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バトルロワイアルぺティー

206リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/04(火) 15:45 ID:1Nf1VncU
以前の行動>>166>>167

 千嶋和輝(男子九番)と笹川加奈(女子十四番)は、押し黙ったまま、H=8へ移動しようとしていた。
H=8は広場になっており、小さな小屋や洞窟が(多分アスレチックのような物だったのだろう)あるのだ。
二人は、今日はそこで、過ごすことにした。

本当は動かないのがベストなのだが、あの小屋の周りにいるのはどうしても、辛かった。薫の顔が頭に焼き付いていて、とても食事など、喉を通らなかった。
どうやらそれは、加奈も同じだったようだ。

何十分か歩き続け、二人はようやくH=8に辿り着いた。
はあ。疲れた。

そこはまさしく公園と言うのに相応しく、もう錆びてしまったブランコや、ジャングルジムなどがあった。
そして、なだらかな丘があるのにも気がついた。
石で出来た階段が、その丘に続いていた。
どこか懐かしさを感じるその公園に、和輝は心が安らぐのを感じた。
小さいころによく遊んだ公園に似てる――

その風景は、この殺し合いゲームの中ですっかり疲れてしまった和輝の心を、たった一瞬でも癒してくれた。まあ、それは本当に、たった一瞬のことではあったが。

はっ、呑気なことを考えている場合じゃなかった。
「洞窟ってどこにあるのかな」加奈が言った。
「さあ……あの階段登ってみようか」和輝は考えた。
「ちょっと見てくるから、そこで待ってて」
加奈は少しの間考えている様子だったが、しばらくしてコクリと頷いた。
和輝はそれを確認すると、階段を登り始めた。


上がってみると、結構段数があった。
登ってる最中に襲撃されたら最悪だな。和輝は少し怖くなって、身を屈めつつ、登った。

階段を全て上がり終えた。

そこは、色とりどりの花がたくさん咲いている、小さな丘だった。

その景色は、近くで殺しあいが起こっていることなど、全く予想も出来ないほどののどかさだった。
ここだけは血で汚れて欲しくない。和輝はかすかに、そう思った。


後ろを振り返ると、加奈が心配そうにこちらを見ていた。

和輝は手招きをした。加奈は走って階段を登ってくると、和輝と同じように身を屈めた。そして、驚嘆したように、「わあ、綺麗だねー」と言った。

「ねえ、あっち行ってみようよ」言うか言わないかの間に、加奈はもう駆けだしていた。
「笹川、危ないって!」
和輝の言葉など聞こえていないようだった。

和輝も仕方なく、後を追いかけて、丘を下った。

加奈は、丘の中間地点で深呼吸をした。
「気持ちいいねー」
「でも、ここにいると目立つから戻ろう」
「あとちょっとだけ。お願い」
閉口してしまった。

加奈は周りを見回した。「洞窟見当たらないね。やっぱり公園の方なのかな」
この丘を越えると、もう砂利で出来たちっぽけな道と、林しかない。
そして、公園の奥は深い森になっていた。
和輝は頷いた。「そうだよな。向こうは雑木林だし」

しばらく二人はボーっとしていたが、もう公園に戻るか、と思った和輝は、後ろを振り向いた。


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