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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

19embers ◆5WH73DXszU:2019/10/03(木) 06:27:54
【メモリータクシス(Ⅴ)】

『――それなら勝てる。絶対に勝てる! さあ――ここから、みんなで絶対的不利の盤面をひっくり返そう!』
 『ええ! 絶対勝ちましょ、みんなで!』

――何か、すごく大切だった事を、忘れてしまっている気がする。

『マホたん……! 今まで一人でよく頑張った! スライムマスター月子先生が来たからにはもう大丈夫!』
『爬虫類魔物を地道に倒してもラチがあきそうにないし指揮官を倒すしかないよね。
 カケルに2人ぐらい乗ってもらってあとは何人か乗れそうな物にフライトをかければ――』

「……敵地のど真ん中に、片道切符の急行便か。面白い冗談だな」

『駄目だ、色んな意味で危険過ぎる……! そうだ! 逆に敵をこっちに誘き寄せて迎え撃つっていうのは?』
『指揮官が自分が直接出向くしかないと思う程のモンスターを召喚したように見せかけたらどうだろう。
 遠くからでも見えるのが第一条件だからミドガルズオルム級の超でかくて超強いやつ!』

「多量のクリスタルと引き換えに召喚された超レイド級が、
 敵を薙ぎ払う訳でもなく突っ立っている、か。
 なるほど――中々ユニークな作戦だ」

『エンバースさん、うまく敵をおびき寄せるにはどんなのを出せばいいと思う?』

「さあな。大きく白旗でも上げれば、様子を見に来るんじゃないか。そんな事より――マホたん」

焼死体がユメミマホロへと歩み寄る/その細い肩を掴む――山吹色の双眸に、顔を寄せる。

「俺を見てくれ。この顔に見覚えはないか?以前、どこかで会った事は?」

焼死体は冷静さを欠いていた/己が冷静さを欠いていると気付けないほどに。
不完全に蘇った失われた記憶は、強度の意識混濁を誘発していた。
亡者が生命の香りに惹かれるように、戦乙女を見つめる。

『――え、えーと?なんてゆーのかな。気持ちはすっごく嬉しいよ?
 だけどあたし、ファンのみんなを裏切るような事は出来ないの。
 それに、今は仕事が恋人みたいなものだから……その――』

瞬間、ユメミマホロの左手が閃光と化した――肩を掴む右腕を強打/肘窩を掴み/引く。
焼死体の体幹を崩した動作は、同時に武闘における引手を成していた。
即ち、攻防一体/崩した時には、突いている――

『――ごめんなさい』

氷点下の声/徒手空拳による【聖撃(ホーリー・スマイト)】。
弱点属性によるクリティカル――焼死体からは悲鳴すら上がらない。
ただ、短打にあるまじき打撃力によって宙を舞い――城壁の内側へと落下した。

「――うおおおおおっ!?」

我に返った/己の状況を理解した焼死体の悲鳴と、その数秒後に地面への激突音が、周囲に響いた。


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