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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

176明神 ◆9EasXbvg42:2019/12/09(月) 01:04:53
油断も慢心も、なかったはずだった。
それでも、魔法とかいう超絶パワーを手にして、舞い上がってたとしか言いようがない。
中学生で卒業すべき全能感は未だに俺の脳みそにこびりついていて、そのツケは思ったより早く訪れた。

>「おい!冗談も大概にしろ!なにか!次の手は――」

頭の上をジョンの警句が通り過ぎる。
耳に入って来ない。想像以上の疲労感が、感覚器さえも埋め尽くす。
やべえやべえと理性が忠告するも、肝心の足はぴくちり動いちゃくれなかった。

魔法攻撃を受けたヒュドラの、多頭に光る無数の眼が、俺を見据える。
ばっちりヘイトを稼いじまって、奴らのタゲは今俺に向いていた。

蛇の首が鞭のようにたわむ。
……これはアレだ、キリンさんが縄張り争いでやるやつだ。
あの巨大質量で薙ぎ払われれば、この狭い屋根の上に逃げ場なんてない。

「やべ……」

風を切り裂くヘッドバッドが降ってくる。
回避は間に合わない――。

>「!!!!ああ!くそ!!!カザハアアアアア」

「ぐえっ!?」

瞬間、ジョンが俺の襟首を掴んで屋根の外へ放り投げた。
三半規管を蹂躙する慣性の暴力。血流が脳に届かず失神しそうになる。
吹っ飛ぶ寸前の意識の中、いやにゆっくり流れる視界に、俺をカザハ君に託したジョンの姿が映った。

>「明神をたの――――」

声が最後まで俺の元に届くことはなく。
ジョンは、俺の代わりに部長ごとヒュドラの頭部に薙ぎ払われた。

「ジョン……!!」

同時、回り込んでいたカザハ君が俺を抱きとめる。
地面との激突はなんとか免れた格好だが、安堵できる要素は一つもなかった。

「助かった!けど俺よりジョンのことを……」

すぐにジョンの方へ目をやれば、あいつは血の尾を引きながらヒュドラの足元へ転がり、
息も絶え絶えになりながら立ち上がろうとしていた。
生きてはいる。だが負ってしまったダメージはあまりに甚大だった。

当然だ、あのクソぶっといヒュドラの頭部で打擲されて、生身の人間が無事でいられるわけがない。
それこそ車にハネられたようなもんで、即死してないのが不思議なくらいだ。


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