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悪魔憑きバトルロワイアル

272月夜の戦争 ◆vV5.jnbCYw:2023/06/21(水) 00:31:34 ID:iRmSq/Zg0


(あの医者より早い剣さばきね……でも!!)

ドミノは吸血鬼に対する凶器に臆することなく突っ込んでいく。
滑空したまま右手の拳を突き出し、雅の心臓を打ち抜こうとする。
王が切り裂くか、女王が穿ち抜くか。


「これで終わりよ…」
「ぐっ………。」


ドミノの右手は、雅の斬撃によって切り落とされた。
だが、お返しとばかりに雅の心臓を左手で貫く。元々右手はブラフ。本命は背後で構えていた左手だ。
右手と心臓、等価交換で済む話でないのは自明の理だ。
だが、吸血鬼。しかも異なる世界同士の吸血鬼であれば話は異なる。


「……!?なにこれ!!?」


ドミノは勝利を確信していた。何しろ、彼女の世界の吸血鬼は心臓こそが急所だから。
だが、鼻がムズムズし、喉がいがらっぽくなったと思いきや、金属棒に脳味噌をかき回されるような感触を覚える。
いや、その程度で済むというのは、ドミノが吸血鬼の上澄みたる証左だろう。
雅の脳波干渉(サイコジャック)をまともに受ければ、顔中から血を流し、強靭な精神を持っていなければ操り人形になってしまうはずだから。


「ちっ!!」


接近戦では危ないと感じたドミノは、左手を思いっ切り振り、雅を地面に叩き落とす。
高さと勢いからして、まともな硬度を持つ生き物ならばミンチになっていてもおかしくない。
だが、相手も吸血鬼の王。
服が汚れた程度で、ムクリと立ち上がる。


それを追いかけるように、ドミノも雅から少し離れた場所に降り立つ。


「やるじゃないか。お前ならば私の退屈を紛らわせてくれそうだ。」
「まさか、退屈しのぎにこんなことをしている訳?」


ドミノは気になっていた。
日ノ本士郎やユーベンとは別の、自分を吸血鬼の王と名乗る雅に。
最初は他者を甚振るような行為を目にしたからこそ、止めようとした。
だが、それからは男がどのような哲学を持つのか、王としてどのような未来を作りたいのか、戦いを通して見極めたかった。


「その通りだ。私が元いた世界はつまらなさを極めていた。退屈は人だけじゃない。吸血鬼も殺す。」
「あなた、本当につまらないヤツなのね。まあいいわ。」
「ほざけ。」


雅は常に品定めする側だった。
玩具を作り、脅える人間の挙動を眺め、酒の肴に人間が作り出す血の染みを眺め。
つまるつまらないは彼によって決めていた。
だというのに、目の前の女はなんだ。
自分を品定めし、しかもマイナス評価を付けて来た。
初めて経験した状況に苛立ち、ギリギリと牙をこすり合わせる音を立てる。


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