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【場】砂浜

1ZAKI:2015/01/01(木) 00:41:57

倉庫街の西、H湖の入口にほど近い砂浜地帯。
以前殺人事件が起きた『いわくつきの場所』だが、今は落ち着きを取り戻している。
シーズン中には海の家が栄え、沖では沈没船が静かに時を過ごす。
治安は悪くもなく、ランニングにやってくる一般人も多く見られるが、
『歩くスイカ』や『突然変異クラゲ』、『人を操る影』など不思議な情報も多く、
『黄金町のミステリースポット』と化しているきらいもある。


―┘          ┌┘
―┐ H湖     ┌┘   ┌┐   住  宅  街   
  │      ┌┘   .┌ ..│...      ‖
   ┐     │    ┌ ┌┘       ‖←メインストリート
   │    │   ┌  │         ‖
    ┐   │  ┌  ┌..       黄金原駅
     │  └─┘┌―      ┏ ━■■━ ━ ━
  ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛    ‖←ネオンストリート
       │      └―┐黄金港.. 繁 華 街  
       └┐   ┌――┘       倉庫街
 ─────┘   └◎―――――――――――

245ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 01:48:45
>>244

演奏者は――茶髪をハーフアップにした女性、いや、少女だった。

            鈴元より一回りか二回り、高い背丈。細身だが、女性的な体つき。
            クリーム色のサマーセーターに、もえぎ色のフレアスカート。

「……え、あ……」

彼女は――ココロは、声に振り向いた。
黒っぽい緑の瞳を灯す目が、少しつり目気味の――美人、と言って差し支えなかった。

            ……首にかけたスチームパンク調のヘッドホンは、あるいはミスマッチに映るか。
               あるいは。

「き、聞こえる……し、見、見えるのよね、私の『RLP』……が……
               ……あ、ありがとう、褒めてくれて……う、嬉しいわ。」

微笑む彼女の、その手元――色とりどりのポップな指輪に彩られた白く長い指。
それが絶え間なく叩き、音を奏でる、『鍵盤』のビジョンの方が、気になるか。

「お……お散歩? そ、それとも、釣り、とか……?
      邪魔だったらすぐどくわ、ごめんなさい……」

やけに卑屈というか、ネガティヴなオーラが、気になるか。

246鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/23(土) 02:10:25
>>245

「……」

少女の姿を確認すると、鈴元は息を呑んだ。

(べっぴんさんやぁ。)

色々あって女性と話す機会が増え、女性慣れもしてきたかと思ったが
完全というわけでも無いのかもしれない。
ヘッドホンは鈴元にとって美しさの一部になり、違和感を感じさせる物品ではなかった。

>「き、聞こえる……し、見、見えるのよね、私の『RLP』……が……
               ……あ、ありがとう、褒めてくれて……う、嬉しいわ。」

「『RLP』?そういう名前なんですかぁ。ちゅうか、お礼言われる事してへんよぉ。事実やし。」

にこりと笑って話す。
ふと、ココロの手元に鍵盤を見つけた。
光る鍵盤だろうか。

(手ぇも鍵盤も綺麗やなぁ。エエなぁ。)

>「お……お散歩? そ、それとも、釣り、とか……?
      邪魔だったらすぐどくわ、ごめんなさい……」

「まぁ、散歩?ですねぇ。あぁ邪魔やないですよ。」

やわらかくココロに話す。
相手の目を見てゆっくりと話す。

「あの、もっと聞かせてもらえへんやろか。その、素敵やから。」

247ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 02:52:22
>>246

「じ、事実……って、う、うふふ。
      ひ、人を褒めるのが上手なのね……そ、そう、この鍵盤が『RLP』……よ。」

半透明の鍵盤……だ。
ココロの指が、それを叩くとき――淡く、やわらかい色の光を灯す。

             (べ、べた褒め……お、お世辞――とかじゃないわよね、ええ。
              私ったら、な、何も疑う理由なんて、ないのよ。意味もなく疑うのは最低だわ……)

         アセ……

 (ま、真っ直ぐな目だわ……!)

初対面にいきなり目を見られるのは少し焦るが……そう、目で見て話すのは大切なのだ。

       「すぅ……」    ハァーー

小さく息を吸い吐きする……

「……ありがとう。それじゃあ……続ける、わ。」

そして、演奏を続けるのだ。 
           ∧                                  
          γ   `ヽ
         <  ♪  >
           ゝ   _ノ  ∧
            ∨  <♪>
                 ∨
                        ∧
                      <♪>
                        ∨

先ほどよりも、アップテンポな――即興のメロディー。褒められて気分がいいのもある。
あるいは、元から気分がいいのも、多分に。

248鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/23(土) 03:18:27
>>247

「思うた事、言うただけですから。」

「『RLP』鍵盤のスタンド。綺麗やわぁ。」

(あんさんも、て言うのははずいわなぁ。)

砂浜に腰を下ろし、演奏を聴く。

演奏するココロの姿を鈴元はしっかりと見ていた。
というより見とれていたのかもしれない。目を離せなかったのだ。

(凄い集中してはるわ。)

和傘をココロの方に傾け、日陰に入れる。
別に意識したわけではない。自然とそうしていたのだ。

(やっぱり練習してんねやろなぁ。)

静かにただ曲を聴いていた。

249ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 15:45:47
>>248

(あ、か、傘……すごく、よく気が利く人なんだわ……わ、私とは大違いね。
                 ……ここで会う人って、すごくいい人ばっかりな気がするわね……)


                          ――7分ほど、演奏は続いた。


          _,.、.-―-.、., ♪
       、-''´        `'-.、,_
―--:‐''^ ´   ♪
                             ♪                 _,.、.-―-.、.,
                                            、-''´         `'-.、,_ 
                                       ―--:‐''^ ´


               ダァーーーン  ……

                          『ピタ』


          「……ふぅ……」


――指の動きが止まって。
                 ……それから鈴元を、見て。

    「え、ええと、その……」

                 「あ、ありがとう。
                  そ、その、傘……そ、それに、ちゃんと、聴いてくれて……」

             『ニコ……』

柔らかく微笑む。どこか不安げな色こそ、しみついたように残っているが……

「すごく、嬉しい……わ。
 誰かに聴いていてもらうって、とても素晴らしいことだから……!」

静かに、最後まで……確かに自分の演奏を聞いていてくれていた。
それは、演奏者として、とても誇らしいことだった。

                   「……あ、ご、ごめんなさい、なんだか興奮して……」

すぐに、高揚感が表情から引いていった。

250鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/23(土) 22:31:52
>>249

「傘ぁ?あ。別にエエんですよぉ。素敵な演奏でしたわぁ。」

片手で傘の柄を叩き拍手の代わりをする。
風呂敷は膝の上だ。

ニコッと相手に微笑み返す。

(なんや元気ない笑顔やなぁ。)

店や家で多くの人と話すが
彼女のような笑顔をするものは見たことがなく、珍しい表情だとも思う。

「別に、気にすることやあれへんよぉ。そんだけ真剣で真摯に向き合っとる、エエ事ですぅ。」

自分が演奏のリクエストをした、というのもあるが
最高の演奏を適当な姿勢では聴く気にはなれなかったのだ。

「センセの演奏みたいやったなぁ。ピアノ、始めて長い?」

技術は時間と密度で作られる。
少なくとも鈴元はそう思っている。良い演奏は長い時間、濃い密度の練習から生まれると考える。
どちらか一方だけでも十分上手くはなる、とも思うがベストなのは長く濃い練習とも考えている。
ココロの演奏はそういう質の高さを感じたのだ。

「あ、エエ演奏聴かしてもろたし、お礼せんとなぁ。」

思い出したように風呂敷を砂浜に下ろし、片手で風呂敷を解いていく。
プラスチック製のタッパーが現れた。
上に爪楊枝が入った三つほどある。

「ウチの家、和菓子屋でねぇ。新商品出す前に試食させてもらえるんやわぁ。」

「どない?味も質も保証しますわぁ。」

251ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 23:50:31
>>250

「あ、あ、あ……
      あ、ありがとう……」

               テレテレ
                      (べ、ベタほめ過ぎて怖いわ……う、裏があるんじゃあ……?
                       ……ほ、ほ、褒められてるのに文句なんて、私も偉くなったものね…………)


ココロという人間は面倒で、自意識過剰なのだ。
ガンガン褒められるのはいいのだが……なんともこう、むず痒い。

                          ……意識はしてないが、異性だからというのも裏を感じる一因だ。

「あ、ええ……もう、10年すこしになるかしら……
      ……ずっと、ピアノだけは……続けているの。けど、せ、先生なんて……照れるわ。」

先生――というのは事実なのだが、あえてそれを言うことはしない。
それを誇らしく思っているのも、事実だが……

       「?」

              「お、お礼――って。
                  そんな、わ、わ、悪いわ。勝手に演奏してたのに、私……」

(そ、そ……それに、食べ物だわ。し、知らない人の手作りスイーツよ……
                        ……で、でも、食べなきゃ疑ってることばれちゃうわ……)

                   (そ、そしたら、きっとひどい目にあわされるに違いないわ……こ、ここは海。
                    死体の捨て場所には、も……もってこい……ひ、ひぃ……も、妄想にしたって失礼すぎるわよ……)

「わ、和菓子……」      「な、な、何かしら……かしわもち……ご、5月だし?」

などと言いつつ、とりあえず何なのかを確認はしてみるココロ。
さすがに断るにせよ、まったく取り合わないのは失礼では――と考えたのだ。

252鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 00:09:51
>>251

「10年?へぇ。長いことやってはりますねぇ。」

(僕いつから和菓子の修行してたっけ?)

張り合うつもりは無いが自分に長い間やっていることはなにかと考える。
家のことしか出てこないことに少し残念な気持ちになった。

「エエんよぉ。ホンマにお礼の気持ちやし。
        
              ……毒とか入ってへんでぇ?」

毒の有無は彼がよく言う冗談だ。
毒など入っていようものなら彼は死ぬだろうし
犯人はその菓子を作った身内の誰かということになる。
よしんば入っていたとしても死ぬことは無いレベルだろう。

「ん?せやねぇ。開けたら分かるわぁ。」

ゆっくりとタッパーのふたを外す。

中に入っていたのは三角形のういろうであった。
白いものと緑のものが二つずつ。
その内二つ(白緑ともに一つずつ)は上に細かく切られた小豆が乗っている。

「水無月と普通のういろう。どうですぅ?毒が心配やったら僕が先食べますけど?」

ニヤリと笑い相手に聞いてみる。

253ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 00:44:06
>>252

「ええ、け、けど……長いだけで……」

             「……」

                    「い、いいえ。ごめんなさい。ええ、長いのよ……」

自虐も過ぎると嫌味になる。
ココロも、本気で『長いだけ』などと思っているわけではない……

「ど、ど、どッ……そ、そんな、そんなこと……!」

           (み、見透かされて――)

たまらなく申し訳なく――そして、いたたまれなくなった、が……

                パカッ


        「こ、これっ……」

                          「……う、ういろうっ……!」

         パアァ……!(光が差すSE。)

タッパーの中に鎮座する、四つの三角形。
ココロはそいつを知っている……『ういろう』だ! 小豆が乗ってるのは『水無月』!

(な、何で……ど、どうしましょう、どうしましょう……!?
            ど、毒……なんて入ってないわよね!? は、は、入ってたらこんなこと言わないわよね……!)

「い、いいいえっ……いただくわ。」

楊枝で緑の『ういろう』を突き刺し、左手を受け皿にして口へ運ぶ……
その目はいつになく、輝いていた。

254鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 01:13:38
>>253

(別にそんな意味でいうたんやないんやけど……)

これ以上の問答は無用と思い、口出さない。
相手の発言を遮ってまで持ち上げるのはいやらしい。

> 「……う、ういろうっ……!」

「いや、ういろう好きなん?」

顔を見れば好きかどうかは分かるが一応聞いてみる。
話の広がりがあればいいなぐらいの気持ちだ。

>「い、いいいえっ……いただくわ。」

「はい。おあがりやす。」

緑はおそらく抹茶が練りこまれているだろう。
鈴元は白の水無月を食べる。

(おいし。お兄ちゃんどんどん美味しいの作るようになるなぁ。)

兄の腕前上達を感じる。
店を継ぐのだから気合が入っているのだろう。

(そんな子供みたいな目ぇせんでも逃げへんで。)

くすりと笑ってしまう。
不快なことをしたかと相手の顔色を伺う。
水無月はまだ口の中だ。

255ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 01:30:17
>>254

             モッチャ
       
                     モッチャ

餅。ようかん。ゼリー。
違う。ういろうだ……ういろうの、独特の食感だ。歯にねばりつくような!


    モッチャ……
 
                   ゴクン

       「美味しい……」
「え、ええ……大好きなの。ういろう。」

                    「食感が……味も、好きだけれど……」

       パク

二口目をかじった。
……しばらく、無言でういろうを食べ続ける……
         
                       モチャ……

                                     「……んぐっ……!?」

(の、の、喉に……のどに詰まった……わ!!)

肩にかけたカバンから水筒を取り出そうともがく……

256鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 01:47:40
>>255

「変な感じしますよねぇ。」

食感のことだ。
他意はない。

>「……んぐっ……!?」

(どないしはったんやろ。)

(あ、喉つまらせてはる?)

こんな所で窒息死されるのはよくない。
警察の処理だとか色々面倒だし、なにより好意に甘えて死なれるのは嫌だ。

(カバンの中、に水筒とか入ってはるんやろか。)

初対面の相手のカバンを触るのは気がひけるが
人命救助のためなら許してもらえるはずだ。
もし人に見られたくないものを見てしまった場合は、責任を取ろう。

相手のカバンをまさぐり水筒を取り出せたら渡そう。

257ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 02:04:27
>>256

           ガサゴソ

カバンを漁る鈴元。

                ……水筒はすぐ見つかった。
                   ステンレスの魔法瓶で、淡い黄緑色。

「……!」  コクコク

目元に涙を溜めつつ、受け取るココロ。

          キュ  キュ ……

                     ごく   ごく    ごく

蓋を開け、喉に流し込む……あまりお上品ではないが、命の瀬戸際。

      「げほっ」

                 「げほ……っ!」


      「ごっ、ご……ごめんなさっ……」

                                「ゲホッッ」

……助かったようだ。
余計なものも、見ずに済んだ。……裁縫箱? らしきものがあったくらいだ。

「……ごめんなさい……よ、よく噛まなかったの……そ、それで……
                     う……ういろうは、何も悪くないわ、す、すごく、おいしくて……」

ういろうの弁護を始めるココロ……

258鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 02:17:03
>>257

「大丈夫ぅ?ホンマ、びっくりしたぁ。」

ういろう窒息事件で鈴眼に抗議の電話がかかることは防がれた。
そしてういろうで死ぬというなんともいえない死も防がれた。
ほっとして気が抜ける。

>ういろうの弁護

「え?あぁ、よう噛まんとねぇ……ふふっ。や、おいしい言うてもらうんは嬉しいねんけど……ふふふ。」

何を言うかと思えばういろうの弁護だ。
なんとなくシュールさを感じ、思わずふきだしてしまう。
ういろうは腹内におさまっている。口から出たりはしない。

「ういろうも、あんさんも悪ぅないやろぉ……ふふっふふふ。」

若干ツボに入ったのかもしれない。
口を押さえて静かに笑っている。

259ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 02:35:18
>>258

「ご、ごめんなさい……びっくりさせてしまって……」

                       「な、情けないわ……私……」
ばつが悪そうに俯くココロ。
                         ――水筒からは紅茶のような香りがする。


(わ、笑われているわ……あ、あたりまえよね、ええ。
 ういろうで死にかけるなんて……で、でも本当に危なかったのは事実だし……)

「……あ、ありがとう。
      ……そ、そうね、別に私も悪くはない……わね、ええ。」

                    「……あ、貴方には、迷惑をかけてしまったけれど……」

やはりばつが悪そうに、楊枝を白の水無月に刺す。
……食べるつもりのようだ。

「あ、ご、ごめんなさい。
 今度は詰めないようにするわね……」
                             (わ、笑いすぎじゃあないの……?)

260ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 02:43:38
>>259(訂正)
水無月の色:白→緑

261鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 03:01:11
>>259-260

「や、エエんよぉ。人命救助は、迷惑やないですから……ふふっ」

なかなか笑いが止まらない。
時折深呼吸しているが、なかなか収まってくれないようだ。

「すんません。あぁ、次どうぞ……」

やっと収まってきた。
大きく息を吸い、吐く。

「ホンマにすんません。なんや、あんさんがういろうの弁護するとは思わんくて。」

不快にさせたかと思い弁解する。
笑った表情が張り付いたままだが…

「なんちゅうか驚いて……ピアノ上手やしモデルさんみたいな人が、ういろうの弁護て……」

「あんさんエエなぁ。おもろいわぁ。あ、エエ意味やで?」

一応注釈しておく。
人間として面白いと純粋に思う。
魅力的といってもいいが、恥ずかしいのだろう。
食べかけだった白い水無月を手に取り口に入れた。

262ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 03:16:59
>>261

「ありがとう……い、い、いただきます……っ。」

           モチャ
                モチャ
                     モチャ……

先ほどより噛む回数を増やしたココロ。

                     (さすがに二回は笑い話にもならないわ……)


   ……ゴクン

その甲斐あって、問題なく食べ進める。

(う、ういろうの弁護……?? な、何を……あっ、さ、さっきのこと?
                    ……た、確かにういろうを弁護したわね、私……)

「も、モデルだなんて……あ、あまりほめ過ぎないでちょうだい……」

照れるが、まあ、言われたことはある。
……二口目をかじる。

                     ……モチャ モチャ

(……それにしても家が和菓子屋っていいわね……毎日ういろうが食べられるの……?
                     ……べ、べつにそういうわけではないわよね。それに毎日はさすがに飽きるし……)

263鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 03:38:58
>>262

「ほめ過ぎですかぁ?なんやすんません。」

もそもそと水無月を食べ終わる。
ういろうが残った。

「これ、貰いますねぇ。」

白いういろうを楊枝にさし、食べる。
ゆっくりと味わうようにかみ締める。

「外で和菓子食べるんもエエなぁ。普段は余りモンをもろてるし。
                 まぁ、余りモンも普通のヤツと変わらんねんけど。」

(モデルさんねぇ。あ、ミスコンに参加してもろたら盛り上がるやろか。)

部長から参加者の勧誘を頼まれていたのを思い出す。
別に目に付いた女性を全員勧誘して来いとまでは言われていない。
集めなくてもペナルティはないだろうし、急ぐこともない。
色々と考えているうちに二口三口と進んでいき
気がつけば自分の分は消えてなくなっていた。
手を合わせる。

「ごちそうさまでした。」

「どうです?美味しかったやろか?」

264ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 13:55:54
>>263

「あ、謝るようなことじゃあ、ないの……ご、ごめんなさい。」

           モチャ
                    モチャ

        ……ゴクン

「……あ、ええ。どうぞ。
 ……わ、私のじゃあないもの。ええ。」       「……そうね、なんだかピクニックみたいで……楽しいわ。」

                 (……や、やっぱり余り物をもらえるのね……け、けど、けどよ?
                  ……私がそんな立場なら、きっと食べ過ぎて太ってしまうわ……この人は自制が効くのね……)

どうでもいいことを考えるココロ……
いやココロ自身には死活問題なのか? 太ることは……

              モチャ

                モチャ

                       ゴク ゴク

水無月と水筒の中身は、順調に消費されていき……

「……ごちそうさまでした。
 ええ、すごく、すごく……おいしかったわ。ほ、本当に……よかったのかしら、こんなものをいただいて……」

自分の演奏につりあっていただろうか?
いや、決して演奏を必要以上に卑下するつもりはなく――それだけ美味しかったのだ。

265鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 14:27:39
>>264

「外で食べるとお茶会みたいやなぁ。」

うんうんと相槌をうつ。
ココロの考えに感づきもせず。和菓子をほお張る。
実に幸せそうな顔だ。本当に好きなのだろう。

>「……ごちそうさまでした。
 ええ、すごく、すごく……おいしかったわ。ほ、本当に……よかったのかしら、こんなものをいただいて……」

「きれぇな演奏聞かしてもろたし。そのお礼。エエお菓子はエエ人が食べたらエエんよぉ。」

(そのエエ人に、僕が入ってるとはおもわんけどね。)

懐から名刺サイズの紙を取り出す。
そこには彼の店について書かれている。
相手のほうから読めるようにして手渡す。

「これ、ウチんとこの店の住所。
 六月入ったらういろうも水無月も置きますから、ごひいきにぃ。」

砂浜で三つ指をついて礼をする。
彼女の演奏に、そして和菓子をほめてもらったことへの礼。
『鈴眼』という店の看板を背負う一員としての礼。

(礼儀正しい人やわぁ。育ちがエエんやろか。ピアノっていうんもお嬢様っぽい?そうでもないかな?
こういう人もミスコンに必要かなぁ。 ちょっと相談してみよかな。)

聞いてみるだけならタダだ。
参加するのもタダだが……

「ところで、モノは相談何やけどぉ。」

「ミスコンとか興味ありますぅ?」

266ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 14:55:58
>>265

(……あ、そ、そうね。お茶会の方が合ってるわね。
      ……ピ、ピクニックだなんて、気取ってると思われたかしら……)

ピクニックというには『洋』が足りないか。

「あ、え、ええ……それなら、よかったのだけれど……
          ……あっ、ありがとう。きっと今度、買いに行くわ。贔屓にするわ!」

名詞を受け取り、熱っぽく言った。
ココロが今まで愛食してきたのはDIONモールの菓子売り場の品だし、満足してたが――

              (こ……これからはもう、きっと満足できない。
                  私、ここのういろうでしか満足出来ない体にされたんだわ……!)

                             ――『鈴眼』のを食べて、味に目覚めたのだ。

「本当に……贔屓にするわ、だ、だから、そ、その……
          ……あ、あまり、そんな、か、かしこまらないでちょうだい……」

とはいえ三つ指つかれるのはさすがに恥ずかしいし、申し訳ないし、いたたまれない。
慌てて制止するココロ。

        「そ、相談? 何かしら、私にできることなら――」

                            「……み、ミスコンっ!?
                             ミスコンってあの……みんなの前で水着とかで出てくるやつ……?」

なにやら妙な理解があるようだ……

267鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 15:17:58
>>266

「よろしゅうお願いします。」

声色から相手の気持ちを感じた。
どうやら満足してくれているようだ。

「あんさんがピアノ褒めてもろたら嬉しいんと一緒ですよぉ。
               ウチらは店の味を褒めてもろたら嬉しいんですぅ。」

何代も続いた店の味に誇りがある。
自分が作ったわけではないが、自分のことのように嬉しいのだ。
美味しい菓子を出してこその和菓子屋。
味を褒められることは最高の報酬である。

>ミスコンってあの……みんなの前で水着とかで出てくるやつ……?

「み、水着ぃ?」   「着たいんやったらエエんとちゃいますぅ?スタイルええし。」

チラシ(下記)を取り出し、見せる。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1395590726/581-582

「ウチも協賛しとってねぇ、商品券一万円分のを出してんのよぉ。」

協賛については運営への協賛希望の書類を出した事実のみ知っているので
細やかな部分は違っているかもしれないが、おおまかにはあっているだろう。

ミスコンのルールは見てのとおりだ。

「どないやろぉ?」

268ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 21:56:25
>>267

「……! そう、よね。
        自分が本気でしていることを、褒められたら……嬉しいのは、ふつうだわ。」

(……だ、だからって三つ指までつくのは普通じゃあないような……
              ……い、いいえよしましょう、私の勝手な決めつけで人を傷つけるのは良くないわ。)

多少の疑問は残しつつ、ココロは納得した。
……まあ、それはともかく――だ。

          「ち、違ッ……」

                         「き、き、着たいとかじゃあないわ。違うのよ。
                          ち、ち、チラシを読んだ方が早いわよね、ええ、読むわ、ええ。」

渡された『ミスコン』のチラシを読む……
そして、商品券1万円というのも、ずいぶんと魅力的な話だが……


          「えッ、あっ……」

          「ど、ないって……わ、私、こういうのは……そ、その……」


まず、大勢の前に出るってことが苦手だ――いや、苦手に『なった』のだ、ごく最近に。 
でなくとも、こういうイベントは何というか……

                               (……け、けど……けどよ? もし、もし断ったら……
                                            ……で、でも、この人は悪い人じゃない……みたいだし……)

揺れ動くココロの心。
あと一押し――だが、押し込む方向を間違えれば、転落するだろう。

269鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 22:46:01
>>268

>「ど、ないって……わ、私、こういうのは……そ、その……」

「苦手、やった?」

バツが悪そうな顔で頭をかく。
そういう反応は予測できなかった、わけではない。
皆が皆ミスコン参加に能動的だとは思っていない。
最近はうまく行き過ぎていたのだ。

(まぁ、そういう時もあるわなぁ。)

「や、別に無理にとは言わんよ。僕にそんな権限ないしねぇ。」

少し沈黙して鈴元は口を開いた。
相手の目を見て、柔らかな表情で話す。
威圧せぬよう、貴重な茶器を扱うように優しく話す。

「あんさんはきれぇやし、エエとこイケるって思ったんよ。」

「ピアノ弾いてる時、ういろう食べてる時の顔も魅力的でエエ顔しとったしねぇ。」

「でも、あんさんがエエっちゅんやったら、エエんよ。」

ゆっくり、一言ずつ、確かめるように言う。
面と向かってこんなことを言っているのが恥ずかしくなってくる。
耳は赤い。じきに顔も赤くなるだろう。

「でも、でもやでぇ?もしほんのちょっとでも出てみたいって思うんやったら僕は嬉しい。」

「もしミスコンでピアノ弾いてる凛々しいあんさんがおったら
 慌ててういろうの弁護するかいらしいあんさんがおったら

 それはエエ事やなって、思ったんよ。」

そういうと、また黙り込んだ。
自分の言いたいことは言い切っただろうか、と自問する。
相手を不快にしてないか、と自問する。
はぁ、と一息ついた。波の音が二人を包んでいた。

「なんか、すんません。無理にとは言わんっちゅうたのに。まぁ、好きにしてくれたらエエよ。」

270ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 23:45:02
>>269

                     ザザァーー

                         ……ザザ ァーーン 


        「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」


                    アセ    アセ


   「わ、わたっ」

             ワナワナ

                   「私……で、出……出る……わ。」

           「あ、貴方がそこまで言ってくれているのだもの……」

ココロは――鈴元の熱の入った文句に『ノセられ』ていた。
                         断るわけにはいかない……奇妙な使命感もあった。

                   「で、で、出るわ……ミスコンに……」

                              「わ……私が……」」
               
  (こ、この人に従う義理なんて一つもない……け、けれど、私を誘ってくれているんだわ。こんな私を。
               ……な、なにか変われるきっかけが欲しいって、思っていたのも私だわ…………!)

恐らく明日の朝には後悔で悶絶するだろう――そういう予感もないではなかったが。
とにかく、今重要なのは――ココロがOKを出したことではないだろうか。

                                 ……あるいは、錯乱しているからノーカン、というのもあるが。

271鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/25(月) 00:03:49
>>270

>「で、で、出るわ……ミスコンに……」

「ホンマにぃ?」

徐々に顔に喜びの色が現れる。
無邪気な少年の笑顔だ。
先ほどまで和菓子屋の看板を背負った礼をした男とは思えぬ
子供っぽさを感じるかもしれない。

「あぁぁ。嬉しい、ホンマに?夢やないんよなぁ?」

気分が高揚してきたのかどくどくと心臓の動きを感じる。
意味も無く笑い声を上げたくもなる。

「あ、指きりしよ。」

ずいっと右手の小指を突き出す。
白い指がココロの目の前に差し出される。

「約束。僕とあんさんの約束。ミスコン出るってここに誓って。」

「大丈夫。変なことはせんよ。ちょっと口約束するだけやから。」

もちろん、この指きりに応じる必要などない。
小指を逆に曲げるのもアリかもしれない。
自由にするといい。

272ココロ『RLP』:2015/05/25(月) 00:20:54
>>271

         「ゆ、指切り……」

(そ、それって、私が、こ、この人と……?
           そ、そんな。は、恥ずかし……がるようなことでは、ないけれど、でも……)


やけに緊張した面持ちで――小さな花の指輪を嵌めた小指を差し出す。

                  「すぅー……」

                  「はぁー……」


そして。

                      『キュ』

                           ……絡める。

「指切りげんまん。
         ……ウソついたらはりせんぼん のーます……よ、よね……」

    「こういうこと、しないと……」

                    「わ、わ、私、逃げてしまいそう、だから。」

そう言って、ココロは二度ほど頷いた。

                           水溜 意→『ミスコン』参加。

273鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/25(月) 00:40:52
>>272

(そない難儀なモンでもない思うけど、まぁエエやろぉ。)

指きりに特別な思い入れはない。
初対面の女性と指きりというのはかなり特殊シチュエーションだと思われるかもしれないが
約束以外に他意はない。

「おおきに。ホンマにおおきに。」

何度か礼をする鈴元。
もう元通りの顔とテンションだ。
クールダウンは早いのかもしれない。

「やっぱりイヤとかなったり
    ミスコンの時ピアノ使いたいとかあったら、言うてくださいね。」

「さっきの名刺に電話番号載ってますから『涼につなげ』って店にいうたら繋がりますぅ。」

冗談っぽく告げ、タッパーを片付ける。
風呂敷に全て包まれた。

「六月入ってからういろう売りますからね。他にも和菓子欲しなったら来て下さい。」

「ところで、あんさんの名前、聞いてへんかったね。
                     
 僕は鈴元 涼。あんさんは?」

名前を尋ねる、お互い名前も知らないのも何だろう。

「あ、演奏会とかしてる?」

ついでに尋ねておこう。
彼女のピアノ演奏は彼の好みだったようだ。

274ココロ『RLP』:2015/05/25(月) 00:53:13

>>273

「私は……ココロ。水溜 ココロ……よ。
         ……え、演奏会というか、発表会……コンクールとかは、たまに。」

ココロはまだ、プロではない。
将来、そうなるのか――も、分からない。

              このミスコンは、低迷・停滞するココロに、何か――影響をおよぼすだろうか。
              それはいいものだろうか。わるいものだろうか……

「それじゃ、私……そろそろ、行くわ。
 また、何かあったら……ええ、名刺、よね。連絡するわ……ええ。」

初めより、少し緊張した面持ちで、ココロはしかし笑みを浮かべた。

         「あっ、も、もちろん……ういろうも、買いに行くわ。
                         きっと、きっと買いに行くから……またね、鈴元くん。」

そう言い残して、ココロは、その場を去ることにした。
引き止めなければ、そのまま、砂浜から去っていく……

275ココロ『RLP』:2015/05/25(月) 00:53:48
>>274(メール欄)

276鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/25(月) 01:01:13
>>274-275

「へぇ。もしあったら言うてくださいねぇ。絶対行きますから。」

店番はどうするつもりなのか。
今の彼にとってそれはどうでもいいことなのかもしれない。
最高の演奏のほうが退屈な店番より良いのは確かなのだから。

「ごひいきに。ココロさん。」

去る彼女の背中を見送る。
会ってどれくらいたったのだろう。分からない。
幸福な時間の密度は濃い。もしかしたらこれまでのやりとりはとても短いものだったのかもしれない。

「僕もきれぇなんやろかな。」

『ザ・ギャザリング』を発現し、風呂敷を振らせる。
桜の花びらが風に乗り舞っていく。

「きれぇな人にはきれぇな花ぁ送らんとねぇ。」

けらけらと一人で笑った。
帰りたくなったら勝手に帰るだろう。
桜の花びらが潮風と踊っていた。

277葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/25(月) 01:45:18

              ――砂浜 ……厳密には、その付近の道。
     
         シャーーーーッ
 
     
  「……」

       (これは爽快…………
               ……走るのと違って、うるさいの居ないし……)

赤いロードバイクで駆け抜ける、赤髪片目隠れ少女。
後頭部のでかい黒い蝙蝠みたいなリボンが、風に揺れる……


                     ガッ

         段差に引っかかって
 
                             『ドガシャーーッ』

     「ぅぅぐぐ……」

         
         派手にこけた。
         ……だいぶ慣れては、きたのだが。

278東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/25(月) 22:10:14
>>277
> 
>                             『ドガシャーーッ』


「…なんの音じゃ?」

派手な音を耳にして、砂浜の方から学生服姿の少年が一人やってきた。
そして地面に倒れた少女を見て、次に近くにある横倒しのロードバイクを見る。
なるほど、状況は把握できた。

(やらかしたのう…)

少女の近くへと歩き出し、屈んで声をかける。

「おいあんた。大丈夫か?」

279葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/25(月) 22:45:16
>>278

黒い、マントのようにした布にくるまったその出で立ち。
……そこから覗く膝が、大きく擦り剥けていた。

            「ぃ、痛い、です……」

                   「けど」

                      「……多分、大丈夫……です……」

      『ノロ ノロ』

もごもごと言いつつ、ややもたつきながら立ち上がる。
痛みに小さく顔をしかめるが、骨とかそういう痛みではない……大丈夫だ。

 
           『ガシャ』


倒れていたロードバイクも、ゆっくりと立ち上がらせる。

「……す、すみません。
 面倒をかけてしまったようで……」

……漫画なら、汗のエフェクトが飛び出しているだろう。
恐縮そうに、少し俯く。

280東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/25(月) 23:15:56
>>279

(…ぶち変わっとるのう。都会モンは自転車漕ぐ時にこんなマントみたいなもんを羽織るんか?)

その服装をやや奇妙に思いながらも、外套の一種なのだろうと納得した。
擦り剥けた少女の膝を見て、目を細める。大事ではないが、出血はしているようだ。
応急手当てはした方がいいだろう。

「・・・・・」
「ここでじっとしてろ。今救急箱持ってきてやるから」

少女の大丈夫という言葉も、面倒をかけたという謝罪も聞かずに、それだけ言う。
そして『H湖』の方を向くと、『ザイオン・トレイン』を発現。
獣並の敏捷性でそちらへと走り、すぐに少女の視界から消え去るだろう。

(センパイは容易くスタンドを使うなと言っとったが…人助けならええじゃろう)

281葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/25(月) 23:30:16
>>280

            「あ、ぁ、いえ、そんな――」

           

      「……!!」

    (あれ、って……
          そうだ。絶対……『スタンド』……だ!!)

膝を押さえ、茫然と、獣のように――あるいは風のように去る男を見ていた。
そして、思い出したかのように……


                        『ズギュン!』

                     ≪……お嬢様、お怪我をなさったようで。
                          だから言ったのです、自転車は危ないと。≫

   「……結果論、だよ……
          ……引っ込んで。」

                     ≪……畏まりました。しかしくれぐれも――≫

傍らに現れる、傘を人型にしたような、異形のヴィジョン。
……すぐに、消えた。

東雲が戻ってくるタイミング次第では、その現場に立ち会うことになる。

282東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/25(月) 23:45:34
>>281

幸い、近くにある港に知り合いが来ていた。快く貸してもらった救急箱を持ち、来た道を帰る。
『スタンド』を使えば敏捷性は上がるが、体力までもが増えるわけではない。
少し息を切れさせながら、元の場所へと戻りーーー。

「…?」

一瞬。ほんの一瞬だが、少女の傍に人影のようなものが見えた気がする。気のせいだろうか?
いや、疑問は残るが、とりあえずは彼女に持ってきたものを渡さなければ。
ゆっくりと速度を落としつつ、『ザイオン・トレイン』を解除。

「…っふぅ………あったぞ」

救急箱を丸ごと手渡して、そして自分の額の汗を頭に巻きつけたバンダナで拭う。

283葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/25(月) 23:57:55
>>282


霞すら残さず消える――スタンドとはそういうものだから。
そこには少女が立っているだけだ。

                  ……救急箱を受け取る。

「あ、あの……ぁ、ありがとう……ございます。
           ええと……その、ほんとに……た、助かり、ます。」

            『パカ』

そして、道の端に座って、開く。
……が、穂風は無知だ。ここからどうすればよいのか。

(しょ、消毒……かな……きっと……)

                  チラ   チラ

少年に少し目配せしてから、らしいものを探してみる。
液体で、容器に入っている……ような印象だが、あるだろうか?

284東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 00:29:05
>>283

>「あ、あの……ぁ、ありがとう……ございます。
>           ええと……その、ほんとに……た、助かり、ます。」


「あぁ…勝手にやったことだ、気にすんな」「この辺はそんなに舗装されてねぇんだ、あんま飛ばすなよ」

真顔で頷く。その日に焼けた肌と、180cmほどある身長も相まって、なかなかに迫力がある。

「…ん?」

目配せをされて、眉をひそめる。必要なものがなかっただろうか?
ずかずかと歩み寄って、救急箱の中を見るーーーと。

「…あるじゃねーか、消毒液」

塗り付けるタイプのそれを手にとって、少女に見せる。

285葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 00:42:51
>>284

「は……は、はい。
      そ、その……ええとぉ……き、気を付け、ます。」

               『シュン』

その太陽の様な迫力に、湿っぽい穂風はますます俯き、もごもごとした口調で言う。
……そして。

           「あっ」

   「す、すみません。
       それ、ですよね。……あ、あの、使います。」

そう言うと、少年から消毒液を受け取り、蓋を開け――

     
         『ベチャ』

                『ベチャ』

 
      「ッッッ―――ぐぐぐ……」

              「い」

                      「ぃたぁぁ……!」

          ジタ    バタ

……思いっきり塗りたくり、痛みに悶絶する。
切り刻まれたり、刺青を入れたりしたが、ああいうのとは別種の痛みだ、これは。

286東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 00:58:31
>>285

>      「ッッッ―――ぐぐぐ……」

>              「い」

>                      「ぃたぁぁ……!」

「そういうもんだから仕方ねぇな。痛みを教訓にして次同じことをしねーよう、みんな気を付けんだ」

痛がる少女に対して、腕を組んで頷く。
少々不慣れな手つきなのが気にはなるが、無事応急手当てはできている。
まさか、一度も自分で怪我の手当てをしたことがないわけではあるまい。

「あんた、年はいくつだ?」

287葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 01:06:21
>>286

         「は、はい……」

                 「します……教訓、に……」

     『ジン   ジン』


繰り返し頷きつつ、消毒液を箱に戻す。
……次は、なんだったか。

        (……あ、ばんそうこう……だっけ。
                 それとも、ええと……)

            探そうとしたところで――

「……え?」    
  
          顔を上げて。
      
                「あ、年……ええと、15……です。
                   ええと、その、どうか……しましたか?」

15さい。実際妥当か、背丈はもう少し上に見えるくらいだ。
そのわりにはずいぶん、いろいろと、たどたどしいが……

288東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 01:24:25
>>287

「同い年か、一個下か。俺は高校一年生の16だ」
「いや、手つきがドンくさいんで見た目より子供なんじゃねーかと思ってな」

オブラートに包むことなく、ストレートに質問の理由を話す。
言った後で、内容が少し酷かったと思ったのか、弁明を加えた。

「…まぁ、ゆっくり丁寧にやるのはいい事だけどよ」

救急箱の中から、次に使うと思われるガーゼと包帯を手に取り、少女の横に置く。

「慣れてねーのか?今まであまり運動とかしたことがねーとかか?」

289葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 01:37:58
>>288

             「あ、う……」

 「す、すみません。
  ……ど、どんくさい、ですか……でも、15……なんです。」

……弁明もあって、さほど落ち込みはしなかった。
包帯を手に取り、くるくると、ゆっくり、ほどいていく……

            「あ、はい、あまり……スポーツ、とかは。
             救急箱、も……その。使ったことが、ない……です。」

その言葉を裏付けるように、かなり雑に包帯をちぎる。

         『ギュウゥゥ』

 
       ジ
          ワ
             ァ

      「……」

ガーゼを、患部に押し当てた。
……血の赤が、ゆっくりと滲み出す。穂風の髪と似た色の。

「……あの、貴方は……なにか、運動、とか……?
        その、すごく、日焼け、してる……から。」

対照的に、穂風の肌は白い。
だから、赤は良く目立つ。

290東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 01:49:30
>>289

「…スポーツをあまりやらねーってのは分かるが、救急箱も使ったことがねーってのは驚きだな」
「今までよっぽど運が良かったか、…はたまた箱入り娘だったか?」

15歳まで生きてきて、救急箱がお目にかかる機会のない人間が、はたして何人いるだろうか。
ともかく、目の前のこの少女はその貴重な中の一人ということらしい。
少女の肌の白さは、あまり日に焼ける機会のない人間のそれだ。
あるいは、よっぽどの運動嫌いか。

「運動っつーか、父親の手伝いをしている。親父が漁師なんだ」
「ちなみにその救急箱も、親父の知り合いの漁師さんが貸してくれたんだぜ」

291葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 02:10:25
>>290

             「あ、ええと……」

             「その……『箱入り』、でした。
                   でも、もう……違うんです。だから……」

穂風は自信ありげに言った。
己を守る/閉じ込めていた壁は、もうない。

「……挑戦、してるんです。
 いろんな、新しい……たのしい、こと……知りたい、から。」

そういうと、視線を赤い、ロードバイクに向ける。
これも――一つの、巣立ちの象徴。


        「『漁師さん』」

  「あの、お魚……獲る人の、漁師さん、ですか?
                  ……すごい。初めて、会いました……えへ。」


厳密には漁師の息子――なのだろうが。
「あ、あの……テレビで、見たんです。
           ……漁師さんって、お魚、船の上で……食べるって、ほんとですか?」

妙な質問をぶつけた。
その目は不必要に期待に輝いていた……

292葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 02:12:23
>>291(追記)

             ……そして、それはいいのだが、治療の手が止まっている。

           ジワ

                 ジワ

ガーゼには無意味に血が広がる。
ちぎった包帯は、片手に持ったままだ。

293東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 02:36:08
>>291-292

「…へぇ。自立したってことか。そいつは立派じゃねーか」

初めて見る、少女の自信が感じられる言葉にこちらも思わず微笑む。
かつては過保護な環境にいたようだが、自らの意思でその環境に甘んじることなく
抜け出すことを選んだ。これが立派でなくて、なんと言えよう。
いささかこの少女を過小評価していたようだ。

「何にでも挑戦するってのはいい事だな…人間は経験によって成長するって親父も言ってたぜ」

>  「あの、お魚……獲る人の、漁師さん、ですか?
>                  ……すごい。初めて、会いました……えへ。」



「…別にすごくなんかねーぞ。今まで救急箱に接することのなかったお嬢の方がよっぽど珍しい」

少しからかうような口調で言いつつ、姿勢を屈めて千切った包帯を手に取った。

「こりゃ短ぇな」

ガーゼをぎゅっと膝に押し当てつつ、巻かれた状態の包帯をぐるぐると巻きつける。
そして適度なところで長さを切ると、サージカルテープと呼ばれる道具でそれを固定した。

「船の上で飯を食うのは、主に『遠洋漁業』の連中だな。二、三ヶ月から長いと
 一年ぐらいは基本的に船の上で生活する。当然魚だけだと栄養が偏るんで、
 現代なら他のもんも食うけどな。昔はそれが原因で病気にもなったらしい」
「ウチは『沿岸漁業』っつー近場で漁をするやり方だからあんま食わねーぞ。
 漁ってきた後に、たまに港で軽く調理して食うぐらいだな」

「…こんな所か?少し動いてみろよ」

294葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 02:55:18
>>293

           「自立……」

今まで、幾人かに、その大切さを説かれた。

今。穂風には家がある。
一人で生きている。    ……足りないピースは、ひとつ。


             (お金、稼がなきゃ……自立じゃ、ないよね。)


                 「……はい。ありがとう……ございます。」

「そ、それでですね、きゅ、救急箱はっ。
      今日経験したから……もう大丈夫、です。」

からかわれたことに、少し憤慨するように。
……そして、包帯を巻かれる。

                   『ぐるぐる』

「……全然、足りなかったですね、さっきのじゃ……」

その間、漁師の話を聞く。

      「い、一年……」

                     「すごく……たいへん、なんですね。
                      テレビでは、楽しそうなだけ、だったけれど……」
遠洋と、沿岸。漁師といっても、いろいろあることを、知った。
さすがにそこまでは体験するのは難しそうだが……
      「……ありがとう、ございます。
           これなら、きっと…………よい、しょ……」

                            『ス……』

ゆっくりと、立ち上がる穂風。
痛みがまるっきり消えたなんてことはないが――心なしか、ましになった気がした。

295東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 03:07:36
>>294

「やり甲斐はあるが…まぁ楽しいだけの仕事なんてねーからな。金を稼ぐってのは楽じゃねぇよ」
「その内バイトとかするようになったら分かるかもな。今はアパートとかで一人暮らししながら、学校に通ってんのか?」

時間に余裕を持てる大学生ならともかく、高校生でそれにバイトを加えるとなると大変だろう。
流石に家出でもなければ、親とて多少の仕送りはしてくれるのだろうが。

「…大丈夫そうだな」

無事に立ち上がる少女を見て、頷く。

「気ぃ付けて帰れよ」「俺は東雲 忍(しののめ しのぶ)。あんたは?」

296葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 03:36:07
>>295

「! ……そう、ですよね。
     …………はい、今は……アパートで、一人暮らし……です。」


      (そっか)

                (『学校』に……行かなきゃ……
                             ……いけないんだ。)

穂風は目の前にある課題が、思った以上に大きな積乱雲なのだと気づいた。
家出して、家を得て、次は――学校か、仕事か。


「……はい、大丈夫です。
 ええと、気を付けます。」

                   「あっ――名前、ですか。
                            私は……葉鳥 穂風(はとり ほふり)……です。」

「その、あの、いろいろ……ありがとうございました。
 ええと、救急箱、貸してくれた人、にも……お礼を、その……お、お願い出来たら。」

そういうと、穂風はロードバイクに手をかけ、押していく。
……さすがに、帰りは乗る気にはなれなかった。

「あの、ええと……また。また、どこかで……!」

そうして、穂風は、その場を去ったのだ。

297東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 11:41:03
>>296

「律儀なヤツだな。あぁ、伝えとくぞ」「じゃあまたな、葉鳥」

軽く手を振り、ロードバイクを手で押して去っていく葉鳥の背中を見送る。
少々気弱で世間知らずのようだが、しかしそれを上回る行動力と、好奇心がある。
有り体に言って、東雲忍はそういった尊敬できる人間が好きだ。

「………」「じゃが女ん一人暮らしか…物騒なことに巻き込まれんとええんじゃが」

以前病院で会った一人の女性を思い出す。彼女もまた、何らかの事故に巻き込まれて負傷していた。
この町は一見平和なようで、その中に何が潜んでいるか分からない。
わざわざ危険な事に首を突っ込むほど愚かではないが、
少しばかり、そういった事について探ってみたい気分になった。

298灰羽『アクエリアス』:2015/06/03(水) 23:04:55

「はひぃはひぃ」


走ってるんだか歩いているんだかわからないような速度で
ヘロヘロと砂浜を少女が移動している。


『……』


後ろを特に意味もなく出しっぱなしの人型スタンドがスィーッとついていく。

299灰羽『アクエリアス』:2015/06/04(木) 00:41:06
>>298
しばらくして……砂浜に足跡だけが残っていた。

300マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/05(金) 22:57:20
ウィィィ――ン…

『モット・ザ・フープル』こと『モット君』のオートバイのライトに酷似した瞳に光が宿り、
明らかに普段とは違う音声案内めいた声色でアナウンスを発す。

       ≪マフィー様!お待たせしました!
         ガチャガチャ再開致シマスッ!≫

「やったネー!『モット君』の復活ネー!!
 『モット君』――ッ!!!『ご飯』の時間ネー!!」    『YO!!』


ムギョッ

おさいふの中からッ!
『30万円』取り出し『モット君』の口に突っ込む!!

301マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/05(金) 23:56:39
『ポン』           『ポンッ』
        『ポンッ』       『ポンッ』

札束をもしゃもしゃと食べた『モット君』が
直径4cm程の『カプセル』を吐き出した。
のでカプセルを開封しよう。

「やッたネー!!新手のスタンド使いシリーズの座木ネー!
 それに恋姫のスタンドも出たネー!」  『YO!』

「みんなもミーと一緒に『ガチャガチャ』するネー!」


シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

302ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 01:49:42
>>301

「あれは」

「……スタンド?」

『ポン』           『ポンッ』
        『ポンッ』       『ポンッ』

何か出た。
ゼンチは興味を持った。

(あれはカプセル?
 ……フィギュアですかね?)

     ザッザッ

「あの」

「よろしいでしょうか?」

近づいて、話しかける。

303マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/06(土) 10:37:51
>>302
「やッたネー!
 『耳入れ』と『恋姫』のスタンドの他に、
 『穴闇』と『アンテナっぽい』のと『巫女』さんと『老師ッ!』て叫びそうなスタンドと、
 『柏木』と『鉄』と『出』と『ンゴ』とかいっぱい出たネーッ!
 でもミー、誰が誰だかわかんないネーッ!」

アメリカンなちびっ子ボーイがガチャガチャに手足はやしたっぽいスタンドと共に、
手乗りサイズのフィギュア持って小躍りしてる。
もしかしたらゼンチの知り合いのフィギュアも紛れてるかもネ。

「わかんないネー!」
                 『・・・Hey?Hey?』

「わかんナーイ!」 (パン!パン!)
                 『Any More♪キミノコォート♪』

「wowwowwowwowwowwowwowwowwowwow♪』

『「BAD COMMUNICATION!!」』

「イェーイ!」『YOッ!』  パシーン!

久しぶりに『ガチャガチャ』が出来た嬉しさで
B'z初期の名曲『バッドコミュニケーション』のサビを1人と1体で熱唱ッ!
『モット君』とハイタッチだ!

「ヘイ!ちょっとよろしいネ!
 ミーはマフィー君ネ!周りからマー坊とか『マ』とか『モット君』の本体とか言われてるネ!」

振り返った。

304ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 14:11:35
>>303

「これは――」
「『フィギュア』?」

「……ドナートさんの? はて?」

(それにこのスタンドは!
 ……『あの女』の物では?)

『巫女』――縁組の物だけなら。
あるいはファングッズか? と思う。

……しかし。
ドナート、そして『エレメント・オブ・クライム』!

「アッ。これはどうも。」

「私は善知鳥 雷(うとう らい)と申します。
 呼びづらいので、ゼンチ……とお呼びください。」

頭を下げる。

「それで、その。
 そのガチャガチャは一体……?」

なんとなく、『害するもの』には思えなかった。

305マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/06(土) 22:55:48
>>304
「ウトゥーライ」

本当に呼びづらかった。

「ヘイ、ゼンチ!『モット君』は
 なんか『フープル』の出張所らしくて、
 お金を食べると実在するスタンド使いのフィギュアを吐き出してくれるネー!
 ミーが知らないスタンド使いがいっぱい出てくるネー!
 ユーは、このフィギュアの人達と知り合いネー!?」

306ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 23:01:49
>>305

「ふふ」

妙な発音に少し笑う。
まあ、妙な名前だ。

仕方がないことだ。

「フープル――ああ、あの。
 なるほど、あそこの商品でしたか。」

奇妙な会社。
確か肝試しもあそこが絡んでいた。

そして、最近では。

(指を治してくれた。)

「ええと、何人かは。
 具体的には――このお二人。」

「それと、このスタンドも。」

選び出したのはドナート、縁組、そして『EoC』だ。
他にも見たようなスタンドがあるが……確証が持てない。

「しかし面白そうな能力ですね。
 ……もしや、私(ワタクシ)のも?」

プライバシーも何もない。
だが――ありえる話だ。

307マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/06(土) 23:17:46
>>306
「多分あるネ!」『YOッ!』

多分。

「もしなくても、みーんなが『モット君』の口の中に
 お金を突っ込んで『栄養』を与えてくれれば『モット君』が成長して、
 ドンドンドンドンシリーズが増えてくネ!!」

ざっくばらんに説明するぜ。

「という訳でもし良かったら『ガチャガチャ』するネ!」

308ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 23:24:29
>>307

「それはそれは。
 是非お目にかかりたいです。」

「それで――
 お値段の、ほどは?」

フープルの商品は一つ知っている。
それは『PP』だ。

揃えると似顔絵がもらえる。
そして――べらぼうに高い。

「まあ、その。
 今、あまり持っておきたくない金があるので。」

「どうせですし」
「回そうとは、思うのですが。」

一応、値段は聞いておくのだ。
100万円とかだと困るし。

309マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/06(土) 23:50:25
>>308
「1回『1万円』になりますネ!
 そして『新仕様』で『上限30万円』になりますネ!
 『フープル』の人がいなかったら『カプセル』が開かなくて中身が確認できないけど、
 家で石けん水とかで試したらあくネ!」

            『YOYO』

『マフィー君YOォォォッ。
 『手数料』ヲ忘れてるYOォォッ!』

「あ!そーネ!忘れてたネハハハ!
ミーも『店長』だかし、お金がなくて自分で『ガチャガチャ』できないと困るから、
『ガチャガチャ』1万円につき『三千円』の手数料を取っていたんだけどネッ!

でも、ミー『黄金町』来たばっかでこの土地の景気がわからないネ!
ネッ!例えば『ゼンチ』が『30万円』ガチャるとしたら、
どのくらい『手数料』取ればいいと思うネ?」

首をかしげて尋ねる。きいちゃったよ。

310ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 23:58:59
>>309

「なるほど……妥当ですね。
 PPも確かそれくらいですし。」

「ですが」

「手数料ですか。」

これは困った。
決まってるならいいのだが。

(決めるとなると……はて。
 高すぎるのもなんですが、しかし。)

「そうですね……」

「3万円くらいでどうですか?
 一万につき1000円。分かりやすいでしょう。」

ここは値切ってみた。

「もしくは――普段は3000円で」

「30万回すときだけは」
「手数料を下げる、などというのは?」

自分のことでもないし、決めづらいのだ。

311マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:06:06
>>310
「それ名案ネッ!ハッ!」

            
       |
   \  __  /
   _ (m) _ピコーン
      |ミ|
   /  .`´  \
     ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    (・∀・∩<閃いたネ!
    (つ  丿 \_________
    ⊂_ ノ
      (_)

「普段は『1万円』につき『3000円』で、
 30万円回す時に限って『5万円』ッて事でどうネ!
 ミー、ナイス閃きネ!
 オモチャに『30万円』も突っ込むような大人なら
 そんなにお金の事気にしないし、ミー天才ネ!」『YO!』

「ゼンチ、どうするネ!ガチャガチャするネ!?
 せっかく友達になった記念だし、今日は手数料なんていらないネ!
 モット君!オープンネ!」         ガバァァッ

『モット君』がお口を開いた。

312ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/07(日) 00:11:58
>>311

「名案かと。」

頷く。

「私はもちろん――
 回させていただきます。」

「せっかくの機会ですしね。」

微笑む。

「投入するのは」

        ス……

「この」  「30万」
 
    スス

「どうぞ、モットさん。
 お納めください。」

『30万』を彼の口の中へINだ。

313マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:17:21
>>312

   『オウ、YOゥ』      パクゥッ

札束を丸呑みし、
充分に味を堪能。

『キタキタキタァァ――!
 産マレルYO!!』   

『ポンッ』       『ポンッ』
      『ポンッ』      『ポンッ』

口から直径4cm程の『カプセル』を卵のように吐き出したよ。

「やッたー!出たネー!
 これで次の『成長』まで多分『40万円』ネー!
 前みたいに『確立調整』したり『おまけファイル』発行したり
 色々したいネー!」

314ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/07(日) 00:21:39
>>313

『ポンッ』       『ポンッ』
      『ポンッ』      『ポンッ』


「おお、これは」
「カプセルがたくさん。」

拾い集めた。
そして。

「ああ」
「今は開かないんでしたっけ。」

「石けん水、ですよね?」

海を見る。
海水ではだめなのだろう。

「なんにせよ」
「楽しみです。ありがとうございます。」

頭を下げる。
……それにしても。

「成長、ですか。
 なるほど、面白いだけではなさそうで。」

お金をもらって成長するスタンド。
そんなものもあるとは……

315マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:29:09
>>314
「『モット君』は凄いネー!
 何でもできるネー!あ、そうネ!『モット君』!」『YO』  

              ポロォッ

『モット君』に『カプセル』を吐き出させる。
んでもって開けてボフッと『おまけファイル』を取り出し、
マフィー君のフィギュアのダブリを取り出す。

「これ、ミーのフィギュアネ!
 ゼンチもお友達にミーの事話すといいネ!
 興味持ってくれたらこのミーにそっくりのミーのフィギュアをユーが、
 写真代わりに見せてくれるとベリーハッピーネ!
 『モット君』もご飯いっぱい食べれてきっと嬉しいネ!

 それとネ!それとネ!
 ミー、フィギュアいっぱい持ってるからもし欲しいのとかあったり、
 こんなん出たってのがあったらミーに連絡欲しいネ!」
ネ!ネ!ネ!

316ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/07(日) 00:34:10
>>315

              ポロォッ

「おや」
「これは――」

目の前の少年と見比べる。
そっくりだ。

「なるほど」
「名刺代わり、ですね。」

「ええ、わかりました。
 出来る限り広めてみます。」

微笑む。

「そして――
 その件も解りました。」

「ひとまず帰って、開けてみましょう。
 ……失礼、連絡先を交換させていただいても?」

スマホを取り出す。

317マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:44:25
>>316
「やッたネー!」『YO!』
『「イエーイ!」』
               パチィンッ!

モット君とハイタッチだ!
そしてお母さんに持たされたスマホを取り出し、

「やったネー!
 ミーの電話番号はペラペラ、ホニャラーラのムニャムーニャで!
 メールアドレスはペラペーラペラペーラフムフーム@ヘラヘーラ!ネ!」

318ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/07(日) 00:47:44
>>317

「ふふ」

微笑ましい。
そして。

「ええと。
 ……はい、登録しました。」

「後で空メールを送ります。
 タイトルは『ゼンチです』で。」

さて、早速帰って開けてみよう。
自分が出るだろうか?

それとも――?

「それでは、そろそろ。
  また、連絡します。」

頭を下げ、その場を去る。
なんとも楽しさ募る邂逅だった。

319マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:54:21
>>318
「バイバーイネ!」

手を振って見送った。

              『YOッ!』

「じゃあ『モット君』ッ!
 新しい『モッ君のガチャガチャ天国』にレイアウトを考えるネ!
 まず、この辺にシャンデリアを――」

            『ドクペ専用冷蔵庫ヲ――』

その辺の流木を手に取り、
砂の上にまだ見ぬ新ガチャ屋の見取り図を描いたりして遊んで帰った。

320葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/13(土) 23:37:52

潮風が赤い髪を揺らす。

         《……お嬢様。そろそろお帰りになっては?》

       ザッザッザッ

 「……」

八百屋に勤め始めた穂風。
最近は働きづくめだったが、今日は休みの日になった。

                  ・ ・ ・今は、砂浜を歩いている。

「……ぁ……」

                 カラ

きれいな貝殻を見つけて、しゃがむ。
ちょっとした、ビーチコーミングってやつかもしれない。

321鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 01:12:25
>>320

ザク    ザク    ザク
   ザク    ザク    ザク

和傘を差した和服の少年が歩いている。
たしか店番の最中に会った事があったはずだ。

葉鳥が覚えているかは分からないが……

「ん?あんさん……」

少年は君に気付いたようだ。

322葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 01:30:48

>>321

         ザ
             ザ

                  ザ


「……ぁ……?」

              ≪…………≫

聴いたことのある声に、顔を上げる。
エプロンを着けていたあの時とは違い、黒いレインコートを着ていた。

「あ、ど、どうも……です。
 ……ええ、と、和菓子屋さん……の。」

手にはきれいな赤い貝。
……髪に隠れていない右目を、丸く見開く。

「……あの、ええと……」

もごもごと口を動かすが、声に出ない。

323鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 01:38:55
>>322

「鈴元、鈴元 涼やで。」

柔らかな笑みを浮かべている。
いつもの表情だ。

「カンペ、見んでもエエようなった?」

近づいていく。
ゆっくりと、ただ確実に。

「きれぇな貝やねぇ。
      そういうん集めんの、好きなん?」

相手の目を見て問う。
黒く肩まで伸びた癖毛が風に揺れた。

324葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 01:49:35
>>323

「ぁ……す、すみません。
 鈴元、さん……でした。その、ええと……こんにちは。」

まごまごとした態度。

「は、はい。
 6月のお野菜は。」

「ええと、ズッキーニ、ピーマン、きゅうり、スイートコーン……」

指を折って数えつつ、野菜の名前を並べる。
……と、すぐに『ハッ』とした顔になり。

「あっ、す、すみません。
 ……あ、い、いえ、別に……集めてるとかでは……」

「で、でも、この貝殻は。
 きれいだと……その、思います。」

鈴元に見せる。
……赤い、ぐるぐると巻いた貝。

「……あの。鈴元、さんは…………?」

何をしているんですか? と聞きたかったわけだ。

325鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 02:08:58
>>324

けらけらと笑う。

「見んでも、エエみたいやね。」

うなずいている。
相槌を打っているようにも感心しているようにも見えるかもしれない。

「ん。あぁ、きれぇやね。
      すんません。ちょっとなんの貝かは分からんけどぉ。」
        ニオウ
「あんさんに似合とるよ。」

赤い貝をじっくりと見て、そう答えた。
柔らかい笑みで、柔らかく言う。

「僕ぅ?お散歩。店番なくて暇な時は本読むか、お散歩するんよぉ。」

「なんかあるかもしれんからねぇ。」
                          オ
            「ガッコのお人さんに会うたり、新しい発見があったりね。」
               
「まぁ今日はあんさんと会えたから、散歩してよかったわぁ。」

葉鳥の方へ顔を向け、照れくさそうに微笑んでいる。

「あんさんもお散歩でエエんやろか。」

326葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 02:21:51
>>325

「は、はい……たくさん。
 たくさん、お勉強……した、ので。」

はにかむ。
事実、自宅でも、店でも、たくさん勉強をしたのだ。

「あ、う……
 に、似合う……です、か……」

貝に視線を向ける。
……穂風の髪と、似た色。滑らかな質感。

           「……」

「……お散歩、でしたか。
 そ、その。私も……です。何もないときは……」

                     ・ ・ ・ そして。

「……え、あ……わ。私、に。
        ……え、えへへ……ありがとう、ございます。」

鈴元と同じく、照れた笑いを浮かべる。

327鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 02:35:02
>>326

「せやろね。たくさん勉強しはったんや思うわぁ。」

あの時の彼女を思い出す。
見た目は変わらなくとも、中身はほんの少しだが変わっている。
それぐらいは鈴元にだって分かる。

     ワロ
「人間、笑うてるほうがエエわ。」

ふと、なにか思い出したような表情になる。

「ところで、やねんけどぉ。
      一緒におる『お人さん』は、誰やろか。」

『スタンド』に目を向けた。
彼女のそばにいる従者を見ている。

「保護者の方やろか?」

           「初めまして、ですよねぇ?」

328葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 03:11:18
>>327

「は、はい!」

頷く。

「そう、ですね……
 怒ったり、してるよりは――」

                    「……え?」

『お人さん』?
穂風は気づいた。

(…………見えて、るんだ。)

                 ・ ・ ・傍らの、傘を思わせる黒い人型のヴィジョン。
                      蝙蝠の頭骨のような頭。

いつの間にか、穂風の服装は変わっていた。
レインコートから、穂風の適正より、ややサイズの大きい黒いワンピースに。

「……勝手に。
 出てこないで……」

               ≪……申し訳ございません。お嬢様。
                 ただ――汗をかいていらっしゃったので。≫

「……お節介。」

そのスタンドは、穂風の意思に反して動く。
――半自立型。そう呼ばれている。

               ≪お初にお目にかかります。
                 私めは、『ヴァンパイア・エヴリウェア』と申します。
                          ……お嬢様の、従者で御座います。≫

「……」

『彼』は恭しく頭を下げた。

「……鈴元さんも、そう…だったんですね。」

329鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 03:22:12
>>328

「ふうん。」   「仲悪い?」

なんというか、自分の知ってる喋るスタンドというイメージとはかけ離れていた。

「ご丁寧にどうもぉ。鈴元 涼。和菓子屋『鈴眼』の店員ですぅ。」

『ヴァンパイア・エヴリウェア』に頭を下げて自己紹介をする。
人間相手にそうするように、スタンドにもそうする。

「せやで。もしかして、嫌やった?
          や、スタンド使いに嫌な思い出でもあるんかなぁって思うてねぇ。」

そう言って、自分のスタンド『ザ・ギャザリング』を出す。
彼の側に成人男性ほどの大きさを持った人型のヴィジョンが浮かび上がる。

「『ザ・ギャザリング』。桜の花びらを作れる……それ以外はまぁ、人間並み。」

「そこのお人さんみたいに、喋れはせんけどねぇ。」

330葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 03:34:33
>>329

「べつ、に……
 ……そういう、わけじゃ……」
 
                   ≪私めは従者で御座います。
                     友達ではない、ゆえに、仲の善し悪しなどは。≫

そういうことらしかった。

「嫌な思い出、とかは……
 あの、その、ただ、ビックリ……して。」

と、そこに現れた鈴元のスタンド。
――『ザ・ギャザリング』。

                ≪ほ、人型のスタンド。
                 桜とはまた、風流で御座いますな……≫


           シュン 

                ・ ・ ・入れ替わるように。
                   『ヴァンパイア』の像が消えた。

「……喋れたら、うるさい……ですよ。
 ……鈴元、さんは……喋れる方が、いい……んですか?」

穂風が解除したのだ。
……嫌いとかじゃあないが、『口うるさい』と思うときはある。

331鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 03:57:08
>>330

「スタンドは自分の分身みたいなもんやと思ってたんやけどぉ……
            まぁ、自己嫌悪とは違うんかなぁ……や、こっちの話やから気にせんといてぇ。」

それも個性でありスタンドの謎は深い、そういうことだろう。
少なくとも鈴元一人で答えを見つけられる問題ではなさそうだ。

「う、うるさい、かぁ……うん。」

(人間やしそういう事も言うわな。結構スパッと言うんやなぁ。)

まさかそんな言葉が出るとは思ってもいなかったんだろうか。

「うっとこの人が喋れたらぁ?
                     マチゴ
 …寝癖とか和菓子作ってるとき間違うてたら教えてくれたらエエかなぁ…」

「でもそんなん自己責任やし……口うるさく言われんのも、煩わしいもんなぁ。」

少し、悩む。
『ザ・ギャザリング』はただその場にいる。
喋らない。自己表現は出来ない。
ただ彼の指示に従うしか出来ないのだ。

「落ち込んだ時、励ましてくれたら嬉しいかも。」

しばらくして言った。

「なんていうか、僕を認めてくれるかもしれんねやったら、喋ってくれてもエエかも。」

「ない物ねだりやし、僕は今の『ザ・ギャザリング』が好きやから喋らんでもエエけどねぇ。」

柔らかく笑った。自分のスタンドに向かって笑いかける。
その顔を葉鳥にも向けた。

「って感じやろか。答えになっとるぅ?」

332葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 18:41:53
>>331

穂風は――『おしとやか』とか『おとなしい』とかではない。
口下手で、温厚な部類だが……意志は強い。

「……は、はい。」

              (分、身……。
               私のスタンドも、私の……)

そんな穂風には、疑問がある。
このスタンドは――自分にとって『何』なのだ?

精神の分身。
あの従者の人格は――穂風のどこかに眠っているものなのか?

              ・ ・ ・自覚は、あまりない。

「……あ、う、ええと。
 答え、に……なってると、思います。ありがとう、ございます。」

「……へんなこと、聞いてしまいましたね。
             あの、すみません。」

                         (励ます、認めて、くれる……
                               ……そういう、モノ、なのかな……)

「…………それで、その、ええと……」

……もごもごと口を動かす。
まあ、偶然会っただけだし、特に話すこともないのだが……

                  「……あ。」

「あの、すこし、お聞き……したいこと、が……
 …………あ、す、すみません、聞いてばかりで……」

333鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 23:11:15
>>332

「答えになってるんやったらエエんやけどぉ……」

とりあえず答えを出すことが出来たことに内心胸をなでおろす。

(…なんちゅうか、はたから見たら変な会話やろなぁ……)

スタンド使いならではの話だろう。
しかし……

(会話って案外続かんもんなんよなぁ……)

偶然会っただけだし当然なのかもしれない。

(世の中には立ち話で勧誘したりとか
       ナンパで恋人作る人とおるみたいやけど
                        なんちゅう話術の持ち主なんやろか。)

(そんだけの話術あったらこんな状況にならんと会話続けられるんやろなぁ……)

(正直、女の人ってだけで緊張するんよ……)

会話技術の向上は『ザ・ギャザリング』が喋れるようになることを願うような
                                     ない物ねだりなのかもしれない。

>あの、すこし、お聞き……したいこと、が……

「あ、な、なんやろか。」

考え事をしていたためか、ちょっぴり驚く。

「答えれることやったら、なんでも答えるで……」

なんだかaskとかurlとか出そうな感じに胸を張りたいが今の彼には無理だ。

(まぁ、変な事は聞かれへんやろ…)

334葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 23:51:57
>>333

質問には答えるし、答えられる。
その繰り返しは会話と呼んでいいだろう。

プロの『話術』とは、そこから『発展』させていくもの……かもしれない。
差支えない日常会話から、自らの望む会話へと。

ともかく。
……やや沈黙を挟んで、穂風は口を開いた。

疑問は、じつに……シンプルで、奇妙なものだ。

「……あの。その、さっき。
 ……学校、って、言ってましたよね。」
 
                 「それで」

                     「ええと」

もごもごさせて、それから。

「……あの!」

「学校って……楽しい、ですか?」

まるで捻くれた中学生みたいな質問だが――そういう意味ではない。
穂風は、知らない。学び舎の鐘の音も、学友との日々も。

             ・ ・ ・穂風の赤い目は、真剣だった。

335鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/15(月) 00:21:53
>>334

「……なんや、事情でもあるんかな。」

鈴元の顔から笑みが消えた。
怒ったわけではない。

「笑ってするお話、って感じやなさそうやねぇ。」

「目ぇ真剣やし。や、学校のことで悩んでるんかもしれんけど……」

沈黙。
まっすぐ葉鳥の目を見つめる。
烏の濡れ羽のような黒髪とよく似た黒い瞳が、相手を見つめる。

「前はたのしなかったよ。前は、ね。」

「毎日ガッコと店の往復。つまらん。作業感すらある日常やったわ。」

酷評である。

「でもな。」      
             「――――――今は楽しい。」

いつものように優しく笑った。

「今は『やりたいこと』があるし、『エエ友達』もおる。」

部活も、そこにいる人間も彼にとっては大切な存在だ。
機械的な日常をほんの少し変える、そんな機会を渡してくれたのだ。
自分が仲間なら楽しそうだと言った女性がいた。
お世辞でもなんでも、鈴元にとってはそれが嬉しかったのだ。

「つまらんことも、ツラいこともあるわ。
 でも人間生きとったらもっと酷いモンを見るし聞く」

「それにくらべたら、『たのしゅうてしょうがない』そんなとこやで。」

胸を張っていえる。鈴元は心からそう思っているのだから。

336葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/15(月) 00:36:23
>>335

「……」

           コクリ

……鈴元の答えを聞いて、穂風は頷いた。
それは望んでいた答え、だった。

          ・ ・ ・後押しが欲しかっただけかもしれない。
               自分の中に芽生えつつある、次の欲求への。

「ありがとう、ございます。
 ……答え、聞かせてくれて……!」

決意が籠められた声だった。
多くの言葉はいらなかった。

「……あの、私、そろそろ……行きます。
   ……鈴元、さん。その、ええと……また、お話……しましょう。」

「今日は、会えて……よかったです。えへ。」

笑顔でそう言って、その場を去る。
……そうと決めれば、『勉強』しなくては。

まずは仕事をできるようになって。そしたら……『学校に行く』。

337鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/15(月) 00:44:50
>>336

鈴元はただ答えることしか出来ない。
それが相手の求める答えかどうかは分からない。
少なくともウソを教えようとは思わなかった。

「あい。僕も会えてよかったわぁ。」

去る彼女の背中を見送る。

ふと、スタンドのほうを見た。

「なんやったんやろねぇ?」

『さぁ。わからんわぁ。』

「……つまらんわ。あんさん静かなほうがきれぇやね。」

スタンド会話。これは会話ではない。
独り言だ。
         オ 
「またどっかで会うたら、お話しよか。」

鈴元ももうすぐ帰るだろう。
次の出会いはあるだろうか。
たとえなくとも、彼は歩き続ける。

家に帰るために。
なにか起きないか探すために。

338紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/08(水) 23:54:36

夏だ!

      バァァァァ―――ン!

海だッ!!

             バァァァァァ――――ンッ!!

水着だァーッ!!!

                     バァァァァァァ―――――――ンッ!!!


……というわけで、夏の海。
ちょっと仕事で『海の家』に赴き、そこで聞き込みを行って。
とりあえず仕事が終わったし、折角『水着』に着替えたのだから軽く泳いでいこうとビーチを歩く紫である。
水着は派手な緋色のビキニ。
普段は低い位置でまとめている長髪を、今日ばかりは高い位置でまとめてポニーテールにしている。
手足はスラっと長く、全体的にスレンダーな体つきだ。
……全体的にスレンダーな体つきだ。全体的に。どこがとかは言わないけど。

「さぁて夏休みになって学生で賑わう前に、遊んでおきますかね!」


                             「とりあえず泳げるだけ泳いでオウッフ」 ズシャアァッ


…………なんか砂浜に『落とし穴』があって、いや深さは大したことなかったんだけど、転んだ。
凄く派手に……頭から、転んだ。

339穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/09(木) 00:05:46
>>338
「あ、ワリ」

『雲』に入る『龍』の三部袖の刺青を背中に彫った男が居た。
手にはシャベル。

「TSUTAYAで借りた『徳川埋蔵金特集』観てよ、
 思い立ったが吉日つー訳で埋蔵金探しに夢中になってたわ。
 怪我とか大丈夫?」

手を差し出す。

340紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/09(木) 00:14:38
>>339

「……ええ、まぁ。こちらこそ失礼しました」

むくりと顔を上げ、素直に差し出された手を掴む。
出した手には、『クエスチョンマーク』の刺青が刻まれていた。砂まみれだけど。

        「よいしょ、っと……」

で、立ち上がる。
特に怪我とかはなさそうだ。砂まみれだけど。ファック。
砂を落としつつ、男に声をかける。

  「しかし、『徳川埋蔵金』ですか。
   ……いやー流石にここには埋まってないんじゃないですかねぇ……それとも、何か根拠が?」

341穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/09(木) 00:26:56
>>340
「根拠。
 根拠って言ってもな。
 暇つぶし以外の何者でもねえけど」

            ズギュンッ

上半身裸でスラックスを履いた刺青男の傍らに、
深紅の広袖のカンフー服に身を包んだ人型スタンドが現れる。

『老師ッ』        「あ?」

『暇ダト言ウノナラバ、
 スコップデハナク剣ヲ振ルッテクダサイ!
 ソノヨウナ鉄キレで穴掘リヲシテモ何もエラセマセン!!』

「るっせーな。
 お前、それ全国の糸井重里さんへの冒涜だぞ。
 埋蔵金出たら、剣でも何でも握ってやるけどヨ。
 って、出てくんなよ。
 俺この娘からみたら完全に「危ないお兄さん」じゃねーか」

握っていたスコップを突き立てた。

「ってオイオイ。
 なんだそりゃ、『スミ』入ってんじゃねえか。
 ハテナマークの。お前、お母さんお父さんが悲しむぜ」

342紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/09(木) 00:46:59
>>341

「アッハイ」

そっかー暇つぶしかーそりゃそうですよねーって顔をする。
そりゃそうだよね。大の大人が真面目に砂浜で埋蔵金探してたらそれは非常に希少な人種だ。

……とか思ってたら。

  (……うわぁ、すごいナチュラルに出てきましたね『スタンド』。
   …………あれ、というか、喋ってる? ……自我がある?)

なんかしれっとスタンドが出てきて、困惑した。
地味に『半自立型』のスタンドとは初遭遇の紫である。

「ふぅむ…………ん、『スミ』? ああ、『これ』ですか?
 いやぁ、父母は少し前に他界しましてねぇ。まぁいても悲しんだとは思いませんが」

あっはっは、と微妙に笑えない話を笑ってしつつ。

     「というか、貴方こそもっと『派手』なの入れてるでしょうに」

  「やっぱり……貴方も『刺青屋』で入れたんですか? 橋の下の?」

343穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/09(木) 01:02:47
>>342
「へェ。
 俺、親父もお袋も見た事ねえしなぁ。
 オタクの歳の頃って何やってたっけ…」

         ジュポッ

『老師ッ!
 海岸デ喫煙ナド言語道断ッ!
 マナーデスヨ!マナー!』
                  シュバァッ

穂村が咥えて火を点けたタバコを、
シュニッケンズが速攻取り上げた。

「んだよ、うぜぇな。
 お前、俺ヤクザだぞ。
 マナー説く相手間違えてんだろ」

               「ああー」

「彫った彫った。すげー彫ったわ。
 周りは「大した事ない」って言ってたけど、すげー痛いのな。
 俺、むしろ彫るの遅いって言われたくらいだしな。
 それに刺青彫ったら『MRI検査』受けれなくなっちまうんだぜ。
 
 ――てか、『コイツ』見えてるの?すげーウゼーだろ」

『ウザクナイデス!!』

344紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/09(木) 01:19:57
>>343

   「あー、やはり『ヤクザ屋さん』でしたか。
    見るからに、という感じではありましたが」

暇つぶしに徳川埋蔵金を探して砂浜に穴を掘る『ヤクザ』。
……端的に言って、すごい状況だ。
しかも相対しているのは『名探偵』で、ヤクザの傍らにいるのは『中国武術家』っぽいスタンドだ。
…………すごい状況だ。
半ばあきれつつ、肩を竦めて。

「あれは痛かったですねぇ。
 人生でトップ3にはいる痛さでしたよ、実際。
 まーおかげで『面白いもの』は手に入りましたが……」

  「……貴方のそれは、非常に『面白い』ですね。
   『自我』があるんですか? 貴方の意志とか性格とは関係なく?」

本体と会話し、あまつさえ喧嘩(というかじゃれ合いというか)までするスタンド?
……興味深い。そういうタイプのスタンドもあるのか。


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