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変身ロワイアルその6
352
:
崩壊─ゲームオーバー─(9)
◆gry038wOvE
:2015/07/12(日) 13:52:57 ID:OT9PV3kg0
『リクシンキ……! ホウジンキ……!』
空中でそれを見ていたクウレツキは激しいショックを受けたようだった。
彼らはロボットだが、同じように目覚めた兄弟に違いない。
それを、起動した恩人である石堀光彦に攻撃され、破壊されてしまっている。
そんなクウレツキに、ガイアポロンは言った。
「おい、クウレツキ! お前らは俺たちの戦いには、関係ない! ……待機してろ。お前もリクシンキやホウジンキみたいにはなりたくないだろ!」
彼らしからぬ優しさに驚いたが、こういわれてしまうと、逆にクウレツキは使命感に燃えてしまうのだった。
『シカシ、アナタ達ヲ助ケルノガ我々ノ役目デス!』
「そんなの知らねえよ、俺の命令だ! ……あいつは俺がぶっ潰す!!」
次の瞬間、意を決して、ガイアポロンは叫んだ。
今、石堀光彦に誰より怒りを感じているのは、自分なのだと、ガイアポロンは思っている。
桃園ラブと一緒にいるのが好きだったのもある。
しかし、──石堀光彦と一緒にいたのは、たとえ敵だとしても、楽しいと……涼村暁は少しでも思ってしまっていたからだった。
「────シャイニングアタック!!」
ガイアポロンの胸からその胸像が現れる。
叫んだガイアポロンは、空中でクウレツキの腕を振り払って石堀に向けて突進していく。
シャイニングアタック──。
シャンゼリオンであった時からの必殺技である。
『……ガイアポロンッ! アナタトイウ人ハ……!』
全く、短時間しか共にいなかったとはいえ、クウレツキは、かなり聞きわけがない主人に見舞われてしまったらしい。──主人が石堀に向かっていくのを見下ろしながら、そう思った。
思えば、リクシンキも、ホウジンキも、クウレツキも、涼村暁という男が主だと知り、かなり失望した気分になったのだ。
ダークザイドであるゴハットの方が本当の主人なのではないかと思ったほどである。
今向かえば、やられるに決まっているというのに突き進んでしまう。
彼は、クウレツキに、「待機してろ」と言った。
「──フンッ」
石堀は障壁を張って、シャイニングアタックを防御する。
真っ黒なバリアが、シャイニングアタックを拒む。
──クソッ……!
石堀の持つ闇の力は強大だった。
直後には、シャイニングアタックを弾き、ガイアポロンを地面に転がしてしまう。
石堀は、今日まで共に行動してきた涼村暁に向けても、冷徹に右手を翳し、あの衝撃波を放とうとしていた。
そして、それは次の瞬間、放たれる。
『──危ナイッ!!』
その時、ガイアポロンの目の前に、クウレツキが飛来する。
石堀とガイアポロンの間に立ったクウレツキは、その次の瞬間には、その衝撃波を一身に受ける事になった。
彼らの目の前で、彼の新品同様の青いボディが弾け飛び、大破した。
『────ッ!!!』
クウレツキのばらばらになった破片が、周囲に吹き飛んだ。
石堀の周囲は、三体のメカの内部メカが大量に散らばっている。
その内、──クウレツキの頭部だけが、ガイアポロンの前に転がって来た。
「くそっ……馬鹿野郎ォッ……! だから、待ってろって言ったのに……!」
ガイアポロンは、その頭部を拾い上げた。
ガイアポロンは、自分の攻撃が全くの無意味であり、それだけではなく、犠牲を出してしまった事を悔やみ、そう呟いた。
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