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武具・道具・祭具

1言理の妖精語りて曰く、:2006/06/30(金) 16:50:56
主として武器や道具から日用品まで、様々な物に関する記述を行うスレッドです。

392言理の妖精語りて曰く、:2016/11/25(金) 19:44:56
友好の証として、握手を求められたときでさえ手袋を脱げないため、その度に怪訝な顔をされてしまうのが、彼の悩みであった。

ただ、扶桑崎の招待に応じて日本の『セントー』へ行った時は、少し事情が違ったという。
彼は、手袋の件で【クサナギノツルギ】なる聖剣の右手を持つ現地のエージェントと揉め

(中略)

襲来してきた巨大タコ相手に共闘したこともあり、所属する組織は違えども、同じ志を持つ仲間として、認め合う仲になったという。
それ以来、彼の悩みも、かなり軽くなったようで、時折柔らかい表情を見せるようになった。
恐るべきは、東洋の神秘『セントー』というべきだろうか。

なお、彼が土産に持ち帰った【タコヤキ】なるアーティファクトは、重要な証拠物件として、組織の研究課に永久封印されることとなったことを、ここに報告しておく。
研究課は、このアーティファクトに

「なんて冒涜的な代物なんだ!もっと持って来てくれ!」

と、大変な興味を示しているそうだ。
ローゼンクランツは、近いうちに、また日本を訪れることになるだろう。

393言理の妖精語りて曰く、:2016/12/06(火) 01:40:03
扶桑崎鷲太郎は扶桑崎大和の養子である。血縁上は彼の妹の息子、つまり甥である。
彼の妹は「信仰を失った古の神々」の一柱ゼウスの子を身ごもり、妬みにかられたゼウスの妻ヘラに殺された。
残された幼子を大和が引き取り、男手一つで育て上げた。

そして鷲太郎は大和のもとで錬金術と鍛冶の業を学び、父に匹敵する職人となった。
彼が生み出した作品と編み出した技術は父と盟友アーサー・マクドナルドたちの組織に多大な恩恵を与えた。

その研鑽の背後では妻がありながら浮気をし母を身ごもらせた挙句、自分の妻の凶行から守ろうとしなかったゼウスと、
殺害者であるヘラへの憎悪、母の死の後もゼウスやヘラたちと同盟関係を続けたアーサー達への不信感を抱えていた。
しかし、育ての親への愛情と恩義もあり、こうした気持ちをなるべく抑え込み、表に出さないよう自制してはいた。

394言理の妖精語りて曰く、:2016/12/13(火) 14:44:37
【クラウ・ソラス】
扶桑崎大和が、アイルランドやスコットランドの民話に登場するクレイヴ・ソリッシュ(光の剣)を基に作成したマジックアイテム、またそのシリーズ。

イルミナティによって伝承に登場するクレイヴ・ソリッシュの何本かが回収・保管されており、彼はそれを研究する事の出来る立場であった。
大和は民話に描写されたクレイヴ・ソリッシュの性能を再現した魔剣をいくつか制作し、
さらにアレンジとして独自の機能をつけた二振り「喰らう剣」「逸らす剣」をつくった。

「喰らう剣」は刃を当てた相手の生命力を、服や鎧ごしにも吸収して自己修復し、光や切れ味を強める機能を持つ。
「逸らす剣」は相手の武器と打ち合ったり、鍔迫り合いになった際に、使い手の望む方向に相手の武器をはじく機能を持つ。
これらはさらなる研究用に回された他、アレンジ剣を含む何本かは刀剣好きなレプティリアンたちに献上された。

その後、扶桑崎大和はアーサー・P・マクドナルドらと共に裏でレプティリアン打倒の計画を進め、その過程で世界各地の「信徒を失った古き神々」と接触。
その際ケルトのダーナ神族の長ヌアザにより、マジックアイテムを作成し提供することを求められる。これによりヌアザはアーサー、大和たちが協働に足るか見極めようとした。
扶桑崎大和はヌアザ用の剣として「喰らう、逸らす剣」を作成して提供した。
これはかつて作成した「喰らう剣」と「逸らす剣」の機能を併せ持ち、神用に出力を上げた品である。
ヌアザはこれを気に入り、彼の勧めで出力を落とし安定性を高めた量産型が生産された。これが「クラウ・ソラス」である。
ヌアザが持つ「喰らう、逸らす剣」は「クラウ・ソラス一号」と言える。

395言理の妖精語りて曰く、:2016/12/14(水) 08:55:23
「決戦」においてダーナ神族の本拠である地下異界を守っていたヌアザは襲来したドラコニアン二人に対し、
エリンの四至宝の一つである「ヌアザの剣」を持ちだし、「クラウ・ソラス一号」との二刀流で迎え撃った。
この戦いで「ヌアザの剣」は破損し、戦後「クラウ・ソラス一号」と合体させることで修復がなされた。

396言理の妖精語りて曰く、:2016/12/20(火) 12:31:02
扶桑崎鷲太郎は、海に面した崖の上に立っていた。
崖は高く、日没までまだ間があるというのに、もう既に、下の海面の様子を窺うことは出来なかった。
彼は、崖の上で初めての冒険を思い返すとともに、同時に、これからの自分の人生について、思い悩んでいたのだった。


扶桑崎鷲太郎は、神を憎む復讐者だった。
彼は、母を殺したヘラと、母を捨て、見殺しにしたゼウスを強く憎んでいた。
その憎しみは、育ての親である扶桑崎大和や、その友人である無空和尚に幾らなだめられても、消えることはなかった。

ただ、その彼も、義父から習った鍛冶の技に集中している時だけは、その憎しみを忘れることが出来た。
そうした修練の結果、扶桑崎鷲太郎は、東洋一と謳われる【神具鍛冶】に成長した。
しかし、それでも、彼の心には、いつもどこかに神々への憎しみがあり、それは事あるごとに顔を出すのだった。

そんな彼が、最も熱中したのが【神滅ぼしの武具】の開発であった。
彼の義父である扶桑崎大和は、神々に対して中立を貫く組織の一員ではあった。しかし、そもそも神々に運命を弄ばれた鷲太郎の母は、義父にとっても妹である。
いくら彼が、組織に忠実だといっても、その内心が穏やかであるはずもなかった。
扶桑崎大和は【神滅ぼしの武具】を作るための高度な技術やアイディアを、それとなく鷲太郎に伝え、彼の息子は、それを乾いた地面のように吸収していった。
だが、大和は、鷲太郎自身が【神滅ぼしの武具】を扱うことだけは、決して許そうとはしなかった。
鷲太郎が、腹違いの兄弟である鍛冶神と同じく、脚が不自由であったということもある。
しかし何より、扶桑崎大和は恐れたのだ。
ヘラもゼウスも、強大な神であり、なおかつゼウスは、人間の浅知恵を見抜いた逸話までもつ狡猾な神である。
【神々の復活】以後も、そのような強大な神が滅ぼされた事例は、そうは無い。しかも、そうした事例の多くにおいて【神滅ぼし】を為し遂げた英雄は、同士討ちになって死亡しているのだ。
扶桑崎大和は、それを恐れた。

彼は、もう二度と、家族を亡くしたくはなかったのだ。

397言理の妖精語りて曰く、:2016/12/25(日) 00:46:40
神は殺しても良いが、滅ぼしてはならない。

神は殺されても蘇るか修復する。豊穣の神がそうであるように殺されて蘇ることで
自然の恵みをもたらす者もいる。蘇るという現象そのものが世界に波及して豊穣をもたらす。

しかし滅ぼしてしまうと蘇ることも修復することもない。蘇生や修復はなされず、
健在時に行われる神威もない。滅ぼしてしまうと、世界と世間には害しか無い。

「神滅ぼしの武具」は存在してはならない。
一柱、二柱と滅ぼされていけば最終的には地上に生物の住める所はなくなる。
一柱くらいなら……が積み重なれば、一万年後には地上は全て死の荒野となり、真水と海水のある所は全て澱んだドブになる。

398言理の妖精語りて曰く、:2016/12/25(日) 13:37:45
……という話を広めれば、神を滅ぼそうという輩はいなくなるだろうか?」
とバアルはモートに言った。
「殺すだけならまだいい、というのは死に慣れしてる俺ら基準の考え方だな」
モートは答えた。

二人はこれから七年ごとに行うプロレスの現場に向かっているところだ。
殺すことが前提だが、神である両者にとっては一時的な敗北、退場に過ぎない。
七年前、バアルとモトは戦闘を行い、相討ちとなり、その後バアルだけが蘇った。
相手であるモートが復活したのはその七年後、今現在から数日前である。
モートが蘇った地点をバアルが訪れ、そこから「リング」に向かってまた戦う。

彼らを称える神官も信徒がいなくなってからも、休まず続ける恒例行事であった。

399言理の妖精語りて曰く、:2017/01/03(火) 03:25:16
ケリュケイオンは四つ存在する。

ヘルメスが持つ一本目。
メルクリウスとの「習合」の際に彼に贈った二本目。
「全き人」としてデザインした分身ヘルメス・トリスメギストスに持たせた三本目。
「霊的な息子」として受け入れた異邦の子神ヘルマヌビスが修行を完成させた記念に与えた四本目。

「神秘の杖」のうちで最も著名なものであり、これを模倣・再現する多くの試みがなされた。
そうした模造品と区別して、以上の四本を「神のケリュケイオン」とも呼ぶ。

400言理の妖精語りて曰く、:2017/01/11(水) 19:11:41
翻訳AI【ヒギンズ教授】は、あらゆる言語をネイティブ以上に用いることが出来た。
ポジティブな面を挙げれば、それは、国家や階級を超えた対話の可能性を広げた。
しかし、ネガティブな面で言えば、【ヒギンズ教授】は、国家や階級という既得権益とアイデンティティを確保していた存在、「言語障壁」を破壊したとも言えるのだ。
それは結果として、不安を抱える人々による「異人狩り」異質な存在を見出だすことによって、自己を保全する活動を促すことになったと言われている。

しかし、その責任は、AIという一つの道具だけに負わせるべきなのだろうか?むしろ、異質な存在を「卑しい」として排除しなければ、自らの「高貴さ」を保てない我々人間自身の性質をこそ、見直すべきではないだろうか?

401言理の妖精語りて曰く、:2017/01/12(木) 12:41:48
【三蛇の杖】

「暗黒魔導師」ジョック・ラーカンが持つ杖。彼が命すら狙われる原因となっている秘法の主たるもの。
人造のケリュケイオンの中で至上の逸品とされ、人造の神具の中でも最高ランクと認められている。

ヘレニズム期のアレクサンドリアに存在した魔術結社によって造られた。
ヘルメス神のケーリュケイオンと医神アスクレピオスの杖の機能を再現し、一本の杖の中に合一させた。

レプティリアンによって奪取され、人類の集約意識に干渉する装置の一部とされた。
集約意識を一つの脳に見立て、ある箇所にこれを突き立てる事で、人類がレプティリアンの存在に気付きにくくする狙いがあった。
副作用として、ケーリュケイオンとアスクレピオスの杖が混同される風潮がホモ・サピエンス社会に広がった。

集約意識に殴り込みをかけたが失敗し無力化されたバアル軍団の救出作戦時に再発見され、外界に再び持ち出された。
救出作戦に参加し、大きな功績をあげたジョック・ラーカンは、神々から何が欲しいかを聞かれ、
この「三蛇の杖」を求めた。彼が各地の有力な魔術神のお気に入りであったこともあり、この希望は受け入れられた。

402言理の妖精語りて曰く、:2017/01/12(木) 20:11:03
【お兄様魔砲】
自己を【妹】だと確信する者のみが、用いることが出来る魔法兵器。
射出する対象を【お兄様】という【形相】に当てはめることで、あらゆる存在を【お兄様】に変え、無敵のパワーを与える。

403言理の妖精語りて曰く、:2017/01/21(土) 22:04:16
【ブレイスヴァ/ゼロシステム】とは、紀改神【ブレイスヴァ・ウィングゼロカスタム】に搭載されている未来予知装備である。
装着者は、あらゆる物事の終端を予見することが出来る。

404言理の妖精語りて曰く、:2017/01/26(木) 03:31:31
【万英殿】

【万雄殿】の遺構と遺物を元に「ヅアート英雄協会」が再構築した魔導施設。
万雄殿はレガ文明において偉人と見なされた男性の魂が祀られる場であり、
女性の魂は含まれなかったが、再構築の際に改良がなされ、男女両方の偉人の魂を保管できるようになった。
ヅアート英雄協会は「あの世」「霊界」と仮定した領域から英雄の霊をこの施設に呼び込み、
物質化させた上で待機状態に置き、必要なときに万英殿から召喚する、という術式を生み出した。

ムッガ動乱において襲撃され、万英殿のパーツ、また協会の極秘であった術式の中身が外部に流出する結果となった。
襲撃の原因の一つが、他宗教同士、異民族同士の偉人を、新しい術で混在させ活用していた事への反感だったと言われている。

【万英殿】はヅアート英雄協会が離散したのち、「全世界英雄協会」が設立される際に【万傑殿】として再建された。

405言理の妖精語りて曰く、:2017/01/27(金) 11:15:45
ムッガ動乱のあと、チャカ大陸、また本大陸西部各地において起こった内乱、革命において【英雄】の姿が見られるようになる。

神話や伝説、古い歴史書や伝承に語られる英雄たちが時を超えて出現し、
自分の同胞たちが求める分離独立、主権ある土地のためにその力をふるった。

406言理の妖精語りて曰く、:2017/02/02(木) 14:58:28
協会の英雄召喚技術で召喚される英雄は、知名度や民衆の支持と関係なく、
古ければ古いものであるほど強力な傾向がある。生前の実力では隔たりがあっても、
古いというだけでそれが逆転する事も珍しくない。

ヅアート英雄協会時代には「あの世」「霊界」に長く居たことと関係があるという推測がなされた。
全世界英雄協会の場合、その傾向があるのは認めながらも理由については例によって「ノーコメント」である。

407言理の妖精語りて曰く、:2017/02/03(金) 16:15:05
古い英雄のほうが強いなら古い英雄をたくさん召喚すればいい、というわけにもいかない。
新しい英雄と技術の原理は全く同じであり、多少の手間と必要な資材・エネルギーが殖えるだけである。
しかし、古い英雄の場合、「一時召喚」という形でなされることがほとんど。
これは文字通り一時的に英雄を召喚するもので、魔法や異能を行使してもらったら、その場で帰ってもらう方式である。

問題は彼らの価値観や思想背景である。古ければ古いほど、その価値基準は現代人と隔たり、
過去に起った歴史上の争いや対立も当事者であるなら、現代であろうと冷静ではいられない。
「常時召喚」をされた英雄が「不用意な発言」をしたり英雄同士、また対立相手の子孫とぶつかることになれば、その炎上の鎮火は大変である。

408言理の妖精語りて曰く、:2017/02/04(土) 18:47:55
【万英殿】には、召喚された英雄たちのために、武具や衣裳が用意された倉庫が設置されていた。
それは、段々と規模を拡大し、ついには【万具殿】と呼ばれる巨大施設となった。

409言理の妖精語りて曰く、:2017/02/06(月) 00:11:11
ムッガ動乱においては万具殿に納められた武具や衣装も盗み出された。

万英殿が万傑殿へと改築されるさい、万具殿とその収納物には霊体認証システムが導入され、それぞれの武具と衣装は登録された英雄にしか扱えないよう工夫された。

410言理の妖精語りて曰く、:2017/02/06(月) 15:24:04
全世界心技体育競技大会の上位入賞者、所謂「メダリスト」を没後、万傑殿に祀り上げるシステム。

これは「現代的な価値観を持ち、それ故に古き者よりは御しやすい英雄」を確保する手段である。
万具殿の衣装と武具によってパワーを底上げすれば、近世〜近代の英雄ほどの出力は発揮できる。

411言理の妖精語りて曰く、:2017/02/06(月) 18:41:48
通常、英雄と武具では英雄の方がより重要である。

それは、万具殿に用意された武具の多くが、召喚された英雄が扱うことで初めて威力を発揮するレプリカであり、古代に失われた武具の「再現品」であるということもある。

だが、一番の理由は、英雄が扱う武具には、成人男子十数人がかりでないと持ち運ぶことすらままならない棍棒や、担い手を選ぶ魔剣なども珍しくは無いということだ。
単純に、武具だけあっても役に立たないのである。

412言理の妖精語りて曰く、:2017/02/07(火) 20:44:39
【ラクルラール=カラテ=G3―Xアーマー】
略して、【ラクカラアーマー】とは、AIによるサポートで理想的な動きが出来るようになるパワードスーツである。

この装備は、身に付ければ変身ヒーローのように強くなり、天使的な存在をも倒せるようになる、という触れ込みで警察に売り込まれた。
しかし、これを使いこなすには、AIの指示に完全に支配される「無我の境地」を装着者が得ることが必要であり、そのため実戦配備は未だ難航している。

413言理の妖精語りて曰く、:2017/02/09(木) 20:02:00
「万具殿」に納められている武具には「英雄の残り香」すなわち、その武具を扱った英雄の力の残滓が残留している。

414言理の妖精語りて曰く、:2017/03/05(日) 17:58:01
『ふりくと学園メモリアル』とは、男性キャラ同士の接触・衝突を設計出来るゲームである。

キャッチフレーズは、「運命を変革するRPG」
公式からは、関係構築RPGとも言われている。

415言理の妖精語りて曰く、:2017/03/09(木) 20:17:50
【共有日記】
類感魔術の応用で、通信が可能な魔術書。
リアルタイムで更新される交換日記である。

416言理の妖精語りて曰く、:2017/03/14(火) 20:09:22
それでも女の子と女の子がおでことおでこをこつんとする事には勝らないと言われている。

417言理の妖精語りて曰く、:2017/03/14(火) 21:14:32
女の子同士の「こつん」は、二人を見ていた人の心をも震わせ、記憶を呼び覚ますからだ

そう、失われた記憶が甦り、過去の捉え方が変わるとき
それはある意味、光を越えた速さだと、言うことが出来るのだ

418言理の妖精語りて曰く、:2017/03/26(日) 18:34:18
メクセト王は『不滅の金属』をもって、多くの【神滅ぼしの武具】を作ったという。

419言理の妖精語りて曰く、:2017/04/27(木) 20:22:47
扶桑崎鷲太郎の『第一候補』案は、これ以上無いほど失敗した。
彼には、もはやそれに挑戦する意欲が無くなっていたのだ。
彼は、その案の虚しさを思い知っていた。
例え『第一候補』である【天空神の槍】を完成させたとしても、彼に訪れるのは虚しさと敗北だけであろう、と。
欧州で彼が体験した、ある奇妙な冒険の記憶が、彼にそう告げていたのだ。

420言理の妖精語りて曰く、:2017/04/28(金) 20:38:31
叔父であり、義父でもある扶桑崎大和の想いを知っていた鷲太郎は、表立って復讐を試みることは無かった。
しかし、彼はまた、自分と母を不幸にした神々への復讐のため、いかなる機会も逃すつもりはなかった。
しかも彼は、日本において『神々の復活』関連の問題を一手に引きうける機関に所属していたのだ。
実行部隊ではなく、バックアップ部隊の所属であるとはいえ、そんな彼にとって必要な情報を集めるのは、決して難しくはなかったのだ。

421言理の妖精語りて曰く、:2017/04/30(日) 06:06:29
だが、そんな彼であっても、【槍】のノウハウを持つ組織に接触することは難しかった。
それが海外の組織、ドイツの組織であること自体は、問題ではなかった。
鷲太郎の所属する組織は、世界中にある同様の組織と協力関係にあったからである。
当の組織が、治安側ではなく反権力側、もっと正確に言えば犯罪組織に近いものであることでさえ、接触することだけを考えれば問題ではなかった。

問題であったのは、その組織がよりによって『ネオナチ』と関わりがある組織であるということであった。
いくら世界中の『組織』が協力的な関係にあるとはいえ、自国の恥部を他国に解決させる『組織』など存在するわけがない。
『ドイツの【槍】に関わるな』
情報が判明してからすぐに、それが鷲太郎たちが所属する組織にとっての正式な決定事項となった。
それは、個人的な心情などを超越した、絶対的な禁止命令であった。

鷲太郎は、【槍】を作り出すノウハウを目の前にしながらも、それとの接触を禁じられてしまったのだ。

422言理の妖精語りて曰く、:2017/05/02(火) 21:29:45
しかし、それでも彼は決して、その組織との接触を諦めようとはしなかった。
その時の彼は、やっと見つけた復讐の機会に心を燃え上がらせていたのだ。

公式なルートで接触出来ないのなら、裏のルートを用いれば良い。
彼は、裏社会経由で渡りをつけ、フリーの神具鍛冶として密かにドイツへ渡った。
もちろん、所属『組織』には、出国前に辞表を提出していた。
いくら日本の『組織』といえど、脱退した人間を拘束することは出来ない。

そうして、準備を整えた彼は、後ろ髪をひかれる思いで故国を後にした。
もはや、二度と帰らぬ覚悟と共に。

彼の僅かな心残りは、実の息子のように可愛がってくれた伯父、扶桑崎大和にきちんと別れを告げていないことだけであった。
機上の人となった彼は、伯父と、その悪友である無空和尚の顔を思い浮かべながら、到着後のスケジュールを再確認していた。
もはや、あの二人の顔を見ることは、もう二度と無いかもしれない。
感傷に浸る扶桑崎鷲太郎であったが、その時の彼には、これから先に奇妙な冒険が待ち受けていることなど知るよしも無かったのだ。
さらに言うならば、彼の荷物の中には、その伯父当人が丹念に作り上げたお守りと、無空和尚による土産を催促する手紙が密かに仕込まれていたのだが…………当然ながら、そんなことなど彼には知るよしも無かったのであった。

彼が荷物の『仕込み』に気付き、嬉し涙を流したり、怒りの声と共に手紙を破り捨てるのは、彼が感傷に浸った、そのわずか2分後のことになる。

423言理の妖精語りて曰く、:2017/05/18(木) 17:56:39
18世紀に生まれた「最後のスラヴの神」その名はツィルニトラ。
この神の像がドイツ西部ブランデンブルクで「発掘」されたことがこの神の誕生の契機となった。

この地にかつて住んだスラヴ系民族の崇めた神、かつて崇められていた、と信用され、
その想念の「枠」が受け皿となり、この神は「受肉」した。

少なくとも「組織」はそう認識している。

この神の像が含まれる「プリルヴィッツの偶像」は地元の職人による贋作であることが後に暴かれたのは事実である。

スラヴの「信仰を失った神々」も、彼が古代から存在したなんて話は知らない、と言う。

ツィルニトラは寄る辺なき神であった。

424言理の妖精語りて曰く、:2017/05/18(木) 23:58:49
スラヴの神々からも、ゲルマンの神々からも距離を置かれている彼は、人間に化けてその社会に紛れ込む事にした。
「魔法の神」と言う彼にとっては事実である自己認識も、他の神々からは支持されない。
自己にとっての真実を確認し直すため、更新するため、人間の世界で一から魔術を学ぶ事にした。

このとき「像を造らせ『発掘』させる」力を大いに活用した。

425言理の妖精語りて曰く、:2017/06/16(金) 05:42:13
ヘレゼクシュ地方の鉱山では、【カボチャ灯】が愛用されている。
この灯火は「鉄皮南瓜」に「行き場を無くした魂」をまじないで変形させた「燃える金貨」を入れて作られる。
そうした作成方法はともかく、この【カボチャ灯】は、とても美しい照明である。
鉱夫たちの鎚音が響く薄暗い坑道では、ゆらゆらとかすかな風に揺らめくこの灯火が、唯一の明かりでなのだ。
この灯火は、橙色の光を投げかけ、小柄な鉱夫たちの影を何倍にも引き延ばし、さらなる薄い影と共に踊らせる。

426言理の妖精語りて曰く、:2017/06/27(火) 17:55:04
【齧る四肢】

審理的真理軍の長となったトーマが装着した、モナドリアクター内臓の義足と義手。
オルテガ通商連合ギルドのプラチナ会員企業「ビスカン商会」から流出した技術が用いられている。
装着者はこの名をとって「齧る四肢のトーマ」と呼ばれた。

手のひら、足の裏に触れたものを装着者の意図に応じて、モナドへと還元し、エネルギーとして吸収したり、
そのまま任意の方向に暴発させることができる。

法術を使用できないという宗教上の利用から、法術やその他の「異端的」「異教的」な術体系を使用できない唯信派の彼らは
それらに合致しないテクノロジーを追い求めた。モナドリアクターはそんな彼等が手にした力の一つである。

427言理の妖精語りて曰く、:2017/06/28(水) 06:06:32
【さいからミシン】があれば、誰でも裁縫の達人になることが出来る。

このミシンは、ファッション系企業が売り出した商品であり、専用のコミュニティである【VRものづくり工房】との連動機能がウリである。
このミシンさえあれば、提携ブランドの最新スタイルの服や洋服を、自分の手で作り出すことが出来る。
更に、コミュニティに自作した衣服のデータをアップロードすることで、デザインをSNS内で共有したり、工場委託して大量生産することも出来る。
更には、有料デザインとして売り出したりすることも可能なのである。

人気のあるデザインをした者や、定期的に行われるコンテストに入賞した者には、プロへの道が開かれているという噂もあり、このミシンは、今や品薄商品である。

そして、この好評を受け、販売元は【さいから3Dプリンタ】なる姉妹商品を売り出すとのことだ。
新時代のネットワーク連動製品の勢いは、まだまだ止まることはないであろう。

428言理の妖精語りて曰く、:2017/07/20(木) 05:34:15
扶桑崎鷲太郎は、あらゆる事態を覚悟していたはずであった。
彼は、ドイツの秘密結社と接触するにあたり、ドイツを完璧にマスターしていたし、裏社会の事情も探れるだけ探っていた。
汚い仕事に従事させられることも想定していたし、もちろん、いざという時に逃亡するためのルートさえ用意していたのだ。

それでも、どれだけ準備を積み重ねても、どれほど情報を集めても、力の及ばない事態というものも、存在する。
鷲太郎は、そのことも、きちんと肝に銘じていたはずであった。

429言理の妖精語りて曰く、:2017/07/21(金) 05:58:37
彼は、どれほど過酷な「仕事」 にも耐えるつもりであった――――実際には「仕事」と呼べるようなものは、ほとんど無かった。
彼は、多少の犯罪や悪事にも、その手を染める覚悟はあった――――しかし、求められていたのは、むしろ慈善行為に近い「仕事」であった
彼は、接触対象が小さな組織であり、カルト化した閉鎖的な集団となっていることも覚悟していた――――しかし、まさかその「秘密結社」が家族経営だとは、予想もしていなかった。
彼は、どんな厄介な上司や同僚をも、覚悟していた。
靴をなめさせられようが、どれだけ理不尽な命令をされようが、耐えるだけの備えと対応力は身に付けてきた。
だが、
だが、
だが――――彼の上司は、どこにでも居そうな主婦であり、彼に与えられた部下も、またどこにでも居そうな小娘であった。
確かに、彼には神具鍛冶としての技能は求められていた。
しかし「結社」の予算や、準備の関係のため、今のところそれらを振るうことは出来なかった。
どれほど腕の良い技術者でも、素材が揃わねば、その力を見せることは出来ない。

かくして――――陰惨でハードボイルドな「仕事」に従事するはずだった扶桑崎鷲太郎は、「上司」であり「首領」である話好きな主婦の身の上話と、ワガママで小生意気な「部下」子守りに付き合い続けるハメに陥ったのであった。

――――どうして、こうなった?

430言理の妖精語りて曰く、:2017/08/04(金) 07:13:49
【思晶石】とは、呪術結晶の一種。
それは、思いを内部に閉じ込める効果を持つ。
その製法は、鈴国が独占していることで有名である。

夏への憧れを封じ込めた石は、冬のさなかにもキラキラ輝き、暖かな思い出を刻んだ石は、暖炉の中であかあかと灯る。

431言理の妖精語りて曰く、:2017/08/05(土) 09:48:56
<<<<白いワンピースを着た幼馴染とヒマワリ畑を駆け抜け、ソーダの瓶をあけて入道雲の聳える青空をながめたものだった。>>>>

432言理の妖精語りて曰く、:2017/08/16(水) 02:24:13
センジュ・フォリアマールは全世界心技体育大会の金メダリストであり、死後、万傑殿での処置により英雄となった。

現代の英雄である彼は、死者としての時間が少なすぎて英雄としての出力に欠ける。
ここまでは他のメダリスト系英雄と同じだが、彼は莫大な資材を投じた追加パックの装着によりそれを補う。

433言理の妖精語りて曰く、:2017/08/17(木) 04:15:44
その追加パックは、いざ戦闘となると自動的に展開し、彼専用の鉄棒に変わるのだ

434言理の妖精語りて曰く、:2017/08/17(木) 04:43:15
扶桑鷲太郎は、東アジア最高の【神具鍛冶】にして、母を殺した神への復讐者たる半神である。
しかしそんな彼も、今では、すっかり子守りが板についてきてしまった。

まず朝は、誰よりも早く起きて、トレーニングをこなし、朝食の用意をする。
カルト教団【聖遺産協会】の正メンバーは二十人ぐらいいるらしいが、この本部(という名の山小屋)に暮らしているのは、わずか三名に過ぎないので、それも大した手間ではない。
次に、【偉大なる聖母】という仰々しい二つ名を持った一家の母親を起こし、続いて【栄光を約束されし麗しき妹君】なるワガママ娘を起こす。
ちなみに、後者の二つ名は、ワガママ娘当人にねだられて、鷲太郎がつけたものだ。
彼女には、それまでそのようなものが一切無かったらしく、つけた当日には飛び上がらんばかりに喜んでいた。
三日間に渡って苦労させられた鷲太郎も、これで報われるというものだが、彼女はなぜか、やたらと素直になりたがらない。
【聖母】様の前や【協会】の『公式行事』においては、別人のように素直で真面目な彼女なのだが、鷲太郎の前では、やたらと刺々しいのだ。
この時も、大喜びしたと思ったら、照れ隠しに蹴りを入れてきた。
まあ、中学生(くらい)の女子に蹴られてダメージを負うような鷲太郎ではないが、蹴られれば普通に痛いので、そこは避けておいた。
避けられた彼女は、鷲太郎の代わりにオーク材の堅固なタンスを蹴ってしまい、足の指を痛めてしばらく跳ねていた。
彼女は、しきりに悪態をついて鷲太郎を非難していたが、鷲太郎自身も、この時ばかりは自分を非難したい気分であった。
彼は、かわいそうでならなかった――――蹴られたタンスが。

そんな【妹君】を起こすことこそが、今のところ、この【協会】における鷲太郎の最大の任務であった。

435言理の妖精語りて曰く、:2017/08/18(金) 07:02:17
【妹君】は、やたらと寝起きが悪いくせに、寝起きの姿を見られることを酷く嫌がる。
そのため、【妹君】を起こしにいった鷲太郎の身体には、特に艶っぽい事情もないのに、引っ掻き傷だの歯形だのが付いていることも、稀ではない。
更に、うっかり【妹君】の寝乱れた姿を目撃などしてしまった日には、その被害は恐ろしいものになる。
鷲太郎は、子どもの身体になど全く興味は無いが、色々とデリケートな【妹君】にとっては、そうした『トラブル』は大問題なのだ。しかも、【妹君】は寝相がたいそう悪く、寝起きには、原始人か無人島漂流者のような斬新なファッションに身を包んでいることもざらである。
おかげで、裏社会にその名を知られる【神具鍛冶】鷲太郎が、この国に来てから最初に作り出した神秘の武具は、魔獣から身を守るための【狼牙のブレスレット】であった。
よりによって【神具鍛冶】の技術を用いて、荒ぶる少女から身を守ることになったことは、扶桑崎鷲太郎がこの国で味わった四番目くらいの驚きとなった。


そしてその後、【妹君】と共に食卓へと向かう。
一家の兄である【祝福されし黄金の目覚めを導く栄光なりし光の御子】は、【妹君】より遥かに早く起床しているので、こちらは起こしにいく必要はない。
ちなみに、こちらの長ったらしい二つ名は、鷲太郎がつけたものではない。
彼は、元々この一家、というより【協会】において、特別な地位にいるのだ。

【協会】の本部メンバー二名を終結させたところで、鷲太郎の朝の『任務』は完了する。
【協会】のトップである【聖母】は、仕事や出張などで本部を空けることも多い。
そのため、彼女に対して鷲太郎がなにかする必要は特になかった。

436言理の妖精語りて曰く、:2017/08/24(木) 05:53:37
【聖母】だけでなく、【御子】に関しても、起こす必要はあまり無い。
彼には、鷲太郎が起こしに行く前から起きているフシもあるくらいだ。
そのため、鷲太郎の『任務』は、【妹君】を起こした時点で、大体完了する。
そもそも【御子】は、とても素直で礼儀正しい男の子であり、鷲太郎に迷惑をかけることなど考えられなかった。
この国に来てから、ときどき鷲太郎は自分の幼い時分を思い返してみることが増えた。
しかし、復讐心をもてあまして、義父に迷惑をかけ通した(さらに言うなら今もかけ続けている)自分と、朝の連続ドラマに出演しても違和感が無さそうな【御子】は、どう比較しても、似ても似つかなかった。
ただ、それでも彼を見ていると、何やら心に引っ掛かるものを感じるのが、鷲太郎の気になるところであった。

437言理の妖精語りて曰く、:2017/09/03(日) 20:33:46
今日も何事も無し。
それを確認するのが、ドイツの『組織』に潜入した扶桑鷲太郎の日課となった。
彼は、復讐の手立てを求めて、このドイツに降り立った。
神をも殺す武具、【神滅ぼしの槍】の一つ【救世主の聖槍】は、実は公的に保管されているものは偽物であり、真物は、とある『組織』に保管されているとの情報を得たからだ。
それはありふれた胡散臭い噂であったが、鷲太郎は【神具鍛冶】としての知識を活かした分析と、幾らかの直感によってそこに真実が含まれていると判断したのだ。

しかし『組織』に求めた【槍】は、確かめてみると【救世主の聖槍】の真物ではなく【智神の槍】であり。
存在すると伝え聞いた【槍】は、『製作途上』であり。
そもそも、完成のメドすらたっていなかったのだ。
かつて、ナチスが【槍】について研究し、情報を収集していたというのは、紛れもなく事実であった。
しかし、最初は『帝国の栄光』のために、後には『逆転勝利』のために研究されたその資料は、敗戦と共にその多くが失われ、また闇に葬られていたのだ。

鷲太郎は、一度ひどく落ち込んだ後、気を取り直して再度の情報収集に努めることにした。
なんといっても、ドイツはドヴェルグたちの故郷の一つである。
滅んだ神々が復活した、この時代においても、失われたままの技術は多い。
だが、ここならば、日本とはまた別のルートから手に入る知識もあるに違いない。
それが、一度期待を外された鷲太郎が立てた算段であった。

そしてそれは、わずかな情報を得るだけで空振りに終わるはずであった。
そのはずだったのだ。

438言理の妖精語りて曰く、:2017/09/24(日) 12:14:51
兄妹の兄、ミヒャエルは、どこから見ても良い子だった。
彼は、【儀式】において重要な役割、はっきり言って生け贄に近い役割を担っているにも関わらず、きわめて真面目で素直だったのだ。
そう、素直過ぎるくらいに。

とはいえ鷲太郎から見て【儀式】の成算は、高くはない。
いや、はっきり言って成功の見込みなどはなかった。
【世界樹】と【生命の木】を重ね合わせること自体は、妖精王がどうとかいう小説で読んだことがあるが、そこへ更に【知恵の戦神】と【救世主】を重ね合わ
せて、神の持つ【永遠の生命】を【黄金の果実】として奪い取ろうなど、無理があり過ぎるように思えたのだ。
強大な存在になぞらえるにしても、それ相応の強大な触媒が必要となる。
コストや正確な手順の都合から言って、そうした儀式が成功したためしなどは一切なかった。

439言理の妖精語りて曰く、:2017/09/24(日) 12:37:38
柄を作るは去りし日々
穂となるは人々の営み
貫くは来たる無明の闇
この名を紀元槍とする

440言理の妖精語りて曰く、:2017/09/27(水) 04:16:10
終わりはいつも突然訪れる。

ひとつ前の世界は紀元槍が突然折れたことで滅びた。
槍の滅びを防ぎ、そして支え続けた英雄が突然引きずり出され、追放されたのだ。

追放した神々の釈明は不可解で矛盾に満ちていた。
呆れた妖精たちの中には更なる不信が募り、やがて離れていった。
槍の根元で訴えたところで雲上の神々は無視を決め込むだけだろうから。

441言理の妖精語りて曰く、:2017/10/07(土) 21:05:06
翡翠の神像は、清らかな音色をたてる
それは、日の光が奏でる太陽の音
南国の海中を思わせる、爽やかな緑の、明るい音

442言理の妖精語りて曰く、:2017/10/26(木) 21:26:41
エブグルブ・バフォウは紅玉の祭笏ナッタートマエーンを帯びて行動した。

ゴラムバ家の至宝であるこれを持つことは彼の魂の半分がディフワ・エマ・ゴラムバである証である。

すくなくとも信奉者たちはそう信じた。

443言理の妖精語りて曰く、:2017/10/28(土) 01:56:07
翡翠の神像と紅玉の祭笏の伝説

蠢動秩序総体開闢解講蟲神教すなわちガンディスシャニティアとルズ=アナイ=アナイすなわちルザナイ教が鬩ぎ合っていたある時代、
蟲術の大家は神々の加護を求めながら、蟲神の一柱を模った神像を掲げ、
いっぽう法術の大聖は唯一神の加護を求めながら、天霊が備える自在後光の意匠持つ紅玉の祭笏を掲げた。

その結果について双方が異なる伝承を伝えている。

ガンディスシャニティア側の伝承は言う。天から差した光が翡翠の神像に宿り、羽化した神霊の奏でる太陽の覚曲が異教徒を薙ぎ払ったと。
ルザナイ教側の伝承は言う。聖人が祭笏を投げるとそれは一直線に異教の偶像に飛んでいき、その胸を貫き粉砕し、憑依しかけた異教の悪霊を退散せしめたと。

444言理の妖精語りて曰く、:2017/10/29(日) 13:44:24
このとき紅玉の祭笏ナッタートマエーンを掲げた聖者。彼こそがゴラムバ家の祖なる大聖ゴラである。

ゴラの死後、紅玉の祭笏は彼の遺体とともに墳墓に葬られた。
しかし、火山の大噴火による溶岩流がその上を覆い、墳墓は埋め立てられてしまった。

紅玉の祭笏はゴラムバ家当主の就任式において墳墓から取り出され用いられてきたが、
これを期にそれはできなくなってしまった。

それでもなお、ゴラムバ家は紅玉の祭笏を一族の至宝として、神から預けられつづけていると認識した。

445言理の妖精語りて曰く、:2017/10/29(日) 14:26:44
【無明の剣】むめいのつるぎ はメクセトが作った神滅ぼしの武具の一つである

この剣は斬りつけたものの光を奪う(生物ならば視力を失わせる)とされるが、これは副次的な機能であり、本来の力は別にある。
その本来の機能は時空圧縮であり、光すら歪曲する斬撃によって何もかもを消滅させるという。
きわめて強力な武具だが、この全力の一撃を放った使い手は代償として歴史から抹消され、存在そのものがなかったことにされてしまう。
ゆえに、この剣は「どうやら三回全力使用されたことがあるらしい」とわかっていても、
「誰がこの剣を用いたのか」は不明なままである。

446言理の妖精語りて曰く、:2017/11/07(火) 05:54:28
【無明の剣】には、周囲の光を残らず奪う機能が存在する。
しかし、その使い手にとっては、それがもたらす闇は大した問題ではない。
なぜなら、この光を奪う機能は、使い手に対しては常に発揮されるからだ。
すなわち、視覚に頼らない凄腕の剣士でなければ、この剣を使いこなすことはおろか、持って歩くことすら出来ないのだ。

447言理の妖精語りて曰く、:2017/11/16(木) 19:28:07
逸話武装(ナラティブ・ウェポン)は、改良され神話武装(ミソロジー・ウェポン)となった。
その本質は、最適行動教授アプリBABELにより管理される三つの「ギア」にある。

天球ギアは、生物としての最善を装備者に想起させ、地球ギアは、社会生物群としての最善を教授する。
そして、最後に人球ギアが、装備者個人の過去の経験を反映した最善・最適のルートを導くのだ。
天の法・地の理・人の生
この三つは、それぞれ異なる様式であり、異なる視座であるといえた。
それら全てが揃ってこそ、完全無欠たる行動補助足り得る。
そう、それが当時のきゆら大学教授会の結論だったのだ。

448言理の妖精語りて曰く、:2017/11/20(月) 20:05:40
拳銃は、剣に似ている

どちらも、「力」や権威の象徴として扱われがちだというのも共通点ではあるが、真に似通う性質は他にある

槍、弓矢、斧に鉄槌
他の武器は、本来、人間を殺すためのものではない。
だが、剣は違う。

剣は、人間しか殺せない
剣は、人間が作った、人間による人間を殺すためだけのための武器だ

拳銃もまた然り
拳銃は、狩りに使えない
木を切ることも、魚を捕ることも出来ない
拳銃を持つということは、護身以上に「殺人に備える」という意味が強い
それが、拳銃に与えられた宿命である
はるか昔から、剣がそうであったように


そして、拳銃が殺すのは、なにも他人だけとは限らない
その性質を説くには、追い詰められた独裁者や、戦に敗れた将軍を例にあげるまでもないだろう
そう、その銃口に最も近いのは、常に…………

449言理の妖精語りて曰く、:2017/11/21(火) 19:59:56
【ラクルラール・クォンタム・ストリングス】とは、半虚構の糸である。
それは、モノフィラメントより細く、そして何よりも頑強な糸であり、世界に第三の産業革命をもたらした革新的な構造材だった。

450言理の妖精語りて曰く、:2017/11/24(金) 19:10:11
【平和狂典RIP】とは、神滅ぼしの武具の一つ。
メクセトが作り出した魔導書であり、彼流の平和主義を実現する武具である。

この魔導書は、一種の【法典】であり、「死を恐れない攻撃的な民」の自己認識を「死を恐れない平和主義な民」に変える力を持っている。
この法典をいただく民は、自身を「平和を愛する善良な人物」であると考えるようになる。
さらに彼らは、自らの攻撃性を基準にして他者の攻撃性を判断するため、他者を全て「凶悪に攻撃的な存在」とみなす。
彼らは、自分達の攻撃衝動の影に過ぎない相手を恐れ、これに傷つけられないようにするために、争いを非常に忌み嫌うようになるのだ。
ただし、この【法典】の力でも、法典の民自身が持つ攻撃性自体は取り除かれないため、法典の民は、知らず知らずのうちに(存在しないはずの)自らの攻撃性をもてあますようになってしまう。
自覚の無い好戦的な軍団の誕生である。

一説によると、この状態はあくまで「待機状態」であり、法典の民は、【法典】からの指令を受けることで、真の「攻撃状態」に移行するのだという。
「攻撃状態」に移行した法典の民は、「みせかけの攻撃的な平和主義」から「絶対的に攻撃的な攻撃主義」へとその思想を変え、全ての民が死に絶えるまで戦い続けるという。
これまで(自分を守るためだけに)争いに関するもの全てを非難してきた者が、今度は(自分を守るためだけに)争いをやめさせようとする全てのものを非難し、排除しようとし始めるのだ。
そうなれば、その攻撃性は、利害で争いを起こそうとする者を軽く上回る。
その時彼らは、あくまで「自分達は被害者」だと信じ、争いという醜い行為に「無理矢理」駆り立てられる己を憐れんで悲しみの涙を流しながら、嬉々として「攻撃的な敵」を殺戮し続けるのだという。

この【法典】を授けられた民について、詳しいことは分かっていない。

451言理の妖精語りて曰く、:2017/12/05(火) 19:00:26
わたしが昔、大事にしていたのは、ちいさな魔女の人形だった

いつしかなくしてしまったけれど、あの子は大事な友だちだった

彼女は、どこへ行ったのだろう?

452言理の妖精語りて曰く、:2017/12/08(金) 18:48:36
【フィリス】は、『腹話呪文』に使う人形である
その性別・年齢・形態に決まりはない
なんなら、そこらの木や岩だって【フィリス】に成り得るのである

【フィリス】、それは無言の代弁者にして『呪文使いに使われる呪文使い』である

453言理の妖精語りて曰く、:2017/12/13(水) 16:18:03
ナタク

「信仰され地上から消えた神々」の研究の一環として、「オーダー・オブ・ホモ・サピエンス」時代の扶桑崎大和が、
レプティリアンから制作を命じられた。中国神話の「哪吒太子」を再現すべく造られたホムンクルスの一体。
神の子でもなければ仙人の手になるものでもない、「俗人が造ったネオ・哪吒太子」ともいうべき存在。

ネオ・ナタはいろは順に制作され、28体目のナタクをもってネオ・哪吒太子は完成をみた。

454言理の妖精語りて曰く、:2017/12/20(水) 19:32:19
【炎冠のヒュドラボルテージ】とは、最高のお笑い芸人にのみ与えられる至高の栄誉である。

遥か太古の昔、平和を愛するメクセト王は、争いが絶えない国に心を痛めていた。
だが、彼には秘策があったのだ。
どんな争いも、瞬く間に終わらせることが出来る究極の秘策が。
そう、それこそが『お笑い』である。
メクセト王が選び抜いた最高の芸人は、前線に到着する半年前には既に「くすくす笑い」を巻き起こし、本陣に到着した時には、そこを爆笑の渦へと変貌させていたという。

その芸人は、メクセト王から賜った赤い派手な帽子をかぶっており、これがのちの【ヒュドラボルテージ】の由来となったのだ。

強烈なツッコミと無双の天然ボケ、そして天性の魅力を持つ至高の芸人のみが【ヒュドラボルテージ】に認められ、それをかぶることを許されるのだという

455言理の妖精語りて曰く、:2017/12/22(金) 22:51:37
五大紀剣の内、猫の紀剣コナタだけが記述見当たらないな…
七天八刀最強の刀なんじゃが

456言理の妖精語りて曰く、:2017/12/28(木) 05:00:41
【代弁帽】
代弁帽とは、着用者の心を読み取って代わりに話すことが出来る魔法の帽子である
これさえあれば、どんなスピーチや演説も可能なのだ。
ただし、これには、時に不必要なことまで話し出してしまうという重大な欠点がある。

457言理の妖精語りて曰く、:2018/01/02(火) 07:58:44
猫の紀剣コナタについて、詳しいことは分かっていない。
ただ、それは「必要とされるときに、いつもそばにある剣」であると、ただそれだけが伝えられているのだ。

458言理の妖精語りて曰く、:2018/01/17(水) 05:23:54
【灰剣ソツィリスティン】とは、キュトスの姉妹【マリアフィーリース】の遺灰から作られた剣
魔剣である
これは、少しずつとはいえ、世界そのものをも焼きつくし、灰となす力を持つ

だが、この剣の最も恐ろしい特徴は、そんな破壊力ではない
ソツィリスティンには「姫育て」と呼ばれる所有者を自己作成する機能があるのだ
自分や自分の人生に不満を持つもの、根拠のない遠方や貴人への憧れを持つもの、むやみやたらと競争心や被害者意識が強いもの
この剣は、それらを誘導し、影響を与え、自らの担い手である魔女【カルル・アルル・ア】に「鍛造」するのだ
これこそが、この剣が魔剣として恐れられる由縁である

459言理の妖精語りて曰く、:2018/01/24(水) 17:54:28
メクセト王が創り出した【神滅ぼしの武具】のうちの一つは、巨大な鎧であった。
その名を【都市鎧ザーケン】という。

その鎧は、一見すると、まるで鉄格子で出来た城のように見える。
だが、その中には水の循環があり、植物が生い茂り、人々があちこちに家を作って生活しているのだ。
そして、この城は歩く。
これは、巨人のように、二本の足でゆっくりと歩く魔導の鎧なのだ。

メクセトが、なぜこのような鎧を創ったのかは、未だに謎とされている。
一説によると、真の【都市鎧】は、既に神滅ぼしの戦で滅びており、これは念のために創られた予備に過ぎないのだとそうだ。

ともかく、鎧は今日も歩く。
その身に一枚の装甲も付けず、立ち向かう敵すら持たないままに。

460言理の妖精語りて曰く、:2018/01/26(金) 19:45:40
扶桑鷲太郎が身を寄せた『結社』の長であるヘレーネは、どうみてもただの主婦であった。
その姿は、むしろ『寄宿先の女主人』と言った方が適切であろう。
二人の子供を妊娠し、恋人に逃げられ、友人に財産をだまし取られて、政府の補助と地元のアルバイトでなんとか生活する女性。
その不幸の反動か、子どもを溺愛し、変なおまじないや宗教にハマっているらしい。

それが「普通」の社会から見たヘレーネであったし、少なからず世界の「裏」に関わる鷲太郎が見ても、それは変わらなかった。


彼女は『神滅ぼしの槍』の情報など持ってはいないし、本当の神秘や神々とも、全く関わりが無いに違いない。
鷲太郎が感じたその印象は、その前半までは確かに正しかった。
だが、後半の印象は間違っていた。
そのことを、彼はやがて、その身で実感することになる。

461言理の妖精語りて曰く、:2018/02/04(日) 08:51:28
魔法少女オレオレは、一枚のカードを取り出した。
「それがアンタの『新しい魔法』なの?ずいぶんと派手なカードね」
相棒(マスコット)の泥棒猫リーリエは、どうもそのカードがあんまりお気に召さないようだ
「へへーん!これこそが『キュトスカード』!魔ほ少女協会からレンタルしてきた最新のアイテムなんだよ!」
オレオレは、カードを振りかざし、無い胸を精一杯張った。
本人の脳内では、格好良い自画像が描かれているのかもしれないが、どうひいき目に見ても『新しいおもちゃを自慢したい子ども』にしか見えなかった。
現実は、非情である。
「で、それで何が出来るの?」
リーリエはそんな自惚れ娘を放っておいて、話を進めることにした。
彼女も、いい加減オレオレとの付き合い方に慣れてきたのだろう。
「電話が出来ます」
「は?」
「だから、電話が出来るんだってば!」
「それ、スマホかなんかなの?魔法少女の仕事や戦闘に役立つとは思えないんだけど?」
「魔法少女のお仕事に、戦闘は絶対必要なわけじゃないよー。それに、これだけじゃ電話は出来ないって」
「じゃあ、なんなのよ、早く説明しなさい。30字以内で簡潔にね」
「うう・・リーリエきびしいよー」
「はいはい、人から時間を盗まないの。アンタは泥棒猫じゃないでしょう?」
リーリエは、相棒の足をぺしぺしと叩いて話をうながす。
こうやって、自然と進行役を務めてしまうあたり、結構彼女は魔法少女のマスコットに向いているのかもしれない。
「このカードには、一枚につき一人の『キュトスの姉妹』の電話番号が書いてあるんだよ。それに【マジホ】で、電話やメールをすると相手の人が力を貸してくれるんだー。プリペイドカードだから、電話代も払わなくて良いんだよ!」
「なんだ、ただのテレホンカードじゃない。というかアダルトな広告っぽくもあるわね」
「テレホンカードってなーに?」
「・・・もうそんな時代か。まあ、今はそんなことは気にしなくていーの。アンタは、さっさとそれで魔法を使いなさい。【悪夢】の事件を解決したいんでしょう?」
「はーい。おねがい【ラプンシエル】さん!力を貸して!」
オレオレは、返事をするや否や、ポケットから取り出した魔法携帯【マジホ】のカードリーダーに、【キュトスカード】を差し込んだ。

462言理の妖精語りて曰く、:2018/02/04(日) 08:52:01
プルル・・・プルル・・・プルル
色気の無い呼び出し音が、あたりに響きわたる。
プルル・・・プルル・・・プルル
プルル・・・プルル・・・プルル
プルル・・・プルル・・・プルル・・・・・・・・
「ねえ、いつまで待たせるの、コレ?」
「だ、大丈夫!【ラプンシエル】さんのご都合が良ければ、きっと応えてくれるよ!」
「コレ、相手の都合次第なの!?」
「だって、私ただの派遣魔法少女だもん!姉妹の絆とかコネとかないもん!」
叫んだ後、肩を落とすオレオレ。
「アンタに一瞬でも期待した、私がバカだったわ・・・」
そのままであれば、その場の空気は致命的に落ち込むところであったが、なんとかその展開は免れることになる。
オレオレが握りしめていた【マジホ】が明るく輝いたのだ。
通信、接続のしるしである。
「きたきたー!!」
「おお、やっとね」
一人と一匹が固唾を飲んで見守る中、オレオレの【マジホ】から放たれた光は、一点に集約されて一つの幻像となる。
それは、一人の美しい少女であった。
「ムダに髪が長い女ねー。それに、ずいぶんとエラそうだわ」
「しっ、いくら本当のことでも、本人の前で言っちゃかわいそうだよ!」
だが、彼女たちの第一印象はあまり良くないようだ。
そんな言いたい放題なオレオレたちの発言が、聞こえているのかいないのか、少女は淡々と言葉を連ね始めた。
彼女は言う。
「選びなさい。私の【魔眼】の力を借りるか、レタス一個を産地直送価格で購入するか。あなたたちには、二つの選択肢があるわ」
「なんでレタスなのよ・・・」
すかさずつっこむリーリエ。
ツッコミは、魔法少女マスコットの義務なのだろうか。
一方、彼女の相棒は悩んでいた。
「うーん、最近お野菜高いしなー。レタスを安く買うか、【魔眼】の力か。レタス、【魔眼】、レタス、レタス、レタス、レタス・・・」
「なんでそこで悩むのよ!さっさと【魔眼】を頼んで事件を解決しなさい!」
どうやら、ツッコミはマスコットの義務ではなく、不可欠な技能であったようだ。
彼女のツッコミによって、オレオエはようやく決断を下す。
「【魔眼】の力で、この【悪夢】の魔法が関わる事件の数々を整理して下さい!バラバラな事件のつながりが分からなくて、困ってるんです!」
「わかったわ。私にとってどうでもいいことだから、どうでもいいなりに、全力で処理してあげる」
幻像の【ラプンシエル】は、妙なセリフと共に空の高みへと浮かび上がった。
いつのまにか、彼女の足元には塔の幻が出現しており、どうやらそれが彼女を持ち上げているらしい。
「よく分かんない女ねー。あの、ムダに偉そうな態度はどうにかならないのかしら」
「たぶん、そういう『設定』なんだよ。というか、力を貸してくれるんだからどうでも良いよ!【ラプンシエル】さんは、良い人だよー」
「アンタ、結構現金ね・・・」
相変わらずの凸凹主従の会話を無視しながら、彼女は、続けて語る。
「私は『塔の上の姫』世界の全ては、私の下に。どんな壁も、難問も、見降ろしてしまえば単純なもの。『世界よ、私の膝下に広がりなさい』」
その言葉と共に、それまで放置されていたテーブルの上の書類が、舞い上がった。
写真、レポート、インタビュー集、行き詰ったオレオレが書いた落書き・・・【悪夢】の事件に関する、様々な資料たち。
それらは、【ラプンシエル】の言葉とともに、宙を舞い、その位置を入れ替え、一つの絵図をなしていく。
彼女の力によって、書類たちは、一つの秩序のもとに、テーブルの上に並び替えられたのだ。
これこそが、【ラプンシエル】の、そして【キュトスカード】の力であった。

463言理の妖精語りて曰く、:2018/02/18(日) 22:55:21
【岩穿ちの剣】は英雄シャーフリートの愛剣として知られるが、
この剣は彼と敵対していた「大地の中心の九十九騎士」の一人、パルフォテッラのことでもある。
すなわち、騎士としての名前がパルフォテッラであり、剣としての名が岩穿ちの剣なのである。
シャーフリートは人魚に課された試練の一つとしてパルフォテッラとの決闘を行い、
4種の戦いを制することで、相手を己の武具とした。

464言理の妖精語りて曰く、:2018/02/25(日) 11:00:07
レストロオセの四十四騎士は、騎士メダリオンに封印されていた
このメダリオンは、騎士の序列ごとに異なる素材で形成されており、水晶、黄金、銀、プラチナ、そして樫やハンノキなどその種類は多様であった
中でも一番美しいのは水晶のメダリオンであり、これは普段こそ透明ではあるが、光を受けると万色の輝きを放ったという

465言理の妖精語りて曰く、:2018/02/25(日) 20:43:12
【双界玉レギュラシオン】は、「神滅ぼしの武具」の一つ
世界を内蔵する双玉である
これは、「昼の世界」と「夜の世界」を内蔵する魔道具であり、一抱えほどの大きさの、接着された二つの玉の形をしていた
この一つの玉につき、一つの世界が内臓されているのである

この武具の主要な機能は二つあり、攻撃と防御に対応している
攻撃の機能は「昼の世界」の熱を、小さな流星として飛ばすもの
防御の機能は「夜の世界」の闇に、相手の攻撃を吸収するものであった
そして、二つの機能には作用と反作用の関係があり、片方の機能だけを使い続けるとバランスを崩してしまう危険があった
すなわち、暴走である

だが、実はこの暴走こそが、この武具の第三にして真なる機能なのだ
二つの「世界」のバランスが崩れると、この宝玉は周囲の全てを吸引してそのバランスを取り戻そうとする
そして、最後には二つの「世界」は激突し、圧壊するのだ
その威力は、神をも滅ぼす

そして、暴走時に武具の周囲の存在した全ては、その吸引から逃れることが出来ない
もちろん、武具の使用者も逃げることは出来ない
小さいとはいえ、世界二つを「神を殺す」ためだけに消費し、使用者の命や安全など全く考慮していない
これこそが、かの恐るべきメクセト王の作り出した「神滅ぼしの武具」である

466言理の妖精語りて曰く、:2018/02/26(月) 22:10:05
五大紀剣が一振り、猫の鍛えし剣コナタ。
『遍』性に特化した紀を持つこの剣は、此方より斬撃を届かせ、彼方よりの攻撃を防ぐ。
つまり、量子のゆらぎを操ることで、きわめて一方的な戦いを可能とするのである。
しかし、この剣の真の力を引き出せる剣士は少ない。
その数少ない一人こそ、現所有者である七天八刀最強の剣士、猫武士道こと夜彦その猫である。

467言理の妖精語りて曰く、:2018/02/27(火) 20:29:36
【星頭鎚・ンデイマ】は、「神滅ぼしの武具」の一つ
星を鎚頭(ハンマーヘッド)とするハンマーだ

それは、天に漂う塵を流星の鎚頭と変えることが出来た
そして、その流星を全て防いだ神が慢心したとき、この武具の持ち主は、真なる鎚頭を以ってこれを迎撃したのだ
そう、それは当時、まだ一つの丸い星であったもの
この大地そのものが、この武具の真なる鎚頭だったのだ

たとえ神であっても、それほどの重さに耐えられるわけがない
神は滅び、この鎚の使用者も反動によって滅び、大地さえも砕けて散った
これが、今の【散らばった大地の世界】が出来た理由なのだ

なに?冗談が過ぎるって?
なら、今すぐお前さんの頭をこの割ってみせようか?
なにを隠そう、この鎚こそ・・・・・・・・

お、おい女将! 鎚を持っていくんじゃあない!
なに、今日こそツケを返せだと?
ま、待てツケなら返す!
あと少し、そう明日、明日には!
だからもう少し待て! 
今コイツからさっきの話の講釈料を取るから、今晩はひとまず・・・・あれ?アイツどこへ行きやがった!?

待て、女将、待て、待ってくださいお願いしますってー

468言理の妖精語りて曰く、:2018/03/02(金) 06:05:04
悪夢の槍は、よくアルセスの槍と同一視される。
それは、無限に前進する人間精神の具現であり、世界精神そのものの表れでもある
それは、世界を支配する王者の証
無限に前進する活力と希望のしるし

だが、それは同時に、あらゆるものを破壊し再生する力でもあるのだ
斧の日常性と槍の非日常
保守と革新、反動と革命、守旧と進歩、変化適応と環境改変
つまり、自分が変化することと、他の変化を自己に合わせて利用すること
これらの対立する要素は、同時に深く関わり合っている。
悲しみと憎しみ、癒し、優しさ、そして愛の矛盾性
それらの力が、ここにあるのだ。

469言理の妖精語りて曰く、:2018/03/02(金) 20:56:05
【族滅槍レベウス】は、凶悪な神滅ぼしの武具だ
神滅ぼしの武具には、恐ろしいもの、大量殺戮を行うものがあまりに多い
それらは神を滅ぼすため、いかなる悪神でさえ及ばない悪意が込められた武具であり、神をも滅ぼす覇王の悪意だ

だが、そんな中でも最も恐ろしいものこそ【族滅槍レベウス】だと私は思うのだ
この槍は、一つの一族を必ず滅ぼす
正確に言えば、これは一族「を」滅ぼすための槍ではなく、どうしても一族「が」滅びてしまう槍であり、必然的に犠牲を強いる武器なのだ
そう、【族滅槍レベウス】とは、一族の全てを犠牲にすることでたった一柱の神を滅ぼすという、そうした武具なのだ

伝承によれば、ある悪神を滅ぼすため、当時最も多くの成員を誇った一族が犠牲となった
加えて、その攻撃に加わろうと【レベウス】の使用が決定された後からも、多くのものがその一族に進んで加わったという
結果として、かつてその一族が存在した山腹は、遥かな時が流れた今すら無人の地のままである
環境が悪化したわけではない、ただ住民が残らず姿を消したのだ
その地は、清らかな水と森の恵みに満たされ、肥え太った鹿や鳥にも事欠かない
そんな、人が住むにはこれ以上ないほどの良地であるにも関わらず、なぜか誰も住みつかないのだ
【レベウス】の呪いは、確かに悪神を滅ぼしたが、同時にそれ以上のものも地上から消し去ってしまったのかもしれない

誰も住まない草地には、ただ風だけが吹いていた

470言理の妖精語りて曰く、:2018/03/03(土) 19:26:04
【レベウス】は、特定の神を滅ぼすことに特化することが出来る【特化型武装】であった
その「真なる刃」は、一つの一族全てを滅ぼしたものにのみ、振るわれる
その刃の素材を【超人鉄】と呼ぶが、これは後に【人鉄】のもとになったものである
【族滅槍レベウス】は、このような恐ろしい素材で出来ていたのだ

471言理の妖精語りて曰く、:2018/03/06(火) 19:34:40
【穿孔剣ディグナク】またの名を「蛇蝎剣」とも呼ばれるこの剣は、特殊な機構を持つ【神滅ぼしの武具】の一振りである
この剣は、蛇腹剣、連刃剣、または【猫の国】風に「がりあんそーど」「じゃらじゃらの剣」と呼ばれるタイプの剣であり、要するに蛇かサソリの尾のような姿をしていた
その斬撃は変幻自在であり、また、その刃には毒をしたたらせる機能もあった
だが、この剣の真に恐るべき機能はほかにあったのだ

それが振るわれた戦い、神滅ぼしのいくさについて語るとしよう
この剣が戦った神は肉体を持つ型の神であったが、その肉体には不滅に近い再生力があった
どこに隠されてるのか分からない心臓を砕かなければ、殺すことは出来ないのだ
神は用心深く、その心臓は、誰も知ることが出来ない秘密の隠し場所に秘められていた
そして、十万もある神の目によって、絶えず見張られ守られていたのだ

この神と【ディグナク】を持った勇士が戦ったとき、神は幾度もその斬撃を避け、自分が今にも死にそうであるかのように演じてみせた
自分に戦いを挑んだ勇士をからかい、最後に不死の秘密を明かして絶望させて殺す
それが、永遠に生きる神の娯楽だったのだ
神は、いかにも【ディグナグ】の刃が脅威であるかのように斬撃を避け続け、刃からしたたる毒を恐れるかのように悲鳴をあげた
そしてころあいを見定めると、自らその刃に身体を差し出し、勇士に向かって己が不死を誇ってみせたのだ
戦いに疲れ、不死身の恐怖に心を折られた勇士は、その時絶望に倒れ伏す・・・・・・・・そのはずだった
だが、勇士は倒れなかった
疲れ果て、先を持たぬはずのその刃は、神の身体を構わず貫き、続けて勇士自身の心臓をえぐり取ったのだ
これには、流石の不死神も唖然とした
どれほど唖然としたかといえば、勇士にタネ明かしをした時でさえ心臓を見張り続けていた十万の目を、残さず勇士に向けてしまったほどだ
そう、そこで神に隙が出来たのだ
一瞬、だが致命的な隙が
【ディグナク】は、その一瞬に本来の機能を発揮した
その機能こそ「同種喰い」である
それは、使い手の腕を喰らえば敵の腕を、目を喰らえば敵の目を確実に捉える呪い
そしてそれこそ、不死身のはずであった神に、致命の一撃を与える機能であったのだ

472言理の妖精語りて曰く、:2018/03/08(木) 19:37:48
そう、勇士の心臓を喰らった【ディグナク】は、神の唯一の弱点である心臓をも喰らう力を得ていたのだ
普段は存在した十万の眼球の護りも、文字通り目を離していた隙の際には通用しなかった
その刃は蛇の如く伸び、どこまでも進んで神の心臓を喰らったのだ

ちなみに、この時神の眼球は無駄な抵抗で二万潰され、還るべき本体を失った
そして、それは後に【八万の眼球アブロニクレス】と呼ばれるようになったのだという

473言理の妖精語りて曰く、:2018/03/24(土) 11:24:01
【完世図書】
あまねくすべてが隈なく記された余白ばかりのテキスト。全9ページ。

474言理の妖精語りて曰く、:2018/03/26(月) 05:37:17
アレクサンドル・イワノフは一つの強烈な命令を残した。

「宗教施設を絶対に壊すな」

幼き頃より親しんだ教会が爆薬で粉微塵にされるのを目撃し悲しみを深く刻み込まれた彼は、
異世界ではこれを繰り返したくない、と考えたのだ。

これにより、中央大陸に流布した「共産主義」は、【猫の国】のそれとは異なる歩みをとることになる。

475言理の妖精語りて曰く、:2018/03/26(月) 05:56:34
「The Book of Birth」は、その別名を「フィリスの書」という
これは、対象の「起源」へ遡ることが出来る魔道書である
その遡行は、あるいは捏造に近いのではないかとも言われている

また、この本には、対となる
「The Book of End」が存在するという話もある
それが真実かどうかは、伝説の幻獣である【猫】だけが知っているのだろう

476言理の妖精語りて曰く、:2018/03/27(火) 05:23:44
【幻視のモノクル】は「注釈のモノクル」とも呼ばれる
これは、現実と重なった幻を観ることが出来るモノクルであり、現前に存在しない「過去」や「心理」を幻視することによって、世界に新たな「見方」をもたらすものであった

持ち主は、”暇人探偵(ディレッタント・ディテクティブ)”インクルーザ
全ての現実を確定させるエリート(左遷)刑事、”単独評決”コルセスカの宿敵(に勝手にされてしまった)の彼女は、このモノクルと有り余る資産を用い、あらゆる未解決事件を解決するのだ!

477言理の妖精語りて曰く、:2018/03/28(水) 06:12:55
【蝶夢のモノクル】は、使用者に、現実と非現実の隙間を見る力を与える

478言理の妖精語りて曰く、:2018/04/05(木) 20:29:48
扶桑崎鷲太郎は、母の愛を知らない
彼の母は、嫉妬した女神によって殺された

扶桑崎鷲太郎は、父も知らない
彼の父は強大な神であるが、その父は彼の元から去った
彼は、父の顔すら知らない

だが、扶桑崎鷲太郎には、叔父がいる
叔父は、実の父のように彼を可愛がってくれた
それに、彼の悪友である無空和尚も、さまざまなトラブルに彼らを巻き込みながらも、温かく見守ってくれた

彼には、数は少ないが親しい付き合いが出来る友もいる
人間もいれば、妖精もいる
鷲太郎と似たような境遇の者もいれば、彼すら知らない深淵を覗いてきたと確信させるような者もいる
また、恵まれた育ちであっても、それゆえに闊達とした精神をもって人を思いやろうとする者も少なくはない

そして、顔見知り程度の間柄であっても、ふと見かけなくなると気になる者や
商売敵で顔を合わせると必ず口論になっても、会わなければ少し寂しくなるような、そんな相手だっている

だが、扶桑崎鷲太郎には、それでも実の両親がいない
ゆえに「家族の愛」というものを、本当には分かってはいないのかもしれない

だから、これは彼にとっては家族の話ではない
これは、彼にとっての武器と、復讐の話だ

479言理の妖精語りて曰く、:2018/04/10(火) 20:18:58
【必滅の恋矢】は、伝説の武具だ
かの有名な神滅ぼしの武具の一つかもしれないし、あるいはそうではないのかもしれない
気まぐれの紀神アエルガ・ミクニーが作ったのか、ポエマーな紀神セラティスの、捨てた詩集が変化したのか
伝承は多様で、曖昧模糊だ

ともかくこの矢は、恐るべき矢だ
少女の恋を矢に変えて、あらゆる敵を滅ぼすのだから
けれどもこの世の一体誰が、この矢を受けるに値するのか
少女が全てを捧げねば、この矢は決して放たれぬのに

480言理の妖精語りて曰く、:2018/04/12(木) 01:39:33
神は人に「真の相」を見せないものだ。そして様々な人間への変化はゼウスの十八番の一つだ。

仮に鷲太郎の母と映った写真などがあっても、そこに映されているのは、使い捨ての仮面、ガワでしかない。
別の女性の前では別の顔と別の体格で姿を現していることだろう。

「ジ・オーダー」の同盟者として、幹部クラスならゼウスのような高位神と対面する機会もあるだろうが、アーサー・マクドナルドたちも
「真の相」を見せてくれ、とは言わないだろう。霊力や魔力を用いた本人確認なら出来るわけで、わざわざ見ることが必要不可欠でもない。
それでもなお見ようとすれば、それは信頼していない、それも極度に疑っていると示唆することになる。

だが、鷲太郎にとっては知ったことではなかった。ゼウスの「真の相」は見なければならない。暴かなければならない。
神威を用いた使い捨てテクスチャーではなく、「真の相」でもって、ゼウスは自分の母や、遊び捨ててきた他の女性達に謝らなければならない。

自分は父神に、ケジメを、つけさせなければならない。

481言理の妖精語りて曰く、:2018/04/12(木) 05:55:42
神々の「真の相」を曝き、捉えるレンズ。これを造り上げる事が彼の目標となった。

482言理の妖精語りて曰く、:2018/04/12(木) 10:57:18
パンゲオンのレンズ

483言理の妖精語りて曰く、:2018/04/14(土) 03:07:06
【裁定の鏡盾】は、メクセトの神滅ぼしの武具であり、その最高傑作として讃えられるモノの一つである
痛みの盾だ
これは、敵対した者の深層心理を映し出し、敵対者自身の心に潜む罪悪感で罪を裁く情報・精神攻撃武具に分類される

類似した性能を持つ武具には、他に【周知の鏡盾】【真実の鏡盾】【罪科の鏡甲】そして【魅刃の断頭斧】などが存在する

484言理の妖精語りて曰く、:2018/05/07(月) 19:50:51
扶桑崎鷲太郎とドイツの家族の物語は、一夜にして終焉を迎えた。
けれど、それはある意味幸福な終わり方であったのだ。

485言理の妖精語りて曰く、:2018/05/17(木) 19:42:50
ラプンシエルの街では、涙は通貨として流通しており、竜の涙でさえその例外ではない

486言理の妖精語りて曰く、:2018/06/18(月) 05:58:50
聖典の一節を抜き書きしたものを【聖符】、民間に膾炙した呪文を記したものを【呪符】という

そしてそれとは別に、全身に聖典や異端の教典を身に纏って戦うという闘法も、この世には存在するのだ

487言理の妖精語りて曰く、:2018/06/30(土) 07:48:19
【常若の竹】を切って水筒を作れば【常若の水筒】が出来る
それは、衰えた生命を蘇らせる命の水筒であるという

488言理の妖精語りて曰く、:2018/07/05(木) 18:55:25
妖刀【イペタム】は、その担い手の勇気を試す刀である
【イペタム】には、それを守護する霊獣がおり、それが担い手とならんとする者に試練を与え、その勇気を試すのだという。

489言理の妖精語りて曰く、:2018/07/08(日) 13:56:30
自在剣

490言理の妖精語りて曰く、:2018/07/09(月) 05:28:06
不在刀

491言理の妖精語りて曰く、:2018/08/14(火) 16:23:55
【竜砕きの戦槌】はメクセトの作った神滅ぼしの武具である。
焔竜メルトバーズに対抗するため、ソルダ・グラムが長い冒険の末これを入手し、
ブリュンヒルデのデューク・ノートゥングが用いたと言われる。
竜を滅ぼすことに特化した武具であり、常人には持ち上げることも困難な超重量の槌である。
その一撃は紀竜の頭から尾までを一瞬のうちに紙と同じ厚みにまで圧縮してしまうと伝わっている。


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