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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

2新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
前スレ:スタンド小説スレッド2ページ
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/computer/9551/1074602209/

※あらすじ兼目次は
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/computer/9551/1074602209/778-782

前々スレ:スタンド小説スレッド
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/computer/9551/1068224328/

※あらすじ兼目次は
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/computer/9551/1068224328/830-832

3ブック:2004/04/10(土) 04:35
     救い無き世界
     第六十二話・常闇 〜その一〜


 夕方、俺はぃょぅ達と一緒に小耳モナーの見舞いに来ていた。
「小耳モナー、大丈夫かょぅ?」
 ぃょぅがベッドに横たわる小耳モナーに声をかけた。
「大丈夫モナ。みぃちゃんのお陰モナよ。」
 小耳モナーがみぃの方を見る。
「いえ、私なんか全然…」
 みぃが恥ずかしそうに首を振った。

「…しかし、遂に『矢の男』達も本腰を入れてきたという事ね…」
 ふさしぃが壁にもたれかかりながらテレビに目を向けた。


「―――現在、世界各地で異常な現象が多発しております。
 砂漠に一夜にして広大な森が出現したかと思えば、
 それとは逆に熱帯雨林が枯れ果てたり、
 川が氾濫を起こしたかと思えば、瞬く間に水が干上がる等、
 例を挙げれば枚挙に暇がありません。
 『空に亀裂が入るのを見た』、等というと証言も多数よせられており、
 専門家は事実の解明を急いで―――」
 テレビのニュースキャスターが、流暢に文面を読み上げる。
 それが、さらに事態の異常さを引き立てていた。

「…これも、『矢の男』の仕業なのかょぅ?」
 ぃょぅが深刻な顔で呟く。
「さあな。ただ…」
 ギコえもんが灰皿に煙草を押し付けて火を消す。
「俺達にもうあまり時間は残されていない、って事は間違いなさそうだぜ。」
 ギコえもんが忌々しげに舌打ちをした。

 …俺には何と無しに分かっていた。
 『デビルワールド』と『アクトレイザー』。
 この世にあってはならない二つのスタンドが同時に存在している事で、
 世界が軋みを上げているのだ。
 俺の中の『デビルワールド』が、俺にそう教えている。
 つまり、
 俺は今ここに居るだけで世界を―――

「……!」
 みぃが俺の袖を掴んだ。
「…今、思いつめたような顔をしていました。」
 みぃが哀しそうな顔で俺の顔を見据える。
 …目聡いな。

「……」
 俺は嘘を吐いた子供のように、みぃから目を逸らした。
 真っ直ぐなみぃの目を正面から見返すなど出来なかった。

4ブック:2004/04/10(土) 04:36


「でぃ君、『矢の男』について何か感じるものはあるかょぅ。」
 ぃょぅが俺に尋ねる。
『東…』
 俺はホワイトボードに文字を書く。
『正確な場所は分かりませんけど、東です。
 東から、『矢の男』…いや、『アクトレイザー』の存在を感じます。』
 『デビルワールド』と『アクトレイザー』はお互いに引かれ合っている。
 俺はそれを魂で感じ取る事が出来ていた。

「…逆に言えば、『矢の男』の方も同じようにこちらの位置を掴んでいるということね。」
 ふさしぃが重苦しく口を開く。

「…皆。」
 ぃょぅが改まって全員の顔を見渡した。
「どうしたモナ?ぃょぅ。」
 小耳モナーがぃょぅに聞く。

「もう、時間は無ぃょぅ。
 一刻も早く、『矢の男』を打ち倒しに行くべきだょぅ。」
 ぃょぅがきっぱりと告げた。

「そうね…
 『矢の男』は能力が馴染むまで時間が掛かる、と言っていたけれど、
 わざわざ私達がそれを待ってあげる必要は無いわ。」
 ふさしぃが頷く。
「だな…
 すぐ明日にでも出発するぞゴルァ。」
 ギコえもんが手の平に拳を打ちつけた。

「モナも行くモナ!」
 小耳モナーがベッドの上で息巻いた。
「小耳モナー、体はいいの?」
 ふさしぃが心配そうに尋ねる。
「平気モナ!
 それに、こんな大事な時に一人だけ休んでいられないモナ!!」
 小耳モナーが心配無用とばかりに元気な声で答える。

「…でぃ君。」
 と、ぃょぅが曇った表情で俺の方に顔を向ける。
『…分かってます。
 俺が居なきゃ、『矢の男』の場所まで行けれませんからね。』
 俺はそう書いてぃょぅに見せた。

「…本当にすまなぃょぅ。
 一般人である君を、こんな事に巻き込んでしまって……」
 ぃょぅが申し訳無さそうに頭を下げた。
『…やめて下さい。
 俺は勝手に手伝うだけです。
 それに、俺はもう深くこの件には関わってしまった。
 もう無関係って訳じゃない。』
 違う。
 俺の本当の闘う理由は…

「…今日はもうお開きにしましょう。
 今の内にゆっくり休んで、闘いに備えておかないと。」
 ふさしぃが軽く欠伸をする。

「神の降臨だか何だかいう下らねぇ目的の為に、
 何人もの無関係の奴らを犠牲にしてきたんだ。
 あいつらにはきっちりと落とし前を取って貰わねぇとな…!」
 ギコえもんが口を吊り上げて獰猛な笑みを浮かべる。

「……!?」
 その時、俺はギコえもんから何かが流れ込んで来るような感覚に襲われた。
 それと共に心の奥底に微かに黒い炎がともり、
 それがもっと黒い塊に飲み込まれていく。
 これは、一体…

「……」
 俺は頭を振ってその事は忘れる事にした。
 しかし、漠然とした不安を拭い去る事は決して出来なかった。

5ブック:2004/04/10(土) 04:36



     ・     ・     ・



 私達は、特務A班の部屋でささやかな飲み会を開いていた。
「…やりきれなぃょぅ。」
 私は重く呟いた。
「…でぃ君の事モナか?」
 小耳モナーがそう聞いてくる。

「…そうだょぅ。」
 私は俯いて答える。
「…虫のいい話ね。彼を迫害していた世界を護る為に、彼に力を貸してくれだなんて。」
 ふさしぃが横に頭を振った。
 その通りだ。
 それなのにでぃ君は何で、私達に協力してくれるのだろう。
「…それでも、私達にだって何か出来る筈よ。
 彼の負担を、少しでも取り除いてあげる位は……」
 ふさしぃがそこまで言いかけて、やめた。

「…お前は、丸耳ギコの所に行かなくていいのか?」
 ギコえもんが缶ビールに口をつけながらふさしぃに尋ねる。
「…別に大丈夫よ。
 私達は、死にに行く訳じゃ無いでしょう?」
 ふさしぃが笑顔で答える。
 が、すぐにその笑顔は消えてしまった。

「…本音をいうとね、彼に会ったら多分、闘いに行けなくなると思うの。」
 ふさしぃが珍しく弱音を洩らした。
 それが、今回の作戦の厳しさを物語っていた。

「別に例えお前が来なくても、俺達は何も文句は…」
 いつもは茶々をいれるギコえもんも、この時ばかりは真面目に返す。

「…ありがとう。
 でもね、もしあなた達をおいて逃げ出したら、
 私は一生その事を後悔し続けると思う。」
 ふさしぃが缶ビールを一気に飲み干す。

「そんな暗い事ばっかり言っちゃだめモナ!
 モナ達は絶対に負けないモナ!!」
 べろんべろんに酔っ払った小耳モナーが叫ぶ。
 いつもはうざったい事この上無いのだが、
 今はそんな彼の能天気さに救われている気がした。

「…タカラギコの為にも、負けられなぃょぅ。」
 私は自分に言い聞かせるように呟いた。
 皆が、それを聞いて一様に口を閉ざしてしまう。

「…タカラギコと一緒に闘いたかったモナ。」
 小耳モナーが今にも泣きそうな顔をした。
 それがさらに空気を重くする。

「…今だって一緒だぞ、ゴルァ。」
 ギコえもんが沈黙を破るように口を開いた。
「あいつのおかげで、俺達は『矢の男』について知り、
 奴らの目論見に気づく事が出来た。
 あいつが居たから、俺達は『矢の男』と闘えるんだ。
 だから、あいつの意思は、今でも俺達と共に在る…!」
 ギコえもんが静かだが、力強い声ではっきりと告げた。
「…何てな。キャラに合わない事は言うもんじゃねぇな。」
 言い終わった後、ギコえもんは照れ臭そうに頭を掻いた。

「…ううん。その通りよ。」
 ふさしぃが小さく頷く。
 その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「そうだモナ!
 モナ達は五人が一つになれば、『矢の男』なんてへっちゃらだモナ!!」
 小耳モナーがビールを大量に喉に流し込む。

 …そうだった。
 すっかり忘れていた。
 私には、こんなに素晴らしい仲間が居るんじゃないか。
 何を恐れる事がある…!

「…ぃょぅは、皆に逢えて本当に良かったょぅ。」
 恥ずかしいので、私は皆には聞こえないようにこっそりと呟いたのだった。

6ブック:2004/04/10(土) 04:37



     ・     ・     ・



 俺はSSSの屋上で星空を眺めていた。
 先の『大日本ブレイク党』の騒動で街は甚大な被害を受けた為に街に燈る灯も疎らで、
 星と月だけが闇夜を明るく照らす。

「……」
 俺は後ろに気配を感じ、ゆっくりと振り向いた。
「……」
 後ろにはみぃが立っていた。
 黙ったまま、俺の傍まで近づいてくる。

「眠れないんですか?」
 すぐ傍まで寄ってきた所で、ようやくみぃは口を開いた。
 俺はその質問に一つ頷いて答える。

 再び訪れる静寂。
 無音の世界がしばらく世界を支配した。


「…行かないで下さい……」
 静寂に耐えられなくなったのか、みぃが涙を隠すように目を伏せか細い声で告げた。

「嫌な予感がするんです、あなたが、居なくなってしまうような…
 お願いです、行かないで下さい……!」
 真っ直ぐぶつけられる視線と言葉。
 俺は何も答えれない。

『…阿呆。そう簡単に俺が死ぬかよ。』
 そう答えて軽く流そうとする。
 だけど、みぃの表情はほぐれない。
 どうやらこんな嘘などお見通しのようだ。

「駄目です…!」
 みぃが俺の体に掴みかかった。
「何でこれ以上あなたが闘わなければならないんですか!?
 何でこれ以上傷つかなければならないんですか!?
 私は―――、私―――――」
 それ以上は言葉にならなかった。
 代わりに嗚咽が俺の鼓膜と胸を叩く。

「……」
 俺はみぃを優しく押しのけて距離を離した。
 そしてみぃの手を取り、その手の平に文字を紡ぐ。


『…多分、世界平和の為とかいう理由だったら、
 『矢の男』も俺の中の化け物の事も投げ出して逃げたと思う。』
 俺は初めて自分の素直な気持ちを他人に伝えようとした。
 そして、恐らくこれで最後だ。

『俺はこの街や世界に助けて貰った事は無かった。
 だから俺は他の奴らは皆嫌いだったし、
 世界の為に何かしようなんて真っ平御免だった。
 今だってそれは変わらない。』
 みぃは何も言わないまま、黙って俺を見つめる。

『…だけど、俺は……お前が…
 お前がこの世界に居るから、俺は―――』
 駄目だ。
 頭がこんがらがって上手く言葉に出来ない。

『…悪い。今のは忘れてくれ。』
 俺がそう告げてその場を去ろうとした時―――


「……!!」
 みぃが強く俺に抱きついてきた。
 肩を震わせ、息を詰まらせそうになりながら泣いている。

「―――ァ―――ッ―――」
 泣き虫め。
 そう言おうとした。
 無理なのは百も承知だった。


 …気づいているのだろうか、こいつは。
 『アクトレイザー』と『デビルワールド』を潰し合わせて、
 もろともにこの世から葬るという俺の考えに。
 恐らく『デビルワールド』を宿す俺も唯では済まないだろう。
 しかし、頭の悪い俺ではこれぐらいしかいい方法が思いつかない。

 死ぬのは恐くなかった。
 みぃが生きていけるなら、それで構わないと思った。
 ただ、
 俺が死ぬ事で、こいつが悲しむのが心残りと言えば―――

 ―――嘘だ。
 恐い。
 死ぬのが恐い。
 もう二度とぃょぅ達に逢えなくなるかもしれないのが恐い。
 もう二度とみぃに逢えなくなるかもしれないのが恐い。
 恐い。
 恐い。
 死ぬのが恐い。


「―――ァ―――」
 俺は不安を紛らわすように、みぃの背中に腕を回して抱き返した。

 今、俺達の周りの空間だけが世界から切り離されている。
 …そんな気がした。

7ブック:2004/04/10(土) 04:37



     ・     ・     ・



 『矢の男』が『アクトレイザー』を出現させ、その腕をZ武の額に乗せた。
 すると見る見る内にZ武の瞳に、理性の光が戻ってくる。
「…こ…ここは……?」
 Z武が、素っ頓狂な声を上げた。

「三百年振りに目を覚ました気分はどうですか?Z武。」
 『矢の男』が柔らかい声でZ武に話しかける。
「三…百年……?
 私は…一体……
 いや、覚えている……黒い、光が………
 …うああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
 Z武が絶叫した。
 その目に再び狂気が戻りかける。

「落ち着きなさい、Z武。
 神は無事降臨しました。
 もはや『デビルワールド』など、仇敵足りえません。」
 『矢の男』がZ武をなだめるように、『アクトレイザー』の手をその肩に置いた。

「…あ…うあ……
 神は、降臨したのですか……?」
 Z武が何とか平静を取り戻した。
 『矢の男』はそれを見てにっこりと微笑む。

「…ですが、まだ完全ではありません。
 そして『デビルワールド』もまた、未だにこの世に存在しています。」
 『矢の男』がZ武の近くで囁く。

「…モナエルが、先程闘いの果てに散りました。
 Z武、あなたの力が必要です。」
 『矢の男』がZ武の目を覗き込んだ。
「是非とも、お役に立たせて下さい…!
 いえ、『デビルワールド』を克服する事こそが、
 神より与えられた私への試練!!」
 Z武の背後に彼のスタンドである『エグゼドエグゼス』が現れる。
 そしてその手で異次元を切り開き、Z武共々その中に姿を消した。


「…よろしいのですか?」
 いつの間にか隣に居たモララエルが、『矢の男』に尋ねる。
「ええ。魂は全て神の中に固着しました。
 もう彼のスタンドで魂を保管して貰う必要は無い。」
 『矢の男』が椅子にもたれかかる。
「それに、窮鼠が猫を噛むという事もあります。
 もしかしたら、思う以上の成果を果たしてくれるかもしれませんよ…」
 そう言って『矢の男』は静かに笑うのであった。



     TO BE CONTINUED…

8:2004/04/10(土) 09:55

「―― モナーの愉快な冒険 ――   灰と生者と聖餐の夜・その6」



 キバヤシと正面から睨み合う俺。
 確かに、さっきは暗示とやらが視えた。
 ギコを救えたのも、暗示が『破壊』できたせいだ。
 俺自身に埋め込まれた暗示でも、問題なく『破壊』できるはず…

 キバヤシは余裕の表情を浮かべたまま、眼鏡の位置を直す。
「…暗示を『破壊』できる位で俺に勝つつもりか、モナヤ」
 眼鏡の奥の眼光が、俺を捉える。
 普段のキバヤシとは比較にならない程の殺気。
 これが代行者の一人、『解読者』か…!

「行くモナよ、キバヤシ!!」
 俺はバヨネットを逆手に構えた。
「徒労だな、モナヤ!!」
 キバヤシが腕を組む。
 奴の意識は、完全に俺に集中していた。
 …よし、これでいい。

 その刹那、キバヤシの頭上の天井が砕け散った。
 飛び散る木片と共に、人影が舞い踊る。
 息を潜めていたリナーがバヨネットを構え、キバヤシの頭上から真っ直ぐに降下した。
 その攻撃は、完全にキバヤシの頭部を捉えている…!!

 キバヤシの体が、影の中に沈み込んだ。
 リナーの攻撃が空を切る。
 キバヤシは、完全に影の中に飲み込まれた。

 忽然と消えるキバヤシの姿。
「な…!!」
 俺は周囲を見回した。
 眼前の男の影が、怪しく蠢く。

「すまんな、ムスカ。危ないところだったよ…」
 キバヤシの身体が、ムスカと呼ばれた男の影から浮き上がった。
 あれが、ムスカとやらのスタンド能力か?

 ムスカと戦っていたらしい眼鏡の男が、身を翻してこちらに滑り込んできた。
 この男は確か、俺を逮捕した…!!
「やあ、モナー君。今夜はいい夜だね」
 彼は冷たい笑みを浮かべ、場違いな挨拶をした。
 こいつは、公安五課局長!!
 なぜ、こいつが俺の家に…?

 局長のスーツはボロボロだった。
 血止めだろうか、ネクタイは腕に巻いている。
 俺がこいつと戦った時は、一発たりとも攻撃が当たらなかったのに…

「おお、『異端者』ではないか…!!」
 ムスカとやらは、リナーを視線に捉えると嬉しそうな声を上げた。
「わざわざ君の方から会いに来てくれるとは…!!
 このロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ、少々感動したよ!!」
 そして、懐から一本の赤い薔薇を取り出すムスカ。

 あんなモノを常に服の中にしまっているのか、とか…
 そもそも、『教会』関係者は服の中にモノを詰めすぎだ、とか…
 …そういう俺の疑念を差し置き、ムスカは軽く薔薇を投げた。

「…」
 リナーは無表情で銃を取り出し、薔薇を撃ち抜く。
 真紅の薔薇は空中で花びらを散らせ、その場に落下した。

 ムスカは笑顔を浮かべる。
「相変わらず、君は照れ屋だな… だが、私は君の気持ちに気付いているつもりだ。
 君の為、王妃の席は空けてあるのだよ!!」

 ムスカの後ろで、キバヤシ、濃い顔の男、太った男がうんざりした表情を浮かべている。
 濃い顔の男など、露骨に肩をすくめていた。
 敵陣においてのこの余裕。
 おそらく、この全員が代行者…

 庭では、つーと怪しい黒スーツ男が戦っているようだ。
 黒スーツ男が大量発生しているのも、スタンド能力によるものだろう。

「さあ、私の胸に飛び込んで来たまえ!!」
 大きく両手を広げるムスカ。
 リナーは無言でマシンガンを構えると、銃口をムスカに向けて引き金を引いた。
 周囲に響き渡る機械音。
 ムスカの影が起き上がり、彼の体を覆った。
 銃弾は全て影の壁に弾かれる。

9:2004/04/10(土) 09:57


「…いかに公衆の面前で恥ずかしいとはいえ、少々乱暴につきるな」
 ムスカはリナーを見据えた。
「私は、君の愛を受け止めようと言っているのだぞ!!」

「その頭の中身は、何年経っても変わらんらしいな…」
 リナーは露骨にため息をついた。
「迷惑だと言っているのが、分からんのか?」

「…無駄だよ。そんな話が通じる奴じゃない」
 何故か口を挟むキバヤシ。
 確かにもっともだ。
 それを無視して、ムスカは自分に酔うように言葉を紡ぐ。
「恥ずかしがる事はない! 私は、君の全てを受け入れよう!!
 その髪も! 瞳も! 唇も! 甘美的な声も! 意地っ張りな性格も! 奇抜な服のセンスも! 愛くるしい仕草も!
 控え目な胸も! 美しい手も! ニーソックスが似合う足も…!」

「…『オーバーニー』だ」
 俺は口を挟んだ。
「…何だと?」
 ムスカの目が俺に向く。

「…『オーバーニー』だよ。
 リナーの履いてるのは、『ニーソックス』じゃなくて『オーバーニー』だ」
 ゆっくりと、ムスカに向かって歩み寄る俺。
 ムスカは気圧されるように後ずさった。
 俺は言葉を続ける。
「どうやって見分けるか? 膝くらいまでの長さしかないのが、『ニーソックス』。
 膝頭を越え、太股まで達する長さなのが『オーバーニー』だ。
 そんな事も分からんお前に、リナーは渡せない…」

「くっ… 貴様、何者だ!!」
 ムスカが上擦った声を上げる。
 そして、彼は再びリナーに向き直った。
 彼の頬は、僅かに震えている。
「…なるほど。他の男と親しくして、私の気持ちを引きたいのだな…?
 女心というヤツか。だが、そんな事をしなくても…」
 
「もう1つ、いいか…?」
 俺はムスカに呼びかけた。
「何だね! 外野は黙っていろ! 君も男なら聞き分けたまえ!!」
 ムスカは迷惑そうに吐き捨てる。
 俺は構わず言った。
「これは、この戦いとは何にも関係ないことなんだが――」

 ムスカの憎しみが篭った目が、真っ直ぐに俺を捉える。
 その視線を受けながら、俺は言葉を続けた。
「――去年のクリスマス、俺はリナーとホテルに行った」

「キ、キサマァァァァァァァッ!!!」
 絶叫するムスカ。
 彼は、明らかに冷静を欠いた。
 そのまま、ムスカは影の中に沈み込む。

 ――『アウト・オブ・エデン』。
 俺の影の中に、瞬時に移動してきたムスカの姿を捉える。
 俺は身を翻すと、俺自身の影にバヨネットを突き刺した。

 ――影を『破壊』。
 瞬時にして、煙のように消失する影。

「な…!!」
 ムスカが、机の影から飛び出してきた。
 その表情は、驚愕の色に染まっている。
「貴様、何をした…!? もう少しで、影ごと消滅するところだったではないか!!」

「ふむ…」
 その様子を見ていたキバヤシが口を開いた。
「これはまずいな。ムスカのスタンドは、モナヤのスタンドと相性が悪すぎる…
 どちらにしろ、そろそろ頃合か。『矢』の回収も達成したしな。
 …退くぞ! ムスカ!!」

「何だと…!? ここまでコケにされて黙っていろと言うのかね!!」
 ムスカは憤る。
「退くなら勝手にしたまえ!! 私はこの男を殺すまで帰らんからな!!」

「…」
 俺はバヨネットを構えた。
 ムスカに退く気は一切ない。
 その様子を見て、キバヤシはため息をついた。
「仕方ないな… 『バルス』!!」
 おもむろに妙な言葉を口走るキバヤシ。

「うっ!!」
 その言葉を聞いた途端、ムスカは自分の両目を押さえた。
 眼鏡が音を立てて床に落ちる。
「目がぁ〜目がぁ〜!!」
 両目を押さえ、悲痛な声を上げるムスカ。

「こんな事もあろうかと、あらかじめムスカにスィッチを仕込んでおいたんだよ。
 キーワードは『バルス』だ…」
 そう言いながら、周囲をウロウロするムスカを片手で抱え上げるキバヤシ。
 そのまま、ジタバタするムスカを肩に乗せた。

「まあ、あんまり気乗りしなかったところだしな…」
 今まで無言だった、濃い顔の男が呟いた。
 そして、彼はモララーに視線を向ける。
「じゃあな、少年。次はハッテン場で会うことを願うぜ…」
「お断りだよ、お前だけはな…」
 モララーは吐き捨てた。

10:2004/04/10(土) 09:57

 そして、一斉に背を向ける代行者達。
「スミス、撤退するぞ!!」
 キバヤシは庭に呼びかけた。

「…何かあったのかね?」
 スミスと呼ばれた黒スーツの1人が、キバヤシに視線を向ける。
「体勢の立て直しだ。このまま続ければ、こちらにも犠牲が出かねん」
 キバヤシはそう言いながら、庭に降りていった。

「ふむ… そういう事か。またの機会にするとしよう、野生児」
 スミスは、息の荒いつーに告げた。
 そして、庭に倒れているピエロ風の男を抱え上げる。
 何があったのか分からないが、黄・赤・白で彩られたケバケバしいピエロは完全に気を失っていた。
 濃い顔の男と太った男も、キバヤシの後を追って庭に降りる。

「逃げるつもりか!?」
 俺は、慌てて後を追おうとした。
 その俺の眼前に、通せんぼをするように腕が伸びる。
「逃がしておきなさい。この場はね…」
 俺を押し止め、局長は言った。

「では、また会おう。『異端者』…」
 キバヤシは、リナーを一瞥して言った。
 それを無言で睨みつけるリナー。

 俺の家を散々に荒らし回った代行者達は、そのまま夜の闇に消えていった。


 ――さて、嵐は去った。
 俺は、ゆっくりと居間を見回す。

 畳はすべからくズタズタ。
 周囲には、銃弾や薬莢が散らばっている。
 壁は無数の弾痕。
 机は真っ二つ。
 ふすまは穴だらけ。
 天井には大穴が2つ。
 美しかった庭は、ブルドーザーで引っ掻き回したかのごとくグシャグシャ。

「う〜〜 ううう、あんまりだ…」
 涙がポロポロこぼれ落ちる。
「あァァァんまリだァァァァ!!
 おおおおおおれェェェェェのォォォォォいえェェェェェがァァァァァ〜〜〜〜!!」
 感情を抑えきれず、泣き叫ぶ俺。
「AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!」

「モナー…」
 ギコが、俺の肩にそっと手を置いた。
「取り込み中のとこすまねぇが、モララーとしぃの暗示も『破壊』してやってくれねぇか?
 あいつら、まだ目が見えないんだけど…」

「ああ、そうモナね」
 俺は、バヨネットを手にして立ち上がった。
 ギコの動きはかなりギクシャクしている。
 肘と膝を負傷しているようだ。
 俺は、モララーとしぃの暗示を『破壊』した。

「ありがとう! モナー君!!」
 熱い視線を送るモララー。
 しぃはぺこりと頭を下げた。

 さて…
 聞くべき事は山ほどある。
 しぃの背後で偉そうに腕を組んでいる『アルカディア』について。
 そして、局長がなぜここにいるのか…

 突如、地面がグラリと揺れた。
 これは… 何だ…?
 地震!?
 いや、眩暈だ。

 頭が痛い。
 まるで、脳に直に電流を流されたかのような…
 同じような状態を経験した事がある。
 まだスタンドに慣れていなかった時に、何度か体験した苦痛…
 もう駄目だ。立っていられない。

「モナー!!」
「どうした!?」
「モナー君!!」
 リナーや、その他の声が聞こえる。

 ――俺はそのまま、意識を失った。



  /└────────┬┐
. <   To Be Continued... | |
  \┌────────┴┘

11ブック:2004/04/10(土) 23:01
     救い無き世界
     第六十三話・常闇 〜その二〜


 俺とみぃとぃょぅの三人は、不思議な空間の中を漂っていた。
 ここは全てが曖昧な世界。
 北や南…いや、上や下さえ区別がつかない。

「…糞、何て事だょぅ!
 ぃょぅ達には、立ち止まっている時間など無いと言うのに…!」
 ぃょぅが苛立たしげに舌打ちをする。

「……」
 俺は腕をスタンド化させてそこら辺の空間を殴ろうとしてみる。
 しかし、案の定何の手応えもありはしない。

「でぃさん…」
 みぃが不安そうに俺の腕にしがみついた。
 …まずいな。
 こいつまで、巻き込む事になってしまうとは。

「……」
 俺はみぃの手の平に指を這わせた。
「あの…ぃょぅさん。」
 みぃがそれを受けてぃょぅに声をかける。
「でぃさんが、この空間に閉じ込められてからどの位経ちましたか、て聞いてます。」
 みぃに俺の代わりにぃょぅに尋ねてもらった。

「…感覚的には二十分位と思うけど、保証は出来なぃょぅ。」
 ぃょぅが頭を振りながら答える。
「あの、時計は…」
 みぃが尤もな質問を返す。
 そうだ、時計を見ればそれ位一発だろう。

「……」
 ぃょぅが俺達に無言で時計を突き出した。
「……!」
 俺達はそれを覗き込んで絶句した。
 時計の進み方が目茶苦茶になっている。
 これでは、正確な時間は計れない。

「これが、あのスタンドの能力かょぅ…」
 ぃょぅが呟いた。

「……」
 俺はおよそ二十分前の事について思い返してみる。
 そう、今から少し前、
 俺達の前にあの男が現れて―――

12ブック:2004/04/10(土) 23:02



     ・     ・     ・



 俺達はSSSの入り口の前に集合していた。
「…忘れ物は無い?」
 ふさしぃが、念を押すように聞いてくる。
「無いょぅ。」
「無いモナ。」
「無いぜ、ゴルァ。」
「……」
 俺達は各自それに答えた。

「……」
 みぃが俺に心配そうな眼差しを向ける。
『心配すんな、すぐに帰って来るさ。』
 俺は嘘でそれに答える。
「……!」
 そんな嘘を見抜いたのか、みぃが俺を責めるように見据える。
 手を握り締め、しっかり掴んで放さない。

「……」
 俺は俯き、みぃの手を振り解いた。
 みぃがさらに哀しそうな顔になる。
 やめてくれ…
 俺の事なんかすっぱり忘れちまうんだ。

「大丈夫よ、みぃちゃん。
 でぃ君は私達が絶対に守りきってみせるわ。」
 ふさしぃがにっこりと微笑む。
 しかしその笑顔にはどことなく翳りが差していた。
 …無事では帰って来れないかもしれない。
 ふさしぃ達も、その事は覚悟しているみたいだった。

「…乳繰り合いはそこまでだ。
 行くぞ、ゴルァ。」
 ギコえもんが用意していた車に乗り込む。
 小耳モナーとふさしぃも車に乗り、
 俺とぃょぅも後部座席へ―――


「!!!!!」
 その時、俺の背後に突き刺さるような殺意を感じた。
 急いで振り返る。

「……!」
 そこには、いつの間にか目の前に空間の裂け目の様なものが出現していた。

 これは!?
 敵か!?
 馬鹿な。
 さっきまで微塵も敵の気配なんて―――

「!!!!!!」
 と、空間の裂け目からいきなり腕が突き出てきた。
 驚く間も無く腕を掴まれ、物凄い力でその中へと引き込まれる。

「でぃさん!!」
 みぃが咄嗟に俺を掴むも、女一人の力でどうこう出来る筈も無く、
 みぃまで俺と一緒に空間の裂け目の中へと飲み込まれた。
 そして、瞬く間にその裂け目が閉じていく。

「でぃ君、みぃ君!!」
 裂け目が閉じきる前に、ぃょぅがその中へと飛び込んできた。
「ふさしぃ!ぃょぅ達が戻らなかったら、君達だけで『矢の男』を―――!」

 そして、裂け目は完全に閉じたのであった。

13ブック:2004/04/10(土) 23:03



     ・     ・     ・



 …これが事の顛末である。
 そして俺達はこの訳の分からない空間の中に置いてきぼり。
 完全に手詰まりという訳だ。

「それにしても、敵は一体どこに…」
 ぃょぅがきょろきょろしながら呟いた。

 そうだ。
 俺達をここに連れてきた張本人はどこに行ったのだろうか。
 いや、それよりも外はどうなっているのだ?
 ふさしぃ達は無事なのだろうか…

「あの…ふさしぃさん達が外で敵を倒してくれたら、
 ここから出られるんじゃないでしょうか?」
 みぃがぃょぅの方を向いて行った。
「ぃょぅもそれは考えたょぅ。
 けど、そればかり当てにする訳にもいかなぃょぅ。」
 ぃょぅが返答する。
 とはいえ、一体どうやったらここから脱出出来るのかは見当もつかない。


(…お困りのようだな。)
 俺の内側から『デビルワールド』が囁いた。

 ……!
 出てくるな…!!

(私ならば、容易くここから出られると言ってもか?)
 『デビルワールド』がせせら笑う。
 相変わらず、むかつく野郎だ。

(まあいい。もうしばらくは、自分の頭でどうするか考えるがいい。但し…)
 …何だってんだ。

(限界だと感じたら、私が出る。
 せいぜいあの女を出来るだけ遠ざけておくのだな。)
 『デビルワールド』は愉快そうにそう言い残して喋るのをやめた。
 …させるかよ、そんな事……!


「でぃさん、どうしたんですか?ぼーっとして。」
 みぃが俺に話しかけてきた。
『何でも無い。』
 俺はみぃにそう返す。

「…!でぃ君、みぃ君!」
 ぃょぅが俺達に注意を促した。
 見ると空間に先程のような裂け目が再び生まれ、
 そこから男と、俺をここに引きずり込んだスタンドが姿を現す。

「……!」
 ぃょぅは『ザナドゥ』を発動させ、俺も腕と脚をスタンド化させる。
 こいつは、見覚えがある。
 確か、『矢の男』の傍で車椅子に座っていた…!

「…久し振りだな、『デビルワールド』。」
 男がゆっくりと口を開いた。

「お前が、この能力の本体かょぅ!?」
 ぃょぅが男に向かって叫ぶ。
「黙れ。私は今『デビルワールド』と話をしている―――
 外野が余計な口を出すな…!!」
 男から放たれる圧力。
 その凄まじさにぃょぅが思わず尻ごんだ。

「…野次が入った。話を続けよう。
 単刀直入に言えば、今日、ここで、お前を殺す。」
 男が俺に向かって言い放つ。
「お前が生まれた時、私の魂には大きな傷が穿たれた。
 己自身を見失う程にな…
 そしてその傷がある限り、私はあのお方の創られる新世界で生まれ変わる事は出来ん!」
 と、俺は再び奇妙な感覚に捉われた。
 昨日のギコえもんの時と同じ、
 男から何かどす黒いものが流れ込んで来るような…

14ブック:2004/04/10(土) 23:03

「ただお前を殺すだけなら、一生この空間に閉じ込めておけばいいが、
 それでは真にお前を乗り越える事にはならない!
 お前に真に打ち勝ち、生まれ変わる為にも、
 お前は私の手で直々に葬り去ってくれる…!!」
 男の背後に男のスタンドが空間の裂け目を開き、男がその中に入る。
 急いで駆け寄るがもう遅い。
 裂け目は完全に閉じてしまった。
 さっき見えた裂け目の中の風景から察するに、
 あの裂け目は外の世界に繋がっていたようだ。

 …それにしても、あの野郎。
 直々に葬り去るとか格好いい事ほざいたくせに、
 逃げるなんてせこい真似しやがって…!

「でぃさん!後ろ!!」
 みぃが叫ぶ。
 何だって、後ろ―――?

「!!!!!」
 気づいた時には遅かった。
 俺の背後に出現していた空間の裂け目から伸びたスタンドの手が、俺の左腕を掴む。
 そして、その手は俺の腕だけを裂け目から外の世界に引きずり込む。

 させるか。
 スタンド化した腕で、裂け目に見える敵のスタンドに攻撃を…

「…裂け目は閉じる。」
 男の呟き声が聞こえた。
 それと同時に空間の裂け目が一瞬で閉じる。
 そして―――

「―――ァ―――!!!」
 俺は声にならない叫びを上げた。
 左腕の肘のあたりの部分より先が、ごっそりと無くなっている。
 まさか、空間が閉じた部分で切り取られた…!?

「……!!!」
 俺は歯を喰いしばって痛みに耐えた。
 傷口から、おどろおどろしい色の血が噴き出す。
 神経を左腕に集中させ、再生を急がせる。

「でぃさん!!」
 みぃが俺を治療する為に駆け寄ろうとした。

 ―――来るな!!!
 その思いをありったけ詰め込んだ俺の視線を受け、みぃが気圧されて立ち止まる。

 来るな、みぃ。
 あいつは俺を…『デビルワールド』を狙っている。
 俺の近くに居たら、巻き込んでしまう…!

(どうする?助けてやってもいいのだぞ?
 丁度栄養補給も出来た所だしな。)
 …黙れよ、『デビルワールド』。
 手前の力は借りない。
 敵は俺が倒す。
 みぃも、必ず守ってみせる…!

 昏い炎が俺の理性を焦がし、
 失われた左腕が見る見る再構築される。

「……!!」
 俺は、姿の見えぬ敵に向かって静かに闘志を滾らせた。



     TO BE CONTINUED…

15:2004/04/11(日) 00:00
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ――モナーとゆかいな仲間達――

モナーの仲間や友人、家族など。
否応無しに事件に巻き込まれていくゆかいな人達。

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モナー :男や人外に超モテモテの17歳。
     情緒不安定で、女心がわからなすぎる男。
     食べる事、寝る事、そしてスタンドを利用した覗きが趣味。
     別人格が存在し、6歳より前の記憶がない。
     服の上からブラのホックを外すという技を使いこなす。
     彼の『脳内ウホッ! いい女ランキング』は謎に包まれている…

     スタンド:『アウト・オブ・エデン』
     目に見えないものを『視る』ことが可能。また、『視た』者に干渉できる。
     ヴィジョンを持たないスタンド。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ギコ :モナーのクラスメイトで、サッカー部に所属する武道愛好者。
     スポーツ万能で頭も良く、英語もペラペラ。
     女の子にモテモテで、しぃと付き合う前はかなり遊んでいたらしい。
     自衛官の父を持つだけあり、ひそかに武器マニア。
     『知識でも技能でも、覚えられるものは何でも覚えとけ』が信条のようだ。

     スタンド:『レイラ』
     日本刀を所持した女性型スタンド。
     典型的な近距離パワー型で、特に能力は持たない。
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モララー:モナーのクラスメイト。モナーに思いを寄せるホモ。
      …と見せかけて、実は両刀。
      未成年にも関わらずBARに通っている。
      一時期『矢の男』だったが、克服したらしい。

     スタンド名:『アナザー・ワールド・エキストラ』
     量子力学的現象を顕在化させるが、その能力にはまだ謎が多い。
     その応用方は数多く、成長性は並外れて高い。
     モララーは主に『多世界解釈』を顕在化して、『もう一つの世界』を攻撃に利用する。
     『次元の亀裂』:次元に亀裂を作り出し、巻き込んだ物を破壊する。
     『対物エントロピー減少』:爆発等、拡散するタイプの攻撃を中和して消し去る。
     『波束の瞬間的崩壊』:空間を遮断し、対象の存在を『もう一つの世界』に押し込める。

16:2004/04/11(日) 00:00
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
しぃ   :モナーのクラスメイトで、普段は大人しく心優しい優等生。
      ギコとつきあっていて、完全に尻に敷いている。
      『アルカディア』も尻に敷かれしまうのか。

      スタンド名:『アルカディア』
      本体とは別の意思を持ったスタンド。
      他者や自身「望み」や「願い」を実現させる。
      他者の願望を具現化した場合の方が、強力な力を発揮できる。
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レモナ :最終兵器。モナーに思いを寄せているが、積極的なアタックは実を結びそうにない。
      『ドレス』の技術で開発されたらしい。
      現在『ドレス』は解体され、その技術は『教会』に流れた。
      物体に宿るタイプのスタンド、『ヨグ・ソートス』を搭載している。
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つー  :性別不明のいたずらっ子だが、『BAOH』に改造された。
      これも『ドレス』の技術によるものだが、本人はあまり気にしていない。
      モナーに意地悪するのは愛ゆえか? 独占欲ゆえか?
      それは本人ですら分からない…
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じぃ  :モナーのクラスメイトであり、クラスのアイドル。
     いつも被っている帽子がトレードマークらしい。
     密かに、モナーに思いを寄せていたが…
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ガナー :モナーと一つ違いの萌えない妹で、年相応の普通の女の子。
      しぃタナとはクラスメイトであり親友。
      居候しているリナーを「お義姉さん」として慕っている。
      最近、めっきり影が薄くなった。
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しぃタナ :しぃの妹で、しぃタナは暴走レモナによるあだ名。
      しぃに比べて活発で、腹黒でもないようだ。姉妹仲は悪くない。
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17:2004/04/11(日) 00:01

 ――ASA――

Anti-Stand Associationの略で、人に仇を為すスタンド使いを抹殺する組織。
国際的に活躍し、各国政府の要請で出動する。
組織としては私立財団に近いが、スタンド使いに対抗する組織の中で、最も強力かつ武闘派。
『三幹部』と呼ばれる三人の意向によって組織の意向が決定される。
とはいえ、ありすとクックルは組織の運営に興味を示さない為、事実上しぃ助教授の独断状態である。
スタンド使いはもちろん、軍事力も保持。
財力にあかして各国の最新兵器を買い叩くという、某中東国家に似た事をやっている。

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しぃ助教授:ASA三幹部の一人。年齢に触れる事は大いなるタブー
       理知的で温和に見えるが、怒らせると危ない。怒りの導火線もかなり短い。
       兵器好きだが、その理念はリナーと大きく異なり性能重視。

       スタンド:『セブンス・ヘブン』
       近距離パワー型と思わせておいて、実は遠距離型。
       パワーはとんどなく、遠距離型にもかかわらず視聴覚を持たない。
       『力』の指向性を操ることができる能力を持つ。
       この能力を本体の周囲の空間に使うと、物理的な攻撃が当たらなくなる。
       この鉄壁の防御を、『サウンド・オブ・サイレンス』と呼称する。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ありす:ASA三幹部の一人。ゴスロリに身を包んだ女の子。
     よく「サムイ…」と呟いていて、得体が知れない。

     スタンド名:不明
     巨大な腕型のヴィジョンが複数存在する。
     その破壊力は高く、本体への攻撃を掌で防ぐ事も可能。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
クックル:ASA三幹部の一人。筋肉に覆われたニワトリ。
      頑健な肉体を誇る。

     スタンド名:不明
     詳細不明
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
丸耳  :しぃ助教授の補佐。おそらく20代後半。
      主人の暴走を止めるのが主な仕事。
      あのしぃ助教授を制している人物という事で、ASA内での評価は高いらしい。

      スタンド名:『メタル・マスター』
      詳細不明。本体を狙った銃弾を虚空に消した。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ねここ :ありすの補佐。猫の顔を模した帽子をかぶった女の子。
      その言動はどこか変わっている。
      ありすとは、友人のように付き合っているらしい。

      スタンド名:『ドクター・ジョーンズ』
      大鎌を持った死神のような姿をしたスタンド。
      外見に似合わず、手術を行って他人の傷や病気を治療することが可能。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
+激しく忍者+:クックルの補佐。作品内には未だ登場せず。
          クックルのストレス解消的存在。
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18:2004/04/11(日) 00:01

 ――『教会』――

ローマ教会の内部組織で、吸血鬼殲滅を主な任務とする機関。
唯一の吸血鬼殲滅機関と言っても過言ではないほど強大である。
代行者と呼ばれる対吸血鬼のエキスパートを世界中に派遣し、吸血鬼に対抗している。
また、『ロストメモリー(失われし者達)』と呼称される、強力なスタンド使いの死体を保存している。

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リナー :『教会』の代行者で、称号は『異端者』。
      見た目は17歳程度だが、正確な年齢は不明。
      隠し事が多い武器・兵器フェチ。

      スタンド:『エンジェル・ダスト』
     体内にのみ展開できるスタンドで、液体の「流れ」をコントロールできる。
     手で触れれば、他人の自然治癒力を促進させる事もできる。
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簞(ばつ):『教会』の代行者で、称号は『守護者』。
       現在は1さんの家に居候している。
       そのスタンド能力から、武器の法儀式処理を一手に任されている。

       スタンド:『シスター・スレッジ』
       人間よりも多量の波紋を練る事ができるスタンド。
       物質に波紋を固着させる事も可能。
       パワーはないに等しいので、戦闘時は波紋を流したワイヤーを使う。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
『解読者』:『教会』の代行者で、本名はキバヤシ。
       代行者の中で、トップの吸血鬼殲滅数を誇る。
       『教会』の仕事以外ではスタンドは使いたがらない。
       その理由は、彼のかって対立していた組織が洗脳紛いの事をしていたかららしい。
       なお、その組織は彼の脳内にしか存在しない説が濃厚。

       スタンド:『イゴールナク』
       催眠術を基盤とした能力だが、詳細不明。
       スィッチを暗示として仕込む技術は、スタンド能力とは別物のようだ。
       暗示の簡略化に用いるらしいが…
       ASAから封印指定を受けている。
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『調停者』:『教会』の代行者。本名は阿部高和。
       劇画風の濃い顔がチャームポイント。
       普段はツナギを着てベンチに座っている。

       スタンド:『メルト・イン・ハニー』
       死者の魂をスタンド化する能力を持つスタンド。
       スタンド化できる魂は常に一つで、ストックは不可。
       自由に解雇する事は可能。
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『破壊者』:『教会』の代行者。本名はヌケドナルド。
       ピエロのような格好をしている。
       常に「お前ら、表へ出ろ」と口走り、周囲を威嚇している。
       前任の『破壊者』にコンプレックスを持っているらしい。

       スタンド:『カナディアン・サンセット』
       普通のクマに同化しているので、一般人にも見えるスタンド。
       発動すると、クマがどこにいても飛んでくる。
       強力なパワーを持つが、操作は不可能。
       攻撃優先順は、
       『破壊者』 > 敵意を持っている者 > 女・子供 > 他のクマ
       『破壊者』本体に限り、死まで至らしめないという優しさも持っている。

19:2004/04/11(日) 00:02
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
『狩猟者』:『教会』の代行者。本名は「きれいなジャイアン」。
       爽やかな雰囲気と、素敵な瞳を持つ。
       気に食わない事があると、暴力の化身「きたないジャイアン」になる。
       『音界の支配者』という異名を持つ。

       スタンド:『クロマニヨン』
       ギター型のスタンド。
       本体の放つ超広帯域空気振動に一役買っているらしい。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
『暗殺者』:『教会』の代行者。通名はムスカ。本名は省略。
       自称ラピュタ王。尊大な振る舞いだが、どことなく間が抜けている。
       副業で暗殺者を営んでいるようだ。

       スタンド:『アルハンブラ・ロイヤル』
       影を武器として操る。
       限界はあるが、複数の影を同時に操る事が可能。
       また、影の中に潜る事もできる。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
『支配者』:『教会』の代行者。本名?はスミス。
       上下とも真っ黒なスーツを愛用しており、サングラスは決して外さない。
       「諦めろ」が口癖。

       スタンド:不明
       ドア型のスタンドで、複数存在する。
       本体自身を増殖させているらしいが、詳細不明。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
『蒐集者』:『教会』の元代行者。
       爽やかな青年の外見をしていて、夏でも黒のロングコートを愛用している。
       いろいろな場所に顔を出しては、話を最高に胸クソ悪く盛り上げてくれる人。
       『教会』から離反しているようだが、称号は使い続けている。

       スタンド名:『アヴェ・マリア』
       対象を取り込んで同化できる。
       同化には、生物、無生物を問わない。
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ぽろろ:『NOSFERATU-BAOH』の実験体候補。
     『教会』の地下深くに軟禁されている。
     自らのスタンドを喰らい、スタンドに喰らわれている。

     スタンド名:『エンジェルズ・オブ・ジ・アポカリプス』
     能力不明。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
枢機卿:『教会』の最高権力者。

     スタンド名:『リリーマルレーン』
     能力不明。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
山田:過去に存在した強力なスタンド使いで、約1800年も前に死亡している。
    『ロストメモリー(失われし者達)』として、遺体を『教会』が隠匿してきた。
    近年、吸血鬼として蘇生。

    スタンド名:『極光』
    詳細不明。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

20:2004/04/11(日) 00:03
ハートマン:過去に存在した強力なスタンド使いだが、死亡したのは近年。
       『ロストメモリー』の一員で、吸血鬼として蘇生。
       狙撃銃、PSG1を愛用する。

       スタンド名:『ミッキーマウス・マーチ』
       詳細不明。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ウララー:過去に存在した強力なスタンド使いだったが、吸血鬼として蘇生。
      『ロストメモリー』の一員。
      『アナザー・ワールド・エキストラ』の元々の所有者と因縁があるようだが…
      なお、『ロストメモリー』とは『教会』が付けた便宜的な総称に過ぎないため、
      メンバーのそれぞれに面識も仲間意識もない。

      スタンド名:不明
      詳細不明。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ――警視庁警備局公安五課――

 通称、スタンド犯罪対策局。
 増加を続けるスタンド犯罪に対抗して設立された部署。
 スタンド使いが多く所属する。
 現在、政情不安のため雲隠れ中。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
局長   :公安五課(スタンド犯罪対策局)の局長。
       スタンド関連では、この国で一番偉い人らしい。
       現在は逃亡中。

       スタンド:『アルケルメス』
       時間を「カット&ペースト」する能力。
       時間を切り取ったり、切り取った時間を貼り付けたりできる。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ――自衛隊――

 内閣総理大臣を最高指揮監督者とする国防のための軍事組織。
 防衛庁長官が自衛隊の隊務を統括する。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
フサギコ:統合幕僚会議議長。自衛官の最上位に就いている。
      粗暴で口が悪いにもかかわらず、多くの部下から慕われている。
      局長とは古くからの付き合いだが、仲は決して良くない。
      ギコの父親。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
でぃ :海上自衛隊の一等海佐。
    高い操艦技術を持っているらしい。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

21:2004/04/11(日) 00:04

 ――その他――

 その他の人達とか。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
1さん :モナーと同じ学校に通う17歳。
     簞ちゃんとの出会いから、大きな運命の流れに引き込まれていく。
     現在、波紋修行中。あと10年もすれば、立派な波紋使いになるだろう。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
殺人鬼:モナーの別人格で、高い知能と戦闘能力を持つ。
     また、『アウト・オブ・エデン』の能力をモナー以上に引き出せる。
     たまに出てきてモナーを手助けするが、善意ではない事は明らかである。
     『教会』との繋がりがあるようだが…
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
モナソン・モナップス:海外視察に来ていた上院議員。
             出て来るたびに、お供のボディーガードと共にヒドイ目に遭う。
             だが、その心は砕けない。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
『矢』:刺さった者のスタンドを覚醒させる『矢』。資質がない者は命を落とす。
    確認されているのは、『矢の男』が所持していたものと、モナーの家に隠されていたものの2本。
    キバヤシ曰く、『矢の男』が所持していた『矢』は『アルカディア』による偽者らしい。
    とはいえ、機能は本物と変わりないようだ。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

22:2004/04/11(日) 00:04

「―― モナーの愉快な冒険 ――   夜の終わり・その1」



 ――夢を見た。

 なぜか、夢とはっきり分かる。
 BGMのように、寂しげな旋律が流れていた。
 確か、じぃを殺した夜に聞いたメロディと同じ…


 古い屋敷の前に、男は立っていた。

 ――あれは、俺だ。
 現代ではない。
 今から、百数十年ほど昔だ。
 欧州のどこかの風景。
 森の中に存在する古い屋敷の前に、俺である男は立っていた。
 
 男は、バヨネットを手にしていた。
 サングラス… いや、黒眼鏡と言った方がいいだろうか。
 とにかく、男はサングラスをかけていた。
 まるで、視界を遮断するかのように。

 ゆっくりと、男は屋敷の扉を開けた。
 正面のホールには、人間… いや、人間を辞めたモノが3匹。
「いきなり上がり込んで… 何ですか、貴方は…」
 吸血鬼は人間を装い、不服そうに口走る。

「――良い知らせと、悪い知らせがある。どちらが先に聞きたい?」
 男は、口を開いた。

「じ、じゃあ… 悪い知らせの方を先に…」
 雰囲気に呑まれ、律儀に答える吸血鬼。
 男は、無表情で告げた。
「お前達の人生は、今日で終わりだ」

「じゃあ、良い知らせは…!」
 吸血鬼が声を荒げる。
 それに対し、表情を崩さない男。
「――苦痛は感じない」

 男は、サングラスを外した。

 ――『アウト・オブ・エデン』。


  (周囲に、視線が満ちる。)

                (場の空気。敵の呼吸。全てを把握。)

 (まるで、視線で構成された空間。)

                       (「…お前、代行者か!」 正面の吸血鬼が叫ぶ。)


       ( −mental sketch modified− )


                              (瞬く間に――)

 ――3人の吸血鬼は身体を寸断されていた。
 3人分の肉塊が、湿った音を立てて床に落ちる。

「さて、後は…」

 壁を突き破って、吸血鬼が飛んできた。
 その生命はすでに無い。
 …いや、吸血鬼に元々生命は存在しないか。
 吸血鬼の肉体は、地面に落下した瞬間に炎上した。
 どうやら、あっちもカタが付いたようだ。

「やれやれ… こんな雑魚相手に、私達が出張る必要もありませんでしたね…」
 壁の穴をくぐって、黒のロングコートを着用した青年が現れた。
「…全くだ」
 男はバヨネットを服の中にしまうと、再びサングラスを着用した。
 面倒そうにため息をつくロングコートの青年。
 彼は、『蒐集者』と呼ばれていた。

「さて。帰りますか、『破壊者』…」
 『蒐集者』はロングコートを翻すと、出口の方へ歩いていった。

23:2004/04/11(日) 00:04


          *          *          *



 あれから、時が流れた。
 これは、夢だ。
 懐かしい夢。
 哀しい旋律は鳴り止まない。


 男は、ドアをノックして書斎に入った。
 『蒐集者』が、『教会』から与えられた部屋。
 事実上、そこは彼の実験室と化していた。

 中の照明は薄暗い。
 『蒐集者』は、机に向かっていた。
 なにやら、熱心にノートに走り書きをしている。
 時計の音と、文字を書く音だけが場を支配していた。

「…『破壊者』か」
 『蒐集者』は作業を続けたまま、男に語りかけた。
「あまり研究に根を詰めすぎるな。身体に悪い」
 男は『蒐集者』の後ろに立って言った。

 『蒐集者』は本を開き、書かれている数値とノートの数値を比較している。
「…その言葉、有難く受け取りますよ。
 とは言え、吸血鬼化技術の完成には程遠いですからね。
 老化阻止の技術は何とか確立したが、それより先が進まない。
 臨床データが決定的に不足している状態ですからね…」

 男は、そこらに転がっていた椅子に腰を下ろした。
 周囲は本棚ばかり。
 そこには、溢れんばかりの書籍が詰まっている。

「老化阻止の技術も、完全とは言えない。肉体、精神共に頑健な者にしか施せませんからね…」
 そう言いつつ、机に並んで置かれていた3つの写真立てに視線を送る『蒐集者』。
 写真の中では、礼服の若い男がこちらに向けて微笑んでいた。
 それぞれ違った人物の写真が、3つ。

 彼等は、『教会』に所属する若い青年だった。
 試験的に、老化阻止の手術を受けたのだ。
 当然、本人達も同意していた。

 その結果は… 3人とも失敗に終わった。
 老化阻止どころか精神汚濁と新陳代謝の異常が発生し、彼等は帰らぬ人となった。
 その日、『蒐集者』は自らの机に彼等の写真を並べたのだ。

 ――あの写真は、『蒐集者』の懺悔である。

「だから、この研究は大成させねばならない。彼等に報いる為にもね…」
 そう言って、『蒐集者』はノートに視線を戻した。

「…余り、自分を責めるな。自責感に駆られて成果を急いだところで、ロクな事にならん。
 気ままにやっていれば、いつか何とかなるものだ…」
 男は椅子にもたれて言った。
「貴方は楽観的に過ぎますがね、ブラム…」
 『蒐集者』は男の名を呼んで、柔らかな笑みを浮かべた。
 時計の音が、時間を刻み続ける。

 そして『蒐集者』は一息つくと、男に視線を向けた。
「吸血鬼化… そして、究極生物。興味は尽きませんね。
 『矢』によるスタンド発現のメカニズムも、是非研究してみたい。
 まだまだ私のやる事は山積みですよ。のんびりしている暇はない」

24:2004/04/11(日) 00:05

「吸血鬼化…か。わざわざ吸血鬼を増やす必要性に疑問を感じるがな。
 我ら代行者は、吸血鬼を討つのが使命のはずだ」
 男はため息をついた。
 『蒐集者』は肩をすくめる。
「何度も言っている通り、吸血鬼そのものを増やそうという訳ではありませんよ。
 その不死性、超越性を探り応用する事で、『教会』はさらに大きな力を手にする事ができるかもしれません。
 『ロストメモリー(失われし者達)』が蘇生できれば、『教会』にとって大きな戦力となりますしね」

 『ロストメモリー』とは、『教会』が保存している遺体の通称である。
 いずれも、生前はかなりの腕前を持つスタンド使いであったらしい。
 無論、その肉体は完全な状態で保存されている。

「しかし、吸血鬼化の技術を応用し、死者を蘇生させようとは… 上も無茶な事を考える」
 男は顎に手を当てた。
「吸血鬼が死体をゾンビ化させたのは、多くの前例があります。決して夢物語ではありませんよ」
 『蒐集者』は少し不服そうに言った。
 そして、思い詰めたように表情を強張らせる。
「吸血鬼化の技術により、『教会』の戦力は抜本的に上昇する。
 そうなれば、あの『レーベンス・ボルン(生命の泉)』を撤廃できる…」
 トーンを落として呟く『蒐集者』。

 ――『レーベンス・ボルン(生命の泉)』計画。
 強力なスタンド使い同士を交配させ、それを繰り返す事により『最強のスタンド使い』を産み出す計画。
 700年も前から続き、『蒐集者』自身もその計画によって生を受けたのだ。

「お前は… 『教会』を恨んでいるのか?」
 表情を曇らせ、男は訊ねた。
 『蒐集者』は視線を落とすと、軽く首を振る。
「――いいえ。恨みはありません。
 ですが、あんな計画は早々に終わらせなければならない。私のような人間が増える前にね…」

 『蒐集者』の机の正面に備え付けられた窓からは、学校の校舎のような建物が見える。
 あれこそが、『レーベンス・ボルン』。
 あの中に、今も大勢のスタンド使いが暮らしている。
 子供から老人まで。
 家畜同然に、ただ交配させる目的で。
 あの建物の中に食堂、教育施設、医務室などが備え付けられ、彼等は生まれてから一歩も外へ出られる事はない。

 窓の外に建つ『レーベンス・ボルン』を睨みつける『蒐集者』。
「あそこから出れたのは、最強のスタンドである『アヴェ・マリア』を授かった私だけだ。
 故に、私が皆を解放する責務がある…」

 男はため息をついた。
 『レーベンス・ボルン(生命の泉)』に囚われている者達は、全員が『蒐集者』の家族なのだ。
 彼の父も、母も、兄弟も、友人もあの中にいる。
 そして、『最強』のスタンド使いである『蒐集者』は、あそこから出る事ができた。

 ――しかし、普遍的な『最強』など世の中にありえない。
 ありえないものを追い求め、ありえないものにすがる。
 それは、もはや『妄執』だ。
 故に『最強』とは、『妄執』に過ぎない。

 だが… 目の前の友人、『蒐集者』は『最強』として生きようとしている。
 『最強』となる為に生を受け、『最強』として扱われた男。
 
「『最強』とは、どういう意味か―――」
 男は、不意に目の前の『蒐集者』に訊ねた。

25:2004/04/11(日) 00:06



          *          *          *



 さらに時は流れた。
 10年? 20年? それも分からない。
 時間の感覚は一切ない。
 …俺は、誰だ?


「エイジャの赤石、『矢』、共に捜索ははかどっておりません」
 男は、初老の神父に告げた。

「ふむ…」
 神父は、窓の外の星空を眺めている。
「よりによって、『教会』の秘宝を盗み出すとは… 誰か知らんが、かなりの手練だな」
 神父の言葉に、男は頷いた。
「…そうでしょうな。常人にできる事ではありません」

 神父はこちらに向き直ると、忌々しそうに腕を組んだ。
「…ASAの仕業、という可能性は?」
「その線はないでしょう。『矢』はともかくとして、エイジャの赤石に手を出す理由がない」
 男は即答する。

 神父はため息をついた。
「その理屈で言えば… 犯人は『蒐集者』でしか有り得んな。
 満足な波紋使いがおらん現状では、波紋が増幅できたとて意味はない。
 もはや、あれには研究対象以上の価値はないと言える。赤石に興味を示していたのは、『蒐集者』だけだ」

 男は、それを否定する。
「だからと言って、『蒐集者』の可能性もないでしょう。
 彼は、あれを私益していたも同然です。盗み出すなどという行動を取る必要すらない」

「何の関連もない者が欲しがるとも思えんがな…」
 神父は再びため息をつく。
「…ともかく、調査を続行したまえ。君の『アウト・オブ・エデン』に期待している」
「はい…」
 男は軽く頭を下げた。

「ところで、話は変わるが…」
 少しの沈黙の後、神父は口を開いた。
「…私も、老化阻止の手術を受けてみようと思う」

 それを聞いて、男は額に皺を寄せた。
「…枢機卿。あの手術は危険を伴います。老化阻止を施して、命があったのは――」
「私のみ、と言いたいのだろう? 『破壊者』よ…」
 神父は、冷ややかな笑みを浮かべて言った。

 男は、かなり前に老化阻止の手術を受けていた。
 老化阻止は、吸血鬼化技術の一端という事もあり、新陳代謝に大幅な歪みを及ぼす。
 ほとんどの場合は、脳が遅延化した新陳代謝に耐えられない。
 老化自体は止まっても、どんな副作用が起きるか分からないのが現状だ。
 しかし、男は自ら望んで手術を受けた。

「私には、実現すべき理想がある。その日を見るまで、老いて死ぬ訳にはいかないのだよ」
 枢機卿は笑みを浮かべて言った。
 男と同じ、理念の為ならリスクを犯す。枢機卿も、そういう人種なのだ。

 枢機卿は言葉を続けた。
「神は、望まぬ能力をこの私に押し付けた。『リリーマルレーン』、使いたくはない…
 故に、私は肉体を磨く事でスタンドの使用を抑制してきた。
 …だが、老いてはそれもできんからな。
 老化阻止は精神・肉体共に頑強でなければ耐えれんというが… 私にも、それは備わっているだろう」

 男は、枢機卿の言葉を過信とは思わない。
 目の前の神父は、それだけの能力を備えている。
「…成功する事を期待しています」
 男は言った。


 一礼して、男は部屋を出た。
 長い廊下を歩き、礼拝堂の外へ出る。
 外は真っ暗だ。もう夜も遅い。
 宿舎へ戻ろうとした時、男は妙な空気を感じ取った。

 ――怒り、悲しみ、怨念。
 幾多のマイナスの感情が渦巻いている。
 これは…!

 男は走り出した。
 奇妙な気配を感じた、『レーベンス・ボルン』の方向に向かって。

26:2004/04/11(日) 00:07

 男は、白くそびえ立つ建物の前にたどり着いた。
 『レーベンス・ボルン』を見上げる男。
 中に入るのに、かなりの躊躇を感じる。
 まるで、建物自体が外界からの接触を拒むように。

 …衛兵はいない。
 多くのスタンド使いを閉じ込めている以上、管理は万全のはず。
 しかし、建物の周囲には人っ子一人いない。
 やはり、妙だ。
 男はドアを開け、『レーベンス・ボルン』に侵入した。


 ――死の気配。
 それも、まだ新しい。
 男は歩を進めた。
 外見だけでなく、内部もまるで学校のようだ。

 立ち込める死の気配とは別に、『アウト・オブ・エデン』は妄念と腐敗を感じ取った。
 『最強』のスタンド使いを作る為だけに、彼等はここに監禁されてきた。
 何代も何代も、約800年に渡って。
 時の止まった場所。
 ――ここは、生きた建物ではない。

 廊下に、倒れている人の姿を発見した。
 一瞥しただけで、既に命はない事は判る。
 それだけではない。
 その肉体は何かが大きく欠けていた。
 目に見える変化はない。
 しかし、その死体は物体として大きく欠落している。
 あれは既に抜け殻だ。

 ――『特性の同化』。
 『アヴェ・マリア』のスタンド能力。

 男は走り出した。
 『アウト・オブ・エデン』で、奴の位置を把握する。
 5階の突き当たり。
 技能教務用の部屋… 一般的に言う教室だ。
 そこに、奴はいる…!!

 廊下を突き進み、階段を上がるにつれて、死体の数は多くなっていった。
 いや、あれは死体ですらない。
 特質を失った、ただの抜け殻だ。

 奴は、もう――


 男は、蹴破る勢いでドアを開けた。
 木製のドアは、派手な音を立てて外れる。

 教室は、死体の山だった。
 20人、30人… いや、もっと。
 老若男女、分け隔てない死体。
 その全てが、既に『奪われて』いる。

 『蒐集者』は、若い女の顔を掴んでいた。
 その背後には、『アヴェ・マリア』のヴィジョンが浮かび上がっている。
 黒のロングコートが激しくはためいた。
 女は、たちまちにして『特性』を吸い取られる。
 そのまま、無造作に投げ捨てられる女の残骸。

「『蒐集者』、お前…!」
 男は、異形の青年に語りかけた。
「ああ、ブラムか… どうしました?」
 『蒐集者』は歪んだ笑顔を見せる。
 その瞬間、激しく咳き込む『蒐集者』。
 口から溢れ出る血を、右手で押さえる。

「お前…! 自分が何をやったか分かっているのか…!?」
 男は叫んだ。
「…分かっているさ。こうする為に、私は生まれてきたんだからなァァァ!!」
 『蒐集者』は、絶叫しながら身を反らせる。
 その全身が、不気味に脈動した。
 ポタポタと床に垂れる血。

「…気をしっかり持て。自分を見失うな!!」
 男は、『蒐集者』の元に駆け寄って叫んだ。
「黙れ…! お前に分かるのか、この苦痛がァッ!!」
 『アヴェ・マリア』が、業火を伴った拳を振るう。

「…分かるものか。私はお前じゃない」
 男は、『アウト・オブ・エデン』で火炎を『破壊』した。
「それとも… 『蒐集者』ともあろう者が、同情でも欲しいのか?」

「そんな事…」
 よろける『蒐集者』。
「ぐッ…! ぐァァァォォォッ!!」
 そのまま、『蒐集者』は大きくのけぞった。
 机の上に手を置く。
 たちまちにして、机はドロドロに溶けてしまった。

27:2004/04/11(日) 00:07

「…自分を保て。このままだと、お前は自身の能力に呑まれるぞ」
 男は、『蒐集者』に声をかける。
「私は…」
 片膝を付き、血を吐く『蒐集者』。
 その瞳は胡乱だ。
 極端に濃くなった血統。
 『最強』であるはずのスタンドが、奴の精神を蝕んでいる。

「――自らの能力などに屈するな。お前は、『最強』なのだろう?」
 男は、ゆっくりと告げた。

 自らの顔面を掴みながら、フラフラと立ち上がる『蒐集者』。
「そう… 私は『最強』だ…」
 『蒐集者』は、うわ言のように呟いた。
 彼の感情が、突然に爆発する。
「…そう、『最強』だ! 『最強』にならなければ、私には生きる価値などない!!
 神が私に『最強』を望むなら、いかなる犠牲を払ってでもそれを甘受しよう!!
 どうせ私は、呪われた存在なんだからなァァッ!!」

「…いい加減にしろ」
 男は『蒐集者』の首を掴むと、そのまま教卓に叩きつけた。
「お前は呪われた存在などではない。生まれた形は歪でも、祝福された生命に違いはないんだ」

「フ、フフ… ハハハハハハ!!」
 『蒐集者』は教卓に突っ込んだまま、表情を歪ませて笑い出した。
 その狂笑が、夜の教室に響く。
「なァ… 私は何なんだ!? こうやって、他人を糧に生きていく化物か!?」
 悲痛な叫び。
 男は、黙って『蒐集者』の顔を見据えていた。

「他人の生命を奪う事が罪なら、私の存在自体が罪なのか!?
 なぜ神は私にこんな能力を与えた!?
 私には、自らの幸せを願う事すら許されないのか!? なァ、ブラム!!」

「…お前は、悲観的に過ぎる。何でも思い詰めるな。
 世の中の不幸が全部、自分に原因があるとでも思っているのか?」
 男は、柔らかな目で『蒐集者』を見下ろした。
 しばしの沈黙。
 木屑を払い、『蒐集者』は立ち上がった。

「貴方ほど楽天的にはなれないさ… 私は、もう壊れているからな」
 幾分落ち着いた様子で、『蒐集者』は言った。

「お前は弱い。誰よりも弱いからこそ、『最強』などに憧憬するんだ」
 男は、窓の脇まで歩み寄った。
 …月が出ている。

「自分の弱さを認めろ。『最強』なんて、最初から幻想に過ぎん。
 故に、『レーベンス・ボルン』など最初から頓挫している計画に過ぎない。
 重要なのは、これから何を為すかだ。偽りの『最強』など、追い求める必要はない」

「あの月は、変わりはしない…」
 『蒐集者』は、月を見上げて言った。
「私は、いつまで自分を保つ事ができるのか…」

 男は腕を組み、割れた教卓にもたれた。
「思い詰めるなと言っている。お前は弱いが、それなりに強いさ。
 物語の終わりは、いつだってハッピーエンドだ。 …そうだろう?」

 無言で笑みを見せる『蒐集者』。
 男と『蒐集者』は、死体だらけの教室でいつまでも月を眺めていた。

28:2004/04/11(日) 00:08



          *          *          *



「――いい手段を思いついた」
 不意に『蒐集者』は言った。
「…『アナザー・ワールド・エキストラ』と『矢』を、同時に得る事が出来る手段だ」

「同時に…だと?」
 男は困惑した。
 『レーベンス・ボルン』壊滅以来、『蒐集者』に変化はない。
 結局、彼は自分を取り戻したようだ。

 ――本当にそうだろうか。
 不安は残った。
 確かに『蒐集者』に変化はないが、どこか無感情になってしまったような気がする。
 『アウト・オブ・エデン』で視た限り、特に異常はないが…

「『ロストメモリー』の中に、『アルカディア』というスタンドが存在するのは知っているでしょう?」
 『蒐集者』は話を続けた。

「ああ。『空想具現化』の『アルカディア』だろう?」
 男は、記憶からその名を探る。
 『アルカディア』は、厳密に言えば『ロストメモリー』の定義には当て嵌まらない。
 『ロストメモリー』はスタンド使いの死体なのに対し、『アルカディア』はスタンドそのものだからだ。
 しかし、『アルカディア』も『ロストメモリー』の一員として扱われている。
 『ロストメモリー』とは、事実上『教会』の予備戦力であるからだ。
 もっとも、死体蘇生の技術が確立すればの話だが。

「『アルカディア』の力で、『矢』と『アナザー・ワールド・エキストラ』を復元する気か?
 しかし、いかに『空想具現化』とはいえ出来る事に限度があるだろう…」
 男は腕を組む。
 それに対し、『蒐集者』は笑みを見せた。
「普通にやるならば…ね。ここで、『矢の男』という存在を仮定する」

「『矢の男』…? 工夫のない名前だな」
 男は口を挟んだ。
「…失礼ですね。一晩に渡って頭を捻り、7つの候補から選び抜いた名前ですよ」
 『蒐集者』は不服そうな表情を浮かべる。
 男は軽く笑った。
「他にどんな候補があったのかも気になるが… とにかく、その『矢の男』とやらをどう使う?」

 再び、語り出す『蒐集者』。
「確かに、『アルカディア』に『矢』と『アナザー・ワールド・エキストラ』の特性を伝えただけでは、
 復元は不可能でしょう。実現する事を前提にした『希望』は、どうしても具現化に制限がかかる」

「…実現する事が分かっていれば、それはもはや『希望』ではないからな。無意識に望む事が重要だろう」
 腕を組んだまま男は言った。
 それに対し、『蒐集者』は頷く。
「ここで『矢の男』の存在を流布し、噂にする。センセーショナルな噂ほど良い。
 万単位の人間が『矢の男』の存在を信じれば、具現化のエネルギーはかなりの量になります」
 
「…なるほど」
 男は、口許に手をやった。
「だが、人々が『矢の男』の存在を噂にする、というのは難題ではないか?
 普通の人間は、そんなものの存在を望むまい」

「それが、次の課題なんですよ…」
 肩をすくめる『蒐集者』。
「『アナザー・ワールド・エキストラ』や『矢』について知識を持ち、なおかつ精神力に満ちた実力者が、
 『矢の男』の存在を無意識に望めば文句はないんですがね…」

29:2004/04/11(日) 00:08
 男は軽く笑みを浮かべた。
「そんな上手い話がある訳がないだろう?」
 『蒐集者』はため息をつく。
「エイジャの赤石の消失で、究極生物の研究も進みませんしね…
 吸血鬼化を応用した蘇生技術も、上手くいったところで寿命が15年では何とも…」
「まあ、気長にやればいいさ」
 男は腕を組んだ。

「…とは言え、吸血鬼化技術の研究は進んできました。
 外科手術によって、吸血鬼が量産できるのも時間の問題ですからね」
 表情を変えずに『蒐集者』は告げる。

「量産… だと?」
 男は『蒐集者』の顔に視線を向けた。
 その顔は、先程までと同じ無表情だ。
「…それはそうでしょう?」
 『蒐集者』は笑みを見せる。

 ――いや、笑ってなどいない。
 こいつの感情は、能面に過ぎない。
 こいつは――誰だ?

「出来る技術があるのなら、やるべきですよ。さらなる力を得るのに、不都合はないでしょう?」
 作り物の笑みを浮かべて、目の前の青年は言う。
「さらに、私は吸血鬼で構成された軍隊というのを考えています。
 数万人ほどさらってきて、全員を吸血鬼化させる。その無類の戦闘力を目にしたくありませんか?」

「何を言っている…!? 吸血鬼など、血塗られた存在だ。
 普通の人間に、そんな十字架を背負わせる気か…?
 望まぬ力を押し付けられた苦痛は、お前が一番良く分かっているはずだろう!」
 男は、『蒐集者』の顔を睨んで言った。
 『蒐集者』は、その視線を逸らさない。
「妙な事を言う… 私は、『教会』に感謝していますよ。
 私を『最強』として産んでくれてね… ハッ、ハハハハハハハハ!!」
 突如として、大声で笑い出す『蒐集者』。

 ――真実だ。
 こいつは、真実を語っている。
 『蒐集者』は、心の底から『教会』に感謝しているのだ。
 それは、つまり――
 
 男は笑い続ける『蒐集者』をその場に放置して、駆け出した。
 もう、『蒐集者』は元の『蒐集者』ではない。
 …吸血鬼の軍隊?
 口振りからして、枢機卿にも話は通っているのは明らかだ。
 『蒐集者』1人が暴走している訳ではない。

 この組織は… 『教会』は、完全に道を誤った。
 『蒐集者』が産まれてから…?
 いや、『レーベンス・ボルン』などという狂気の計画が実行された800年前からか…

 急ぐ必要がある。
 一刻も早く、『Model of Next-Abortion Relive』の作成に着手しなければ。

30:2004/04/11(日) 00:09



          *          *          *



 男は、月光の下を走っていた。
 『アウト・オブ・エデン』で半径40Km以内を確認しながら、ひたすらに一本道を走る。

 前方に、ロングコートの青年が立っていた。
 腕を組んで、道の真ん中に立ち尽くしている。
 何の能力を使ったのか、『アウト・オブ・エデン』では捉えられなかった。
 まあ、黙って見送ってくれる筈はないとは思っていたが…

「…どこへ行くんです?」
 道を塞いでいる『蒐集者』が、無表情な視線を向けた。
「…『教会』の手の届かないところだ」
 男は答える。

「なぜ… なぜ貴方が、『教会』を裏切る!?」
 『蒐集者』は言った。
 ほんの少し、感情の揺らぎが見て取れる。
「貴方は、自分がどれほど重要な存在か分かっているのですか?
 あの『破壊者』が遁出したとなれば、他の代行者に与える影響も…」

「…『破壊者』の名など、もう不要だ。欲しい奴にくれてやれ」
 男は吐き捨てた。
 その名は、もはや自らの過ちの象徴だ。

「…それで、なぜ『教会』を去るのです? それすら、私に告げる必要はないと…?」
 『蒐集者』は言った。
「もう、お前達のやり方にはついていけないだけだ。
 正義の御旗の後ろに屍を転がすのは、もう充分だろう?」
 男は、見透かすような視線を『蒐集者』に向ける。
「…なるほど」
 ため息をつく『蒐集者』。

「…では、お前にも1つ聞きたい事がある」
 男は、『蒐集者』を真っ直ぐに見据えた。
「なぜ… あの哀れな姉妹を、吸血鬼化の被検体にした!?」

 『蒐集者』は、視線を男に向けた。
 狂気でも虚無でもない胡乱な視線。
「…それは誤解です。被検体は姉の方だけだ。
 あの娘は、実に面白いスタンドを所持していますからね。臨床データとしても最適だ。
 妹のスタンドも代行者に向いている。貴方は、実に素晴らしい拾い物をしてくれた」

「そんなことをさせる為に… あの姉妹を保護した訳ではない!」
 男は声を荒げる。

「ハッ、ハハハハハハハハ!!」
 『蒐集者』は笑い出した。
「それは残念だ。吸血鬼の血と、あの娘の肉体はどうやら相性が悪い。
 理性を保てるのも、ひとえにスタンド能力によるものだ。
 あの娘、どのみち長くはない。成人を待たずして、人格は崩壊するでしょうね!」

「その前に、私が殺すさ…
 お前のように、人間としての道を踏み外す前にな…!」
 男は、かっての友を睨んだ。

「…さて、話は終わりです。多少手荒くしてでも、貴方には『教会』に戻ってもらう…」
 『蒐集者』はバヨネットを抜く。
 その様子を、鋭い目で睨む男。
 そして、男は静かに告げた。
「今までずっと黙っていたが… 私は、『お前を殺す者』なんだ」

 『蒐集者』は、一瞬呆気に取られた顔をした。
「『私を殺す者』…? そうか、そういう事か…」

 そして、歓喜のような表情を浮かべる『蒐集者』。
「…なるほど。思ってもみなかった。確かに、存在しても不思議ではなかった!!」
 大声で笑いながら、『蒐集者』は叫ぶ。
「なァ、こんな愉快な事があるか!? 貴方も、さぞかし愉快だっただろう!!」
 『蒐集者』の狂声が、夜の闇に響いた。
「なにせ、百年近くも私を騙してきたんだからなァ!!!」

「隠してはいたが… 騙すつもりはなかった」
 男は、視線を落とした。
「思う存分笑いたまえ! 愚かな事に、私は貴方を無二の親友だと思っていた! 尊敬すらしていた!!
 ハハハハ!! ピエロもいい所だ!! どうだった!? 楽しかっただろう、ブラム!!」

31:2004/04/11(日) 00:10


「…それは違う。私も、お前を親友だと思っていた」
 男は、視線を落としたまま告げる。
「もういい、もう嘘は充分ですよ。あの時の教室の言葉も、全て嘘だったんですからね――」
 『蒐集者』は、月を見上げた。
「――私が、愚かだった」

「『蒐集者』、私は…」
 男の言葉を、『蒐集者』は遮った。
「すると、エイジャの赤石と『矢』を奪ったのも貴方か…」
 男は答えない。
 その通りだからだ。

「では、貴方が『私を殺す者』なら…」
 『蒐集者』は、憎しみを込めた目で男を睨んだ。
「…なぜあの時、私を殺してくれなかったァァァッ!!」

 『アウト・オブ・エデン』は、壮絶な怒りと苦痛を感じ取った。
 発狂する程の苦痛。
 全てを焼き尽くす程の怒り。
 これは、元々の『蒐集者』の感情か…
 それとも、壊れてしまった事によるものか。
 分からない。
 もう分からない。

「――さよなら、我が友ブラム」
 『蒐集者』は、バヨネットを構えた。
 その背後に、『アヴェ・マリア』が浮かび上がる。

「やめろ、『蒐集者』!!
 私は、『お前を殺す者』と言ったはずだ! 相対消滅を望むか!?」
 『蒐集者』の殺気に押され、男は一歩下がる。

「…それもいいでしょう。そんな結末も、なかなかに面白い!!」
 『蒐集者』は退かない。
 彼は、もう一歩も退かない。

「止むをえんか…!」
 男は、説得を諦めた。
 そして、サングラスを外す。

「アウト・オブ・エデン――」

 全てが視える眼。
 その視線を、世界を覆う程に展開させる。

「――レクイエム」




          *          *          *



 …
 ……
 ………
 …目が覚めた。

 ここは… 俺の家?
 俺は頭を上げた。
 俺は、誰だ…?
 目をこすりながら、ゆっくりと周囲を見回す。

「…おはよう。よく眠れたか?」
 横から声がした。
 …リナーだ。

「…おはよう」
 俺の枕の横に座っていたリナーに挨拶した。
「…ブラムって何?」
 なんとなく、リナーに訊ねる俺。

 リナーは、少しだけ眉を吊り上げた。
「ユダヤ系の一般的な名前、『エイブラハム』の愛称だが… それが何だ?」

「いや、何でもない…」
 俺は布団から身体を起こした。
 リナーが寝かせてくれたのだろう。

「公安五課局長が待っている。全員揃ったところで、話があるそうだ」
 リナーは無表情で言った。
 という事は… 全員、俺が起きるのを待っていたという訳か。
 随分とみんなに迷惑をかけたようだ。

 俺は立ち上がると、ドアを開け…
 ふと思い立って、背後にいるリナーに告げた。
「リナーは、何があっても俺が守るからな」

「…と、突然何を言い出すんだ?」
 そう言って目を逸らすリナー。
「…それより、さっさと居間に行くぞ。みんな待ちくたびれている」
 リナーはそう言って、俺より先に部屋から出ていってしまった。

 リナーは、絶対に俺が守ってみせる。
 …そう、今度こそは。



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. <   To Be Continued... | |
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