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361 ◆xh7i0CWaMo:2014/10/10(金) 21:59:37 ID:bKltLt3M0
( ・∀・)「そういうものですか……。
      こう言ってしまえば何ですがね、貴方の姿……つまり、私自身の姿というものは、
      もうすっかり老いさらばえてしまっているんですね」

( ^ω^)「貴方は何も持ち合わせていないお。
      人生の意義も、目的も、夢も希望もあらゆるものを喪ってしまっております。
      意図的であれどうであれ、それが貴方の歩んだ人生の結果なのですお。

      そういう人は、他人より何倍も早く老いぼれてしまいますし疲弊してしまう。
      然し、貴方が私を頼ることはないでしょう。それは貴方の心根や、立ち振る舞いを見てよく分かりましたお。
      
      貴方は捨てるに捨てきれぬ貴方自身の未来を、
      片手で握りしめてボロボロと潰してしまっているような具合ですお。
      
      そしてそれを決して……投げ捨てることができない。
      それこそ、死ねる人と死ねぬ人との明確な格差なのですお」
 
コツと靴音をたて、忙殺人鬼ブーンは男へ歩み寄った。そしておもむろに片手を差し出す。

( ^ω^)「これをお別れの標としましょう。
      この墓場は、どんな恰好であっても貴方の努力の賜物であることには違いありません。
      この墓場と、そして貴方自身と、私はお別れすることにします。

      こんなにも綺麗な夕焼け空の下ですが、決して印象深いものではありません。
      何故ならこの風景も、人々も、この世の原理原則だからです。
      この空は、近いうちにまた同じ色を映すでしょう。

      その空の下で私たちは、誰もが行うお別れと同じように、ごくごく普通の別れを交わしましょう。
      いつまでも変わらず、繰り返される毎日は天国でも地獄でもなく、ただの現実に過ぎないのです。
      その現実から逃れられぬ貴方の思いに、せめて握手の一つでもしようではありませんか」
 
差し出されたその手は老いぼれた相貌とは裏腹に若々しいものだった。
男はその手を握り、何かを言おうとしたが、何も思い浮かばなかった。
自分から湧き上がる一切の感傷が無意味に思え、わざわざ言葉にするのが億劫だった。

( ^ω^)「さようなら。どうか、お元気で。生きながら死んでいるというのも、また一つの生き方なのですから……」

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