したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

バトルロワイアルぺティー

241リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/18(火) 18:38 ID:2KqO5TgA
以前の行動>>230>>233

 伊藤愛希(女子四番)は、茫然と座り込んでいた。
荒瀬達也(男子一番)は、愛希の近くにきた。
「大丈夫?」

答えられなかった。大きな瞳に、涙がたくさんたまっていた。
まばたきをすると、堰を切ったように溢れ出した。

愛希は達也のワイシャツを掴んで、顔を寄せた。
怖かった。初めて、人を殺した。何だかあっけなすぎて、無性に恐ろしく感じた。

達也は無言のまま、愛希の肩に手をかけた。そして、横を見た。


二人のすぐ横には、紺野朋香(女子十三番)がいた。


目は中途半端に開かれ、体は投げ出されていた。口は少しだけ開いており、血が流れていた。右頬の骨が砕けていて、そこは、赤いブラックホールのような、小さな穴が出来ていた。

悲しげな表情にも、恨んでいるような表情にも見えた。

朋香の目は、まっすぐに、愛希を見つめていた。



朋香がまっすぐに飛びかかってきた時、愛希は何も考えることが出来なかった。
反射的に、銃を発射した。


銃弾は朋香の顔の右頬部分に当たり、朋香の顔は鮮血に染まった。
そのまま、横様に倒れて、動かなくなった。

――たった、それだけのことだった。



愛希はしばらく、泣いていた。声も出さず、喉をしゃくりあげるでもなく、涙だけ流した。
達也は赤ん坊をあやすように、背中をぽんぽんと叩いた。


それと同時に、愛希は声をあげて、泣き出した。

こんなゲーム、何でもないと思っていた。誰が死のうが知ったこっちゃない。自分だけ生き残れば、それでいい。しかし、現実は愛希の想像した以上に簡単で、残酷で、無情だった。
あたしは、自分のことを見くびっていたのかもしれない。皆にいい顔をして、心の中ではバカにして、冷たい自分が本当の自分だと思っていた。でも、それも、演技だったような気がした。
よくわからなくなっていた。



しばらくして、顔をあげた。達也は、無表情で愛希を見ていた。「落ち着いた?」
愛希は頷いた。呆れられてるのかもしれない。そう思って、鼻をすすった。

ふと、達也のワイシャツを握っている自分の手が、血で濡れていることに気がついた。


そうだ。愛希は言った。「撃たれたとこ、大丈夫?」
「大丈夫、かすっただけっぽい」達也は力ない笑みを見せた。

愛希は腕を見た。二の腕の肉が、細く引きちぎれていた。そこからは真っ赤な血が流れ出していた。
何が大丈夫なんだか。早く手当てすればいいのに。あたしなんかほっといて。

愛希は自分の手持ちのバックから、ハンカチとタオルを出して、達也の腕に巻いた。
達也は意外そうな表情をして、愛希を見た。
「いいの? このハンカチめっちゃ高そうなんだけど」
「こんなのいっぱい持ってるし、全然平気」
「そっか……」達也は口元だけで笑った。

「消毒した方がいいかな。近くに家があるかもしれないから、そこ行って、包帯とマキロン取ってこよう」
「あるかな。ってか、危なくない?」
「大丈夫だよ。行こう」愛希は達也の手を取った。
達也は言った。「何か、嬉しいな。伊藤さんに心配してもらえるなんて」
心からそう思っている様子だった。

愛希は、よくわからないけれど、懐かしいものを感じた。

愛希は立ち上がって、人差し指を天井に向けた。「いいから、行くよ!」
「うん」達也も立ち上がった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板