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バトルロワイアルぺティー

247リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/24(月) 01:25 ID:2KqO5TgA
以前の行動>>234>>236

 大迫治巳(男子二番)と、千嶋和輝(男子九番)は、小さな雑木林の中にいた。
和輝は言った。「で、笹川はここにいないって言ったじゃん。何で? まさか当てずっぽうとかじゃないだろうな」
「えーっと……ね」治巳は下を向いて沈黙した。
「まさか本当に当てずっぽうなのかよ?」和輝は強めの口調で訊いた。「治巳、答えろ!」

治巳は顔を上げて、気まずそうに言った。「実はその、まさかだったりしてねー。だってとりあえず早く逃げた方がいいじゃん?」


和輝は沈黙して、うなだれていた。やばい、怒ってる。しかもすっげー怒ってる。
和輝が、言った。「治巳、短い再会だったけど……」

立ち上がろうとした和輝を、治巳は食い止めた。
「冗談だよ。悪かったよ!」
治巳は、ポケットから、ちょうど手のひらに収まるくらいの、小さな器械を出した。
「これがあったから、いないってわかったんだよ」



和輝は興味津々で、その器械を覗き込んだ。「何だ、これ?」
それは、縦と横に線がたくさん引いてある画面と、小さなボタンが一個ついているだけの、簡易型レーダーだった。昔はやったコンピューターゲームに、少し似ていた。

治巳は言った。「同じエリアに人がいると赤く光るんだよ。今、ここに二つの点が見えるだろ? それがオレと和輝がいる位置ってわけ。誰がいるのかまではわかんないけど、結構便利なんだよ」
なるほど。目からうろこだった。これがあれば、敵から逃げるのも簡単だ。自分のいるエリアに人がきたら、そこを少し移動すればいい。勿論、誰かを探すのにも役立つ。

「すっげー」和輝は思わず声を漏らした。
「だろ?」治巳は得意げになっているようだった。


「じゃあ笹川ちゃんでも探しにいく?」
和輝は頷いた。
「その前に、笹川ちゃんとはどこで会ったの?」
「えっと、公園の入り口付近の影」
「へー……」治巳は手元の簡易レーダーに目線を置きながら、続けた。「水くせーな。そーゆーことなら言ってくれればよかったのに」

 そーゆーこと、って何だよ。と思いつつも、治巳の言う“そーゆーこと”の意味は、何となくわかっていた。
「お前に言うと、他の奴に言うから嫌だ」
「言わないよ。つーか……」少し間を置いて、続けた。「オレは言ったじゃん。遥佳のとき」
「ああ……」和輝は頷いた。悪かったかな、と少し思った。


長戸遥佳は、和輝達と同じ中学で、三ヵ月ほど前から、治巳と付き合っていた。
背は高めで、スポーツ少女で、綺麗な子だ。

治巳の表情を見て、思った。もう会えないかもしれないんだ。

「長戸、元気?」和輝は訊いた。
「知らない。試験前から会ってねーし」
「そっか……」

二人は、沈黙した。

治巳は立ち上がった。「こんな話してる場合じゃないか。行こーぜ!」
「そうだな」
和輝は立ち上がろうとした。が、体中の痛みが時間差で襲ってきた。

「大丈夫? 何なら、オレ一人で行こーか」

治巳の顔を見た。暗がりでよく見えなかったが、多分真顔。それで、結構真剣に考えている顔だと予想した。

「いいよ。俺も行く」
これは、自分の問題だった。

和輝は言った。「俺、笹川に会えたら、今度こそ言うよ」
「ああ、そーしろよ」和輝に向かって、まっすぐ手を差し伸べた。「ガンバレ」

「……頑張るよ」和輝は呟いた。
【残り23人】


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