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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。

1 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:13:10 ID:6CCOWjXw0

どーも作者です。

新しく作らせてもらいました。
設定だけ作っておいて最初の二話で終わる予定だったこの話がこれだけ続くことになろうとは。

半分くらいは終わっている予定なので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。


話の投下の前に、各人の見た目データと大まかな設定を載せておきます。


この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に設定を順守しているつもりですが、拡大解釈とまだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。


まとめ

ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/

大変お世話になっております。

.

609 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:29:34 ID:8BYwryE20

('A`)「どういうことだ?」

(´・ω・`)「あの町で会った時に、ぼくは違和感を覚えた」

('A`)!

( ^ω^)「お!?どうしてだお!?」

(´・ω・`)「先輩、ドクオから聞いたんですが、
こういったMMORPGはよくやられていたんですよね?」

( ´_ゝ`)「ああ。もともとネットゲームはやってたし、
ナーヴギアで遊ぶ初期アクションなんかもやっていた」

(´・ω・`)「そして弟さんは、やったことは無かった」

(´<_` )「そうだな…。普通のRPGはやったことあるが、
ネットにつなげてリアルタイムで他のプレイヤーと話したりするようなのはやったことは無い。
兄者がやっていたのを横目でチラ見したことはあるが…」

(´・ω・`)「おそらく、そこからのずれ…というか、
初歩的マナーのずれで、ぼくは違和感を感じました」

(´<_` )「おれ、なんかしたか?」

(´・ω・`)「初めて会った時、弟さんはドクオに向かって『徳永』、
ブーンに向かって『内藤』と呼んだんです」

( ´_ゝ`)!

('A`)!

( ^ω^)!

ξ゚⊿゚)ξ?

川 ゚ -゚)?

(´<_` )?

六人のうち三人は気付き、三人は小首をかしげる。

川 ゚ -゚)「どういうことだ?ショボン」

.

610 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:30:36 ID:8BYwryE20

(´・ω・`)「ぼくもだけど、ツンとクーもドクオからレクチャー受けたよね。
こっちの世界に来る前に、会った時にリアルの名前は呼ばない様にって」

川 ゚ -゚)「ああ」

ξ゚⊿゚)ξ「そっか。言われたわね」

(´<_` )!

(´・ω・`)「そう、こういったゲーム内では、本名を言うのはマナー違反なんだよ。
だから、テイさんが普通に名前を言った時に違和感を覚えた。
ドクオに対して思わず言ってしまったとしても、その後のブーンに対しても言ったからね」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたが何に引っかかったのかは分かったけど、
テイがドクオとブーン、そしてあんたのことまで知っていた理由は?」

(´・ω・`)「そう。だから僕も、最初はただ単にドクオに会えたことが嬉しくて、
そういったことをすべて吹っ飛ばしてしまっただけかと思った。
一緒に修行していたら、三年になってからの先輩とイメージが重なったからね。
でもだからこそ、そこに、一つ仮定が頭に浮かんだんだ」

川 ゚ -゚)「どういうことだ?」

(´・ω・`)「ぼくの知っている流石先輩は、二人いる」

ξ゚⊿゚)ξ「は?」

川 ゚ -゚)「へ?」

( ^ω^)「お?」

('A`)!

( ´_ゝ`)!

(´<_` )「…」

六者六様の反応。
呆気にとられるもの、それぞれの思いを持って驚く者。
そして、あきらめた者。

.

611 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:31:43 ID:8BYwryE20

( ´_ゝ`)「な、何を言って」

(´<_` )「兄者、あきらめろ。そいつは全部わかってる」

( ´_ゝ`)「そ、そんなわけが!」

(´・ω・`)「僕が立てたのは、一つの仮説だけです。
それが真実かどうかなんてわかりません。
でも、それが真実ならば納得できるので、そうであろうと思っています」

(´<_` )「ああ。そうだな」

(;´_ゝ`)「い、いや」

(´<_` )「この世界でなら、ばれても良いだろう。兄者」

(;´_ゝ`)「……言って…みろ」

(´・ω・`)「三年生になってから、お二人は交代で学校に来ていたんじゃないですか?」

('A`)!

( ^ω^)!

ξ゚⊿゚)ξ!

川 ゚ -゚)!

(;´_ゝ`)「そ、そんなことが」

(´・ω・`)「ええ。普通ならできません。
出来るわけがない。それこそ入学時からやっていたのならともかく、
三年生になったタイミングからなんて、出来るわけない」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっとショボン、自分で言っておいて出来ないって…」

(´・ω・`)「普通なら、できやしない。
でも、もし自分の友達が交通事故にあって頭を打って意識不明で二週間くらい昏睡状態で、
やっと会えたと思ったけど、なんかちょっと雰囲気が違った。
それを想像した時に、ぼくはきっと『事故のせいでちょっと雰囲気変わったかな』と、
自分の中で納得すると思う」

川 ゚ -゚)「……事故…か……」

.

612 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:33:08 ID:8BYwryE20

(´・ω・`)「多少記憶の食い違いや忘れていたことがあっても、
『頭に衝撃を受けたんだよな』
と思って、心配こそすれ不審に思うことなんてないとも、思う。
もし双子の兄弟がいることを知っていたとしても、
まさか入れ替わっているなんて思わないだろうし、
双子の兄弟がいることを知らなければ、全く想像もしない自信があるよ」

(;´_ゝ`)「……」

('A`;)「せ、先輩、ショボンが言っていることは本当なんですか」

(;´_ゝ`)「……………」

(´<_` )「ああ、本当だよ。そいつの推理は当たってる」

(;´_ゝ`)「お、弟者!」

(´<_` )「約束だったよな。誰かに見破られたら、ちゃんと告白して謝るって。
兄者の友達は、みんな良いやつだから」

(;´_ゝ`)「弟者」

(´<_` )「三年生の一学期が始まって、二ヶ月と少し、おれがかわりに通った。
頭に包帯巻いて、まだちょっと記憶が曖昧なことにして。
一年と二年の時のクラスの集合写真の顔を全部覚えて、特徴的な思い出を教えてもらって。
最初はおっかなびっくりだったけど、一ヵ月が過ぎた頃には、楽しくなっていたな。
兄者の周りには、楽しくていいやつしかいなかったし、担任も教科担当も、良いやつばかりだった」

(´・ω・`)「………」

( ^ω^)「……」

(´<_` )「部活はやってなかったから下級生とのつながりは無かったけど、
ドクオはおれを見付けると楽しそうに寄ってきて話してくれたな。
時々はブーンも一緒に。
話を合わせるために『オレナイ!』を30巻読んだのは大変だったけど、
楽しかった…」

('A`)「先輩…」

.

613 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:34:05 ID:8BYwryE20

(´<_` )「毎日帰ると兄者に今日あったことを説明して、友達の写真を見せて、
過去の思い出を聞いたり、兄者が何を考え、今日おれが何を思ったのかを話し合った」

ξ゚⊿゚)ξ「…なにそれ……」

(´<_` )「楽しかったな。
中間テストが終わって、兄者がちゃんと復帰できるようになった時、
もう行けないんだと思ったら、悲しくなるくらいに。
でも、もともと出席日数が足りなくなるのをフォローする為だけだから、覚悟した」

(´・ω・`)

(´<_` )「そうしたら、兄者が言ったんだ。交代で学校に行こうって。
さぼり癖が付いたから、毎日学校行くの辛いって」

川 ゚ -゚)「…それは…」

(´<_` )「ああ。おれがさみしそうにしていたから、憐れんだんだろうな」

( ´_ゝ`)「弟者!それは違う!」

(´<_` )「違わない!いいんだ、兄者。
そこに関しては、感謝している」

( ´_ゝ`)「弟者…」

(´<_` )「でも、おれはそれにのった。
………楽しかったんだ。学校が、本当に」

川 ゚ -゚)「よくそんな生活が…。ご両親も知っているのか?」

(´<_` )「父者は転勤で飛行機の距離だ。母者は付いていった。妹者を連れて。
家はもともと父者の物だから、家賃とかは良いし。
姉者とおれが居れば、家事はどうにかなったからな。
姉者は、多分知ってる。黙認してた。だろ?兄者」

( ´_ゝ`)「…ああ」

沈黙が部屋を包む。
誰も何も言わず、アバターゆえの呼吸の音すら感じない世界が、ひどく冷淡に感じていた。

.

614 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:35:06 ID:8BYwryE20

('A`)「お、お二人は何で別行動をしていたんですか?」

それに耐えきれなくなったドクオが口を開く。
しかしそれは兄弟の間に張り詰めた空気を招いた。

(;´_ゝ`)「そ、それは…」

(´<_` )「……」

悲しそうな顔をする兄と、表情を凍らせる弟。

('A`)「え、あ、なんか…」

(´・ω・`)「ひとつ、お聞きしても良いですか?」

('A`)「ショボン…」

(´<_` )「…なんだ?」

思わずホッとしてしまうドクオ。
すがる様にショボンを見るが、なんとなく嫌な予感を感じた。

('A`)「お、おい、ショボン?」

(´・ω・`)「先輩の成績なら中間テストくらいまで休んでも挽回できたでしょうし、
卒業も出来たと思うんですが、学校に相談しましたか?」

(;´_ゝ`)「おい!止めろ!」

(´<_` )「!なん…だと?」

(´・ω・`)「ぼくは二年生の頃の先輩の成績しか知りませんが、
確か上位の方で何度かお名前を見た覚えがあります。
それにうちの学校はそれほど鬼ではないので、
事故で入院したというちゃんとした理由があれば、補習でどうにかなったはずです」

(;´_ゝ`)「お、おい!」

(´<_` )「……兄者…」

静かに自分を呼ぶ弟の声に戸惑う兄。

.

615 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:36:05 ID:8BYwryE20

(´<_` )「兄者…いまそいつが言ったことは本当か?」

(;´_ゝ`)「い、いや、それは…」

(´<_`#)「兄者!!」

その叫び声は、怒声であり、悲痛な嘆きの声だった。

(´・ω・`)「本当ですよ。うちの学校では、授業態度、出席日数、
成績等何かしらの問題のある生徒の名前は生徒会に連絡が来ます。
これは生徒側からのフォローが出来るようにと言う学校側の救済措置で、
実際に何人かの生徒の卒業までを生徒会や各委員会でフォローした実績があります。
もし先輩が三年に進級する時点で何かしらの問題があったとしたら、
こちらに連絡が来ていたはずですから」

川 ゚ -゚)「ショボン!」

(´・ω・`)「この世界で、そんなことを隠したままでいなくてもいいでしょ」

川 ゚ -゚)「それはそうかもしれないが…」

(´<_`#)「兄者!!!!!」

ショボンの説明を全部しっかりと聞いたのかは分からないが、弟の怒りは収まらない。

(;´_ゝ`)「お、弟者」

(´<_`#)「最初から、おれの事を憐れんでいたのか!バカにしていたのか!」

(;´_ゝ`)「ち、違う!」

(´<_`#)「そうだよな、昔から兄者は友達もいっぱいいて、そんなに勉強しなくても成績良くて、
一見ちゃらんぽらんなのにいざという時は父者も母者も姉者も妹者も兄者を頼る!」

(;´_ゝ`)「そ、そんなことは」

(´<_`#)「だからおれは、兄者が行くことにした日付高に行かないで、
更に偏差値の高い設楽葉高に行ったんだ!」

(;´_ゝ`)「おと…じゃ…」

.

616 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:37:02 ID:8BYwryE20

(´<_`#)「でもついていけなくなって、鬱になって…引きこもって…」

(;´_ゝ`)「……」

(´<_`#)「ずっと、ずっと、辛かった。兄者は、そんな俺を、やっぱりバカにしていたんだな」

(;´_ゝ`)「違う!」

(´<_`#)「違わない!ずっとバカにしていたん!憐れんでいたんだ!」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、あんた…」

(´<_`#)「部外者は黙ってろ!」

ξ;゚⊿゚)ξ!

(;´_ゝ`)「弟者、落ち着け」

(´<_`#)「そうやって兄貴面して、おれを上から見ていたんだろ」

(;´_ゝ`)「そんなことは」

(´<_`#)「じゃあ何故嘘を吐いた。おれの事をバカにしていたからだろ!」

(;´_ゝ`)「そんなことは」

(´<_`#)「ある!昔からずっとだ!ずっとお前はおれの事を!」

ξ#゚⊿゚)ξ「いい加減にしなさい!」

(´<_`#)「いい加減にするのはお前だ!このくそ女が!」

ξ;゚⊿゚)ξ!

('A`;)!

(#^ω^)!

川;゚ -゚)!

(´・ω・`)

(´<_`#)「殺されたくなきゃ黙ってろ!」

.

617 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:38:02 ID:8BYwryE20

明確な殺意を浴びせられて身をすくませるツン。
ブーンは怒りを隠そうともせずに彼女の前に立った。

(#´_ゝ`)「弟者!」

(´<_`#)「くそが!こんないつ死ぬかもわからないような世界に連れてきて、兄貴面かよ!」

(;´_ゝ`)「あ…」

(´<_`#)「何が一緒に別の世界を楽しもうだよ、
どうせここに連れてきたのだって、
自分のテリトリーの中でうまく生きることの出来ないおれを笑うつもりだったんだろ!」

(;´_ゝ`)「そんなこと!」

(´<_`#)「ざまあねえな!それで自分もこんな世界に囚われて!
ゲームの世界で死ぬんだ!みんな死ぬんだ!お前がおれをここに連れてきたせいで!
俺はこんなところで死ぬんだ!」

(;´_ゝ`)「弟者…」

(´<_`#)「お前のせいでこんなとこに来たんだ!
そしてこんなところで死ぬんだ!
殺されるんだ!!!」

川#゚ -゚)「ふざけるな!」

弟の怒りと苦しみの叫びを邪魔したのは、クーの声だった。

(´<_`#)「お前も黙って」

川#゚ -゚)「黙るのはお前だこの包茎野郎が!」

(´<_`;)「え」

(;´_ゝ`)「え」

それは我を忘れた憤怒の声であり、突き刺すような鋭さを持っていた。

川#゚ -゚)「この世界に来たことを他の誰かのせいにするな!チンカス野郎!」

.

618 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:38:58 ID:8BYwryE20

(´<_`;)「こ、ここに来たのは兄者が」

川#゚ -゚)「無理やりナーヴギアをかぶせられたのか!
頭でも殴られて意識をなくした時にかぶせられたか!
身体の自由を封じられて無理やりかぶせられたのか!」

(´<_`;)「そ、それは…」

川#゚ -゚)「被った後に起動の言葉を言ったのはお前じゃないのか!」

(´<_`;)「!」

川#゚ -゚)「『リンクスタート』と言ったのはお前の口だろう!」

(´<_`;)「で、でも…」

川#゚ -゚)「でももくそも無い!
面倒くさい接続テストも、キャリブレーションで自分のデータを入力したのも、
最初のアバターを設定したのも、
全部自分だ!他の誰かじゃない、全部自分だ!」

(´<_`;)「そ、それは……」

川#゚ -゚)「どの瞬間にだって来ることを止めることは出来たんだ!
でも私達はここにいる!
それは誰かに連れてこられたからじゃない!
自分で選んだんだ!
自分の意思でここに来たんだ!
自分が選んだからここにいるんだ!
今ここにいることを誰かのせいにするな!」

( <_  )「お、おれは…」

( ´_ゝ`)「もう許してやってくれ!」

突然土下座をする兄。

.

619 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:40:15 ID:8BYwryE20

( ´_ゝ`)「すまない。弟者はちょっと興奮しているんだ。だから」

川 ゚ -゚)「いつまでそうやって守るつもりだ」

矛先が兄に変わったため多少表情特徴は和らいだが、鋭さは変わらない。

( ´_ゝ`)「!」

川 ゚ -゚)「そうやって全部守ってやるから、こいつはおまえのせいにしているんじゃないのか」

( ´_ゝ`)「……だが、おれが誘ったのは事実だ」

川 ゚ -゚)「誘ったのはおまえでも、来ることを決めたのはそいつだ」

( ´_ゝ`)「…………許してやってくれ」

川#゚ -゚)「だから!」

ξ゚⊿゚)ξ「クー!」

川#゚ -゚)「ツン!おまえまで」

ξ゚⊿゚)ξ「言っても無駄よ!」

川#゚ -゚)「!」

ξ゚⊿゚)ξ「こいつらに、そんなことを言っても無駄よ」

川 ゚ -゚)「……」

ツンの言葉に息をのむクー。

ξ゚⊿゚)ξ「誰かのせいにして楽になったり、
自分のせいにして嘆いたり、
人のせいにしなきゃ立てなかったり、
全部一人で背負おうとして何も背負えなかったり」

その口調は穏やかだが、純粋に兄弟への憐れみを持っている。

そしてその穏やかさがクーの心に冷静さを取り戻させた。

ξ゚⊿゚)ξ「今を嘆くだけで何もしない、しようとすらしないグズに、何を言っても無駄よ」

川 ゚ -゚)「……そうだな」

.

620 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:41:20 ID:8BYwryE20

('A`;)

(;^ω^)

(´・ω・`)「…」

( <_ :)

(; _ゝ )

ツンは最後に自分らしい毒を吐いてから、汚物を見るように兄弟を見た。

クーは普段の冷静な自分を取り戻すと、興味を失ったように冷淡な表情をしている。

('A`;)「ま、まあ、おちついて」

(;^ω^)「そ、それがいいお。なんかお茶でも…」

('A`;)「先輩もいつまでも床に座ってないで、ソファーに座りましょう」

( ^ω^)「そうだお。そうだお。そうだ、お茶でものんで落ち着いて……」

すがる様にショボンを見たブーン。
しかし彼が出したのはお茶ではなく、更に兄弟を追い詰める言葉だった。

(´・ω・`)「それで、お二人はこれからどうするおつもりですか?」

( <_ :)!

(; _ゝ )!

('A`;)「しょ、ショボン」

(;^ω^)「今はそこまで」

何とか場の空気を穏やかにしようとするドクオとブーンの努力を、
真っ向から打ち崩したショボンの一言。

兄弟のは目に見えて動揺した。

( <_ :)「これ……」

(; _ゝ )「……から?」

.

621 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:42:48 ID:8BYwryE20

(´・ω・`)「何故二人が離れていたのか、まあ想像はできます。
どうせ最初は二人でいたのにたわいのないことで喧嘩して、
そのまま離れ離れにでもなったのでしょう。
先輩はともかく、弟さんが生きて残っていられたのは、
二人でいる間に先輩が自分の知識をしっかりと教えたからでしょうね」

( <_ :)!!

(´・ω・`)「一緒に岩を割ろうと努力している間、
時折披露される知識はドクオの持っている知識に近い『経験』を感じました。
でもどこか他人事のような話しぶりをされていて、そこも僕が違和感を感じた一つでした」

( <_ :)「…」

(´・ω・`)「フレンド登録からの場所確認も先輩はずっとしていた。
でも修行場所に入ると、その対応から外れてしまうため、ずっと心配されていたようですよ」

( <_ :)!

(´・ω・`)「最後に弟さんの位置を確認した層を中心に、ずっと探していたようです。
黒鉄宮の碑の名前を、数時間ごとに確認しにきながら」

(; _ゝ )「そ、そんなことまで」

(´・ω・`)「アルゴさん…情報屋さんからの報告なので、ソースはどこかわかりませんけど」

淡々と話していたショボンがほんのすこしだけ笑みを見せる。
だがそれは場を和やかにする力など持っておらず、
部屋の空気は冷たいままだ。

(´・ω・`)「この後、お二人はどうするつもりですか?
二人で行くのか、独りずつ生きるのか、ぼく達と共に来るのか…」

(;´_ゝ`)「できるのなら!弟者はお前達と一緒に!」

(´・ω・`)「この一週間、最初に間違えたのはぼく達だとはいえ、
それがばれた後にのほほんと一緒に来れるのなら」

(; _ゝ )「!」

( <_ :)「……五人とも…すまなかった。嘘をついて…」

.

622 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:44:10 ID:8BYwryE20

(´・ω・`)「何故二人が離れていたのか、まあ想像はできます。
どうせ最初は二人でいたのにたわいのないことで喧嘩して、
そのまま離れ離れにでもなったのでしょう。
先輩はともかく、弟さんが生きて残っていられたのは、
二人でいる間に先輩が自分の知識をしっかりと教えたからでしょうね」

( <_ :)!!

(´・ω・`)「一緒に岩を割ろうと努力している間、
時折披露される知識はドクオの持っている知識に近い『経験』を感じました。
でもどこか他人事のような話しぶりをされていて、そこも僕が違和感を感じた一つでした」

( <_ :)「…」

(´・ω・`)「フレンド登録からの場所確認も先輩はずっとしていた。
でも修行場所に入ると、その対応から外れてしまうため、ずっと心配されていたようですよ」

( <_ :)!

(´・ω・`)「最後に弟さんの位置を確認した層を中心に、ずっと探していたようです。
黒鉄宮の碑の名前を、数時間ごとに確認しにきながら」

(; _ゝ )「そ、そんなことまで」

(´・ω・`)「アルゴさん…情報屋さんからの報告なので、ソースはどこかわかりませんけど」

淡々と話していたショボンがほんのすこしだけ笑みを見せる。
だがそれは場を和やかにする力など持っておらず、
部屋の空気は冷たいままだ。

(´・ω・`)「この後、お二人はどうするつもりですか?
二人で行くのか、独りずつ生きるのか、ぼく達と共に来るのか…」

(;´_ゝ`)「できるのなら!弟者はお前達と一緒に!」

(´・ω・`)「この一週間、最初に間違えたのはぼく達だとはいえ、
それがばれた後にのほほんと一緒に来れるのなら」

(; _ゝ )「!」

( <_ :)「……五人とも…すまなかった。嘘をついて…」

.

623 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:45:41 ID:8BYwryE20

( <_ :)「なにが…真実だ…」

( ´_ゝ`)「弟者!」

( <_ :)「こんな虚構の世界で、嘘ばっかりの世界で、何が真実だ…」

( ´_ゝ`)「弟者……」

絞り出すような、心からの苦しみを口に出したような、かすれた声で呟く弟。

その言葉に対し言いたいことは全員があったが、その苦しそうな雰囲気から、
ちゃんと口にすることが出来たのは一人だけだった。

( ´_ゝ`)「弟者、はぐれる前も、似たようなことで喧嘩になったな」

( <_ :)「…」

( ´_ゝ`)「あの時は、ちゃんと考えを伝えることが出来なくてすまなかった。
でも今は、言える気がする。
弟者のことが心配で、探していたこの数日間、ずっと、思ってた」

( <_ :)「なんだよ」

( ´_ゝ`)「弟者は、これ以上何が欲しいんだ?必要なんだ?」

.

624 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:47:16 ID:8BYwryE20

( <_ :)?

( ´_ゝ`)「今おれの目の前には、弟者がいる。
弟者の心がある。
そして、悲しいことに、命もある。
確かに肉体は偽りの物だし、目に映るものも全て仮想世界。
偽りの世界、と言っても良いんだろうな。
けれど、心と命は本物だ。
俺の目の前にいるのは、本物の弟者だ。
そして、おれの心と命もここにある。
おれは、本物のお前の双子の兄だ。
まわりが全部偽物でも、これは本物だ。
おまえは、それ以外の何が欲しいんだ?
何が必要なんだ?
こんなにも明確な『本物』があるのに、おまえは何が更に必要なんだ?ほしいんだ?
それ以外の本物とやらに、おまえにとってどれだけの価値があるんだ?」

( <_ :)「で、でも二人しか本物は…」

( ´_ゝ`)「今、許すと言ってくれた四人も、
おれ達にこんな場所を用意してくれたこいつも、この世界にいる。
その心と、命と、思いは、本物だ。
この世界には偽物の世界でも、ここにいるおれ達は、本物なんだ」

( <_ :)「で、でも…」

( ´_ゝ`)「おれは、弟者におれの心と命をささげるつもりでいた。
たとえ死んでも、弟者だけは生き残らせると思っていた。
でも、違うんだな。それじゃダメなんだ。
二人で生き残って、みんなのところに帰って、そこで、ちゃんと謝る。
だからそれまでは、謝らない。
おれはおれだ。
流石克睦だ!
この世界では『Kei』だ!
お前の兄さんだ!
兄者だ!
おれは、おれらしくこの世界で生きる!」

( <_  )「兄者……」

.

625 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:48:07 ID:8BYwryE20

( ´_ゝ`)「弟者、一緒に頑張ろう。
生きて、生き抜いて、一緒に帰ろう。
帰ってから、殴られるから。
だから、それまでは、二人で貫こう。おれ達流石の人間として」

( <_  )「…兄者」

( ´_ゝ`)「弟者!」

沈黙。

二人とも何も話さない。

そして、弟者が口を開いた。

( <_  )「『流石の人間として』って、なんだ?」

( ´_ゝ`)「え?」

.

626 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:49:06 ID:8BYwryE20

( <_  )「初めて聞いた…。うちの家に…そんなの…あったか?」

( ´_ゝ`)「えっと……のり?」

( <_  )「ああ、……そうだな。あんたは…そういう人だ」

( ´_ゝ`)「いやでもほらさ、なんかカッコいいし」

( <_  )「目の前にいるのは、……兄者なんだな」

(;´_ゝ`)「え、えっと…」

ぎこちなくではあるが、兄弟が話しはじめたのを見て部屋を出ていこうとする五人。
途中でそれに気付いた兄が止めたが、
ショボンが明日の朝近くの店で一緒に朝食をとる約束をして、その晩は別行動とすることにした。

(´・ω・`)「これ、夕飯にどうぞ。サンドイッチと飲み物です」

ξ゚⊿゚)ξ「ゆっくり話すことね」

川 ゚ -゚)「そうだな。だが続きを話すのはマナー違反だから止めた方が良い」

( ^ω^)「ケイ先輩、テイ先輩、おやすみなさいだお」

('A`)「また明日、よろしくお願いします」

部屋を出る五人。
閉まるドアが、乾いた音を立てた。



.

627 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:50:53 ID:8BYwryE20

4.祈りの旅



深夜。
3層主街区。
現在の前線よりは下の層だが、主街区と言うことで人通りはそれなりにある。
しかし大きな街であればあまり使われない外への道もあるもので、
今、男は、そんな出入り口へと向かっていた。

そして簡素な木で出来た門の手前まで来て、足を止めた。

ゆっくりと、身体ごと振り返り、自分が歩いてきた先を見る。

(´<_` )「兄者、すまん」

(´・ω・`)「謝るくらいなら、戻ったらいかがですか?」

後ろから、つまり外の方から声をかけられた。

しかし彼はそれほど驚かずに、声のした方向に身体を向ける。

(´<_` )「…そうも、いかないさ」

(´・ω・`)「何故です?
先輩はあなたを心の底から心配していた。
そして、あなたも先輩に会いたかった。
あの町で会った時、あなたも先輩を、お兄さんを捜していたのでしょ?」

(´<_` )「お見通し…か」

(´・ω・`)「そんなような言葉を口走っていましたから、誰かを捜しているのかなと思っていました」

(´<_` )「ちゃんと聞こえてたのかよ」

(´・ω・`)「はい」

(´<_` )「…ならなぜ、連れて行った?」

.

628 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:53:22 ID:8BYwryE20

(´・ω・`)「違和感は感じましたが、あなたが先輩である可能性は高かった。
あの時には、双子の兄弟を想定できるほどの情報はありませんでしたから。
そしてあのままあなたを一人にしてはいけないような気がしたから。
ただそれだけです」

(´<_` )「おれ、あの時何か言ったか?」

(´・ω・`)「一人にしたらいけないと思ったのは、ただのカンですよ。
でも、まあ、それ以上に、ドクオが笑っていたのが嬉しかったからですね」

(´<_` )?

(´・ω・`)「今から言うのは極秘事項です。
一応この近辺に誰もいないのは確認しましたが、テイさんも他の人には話さないでください。
……ドクオはβテスターです。
それに参加出来たことを毎日本当に楽しそうに語っていた。
友達であるぼくらは、そのゲームに、『ソードアートオンライン』に興味を持ちました。
…彼は、ずっとそれを気にしています」

夜風が、二人の間を吹き抜けた。

(´・ω・`)「この世界に来て、あの広場でのあの告知の後からずっと、
心の底からの笑顔をドクオは見せてくれなかった。
でも、あなたに会えた時、『先輩』に会えた時、嬉しそうに笑っていた。
だからです。『先輩』に、そばにいてほしかったんですよ。僕は」

(´<_` )「おれを、利用したのか」

(´・ω・`)「はい」

(´<_`;)「あ…うん。そんな簡単に肯定されると思わなかった」

(´・ω・`)「?ぼくはあなたを『利用した』理由を話したつもりでしたけど」

(´<_`;)「ああ、うん。それは分かるけどさ」

.

629 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:54:24 ID:8BYwryE20

(´・ω・`)「?続けますね。
極端な話、もし『本当の先輩』がこの世界に居なかったら、
あなたには『先輩』で居続けてもらうつもりでした。
アルゴさんに情報収集を頼んだのも、それを確認するのが主だと言っても良い」

(´<_`#)「それは、どういうことだ?」

(´・ω・`)「ナーブギアは高額です。
ゲームのソフトも手に入れるのは困難だったはずです。
『先輩』の代わりにあなただけが来ている可能性もゼロではありません。
そして、たとえ『本当の先輩』もこの世界に来ていたとしても、今もこの世界にいるとは限らない」

(´<_`#)「……おい…」

(´・ω・`)「全て考えうる可能性の一つです」

ショボンを睨むテイ。
しかしショボンは気にすることなく言葉を続ける。

(´・ω・`)「この世界で、人を捜しながら……。
自分以外の誰かを一番に考えながら生き抜けるほど、
この世界は甘くない。
ぼくは、そう考えます。
『先輩』があなたの事を一番に考えながらも生き抜いてこられたのは、
ひとえにネットゲームの知識と、あなたを残して死ねないという使命感からだと、ぼくは思っています」

(´<_` )「おれは、一人で生きてきた」

(´・ω・`)「一人になってから、ほとんど戦闘はされていないでしょう?」

(´<_` )!

(´・ω・`)「ぼく達との戦闘、あなたの戦い方は『誰かと一緒に戦う』戦い方でした。
レベルや経験の違いから、調和はなかなか取れませんでしたが。
あ、これはドクオが気付いたことです。
もしかしたら、ソロの戦闘はほとんどしていなかったのではないか。
彼は気にしていました。
『先輩は、誰かと一緒にいたんじゃないか』って。
もともと『先輩』は誰かと一緒にやるというようなことを言っていたのを聞いていたそうなので、
多分その『誰か』と一緒にいたのではないかと。
そして今一人なのは、もしかしたら…と、心を痛めていました」

(´<_` )「……そうか」

(´・ω・`)「はい」

.

630 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:55:54 ID:8BYwryE20

じっと互いを見る二人。

(´<_` )「おれにそんな話をしたのは、何故だ?」

(´・ω・`)「分かりませんか?」

(´<_` )「……おまえは、嫌なやつだな」

(´・ω・`)「……」

(´<_` )「こちらはこれだけ本音を話した。
だからお前も本音を話せ…ってところか?」

(´・ω・`)「……」

何も言わないショボンの顔を見て、つまらなそうに少しだけ笑う。
そしてため息をついた後、口を開いた。

(´<_` )「……本当は、分かっているんだ。
兄者がいつもおれのことを考えてくれていたのを。
学校に行けなくなったおれを笑いもせず、けなしもせず、ただいつものように、
おれとして扱ってくれた。
家族でも、腫物の様に扱っていた中で、兄者だけは…。
救われていた。おれも兄者に対しては、おれでいられたから。
学校に行ってほしいって言われた時も、分かっていたんだ。
心の奥底では。そんなことしなくたって兄者は大丈夫だって。
でも、それによって兄者にカシを作れるかもしれないって、おれは心のどこかで思っていた。
心に溜まっていた、兄者に対する劣等感を、それによって解消できたんだろうな。
そして、学校生活は楽しくて、交代で行くなんてこともしてしまった…」

(´・ω・`)「…」

黙って聞いているショボン。
すでにその存在を気にすることなく、独り言のようにしゃべり続ける。

.

631 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:57:18 ID:8BYwryE20

(´<_` )「でも、学校でのおれはおれじゃない。兄者だ。
その事に目を向けない様にしながら、卒業の影が目の前をちらついたとき、
このゲームを知り、兄者と一緒に始めることにした。
一台は買ってあったから、あとは貯金とバイトして、金溜めて。
ソフトを買うために徹夜で並んで。
おれではないおれになるために。
…流石悌悟ではない、『おれ』として生きてみたくて、この世界に来た。
確かに兄者に誘われたが、ここに来たのは、おれの意思だ。
おれが、来たかったんだ!」

言葉に熱がこもり、最後には吐き捨てるように叫んだ。

(´<_` )「そうだ、おれが来たかったんだ!
自分の意思できた、自分のために来た、自分を変えたくて、やり直したくて来たんだ!
おれがおれとして、おれではないおれとして、本当のおれのまま、生きるために!」

呼吸が荒くなる。
胸を抑え、吐き出す。

( <_  )「正確には、兄者の方がおれに付き合ってきたんだ。
なのにこの状況になった時、兄者はおれに謝った。
『おれのせいだ』って。
おれはその時、何も言えなかった。
そしてその言葉に甘えた。
兄者をなじって、兄者のせいにして、兄者に甘えたんだ。
ほんとうは、おれのせいなのに。
兄者から逃げ出したのも、怖かったんだ。
ずっと兄者に甘えてしまいそうで。
知っていた。学校のことだって。
入れ替わりなんて、うまくいくはずがないんだ。
……兄者の友達たちが、協力していてくれたんだ。
何も知らないふりをして、フォローしていてくれた。
おれは……知っていて……」

(´・ω・`)「………」

.

632 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:58:23 ID:8BYwryE20

( <_  )「おれは、甘えていた。
分かっていた。甘えていたことくらい。
だから、離れた。
でも、一人でいるのはもっと怖かった。
夜になると、毎日震えた。
会えなくても、その姿を見たかった…。
そんな時だ、お前たちに会ったのは。
久し振りだった。震えないで眠ることが出来たのは。
…そういう意味では、おれもお前達を利用していた…。
でも、どんどん怖くなった。
お前たちに嘘をついているのが。それがばれたらどうなるのかと。
だから、おまえが全部知っていると言った時、ホッとした。
知っているのに、黙っているお前を、おれはおれの中で、勝手に共犯者にしていた。
少しだけ、落ち着くことが出来た……」

強張っていた表情が、少しだけ緩む。

(´<_` )「おまえが全てを話すつもりだと聞いたとき、怖いと思った。
でも同じくらい、ホッとした。
おまえによって、おれの罪を裁いてくれるのが、確定したから。
いつ言わるか分からない恐怖はあった。
でも、決断をお前に押し付けることが出来た。だから……」

そこで言葉を切る。
そして、再び顔を強張らせてショボンの顔を見た。

(´・ω・`)「……」

(´<_` )「おまえ、もしかしてそれすらも分かっていたのか」

それは疑問でも質問でもない、確認の言葉。
テイの心の中では、確定の事実。

(´<_` )「そうか……。
完全に、手の中で踊らされていたんだな」

(´・ω・`)「そんなつもりはありません。
ぼくも利用させてもらっていたのですから」

ほんの少しだけ笑顔を見せるテイ。

.

633 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 00:59:27 ID:8BYwryE20

(´<_` )「それでも、おれには安らぎだったよ」

(´・ω・`)「それなら、良かったです」

(´<_` )「なあ、…こんなおれが、これからも兄者と一緒にいても良いと思うか?」

笑顔で、吐き捨てるように問いかける。

(´<_` )「お前なら、おれの心も、兄者の心も、」

(´・ω・`)「しらんがな」

(´<_` )「……え?」

(´・ω・`)「そんなこと知らないって言っているんです」

(´<_`;)「え?え?この流れで?なんかないの?」

(´・ω・`)「ぼくは、友達を守りたいだけです。
友達と、一緒に元の世界に帰りたいだけです。
攻略なんて怖くてできないけど、せめて誰かがこの世界を壊してくれるまで、
友達と一緒に生き続けたいだけです。
先輩とはいえ、二人の心とかどうすればいいのかなんて、分かりません。
そして、分かるつもりもないです」

(´<_`;)「え?え?」

(´・ω・`)「言っときますけど、ぼくだってあなたに騙されていたんですからね。
利用したのは悪いと思いますけど、あなたに対する責任なんてありませんから」

(´<_`;)「あ…うん……そうだよね…」

(´・ω・`)「だから、そんなことは、後ろにいるその人ともっといっぱい話し合ってください」

(´<_` )!

慌てて振り返るテイ。

そこには、彼の兄が立っていた。

.

634 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:00:48 ID:8BYwryE20

(´<_`;)「いつ…から?」

(;´_ゝ`)「えっと…アルゴさん経由でそいつから連絡貰ってて…」

(´・ω・`)「ドクオがそうであることを話したあたりからいらっしゃいましたよね」

(´<_`;)「それってほぼ最初から」

思わず両膝を地面につけて項垂れるテイ。

ケイはそれを見ておろおろとする。

(;´_ゝ`)「す、すまん弟者。
こちらから言うかばれるまでは声をかけるな気配を消せって言われてて」

(´<_`;)「何故いう事を素直に聞く」

(;´_ゝ`)「お前の本心が聞けるかもって言われて」

兄であるケイの言葉で、大きなため息を吐くテイ。

(´・ω・`)「じゃ、そういう事で。後は二人でやってください」

( ´_ゝ`)「え?」

(´<_` )「え?」

涼しい顔で何事も無かったかのように宿に向かって歩き始めるショボン。
それを呆然とみる兄弟。

(´・ω・`)「ぼくが出来るのはここまでです。
テイさんを利用させていただいた代償として、先輩に引き合わせ、その本音を吐露させた。
先輩は実際にこちらにいることを確認させていただいて、探していた弟さんと引き合わせた。
名前は確認させていただいたので、黒鉄宮で確認もさせていただけるようになりましたし。
後はお二人でどうするのか決めてください」

(´<_`;)「あ、そう…」

( ´_ゝ`)「あーうん。そういえば、お前ってそういうやつだ」

.

635 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:02:29 ID:8BYwryE20

(´<_`;)「え?そうなの?」

( ´_ゝ`)「二年の文化祭で、こいつ一年から副会長とかやってたんだけどさ、
おれがコスプレしてて教師に捕まった時に
『こういう人がいた方が、一部では盛り上がりますし、
引く人にはバカなことをしない様に抑制になりますよ。
この人以上に問題行動をする人にも、
この人と同一視されるって言えば止めると思いますし』
って言ってたのを思い出した」

(´<_`;)「まじか…」

(´・ω・`)「でも、そのおかげであの格好で三日間楽しめたでしょ」

( ´_ゝ`)「あーうん。それに関しては感謝してる。
あの教師のおれを見る憐れんだ眼も忘れられないけど」

(´・ω・`)「じゃ、そういうことで」

二人の視線を事も無げに受け流し、二人の横を通り過ぎようとするショボン。
しかし通り過ぎると、すぐに立ち止まった。

.

636 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:03:47 ID:8BYwryE20

(´<_` )?

( ´_ゝ`)?

(´・ω・`)「テイさん、ぼくはあなたを利用した。
それは紛れもない事実であり、弁解の余地はありません。
でも、これは信じてください。
スキルを手にする修行の日々も、一つのパーティーとしてダンジョンを歩いたのも、
楽しかったです。
きっと、他の四人も。
僕達五人のスキル、戦い方、それを見せることが出来たのは、
プレイヤー『Tei』を信用したからです」

(´<_` )!

(´・ω・`)「そして先輩、お会いできてよかった。
ドクオからいるかもしれないと聞いてから、いるのならばお会いしたかった。
出来るなら、パーティーになれればと思っていました。
あの文化祭の時、大人し目だった学校の雰囲気を一掃して楽しい雰囲気にしてくれたのは、
先輩たちでした。
外していいギリギリのラインまで羽目を外していた先輩は、学校のムードメーカーだった」

( ´_ゝ`)!

(´・ω・`)「出来ることなら、最初から二人同時にお会いしたかったです」

(´<_` )「……」

( ´_ゝ`)「……」

(´・ω・`)「それでは、おやすみなさい」

再び歩き始めるショボン。

すると建物の陰からドクオが現れ、二人に向かって一回お辞儀をした後、
ショボンにならんで宿へと戻っていった。

.

637 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:04:47 ID:8BYwryE20

(´<_` )「おれがこの道を選んだのを、ドクオが監視していたんだな。
だからショボンは先回りした。多分他の三人も準備していたんだろう」

( ´_ゝ`)「…完全にやられたな。弟者」

(´<_` )「…ああ。くやしいが、完敗だ」

( ´_ゝ`)「リベンジしたいな」

(´<_` )「……兄者じゃ無理だろ」

( ´_ゝ`)「え?そう?」

(´<_` )「おれでも無理だ。でも……」

( ´_ゝ`)「?」

(´<_` )「二人でなら、出来るかもな」

( ´_ゝ`)!

(´<_` )「ショボンを、あいつらをひと泡吹かせてやろう」

(*´_ゝ`)「あ、ああ!そうだな!」

空には白い明りが差し込み始め、夜が終わろうとしている。

兄弟が、お互いを見て、笑顔を見せた。



.

638 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:06:09 ID:8BYwryE20

5.夢の明日に



2023年3月某日。

フィールドダンジョンを攻略し、町へと戻ってきた六人。
 _
( ゚∀゚)「今日も快勝だな!」

('A`)「スイッチのタイミングがずれてたぞー」
 _
(;゚∀゚)「あー。ワーウルフ」

ξ゚⊿゚)ξ「ドレイクもよ」
 _
(;゚∀゚)「あれは、ほら、な」

( ^ω^)「ちょっとはやいんだおねー」

川 ゚ -゚)「前に出過ぎるんだな」

(´・ω・`)「フォーメーションとか、見直さないとかな」
 _
(;゚∀゚)「え?おれお払い箱?」

('A`)「両手剣でおれ達の中では一番一発の攻撃力が高いから、
今まで通り俺らが作った隙に大きな一撃を与えるポジションでいてほしいところだけど」

川 ゚ -゚)「タイミングがずれると結局防御に回るからな。
先制攻撃、行ってみるか?」

ξ゚⊿゚)ξ「ショボンとの連携が取れればそれが良いかもね」

( ^ω^)「ぼくとドクオなら多少反応が遅れてもスピードでカバーできるけど、
ジョルジュの場合はタイミングがずれると修正がききにくいおね」
 _
( ゚∀゚)「おれのいけんはどうしたー」

.

639 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:08:23 ID:8BYwryE20

(´・ω・`)「先ずは練習。あと、もう一人くらい重攻撃が出来るとまた違うけど…」

今日の戦いの反省を続ける六人だったが、ショボンの言葉で五人の口が止まった
 _
( ゚∀゚)「どうした?」

(´・ω・`)「いや、…前に話したよね。一時期パーティーにいた斧使いの事」
 _
( ゚∀゚)「ああ、例のスキルを取る時に一緒だったって」

(´・ω・`)「そうそう」

ξ゚⊿゚)ξ「そろそろジョルジュも取りに行かないとね」
 _
( ゚∀゚)「あ、やべ」

川 ゚ -゚)「必須だからな」
 _
( ゚∀゚)「話に聞く限りじゃ、めんどくさそうなんだよな」

ξ゚⊿゚)ξ「仲間になった以上、あの屈辱は必ず味あわせる」

('A`;)「ツン…」

(;^ω^)「ツン…」

(;´・ω・`)「ツン…」

川 ゚ -゚)「ツン…。お前よりひどい髭はなかなかないと思うが」

ξ#゚⊿゚)ξ「うるさい」

(´・ω・`)「まあ、有用性の高いスキルだから、取っておいてほしいけど」

ξ゚⊿゚)ξ「必須で」

(;´・ω・`)「…うん。そうだね」

わいわいと喋りながら歩く六人。
最前線の一つ下の主街区と言うこともあり、人通りはそれなりに多い。
人気のあるレストランもあるため、目当ての者も多いだろう。

.

640 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:09:27 ID:8BYwryE20

六人も、今日はそのレストランに向かっていた。

(´・ω・`)「あの味の秘密がねー」

川 ゚ -゚)「はやく謎を解くんだショボン」

ξ゚⊿゚)ξ「クーはあのスープ大好きよね」

川 ゚ -゚)「だが高い」

( ^ω^)「だおねー」
 _
( ゚∀゚)「おれはオルドバードのフライが好きだな」

('A`)「ああ、あれはうまい。コスパも手頃だし」

(´・ω・`)「もしかすると、まだ手に入らないアイテムなのかなー」

大通りを歩く五人。
その前方、人ごみがあった。
 _
( ゚∀゚)「なんか騒がしいな」

川 ゚ -゚)「邪魔だな」

( ^ω^)「道の真ん中に何かあるのかお?」

('A`)「っていうより、両側を避けて歩いているような」

それは何かに対して集まっているのではなく、
道の両側を歩くことを避けたプレイヤーが道の中央に寄ってしまったために
起きた混雑だった。

徐々にその人ごみに近付く六人。

.

641 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:10:54 ID:8BYwryE20

「なにあれ…」
「プレイヤー?」
「原住民的な…イベントじゃないよな?」
「カーソルはプレイヤーだけど」

耳に入る声に、両側を見る六人。

('A`;)
(;^ω^)
ξ;゚⊿゚)ξ
川;゚ -゚)
(;´・ω・`)
 _
( ゚∀゚)「どうしたんだみんな?」

ξ;゚⊿゚)ξ「しっ黙って。通り過ぎるわよ」

('A`;)ア…

(;^ω^)「ドクオ、ドクオ」

('A`;)オレニフルナ…

(;^ω^)「だおねー」

川;゚ -゚)「君子危うきに近寄らずだ」

(;´・ω・`)「嫌な予感しかしないとか、久しぶりだよ」
 _
( ゚∀゚)?

縦一列になって道の真ん中を進む六人。
俯いて、足早に、迅速に、通り抜けようとしたその時だった。

.

642 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:12:35 ID:8BYwryE20

(*´_ゝ`)「華麗なるお前たちの美貌の先輩!
きらめきのハンマー使い兄者!ここに推参!」

(´<_`;)「た、頼れる知識…の…厳格なるせん…ぱい…。
轟雷の斧使い…弟者。ここに参上…」

(*´_ゝ`)「われら!」

(´<_`;)「ぶ、VIP…の…」

(*´_ゝ`)「新しき力!」(´<_`;)

両サイドから聞こえるたわごとから逃げるように、
歩いてはいるが走る様なスピードになる五人。
 _
( ゚∀゚)「え?今VIPって」

ξ゚⊿゚)ξ「バカジョルジュ!さっさとくる!」

川 ゚ -゚)「おいていくぞ!」
 _
( ゚∀゚)「え、でもいいのか?知り合いじゃ」

ξ゚⊿゚)ξ「知らない人よ」

川 ゚ -゚)「ああ。全く知らない」

両サイドの二人は、鏡の様に対照的なポーズを取っていた。
両手を上げ、腰をひねり、片足を少し上げた特徴的なポーズ。

そして上半身は黒のハーネス。
それは銀のリングを黒の皮でつないだもので、上半身の80%は露出している。
下半身はローライズで股下を極限まで短くした黒の短パン。
ひざ下までの光沢のある黒いブーツ。
兄は右手、弟は左手に黒い手袋もしている。

('A`)ウツダシノウ

(;^ω^)「ダメだおドクオ!早く歩くんだお!」

(;´・ω・`)「あんな服をどこで手に入れたのあの人達」

.

643名も無きAAのようです:2014/08/30(土) 01:13:45 ID:oPDjpCC60
完全にサブリガです。本当にありがとうございました

644 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:17:08 ID:8BYwryE20

(*´_ゝ`)「待ってよー。ショボーン」

すり抜けようとする五人。
その背中に追い打ちをかけられるように呼ばれる名前。

(;´・ω・`)「え!?」

(´<_`;)「ど、ドークーオー。……ゴメン」

('A`)ヒーーーーーーーーー

(*´_ゝ`)「ツーンちゃーん」

ξ#゚⊿゚)ξ「クー!殺していいよね!」

(´<_`;)「ぶ、ブーンくーん……スマン」

(;^ω^)「おーーーーおーーー  −--」

(*´_ゝ`)「クーにゃーん」

川#゚ -゚)「許す!っていうか私も殺る!」

(´<_`;)「じょ、ジョルジュ?くーん……ゴメンナサイ」
 _
(;゚∀゚)「何あの人達?だれ?え?知り合い?」

(;´・ω・`)「と、とにかくあっちの路地へ!」

下を向いて一直線に歩く六人と、くねくねと変な動きをしながら後を追う二人。

ξ#゚⊿゚)ξ「決闘よ!」
川#゚ -゚)「圏外に連れ出して殺る!」

(;^ω^)「二人とも落ち着いて!まずはこっちに!」

('A`)ウツダシノウ……
 _
(;゚∀゚)「え?なんで?なにごと?」

(;^ω^)「そ、そっちの二人も前向いて!」

.

645 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:19:29 ID:8BYwryE20

(;´・ω・`)「アルゴさんから先輩がぼくたちの情報を買ったっていう情報は買ったけど、
こ、こんなテロにあうなんて」

路地に駆け込んだ六人。
建物の陰で呼吸を整えている。

ξ#゚⊿゚)ξ「あのバカ二人!」

川#゚ -゚)「ドクオ!ブーン!どうにかしてこい!」

('A`)オトウトサンモセンパイダッタヤッパリキョウダイダ

(;^ω^)「僕に言われても」

(;´・ω・`)「とにかく逃げよう、一度転移門まで」
 _
(;゚∀゚)「ゲッ。お、おい」

ジョルジュの声で、自分達の来たほうを向く五人。

(*´_ゝ`)「みーつーけーたー」

両手を空に向け、腰を振り、くねくねと寄ってくる。

ξ;゚⊿゚)ξ「い、い、い、い、嫌―――――!」

普通の女性ならここで逃げ出すところだが、ツンは違った。

腰に携えた細剣を取り、構えた瞬間駆け出す。

ξ#゚⊿゚)ξ「成敗!」

(;^ω^)「落ち着いて!」

瞬時に出せる初期の剣技を放とうとした瞬間、目の前にブーンが現れその身体を止める。

ξ#゚⊿゚)ξ「どいてブーン!そいつ殺せない!」

(;^ω^)「殺しちゃだめだお!」

.

646 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:21:38 ID:8BYwryE20

(*´_ゝ`)「圏内だから殺せないぞー」

ツンを抱きかかえたまま必死に止めるブーン。

(;^ω^)「先輩も挑発しちゃだめだお!」

川#゚ -゚)「ならば私が!」

ブーンとツンの横をすり抜けようとしたクー。

既に手に持った槍は青く光っていたが、後ろからショボンが羽交い絞めにした。

(;´・ω・`)「く、クーも落ち着いて」

川#゚ -゚)「あのような姿をした者達に往来で名前を呼ばれて落ち着いていられるか!」

(;´・ω・`)「それはぼくもそう思うけど!とりあえず武器はダメだから!」

狭い路地の中央で塊のようになる四人。
 _
( ゚∀゚)「えっと……なあドクオ、これ、どうしたらいいんだ?」

('A`)センパイハセンパイデヤッパリセンパイダッタカワラナイッテスバラシイナア
 _
(;゚∀゚)「なんかこっちもダメか。
え?じゃあ俺が収拾つけなきゃいけないの?」

(´<_`;)「なんか…スマン」
 _
(;゚∀゚)「うを!変態二号」

逆側から回ってきたもう一人が、すまなさそうに首を垂れつつ近寄ってきた。

(´<_`;)「いや変態じゃ……変態…だよなあ……この格好」
 _
( ゚∀゚)「お!こっちは話が通じ……」

.

647 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:22:25 ID:8BYwryE20

( <_ ;)「だからおれは反対したんだ。
だけど兄者が一泡吹かすならインパクトが大事だと言いだして。
それなら前にゲットしたこの防具が…とか、
前に店で見た下着が…とか、
そういえばあんなブーツも…とか言い出して、
そしたらやっぱり名乗りもしなきゃだよなとか言い出してきて、
おれはいやだって言ったのにインパクト勝負とか言い続けて、
そしたらなんかおれもそうなのかなとか思うわけで、
だから……」
 _
(;゚∀゚)「なんかこいつもダメだったー!」

(*´_ゝ`)「ツーン―ちゃーん。クーうーにゃーん。あーそーぼー」

ξ#゚⊿゚)ξ
 「殺す!」
川#゚ -゚)「

(;^ω^)
 「ダメ―!!!」
(;´・ω・`)

結局全員が落ち着いたのは、たっぷり三十分後だった。



.

648 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:24:45 ID:8BYwryE20



(*)´_ゝ`)「殴られた」

(´<_` )「それで済んでよしと思え」

(*)´_ゝ`)「圏内なのに…」

兄弟を着替えさせ、街外れの丘まで連れてきた六人。
ツンとクーはまだ少しあらぶっているが、なんとか周りが抑えている。

(*)´_ゝ`)「一緒にやったのになんで弟者は殴られなかったんだ?」

(´<_` )「殴られる前に必死に謝ったからな」

(*)´_ゝ`)「弟者ばっかりずるい―。ひいきだ―」

ξ#゚⊿゚)ξ「まだ、」
川#゚ -゚)「足りないのか?」

(*)´_ゝ`)「ごめんなさい」

(´<_`;)「もうしません」

(;^ω^)「と、とりあえず話を聞いて」
 _
(;゚∀゚)「ああ、それが良いな」

正座をしている二人を囲む様に立つ六人。
クーを抑えるのはジョルジュが変わり、ショボンが二人の正面に立っている。

(;´・ω・`)「えっと…、なんでこんなことを」

(*)´_ゝ`)「一泡吹かせようと思って」

(;´・ω・`)「その為だけに!?」

(*)´_ゝ`)「うん」

('A`)センパイハセンパイダナア

.

649 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:25:42 ID:8BYwryE20

(;´・ω・`)「はあ……」

ショボンの口からこぼれたため息。

(;´・ω・`)「先輩はともかく、テイさんまで…」

(´<_`;)「止められなくてスマン」

(;´・ω・`)「というか、一緒にやってましたよね。
なんか他人事みたいな空気を醸し出してますけど」

(´<_`;)「…実はちょっと楽しかった」

(*)´_ゝ`)「さすが弟者。我が弟」

にやにやと笑うケイ。
それに答えてはにかむように笑うテイ。

それを見て、全員が同じタイミングでため息をついた。

「はあ……」

(´・ω・`)「まったく……。とにかく、もうこんなことは止めてくださいね」

( ´_ゝ`)「はーい」

(´<_` )「もちろん」

ショボンの強めの言葉に素直にうなずく二人。
大きなため息を一度つくことによって少し落ち着いた残りの五人も、
なんとか気持ちを切り替えた。

ξ゚⊿゚)ξ「次は」

川 ゚ -゚)「ありませんから」

( ´_ゝ`)「はーい」

( ^ω^)「ものすごく」
 _
( ゚∀゚)「いやな予感がする返事の仕方だ」

('A`)コノヘンジノシカタッテコトハワカッテナイヨネセンパイ

( ´_ゝ`)「えー。そんなことないのにー」

.

650 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:27:02 ID:8BYwryE20

感情のこもっていない棒読みのセリフを言いながら、
隣にいる弟の顔をちらっと見る兄。

それを受けて、口を開く弟。

(´<_` )「こ、こりゃあ、おれがとめてもだめだなあ」

(´・ω・`)「テイさん?」

(´<_` )「おれだけじゃ、とめられないかもしれん。
だ、だから、その…。
なんだ…、ほら……。
お、おれたちを…その……身近で監視したほうが、良いんじゃないか?」

ξ゚⊿゚)ξ?

川 ゚ -゚)?
 _
( ゚∀゚)?

( ^ω^)?

('A`)?……!

(´・ω・`)

(´<_` )「だ、だからその…おれ達を…お前たちのギルドに、入れてほしい」

ξ゚⊿゚)ξ!

川 ゚ -゚)!
 _
( ゚∀゚)!

( ^ω^)!

('A`)

(´・ω・`)

(´<_` )「だ、だめか?」

.

651 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:28:19 ID:8BYwryE20

絞り出したようなテイの声。
しかし誰も反応しない。
正確には兄弟以外はショボンをチラチラと見ている状態なのだが、
兄弟はショボンの顔を見るので精一杯だった。

( <_  )「……ダメ…だよな…。そりゃ…」

(;´_ゝ`)「た、ただでとは言わんぞ!この一カ月おれ達は鍛冶屋を頑張ったんだ!
おれ達を仲間にすれば、メンテナンスもタダだし新しい武器と防具は使い放題だ!」

自分のウインドウを出して武器を実体化させる兄。

それぞれの武器をそれぞれに向けて放り投げる。

(;´_ゝ`)「弟者が知っている戦い方と、アルゴから買った情報を基に作り上げた武器だ!
多分今使っている奴より数段強くなれる!…と、おもう……。
お得だろ!な!
だから…その……」

沈黙。

静寂が、八人を包む。

何も言葉をかけないショボンに、首を垂れる兄弟。

(´・ω・`)「ほんと、斜め上の事をしますよね」

やっともらえた言葉の真意がつかめず、顔を上げる兄弟。
周りを見れば、ショボン以外の全員はにやにやと笑っている。

(´・ω・`)「こんなことしなくたって、ずっと待っていたんですよ」

(*´_ゝ`)!

(´<_`*)!

(´・ω・`)「やっと来たかと思ったら、こんなことして…」

(;´_ゝ`)「あ…」

(´<_`;)「…うん」

(´・ω・`)「はい、これ」

.

652 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:31:18 ID:8BYwryE20

ショボンがウインドウを出して操作すると、テイの目の前にウインドウが浮かぶ。

【Shobonさんからギルドに誘われています】
【YES】   【NO】

(´<_` )「あ、あ、ありがとう!」

YESのボタンを押すテイ。

(*´_ゝ`)

(´・ω・`)「じゃあご飯にでも行きましょうか」

( ´_ゝ`)「え?おれは?」

(´・ω・`)「え?先輩も入るんですか?」

( ´_ゝ`)「ちょちょちょちょちょちょ」

(´・ω・`)「確か前に『弟者だけでも』とか言ってらしたかと」

( ´_ゝ`)「え、あれ?いや言ったような気もするけど」

(´・ω・`)「ですよね」

(;´_ゝ`)「いやいやいやいやいやいやいやいや」

(´・ω・`)「冗談ですよ」

ケイの目の前に浮かぶウインドウ。
慌ててYESのボタンを押す。

.

653 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:32:19 ID:8BYwryE20

( ´_ゝ`)「鬼め…」

(´<_` )「結局負けだなおれ達の」

( ´_ゝ`)「この後輩め…。ふんだ。年上の余裕で許してやろう」

(´・ω・`)「ギルマスは除籍も出来るんですよね」

( ´_ゝ`)「ごめんなさい」

(´<_` )「すまんな、こんな兄で」

(´・ω・`)「大丈夫です。知ってますから」

ショボンが手を差し出し、テイがそれを掴んで立ち上がる。
ケイの前にはうれし涙を浮かべたドクオが立つ。

('A`)「先輩…」

( ´_ゝ`)「悪かったな。心配かけたみたいで」

('A`)「先輩と一緒に戦えて、嬉しいです」

立ち上がる兄者。

(´・ω・`)「さて、武器とか防具はまた後にして、まずはご飯に行こう!」

「おー!!!!」

それぞれに準備を整えて歩き出す八人。

( ´_ゝ`)「あ、これからおれの事は『兄者』と呼んでくれ」

(´<_` )「おれは『弟者』だ」

( ´_ゝ`)「敬語とかもいらないからなー」

ξ゚⊿゚)ξ「自分に対して使われると思っているところがムカつくわね」

( ´_ゝ`)「一応先輩だぞー」

.

654 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:33:18 ID:8BYwryE20

川 ゚ -゚)「ギルドの先輩で、レベルも戦闘経験も私達の方が上じゃないか?」

( ´_ゝ`)「MMORPGの経験…」

( ^ω^)「こっちにはドクオがいるお」

( ´_ゝ`)「………」

(´<_` )「兄者、兄者の負けだ。諦めろ」

( ;_ゝ;)「弟者―」

(´<_` )「泣くな抱きつくな!気持ち悪い!」
 _
( ゚∀゚)「また騒がしくなるな」

('A`)「ギルドにもなったし、本格的になってきたな」

思い思いにしゃべりながら歩いていくギルドVIPの面々。

(´・ω・`)「…鍛冶屋、料理とアイテム鑑定。薬の調合と服の製作…」



それはギルドVIPが生産者ギルドと呼ばれるようになる、一つの節目の出来事だった。







.

655名も無きAAのようです:2014/08/30(土) 01:36:03 ID:twdmxM0k0
乙乙

656 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:49:10 ID:8BYwryE20
以上、第十四話でした。

支援、ありがとうございます。

また、十三話の感想もありがとうございました。

そしてイケメンの剣技に酔わせていただきました。
いつもありがとうございます。

次はどの話になるかまだ未定ですが、
終わりに向かって書いていけたらいいなと思っております。

ではではまた。

657 ◆dKWWLKB7io:2014/08/30(土) 01:51:17 ID:8BYwryE20
一応年表も置いておきます。

2022年
11月
≪11月6日SAO(ソードアートオンライン)サービス開始≫
12月
2023年
01月
02月ジョルジュ「五話 ここでも雨は冷たいから」
03月流石兄弟「十四話 双頭の鷲の旗の下に」
04月フサギコ「九話 君への手紙」
05月モナー・ビーグル「三話 それから」
06月クックル「四話 緑の手」
07月
08月
09月モララー「十三話 ダイヤモンドだね」
10月
11月
12月ギコ・しぃ「一話 ギルド「V.I.P.」へようこそ」「二話 聖なる夜のキャロル」
2024年
01月「六話・七話 数え歌がきこえる」
02月「八話 それぞれのチカラ」
03月
04月「十話 迷走」「十一話 疾走」「十二話 錯走」

.

658名も無きAAのようです:2014/08/30(土) 01:54:40 ID:BRpDARkk0
乙です
これで追加メンバー全員だっけ?
ハインドクオ気になるー

659名も無きAAのようです:2014/08/30(土) 05:54:27 ID:aR.fSiM60
5人はわかってたけど兄弟もリアル勢だったのかー

660名も無きAAのようです:2014/08/30(土) 09:02:02 ID:oPDjpCC60

弟者は意外なキャラだった

661名も無きAAのようです:2014/08/30(土) 10:44:49 ID:SOGzsDQI0
モララーの時にブーンが言ってた「ある人」は兄者の事だったのか・・・

662名も無きAAのようです:2014/08/30(土) 15:44:17 ID:BbD0DPAk0

今後も期待してる

663名も無きAAのようです:2014/09/03(水) 04:37:38 ID:6N9q5HGg0
今まで兄者の扱いひでぇなと思ってたけどこんだけ変人なら仕方ねーか…
今回も面白かった。乙!

664名も無きAAのようです:2014/09/03(水) 10:06:27 ID:uOOt8HsU0
まぁ兄者だし変人ロリコンはデフォでしょ

665名も無きAAのようです:2014/09/08(月) 00:13:58 ID:rW8BQogk0
双頭のryってワーグナーの行進曲だよな確か
次は本編進むのかドクオとハインとの絡みか

666名も無きAAのようです:2014/09/08(月) 00:24:31 ID:g6Rh/84.0
やっとこの前読みはじめて追いついたー
流石兄弟の話おもしろかったです


667名も無きAAのようです:2014/09/19(金) 16:23:45 ID:8rh6U5NI0
ツンが弟者に怒る心理描写とか凄いと良かった。
ツンも一度通ったところなのね

668名も無きAAのようです:2014/10/12(日) 12:08:37 ID:KL2CtirI0
やはり何回読み直しても面白い

669名も無きAAのようです:2014/10/25(土) 19:49:00 ID:glwsS5s20
全部読み返しておもったんだけど
ブーンって心意システムに近いことやってるよね

670名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 00:27:09 ID:t4juxNHc0
どこに上書き要素があんだ?原作でAGI極型の描写がないから不明だが通常型が狩りしてても疲労たまるんだから極型だとブーンくらいの持続度なんだろ

671名も無きAAのようです:2014/11/06(木) 10:03:19 ID:fgKdE9qI0
まだかなー

672 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 16:00:09 ID:fgBHdRvw0
書き終わった…

全文チェックが済んだら投下します。
早ければ本日中。
遅くとも近日中には。

よろしくお願いします。
ではではまた。

.

673名も無きAAのようです:2014/11/09(日) 16:04:29 ID:FCMGHQBk0
待ってますよ

674 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 19:55:37 ID:Am.mXpzk0




第十五話 表とウラと




.

675 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 19:56:44 ID:Am.mXpzk0

0.現実とリアルと


おれの名前はシャキン。
ああ、もちろんリアルネーム、本名じゃないぜ。
ゲームネーム?プレイヤーネーム?ってやつだ。
ハッハッハッハッハ

ん?本名?
この世界じゃあ何の意味も持たないから、もう忘れちまったぜ!
ハッハッハッハッハッハ!

え?いや、うん、もちろん覚えているけど。
でも、もう一年以上『Shakin』としか呼ばれていないと、
少しだけ、ほんの少しだけだけど希薄になるのは確かで。

ゲームの中のおれと、
リアルな世界の自分。

どちらも本物だけど、
二つの自分が重なったり離れたりしているような気がする。

それでもおれはリアルな血縁がこの世界にいるからリアルを感じられる瞬間があるけど、
他のプレイヤーはどうなんだろうな。

この世界が、作られた世界が限りなく本当に感じる瞬間が、
もしかするとおれよりも多いのかもしれない。

この世界、そう世界初のVRMMORPGの世界。

『ソードアート・オンライン』

完全なる仮想世界の中で、今おれは生きている。



.

676 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 19:58:09 ID:Am.mXpzk0



タイトル≪シャキンはソードアート・オンラインを生き抜くようです≫



.

677 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 19:59:30 ID:Am.mXpzk0

(`・ω・´)「じゃじゃーん」

( ゚д゚ )「……で、おまえは何をやっているんだ?」

(`・ω・´)「ん?主人公としてのモノローグの練習」

(´・_ゝ・`)「アホだな」

( ゚д゚ )「アホだ」

从 ゚∀从「アホ」

(゚、゚トソン「アホですね」

<_プー゚)フ「………」

(`・ω・´)「ほら、来るべき日のために練習しておかないと」

<_プー゚)フ「………………」

(`・ω・´)「エクストだけが心の友だ」



.

678 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:00:32 ID:Am.mXpzk0

西暦2024年5月某日

54層 ダンジョン『朝霧の洞窟』

午前4時から10時まで探索することの出来るこのダンジョンは、
敵だけではなく宝箱まで短時間でポップする為非常に人気があった。
しかしその分敵の実力も高く、
また強さは固定ではなく上層がクリアされるごとに敵のレベルが高くなっていくため、
相応の実力者で無いと攻略は難しかった。

時間は午前6時。
午前4時の入り口の出現と同時に潜り込んでいたギルドN−Sのメンバーは、
二度目の安全エリアで休息を取っているところだった。

(゚、゚トソン「でもシャキンさん、この世界にリアルの血縁の方がいらっしゃったんですね。
知りませんでした」

(´・_ゝ・`)「え?トソン、マジで言ってる?」

(゚、゚;トソン「え、ええ。聞いてませんから」

六人パーティーで進んでいるため、三人が警戒し三人が休息をしていたのだが、
洞窟の天井の突起を見ながら呟いていたシャキンに残りの五人が呆れていた。

(`・ω・´)「あのデコボコ、カメラに見えない?」

从 ゚∀从「みえない」

<_プー゚)フ「それは同意できない」

(`・ω・´)「お前たちは想像力が足りないな」

今の警戒班はシャキン、ハイン、エクスト。
休憩を取るミルナ、デミタス、トソンが座ってお茶を飲んでいる周りに立ち、
安全エリアの出入口を警戒している。

.

679 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:01:48 ID:Am.mXpzk0

( ゚д゚ )「そうか、知らなかったのか」

(゚、゚トソン「みなさんはご存じなんですか?」

(´・_ゝ・`)「ああ。顔が似ているから、自然と」

(`・ω・´)「おれとあいつ、そんなに似てる?」

从 ゚∀从「似てないと言うやつはいないと思うぞ」

(`・ω・´)「そうかなー」

<_プー゚)フ「……え?」

(゚、゚トソン「……え?」

四人の会話を聞き、固まる二人。

ギルドN−Sは、もともとシャキンとミルナとデミタスの三人パーティーに
ハインが加入して作られたギルドであり、
その後何人かの加入と脱退があったが、
エクストとトソンの加入によってある種のまとまりを見せたギルドである。
その為、パーティーとして、ギルドとしての経験において、
三人あるいは四人との知識に差が出てしまうのはしょうがないのだが、
どうもこの件においては大きな衝撃が走ったらしい。

(゚、゚;トソン「も、もしやそれは…」

<_プー゚;)フ「もしかして…」

「ショボン(さん)?」

二人の声が重なり、懇意にしているギルドのギルドマスの名を告げる。

.

680 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:02:35 ID:Am.mXpzk0

(`・ω・´)「そうだけど、そんなに…」

(゚、゚;トソン「ほ、ほんとですか!?」

<_プー゚;)フ「違いすぎるだろ!」

(゚、゚;トソン「確かに顔は似ていらっしゃいますが」

<_プー゚;)フ「戦い方はともかくとしても、ギルド運営とかその他もろもろが」

(゚、゚;トソン「きょ、兄弟とかではありませんよね?」

<_プー゚;)フ「そうだな。違うよな。違うと言ってくれ」

(`・ω・´)「………従弟」

(゚、゚トソン「ですよねー」

<_プー゚)フ「だよなー」

(`;ω;´)「あれ、おかしいな。目から水があふれてくる」

笑う三人と、なぜかホッとした顔をしている二人。
ギルマスは一人涙を流していた。



.

681 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:03:38 ID:Am.mXpzk0

1.指揮を執る者と従う者と



(`・ω・´)「と、この前こんなことがあったんだ」

(;´・ω・`)「そ、そうなんだ」

43層ギルドN−Sのホーム。

層の北側に位置するその街の外れに、ギルドN−Sはホームを買っていた。
三階建ての一軒家を改造して、各々の個室のほかにキッチンと大きなのリビングを設置し、
更にハインこだわりのお風呂を造っていた。

(`・ω・´)「酷いと思わないか」

(;´・ω・`)「そうだねぇ」

今二人がいるのはギルマスの執務室。
と言う名のシャキンの趣味の部屋だった。

(`・ω・´)「なんだよ、おまえまであいつらの味方か?」

(;´・ω・`)「……僕になんて言ってほしいのさ」

(`・ω・´)「『酷いよねー』とか、『シャキンも頑張ってるのにさ』とか」

(;´・ω・`)「………『酷いよねー』…」

(*`・ω・´)「だよな!そうおもうよな!」

(;´-ω-`)「ああ…うん…」

ホームを作る時にショボンの部屋を羨ましがって執務室を作ったのだが、
ほぼその本来の使われ方はしていない。

高かった応接セットもこうやってショボンが来た時くらいしか使われておらず、
ソファーの周りには拾ってきたアイテムや衝動買いした家具が無造作に置かれていた。

(`・ω・´)「まったくあいつらは」

(´・ω・`)「(昔から自由な人だったけど、ここに来てから拍車がかかったような気がする)」

.

682 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:04:59 ID:Am.mXpzk0

(`・ω・´)「ん?なんだ?俺の顔をじっと見て」

(´・ω・`)「なんでもない。っていうかさ、ぼくら従兄弟でもないよね」

(`・ω・´)「めんどくさいから良いんだよ。
だいたい血縁関係ぐっちゃぐちゃで簡単に説明しようと思ったら『一族』なんて言えるか。
おまえだっておれがブーンやドクオと初めて会った時は、
おれの事を『いとこのおにいちゃん』って説明してただろうが」

(´・ω・`)「いつの話を言ってるのさ。あの頃はそう思ってたんだからしょうがないでしょ」

(`・ω・´)「え?そうなの?」

(´・ω・`)「あの頃確か小学校の低学年だよね。二年か、三年か」

(`・ω・´)「お前の事だから、全部わかってるかと思った」

(;´・ω・`)「いくらなんでも…。
例の訳のわからない家系図も見せられたのも高校に入ってからだよ」

(`・ω・´)「ああ、あの血族ぐっちゃぐちゃの」

(´・ω・`)「そ、ぐっちゃぐちゃのこんがらがってるやつ」

(`・ω・´)「そっか。見てたのか。
あの家系図を見せられたってことは、おまえも晴れて後継者だな」

(´・ω・`)「最有力後継者候補のどっかの誰かさんが逃げ回ってるせいで、
こっちに回ってきただけだよ。
それに、まだ【予備候補】だし」

(`・ω・´)「逃げ回ってるとはけしからんな」

(´・ω・`)「顔が見たかったら鏡でも見るんだね」

(`・ω・´)「所詮地方の同族会社グループなんだから、適当にやっておきゃいいんだよ」

(´・ω・`)「それは同感だけど、地方とは言え石油、不動産、輸送、医療、食品と手広くやってるとね。
トップにはそれなりの人が立たないと」

(`・ω・´)「ならなおさらお前が一番適任だろ」

.

683 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:06:06 ID:Am.mXpzk0

(´・ω・`)「…やめてよ。シャキンの方が適任だったのに、逃げ出したくせして」

(`・ω・´)「おまえは自分が見えてないだけさ。
実世界でも、ここでもな」

(´・ω・`)「攻略組への参加、まだ言っているの?」

(`・ω・´)「ほんとに合流しないのか?」

(´・ω・`)「層が厚いとは言えないけど、
今の攻略組はそれはそれとしてよくできていると思うからね。
新興勢力として新たに参加しても、バランスを崩すだけさ。
結局は、チームワークだと思うし」

(`・ω・´)「おまえなら、指揮が執れるだろ」

(´・ω・`)「今の攻略組には指揮者がちゃんといるよ。
血盟の団長とか副団長とか。それに黒の騎士も。
その信頼や培ってきた経験を壊してまで僕が指揮を執るメリットなんてないよ」

(`・ω・´)「だが」

(´・ω・`)「逆に聞くよ。
なぜそこまで参加させたいの?」

(`・ω・´)「お前だって、分かっているんじゃないか?」

(´・ω・`)「………」

(`・ω・´)「最近の攻略組の状況はアルゴやエギルさんから聞いているだろ?
あと、エリアボスとの戦闘は見たこともあるはずだし、
ここ数回の攻略の進行度だってそうだ。
このままいけば、何かが起こる様な気がしてならない」

(´・ω・`)「………」

(`・ω・´)「大人の世界で、色々なものを見せられてきたおれ達だからわかるモノが、
今感じていないか?」

(´・ω・`)「ぼくは、仲間と生きていたい。
生きて、現実世界に戻りたい」

.

684 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:07:06 ID:Am.mXpzk0

(`・ω・´)「ショボン…」

(´・ω・`)「僕にできるのは、中堅層を厚くして、
上に何かあった時に対応できる下地を作ることぐらいだよ。
エギルさんのサポートとしてね」

(`・ω・´)「それでいいのか?」

(´・ω・`)「もし本当にぼくにそんな能力があるとしても、
ぼくにはそれを活かす度胸も根性も無いよ。
確かに今の攻略組は色々な部分で停滞し、澱んでいるようには感じる。
でも、それをそのままにしておく人達でもないと思う。
だから戦闘以外の部分で、支えていけたらいいなとは思ってるよ」

(`・ω・´)「…わかったよ」

(´・ω・`)「そっちこそ、……どうするの?攻略組に」

(`・ω・´)「お前たちが行かないのに、行くわけないだろ。
おれは今まで通り、おまえたちのそばにいる」

(´・ω・`)「……よかった。ありがとう」

(`・ω・´)「お前達と一緒にいると楽しいからな」

にやっと笑うシャキンと同時に叩かれるドア。
そして中からの応答を聞かないで開かれる。

<_プー゚)フ「ショボン!ショボン!」

(゚、゚トソン「こんにちは」

簡素な挨拶をしつつショボンのそばに駆け寄る二人。

(´・ω・`)「二人ともこんにちは。どうしたの?」

(`・ω・´)「おまえらノックしたのは褒めてやるが、」

<_プー゚)フ「今度朝霧の洞窟に一緒に行こう!お前の指揮で攻略してみたい!」

.

685 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:08:31 ID:Am.mXpzk0

(゚、゚トソン「ぜひお願いします」

(´・ω・`)「朝霧の洞窟か。…うん。分かったよ。明後日くらいでどうかな?」

即座にウインドウを開き、予定を確認しつつ返答するショボン。

(`・ω・´)「中からの応答を確認してから開けろと」

<_プー゚)フ「よっしゃ!」

(´・ω・`)「メンバーは二人以外はどうする?」

(゚、゚トソン「お任せしますが、ドクオさんが行かれるようならハインさんが行きたいって言ってました」

(´・ω・`)「分かった。じゃあメンバーは明日には連絡するから」

(`・ω・´)「何度言ったらわかるんだこの野郎ども」

(゚、゚トソン「よろしくお願いします」

<_プー゚)フ「強くなったおれを見せてやるぜ!」

肩をまわしながら部屋を出るエクスト。
トソンは部屋を出る前にお辞儀をし、ドアを閉めた。

(´・ω・`)「エクストは相変わらずだね。
トソンはこのギルドに染まってきたかな。
……って、何泣いてるのさ」

(`;ω;´)「良いんだ良いんだ。おれの話なんて誰も聞いてないんだ」

(´・ω・`)「そんなことも無いと思うけど。
二人だってシャキンの指揮に付いていけるように自分の力を高めたくて、
ぼくと行きたいってのもその訓練の一環だろうし。
うちのギコとしぃもシャキンの指揮で戦って以来、戦い方に幅が出てきたよ」

.

686 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:09:27 ID:Am.mXpzk0

(`・ω・´)「そ、そうか!」

(´・ω・`)「うん」

(`・ω・´)「いやー。おれもそうじゃないかと思ったんだけどよ。
自分で言うのってやっぱり憚れるじゃん」

(´・ω・`)「(嘘じゃないんだけど、なんかイラっとした)」

(`・ω・´)「それにしても、ハインは相変わらずだな」

(´・ω・`)「長いよね。諦めないし」

(`・ω・´)「しかし、ドクオはなんだってああ頑ななんだ?
ちょっと暴走気味だが、ハインは良い女だと思うが」

(´・ω・`)「……ドクオにも、思うところはあるみたいだね」

(`・ω・´)「おれにも言えないことか?」

(´・ω・`)「そんなことも無いけど、憶測だよ?」

(`・ω・´)「ああ。それでいい」

(´・ω・`)「うん。そうだね…。出会いは僕も聞いた限りだけど…」





.

687 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:10:32 ID:Am.mXpzk0

2.愛と誠と



2023年9月
ギルドN−Sの四人は、フィールドダンジョン『常世の森』を攻略していた。

(`・ω・´)「ふん!」

シャキンの両手剣が唸り、目の前の大型猿を一刀両断する。

(´・_ゝ・`)「やらせない!」

そのシャキンの背後を狙って跳びかかった小型猿をデミタスの片手剣が打ち払い、
更にミルナの槍が追撃した。

( ゚д゚ )「周りも気にしろ!」

(`・ω・´)「前以外は任せた!」

叫びながら大型猿を更に切り裂くシャキン。

その言葉にため息をつきつつも、湧いて出た二匹の小型猿をそれぞれに攻撃するデミタスとミルナ。

ため息をつきつつも、前を突き進むシャキンを頼もしく感じ、
更にその焦りも理解している二人は懸命にサポートをしている。

(´・_ゝ・`)「あいつの実力があれば大丈夫だとは思うが」

( ゚д゚ )「蜘蛛が嫌いだとは知らなかったな」

(`・ω・´)「こっちだ!」

大型猿を片付けたシャキンがウインドウを出して仲間の位置を特定する。
エリアにして後三つ。
レベルだけで言えば単独での攻略はギリギリ。
通常であれば何とかなると思うが、苦手なタイプのモンスターが出てしまうことを考えると、
今は無事に合流できれば……とだけ、三人は願っていた。



.

688 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:11:58 ID:Am.mXpzk0

从 ゚∀从「結構やばいな」

すらっとした体に革製の防具。細みの片手剣を構えたその姿は絵画のようだ。

実力も伴っており、この層の通常の敵であれば、一対一なら負けることは無い。

はずだった。

从;゚∀从「…クモは卑怯だろ」

人よりも大きな蜘蛛。

小型の蜘蛛型モンスターとは理性で戦えたが、自分よりも大きなこのサイズだと、
理性よりも感情で身体がこわばってしまう。
先程も仲間達と一緒に相対したのだが、威嚇された瞬間に逃げ出してしまった。

よく見ると剣の切先は細かく震えており、更に足も膝が笑っていた。

从;゚∀从「…ここで死ぬのかな…」

つい一週間前に仲間になったメンバーの事を思う。、
助けに来てくれる保証など、どこにもない。
メンバー募集を見て参加して、つまり知り合って一週間。
さらに戦場を放棄して逃げ出した知り合いを助けに奥まで来てくれるだろうか。

それは彼らが薄情とかそういう事ではなく、自分の命を大事だと考えた時に、
逃げ出した知り合いを自分の身を危なくさせてまで追うかということ。
ただこの一週間で知った彼らの人の好さを考慮すれば、助けに向かってきてくれていると思う。
けれど、彼らが来てくれた時に、自分が生きていられる保証などどこにもない。

巨大蜘蛛が、自分に気が付いた。

ソロとして隠密系のスキルは鍛えていたのに、
それを使って身を隠すのを忘れているほど混乱していた。

大きな体をゆっくりと動かし、自分を見る巨大蜘蛛。

八本の毛むくじゃらの足を動かして、自分に近寄る。

从;゚∀从「よ、よ、よよ、寄るなよ…」

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689 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:13:09 ID:Am.mXpzk0

震えが大きくなる。
頭の中では逃げなきゃと思っても、それすらも出来ないほど体が固まる。

从 ;∀从「や、やだ……。助けて……」

涙なのか恐怖なのか、目の前がかすむ。
けれど自分を見る巨大蜘蛛が牙をもった口を開けて威嚇し、
左右一番前の足を上げたのは分かった。

从 ;∀从「!!!」

死を覚悟したその瞬間、大型蜘蛛の脳天から尻まで一直線に斬撃が走った。

从 ;∀从「え?」

更にすべての足を切り落とす様に刃が襲い、
身体が落ちる前にその醜い体にも幾筋も刃の線が走った。

目の前のモンスターがポリゴンに変わる。

何事か分からず、けれど自分が助かったことだけは分かり、膝をつく。

霞む視界のなかに、自分に近寄ってくる人影を見る。

緑色のカーソルと、決して高くは無い身長。
黒いコートと、武器は片手剣。

「倒したけど、良かったか?」

高くも無く低くも無い男の声。
自分よりは年下のようだが、落ち着いたその声に心が安らぐ。

「……良かったか?」

問いかけに、慌てて頷く。

「なら良いけどよ。……一人で無理そうなら、ダンジョンはいるなよ」

.

690 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:14:09 ID:Am.mXpzk0

从 ;∀从「なか、まと…はぐれ…て…」

恐怖からの解放で口までうまく回らない。

「ああ、まあ、それなら……でも…」

「おっ、おっ、あんまり攻めちゃ可哀想だお」

「……ねえ、そのギルドマークって…」

後ろにも二つの影。

声の雰囲気から、一人は男、一人は女のようだ。

从 ;∀从「あ、あり…がと……」

涙をぬぐう。

「とりあえず立って装備整えろよ。仲間の位置が分かれば送ってやるから。ブーン、ショボンに連絡しといてくれ」

( ^ω^)「わかったお。ツン、警戒宜しくだお」

ξ゚⊿゚)ξ「ん。って、私の話聞いてる?この人のギルドマークって」

拭って立ち上がろうとすると、手が差し出された。

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691 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:15:05 ID:Am.mXpzk0




('A`)「立てるか?」




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692 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:15:50 ID:Am.mXpzk0




从*゚∀从「は、はい…」




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693 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:16:52 ID:Am.mXpzk0

その手を握り、立ち上がる。

从*゚∀从(…超カッコいい…)

('A`)(イケメンで背も高いとか、助けなけりゃよかった)

( ^ω^)「ショボンに連絡…っと…。
(ドクオの雰囲気が禍々しいお)」

ξ#゚⊿゚)ξ「そろそろ私の言葉に耳を傾けろ」

(;^ω^)「ご、ごめんなさいだお。で、彼のギルドマークだおね。
えっと……。あれ?あのマークって…」

ξ#゚⊿゚)ξ「やっと気づいたか」

('A`)(そろそろ手を離してくれないかな。男と手をつなぐ趣味ないんだが)

从*゚∀从(やだどうしよう。視線が重なってる。もしかして彼も私の事を?)

('A`)(見れば見るほどイケメンだなこの野郎。ケッ)

从*゚∀从「あ、あの…」

('A`)「はい?(早く手を離せ)」

从*゚∀从「お名前、聞いても良いですか?」

('A`)「ん?ああ、ドクオだけど(だから手を早くだな)」

从*゚∀从「ドクオさん…。あ、わ、私はハインリッヒって言います」

('A`)「ああ、そう。(名前までイケメンかよ。クソッ。しかも自分の事を『私』とか、どんだけだよ)」

从*゚∀从「そ、それでその…」

('A`)「はい?(なんでこいつは手を離さないんだ?)」

从*゚∀从「ま、まずはその…お友達から」

(;`・ω・´)「ハイン!無事か!!」

.

694 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:19:00 ID:Am.mXpzk0

どたばたとエリアに入ってきたシャキン。
その後にミルナとデミタスも続く。

( ^ω^)「おっおっお」

ξ゚⊿゚)ξ「ほら。やっぱり」

(`・ω・´)「ブーンとツン?ドクオも?!」

('A`)「シャキン?」

( ゚д゚ )「どういう状況だ?」

(´・_ゝ・`)「謎だな」

从 ゚∀从「三人とも!」

とりあえずハインに近寄るシャキン達三人。

ブーンとツンも近寄る。

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695 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:19:55 ID:Am.mXpzk0

( ゚д゚ )「で、これはどういう状況なんだ」

('A`)「どういう状況と聞かれても…」

全員がそれぞれに全員の顔を見る。
正確にはハインだけは彼の顔しか見ていなかったが、
誰もそれには気付かない。

( ^ω^)「おっ」

ウインドウを開くブーン。

( ^ω^)「ショボンからメッセージだお。
二つ先の安全エリアで落ち合えるか聞いてきてるけど」

(`・ω・´)「ショボンもいるのか。じゃああいつにまとめさせよう」

( ゚д゚ )「(ひでえ)」

(´・_ゝ・`)「(今ここにいない奴にまとめさせるとか)」

( ^ω^)「(さすがのシャキンさんだお)」

(`・ω・´)「行くぞ行くぞ」

先頭に立って歩き始めるシャキン。
その後ろをぞろぞろと続く六人。

('A`)(で、この手はいつになったら離してもらえるんだ?)

从*゚∀从(ドクオさん…ドクオさん…ドクオさん……どっくん……)

次のエリアで戦闘になるまで、ドクオの手は繋がれたままだった。



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696 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:21:06 ID:Am.mXpzk0

(´・ω・`)「じゃあ、まとめると……」

( ゚д゚ )(なに!?)

(´・_ゝ・`)(まとめただと!?)

( ^ω^)(さすがのショボンだおね)

七人が安全エリアに入ると、そこにはショボンとクー、そして流石兄弟がいた。

(´・ω・`)「ハインリッヒさんが苦手な蜘蛛に驚いてシャキン達とはぐれた後、
巨大蜘蛛と鉢合わせしてしまい、そこに僕達と別行動をしていたドクオ達三人が通りかかったから、
間一髪助けることが出来た…と」

ショボンが拡げた絨毯の上に座るギルドN−Sの四人とショボン。
他の六人は周囲に立っている。

そこで各人から簡単に話を聞いた後、ショボンが状況をまとめていた。

(`・ω・´)「なるほど。そういうことか」

('A`)「蜘蛛が苦手ねぇ。(イケメンにも苦手なものがあるってか。
女はそんなところにもギャップを感じて、そこに惹かれるのー!ってか。ケッ)」

从 ゚∀从「面目ないです」

(`・ω・´)「蜘蛛が苦手だとはな」

从 ゚∀从「…すみません」

( ゚д゚ )「謝ることは無いが、言っておいてほしかったな」

(´・_ゝ・`)「ああ、誰にでも苦手なものはある。そこをフォローしあうのもの、仲間だ」

从 ゚∀从「は、はい!」

(`・ω・´)「他にも苦手なのはあるか?」

从 ゚∀从「あー。蜘蛛が一番ですけど、基本的に足の多い虫系の生き物がちょっと…。
ちいさいのはまだ良いんですが」

.

697 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:22:04 ID:Am.mXpzk0

( ゚д゚ )「蟻とか百足とかは戦えてたよな」

从 ゚∀从「蟻は大丈夫でしたが、百足はちょっとやばかったです」

(´・_ゝ・`)「まじか。気付かなかった」

从 ゚∀从「蜘蛛は、あの毛むくじゃらなのもダメみたいで」

照れたように頭を掻くハインに、周囲に和やかな笑いが漏れた。

('A`)(イケメンは何をやっても様になるってか)

(´・ω・`)「まあ、そこら辺はまたゆっくり話し合ってよ。
新しくメンバーが増えたら、いろいろ話したり経験を積んで分かり合わないとね」

(`・ω・´)「ああ。そうだな」

大きく頷くシャキン。
そしてドクオ達三人を見る。

(`・ω・´)「三人とも、ありがとうな」

('A`)「あ、いや」

( ^ω^)「おっおっ」

ξ゚⊿゚)ξ「改まって何よ」

(`・ω・´)「大事な仲間を救ってくれたんだ。どれだけお礼を言っても足らない。
かといって、コルや品物では失礼だ。だから」

胡坐をかいていた足を正してきれいな正座をし、そして三人に向かって腰から頭を下げるシャキン。

ミルナとデミタスもそれに倣い、ハインも慌てて同じ様に頭を下げる。

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698 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:23:15 ID:Am.mXpzk0

('A`;)「い、いいってシャキン」

(;^ω^)「そうだお!当たり前のことをしただけだお!」

ξ;゚⊿゚)ξ「いつか逆の立場になる時だってあるかもだし、止めて!」

(´・ω・`)「ってことだから、止めてあげてくれる?四人とも」

慌てる三人を見て、ショボンが四人を促す。

(`・ω・´)「本当に、ありがとう」

真剣な表情なまま頭を上げるシャキン。
その気配を感じて三人も頭を上げた。

(´・ω・`)「この世界では、お互い様だからね。これくらいで良しにしておこうよ」

ショボンがさらっとまとめ、笑顔で四人を見た。

(`・ω・´)

まだ何か言いたそうなシャキンを見て、更に言葉を続けるショボン。

(´・ω・`)「でも四人目を入れたの知らなかったよ」

(`・ω・´)「ああ、まだ一週間だからな。今はお試し期間だが、うまくやれていると思う」

从 ゚∀从「!ありがとうございます。……でも」

( ゚д゚ )「どうした?デミタスが変態で気持ち悪いか?」

(´・_ゝ・`)「お前の間違いだろ」

从 ゚∀从「い、いえ、その…。なんか武器に違和感を持つことがあって」

(`・ω・´)「違和感?」

从 ゚∀从「ソロの時にはそんなに感じなかったんですけど、
スイッチの時とかちょっと武器の射程距離に違和感があって」

('A`)「ああ…」

ハインの言葉に首をかしげるメンバーの中、ドクオが何か思うことがあるかのような声を漏らす。

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699 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:24:20 ID:Am.mXpzk0

(´・ω・`)「ドクオ?」

('A`)「多分、ちょっと踏み込みが浅い。もしかして、リアルの体型と今の身体、合致してないとか」

从*゚∀从「は、はい。少しだけ身長が低いというか、サイズが違う感じです」
(まだ知り合って少しなのに、そんなに私の事を見ていてくれたなんて)

('A`)「足の長さとかはキャリブレーション設定の時に適当にやるとずれることもあるみたいだから」
(足が長いと大変だよねー。おれは一生分からないだろうけどよ)

(`・ω・´)「ほぉ…」

(´・ω・`)「なるほどね…。どうしたらいいと思う?」

('A`)「そこら辺はショボンも一回見てみろよ。どうせこの後一緒に外に向かうんだろ?」

(´・ω・`)「戦闘に関してはドクオ先生には敵わないよ」

('A`)「まったくこんな時だけ。…まあ一番楽なのは有効範囲に融通が利く武器に変えることだけど、
投擲系はショボンくらいマニアじゃないと無理だから、槍とかにしてみるとか…かな。
ただ扱い的には片手剣より人によって難しくなるから、範囲の広い片手剣を選ぶのも手だけど」

川 ゚ -゚)「槍は人を選ぶのか?」

('A`)「んー。最初から使ってるとか、使ったことがあるなら別だけど。
片手剣に慣れてると、武器の射程距離は勿論持ち味が全く違うからな」

( ´_ゝ`)「そうだな。片手持ちと両手持ちでは構え、攻撃、防御、変わってくる。
慣れれば使えるようになるだろうが、それまでは大変だろう。
今まで武器は片手剣だけなのか?」

武器の話となると割り込んできた兄者。
普段と違う真面目な雰囲気にも誰も突っ込むことなく話を聞き、ハインの顔を見る。

从 ゚∀从「他には細剣を少し。槍を使ったことは無いです」

( ´_ゝ`)「おれは彼女の戦い方を見ていないから何とも言えないが、
ドクオ、武器の変更と片手剣の種類を選ぶようになるのでは、どちらがいいと思う?」

兄者の言葉を聞き、何人かが微妙な表情をした。

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700 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:25:41 ID:Am.mXpzk0

( ´_ゝ`)「ん?どうした?」

(´<_` )「兄者よ、それはあんまりだぞ」

( ´_ゝ`)「え?武器の変更はかなり建設的な意見だと思うが」

(´<_` )「いやいや、そこじゃなくて、『彼女』って」

( ´_ゝ`)「え?だっておにゃのこだし」

(´<_` )「兄者…。ただのロリコンだと思っていたが、男にまで手をのばしはじめたのか?」

(`・ω・´)「兄者の変態に拍車がかかったか」

( ゚д゚ )「良かったなデミタス。仲間が出来て」

(´・_ゝ・`)「おれはショタコンだから、ハインくらいの年齢は管轄外だ」

( ^ω^)「それを胸張って言えるデミタスは凄いと思うお」

(´・_ゝ・`)「それに二次とNPC専門だしな」

ξ゚⊿゚)ξ「まったくこいつらは。
で、クーはさっきから何黙って彼の事見てるのよ。
美形すぎて見惚れてる…ってわけでもないでしょう?」

川 ゚ -゚)「あ、いや、ハインリッヒさんを何かで見た覚えがあるんだが…」

ξ゚⊿゚)ξ「イケメンだし、街ですれ違ったことでもあるんじゃないの?
…クーはそんなタイプじゃないか…」

川 ゚ -゚)「うむ…」

( ´_ゝ`)「お前らこそ何を言っているんだ?
どこをどう見てもおにゃのこだろ。
確かにハインリッヒってのは男名かもしれないが」

「いやいやいやいやいやいやいや…」

兄者の言葉に苦笑いを浮かべながら否定の言葉を口にするシャキン達。

あまりの否定に兄者も顔を曇らせるが、眉間に皺を寄せつつショボンの顔を見ると、
ショボンも不思議そうな顔をしていた。

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701 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:26:59 ID:Am.mXpzk0

(´・ω・`)「いや、なにみんな、どうしたの?
ハインリッヒさん、誠に失礼ですが、女性で間違っておりませんよね?」

そんな表情のままハインに語りかけるショボン。

そのセリフに驚き、ハインとショボンの顔を交互に見るシャキン達。

从 ゚∀从「あ、はい。女です。よく間違われますけど」

「「「「えーーーーーーーーー!!!!??!!!」」」」

異口同音の叫びする数人。

(´・ω・`)「みんな失礼だよ。特にシャキンとミルナとデミタス。
一週間も一緒にいて」

(;`・ω・´)「い、いやだって言わなかったし」

(´・ω・`)「普通言う?『私は女です』とか。
僕は自己紹介で男ですって言ったことないけど」

(; ゚д゚ )「い、いやしかし」

(;´・_ゝ・`)「な、なんかスマン。ハイン」

从 ゚∀从「あ、いえ、間違われているかなとは思っていたんですが、
その方が円滑にいくならそれで良いかなと思ってしまい。
慣れてきたころにばれればそれはそれで良いかと思っていました。
こちらこそすみません」

慌ててハインに向かって頭をぺこぺこと下げる三人。
そしてハインも三人に頭を下げた。

(;^ω^)「ブーンも男の人かと思ってたお。ごめんなさい」

(´<_`;)「おれもだ。すまんな」

ξ;゚⊿゚)ξ「私も。ごめんなさい」

川 ゚ -゚)「私もだ。すまなかった。
しかし女性となると…。もしやあなた」

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702 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:28:06 ID:Am.mXpzk0

从 ゚∀从

ハインがクーに向かって笑顔を見せる。
それを見て、クーは続きを言うのを止めた。

川 ゚ -゚)

(´<_`;)「しかし、気付いていたのはショボンと兄者だけか」

( ´_ゝ`)「…おれが言っても笑ってバカにしたくせに。
ショボンが言ったら全員驚くとか」

ξ゚⊿゚)ξ「しょうがないでしょ。兄者なんだから。諦めなさい」

( ´_ゝ`)

(´<_` )「まあ、仕方ないな」

川 ゚ -゚)「ドクオはどうだったんだ?」

('A`;)「え?お、おれか?もちろんわかってたぞ」
(女!?女!?女??!え!マジで!!???
え、さっきまで手をつないでたのが女!!??
小学生の時にかーちゃんとつないで以来だぞ!!??
かーーーー。離さなきゃよかった!!!)

从*゚∀从(気付いててくれたんだ!やっぱり私の運命の人!)

('A`)「分かるに決まってるだろ。こんなきれいな人に向かって男とか。みんな失礼だな。
ごめんな。ハインリッヒさん」
(お、おれ大丈夫?!気持ち悪がられてないか!?
あ、笑っちゃダメだった!気持ち悪いって言われる!)

从*゚∀从「い、いえ、大丈夫です」
(やだ、超紳士!超クール!やっぱり私の王子様!)

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703 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:29:11 ID:Am.mXpzk0

('A`)(あーやばい。女だって知ったら緊張してきた。しゃべれねー。
マジイケメンだと思ってたけど、女だと思うと超きれいな人だった。
こんな人と話すことが出来るだなんて、SAOでなきゃ一生むりだったかも)

从*゚∀从(私、見つめられてる。もしかして彼を私の事を…。
何か喋ってほしいけど、寡黙なところも素敵!その目で見つめられたらもうだめ!)

('A`)(また手を繋いでくれたりしないかなー。無理だろうなー。
この世界は汚れないから手を洗う習慣とかなくてよかった。当分の間、手、洗わないでおこ)

从*゚∀从(そんなに見つめないで!でも見て!ああ!私おかしい!!)

('A`)(あれ?……なんでこの人おれの顔じっと見てるんだろ。
そっか。また変な顔とか気持ち悪いかとか思ってんのか。
こんなきれいな人から見たら、おれなんかモンスターレベルだよな…)

从*゚∀从(ダメ―!ダメ―!ドキドキしちゃう!)

('A`)(そうだよな…。おれなんか…)

短い会話の前後で色々な思惑が交差する二人。

(´・ω・`)(なんとなく、色々な思考が交差してる気がする)

( ´_ゝ`)「ドクオはどう思う?」

気を取り直して口を開く兄者。
ハインに向かって口々に謝罪の言葉を告げていた者も、兄者を見た。

('A`)「え?あ?え?なんですか?」
(先輩ナイス!何のことか分からないけど話を振ってくれてありがとう!)

(;´_ゝ`)「ドクオ…。彼女の武器の件だけどさ」

('A`;)「あ、ああ。片手剣で続けるか、槍に持ち直すかってことですよね。
一回槍を使ってもっと低層で戦闘してみて、それで決めてもいいかと思います」

(;´_ゝ`)「とりあえずそうだな。それでなんでお前は敬語復活してんだ?」

('A`;)「あ、いや、なんかその…。なんとなく」

从*゚∀从(礼儀正しいどっくんも素敵!)

ξ゚⊿゚)ξ(あれ?…もしかして彼女はドクオの事を…。いやいや無いか、そんなこと)

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704 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:30:45 ID:Am.mXpzk0

(`・ω・´)「しかし、うちのメンバーでは一緒に戦えても教えたりアドバイスはちょっとな…」

ちらちらとショボンを見るシャキン。

あからさまなため息をつくショボン。

(´・ω・`)「じゃあみんなで行こうか。ドクオ、特に見てあげて」

('A`)「え?!お、おれ!?」
(ショボン!?おれがおにゃのこと!?何言ってんだこの眉毛!ナイス!)

从*゚∀从「よ、よろしくおねがいします!」
(どっくんが私を見てくれる!
しょぼくれ眉さんありがとうございます!)

(´・ω・`)「他にちゃんと見られる人いないでしょ。クーと兄者もサポートしてあげて。
あと、予備の槍の持ち合わせがあったら貸してあげて」
(なんとなくだけど、失礼なことを思われているような気がする)

川 ゚ -゚)「ああ、分かった」

( ´_ゝ`)「了解した」

(`・ω・´)「すまんなショボン」

(´・ω・`)「まったく。期待したくせに」

(`・ω・´)「はっはっはっは」

ショボンが促し、座っていた者が立ち上がって準備を始める。

ショボンのそばにはシャキンが近寄り打ち合わせを始めると、
自然に幾つかの集団が出来た。

その流れから外れたドクオとハイン。

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705 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:32:20 ID:Am.mXpzk0

('A`)(やばい!やばい!やばい!嬉しいけどやばい!やっぱり無理!
ショボンありがとう!でもしね!いやしんじゃだめだけどしね!
どどどどどどどどうしよう!)

从*゚∀从「よ、よろしくお願いしまふ!」
(やだ!かんじゃったはずかしい!)

('A`;)「あ、、ひや、こちらこしょよろしくおねがいしあす!」
(かんだーーーーーーーーーーーはずいーーーーーーーー)

从*゚∀从(同じように噛んでくれた!なんて優しい人!大好き!)

お辞儀をしたハインに慌ててお辞儀で返すドクオ。

ξ゚⊿゚)ξ(二人して噛んでる!突っ込みたい!でも!)

川 ゚ -゚)(いろいろ突っ込みたいが、今突っ込んだら後の楽しみが半減する気がする)

ξ゚⊿゚)ξ
 (ガマン!!)
川 ゚ -゚)

(;^ω^)「ツン?クー?」

それぞれの思いを抱えながら、準備を整えて歩き出す十一人。

.

706 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:34:57 ID:Am.mXpzk0

从*゚∀从「ドクオさんは、お強いんですね」

('A`)「いや、そんなことないですよ」

从*゚∀从「あんな大きな蜘蛛も一刀両断して」
(謙遜する姿も素敵)

('A`)「あれは…。まぁ、その…」
(あー。やっぱりなんか緊張する!)

从*゚∀从「片手剣であんなことできるんですね。すごくかっこよかったです!」
(言っちゃった!言っちゃった!やだどうしよう!)

('A`)「ははは。ありがとうございます」
(受け答え、間違ってないよな!大丈夫だよな!)

从*゚∀从「その後の剣捌きとかもすごくて、かっこよくて…」
(二回も言っちゃった!ばれちゃうかな!?好きになったのばれちゃうかな!?)

('A`)「ははは。剣技(ソードスキル)っすからね」
(そうだよなー。剣だけだよなー。この人も今から教わるから持ち上げてるんだろうな)

从*゚∀从「そんなことないですよ!流れるような剣でした!格好良かったです!」
(見た目もカッコいいけど、言われ慣れてるだろうからこっちで!

('A`)「ははは…」
(剣は…ね)

从*゚∀从「私も頑張ります!だから、いろいろ教えてください!」
(教えてもらえるときは会える!)

('A`)「そうですねー。VIPとN−Sは合同でクエストやったりもしますし」
(あーはいはい。教えてあげますよ。それくらいしか取りえないっすからね)

从*゚∀从「よろしくお願いします!ドクオさん!」
(やった!また会える!)

('A`)「…ハインリッヒさんは、なんでN−Sに入ったんですか?」
(なんか辛くなってきた。話変えよ)

从*゚∀从「あ、ドクオさん、良ければ『ハイン』って呼び捨てで呼んでください。
教えてもらってる時もその方が指示を貰えやすいと思いますし」
(今日の私は責める!彼女いるのかな。いるよね。でももしいなかった時のために!)

('A`)「ああ、じゃあハインって呼ばせてもらいますね」
(所詮ゲームネームじゃ、おれに呼び捨てにされても良いってか)

.

707 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:35:51 ID:Am.mXpzk0

从*゚∀从「はい!」
(やった!呼び捨てゲット!一緒にいた二人のどっちかが彼女かな。
ツインテールがそうかな。でもドックンを好きな気持ちではきっと負けない!
過ごした時間が足りないなら、これから頑張る!)

('A`)「じゃあ俺の事もドクオで良いっすよ」
(ゲームネームなら呼べるだろ。ケッ)

从*゚∀从「え!?そ、そんな…無理です……」
(むりむりむりむりむりむりむりむり…。呼び捨てなんて恥ずかしすぎる!
それに金髪ツインテールが名前で呼んでたし!同じじゃダメ!彼女と一緒とかダメ!)

('A`)「あーはい」
(ゲームネームでもおれの名前なんて呼びたくないってか!)

从*゚∀从「あ、あの、あだ名で呼んでも良いですか?」
(私だけの呼び方で新密度UP!)

('A`)「ああ、いいっすよ」
(…ゾウリムシとか言い出すのかな。もう何でもいいよ)

从*゚∀从「じゃ、じゃあ……どっくん」
(呼んじゃった!呼んじゃった!恥ずかしい!!!)

('A`;)「ふぇ!?」
(ふぇ!?)

「「「「「 ふぇ !!?? 」」」」」

照れるハイン。
変な返事をしてしまうドクオ。
聞き耳を立てていて、変な声を出してしまうメンバー。

先頭を歩くショボンは、小さくため息を吐いた。





.

708 ◆dKWWLKB7io:2014/11/09(日) 20:36:58 ID:Am.mXpzk0

4.心の比重と揺れる心と



(`・ω・´)「あの後ドクオをドックンと呼ぶのが流行ったよな」

(´・ω・`)「ハインが本気でドクオとツンが付き合ってると思っていたことにはびっくりしたよ」

(`・ω・´)「……ツンの怒りが激しすぎて引いた覚えがある」

(´・ω・`)「あれはね……」

思わずお互いの顔を見て苦笑いを浮かべる二人。

(`・ω・´)「で、ドクオがそんなふうに感じていたのは分かったが、それはドクオから聞いたのか?」

(´・ω・`)「うん。ドクオがフリーなのを知ってハインが本気のアプローチをしてきて、
そのアプローチが本気だと知ったドクオが動揺しまくってね。
戦闘にも影響してたから聞き出した」

(`・ω・´)「あらら」

(´・ω・`)「ブーンもいたから、二人で付き合えば良いって言ったんだけど、無理だって」

(`・ω・´)「なんでだ?」

(´・ω・`)「美女と野獣過ぎてきついってさ」

(`・ω・´)「なんだそりゃ」

少しだけ不愉快そうに言葉を詰まらせるシャキン。

(`・ω・´)「いろいろと謎な部分はあるが、ハインは本気だぞ。
そんな見た目なことで断っているとは…。あいつを見損ないそうだ」

(´・ω・`)「もちろん、建前だよ」

(`・ω・´)「?」

(´・ω・`)「このゲームをクリアするまで、色恋とか考えられないんだと思う。
っていうか、僕達が現実世界に戻るまで…僕達を現実世界に戻すまで……ね」

(`・ω・´)!

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