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投下用SS一時置き場

1名無しさん:2006/05/10(水) 23:41:46 ID:OKj1YCQ2
規制にあって代理投下を依頼したい場合や
問題ありそうな作品を試験的に投下する場所です。

639名無しさん:2006/06/30(金) 00:40:58 ID:ncvplmTs
>>634
回復魔法を使える者を探しに…、とか?
トルネコらのダメージは休むだけでどうにかなる程度じゃないしなぁ…。

俺はそんなの考えたんだけど、しかし、出会った相手がマーダーという可能性もあるし、
ダメージを負って満足に戦闘力のある状態じゃないのに動き回るってあまりに迂闊すぎる気がして没。

アレフと竜王で共闘させたいのにな〜。

640名無しさん:2006/06/30(金) 08:33:22 ID:136y9WhY
>>632>>639
まあ夜だからね。
昼間ならちょっとの距離でも見えるんだろうけど、そうもいかないし。
むしろほいほいキャラが出会いまくる方が不自然といえば不自然よね。

641名無しさん:2006/06/30(金) 12:49:04 ID:ro0pCUqY
竜王、ベホイミ使えなかったっけ?
モンスターズでの特技も使えたら夢が広がりんぐ

642 ◇axTZF499Ow:2006/07/01(土) 01:00:32 ID:bTeEb2YU
闇夜の住人

疲れて休もうかと森の中へと入り、休めそうな岩があったので足を下ろす。
 ふぅ、あちこち見るのも疲れるなぁ。
 草を踏み分ける音がする。そちらを向けた視線の先に、草を揺らしながら人がやってくる。
前後左右を気にしながら、こちらに、歩いていく少女が1人。
妙な帽子を頭に乗せている。
左手にはこれまた奇形の木の杖。
右手には鉄の・・・杖だろうか、それにしてはデコボコで変だ。
おまけに、歩き方がおかしい。
怪我でもしているんだろうか?
はっきりいって、あ・や・し・い。
とはいうものの、さっき会った者達よりは、弱そう。
 なんか、じっと見られテルヨウナ・・・。
警戒したほうがいいのだろうか?
わたし、ただの鴉だからなぁ。
どう見ても、普通の少女で怪我をしているかもしれない人だ。
 大丈夫だろう・・・多分。

デコボコした体の赤毛の少女がこちらを見ながら、杖を振る。
体を光の粒子が包みこむ。
 ボタ、ゴト、ボト。物が落ちる。
鏡が突然現れた!
じゃなくって、
おいおい、変身しやがったよこいつ!
「ガ、ガガー!」
鴉は混乱した!
まて、まてまて、ザックやら鉄の変な杖やらが、地面におちてますよ〜。
ああ、手がないから使えないんだな。
何故か、サイズが変わって頭に帽子だけは乗ってるけど。
そうだ、落し物ですよ〜。拾ったらお礼を・・・。
・・・いかん、冷静にならないと。

「カァ、カァ、カカァ」
こいつ何やら言っているらしいが、意味を為してない。
鴉には、明らかに人間の発音無理だって。
「アホー」
と、叫ぶのが精々だ。
 私の動揺を無視して、そいつはクチバシで咥え、杖を振った。
再び光の粒子が現れ、鴉を包む。
今度は青みがかった髪の女性が現れた。
「つ、使えませんわ」
不機嫌そうに言い捨て、落ちた荷物を拾っている。
その体には右半身に火傷。
誰かに傷つけられたのだろうか。酷いな。痛いだろうな・・・。
 
杖を振う。
光の粒子が舞う。
再び現れた赤毛の少女。
「せっかく、参加者を探すのに都合が良いと思いましたのに・・・フフフ」
突然の笑い声。
邪悪さに背中がザワリとした。
危険、危険。危険。
本能が叫ぶ。
だが、下手に動くと更にまずいかもしれない・・・!
くるりとこちらを向く。
怖い。その笑顔がぁ。ヒィイィィ。
「それにしも、大人しい鴉ですわね。空腹なのかしら?心配しなくても、私が沢山、食事を作っておいてあげますからね。」
作る?
「新鮮なうちに食べに来てくださいね。後、25人だったかしら?」
にん、人・・・。
あんな、食中り起こしそうな呪いかかってる奴らなんか食えるかーーー!!!
と、叫べたら良いのですが、ここは触らぬ神に祟りなし。
私、鴉ですから!うう・・・・情けない。
「鴉さん、ま・た・ね。」
にっこりと笑って、去っていく。

私は、彼女が闇夜に吸い込まれて姿が見えなくなるまで、ただ立ちすくんでいた。

【B-3/レーベ東の森/夜中】
【フローラ@DQ5】
[状態]:健康 ゼシカに変化 顔から右半身にかけて火傷の跡 徐々に火傷から痛み(最後に治療を受けたのは12時頃)
[装備]:山彦の帽子  毒針 ベレッタM92(残弾15)
[道具]:変化の杖(観察済のアレフ・ルーシア・ゼシカ・鴉の変身可能) マガジン(装弾数15)×1 神鳥の杖 エッチな下着 未確認(一つ)
[思考]:逃げたアレフを追い、殺す ゲームに乗る(ただしレックスのみ痛めつけて殺す)
     永遠の若さとリュカの蘇生を願う

※フローラの火傷には定期的な回復治療が必要です。
治療しないと半日後くらいからじわじわと痛みだし悪化します。
完治にはメガザル、超万能薬、世界樹の雫級の方法が必要です。

643名無しさん:2006/07/01(土) 01:09:18 ID:bTeEb2YU
あげ

644名無しさん:2006/07/01(土) 01:12:23 ID:N0IygakQ
ちょwwwwwwwwwww食事って参加者かよ!!
フローラテラコワス((;゚Д゚)ガクガクブルブル

645名無しさん:2006/07/01(土) 01:16:31 ID:N0IygakQ
今思ったけど、カラスに変身するのはちょっと強引だと思われ。
各世界のモシャスの定義にもよるけど。

646名無しさん:2006/07/01(土) 01:40:04 ID:gWfMrlug
爆弾岩に変身できてからすに変身できないわけがない。

647名無しさん:2006/07/01(土) 02:50:01 ID:f0S1cLXc
すぐ目の前にいる相手だし、結局使い物にならないから別にいいかなぁと思う。


ところで半日ってどれ位の時間?
24時間の半分の12時間なのか、それとも日のある時間の半分で約6時間程か。
日常で半日って言ったら、朝から昼過ぎまでとか、昼から晩までとか後者を指すよね?

話の都合で6〜12時間以内ならいつでもいいかな?



ところで、夜って普通に眠気や疲労が出ていいんだよね?

648名無しさん:2006/07/01(土) 07:43:01 ID:t9T7.w2w
> 変化の杖(観察済のアレフ・ルーシア・ゼシカ・鴉の変身可能)
フィオ、ローラ、ゴンを付け忘れてる

649NIGHT AND KNIGHT 1/9:2006/07/01(土) 16:00:18 ID:/QATV.ME
町の中は暗く、静かだった。夜空の星達は、この世界と『ゲーム』をただ見守っていた。

「この建物の中なら、安全そうです」
若き神官は、宿屋を指し、そう言った。
「そのようですね。早くおじさまの治療を……」
少女は、ぐったりとした魔物のような男を抱え、宿に入っていった。
「立てますか?」
「……ああ、何とかな」
左腕と左耳を失った男は、力なくそう答え、神官と共に宿に入る。

「おじさま……どうか死なないで…」
マリアは僅かに残された魔力で懸命にトロデに治癒呪文を唱える。クリフトもそれを手伝う。
クリフトに不審を抱きながら、ククールも自らに治癒呪文を唱える。

650NIGHT AND KNIGHT 2/9:2006/07/01(土) 16:00:54 ID:/QATV.ME
「う〜ん…はっ!わ、わしは…」
皆の魔力が尽きかけた頃だった。ただ一人を除いて。
「トロデおじさま!」
「トロデ王!」
「トロデさん……!」
先程までの重い空気を吹き飛ばすかのような歓喜の声が部屋に響き渡る。
しかしクリフトのそれは別のもののようだった。
(仲間の命が助かった事で彼等は安心しきっている。隙だらけ…ですね今が…好機か…)
クリフトは死の呪文の詠唱を始めようとした、が、止めた。止めざるをえなかった。
彼に向けられていた蒼く冷たい視線―
(まだ……信じてもらえないようですね)
「お前…まだ少し魔力に余裕があるようだが?」
冷たい視線の先から、声がした。
「……いざという時のために、多少は残しておいた方が良いと思いまして。いつ誰が襲ってくるか解りませんし…」
ふうん、とククールは納得がいかないといったような声を出した。
その隣に、先程意識を取り戻したばかりのトロデを心配そうに見つめるマリアの姿があった。
トロデは不完全とはいえ体力が戻った自分の体と、目の前の疲れた顔の王女を見て、彼女がどれだけ自分に尽くしてくれたかを悟った。
「マリア王女…」
「おじさま、喋らないで下さい!体力は回復しましたが、まだ完全ではありません。無理はなさらないで下さい。」
彼女にはもう魔力は残されていない。これ以上の回復はできないと思うと、悔しさで胸がいっぱいになった。

651NIGHT AND KNIGHT 3/9:2006/07/01(土) 16:01:40 ID:/QATV.ME
そんな彼女を見つめるククールに気づくのにそう時間はかからなかった。
「ククールさん……私の方をじっと見て…何ですか?」
「その杖…ちょっと貸してくれないか?」
ククールがじっと見ていたのは彼女ではなく彼女の手に握られたいかずちの杖だった。
「いいですけど、何に使うんです?」
「いいから見てろって」
彼は彼女の手から杖をひょいと取り上げる。そしてトロデ王を向く。
「ククールさん、一体何を!?」
「今、楽にしてやるぜ、トロデ王」
ククールは杖を握った右手を振りかざす。杖先に封じられた魔力が集まってゆく―
「もしや、貴方もこのゲームに…」
誰にも聞こえないような小さな声でクリフトはそう呟いた。

652NIGHT AND KNIGHT 4/9:2006/07/01(土) 16:02:32 ID:/QATV.ME
その杖から放たれたのは閃光ではなく優しい癒しの光。
「今のは一体…」
マリアは驚いた顔でククールを見る。本来あの杖には癒しの力などはない。他者を傷つけることしかできないはずの物がなぜ―
彼女の持つ疑問に彼はすぐ答えてくれた。
「杖の持つ魔力を引き出し、癒しの力に変える。『祝福の杖』って呼ばれてる技だそうだ。
……ま、中級治癒呪文程度の力しかないけどな」
トロデに杖を向けながら彼は言った。
「流石はわしの家臣じゃわい」
大分楽になったのか、いつもの調子でトロデが笑いながら言う。
「トロデ王の家臣になった覚えはないんだがな。ま、ここにいる間だけなら家臣になってやってもいいぜ?」
ククールも笑いながらそれに答える。
それにつられてマリアも笑う。

笑わない男が一人。彼等を殺そうとしている神官、クリフトだった。
体力も魔力もあまり残っていない集団を殺すのは簡単だと思っていた。
自身の魔力を使わずに癒しの力を使う事のできる『祝福の杖』の存在は想定外だった。
彼を驚かせたのはそれだけではなかった。

653NIGHT AND KNIGHT 5/9:2006/07/01(土) 16:03:42 ID:/QATV.ME
「トロデ王の家臣より、マリア王女を護る騎士になりたいけどな」
「それならわしがマリア王女を命をかけてでも護るよう命じてやるわい」
「ふふふ…お二人とも、仲がよろしいのですね」

何故、彼等は笑っていられるのだろうか―
さっきまでは話すことすらままならない状態だったはず
それなのに彼等は楽しそうに笑っている―

驚きは憎しみへと変わっていった。笑っているのはアリーナ姫でなければいけないのだ。
彼女の笑顔をもう一度見るためには目の前の笑顔を消さなければならないのだ。
彼は躊躇わなかった。彼女のためなら―
「神の御手よ、永久の眠りへと誘いたまえ」
マリアがクリフトの方を向く。
「貴方、その呪文は―」
遅れてトロデとククールもそれに気づく。
もう 遅い―
クリフトは勝利を確信した。今更魔封じの呪文を唱えても間に合いはしないだろう。
「死の腕に抱かれ眠れ―」

654NIGHT AND KNIGHT 6/9:2006/07/01(土) 16:04:39 ID:/QATV.ME
呪文を唱えようとしたその時、突然身体に激痛が走り、動けなくなってしまった。
(どうやら…麻痺してしまったようですね…しかし一体誰がどうやって…)
トロデとマリアも何が起こったのかわからずにいる。死の呪文の詠唱はほぼ終わっていたはず。それなのに何も起こらなかった。
ただ一人その答を知る人物が口を開く。
「警戒しておいて正解だったぜ。魔力を残しておいたのは、その呪文を唱えるためだったと言う訳か」
そう言った後、彼は呪文の詠唱を始めた。
「彼の者に宿りし魔力の源よ、我に集え――マホトラ!」
クリフトの魔力は全て奪われてしまった。彼にはもう人を殺す手段は残されていないのだろうか―

「ククールさん、一体どのようにして彼を止めたのですか?」
マリアはククールに訊いた。
「オレの魅力、かな」
「真面目に答えて下さい」
そんなやりとりを交わす二人の間にトロデが入る。
「何が魅力じゃ、何が!正直に『目から怪光線を放って奴を麻痺させました』と言えい!」
「人を化け物みたいに言うな!あれはオレの『魅惑の眼差し』だって何度言わせるつもりだ!?」
このやりとりは暫く続いた。
二人の会話の内容から、ククールが『魅惑の眼差し』と呼ばれる、相手を痺れさせる技を使ったのだとマリアは納得した。

クリフトの身体はまだ痺れていた。痺れが消えても、何もできないのだが―
そんな彼を見て、ククールはぽつりと呟いた。
「聖職者には…ロクなのがいないんだな」
その言葉は目の前の神官に向けられたものなのか、自身に対してのものか、それとも――

655NIGHT AND KNIGHT 7/9:2006/07/01(土) 16:05:33 ID:/QATV.ME
それは放送があって間もない頃のアリアハン城内。
誰もいない静かな城内、ここでは放送を聞き逃す方が難しいだろう。
「残り25名か……フン、殺す手間が大分省けたな」
彼は死者の名前には興味がないようだった。地図に禁止エリアを書き込み終えると、城内の探索を始めた。
先程までは人の気配があった。しかし今はその気配は全く感じない。
逃げられた、か。
「……まあいい。暫くすれば誰か来るだろう。人の集まりそうな場所はここと北西にある村位しかないからな」
それまで無駄な体力を使わない方が良い、と判断したのか城内の探索を止めた。

どれだけの時間が流れたのだろうか。突然、馬のいななく声が聞こえてきた。そう遠くはないようだった。
「ようやく、誰か来たようだな」
彼は立ち上がり、音を立てないように城を出る。
真っ暗な闇に包まれた城下町。声の主を見つけるのにそう時間はかからなかった。
暗い闇の中、星に照らされ輝いているかのような白馬が宿の前に立っていた。
白馬は怪しい人影に気づき、危機を主人に知らせるかのような声でいななく。
「くっ……気づかれたか…!」

656NIGHT AND KNIGHT 8/9:2006/07/01(土) 16:06:36 ID:/QATV.ME
「誰か、来たのでしょうか」
宿の一室に、声が響く。
「……嫌な予感がするぜ。…トロデ王はここでこいつを見張っててくれ」
トロデ王は不安げな表情で頷いた。
「ククールさん、その状態で戦えるのですか?」
マリアはククールの失われた左腕を見てそう言った。
「レディ一人に戦わせるわけにはいかないしな。ま、なんとかなんだろ」
ククールはマリアにいかづちの杖を返しながら答えた。
外で何が待っているのか、彼等は知らない。知っているのは、夜空に輝く星達――
その星達にも、彼等の運命はわからない――

【E-4/アリアハン城下町宿屋/夜中】

【トロデ@DQ8】
[状態]:HP3/5 腹部に深い裂傷(止血) 服はボロボロ 全身に軽度の切り傷(ほぼ回復)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(不明の品が1?) 大錬金釜 ミレーユの通常支給品
[思考]:??? レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン クリフトを見張る
【マリア@DQ2ムーンブルク王女】
[状態]:HP4/5 MP0 服はボロボロ 全身に軽度の切り傷(ほぼ回復)
[装備]:いかずちの杖
[道具]:支給品一式(不明の品が1〜2?) ※小さなメダル 毒薬瓶
[思考]:不審者の正体を確かめる 打倒ハーゴン 竜王(アレン)を倒す

657NIGHT AND KNIGHT 9/9:2006/07/01(土) 16:07:37 ID:/QATV.ME
【ククール@DQ8】
[状態]:HP1/3 MP1/3 右腕に火傷(半分回復) 疲労 左腕切断(止血) 左耳喪失
[装備]:ビッグボウガン(矢 0)
[道具]:天馬の手綱 インテリめがね アリアハン城の呪文書×6(何か書いてある)
[思考]:不審者の正体を確かめる クリフトを怪しんでいる マルチェロを止める 竜王(アレン)と話す
【クリフト@DQ4】
[状態]:左足に火傷(ある程度治癒) 背中に火傷(ある程度治癒) 麻痺している MP0
[装備]:なし
[道具]:祝福サギの杖[7]
[思考]:マリアたちと同行し、油断させて殺す アリスとカンダタを利用し、自分の護衛をさせる
     自分が優勝し、アリーナを復活させてもらって元の世界へ帰る

【E-4/アリアハン城下町宿屋前/夜中】

【マルチェロ@DQ8】
[状態]:健康
[装備]:折れた皆殺しの剣(呪い克服)
[道具]:84mm無反動砲カール・グスタフ
[思考]:ゲームに乗る(ただし積極的に殺しに行かない)

658名無しさん:2006/07/01(土) 16:12:29 ID:/QATV.ME
おかしい所があったら容赦なく突っ込んでください。
本当は兄弟対決まで書きたかったけど収拾がつかなくなったので止めた。

659名無しさん:2006/07/01(土) 18:27:49 ID:Hm/4qLcE
>658
乙!!

>>647
>ところで、夜って普通に眠気や疲労が出ていいんだよね?
朝から動いて睡眠とってないキャラなら、良いとおもう。
ただ、フローラは「彼女の悪夢で睡眠とっている。

火傷は、多分悪化するようなキッカケがあれば、早まっても問題ないと思うが。

660名無しさん:2006/07/01(土) 18:30:41 ID:v0/PVc6k
彼女ペホイミ使えるから痛んできたら自分で回復治療するだろうけど

661名無しさん:2006/07/01(土) 18:41:52 ID:Hm/4qLcE
mpが減ったと言う描写が今までないから。

662名無しさん:2006/07/01(土) 19:20:01 ID:Nstm/j06
いや、それまではやはり痛まなかったからほっといただけだろう
時間が経って痛んできたら自分で回復すると思うよ

663名無しさん:2006/07/01(土) 20:17:01 ID:7rQco8.A
魅惑のまなざしktkr
冷たい笑みもか?

664名無しさん:2006/07/01(土) 23:06:43 ID:J5015Qu.

ククールが活躍してるのは喜ばしい反面、あの重傷でこれだけ元気でいいのかって気もするw
ただマホトラ一発でクリフトMP0はやりすぎだと思う。
程ほどの威力に制限しとかないと、魔法使いキャラがMP尽きた時のお手軽な回復手段にされかねないし。


フローラの火傷についてはつか完治にメガザル、雫クラスとすると、
痛みを和らげるのもベホマクラスじゃないと難しいんじゃないかな?
フィオが治療してやっと和らいだ過去を考えると、
フローラ自身では治療はできない(ていうか焼け石に水)と思ってたけど。

665名無しさん:2006/07/02(日) 00:29:03 ID:oEqnPVD2
そういやククールって利き腕もっていかれてるんだよね。
今後の戦闘大変そうだ。

666名無しさん:2006/07/02(日) 08:24:52 ID:RSkFN3tk
>>664
>あの重傷でこれだけ元気でいいのかって気もするw
魔力尽きるまで回復してたんだから、これくらいまで回復してるかな、と思ったんだがやっぱ元気すぎたかな?
>ただマホトラ一発でクリフトMP0はやりすぎだと思う。
それもそうですね。マホトラの後の一行を

クリフトの魔力がどんどん奪われてゆく。ククールは彼の魔力を吸い尽くすまで何度も呪文を唱えた。
ついにクリフトの魔力はなくなってしまった。彼にはもう人を殺す手段は残されていないのだろうか―

に訂正します。

自分でも読み直してみたらマルチェロの時間軸がどうも合わないような気がしたんで
7/9の10行目以降を
どれだけの時間が流れたのだろうか。突然、馬のいななく声が聞こえてきた。そう遠くはないようだった。
「ようやく、誰か来たようだな」
彼は立ち上がり、音を立てないように城を出る。
真っ暗な闇に包まれた城下町。声の主を見つけるのにそう時間はかからなかった。
暗い闇の中、星に照らされ輝いているかのような白馬が宿の前に立っていた。
「あの白馬…私の邪魔をするつもりかっ…まあいい。暫く様子を見ることにしよう」
マルチェロは夜の闇に身を潜め、様子を見ることにした。
一時間以上たった頃だろうか。白馬は怪しい人影に気づき、危機を主人に知らせるかのような声でいななく。
「くっ……気づかれたか…!」

に訂正。他に何もないようなら今日の7時頃か明日の午前中に本スレに投下します。

667名無しさん:2006/07/02(日) 09:02:14 ID:oE3ba3zU
そういえば、DQ8のトラマナってクックル使用できたっけ?

668名無しさん:2006/07/02(日) 09:05:39 ID:oE3ba3zU
あぁ、使えた使えた。しかもトラマナじゃなくてマホトラだよ。余計な心配ゴメン。
そういやゲームで一回も使ったこと無かったなぁ。精霊の矢ばっかり使ってたから。
今度試しに使ってみよw

669名無しさん:2006/07/02(日) 15:35:32 ID:9rIt2Jck
>>666
うーん、何度も唱えたてる間、まったくの無抵抗で吸われっぱなしというのはちょっと…と思う。

670名無しさん:2006/07/02(日) 20:18:27 ID:QmSyunoY
>>669
痺れてるから問題ないと思う。
麻痺ってすぐ治らないしね。

671離れていく者 1/4:2006/07/04(火) 19:48:42 ID:PUgIP6MY
――ああ、温かい。私の血かしら。
血だらけで地に臥しているアリス。
目が覚めたとき、その命はもはや風前の灯火であった。
ふと、仲間の顔が浮かぶ。
――サマンサ、生き残りなさい。
デイジー、アレフガルドのこと頼んだわよ。
フィオ、天国の入場料取らないわよね。
カンダタ、叶うならもう一度姐さんって呼んで欲しい……。
そして、父オルテガ。
ごめんなさい、父さん。

信頼できる仲間、父。
自分は幸せだと思った。
気付くと、もう一人の顔が見える。
誰だろうと思い霞む目を細める。
それは、古風な雰囲気漂う、黒髪の女。今しがた死闘の末に討った者。
「ヒ…ミコ!?」
驚いて名前を声に出すが、上手く発音できない。
音が擦れてしまう。

「ほほほほほ、わしを倒しておきながら死ぬのかえ。情けないのぉ」
「くっうう!」
無理に体を起こそうとしたが、体が言う事をきかない。

「ほっほっほ、そう慌てるでない。わしは、戦えぬよ。もう、死んでおるし。
それどころか、おぬしを助けようというのだからのぉ」
「なん…です…って!」
――私を助ける?どうゆうことなの。

672離れていく者 1/4:2006/07/04(火) 19:49:13 ID:PUgIP6MY
「不思議かえ?わしも、不思議な気分でのぉ。
かつては、四対一で負けた。口惜しい気持ちでいっぱいじゃった。卑怯じゃしな。
しかし、今度は一騎打ちで負けてしもうた。それが、どこか清清しくての」
ヒミコの顔は、明るかった。戦いに全てを出しきった者の顔だ。
嘘を付いている感じはしない。
だが、ヒミコは敵であった者。
カンダタの命を奪ったばかりか、それを無残にも踏み潰した。
許せる存在ではない。

「なに…が、助け…るよ!ふざけるのも……大概にして、さっさと……成仏なさい!!
カン…ダタは、あなた…のせいで……」
ツーっと涙が頬を伝う。
それを見て、ヒミコが目を細める。
「いいのかえ?おぬしには、まだやることがあるはずじゃが…。勇者としての、役目がのぉ」
「勇者……と…しての役目?」
「おぬしは、ここで死ぬつもりかえ?おぬしの存在意義とはなんじゃ?」
「………………存在……意義」

勇者の役目、それはその世界に蔓延る悪を倒すこと。
勇者の存在意義、それは世界に平和をもたらすため。
――そうだ、こんなところでは死ねない。この世界の邪悪、ハーゴンを倒すために。
まさか、ヒミコに教えられるなんて。この人は、本当に私を助けたい?

「答えはでんのか?もう、成仏してしまうぞ」
ヒミコの姿が薄れていく、もう時間がないようだ。
それを見据えてヒミコの目を直視する。
そして、アリスが意を決して出した答えは……
「……助かる方法を……教えてください!」
ヒミコが微笑む。そんな余裕はなかったが、普通ならアリスでもドキッとしてしまうくらいに。
そして、少し溜めながらヒミコが口を開いた。

673離れていく者 3/4:2006/07/04(火) 19:49:51 ID:PUgIP6MY
「それはのう……」
ヒミコの視線が彼女(?)の亡骸へと向けられる。
「わしの血肉を喰らうのじゃ」
――へっ!?今、なんて……。
「不服そうじゃのぉ。ほれ、聞いたことがあるじゃろ。竜の血肉には、不老不死の力があるとかのぉ。
むっ、なんじゃ、その目は!…………。う〜む、わしは竜というより蛇に近いが、生命力は竜にも負けておらん。
どうせ死ぬのなら、試す価値はある筈じゃ」
――そんな、曖昧なものを信じろというの。
でも、もう魔力も体力もない。それに賭けるしかないわね。
ぼろぼろの体で何とか立ち上がり、ヒミコの亡骸へ向かう。
すると、いつの間にかヒミコの亡霊は消えていた。
――成仏したのかしら……。
そんなことを気にするほど、もう体力は残っていなかったが、消えてしまう前にただお礼が言いたかった。
――カンダタを殺した憎き相手だったのに。今は憎くない。
信じるというものは不思議なものね。

そして、アリスはヒミコの亡骸の前まで来た。
ヒミコの顔、それは死にながらも、月明かりに照らされ美しい。
だが、既に腹を括っていたアリスは躊躇わなかった。
血が滴ったている肩の部分を、一口、二口…………。

その様子を邪悪な笑みを浮かべ見ていたヒミコ。
「どんな副作用がでるか楽しみじゃわい。ほほほほほ」
――それにしても、ハーゴンのやつめ。わしの魂を如何しようというのじゃ!
何処かへ引っ張られるヒミコの魂、それは破壊神の下へ。

674離れていく者 4/4:2006/07/04(火) 19:50:23 ID:PUgIP6MY
いつの間にか昏倒していたアリス。
目が覚めると、体は軽かった。だが、傷はそのまま残っており、血が止まっているだけであった。
しかし、命に別状があるような感じはしない。
助かったのかしら、もしくは夢と思いながら暗闇を良く見ると、目の前には食い散らかされたヒミコだった者の死体。
内臓は掻き回され、頬の骨が見えている。
だが、不思議と気持ち悪いとは思わない。
「私が……やったの?うっっっ、何この感じ……」

―― 人 間 を 食 べ た い ?


【D-4/アリアハン北の平原/真夜中】

【アリス@DQ3女勇者】
[状態]:HP1/5 MP 0 胸骨損傷 全身に火傷 
    左腕骨折、重度の裂傷(要メガザル、世界樹の雫級の回復薬
    オロチ並の生命力
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:人食い衝動

※アリスには、ヒミコを取り込んだことによる副作用がでています

675名無しさん:2006/07/04(火) 19:52:03 ID:PUgIP6MY
読めば分かると思いますが、かなりの冒険作なうえに、自分は未熟です。
率直な意見お願いします。
没なら没でいいですしね。

676名無しさん:2006/07/04(火) 20:00:30 ID:IvwR9B3k
率直な意見。アリスを助ける方法は他にもあるだろうし、
あの、正義の塊みたいなアリスが悪に魂を売るとは思えないですね。
それに、ただでさえ強いアリスにオロチ並みの生命力が付いたら
強さのバランスも結構崩れてしまうと思います。

677名無しさん:2006/07/04(火) 20:03:21 ID:fOje67QA
冒険作の名の通りですな……つーか、これはヤバすぎ
これやるくらいなら素直に殺した方がいいと思います

678名無しさん:2006/07/04(火) 20:09:39 ID:wcUMw7ak
単発としてなら良しだがリレーだからな
少々過激だし、後味が悪いから自分は反対とする
でも小説としては上手いからまた頑張って欲しいな

679名無しさん:2006/07/04(火) 20:19:04 ID:wKiROKrs
実は俺も竜の血ネタ考えてた。
竜王が爪を立てたまま拳を作って、血を数滴水に垂らして、
HP1/10って死にそうなトルネコに飲ませるって程度だけど。

個人的にはどうせヒミコxアリスで策無しガチンコ勝負したら、
アリスが勝つに決まってる思ってたし、ヒミコ不完全燃焼感あったから出てきたのは嬉しい。

人体のまま食い散らかすってのが後味悪いかな。
獣の肉食ってるならいいんだけど。

680名無しさん:2006/07/04(火) 20:24:14 ID:IvwR9B3k
俺はアリス救済ネタとして、レーベでゴン&ローラ&エイトを葬ろうとしたサマンサが
エイトにバシルーラの杖使って、その先にアリスがいてって話を思いついてたけど、
上手くまとまらなくて没にした。

681名無しさん:2006/07/04(火) 20:26:19 ID:wKiROKrs
あとは人間を食べたいって、簡単にキャラが壊れすぎな気も。
オロチ並みの生命力ってのもやりすぎな気が。
傷が回復しました程度でも十分驚異的な話だし、肉の効果大きすぎ?

…と思ったら、肝心の回復効果自体はほとんどないのね。
[状態]:HP1/5 MP 0 胸骨損傷 全身に火傷 
    左腕骨折、重度の裂傷(要メガザル、世界樹の雫級の回復薬
なんだかな。

682名無しさん:2006/07/04(火) 20:32:36 ID:PUgIP6MY
意見、感想ありがとうございます。
自分でも、やり過ぎかなって思ってたので没にします。
もう一つパターンがありますけど、機会があれば没スレに投下しておきますね。
お手数かけました。

683名無しさん:2006/07/04(火) 21:45:19 ID:zVmmMSnU
アリスをゲームに乗らせるという発想や展開自体は悪くはないんだけど
いささか強引さが目立っちゃった感じだね。次に期待しますね。

684名無しさん:2006/07/05(水) 11:23:59 ID:YzRKxiS2
ヒミコの一人称はわらわじゃなかった?

685名無しさん:2006/07/05(水) 20:03:41 ID:U2kS/6U2
もう、没にしたんで御勘弁を…

686夜に飛ぶ 1/8:2006/07/09(日) 04:55:35 ID:J2L0SAU2
「ほう、これが風のマントですか。なるほど、大人三人で使用しても充分耐えうるようですなぁ」
「うん、お兄ちゃんたちも三人で使って、ドラゴンの角っていう塔から大河を渡ったんだって」
アレンが戻ってきた時、トルネコはリアからこれまでの話を聞いていた。
そして話に出てきた風のマントに興味を持ち、見せてもらっていたのだ。
身体の調子は悪くない。アレンが魔力を尽くして治癒呪文を掛け続けてくれたおかげだ。
それでも完全に癒えたわけではなく、無理に身体を動かせば途端に激痛に襲われる。
しかし殆ど動くことができなかった時より遥かにマシな状態だった。
リアの首に残されていた爪痕も綺麗に消えている。
アレンは何も言わずに呪文を唱えていただけだがその誠意は感じたのだろう。
リアのアレンに対する信頼は増したようだ。トルネコはそれを微笑ましく思う。
「ふぅむ、これなら……おや、何処にいらっしゃっていたのですかなアレンさん?」
いつの間にか場を離れていたアレンが戻ってきたのを見て声を掛ける。
「うむ、こいつを回収してきた」
そういってアレンは懐から二つの首輪を取り出し、地に置いた。
ヒッと息を呑むリア。トルネコもそれをまじまじと見つめゴクリ、と唾を飲み込む。
「奴らの言っていたどんな魔法や爆発にも誘爆はしないというのはどうやら本当のようだ。
 あれほどの爆発の中で傷一つついておらん」
言う通り、その首輪は表面は多少煤焦げているものの歪みもせずに全く常態を保っていた。
彼が回収した二つの首輪。数時間前に光の中へと消え去ったビアンカとバズズの物である。
嫌でもそれが思い起こされるのであろう、リアの顔は蒼白となって小刻みに身体が震えていた。
「リアよ……ぬしには辛かろう。少し離れた場所で休んでいるがいい。
 これからの話は少々長くなるかも知れんのでな……」
アレンはリアを気遣い、この場を離れるように諭す。
しかし彼女は気丈にも首を横に振ると、自らの身体を抱きしめて震えを抑え込む。
「ううん。私も……ここを抜け出すならいつかは向き合わなきゃならないことだって解るから……。
 弱いのはどうしようもないけれど……せめて、もう足手纏いにはなりたくないから……。
 だから、お願いです。話を聞かせてください」

687夜に飛ぶ 2/8:2006/07/09(日) 04:57:19 ID:J2L0SAU2
強い決意を込めてアレンを見つめる。
アレンはしばらくじっとその視線を受け止めていたが、そうか、と頷くともう離そうとはしなかった。
トルネコはその様子を見て、もう一度唾を飲み込むとわざとらしく陽気な声を出した。
「いやーでもまだ我々も疲れておりますし、それについてはまた後にして休むことに専念しましょう、
 ね、アレンさん?」
「悠長な……ぬしは――む」
その言葉に抗しようとしたアレンはトルネコが真剣な表情をして地面を指差していることに気付き、押し黙る。
地には小枝によってトルネコの真意が綴られていた。

曰く――『私たちの声はハーゴンたちに盗み聞きされています』

「ふん、ならば勝手にするがいい」
アレンはそう口に出すと意気を収め、杖を手に取りて同じように文字を綴る。

『その根拠は?』

トルネコは自らの頭に嵌められているインカムを指で示したあと、再び地に文字を綴り始めた。
インカムには未知の技術が使われていて、遠くの人物と会話をすることができる。
これはハーゴンによって送り込まれた魔物が持っていたアイテムであり、通常の参加者には配られていない。
そしてそれだけの技術力があるならこの首輪にその技術が使われていることは想像に難くない。
何故ならその方が管理するものにとって都合がいいからだ。
こちら側の音声を主催側に送ることで脱出の企てをする者の動向を把握し、場合によっては爆破する。
そうすることができるならこの儀式の成功は磐石となり、そしてハーゴンたちにはそれが可能なのだ。
トルネコの答えにアレンはむう、と唸る。
(と、なると脱出、首輪の解除に類する事柄は筆談によって行う必要があるか……。
 緊急を要する時にはいささか不便な制約がついたものだ……)
入れ替わり杖を地に走らせ、アレンは自分の考えを述べる。

『承知。そして首輪の解除に関することだがこれには強大な呪詛が込められている。
 その呪詛があらゆる呪文、特技などを弾くようにしてあるのだろう。
 おそらく最初の会場に張られていた結界と同種のものだ』

688夜に飛ぶ 3/8:2006/07/09(日) 04:58:25 ID:J2L0SAU2
アレンはザックから一つの鏡を取り出した。
「そ、それはラーの鏡? あ――ムグ」
それを見て思わず口に出してしまったトルネコは慌てて口を押さえる。
しかしアレンは慌てずに掌をかざし、抑える動作をする。

『騒ぐな その程度なら問題はなかろう。それよりもこの鏡で呪詛を具現化する』

そして鏡を正面に構え、地に置かれた首輪を映し出した。

「「ッ!?」」

真実を曝け出すという鏡に映し出されたのは首輪から溢れる黒い瘴気。禍々しいまでの邪悪なオーラ。
周囲の気温が一気に下がり、もはや冷気と呼べる空気が漂う。
トルネコはその場にへたり込み、リアは怯えアレンの影になるように隠れた。
キュッと強くアレンのローブの裾を握り締める。
闇は炎のようにゆらめき、時折髑髏にも見える模様が形作られているようにも見えた。
リアの顔から色が失われているのを見てアレンは鏡を仕舞う。
それと同時に首輪から溢れていた瘴気は徐々に薄れていき、再び元の首輪へと戻った。
ふぅ、と大きく息をついてトルネコは安堵する。
リアも震えは止まり、アレンのローブを掴んでいた手をおずおずと離した。

『こんな凶悪な呪いは見たことがありません。今まで数々の呪いの武具をこの目にしてきましたが
 ここまでどうしようもないと思った物は初めてですよ』

トルネコが地に綴る感想にアレンも頷き、同じく杖を動かす。
平静な表情を保っていたが、その額には汗の粒が無数に浮かんでいた。

『見ての通り強大な呪詛だ。ワシが解呪しようと思えば大掛かりな儀式の準備をし、
 幾日も呪文を唱えることになるだろう。しかもこの首輪一つにな。いや、それでも無理かもしれん。
 我々に時間はない。別の方法を考える必要がある』

アレンは腕を組み考え込む。トルネコも側で唸っていた。

689夜に飛ぶ 4/8:2006/07/09(日) 05:00:34 ID:J2L0SAU2
(ハーゴンめ……どうやってこの力を得た? この呪詛に込められている力は生半可なものではない。
 奴を見た限り強い魔力を持ってはいるものの唯の人間に見えた。ここまでの力を操れるものか?)
これは神に匹敵する力。
神――邪神。アレンはハーゴンの座る玉座を思い出す。
玉座に装飾されていた邪神像。
(シドー、か……奴がハーゴンに力を貸しているとでも言うのか? 復活前にそんなことが……)
考えが煮詰まり、ふと目を上げると地面に文字を綴っているトルネコに気が付く。

『これがハーゴンの意図したことかは解りませんがとにかくラーの鏡によって呪いを具現化させることはできるのです。
 それをニフラムのような破邪の力、いえ、それ以上のあらゆる闇を振り払う太陽の如き破邪力を
 秘めた技で消し飛ばしてしまえばいい。何かそのような力に心当たりはございませんか?』

下手な力では通用しないであろうし、何よりも無理に取り外そうとしていると判断され爆発する危険がある。
物理的な力ではなく、ただ闇を浄化する光の力が必要だった。
(太陽の力、か……)
アレンの脳裏に浮かんだのは光の玉だった。
400年以上もの昔、アレフガルドとは別の世界から現れた勇者ロトが携えていたという伝説の玉。
かつてラダトームから自分が奪った。世界を支配する為、人間に絶望を与える為。
そして……それ以上に何故か懐かしさを感じた為だった。
玉の光を眺めると母親に包まれているかのような安らぎを感じるのだ。
この玉こそは自分が所有すべきもの。何故かそう確信できた。
だからこそ奪った。
だがその玉はこの手にはない。その存在も感じない。
ゆっくりと首を横に振るアレンにトルネコは落胆したようだった。
だがそれも一時のこと、再び顔を上げると彼は提案した。
「アリアハンへ行きましょう」
「何?」
「リアちゃんもアレンさんも行く宛てはないのでしょう。なら人の集まる場所にいきましょう。
 そこでなら今よりも情報が集まるかもしれません。それにアリスさん、という方がその辺りに居るはずなのです。
 私はその方に危険を知らせたい。バズズは死にましたがハーゴンの部下はまだ残っていますからね」
それがトルネコの当初の目的だった。
放送で呼ばれなかった以上アリスはまだ生存しているはずである。

690夜に飛ぶ 5/8:2006/07/09(日) 05:03:30 ID:J2L0SAU2
アレンはその提案を吟味する。
正直まだ動きたくはない。人が集まるということはゲームに乗った者もまた集まるということ。
このダメージの残る身体ではいざという時にリアを護りきれるとは言い切れなかった。
(だが……儀式の進行は予想以上に早い。僅かな逡巡が命取りともなりかねん……か)
「私も、行きたいです。マリアお姉ちゃんがいるかもしれないし……」
決意を込めて声を絞り出すリアをアレンはゆっくりと見やる。
「覚悟は、あるのだな」
コクン、と頷く。
それでアレンの腹も決まった。決然と立ち上がり――よろめいた。
かろうじて踏み止まり、側に木に手を突く。
「アレンさん!」
「よい。少しダメージが残っているだけだ。大事はない」
駆け寄るリアを制し、アレンは姿勢を正す。
「アレンさん、あなた私たちには回復呪文をかけてくれましたが……その、ご自分には?」
「竜族は人間のように脆弱ではない。いらぬ心配だ」
アレンは自身の魔力は全てリアとトルネコの治癒に注ぎ込んでいた。
よって彼自身はこの数時間の休息による自然回復しかしていない。
人間などより遥かに強靭な肉体を持つ竜王といえど、それだけで万全の状態となれる筈もなかった。
だが表面上は平静を装い、アレンは立つ。
「行くぞ、時間が惜しい」
先に立って歩き出そうとした時、リアはザックから小さな小瓶を取り出すとアレンに差し出した。
中には黄金に輝く液体とそれに苗木のようなものが浮いていた。
「……これは?」
「そ、それは世界樹の雫!」
初めて見る薬品に怪訝な顔を浮かべると、横からトルネコが声を上げた。
「知っておるのかトルネコ?」
「はい、死者をも蘇生させるという世界樹の葉。その元たる世界樹から抽出したエキスです。
 これを振りまけば、その場にいる者全員の傷をどんなに深くともたちどころに癒すことができます。
 我々の世界ではとても貴重な薬ですよ!」
「ほう」
アレンは小瓶を受け取るとその液体をまじまじと見る。
なるほど、中の木片や液体からはとても強い生命の波動を感じる。

691夜に飛ぶ 6/8:2006/07/09(日) 05:04:51 ID:J2L0SAU2
「これをワシに使えというのか」
「ビ、ビアンカさんにも……最初に見た男の人にも使えなかったけど……。
 お兄ちゃんにも、アレンお兄ちゃんにも使えなかったけど……!
 今なら、アレンさんなら使えますよね? 助けられますよね? だから……お願い」
アレンとリアはしばし見詰め合い……アレンはフッと微笑した。
「感謝しよう、小さき娘よ。だがこれは今使うべき時ではない」
そういってリアの小さな手に小瓶を戻す。
「それほどの効能を持つ薬ならば本当に必要とする者に使ってやるがいい。
 ここで軽々に使い、後に死に行く者を見ても何もできぬでは悔いが残ろう」
アレンの脳裏にはつい半日前の、塔の下での出来事が思い返されていた。
何も出来ず、ただ言葉を聞くだけしかできなかったあの時が。
「何度も言うがワシのことなら心配はいらぬ。何、その薬を使う時があればその時は相伴に与ろう」
「そう……ですか」
リアはまだ不安そうであったがアレンの言葉からマリアのことを考え、
もし重傷を負っていたらと思うと反論することはできずに渋々と小瓶をザックに戻した。
「では行くとしよう。この場からなら洞窟を通った方が早くに着くだろう」
「あ、待ってください。それよりも早く着く方法があるんです!」
「ぬ?」
今度はトルネコがザックをゴソゴソと探り、何かを取り出した。
「これです、キメラの翼。これがあればアリアハンに着くのは容易ですよ」
「トルネコ、おぬしはアリアハンに行ったことがあるのか?」
「いえ、これはリアちゃんに使ってもらうのです」
その言葉にリアはきょとん、とする。
「私、ですか? でも私もアリアハンには……」
トルネコは指を立てるとチッチッと舌を鳴らす。
「承知しています。あなたの最初に立った場所は塔の頂上。
 そこであなたはどうやって移動しましたか?」
「あ!?」
トルネコの考えを悟り、リアは声を上げる。
アレンはまだピンとこない。
「どういうことだ?」
「まぁまぁ、まずはナジミの塔頂へと移動しましょう。さ、リアちゃん」

692夜に飛ぶ 7/8:2006/07/09(日) 05:07:13 ID:J2L0SAU2
「はい」
リアはキメラの翼を受け取ると空高く放り投げた。
翼は無数の羽となって散ると、風を巻き起こしアレンたちを包み込む。

そして光となって天空へと舞い上がった。

強風に閉じていた目を開くとそこはもう塔の頂きだった。
広い石畳の中央には一つの住居が存在している。
「それで、どうするのだ? あの家に何かあるとでもいうのか?」
「いえいえ、そうではありません。リアちゃん、あれを出してください」
急かすアレンにトルネコは首を横に振ると、リアを促す。
そしてリアが取り出したのは―― 一つの大きな青いマントだった。
トルネコはアレンに風のマントの説明をする。
「なるほどな、邪魔の入らぬ空を行こうというのか。確かにそれなら程なくしてアリアハンへと入れよう」
「ええ、そしてマントはアレンさんに使ってもらったほうがいいでしょう。
 空を飛ぶということに関しては我々より遥かに通じているでしょうから」
「うむ」
アレンはリアからマントを受け取るとその身に纏った。
「人身で空を飛ぶというのも新鮮な体験だな」
そして塔頂の淵まで歩き、アリアハンを見る。
「僅かだが城と町に灯火がある。何者かがいるな」
アレンの言葉にトルネコも頷いた。
「直接アリアハンに降りるのは止めた方がいいですな。狙い撃ちされては一溜まりもありません。
 この月夜では我々を視認するのもそう苦労することもないでしょうし…… 一度、そうですな。
 アリアハンの北側の平原に降り、そこから徒歩にて入ることにしましょう」
「解った。リアよ……」
アレンは手を差し出す。その手をリアはギュッと握り締めた。
「離すでないぞ」
リアが頷くのも確認せずにアレンは床を蹴った。
慌ててトルネコもアレンの身体にしがみつく。

693夜に飛ぶ 8/8:2006/07/09(日) 05:08:03 ID:J2L0SAU2
マントは風を孕むと大きく膨らみ――そして流れに乗った。

そして夜に飛ぶ。

【E-3/アリアハン内海 上空/夜〜夜中】

【トルネコ@DQ4】
[状態]:HP3/5 軽い火傷 打撲
[装備]:氷の刃 無線インカム
[道具]:まほうのカガミ 引き寄せの杖(4) 飛びつきの杖(4) 
    支給品一式×3ワイヤー(焦げて強度は弱くなっている)
[思考]:アリアハンへ向かう アリスや他の参加者に危機を伝える

【アレン(竜王)@DQ1】
[状態]:HP2/5 MP0
[装備]:竜神王の剣 まふうじの杖 風のマント
[道具]:プラチナソード ロトの盾 ラーの鏡
[思考]:アリアハンへ向かう この儀式を阻止する アレンの遺志を継ぐ

【リア@DQ2サマルトリア王女】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:世界樹の雫 支給品一式
[思考]:アリアハンへ向かう マリアに会って風のマントを返す

694名無しさん:2006/07/09(日) 09:19:54 ID:F3sRQ/Ck
新たなる脱出フラグは光の玉かー。
そういやゾーマの闇の衣剥ぎ取るのに使ったね。
光の玉で呪力弱めた後にシャナク&アバカム、3つそろって初めて指輪解除
にしたら面白そう。

695名無しさん:2006/07/09(日) 09:20:58 ID:F3sRQ/Ck
指輪じゃなくて首輪だった。

696名無しさん:2006/07/09(日) 11:46:40 ID:7VnGpJ0E
乙です。
盗聴に気づいたのがインカム経験者のトルネコであることとか
本スレで出た「知っているのかトルネコ!」のネタがさりげなく使われてたのが面白かったです。

もし光の玉が脱出を促進させる可能性があるとしたらなおさらそれが支給されてる可能性は低そうですが、
光の玉が浮かぶのは竜王らしい考察ですし、これについて問題はないと思いました。

ただひとつ気になったのはキメラの翼です。
これ自身は消費アイテムとして消えたので今後悪用されることはないとは思うんですが
今後「ルーラ」を使って同様の手口で移動できるようになるとまずいのではないかと。
特にサマンサやアリスなんかはアリアハン大陸なんてホームそのものですから、
好きな場所にいつでも移動できるようになってしまうということにもなりかねません。

まあキメラの翼=OK、ルーラ=使用不可という設定とすれば問題ないと思いますが
ちょっと後付けっぽくなってしまうのが気になる、かなあ…。

697名無しさん:2006/07/09(日) 11:53:45 ID:gXRBrmYk
北より西の方が良くない?

698名無しさん:2006/07/09(日) 12:03:06 ID:WHrI5rfA
乙です。696さんと同じことを言いますが、
ルールの ----制限について---- に、
>その他、時空間移動能力なども使用不可となっています。
とあることからキメラの翼はまずいんじゃないかと思います

699名無しさん:2006/07/09(日) 12:11:28 ID:7VnGpJ0E
あー、見落としてた。ルーラは元々使用できなかったのか。
ルーラ使えた場合のこととか長々と書いててなんか赤っ恥orz

700名無しさん:2006/07/09(日) 13:05:23 ID:2BzvsGQ6
これが風の帽子とかならまずいだろうけどキメラの翼なら問題ないよ
大体そのルールを厳密に適用するならバシルーラの杖もまずいことになる

701名無しさん:2006/07/09(日) 14:09:18 ID:WHrI5rfA
バシルーラ:他人にかける&何処に飛ぶかは術者にも分からない
ルーラ:自分にかける&飛ぶ場所は術者の自由
だから、バシルーラは移動呪文というよりは攻撃呪文の部類だと思うんだ
確かにこの一回だけなら問題ないのかもしれないが、
道具のルーラはOKで呪文のルーラだけは駄目ってのはどうかと

702名無しさん:2006/07/09(日) 14:26:35 ID:aBnnVozg
なあ、2のキメラの翼(自在移動不可)なら、問題なくね?

703名無しさん:2006/07/09(日) 14:26:38 ID:c0X4SxCM
じゃあ何故万能薬が良くてベホマが制限されるの?
何度も使われるとまずいからでしょ
ルーラだって同じ
何度も使われるのはいけないけど一度のみのアイテムでなら問題なし

ぶっちゃけて言えば残りの不明品が全てキメラの翼でも問題は感じない

704名無しさん:2006/07/09(日) 18:15:53 ID:356eItv2
そうだな、バシルーラの杖だっていいんだし、
キメラの翼だっていいでしょ。

移動呪文とか攻撃呪文という“部類”の問題じゃなく、
実際、移動してるんだから。

705名無しさん:2006/07/09(日) 18:22:54 ID:c0X4SxCM
うん、ルールも能力を制限しているんであってアイテムに制限はないからね
もちろんバランス崩壊級が出てきたら考える必要はあるけど今回は当て嵌まらない

706 ◆p5VnSFDJyk:2006/07/09(日) 18:42:07 ID:J2L0SAU2
少し修正して11時くらいに投下しようと思います

707名無しさん:2006/07/09(日) 19:59:57 ID:WHrI5rfA
そだな、ただ残りの支給品全てキメラの翼はいくらなんでも止めてほしいがw
(いや例えなのは分かってるけどさ)
作者さん修正頑張れー!

708名無しさん:2006/07/09(日) 20:41:34 ID:7VnGpJ0E
>>703
ジョーカー特権のオリジナルアイテムである万能薬(超万能くすり)と
(DQシリーズには「万能薬」ってアイテムはないし)
普通の参加者の支給品や呪文を同列に捕らえるのは違和感あるぞw
まあ世界中の雫に置き換えれば通じるだろうから別に構わんが。


とりあえず単発だからOKがほぼ総意ということで、
自分もそれでもいいと思ってたのでキメラの翼を出すことに異論はないです。
「今後風の帽子を出すのは自重しましょう」という教訓にもなったし、大団円ということで。

709名無しさん:2006/07/09(日) 21:00:52 ID:4WY3BYE2
万能薬あるけどね、DQ8の錬金で

710名無しさん:2006/07/09(日) 21:17:03 ID:EVvO0t8I
まあ作るのが面倒だから知らなくてもそんなにおかしくはないな。

711名無しさん:2006/07/09(日) 23:39:45 ID:Lxqr23Gc
あれをオリジナルアイテムだと思ってたのか……

712名無しさん:2006/07/10(月) 06:48:55 ID:L88U8XnA
大変失礼しました。しばらく書き込み自重します

713姫の決意 竜の怒り 商人の思い 1/7:2006/07/16(日) 01:23:32 ID:hsz5z07I
爪先が何かに触れたかと思った瞬間、今まで感じていた浮遊感はかき消すようになくなった。
気が付けば、先ほどまで空を舞っていた体は、今はもう根を下ろしたかのようにしっかりと大地に立っている。
飛行中に狙撃されなかった幸運を思いながら、アレンは腕に抱いていたリアをそっと地面へ下ろしてやった。
空を飛ぶのはこれが最初ではないだろうに、彼女の頬は興奮したかのように赤く上気している。
地を這うばかりの人の子にとって、空を飛ぶという行為はある種の憧れなのだろう。
大地に足を付けた後も興奮冷めやらぬ様子のリアに微かに苦笑を漏らしながら、
アレンは纏っていた風のマントを脱ぎさった。
地面に降り立つと同時に尻餅をつくという愁嘆場を見せたトルネコも、今はもう気を取り直したようだ。
月明かりを頼りに手持ちの地図と周辺の地形を見比べ、現在地の把握を行なっている。

「…ふぅむ…どうやら、当初の目的地から少々ズレてしまったようですな…」
「思っていたより風の勢いが弱かったか………風任せというのも難しいものだ…」

思案顔のトルネコが、地図から顔を上げて首を捻った。
脱いだ風のマントをリアに渡しながら、アレンが緩く首を振りながら嘆息する。
竜の姿であれば自在に空を飛べるのであろう彼も、
人の姿を取っている以上は風に頼って飛ぶしかなかったようだ。

「あの…………どうかしたんですか?もしかして、何か大変な事が起きたんでしょうか?」
「ああ、リアちゃん。心配しなくても大丈夫ですよ」
「思っていた場所より、少し離れた場所に来てしまっただけだ。案ずることはない…」

渡された風のマントをたたんでいたリアが、地図を見ながら眉を顰めている男達に恐る恐る話しかけた。
今にも泣きそうな瞳で見上げてくるリアと視線を合わせるために、柔和な笑みを浮かべたトルネコが膝を折る。
そして、彼の言葉を裏付けるように…アレンもまた、彼女を宥めるかのように微かな笑みを浮かべた。
それでもなお、不安そうな表情が消えぬリアを輪の中に招きいれながら…。
トルネコは、手にした地図を輪の真ん中で大きく広げてみせた。

714姫の決意 竜の怒り 商人の思い 2/7:2006/07/16(日) 01:24:27 ID:hsz5z07I
「えー、当初の予定ではですね、アリアハンの北にある平原に到着する予定だったのですが…」
「風の流れが悪かったらしい。少し南西に流されたようだ」

トルネコのむくむくとした指が、地図でいう所のD-04を指し示す。
だが、彼の言葉を引き取ったアレンの無骨な指は、
D-03、D-04、E-03、E-04の境界線が交わる場所を指し示していた。
どうやら、北の平原に降り立つはずが、西の平原寄りの所に流されてしまったらしい。
男二人から告げられた計画の綻びに、リアの顔が益々不安げに歪んでいく。
そんなリアの気持ちを和らげるためか、トルネコはことさら陽気な声で口を開いた。

「大丈夫ですよ、リアちゃん。『迂回してアリアハンへ入る』という目的は達成されたんですから。
 少しくらい着地場所がズレたとしても、何ら問題はありません」
「トルネコの言うとおりだ、リア。大局的に見れば、計画には少しの破綻もない」

代わる代わる、自分の気持ちを解そうとしてくれている男達の気持ちに気が付いたのだろう。
リアは震える拳を握り締め、強張った顔に微かな笑みを浮かべて見せた。
僅かながらも笑顔の戻ったリアの様子を見、ようやく男達も安心したのだろう。
トルネコとアレンは、地図を睨みながらコレから辿るべきルートの検討に取り掛かった。
静かに話し合う男達の背中を眺めながら、リアはきゅっと唇を引き結ぶ。
いつもいつも……守られてばかりの自分が不甲斐ないのだ。
だが、かつては魔族の頂点に立っていたアレンや、伝説の勇者と共に世界を救ったトルネコに比べれば、
リアは冒険に出たこともない普通の少女でありすぎた。
まして、彼女はサマルトリア王国の姫として、いつも兵士や護衛に守られていた身分である。
誰かと戦うことはおろか、こうして生き残っていること事体がある意味の奇跡ともいえるだろう。

「……………………私にできることって何だろう…?」

今も尚、話し合いを続ける男達に気付かれぬよう……。
小さな姫は、腕に抱えた青いマントをぎゅっと抱きしめる。
青く澄んだ空をそのまま切り取ったようなマントからは、
かつてこのマントで空を飛んだ兄達の、弾けるような笑い声が聞こえた気がした。

715姫の決意 竜の怒り 商人の思い 3/7:2006/07/16(日) 01:25:17 ID:hsz5z07I
「………………アリアハンが見えるか、トルネコ」
「ここから、ですか?…………そうですねぇ…ここからでは、少し遠すぎるようですな…」

おぼろげな月の光を頼りに、男達は一枚の紙切れを睨んだ。
この薄い一枚の紙切れが、自分たちの命綱と言ってもいいような事体に、
アレンは自嘲するかのような笑みを浮かべる。

「…ロト生誕の地と言われたアリアハンが、いまや地獄と同義だとはな…」
「……………………アレンさん………」
「……勇者の出身地が、邪悪なる神の復活に使われるとは誰も思いもしなかっただろうに…」

皮肉げな笑みを浮かべながら、迂回ルートを探るアレンを前にして、トルネコは困ったような笑みを浮かべた。
彼の目の前で地図を眺めるこの男は、魔族として人と対峙する関係にあった事は想像に難くない。
だがトルネコは、青白い肌と老獪な瞳の色を持つこの男を嫌うことは出来なかった。
それは彼自身、あの銀の髪を持つ魔族の皇子と共に旅をしたことがあったからかもしれない。
人間と魔族……。
種族が違っても、お互いにわかりあうことができると言う事を経験として実感できたのだから…。

「私は、魔族だ………だがな…同じ魔族とはいえ、あやつのやり方は気に入らん……!」
「…………………………………………」
「真の破壊神とやらの手先となり、自身の手を汚さずに魂を集めようというような男が、
 この世界を…我等を支配している…………それが私には我慢できぬ」

一言一言噛み締めるように紡がれる言葉は、表面上はとてもとても静かなものだ。
だがその根底には、熾火のように燃え続ける怒りがあることに、トルネコは気が付いた。
邪神の姿を意匠とする玉座に腰掛け、自らは動くことなく、安全なる高みで事体を傍観する……。
自らの手で、愛する王女と希望の象徴である光の玉を奪い去り、
あくまでも自分の手で望みを叶えようとしたかつての自分とは正反対の行動を取る者――ハーゴン。
まるで、手の中にある『何か』を捻り潰すかのように……。
骨ばった手を握り締めた孤高なる竜(ドラゴン)は、何もない虚空を睨みつけた。
それは、かつては『竜王』として全魔族の頂点に立っていた彼の矜持の現れであり、
『竜王』である彼すらをも手駒と考えている者に対する反抗の証でもあった。

716姫の決意 竜の怒り 商人の思い 4/7:2006/07/16(日) 01:26:27 ID:hsz5z07I
「……それはそうとして、アリアハンにはどう入りますか?やはり、北の平原に入って…?」
「いや。このまますぐに南東へ下り、アリアハンへ入る。ぐずぐずしていると夜が明けかねん」

無言で虚空を睨み続けるアレンに、トルネコは声をかけた。
思考を邪魔されたというのに、トルネコに対する不快感を不思議と感じない。
どうやら、この男には人の心を宥めてしまうような雰囲気があるせいかもしれない。
アリアハンの北……D-04を指し示すトルネコに、アレンはゆったりと首を振った。
当初の予定からは多少外れたものの、『アリアハンへ迂回して入る』という目的は果されている。
それならば、まだ闇が深いうちに夜陰に紛れてアリアハンへ潜入した方が得だ、と。
老獪な竜はそう判断したのだろう。
地図をしまうトルネコを見ながら、アレンは所在無げに草地に座り込んでいるリアに手を差し伸べた。

「行くぞ、リア。今ここで無駄な時を食うわけにはいかん」
「………………は、はい。わかりました…」
「ここから少し歩くようですが、リアちゃんは大丈夫ですか?」
「大丈夫です、トルネコさん………『疲れた』なんて言ってる場合じゃないことはわかってます」

アレンの手を借り、ドレスについた土ぼこりを払いながら立ち上がるリアを、トルネコは心配そうに眺めた。
その白い顔に笑みを浮かべてはいるものの、彼の卓越した鑑識眼をごまかすことは出来ないようだ。
まだまだ幼いリアの身体や精神は、相当無理を重ねているように彼の目には見える。
だがそれでも……。
巨体を屈めて視線を合わせてくれるトルネコに、リアは微かに微笑みかけた。

「お兄ちゃん達のように闘うことは出来なくても……私はサマルトリア王女……ロトの子孫にして、
 破壊神シドーを倒した勇者達の血に連なるものです。そんな私が、弱音なんか吐けません」
「……………………リアちゃん……」
「……その心意気や良し。その強い意志こそが戦う武器となろう…」

泣き疲れた声は微かに震え、ともすれば膝から崩れ落ちそうになりながらも……。
リアは頭を上げて男達の瞳を見上げながら、莞爾と微笑んでみせる。
その翡翠色の瞳に宿った意思の強さに、男達はかつて自分と関わりを持った『勇者』の瞳を思いだした。
何者にも負けぬ強い思いと正義の光りを宿して、キラキラと輝いていたあの瞳を……。

717姫の決意 竜の怒り 商人の思い 5/7:2006/07/16(日) 01:27:11 ID:hsz5z07I
幸いな事に、夜の闇に乗じて草原を渡る彼らを見咎める者はいなかった。
通常であれば、アリアハン周辺に生息しているスライムやおおがらすの姿さえ見えない。。
おそらくこれも、このゲームを開催したハーゴンの仕様なのであろう。

「…ここがアリアハン、なんですね…」
「……あの白馬………………やはり先客がいるらしいな…」
「立ち話も危険ですから、ひとまずこの家に入りましょう……どうやら、誰もいないみたいですし…」

街の入り口に立ち、物珍しげに周囲を眺めるリアと、宿の前に繋がれた白馬を見据えるアレン。
そして、街の入り口近くにあった一見の民家を指し示すトルネコ。
皆、自然と忍び足で気配を消しながら、トルネコの示した家のドアを潜り抜ける。
家の中に入った途端、三人の体から不意に力が抜けた。
今まで外気に晒されていた無防備な身体が、屋根と壁という堅い守りを手に入れたのだ。
張り詰めていた緊張の糸が僅かに緩んだとしても無理からぬ話である。
極力音を立てぬよう細心の注意を払いながら、三人は二階へ上がっていく。
階段のすぐ近くには、寝台や箪笥などがある、こじんまりとした部屋があった。
ざっと室内を見た限りでは、外を監視するのにおあつらえ向きな窓もあるようだ。
大人二人と子供一人が入るには少々狭い部屋ではあるが、隠れて作戦を練る分には何ら問題はなさそうである。
アレンは窓際に、トルネコはドアの傍らに、そして、リアは寝台の上に……。
それぞれが、思い思いの場所に腰を下ろした。

「それで……これからどう動く?」
「とにかく、今は休みましょう…今の私達には一番必要なものは休息です。
 夜明けまでにはまだ時間がありますすし、交代で見張りをすれば、お互いに休めるでしょう」
「………………そうだな…それではトルネコ、お主から…」
「いえ、まずはアレンさんからです。私よりもあなたの方がお疲れでしょう。
 それに、私はこれでも世界を旅した商人ですからな。夜の見張りも慣れていますよ」

窓の外を警戒しながら視線だけを彼に向けてくるアレンの言葉を、トルネコは静かに遮った。
自分自身の事など顧みていないようなアレンの様子は、トルネコにとってもは大きな心配事だったのだ。
休める場所が見つかったのなら、休ませておくに越したことはない。

718姫の決意 竜の怒り 商人の思い 6/7:2006/07/16(日) 01:28:10 ID:hsz5z07I
「いや、私は良い。竜の身体は人間などより遥かに…」
「いいえ、いけません。いかに丈夫な竜と言えど、少しはご自分の身体を大事になさってください。
 あなたに倒れられでもしたら、私とリアちゃんはどうすればいいのですか…」
「………………む……」
「それに、ほら……………リアちゃんも、もう眠ってしまったようですから。
 どうか、彼女の眠りを守ってあげて下さい……」

正論を述べるトルネコに、アレンは思わず言い淀んだ。
その隙を逃さず、トルネコは商売で鍛えた弁舌でどんどん切り込んでいく。
呻き声を上げるアレンを見ながら、トルネコは寝台の上のリアを指差した。
金の髪を敷布の上に散らしたリアは、静かな寝息をたてている。
恐らく、緊張の糸が途切れてしまったのであろう。
彼女を起こさぬように小声で囁きながら、トルネコはアレンに取って代わるように窓際へと足を運んだ。
こうまでされてしまえば、アレンにはもう逆らうことなど出来ない。
眠ったりアを起こさぬように、アレンは不承不承ながらも寝台の足に凭れかかった。

「………………一剋が過ぎたら起こせ。それで交代だ……」
「わかりました。必ず起こします…………それでは、お休みなさい…」

ゆっくりとその瞳を閉じるアレンの姿を確認すると、トルネコは窓の外に視線を向けた。
ややもしないうちに、彼の背後からは二つの寝息が聞こえ始める。
強がっては見せたものの、やはりアレン体力は限界に近いところまで酷使されていたのだろう。

その家が、ロトの勇者を生み出した家だと言う事を知らずに…。
数百年後に彼女の子孫と対峙する事になる竜王と、彼女の血脈に連なる姫は深く深く眠っている。

窓の外では、月にかかった暗雲を、吹き荒ぶ風がバラバラに散らしていった。

719姫の決意 竜の怒り 商人の思い 7/7:2006/07/16(日) 01:29:17 ID:hsz5z07I
【E-04/アリアハン城下町 勇者の家/真夜中】

【トルネコ@DQ4】
[状態]:HP3/5 軽い火傷 打撲
[装備]:氷の刃 無線インカム
[道具]:まほうのカガミ 引き寄せの杖(4) 飛びつきの杖(4) 
    支給品一式×3ワイヤー(焦げて強度は弱くなっている)
[思考]:二人を休ませながら見張りをする アリスや他の参加者に危機を伝える

【アレン(竜王)@DQ1】
[状態]:HP4/5 MP2/3
[装備]:竜神王の剣 まふうじの杖 風のマント
[道具]:プラチナソード ロトの盾 ラーの鏡 首輪×2
[思考]:今は休む この儀式を阻止する アレンの遺志を継ぐ

【リア@DQ2サマルトリア王女】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:世界樹の雫 支給品一式
[思考]:マリアに会って風のマントを返す ゲームには乗らず、精一杯抵抗する

720ただ一匹の名無しだ:2006/07/16(日) 02:18:11 ID:rrEmHjwY
いくらなんでもアレンが回復しすぎ、HPもMPも
あと飛ぶことに通じている、という理由でアレンに風のマントを使わせたのに
流されちゃいました、というのはどうなんだろう
グズグズしてるわけには行かないとか無駄な時を過ごすわけには行かないとか言いながら
最後に取る行動が休息というのも釈然としない
それやるくらいなら前回でやってるだろうし、宿に他者がいるのを確認してする行動かな?

基本的に前回までのSSの流れ無視してるような印象

721ただ一匹の名無しだ:2006/07/16(日) 02:53:11 ID:FS8Nmfus
リアは昼間眠りまくっててバズズ戦の後もずっと寝てたり休憩したりして
前半であれだけの決意並べ立てた上でバタンキューというのは少しおかしいと思います。
竜王も休息を取らずに無理を押して移動した先で取る行動が睡眠って……。
文章自体に問題はないけど全体的に展開の流れが変に感じます。
それにトルネコは危機を他の参加者に伝えに来たのではなかったの?

予約された時に嫌な予感はしてたけど、ああやっぱりアリスと会わせたくないだけか、
という感想。

722ただ一匹の名無しだ:2006/07/16(日) 03:06:57 ID:e1eyam9E
ん、まぁお膳立ての整った大きいイベントがあからさまにスルーされたのはかなりがっかり
この部分は別に矛盾ってわけじゃないけど、アレンが回復しすぎな点は俺も気になった
この時点じゃMPは0のままか微量くらいでしょ

723ただ一匹の名無しだ:2006/07/16(日) 08:48:47 ID:qVB3txqE
HPは2/5がしっくりくるかな

724713-719:2006/07/16(日) 10:24:38 ID:YJcBn7iU
意見ありがとうございます。
>>713-719は無効ということにしてください。
色々とすみませんでした。

725ただ一匹の名無しだ:2006/07/16(日) 19:51:49 ID:WGIKrmvA
念のために、本スレの方にも破棄宣言宜しくお願いします。

726ただ一匹の名無しだ:2006/07/16(日) 21:12:02 ID:RGRvkfOY
文章は良いだけに勿体無い。
次回に期待〜^

727竜の願い:2006/07/21(金) 22:12:48 ID:jdLxY6CI
竜に乗る姫と魔法使いは一人の兵士が休んでいるレーベの村に入っていった。
そして荒れ果てた村の様子を見た。
「ひどい、何があったのでしょう?」
「戦闘があったのであろう、それしか考えられない」
崩壊した村を見まわしてゴンはローラに言った。
「さすがにここには人はいないのではないですか?
 私は早く休みたいのですが・・・」
殺害計画を立てたサマンサは早く宿屋を見つけ彼らを休ませてその隙を狙いたかった。
「そうですね、私も疲れました。ゴンさん早く探しましょう。」
(やはり寝込みを襲うつもりなのか?しかし強く警戒していれば、奴も襲えないはず。
 だが、先の長旅のことを考えたら・・・奴は次第に体力を回復させ、恐ろしい存在に
 なるであろう。そう考えると奴を倒せるのは今しかない。)
 宿で休んで今夜は様子を見ようとしていたゴンは、180度考えを変え、
 今、ここでサマンサを討つことを決意した。

728竜の願い:2006/07/21(金) 22:13:45 ID:jdLxY6CI
「ゴンさん、さっきから黙っててどうしたんですか?早くしないとサマンサさん
 みえなくなっちゃいますよ。」
サマンサはいち早く宿屋を見つけるべく先を行っていた。
「おい、お前はあっちを探せ。オレはあの女の方を探すから。」
 サマンサに勝って、竜王のところにローラをつれていくため、ゴンはローラを
なるべく危害がないように。しかしゴンは今はただ、純粋にローラを生かしたかった。
「わかりました。じゃ、見つけたら呼びに行きますね。」
ローラが自分のところに付いて来たがるのではないかと思っていたゴンだが、
予想外に一人で探すと言ってくれて幸いだった。
「いや、呼ばなくていい、もし見つけたらお前はそこで休んでろ。それから
 オレとあの女を探すな。何があってもだ。大きい音を聞いたりまぶしい光を見たりしてもだ」
「えっ? 、は、はい。でも何でですか?」
「早く!理由は後だ。早く宿を探しに行け!」
ゴンはたぶんローラと会ってからこれほど怖い顔などしたことはないだろう。
ローラはそんなゴンの意志をうすうす感じ取ったのであろうか
コクンと頷きサマンサが探しに行った逆方向へ宿を探しに行った。
(どうか無事でいてくれ)そう思いながら、ゴンは去っていくローラを見守っていた。

729竜の願い:2006/07/21(金) 22:14:29 ID:jdLxY6CI
ローラが見えなくなるとゴンはすぐにサマンサの方へ駆けていった。
そしてサマンサの後ろ姿を捕らえた。
ゴンの気配に気づいたらしくサマンサが振り向く。
ゴンとの距離は30Mぐらいだった。
「ちょうどよかった、ここ、宿屋みたいなんですよ。さぁ、休みまんか?・・・」
サマンサはどうもゴンの様子がおかしいことに気づいた。
まず、ローラがいないこと
次に口を大きく開け、口の中に赤い光があること、
これでサマンサは全てを悟った。
「ひのいき!」
間一髪サマンサはいきをかわした。
「何をするんですか?」
「とぼけるな。俺たちの寝込みを襲うつもりだろ。」
「ばれてましたか・・・見てのとおりこの身体では貴方を倒すには分が悪い。
 なので先にあのお連れの女の方を殺さして頂きます。そして私はいったんこの村から身を引きます」
「ほう、やってみろ。あの女を殺すにはまずオレを殺さなければならないはずだ。
 オレはここから先を通さない。」

730竜の願い:2006/07/21(金) 22:15:28 ID:jdLxY6CI
「では、あなたこの村のどこかに消えてください。」
そういうとサマンサは杖を天にかかげた。
バシルーラの杖 敵を違う場所へ転送させる杖
        だが、転送させられる距離はあまり広くはない。
しかし、今のサマンサにとって、一時的にゴンがどいてくれればそれでいいのだ。
「な、なんだ、この光?」
ゴンはまばゆい光とともにこの町のどこかに転送させられてしまった。  
サマンサは消えたゴンのいた場所を見て高笑いした。
「ははは、愉快ですね。では、あの女を探して殺すとしましょうか。」

731竜の願い:2006/07/21(金) 22:15:59 ID:jdLxY6CI
〜〜〜〜〜
(ぐっここはどこだ?わけのわからぬ場所に飛ばされてしまった。一刻も早くあの女を止めなければ
 ならん。)
ゴンはバシルーラの杖で先ほどの場からすぐの宿屋のベッドの上に飛ばされていた。ゴンは宿屋の窓を見
た。さっき自分のいた場所が見えた。ゴンは自分の立場が理解できた。まだ、あの女に追いつけると
そう思い、すぐさま宿屋から出ようとすると、一人の兵士がゴンへ近づいてくる。
「誰だ?」「誰ですか?」
一匹と一人の声は全く同時に木霊した。
しばらく沈黙が流れた。
(この男がゲームにのっていたらどうする?いや、今はそんなことを考えているばわいではない)

732竜の願い:2006/07/21(金) 22:16:48 ID:jdLxY6CI
思い切ってゴンは言葉を切り出してみた。
「お前はゲームにのってないのか?のっていなかったら、頼む。オレと一緒に来てくれ。
 倒したい奴と守りたい奴がいるんだ。」
再び沈黙
(やはり、そんな都合よくはいくないか、今思えばドラゴンの頼みなど聞いてくれる人などいないだろう)
とゴンが思っていたときに
「暗くてよくわからなかったんですが、あなたはドラゴンなんですね。僕は竜の血をひいています。
 だから、分かるんです。あなたの気持ちが・・・この身体でどこまで戦えるか分かりませんが
 一緒に行きましょう。」

733竜の願い:2006/07/21(金) 22:17:38 ID:jdLxY6CI
〜〜〜〜〜
丁度そのときサマンサは宿を探しているローラ姫を見つけた。
気配に気づいたらしくローラもサマンサに気づいた。
「あ、サマンサさん宿は見つかりましたか?」
「ええ、あなたのすぐ後ろにある建物がそうですよ。」
「えっ?これ宿屋なんですか?」
ローラが振り向いた。サマンサに背を向けてしまった。
(さて、こんな小娘下級呪文で十分ですね)
「メラ!」

734竜の願い:2006/07/21(金) 22:18:33 ID:jdLxY6CI
「あれ〜、サマンサさん、宿屋らしきものなんて無いですよ?」
とローラがサマンサの方を向いた。ローラは向かってくる火の玉の存在に気づき何とかよけようとした。
しかし、火の玉はローラの左腕に直撃した。
「く、サマンサさん、あなた何をするんですか?」
ローラは左腕をおさえ苦痛の表情でサマンサに語りかけていた。
「このゲーム、何をしてもいいんですよ、だまされる方が悪いんです。それにあなたが
 言ったんですよ。“一緒に参りません?”て。」
(だからゴンさんは少し様子が変だったんだわ。サマンサさんの邪気に気が付いていたんですね。)
「ゴンさんはどこですか?」
「あのドラゴンならこの町のどこかにいるはずです。もっとも、あなたを殺したら私はすぐに
 この村からでて、あのドラゴンとは体力が全回するまで会わないつもりですけどね。
 私は急いでいます。だからもうあなたを殺します。『メラ』」

735竜の願い:2006/07/21(金) 22:19:20 ID:jdLxY6CI
火の玉はまっすぐにローラのもとへ飛んでいく。ローラは覚悟を決めた。
(これは私の判断が間違っていた。だから、自分の責任だ。)と
そのときどこからともなく大きな物がローラの前に現れた。そして本来ローラに当たるはずであった
火の玉はその、大きな物に当たった。
「なに?、何者です。」
「中途半端な杖のおかげで助かったよ。移動範囲があんなにせまいとわな。隣の宿屋だったぞ。」
ローラの前に現れた物はゴンであった。
「ゴンさん!」
(く、宿屋とは・・・近すぎるぞ、この、馬鹿杖、しかしそれはたまたま、まぐれは
 二度はないはず。)
「せっかく助けに来てもまた飛ばされる運命なんですよ。」

736竜の願い:2006/07/21(金) 22:19:54 ID:jdLxY6CI
そう言い。サマンサは杖を手に取った。
「今だ、エイト!」
「しっぷう突き !」
槍を構えたエイトは誰よりも早く一撃を繰り出した。
槍はバシルーラの杖を大きくはじいた。
「もう、無駄な抵抗はよしてください。」
槍を構えてエイトが言う。ゴンは口で杖を拾おうとするが、なかなか拾えないのでローラが杖を拾った。
そして、ローラはエイトに近づいていく。
「危ないところをありがとうございます。あなたは一体?」
「まぁ、まてよ、それよりこいつをどうするかだ。」
ゴンがのっし、のっしとサマンサに近づいていった。
(どうやら、後がないようですね。仕方がありません。
 勇者様、私には道連れしか残っていません。後は、頼みます。)
最後の力を振り絞り呪文を唱えた。
「イオナズン!」

737竜の願い:2006/07/21(金) 22:20:49 ID:jdLxY6CI
「お前ら〜あぶない〜。」
ドゴォン、ドゴォン、ドゴォン
また、大きな物が今度はエイトとローラの前に現れた。しかし、
今度は、メラのような、下級呪文ではなく、イオナズンという魔法使いが使える最高ランクの呪文だ。
「ゴンさん!」
エイトとローラがゴンの所へいそいで駆け寄った。
「ぐ、早く離れろ。お、オレには、め、メガンテの腕輪が、は、はやく。
回復呪文は、もう、間に合わねぇ。」
「わ、分かりました。」
エイトはローラを抱え、村の出口へかけていった。エイトとローラの目には涙が走っていた。
「ゴンさんが、ゴンさんが死んでしまいます。助けてください!」
「僕だってつらいんです。ゴンさんは助けたい、だけどゴンさんは僕たちを生かすために、
身代わりになったんです。ゴンさんの行為を無駄にしたくないんです。
そして、僕はあなたを助けなければならない。
ゴンさんから聞きました。あなたはローラさんですね。ある人から伝言を預かってます。」

738竜の願い:2006/07/21(金) 22:21:29 ID:jdLxY6CI
〜〜〜〜〜
「なぜ、あなたはあの二人を助けたのですか?一発のみ受けていれば、助かったんですよ。」
力を使い果たし、生きる気力もなくなって、ぐったり倒れているサマンサは今にも
事切れそうなゴンに向かっていった。
「に、人間でよぉ、初めて、おれ、の、ことを、好きになって、くれたやつ、と、
 おれのこと、を、理解して、くれた、やつを、な、なんとなく、たすけたかっ・・・た。
 だけ・・・さ。」
それが最後の言葉だった。村全体が爆発した。




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