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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章
130
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2019/11/14(木) 21:56:03
ストーリー序盤、まだ魔王バロールの『バ』の字も出ないうちから、ガザーヴァは正体不明の黒騎士として姿を現していた。
山間の村ミノンでは、強大な力を秘めた魔石を手に入れるため山に火を放ち、たくさんの動物や人間の命を奪った。
港町セイルポートでは、街を牛耳る町長に成りすました魔物と共謀し、人々に圧政を敷いた。
砂漠の王国スカラベニアでは王家の墓を破壊し、眠りについていた古代のファラオの怒りを招きプレイヤーに差し向けた。
他にも細かい出番ならば枚挙にいとまがない。そして、極めつけはアコライト外郭の破壊だ。
ガザーヴァ最大の悪行とされるアコライト外郭の崩壊を経て、ストーリーは一気にクライマックスへと駆け上がってゆく。
「バロール様に命令されてやっただけなんですー! まぁ命令はされたけど嫌々ってわけでもなかったけどね!」
「うんうん! わかるよ……みんな辛かったんだね。ボクに任せて! すぐ楽にしてあげる!(殺戮的な意味で)」
「よーし、ボクもがんばってここを平らにしちゃうね! なんたって現場はお任せの現場将軍もとい幻魔将軍だから!」
素なのか演技なのか分からない、そんなガザーヴァの軽妙すぎる物言いにイラッとしたプレイヤーは多いだろう。
ガザーヴァと遭遇した、すべてのプレイヤーの共通認識。
それは――ガザーヴァがまったく悪意のない愉快犯だということにつきる。
三魔将のリーダー、凶魔将軍イブリースはあくまでニヴルヘイムの存続のためバロールに仕えていた。
だが、ガザーヴァは違う。ガザーヴァはまったく無邪気に、快楽のために。楽しむために破壊と殺戮を繰り返していた。
その突き抜けっぷりが逆にいいとして、意外と人気も高かったりするのだが――しかしここは現実のアルフヘイムだ。
ただ楽しいから、面白いからで殺されてしまっては堪らない。
武人肌のイブリースとは反りが合わなかったようだが、ゲームの中のガザーヴァはバロールには忠実に従っていた。
その繋がりが、この二巡目の世界でもまだ健在だとしたら――
バロールが使い勝手のいい忠実な駒として、ガザーヴァを使役するのは当然と言えるだろう。
>俺たちを監視してたって言ったな。一体何を見た?
カザハ君を敵と結びつけるような何かが……あったんだよな
「みんながこのアコライトに来た日。……覚えてる?
カザハがあたしに抱きついてきたこと」
それは、まさにこの歩廊で起こった出来事。
みんなを待っていた、と言ったマホロに対し、カザハは感極まって抱きついてきたのだ。
>マホたん……! 今まで一人でよく頑張った! スライムマスター月子先生が来たからにはもう大丈夫!
そんなカザハを明神は憤怒の形相で引きはがした。だから、きっと覚えているだろう。
そして――思い出すことができたなら、同時に『おかしい』とも思うはずだ。
明神の顔を見つめながら、マホロが頷く。
「あたしはあのとき、カザハにまったく対処できなかった。棒立ちになることしかできなかった。
その直後、同じことをしてきた焼死体さんには『聖撃(ホーリー・スマイト)』で反撃できたのに……。
カザハのときは不意打ちで、焼死体さんの時は二度目だったから予想できた? そうじゃない。
あいつの身体から感じた闇の波動に、身動きが取れなかったんだよ――」
『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)』は聖属性のモンスターだ。
闇属性には敏感に反応する。そして、身に着けた『聖撃(ホーリー・スマイト)』は外敵に対し無意識に発動する。
見敵必殺のスキルが発動しなかったのは、カザハの内包する闇の大きさに身体が硬直してしまったということらしい。
「バロールが何を考えて、あなたたちのパーティーにガザーヴァを入れてきたのか。
あたしには分からないけど……本当に、充分気を付けて。
月子先生はまっすぐで人を疑うことを知らなさそうだし、焼死体さんは気絶しちゃって話せないし。
ジョンさんはそもそもあたしに不信感があるだろうから……。
お兄さんに話すのがいいと思ったんだ。お兄さんはサブリーダーなんでしょ? 頼り甲斐があるように見えるもの」
作戦を纏め、決定したのはなゆただが、それまでの会議を主導していたのは明神だ。
例え足手まといだろうと、不要だろうと、兵士たちを一人として見捨てはしないと。全員で生き残るのだ、と。
そう最初に言ったのは明神だったのだ。
もしマホロが『ファンを見殺しにできない。全員助けたい』と言ったところで、ジョンを説得できなかっただろう。
単なる利己的な発言というだけで片付けられてしまっていたに違いない。
あの場所では、ジョンの仲間が。キングヒルから来た『異邦の魔物使い(ブレイブ)』がその意見を押し通す必要があった。
そして、明神はなんの打ち合わせもなく、ごく自然にそれをやってのけた。
それだけで、マホロが明神をもっとも信頼に値する人間と判断するには充分だったらしい。
「あたしは……このアコライト外郭を守るよ。
帝龍がどんな軍団を差し向けてきたって。バロールやガザーヴァが何を企んでいたって。
この場所を奪わせはしない! 絶対に、平らになんてさせるもんか!
……明日はよろしくね。一緒にがんばろう」
この、何を信じ何を疑えばいいのかも分からない世界で。
ほんの一握りの信頼できる人間に対して、ブレイブ&モンスターズの歌姫はにっこりと笑いかけた。
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