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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

162崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/11/29(金) 21:46:30
ヒュドラを排除し、魔法機関車がふたたび虹のレールの上を走り出す。

「じゃあ……行くよ! マホたん! 『幻影(イリュージョン)』――プレイ!」

「オッケー月子先生! みっんっなーっ! まっほまほにしてやんよーっ!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

なゆたの号令にマホロが大きく右腕を振り上げ、守備隊が同調する。
スペルカードのまばゆい光が一瞬、魔法機関車の中を遍く照らし――
そして。300人のユメミマホロが爆誕した。

「うーん。300(スリーハンドレッド)って感じ」

《なゆちゃん、それ負け戦やから言うたらあかんよ〜?》

自分を含めて列車中の人間が全員ユメミマホロになったのを見てなゆたが呟き、みのりがツッコミを入れる。

『間もなく終点、帝龍本陣に到着致しまス。皆さま、お手回りのお荷物などお忘れにならないようお願い致しまス』

ボノがアナウンスする。何度か妨害はあったが、想定の範囲内だ。
作戦は順調に進行中と思っていい。あとは、本陣に乗り込むと同時に300人のマホロで攪乱し、帝龍本人を押さえる。
マホロを手に入れたい帝龍は変身した兵士たちをむやみに傷つけられない。うまく行けば、戦いは一瞬で終わる。
そう――

【うまく行けば】。

ガガガァァァンッ!!!!!

「きゃあああああッ!!」

またしても、激しすぎる衝撃が魔法機関車を揺さぶった。
トカゲやヒュドラの比ではない、巨大すぎる衝撃だった。機関車の鎧戸が一撃で吹き飛び、車体がミシミシと悲鳴を上げる。

「ボノ! またヒュドラ!?」

『不明でス。今までで一番の質量が車体側面に衝撃を加えてきましタ』

「一番の質量……!?」

『第二波、来まス。お客様は衝撃に備えて下さイ。5、4、3、2、1――弾着。今』

ガゴォォォォォォォォォンッ!!!!

横殴りの凄まじい衝撃が魔法機関車全体を襲う。そのあまりの威力に、機関車はただの二撃で虹の軌条から脱線し高く宙を舞った。
先頭車両からすべての客車含め、総重量400トンはあろうという列車が、まるで鉄道模型か何かのように――である。
このまま落下して地面に叩きつけられたら、全員終わりだ。
といって、全員を列車から退避させる方法などない。退避させるとしても、宙に飛ばされた今どこへ逃がすというのか。
万事休す――そう、思ったが。

《問題ない! ボノ、火をくべるんだ! このまま突き進みたまえ!
 飛ばされた先にレールを敷く! どうあっても――君たちのことは帝龍本陣へ届けると約束したからね!》

スマホからバロールの声が聞こえてくる。
その瞬間、何者かによって虹の軌条の外へ弾き飛ばされた魔法機関車の足元に再度レールが現れる。

《そぉーれ! 創世魔法・『天翔ける虹の軌条(レインボウ・レイルロード)』に加え、『負荷軽減(ロードリダクション)』!
 ついでに『重力操作(グラビティデイズ)』もつけとこう!》

吹き飛ばされたまま、ほとんど水平に倒れた姿勢で、魔法機関車は空中に敷かれたレールを突き進む。
先ほどのループコースターと違い、今度は重力操作の魔法のお陰で客車内の人間がひっくり返ることもない。
魔法を扱うのに必要なのは『認識』と『決定』。
どんなに優れた魔術師でも、魔法を行使する際にはこれから使う魔法と自らの魔力を認識しなければならない。
よって、魔法を使うのはひとつずつ順番に、ということになる。熟達した魔術師なら、その時間を限りなく短縮できる――が。
バロールはそれを『同時に』3つやってみせた。これは本来、頭が3つ付いてでもいない限り不可能な芸当である。
それをこともなげにやって見せるあたり、継承者筆頭の面目躍如といったところか。

《慣れれば明神君もこの程度の芸当はできるようになるさ! 頑張ろう!》

無茶だった。


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