[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章
161
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2019/11/29(金) 21:39:12
>アハハハハハハ!
>ここからが本当の戦いだ
ジョンが独りごちる。ぞっとするような、冷たい笑い声だった。
いつもの穏やかな、他人の身を案じるジョンの声とはまるで違う、怖気をふるうような声音。
――同じだ。マホたんを殺すって言った、あのときのジョンと……。
自衛隊のヒーロー、被災地のアイドル。
快活で正義感に溢れるジョン・アデルという人間の中に存在する、言い知れない昏さ。
それが顕在化しているかのような豹変ぶりに、なゆたは思わず息を呑んだ。
ヒュドラが巨体をじり……と後退させる。怯えているのだ、自分の質量の三十分の一もない人間相手に。
そこまでの巨大な魔物を怯えさせるだけの何かを、ジョンは持っている。
>うおおおおおお!
ジョンは血霧のようなものを纏いながらヒュドラを圧倒してゆく。
その動きはエンバースにも劣らない。ヒュドラの多頭を斬断し、中枢神経に狙いを定める。
>おら!おら!おら!暴れんじゃねえ!さっさと・・・
>しねええええええええ!
咆哮にも似たジョンの叫びと共に、弱点を貫かれたヒュドラはその活動を停止した。
まさに鬼気迫る、狂戦士(バーサーカー)と言っても差し支えないほどの戦いぶり。
あくまで仲間内での戦いでしかなかった王都のデュエルでは決して見せなかった、これがジョンの本当の姿なのだろうか?
それを考えると、なゆたはジョンの活躍を手放しで喜ぶことはできなかった。
「……なんてこと」
小さく呟く。
しかし、このままにしてもいられまい。なゆたは中断していたスペルカードの使用を実行した。
『高回復(ハイヒーリング)』をジョンに向けて切る。彼のダメージもこれで癒えることだろう。
それが終わると、なゆたはすぐに残り一体のヒュドラへ視線を向けた。
>みんなが心配だ。さっさと終わらせるぞ
眼下に、停止した列車の外へ飛び出していたエンバースの姿が見える。
今朝、なゆたはエンバースの雰囲気が以前とは違う、と指摘した。しかし、変わったのは雰囲気だけではなかったらしい。
戦闘方法までが変わっている。今までのエンバースの戦い方はそれこそ先ほどのジョンのような戦い方だった。
それが、何か――ロープか鞭のようなものを併用しての戦い方になっている。
「……あれは……」
よく見れば、エンバースの左手にはいつの間にか一台のスマホが括りつけられていた。
その割れた液晶画面から、一瞬ロープ状の何かが飛び出しては巧みにヒュドラを翻弄している。
「あれは……モンスター……?」
エンバースはスマホを持たないと思っていた。だが、どうやらそれは違ったらしい。
どういったいきさつでエンバースがスマホを解禁したのかは知らない。が、パワーアップには違いあるまい。
『俺以上に強いプレイヤーなんて存在しない』――圧倒的な自負心を裏付ける確かな強さで、エンバースはヒュドラを撃破する。
こともなげに列車の屋根へ帰還したエンバースを迎えると、なゆたはぱちりとウインクしてサムズアップした。
「おかえり!」
>……みんな、無事みたいだな
「ん……そうね。とりあえず……」
なゆたは頷いた。明神は力尽き、ジョンは血まみれになってしまったが――まだ、全員生きている。
不安はない訳ではないが、今はこのままの勢いで行くしかない。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板