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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか、今度こそ」
1
:
Mii
:2020/12/13(日) 04:46:59 ID:9GX1QhWw
このスレは
ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 【前々スレ】
ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」【前スレ】
に引き続く続編となります。前々スレ、前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
過去作を読まれていないと把握困難な設定、独自解釈が多々あります。
遅い進行のうえに寄り道万歳のスレですが、引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。
ラナ「たったーん♪たかたかた〜ん♪
そのほか、いくつか注意点をお知らせするよー。
・スレ主の、基礎体力面での戦闘能力解釈は、ざっくり言うと…
キャラとしての登場時期の早さと、登場回数の多さで大方決まるからね!
マリオ、クッパ、リンクを『3強』と表現してるけど、たとえばクッパVSガノンドロフだと、
クッパが欠伸しながらパンチを繰り出すだけでガノンドロフを一撃粉砕できるくらいの力量差があるよ!
パーティゲームに参加しないから仕方ないってことで、うん。敵があっさりやられても嘆かないで…。
リンクとの差が付いた理由は、前々スレを読めばわかる、のかなあ…?
・前々スレ・前スレ同様、いろんなパロディ、メタ発言が散りばめられてるよ!
キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義が白けるなら
急がず慌てず別のスレに移って、このスレのことは忘れよう!
・ようやくスマブラ編が完結して…マリオカート編にちょっとずつ戻っていくんだって!よかったよかった!」
シア(…………ちょっとずつ?)
12
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:17:08 ID:2O82Dg8o
リュカ「酷いよ!見てられないよっ!
結局『僕なんかに』助けてもらってるじゃん!3強のくせに!
何勝手に調子を崩してるのさ!
僕が言いたかったこと、戦闘において大事なことは――――
そう、リズムを崩さないこと!」
リンク「…リズ、ム?」
リュカ「苦境でも逆境でも、自分のペースを、行動スタイルを維持する!
焦らない、心を揺らされない、惑わされない!
――――よーく見ててよ!それっ!」
リュカが、颯爽と新たな敵に向かっていく。
その速度は、決して速くない。なんとも、ノロい。
リュカ「ほりゃっ!こっちだよー!」
だが。ステップを踏んで、最小限の動きで敵を避けて。
リュカ「えい!やー!とー!それ!」
――1HIT! ――2HIT! ――3HIT! ――4HIT!
小刻みに、確実に、攻撃を重ねていく。
13
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:19:45 ID:2O82Dg8o
リュカ「腕が伸びてきたら引く!引かれたら突っ込む!
飛び道具は最小限の動きで避ける!身を翻して裏をかく!
そんでもって、確実に攻撃を当ててリズムをつかむ!」
――5HIT! ――6HIT! ――7HIT! ――8HIT!
声を張り上げながら、リュカの怒涛の攻撃は止まらない。
リュカ「力の差は、しっかりとあるんだから!
のらりくらりとかわせないはずが、いなせないはずが、ないんだよ!
リズムにさえ乗れば、勢いも付くし余裕だってできるんだ!」
――9HIT! ――10HIT! ――11HIT! ――12HIT!
リュカ「そりゃ、リンクほどになれば『とっさの判断』で対処できないこともないけどさ!
とっさの判断そのものが要らない身のこなしを心がけた方がいいに決まってる!
僕なんか、日ごろから『どうやったらコンボが繋がってくれるか』ばっかり考えてるよ!
有利をちょこっとずつ確実に拡大、これが弱っちい僕の戦う知恵!」
――13HIT! ――14HIT! ――15HIT! ――16HIT!
――FULL COMBO!
リンク「――――!!」
14
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:22:21 ID:2O82Dg8o
リュカ「リズムにノると、テンションもモチベーションも保ちやすいよ!
さあさあ、リンクもやってみて!リズムにノって攻撃と防御だ!」
リンク「うえっ!?か、簡単に言ってくれるな…!
え、リズム?リズムねえ…?」
リュカ「面倒だなあ、なんなら僕がビートを刻んであげようか?
ハイ、ハイ、ハイ、ハイッ!」タンッ タンッ タンッ タンッ
リンク「子供か!そんな勝手に作られたふざけたリズムで動けるわけ――――」
リュカ「タッ、ター、ンッ、タラタラ、ター、ンッ!」
リンク「だからいきなりすぎる…え、ちょ、ほいっ!てりゃあ!こうか!?」
翼竜「GYAAAA!?」バサッ
屍兵「のわあぁぁ――!?」ザクッ
ボコブリン「ハァッ!?グァ――」グフッ
ヒット&アウェイ!
突進してくる敵たちを 引き寄せて
回転切りで 一網打尽にした!▼
リンク「……素っ頓狂すぎるだろぉ……あり?」ザッ! ザッ!
15
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:24:07 ID:2O82Dg8o
リュカ「次、来るよっ!
ターッ、タタタ、タッ、タラー、タタタ、タッ、タラー!」
リンク「…引いて、割り込んで、盾、ほいさ!」
EXCELLENT!
ベストタイミングで盾カウンター!
魔力弾を完全反射して返り討ち!▼
リンク「――――――――」トン トン トン トン
リンク(斬る、引く、寄る、斬る、盾、引く、引く、盾、斬る、
寄る、斬る、撃つ、寄る、斬る、盾、盾、引く、斬る――――)
ナイス!
――グッド!!
――――グレート!!!
――――――ワンダフル!!!!
――――――――エクセレント!!!!!
リンク「……なんか知らないが、本当に戦い方が改善されてるぞ!?
マジで!?リズムってすげえ!」
16
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:27:30 ID:2O82Dg8o
リュカ「その感覚忘れないで!
どうしても慣れないっていうんなら、ビートモードを解除してもいいけど…」
リンク「…ビートモードって何さ…コホン。
もうちょっと騙されたと思ってやってみるよ。
――――なるほど、こんな感じか!
なんとなくコツがつかめてきたぞ!恩に着る、リュカ!」
リュカ「へへ、どういたしまして。
――さってと、じゃあ僕も急ぎの用事があるんで…任せたよっ!」ダッ
リンク「ああ!忙しいとこ、悪かったな!ピット、もうちょい頑張るぞ!」
ピット「押忍!」
リュカ「全くもう、世話が焼けるんだから」タタタ
17
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:31:17 ID:2O82Dg8o
リュカ「おーーーーーい!!! 寄り道しててはぐれてごめ……」タタタタ
クマトラ「このアホが――!!」ボカッ
リュカ「」バタッ
クマトラ「大事な使命抱えてるときに急にいなくなるな!
このアホ!救えないアホ!ダスターよりアホだぞお前!」
ダスター「なんか飛び火してきたぞ、おい」
リュカ「…痛いじゃないかっ!だからっていきなり殴る、普通!?
誰かさんの口癖が移ってる移ってる!
それに離脱するってちゃんと伝えたよ!」ムクッ
クマトラ「『ちょっとあっち行ってくる。すぐ追いかけるから…』
これのどこが ちゃんと伝えた だよ!ふざけるな!」
リュカ「…………あー、うん。言われてみれば、それはそうかも」テヘ
18
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:33:49 ID:2O82Dg8o
クマトラ「いいか皆!オレたちの『役割』を、もう一回この場で言ってみろ!」ダッ!
テディ「……迫り来る雑魚敵を、俺がビシバシ伸せばいいんだろ?」ダダダ
ダスター「しつこい敵は、カベホチで張り付けて戦闘時間を節約してだな」タタタ
ジェフ「僕たちにはっ、荷がっ、重すぎる強敵はっ、
弾数制限がある最新式『ペンシルロケット200』で対処してですねっ」タタタ
リュカ「そして、僕とクマトラのPSIで色々と攻守カバーしつつ…
ポーラをしっかり護衛して目的地まで送り届けるのが『役割』、でしょ?
プーがネスを見つけ出すのが遅くならないといいんだけど…」ダッ!
ポーラ「…お手数をお掛けします。さあ、急ぎましょう」ペコリ
クマトラ「…………」
クマトラ「……………………」
クマトラ「――――ちっがああああぁぁう!!」ウガー!
リュカ「いや合ってるよね!?完全解答だよね!?
それがピーチ姫に前々から託されてた計画でしょ!?」
19
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:37:35 ID:2O82Dg8o
クマトラ「オレはっ!オレはっ!
――――役割に囚われるとか、
――――運命に縛られるとか、
――――エンディング投げっぱなしとか、
そういう生き方は大ッ嫌いだあああああああぁぁぁ――――!!」
テディ「」
ジェフ「」
ポーラ「」
リュカ「さっきの質問した意味は!?」
ダスター「あと、その批判はこの場ではやめとこう。1〜3、全部名作。
エンディング完璧ならもっと名作だったのにとか言わない」
クマトラ「ともかくっ!固定概念に囚われず行動しようぜ!
オレは鳥かごの中の鳥ではない、自由奔放な生き方を猛烈に欲している!
あの、憧れの、デイジー姫のように!」
ポーラ「えぇと、それはちょっと…止めた方が、いいんじゃないでしょうか…
ピーチ姫曰く、劇薬っぽいから…」
リュカ「どこをどう間違えてここまで吹っ切れちゃったんだろうね、クマトラ…」
20
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:40:26 ID:2O82Dg8o
ジェフ「あのですね、クマトラさん。
集団にとって最大限の益や幸福を得るために、
行動に無駄のない役割分担や分業を行うのは
効率を考えても決して悪いことではないと思うので――」
クマトラ「つべこべ言わない!」
ジェフ「あ、はい。御免なさい」ビクッ
ポーラ「簡単に引き下がらないでよ!」
――――ウオオオオオオオオオオォォォ!!!!
リュカ「…駄弁ってる間に、そら来た!敵さんのお出ましだ!
役割分担、大事だよ!ただでさえ僕たち弱いんだから!
陣形ど真ん中のポーラをしっかり守りながら、テキパキきっちり処理!
リーダー気取ってたんだから、PSIの準備はいいよね、クマトラっ!」パアアア
クマトラ「…………まぁな!任せとけ!」パアアア
21
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:43:54 ID:2O82Dg8o
〜第29区〜
喜び、涙を流し、抱き合う…住民、観光客たち。
再び石化の時限が迫り始めてはいる。悲しいことですが、まさに時間稼ぎには、なる。
石化が瞬く間に解かれた彼らを一瞥して。デイジー姫が、しっかり握り拳を作ります。
デイジー「よっしゃ!上手くいくみたいだね!
じゃあ私は、この子たちを両脇に引っ提げて…
各避難場所を巡回してくるよっ!それが私の役目だよね!」
ニンテン「わかってるじゃん。あとで『いちごとうふ』をあげよう」
デイジー「ナニソレまずそう…いらない…
そういや、2人で担当箇所分担したほうが効率よくないの?」
アナ「それをして、PPが尽きた側自身が石化し始めると大変なので…
そもそもPPがデイジー姫ありきの量ですから、あんまり意味がないです」
デイジー「なるほど。よし、さっそく行動開始だぁー!!」ダダダッ!!
ロイド「よろしく、頼みましたー!」
たちまちデイジー姫が、土煙と共に去っていきました。
22
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:45:47 ID:2O82Dg8o
ロゼッタ「――――」
今の私に、できる、こと。
ルカリオ「…はぁ。多少は肩の荷が下りたというところか」
今の私に、できる、こと。
とりあえず、早く中央に戻る。
デイジー姫のFP枯渇を見越して、FP回復アイテムを調達しておく。
――空間魔法が使えないからといって、無計画でいるのはよろしくありません!
頼もしすぎるファイター達によって、じきに、空間魔法が使えるようになる、はず。
そのときに何ができるか。ほんの少し落ち着いた頭で、考えておく。
それが、せめてもの償いと、いうものではないでしょうか。
23
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:47:20 ID:2O82Dg8o
ルカリオ「おい、ロゼッタ。そろそろ――――」
ロゼッタ「――――はい。では、参りましょうか。ご迷惑を、お掛けしました」
涙の跡をサッと拭って。
空元気でもなんでもいいので、再び駆け出します。
住民「ロゼッタさん、本当にありがとうございました!」
観光客「ありがとう!おかげで助かりました」
手を振る、みなさん。
その感謝は、拍手は、どうぞデイジー姫たちに。
私は何もできていない。
…まだ、何も。
24
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:51:37 ID:2O82Dg8o
〜第51区〜
ネス「…………」ムスッ
プー「……いつまでヘソを曲げてるんだ。敵に気を付けつつ急ぐぞ」タタタ
ネス「いや、曲げたくもなるよ。ここで曲げずにいつ曲げるんだよ。
何なのさ?僕が知らない間に、僕だけ仲間外れにして、
数年間も、キノコ王国で極秘ミッション与えられてたの?
僕たち友達でしょ?教えてくれたっていいじゃないか」タタタ
プー「それを言われると返す言葉がないが…
間違いなく大会参加することになる、ネスの気を散らせたくなかったんだ。
必ずしも事件が発生すると決まっていた訳じゃないからな。裏方が引き受けただけだ。
それに猛特訓といっても、ピーチ姫の指示のもと、ただひたすらに作戦会議と…
ニンテンとアナのヒーリングγの性能向上を試行錯誤で目指しただけで、
戦闘力急上昇とかとは無縁だぞ?ネスが戦闘力トップなのは変わらないからさ」
ネス「別にそんなやっかみとかはないよ…でも疎外感だよ…。
余計な気配り、お節介だよ…。結局今更教えられても、時間を損してるし…。
慌ただしいからもう水に流すけど、次からはちゃんと教えてよ?」
プー「あ、ああ、すまない」
25
:
Mii
:2021/01/31(日) 14:54:05 ID:2O82Dg8o
ネス「それで?2人によって石化のタイムリミット問題はある程度解決したとして。
次の段階はなんなのさ?石化対策のヒーリングγの強化だけがノルマなら、
プーたちまで駆り出される意味はあんまりないよね?…いやあるのか?あれ?
今から僕を、どこに、何のために連れて行くの?」
プー「…………なあ、ネス。
とりあえずネスの戦闘能力があれば、向かう先で仕事は果たせるはずだが。
プラスアルファとして、一つ確認していいか?」
ネス「んー?」
プー「ネスって、歌うことは相変わらず好きか?」
ネス「…唐突な質問にびっくりだけど、もちろん好きだよー?上手いかどうかは別にして。
いつぞやの冒険のときも、しょっちゅうメロディを口ずさんでたなぁ。
なんだろう、元気のない時でも、不思議と力が湧いてくるんだよね」
プー「ならばよし」
ネス「…………」
プー「…………次はここを左に曲がって――――」
ネス「ちょっと待って。中途半端に質問投げて終わりにしないでよ。
意図を!意図を教えてください!」
26
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:13:05 ID:nruCllbs
ロゼッタ「…………石化した人たちが、いなくなってます」タタタ
ルカリオ「ああ。既にデイジーらが助けたか、キノピオたちに運ばれたか、
したんだろうな。――そうに決まっている」タタタタ
どこに、どんな人がいたのか、脳裏に深く刻まれていたがゆえに。
居た人がいなくなっていることを、さも当然のように気付くことができる。
居なくなっているからといって…何か砕けた跡、みたいな――最悪の顛末には、
いまのところ、遭遇していないのが救い。
ロゼッタ「…そう、ですね。 ――――あっ!ゼルダ姫!」
ゼルダ「――フッ! ――ハッ!
あら、ロゼッタではないですか。そちらは如何…
…ハッ、都合よく見せかけて――差し向けられた偽者っ!
顎の骨を砕いてさしあげましょうっ!御免あそばせっ!」
ロゼッタ「ひゃっ!?本物です本物です!一緒に三途の川を渡り続けた本人です!」
咄嗟に頭を庇いつつしゃがんで、ストレートパンチを間一髪躱しますっ!
ゼルダ「…………冗談ですよ。あと、その言い方はおやめなさい」ピタッ
ロゼッタ「じょ、冗談にしては殺気が篭っていたのですが!?」
27
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:16:34 ID:nruCllbs
ゼルダ「本物なら躱せる程度にはセーブしてありますから」
ロゼッタ「『殴られるようなら偽者だ』的発想はやめてください…
合理的ではありますけど――むっ!」
不要だったかもしれませんが、ちょっと助太刀。
彼女の後方から姑息にも迫り来ようとしていたデビルっぽい異形にパパッと接近し――
その尻尾の先端をとっ捕まえて、ぶん、ぶん、ぶんっと!
ロゼッタ「いち、にの……さん!」バッ!
綿毛のように、すごーく軽い!
スピン加速しつつジャイアントスイングし切って、明後日の方向へ…もとい石壁の方向へぶん投げます。
砲丸投げのごとく、狙い通りにヒュゴゥと飛んで行った敵が…
断末魔を上げる間もなく叩きつけられ、メキョっとひしゃげて動かなくなるのを見て、ほっと一息。
テーレッテレー!
ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv.44に 上がった!▼
28
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:21:04 ID:nruCllbs
ルカリオ「おっ、今の動きは中々冴えていたぞ。いい判断だ」
ロゼッタ「ありがとうございます!まだまだ未熟ではありますが…
って、なんだか手がチクチクします!尻尾に、ど、毒!?あわわわ、浄化浄化っ!」パアア
ゼルダ「…いまひとつ締まりませんね」
ロゼッタ「放っておいてください!
それで、ゼルダ姫。このあたりを拠点として暴れていらっしゃるので?
お一人で大丈夫でしょうか、万が一のことがあったりしたら――」
ゼルダ「まあ、ハイラルの姫君を侮るな、とだけ言っておきましょうか。
あの死に物狂いの特訓のおかげで、多少は魔法の腕が上がったことにも
結構救われていますよ。敵にこの体、触れさせもしません。
もっとも、暴れる、という言われ方は優雅さの欠片も無くて承服しかねますが…コホン。
投入戦力がどうにも足りていない所を転々と埋め合わせしている、
といったところですよ。とくに決まった場所があるわけではありません。
…会場に向かっていたのですか、ロゼッタ達は?」
そう軽く返事しつつ、すぐさま周囲に気を配り臨戦態勢。
返り血ひとつ浴びていないというのは、流石といったところでしょう。
とても凛々しく頼もしい、その横顔。
29
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:24:30 ID:nruCllbs
ロゼッタ「はい!…拡散術式の尻拭いも、やらなければならないので。
移動距離がどんどん増えて辛いですが…ではまたっ!」
ゼルダ姫はこのままでもなんとかなるはず。お言葉を信じましょう。
そう言っている間にも、輝きを纏った光の弓矢が、みるみるうちに充填されていくのですから。
下手な鉄砲ですら数撃ちゃ当たる。
ましてやゼルダ姫の最強の弓矢が連発されれば、場を制圧できないはずがありません。
ゼルダ「ロゼッタっ!貴方の心境はある程度察しますが…とにかく焦るのはやめなさい!
――それと…これを!」
駆け出そうとしたところでゼルダ姫の声に慌てて振り返ると、何かを放り投げられました。
咄嗟に手を出して、辛うじてキャッチに成功。ふう。…金銭袋?
紐をほどいてちらっと中を覗き見ると――この形…たしか、ハイラル通貨でしたよね?
ルピー、とかいう。でも、私が知っているのは緑色だけだったような…。
何故か、色とりどりのルピーがざくざくと詰まっています。
ゼルダ「はした金ですが…好きに使いなさい、遠慮はいりません!
さあ、ここは私に任せて、ルカリオと共にお行きなさい!
どうせロゼッタのことですから、これがないと何もできないのでしょう!」
ロゼッタ「は、はい!わかり…ました?」
生返事になってしまう程度には、ゼルダ姫の意図を掴みかねているのですが…
何か大きな意味があるのでしょうか?つい流れで、そのまま懐にしまう羽目に。
…あ、重くはないですが割と嵩張る。空間魔法が使えたら別空間に収納できたのに。
まだまだ喧騒と爆撃醒め止まぬ中、ゼルダ姫と別れ、再び私たちは走り出します――
30
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:28:17 ID:nruCllbs
〜キノコ城北 第2区〜
ポーラ「もうちょっと!あとちょっと!みんな、お願い!頑張って!
あたりの石化ペースの膠着状況からして――
ニンテンとアナもフルパワーで頑張ってくれてる!だから急いでください!」タタタ
リュカ「――ディフェアップΩ!――ライフアップΩ!――サイコカウンターΩ!!
頑張ってるよお、なけなしの勇気と根性と空元気でっ!…わっとと!
さっすが戦況ど真ん中、敵の密度が濃いのなんの!
ぜつぼーてきにPPが足りないっ!サイマグネットフル稼働だよ!
カバーした傍から、僕自身含めてダメージをボカスカ蓄積するから仕方ないね!
そして僕は一体全体、どういった経緯で、
いつの間にかPKサンダーやサイマグネットを使えるようになったのか!
改めて考えるとそこがよくわからない!」
クマトラ「教えただろ!」
リュカ「記憶に御座いません」
ダスター「アホなこと言ってないで動け!」
リュカ「はぁい!」
31
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:32:32 ID:nruCllbs
嫌になるくらい、血だらけ荷だらけ泥だらけ。
戦闘力のあまりない、あるいは温存中の人たちの護衛をしつつ、
実力不相応に強行突破しつづけようと突っ込んでるからさもありなん。
強者にのみ許されるチート能力でも貰えないかな、矢除けの加護とか。
超能力だけじゃキビシイんだよねー!
…いやむしろ、なまじ超能力で色々できるばっかりに
能力補強に駆り出されまくりで首を絞めている気がする!
ジェフ「はい、次の交差点を右、その次を斜め左です!」
テディ「おうよ!地図を見間違えるんじゃねぇぞ!」
ジェフ「馬鹿にしないでください!
そもそも、予行演習でさんざん行った場所でしょうが!」
やや高台っぽい「目的地」に向かうなだらかな坂道を、駆ける、駆ける、駆け上がる。
死角から飛び出る悪いヤツらを出会い頭にぶっ倒し、
僕たちにとって第一の護衛対象であるポーラにレーザーでも迫れば慌てて身を挺して受け流し、
味方の誰かが傷つき、倒れ、蹲れば…どうにかこうにかPPをやりくりして治療する。
…あ、なんだかちょっと、立ち眩み。
32
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:35:24 ID:nruCllbs
リュカ「げっ……!」フラッ
間の悪いことに、視界の端から、石っころ…いや岩っころが猛スピードで飛んできた。
なんだよその攻撃、手抜きか。誰の仕業だ、おかげさまでピンチだよ。
僕が避けるとみんながやばい。まあ避けられないんだけど。…ええい!
せめてもと顔を両腕で遮って、上げた防御力でやせ我慢!かなりの痛みを覚悟して……!
ザンッ――――――ズバアアアアァァッ!
リュカ「…ふえっ?」
…閃光一貫。突然、岩の塊が――紙きれのように、木っ端みじんに千切れ飛んだ。
それも、都合よく破片がこちらに飛ばないような吹っ飛び方で。
どうやったのか知らないけれど、クマトラ、グッジョブ!
クマトラ「うおっ!やるじゃないかリュカ!今の、どうやったんだ!?
いっきなり、でっかい礫が爆散しやがったぞ!?
火事場の馬鹿力ってやつか!チクショー、オレも真似してみたいっ!」
リュカ「…………は?今の、クマトラがやってくれたんでしょ?えっ?」
クマトラ「んな訳あるか。ボケたか?」
33
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:38:32 ID:nruCllbs
吹っ飛んだ岩の残骸と、クマトラの驚愕の顔を交互に見やる。
破片の散らばり具合、やっぱり凄い。当たっていたらとゾッとする。
…いやいや、僕なんにもやってないよ!
「大丈夫ですか?御怪我はありませんか?」
リュカ「……………うわああっ!?…あの?ええっ…と?
き、きみが助けてくれたの?ありがとう!強いんだね!」
突然、「目の前」に、やってくる顔。…う、浮いてる?
ビックリ仰天したけれど、よく見れば穏やかで怖がりようのない顔だ。
表情が豊かというわけではないけれど、微かに笑みを浮かべている。
「いえ、お気になさらず。幸い、私の体の方が丈夫だっただけですから。
ここに急行して窮地を救うように……誰かに懇願された、気がするのです。
不思議な感覚だったのですが…いえ、気の迷いですね、忘れてください」
リュカ「…………?」
「…大変申し訳ございません、私も急いでおりますので――――これにて失礼いたします」
リュカ「あ、うん、その感じだと、大事な用が待ってるんだよね!
それじゃあバイバイ!きっとまた会えるよ!お互い、この戦いを生き抜こう!」ダダッ
34
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:40:50 ID:nruCllbs
ファイ「…………はい、そうなることを願っています。
さあ、急ぎマスターの元へ馳せ参じなければ――――!!」フワッ
――――――――ファイ、参戦!!
戦況が再び、動き始める――――
35
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:41:54 ID:nruCllbs
リュカ「さあ、体の具合は、なんとも、ない、かな?」ウーン
――――さあ、早く向かいなさい。
――――大事な役目が、あるのでしょう?
リュカ「…クマトラ、今、何か言った?」
クマトラ「いや、何も?…どうかしてるぞ?」
リュカ「あ、いや、えと。ううん、なんでもないなんでもない。
――――じゃあ、急ごうか!」ダダッ!
――――――――――頑張って。
36
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:44:39 ID:nruCllbs
〜司令スペース〜
ラナ『いいよいいよ、ちょっとずつ戦線が拮抗してきた!
最初からこうしておけばよかったのね…!
――うっふふ!もっとやっちゃえ! やっちゃえ!』パアアアアア
シア『ラナ、それ本物ちゃう。偽者の台詞や。
…まあ目が逝ってる現状、まさしくそんな雰囲気を醸し出してはいるけど』
ラナ『……生命力を墓地に垂れ流しにしてるからねぇ。ごほっ…。
えーと、次のご神託は…っと。
《第3勢力およびネス、第2区に向かって急接近中!》…だって。
だい…3、勢力か、また。これって…』ウツロ
トゥーンゼルダ「いい加減、第3勢力とやらが何者か知りたいな――」
ネス『ごっめん!ホントごめん!今の今まで頭の中で状況整理できてませんでしたっ!
聞く感じ、おそらく第3勢力って僕の仲間たち…MOTHERチームのことだと思う!
いやあ、通信環境が復活してくれて助かったよ!』
トゥーンゼルダ「…!ネスか!それは真か!」ガバッ
37
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:48:00 ID:nruCllbs
ネス『でっ!伝わったついでに、もうひとつ!現状の僕たち、とある施設に向かってるんだけどさっ!
この情報、僕自身もつい先ほど知ったばっかで戸惑ったんだけどさっ!
司令部の方から、その『とある施設』の担当者に事前連絡して
受入態勢を整えておいてもらえないでしょーか!
不審者と思われて突っぱねられるのも時間の無駄っぽいし!』
トゥーンゼルダ「よ、よし。どの施設だ!?」
ネス『それは………察して!ピーチが重要視しそうな施設、以上っ!』
トゥーンゼルダ(…そうか、情報の取捨選択こそできるようになったとはいえ、
まだ敵側に傍受はされ続けている…!迂闊に施設を名指ししない方がよいのか…!)
トゥーンゼルダ「おいキノピオ、第2区の主要な施設には何が有る?」ヒソヒソ
キノピオ「…え、だ、第2区、ですか?うぅんと、えっと、あのぉ…!
…あ!そういえばっ!」ヒソヒソ
トゥーンゼルダ「片っ端から言ってみろ!」ヒソヒソ
キノピオ「行列のできる美味しいクレープ屋と食べ放題のカレーショップと
マニアが集うガラクタパーツ取り扱い店と、ついでに王国自然博物館と…」
ヒルダ「」
トゥーンゼルダ「王国の博物館が つ い で だと?」
ヒルダ「ツッコむところ、そっちですか!?」
38
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:49:29 ID:nruCllbs
キノピオ「じょじょじょ冗談ですアハハハハ」ダラダラ
キノピオ「……………………あ。
そういえば、あの区画には――――――――」
意図的かどうか知らないが、フザケた回答を述べてくれたキノピオを一睨みしてみれば。
竦み上がったあと、真顔に戻って。
ある施設の名前と、その隠れた役割を口にする。
ハッと、した。
私は、MOTHERチームの能力や技能、持ち得る作戦について無知もいいところだが。
おおよそ、やりたいこと…やろうとしていることが分かった気がした。
あとは、その背中を少しでも――押してやることと、しよう。
39
:
Mii
:2021/05/04(火) 09:55:32 ID:nruCllbs
〜第2区、「ある施設」〜
ポーラ「…………着いたぁー!!」
ポーラが、多少はしたなくも、片腕を天に向かって勇ましく突き上げる。
目の前には、間違っても異形を侵入させまいと、鉄壁ガードを張り巡らせたエントランス。
レーザーカッターにボムキャノンに突風装置に抗エネルギープレートに…。
何も知らない人が、ダミーのしょぼいバリケードに油断して突っ込むと、
一瞬であの世行きになりかねないトラップ群たち。もちろん関係者以外立ち入り禁止。
…相変わらず、すごい警備だよね。不審者、襲撃者対策がてんこ盛り。
まあ、敵がファイタークラスにもなると、流石に一切合財、吹き飛んじゃうんだけどさ。
無限お代わりでいつまでも持つような設備でもない。弾切れすれば置物だ。
あくまで雑魚敵対策としての一般人の抵抗、止まりだもんね。
敵側に重要視されていなくて、よかったよかった。
そして、僕たちが無事に辿り着いたとみるや、
扉のロックは示し合わせたように解放される――――
担当者「お待ちしておりました、さあ、急ぎ放送室へ!一同スタンバイしております!」
リュカ「お邪魔しまーす!…みんな!まだ敵の攻撃は続くだろうから気を抜かないで!
ここの人たちを守り切ることもお忘れなく!クマトラ!しんがりは任せたよ!」
エレベーターなんて使うのはかったるいと、
階段を踏み砕く勢いで、皆で一斉に駆け上がる――――!
担当者「既に何度か来訪されていることは百も承知ですが…あらためまして、ようこそ!
我が王国が誇る最先端施設のひとつ、『王国第一ラジオ塔』へ!」
40
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:00:50 ID:nruCllbs
ネス「…王国第一ラジオ塔?何、それ?聞いたことないよ」タタタタタッ
プー「心配するな、もともと世間には公表されていない施設だからな。
知らなくて普通だ、ネスが勉強不足という訳じゃない」
ネス「ふぅん?」
プー「いいか、ネス。キノコ王国には、城下に備わる放送機器を通じて…
緊急音声放送を城下全体にくまなく流せる施設がいくつか存在する。
身に染みて分かっている真っ最中だろ?緊急時の情報処理は最重要だ。
代表的なのが、キノコ城が所有する内部施設。まあ、当たり前だな。
いざとなったら、ピーチ姫が直々かつ速やかに、ああしろこうしろと指示を出せる訳だ。
だが、こいつはキノコ城そのものが占拠や争乱に巻き込まれたときには
中々役に立ってくれないし、察知されてからの襲撃までの時間を稼げない。
下手をすれば敵に好き勝手悪用までされてしまう」タタタタタッ
ネス「…となると、別の位置から発信できる施設もあった方がいいってことだね」
プー「その通り。ある程度キノコ城から離れたところに、それも目立たないように、
同程度以上の発信機能を持つ…隠し施設を保険でいくつか用意しているというわけだ。
備えあれば憂いなし、だな。今はそのうちの一つに向かっている」
41
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:11:07 ID:nruCllbs
ネス「なるほど、施設の役割は理解したよ。
…でも、なんで僕たちが?演説でもするの?何のために?
いや、さっきの質問的に歌うことになるのかな?
恥ずかしいとかは別に言うつもりはないけれど、やっぱり意図が見えない」
プー「なあに、簡単なことだ。
キノコ王国の、一種の様式美という奴らしくてな」
ネス「様式美…?」
プー「…ああ。要するに――――
王国じゅうの住民…いや今回は城下の住民に限るけれども。
みんなの願い、ガバッと集めて――――――
――――――――ヒーローに託してズバッと解決、っていうお約束だ」
ネス「――――ああ!なんとなくわかった気がする!
そういうことなら、確かに!僕たちが適任かもしれない!
…それで、どっち?」
プー「ニンテンたちから教わった方だ」
ネス「オッケーわかった!任せといてよ!」
42
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:13:06 ID:nruCllbs
ポーラ「――――――――よし」
ポーラ「じゃあ、始めます」
ダスター「おう、やっちまえ。放送に集中しろよー」
ポーラ「もちろん」フフッ
肩の力を抜いて。
堅苦しい言葉じゃなくて、子供っぽく、いたいけな女の子っぽく。
さあ――頑張れ、私。
ポーラ「――――――――ぴんぽんぱんぽーん。
これより、緊急放送を始めます。
きこえたかい?…じゃなかった。みなさん、聞こえていますか?」
テディ「オイオイ」
――――全域に、少女の朗らかな音声が、響き渡る――――
43
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:15:58 ID:nruCllbs
『――――――――ぴんぽんぱんぽーん。
これより、緊急放送を始めます。
きこえたかい?…じゃなかった。みなさん、聞こえていますか?』
一人の、避難民がいた。
既に一度、石になっている。今は、石には、なっていない。
そして、また時間差で、石になろうとしている。
声の鳴る方向を慌てて見れば、10メートルほど頭上に設置された城内放送器。
…いや、自分の頭上、だけではない。
避難所のあちらこちらから。
…いや、自分の避難所、だけではない。
音が若干反響しているので正確なことはなんとも分からないが、
それこそ、避難所周囲の遥か先から、あちこちの方向から――
至る所から、大なり小なりの同じ声が響いてくる。
何事かと思うのは自分だけではないらしく、不安そうにあたりを見渡す人々。
44
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:17:47 ID:nruCllbs
『私、ポーラっていいます。よろしくお願いします。
実はピーチ姫の生まれ変わりとか影武者とかだったりするの…なんてね。
そんなことを言っている暇じゃないですね。
あんまり畏まったしゃべり方ができなくてごめんなさい。
怒りたくなるかもだけど、私も緊張してるので、大目に見てくれると嬉しいです。
リラックスしてくれるなら、なおの事嬉しいな』
少女は簡単に言ってくれるが、それは無茶な願いだ。
こんな放送ひとつでリラックスできる図太さがあるなら、
最初から不安に駆られてなどいない。
無責任だ、そんな暇があるなら助けてくれ、そう言い返したくなる。
それでも、放送は続く。
『みんなも知っての通り、マリオにクッパにリンクに…
とにかく、たっくさんのファイターたちが、結構強大な敵と戦っています。
戦ってる敵は、みんなが想像する通り、やばい奴。
そいつの能力で、城下じゅうの人たちが石にされようとしています。
ふざけるなって感じですよね、本当に…信じられない!
…辛いことを言わせてもらうと、既に石になちゃった人もいると思う。
その時の絶望、悲しさは計り知れなかったんじゃないかな。
私なんかじゃ、その1%も『分かってあげられる』なんて傲慢なことは言えない。
でも、とにかく辛かったんだよね、今もなお苦しんでいるんだよね』
子供っぽくプンプンと怒り、それでいて自分たちと一緒に苦しみ――――
自分たちに誠心誠意謝っている表情が目に浮かぶようだ。
こんなときに何を間の抜けたことを、なんて発想は蠢いたりはしなかった。
45
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:20:07 ID:nruCllbs
『とりあえず、みんなに伝えたいこと、簡単に言わせてもらいます。
敵の方は、彼らが…我らがヒーローたちが、絶対何とかしてくれる。
我ながら他人任せというのは歯痒いけれど。
そのことを踏まえて、お願いしたいことがあります。
別に、ヒーローたちに助太刀して戦ってやろうとか、
せめてアイテム運搬でもやってみようかとか、
無茶振りをするつもりはないの。ただ――――
ヒーローたちが勝つことを、願ってほしいんだ』
避難民「願う…………?」
願って、何が変わるのか。
『言いたいことはわかります。願うことが何に繋がるんだーって気持ち。
そんな精神論どうでもいいだろ、他にやることがあるだろーっていう気持ち。
でも、願うことって、中々馬鹿にできないの。
ただ悲嘆に暮れて闇雲に恨み辛みをこぼすんじゃなくて、
ファイター達を明確に思い浮かべて、勝ってほしいって前向きに…願って。
願った方は活躍の先を期待することで、頑張り、やる気がちょっとずつ湧いてくる。
願われた方はもうひと頑張りしてみるかって気力が満ちてくる。
これって、すごいことだと思いませんか?』
46
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:22:25 ID:nruCllbs
避難民「……………………」
言葉でいうのは、さぞや簡単な事だろう。
涙が出てくる。本当に簡単なことだ。しかし――――
『…と、まあ。無責任に頼み込むのも、無茶振りってものですよね。
だから、ささやかなお手伝いではあるけれど――――
その下地を、私で、私たちで、用意させてもらうことにしました』
避難民「…………下地?」グズッ
10秒、あるいは20秒ほどか。少女が途端に黙り込む。
代わりに微かにマイクが拾ってきたのは、ガタゴトガタゴト、引き摺り、ぶつかり、歩き回る音。
機材の配置か、ゲストの移動か。ともかく、なにか準備をしているようだ。
47
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:23:48 ID:nruCllbs
『うう…今回はホントに音量ONなんだよな…記録に残るかも、なんだよな…
リハーサルの時とは緊張感とプレッシャーがハンパないぜ…!』
『今更ビビるとか口パクとか、そいつは無しですからねクマトラさん』
『う…うん』
『うっふん?』
『殴るぞリュカ!』ボカッ
『ちょっと静かにしてください!思いっきり声を拾われてますよ!
恥じらいという物を少しは持ってください!』
『俺みたいにドーンと構えとけよ、落ち着きがねぇな』
『さすが年長者!あとはもうちょっと歌に相応しい服装だったら良かったのにな―』
『殴られたいのかお前!』ドゴッ!
『痛っ!?暴力反対っ!』
『はあ…やれやれ…お、入口にプーとネスが見えた!合流も間もなくだな!』
『まあでも、2人を待たず、さっさと始めてしまいますからね!』
『いやいや、せっかくだから待ってあげようよ』
『そ、それは悠長なんじゃ…まったく。しょうがないですね』
48
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:26:14 ID:nruCllbs
――――そして。
『よし、到着!…あれ?ニンテンとアナとロイドはいないの?…ああ、別件か。
本来ぜひとも居るべき人物がこぞって居ないのか…』
『つべこべ言わない、託されたからには僕たちでやるしかないだろ!』
『わかってるって、再確認しただけ!…さあてと!準備完了したよ!
始めちゃおうよ、善は急げ!』
『それじゃあ、行きます――――』
やってきた、静穏。
しばし漂う、無音。
脈略もなく。しかし、確かに。
荘厳な音楽が、熱唱とともに猛烈に、強烈に流れて来て――――
『エンディングまで、泣くんじゃない!』
49
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:32:44 ID:nruCllbs
〜キノコ城城下南 第40区〜
ギムレー「ちっ、折角の興が削がれてしまったな。
もう少しで、こんな王国など壊滅同然にまで追い込めたものを」タタタッ
ロゼッタ(偽)「まあ、よいではないですか。まだまだ我らが優位、
いくらでもやりようはあるというもの。
次は如何致しますか?なんなりとお申し付けください。
攪乱、援護、索敵、ばっちりこなして見せましょう」タタタッ
ギムレー「様」の怒りを少しでも和らげようと、私も気遣いを尽くします。
ちらりとこちらを見やって、にやりと笑って。たちまち近づいて来られました。
息遣いがはっきりとわかります。
ギムレー「…………ふっ、面白い女だ。ますます気に入った。
どうだ、この争乱のカタが付いたら、共に故郷に向かい、
我が妃の立場に収まる積もりはあるか?ああそうさ、我にこそ相応しい。
我の本質は変わらない、『本体』も気に入ることだろう。
その類まれなるチカラ、あちらでもさぞや重宝する」
ロゼッタ(偽)「あらまあ、口説かれていますか?それも中々魅力的な案ですね…!
貴方ほどの殿方の右腕となれるのは光栄な限りです…!
ですが、困ってしまいました。これでも私、キノコ王国民なので…
なかなか無断では他の国には渡れないのですよ。
そうですね…貴方がキノコ王国を明確に捻じ伏せ、乗っ取るのならば
そういった未来も吝かではないのですが…ね?」ウットリ
50
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:35:17 ID:nruCllbs
ギムレー「くくく……よかろう」ピタッ
ギムレー「我、ギムレーが、『ギムレー本人』の立場として無慈悲の鉄槌を下そう。
愚昧なるキノコ王国に対して、我がペレジア王国は――――
傘下のイーリス、フェリア、ヴァルムとともに――ここに宣戦布告する!
全てを破壊し尽くし、滅ぼしつくし、奪い尽くして見せよう!」
指を高らかに掲げ、広場のど真ん中で派手な宣言。
その横顔は、怖い物など一つもないと言わんばかりの自信に溢れた顔。
格好の良さに、思わず顔が火照ります。
ロゼッタ(偽)「素晴らしい宣言です…!今後とも、是非よろしくお願い致します!」
タブー様のお許しさえ出れば、すぐにでも付いていきたいくらいの貫禄です。
ギムレー「…おっと。見染めるのは好きにすればいいが、今現在の目的を……
よもや忘れてはいまいな?あとどのくらいでたどり着く?」
ロゼッタ(偽)「お任せください…ふむ。南西へ750メートル程度といったところです。
いよいよ、ギムレー様の目的の一つが、ここに完遂されるのですね…!」
51
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:37:20 ID:nruCllbs
――――と、その時。
『――――――――ぴんぽんぱんぽーん。
これより、緊急放送を始めます。
きこえたかい?…じゃなかった。みなさん、聞こえていますか?』
ギムレー「…はあ?何だ、この放送は。どこから放たれている?」
一瞬スピードを落とし、忌々しそうに周囲を観察し、
手早く発信源のスピーカーを破壊したギムレー様。
しかし、発信源は無尽蔵にあるらしく、一向に止む気配がありません。
知らぬ少女の語りが、無駄に長ったらしく続きます。
ギムレー「耳障りだな、何のあがきのつもりだ…」
脈略もなく。しかし、確かに。
ただただ癪に障る音楽が、下らない声色とともに流れて来て――――
52
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:39:50 ID:nruCllbs
――――La La La La La…La La La La La…
――――La La La La La…La La La La…
――――La La La La… La La La La La La La La…
――――La La La La La…La La…La La……
ギムレー「……なんだ?」
ロゼッタ(偽)「さあ…………?」
訳の分からない、歌い声。
妙に不安と胸騒ぎがするのですが、どうしたことでしょうか。
53
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:42:39 ID:nruCllbs
――――Take a melody
――――Simple as can be
――――Give it some words and
――――Sweet harmony
――――Raise your voices
――――All day long now
――――Love grows strong now
――――Sing a melody of love, oh love…
ロゼッタ(偽)「…………………………?」
その歌と音楽は、繰り返し、繰り返し、ただひたすらに流れ続ける。
争乱による爆裂音を塗り潰す勢いで。
ギムレー「……………………ハハハッ!この期に及んで、歌!歌だと!
歌や音楽ごときで戦意喪失が、戦況的不利が改善されるとでも?
なんという幼稚でバカバカしい発想だ!」
54
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:45:51 ID:nruCllbs
ロゼッタ(偽)「…まさか、ただの歌ではなく、何かしら魔術的要素が……」
もしもそうだったら、流石に見過ごしてはおけません。
ギムレー「だったらロゼッタ、すこし魔法感知で調べてみるとよい。
そもそもお前のチカラのおかげで、あやつらは空間魔法を使えないのだろう?」
ロゼッタ(偽)「はい、只今。
…………正真正銘、何の変哲もない…ただの歌ですね。
まったくつまらない。心配して損をしました」
ギムレー「能天気なヤツらだ。能天気過ぎて反吐が出る。
さあ、とっとと目的を―――――――
ルキナをこの世から消し去ってしまうとしよう」
ロゼッタ(偽)「二度あることは三度ある…
あらためて絶望を感じさせながら、ですね?」
ギムレー「素晴らしいぞ、ロゼッタ。さすが我が認めた女だ」
こんな雑音を気にしてなどいられません。
やるべきことをやってしまいましょう。
55
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:49:11 ID:nruCllbs
デイジー「……………………」ダダダダダダッ!
ニンテン「おらぁー!『Eight Meodies』、キノコ王国中に響け!
広場だろうと避難所だろうと地下室だろうと問わずっ!
老若男女問わずっ!
頑張っている人だろうとそうでない人だろうと、
喜んでる人だろうと悲しんでる人だろうと、
とにかく全員に届け、届け、届けぇ――――!!」ガオー!
アナ「そして私たちの体はデイジーさんによって
あちらこちらに届けられ…っと。ま、しょうがないわね。
…デイジーさん、目が潤んでるけど、大丈夫?」
デイジー「な、なんで、なんだろーね。さっきからおかしいの。
でも別に、悲しく、ないんだ。いや、むしろ――――
何が何でも悪いこと全部ひっくるめて終わりにしてやるっていう気概が、根性が…
満ち溢れてくるというか、心に火がともったというか…なんなの、これ…?」
ニンテン「言ってみりゃ、敵の『OFF波動』のウラガエシだよ。
実の所、この歌声自体には魔法効果なんて全くない。
逆に言うと、敵に絡繰りもばれにくい!
ただ、俺たちがずっと心を動かされてきた名曲で、
聴いている人の心を動かしてしまうのも当然の予定調和で――――
ポーラが本格的に頑張り出したら、もっとすごいぞ!」
56
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:51:21 ID:nruCllbs
〜第2区 王国第一ラジオ塔〜
ポーラは こころをこめて いのった!▼
ポーラ(…わたしたちに ちからを
ちからを かしてください。)
『お願い、勝ってください!』
『頑張って!負けるな!』
『信じてるから!』
『くたばってたら承知しないぞ!』
『誰一人死なさないでね!』
『これ、あれでしょ。星の精とかコバルトスター経由で
ちょっとずつパワーを集める儀式だよね!知ってる知ってる!』
城下の人たちは 未だかつてない 気持ちの高ぶりを 感じて
ファイターたちの 無事を 強く祈った!▼
57
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:52:45 ID:nruCllbs
ポーラ(来た、来た、来ましたっ!
感じる!みんなの願いが!みんなの祈りが!…一部変なのがいるけど!
絶望し切っている人なんて、そうそういないんだから!
僅かな希望を、大きな希望に!大きな勇気に変えていけ!
あとは――――私のお仕事ですね!)
ポーラ「1回目、そろそろ行きます!」
私の体は、眩いばかりの光に包まれる。バチバチバチバチ、音がする。
集中して、掲げた腕の手のひらの先に集めて、集めて、集め切って――――!
テディ「歌いながら祈るとかメチャ大変そうだが…任せたぜ!」
ポーラ「みんなの想い――――ファイター達に、届けぇーーーー!!」パアアアアア
ラジオ塔が、強烈な光を全方位に降り注がせた。
58
:
Mii
:2021/05/04(火) 10:54:30 ID:nruCllbs
デイジー「…!?」ゾワッ
デイジー「……おお、おおお!?
なんかすごい!なんかやばい!なにこれ!体がシャキッとした!
ポーラったらやるじゃない!会ったことないけど!」グーン!
デイジーの 全ステータスが すこし上がった!
さらに やる気が すこし上がった!▼
ニンテン「振り回すのやめて!吐くっ!吐くからっ!!」
デイジー「…でも、OFF波動の影響を完全に打ち消すほどじゃないか。
まあ、贅沢はいってられないね」
アナ「ふふん、贅沢言ってもよかったりするんですよ」
デイジー「と、言いますと?」
アナ「ポーラの『祈り』の回数は、1回こっきりじゃないですから!
人々の願いが、祈りが続く限り、続けてどんどん重ね掛け!」
デイジー「まじでか!」
59
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:02:36 ID:nruCllbs
ポーラ(どうぞ わたしたちに ちからを かしてください!)
ポーラ「…………2回目、行きます!」パアアアアアアアアア
クッパ「うおおおお!!無性に力が湧いてくるのだぁ!
皆の者!こんなヤツら、とっとと倒して次に向かうぞ!ワガハイに恥をかかすなよ!
ボコスカ、突撃ぃーーーーーー!!」
クッパ軍団「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」
クッパ「逃げ延びた敵は、称賛の意を込めて――
ワガハイが直々にブレスで完全燃焼させてくれるのだ!」
異形「「「「「「「「」」」」」」」」ガクガクブルブル
クッパ「なにぃ?この期に及んで燃やされるのは嫌だと?」
異形「「「「「「「「」」」」」」」」コクコクコクコク
クッパ「ならば仕方がない。
かわりにワンワンにでも潰されろ。それ、行くぞ」ポイッ
ワンワン(直径10m)「バウッ!」グシャッ
異形「「「「「「「「」」」」」」」」チーン
60
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:05:03 ID:nruCllbs
――――ドッゴオオオオオオオン!!!
ネス「La La La La La… うわあっ!?やばい!敵に場所がばれたっぽい!
敵の探知も中々早いぞ、案外優秀だな!20分くらいしか稼げなかった!
敵が集まり出したぞ!…リュカ、クマトラ!ノッてる所悪いけど歌うの中断!
僕たちだけでも防衛に回るよ!」
リュカ「う、うん!…うげ、奥からも続々とやってきてるような…!
これ、あと10分もしないうちに羽ばたく魑魅魍魎でお腹いっぱいになるよ!
…蛍光灯に集まる蛾かな?」
クマトラ「割とオレのPPも尽きかけてはいるんだが…
モロにこの建物に照準合わせてるな、どうする?ヤバくないか?」
ネス「とにかく急いで準備!ポーラたちを歌に集中させてあげるんだ!
僕が北と西、ついでに真下に見える入口の防衛を受け持つから、
リュカは南を、クマトラは東をお願い!
近づく敵からどんどん撃ち落とすか排除しちゃって!もちろん飛び道具なんて通さないでよ!」
リュカ「や、やってみる!なんなら3方角受け持ってもらってもいいよ?」パアアア
ネス「そこまで甘えないでほしいんだけど!」パアアア!!
クマトラ「キツイこと言ってくれるぜ…!」パアアア
ネス(ポーラのHPやPPも無尽蔵じゃないんだ、極力節約させないと――――!)
61
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:09:33 ID:nruCllbs
ポーラ(このいのりを どうぞ せかいじゅうに とどけてください!)
ポーラ「はあっ、はあっ…………4回目、行き、ます!」パアアアアアアアアア
マリオ「YAHOOOOOOOO!!懐かしいというか毎度おなじみのこの感じ!
ラストスパートにもってこいって感じだな!
ハンマー…………ナゲェ――――ル!!」ゴウッ!
ハンマーが、マッハの速度で飛んでいく。
異形「「「「「「「「「「GYAAAAAAAAAAA!?」」」」」」」」」」チュドーン!!
異形「「「「「「「「「「」」」」」」」」」」チーン
ルイージ「…うっわあ。一石二鳥ならぬ一槌十鳥になってる。原型留めてないよ。
兄さんのパワーが上がり過ぎて、僕要らない子だなあ。
…まあ、僕なりに頑張ってはみるけどね!
でも、兄さんほどパワーが上がっていないのはなんでだろう?」
マリオ「ルイージはヒーロー慣れしてないからなあ…」
ルイージ「わけがわからないよ!」
62
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:13:42 ID:nruCllbs
バキバキバキバキッ!!ゴオオオオォォォォォォ!!
ネス「落とせ!落とせ!落―とーせー!!
こ、攻撃がどんどんキツくなってきてるな…!同時に来る飛び道具とかも
対処の限界があるし…うわあっ!?壁もヒビが入って崩れ出した!本当にやばい!
…リュカ、クマトラ!そっちは大丈夫!?厳しそうだったら素直に言ってね!」
ネス「…リュカ?クマトラ?」クルッ
リュカ「…あ、御免。しくじった、みた、い。
限界、の所に…不意打ち、食らっ、た…」ドクドク
クマトラ「もう…むり…」バタンキュー
ネス「へんじがない。だいたいしかばねのようだ…って、
うおおおおぉぉい!!?声掛けが遅かった!」
リュカ「ネス…僕はもう…疲れたよ…」バタリ
ネス「リュカ!……うう、気絶しちゃった。命に別状は…ない、みたいだけど…
…って、クマトラまで倒れちゃってるし。PP の欠乏症状か。
…ちょっと負担を駆け過ぎたかなあ、仕方なかったけど…」
あちらこちらで、崩れる壁、物、機材。最低限の放送機材は身を挺して守り切る。
もともと管理していた人たちは地下の防空壕的なところで待機してもらっているけれど、
僕たちも身をどうにかしないと命に関わり出すかもしれない。
63
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:15:48 ID:nruCllbs
ネス「とりあえず、みんな!みんなも地下に避難して!よくやってくれたよ!
これだけの大合唱で、相当な祈りパワーを届けられたはずさ!
だからもう休んでいいよ!このままだと危険だ!さあ!」
ポーラ(だれか わたしたちに ちからを かして!)
ネス「ポーラ!もう祈りはしなくていいから!自分の命を優先して!」
ガツンッ!
ネス「……ポーラ!」
割れた窓から、刺さる一撃。目を閉じて集中していた彼女に、避けられるわけがない。
目の前のポーラが、飛来するのを確認することすらできないまま…
額に火炎弾を受けて、室内をもんどりうって転げていく。
ポーラ「……………………い、たい」ドクドク
夥しい量の出血。慌てて駆け寄ったはいいけれど、僕はあわあわと混乱するばかり。
ポーラ「私が、もっと、がんばら、ないと……!
自慢じゃ、ない、けど。私が、いない、と。
この歌、まとまりも、歌唱力も、なくなっちゃう、し――――」
ネス「そ、そうかもしれないけど。一人だけ段違いの歌唱力だしね、うん!
でも大丈夫!あとは僕たちに任せてくれたらそれでいいから!」
64
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:19:48 ID:nruCllbs
満身創痍すぎる彼女に、これ以上負担をかけさせるわけにはいかない!本当に死んじゃうよ!
「そうだ。そこまでにしておきなさい」
ポーラ「――――え」
突如として、一人の「男性」が声を掛けてきた。
すわ敵の侵入を許したか、と今更ながら交戦の構えを一瞬とって、
手に取る武器や足元をみて、むしろ蹴散らしてきてくれたのか、と判断して。
よく見れば、知っている顔で。
ポーラを優しくなでる彼。安心したのか、緊張の糸が切れて、たちまち寝息を立て始める。
そうか、つまり――――
シーク「別に、曲を変えてしまってもいいのだろう?音響の停止は任せた。
祈りを力に変換する…か。少しは齧ったことがある。やってみよう」
ネス「ダレダ姫!来てくれたんだ!」
シーク「シークだ!!」
助かったんだなあ、と思った。
65
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:22:30 ID:nruCllbs
〜キノコ城城下南、第41区〜
リンク「…な、なあ!ピット!テンションが上がってきた俺の勘違いかもしれないが!
ルフレとルキナ、ほんのちょっとだけ表情が動いているように見えないか!?」
さすがにこれは心弾まずにはいられないぜ!
ルフレの 全ステータス降下が 解消し切ろうとしている!
ルキナの 全ステータス降下が 解消し切ろうとしている!▼
ピット「ほ、ほんとだ…!MOTHERチームが上手いことやってくれたのか…ああっ!
み、見てよリンクっ!パルテナ様も、パルテナ様もっ!」
パルテナの 全ステータス降下が 解消し切ろうとしている!▼
リンク「おおおお!あと一押しってところだな!!こりゃあいいや!
頑張ってきた甲斐があったってもんよ!どんどん集まれ、勇気パワー!
…………ん?誰か、こっちに近づいてくるぞ」
ピット「え、新しい敵?勢い削ぐ、なあ…!そんなにあからさまにわかる?」
リンク「なんというか、やたら邪悪な感じがするというか…まさか」
ピット「そ、それって――――い、いや、今の僕たちなら――――」
66
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:30:41 ID:nruCllbs
突然 流れていた熱唱が 止まった!▼
ピット「あっ…人数減らしながらも歌い続けてたEight melodiesが…」
リンク「…あり?ネスたちに何かあったのか?ちくしょー、大丈夫かな…」
何が起こっているのか定かじゃないが、きっと悪いことなんだろうな。
なかなかいい事ばっかりは続かないぜ。
だが、彼らの身を案じている余裕は流石にない。
なんとか己の力だけで対処してくれ!きっとできる!
ピット「ま、待って!代わりに…何か、聴こえてくるよっ!」
リンク「なんだと…………?」
どうやら、放送の役目がすべて終了というわけじゃないらしい。
耳をそばだててみれば。
今度は歌詞は無しらしいが、澄んだ音色が――――
〜〜〜♪♪♪
美しいハープの音色とともに 「ゼルダの子守唄」が 響き渡る!▼
67
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:33:12 ID:nruCllbs
リンク「――――――――」
リンク「――――――――――――――――」シュウウウウゥゥゥ――――
リンク「――――――――――――――――うおおおおおおおおおお!?
気が高まる、溢れるぞおおおぉぉ!!なあ、ピット!!
あ、一人はっちゃけてスマン、お前には分からない話だったか――――」
リンクの 全ステータスが 上がった!▼
ピット「こんなの、Eight melodiesとの相乗効果で音楽パワー限界突破じゃないですかー!
ひゃっほー!!これは勝ち申した!!」
ピットの 全ステータスが ぐーんと 上がった!▼
パルテナ「勝利BGMキタコレ―――――!!」パリイイィイン!!
パルテナの 石化が 解けた!
パルテナの 全ステータスが ぐーんと 上がった!▼
リンク「」
68
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:36:03 ID:nruCllbs
パルテナ「…………はっ!ピット、降ろしてください降ろしてください。
あ、り、リンクサン!
ルフレとルキナも石化が解けようとしていますよ!
よ、ヨカッタデスネエ」
リンク「」
ルフレの 石化が 解けた!
ルキナの 石化が 解けた!
別に 全ステータスは ほとんど 上がっていない…▼
ルフレ「――――ごほっ!ごほっ!…こ、ここ、は…
あ、あれ!?背負われてる!また迷惑を掛けてしまったみたいで!」
ルキナ「――――――――!?!?どどどどうしてルフレさんに…
いえリンクさんにおんぶされているのですか私っ!?おおお降ろしてください!!」カアアアァ
リンク「…あ、はい。普通そうだよな。おかしいのはそこの変人どもだけだ」
ピット「その言い方はあんまりだ!」
69
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:42:17 ID:nruCllbs
――――と、そこに!
待ちかねていた剣の妖精が、ようやく姿を現した。
リンク「満を持して来てくれたな――――ファイ!」
ファイ「只今参上しました、マスター!!」
やっぱりファイが居ないと始まらないね!
とうとう本領発揮の舞台が整ったってところだな!
リンク「今の今までどこに行ってたんだと問い詰めたいが…
まあ、現状のキノコ王国の混乱を治めるのが先だ。後にしよう」
ファイ「申し訳ございません。必ずや――」
ファイの 全ステータスが 上がった!
「ゼルダの子守唄」と サウンドシンクロ中!▼
リンク「…………来るぞ」
70
:
Mii
:2021/05/04(火) 11:46:22 ID:nruCllbs
ギムレー「これはこれは、みなさんお揃いでお出迎えとは。
ご苦労様、我のためにわざわざありがとうと言っておこうか」
リンク「いよいよ中ボスのお出ましってか――――
そして何故かいる偽ロゼッタ。先に倒しておこっかな…」
ロゼッタ(偽)「ふふふ……」
ザッ、ザッ、ザッ。
逃げるでもなく、慌てるでもなく。
偽者のロゼッタと共に、現れた首謀者その2…いやその3、かな。
ガノンドロフやられちまったし。
本当に、ルキナとルフレにとってはトラウマものらしく…
ふたたび、体をガクガク震わせている。
…そこまで恐れ戦くことはないと思うんだけどなあ。
まあ、不意打ちというのも、なんだ。
向こうに会話する気があるというのなら、グッとこらえて…
情報集めでもやってみるか。
71
:
Mii
:2021/05/05(水) 10:39:51 ID:BW/v7Sfs
リンク「さてさて、ギムレー氏。
しょっぱなに『興味本位で争乱に加担した』とか言ってたけど、
あれはどこまでが建前でどこまでが本音なんだ?
物わかりの悪い俺に教えてくれると助かるんだけど」
ギムレー「言葉を慎め。お前に教える義理などあるか?」
小馬鹿にする態度。今のうちに精々俺のことを馬鹿にしておくがいい。
リンク「そこをなんとか!頼むよギムレー様!ハンデだと思ってさ!」
パチッと両手を合わせて懇切丁寧に懇願する。
いやあギムレー様、ちょちょいと口を滑らせてくれませんかねえ。
よっ、大将!大統領!地獄の龍王様!
ルキナ「り、リンクさん…や、やはりリンクさんでも真っ向勝負は難しいということですか…」ボソッ
ルフレ「それはそうだろうルキナ、なんといっても極悪非道の権化、
僕たちも知っての通り…途轍もない実力があるのは確かなのだから…!」
リンク(…………なんだかFE組の視線がすっごく不本意だ)
もしかして、タブーに与えられた戦闘力上昇効果で増長してる?こやつめ。
その、ビミョーに体を覆うオーラっぽい奴、そうだろう?
それ含めても倒すのは割と簡単なんだけどね!本人はさっぱり分かってないみたいだけど!
ルフレルキナの安全を確保しつつ、できるだけ暴露させたいわけよ!
72
:
Mii
:2021/05/05(水) 10:43:26 ID:BW/v7Sfs
ギムレー「……強いて他の理由を挙げるなら、分かりきっていることじゃないか?
ほら、そこにいる」
ルキナ「ひっ…………!?」ビクッ
ルキナがますます蒼白になる。
両脚が小鹿のように震え、剣まで手から取り落とす終い。慌てて拾いに行くも、緩慢だ。
おいおい、鍛錬が足りないぞルキナ。こりゃあ特訓し直しだな。
そしてギムレーよ、執拗にルキナ狙いか、別の王国まで来てストーカーか。気持ちわるー。
リンク「分からないなあ、そこまでしてルキナを亡き者にしてなんになるんだ?
頭に来るが、もうお前はすっかり地盤を盤石にしてふんぞり返ってるんだろ?
ルキナなんて敵じゃないっていうんなら放っておいてくれよ。
『調子に乗っちゃった、ごめんなさい』って謝って回れ右する気とか、ない?」
パルテナ「全くですね、このありさま…御覧なさいな。
施政者として、この惨状は酷すぎますよ。私だったら泣きます。大泣きですよ。
ピーチ姫ならぐっと耐え忍べることでしょうが」
ギムレーはフン、と嘲り笑って、おしまい。良心の欠片くらい、あっても損はないぜ?
腹が立つ、ああ腹が立つ、腹が立つ。
73
:
Mii
:2021/05/05(水) 10:48:37 ID:BW/v7Sfs
ギムレー「その女は、大した力も知恵もない弱者の癖に…周囲をいたずらに扇動し、
希望だとか正義だとか下らない物を謳って、最後の最後まで我に歯向かい、
小さくない被害を我が陣営に与えた。
その結果、我に余計な手間と出費を押し付け、その態度が我の不興を買った。
その大罪は死をもって償ってもらわなければならない。
理由としては十分すぎると思うが、どうか?」
リンク「それ自体にも異議をぶっつけたいところなのはさておき…。
つーかさ。万が一、仮にルキナが征伐されるべき極悪人だったとしてもだ。
ギムレー、アンタのやったことはやりすぎ、周りを巻き込み過ぎにも程がある。
パルテナも言ったけど、キノコ王国のこの惨状、どうしてくれんの?
アンタ負かしたら責任取ってくれるの?
まさか、そっくりそのままFE勢に責任丸投げするつもりなのか?
無責任すぎやしませんかね、ガノンドロフの分はゼルダ姫が責任とるとしても」
シーク「クシュン!!」
74
:
Mii
:2021/05/05(水) 10:51:39 ID:BW/v7Sfs
ギムレー「…お前も希望だとか正義だとかを信じる口か。
だが、腐っても一角の剣士のようだな。勇者などという肩書は下らないが。
ルキナを引き渡すというのなら、配下に加えてやってもよいぞ。
中々活躍してくれそうでな、我も強者不足には頭を悩ませているところだ」
リンク「そういうスカウトは100億ルピー積まれようとお断りですねー。
…ほんとのほんとに、『好奇心』と『ルキナ抹殺』だけが動機?
裏で密約が交わされてるとか、何かこの土地で奪いたい物があるとか、
まさか誰かに脅されてるとか、そういうことはないか?」
ロゼッタ(偽)「くどいですよ、忌々しい。
ギムレー様の手を煩わせないでくださいな」
忌々しいのはそっちだよ。
というより、ロゼッタ本人の名誉のためにも、マジでとっとと倒した方がいいな。
思いっきり警戒されているから今すぐには難しそうだけれど。テレポートずるい。
…あ、ギムレーと一緒に居た個体なら、情報沢山持ってるかも。気絶させて捕えとくか。
ギムレーを倒したときとかの隙を見計らって力加減して…3秒ありゃ十分かな?
…ん?そういや偽者ロゼッタなら、まだギムレーよりは…
俺の強さ分かってるんじゃないの?ギムレーにそれとなく伝えてないんだろうか。
警戒レベルを引き上げられたと思うんだが。
――――そうか。これがマリオの言っていた「うっかり体質」か。
――――そのままの君でいてほしい。
75
:
Mii
:2021/05/05(水) 10:54:54 ID:BW/v7Sfs
リンク「へいへい。それじゃあ、始めますか」
そろそろ得られる情報もなくなってきたので。いざ、戦うか。
そういうつもりで、とりあえず…ギムレーに初めて、剣を向けた。
ピット「…………どしたの、リンク?」
パルテナ「…………どこか痛めたのですか?」
…………あれ、おかしいな。妙に剣がぐらつくぞ?
ファイ「…マスター?どうされましたか?」
リンク「あ、あれ?おっかしいな?そんなに怯えるような敵じゃ――」ブルブル
ギムレー「ああ、そういうことか。…ロゼッタ、やれ!」
ロゼッタ(偽)「仰せのままに――――!」パアアアアア
偽ロゼッタの魔法で、ギムレーが空間転移。一瞬にして俺の背後に忍び寄るっ!
もちろん、そのくらいの対処なら、決して難しくは――――!
76
:
Mii
:2021/05/05(水) 10:57:23 ID:BW/v7Sfs
ギムレー「リンクさんっ!!」
リンク「ういっ!?――――がっ!」ビクッ!
跳ね除けようとしたところで、意表を突いた「ルフレの物真似」!
硬直してしまったところで、鋭い刃を首筋に押し当てられた――――!
いい加減、キレて反撃すればいいものを。味方を庇いつつ一歩引くのに甘んじる俺。
…せめて、ゼロ距離にいたギムレーに拳の一つでも当てとけよ!
リンク「…………うげ、血が出てるし」
ギムレー「ほう、今のでその程度の擦り傷で済んだとは。
凄まじく身を引いた方向運が良かったな、呆れる。
しかし――くはは、我の想像していた通りだな」
苛つく笑いを止めもせず――――ギムレーは、俺の弱点を見破った。
ギムレー「情が仇になったな、リンクとやら。
…ルフレと被って、我を斬ろうとすることもできないか」
ルフレ「…え、ええ?」
――――剣士としては、致命傷。
77
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:01:18 ID:BW/v7Sfs
ルフレが、俺の優柔不断さに驚いている。
確かに俺はピットに言った。人を殺すときに割り切りありきって。
その理屈なら、姿だけ一緒の悪人を切り伏せることなんて、楽勝のはずなんだが。
いざ相対してみると…本気の殺気をぶつけるのに、酷く躊躇してしまう。
え、何?さっきの情報集めってのも、
無意識に戦うのを躊躇したがゆえの逃げの思考回路だったっていうのか!?
なんだかんだ言って、3か月近く、一緒に特訓してきた…師として教えてきた仲だ。
そう簡単に割り切れるものじゃない…幾ら俺が強くなってもな。
偽ロゼッタに斬りかかることは容易だったのに。付き合いがまだ浅いからか。
リンク「…………うるさいな。そんな訳ないだろ?つかの間の温情ってやつ――」
ギムレー「酷い!所詮、僕との友情だなんてその程度の物だったんですね!」
リンク「…………!!」ギリッ!
ピット「趣味の悪い作戦を…!」
脆い、脆いぞ俺の意志。
尻込みする方向に、意識が動く。自分が自分じゃないみたいだ…!
78
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:08:32 ID:BW/v7Sfs
ギムレー「プッ、本当に情けない男だな、女々しいことだ。
我はそう堕落してはいないぞ、殺すべき時は問答無用で殺しに掛かるものだ。
それがこのギムレーたる所以であり矜持であるからな。それ、それ!」
弄ぶかのように繰り出される魔法。
ぴしゃりぴしゃりと、硬直するままの俺の頬を撃ち、鮮血を滴らせる。
ただ、俺が体を張っているおかげでルフレやルキナに攻撃など届かせない。
若干、ギムレーが首をかしげている。どうにも魔法の効きが悪いらしい。
…そりゃ、お前の魔法の威力に対して俺のHPが馬鹿高いだけだ。
よし、ひとまず盾役になれているから無意味じゃないぞ、たぶん。…んなわけあるか。
激昂しろよ俺。どうして怖気づくんだ、気持ちが萎えるんだ。
しっかりしろよ、俺の体。今更こんなことで悩んでどうする。
コイツの相手は、今の弱ったピットやパルテナには…
ましてやルフレやルキナに任せる訳には絶対に行かないんだぞ!
そう言い聞かせても、中々応えてくれないのがもどかしい。
…くそ。考えがまとまらない。
こういうときに変な判断で突っ込むと、問題なしなようにみえて…
悪いことが起きるってのは、残念ながら身に染みてよくわかってるんだ。
ルフレやルキナの裏切りになりかねないが、ここだけは…他の奴に代行願おう。
どうしても、倒す気に…なれない。戦意喪失を罵倒してくれていい。
79
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:15:27 ID:BW/v7Sfs
ファイ「…マスター。深い事情は存じ上げませんが――
心苦しい理由があるようでしたら、一旦退散して立て直す、
あるいは他のファイター達に委ねてしまうのも一つの手かと」
見かねたファイが、救いの手を差し伸べてくれる。
頼りのないマスターで本当にすまない。
ルフレ「リンク、さん…!僕のこと、そこまで――――」ウルッ
ルフレが感極まっているが、そんなに立派な選択じゃないんだ。
むしろ敗残兵の気分だぞ、今は。
リンク「ファイ…気遣いありがと、な。
――――ルフレ、すまない。俺、甘かったみたいだ。
ここは本当に申し訳ないんだが、雪辱を晴らしたいと思っているだろうが…
こいつを倒すのは一旦保留にして一時撤退――――」
ギムレー「おお、そうか。その悪趣味能面女に諭されてようやく自覚したのかい。
そこのルキナを置いていくというのなら、別に逃げようとも追わないでやろう。
涙を流し我に感謝するがよい」
ファイ「え……」
リンク「…………」
80
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:18:06 ID:BW/v7Sfs
リンク「……………………」
リンク「…………………………………………」
リンク「……………………………………………………………………………………」
リンク「――――ルフレ、すまない。俺、甘かったみたいだ。
ここは本当に申し訳ないんだが、雪辱を晴らしたいと思っているだろうが…
こいつ、尊厳を破壊し尽くして完膚なきまでに粉々に吹っ飛ばしていいか?」
ルキナ「」
ピット「」
パルテナ「」
ルフレ「さっき言おうとしたことと真逆になってませんか!?」
81
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:20:47 ID:BW/v7Sfs
リンク「あーあ、なんだか冷めたわー。
せっかく見逃してやろうって気持ちも微かに有ったのに、かんっぜんに冷めたわー。
でも開き直れたから、けちょんけちょんにしてやりたいわー」ハー
ギムレー「お前に、この我を、そんなふうにできるとでも?」
リンク「うっわ、余裕っすねー。さっすが邪竜様、すんばらしい。
だが一言、出会った時からずっとずっと思っていたことを言わせてくれ。
――――――――お前、バカだろう?」
ギムレー「――――は?」
ルキナ達含め、ファイ以外の皆が呆気にとられる。
むしろその様子に、俺が呆気にとられるんですが。
82
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:23:09 ID:BW/v7Sfs
リンク「素体があの、名高い軍師のルフレだぞ?
それでいてこの体たらく、こりゃ精神部分のお前は大バカだろう。
俺も賢い方じゃないが、はっきり言える。お前は歴史に名を残す大バカだ。
何年か後のキノコ王国の歴史書に倒されっぷりが載るかもだぞ」
ギムレー「――――理由を聞こうか、ありもしない理由を」イライラ
リンク「しょうがないから…よしよし、分からず屋のお前に教えて進ぜよう。
せっかく安全を確保されたポジションにいたのに、
わざわざ地の利を捨てて、呑気に戦場に現れたこととか…
ルキナを苦しめよう、虐げよう、殺そうという一心で
碌に準備も対策もせず盾役も用意せず接敵したこととか…
細かいことを指摘すると、まあ色々あるけどさあ。
一番の大失態は、これだ。
よりにもよって、どーしてお前は…
一番の天敵がいるグループに、のこのこ足を踏み込んで喧嘩を売ったのさ」
83
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:25:36 ID:BW/v7Sfs
そう呆れて投げ掛けると、虚を突かれたような顔をしたあと、
不敵な笑いを浮かべるギムレー。あれ、まだ伝わってない?
ギムレー「大した自信だな、そこまで実力を自負しているか」
ルフレ「おい、ギムレー!お前…!
リンクさんの戦闘力を馬鹿にしていると、たちまちその命潰えるぞ!」
ルキナ「そ、そうです!リンクさんにかかれば、あなただってきっと
そう簡単には勝てはしません!」
リンク「みんなして、何言ってるんすか?」
ギムレー「…ん?」
ルフレ「…?」
ルキナ「え、だって…」
リンク「どうせ倒されるんだし、言っておくけれど――――
今の状況で、お前に対して最大打点があるのは、こっち(俺)じゃなくて――――」
84
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:27:39 ID:BW/v7Sfs
リンク「まさしくお前がたった今馬鹿にした、あっち」
ファイ「…………………」フヨフヨ
ギムレー「…いきなり何をいって―――」
リンク「お前が防御に徹したと仮定して。
俺がやると、お前を滅するのに5秒はかかる。
でも、ファイなら1秒かからない」
ピット「…………ほんまや!」
パルテナ「…………確かに!」ポンッ!
ピットとパルテナはようやく合点がいったらしい。
ルフレとルキナはまだわかっていないみたいだけど、まあいいや。
とっとと倒す準備をしよう。
85
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:31:43 ID:BW/v7Sfs
リンク「よしファイ、あいつの攻撃を受けたら即座に反撃で終わらせろ。
声を出す準備をしておけよ。
おーい邪竜ギムレー、せめてもの情けだ。1発、先に攻撃を仕掛けさせてやるぞ」
ブチブチブチ、と血管が切れまくっているような錯覚。
ギムレーさんは大層お怒りのようだ。おお怖い。…あ、やっぱり怖くない。
ギムレー「ふざけてくれる……!そこまで言うのなら、我が力に平伏すがよい…!」
ロゼッタ(偽)「ぎ、ギムレー様!どうにも怪しいです!
何か裏工作を働きかけているのではっ!それを見極めてからでも…!」
ギムレー「構うものか!」
そこは構えよ。折角のナイスアシストなのに。
あ、心配しなくても裏工作は特にやってないぞ。
ピット「ま、待った方がいいんじゃないですかね、邪竜ギムレー!」
パルテナ「そうですよ!考え直しましょう、邪竜ギムレー!」
リンク「お前らどっちの味方だ――――」
俺が呟き切るよりも先に、怒涛の勢いでギムレーが迫るっ!
直進上にはファイが。どてっぱらに一発かまそうという算段だ!
どす黒いオーラと、紫電の揺らめきを身に纏い、怒涛の速度で突っ込んでくる!
86
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:34:39 ID:BW/v7Sfs
ギムレー「全てを統べる邪竜のチカラ、とくと味わえ――――っ!」クワッ
ファイ「――――っ!!」スッ!
ゴオオオオオオオオォォォォ―――ッ!!
ギムレーの 邪竜のブレス!▼
ファイ(鋼フェアリー)「――――」キンッ!
ファイには 効果が ないみたいだ…▼
ギムレー「ちょ」
87
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:37:18 ID:BW/v7Sfs
リンク「 女 神 の 詩ィ(フェアリー版いにしえの唄)――――!!!!」ビシィッ
ファイ(魔法レベル Lv.70)「〜〜〜〜♪」パアアアアア
タイプ一致! 威力1.5倍!▼
相性抜群! 悪、竜に対してそれぞれ2倍、計4倍!▼
聖剣特効! 魔に対して威力3倍!▼
サウンドシンクロ!「ゼルダの子守唄」が流れているので「女神の詩」の威力2倍!▼
ステータス補正! 威力2倍!▼
ネオ・マスターソード合成補正! 威力5倍!▼
ギムレー(基礎体力レベル Lv.40)「gy」パァン
ギムレーは 光に なりました。
邪竜ギムレーを 倒した!▼
リンク「ドンッ!…と。偽ロゼッタを気絶させて…よし次に行こう」ダンッ! タタタタ
ファイ「私が運ばせて頂きます」フワッ
ルフレ「」
ルキナ「」
88
:
Mii
:2021/05/05(水) 11:50:16 ID:BW/v7Sfs
リンク「おーい、どうしたルフレにルキナ、置いてくぞー」
ファイ「如何なさいましたか?」セオイ
ロゼッタ(偽)「」セオワレ
ルフレ「…さ、さぁてと。続けて第二形態ですね、気を引き締めないと!
それともどこかに潜伏して隙を伺っているのかな?かな?」チラッ チラッ
ルキナ「そそそ、そうですよね!まさかあんなにあっさりギムレーが倒されるわけ――」
リンク「…いや?普通に倒したけど?灰すら残らないほど完膚なきまでに。復活もしないと思うぞ」
ルフレ「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいよ!?リンクさん!?
一応…僕たちの王国を荒らしに荒らしまくったラスボスなんですけど!?
なんで2レス…いや実質1レスでやられるんですか!?おかしいでしょう!?」
リンク「…………弱いからじゃないか?」
ピット「メタ返しすると、相性の利もあって、このSS内だと僕1人でも全快状態からなら勝てるから…」
ルフレ「」
ルキナ「あは、あはは…」ヘタリ
リンク「あれ?ルキナの様子が変だ!くっ、まさか魔術師の仕業か!」ユサユサ
《ファイ、ギムレーを撃破!FEの異形や敵兵、大幅にやる気低下!》
89
:
Mii
:2021/05/16(日) 09:52:15 ID:fQZRWATo
トゥーンゼルダ『皆、喜べ!
リンクのお供のファイが――参戦ついでに、
邪竜ギムレーをあっさりと打倒してくれたぞ!
敵方の戦意喪失計り知れず!
今だ!一気呵成で攻めて攻めて攻め立てろ!
マリオ、クッパ、大きいリンクのところのグループは、
一気に転回して中央に戻ってこい!大元をぶっ叩く!
その他の者は、引き続き犠牲者を出さないよう――――
無理しない範囲で無理をしろ!』
トゥーンリンク『ははは、なにそれ〜!』
ロゼッタ「――――やった!」タタタ
ルカリオ「敵の司令塔がまた1つ消え去ったのはでかいな!
あとの主力はタブーただ1人だ!このまま突っ走るぞ!」タタタ
ロゼッタ「はいっ!」
中央会場に向かいながら、通りすがりに悪者蹴散らしながら。
浄化にFPを無駄遣いするのも惜しくなってきたせいで、
せっかくのドレスの方は青色をすっかり失い、赤や緑に染まり出したけれど。
ふわりと、気持ちが軽くなる。
90
:
Mii
:2021/05/16(日) 09:57:10 ID:fQZRWATo
ほんのちょっとずつ、ちょっとずつ、戦線が…好転。
今の所、亡くなった人の情報は、放送でも視界の中でも…飛び込んでは、来ていません。
これは奇跡と言っていいかもしれません。
色々な人たちの、味方たちの尻拭いのおかげで、私は…まだ「私」でいられます。
ロゼッタ「とは言っても、流石に少し休みたく、なって、きましたねっ…」
ルカリオ「まあ、その気持ちは分からないでも、ない」
そんな折に、奇しくも。
見えてきた建物がありました。…あの看板はっ!
ロゼッタ「あ、ちょっとストップしてください!僥倖です、アイテムショップがありました!
何か役に立つものがあるかもしれません!」
私の声につられて、キキィッとブレーキを掛けるルカリオ。
この血濡れの格好はビックリされてしまうかもしれませんが、背に腹は代えられません!
91
:
Mii
:2021/05/16(日) 09:58:55 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「ごめんくださ――――」
扉「CLOSED」ガチャリ
ロゼッタ「あ」
ルカリオ「…そりゃそうだろうな、基本的に全員避難しているはずだし」
ロゼッタ「そんな…!うう、せっかくのチャンスだと思ったのに――――
仕方がありません、先を急ぎましょう」
せっかくのナイスな判断だと思ったのに、ガッカリ。
…店主さんに罪はまったくないので、どうしようもありませんが。
愛想よく近寄ってきて、おすすめ商品をアピールしてくる店主の姿が
脳裏をかすめて消えて行き――――
92
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:01:35 ID:fQZRWATo
ルカリオ「――――待て、ロゼッタ!
さっきゼルダから貰ったものを思い出せ!」
一瞬きょとんとして――――――――
ロゼッタ「―――――そういう、事ですかっ!」
反転しかけた己の体を、また反転。
ルカリオがギョッとするのを気にも留めず、勢いそのまま――――
ロゼッタ「――――はああぁっ!!」
叫びながら、促成栽培で仕上がってきた拳をしかと振り抜いて。
すでに私にとって、障害とならない木製の扉を、錠前もろとも盛大に大破させます!
粉々になった扉は意味をなさなくなり、遮るものがなくなって。
がらんとした店内が露わになりました!手首の痛みなど、軽微、軽微!
ルカリオ「……助言しておいてなんだが、躊躇わなかったな…」
ロゼッタ「褒め言葉と受け取っておきます!」
93
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:06:04 ID:fQZRWATo
――――器物破損。不法侵入。窃盗。
――――心苦しいことこのうえないですが、この際、罪も犯しましょう!
ロゼッタ「いらっしゃらないこと承知で、ごめんなさい!
ここにある物、勝手ながら貰っていきます!
売買契約うんぬんは、その…これで勘弁してください!」ドサッ
使い古されたカウンターに、どっさりと…
ゼルダ姫から頂いたお金、全額積み上げておきました。
多分これで…店の修理費用含めても足りる、はず!
…本来なら、緊急事態ということで無一文でもやるべき行動だったのかも。
私の物怖じを予見してくれていたゼルダ姫に感謝です。
しつこいほど起きていた爆撃や地響きの余波で物が散乱している…
それを考慮しても、少々アイテムの陳列数が少なすぎます。
…毒を食らわば皿まで。心苦しいですが、奥の貯蔵庫までテクテクと歩いていき、
泥棒になった気分で入口を叩き壊します。開き直るしかありませんね。
…やっぱり、大量にありました。所狭しと木箱に詰められた、アイテムたち。
向きが統一せず、乱雑に置かれていることからして、慌てて押し込めた感が満載。
ある程度は避難所に持ち出し、残りは悪用されにくいように片付けておいたのですね。
まあ、今から私たちが使おうとしているのですが。悪用ではないので許してください。
94
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:11:23 ID:fQZRWATo
あとは、どれをどのくらい持って行くか、ですが――――
アイテム知識に乏しく使い方にも疎い以上、闇雲に持って行っても意味がない。
今は空間魔法で収納、なんてこともできません。
変に欲張って色々持って行こうとしたら、かえって邪魔になってしまいます。
ルカリオにいくつか尋ねてみましたが、首を振り肩をすくめることのほうが
遥かに多くて、あまり参考にはなりませんでした。
まあ、頻繁にキノコ王国に訪れる私の方が知っておくべきでしたよね、失礼いたしました。
ロゼッタ「とりあえず、体力を回復するのが先決ですね―――」パクッ
ルカリオ「それは尤もだな――――」パクッ
スーパーキノコを 使った!
ロゼッタの HPが 回復した!
ルカリオの HPが 回復した!▼
体が楽になるのを確認できたら、全快になるまでありったけ食べて行きます。
…そういえばお腹もすいていたんでした。最後に食事してから半日以上。
決めました。全て片付いたら、お腹いっぱいピーチ姫の料理を味わって舌鼓を打ちましょう。
95
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:14:53 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「……あと、こっちも」ゴクゴク
メイプルシロップを 使った!
ロゼッタの FPが 回復した!▼
ロゼッタ「…甘ったるい…のど越しは形容しがたいものがあります…
よくデイジー姫は平然と一気飲みできますね…うぷっ」
ルカリオ「ちなみにFP≒魔力≒PP(MOTHER)≠PP(ポケモン)扱いだから
私がそれを飲んでも効果はないぞ。この王国内での回復手段は基本、就寝のみだ」
ロゼッタ「いきなり変なことを言い出さないでください…」
苦いとか不味いとかよりはよほどいいですが、
シロップ単品をただひたすらに大量に飲み切るのは…かなり、きつい。
背に腹は代えられないので、気分が悪くなろうと飲むんですが。
シロップの入った瓶を、無理やり空にしていきます。これで回復できている、はず!
ちょっと気が急いていて、口の端からポタポタとこぼれるのは見逃してください。
ルカリオ「価格札を見るに、多分こっちの方が回復効率よくないか?ほら、ローヤルゼリー」
ロゼッタ「先に言ってくださいよ!?FP回復量なんてまるで分かっていないんです!」
ひったくるようにそちらも頂いて、さっそく頂きます。
…いえ、待ってください。高級なだけに在庫数が少ないじゃないですか。
だったら持ち出し用に温存しておいたほうが、いい?
ああもう、結局、今の所の回復はメイプルシロップ頼りにすべきってことですね。
…ああ、カロリーが。
96
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:18:25 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「…きもち、わるい……口直しがほしいです…」
ルカリオ「知らないな、またスーパーキノコでも食べて我慢しておくことだ。
…さて、では何を持ち出していく?お互い、数は限られそうだが。
いっそのこと、使い道を熟知しているキノコとシロップだけ持って行くか?」
言われて、周りの木箱をガサゴソ、ガサゴソ。
1UPキノコ…どこにもない。そうか、マリオ達が先んじて集めちゃったのかも。
あ、でも似たような色のキノコがありますね。掲示名は…ウルトラキノコ?
なんとなく、最上位に近い回復キノコと感じます。持って行きましょう。
補助用アイテムは…
ねむれよいこよ…敵を眠らせる、のでしょうか。
あっちいけシッシ…敵を強制離脱させる?
グルグルめまわし…敵を混乱させる、とか。
使いこなせれば、どれもなにかと強そうですが。敵の耐性にもよりますね。
なんでもマリオ曰く「補助効果はボスクラスには効かないお約束だぞ」らしいので、
タブーに使っても効果が見込めないかもしれません。うーむ。
97
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:22:27 ID:fQZRWATo
ちょっと保留して、攻撃用アイテムは…
ユキやこんこん…氷属性の攻撃、ですか。
かみなりドッカン…これは知っています。雷属性の全体攻撃ですよね。
ぼろぼろハンマー…え、壊れかけっぽいですけれど…一応、攻撃アイテム?
キラキラおとし…あ、これもわかります!
基本威力は一番高そうですね、持って行くとしたらこれにしましょう!
ルカリオ「どうだ、決まったか?」
ロゼッタ「…………そう、ですね。決めました!
『ウルトラキノコ』と『ローヤルゼリー』と『キラキラおとし』…
あ!あと『緊急キノコ』を、背負えるような適当な袋を頂戴して…在庫の限り、持てるだけ!
あとは『あっちいけシッシ』を1個だけ忍ばせておきましょう」
ルカリオ「よしきた。お前の判断通りに運ぶとしよう。
ロゼッタ、大袋1つと最後の1個のアイテムだけ運搬を担当しろ。
残りの大袋3つは私が運ぶくらいでちょうどいいバランスだろう」
ロゼッタ「かたじけないです!…それと!保険として、お互い1個ずつ『緊急キノコ』を最初から懐に!」
ルカリオ「わかった!」
最後に、目に飛び込んできてくれて助かりました。
緊急キノコがあるとないとではかなり余裕に差ができそうです。これ、経験則。
ルカリオが凄まじい勢いでアイテムを袋に詰めていくのを尻目に、
私は『緊急キノコ』の大袋を準備し、続けて『あっちいけシッシ』をポケットに――
98
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:25:04 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「あ」
ファイアフラワー「敵全体対象 威力3です」チョコン
ロゼッタ「なんだかいつもと外見が違いますが…!
これでパイロキネシスなしでもファイアボールが撃てます!」
ファイアフラワー「撃てないよ」
ロゼッタ「さっそく今から使用して…いえ、ダメージを受けて解除されるのは
ちょっともったいないですね。忍ばせておいてここぞというときで使わないと」
ルカリオ「今使ったうえで改めて1個忍ばせておけばいいんじゃないか?」
ロゼッタ「その手がありました!」
ファイアフラワー「撃てないってば」
99
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:28:28 ID:fQZRWATo
ロゼッタ「それっ!!」ガシッ
ファイアフラワー「だから火の玉を一度広範囲に発生させるだけで――――」
なんだか、いつものファイアフラワーと感触が違う。
体中を炎の躍動が駆け巡る、という感覚が湧いてきません。
…………いえ、それは私の怠慢、責任のなすり付け。多少のアイテムの仕様差で躓いて、どうしますか。
炎のチカラ自体は明確にこのアイテムから感じ取れるのですから。
不慮の事故で魔法レベルが下がっていようと、この程度でくじけていては――――
魔法使いとしての名が廃る。
燃えるような赤い花を胸に抱いて、そのチカラを包み込み、
自分の体に浸透、循環させてみれば――――――――
100
:
Mii
:2021/05/16(日) 10:30:27 ID:fQZRWATo
――――ポンッ!!
ルカリオ「おお――――――――」
途端に姿が変わってみれば、ルカリオが感嘆、驚愕。
でも、これで、いわゆる――――フルパワーといったところ!
ファイアロゼッタ「――――さあ、参りましょう!」POWER UP!
ファイアフラワー「」
101
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:00:01 ID:eUg3dBcA
〜司令スペース〜
リンク『ファイ、偽ロゼッタ運搬&露払い&ナビゲーションで先導!
俺、しんがり受け持って不意打ち排除!
さっそくタブーを征伐しに出かける!ファイの後に、続け―!!』ダダダダダダダダ
パルテナ『ひぃぃぃぃ……!脚が、脚がぁ…石化解除したての体には堪えますぅ…!!』ガクガク
ピット『…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!!ぐぅっ!リンクさん、ファイさん!?手加減たのみます!
この移動速度は、維持して付いてくのチョーきつい!!』
リンク『なっさけないぞピット!ルキナですらなんとか追い縋ってるぞ?』
ルキナ『…………この、てい、どぉっ!!』ダダダダ
ピット『…あり?』
ルフレ『はぁ、はぁ……あったりまえでしょう!
さっきは呆気にとられましたが、あのギムレーを瞬殺できたんです!
僕ですら、今更ながらようやく実感してテンションが爆上がりしてきたのに、
散々辛酸舐めてきた…あのルキナが奮い立たない訳、ないでしょうが!
見てください、ルキナの顔! 息は荒くとも――――今までで一番、輝いているでしょう!
僕もうれしくなってきますよっ!はあああぁぁぁっ!!』
トゥーンゼルダ「その意気だ、ルフレ!大きいリンクも、皆をしっかり支えて安全確実に連れてこい!」
リンク『りょーかい!』
102
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:04:30 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「マリオにルイージ、今の状況は!報告を頼む!」
マリオ『体力がヤバそうな人たちを見かけてはちょこちょこアイテムで回復させつつ
会場には近づいているぞ!あと、30分くらいで多分辿り着く!』
ルイージ『1UPキノコが尽きそうなのが気懸りだよぉ、
嫌というほど確保したつもりだったけど足りなかったらどうしよう…』
ピーチ『万が一の時は私に任せて!
みんなげんきになあれ と おねがいカムバック で回復してみせるから!』
マリオ『…そうかピーチ、助かる!ちなみに今どこにいる!?』
ピーチ『そうね、担当箇所の分担はしておくべきよね。
今ちょうど第58区に…………』
トゥーンゼルダ「緊急連絡、緊急連絡。
第58区に偽ピーチ出現、誰でもいいからさっさと潰せ。
以上、連絡おわり」
クッパ『ワガハイが居る所から目と鼻の先ではないか。
通りすがりにプチッと潰しておいてやるのだ!』
ピーチ(偽)『どうして!?』
トゥーンゼルダ「わからいでか」
103
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:09:06 ID:eUg3dBcA
ルカリオ『おい、私と本物のロゼッタも…あと10分程度でたどり着くぞ!
ロゼッタがしきりに会場の様子を気にしているみたいだが、
何か安心させてやれる情報はないのか!』
トゥーンゼルダ「安心させてやれる情報、か。
こちらは相変わらずの膠着状況。ただまあ、それだけでも大進歩だ。
不定期にタブーの奴がOFF波動を重ね掛けしてくるのに対して、
MOTHERチーム…今は大きい方のゼル…こほん、シーク、か。
願いの力を皆に分け与えていることで、なんとか拮抗している感じだよ。
ただ、どうもシークの疲労がたまってきている。魔法効果が薄れ出した。
向こうも分身体ロゼッタを食いつぶしつつ威力を維持しているし、
これは体力勝負だな。いつまた均衡が破れるかはわからない…」
シーク『失礼なことを言うな。ここが正念場だろう!
慣れていない魔法行使ではあるが……まだまだ持たせて見せる!
…ただ、ラジオ塔そのものはなんだかんだと遠隔攻撃を受け続けているな。
ある程度は選別して排除しているが、流石に機材がやられたらそこで終了だ。
その時は潔く会場へ向かおう』
トゥーンゼルダ「いろいろと無理を通しているってことだろう、
ぎりぎりになって途端にやめられても困ってしまうから
早めに連絡してほしい。頼んだ…いえ、お願いします」
シーク『任せておけ』フッ
――――「ゼルダ」同士だから、通じるものも、きっとある。
104
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:11:50 ID:eUg3dBcA
ファイアロゼッタ『やっぱり、展開されているスカイガーデンを私がどうにかしないと
根本的解決が果たされませんね…!
次に張り直すタイミングで、なんとか張り返さないと…!
分身体たちの動向をもっと詳しく教えてくださいっ!』
トゥーンゼルダ「うわっ!…ああ、本物のロゼッタか、びっくりした。
あ、ちょっと待て。ラナからのご神託で本人確認ができるまで、
今の質問に対しては回答を保留する。
というより今の連絡を聞かなかったことにする。
ただの雑音が紛れ込んだ、そういうことにしておこう」
ファイアロゼッタ『薄々予想はしていましたが扱いが酷いっ!?』
マリオ『この、扱われ方に思わずツッコむ反応は本人っぽいけど』
ルイージ『わかるわかる、おっちょこちょいな感じも声だけで伝わってくる』
ファイアロゼッタ『マリオにルイージ、私のこと嫌いですか!?拗ねますよ!』
マリオ『んなわけあるかい。ロゼッタは立派に愛されキャラでいじられキャラだぞ』
ファイアロゼッタ『あ、あのー。納得しがたい返答なのですが…まったくもう。
今現在、主に回復アイテムを入手して、ルカリオと共に運んでいます。
入用の方々はおっしゃってくださいね!』
トゥーンゼルダ「おお、助かる!…おっと空耳空耳」
ファイアロゼッタ『一言余計です!』
105
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:17:04 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「さあ、これで…」ギッ
トゥーンリンク「もうひと踏ん張りだ!」
ヒルダ「ええ!」
会場のど真ん中、
フィールドに不気味に佇む要塞。
幾つもの、数えるのも馬鹿らしい大量の隔壁に囲まれた…
おどろおどろしい魔人。
戦況の変化に、一体何を思っていることやら。
ただ…そう簡単には負けを認めてくれは、しないだろう。
再び口をへの字にして、頬を自分でひっぱたいて…気合いをドンと入れ直した。
106
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:22:48 ID:eUg3dBcA
〜中央会場〜
着きましたよ、会場に。やっぱり回復したのは大きかったです。
足取りはだいぶ楽になってきました。
フィールドをいち早く確認。うん、穴ぼこだらけ。修復大変そう…。
観客、大興奮はしていても怯えらしきもの、それほどなし。
…いや、ほんとうに凄い胆力ですね。…順バイアスってやつでしょうか?
集まり合流するファイター達を観察し、弱っていたり疲れていたりするならば、
手早くアイテムを渡していきます。返ってくる笑顔、1つ1つに救われる。
いい加減、偽者たちを一網打尽にしたいです。
そして、タブーを倒し切る手がかりを!
トゥーンゼルダ「おお、戻ってきたかロゼッタ――――
そして何故かドレスが紅い!いつの間にかポニーテール!
よく分からないが、偽者と明確に区別できていいな!」
ファイアロゼッタ「それは私もすこし思いました」
そう言って余裕ぶっていると、分身体までファイア状態になるフラグが立ちそうです。
気を、気を引き締めて掛かりましょう。
私の偽者たちは、会場にいる分には、ざっと残り20人そこら。
よし、だいぶ減りました。これで――――
107
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:27:01 ID:eUg3dBcA
――――戻って、来たか。
タブーの姿を目に入れ、さあ何かやってみよう、と意気込んだばかりというのに。
何か、危険な起動スイッチを踏み抜いてしまったのか――――
ドッゴオオオオオォォォォン!!
ファイアロゼッタ「……え?」
後ろを、振り向く。
ファイアロゼッタ「…な!?」
あちらこちらで、新たに上がる爆炎…!?
な、なんですかこれは!?もうもうと、空高く…白煙が昇っていきます――――!
108
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:31:46 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「…な、なんだこのありさまはっ!?何が起きている!?
おい、爆発付近にいる者!急ぎ状況確認をっ!」
トゥーンゼルダの切羽詰まった叫び声が、通信機へ吸い込まれて行きます。
まだまだ、安心できるにはほど遠い…!
しばし待てど、ファイターの皆さんからの回答は得られません。
――――少し先には、私を捉えた、ニヤリと口を歪ませたタブーの姿。
――――わたしの、せい?
――――これが、タブーの、奥の手?
ファイアロゼッタ「あ、あのっ!
なんだか、『私の到着を確認したうえで起動された何か』だと
直感が働いているのですが…!」
私のそのセリフが突破口になったのか、ようやく回答が返ってきました!
マリオ『空間魔法からみ…そうか、なんとなく察しがついちまったぞ!
事前に偽ロゼッタ達がばら撒き続けたステルス爆弾を
このタイミングで次々と爆発させてるんだ!意識からすっぽ抜けていた!』
ファイアロゼッタ『ば、爆弾!?そんなものが!?』
――――まだ。まだだ。
――――形勢は、まだ私の…このタブーの掌の方に、いくらでも傾けられる!
109
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:36:59 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「…ちっ、空間魔法に秀でたロゼッタが戻ってくるのを見計らって
魔法陣を起動されたのか…予兆を悟られないために…!
こらロゼッタ!お前はもう飛び出すな、今から探しに行っても無駄だ!
あちらのことはその場のファイター達にまかせて、ここのトラブルを全力で解決しろ!」
ファイアロゼッタ「…………っ、はい」
ヒルダ「きゃあ!?」
ポケモントレーナー「…………!!」ギュウウ
唇を噛んでいたところ、ヒルダ姫の叫びに何事かと思って振り向けば、
ポケモントレーナーさんが真顔で…いえ、内心焦っている感じで、
ゼニガメやフシギソウたちと協力して、自分のリュックを押さえつけています。
リュックの様子がおかしい。パンパンに膨れ上がって、まるで爆発寸前のような――――!
隙間からは時折、真っ赤な炎まで飛び出して、みるからに大変危険な状況です。
顔や両手を炙られ、火傷の跡を重ねつつ、必死にこらえていますが、もう持ちません!
ポケモントレーナー「…………!!!!」グググ
ニャース「仕舞って無効化したはずの爆弾たちが暴発しかかっている、どうしてだ!
…と言ってるニャ!」
――――そのような小細工を。通りで数が足らなかった。
――――だが、起爆者が私であることを忘れるな。
――――少し本気を出せば、圧縮空間との境界を飛び越えて干渉することなど容易な事。
110
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:43:35 ID:eUg3dBcA
トゥーンゼルダ「ポケトレ!もういい!遠くに投げ飛ばして離れ――――」
ヨッシー「処理しますね!」シュバババ
駆け寄ってきたヨッシーが、大きく口を開け、長い長い舌を伸ばしまして。
承諾もそっちのけでリュックをペロリンと飲み込みました、まる。
ヨッシー「…………ふんっ!」ポコッ
ポケモントレーナー「…………」
ヨッシー「…あち、あちちちち!
うわ、タマゴの中ですら炎が溢れかえろうとしてますか。
……それっ!!」ブンッ!
ヨッシーが、空の彼方までタマゴをビューンと投げ飛ばしました。
遠くで花火の音が聞こえます。
トゥーンゼルダ「でかしたぞヨッシー!」
ポケモントレーナー「…………………………………………りゅっく」ショボン
――――――――ちっ…!
タブーがちょっと悔しそう。こうしてみると、意外と表情豊かだったり。
…なんて、どうでもいいことですね。
111
:
Mii
:2021/05/17(月) 23:47:06 ID:eUg3dBcA
――――だが、まだまだ楽しみは、残っている!
ズガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!
ファイアロゼッタ「……ひっ!今度はなんですか!」
耳を劈くような、連鎖的に響く爆裂音。
火の手が、収まるどころかさらに勢力を拡大して、いる?
それほどまで大量に爆弾を仕掛けられたのですか!?
クッパ『おい、生意気な小娘よ!』
トゥーンゼルダ「なんだ!」
クッパ『爆発の様子をいくつかのポイントで確認した!
どうにかこうにか逃げ遅れた市民どもを誘導したり、建物の残骸処理を行ったり、
ついでに偽ピーチをボコったりしているが、妙なことがわかったぞ!
先ほどから、何もない空間から突如として爆風や灼熱のエネルギーが噴き出す、
百万歩譲って…これはまあいい!
問題は、爆発が終わったように見えて、繰り返し…
威力まで増しながら尽きることなく爆発が起こっていることだ!
忌々しいが、視えない爆弾を回収する芸当はワガハイたちは専門外なのだ!
ロゼッタかポケトレでもなければ爆発を止めることは難しいぞ!』
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