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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

118明神 ◆9EasXbvg42:2019/11/11(月) 03:22:21
はらいてー、と俺は歩廊の壁に背中をぶつける。
いやあ笑わせてもらいましたわ。マホたんそーゆーギャグかます人なんすねえ。
本番前の緊張ほぐしには十分だったな。よーし明日に備えてさっさと寝るか!

「……すまん。ちょっと情緒がバグった」

ずりずりと歩廊の壁を背中で滑り落ちる。
顔を手のひらで覆ってみて、初めて俺は自分が全然笑ってないことに気が付いた。
カザハ君は。加入こそリバティウムでのなりゆきだったけど、もうなあなあの関係じゃない。

王都のクーデターで激突して、俺はあいつの本音を聞いた。
勇者になれなかった自分を肯定するために、あいつは語り手になろうとしている。
俺はそんなあいつに共感して、その姿勢を応援しようと、決めたんだ。

「勘弁してくれ。俺はどんだけ、何回、仲間を疑えば良いんだ……」

寄る辺なきこの世界で、俺は常に他人を疑って旅をしてきた。
ライフエイクみたいに外面を取り繕って近づいてきた奴はたくさんいた。
正体不明のウィズリィちゃんをはじめ、仲間だと思っていても、疑わなきゃならなかった奴も居る。

やがて敵側のブレイブなんてのも現れて、味方のはずのブレイブすら疑う必要が出てきた。
エンバースや、ジョンや……カザハ君。
こいつらを信頼するために、どれほどのやり取りと、ぶつかり合いがあったのか。
だからこそ、戦いを経て腹の中を明かし合った仲なら、絶対に信じようと……思っていたのに。

それに、出会った時から俺はカザハ君のことが嫌いになれなかった。
考えなしの突撃バカで、それなのに変なところに気が回って、なゆたちゃんのことをいつも気にかけてて――
なにより、あいつには裏表がない。竹を割ったような性格は、俺にとって好ましいものだった。

あいつが……敵?
ブレイブのフリをして、ずっと俺たちを騙してきたのか?

「……まだ、結論は出せない。少しだけ時間をくれ」

マホたんがどういう意図でカザハ君を告発したのか、知らなくちゃならない。
それに敵ったって、ガザーヴァかどうかはわかんねえしな。
名前が似ててお馬さんに乗ってるってだけで同一人物認定されちゃガザーヴァ本人もやりきれまい。

「俺たちを監視してたって言ったな。一体何を見た?
 カザハ君を敵と結びつけるような何かが……あったんだよな」

だけど多分、わかってた。
俺はただ、カザハ君が敵だと信じたくないだけなんだって。
カザハ君とバロールと……『敵』を、結びつける要素はあまりに多い。
こんな問答は時間を浪費するものでしかなくて、とっとと何かしら手を打つべきだった。

心の中の暗雲をあざ笑うように、東の空から光が挿す。

夜が――明ける。


【カザハ敵説に思いっきり動揺】


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