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スタンド小説スレッド3ページ
29
:
さ
:2004/04/11(日) 00:08
男は軽く笑みを浮かべた。
「そんな上手い話がある訳がないだろう?」
『蒐集者』はため息をつく。
「エイジャの赤石の消失で、究極生物の研究も進みませんしね…
吸血鬼化を応用した蘇生技術も、上手くいったところで寿命が15年では何とも…」
「まあ、気長にやればいいさ」
男は腕を組んだ。
「…とは言え、吸血鬼化技術の研究は進んできました。
外科手術によって、吸血鬼が量産できるのも時間の問題ですからね」
表情を変えずに『蒐集者』は告げる。
「量産… だと?」
男は『蒐集者』の顔に視線を向けた。
その顔は、先程までと同じ無表情だ。
「…それはそうでしょう?」
『蒐集者』は笑みを見せる。
――いや、笑ってなどいない。
こいつの感情は、能面に過ぎない。
こいつは――誰だ?
「出来る技術があるのなら、やるべきですよ。さらなる力を得るのに、不都合はないでしょう?」
作り物の笑みを浮かべて、目の前の青年は言う。
「さらに、私は吸血鬼で構成された軍隊というのを考えています。
数万人ほどさらってきて、全員を吸血鬼化させる。その無類の戦闘力を目にしたくありませんか?」
「何を言っている…!? 吸血鬼など、血塗られた存在だ。
普通の人間に、そんな十字架を背負わせる気か…?
望まぬ力を押し付けられた苦痛は、お前が一番良く分かっているはずだろう!」
男は、『蒐集者』の顔を睨んで言った。
『蒐集者』は、その視線を逸らさない。
「妙な事を言う… 私は、『教会』に感謝していますよ。
私を『最強』として産んでくれてね… ハッ、ハハハハハハハハ!!」
突如として、大声で笑い出す『蒐集者』。
――真実だ。
こいつは、真実を語っている。
『蒐集者』は、心の底から『教会』に感謝しているのだ。
それは、つまり――
男は笑い続ける『蒐集者』をその場に放置して、駆け出した。
もう、『蒐集者』は元の『蒐集者』ではない。
…吸血鬼の軍隊?
口振りからして、枢機卿にも話は通っているのは明らかだ。
『蒐集者』1人が暴走している訳ではない。
この組織は… 『教会』は、完全に道を誤った。
『蒐集者』が産まれてから…?
いや、『レーベンス・ボルン』などという狂気の計画が実行された800年前からか…
急ぐ必要がある。
一刻も早く、『Model of Next-Abortion Relive』の作成に着手しなければ。
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