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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

100崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/11/01(金) 20:00:13
《うん、うん! 私に任せておきたまえ!
 見事魔法機関車を使って、君たちを帝龍の元まで送り届けてみせようじゃないか!
 魔法機関車は現在、キングヒルで整備を受けている。明日の正午までにはそちらに向かわせよう》

「……わかった。みんなもいい?
 みのりさんが帝龍の本拠地を見つけ出し、魔法機関車がこちらに到着したとき、作戦を開始する。
 全員で魔法機関車に乗り込み、敵本陣まで一直線。
 『幻影(ミラージュ・プリズム)』で全員がマホたんの姿になって、敵陣を攪乱。
 帝龍を拘束して一気に勝負を決める――ってことで」

なゆたが全員を見遣る。

「戦いのときは、あたしが歌を歌うよ。それであなたたちは勿論、守備隊のみんなにもバフを掛けられるから。
 あたしの歌は聴き手が多ければ多いほど効果がアップする。守備隊のみんなもそうそう負けることはなくなるはず」

なゆたに次いで、マホロが提案する。
『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)』にして、ブレモンの歌姫の本領発揮だ。
各種の歌はフレンドやプレイヤーの数に応じて倍率が上昇する。
マホロは地球でも大旅団を編成し、それで並みいるレイド級モンスターたちを狩りまくっていた。
300人の聴衆がいれば、その上昇倍率たるや相当なものになるだろう。やはり、兵士たちは作戦成功に必要不可欠な存在なのだ。
歌を歌うことで本物のマホロが見破られるかもしれない、という懸念に対しては、他の何人かが口パクで対応すればいい。
混乱した戦場の中では、本当に歌っているのか口パクなのかを瞬時に判断することは難しいだろう。
そして、一瞬だけでも惑わせてしまえば、身を隠してしまうことは容易だ。

「敵陣に乗り込んだら、わたしとエンバースとカザハで帝龍を探しに行く。
 明神さんは『迷霧(ラビリンスミスト)』の維持があるから、後方待機かな……。
 ジョンは明神さんの傍にいてあげて。……明神さんが死なないように守るって。そう約束したんだもんね。
 守備隊のみんなは戦闘を極力避けて、本陣を走り回るだけでいい。
 霧が立ち込めていて視界不良だし、同士討ちは避けたいからね。もし敵と遭遇しても逃げるように。
 マホたん、みんなにそう伝えておいて?」

「ええ。了解」

300人マホロ大行進作戦によって、敵味方の区別をつけることは簡単である。マホロ以外は全員敵なのだから。
兵士たちは徹底的に敵本陣をかき乱す、それだけでいい。戦闘をする必要はないのだ。
帝龍は『進撃する破壊者(アポリオン・アヴァンツァーレ)』を使用できず、トカゲたちも本陣では思うように暴れられまい。
その間に帝龍本人を見つけ出し、なゆた、エンバース、カザハの三人で拘束する。
一度きりの奇襲だ。それに、『異邦の魔物使い(ブレイブ)』はすべてを賭ける。

「もう一度念を押すよ。この作戦で大事なことは、命以上に大切なものはない、ってこと。
 無理しない、ひとりで動かない、深追いしない。これは絶対ね。
 危ないと思ったら、作戦も何もかも放り投げて逃げていい。みんな、自分の安全を第一に考えて」

もしもこの戦いに勝てたとしても、甚大な被害と引き換えに――ということでは何も意味がない。
全員が生き残ること。それが大前提なのだ。
もちろん、全員が全員命惜しさに作戦を放棄して逃走に及べば、せっかくの機会を不意にすることになる。
だから――

――危険を冒すのは、わたしと。エンバースだけでいい。

なゆたはそう腹を括っていた。
指揮官であるなゆたが安全を最優先していては、それこそ作戦の成功など覚束ない。
だから、なゆたは先陣を切る。いの一番に、矢のように帝龍を目指す。
そして――エンバースはそんななゆたを守るだろう。なゆたはエンバースに守ってと言い、エンバースはなゆたを守ると言った。
誓いは果たされるだろう。なゆたはエンバースを信じている。だから、無理ができる。命を刃の前に晒して突き進める。
カザハは自分とエンバースに万一のことがあった場合の伝令役だ。
もし万一、自分たちに予想外のことが起こり、作戦が失敗するようなことがあったら。
カザハにはすぐさまその情報を後方の明神とジョンに伝えてもらわなければならない。
その際明神はサブリーダーとして、生き残った兵士たちを纏めて魔法機関車で退却する指揮を執ることになるだろう。

「さあ……、作戦は決まり。あとはみのりさんとバロールの働きに期待しましょう!
 みんな、明日のために今日は充分英気を養ってね!」

ぱん、と一度大きく手を叩くと、なゆたは作戦会議を終了させた。
夕刻になり、マホロと一緒にまた料理を作る。トカゲを調理した晩餐を食べると、やがて夜が更けた。


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