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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

114明神 ◆9EasXbvg42:2019/11/11(月) 03:18:32
>「ねえ……お兄さんは、楽しい?
 このアルフヘイムに『異邦の魔物使い(ブレイブ)』として召喚されて、楽しいことはあった?」

「……楽しいよ。色々あったけど、本当に紆余曲折あったけど――全部ひっくるめて、楽しかったって言える」

荒野も、鉱山も、港町も――王都も。
俺の心に残っているのは、結局のところ、楽しかった思い出ばかりだ。
なゆたちゃんや、石油王や、エンバース、カザハ君、ジョン……あいつらと旅をしてきて、良かった。
そう自信を持って思える。

>「……あたしはね。この世界に来てよかったと思ってるんだ。
 この星空だけじゃない。あたしたちの世界がとっくに無くしちゃったものが、この世界にはある。

マホたんもまた、輝く思い出の箱を一つ一つ撫でるように、この世界での記憶を述懐した。
俺は彼女の大ファンだから……マホたんが大人気Vtuberに上り詰める過程で、
何を失ってきたのか、僅かながらに知っている。

ユメミマホロを、『企業におもねる拝金主義者』と罵る者が居る。
スポンサーのご機嫌ばかり伺って、初期のような自由さがなくなってしまったと。
面白くても金にならない企画は打ち切り、グッズとCDの販売にばかり注力していると。
そう発言したのは、彼女が駆け出しの頃から応援してきたファンの一人だった。

でもしょうがねえじゃん!そういうもんなんだよ!
ユメミマホロが個人でやってんのかバックに企業が付いてんのか詳しくは知らんが、
Vtuberとして活動するには金が居る。機材も人手もタダじゃない。
安定して配信を続けるには、どうしたって投資を回収するビジネスモデルが必要だ。

『ユメミマホロ』というブランドは、もはやマホたん一人の所有物ではない。
関わる人間が多ければ多いほど、彼らを露頭に迷わせないために、金を稼がなくちゃならない。
「なんか遠くに行っちゃった感じ」じゃねえんだよ。お前が立ち止まってるだけなんだよ!

俺はそう長文で言い返して、該当動画のコメント欄は炎上した。
すいませんでした。

>「この世界では、あたしは本当に自分のやりたいことができる。
 スポンサーのために歌うんじゃない。お金儲けのために配信するんじゃない。誰のためでもない――
 あたしが、あたしとして、あたしのために行動できるんだ。だから……」

マホたんは自分の肩を抱いた。
あるいはそこにあるのは罪悪感、なのかもしれない。

拉致まがいの召喚とはいえ、マホたんは彼女を待ってる地球の人々を置き去りにしてしまった。
早晩撮り溜めた動画のストックは尽き、生配信の欠席もごまかしきれなくなるだろう。
たくさんの人が「マホたん消失」に絶望し、失望し、スポンサーは大打撃を被る。

彼女に責任はない。
一方で、アルフヘイムに拉致られたこの状況を、マホたんが好ましく思っていることも確かだ。
常に配信者に寄り添ってきた彼女が、現状に迎合する自分自身を許せるだろうか。

まぁ俺も人のことぴくちり言えないんですけど。
まともに実働してる総務経理は俺一人だったし、あの会社マジで潰れてんじゃねえかなぁ。

閑話休題、実際のところアコライトの兵たちにとってユメミマホロが希望であるように――
ユメミマホロにとってもまた、この街は失うわけにはいかない大切なものなのだ。
彼女が彼女で在り続ける、最後の拠り所。


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