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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章
15
:
embers
◆5WH73DXszU
:2019/10/03(木) 06:22:57
【メモリータクシス(Ⅰ)】
アコライト外郭へ走る列車の中、焼死体は腕組みをして、座席に腰掛けていた。
石油王によるブリーフィングにも反応を示さず――ただ、俯いている。
薄暗い藍色の眼光の奥には、冷徹な思考回路が巡っていた。
二十倍の兵力差/半ば機能不全した兵站/音信不通の指揮官。
希望的観測は出来ない――城塞が既に陥落している可能性は、十分ある。
その場合、バロールによる援軍の報せは裏目となる――敵は迎撃の準備をする事が出来る。
「……到着後、すぐにでも加勢が必要になる可能性がある。戦闘準備をしておくべきだ」
進言しつつ、焼死体は立ち上がると列車の乗降口へと歩み寄る。
焼死体の判断――最初に下車するのは、刺突/飛矢に対して耐性を持つ己が適任。
革帯で左腕に留めた盾の具合を確認/右手は愛剣を収めるコートの内側へ――戦闘準備は万端。
窓の外の城郭が段々と近づいてくる/焼死体はそれを、食い入るように見上げ続ける。
城塞が既に陥落している場合、敵が取り得る迎撃手段は大別して二つあった。
援軍を懐まで呼び込んで圧殺するか、移動中の列車ごと狙撃するか。
しかし焼死体の危惧は、結果として全て杞憂に終わった。
高火力スペルによる狙撃はなかった/列車を降りた瞬間、奇襲される事も。
焼死体は城郭の中へと進む/怖気とは無縁の不死者の足音――それが不意に、鳴り止んだ。
『……はれ?』
後方から、なゆたの間の抜けた声が聞こえた。
『なんか、キレイ……』
「何かがおかしい。一度、列車まで戻るべきだ。俺が偵察を――」
『おぉ〜っ! お待ちしておりました!』
視界外からの声――焼死体が瞬時に愛剣を抜き/振り向きざまに取る平正眼の構え。
蒼炎の眼光が声の主を捉え――そこで焼死体は止まった/より正確には凍り付いた。
蛍光ピンクの法被/ライトブルーのサイリウムに彩られた兵士が、一行を見ていた。
『え……えーと……』
「……モンデンキント。なんだ、あの格好は。俺が知らない間に実装されたネタ装備か?」
『いやいや! いやいやいや! 貴公らが王都からの増援でござるかァ〜! お待ち申し上げておりましたぞォ〜デュフフフ!』
「……誰か、日本の現地時間を確認出来る者は?俺達はエイプリルフールイベントに巻き込まれた可能性がある」
『よォ〜こそ! よォ〜こそ! アコライト外郭へ!
いや、貴公らは実に! 実に運がいい! 今、ちょうど午後のライヴの真っ最中でござる!
ささ、こちらへ! 貴公らも我らの女神! いやさ戦乙女のライヴあーんど生配信を観て、萌え萌えキュンキュンするでござる!』
『え、えっ? ちょっ、ライヴって……!
あたしたちは戦いに来たのであって、そんなのを観に来たわけじゃ……!
ここの責任者の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』はどこですかーっ!?』
『デュフッ! 戦い? そんなのあとあと! まずはライヴに参加しなくてどうするんでござるか!
皆の者! お客人を会場まで運んで差し上げるでござる!』
「……ひとまず、俺達の歓迎会が出来るくらいの余裕はあるのか――いい事だ」
眼前の不可解に対する理解の諦めを――焼死体はそう、表現した。
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