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スタンド小説スレッド3ページ

8:2004/04/10(土) 09:55

「―― モナーの愉快な冒険 ――   灰と生者と聖餐の夜・その6」



 キバヤシと正面から睨み合う俺。
 確かに、さっきは暗示とやらが視えた。
 ギコを救えたのも、暗示が『破壊』できたせいだ。
 俺自身に埋め込まれた暗示でも、問題なく『破壊』できるはず…

 キバヤシは余裕の表情を浮かべたまま、眼鏡の位置を直す。
「…暗示を『破壊』できる位で俺に勝つつもりか、モナヤ」
 眼鏡の奥の眼光が、俺を捉える。
 普段のキバヤシとは比較にならない程の殺気。
 これが代行者の一人、『解読者』か…!

「行くモナよ、キバヤシ!!」
 俺はバヨネットを逆手に構えた。
「徒労だな、モナヤ!!」
 キバヤシが腕を組む。
 奴の意識は、完全に俺に集中していた。
 …よし、これでいい。

 その刹那、キバヤシの頭上の天井が砕け散った。
 飛び散る木片と共に、人影が舞い踊る。
 息を潜めていたリナーがバヨネットを構え、キバヤシの頭上から真っ直ぐに降下した。
 その攻撃は、完全にキバヤシの頭部を捉えている…!!

 キバヤシの体が、影の中に沈み込んだ。
 リナーの攻撃が空を切る。
 キバヤシは、完全に影の中に飲み込まれた。

 忽然と消えるキバヤシの姿。
「な…!!」
 俺は周囲を見回した。
 眼前の男の影が、怪しく蠢く。

「すまんな、ムスカ。危ないところだったよ…」
 キバヤシの身体が、ムスカと呼ばれた男の影から浮き上がった。
 あれが、ムスカとやらのスタンド能力か?

 ムスカと戦っていたらしい眼鏡の男が、身を翻してこちらに滑り込んできた。
 この男は確か、俺を逮捕した…!!
「やあ、モナー君。今夜はいい夜だね」
 彼は冷たい笑みを浮かべ、場違いな挨拶をした。
 こいつは、公安五課局長!!
 なぜ、こいつが俺の家に…?

 局長のスーツはボロボロだった。
 血止めだろうか、ネクタイは腕に巻いている。
 俺がこいつと戦った時は、一発たりとも攻撃が当たらなかったのに…

「おお、『異端者』ではないか…!!」
 ムスカとやらは、リナーを視線に捉えると嬉しそうな声を上げた。
「わざわざ君の方から会いに来てくれるとは…!!
 このロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ、少々感動したよ!!」
 そして、懐から一本の赤い薔薇を取り出すムスカ。

 あんなモノを常に服の中にしまっているのか、とか…
 そもそも、『教会』関係者は服の中にモノを詰めすぎだ、とか…
 …そういう俺の疑念を差し置き、ムスカは軽く薔薇を投げた。

「…」
 リナーは無表情で銃を取り出し、薔薇を撃ち抜く。
 真紅の薔薇は空中で花びらを散らせ、その場に落下した。

 ムスカは笑顔を浮かべる。
「相変わらず、君は照れ屋だな… だが、私は君の気持ちに気付いているつもりだ。
 君の為、王妃の席は空けてあるのだよ!!」

 ムスカの後ろで、キバヤシ、濃い顔の男、太った男がうんざりした表情を浮かべている。
 濃い顔の男など、露骨に肩をすくめていた。
 敵陣においてのこの余裕。
 おそらく、この全員が代行者…

 庭では、つーと怪しい黒スーツ男が戦っているようだ。
 黒スーツ男が大量発生しているのも、スタンド能力によるものだろう。

「さあ、私の胸に飛び込んで来たまえ!!」
 大きく両手を広げるムスカ。
 リナーは無言でマシンガンを構えると、銃口をムスカに向けて引き金を引いた。
 周囲に響き渡る機械音。
 ムスカの影が起き上がり、彼の体を覆った。
 銃弾は全て影の壁に弾かれる。


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