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歩夢「君の超高校級の心は輝いてるかい?」Part2

1 ◆8TImjtGSKs:2019/08/23(金) 19:36:54 ID:.D1apNcw
※ラブライブ×ダンガンロンパ 2スレ目です
※そのため死亡描写あり〼
前スレ:
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1506186240/

199 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:14:29 ID:9utAojC.
→【松浦果南と中須かすみの事件】

歩夢「前回の事件で、彼女は捜査のために武器庫のゲームをやったんだよね」

歩夢「私の才能……私たちのプロフィールを知っていたことが、そこで追及されていた……」


千歌?『うん、私は武器庫に入れるよ。あのロシアンルーレットをクリアしたからね』

しずく『あっさり認めるんですね』

千歌?『隠すつもりはなかったよ。ただ、聞かれると面倒だなーって』


歩夢「だったら、そこにせつ菜ちゃんの本名が載っていても、何もおかしくはないよね?」

歩夢「それだけじゃない。モノっちーは、こうも言っていた筈だよ」


モノっちー『クリア特典は……“この学園の秘密に関する重大なヒント”や“オマエらの学生生活に関する重要な手掛かり”だよ!』

200 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:15:13 ID:9utAojC.
歩夢「この学園の秘密に関する重大なヒント……これって“外の世界の秘密”と考えられるんじゃないかな」

ダイヤ「では、穂乃果さんは……武器庫で得た情報を元に、私たちに喋っただけで……」

鞠莉「実際は、コロシアイの黒幕とは何も関係がなかった……どうなの、モノっちー?」

モノっちー「いや、ボクに訊かれても困るんだけど……」

歩夢「答える義務がある筈だよ。今あなたは、1人の参加者によってコロシアイの根本そのものを揺るがされている」

歩夢「モノっちー自身にとっても、この展開は望んでないんじゃないかな?」

璃奈「どうなの。答えて(>_<。)!」

穂乃果「答えなくっていいよ。口出しするゲームマスターなんて、これを観る人は望んでないでしょ?」

201 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:15:59 ID:9utAojC.

モノっちー「……」ハァ

モノっちー「口出ししまくってるのは、オマエの方なんだけどネ」

202 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:16:58 ID:9utAojC.
歩夢「……!」

モノっちー「面白い展開になりそうだったし、ここまでずーっと放置してたけどネ」

モノっちー「オマエの頼みに便乗して、わざわざ朝と夜の定時放送も止めてやったりもしたけど」

モノっちー「やっぱり、記憶を取り戻してたんだネ」

ダイヤ「な、何の話をしているのですか……?」

穂乃果「……」

モノっちー「ああ、今のは大きめの独り言だよ。だから、今から話す方が本題」

モノっちー「“このコロシアイの運営に、その着ぐるみ女は何一つ関わっちゃいない”よ」

モノっちー「黒幕なんて、ただの嘘っぱちなんだよネ」

しずく「なっ……!?」

203 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:17:56 ID:9utAojC.
モノっちー「オマエらが騙されてただけの話だよ。そして、大体は今しがた議論された通りだネ」

モノっちー「ロシアンルーレットを“最高難易度でクリアした”彼女は、そこで得た情報をキッカケに計画を立てた」

歩夢(……最高難易度?)

モノっちー「自動殺人トラップなんて面白いことをしようとしていたから、ボクはほったらかしにしていたけど……」

モノっちー「まさか、ボクを罠にかけるための事件だったとはネ! ビックリ仰天だよ」

穂乃果「……そこまで言っちゃうなんて、卑怯だね」

モノっちー「ま、半分は私怨だよ。勝手にゲームを乗っ取ろうとしたオマエへのネ」

穂乃果「ふーん……」

鞠莉「この険悪なムード……間違いなさそうね」

歩夢「うん。穂乃果さんは、黒幕でも何でもなかったんだ」

204 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:18:55 ID:9utAojC.
ダイヤ「ですが……主催を乗っ取って、穂乃果さんは何がしたかったのでしょう?」

穂乃果「……」

ダイヤ「そもそも、穂乃果さんではないとしたら、この残酷な催しを仕組んだのは一体誰なんですか?」

モノっちー「……」

璃奈「……2人とも、肝心なところはだんまり(・v・)」

鞠莉「そういう璃奈は、何か知ってるのかしら?」

璃奈「わ、私は……途中で気絶させられちゃったから……(>_<。)」

歩夢「それでも、途中まで何があったかは知ってる筈なんだ。話して、欲しい」

穂乃果「私からもお願いしたいね。少し議論の方向がズレてるみたいだしさ」

穂乃果「黒幕が誰かって話じゃなくて、犯人が誰かって話をしようよ」

モノっちー「そればっかりは、オマエに同感だネ」

205 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:19:48 ID:9utAojC.
しずく「ですが……モノっちーにも犯人が分かっていないのなら、誰がどう判断を下すのでしょうか?」

穂乃果「それはみんなが気にすることじゃないよ。モノっちーに任せればいいだけ」

穂乃果「ただ、間違えるわけにはいかないよ? この狂ったゲームを仕組んだ張本人としてね」

モノっちー「……オマエ、最初からそれが狙いだったんだネ」

穂乃果「うん。海未ちゃんやことりちゃん、それにみんなの命を奪ったあなたへの仕返しだからね」

歩夢「仕返し……?」

穂乃果「ああ、細かいことは気にしないで。それより、璃奈ちゃんの話を聞こうか」

穂乃果「いいよ璃奈ちゃん、自分のしたことを話しちゃって」

206 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:20:33 ID:9utAojC.
璃奈「わ……分かった(>_<。)」

璃奈「……私がやったのは、歩夢ちゃんを情報処理室まで連れて行ったことと、しずくちゃんを攫うタイミングで鞠莉さんを部屋から誘い出して、気絶させたこと(>_<。)」

歩夢「昨晩花丸ちゃんとして動いていたのは、全部璃奈ちゃんだったんだね」

鞠莉「わざわざ変装までして、随分と手荒くやってくれたものね」

璃奈「ああでもしないと、鞠莉さんは絶対に警戒するからって……ごめん(>_<。)」

鞠莉「愛の時と違って、完全に脅迫されていたんでしょう? だったら、これ以上は責めないわ」

璃奈「……梨子ちゃんを気絶させたのも、私なんだ(>_<。)」

ダイヤ「り、梨子さんを……!?」

207 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:21:48 ID:9utAojC.
しずく「そういえば、ダイヤさんは梨子さんの後を追っていたんでしたね」

ダイヤ「ええ。そうなると、私が襲われた時、璃奈さんたちが居たのは……」

璃奈「4階だよ(・v・)」

ダイヤ「……そうなりますわね」

歩夢「だとしたら、ダイヤさんを襲うことが出来たのは……」

歩夢「2つの着ぐるみのどちらか、ってことになるんじゃないかな」

ダイヤ「或いは、着ぐるみから出ていたか。どちらにせよ、穂乃果さんと……おや?」

璃奈「ど、どうしたの(・v・)?」

ダイヤ「璃奈さんは、着ぐるみを着用することはなかったのです?」

璃奈「な、なかったけど……(・v・)」

208 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:22:47 ID:9utAojC.
鞠莉「……それだと変ね。穂乃果以外に“もう1人”着ぐるみの人物が居た筈なんだけど」

鞠莉「しかも、もう1つの着ぐるみは死体となって発見された……」

璃奈「ほ、本当だよ。私は、着ぐるみなんて着なかった(・v・)」

ダイヤ「だとしたら、もう1人は一体……」

歩夢「……」

歩夢(私たちは、梨子ちゃんを含めて襲撃事件に遭っていた)

歩夢(そして、襲撃する側だった穂乃果さんと璃奈ちゃんは、ここに居る)

歩夢(それに、事件のおおよそが見えた今……穂乃果さん以外が嘘や隠し事をしているとは思えない)

歩夢(だとしたら……もう1人の着ぐるみの中身として、考えられるのは……)

【怪しい人物を指名しろ!】

209 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:23:46 ID:9utAojC.
→【国木田花丸】

歩夢「花丸ちゃん……?」

しずく「えっ……?」

歩夢「花丸ちゃんが、襲撃事件に関わっていたとしたら……?」

ダイヤ「彼女は被害者なんですよ? それなのにどうして……」

鞠莉「ただの被害者じゃなかった、ってことでしょう」

ダイヤ「なっ……」

鞠莉「だから璃奈を花丸に変装させたのよね? この後で入れ替わりトリックをやる布石のために」

穂乃果「どうしてだっけ……。忘れちゃった☆」

210 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:24:28 ID:9utAojC.
歩夢「どうして花丸ちゃんが穂乃果さんと一緒に行動したのか、今となっては分からないけど……」

歩夢「でも……穂乃果さんがモノっちーと対立している今なら、何となく分かる気がするんだ」

モノっちー「“ボクに一泡吹かせるために、協力して事件を起こした”ってことでしょ?」

モノっちー「まったく意地が悪いよネ。天王寺さんを監禁した高坂さんの個室に、国木田さんはドアから紙を入れてたんだからさ」

歩夢「それって……!」

モノっちー「ああ、中身は知らないよ。ボクはただ、監視カメラで見た情報をオマエらに伝えただけです」

モノっちー「でも……国木田さんが関わっている証拠としては、十分なんじゃない?」

穂乃果「……」

211 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:25:13 ID:9utAojC.
鞠莉「……とにかく、これでハッキリしたわね」

璃奈「花丸ちゃんも……計画に絡んでいたんだ(>_<。)」

しずく「随分と大掛かりな計画ですけど……結局、穂乃果さんはどうやってモノっちーを罠にかけるつもりだったのでしょう」

ダイヤ「そうですわね。矢の刺さった死体がいつ殺されたのかは、やっぱりモノっちーに筒抜けの筈です」

ダイヤ「監視カメラで映像を見ている以上、モノっちーにも分からない犯行というのには無理があります」

ダイヤ「にも関わらず、モノっちーは犯人が分かっていないようだった……」

歩夢(……きっと、そこに今回の謎が詰まっている筈なんだ)

歩夢(だとしたら……突き止めないといけない)

212 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:26:30 ID:9utAojC.
【ノンストップ議論 開始!】
[|モノっちーファイル5>
[|モノっちーファイル5-2>
[|火事騒動>
[|拳銃>

モノっちー「ボクにも犯人が分からない事件……」

璃奈「どうやって、起こしたのかな(・v・)」

鞠莉「何か《校則の穴》を突いたのかしらね」

ダイヤ「火事を起こしたことには、何か意味があるのでしょうか」

ダイヤ「《被害者が分からない》とか……そんな筈はありませんわね」

しずく「監視カメラが《壊されていた》りしたのでしょうか?」

モノっちー「いや? 監視カメラは全部動くよ」

歩夢(モノっちーにも犯人が分からなかった理由……)

歩夢(もしかして、あの人が言っていたあの事なんじゃないかな……?)

213 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:27:07 ID:9utAojC.
[|モノっちーファイル5-2>→《被害者が分からない》

歩夢「それに賛成だよ!」

Break!

歩夢「……私たちは、一番大事なことを見落としていたのかも知れない」

ダイヤ「大事なこととは?」

歩夢「矢が刺さっていない、もう1人の被害者のことだよ」

穂乃果「……それの、どこが大事なのかな?」

歩夢「果南さんたちの事件でも、槍玉にあがったことだけど……」

歩夢「2つの死体が同時に出た場合、投票の対象になるのは“先に起きた事件の犯人”だった筈」

鞠莉「前回の裁判での口ぶりからして……モノっちーも、それを肯定していたわね」

214 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:27:56 ID:9utAojC.
モノっちー『実際、優木さんの介入がなかったら、この事件は更にややこしいことになってただろうネ』

モノっちー『内通者と反乱分子。どちらが正道でどちらが邪道なのか……それを問う議論で、泥沼に入ってたと思うよ』


モノっちー「うん、その通りだネ。当初は、松浦さんと中須さんの2択になっていたのは事実だよ」

モノっちー「多分、先に命を落とすのは中須さんだったんじゃないかなあ。だから、本来クロになってたのは──」

鞠莉「その話はしないくていいわ。続けて頂戴、歩夢」

歩夢「……今回の事件に当てはめた場合。モノっちー自身も、犯人が分かっていないってことは」

歩夢「“着ぐるみの中に居た被害者がいつ死んだのかが分かっていない”ってことになるんだ」

歩夢「いや。そもそも……“被害者の正体すら分かってない”んじゃないかな」

215 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:28:43 ID:9utAojC.
璃奈「えっ……(?□!)」

歩夢「そう考えると、モノっちーファイルの情報があまりにも足りてなかったことも頷けるんだ」

歩夢「花丸ちゃんのファイルは、変装した璃奈ちゃんが居るからわざと名前を伏せたのかも知れないけど……」

歩夢「もう片方のファイルにも何も書いていないってことは──」

しずく「それは狂言ではありませんか?」

反論!

しずく「……やっぱり、歩夢さんの話はおかしいです」

歩夢「ど、どこがおかしいの?」

しずく「結論を急ぎ過ぎています。少し、落ち着いてください!」

216 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:29:37 ID:9utAojC.
【反論ショーダウン 開始!】
[|2つの着ぐるみ>
[|火事騒動>
[|鞠莉の検死報告>
[|開いていた生物室>

しずく「確かに、そのような方法なら……」

しずく「モノっちーの目を誤魔化すことは簡単かも知れません」

しずく「でもその方法自体、何の証拠もない推論じゃありませんか?」

─発展─
いや……証拠はあるよ
   モノっちーファイルに何も書いてないこと
      モノっちーは死体の中身を知らなかったから
         ファイルに何も書くことが出来なかったんだ

しずく「確かに【着ぐるみを着たまま】なら、中身は分からないでしょうけど」

しずく「そもそも、その被害者が亡くなったのは【火事によるもの】です」

しずく「これじゃあ、鞠莉さんが扉を開けた時と【同じタイミング】ですよ?」

歩夢(そういえば、しずくちゃんは死体を調べていなかった)

歩夢(彼女の知らない事実で、その主張を切り崩せる筈!)

217 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:30:44 ID:9utAojC.
[|鞠莉の検死報告>→【火事によるもの】

歩夢「その言葉、斬らせてもらうよ!」

Break!

歩夢「着ぐるみの被害者も、火事より前に殺されていた可能性はあるんだ」

しずく「火事より、前に?」

歩夢「ですよね、鞠莉さん」

鞠莉「そうね。矢のトラップと偽黒幕さんの演説のせいで、完全に失念していたけど……」

鞠莉「被害者の腹部には、何かの傷があった。死体が死体だから、詳細は確認しようがなかったけど……」

鞠莉「その傷が死因の可能性は、十分あるわね」

しずく「そ、そうだったんですか……って、それでも歩夢さんの話はおかしいですよ!」

218 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:31:25 ID:9utAojC.
しずく「その傷が致命傷だったとしても……やっぱり、モノっちーには犯人が筒抜けじゃないですか!」

穂乃果「そうだね。その傷をつけることが出来たのは、私か璃奈ちゃんの2人だけだよ」

鞠莉「逆から考えればいいのよ」

しずく「逆から……?」

鞠莉「モノっちーは、犯人を知らないことを認めている。つまり、矢の死体は裁判の投票先に関わって来ない」

璃奈「鞠莉さんか穂乃果さんか、その2択だと分かっているから……だよね(・v・)」

鞠莉「となれば、当てなければいけないクロは“着ぐるみの死体を殺した人物”」

鞠莉「私たちは気を失っていた以上、殺せたのは2人だけ……これじゃあやっぱり、モノっちーが犯人を知らないわけがないのよ」

219 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:32:33 ID:9utAojC.
鞠莉「傷が誰につけられたのか、それをモノっちーが知らない理由が成立するパターンはただ1つ」

鞠莉「“被害者の正体すら把握出来ていない”としか、考えられないのよ」

しずく「だ、だとしても!」

しずく「行方不明になっているのは梨子さんと花丸さんで、死体も2人分なんですよ!? それなのに、被害者の正体が分からないなんて……」

歩夢「だったら……そのどちらかは“死んでいない”のかも知れない」

しずく「……えっ?」

穂乃果「それは変じゃない? だったら、着ぐるみの死体は何だったの?」

穂乃果「まさか、作り物だなんて言わないよね?」

歩夢「その手掛かりは……きちんと、あったんだよ」

歩夢(そうだ。本人でも、それが意味するものに気づかないうちに見つけてくれていた、あの手掛かり……)

【コトダマ一覧より選択】

220 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:33:28 ID:9utAojC.
→【開いていた生物室】

歩夢「手掛かりを見つけてくれたのは……しずくちゃん、あなただよ」

しずく「私が……?」

歩夢「捜査の最中、しずくちゃんは生物室に足を運んだんだよね」

しずく「そ、そうですけど……中にあったのは、ロッカーらしき物ばかりでしたよ?」

歩夢「あの部屋は、とても寒かった筈だよ。廊下に冷たい空気が流れてくるくらいには」

しずく「確かに……中は、低温倉庫のような寒さでした」

穂乃果「別に、寒いことはおかしいなんてことないでしょ? みんながコールドスリープしていた部屋なんだからさ」

歩夢「それって……そのロッカー1つ1つには“人を入れられる容量がある”ってことだよね?」

穂乃果「……」

ダイヤ「まさか、そのロッカーって……!」

歩夢(そうだ。生物室の、本当の役割は……)

【閃きアナグラム 開始!】

び あ し ょ つ い う ん れ (ダミー有)

221 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:34:08 ID:9utAojC.
→【れいあんしつ(霊安室)】

歩夢「あの生物室は……霊安室の役割を持っていたんじゃないかな」

璃奈「霊安室って……病院で遺体を保存したりする、あれ……だよね(・v・)」

鞠莉「本当に霊安室なのかしら、モノっちー?」

モノっちー「うん、そうだネ」

鞠莉「ビンゴ♪ つまり、着ぐるみの死体の正体は、生物室から持ち出した“過去に死んだ誰か”の物だったってことよ」

ダイヤ「……だから、その死体を殺した犯人を当てなければいかないとなる、というワケですか」

歩夢「どうかな、穂乃果さん」

穂乃果「……」

穂乃果「……あっはははははははは!」

222 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:34:50 ID:9utAojC.
歩夢「……?」

鞠莉「何がおかしいのかしら」

穂乃果「生物室から死体を持ち出したぁ? そんなこと出来るわけないでしょ」

穂乃果「そもそも生物室には、鍵が掛かっていたんだよ? それなのにどうして、死体を持ち出せるっていうの?」

しずく「で、でも! 捜査の時には、現に鍵は掛かっていなかったんですよ!?」

歩夢「そうだよ。そのお陰で、死体の入れ替えに気づけ──」

モノっちー「ああ、だって……鍵を開けたのはボクだからネ」

歩夢「──っ!?」

223 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:35:35 ID:9utAojC.
歩夢「ど、どういうこと!?」

モノっちー「ぶっちゃけ言わせてもらうけどさ。着ぐるみ女が使ったトリックの全貌は、このボクには大体お見通しなんだ」

モノっちー「ところが、そいつはボクの目を盗んで……大掛かりな罠を仕組んだんだよ」

鞠莉「その罠のお陰で、あなたは犯人の特定が出来なくなった、と」

穂乃果「……」

モノっちー「でも学級裁判は開かなきゃいけないからネ。こうして、オマエらにも謎解きをさせているんだよ」

モノっちー「情報処理室の鍵も解除されていたでしょう? あれも含めて、全部ボクがやったことなんだ」

モノっちー「全ては、裁判に参加するオマエらへの公平な情報として。ついでに、身勝手な人へのやり返しとして……ネ」

穂乃果「公平な情報、ねえ。それを喋っちゃうのは本当に公平なの?」

モノっちー「うけけ……ボクを罠にかけて、オマエがいい気になってたのが悪いんだよ」

224 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:36:19 ID:9utAojC.
モノっちー「ちなみに、生物室と情報処理室のロックを解除したのは火事が起きた頃だよ」

しずく「それじゃあ……穂乃果さんは、生物室から死体を持ち出せないじゃないですか!?」

モノっちー「そう、黒幕でもなんでもないそいつには、生物室には入れなかった」

モノっちー「何なら……生物室が開いていたことも、たった今知った筈だよ」

穂乃果「……で、でも。これで、歩夢ちゃんたちの推理は振り出しに戻っちゃったね」

穂乃果「死体の入れ替えなんて、本当は起きてなかった。今までの推理は、全くの的外れなんだよ!」

穂乃果「モノっちーは犯人を分かっていない。みんなは事件の真相が分かっていない」

穂乃果「この様子なら、私の1人勝ちってことに──」

歩夢「それは……違うよ」

穂乃果「……ん?」

歩夢「やっぱり、死体の入れ替えがあったのは確かな筈なんだ」

225 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:37:06 ID:9utAojC.
ダイヤ「ですが、現に穂乃果さんは生物室に入れなかったんですよ?」

ダイヤ「生物室に入れなければ、死体を回収することなど……」

歩夢「1つだけ……例外があるんだ」

ダイヤ「例外……?」

歩夢「裁判が終わったあと、今までは全て死体が綺麗に片付いていた」

歩夢「きっと全部、生物室のロッカーに収められていたんだろうね」

歩夢「しずくちゃんは、ランプの数は30近くって言っていたから……もしかしたら、第2多目的室の壁や床に飛び散っていた血も……」

璃奈「確かに、あそこで死んじゃった人たちも、そのロッカーの中に入ってるのかも(・v・)」

歩夢「でも……1人だけ“ロッカーに入っていない可能性がある”死体があるんだ」

歩夢(その死体は──)

【怪しい人物を指名しろ!】

226 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:37:51 ID:9utAojC.
→【中須かすみ】

歩夢「モノっちーですら回収出来なかった、唯一の死体」

歩夢「かすみちゃんだよ」

しずく「あの死体が、かすみさん……!?」

鞠莉「前回の事件で、低温倉庫のスイッチはせつ菜が破壊したんだったわね」

ダイヤ「そのせいで、かすみさんの居た部屋は誰も入れなくなっていた筈ですが……」

璃奈「そこから死体を持ち去った……って、こと(?□!)?」

歩夢「うん。死体の入れ替えがあったんだとしたら……彼女しか、居ない」

歩夢「それにかすみちゃんなら……死体の傷が腹部にあったことも、頷けるよね」

璃奈「そっか……お腹を刺されていたから……(・v・)!」

227 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:39:25 ID:9utAojC.
ダイヤ「ですが……確か、かすみさんは背中も刺されていたのではありませんでしたか?」

鞠莉「……言い訳になるけれど、見逃した可能性は高いわね」

穂乃果「見逃したなんて……そんな都合のいい話があるの?」

鞠莉「死体はあんな状態だったし、そもそも私は、彼方や花丸ほど検死に精通してない。理由としては不十分かしら?」

穂乃果「別にいいよ、そんな細かい話は」

穂乃果「だって……大きな疑問点は、まだまだ残ってるんだからね……!」

歩夢(……分かっている。説明のつかない事柄は、まだ幾つか残っているんだ)

歩夢(でも……今度こそ、ようやく掴んだ光なんだ。みんなで見つけ出した、希望なんだ)

歩夢(絶対に、逃がしたりはしない──!)

228 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:40:10 ID:9utAojC.
【ノンストップ議論 開始!】
[|モノっちーファイル5-2>
[|2つの着ぐるみ>
[|拳銃>
[|鞠莉の検死報告>

穂乃果「みんなの推理によると……」

穂乃果「私は低温倉庫から【かすみちゃんの死体】を運び出して【着ぐるみに入れた】んだったよね?」

鞠莉「ええ。【火事で焼かれる】ことを想定してね」

穂乃果「でも。モノっちーの監視の隙をついて、上手く倉庫から死体を持ち出せたとしても……」

穂乃果「【モノっちーに見つからずに】第2多目的室まで運ぶ必要があるんだよ?」

穂乃果「どうやってそんなことをしたのかな?」

ダイヤ「《直接担ぐ》のは、いささか目立ちますし……」

しずく「何かに入れて持ち運んだのでしょうか……?」

穂乃果「いやいや、持ち運ぶにしても【目立っちゃう】よね?」

モノっちー「まあ、流石に気付くネ」

歩夢(どうやってバレずに死体を運び出したのか……まずはそれを解き明かすんだ!)

229 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:40:50 ID:9utAojC.
[|2つの着ぐるみ>→【目立っちゃう】

歩夢「それは違うよ!」

Break!

歩夢「……目立たずに運ぶ方法はあるよ。着ぐるみを使えばいいんだからね」

ダイヤ「着ぐるみに入れて持ち運んだ、ということでしょうか?」

璃奈「で、でも。もう1つの着ぐるみには、花丸ちゃんが入ってたんだよね(・v・)?」

歩夢「問題ないよ。“自分が入っている着ぐるみに死体を入れた”んだからね」

しずく「うっ……死体と一緒に行動していた、ってことですか!?」

鞠莉「確かにあの着ぐるみなら、もう1人くらいは詰め込むスペースがありそうね」

歩夢「そうやって、かすみちゃんの死体を低温倉庫から持ち出した後は──」

穂乃果「行くよ、全力で!」

反論!

穂乃果「そんな方法、本当に出来ると思ってるの?」

歩夢「出来なかった、筈はないよ」

穂乃果「いいや。無理なものは、無理なんだよ──!」

230 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:41:59 ID:9utAojC.
【反論ショーダウン 開始!】
[|モノっちーファイル5>
[|モノっちーファイル5-2>
[|開いていた情報処理室>
[|2つの着ぐるみ>

穂乃果「かすみちゃんの死体を低温倉庫から持ち出した?」

穂乃果「着ぐるみに入れて?」

穂乃果「出来ない。そんな方法は、絶対に出来ない」

穂乃果「歩夢ちゃん……それはただの妄想だよ」

─発展─
   妄想なんかじゃない
      そもそも、かすみちゃんの死体は……
         着ぐるみに入った状態で発見されたからね

穂乃果「私が運んだのか花丸ちゃんが運んだのか、それは置いとくとしても……」

穂乃果「そもそも、倉庫から運び出すのはかなり【大変な作業】になるよね」

穂乃果「【一瞬の隙】を突いたわけでもないなら……モノっちーも知ってるんじゃないかな?」

穂乃果「だって、歩夢ちゃんの推理通りなら【死体を着ぐるみに入れる】時間が必要なんでしょ?」

歩夢(今だから分かる。今回の犯行がやけに大掛かりだったのには、このためだったんだ……!)

231 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:42:49 ID:9utAojC.
[|開いていた情報処理室>→【モノっちーも知ってる】

歩夢「その言葉、斬らせてもらうよ!」

Break!

歩夢「確かに……運び出すのには時間が掛かるだろうね」

穂乃果「うん。まさか、トリックを使って素早く行動した……なんて言わないよね?」

歩夢「そもそも……モノっちーは、事の全てを監視カメラで把握出来ていたのかな」

モノっちー「……」

しずく「ど、どういう意味なのですか?」

歩夢「モノっちーが犯人を知らない理由は、やっぱり“監視カメラを見ていなかった”ことにある筈」

鞠莉「普通に考えたら、見てないなんてことは起こり得ない。モノっちーの中身もヒトなら、ミスくらいは起こすでしょうけど」

璃奈「……でも、そんな都合のいい話があるの(・v・)?」

232 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:43:52 ID:9utAojC.
歩夢「それはきっと……情報処理室にあったパソコンのせいだよ」

ダイヤ「パソコンが……?」

歩夢「校舎や学生寮を撮影した監視カメラの映像は、全て壁に掛かったモニターに映っていた」

歩夢「きっと、今までもそうやって監視して来たんだろうね」

歩夢「でも……“別館を撮影した映像”は違う」

歩夢「それを見るには、パソコンを操作する必要があったんだ」

しずく「じゃあ、モノっちーが死体を運び出すところを知らなかったのは……」

歩夢「“壁のモニターに気を取られている隙に起きた出来事”だったから」

歩夢「そうでなければ、モノっちーがわざわざ“公平な推理の材料”として情報処理室の鍵を開ける必要もないからね」

歩夢「前回の裁判で、音のない監視カメラの映像を見せて来たりもしたけれど……」

鞠莉「さしずめ“映像オンリーだから、起こったことに気付きにくい”ってところかしら」

鞠莉「襲撃事件を幾つも起こしていたんだから、そっちに意識を取られてもおかしくないもの」

233 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:44:51 ID:9utAojC.
歩夢「穂乃果さんが襲撃事件を起こした理由は、私たちを1か所に集めるためだと思っていた」

歩夢「でも……本当は違ったんだよ」

ダイヤ「多発的に事件を起こすことで、モノっちーに決定的な瞬間を見せない為……ですか」

歩夢「間違ってない筈だよ、モノっちー」

モノっちー「……ノーコメント。流石にセンシティブすぎる話題だからネ」

穂乃果「コメントする必要はないよ。だって、みんな机上の空論で疑問を解消したつもりだろうけど……」

穂乃果「まだ、大事な疑問が残っているからね」

ダイヤ「まだ、何か?」

穂乃果「そもそも、低温倉庫のスイッチは壊されていたのに……どうやって、死体を運び出したのかな?」

穂乃果「モノっちーにも回収出来なかったなら、私や花丸ちゃんにも不可能だよね?」

234 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:45:55 ID:9utAojC.
歩夢「……」

しずく「歩夢さん。事件の時、スイッチを確認したから分かるんです」

しずく「あれは、専用の道具がないと直すのは不可能だと思いますし……」

歩夢「工具箱は……校舎から脱出しようとした時に、私が第2多目的室に置きっぱなしにして来た。あとで回収することは可能だった筈だよ」

ダイヤ「そういえば捜査の時、どこにも見当たりませんでしたわね」

しずく「で、ですけど……専門の知識がないと、穂乃果さんや花丸さんにも、修理は難しいんじゃ……」

穂乃果「そうだね。私はメカニックでもないし、発明家でもないよ」

穂乃果「花丸ちゃんは作家だけど……本から得た知識程度で、どうにかなるのかな?」

歩夢「どうにかなった可能性はあるよ」

穂乃果「……えっ?」

235 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:46:46 ID:9utAojC.
歩夢「穂乃果さんは、自分のことを《超高校級の絶望》だって言ってたけど……」

歩夢「本当に、そうなの?」

穂乃果「……」

璃奈「そっか。穂乃果さんの才能って、分かってないままだったね(・v・)」

鞠莉「もっと言えば、千歌っちとして接していた頃の才能も分かってないまま」

鞠莉「あの時は、あなたが黒幕だっていうフェイクと、絶望だなんて大げさな肩書に騙されたけど……」

鞠莉「本当の才能は、何だったのかしら?」

穂乃果「……この状況で、私が喋ると思う?」

歩夢「穂乃果さんが喋らなくっても……手掛かりは、既にあったんだよ」

歩夢(そう。この裁判中で、引っかかる発言をした人がいたんだ)

【小原鞠莉】
【天王寺璃奈】
【モノっちー】

正しい選択肢を選べ!

236 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:47:47 ID:9utAojC.
→【モノっちー】

歩夢「さっき、穂乃果さんが黒幕じゃないって話をした時……モノっちーが言っていたんだ」

歩夢「“武器庫のゲームを最高難易度でクリアした”って」


モノっちー『オマエらが騙されてただけの話だよ。そして、大体は今しがた議論された通りだネ』

モノっちー『ロシアンルーレットを“最高難易度でクリアした”彼女は、そこで得た情報をキッカケに計画を立てた』


歩夢「ロシアンルーレットは、銃に弾をこめる運試し」

歩夢「難易度を上げようとしたら……弾の数を増やすしかないよね」

ダイヤ「ですが、それでクリアしようとすれば、相当な運が……っ!」ハッ

ダイヤ「まさか、彼女の才能は……」

歩夢「……うん。考えられる可能性は、これしかないよ」

【超高校級の不運】
【超高校級の幸運】
【超高校級の美少女】
【超高校級の若女将】

正しい選択肢を選べ!

237 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:48:24 ID:9utAojC.
→【超高校級の幸運】

歩夢「自分の運に頼って、狙った結果を引き寄せる……」

歩夢「自分の運によって、壊されたスイッチが稼働する……」

歩夢「《超高校級の幸運》だったとしたら……どうかな」

璃奈「超高校級の、幸運……(?□!)」

穂乃果「で、でも……エマちゃんだって、幸運の才能だったんだよ?」

穂乃果「同じ才能の人が2人居るだなんて、あり得るのかな」

歩夢「《超高校級の幸運》は、毎年虹ヶ咲学園が抽選をして、一般の学生から募集を掛けている」

歩夢「そう……“毎年”ね」

鞠莉「ここで生活を過ごしていくうちに、私たちは“学年が違う”ことを知った……」

鞠莉「だから、高坂穂乃果が《超高校級の幸運》であったとしても何もおかしくはない……ということね」

238 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:49:31 ID:9utAojC.
穂乃果「……っ」

歩夢「エマちゃんの事件のお陰で、どこか勘違いをしていたのかも知れない」

歩夢「幸運と言っても、結局は普通の高校生……無意識にそう思っていたのかも知れない」

歩夢「でも、超高校級なんだ。こんなことが出来てもおかしくはないよね」

ダイヤ「そうなると、死体を運び出したのは穂乃果さんなのでしょうね」

ダイヤ「とはいえ、どこかで着ぐるみの中身を移し替える必要はありましたが……」

歩夢「多発的な襲撃事件を監視カメラ越しに見せつけることで、その過程をモノっちーに知られないようにしたんだ」

歩夢「そもそも、情報処理室に呼び出したことにも意味があったのかも知れない」

しずく「意味……ですか」

歩夢「鍵が掛かっている部屋には入れない。もし破ろうとしたら、モノっちーは校則違反を知らせなければいけない」

歩夢「そうやって……“黒幕を情報処理室の奥の部屋に釘付けにさせておく”狙いがあったんだ」

歩夢「情報処理室自体には、モノっちーを操作したりする機械なんかは、どこにもなかったからね」

239 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:50:25 ID:9utAojC.
歩夢「つまり。この事件のクロは……同時に見つかった死体の中でも、先に殺された方の犯人」

歩夢「かすみちゃんを殺したクロ……せつ菜ちゃんだってことになる」

歩夢「そして、既にクロはオシオキが完了しているか──」

穂乃果「まだ終わってないよ!」

歩夢「……えっ?」

穂乃果「歩夢ちゃんもみんなも……肝心なことを忘れているよ。とびっきりの、謎」

鞠莉「まだあるのかしら? あなたに反論の余地が」

穂乃果「着ぐるみの死体がかすみちゃんなら……梨子ちゃんはどこへ行ったの?」

240 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:51:17 ID:9utAojC.
しずく「それは……かすみさんと入れ替えで、低温倉庫の中に」

穂乃果「それじゃあ意味がないよ。監視カメラを見たら、中に居ることがバレちゃうからね」

鞠莉「とはいえ、学校のどこかに隠したとしか考えられないけど……」

ダイヤ「どうなのですか、モノっちー。あなたなら、梨子さんの居場所を知っている筈ですよ」

モノっちー「……」

歩夢「きっと……モノっちーにも犯人が分からない理由が、これなんだ」

璃奈「どういうこと(・v・)?」

歩夢「着ぐるみの死体がかすみちゃんか梨子ちゃんか。穂乃果さんのせいで、モノっちーにも確証が持てなくなった」

歩夢「だからこうして、私たちに解かせようとしているんだ。消えた3人目の行方を……」

241 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:52:24 ID:9utAojC.
穂乃果「だったら……どこに消えたかなんて、分かるのかな?」

歩夢「分かるよ」

穂乃果「っ!?」

歩夢「梨子ちゃんは、監視カメラが絶対に届かない“ある場所”に居るんだ」

穂乃果「……」

歩夢「この事件の、最後の真実……」

歩夢「明らかにしてみせるよ!」

242 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:53:23 ID:9utAojC.
【理論武装 開始!】

穂乃果「あの死体は梨子ちゃんだよ」

穂乃果「かすみちゃんなんかじゃない」

穂乃果「他の可能性なんて考えられないよ」

穂乃果「ふざけるのはそろそろ終わりにしようよ」

穂乃果「歩夢ちゃんは何も分かってない」

穂乃果「どうしてモノっちーに力を貸すの?」

穂乃果「モノっちーのせいで、みんな死んだのに……」

穂乃果「あなたに、私の痛みなんて分からない!」


穂乃果「【梨子ちゃんはどこへ消えたっていうの!?】」

      △:ぐるみ
□:中         ○:着
      ×:の

243 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:54:18 ID:9utAojC.
→○△×□ [|着ぐるみの中>

歩夢「これで……終わりだよ!」

Break!!!

歩夢「梨子ちゃんの居場所は……あなたが着けている、その“着ぐるみの中”だよ!」

穂乃果「……」

しずく「あ……あの中に、梨子さんも居るんですか!?」

鞠莉「てっきり大浴場のどこかにでも眠らせていると思ったけど、違うのね」

鞠莉「あそこには監視カメラがないから、隠すにはちょうど良いでしょう」

歩夢「勿論、その可能性もあるけど……穂乃果さんの目的を考えると、そうとは考えにくい」

歩夢「彼女の目的は、このゲームそのものを破壊することだと思うから……」

244 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:55:04 ID:9utAojC.
モノっちー「ゲームの破壊、ネ……」

歩夢「“黒幕でさえ犯人を間違えた”“コロシアイゲームは成立していない”」

歩夢「それをこの場で証明するためには……梨子ちゃんが、穂乃果さんの“手の届く場所”に居る必要がある」

鞠莉「なるほど。だから文字通り手の届く場所……あの着ぐるみの中ってわけね」

歩夢「……うん」

穂乃果「……」

穂乃果「全然違うよ。妄想もいいところだね」

歩夢「妄想なんかじゃない。これまでの全てを振り返って……あなたにも認めさせる」

歩夢「これが事件の真実だよ!」

245 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:55:38 ID:9utAojC.
【クライマックス推理】
ACT.1
穂乃果さんと璃奈ちゃん、そして花丸ちゃん。
複数の人が作り上げた大掛かりなトリックを、紐解いて行くよ……。
まず穂乃果さんは、自分の計画のために璃奈ちゃんを脅迫した。
これから起こす事件のために……花丸ちゃんに変装させたんだ。
その裏で穂乃果さんは、本物の花丸ちゃんとも繋がっていた。
璃奈ちゃんに知らせなかったのは、自分以外に真相を知っている人を出さないためだろうね。

ACT.2
璃奈ちゃんが最初に誘い出したのは、私。
着ぐるみを着た本物の花丸ちゃんが合流して、私を気絶させる。
そこから2人は、しずくちゃんと鞠莉ちゃんを気絶させたりして、多発的に襲撃事件を起こしたんだ。
その裏では……穂乃果さんが、今回の事件の肝になることを実行していた。
襲撃事件の監視にモノっちーが気を取られているうちに……低温倉庫から、あるモノを運び出したんだ。
壊れたスイッチの問題も……彼女が持つ超高校級の幸運の才能なら、クリア出来たんだよ。

ACT.3
そうやって運び出されたのは……前回の事件から放置されていた、かすみちゃんの死体。
それを着ぐるみの中に入れて、穂乃果さんは別館を後にしたんだ。
梨子ちゃん、ダイヤさんを気絶させて……最後に、璃奈ちゃんを気絶させる。
何も知らない花丸ちゃんとして、このあと学級裁判の場に立ってもらうためにね。
その裏では、着ぐるみの中身の入れ替えが行われていたんだ。
梨子ちゃんは穂乃果さんの着ぐるみに、花丸ちゃんは着ぐるみから出て、そこにかすみちゃんの死体が。
ただ、襲撃事件を隠れ蓑にしたお陰で……モノっちーでさえ、その実態を把握することが出来なくなっていたんだ。

246 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:56:28 ID:9utAojC.
ACT.4
こうしてモノっちーを欺く準備を終えた穂乃果さんは、次に私たちを騙すための準備を始めた。
私たちに用意された偽の真相……罠に掛かった人物がクロになるトリックのためにね。
そのために穂乃果さんは、梨子ちゃん以外の気絶させたみんなを第1多目的室に放り込んだ。
そして廊下と、死体発見現場になる第2多目的室にガソリンを撒き、ライターを準備した。
結局、花丸ちゃんがここで死んだのか、本当に罠で死んだのか……今となっては分からない。
でも、議論の焦点をそこに向かわせること自体が、穂乃果さんの仕組んだ本当の罠だったんだ。

ACT.5
次に穂乃果さんが準備したのは、意図的に火事を起こす仕掛け。
水溶性の糸を第1多目的室の扉に括り付けて、それをライターと結んだ。
こうすることで、閉じ込められた私たちが扉を開けようとした瞬間、倒れたライターが火事を起こす。
糸が水溶性だったのは、火でも燃えなかった場合を考慮して、消火設備のスプリンクラー頼みにするためだろうね。
仕上げに用意したのは、弓。
置いたのか、セットしたのか……とにかく、扉を開けた人がクロになる可能性を生むようにしたんだ。

ACT.6
こうして全ての準備を終えた穂乃果さんは、着ぐるみに身を潜めて裁判に臨んだ。
気絶したままの梨子ちゃんを、一緒の着ぐるみに入れたまま。
最後まで私たちを……いや、何よりモノっちーを騙しきって、本当の黒幕を倒すために。
扉を開けた人物か穂乃果さん、どちらかがクロだと指名させたあとで、梨子ちゃんの姿を出すために。
この事件で指摘されるべきクロ……かすみちゃんを殺したせつ菜ちゃんは、既にこの世を去っていると糾弾するために。
これが、穂乃果さんたちが協力して作り上げた、犯人不明トリックの全貌だよ。

247 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:57:23 ID:9utAojC.
歩夢「一連のトリックは、あなたの才能があったからこそ成立した……」

歩夢「そろそろ、その着ぐるみを脱ぐ時だよ」

歩夢「《超高校級の幸運》高坂穂乃果さん……!」


COMPLETE!!!

248 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:58:30 ID:9utAojC.
歩夢「この推理が合っているかどうかは……着ぐるみを脱げば、分かる話だよ」

穂乃果「……その前に、今度こそ投票だよ」

鞠莉「まだ粘るつもりかしら」

穂乃果「当たり前だよ……まだ私は負けてない。モノっちーが負ければ、このコロシアイを台無しに出来るんだ」

歩夢「いいや……穂乃果さん」

歩夢(言いながら、着ぐるみの方へと歩き出す)

穂乃果「こ、来ないで!」

しずく「逃げないでください!」ガシッ

璃奈「どうしてこんなことをしたのか……ちゃんと答えて(>_<。)!」ガシッ

ダイヤ「もう、逃げ場はありません」

歩夢「あなたの……負けだよ」

穂乃果「違う、私は──」

249 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:59:12 ID:9utAojC.

「もうやめて!」

250 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:59:48 ID:9utAojC.
歩夢「────!」

歩夢(着ぐるみの中から……穂乃果さんのものとは違う、もう1つの声がした)

穂乃果「っ!? は、離して……」

歩夢(予想外の出来事が起きたらしく……穂乃果さんが困惑している)

歩夢(私は、中で何かが暴れている着ぐるみの頭を外し……)

穂乃果「……」

梨子「……」

歩夢(最後の行方不明者が……ようやく、その姿を現した)

251 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:00:36 ID:9utAojC.
モノっちー「ぐぬぬ……」

モノっちー「本当……やってくれたよネ」

モノっちー「いいよ。状況が状況だから……」

モノっちー「この学級裁判の中止を、ここに宣言するよ!」


    学 級 裁 判  
      閉  廷

252 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:01:19 ID:9utAojC.
穂乃果「……」

梨子「まずは……心配させてごめん、かな?」

梨子「それから……ただいま」

ダイヤ「……おかえりなさい」

穂乃果「……」

歩夢(穂乃果さんは……私たちの方に、睨むような視線を向けていた)

穂乃果「……結構、しっかり縛ったつもりだったんだけどなあ」

梨子「……ごめんなさい」

しずく「り、梨子さんが謝ることなんて……」

253 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:02:08 ID:9utAojC.
鞠莉「とにかく……話してもらうわよ」

穂乃果「……」

歩夢「お願いだよ、穂乃果さん。璃奈ちゃんと……花丸ちゃんのためにも」

穂乃果「……」ハァ

穂乃果「トリックの関係で、璃奈ちゃんだけは動いてもらう必要があったけど……」

穂乃果「元々、花丸ちゃんを巻き込むつもりはなかったんだ」

璃奈「……どういうこと(>_<。)?」

穂乃果「花丸ちゃんは……私が黒幕だっていう“嘘”に気付いていたんだよ。そして、手紙を入れて来た」

254 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:03:13 ID:9utAojC.
『────だったり、武器庫の件だったり。以上の理由から、穂乃果さんが黒幕だとは考えられない』

『きっと穂乃果さんは、璃奈ちゃんの力を借りて、コロシアイを壊そうとしているんですよね』

『だったら、私も協力します』

『どうしても信用出来ないなら、大浴場で待ってます 国木田花丸』


穂乃果『……』

璃奈『穂乃果、さん……(>_<。)?』

穂乃果『……何でもない、よ!』

バチバチィ!

璃奈『ぅ……』ドサッ

穂乃果『……』

255 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:03:59 ID:9utAojC.
穂乃果「気付かれてしまった以上は、巻き込むしかなかった」

穂乃果「でも予想外だったのは……“花丸ちゃんから、今回の事件のためのトリックを提案してきた”ことだよ」

歩夢「は、花丸ちゃんが!?」


花丸『……どうかな。きっとこれなら、モノっちーを騙せると思うけど』

穂乃果『……本気で、言ってるの?』

花丸『ずら?』

穂乃果『この計画だと……花丸ちゃんが、死ぬことになるんだよ?』

花丸『それでも……穂乃果さんが考えたトリックよりは、モノっちーを騙しやすい筈だよ』

花丸『ううん……幸運の才能に頼っても、穂乃果さんの計画は隙だらけで失敗するずら』

穂乃果『……っ』

256 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:04:53 ID:9utAojC.
穂乃果「……私が最初から考えていたのは、璃奈ちゃんの才能と、かすみちゃんの死体を利用すること」

穂乃果「でも……それとは別に、モノっちーには“本当に人が死んだ瞬間”を見せないといけない。花丸ちゃんはそう言ったんだ」

ダイヤ「花丸さんが、そんなことを……」

鞠莉「それでも……花丸を殺すことに乗ったのは、あなたの方でしょう」

穂乃果「私だって、殺したくはなかったよ!」

鞠莉「っ……」

穂乃果「もう……嫌だったんだ。これ以上、誰かが死ぬのは」

穂乃果「曜ちゃん……ううん。“花陽ちゃん”が死んで……全部、思い出しちゃったんだよ……」

しずく「ハナヨちゃん……?」

歩夢「曜ちゃんとして接していた子の、本当の名前なんだよね」

穂乃果「……うん」

257 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:05:46 ID:9utAojC.
────3度目の裁判の後、穂乃果の自室

千歌?『あの曜ちゃんの正体も』

千歌?『私の才能も』

千歌?(……私の、本当の名前も)

千歌?(海未ちゃんやことりちゃんたちが、死んじゃったことも……)

穂乃果『全部、思い出しちゃった』

穂乃果(……でも、どうしよう?)

穂乃果(ただコロシアイを終わらせようとしても、絶対に上手くいかない)

穂乃果(モノっちーを学級裁判で騙すことが出来れば……何とか、コロシアイを壊せないかな?)

穂乃果(でも……学級裁判をやるってことは、誰かが死ななきゃいけない……)

穂乃果(どうすれば……)

258 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:07:02 ID:9utAojC.
穂乃果「だから……せつ菜ちゃんが起こした事件の全貌を知った時、これしかないって思った」

穂乃果「かすみちゃんの死体を使えば、これ以上誰も死なずに、事件を起こせるから……」

モノっちー「でも、残念でした。結局、みんなの手で真相は暴かれちゃったワケだネ!」

穂乃果「……」

穂乃果「……ごめんね、みんな」

穂乃果「璃奈ちゃんも……ごめんね。どうしても、あなたの力が必要だったんだ」

穂乃果「梨子ちゃんも、巻き込んでごめんね。誰か1人は、着ぐるみの中に入ってないといけなかったんだ」

穂乃果「それに……私の本心は、絶対に知られるわけにいかなかったから」

穂乃果「怖い思いをさせちゃって……本当に、ごめんね」

梨子「……」

璃奈「穂乃果さん……(>_<。)」

しずく「ですが……どうして花丸さんは、自分を殺させるような真似をさせたのでしょう」

穂乃果「……その答えになるかは、分からないけど」

259 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:08:12 ID:9utAojC.
────昨晩、第2多目的室

穂乃果『……本当に、いいの?』

花丸『うん。前回の事件で、色々思うところがあったから……ね』

穂乃果『……深くは聞かないでおくよ』

花丸『ただ……1つ心残りがあるとすれば』

穂乃果『……?』

花丸『オラが今までに書いた小説には、歩夢ちゃんのような優しい探偵さんは出てこなかったから』

花丸『あんな人を主人公にした本を書けなかったことが……ちょっぴり、残念、かな』

穂乃果『……そっか』

花丸『バイバイ、穂乃果さん。みんなにもよろしく頼んだずら』

穂乃果『……っ』グッ

ヒュッ

260 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:09:10 ID:9utAojC.
歩夢「……」

鞠莉「彼女は……自ら殺されることを、望んだ……」

穂乃果「だから私は……勝たなくちゃいけなかったんだ」

ダイヤ「花丸さんの想いを無駄にしないために……ですか」

モノっちー「うけけけけ……さっきも言ったけど、結局は無駄な苦労になったネ」

モノっちー「この件をキッカケに、ボクはより警戒するようになる」

モノっちー「オマエは黒幕じゃないことをバラされて、同じ手は使えない」

モノっちー「何より国木田さんは、ただの無駄死にになっちゃったんだからネ!」

歩夢(モノっちーの不愉快な笑い声が、裁判場にこだまする)

歩夢(……これで、良かったんだろうか)

歩夢(希望を見つけ出すために謎を解いた結果……却って、希望を閉ざしてしまったのではないか……?)

261 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:10:22 ID:9utAojC.
モノっちー「まあ……寛大なボクは、オマエの取った行動は不問にしておいてやるよ」

モノっちー「だから、オシオキはしない。でも次からは、妙な真似が出来ないように校則を──」

穂乃果「……その必要はないよ」

モノっちー「……うん?」

穂乃果「本当に凄いね、歩夢ちゃん。花丸ちゃんが監修したトリックを、全部解いちゃうなんて」

歩夢「え、えっと……」

穂乃果「心配しなくていいよ。ここまでしても解かれる可能性は十分あるって、事件を起こす前からずっと思っていたから」

穂乃果「ううん。きっとみんななら全部解いちゃうだろうって、信じてたから」

歩夢「信じてたなら、どうして……」

穂乃果「……どうして、だろうね」

穂乃果「やっぱり……歩夢ちゃんと一緒に、何かをやりたかったんだと思う」

穂乃果「幼稚園の時みたいに、ね」

262 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:11:26 ID:9utAojC.
歩夢「そ、それって……!?」

穂乃果「もしかして、今まで忘れてたの? ちょっと酷いなあ」

穂乃果「お遊戯会の時……歩夢ちゃんの手を引っ張って行ったんだよ?」

歩夢(おぼろげな記憶の中にいる少女。私が夢を歩き出すキッカケになった少女)

歩夢(それが……穂乃果さんだったのか)

穂乃果「きっとあなたならやり遂げられる、輝ける。精一杯のときめきを放ってくれる、って……そう、思っていたから」

穂乃果「間違ってなかったよ。だって歩夢ちゃんは《超高校級の歌姫》になったんだもの」

穂乃果「だから……私は、これで満足したよ」

263 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:12:02 ID:9utAojC.
歩夢(そう言うと……オレンジ色の髪をした彼女は、おもむろにポケットから何かを取り出した)

歩夢(それが“何かのスイッチ”であるということに気付いた時には……)

カチッ

歩夢(小さな音が鳴り)

ドォン!

歩夢(どこかで……大きな音がした)

264 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:13:13 ID:9utAojC.
しずく「な、何事ですか!?」

梨子「今のって、爆発!?」

モノっちー「……まさか、オマエ!」

穂乃果「武器庫にあった爆弾は小さくて、鉄の扉は壊せない」

穂乃果「でも……“学園長室の扉の鍵”なら、壊せるよね」

モノっちー「────高坂穂乃果ァァァァァァァッ!」


ウーーーッ ウーーーッ ウーーーッ


璃奈「こ、今度は何(?□!)!?」

鞠莉「鍵の掛かった扉を壊したってことは……校則を破ったってこと」

鞠莉「つまりこれは……」

歩夢「校則違反を知らせるサイレン!?」

265 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:14:10 ID:9utAojC.
穂乃果「最後の手段なんだ。謎が全て解かれたり、モノっちーが駄々をこねたりした時のためのね」

歩夢「な、何をしてるの!? 校則を破ったら……」

穂乃果「大丈夫だよ、歩夢ちゃん」

穂乃果「これでモノっちーは、追いつめられる側になった」

穂乃果「あとは……あの絶望を倒すだけだよ」

モノっちー「クソッ……こうなったら……」

モノっちー「こ、校則違反者へのオシオキを、準備させて頂きました!」

穂乃果「それから、鞠莉ちゃん」

歩夢(今度は、爆弾のスイッチが入っていたのとは逆のポケットから……何かが放り投げられた)

266 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:15:34 ID:9utAojC.
鞠莉「これは……USBメモリ?」

穂乃果「私の部屋の、ベッドの下を調べて。外の世界についての“嘘”も、分かる筈だから」

鞠莉「外の……!? いえ、分かったわ」

穂乃果「きっとモノっちーは、最後の勝負を挑んで来る」

穂乃果「今までよりも大きな、最後の絶望を叩きつけてくる」

穂乃果「でも絶対に……負けないで」

穂乃果「あ、それから! 大事なことを忘れてた!」

穂乃果「エマちゃんの幸運も……信じてあげて」

歩夢「そ、それって、どういう……」

モノっちー「それでは、張り切って参りましょう……なんて言ってられるかよ!」

穂乃果「みんな……」

モノっちー「オシオキターーーーーーーイム!」

267 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:16:13 ID:9utAojC.

穂乃果「ファイトだよ!」

268 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:17:46 ID:9utAojC.

       EMERGENCY
コウサカさんがこうそくいはんをおかしました。
    おしおきをかいしします。

269 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:19:10 ID:9utAojC.
高坂穂乃果が連れて来られたのは……ベルトコンベア。

学校の机と椅子の上に座らされ、身動きが取れないようになっています。

ベルトコンベアの向こうには……ピストン運動を続ける、巨大な鉄の塊。

どうやらモノっちーは、このプレス機で彼女を潰すつもりのようです。


      〈(無名のオシオキ)〉
   《超高校級の幸運 高坂穂乃果処刑執行》

270 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:19:53 ID:9utAojC.
ドスン、ドスン。

鈍い音を立て、鉄の塊は上下します。

ゆっくりと、そちらへと流れるベルトコンベア。

穂乃果の目の前にあるのは教壇を模したセットと、教師の恰好をしたモノっちー。

黒板に書かれているのは、幾つもの暴言。

校則違反をした彼女へ向けられた、罵詈雑言です。

モノっちーは「分かっているのか!?」と言いたげに、鞭を教壇に叩きつけます。

穂乃果はその光景を、黙って見続けています。

しかし、その額には……やはり、玉のような汗が浮かんでいました。

271 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:20:52 ID:9utAojC.
ドスン、ドスン。

鉄の塊が上下するたびに、ベルトコンベアにも振動が伝わります。

ガチャガチャ……ガチン!

おや……? どうやら、彼女を椅子に縛り付けていた拘束が、外れたようです。

振動のせいで壊れたのでしょうか……流石は、超高校級の幸運です。

焦ったモノっちーが、穂乃果に飛び掛かろうとします。

力づくで抑え込むつもりのようですが……彼女は、するりと抜け出しました。

逃げようとすれば、今すぐにでも逃げられます。

ですが……穂乃果の取った選択肢は、違いました。

覚悟を決めたような顔で、プレス機の方へと駆け出したのです。

やがて、後に残されたのは……。

血に染まったベルトコンベアと鉄の塊、そして。

返り血を浴び、苛立ちを抑えきれない表情のモノっちーでした。

272 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:21:53 ID:9utAojC.
モノっちー「うぐ、ぐぬぬぬぬぬぬ……」

歩夢(穂乃果さん……いや、穂乃果ちゃんは、死んだ)

歩夢(最後までモノっちーに盾を突くような形で、消えていった)

歩夢(泣きたい。悲しい。私にとって、もう1人の幼馴染だった筈の人が、居なくなったんだ)

歩夢(いや……もしかしたら、私は既に泣いているのかも知れない)

歩夢(でなければ……口の中にしょっぱい味がしみこんで来ることなんてないだろうから)

歩夢(でも……立ち止まっちゃいけないんだ)

歩夢「行こう……穂乃果ちゃんが残してくれた、手掛かりを見つけに」

273 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:22:59 ID:9utAojC.
歩夢(私の言葉を皮切りに……みんな、エレベーターへと乗り込んで行く)

歩夢(そして、裁判場を去る間際。モノっちーは、私たちに向かって叫んだ)

モノっちー「次に行われるのは、最後の学級裁判だよ」

モノっちー「詳しくは、後で学園中にアナウンスしてやるよ」

モノっちー「絶対にオマエらを絶望させてやる」

モノっちー「オマエらへの仕返しを、終えてみせる」

モノっちー「バッドエンドまっしぐらにしてやるから、覚悟しておくんだネ……」

歩夢(仕返しという言葉が少し引っ掛かったが……そんなもの、モノっちーに言われる筋合いはない)

歩夢(むしろ、仕返しをするのは私たちだ)

274 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:23:44 ID:9utAojC.
歩夢(穂乃果ちゃんが繋いでくれた希望で、絶望を打ち破ってみせる)

歩夢(そして……私たちは、これから望むことになる)

歩夢(希望と絶望のぶつかり合い)

歩夢(全ての謎が解き明かされる)

歩夢(最後の“学級裁判”を──)

275 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:24:47 ID:9utAojC.
Chapter5 END

https://i.imgur.com/4J1GtrG.png

To be continued……


プレゼント“役目を終えたスイッチ”を獲得しました。

276 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:25:30 ID:9utAojC.
今回はここまで。

277以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 03:36:05 ID:Al.bEdZo
おつおつ
いよいよ6章か

278 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:41:00 ID:kxPgDpz6
────幕間 ある夏の昼下がり

「ねえ花丸ちゃん、しず子知らない?」

「しずくちゃんなら居ないずらよ」

「あれ、そうなの?」

「確か、公演でしばらく沼津に行ってる筈だよ」

「じゃあ花丸ちゃんでいいや。遊びに行かない?」

「マルは一服したら、原稿を仕上げないといけないから……ごめんね」

「マキちゃんみたいなこと言わないでよ」

「ああ……薬の調合で忙しいって言ってたずらね。昨日見かけた時も髪がボサボサだったよ」

「なんか、危険な薬が出来ちゃったとか……毒とかじゃないよねアレ」

「ヘビから作る薬って言ってたから……可能性はあるずらね」

「うえぇ!? わ、私、ヘビはダメなんだけど」

「だったら、しばらくは研究室に近寄らない方がいいよ。きっと地獄絵図だし」

279 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:41:45 ID:kxPgDpz6
「むー……。りな子は鞠莉先輩たちとどっか行ったし、ルビィちゃんたちは実家に帰ってるし」

「それに、他のみんなはどこかに出掛けて寮に居ないし……」ブツブツ

「しずくちゃんの演劇でも見に行ったら?」

「今から行っても間に合わないでしょ。彼方先輩とか、何人かは見に行ったみたいだけど」

「とにかく、今日はかすみちゃんの遊び相手にはなれないずら」

「アイス奢るから……ダメ?」

「た……食べ物で釣ろうとしても、ダメずらよ」

「ぐぬぬ、今日は頑固だ」

「じゃあ部屋に戻るから、絶対に邪魔しないでね? またダイヤさんたちに目を付けられても、今度は庇いきれないから」

「ちぇー」

───
──


280 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:43:18 ID:kxPgDpz6

     Chapter6

This is the end 〜■■宣言〜 
    非日常編

281 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:44:02 ID:kxPgDpz6
ピンポンパンポーン

モノっちー『あー、あー、本日は晴天なり本日は晴天なり。マイクチェック、ワンツー』

モノっちー『オマエら、ちゃんと聞こえてるよネ? 聞こえても聞こえなくても返事はしなくていいからネ』

歩夢(穂乃果ちゃんの事件を終えて、裁判場から戻って来た私たち)

歩夢(間髪入れずに……アナウンスが、校内中に響いた)

282 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:44:52 ID:kxPgDpz6
モノっちー『さて。ここまで行われて来た“コロシアイ学園生活”は、これより最終局面へと入ります』

モノっちー『え、最終局面が何かって?』

モノっちー『壮大なミステリの最終局面といえば、やっぱり“真の回答編”でしょ!』

モノっちー『というワケでオマエらにはこれから、最後の捜査をしてもらいます』

モノっちー『公平を期すために“全ての部屋のロックが解除されている”ので、思う存分調べちゃってください』

モノっちー『その後は……さっきも言ったように、最後の学級裁判を行います』

モノっちー『裁判の結果次第では、オマエらは晴れてこの学園から卒業となります』

モノっちー『ただし……結果次第では、全員オシオキとかになっちゃうかもネ』

モノっちー『じゃあ、また後で会おうか。うけけけけけ……』

プツン

283 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:45:42 ID:kxPgDpz6
歩夢「……」

梨子「この学園の謎を解いてみろ、ってわけね」

ダイヤ「この歪な学園から解放されるためには、どのみちやるしかありません」

しずく「で、でも!」

璃奈「どうしたの(・v・)?」

しずく「解放されたところで……この学園の外って、とっくに滅んでいるんですよね……」

鞠莉「校則違反のサイレンで聞こえなかったかも知れないけど、その件は、穂乃果がこんなことを言ったのよ」


鞠莉『これは……USBメモリ?』

穂乃果『私の部屋の、ベッドの下を調べて。外の世界についての“嘘”も、分かる筈だから』

鞠莉『外の……!? いえ、分かったわ』

284 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:46:28 ID:kxPgDpz6
しずく「う、嘘……?」

鞠莉「私たちがなるべく個室に引きこもってくれた方が、彼女の計画にとって都合が良かった」

鞠莉「それに黒幕を騙るなら、嘘は大きければ大きいほど良い……ってことでしょうね」

璃奈「だったら……窓の外の景色は、何だったんだろう(・v・)?」

梨子「確かにあれは、映像じゃなくて本物だと思うけど……」

歩夢(……そうだ。私たちは『外を泳ぐ魚たち』や『海藻らしきもの』なんかを、第2多目的室の窓の向こうに見た)

歩夢(だからこそ、穂乃果さんの話が現実味を帯びていたんだ)

歩夢(でも……)

歩夢「……それを含めて、解き明かせばいいんだよね」

鞠莉「そうよ」

285 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:47:02 ID:kxPgDpz6
歩夢「それに……今度の裁判は、私たちの中に潜んだ犯人を捕まえることじゃない」

歩夢「黒幕を、私たちをここに閉じ込めた犯人を、暴き出すんだ」

歩夢「だから……私たちが疑い合う必要は、どこにもないんだよ」

梨子「歩夢ちゃん……」

しずく「……そう、ですよね」

鞠莉「さて、そうと決まったら、捜査を始めましょう」

ダイヤ「ええ。調べなければならない場所は、かなり多いですから」

璃奈「みんなバラバラに捜査しないと、間に合わないかも(>_<。)」

鞠莉「バラバラになっても、協力し合えないわけじゃない。それを忘れちゃダメよ」

鞠莉「じゃあ私は、穂乃果の部屋に行って来るわ。彼女の置き土産を1つ1つ調べて行く必要があるもの」

286 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:47:50 ID:kxPgDpz6
ダイヤ「では、私は──」

梨子「えっと、じゃあ私は──」

歩夢(みんなそれぞれ、学園中に散って行く)

歩夢(最後に残った私も……)

歩夢「……よし」

歩夢(もう少しで、終わるんだ)

歩夢(この狂気に満ちた学園を脱出して、生き残ったみんなで帰るんだ)

歩夢(だから……始めよう)

歩夢(これが私たちの、最後の戦い──!)

287 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:48:47 ID:kxPgDpz6
【捜査開始!】

歩夢「まずは……あっ」

歩夢(今回はモノっちーファイルが手元にない。事件が起きたわけじゃないのだから、当然なのだが……)

歩夢(嫌なクセが身に付いたなあ、と実感する)

歩夢(そうなると、調べに行くべきは……)

288 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:49:19 ID:kxPgDpz6
────学園長室

璃奈「歩夢ちゃんも、ここを調べに来たの(・v・)?」

歩夢「うん。穂乃果ちゃんが、命懸けで壊した扉だから……」

璃奈「……(・v・)」

歩夢(閉ざされていた学園長室の扉は、鍵を壊されたことで自由に出入り出来るようになっていた)

歩夢(鍵の破壊には爆弾が使われたが、中の物が損傷している様子はなさそうだ)

歩夢(とはいえ……この部屋に入った時、私が最初に感じたことは)

歩夢「随分と、殺風景なんだね」

璃奈「それは……私も思った(・v・)」

歩夢(想像していた学園長室とは、随分と違った印象の部屋)

289 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:49:58 ID:kxPgDpz6
歩夢(学園長室といえば、大きな机と革製の大きなソファ、そしてカーペット)

歩夢(歴代校長の写真が壁に飾られ、奥には学園長が座る椅子と、荘厳な雰囲気を纏った机)

歩夢(細かい違いはあるけれど、てっきりそういう物だろうと思っていた)

歩夢(だが、この学園長室にあったのは……たった1つの、パイプデスク)

歩夢(そして1冊の冊子と、璃奈ちゃんが手にしている大きなファイルだけ)

璃奈「表紙だけ見たけど、パンフレットの方はただの学校案内みたいだよ(・v・)」

歩夢(璃奈ちゃんの言う通り……でかでかとそびえ立つ校舎の写真を表紙にした冊子のようだ)

歩夢(だが、学校案内に目を通して行くうちに……私はある“違和感”を覚えた)

歩夢「ねえ、璃奈ちゃん」

璃奈「?」

歩夢「“こんな部屋、この校舎にはなかった”よね?」

290 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:51:09 ID:kxPgDpz6
璃奈「……ど、どういうこと(・v・)?」

歩夢「ほら、これを見て」

歩夢(今の問い掛けを疑問に感じた璃奈ちゃんが、こっちに駆け寄って来る)

歩夢(私が開いているページ──設備紹介のコーナーとある──には、次のような記述があった)


『体育系の才能から、文科系の才能まで。幅広く取り揃えられた設備』


歩夢(その記述と共に掲載されている、プールや体育館、図書館にコンピュータールームらしき部屋、ついでに学生寮の写真)

歩夢(問題はそのどれもが……“この校舎にあった同一の設備と、造りがまるで違う”こと)

歩夢(『私たちが閉じ込められている虹ヶ咲学園』のものと比べると明らかに広く、そして数が多いのだ)

歩夢(勿論……“研究室”と書かれている、薬品棚や何らかの機械なんかが詰め込まれた部屋も、この学園にはない)

歩夢(理科室ではないかとも疑ってみたが、やはり部屋の形状からして違っている)

歩夢(私のように歌を歌う人なら何度もお世話になるであろう“レコーディングルーム”なんかも、このパンフレットには載っていた)

291 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:51:39 ID:kxPgDpz6
璃奈「こんな部屋、なかったよね(?□!)」

歩夢「……うん」

歩夢(学園長室の写真が載ったページもあったが……やはり、こことはまるで雰囲気が違う)

歩夢(パンフレットを持つ手が、少し震えていた)

歩夢(ここに書いてあることが、間違っているのだろうか?)

歩夢(それとも、このパンフレットは偽物なのだろうか?)

歩夢(……もし、そうでなかったとしたら)

歩夢(私たちが閉じ込められている“この虹ヶ咲学園”は一体……?)

《虹ヶ咲学園学園案内》のコトダマを入手しました。

292 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:52:18 ID:kxPgDpz6
歩夢(設備の件は気になるが……学園案内には、それ以上特筆すべきことはなかった)

歩夢「……ところで、璃奈ちゃんが持ってるファイルは何だったの?」

璃奈「虹ヶ咲学園の在学生名簿……みたいだよ(・v・)」

歩夢「在学生名簿……」

歩夢(鞠莉さんたち14期生、私たち15期生、璃奈ちゃんたち16期生。名簿に載っていたのは、計27人分だ)

歩夢(情報として掲載されているのは、本人の名前と才能、そして顔写真)

歩夢(せつ菜ちゃんや善子ちゃんたちの本名については、ここでは触れられていない。あくまで名簿としての目的のみを果たす物だ)

歩夢(当然……気になる情報が、幾つか浮かび上がって来る)

293 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:53:17 ID:kxPgDpz6
歩夢(まず目を引くのは、私たちの記憶にない8人の名前)

第14期生
《超高校級の占い師》東條希
《超高校級のバレリーナ》絢瀬絵里
《超高校級のアイドル》矢澤にこ

第15期生
《超高校級の弓道部》園田海未
《超高校級のデザイナー》南ことり

第16期生
《超高校級の陸上部》星空凛
《超高校級の農家》小泉花陽
《超高校級の医者》西木野真姫

294 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:54:13 ID:kxPgDpz6
歩夢(《超高校級の弓道部》園田海未さん……)

歩夢(前回の事件に用いられた弓は、彼女の私物だったりしたのだろうか……というのはさておき)

璃奈「小泉花陽……って、確か(・v・)」

歩夢「……うん」

歩夢(前回の事件で穂乃果ちゃんが言っていた“渡辺曜”の正体は、彼女のことで間違いないだろう)

歩夢(プロフィールの顔写真と“私たちと接していた曜ちゃん”の顔も、一致している)

歩夢(では、本物の渡辺曜のプロフィールはといえば……)


第15期生
《超高校級の船乗り》渡辺曜


歩夢(……顔つきこそよく似ているが、やはり、この学園で過ごして来た曜ちゃんではない)

歩夢(だったらどうして、小泉花陽は曜ちゃんとして接していたのだろうか。本物の曜ちゃんは、どこに行ったのだろうか……?)

《8人の生徒名簿》《渡辺曜の生徒名簿》のコトダマを入手しました。

295 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:54:52 ID:kxPgDpz6
歩夢(次に私の目に留まったのは、見知った名前の中にある、2つの名前)


第15期生
《超高校級の幸運》高坂穂乃果
《超高校級の若女将》高海千歌


璃奈「結局、私たちと一緒に居たのは……穂乃果さんで良かったんだよね(・v・)?」

歩夢「うん。目の色が合ってるのは、穂乃果ちゃんの顔写真だからね」

歩夢(先の事件でオシオキされたのは、オレンジの髪に、青い目をした女の子)

歩夢(やっぱり、赤い目をした“本物の高海千歌”は、最初から行方が分からないということになる)

歩夢(……湧き上がるのは、同じ疑問)

歩夢(本物の千歌ちゃんは、どこに居るのだろう)

歩夢(どうして穂乃果ちゃんは、千歌ちゃんとして接して居たのだろう)

歩夢(しかも、彼女は自分の正体を“思い出した”と言っていた筈だ)

歩夢(それが意味する物って……?)

《2人の15期生》のコトダマを入手しました。

296 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:55:54 ID:kxPgDpz6
歩夢(……残った16人の名簿には、不審な点はない)

歩夢(私の才能も《超高校級の歌姫》として記載されている)

歩夢「この部屋には、もう手掛かりになりそうなものはないかな」

璃奈「そうかも(・v・)」

歩夢「まだまだ調べないといけない場所はあるし……頑張ろっか、璃奈ちゃん」

璃奈「うん(・v・)」

歩夢(……そういえば、どうして私は才能に関する記憶までも失っていたのだろう)

歩夢(穂乃果ちゃんもそうだ。彼女は自分の正体どころか、高海千歌としての才能すらも把握していなかった)

歩夢(これって、何か理由があったのだろうか……?)

297 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:56:32 ID:kxPgDpz6
────情報処理室

モノっちー「……」

歩夢「……?」

歩夢(学園長室の捜査を終えて情報処理室を訪れた私を出迎えたのは、無言のモノっちー)

モノっちー「……」

歩夢(いや。無言というか……動いてない?)

モノっちー「……おや、歩夢さんですか」

歩夢「えっ?」

モノっちー?「私です、黒澤ダイヤです」

歩夢「え、えっ?」

モノっちー?「詳しいことは奥の部屋で話します」

歩夢「は、はぁ……」

298 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:57:12 ID:kxPgDpz6
────情報処理室、奥の部屋

ダイヤ「何も、そんなに怯えながら入って来なくても」

歩夢「あ、いや……黒幕の罠かと思っちゃいましたし」

ダイヤ「確かに……少々、おふざけが過ぎましたわね。お詫びします」

歩夢「い、いいんですよ別に。それよりも、この部屋は……」

歩夢(情報処理室自体も、大量のモニターが異様な雰囲気を造り出していた)

歩夢(けれども、この部屋はそれ以上に異質な空気を醸し出している)

歩夢(幾つもの機械やパネル、レバーにスイッチ、いかにもな椅子が真ん中に1つ)

歩夢(機械特有のブルーライトが、目にあまりよろしくない刺激を与えてくる)

歩夢(まるで、ロボットを操縦するコックピットみたいだけど……)

歩夢「もしかして、モノっちーを動かす部屋……?」

ダイヤ「そうなりますわね」


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