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バトルロワイアルぺティー

125リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/03/27(土) 21:42 ID:1Nf1VncU
以前の行動 >>112から>>117まで

梅原ゆき(女子八番)は、森の奥深くに入ってしまっていた。そして、先ほどやってしまったことを、必死に思い出そうとしていたのだ。

だが、信じられなかった。本当に、自分が、千嶋和輝(男子九番)と、笹川加奈(女子十四番)を襲ったのだろうか?
嫉妬に任せて、とんでもないことをしてしまったと、思った。そのせいで、千嶋君は怪我をしたんだ。こんなはずじゃなかったのに―――
ゆきに後悔の気持ちが押し寄せていた。

私は少しの間、おかしくなっていたんだ。そう、ほんの少しの間―――

でも、もう正気を取り戻した。

ゆきはやっと顔をあげた。―――これからどうしようか。武器もないし、絶望的だ。
ゆきは考え、ふと思い出した。

この公園には、いくつかの小屋があるはずだった。そこには、カマや、包丁なんかがあるかもしれない。
でもそこだと遠すぎるかも。公園の外には数軒の民家があって、そこもエリアに入っていたはずだ。そこで武器を探すしかない。

ゆきは決心した。地図を確認しようとしたが、デイバックを置いてきてしまっていることに気づいた。
どうしよう、戻るしかないか。和輝達と鉢合わせするかもしれないのは嫌だったが、さすがにあれから三十分も経っているのだ。もう移動しているだろうと思った。ゆきは立ち上がって、元来た道を戻ろうとした。

ゆきは首をかしげた。頭の中に、何かが引っ掛かっているような気がした。何だろう?思い出すことが出来ないことなら、大したことではないのかもしれない。


ゆきは殆ど無意識のうちに時計を見た。八時五十四分だった。


頭から、血の気が、サーッとひいていった。やっと思い出した。

ここは、九時から禁止エリアに入る区域だった。




すぐさま踵を返した。何で今の今まで忘れていたのだろう。
ゆきは走り出した。もう何回も走っているので、すぐに脇腹が痛くなってきたが、走らなければ首輪が爆発するという恐怖心で、懸命に走った。

あと六分でエリアを抜けれるかな。私は森の奥まで入ってきてしまった。
急がなきゃ。今度こそ、本当に死んでしまう。


ゆきは夢中で走った。肩の傷のことも、蒸し暑さも、もう気にならなくなっていた。
つまずいたり、転びかけたり、足が痛くなっても走り続けた。


今の時刻は八時五十六分、あと四分!

必死で走りながらも、ゆきはやはり、千嶋和輝のことを考えていた。


最後に(もう最期になるかもしれない)嫌われたくなかった。
何で、私は笹川さんを攻撃しちゃったんだろう。
冷静に考えれば、二体一で、しかも銃と金槌では自分に勝ち目がないことくらい気づいたはずなのに。私は、千嶋君に余計な怪我をさせてしまった。

泣き出しそうになっていた。何もかも、最悪だ。それでも、死にたくなかった。


ゆきは走っていた。もうすぐだ。もうすぐ森を抜けれる。
ただ、森を抜けてもそこがJ=4を抜けているとは限らなかった。
ゆきの胸は、恐怖心でいっぱいになった。スピードをあげた。

限界に近づいていた。何度も時計を見た。五十九分を秒針が少し、上まわっていた。

あと一分!ゆきは疲れた体に鞭を打って、更にスピードを上げた。
もう止まってしまいたいと言う気持ちと、死にたくないと言う気持ちで滅茶苦茶だった。


周りの景色が変わった。木々がなくなり、黄緑色の草の上にきていた。
森を抜けたんだ。ゆきは思った。

それでも、走り続けた。時計の針が九時を回った時、ゆきはまだ走り続けていた。



必死で時計を確認した時には、九時と、四十秒を少し越えていた。
ゆきは倒れるように、その場にへたり込んだ。


生きてる―――息が切れて、苦しかった。
でも、もし諦めて止まっていたら、自分は今ごろ、首輪ごと首を吹っ飛ばされていただろうと考えて、心を落ちつかせようとした。

それに比べれば、これくらいのこと―――そう思いながらも、ゆきは、心臓が破裂してしまいそうな痛みに耐えていた。
【残り34人】


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