バジリスクのキャプテンである『宝木 蕗也』は新たなジョッキーに、徳雄の過去に関わりある人物を指名した
プロ選手でありながら、三対一、それも相手はキャプテン落ちという圧倒的な戦力差で臨みながら、公衆の面前で屈辱的な敗北を喫した、ネットニュースにすら上がった半年前の一戦
Black Sheep結成前から『擬似的な6shooter+スピンミキサー』の砲撃を、その身と頭に刻み込まれた唯一の対戦相手
Black Sheepの進路を妨害するかのように地面が爆ぜる。クワイエットとバジリスクを警戒して少し離れた場所に降り立った他チームが、この機を逃さんと砲撃を開始した
「Black Sheepへ集中砲火!!休む暇は与えられません!!」
(´・_ゝ・`)「どのチームかな?」
(;@з@)「59番『歩苦歩苦』、8番『インビジブル』、31番『三木ONE』にござる!!」
Black Sheepに向かって正面、変形機能を持つ『歩苦歩苦』。右側面に光学迷彩装甲によるステルス戦法を得意とする『インビジブル』
そして左方に車体を黒と赤のカラーリングで二分し、砲塔に二つの円形レーダーを耳のように搭載した、何がとは言わんがミッキーマウスを彷彿とさせる『三木ONE』が待ち構えている
尚、2121年現在、黒赤カラーのミッキーはパブリックドメイン化している為、杞憂は不要である
Black Sheepへの『ヘイト』は鎮まることなく、二強と離れたことで散り散りになっていた他チームがこれ幸いと集い始めていた
ジャパンカップのルールはソロプレイ前提だが、利害一致による一時的な共闘は暗黙の了解とされている。よほど悪質で無い限り、咎められる事はない
既に三チームも下したBlack Sheepは、『私刑』の大義名分として通用するほど充分な脅威なのだ
会見に向けた話し合いの中で、文彦は一つだけ要望を出した。それは、跡を濁す形で去った古巣への『けじめ』をつけたいといったものである
Black Sheep陣営は当初、歩く炎上仕掛け豚(焼豚)である文彦に、会見すら一言も喋らせない方針で貫き通そうとしたのだが、これまで見せたことのない真剣な態度だったのと、何よりここ半年間、文彦の成長を間近で見ていた徳雄の支持、そして親友である木本の懇願もあってか、『それ以外の関係ない事を一言でも抜かしたらミンチ機に放り込んで殺す』という条件の下、特別に許可を出したのだ。そう、キングスマン ゴールデンサークルである
本八も態度こそ渋々であったが、内心では豚に喧嘩を売られるという人生最大最悪の屈辱を味わうバジリスクの苦々しい面を、この日一番の楽しみにしていたのであった