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Last Album
1
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/09/28(日) 21:14:58 ID:jDTTQVVk0
収録作品
1.墓碑銘(Prelude)
2014年08月作 01KB
2.涙を流す日
2011年10月作 83KB
3.午前五時(Interlude 1)
2013年04月作 03KB
4.雷鳴
2012年09月作 28KB
5.ちぎれた手紙のハレーション
2014年08月作 31KB
6.聖夜の恵みを(Interlude 2)
2011年11月作 03KB
7.明日の朝には断頭台
2014年09月作 28KB
8.壁
2012年07月作 27KB
9.ジジイ、突撃死
2014年09月作 26KB
10.ノスタルジック・シュルレアリスム(Interlude 3)
2014年08月作 03KB
11.葬送
2012年03月作 78KB
12.最初の小説(Interlude 4)
2013年04月作 03KB
13.どうせ、生きてる
2014年09月作 31KB
投下スケジュール
#1〜#2 09月28日夜
#3〜#4 09月30日夜
#5 10月01日夜
#6〜#7 10月03日夜
#8 10月04日夜
#9 10月06日夜
#10〜#11 10月08日夜
#12〜#13 10月10日夜
353
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:35:54 ID:bKltLt3M0
ならば生きているうちに僕たちは不幸から逃れるために最大限の努力を注ぐべきだ。
その努力と自らの人格を組み合わせれば、自ずと答えは見えてくる。
さあ、逃げよう。手に手を取って、どこまでも。
今取りかかっている仕事や作業なんか放り出して、
誰のしがらみを構うこともなく不幸や苦労から出来る限り距離を取ろう。
誰に迷惑をかけたって構うものか。誰かが犠牲になったって構うものか。
僕が生きてゆくには、満足に生きてゆくにはこれ以外に手段がない。
誰だって自分の生活のために気付かぬうちに多くの人の幸福を削ぎながら歩いている筈だ。それと同じことさ。
僕たちが生きていくためには不幸から逃れ、人並みの苦労から逃れ、生活から逃れ、何もかもから逃れ……
嗚呼、でも、生活が無くなってしまったら命も無くなってしまう。
それならば畢竟、僕が生きていく方法は死ぬということに他ならないじゃないか!
※ ※ ※
354
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:38:11 ID:bKltLt3M0
( <●><●>)『現実を忌避し、憎悪した物書きが、その鬱憤をぶちまけて客から金をとる。
その金で財を成した物書きは、案外この世の中も悪くないななどと思い始める。
そして、相変わらず現実から逃げ続けていて、あまつさえ彼のように財を成せない者たちへ、
希望と応援の物語を書き始める。
小説だけでなく、音楽でも、漫画でも、同じようなサイクルが多発している。
……こ、こ、この、この裏切り者どもが。
お前たちだって嘗ては世間の価値なき応援に嫌気が差していたのではないのか。
そ、それがたまたまさ、さ、才能があって儲けられたからといって、
どうして我々の気持ちを忘れてしまうんだ!
そういう心変わりが一番傷つくということに、どうして気付いてくれないんだ。
どうして我々を、切り捨てるような真似をしてしまうんだ!
分かったら早く昔に戻ってくれ。あの頃のように暗く、深い哀しみに満ちた物語を書いてくれ。
早く鬱病になれえーっ――!』
※ ※ ※
355
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:41:22 ID:bKltLt3M0
(,,゚Д゚)『何にもねえよ。みんな流行りの風に乗っていっちまった。
何にもいねえよ。どうせ好きになったってのも風のモノさ。
どうしようもねえな。言葉なんて文字なんて、そもそも人間なんて、全然空虚なものなのさ。
だからその、どうせ飽きるシロモノをいつまでもリツイートすんじゃねえ、ぶっ飛ばすぞ』
※ ※ ※
356
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:44:46 ID:bKltLt3M0
( ФωФ)『さあ、此処より以下の文章は、どうかヘッドバンギングをしながら読んでいただきたい。
叫びながらでも構わない。思いの儘にのたうち回っても構わない。
ともかく何らかの諸賢の感情を露わにする機会としていただきたいのだ。
何故ならば私たちは歳を重ねるにつれて建前の海に溺れてしまい、
何時しか本音を表す術を失ってしまう。
真実の感情はあらゆる事物から解き放たれた時に初めて発露するものではないだろうか。
音楽を聴きながら、独りで不器用な踊りをコッソリ披露したような経験が、殆どの人にあるだろう。
ならば物語を読む際に、何も椅子に座って机に向き合い、
ジッと沈黙して読み込む必要などどこにあろう。
物語の世界に没入しておく時ぐらい、周りの環境を気にするべきではない。
そこが公共の図書館でもない限り。
その物語に抱いた激情を、
高々叫んでいるように見せかけているツイートで終わらせてしまうのはあまりにも勿体ないではないか。
だから私はヘドバンを推奨する。
その行為は、私の知る限り最も直情的で、尚かつ自分の匙加減で行える感情再生の技法なのだから。
紙面やディスプレイに刻まれた文字と自らの想像を繋ぎ合わせて、
誰の知るものでもない独自の世界観に浸るべきだ。
そうすれば自ずと、頭脳と肉体が躍動していくものであろう。
その欲求を抑制する必要が何処にある。
いずれ現実では世間を気にして縮こまっていなければならないのだから、
せめて妄想の中でだけでも私たちは自由であるべきだ。
さあ、頭を振るうのだ。独自の感覚で、独自のリズムで振るうのだ。
そうして文字とイメージをシェイクすれば、きっと諸賢は幸福を得られる。
さあ、振るえ、もっともっと振るうのだ。そうだ、それでいい。
脳髄が物思う間もなく振るい続けろ。そうだ、それでいい。
それでいいというのに、嗚呼、何ということだろう。
『頭を振っていたら文字が読めないじゃないか!』』
※ ※ ※
357
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:47:34 ID:bKltLt3M0
……別に何が言いたいわけでもない。何を伝えたいわけでもない。
深い意味なんてどこにもないし、そんなものを詮索されたってどうしようもない。
作者の気持ちを考えられても、個人的に照れるだけで終わってしまう。
誰かのために何かを書くなんて、考えただけで目眩がする。
けれどこうやって文字が次々と吐き出されてゆくのは、こうしていないと僕自身が不安で不安で仕方がないからだ。
そしてそれが、例えばオフラインのチラシの上に書きなぐられているだけというのも、やっぱり不安になってしまう。
だって独りのための文章をしたためている時ほど、後悔に襲われる瞬間は無いのだから。
もし僕にセルフィーの才能があったなら、リストカットを綺麗にデコレーションして、
死にたいと呟くだけで終わってしまうようなものなのかもしれない。
けれどもこの希死念慮がもたらす人生の終わりのイメージは環状線を不眠不休でグルグル巡り、
ブレーキのかかる気配もない。終わりが終わらず、続きが続かない。
ならば立ち止まっているのかと問われればそういうわけでもなく、自転公転とともに確実に老け込んでいるし、
必要の無い四季が去来している。これはいったい何だろう。ここはいったい何処だろう。
誰に問いかけても明確な答えは返ってこないのだ。
人間は人生の本義について、運命という言葉で片して思考放棄してしまっている。
だって、どうやったってその意味を客観的に定義づけることなどできないのだから。
物語とは、ある種の答えを導きだす道筋であると云う人もいる。
それは、教訓とかその手の意味合いを持つのだろう。何よりも、
物語はその受け手に分かるように描かねばならない。そうしなければ第一義を失ってしまうのかもしれない。
けれども本当にそうだろうか。
脈絡のない、獣道さえも見当たらないような言葉の連続が人に何らかの印象や衝撃を与えはしないだろうか。
少なくとも僕はそういう類いのものがあるような気がしてならない。
意味が分かると怖い話より、意味は分からないけれど怖い話のほうが余程恐ろしい。
例えば、この人生のように。
※ ※ ※
358
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:50:16 ID:bKltLt3M0
沈黙と共に過ぎていく午後の空間。彼方に夕景、並んだ十字架。
風に舞い、何処からともなくやって来た慕情が、一筋の線を描いて何処へともなく吹き去った。
男は草叢に腰を下ろし、掃除を終えて一息ついている老婆の姿を何ともなく見遣っていた。
( ・∀・)「まるで、世界が終わっていく風ですね」
と、呟く。冗談でも本望でもなく、ただただ流れていってしまうだけの、社交辞令のような言葉。
('、`*川「そんな簡単にいくものかね。あたしはあんたの何倍もこの世でメシを食ってるけれども、
世界が終わったというような話は一度も聞かないよ」
( ・∀・)「そんなことは分かっていますよ。何がどうなろうとも、明日はやってくるものです。
火葬場にどんな色の煙がのぼったって、それは変わることのない。
けれど、最近の若者というのは誰だって一度は世界の終わりに思いを馳せるものなのです。
それは、ある種の憧憬なのですよ」
('、`*川「起こりもしないことに憧れたってどうしようもないさね。
もうちょっと、現実味のある出来事に望みをかける方がマシだと思うがねえ」
( ・∀・)「勿論、宇宙ごとビッグクランチなんかで終わってしまえと言うわけではないですよ。
世界の終わりというのは、実際のところ自分自身の終わりと同義なんです」
('、`*川「なんだい、じゃああんたは、自死でも考えているのかい。
そんならね、此処じゃなくて余所でやってくれ、後始末が大変なもんなんだよ。
人一人死ぬだけでもね。あんただって、こんなババアを隣にして死にたくもなかろう」
359
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:53:31 ID:bKltLt3M0
( ・∀・)「いえいえ、私なんかが自殺をするなんて、有り得ないことですよ。
自殺というのは、意義深く、そして尊いことなんです。
誰もが、重たい事情や心情を抱えて死んでいきます。
私はそういう彼是を、この墓場に全て擲ってしまいました。
私には、自殺に足りるほど抱えているものがないんですよ」
('、`*川「けれども、一丁前に憧れているというわけかい」
( ・∀・)「届かないが故に憧れるのですよ。私は自分自身で自殺を企てることはできません。
だって死ぬというのはとても怖いことだから。
結婚出来ないと知っていながらもアイドルを追いかけ続けるファン心理に似ているのかもしれません。
僕はアイドルのCDやグッズを買い集める代わりにこうして十字架を建て続けているのですよ。
いつの間にか取り残され、独りぼっちになって、
最早嘗て抱いていた情熱や意志さえも冷え固まろうとしている今、
自分自身だけでもその末期を悼めるように……」
老婆がジッと男を見詰める。男は、気まずそうに視線を外してどこにも焦点の合わない風景を眺めた。
( ・∀・)「結局、今日に至るまで私がやってきたことと言えば、自殺の代替行為だけだったのかも知れない……」
360
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:56:14 ID:bKltLt3M0
その時突然男の耳を、ガラスを粉砕したかのようなけたたましい破裂音が劈いた。
何故か、脳味噌の一部分がひび割れてしまったかのような印象を覚えた。
声もなく驚いて振り返った男の視線の先に老婆はおらず、
代わりに、どこか見覚えのある背高の老爺が笑みを浮かべて立っていた。
男はその姿を爪先から頭の天辺まで舐めるように見渡し、それから、安堵の表情で一つ首肯した。
( ・∀・)「何だ……。ずっと、傍にいたんですね」
その老爺……忙殺人鬼ブーンは笑みを崩さず、いつの間にか右手に持っていた小さなナイフをクルリと回した。
そのナイフは刃渡りがひどく短くまるで頼りにならない代物だった。
( ^ω^)「これじゃあ人を殺すことはできない……勿論、自殺するにも足りませんお。
けれども、これこそが貴方の、全身全霊をかけて磨きあげた自慢の凶器だった……というわけですお。
私は貴方をずっと見てきた。その特異な行動には多少なりとも興味を持っていました……
然しながら、やはり貴方は私の仕事の範疇ではないようですお」
( ・∀・)「ハハハ……随分と、随分と時間を無駄にしてしまいましたね」
( ^ω^)「とんでもない。私は普遍の存在ですお、何時でも、何処からでも世界を眺望できるものですから。
それにね、貴方がた人の目に映る私などは、所詮姿見を覗き込んでいるだけに過ぎないんですお」
361
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 21:59:37 ID:bKltLt3M0
( ・∀・)「そういうものですか……。
こう言ってしまえば何ですがね、貴方の姿……つまり、私自身の姿というものは、
もうすっかり老いさらばえてしまっているんですね」
( ^ω^)「貴方は何も持ち合わせていないお。
人生の意義も、目的も、夢も希望もあらゆるものを喪ってしまっております。
意図的であれどうであれ、それが貴方の歩んだ人生の結果なのですお。
そういう人は、他人より何倍も早く老いぼれてしまいますし疲弊してしまう。
然し、貴方が私を頼ることはないでしょう。それは貴方の心根や、立ち振る舞いを見てよく分かりましたお。
貴方は捨てるに捨てきれぬ貴方自身の未来を、
片手で握りしめてボロボロと潰してしまっているような具合ですお。
そしてそれを決して……投げ捨てることができない。
それこそ、死ねる人と死ねぬ人との明確な格差なのですお」
コツと靴音をたて、忙殺人鬼ブーンは男へ歩み寄った。そしておもむろに片手を差し出す。
( ^ω^)「これをお別れの標としましょう。
この墓場は、どんな恰好であっても貴方の努力の賜物であることには違いありません。
この墓場と、そして貴方自身と、私はお別れすることにします。
こんなにも綺麗な夕焼け空の下ですが、決して印象深いものではありません。
何故ならこの風景も、人々も、この世の原理原則だからです。
この空は、近いうちにまた同じ色を映すでしょう。
その空の下で私たちは、誰もが行うお別れと同じように、ごくごく普通の別れを交わしましょう。
いつまでも変わらず、繰り返される毎日は天国でも地獄でもなく、ただの現実に過ぎないのです。
その現実から逃れられぬ貴方の思いに、せめて握手の一つでもしようではありませんか」
差し出されたその手は老いぼれた相貌とは裏腹に若々しいものだった。
男はその手を握り、何かを言おうとしたが、何も思い浮かばなかった。
自分から湧き上がる一切の感傷が無意味に思え、わざわざ言葉にするのが億劫だった。
( ^ω^)「さようなら。どうか、お元気で。生きながら死んでいるというのも、また一つの生き方なのですから……」
※ ※ ※
362
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 22:03:18 ID:bKltLt3M0
……なんて、下らない空想と現実を重ね合わせていたら、時計の針が僕を置き去りにしてしまっていた。
アパートの一室でただ独り。誰もおらず、何もない。墓を立て続ける男も、それを世話する老婆も、
大勢のコロスも、あまつさえ忙殺人鬼ブーンなど存在するはずもなかった。
ただ、頭の中で粗末な液状の幻想がトプンを音を立てただけ。
まったく、それだけだ。
空虚な想いで脳みそを充たしたところで何も変わらず、何も失われない。
厄介な自己弁護がまたぞろ主張したというわけだ。歪な思弁、机上の空論。箸にも棒にもかからない私小説。
誰からも愛想を尽かされたどうしようもない架空の人形遊びを、惨めな自分が独りで嗤っている。
それでも息をするのだった。
夢を抱かず目標を持たず、希望を失い他人との繋がりが途絶えても、僕は呼吸をするのだった。
誰もいなくても、何もなくても、死のうとは思わないものだった。
これが若さを失うということなのかもしれない。
傍に誰かがいなくても、インターネットの知人に愛想をつかされても、この肉体がある限りは頭が働き、
つまり、自分自身が此処にあるのだった。
その実感は、思っていたほど悪くない。
むしろ、ようやく僕は居るべき場所に落ち着くことが出来たのかも知れなかった。
遠くで僕のことを思い出した昔の友人が、アイツは死んでしまったのかなと逡巡していても、
また、誰の脳裏からも消えてしまおうと、僕は確かに生きているのだった。
誰もが僕を忘れても、僕は死んでしまわない。孤独の底で、確かに生き続けるのだ。
今なお、生き続けているのだ。
※ ※ ※
363
:
名も無きAAのようです
:2014/10/10(金) 22:03:59 ID:dmXD5.sQ0
支援
364
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 22:06:45 ID:bKltLt3M0
僕が産み出した数多の想像。
それらは無秩序に、不躾に、そして不埒なまでに、言葉となって吐き散らされた。
遠い遠い揺り籠まで遡る僕の言葉たちに、僕はどのように謝罪するべきだろう。
嗚呼、どうか許してほしい。僕は本当に、言葉を産み出さなければ気が狂ってしまいそうだった。
それはたった独りの人間であるこの僕にとって、何よりも救済たり得る方法だったんだ。
そうして君たちのような、不格好で、どうしようもない言葉ばかりが産まれてしまった。
君たちには何の罪もないのに、僕はいつも何某かの罪障ばかりを背負わせてしまっていたんだ。
それはまるで、愛情を盾にした八つ当たりのように……。
そしてこれからもきっと、僕は言葉を、文章を、物語を、半永久的に綴り続けてしまうだろう。
何を反省することもなく。ただ僕だけの都合で。ただ僕だけの感情ばかりを乗せて。
言葉たちはそこにいる。明日も明後日も、いつまで経ってもそこにいる。
けれど、そこに込められた意味だとか、想いなんていうものは、いつの間にやら移ろって、変化して、
元の形を失ってしまう。僕らは知らず知らず、過去を引き出す手がかりを喪っていく。
あまつさえ、物覚えの悪い僕のことだ……。
365
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 22:09:25 ID:bKltLt3M0
言葉よ、本当にありがとう。僕はお前たちを無碍に扱ってばかりだったのに、今までよく耐えてくれた。
誤字脱字も、誤用も、文法の間違いも様々にあっただろう。その矜持は傷だらけに違いない。
それにも関わらず、変わらずついてきてくれたことに、僕は心の底から感謝したい。
そしてこれからも、僕は言葉を濫用するだろう。
迷いながら、惑いながら、僕はあらゆる悲観的な言葉を吐き出してしまう筈だ。
治そうと思って治るものじゃない。これは中毒みたいなものなのだ。
言葉の味を知ってしまった以上、僕は言葉を超える何かを見つけることはできないだろう。
だから僕がこの人生を終えるその日まで、言葉には過酷な目に遭ってもらわなければならない。
申し訳ない。申し訳ない。けれども、どうにかついてきてほしい。
言葉こそ、僕が信じることのできる唯一無二のものなのだから。
だからせめて墓をつくろう。
下卑た韜晦に充ち満ちた頭の中にそこそこに立派で、そこそこに心を込めた、
不出来でも形になっている墓をつくろう。
そうしてそれぞれに、墓碑銘を刻むのだ。あらゆる言葉に悼む言葉を重ねがけて、それを幾つも並べてみよう。
この脳髄が土に還るまで、言葉を産み出したという罪責を忘れぬように……。
※ ※ ※
366
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 22:12:32 ID:bKltLt3M0
毎日起床するアパート。毎日通る町並み。工事中の建物だって、どうせどこかで見たような景色。
雑多な人混み。その中に、憶えたくもないのに勝手に記憶にしまわれた人の顔がある。
あからさまに脅かしてくる喧噪。イヤホンが無ければ人生はやりきれない。
風の無い空にピッタリと貼り付いたようなうろこ雲を見上げると、何だかひどい不安に襲われる。
独りで咲き誇る痩せ細った向日葵。
彼女は、自分が他よりどれほど醜いのか知らぬまま枯れて死んでいくのだろう。
そういう生き方は、きっと美しい。
もしいつかこの僕がどこかの大講堂に立ったらこう叫ぶ。
「さあ、物語を始めましょう」
けれど、超満員の聴衆は誰も僕の言葉に耳を傾けていない。みんな、自分の人生に夢中なんだ。
そんな世界は、きっと素晴らしいものだと思う。
……ああ、まったく、もう。死んでしまいたい気持ちでいっぱいだ。
この夜が過ぎて、朝になったら、自分独りだけ世界から取り残されてしまっていればいいのに。
……いや、でも、明日は早起きをしよう。日が昇る頃に、アラームをセットしておこう。
だってその頃にはたぶん、ソーシャルゲームのスタミナが溜まっているだろうから……。
それでは、おやすみなさい。ごきげんよう。さようなら。
大丈夫。どうせ、いつまでも生きてるんだから。
了
367
:
◆xh7i0CWaMo
:2014/10/10(金) 22:13:37 ID:bKltLt3M0
後書きはブログに書きました。
10月12日午前0時に公開されます。
クソ長いのでどうでもいいやつです。投下前に書いたので若干齟齬があるかもしれませんが。
なのでもう、ここに書くべきことは何一つありません。
これで終わりです。
それでは、さようなら。
368
:
名も無きAAのようです
:2014/10/10(金) 22:24:03 ID:WEhma5jo0
完全に読みふけって支援とすら書くの忘れてた
すまない
きっとこの作品は何度も読むと思うよ
乙でした
369
:
名も無きAAのようです
:2014/10/10(金) 22:28:40 ID:V4rokEN.0
乙。最初から読み返してくるわ。
貴方の文好きだわ。
370
:
名も無きAAのようです
:2014/10/10(金) 22:44:29 ID:mMFeRHHs0
読みきりました
うまく言葉がでてきませんが何故か物語にありがとうございますと言いたくなります
乙です!
371
:
名も無きAAのようです
:2014/10/11(土) 00:50:29 ID:uIyO2l.k0
2が一番好きだおつ
372
:
名も無きAAのようです
:2014/10/11(土) 01:22:40 ID:1WVo36mg0
乙
誰かもレスしてたけどなんか創作意欲が湧くな
人間の内側内側の話だからかなー自分を投影して読んでるとなんか色々湧いてくる
じっくりまた1から読み返そう
373
:
名も無きAAのようです
:2014/10/11(土) 11:11:32 ID:VT9Qft3s0
乙でした!!
374
:
名も無きAAのようです
:2014/10/11(土) 16:49:04 ID:T9B1Nm2.0
最後が素晴らしかった。ありがとう
375
:
名も無きAAのようです
:2014/10/11(土) 23:34:35 ID:ZDIdDmaM0
amazarashi好きそう
376
:
名も無きAAのようです
:2014/10/13(月) 16:26:57 ID:FCAFixzg0
ブーン系っていうより普通の小説として面白いな、乙
377
:
名も無きAAのようです
:2014/10/13(月) 16:41:20 ID:U8FkJkog0
ボンベロのパティめっちゃうまそうなんだよなあ
おつ
涙を流す日が個人的によかった
378
:
名も無きAAのようです
:2014/10/21(火) 00:20:12 ID:Dz8acoRA0
後書きはブログに
ってお前のブログどこだよw
379
:
名も無きAAのようです
:2014/10/21(火) 12:43:29 ID:etY0PejE0
ぶんてなも知らんのか
380
:
名も無きAAのようです
:2014/10/21(火) 18:58:10 ID:aZNZvOjs0
おつ
やっぱあんたすげぇよ
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