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バトルロワイアルぺティー

167リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/18(日) 18:43 ID:1Nf1VncU
 息を切らしながら、和輝はドアの前に立った。そして、ドアを開けようとした。
ギ、ギィギギー。嫌な音を立てて、ドアが開いた。

和輝と加奈は、揃って中を覗き込んだ。



加奈が、うっ、と声を漏らした。部屋の中は、真新しい血の香りが充満していた。
そして、そこにいたのは、変わり果てた、大島薫(女子九番)だった。


座っている薫の首には垂直にカマが刺さっており、深く刃が食い込んで、薫の首の約半分が切れていた。
首から大量の血が流れ、服を濡らしていた。目は、見開かれたままだった。

だらだらと血を流し続けている死体の凄惨さに、和輝は驚いた。


田辺卓郎(男子八番)の死体も見たが、卓郎は、まだ穏やかな顔で死んでいた。これは初めて見た、死体というもの、だと思った。
薫の目は瞳孔が開いていて、和輝達をじっと見ているような気がした。


途端に気分が悪くなった。吐き気が込み上げたが、薫に失礼だと思い、グッとこらえた。誰が、殺したんだろう。

隣では加奈が泣いていた。「薫、ついさっきまで、生きてたのに・・・」
そうだ、和輝達が小屋を去ってから、まだたったの三十分弱しか経っていなかった。
その間に、薫は殺された。

小屋に、誰か入ったのか?

・・・わからなかった。犯人が裏口から入っていたのなら、それこそ全く気づかないし、表だろうと、小屋に背を向けていた和輝達が、気づくはずもなかった。
言い方は悪いが、考えても無駄だと思った。


この死体は、あまりにも酷すぎた。
せめて目を閉じてやろうと、和輝は死体に歩み寄った。

近くで見ると、余計に傷の痛々しさが目についた。
少し気味が悪かったが、和輝は薫の目をそっと閉じた。

血の香りが充満している部屋で、和輝は茫然としていた。
このクラスに、こんな惨いことを出来る奴がいたのかと、思った。昨日は皆、仲良くバスに乗っていたのに。

加奈はまた、泣いていた。
もう泣き顔は見たくないのに。このゲームのせいだ。あんなに明るかった加奈を、ここまで泣かせる理由がどこにある?和輝は腹が立った。


それはともかく、ここを出なければいけなかった。
和輝は「行こう」と言った。加奈は無言で頷いた。

不意に、思った。カマも抜いてやるべきかな。
薫の死体を見た。「ヌイテ。ヌイテヨ」と言ってるような気がした。
怖かったが、近寄った。


カマを抜こうとしたが、深く刺さっていたそれは、なかなか抜けなかった。和輝は力を込めた。

ブシュッと音がして、薫の死体が横に倒れた。
勢いよく振られたカマは、血がぱしぱしと地面に落ちていた。

和輝は、まるで自分が薫を殺したかのような、嫌な気分になった。また吐き気が突き上げたが、もう一度「行こう」といい、家を出た。


家を出る時に、最後にチラッと薫の顔を見た。
目を瞑っている薫の顔は、少し、悲しそうに見えた。
【残り32人】


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