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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

177明神 ◆9EasXbvg42:2019/12/09(月) 01:05:44
なんぼ武道の心得があろうが、人間は軽自動車にも勝てない。
空手も柔道もやってねえ軽自動車にだ。
事実、たった一撃でジョンは満身創痍。左腕は変な方向に曲がっちまっている。

「く……そ……」

今すぐにでもあいつを助け出してやらなきゃならないのに、俺は未だに身体が動かなかった。
目は霞み、耳に入ってくる音もどこか遠い。空気がうまく肺に入っていかない。
気を抜いたらそれだけで意識が飛びそうだ。

ジョンは俺を庇ってヒュドラの痛打を受けた。
否応なしに、リバティウムの記憶が蘇る。手の中で冷たくなっていく、しめじちゃんの感触を思い出す。

……ふざけやがって。二度もおんなじ思いしてたまるか。
俺がすべきことはお馬さんの上で打ちひしがれることか?違うだろ。
できることを今すぐ探せ。ジョンをあのクソ蛇の足元から救い出す方法を考えろ。

「ヤ、マシタ……『狙い撃ち』……」

曖昧すぎる指示にもパートナーは応え、ヤマシタが弓に矢を番える。
もう不意打ちは効かない。弱点に届く前に撃ち落とされるだろうが……それでも。
何も出来ずにエカテリーナにおんぶに抱っこだったあの時とは違うって、証明してみせろ!

風を切って矢が飛ぶ。
ヒュドラの頭部が翻り、ハエでも払うように叩き落とす。
俺にできることはこれが精一杯。だけど、少しでもヘイトが稼げたなら……今はそれで十分だろう?

ジョン。
あいつはスタボロになりながらも、無事な方の手でスマホを握っていた。
戦意を喪失していない。奴もまた、この状況でできることを模索している。

ヒュドラはジョンを『人質』にすると同時に、多頭の一つでその動向を観察していた。
なにか反撃に動こうものなら、すぐにでもトドメを刺せるように。
なら、わずかにでもヒュドラの注意を引いて、ATBゲージを消費する隙を作る。

>「雷刀(光)!プレイ!」

果たせるかな、ジョンはスマホを手繰った。
カードは発動し、生成された装備ユニット――雷刀を手に、立ち上がる。
同時に、奴の身体に赤いオーラめいた燐光がまとわりつくのを見た。

パーティクル・エフェクト――スキル発動の証だ。
俺が魔法をコソ練してたのと同じように。なゆたちゃんがお姉ちゃんに師事していたように。
あいつもまた、スキルを習得していたのか?

>『アハハハハハハ!』

人が変わったような哄笑を上げながら、ジョンは吶喊する。
一歩ごとに血がこぼれ落ちるような満身創痍で、足運びだってメチャクチャだ。
それなのに、気圧されたようにヒュドラは嘶く。全力で叩き潰しにかかる。


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