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スタンド小説スレッド3ページ

24:2004/04/11(日) 00:05

「吸血鬼化…か。わざわざ吸血鬼を増やす必要性に疑問を感じるがな。
 我ら代行者は、吸血鬼を討つのが使命のはずだ」
 男はため息をついた。
 『蒐集者』は肩をすくめる。
「何度も言っている通り、吸血鬼そのものを増やそうという訳ではありませんよ。
 その不死性、超越性を探り応用する事で、『教会』はさらに大きな力を手にする事ができるかもしれません。
 『ロストメモリー(失われし者達)』が蘇生できれば、『教会』にとって大きな戦力となりますしね」

 『ロストメモリー』とは、『教会』が保存している遺体の通称である。
 いずれも、生前はかなりの腕前を持つスタンド使いであったらしい。
 無論、その肉体は完全な状態で保存されている。

「しかし、吸血鬼化の技術を応用し、死者を蘇生させようとは… 上も無茶な事を考える」
 男は顎に手を当てた。
「吸血鬼が死体をゾンビ化させたのは、多くの前例があります。決して夢物語ではありませんよ」
 『蒐集者』は少し不服そうに言った。
 そして、思い詰めたように表情を強張らせる。
「吸血鬼化の技術により、『教会』の戦力は抜本的に上昇する。
 そうなれば、あの『レーベンス・ボルン(生命の泉)』を撤廃できる…」
 トーンを落として呟く『蒐集者』。

 ――『レーベンス・ボルン(生命の泉)』計画。
 強力なスタンド使い同士を交配させ、それを繰り返す事により『最強のスタンド使い』を産み出す計画。
 700年も前から続き、『蒐集者』自身もその計画によって生を受けたのだ。

「お前は… 『教会』を恨んでいるのか?」
 表情を曇らせ、男は訊ねた。
 『蒐集者』は視線を落とすと、軽く首を振る。
「――いいえ。恨みはありません。
 ですが、あんな計画は早々に終わらせなければならない。私のような人間が増える前にね…」

 『蒐集者』の机の正面に備え付けられた窓からは、学校の校舎のような建物が見える。
 あれこそが、『レーベンス・ボルン』。
 あの中に、今も大勢のスタンド使いが暮らしている。
 子供から老人まで。
 家畜同然に、ただ交配させる目的で。
 あの建物の中に食堂、教育施設、医務室などが備え付けられ、彼等は生まれてから一歩も外へ出られる事はない。

 窓の外に建つ『レーベンス・ボルン』を睨みつける『蒐集者』。
「あそこから出れたのは、最強のスタンドである『アヴェ・マリア』を授かった私だけだ。
 故に、私が皆を解放する責務がある…」

 男はため息をついた。
 『レーベンス・ボルン(生命の泉)』に囚われている者達は、全員が『蒐集者』の家族なのだ。
 彼の父も、母も、兄弟も、友人もあの中にいる。
 そして、『最強』のスタンド使いである『蒐集者』は、あそこから出る事ができた。

 ――しかし、普遍的な『最強』など世の中にありえない。
 ありえないものを追い求め、ありえないものにすがる。
 それは、もはや『妄執』だ。
 故に『最強』とは、『妄執』に過ぎない。

 だが… 目の前の友人、『蒐集者』は『最強』として生きようとしている。
 『最強』となる為に生を受け、『最強』として扱われた男。
 
「『最強』とは、どういう意味か―――」
 男は、不意に目の前の『蒐集者』に訊ねた。


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