ全員が生まれると同時に市民権を取得し、最低でも9年にわたって厳密に整備された教育を受けている。
 識字率・四則演算習得率は限りなく100%に近い……魔法を学ぶ上でこれほどの好条件はそうそうないよ」

「詳しいな……」


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