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クリフトとアリーナへの想いは Vol.1

1管理人★:2015/04/05(日) 00:08:03 ID:???
クリアリの話題を扱うための待避所です。
ほのぼのから悲恋物まで、あらゆるクリアリの行く末を語り合っていきましょう!
職人さんによるSS投稿、常時募集!

【投稿内容に関するお願い】
・原作や投下された作品など他人の作品を悪く言うのは控えてください。小説版も含めて。
・趣向の合わない作品やレスはスルーしましょう。
・個人のサイトやサークルなどを特定する投稿(画像などへのリンク含む)はご遠慮下さい。
・読む人を選ぶ作品(死ネタ、悲恋、鬱ネタ等)を投下する時には、先に注意書きをお願いします。
・性描写を含むもの、あるいはグロネタ801ネタ百合ネタ等は、相応の場所でお願いします。


    ,. --、
    | |田|| 姫様、お気をつけて
     |__,|_||     __△__ 
     L..、_,i    ヽ___/
 . 。ぐ/|.゚.ー゚ノゝ   / ,ノノハ)) クリフトがいるから
   `K~キチス  (9ノ ノ(,゚.ヮ゚ノi. 大丈夫よ!
    ∪i÷-|j @〃とヾ二)つ
    Li_,_/」   ん'vく/___iゝ
     し'`J      じ'i_ノ

クリフトとアリーナへの想いは@wiki(携帯可)
ttp://www13.atwiki.jp/kuriari/
 ※wikiに掲載されたくない場合は、作品を投下する際にお申し出ください。

311名無しさん:2016/07/19(火) 02:48:04 ID:t/ubqccg
ガーデンブルグでは、ロザリオ(?)は盗んでいないけど留守中にタンスを漁ってますからね
そこに目ぼしいアイテムがあれば、くすねていたでしょう
それで冤罪とか言われても「何を言ってるの?」と、子供だった当時に思ったものです
そういう倫理に厳しそうなクリフトとか、いるのにね

他人の物をくすねても良い理由が説明書にでも記されていれば良かったのですが、
そういうのは全く見当たらなかったです
子供たちがプレイするゲームなんですから、説明を省かないで欲しいなと思います

312従者:2016/07/19(火) 23:32:08 ID:oUhNFHE2
>>311
ああ、確かに……。
クリフトは疑ってしまったことを恥じるシスターに対してフォローしていただけですね。
唯一釘を刺していたのがミネア。

ミネア「この国で 学んだのは
  むやみに 他人の家のタンスを
  のぞかないということ……。
ミネア「……なんて言っても
  ソロさんが そう簡単に
  やめるワケないですよね。
ミネア「いいです。
  もう あきらめてますから。

のぞかないプレイヤーにとってはなんのこっちゃという台詞ですが
ゲーム進行的にはのぞくのが普通という流れですからこういう台詞が用意されたのでしょう。
あきらめているからのぞいてもいいという解釈もいかがなものかという話ですが;
ちなみに隣のタンスにはかしこさのたねが入っていたのですがそれに関しては言及なし。
確かにこうした倫理観は冗談で流さずきちんとした説明があってほしかったですね。

313名無しさん:2016/07/20(水) 03:18:48 ID:Zgh7//fQ
他人の家の冷蔵庫を勝手に開ける子供が多くなってるという話は聞くけど、残念ながらドラクエの影響もありそう。

他人の家のタンスを漁ることについて、魔法陣グルグルという作品では、家の人を「いやー、僕、勇者ですからーwww」で押し切るのが勇者の素養とか言ってたような。
秀逸なパロディでありながら、それがドラクエにおける本質なのかも。というか他の説明がしづらいっすね。

世間知らずのアリーナがタンス漁りをしても怒られないのは、ブライやクリフトが処世術として対応を教えてるってことなのかな。
しかしそこからクリアリにつなげる勇気が出ないっす。

314従者:2016/07/20(水) 21:49:32 ID:PbXFkvGE
PS版のセリフをなぞったSSアリーナ視点、ロザリーヒル編「ふたつでひとつ」23シーク分投下します。
ピサロナイト「アドン」存命ルートで>>239-260の続きのようなものです。(理由詳細は>>153にあります)
クリアリパートへのきっかけは6/23-12/23、クリアリパートは15/23以降です。
6/23-12/23では前置きで外せず、アドンとの抱擁シーンがあります。ご覧の際にはお気をつけください。

実はこれは以前予告していた純クリアリではないです。(こっちが先に仕上がってしまいました)
順序がだいぶ反転しますが今のところなんとか問題ないかと……。
(そもそも2章エンドールの武術大会から5章ロザリーヒル以前がすっぽ抜けてる時点であれなのですが;)
前に>>223さんがパズルのピースをバラ売りするかのような発表スタイルと書いてくれましたが
最後にはきっとはまるはず……なのでどうか気長にお待ちいただけるとありがたいです;ではどうぞ;

315従者の心主知らず ふたつでひとつ 1/23:2016/07/20(水) 21:54:03 ID:PbXFkvGE
アドンは部屋の前の片すみに座りこんでた。ひざを立てて腕を組んで、顔をうずめてる。
肩にスライムも乗って顔をふせてた。
きっと、泣いてる……。すっごく泣いてる……。顔が見えなくてもわかった。

私たちは今ロザリーヒルに戻ってきてる。私がみんなにお願いしたの。
イムルでロザリーが死ぬ夢を見て、そこでピサロは人間を根絶やしにするって叫んでて、
それだけは止めなくちゃってずっと走ってきた。
でもロザリーを殺したのは人間じゃなくて、彼らを操ってた魔物だったの。エビルなんとかって。
私たちもピサロも騙されてた……。

何もかも人間が悪いわけじゃなかった、それは嬉しい。嬉しいけど……
このままただまっすぐピサロと戦いに行くことが私にはなぜかできなくて……
足が前に出なくって……
そんなときに浮かんだのがアドンとスライムだったの。
結局ロザリーは助けられなかった、けどふたりに何にも言わないでここまで来てしまった、
だから……
ピサロを止めるまえに、戦うまえに、殺しあうまえに……
ちゃんと伝えておきたいって思ったの。
伝えてどうなるわけでもない。ふたりがなんて答えるかもわかんない。
でも、もしみんなが行かないって言っても私はひとりで伝えに行くつもりだった。
そしたらみんなは何も言わないでいっしょに来てくれたの。
クリフトが優しく笑って真っ先についてくれて、ソロも……行くぞってみんなに言ってくれたの。

みんなが私に付き合ってくれた……
この時間を大事にする、忘れないようにする、ぜったい後悔しないようにするって決めた。

「あ、ソロ…」

スライムが私たちに気づいたみたい、ぴょんと下りてこっちにやってきた。
でもアドンは動かない。

「ぷるぷる、おかえり。待ってたよ」
「……そうか……」

ソロが小さく答える。

「遅くなって悪かったな……」
「ううん、だいじょうぶ。アドンもお願いしたら待っててくれたよ」
「…………」

316従者の心主知らず ふたつでひとつ 2/23:2016/07/20(水) 21:58:11 ID:PbXFkvGE
――ぷるぷる……ロザリーちゃん……――
――……――
――アドン、どこ行くの?――
――……――
――アドン!――
――…………。ピサロ様が進撃を開始される。行かなければ――
――アドン…――
――私も行かなければ――
――……やだよぅ……――
――……コンドルたちは置いていく。仲良く暮らせ――
――……やだよう……――
――この村だけは生き残れるようにする――
――ぷるぷるっ!待ってよ!まだソロたちが帰ってきてないよ!――
――…………。もう……――
――待ってようよ!ソロたちを待つって約束したよね!?――
――………………――

「ぷるぷる、だからだいじょうぶだよ」
「…………。そうか……」

アドン……。
ずっと私たちを待っててくれたのね……。

「ぷるぷる……。ぼく聞いちゃったんだ。ピサロさま、ロザリーちゃんのお墓にひとりでこう言ってたんだ。
ふたりで暮らす約束は生まれ変わって必ず果たすって。ピサロさま死ぬ気なのかなあ……」
「…………」

ここに来る途中の丘にお墓がたってたの。ロザリーのお墓……
「この村のすべてに愛された魂よ 安らかに眠れ……」って刻まれてあった。
ロザリーは、ほんとうに……ほんとうにもう、どこにもいないんだ……。
ロザリー……。

「デスピサロは、ここには来なかったんだな…」

ソロがひとり言みたいに小さくつぶやいた。

「あいつがアドンってヤツなのね…」

317従者の心主知らず ふたつでひとつ 3/23:2016/07/20(水) 22:02:12 ID:PbXFkvGE
マーニャもアドンを見ながら言った。
ミネアはブライといっしょによろず屋のおじいさんのところに行ってる。
マーニャがじゃああたしはこっちに付き合うわってついてきてくれたの。
私もアドンを見た。ゆっくり近よる。

「アドン…」
「…………」

――アドン……。やっとあなたの名前を呼べる……――
――アドン……本当に、ごめんなさい……――
――無事戻ってきたら、こうしてまたお部屋に来ていただけますか?――
――ありがとう……。本当に、ありがとう。アドン……――

「なぜ、生きている……」

アドンがぽつりとつぶやいた。ふるえた声…。

「なぜ、私だけが生きている…?」

アドン…。
自分のことを、言ってるの…?

「我々に必要なのはあの方だった!私の命など…っ!」

――私が代わりに死ねたらよかった…っ!!――

アドン…っ。
スライム
がもういちどアドンの肩に乗っかってなぐさめるみたいに顔をうずめた。
ソロもこっちに来た。

「アドン……」
「……」

アドンがゆっくりソロを見上げる。

「ソロ……」
「……」
「…………」
「…………」

318従者の心主知らず ふたつでひとつ 4/23:2016/07/20(水) 22:06:19 ID:PbXFkvGE
ふたりともしばらくお互いを見たままだまってた。
けっこう長い時間待ったと思う、やっとソロが口を開いた。

「……お前、これからどうする…?」
「…………」
「…………」
「…………」

「私はピサロ様の臣下だ。私の心は常にピサロ様と共にある。
ピサロ様が我が身を犠牲にしても人間を滅ぼすというのなら、私もそれに殉ずるまで。
……ピサロナイトの名に恥じぬ最期を飾るまで」

アドン……なんでそんな、かしこまったしゃべり方……。
アドンはソロを見上げたままゆっくり腰を上げた。

「ソロ…!」

ガキィィンッ!

「ぷるぷるっ!アドンやめてよおっ」
「アドンさん!」
「ちょっと、なにやってんのよ!」
「やだよっ!」

みんなでいっせいに叫ぶ。私も大声で叫んだ。

「戦うなんてやだよおっ!!」

剣をぶつけ合うふたりに必死に呼びかける。

――お願い…っ――

「お前たちには感謝する。人間とこんなかたちで関われたことを誇りにすら思う。
わずか一日にして三国を動かすことのできる人間よ、
お前たちとなら、もう一度最初からやり直せるのではないかとすら考えていた……」

え?

「だが、もう、やり直す必要はなくなった……。私はお前たちと戦わなければならない」

319従者の心主知らず ふたつでひとつ 5/23:2016/07/20(水) 22:10:16 ID:PbXFkvGE
――人間は変わらなかった――

「たとえお前たちのような良識ある人間がいたとして、罪びともまた生み出される社会がある限り、
人間はこれからも変わらないのだろう。
我々魔族では人間を変えられない。変えられなかった……」

え…?何の話…?

「いや、本当はもう、変えようとする前からわかっていたのだ……」

――人間は変わろうとしない。なぜなら変わる必要がないから――

「お前たち人間からすれば、我々魔族にこそ、魔物にこそ、変わってほしいと思うことがあるのだろう。
だが我々も変わるつもりはない。変わる必要はないと思うから。それと同じこと」

――他種族同士が歩み寄ることは未来永劫あり得ない――

「だから……」

声がふるえてる。アドン…?

「その社会でお前たち良識ある人間も生きていく限り……」

キィィンッ!

アドンの動きが鈍い。初めて会ったときの切れがない。
ケガをかばってるから…?

ガキィィンッ!!

アドンが壁に叩きつけられた。大きな音を立てて剣が転がる。ソロが剣をかまえ近づいた。
アドン!!死んじゃう…!!

――せっかく仲良くなれたのにっ!!!――

「ソロ!!やめてっ!!」

ソロ、泣きそうな顔してる。でも止まらない。なおもアドンに近づく。
アドンはソロを見上げた。

320従者の心主知らず ふたつでひとつ 6/23:2016/07/20(水) 22:14:02 ID:PbXFkvGE
「やめてって言ってるでしょ!!!」

私はソロに思いっきりキックした。よこ向きにふっとぶソロ。

「何すんだよっ!!」

私はアドンに向きなおる。

「もうどうしようもねえだろっ!!!」

アドンは体勢をそのままに、手を伸ばして転がった剣を拾おうとした。
私はかまわずアドンに近づく。アドンは私に気づいて伸ばした手を止めた。
私を見て、視線を切り、そのままゆっくり目を閉じる。私は……
アドンをぎゅってした。

「っ……」
「姫さま……」
「…………」

アドンが再び手を伸ばし剣をつかむ。その剣を振り上げたような気がした。
でも私はずっとアドンをぎゅってしてた。

「……」
「…………」
「…………」

斬られると思ったのに痛くない。まだ斬られてない。なんでだろう……。
私はゆっくり顔を上げてアドンを見つめた。そして気づく。
アドンののどもとに剣が押しつけられてた。その先を追うとかまえてたのはクリフト。
私の背中は盾で守られてた。

「クリフト……」

クリフトはすっごく真剣な目でアドンを見てた。私はドキッとした。
私の苦手な、真剣なまなざし……。
私は思わず目をそらす。でも、アドンも……おんなじようにクリフトを見てた。
しばらくしてアドンがゆっくり剣を床に置いた。クリフトがその剣を足でけっとばす。
剣は音を立てて向こうに転がってった。クリフトもかまえてた剣と盾を下ろした。

「最初からアリーナ姫を斬る気はなかったのですね……」

321従者の心主知らず ふたつでひとつ 7/23:2016/07/20(水) 22:18:01 ID:PbXFkvGE
え?

「……お前こそ、とんだ期待外れだったな……」

え…?何の話…?

「アドン…?」
「…………」

アドンは少しだけ私を見たけどすぐに視線を遠くに戻して壁にからだをあずけた。
さっきみたいにゆっくり目を閉じる。
まるで、もうにどと起きる気がないみたいな、ちからのない顔……寂しそうな顔……。
アドン……。


「いつか、クリフトが言ってたね…」

――戦うしか、手はなかったのでしょうか……――
――戦いのほかにデスピサロを止める方法はないのでしょうか?――

「ねえアドン……。戦う以外に、方法はないの…?」
「…………」

「……もう、疲れた……」

目を閉じたままアドンは小さく答えた……。

「…………」
「…………」
「…………」

「ねえ……待ってほしいの……」
「…………」
「戦う以外の方法を、私に探させてほしいの」
「…………」
「ねえソロ、私に時間をちょうだい」

――お願い――

「いやなの。私はなんにもしてない。なんにもしないでただ戦うのはいや」

322従者の心主知らず ふたつでひとつ 8/23:2016/07/20(水) 22:21:29 ID:PbXFkvGE
――探したい――

「なんにも方法が見つからなくて、結局戦うことになったとしても、それでも、
自分のちからで納得いくまでせいいっぱい探したいの」

――お願い…――

私はみんなに頭を下げた。
みんなはしばらくだまってたけど、まるで打ち合わせしたみたいに返事をくれたの。

「行くときはいつも一緒だろ」
「どこまでもお供いたします」
「付き合ったろうじゃないの」
「…………っ」

みんながいっせいに受け入れてくれた。
思わず涙が出そうになって私はいっしょうけんめいまばたきする。
ぐっとこらえて顔を上げた。

「ん……」

みんな笑顔で私を見てた。優しい笑顔……
私もなんだか嬉しくなって気がついたら笑顔になってた。

「ありがとう……」

――ありがとう……――

私はアドンとスライムを見た。

「アドン……スライム……」
「…………」
「……」
「お願い、もうすこしだけ待ってて……」
「…………」

スライムも笑顔でうんって、いつまでも待ってるよって返してくれた。
私も笑顔でありがとうって返す。

323従者の心主知らず ふたつでひとつ 9/23:2016/07/20(水) 22:25:09 ID:PbXFkvGE
「アドン……あなたも、待ってて……」
「………………」

「なにを…?」
「え?」

アドンはすこしだけ目を開けて言った。

「これ以上、なにをまてばいい…?」
「…………」

――あの方はもう、どこにもいないのに……――

「ロザリーさま……」

消え入りそうな声。ふるえた声……。アドン、泣いてるの…?
アドンは少しだけ上を向いた。

「いずれにせよ、お前たち人間は遅かれ早かれピサロ様に滅ぼされるのだ。
それだけはずっと先送りにしていたのに、望んだのはお前たち人間。
そのザマを見届けるのも、悪くはないな……」
「…………」
「は、はは……ざまあみろ……はは…ははははは……!」

――滅びろ、人間…!!――

アドンが笑ってる。私たちをあざ笑ってる……。でも私は知ってるの。
アドンはほんとは笑ってない。ぜんぜん笑ってない。
ほんとうはふるえてて、苦しんでて、つらくて、寂しくて、それでもいっしょうけんめい笑ってみせる、
私はそんな人をなんにんも見てきたの。
私はアドンをぎゅってした。

――アドンは泣いている――

「っ……」
「姫さま……」

私はアドンを包みこむようにぎゅってした。
背中に、腰に、腕をまわしてアドンの肩に顔をうずめる。

324従者の心主知らず ふたつでひとつ 10/23:2016/07/20(水) 22:28:47 ID:PbXFkvGE
「…………」
「うっ……ぐすっ……ふぇぇ…っ…」
「…………」
「ふぇぇええええん…っ」

アドンにとって、ロザリーはほんとうに大切な人だったんだ。
私にとってのお父さまやお母さまみたいに。お城のみんなみたいに。今いっしょに旅してるみんなみたいに。
クリフトみたいに……。
たとえ自分が死んだって守りたかったくらい、ほんとに、ほんとうに、だれよりも大切な人だったんだ……っ。

「ごめんなさい……っごめんなさい……っっ」
「………………」

――助けられなくてごめんなさい…っっ――

「ごめんなさいぃぃ……っっうぇぇええええん…っっ」
「………………っ」

アドンの息が乱れた。
肩がふるえて……からだがふるえて……。

「うわぁぁああああん…っっっ」
「っ……っ」

アドンも私をぎゅって抱きしめかえしてきた。

――さびしい……さびしい……たすけて……――

アドンがしゃべってるわけじゃない。でもアドンの声が聞こえてきた。

――ひとりにしないで……わたしをおいていかないで……――

アドンはふるえてた。
ふるえるからだで、腕で、いっしょうけんめい私をぎゅってしてた。

――わたしもそこへいかせてください……あなたのおそばにいさせてください……――

…………。

325従者の心主知らず ふたつでひとつ 11/23:2016/07/20(水) 22:32:30 ID:PbXFkvGE
「……っ……ぐすっ…………っ」
「……………………」

ピサロと戦わなくていい方法……
アドンをもういちど笑顔にする方法……
私、必ず探してみせる。

――ぜったいに探してみせる――

「アドン…」

私はアドンをやさしく呼んだ。アドンが少しだけびくってなる。
小さな声で呼んだんだけど耳もとに近すぎたみたい。

「私を待ってて……。必ず戻るから」

私は顔を上げてアドンを見つめた。
きっと涙で顔がめちゃくちゃだったと思うけど、気にしないでアドンをまっすぐ見つめた。
アドンも泣いてたのね。やっぱり泣いてた……。
涙にぬれた目で私をぼんやり見てる。

「ピサロが人間を滅ぼすまえに、必ず答えを見つけて戻ってくるから。
だから、それまで待ってて」
「…………」

アドンはうなずかない。私をぼんやり見つめたまま。ちからのない目……。
私はふと思い立って、耳飾りをひとつはずした。

「これ、あずけてく」

アドンの手をとって持たせる。

「キラーピアス。ふたつでひとつなの。片ほうあずけてくから、私が戻ってきたときに返して」
「…………」

アドンは手に乗ったキラーピアスをぼんやり見つめる。
私はアドンをまっすぐ見つめてもういちどやさしく言った。

「必ず戻るから、ここで待ってて……」
「………………」

326従者の心主知らず ふたつでひとつ 12/23:2016/07/20(水) 22:36:05 ID:PbXFkvGE
それでもアドンはうなずかなかった。


「もちろん私は戦うのが大好きなんだけど……
戦う以外に物事を解決する方法があるなら、それにこしたことはないわ。
……ううん、そうほうが、きっといいんだわ……」

私はいっしょうけんめい考える。どうすればいいか考える。
後悔しないように……。

「この分だとデスピサロは本気であたしたち人間を滅ぼすつもりでしょうね……。
あーーんっ!ホントにどうすればいいの!?ミネア、いいアイデアない?」
「私に聞かないでよ。
……だって、ロザリーさんはもう死んでしまったし……どうしようもないわよ……」

エルフをいじめるような人間こそ地獄に落ちちゃえばいいのに……
ミネアがそうつぶやいたのが聞こえた。

「約束……生まれ変わって……あ、私もうホントにダメです。うっううっ……」

トルネコ……話を聞いただけなのに。

「考えてみましょう。考えればきっと別の道も見えてくるはずです」

クリフト……。

「ねえ、ロザリーにザオリクってできなかったの?」
「できない事情があったみたい。もともとエルフって「今からでもやったらどうよ」
「……もう日にちもたっているし……どっちにしたって消滅してしまうのが関の山よ」
「そこをさー、あのかたっくるしい町のじーさんとかマスタードラゴンとかがさあ、こう、ちょちょいとちょいと」
「姉さんって本当に……」
「……なによ」

どうしてみんな、いっしょに考えてくれるんだろう。
なんで……。
ブライはずっとだまってた。よろず屋のおじいさんとなにかむずかしい話をしてきたみたい。
ライアンもなんにも言わなかった。腕を組んでうつむいて、なにか考えごとしてる。
ライアン……。

327従者の心主知らず ふたつでひとつ 13/23:2016/07/20(水) 22:40:01 ID:PbXFkvGE
――あの者に同情はしますが、われら人間もおとなしく滅ぼされるわけにはいかんのです――
――デスピサロが人を滅ぼそうとする限り、こちらも命をかけて戦わねばなりませんぞ――

いつか話してたライアンの言葉がまだ胸に残ってる。ライアンは今何を思ってるんだろう……。
ほんとうは今すぐにでも戦いに行きたいんじゃないかな……止めに行きたいんじゃないかな……。

――被害が出るまえに……――

ソロもずっと腕を組んでだまってる。
その沈黙がなんだか重苦しくて、私は思わず声をかけちゃった。

「ソロ……」

ソロがゆっくりこっちを向く。

「その……ありがと……」
「…………」
「付き合ってくれて、ほんとうにありがとう…」

私は改めてお礼を言ってしっかり頭を下げた。
大事なごあいさつをするときは言葉を終えてからおじぎをすることって教わったの。
だから……

「アリーナ」
「…………」
「ありがとな」
「え?」

ソロが組んだ腕をほどいて私のほうを向いた。

「お前が止めてくれなきゃ俺はアドンを殺してた」

…………。

「お前も気づいてたか?」

「あいつ、隙だらけだった。動きにぜんぜん切れがなかった。ふざけてんのかって思うくらい。
あいつ、最初から俺たちを殺す気なんかなかったんだ」
「え…?」
「殺す気がないんなら戦う意味なんかないのに、そういう無駄なことあえてするタイプ。
あいつはさ、俺たちに殺してほしかったんだよ」

328従者の心主知らず ふたつでひとつ 14/23:2016/07/20(水) 22:44:08 ID:PbXFkvGE
――最初からアリーナ姫を斬る気はなかったのですね……――
――……お前こそ、とんだ期待はずれだったな……――

「…………」
「かたちだけでも使命を守ったって、デスピサロのために戦って死んだって、そういう結果を残したいんだろうな。
俺が殺さなくてもあいつはどっかに死に場所求めに行ってたと思うから、同じ死ぬんなら俺の手で死なせてやろうと思ってた。
それしか考えてなかった」

…………。

「俺さ、もうどうしようもないと思ってたんだ。
もしかしたらまだ他に何か方法があるかもしれないなんて、考えもしなかった。
探すまえからあきらめてた」
「…………」
「ありがとうな」
「ううん…」

ソロが少しだけ笑って話すの。
でも、私はなんだか胸が苦しくて、切なくて、ソロをまっすぐ見ることができなかった。
なんでだろう……ソロは言葉を続ける。

「お前、なかなかやるな」

「あいつ、使命とか約束とかに弱い、そういうの律儀に守るヤツだから。
お前がキラーピアス引き取りに行くまでは生きてると思う。きっとあそこでお前を待ってると思うよ」
「え……そうなの?私そこまで考えてなかった……」
「そうなのかよ」
「……うん……」
「…………」

「お前、前に言ったろ。魔族はみんな同じだと思ってたって」
「…………」
「そう考えてたのは俺のほう」

――残忍で、卑劣で、自分のことしか考えてねえ――

…………。

「けど、デスピサロのために戦いながら俺たちも生かそうとする、あんなヤツもいるんだな」

329従者の心主知らず ふたつでひとつ 15/23:2016/07/20(水) 22:49:34 ID:PbXFkvGE
ソロ……。
誰にも何にも聞いたわけじゃないのに、ソロはいろんなことに自分から気づいて変わってく。
ソロってすごいな……。
私もソロみたいになれるかな。自分からいろんなことに気づいて動けるようになれるかな……。
なりたいな……。

私たちはひとまずそのままロザリーヒルの宿屋に泊まることにした。
明日にはもういちど何か方法がないか天空城やゴットサイド、エルフの里に行ってみるんだって。
きっかけはマーニャの一言……私はマーニャに、みんなに、改めてお礼を言った。


「クリフト……」
「……はい、姫さま」

ご飯も終わって寝るしたくもととのって、私はクリフトに声をかけた。
クリフトは相変わらず仕切りの外で見張ろうとしてる。
だから声もかけやすいっていったらかけやすいんだけど、もう無理はしないでほしいのにな。
でも私もちゃんと休むようにしますからって結局見張りをやめなかったの。

「守ってくれて、ありがとう…」
「姫さま…」

私はクリフトにもお礼を言った。ソロにしたみたいに言葉を終えてから頭を下げる。
アドンは最初から私たちを殺す気はなかった。
でもそれは後からわかったことだしクリフトが守ってくれたのは確かだから……

「それから……」
「…………」
「アドンを傷つけないでくれて、ありがとう……」
「………………」

――殺さないでくれて、ありがとう……――

「………………」

ソロはアドンを殺すつもりだった。でもあのとき私を守ってくれたクリフトは……
クリフトはアドンを攻撃しなかった。
あんな状況で、私だけじゃなくアドンも守ってくれたんだって、ソロと話してたときはっとしたの。
だから……

330従者の心主知らず ふたつでひとつ 16/23:2016/07/20(水) 22:54:54 ID:PbXFkvGE
「……姫さま……」
「……ん……?」
「…………」

「少し……外に出ませんか……」
「え?」
「……少し、外の景色を眺めに行きませんか?」
「…………」

クリフトは私をまっすぐ見てる。なんだかいつものクリフトとちがう…?
なんだろう、私はよくわかんないけどいいよって返した。寒くないように上着を用意する。
クリフトもありがとうございますって言ってブライにお断りを入れに行った。
じいもいつものように口うるさくお説教しなかったみたい、クリフトはわりとすぐ戻ってきた。
遠くには行くなよって言われただけだったって。

私たちは並んで外を歩く。教会の明かりで外はほんのり明るい。
よろず屋のおじいさんはまだお店にいるみたい。ミネアやじいと何を話したんだろう。
塔も明かりをつけてるのかな、窓から少しだけ光がもれてる。
アドンもスライムもちゃんと寝てるかな。眠れてるかな……。
寒いかと思ったけどわりとあったかい風が吹いてて上着は必要なかった。

「姫さま……」
「ん、なに…?」

クリフトの声がいつもより低い気がして私も返事が小さくなっちゃった。

「……アドンさんのことが、気になるのですね……」
「え…?」

――私を待ってて……。必ず戻るから――
――キラーピアス。ふたつでひとつなの。片ほうあずけてくから、私が戻ってきたときに返して――
――必ず戻るから、ここで待ってて……――
――アドンをもういちど笑顔にする方法……――
――私、必ず探してみせる――
――ぜったいに探してみせる――

…………。

「……うん……」

331従者の心主知らず ふたつでひとつ 17/23:2016/07/20(水) 22:58:53 ID:PbXFkvGE
クリフトが少しだけ寂しそうな顔をした気がした。クリフト?

――……かないでください……――

クリフト…?
クリフトはすぐ視線を切ってうつむく。なにか考えてる……。

――せめて私は、何を失っても変わらない自分でいられるよう、いつでも神の教えを説ける自分でいられるよう――

「クリフト?」

あなたは今なにを考えているの…?

「たとえ……」
「…………」

――たとえあなたを、……としても……――

クリフト…?いつもの独り言なの…?でも、どうしてこんなに……
再び顔を上げて私を見たクリフトは優しく笑ってた。
でも私はなぜか胸がぎゅってしめつけられた。前もこんな笑顔をどこかで見た気がするの。
どこで…?

――……クリフト……――

どこで……。

――…………。ひめさま…――

そう!ミントスで倒れたクリフトにパデキアを飲ませようとしたとき!
あのときクリフトは笑って私を抱きしめたの。
ううん、寄りかかったっていったほうがいいくらいぜんぜんちからが入ってなくて……
お薬を持ってきたのっていっても、もう大丈夫だから飲んでっていっても、ぜんぜんパデキアを飲んでくれなくて。
飲ませようとしても口から出てしまって……むせてしまって……
ぜんぜん飲みこめなかったの。
自分で飲めないなら飲ませてやるしかないって、口うつしでゆっくり流しこんでやんなさいって、
マーニャが言ってくれなかったらクリフトはパデキアを飲めなかったかもしれない。
もうほんとうにからだがよわってたんだ……。
からだがよわると食欲もなくなって、飲みこむちからもなくなって、ほんとうになんにもできなくなるんだって知った。
あのときとおんなじ笑顔……?

332従者の心主知らず ふたつでひとつ 18/23:2016/07/20(水) 23:02:31 ID:PbXFkvGE
――ひめさま……――

苦しくて、切なくて、つらい、胸がしめつけられる……

――クリフト…!!――

「寄りそってくださる方がいて、アドンさんはきっと心強かったと思います」
「ダメ、クリフト」
「?…」

私はクリフトをまっすぐ見て言った。

「今なにを考えているの?」
「……」
「教えて。ちゃんと教えて」
「…………」

クリフトはおどろいた顔して私を見てる。でもなんにも答えない。
しばらく待っても答えない……。
とまどってるような、ためらってるような、何かを言いたいけど言えない……そんな気がした。
私はたまらなくさびしくなってクリフトをぎゅって抱きしめたの。

「姫さま…」
「やだよ…」
「……」
「また私を置いて遠いとこに行こうとしないでよ…っ!」
「…………」
「やだよ…っ」
「…………」

声がふるえそうになるのを必死にこらえて私は言葉を続ける。

「なにを考えてるのかちゃんと教えて…っ」
「………………」
「教えて……」
「………………っ」

クリフトがいきなり私を強く抱きしめかえしてきた。

――ひとりにしないで……わたしをおいていかないで……――

え?

333従者の心主知らず ふたつでひとつ 19/23:2016/07/20(水) 23:07:06 ID:PbXFkvGE
――わたしもそこへいかせてください……あなたのおそばにいさせてください……――

え…?
アドンと、おなじ声…?
え、でもこれは、クリフトの声…?

「遠くへ行こうとしているのはどちらなのか…」
「……」
「それは……」
「…………」
「それはこちらのセリフですっ!!」

クリフトは私をもっと強く抱きしめてきた。
え?なに?どうして?

「クリフト…?」
「行かないでください……」
「…………」
「どこにも行かないでください……」
「…………」

クリフトはずっと私を抱きしめてる。ぜんぜん身動きとれない。息もうまくできない。
クリフトってこんなにちからあったっけ……?ううん、たぶんそうじゃなくて……

「クリフト……?」
「…………」

クリフトは今度は何も答えない。ただ私をぎゅってしてるだけ……
クリフト……。

「…………」
「…………」
「………………」

クリフトはひとりで旅に出るのが寂しいから私についてきたんだと思ってた。
今でもそう思ってる。
私といっしょにいるのは、私がいっしょに強くなろうねって約束したのと、強くなって私を守りたいのがあるから。
それは、私が姫でクリフトが家来だから。
守るのがイヤになるほど私のことキライなわけでもないから……。
じゃあ、なんで私、こんなにドキドキしてるんだろう。
なんでクリフトはいっつもこんなにあったかいんだろう。いい匂いがするんだろう。

334従者の心主知らず ふたつでひとつ 20/23:2016/07/20(水) 23:10:35 ID:PbXFkvGE
「申し訳、ありません……」
「…………」

クリフトが私から離れようとする。
あ……

「いいよ!」

私は思わず叫んでもういちどクリフトをぎゅってした。クリフトが少しだけびくってなる。

「いいよクリフト、離れなくていいから」

私はクリフトをもっとぎゅってした。
立ってるから肩に顔をうずめられない。いっしょうけんめいクリフトに胸に顔をうずめる。

「っ…」

クリフトのとまどいが伝わってきた。でも私はかまわずクリフトをぎゅってした。
もっとぎゅうっ!

「私はどこにも行かないわ。今までといっしょよ。なんにも変わらないわ。
だからクリフトもどこにも行かないで。今までといっしょでいて」
「…………」
「変わらないでいて……」
「………………」

私は顔を上げてクリフトにお願いした。クリフトはやっぱりまだびっくりしてる。
私、泣いてないわよね。だいじょうぶよね。
自分が今どんな顔してるかちょっと気になったけど、かまわずクリフトをまっすぐ見つめた。

「どこにも行かないで……」
「………………」
「…………」
「……………………」

「………………はい……」

クリフトが小さく、でも返事をしてくれた。

「…………ん」

335従者の心主知らず ふたつでひとつ 21/23:2016/07/20(水) 23:15:03 ID:PbXFkvGE
でも抱きしめる腕にちからを込めてる。ちょっとふるえてる…?
まるで離れたくないって言わんばかりに。
なんでだろう……私はどこにも行かないのに、なにをそんなに心配してるんだろう……。
わかんない……今日のクリフトはやっぱりいつもとどこかちがう……。

「キラーピアス……どうなさいますか…?」

クリフトがぽつりとつぶやいた。

「え?」
「とても気に入っていらっしゃった武器ですよね。
ひとつだけでは効力をじゅうぶんに発揮できないでしょうし……
炎のツメに替えられますか?」
「あ……」

そっか!そうだったわ!

「どうしようクリフト」
「…?」
「うーん」
「……え?」
「でも今さらアドンにやっぱりべつのにしてちょうだいっていうのもなんかくやしいし」
「…………。あの…」
「どうしよう…」
「あの、姫さま」
「ん?」

クリフトは口を開けたり閉じたりあっち見たりこっち見たりしててすぐに次の言葉が出てこない。
ん?

「……それを、承知の上でアドンさんに渡したのではなかったのですか…?」

やっと次の言葉が出たクリフトは心から不思議ですって言わんばかりの口調で聞いてきた。
ん??

「ううん」

私はすぐ答える。
さっきソロにもなかなかやるなって言われたけど……

336従者の心主知らず ふたつでひとつ 22/23:2016/07/20(水) 23:24:11 ID:PbXFkvGE
「私なんにも考えてなかった」
「…………」
「どうしようクリフト……」
「………………」
「あ、また買えるかな。私お金どれくらい持ってたっけ」

私はいっしょうけんめい思い出す。
最後に買い物したのはいつだったっけ。でもお金の管理は結局クリフトに任せたままなのよね。
だからやっぱりクリフトに聞くのがいちばん早いわけで。

「えーと…」
「……く……」
「?」
「はははは……」

クリフトが声を上げて笑ったの。ほんとにおかしそうな笑い声。

「うー…」

いつまでも笑ってるクリフト。

「っもう、そんなに笑わなくたっていいじゃない」
「いえ、その、申し訳ありません、くくくく……」

――浅はかで、本当に申し訳ありません……――

クリフトが笑ってるの。
さっきみたいに胸が苦しくなるような笑いじゃなくて、心から笑ってるような気がしたの。
それもなんでだろう。私がうっかりしてたのそんなにおかしかったかなあ。
クリフトが元気になってくれたのは嬉しいけど……
なんだったんだろう。さっきはどうしてあんなに思いつめたような感じで……
クリフトがまた抱きしめる手にちからを込めた気がした。
でも今度はなんだか優しくて……さっきとはまたちがう感じ……なんだか包みこまれてるような……
なんだろう、なんだかからだがむずむずしてきちゃった。

「ねえクリフトー」
「はい、姫さま」
「ちょっと、ちょっとさ、くっつきすぎじゃない?」
「…………」

337従者の心主知らず ふたつでひとつ 23/23:2016/07/20(水) 23:28:47 ID:PbXFkvGE
さっき抱きしめられて抱きしめかえしてからけっこう長い間くっついてるのよね。
寝るときくっついてるのはよくあるけど立ったままくっついてるのはそんなにないわ。
今日のクリフトはやっぱりちょっと変。

「姫さま…」
「ん?」
「…………」
「んー?」

「どうか、もう少しだけ、このままで……」
「え?」
「どうか……」
「う、うん…」

クリフトはずっと私をぎゅってしてる。
なんだかほんとうにクリフトらしくないわ、こんなにずっとぎゅってしてるなんて。
でもクリフトはあったかいしいい匂いするし、ぎゅってされるとすごーく安心するのよね。
私ももういちどクリフトをぎゅってした。クリフトが私の肩に顔を寄せてくる。
……どうしよう、今夜もいっしょに寝てってお願いしよっかな。
ベッドはせまくなるけど起きて見張ってるよりずっとからだが休まると思うの。
それにそばにいたほうがお互いもっと守りやすいわよね。うん、やっぱりお願いしよっと。

「ねえクリフトー」
「……はい、姫さま」
「あのね」
「……はい」

――――


夢の内容は変わらない。
私は急いでデスピサロの手を取ろうとかけつけるけど、いっつも間に合わない。
なにか変わったことがあったとしたら、それは
私もクリフトもデスピサロのことをいつの間にかピサロとも呼ぶようになってたこと。
夢から覚めたときとなりで私をぎゅってしたまま寝てるクリフトを見て
もしかしたらぜんぜん大した夢じゃないんじゃないかなって思えるようになってたこと。
だからだいじょうぶ。きっといい方法が見つかるわ。よし、明日はまず天空城!

338従者:2016/07/20(水) 23:34:06 ID:PbXFkvGE
なんとなく今回の戦闘シーン>>318-321をゲームシステム的に書かせてください。
通常では60〜70ダメージほど受けるピサロナイトの攻撃ですが今回は受けても20ダメージ前後、
命中率も落ちており2回に1回はミスする仕様です。静寂の玉不使用、アイスコンドルも呼びません。
防御力も武装していないため皆無に等しくHPも療養中のため全回復していません。
通常なら2〜3ターンで倒せる状態ですが倒さずにいると6〜7ターンほどで自動的に戦闘が終了、
もう一つのイベントへと移る分岐ルートとしています。(今回そちらに進みました)
どうにもピサロナイト編は前置きが長くなり申し訳ないです。ご覧いただいた方ありがとうございました。
お疲れさまでした。

>>313
フレノールでは偽の姫に蓄えを差し出そうとした老人もいましたしサントハイム領地では
税(金品)を納める→生活をよくしてもらう、という循環として捉えられそうでしょうか。
タンス漁りでクリアリ……その発想はなかったwとっさではこんなのしか浮かばんかったですw
下ネタ注意。

「クリフトー、こんなものが見つかったわ!これ持ってっていいかしら。あったかそう!」
「そ、それはステテコパンツ!」
「おっきいからおなかまで包んでくれそうだわ!寝るとき履いてみよっかな」
「ま、ま、待ってください!いくら古着でいらないものをいただくとはいえ
男の履きふるした下着を姫さまが履くなど!」
「え、あ、下着なの?そっか……。見ず知らずの人が履いた下着じゃ抵抗あるわ」
「……ふう」
「じゃあクリフトのステテパンツ……」
「なにをいってるんですか!それとステテコパンツです!そもそも私はそんなもの履きません!」

339従者:2016/07/20(水) 23:37:42 ID:PbXFkvGE
今さらで恐縮ですが>>295を一部訂正したいのです。微々たるものですが……

とうとうここまで来よったか。しかし今では遅すぎたようだな」

とうとうここまで来よったか、ソロよ……。しかし今では遅すぎたようだな」

FC版ではエビルプリーストは名前を呼んでいて印象的だったのにPS版ではなぜか削られていて残念なので……
何度もお手数ですが脳内補完をお願いします。では長々と失礼しました;

340従者:2016/07/21(木) 00:49:20 ID:yaG5si.Y
よく考えたらアリーナ一行はお忍びの旅でした。
>>338の循環はなしです。何度も失礼しました;

341名無しさん:2016/07/22(金) 01:52:41 ID:X4hsGj4I
乙です。
長いのを投稿すると分割投稿ですから手間だけで大変ですね。
時間をかけて投稿していることに頭が下がります。
とは言え連続投稿制限の厳しすぎる2chと比べれば大幅に楽になっているはず。
掲示板を使う以上は仕方がないと割り切るしかない手間なのでしょうね。
手間を減らそうと思ったら1回の投稿を長くするしかなさそう。
wikiのお方の手間も含めて少しでも楽になればと願うばかりです。

342名無しさん:2016/07/23(土) 03:13:56 ID:kuOVHd0I
ホイミンと一緒に歩んできたライアンのように、種族の壁を難なく乗り越えた例もあるからこそ
悪化する一方のデスピサロというか魔族との関係は悩ましいですな
そういった難題に直面するパーティーの苦悩が、若いアリーナを中心に描くことで引き立ち、
クリアリとしても深みのあるものになっていくのですな
Good Jobと申し上げる他ありますまい

343名無しさん:2016/07/25(月) 02:56:09 ID:kSeeJz0U
何故か分かりませんがホイミンは念願の人間になれたんですよね。
しかし人間になったホイミンは、ライアンさんを目の前にしても「ライアンさまに どうか ぶじで たびをつづけられますよう おつたえください。」と言います。
人間になった代償なのかは不明ですが、記憶か視力がだいぶ欠損しているようで、本当にハッピーになれたのか分かりません。
ハッピーに見せつつも、種族の壁を越えることは簡単ではないと暗喩しているのかも知れませんね。

ドラクエの世界には御伽噺では済まされない現実の壁もあって、なかなかご都合主義では回っていきません。
そんな現実に直面しながら、アリーナとクリフトは何を話しながら進んでいくのでしょうね。

344名無しさん:2016/07/25(月) 04:55:04 ID:kSeeJz0U
あ、ホイミンとライアンさんはどの版でも会わないんでしたっけ。
それも寂しいですが。

345名無しさん:2016/07/26(火) 02:38:40 ID:nIekQaNc
訪問者を徹底的にもてなすモンゴルのように、ドラクエも訪問者を徹底的にもてなす文化?
または四国のお遍路さんへのお接待に似た文化?
そうであれば、訪問者がタンスを勝手に開けて何かを持っていくのが普通という文化もあり得る?
訪問者専用の自由にお持ちください的な引き出しがたまにあるとか?
そう考えていけばタンス漁りは理解できなくもない

壷割りでさえ、壷が自動で復活する世界という前提条件でなら説明はつく
古い壷は力のある人が割って新しくしてあげるのが親切なんだろう

346名無しさん:2016/07/28(木) 00:43:04 ID:XuvfRudQ
FC版をやっていた当時、なんでピサロナイトを倒さなきゃいかんのかと思ったもんです。
ピサロナイトを倒されたことをロザリーが気に留めないのもどうなのと思ったもんです。
そのあたりを補完してくれるお方には乙です。

347名無しさん:2016/07/29(金) 20:54:15 ID:ouJixA8M
2章では結果的に進化の秘法に加担してるんです
さらにロザリーの護衛を消すことでピサロ発狂へと追い討ちをかけてしまいます
そんな後味の悪い流れが二次創作によって晴れるならありがたい

348従者:2016/07/29(金) 21:56:41 ID:hDaD7Hlg
また誤字がorzなんでいつも投下したあとから見つかるしorzorz
今回またレスだけで失礼します。

乙やGood Job本当にありがとうございます!
長い原因の一つは台詞の前後で空行を入れているのもあるんですよね……。
私の手間は問題ないですが皆さんの手間が……
読者さんはもちろんwiki管理者さんの手間も半端なく。。。
もし載せていただけるならどうかwiki管さんの手間の少ない方法でお願いします。
いろいろとお手数おかけします;

349従者:2016/07/29(金) 22:00:13 ID:hDaD7Hlg
短編集「知られざる伝説」ではホイミンは旅の途中で亡くなりライアンに土葬されているようです。
魂の状態で白髭の老人(マスタードラゴンの仮の姿)に魔物はどんなことがあっても人間として転生させないのが決まり、
人間として転生させることはできぬが新しい身体、人間の肉体を与えてやることは可能と言われ、
死んだ詩人の身体に入って人間として生きてはみないかと提案を受けます。
ホイミンは、ライアンさんは誇りなくして戦士たる自分は生きている意味はないと言っていた、魔物の自分にだって誇りはある、
この身体はこの人のもの、魂を自由にできる力があるならこの詩人の魂を元の身体に戻してあげてくださいと言い断ったところ
もし誘いに乗っていれば未来永劫地獄の業火の中で苦しまねばならなかったと返され結果的に詩人として目覚めることに。

ホイミンは嬉しそうに外に出ていくライアンを見ただけのようですね。
ホイミンがあえてライアンに会わなかったのは結果的に詩人に憑依してしまったことを恥じていたためか、
今は人間でも死んで魂になれば再び魔物として転生するという宿命から歩み寄りへの躊躇が生まれていたためか……
短編集自体がFC版時代のものですし憶測の域を出ませんが、いろいろ考えていくと奥が深そうです。
前に予告していた純クリアリにてアリーナとクリフトが現実の壁について話す描写がありますのでまたご覧いただけたら嬉しいです。
推敲急ぎます。

ピサロナイトにも反応いただき感謝です。
クリアリのために存命ルートにさせていただいた以上できる限りの伏線は回収していくつもりなのでまたよろしくお願いします。
(ヒーローズでちゃっかり登場しているようですし実は生きていた説もあっていいかもしれんです)

350名無しさん:2016/07/29(金) 22:11:52 ID:gm2jzxyY
>>349
知られざる伝説もわりと適当というか、あれは公式同人みたいなものだと思ってます…
ホイミンの話は良かったですけどね

351名無しさん:2016/07/30(土) 08:56:26 ID:PAV7Cvc2
公式設定とみなせるかどうかは分からないが、
たった1回の選択によって未来永劫地獄の業火の中で苦しまねばとか、
この時期のマスタードラゴンには狭量さが目立つね
下界で幸せに暮らすのが気に入らんって程度の理由で親の命を奪ったんだし、
ソロはマスタードラゴンをどう見ていたのか
アリーナたち仲間もどう見ていたんだろうね

352名無しさん:2016/07/30(土) 09:06:15 ID:yAKI7ZJA
苛烈でも何でも、神としてそれくらいの威厳あっていいんじゃないの
少なくとも勇者の母が掟を破ったことは事実なわけだし
それを「いいじゃんいいじゃん、かわいそうじゃん、見逃せよ〜」は
あまりにも都合が良過ぎ、甘え過ぎな勝手理論だと思う
その後マスドラは残された子供のことを気にかけていたんだし
むしろそんな情すら本来なくていいくらいだ

353名無しさん:2016/07/30(土) 20:15:28 ID:CK7fqENw
見逃すか殺すかの2択しかないっていう極端な思考方法は危険だと思うよ
他の選択肢だってあるじゃないか

ドラクエ5の人間界で暮らすマスタードラゴンはなんで無罪なんだろうか
それこそ、あまりにも都合が良すぎだし、甘え過ぎな勝手理論だよ
自分が守らないことを誰かが破れば殺す、果たしてそれは威厳なんだろうか
悪いけど、俺はそうは思わないな

後で子供のことを気にかけるくらいなら親を殺すのは浅はかな行動でしかなく、
そういうマスタードラゴンには威厳でなく危なっかしさを感じる
違反者を殺せば威厳ってわけではなく、恐怖政治と威厳は違うよ
どこぞやの国の将軍様や首領様を見れば明らかじゃね?

ドラクエ4の時点では人間を見下した若くて未熟で独善的な神だよ
ただ最後、天空城への誘いを蹴る勇者にムッとしながらも許可してるし、
何百年後のドラクエ5では随分と視野を広げて成熟してる
マスタードラゴンだって成長途中のキャラとして描かれてるんだよ
未熟さがあればこそ、舞台装置化せず魅力のあるキャラになってる

354名無しさん:2016/07/31(日) 04:53:12 ID:YXWGpEuA
うーん・・・
私としては、掟を破ったのは母君なのに殺されたのは何故か父君ってのが釈然としないんですけど。
それでも父君を殺したことを妥当と考え、威厳まで感じるお方もみえるのですよね。
感性は人それぞれですね。

クリフトとアリーナ、そしてブライも、それぞれ違う感じかたをするんでしょう。
そこからどんなクリアリになるのか考えるのも悪くないですね。

355従者:2016/07/31(日) 11:10:01 ID:.IwaCRws
PS版のセリフをなぞらないSSいってみます。
時期はイムルでロザリーが亡くなる夢を見てから数日後、アリーナ視点です。
結界のほこら編より前となります。順序がめちゃくちゃで申し訳ない;

前に予告していた純クリアリ、やっと完成しました。
(純といっても単に前置きがさほど長くないだけで本当に純かどうかはわからんです;)
一応抱擁シーンがあります。

wiki管さん、もし載せていただけるなら今までの分も含め投下順そのままでお願いできたらと。
時系列はめちゃくちゃですが一応それなりに考えてのめちゃくちゃといいますか
つまり何が言いたいのかわかりませんがどちらにしてもお手数おかけしますお世話になります……

SSが長い原因となっている台詞の前後の空行なのですが、
どうにも私自身がSSを見直すとき一律に密集した文体だと読む気がなくなる性分でして;
(皆さんのSSは楽しく読めるのになぜか自分のはダメなんです;)
皆さんにとってはどうなのかわからず恐縮ですが、どうか空行はそのままでお願いしたく……
他の点でなるべく端的に手間なくおもしろく読み終えられるよう心がけていきますので
何とぞご容赦を、よろしくお願いいたします。

356恋なのか愛なのかそれとも 1/12:2016/07/31(日) 11:14:23 ID:.IwaCRws
――なぜ人間は変わらない……?――
――だれもがみな平和を望みながら罪をおかし、命をうばう――
――口をそろえて主張するいのちの尊さは、同族、身内、自分、だけなのか……?――
――ならばなぜ平和を望むのか。幸福を望むのか……――
――わからない……――
――人間よ――
――わたしはもうお前たちのことがわからない――


従者の心主知らず 〜恋なのか愛なのかそれとも〜


夢を見たの。
私たちは巨大な怪物と戦っているの。その姿はエスターク。
けど戦ううちにどんどん姿を変えていって、最後に変わったのは人の姿……
魔族の姿のデスピサロだった。

デスピサロはちからなく手を伸ばす。
何か言おうとしたみたいなんだけどそれは声にならなくて。
聞き取れなくて……。
私は思わずデスピサロの手を取ろうと走るのだけど、いっつも間に合わないの。
手が届きそうになったときに目が覚める。
私の手は届かない。

あれはたしかにデスピサロだった。
魔族の姿の……ピサロだった。
寂しそうな顔をして、うつろな目をして、何かを言おうとしてた……
あれはピサロだった……。
ずるいわ。
今までさんざんひどいことしてきたのに。たくさんの命をうばってきたのに。
これからだってうばおうとしてるのに。
ずるいわ…っ!

――最初から最後まで悪いヤツだったらよかったのに…っ!!――

もうこの夢をさんかいも見てるの。ずっとおんなじ夢。
私はひとりで夢のことを考えるのがいやでクリフトにぜんぶ話した。
ただの夢だって思いたかったんだけどあんまりおんなじ夢を見るから……。
そしたらクリフトは真剣に聞いてくれたの。
お父さまは夢で未来の出来事を知ることができたかもしれない、
だからもしかしたら私が見るこの夢にも何か意味があるのかもしれないって。

357恋なのか愛なのかそれとも 2/12:2016/07/31(日) 11:18:22 ID:.IwaCRws
結局ロザリーは見つけられなかったの。
前にイムルの宿屋でロザリーの夢を見たことがあったからまた泊まってみようってなって。
けどそこで見たのはロザリーが人間たちに殺される夢だった。
ピサロがすぐかけつけて人間たちをけちらすんだけど間に合わなくて……。
そこでピサロは……人間どもをひとり残らず根絶やしにしてやるって叫んでた。
たとえこの身がどうなろうともって……。
ピサロは泣いてた。すっごく泣いてた……。泣きながらロザリーをぎゅって抱きしめて……
ピサロのあんな泣きくずれた顔、初めて見た……。

ソロは捜索願いを出していたブランカ、バトランド、ボンモール、それぞれへ
行方不明者は発見されましたって、ご協力本当にありがとうございましたって伝えた。
捜索は打ち切られた。

ソロはふるえてた……。

人間は、自分の手で滅びの運命を選んだの。けどそのことに気づいてない。
知らない。
世界中のほとんどの人間たちが、そのことを何にも知らないまんま滅ぼされるの。
だから、それだけは止めなくちゃ。止めなくちゃ……

「姫さま……」

クリフトの優しい声にはっとする。私、考えごとしちゃってたみたい。

「……言いにくいことを教えてくださって、ありがとうございます」
「……ん……」

私は小さく返事をすることしかできなかった。
なんだか頭の中がもやもやしてる。

「……姫さま、今のどの調子はいかがですか?」
「え?」
「普通に声を出せますか?」

いきなりクリフトに言われて私はとりあえず発声練習するみたいにあーって言った。

「……大丈夫のようですね」
「?」
「いえ、以前王様が夢の話をされたときお声が出なくなったことがありましたから」
「あ…」
「今回は大丈夫のようです。本当にあれは、誰のしわざだったのか……」
「うん…」

358恋なのか愛なのかそれとも 3/12:2016/07/31(日) 11:24:26 ID:.IwaCRws
お父さま……。
お父さまたちはまだ戻ってきてない。エスタークを倒しただけじゃダメだったの……。
おとうさま……。
クリフトもすこし遠い目をした。

「……デスピサロは、ロザリーさんの名前を呼ぼうとしたのかもしれませんね」
「え?」
「…………」

そんな気がします、クリフトは小さくそうつけ加えた。
ロザリーの名前…?
なんでわかるんだろう……もしかしたらクリフトはデスピサロの気持ちがわかるのかな。
クリフトは遠くを見たままだった。私はずっとクリフトを見てた。

「姫さま……」

やっとクリフトがこっちを向いた。優しい目で私を見る。

――この話は、ここだけにしておきましょう――

「ライアンさんもおっしゃっていました」

――あの者に同情はしますが、われら人間もおとなしく滅ぼされるわけにはいかんのです――
――デスピサロが人を滅ぼそうとする限り、こちらも命をかけて戦わねばなりませんぞ――

「そして、ブライさまも……」

――勇者どのしかり。苦しくともくじけぬ者はいくらでもおります――
――何であれ悪の道に走るは罪。逃げにすぎんとこのじいは思いますがな――

「いかなる理由があろうと、人を傷つけていい理由にはなりません。
これから戦う敵には、悲しい最期が待っているかもしれないと伝えたところで、ただただ……
皆さんの士気を下げるだけかもしれません……」

…………。

「姫さまのお気持ちは、このクリフトがしかと受け止めました。
これからも、ずっと忘れず、失くさず、一生をかけて受け止めていきます。背負っていきます。
ですから……」

――ふたりでいっしょに、抱えていってはいただけませんか…?――

359恋なのか愛なのかそれとも 4/12:2016/07/31(日) 11:28:24 ID:.IwaCRws
…………。
手を胸に当てて話すクリフト。私をまっすぐ見て話すクリフト。
本気で話してるんだってことがすっごく伝わってくる。クリフトは本気なんだ。本気で……
クリフト……。

「……うん……だれにもいわない」
「…………」

クリフトが少しだけ笑ってくれた。私もめいっぱい笑ってみせた。
気持ちはきっとすっきりしない。
でもクリフトが話をぜんぶ聞いてくれて、いっしょに秘密も抱えてってくれる。
だからだいじょうぶな気がした。前に進めそうな気がした。

「あの夢ね、いっつも私たちが勝つの。
どんどん姿が変わって強くなってく気もするんだけど、最後にはぜったい私たちが勝つの。
それはつまり、これから戦うあいつにだってぜったい勝つってことよね!」

私は元気よく言ってみせた。そしたらクリフトが笑ってうなずいてくれたの。
私もなんだか嬉しくなって気がついたら笑ってた。心から笑えたような気がした。

「ありがとう、クリフト…」
「……い、いえ……」

ちょっとびっくりした顔をしてクリフトは目をそらした。あれ?
たまーにあるのよね、私が笑うと目をそらすクリフト。なんでだろう。
……どうしよう、今夜はいっしょに寝てってお願いしようかな。
クリフトといっしょに寝ればもういやな夢を見なくてすむような気がするの。
どうしよう……うん、やっぱりお願いしよっと。

「ねえクリフト」
「……はい、姫さま」
「あのね」
「……はい」
「今夜は……」
「…………」
「今夜はいっしょに寝てほしいの」
「姫さま…」
「おねがい…」
「…………」

360恋なのか愛なのかそれとも 5/12:2016/07/31(日) 11:32:06 ID:.IwaCRws
「いや、あの…」
「クリフト?」
「この流れでそれはちょっと、あの…っ」
「?」
「私のほうが、その…っ」

なんかクリフトあわててる?

「前ソロにいったらいいっていってくれてたわ」
「ソロさんが!?」
「うん。じいだってもうそんなに口うるさく言わなくなったじゃない」
「…………。そ、それで……ソロさんは、なにか言っていましたか…?」
「ん?」
「なにか、そのことに対して……」
「んー、朝飯までには起きてこいよっていってたかな」
「………………」

「……あああ……」

クリフトは手で顔を隠した。
ん?

「そうですよね、普通はそういう意味でとらえますよね…っ」
「?」

後でソロさんに誤解を解いておかねば、クリフトが小さくそう言ったのが聞こえた。
クリフト…?

「姫さま…」

クリフトが私のほうをちらっと見る。でもしっかり見ないの。見てくれないの。
さっきのクリフトとはぜんぜんちがうクリフト。なんかあわててるクリフト。

「ひとつだけ、確かめたいことがあるのです…」
「……なに?」
「………………」

クリフトは次の言葉を言うのにとまどってるようだった。
でも今度はちゃんと私のほうを見て言った。

361恋なのか愛なのかそれとも 6/12:2016/07/31(日) 11:36:13 ID:.IwaCRws
「私たちはもう、子どもではありません」
「……」
「もし人恋しいだけならば、マーニャさんやミネアさんでもいいではありませんか。
普段とても仲良くお話をされていますし」

うらやましいほどにってクリフトは小さくつけ加える。

「なぜ、その……」
「……」
「私を……」
「……」
「わざわざ、私を……」
「…………」

クリフトは私を見たり下を見たり私を見たり、ちょっとあっち向いたりしてる。
落ち着かないクリフト……。
クリフトは、なにが言いたいんだろう。子どもじゃないから…?子どもじゃないなら……

「子どもじゃなかったら、もうクリフトといっしょに寝ちゃいけないの…?」
「い、いえあの…」
「クリフトはもう、私といっしょに寝るの、いやなの…?」
「っ……」

――子どもだった私じゃないと、いやなの…?――

「そ、そんなわけありません!とんでもないことです!なにをそんな当たり前のことをおっしゃるのですか!!」
「ん……」

あわてて否定するクリフト。前にもこんなことあった気がする。
いっしょに寝るっていうとクリフトはいっつもさわいだりあわてたり抵抗したりする。
でもいやともいっつも言わないしいざいっしょに寝てもほんとにいやじゃないみたいなの。
クリフトのほうからぎゅってしてくることもあるしずっとくっついてることだってあるし。
じゃあ、なんで…?なんで最初はいっつも……

「じゃあ、いいじゃない…」
「そ…っ」
「……」
「……っ…」
「……」
「………………」

「………………はい……」

362恋なのか愛なのかそれとも 7/12:2016/07/31(日) 11:40:09 ID:.IwaCRws
クリフトは結局私といっしょに寝てくれた。

「また流されてしまいました…っ」
「?」


「クリフトー…」
「…………」

「はい、姫さま…」

あ、クリフトまだ起きてた。なぜかほっとする。
明かりを消したらお部屋が真っ暗なまんまでなんにも見えなかったの。
小さな窓はあるんだけど今日はくもってるのかな、明かりがそんなに入らなくて。
ソロとじいが寝てる音は仕切りの向こうからなんとなく聞こえてくるのに
となりでクリフトが寝てても起きてるのか寝てるのかわかんなくて。
でも返事のあと少しだけこっちを向いてくれた気もしたからなんだか一気に安心した。
私は思わずクリフトをぎゅってする。

「っ…」

クリフトの息が小さくもれた。
そんなに強く抱きしめたつもりはなかったんだけど、もしかしたら苦しかったのかな。

「ごめん、痛かった…?」
「い、いえ…」
「そう…」

でもクリフト、少しこわばってる気がする。なんでだろう。いつものかたまるクリフトかな。
私はもういちど、今度はやさしくぎゅってした。そしたらクリフトも私をぎゅって返してくれたの。
特になにをいうでもなく伸ばされたクリフトの腕に頭を乗っける。クリフトのうでまくら。
クリフトはそんなつもりなかったのかな、ちょっととまどったような感じだったけどもういちどぎゅってしてくれた。
クリフトのうでまくら、安心する……私はもうちょっとだけクリフトにすり寄った。

「……不安、なのですね……」
「…………」

「うん…」

なんでわかるんだろう。わかっちゃったんだろう。
なんでクリフトはいっつも私の心を読んだみたいに話してくるんだろう。当てられちゃうんだろう。
私もクリフトの心を読んだみたいに話せたことあるかな。当てられたことあったかな。
なんだかくやしいな……。

363恋なのか愛なのかそれとも 8/12:2016/07/31(日) 11:45:04 ID:.IwaCRws
「姫さまがどのような決断を下されようと、どこに行かれようと、私はついていきます。
共に考えますし、共に悩みますし、共に迷います。姫さまは決してひとりではありません」

――どうか、おそばに……――

クリフトの抱きしめる腕にちからが入る。まるで包みこまれてるみたい。

「ん……」

からだのちからが抜けてく。ぎゅってしがみつかなくてもクリフトはどこにも行かない。
ほんとうにだいじょうぶなんだ。クリフトはほんとうにずっとそばにいてくれるんだ……。

「ありがとう……」

私はクリフトの胸もとに顔をうずめた。
クリフトあったかい。すっごく安心する。今夜はぐっすり眠れそう。
またクリフトの息が小さくもれた気がした。

「本当に、私たちはいったい……」
「?」

なにかつぶやいたあとクリフトは私の頭に顔を寄せたみたい。ずっとくっついてる。
クリフトは私が寝るまでずっとくっついたままだった。

「クリフト?」


夢を見る。またおんなじ夢……。
でも私のすぐよこにクリフトがいた。優しく笑って私を見てる。
まるで大丈夫って言われた気がした。
私も気がついたら笑ってた。みんなでいっしょに崖をのぼってく。
今度は堂々とのぼってく。

――私は決してひとりじゃない――

戦ううちにどんどん姿を変えていくデスピサロ。最後はやっぱり魔族の姿に戻る。
ふらふらと足もとがくずれ、ちからなく手をのばすデスピサロ……。
私はデスピサロの口もとを気をつけて見てみたの。
クリフトがもしかしたらロザリーの名前を呼ぼうとしたのかもしれないっていってたから。
そしたら……

364恋なのか愛なのかそれとも 9/12:2016/07/31(日) 11:49:01 ID:.IwaCRws
「……ロザリー……」

呼んでた……。
ピサロはやっぱりロザリーって呼んでたの。
クリフトの言ったとおりだった……。

――……ロザリー……――

でもロザリーはいない。もういない……。
私はやっぱりピサロの手を取ろうと走る。でもやっぱり間に合わなくて……


目が覚めたらクリフトはもう着替えててベッドのあっち側に座ってた。
お祈りしてるみたい、ロザリオを握りしめて目を閉じてた。
私がずっと見てたのに気づいたのかな、少ししたらクリフトはロザリオを離して私のほうを向いた。

「姫さま、おはようございます」

クリフトが笑顔であいさつしてくれた。

「うん、おはよう」

私も笑顔で返した。
私のほうが早く起きるときもあるんだけどそれはほんとにたまーにで、だいたいはクリフトのほうが早いの。
荷物もまとまってる、もう出かける準備万端なんだ。
なんだかちょっとだけくやしいような、さびしいような……なんだろ、よくわかんないや。

「クリフトの言ったとおりだったわ」
「?」

私はさっそく夢でわかったことを話した。

「ピサロはロザリーって呼んでたの」
「…………」

お部屋がいっしゅんしんとなった気がした。
私ははっとしてとなりでソロやじいが聞いてなかったか気になったんだけどクリフトがそれは大丈夫って。
ふたりともちょうど近くにはいなかったみたい。よかった……。

「……やはり、そうでしたか……」
「……うん……」

365従者:2016/07/31(日) 11:52:42 ID:.IwaCRws
今さらですみません!
このあとさらっとですがアリーナの言葉に残酷、鬱描写があります。
注意書き忘れました;
すみませんご覧の際にはお気をつけください;;

366恋なのか愛なのかそれとも 10/12:2016/07/31(日) 11:56:30 ID:.IwaCRws
…………。

「ねえ、どうしてクリフトはピサロの言ったことがわかったの?」

昨日話を聞いただけなのに。

「クリフトは、ピサロの気持ちがわかるの?」
「…………」

クリフトはしばらくだまってたけどそのうちぼんやりと遠くを見つめた。
まるで独り言みたいに小さくつぶやく。

「ピサロ……さんが……」
「…………」

――ロザリーーっ!!ロザリーーーーっっ!!!――

「他人とは思えない瞬間を、あの夢で見ましたので……」

――ロザリーーっ!!――
――ピサロはベホマをとなえた!――
――しかし何もおこらなかった――
――ロザリーーーーっっ!!!――
――ピサロはベホマをとなえた!――
――しかし……――
――許さん……!許さんぞ!人間ども!――
――たとえこの身がどうなろうともひとり残らず根絶やしにしてやる!――

…………。

「ねえ……」

私はふと思い立ったことがあってクリフトに聞いてみた。

「もしピサロの気持ちがわかるなら、どうすればいいのかな。やっぱりただ戦うしかないのかな」
「…………」
「もちろん私は戦うのが大好きなんだけど……こてんぱんにやっつけてはやるつもりだけど……」
「…………」
「でも……」

ふとクリフトが優しい顔をした気がした。嬉しそうな顔にも見えた。
でも少しだけ寂しそうな顔にも見えた。クリフト…?

367恋なのか愛なのかそれとも 11/12:2016/07/31(日) 12:01:20 ID:.IwaCRws
「もし、ピサロ……さんが……」

クリフトが静かに話しはじめる。ゆっくり……。

「ピサロさんが、私と同じだったなら……」
「……」
「彼は今、悔やんでいると思います」
「……悔やんでる…?」
「はい」
「…………」

――愛する人を守り切れなかった自分の無力さを、不甲斐なさを、心から悔やんでいると思います……――

…………。

「しかし時間は戻らない。死んだ者はよみがえらない……」
「…………」
「だから……」
「…………」
「……戦うしか……」
「…………」
「………………」

そこから先が続かない。クリフトはだまったままうつむいてしまった。クリフト……。
なんでだろ、私はふと思い出してる光景があったの。あれも夢だったんだけど……。

いつか見た夢……
コナンベリーへ向かう途中の砂漠で倒れた私に必死に呼びかけてたクリフト。
あのときクリフトも何度も何度も倒れてる私にホイミしてて、でも私のケガは治らなくて。
すべての敵をザキやザラキで、剣で、殺してたの。逃げようとする敵にまでザキしてた……。
血まみれの手で気味の悪い笑い方をしてて、まるでクリフトじゃないみたいだった。
怖かった……。
あれは夢だったけど、もし私が本当に倒れたら、現実のクリフトもああなるのかな……。
それはイムルの夢で見たピサロといっしょ……だから、もしかしたらピサロも……

目にうつるすべての敵のいのちを奪って、だれもいなくなって、ひとりきりになって、そして、
守れなかった人のそばに寄りそって目を閉じるの。たとえ砂漠に埋もれても、いっしょに……
きっと、いっしょにそのまま朽ち果てるの……。

あの夢はブライがクリフトをたたき起こして早く行くぞって言ってくれたから大丈夫だった。
じゃあ、ピサロは……

368恋なのか愛なのかそれとも 12/12:2016/07/31(日) 12:04:57 ID:.IwaCRws
――愛する人を守り切れなかった……――

え?

「…………」
「……?」

愛する人?
え…?

「姫さま…?」

…………。

「ううん、ごめん、なんでもない」
「?…」

なんだろ、なんかかんちがいしちゃった。
クリフトはピサロにとってのロザリーを愛する人って言ったんだわ。私じゃないわ。
なんだかいろんなことが一気に起こったから頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃったみたい。
私やっぱり考えるのは苦手だわ……。

「ごめん、ほんとになんでもないの。ちょっといろいろ考えすぎちゃって……」
「そう……ですか……」
「うん…」
「…………」

「朝食までまだ時間があります。もうひと休みされてはいかがですか?」
「…………」

「……うん……」

私はもういちどベッドにごろんてなった。

「クリフトー」

なんとなく手を伸ばしてみる。そしたらクリフトは少しだけ笑って手を取ってくれたの。
思いきって指をからませてぎゅってする。クリフトはちょっとびっくりしたみたいだけどぎゅって返してくれた。
クリフトの手、ほんのりあったかい……私は安心してまた目を閉じる。

このさきどうなるかなんて、どうすればいいかなんて、考えててもしょうがない。
行こう。前に進んでみよう。
答えはきっと頭の中じゃなくて、今目の前に広がってる世界にあると思うの。よし、行こう!

369従者:2016/07/31(日) 12:10:13 ID:.IwaCRws
改めて気づかされましたがつぼって割っても割っても元に戻ってましたね。
つぼやたる、花びんが自動で復活する世界……花が自動で定位置に戻る世界……
だから町の人たちも特に咎めないのだとしたらそれには大いに納得なので
何とか腑に落ちる解釈を見出したいところですが今のところ謎世界です。

>>350
わりと適当という点は大いに同意ですがそれを言ってはおしまいだw>公式同人
ホイミンの話よかったですよね。本編で再会くらいはしてほしかったです。
(なぜ教会に連れていかなかったのかという疑問はどうしても残ってしまいましたが;)

本編に支障のない範囲でこの短編集の設定も取り入れていますが
一部取り入れて一部なしという部分も出てくるかと思います。
抜け、矛盾も多々あると思うのでもし設定破綻がありましたら何とぞ教えてください。
この度は途中の注意書き本当にすみません。ご覧いただきありがとうございました。

370従者:2016/07/31(日) 12:14:08 ID:.IwaCRws
もうひと書きお願いします。

マスタードラゴンに関する皆さんの解釈がとても鋭くて一気に目が覚めました。
威厳ある(情すらなくていいくらいな)マスドラ、未熟で成長途中の魅力あるマスドラ、いいですね。
ところであの、皆さんの中で勇者の父を殺したのはマスタードラゴンで決定でしょうか。
私もずっとそう思っていたのですがそれを揺るがせやがったのがこの日記なんですよ;

天空人の日記があった。
ソロにも 読める文字で
書かれてあった。
禁をおかして 地に下りた彼女を
マスタードラゴンは どんなに時が
たとうとも お許しにならないだろう。
今に マスタードラゴンは もっとも
残酷なやり方で 彼女のしあわせを
うばうことだろう。
悲劇がおこる前に 地に下りた彼女を
私は なんとしても連れ戻すつもりだ。
それで どんなに憎まれようとも……。

これは一見するとああやっぱり勇者の父を殺したのはマスドラなんだな、と思うのですが
もう少しよく読んでいくともしかしてこいつが先に父を殺して彼女を連れ戻したのか?という……
PS版からなので後付け感が半端ないですが未だ意味不明で腑に落ちないんですよ……。

371従者:2016/07/31(日) 12:54:22 ID:.IwaCRws
もうやだorz台なしだorzorz
すみませんさっそく>>367下から12行目あたり訂正を……どう多く見積もってもやりでした;
いつも申し訳ないです……

>>367
すべての敵をザキやザラキで、剣で、殺してたの。逃げようとする敵にまでザキしてた……。

すべての敵をザキやザラキで、やりで、殺してたの。逃げようとする敵にまでザキしてた……。

372名無しさん:2016/07/31(日) 13:27:13 ID:YXWGpEuA
おお、乙です。
wikiのお方は完結したら掲載する方針でしたね。何年後に掲載されるのでしょうね。
順不同で書かれている場合は、書き手が完結宣言しない限り掲載されないのかも知れませんね。

>>370
その日記を読む限り、威厳のある統治者というよりは恐怖政治寄りで確定なんでしょう。
規則に沿った処罰ではなく怒りに任せた制裁をするタイプのようですね。
天空人が怯えるばかりで諌めようとしないのは、粛清が怖いのでしょうか。
一方で、ドラクエ5のマスタードラゴンは独善的なところがなくなり、まさに成長途中といった感じ。
いずれ落ち着いて威厳のある神様になるのでしょう。

373名無しさん:2016/08/01(月) 03:06:23 ID:pAhVVTgE
天空人の日記を素直に読めばその天空人は「彼女」の幸せを願っているわけで、勇者父を殺害したとは解釈しづらい気がするのですけど…
その天空人の行動が間に合ったという情報もなかったはずです
ただ、勇者父を殺害したのがその天空人だという解釈も試みられており、解釈方法の1つとして存在はしています

デスピサロを倒して平和になったのに、勇者の母らしき天空人は1人だけ泣いていましたっけ
一緒に暮らせないとしてもせめて名乗りたいところ、止められているのでしょう
マスドラが自分のやったことを隠蔽する以外の理由が見当たらないだけに、この時代のマスドラってどうなのかなと思うところです

ドラクエ5ではマスドラが地上でサボっていたせいで世界に危機が訪れましたが、マスドラは反省するどころかエンディングで再び人間に戻ってました
まだ遊びたい盛りなのか、神として世界を守ろうという意思は弱いようです
天空人が同じことをやったら殺すのでしょうけどね…それが威厳なんでしょうか…

ドラクエ5では学びたい(遊びたい?)盛りの若いマスドラ像が強調されているようで、まだ成長の途中なのでしょう
それを踏まえると、4のマスドラは若さゆえに独善と暴走を繰り返して怖がられている未熟な神と言えるのではないでしょうか
完璧じゃない若い神だから失敗も迷走もする…と解釈するのが妥当なようです
それでも自分と違う存在を理解したいと探究心を燃やす5のマスドラは、4よりも確実に成長しているし、これからも成長するでしょう

天空シリーズは目立ちすぎないようにマスタードラゴンの成長物語を仕込んであり、うまく作られていると感心させられます

374名無しさん:2016/08/01(月) 23:59:28 ID:STiv.c7k
あと初めて会ったときのマスドラ自身の台詞からも、当時のマスドラの性格が分かります
「私はここにいて世界のすべてを知ることができる。
お前たちがなぜ私に会いに来たかもすでにわかっている。」
ドラクエ5のときと比べるとかなり驕っていますし、自分を偉く見せて相手より上に立とうとしているのが分かります

日記から分かるように、気に入らないことがあるとキレて執拗に相手を苦しめようとします
違反者である勇者母ではなくなぜか勇者父を殺した挙句に、謝ることもありません
まだ自分中心に世界が回っていて客観的になれず、自己顕示欲とか虚栄心が強いお年頃なのでしょう

5では人間のことをもっと知るために人間として暮らしていました
自分には知らないものがあると認める余裕ができて、知りたいという要求に駆られています
癇癪持ちの独善的な子供が少し成長し、知らないことを知りたがる年齢になったのでしょう
リスクや立場をわきまえて我慢せずに欲求に身を任せてしまうところからも、まだ大人ではなさそうに思われます
まだまだ未熟ですが着実に成長の過程を踏んでいるので、立派な神様に近づいているとは言えます

4では中身が伴わないまま背伸びして偉ぶっていて、まだあまり魅力がありませんでした
5では成長途中の素直な若々しさが鮮やかに花開き、未熟ながらも魅力にあふれています

やっていることが神として失格なので、ネット上ではマスドラは随分と嫌われています
私としては、まだ未熟すぎてダメな子だけど成長しつつある若い神と解釈して見てほしいなと思います
子供だから許されるというものでもありませんが、子供に大人としての振る舞いを期待するのは無理というものです


勇者やアリーナたちがそこまで考えるとは思いませんけど、ブライは考えるのかも知れません

375従者:2016/08/02(火) 17:30:26 ID:enJ8MPmc
>>372
乙ありがとうございます!
ああ、全話が完結したら掲載する方針に変わったのでしょうか?
とするとこの従者シリーズ、たぶん完結はしないので……(少なくともヒーローズ2まではこのまま引きずる予定です;)
ふと思いついて途中挿入もあるかもしれませんし……どうしましょう。

特殊なSSで本当に申し訳ないです;(もともと保守ネタで始めたものでした;)

376従者:2016/08/02(火) 17:34:16 ID:enJ8MPmc
マスタードラゴンに関してですが、これは一つの憶測です。

>>370の日記の天空人が勇者父を殺害し彼女を連れ戻したと考えた理由は最後の一文「それで どんなに憎まれようとも……。」です。
もしそうだとしたら、当のマスタードラゴンはもっと残酷なやり方(彼女自身に制裁を加えるなど)を考えていたと予測されます。
(小説版では禁を犯した元天空人ジャコーシュ(エビルプリースト)は翼をもぎ取られ地上に捨てられました)
連れ戻しさえすれば悲劇は起こらないという何らかの確信を持っていたのだとしたら、
勇者父を殺害しその上で彼女を連れ戻すことで彼女自身への制裁を免れようとしたのだろうかと。

ただ、>>373さんもおっしゃるように言い回しから解釈しづらい部分もありますし
当の日記を書いた天空人らしき人物はどこにも見当たりませんし
元よりPS版からなので、マスタードラゴンが制裁を加えたという解釈を後押しするための伏線と考えたほうが妥当かもしれません。
ずっと腑に落ちなかったのですがなんだかすっきりしましたありがとうございます。

いずれにしても、マスタードラゴンが残された子供のことを気にかけていた点、
これもPS版からですが、移民の町へ向かう天空人たちには一切の制裁を加えていない点から、
本編内ですでに意識の変化が見られていないでしょうか。
禁を犯した立場でありながら残された子供のことを片時も忘れずにいる勇者母を十数年も見てくれば何らかの影響も受けるかもしれません。
自分ですでに私は完璧な存在ではないとも言っていますしね。

私自身がマスタードラゴンをどう捉えているかは今後のSSで(アリーナたちの動きで)バレバレになると思われます;
皆さんの素敵な解釈、いたるところで反映させていただくかもしれません、今とても楽しいです本当にありがとうございます。

377従者:2016/08/02(火) 17:51:54 ID:enJ8MPmc
>>376の憶測に追加ですが、子供への制裁も、ですね。

378名無しさん:2016/08/03(水) 01:56:38 ID:ACtTm6II
>>375
wikiのトップに書かれている掲載基準は、昔から全然変わっていないと思うのですが。
少なくとも、未完のものを原則として掲載しないという方針は数年前から書かれていました。
例外規定も昔から変わっていません。

あくまで原則ですので、wikiのお方の思うようにやっていただければ良いでしょう。
検索のことを考えれば更新の頻度を増やした方が良いのでしょうけどね。

379名無しさん:2016/08/04(木) 20:29:36 ID:49WBVCyg
>移民の町へ向かう天空人たちには一切の制裁を加えていない
短期間で掟が完全撤廃されるとは思えないし、有名無実化するとも思えません
スタッフの失念の可能性大では?

仲間会話などリメイクの追加要素の多くはノリで作られ、不整合もあるでしょう
というか、リメイクのスタッフが堀井さんが作った設定を知っているのか怪しいです
特に移民なんて、シナリオや設定を統括する人が見ているかどうかも怪しいです
ストーリーの本編とは関係ないはずの要素ですから

>自分ですでに私は完璧な存在ではないとも言っていますしね。
それ、完璧に近い存在と思わせるための、深層心理に誘導をかける台詞なんでは?
そもそも人間はマスタードラゴンなんて知らないので、完璧かどうかなんて知りません
そこで最初に「完璧だと思ってるはずだが、そこまででもないぞ」と線を引いちゃうことで、
自分への評価を完璧付近に固定しようとしてるんでしょう

実際には、正体不明のマスタードラゴンにプレイヤーが完璧寄りの印象を抱くよう、
堀井さんが設定した台詞なんでしょう
そんなことを言い始めたら身も蓋もないので、マスタードラゴンがそう言った意図を
考えていきたいもんです

380名無しさん:2016/08/05(金) 04:45:31 ID:733yTkNg
>>376-377
父親を殺して子供を残すというのは、勇者母を連れ帰る方法としては不自然だと思うのですけど…
母親なら父親のいない幼い子供を残して去るなんてとんでもないことなので、地上に残る強い動機を作ることになるでしょう
普通の母は子のためなら命を惜しまないでしょう

子の命を守るためと説得して天空城に帰らせた可能性もありますが、それだと勇者父を殺害する理由がありません
その気はなかったがアクシデントで勢い余ってやっちゃったとしても、夫を殺した人の説得に応じる母がいるのか疑問に思うところです
マスドラから直接的な通告(脅し)があったから地上に戻れないと考えるのが自然だと思うのです

あとマスドラの意識についてですが、4の時点ではほとんど変化がないと思われます
勇者母は勇者に名乗れないまま泣いて終わることから、勇者を守るために最後まで名乗れなかったと推測できます
本当にマスドラが勇者や勇者母を思うのなら、名乗ることを許可して後押しくらいはするでしょう
マスドラにとっては、勇者や勇者母の幸せよりも自分自身のイメージの方が大切なことだったのではないでしょうか

381名無しさん:2016/08/06(土) 10:43:44 ID:0vnWmmWg
そろそろマスドラ糾弾スレでも立てて、そこで存分に語られたらいかがでしょうか?

382名無しさん:2016/08/07(日) 03:03:25 ID:ion9ENeA
>>381
どのキャラがどう考え、クリアリにどう絡むんだろうとかいう問題提起も出ているわけで、
クリアリ絡みの話題って認識なんですけどね
このスレから追放しなきゃいけない理由がありましたか?

383従者:2016/08/07(日) 12:54:49 ID:bdg2MsJQ
>>378
あ、変わっていませんか。教えてくださりありがとうございます。
そうですね、wiki管さんの思うように……お願いいたします。

>>379
天空人の中にはマスタードラゴンの命令で地上世界のことを調べに来た者もいるため
(どうして急に地上のことを調べさせるのか不思議がっており
「ひょっとして 自分も 地上に 遊びに来るつもりだとか?……いや そんな まさかな。」
と発言するなど5への伏線と取れる描写が入っています)
失念というより先走った感がありましょうか。
地獄の帝王による危機を下界に住む者たちに伝えようとした者もいますが、夜には
「禁をやぶって 地上へおりた私を おゆるしください……うーんうーん。」とうなされているため
禁自体は変わっていないようです。あえて補完するなら
エスターク、第二のエスターク出現による混乱のため措置が遅れている、といったところでしょうか。

マスタードラゴンの実際の台詞はこうでした。そこはかとなく違いました失礼しました;
「しかし もはや 私にもデスピサロという者の 進化を 封じることはできぬ……。
お前たちが 思っているほど この私とて 絶対の者ではないのだ。」
図書館でも「マスタードラゴンでさえも エスタークを 封じ込めるだけで 消滅させることまでは できなかった。」とあり、
エスタークやデスピサロのほうがもっとすごいんだぞという印象を抱かせようとした感もありますね。
本編だけで考えるならマーニャやブライあたりが
「……天空の神さまも 知ってるなら 自分でちょちょいと やっつけちゃえば いーのに。」
「魔族でも 天空人でもない われわれに 西の洞くつに入れとは。まったく 次から次へと ムチャばかりさせよってからに。」
などと発言しており(ブライはマスタードラゴン宛てではありませんが)
あなたなら何とかできるんじゃないの?なんで前回エスタークを封じたみたいに今回もやってくれないの?
と問い詰められるのを防ぐために先に絶対ではないと線を引いたともとれそうです。

384従者:2016/08/07(日) 13:08:59 ID:bdg2MsJQ
>>380
あくまで憶測ですので……丁寧に対応いただき感謝です。
もしマスタードラゴンが父母子すべて処するつもりでいたとしたら、天空人が母を連れ帰るだけでは仮に母の命は救えても父も子も失います。
また本人を処するより大切な者を奪うほうが残酷という見解もあるので、父と子を処しもともと母は連れ帰るというやり方も考えられます。
(だから子が生まれるまで制裁を待った)
ただ、自分だけが生き家族すべてを失うのなら、たとえマスタードラゴンの通告(脅し)だとしても母も地上に残る道(死)を選ぶのではないでしょうか。
マスタードラゴンが手をわずらわすその前に天空人が動いたということ、父は自ら処し母は子と引き離す(連れ帰る)ことで
これからの命である子だけは生かしてやってもらえまいかと訴えた、でなければ父も子も(ともすれば母も)死ぬはずだったと考えるならどうでしょうか。

ただあの、私は別に勇者父を殺したのは天空人ではないかと説得させたいわけではないんです。
前回のレスで私の中ではすでに解決していますし……(やはりマスドラが妥当だと思います)
例えば天空城に戻らなければ子の命もない(戻るなら子のことを気にかけよう)などと言われれば泣く泣く戻らざるを得ないかもしれません。
どちらにしても当時のマスタードラゴンが残酷であったことは変わりないです。
小説版では記憶喪失の母が初産の際に記憶を取り戻し怖ろしくなって神を呼び、一瞥した神が過失で全員に落雷させてしまったことになっています。
(天空人には害のない光のようです)
子は落雷の光に耐えたため神は驚愕しこの子こそ云々……ただそれではPS版のあの日記「もっとも残酷なやり方」に矛盾するのでなんとも……
そもそもなぜ下界に下りることが禁なのでしょうかね。

マスタードラゴンは勇者に天空人として天空城に住むことを提案していますがその意図もどうなのでしょうか。
もし勇者が承諾していたら勇者母も母と名乗れたのかもわかりません。

>>381
も、申し訳ないです……。
マスタードラゴンでクリアリ……は今のところ浮かばないんですよね;(何を考えているのかよくわからない人物って難しいです;)
ここからクリアリに行けそうな何か、ありますでしょうか。

385名無しさん:2016/08/07(日) 14:31:29 ID:ion9ENeA
>>384
>マスタードラゴンでクリアリ……は今のところ浮かばないんですよね;
いや、「いたるところで反映させていただくかもしれません」と仰ってましたよね
原作準拠を心がける書き手がそう仰っているので、考察を深めるのもクリアリの糧と考えてます
クリアリと無関係な流れでマスドラ論が繰り広げられたらNGでしょうけど

386従者:2016/08/07(日) 16:08:02 ID:bdg2MsJQ
>>385
なんと、ありがとうございます!
先ほどの発言に語弊があったのでどうか訂正させてください。

マスタードラゴンが直接クリアリのきっかけとなるSSが今のところは浮かばないという意味でした。
ピサロ(デスピサロ)でクリアリ、ジャコーシュ(エビルプリースト)でクリアリは一部浮かんでおり
間接的にマスタードラゴンとの接触があるのでそこで反映させていただけたらと考えております。

お世話になります。

387名無しさん:2016/08/07(日) 23:16:27 ID:ion9ENeA
クリフトの価値観の核になっているものは宗教でしょう
クリフトの宗教上の神とマスドラが同じ存在なのかは分かりませんけど、
マスドラがどんな神なのかは、クリフトの価値観に影響することは確実でしょう

クリフトの価値観が揺れるところにアリーナやブライ、また仲間たちが関わっていくと、
どうなっていくのでしょうね
特に、クリフトの価値観の再構築にアリーナが関わっていくことがあれば、
クリフトとアリーナに新たな関係性が生まれていくんでしょう


ところで、「ここにいて世界のすべてを知ることができる」と自称するマスドラは、
その気になればロザリーが襲われてるときに雷を落とせたんでしょうね
それともマスドラさん、寝てたんでしょうかね

388名無しさん:2016/08/09(火) 03:00:02 ID:ZEOvh0Ok
雷を落とせるのなら、勇者たちが戦ってるときに加勢して雷を落としてくれればいいのに。
とか思いましたが、そうしたら正体不明の雷が降り注ぐ変なゲームになりそうです。

>>386
乙です。早くも終盤ですね。
いや後で戻るのでしょうけど。

389名無しさん:2016/08/16(火) 01:51:10 ID:Syv/LTDk
四半世紀経った今でも話題があることは良いこと
普通はもう話すことなんてないんだからさ

390名無しさん:2016/08/20(土) 03:03:26 ID:unx/PtM2
素朴な疑問を吐き出させてください。
ファミコン版のAIは杖などの攻撃アイテムを優先的に使うので、クリフトのザラキ連発って私はあまり見かけなかったんですよ。
クリフトのザラキが伝説化しているということは、杖とかをあまり持たせない方々が多かったのでしょうか。
私の場合は、クリフトには常に2種類以上は持たせていました。

391名無しさん:2016/08/21(日) 16:28:49 ID:uVSqAKio
私の場合は常にクリフトに最高の装備をさせ、力の種なども与えていたせいかと思いますが
ザキ系は一度も使わず、通常攻撃と回復以外の行動はありませんでした
スクルトも使ってくれませんでしたが…なんとか無事にクリアできた思い出があります

392従者:2016/09/01(木) 11:58:07 ID:CtYOGEig
私の場合は適度にザラキ神官でしたね。(杖はブライやマーニャ、ミネアに持たせていまして)
私自身があまり気にしなかったので伝説化していることに驚きましたがまあ確かにという感じで。。

従者です、出遅れました。
実はこの5年になから完結させていたSSをほぼ投下し終えまして、今また文章化段階です。
このまま6章へ進むかいったん2章エンドールへ戻るかも迷っていまして、同時推敲しているため
今しばらくお時間いただきそうです;
時々小ネタなど携えて顔は出しますので今後とも気長にお付き合いいただけると嬉しいです。

393従者の心主知らず:2016/09/01(木) 12:04:18 ID:CtYOGEig
ということで小ネタを一つ。ほのぼのです。
サントハイム地方にはほどよく四季があるという設定でお願いします。

「もうすぐ秋ですね、姫さま」
「だんだん涼しくなってくるのね!」
「秋はなんとも切なく、寂しさを感じさせる季節です」
「えーそう?」
「たくさんの命が儚く散っていく季節だからでしょうか……」
「私は秋大好きよ?お肉もお魚もお野菜も果物もたっくさん食べられる季節なんだもの!」
「姫さまそれ、いつの季節もおっしゃっている気が……」
「そしてうーんとちからをつけてからだを一から鍛えなおすの!」
「そうですか……」
「それにクリフトがいれてくれるお茶もおいしいからお茶の時間も大好きよ?」
「え…?」
「えーと、いつもいれてくれるあのお茶なんていったっけ?」
「え、あ、ああ、ハーブティーですね」
「そうそう、それティー!あのお茶ほんのり甘いだけだからお菓子がおいしいの!」
「そうなのですね。姫さまは甘めがお好みかと思い少しばかりハチミツを入れていまして」
「そうだったのね!とってもおいしいわ!あとお菓子もおいしいのばっかり!」
「お茶うけはしつこすぎずかたすぎず、適度な甘さとなめらかさがよいかと思いクッキーやサブレ、生チョコを」
「ふーん」
「……姫さま、どうかしましたか?」
「クリフトってすごいのね。また時間があるときはお茶をいれてちょうだい!」
「…………」
「ん?クリフト?」
「姫さま、感激でございます!このクリフト、いくらでもお茶をお淹れいたします!」
「やだクリフトったら大げさなんだから」

394名無しさん:2016/09/12(月) 21:45:27 ID:nNHGdL3M
>>393
書き込みテストを兼ねて、乙をお贈りいたします!

逆引きできないホストという規制でしばらく書き込めませんでした。
この投稿は成功するのかな…

395名無しさん:2016/09/15(木) 22:09:10 ID:rLFgGjvU
>393
乙です。
そういえば4に四季を感じさせる要素があったかどうか。寒い地域もあったかどうか。
どのような気候の世界なのか気になってきますね。

396名無しさん:2016/09/20(火) 02:45:05 ID:RFxxqJYo
そういや2chは規制だらけでしたなー懐かしい

397名無しさん:2016/09/30(金) 01:24:52 ID:aK65cUNs
突然ですけど、詩人のマローニってどんな声なんでしょうか?

シスターをも魅了し、旅の商人に安眠をもたらす美声のようですね。
毎日24時間体制で休まず歌い続けるスタミナも持っています。
物語の流れから、澄んだ声なんだろうなとは思います。
でも、声が高いのか低いのか、重いのか軽いのか。
ビブラートの利かせ方はどうなのか。

マローニをSSに起用しようと思ったんですが、声が分からないもので。

398従者:2016/10/07(金) 11:41:09 ID:tuj0D.s6
「クリフトー」
「ひ、姫さま…!…………!」
「な、なによクリフト。どうせまた扉は静かに開けてくださいっていうんでしょ」
「……お久しぶりでございます……」
「え……。なによこないだ会ったばっかりじゃない。ちょっと頭上げてよ」
「いえ、いえ……もう一週間以上もお会いしておりませんでした」
「あれ、そうだったっけ」
「先週は神学の講義がありませんでしたから」
「あー」
「今週は私の都合がつかずまたしばらくお会いできないところでしたので、その……」
「そういえば先週は見合いとか面会とか疲れることばっかりだったわね」
「み、見合い!?」
「うん、ただお話ししただけ。得意なことは必殺のキックっていってやったわ」
「……」
「で、いつもどおりお父さまとじいに叱られた。縁談はもちろんなしになったわ」
「…………」
「クリフトー、今日のクリフトなんかヘン」
「はっ!い、いえ……ともかく、扉は静かに開けてください。まずはそこからです」
「……ふふ」
「この度は、政務をお疲れさまでした」
「いいわよ労いなんか。でもやっぱり、お説教のないクリフトはクリフトじゃないわ」
「…………。姫さま……」
「ん?」
「その……私の説教を聞きに来たいがためにこうして扉を強く開けるわけでは……」
「?ううん、こうなっちゃうの」
「ですよねー。……静かにお開けくださいっ」
「あーはいはい」

399従者:2016/10/07(金) 11:45:20 ID:tuj0D.s6
遅ればせながら乙ありがとうございます。

>>395
四季はわかりませんが地図南端部にあるパデキアの洞くつは一面氷に覆われる寒い場所でしたね。
中央部(やや上部ですが)では暑いという台詞も聞ける砂漠のバザー、アネイル北の大砂漠、
海辺の村ではアリーナの日光浴発言にクリフトが恐らく肌を露出する姿を想像しただろうことから
同じく寒くはない地区かと思われます。
ただそうなると同じ南端部のモンバーバラ近辺にも寒さを思わせる場所がないとおかしなことになり
結局のところ本編だけでは四季も気候もよくわからないという結論に……どなたかわかる方いませんか。

>>397
おお!マローニでクリアリ!楽しみに待ってます!
本編では美しい歌声といわれているだけのようですね。
私も澄んだ声というのは同感です。個人的にはオペラ歌手のようなものをイメージしていましたが……
そこも含めて創造されてはいかがでしょうか。

400名無しさん:2016/10/07(金) 21:18:26 ID:QkPMN2K6
>>399
初秋の候、澄み渡る空に一筋の乙。

ああ、オペラ声だとイメージと真逆なのでSSにならなそうです。
遠くまで聞こえる大声で美しいとなれば、オペラ声と考えるのが自然ですね。
ヨーデル声とかも考えられますが、マローニとは絶対に合わなそう。
他のSSを考えてみますか。
何年も抱いて全く進まない構想ですから、行き詰まって当然なんです。

401名無しさん:2016/10/13(木) 20:46:46 ID:mnJRntbk
あの世界の詩人って吟遊詩人なんだろうね
ホイミンも吟遊詩人になったのかなぁ
ライアンさんに会わないホイミンは切ない声で歌うのかな
クリフトあたりが発見してくれないかな
ホイミンを軸に進むクリアリがあってもいいじゃん

402名無しさん:2016/10/22(土) 03:03:07 ID:jOWzGGrs
ホイミン絡みだと、ライアンをさん付けで呼びたくなりますね

403名無しさん:2016/10/29(土) 17:13:20 ID:010vyZJQ
人間になったホイミンが何かに悩んで教会に懺悔しに来て、
面識のないクリフトが対応し、アリーナも気まぐれで関わって、
あーだこーだしてるうちにクリアリの仲が進展

とかネタの種は思い浮かびますが具体的な物語にするのは
だいぶ難しいですね

404従者:2016/10/31(月) 18:34:20 ID:/R.Yqr2Y
「姫!またこちらにいらしたのですな!」
「あ、じい。じゃあねクリフト、またお茶をいれてちょうだいね」
「あ、はい、姫さま」
「こりゃ姫さま!」
「戻ればいいんでしょ!戻れば!」
「わかっておいでならなぜ抜け出そうとなさるのか!」
「あーはいはい、じゃあ今度はクリフトに来てもらうことにするわ」
「え…?」
「姫さま、姫さまー!」
「…………あの…」
「まったく、どうしてああもおてんばなのか」
「…………あの、ブライさま……」
「なんじゃ」
「つい先日縁談があったとうかがいました。その、城の者たちは……」
「一部の者しか知らん。おぬしにも伝えておらんかったな」
「……そう、ですか……」
「知らせんで正解だったわ。よもやあのような結果になるなど…!」
「……お察し、申しあげます……」
「会うだけ会ってみるとすんなり受けるから成長したかと思いきや。
……やはりここはおぬしにも協力してもらうしかないのかもしれんな」
「え…?」
「ちょうど姫さまもおぬしをそばに置きたがっているようだしの」
「そ…」

こうしてクリフトは事あるごとに玉座の間に呼び出されることとなる。

405従者:2016/10/31(月) 18:40:08 ID:/R.Yqr2Y
>>400
乙ありがとうございます!
アリーナの台詞「見合い」ではなく「お見合い」と言いそうですね。失礼しました。

ああ、ヨーデル声もいいと思いますよ。
マローニのあの外見ですと線が細そうですし女性っぽい感じもしますし。
本編ではっきりしないところは創造でいいのではないでしょうか。
構想が浮かんでもなかなか具体化できないSSってありますよね。。

ホイミンでクリアリ……実は本編クリア後(ヒーローズ前)に構想だけ浮かんでおりまして。

世界が平和になり少し落ち着くとやはり外に出たがるアリーナ。
あるとき外に飛び出してしまいクリフトが急いで追いかけ同行したところ
ホイミンを捜しに旅に出たライアンと遭遇する。
彼も同じく世界が平和になり落ち着いたからやっと捜しに行けるのだとか。

「ホイミンの顔だったら私覚えてるわ。いっしょにさがしましょう!」
「なんと…!かたじけない…っ」

「ホイミンはライアンのこと気にかけててライアンは旅に出てまでさがそうとして、なんかすごいな」
「お二人はとても深い絆で結ばれているのですね」
「きずなかー」
「無事会えるといいですね。そして今度こそずっといっしょに……」
「うん!」

「あれ…?私たちもずっといっしょに旅してるけど、私たちはどういうきずななのかしら」
「えっ…と……それは……」

とかいう。
皆さんのライアンとホイミンの話を聞いて以来どうしてもお二人に再会してほしくなり
そこにクリアリが関わって改めてクリアリの絆も見直すSSにできたら二重に嬉しいかなと。
とはいえまだ2章すら終わっていないこの従者シリーズ、投下できるのはいつになるやら;
どなたかSSにできる方いましたらお願いします。

406従者:2016/11/02(水) 11:14:27 ID:ZJSwBVY2
小ネタといいながらいつも続き物になってしまいすみません;
>>393>>398>>404の続きのようなものです。思い立ったときに投下しときます。

それと前に6章か2章か迷っていた件あのまま6章に進みそうです。
何かと賛否両論ある6章、気合い入れていきますのでよろしくお願いします。

407従者の心主知らず 1/2:2016/11/02(水) 11:18:30 ID:ZJSwBVY2
「クリフトを呼んでちょうだい」
「はっ!」
「これ姫さま、クリフトとていつでも暇なわけではないのですぞ」
「大丈夫よ。今日の午前中は空いてるっていってたわ」
「なんと!気まぐれで呼んでいるわけではなかったのですか!」
「うふふ」

「姫さま…」
「んー!やっぱりクリフトのいれるお茶おいしいわ!」
「えっ…あ、ありがとうございます。もったいないお言葉です……」
「それで、なにかいった?」
「あ、はい。先週の縁談のことですが、お相手はどのような方だったのだろうかと」
「んー?えーとね、なんか似顔絵がクリフトに似てたのよね」
「えっ…」
「だからクリフトみたいにお説教する人なのかと思ったらずっと笑ってるだけだったの」
「そんな、初対面で説教などしませんよ!」
「そうなの?」
「初対面でなくてもしない方はしませんし……」
「ふーん。ただ笑っているだけなんてつまんないの」
「え……。で、では姫さま、もし、もし縁談相手がその、わ、わた……わた…」
「綿?」
「いえっその!……他にどういった方なら会ってもよいと思われるのでしょうか」
「うーん、そんなのそのときになってみなくちゃわからないわ」
「そ、そうですよね」

「最近アリーナはクリフトをよく呼んでいるようだな」
「王さま、それがあやつの用意する茶や茶菓子が姫のお口にたいそう合うようです」
「ほう、そうか」
「幼なじみゆえに接しやすいというのもあるのでしょうな」
「なるほど」
「そこでクリフトからも姫さまをおいさめするよう言おうと思うのですが……」
「ふむ……」

408従者の心主知らず 2/2:2016/11/02(水) 11:24:20 ID:ZJSwBVY2
「ずっと座っているのってつかれるわ。クリフトを呼んでちょうだい!」
「はっ!」

「姫さまがまた家庭教師の前でいねむりしてしまったんじゃ。なんとかならんものか」
「まだ学問に興味が向かないのかもしれませんね……」
「まったく困ったものだ」

「姫さまが中央部の柱をけりこわしてしまってな……」
「ああ……あれはやはり姫さまでしたか……」
「もう兵士たちでは手に負えんほど強くなってしまったんじゃ。どうしたものか……」
「……」

「今日はクリフトは空いているかしら。空いてたら呼んできてちょうだい」
「はっ!」

「んー!やっぱりクリフトのいれるお茶おいしいわ!」
「あ、ありがとうございます。もったいないお言葉です……」
「ここで飲むのもいいけどやっぱり教会のゆったりした中で飲むほうがもっとおいしいと思うのよね。
また抜け出しちゃおうかな」
「えっ…」

「神よ……。私は今、天国と地獄が同時に訪れたような気分です。
姫さまとお近づきになれたことは嬉しい。姫さまの身近な情報をいただけるのも嬉しい。
しかし、笑顔で話される姫さまをおいさめせねばならないのは……」

「姫さまが寝室のカベをけり飛ばしおった」
「えっ?」
「ついに兵士長を打ち負かしての、この城で私にかなう者はいない、ちからだめしに一人旅に出るなどといっておるんじゃ」
「一人旅……。しかし、今は昼間も魔物が出るようになって……」
「そうなんじゃ。このご時世で外に出るのは危険。クリフト、おぬしからもいうてくれ。頼んだぞ」
「は、はい」

「姫さま……」

409名無しさん:2016/11/06(日) 04:04:15 ID:oaLHEJ4s
>>408
あれ、終わってたんですね。遅ればせながら乙です。

投下の直後にお見かけしましたが投稿途中と思ってスルーしちゃってました…
2/2って書いてますのにね…

410名無しさん:2016/11/08(火) 23:57:13 ID:r0RZB5tM
>>407-408
6章どころかスタートの時点まで戻ったのかの
ただいずれにせよ乙を免れることはできぬのじゃ


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