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スタンド小説スレッド3ページ

31:2004/04/11(日) 00:10


「…それは違う。私も、お前を親友だと思っていた」
 男は、視線を落としたまま告げる。
「もういい、もう嘘は充分ですよ。あの時の教室の言葉も、全て嘘だったんですからね――」
 『蒐集者』は、月を見上げた。
「――私が、愚かだった」

「『蒐集者』、私は…」
 男の言葉を、『蒐集者』は遮った。
「すると、エイジャの赤石と『矢』を奪ったのも貴方か…」
 男は答えない。
 その通りだからだ。

「では、貴方が『私を殺す者』なら…」
 『蒐集者』は、憎しみを込めた目で男を睨んだ。
「…なぜあの時、私を殺してくれなかったァァァッ!!」

 『アウト・オブ・エデン』は、壮絶な怒りと苦痛を感じ取った。
 発狂する程の苦痛。
 全てを焼き尽くす程の怒り。
 これは、元々の『蒐集者』の感情か…
 それとも、壊れてしまった事によるものか。
 分からない。
 もう分からない。

「――さよなら、我が友ブラム」
 『蒐集者』は、バヨネットを構えた。
 その背後に、『アヴェ・マリア』が浮かび上がる。

「やめろ、『蒐集者』!!
 私は、『お前を殺す者』と言ったはずだ! 相対消滅を望むか!?」
 『蒐集者』の殺気に押され、男は一歩下がる。

「…それもいいでしょう。そんな結末も、なかなかに面白い!!」
 『蒐集者』は退かない。
 彼は、もう一歩も退かない。

「止むをえんか…!」
 男は、説得を諦めた。
 そして、サングラスを外す。

「アウト・オブ・エデン――」

 全てが視える眼。
 その視線を、世界を覆う程に展開させる。

「――レクイエム」




          *          *          *



 …
 ……
 ………
 …目が覚めた。

 ここは… 俺の家?
 俺は頭を上げた。
 俺は、誰だ…?
 目をこすりながら、ゆっくりと周囲を見回す。

「…おはよう。よく眠れたか?」
 横から声がした。
 …リナーだ。

「…おはよう」
 俺の枕の横に座っていたリナーに挨拶した。
「…ブラムって何?」
 なんとなく、リナーに訊ねる俺。

 リナーは、少しだけ眉を吊り上げた。
「ユダヤ系の一般的な名前、『エイブラハム』の愛称だが… それが何だ?」

「いや、何でもない…」
 俺は布団から身体を起こした。
 リナーが寝かせてくれたのだろう。

「公安五課局長が待っている。全員揃ったところで、話があるそうだ」
 リナーは無表情で言った。
 という事は… 全員、俺が起きるのを待っていたという訳か。
 随分とみんなに迷惑をかけたようだ。

 俺は立ち上がると、ドアを開け…
 ふと思い立って、背後にいるリナーに告げた。
「リナーは、何があっても俺が守るからな」

「…と、突然何を言い出すんだ?」
 そう言って目を逸らすリナー。
「…それより、さっさと居間に行くぞ。みんな待ちくたびれている」
 リナーはそう言って、俺より先に部屋から出ていってしまった。

 リナーは、絶対に俺が守ってみせる。
 …そう、今度こそは。



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. <   To Be Continued... | |
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