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戦場スレpart2

260アカリ&リリー&姫 ◆Tg./UqnJ52:2012/09/19(水) 00:34:18 ID:lUHZcidA
>>259続き
「基本維持機能以外の電力を補助電源に切り替えます」

バスターキャノンに電力をまわすために基幹機能を司る部署以外の電力が補助電源に切り替わり、ブリッジも赤く発光する補助照明に切り替わった。
それに姫が微かに悲鳴を上げて驚く。

「光子チューブチャンバー正常稼働。重力加速器、フィールドジェネレーター、共に正常」
「陽電子チャンバー内加圧正常。電磁ライフリング、回転開始」
「エネルギー充填率100%超過。110、111、112、113……」
「全艦、対閃光シェード展開。総員、対衝撃姿勢」

ブリッジの艦橋窓に黒い半透明のシェードが展開され、外の様子があまり見えなくなる。
リリーは副長席に戻ってシートベルトを締め、姫もベルトを締めた上に艦長席のアームレストを強く掴む。

「最終安全装置解除。……艦長、号令は艦長の仕事ですよ」
「えっ? わ……わかりました、少尉。任せて下さい」

まさかこちらに振られるとは思っていなかった姫は、突如降りかかった号令という仕事に面食らったが、すぐに緊張した顔になってそれを了承した。

「充填率、117、118……119…………120%です!」
「発射10秒前。8、7、6、5……」

リリーのカウント読み上げが5に来た時点で、姫は無意識にごくりと喉を鳴らした。

「3、2、1」
「ハイパーロングレンジフォトンバスターキャノン、てぇーっ!!」

姫の号令と共に、バスターキャノンのトリガーは引かれた。
まず、せり出した砲身の根本から白く煌々と輝く極太の光が放出し、レイナ達が戦っている敵部隊の後方にいた敵機を多数飲み込む。
この光の内部はがらんどうであり、これ自体には特に高い攻撃力は無い。
その正体は高光圧の光で構成された光子チューブであり、中に飲み込まれた機体は脱出しようとしても、その光の内壁に強い反発を受けて中から出ることはできない。
もっとも、そういった行動を咄嗟にとれるほど、時間的に余裕があるわけでは、もちろん無かった。
何故なら、光子チューブの形成からコンマ一秒と経たずにバスターキャノンの砲口から真っ赤な光の奔流が発射され、チューブ内のものを全て飲み込んだからだ。
この赤い光こそバスターキャノンの高い攻撃力を表すもので、その正体は電磁加速により亜光速にまで速度を高めた陽電子ビームである。
重力場の影響を受けたり、発射後の拡散率が高いことで有名な陽電子ビームは兵器としてはあまり有用なものではなかったが、
ビームが物質に衝突する際の対消滅反応に耐えられる装甲は皆無であることから、どうにかしてその攻撃力を活かそうと、多くの研究機関がビームの問題を解決せんとしていた。
そんな中、武田菱の開発したハイパーロングレンジフォトンバスターキャノンは発射の際にビームの進路をあらかじめ高光圧の光子チューブで囲むことで、
重力場の影響はまだ受けるものの、拡散による減衰の問題をほぼ解決することに成功していた。
この赤い、死の光は、白い光の導き手に連れられて、その道中にある物質を原子レベルで破壊しながら、亜光速で戦場を駆け抜けた。


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