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バトルロワイアルぺティー

263リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/30(日) 18:53 ID:2KqO5TgA
以前の行動>>258>>261

 時計を見ると、夜中の十一時二十分を、少しすぎたところだった。永良博巳(男子十二番)は、ぼんやりと、天井を見つめていた。

囲炉裏の周りは、初島勇人(男子十五番)と、新島敏紀(男子十四番)が休んでいた。部屋は二人でもういっぱいなので、博巳は隣の部屋に来たのだった。


それはそうと、眠れない。コーヒーが利きすぎたのだろうか。深夜に行動するから、それまで仮眠しとけって、梁島に言われたのに。

もうすぐ、梁島の見張り番が終わる。博巳には、梁島裕之(男子二十番)と話したいことがたくさんあった。

梁島は何だか、他の男子生徒とは違っていた。とっくに大人になってしまったような表情。物言い。博巳にとっての梁島は、自分にはない物をたくさん持っている、憧れの存在であった。
こんなことならもっと早く仲良くなっておけばよかったと、後悔していた。もうすぐ死ぬかもしれないのに。
……死ぬ? そんなことあってたまるか!博巳は、何だか混乱していた。


コンコン。
ドアをノックする音が聞こえた。
「博巳、入っていいか?」勇人の声が聞こえた。「いいよ」博巳は答えた。
少しの間沈黙が流れ、ためらうようにガチャッと、ドアが開けられた。


「よう、何かあったのか?」博巳は言った。勇人の様子が、どことなく、いつもと違うような気がした。ドアの前で、ずっと突っ立っている。何かに迷っているかのように、そのままジッとしていた。
「どうしたんだよ? 入れよ」博巳は少々じれったく感じながら言った。
「あ、ああ……」


勇人はフカフカの絨毯に腰を下ろすと、通学用バックの中から駄菓子を出して(本来の目的のはずだったキャンプのために買ったのだろう)、博巳に渡した。
「あ、ありがと」
不思議に思いながらも、博巳は、勇人から駄菓子の包みを受け取った。

「せっかく買ったのにもったないから、一緒に食べようぜ」勇人は言った。

そうだ、本当なら今はキャンプの真っ最中だったんだ。それが何で殺し合いなんて。博巳は胸が痛くなった。
スナック菓子をほおばると、さくっとした歯ざわりがして、懐かしいソースの味が広がった。やばい、泣きそうだ。


悲しげな顔をしていたことを勇人に気づかれたような気がして、博巳は言った。「そういえば、敏紀は?」
「あ、えーと、敏紀は休んでるよ。疲れたからほっといてくれって」勇人は言った。
「ふーん」まあ、いっか。
この家の中では、博巳と勇人の声の他は、何の物音もしなかった。


それにしても、勇人が、いつもより無口なのが気になった。やっぱり、クラスメイト同士で殺し合いをするなんて、気が滅入るに違いない。自分だってそうだった。

勇人は、黙って膝の上に手を置いていた。博巳はボーっと菓子を食べていた。

はあ、今ごろ、優奈は何してるのかな。おれが今こんなことに巻き込まれてるって知ったら、どう思うんだろう。
博巳は、自分の後輩であり、恋人だった女の子のことを、思い浮かべていた。


自分で言うのも何だけど、おれは結構モテるんだ。告白された女の子(ついでに言うと……男も)は、結構いた。でも、おれが一番気にいったのは、あの子だった。
バスケ部の応援によくきていて、ずっと博巳のことが気になっていたと言う。色白で、朗らかで、明るい子。
もう会えないかもしれないんだ。

後悔の色を混じらせながら、博巳は今までにあった、色々な出来事を思い出していた。鼻の奥に残っている、彼女の、石鹸のような綺麗な香りも、今思い出した。


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