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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章
156
:
embers
◆5WH73DXszU
:2019/11/25(月) 06:44:22
【ステップ・トゥ・ルイン(Ⅲ)】
『正午になると、帝龍が『進撃する破壊者(アポリオン・アヴァンツァーレ)』を使ってくる。
その前に勝負をつけよう。みんな、準備はいい?』
「時間に余裕がありすぎるな。ウォーミングアップに一試合してから、出発でもいいぜ」
無根拠な大言――焼死体が、まだ■■■■だった頃の名残。
そして――魔法機関車は走り出した。
空中に伸びる虹をレールに、濃霧の中を龍のように、泳ぐ。
霧の底で彷徨うトカゲ達はすぐ頭上を征く列車の姿も、その走行音も知覚出来ていない。
『う、うわっ!』
だが、何事にも例外は存在する――例えば濃霧は、気流を感知する皮膚感覚を阻害し得ない。
不意に魔法機関車が激しく揺れた/鎧戸の壁面を何かが這うような重い金属音。
何が起きているかのは明白――だが、取り得る対策は限られている。
「モンデンキント、一度離れろ。心配するな、すぐに戻る。
明神さん――障害物を隔てた先への召喚は習得済みか?」
焼死体が立ち上がる/溶け落ちた直剣を抜き、鎧戸を見つめる。
亡者の視覚には、見えていた――厚い金属板越しにも、トカゲ達の位置が。
まずは鎧戸に張り付く個体を刺殺/然る後に車外へ/敵を殲滅――全て、容易く実行可能だ。
『ちょっとゴミ掃除をしなくちゃいけないかな? では、みんな手近なものにしっかり掴まっていてくれたまえ!』
「待て、何をする気だ。余計な事を――」
『そぉーれっ! 360度ループコースターだ!』
『えっ!? ちょ、バロー……』
「――ちっ」
少女が再び、焼死体にしがみつく/焼死体も、咄嗟に剣を仕舞い――少女を強く抱き寄せた。
時速80キロ前後の列車による曲芸飛行――それに伴う慣性力は、生身の人間を容易に殺め得る。
『ひゃあああああああああああああ!!!??』
モンスターの腕力/握力ならば、暴力的な加速度の中でも、内装の一部を掴み続ける事は可能だ。
だが焼死体/燃え落ちた肉体は、軽い――重量は各種装備品を含めても30キロ弱。
故に外力により容易く作用される――それは、少女にとって危険だ。
その危険性に対し、即時実行可能な予防策は一つだけだった。
つまり――少女を抱き留める腕に、更に力を込める。
「……落ち着いたら、手を離せ。接敵が一度だけとは限らない。
次こそは、俺が出る。バロールが余計な真似をする前に――」
『……あ……、ごめん……』
不意に、焼死体の視界に色彩が返り咲く。
より正確には――色彩感覚があった頃の記憶に、塗り潰される。
指標無き冒険の最中――誰もが“日常の中にいた自分”を保てなかった頃の記憶。
『――ごめん。私らしくないのは分かってる……だけど、もう少しだけ、このままでいて』
焼死体が弾かれたように立ち上がり、少女に背を向けた――その眼差しから逃げるように。
少女の表情が見えないのは幸運だった――罪悪感は、あまりにも容易く、魂を黒に染める。
「……次の接敵に備える。そこで、じっとしていろ」
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