[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
◆/D8/honey2★蜂スレ寂寥感短編まとめ
1
:
◆/D8/honey2
:2021/12/28(火) 01:15:26
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆/D8/honey2 蜂スレ寂寥感短編まとめ
/ / ♪
_|__/_
|: : : : : : | ♪
|: : : : : : |
_|二二二|_ ♪
( ´-∀)
__. -‐‐==三ミ/:ヽ:「ヽ叮>、
__.. -―  ̄ _____/: : : : |: \ヽ卅ト、
__.. -―  ̄ /⌒ヽ: : : : : : : |、: : \\l 〉
/ ___|_<ニl|: : : : : : :| ) : : : : :`l:.|:\
/ ヽ_ ヽヾ:: : :| /: : : : : : : |:| : : :7')___
\_____,... --―  ̄  ̄ヽ、  ̄ヽレ': : : : : : : : : /|:i、: :〃ノ ≦
/  ̄ |: : : : : : : : : /ヘ|:| ヾ=-ヽ)
/ // r、 \ : : : : : /:::: レ
.. -(_`/: :/ /: : i |\ ヽ: : /:::/:::/
∠=≠ニ三ミ: / /: : : | |: ,_,ヽ_):::::::::/::::/
l_ノ ̄ ̄ し' /:::::::::::::::/::::/
/:::::::::::::::/::::/
/::::::::::::::/::::/ --=、ヽ
/::::::::::::::/:::::/ \\ 。 。
/::::::::::::::/::::/ \\ ∧∨∧
<::::::::::::::/::::/ __ \\ (・∀・ )/つ
Lヽ、::::/|::::/| ∠ニ二_/\ | | O'''と;'';;
)::ヽ;;>;;;;;> \ \ | | (〓〓〓)
__--―(:::::::ヽ、:\ ー、 \ \l | /(ノ(_ノ二\
/ ̄ ̄ `ー=='-=' > ヽ|ヽ. | // レ'
__,, -―--=≠  ̄ </ /l\ | |/ /
,r≠三三彡/ //\ \| | /l //二二ニ=-、
/:::::::::::://// レ \ \ | | //
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2
:
◆/D8/honey2
:2021/12/28(火) 01:16:29
空虚で寂しさを感じる作品まとめです。(ここのまとめが作者的には一番お気に入りです。)
・ノスタル自慰
・呪われた姫君を救え!!
・喋る猫の話
・わらべ唄
3
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:25:17
==============================================================================================
ノスタル自慰 2004/10/27
==============================================================================================
4
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:25:49
8 名前:(1/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:39:48 ID:DNqZuo56 [8/73]
【ノスタル自慰】
──── まだ俺が10代だった頃 ─────
| ||;;|||;;| ||;;|||;;||___ | ) (
| ||;;|||;;| ||;;|||;;|| [][][]|( )
_|三三三三 ∧_∧ . 三三三三三三三三||;;;.
/| ;;i____┏8i ( ・∀・) / .ハ.ハi ̄\
,/ :| / 。ノヾ ;;;(つ三∋○ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | \二)
:| ̄ ̄ ̄ ̄ | |: | | [] | | |/ \ __,, ,____ __.,,,_
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ :|二二)
_______________________/| |::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|::::| ハ :: ∧ ∧
;;(二二二) (二二二) (二二二) (二二二) (二二二) ::| (-゚ ,,)
|::| |::| |::| |::| |::| :| ノ :: .... Oと )
 ̄ ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ ̄ ̄ .ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ ̄ ̄ ハ ̄ /| )
rrfrrU^ヽ)
スリをしようとした相手にとっつかまって、
そのままそいつのバーの従業員にされてしまった。
.
5
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:26:33
9 名前:(2/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:40:35 ID:DNqZuo56 [9/73]
そいつの人使いは荒かったけれど、
┌──────────────────
|掃除が終わったら買出しに行って来い。
└──────v────────────
| ||;;|||;;| ||;;|||;;||___ | ) (
| ||;;|||;;| ||;;|||;;|| [][][]|( )
_|三三三三 ∧_∧ . 三三三三三三三三||;;;.
/| ;;i____┏8i ( -∀-) / .ハ.ハi ̄\
,/ :| / 。ノヾ ;;;(つ三∋○ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | \二)
:| ̄ ̄ ̄ ̄ | |: | | [] | | |/ \ __,, ,____ __.,,,_
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ :|二二)
_______________________/| |::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|::::| ハ :: ∧ ∧
;;(二二二) (二二二) (二二二) (二二二) (二二二) ::| (-゚ ,,)
|::| |::| |::| |::| |::| :| ノ :: .... Oと )
 ̄ ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ ̄ ̄ .ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ ̄ ̄ ハ ̄ /| )
rrfrrU^ヽ)
両親もなく親戚をたらい回しにされた挙句、
独りでその日暮らしをしていた俺を不憫にでも思ってくれてたんだろう。
おかげで俺は食うに困らない生活が送れるようになった。
.
6
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:27:10
10 名前:(3/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:41:51 ID:DNqZuo56 [10/73]
しかし、そいつはロクなモンじゃなく、
| ||;;|||;;|
| ||;;|||;;|
_|三三三三 ∧_∧ 三三三三
/| (・∀・ )○┓ ))
, /■\ (つ ヽ/ ノ__||ギュー ∩_∩
(,, ´∀) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( ,,) ̄ ̄ ∧ ∧
( )_________⊂ )__ (-゚ ,,)
( ヽ / ) O=と |
━┳━ ) ━┳━ ━┳━ ( ,,━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ U U
高い酒のボトルに安い酒を詰め替えるのは当たり前、
酔いつぶれた客に勘定を上乗せしてるのもよく見かけた。
.
7
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:28:57
11 名前:(4/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:42:22 ID:DNqZuo56 [11/73]
┌──────────────────
|いいんだよ、俺の店の客達も
|ロクなモンじゃないんだから。
└──v────────────────
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =-
∧_∧ / ̄\
( -∀-)/ \ ∧ ∧
( つ∽ ) \┳┛ (-゚ ,,)
| ~~ / \ O/ と)
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ / )
確かにこんないかがわしい場所にある
安っぽいバーに来る客はマトモな人間じゃない。
人生終わってて、いつくたばってもおかしくなさそうな連中ばかりだった。
.
8
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:29:31
12 名前:(5/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:42:56 ID:DNqZuo56 [12/73]
常連客の中に40代位のアル中の女がいた。
いつも香水の匂いをプンプンさせて、ありったけの宝石を身につけていた。
∧ ∧
(゚ー゚*)
∇゚・*・゚∩
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
____________________,、 \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| | . ; | .\ \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| [;;] ;;|_______| ̄ ̄|__;_| .:.::.\
∧_∧ ∧ ∧
( ・∀) (-゚ ,,)
「あの客、酔いつぶれてる間に宝石を盗まれちまったら
どうするつもりなんでしょうね」と聞くと、
「あれは全部ガラス玉だよ」とマスターは答えた。
.
9
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:30:04
13 名前:(6/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:43:18 ID:DNqZuo56 [13/73]
そりゃそうだ、金持ちのマダムならこんなとこにくるはずもなく、
彼女はよくこの店でも、身を売る相手の男を漁っていた。
∧ ∧ ∧_∧
(*゚д゚) (`m´ )
∇゚・*・゚∩ ( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
____________________,、 \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| | . ; | .\ \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| [;;] ;;|_______| ̄ ̄|__;_| .:.::.\
∧_∧ ∧ ∧
( ) ( ,,)
ここら辺ではそうやって生計を立ててる女も珍しくないし、
この店でもありがちな光景だった。
ここでは金さえ払ってくれれば客は客。
.
10
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:33:08
14 名前:(7/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:43:44 ID:DNqZuo56 [14/73]
ある時、マスターはオンボロなアコーディオンを店に持ってきた。
酒代が払えなかった奴の家から取り上げてきたらしい。
┌──────────────────
|せっかくだから、オマエ練習して
|店で何か弾けるようになれ。
└──v────────────────
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =-
∧_∧ / ̄\
( ・∀)/ \ ∧ ∧
( つ∽ つ[|lllll] \┳┛ (-゚ ,,)
| ~~ / \ O/ と)
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ / )
11
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:33:34
15 名前:(8/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:44:11 ID:DNqZuo56 [15/73]
楽器など持ったことのなかった俺だが、
自分の弾いた通りに綺麗な音がでるっていうのが
なんとなく面白く、
♪
♪ ∧ ∧ ♪
(,,゚ー゚). ♪
|つ[|lllll])
〜( |
U U
練習して、簡単な一昔前の流行歌を
一曲弾けるようにした。
.
12
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:34:03
16 名前:(9/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:44:40 ID:DNqZuo56 [16/73]
まぁこの店に音楽演奏なんて、あってもなくてもどちらでもよく、
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∩ ∩
 ̄(,, ´w). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (,, ) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________l ヽ____ (ー゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
客の機嫌もよく、マスターの気が向いた時だけ余興で演奏した。
他の客も俺が不幸な身の上のガキだとわかってるから、下手でも大目にみてくれた。
どっちにしても酒の味も音楽もわからないような人間の溜まり場だったしね。
.
13
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:34:51
17 名前:(10/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:45:30 ID:DNqZuo56 [17/73]
∧∧∧∧∧∧∧∧∧
< >
< いくじなしっっ >
< このインポが! >
< >∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
∨∨∨∨∨∨∨∨∨ >
< うっさい、気色悪いんじゃ >
< 誰がてめぇみたいなババァの >
< ケツに金払えるかよ!! >
< >
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
∧ ∧
(#゚д゚) ('Д`#)
∇゚・*・゚∩ ,( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
____________________,、 \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| | . ; | .\ \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| [;;] ;;|_______| ̄ ̄|__;_| .:.::.\
その日、例のアル中の女は
他の客とケンカして酔いつぶれてた。
,---、
<<と⌒ヽ
 ̄ ̄∀ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
____________________,、 \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| | . ; | .\ \ /■\
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| [;;] ;;|_______| ̄ ̄|__;_| .:.::.\ \ (∀` )
∧_∧ :::::\ \ )
( ・∀) ::::::::\ \
よくあることだから、マスターも俺も気にせず
他の客の相手をしていた。
.
14
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:36:02
18 名前:(11/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:46:04 ID:DNqZuo56 [18/73]
話題も注文も絶えてヒマになったので、マスターは
俺に一曲弾くように言いつけた。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ,--、
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄< ) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧
_( つ▽________l ヽ____ (ー゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
たった一つの俺のレパートリー
一昔前の流行歌。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ,--、 ♪ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄< ) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________l ヽ____ (ー゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
15
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:43:15
19 名前:(12/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:46:27 ID:DNqZuo56 [19/73]
しばらくすると、眠っていたと思ってたあの女が歌い出した。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧ ♪ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (o゙* ) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________*・゚ ヽ____ (-゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
── 驚いた。 ──
.
16
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:43:42
20 名前:(13/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:46:46 ID:DNqZuo56 [20/73]
彼女の歌はとてもうまかったから。
♪
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日 ♪
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧ ♪ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (っ゙*,,) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________*・゚ ヽ____ (-゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
マスターも彼女の歌を止めなかった。
後から聞いたら「喧嘩されるよりはまだマシ」だったからだと
.
17
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:44:32
21 名前:(14/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:47:13 ID:DNqZuo56 [21/73]
曲が終わると彼女は俺に尋ねてきた。
┌──────────────
| 他に弾ける曲ある?
└─────v─────────
| いえ。
└──v──
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄( *゚-) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧
_( つ▽________ /゚・*|_____ (-゚ ,,)
(__ ) 〜__) ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
そして苦々しそうにこう言った。
┌──────────────────
| よく客前でそんな下手な演奏するわね。
└─────v─────────────
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三 フン
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (-゚#,,) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧
_( つ▽________*・゚ ヽ____Σ (-゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
18
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:45:04
22 名前:(15/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:47:56 ID:DNqZuo56 [22/73]
他の客は笑った。こんなとこで売春婦ごときが
まだわけもわからないような子供にまで言いがかりをつけるのかと。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三(-∀- )三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( ,,) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧
_( つ▽________*・゚ ヽ____ (-゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|] U
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
だけど俺は殴られたような気分だった。
自分が恥ずかしい、と、この時初めて思ったんじゃないかな。
.
19
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:47:08
23 名前:(16/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:48:25 ID:DNqZuo56 [23/73]
─ (_,,) ―
/ i \
たった一曲ごときでエセ演奏家きどりで悦にいっていた自分を見透かされて
恥ずかしさと同時に本気を出してみたいという気分が沸いて来た。
♪
♪
♪ _,, :
/⌒ヽ/⌒\ ∧ ∧ _,,. : ''"^
"""" ♪ (゚-゚,,) _,. : ''"^ ゛
。。 ュュュ....... ュ ,,:;;::::::: ([lllll|]と| ゛ ~
田 ユュュ゚ _,,. : ''"^:::::... _ _ _ , ...: _ | )〜 ゛ ~ _゛''
エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ _,,. : ''"^ .U U _゛ "~" " .. 〟
_,,.. -‐||[l.~´ _-.=.._... =‐._.||[l.__.-.=-.._--=-_||[l .ー_,. : ''"^ ゛ ... " ゛゛ ゛ '''' 〟 ”
::, ~~ ~-  ̄ -  ̄ _~~_~ _ ̄ _ ̄- ~_,.~ ''"^ _ ゛ " ゛ _ " _ ~ 〝, ’””
:::::::........ ...:._,. : ''"^ ' ,,,,, "".....~~ 〟 , ,’, ’;” ” 〟
空いてる時間はほとんどアコーディオンの練習に費やした。
更に持ち曲を増やして上手に演奏してみせるため。
.
20
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:47:50
24 名前:(17/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:48:54 ID:DNqZuo56 [24/73]
しばらくして俺は彼女がいる時に演奏してやった。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三(・∀・ )三三三三 ♪ ♪
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (-゚* ,,) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________*・゚ ヽ____ (ー゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
今度はこの前みたいなこと言わせないぞ、
そんな意気込みでね。
.
21
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:48:23
25 名前:(18/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:49:18 ID:DNqZuo56 [25/73]
彼女は俺を褒めも貶しもしなかったけど、
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三 ♪ ♪
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( ,,) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________*・゚ ヽ____ (ー゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
また俺の曲に合わせて歌い出した。
♪
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日 ♪
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧ ♪ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (o -*,) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________*・゚ ヽ____ (ー゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
やっぱり上手い。この曲を歌ってた元の歌手より
上手いんじゃないかってマスターに言ったら笑われたけど、
俺は本当にそう思ってたんだよ。
.
22
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:48:46
26 名前:(19/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:49:42 ID:DNqZuo56 [26/73]
でも俺の自信のあったメジャーな一曲の時は
彼女は歌おうとしなかった。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧ ♪ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( ,,) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________*・゚ ヽ____ (-゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
彼女は自分の好きな曲の時にしか歌わないんだ。
.
23
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:49:22
27 名前:(20/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:50:12 ID:DNqZuo56 [27/73]
俺は彼女がどんな曲なら歌ってくれるのか知りたくて、
リクエストを聞いてみた。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,*゚ー) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧
_( つ▽________ /゚・*|_____ (ー゚ ,,)
(__ ) 〜__) ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
少し悲しいバラードが好きらしい。
アコーディオンだと原曲からだいぶイメージが変わるが
俺は今度はそれを練習してみようと思った。
.
24
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:50:03
28 名前:(21/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:50:43 ID:DNqZuo56 [28/73]
彼女については他の客も噂してた。
元売れない歌手だったんじゃないかと。
惚れ込んでた男に捨てられて、いまだにこんな生活しながら
その男を待ってるんだ、なんていう、真実かどうかわからない内容まで
もっともらしく語る客もいたけど、
∧ ∧
△_△ ∧_∧ (,, ゚ -)
( `Д´) (`m´ ) | つ=
∇ ) ( ) ( |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\(/^U
____________________,、 \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| | . ; | .\ \
|;;|||;;||;;|||;;||;;|||;;|| [;;] ;;|_______| ̄ ̄|__;_| .:.::.\
∧_∧
( )
別に俺は彼女のプライベートには興味なかった。
でも、ただ誰よりも俺のアコーディオンを聞かせたい客だった。
.
25
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:50:34
29 名前:(22/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:51:13 ID:DNqZuo56 [29/73]
人生のなんたるかもわかってない若造が
独学で覚えてきたバラードなど
たいしたモンじゃなかっただろうけどね。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,*゚ヮ) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧
_( つ▽________ /゚・*|_____ (ー゚ ,,)
(__ ) 〜__) ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
俺が曲を覚えてきた日、彼女は本当に嬉しそうに俺を見た。
.
26
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:50:59
30 名前:(23/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:51:32 ID:DNqZuo56 [30/73]
── そして歌ってくれた。 ──
♪
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日 ♪
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三 ♪ ♪
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧ ♪ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,*- o) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧
_( つ▽________ /゚・*|_____ (-゚ ,,)
(__ ) 〜__) ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
今までより数段力強い声で。
心の底が締め付けられるような切ない歌声で。
俺が覚えてきた元の曲と思えないほど…
俺はこの曲に感動してしまった。
.
27
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:51:52
31 名前:(24/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:51:57 ID:DNqZuo56 [31/73]
この頃になるとマスターもだいぶ面白がってくれてたようで、
ちょくちょく俺の演奏タイムを作ってくれた。
彼女が客に来てる時は、飛び入りで参加してもらってた。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三 ♪
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∩ ∩ ♪ ♪
 ̄(,, ´w). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (,, ) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪ ∧ ∧
_( つ▽________l ヽ____ (,,゚ー゚) (ヮ-*,) ♪
(__ ) (__〜 ([llll|]と| と゚・*∩
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | ) | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U U U
身を売って生計を立ててるクセに、この仕事にはお金はいらないんだと。
彼女が歌った時はマスターは水割りを一杯サービスしてやってたようだ。
.
28
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:53:01
32 名前:(25/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:52:23 ID:DNqZuo56 [32/73]
ある時、俺達が望郷の想いを綴った懐かしい一曲を奏でている時、
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三 ♪
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∩ ∩ ♪ ♪
 ̄(,, ´・ω)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (,, ) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ∧ ∧
_( つ▽________l ヽ____ (゚ー゚,,) (-o-*,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と| と*・゚つ
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | ) | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U U U
客の一人がすすり泣きをはじめた。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三(・∀・ )三三三三 ♪
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∩ ∩ ♪ ♪
 ̄(,, ´Tω)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (,, ) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ∧ ∧
_( つ▽________l ヽ____ (-゚ ,,) (-o-*,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と| と*・゚つ
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | ) | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U U U
29
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:53:52
33 名前:(26/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:52:50 ID:DNqZuo56 [33/73]
日雇いで稼いだ金を全部この店の酒代に替えてるようなバカな客。
…そんな彼にも昔は故郷と妻があったらしい。
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三(・∀・ )三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∩ ∩
 ̄(,, ´Tω)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (,, ) ̄ ̄ ̄ ̄ ∧ ∧ ∧ ∧
_( つ▽________l ヽ____ (-゚ ,,) (゚ー゚*,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と| (|*・゚U
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | ) | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U U U
「よかったよ、続けてくれ」と言われて俺も胸が熱くなった。
その人のために心を込めて精一杯演奏した。
もちろん隣では彼女が切なく歌い上げてくれた。
.
30
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:54:46
34 名前:(27/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:53:18 ID:DNqZuo56 [34/73]
彼女はね、本当にプロだったんだと思う。
一度こんなことがあった。
┌────────────
| ・・・・・って曲知ってる?
└──────v───────────
| いえ。
└──v───
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =- ∧ ∧
/ ̄\ (*゚ー゚)
/ \ ∩゚ヽ ∧ ∧
/ \ ) (-゚ ,,)
/ \ O/ と)
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ / )
┌────────────────────────
|そりゃそうよね、アンタが生まれてくるより前の曲で、
|レコードにもなってないんだから…。
└──────v─────────────────
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =- ∧ ∧
/ ̄\ (ヮ-*)
/ \ *・゚ ヽ ∧ ∧
/ \ ) (-゚ ,,)
/ \ O/ と)
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ / )
…それが彼女の歌手時代の持ち歌だったんだろう。
.
31
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:55:15
35 名前:(28/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:53:48 ID:DNqZuo56 [35/73]
俺はその歌が知りたくなった。
┌───────────────────
| 楽譜があればなんとかなります。
└──────────v─────────
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =- ∧ ∧
/ ̄\ (- ゚*,,)
/ \ *・゚ ヽ ∧ ∧
/ \ ) (o ゚ ,,)
/ \ O/ と)
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ / )
けど彼女は少し考えて教えてくれなかった。
┌─────────
| どうして?
└───v─────
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =- ∧ ∧
/ ̄\ (ヮ"*,)
/ \ *・゚ ヽ ∧ ∧
/ \ ) (o ゚;,,)
/ \ O/ と)
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ / )
┌────────ヘ──────────────
|アンタなんかが演奏していい曲じゃないからよ。
└───────────────────────
32
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:55:46
36 名前:(29/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:54:17 ID:DNqZuo56 [36/73]
┌──────────┐
| |
| あの人が、 |
| └─────────────
└──────┐
| アタシのために作ってくれた曲なの。
|
└─────────────────
∧ ∧
( ゚-゚ )
ああ、この人に関する噂は本当だったんだな、と思った。
.
33
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:56:11
37 名前:(30/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:54:38 ID:DNqZuo56 [37/73]
だとしたら俺はますますその曲が知りたくなった。
いまだに彼女の心を捉え続ける曲 ───
∧ ∧
\ (-゙*,,)
\|*・゚ヽ
\ )
\
もしそれが聞けるのなら、
俺は今までで一番の感動を味わえるのかもしれない。
.
34
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:56:49
38 名前:(31/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:55:07 ID:DNqZuo56 [38/73]
俺が演奏の腕を磨けばいつか教えてくれるかもしれない。
zzz …
\ ,---、 ∧ ∧
<< ,) (゚-゚,,)
と ヽ O⌒と|
\ ) ノ;;;;;;;| )
\ U ヽ)
もし俺の親が生きていたなら、同い年かそれより上であろう彼女に
女相手の特別な感情など抱くワケはないけれど、
.
35
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:57:38
39 名前:(32/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:55:37 ID:DNqZuo56 [39/73]
彼女には幸せになって欲しいと願ってた。
俺と歌えば ───
俺とその曲を楽しく奏でることが出来れば、
彼女はつらい想い出から解放されるかもしれない。
zzz …
∧ ∧
\ ,---、 (,, )
<< ,)-、 | U
と /;;;;ヽ ( |
\;;;;;;) (/"U
\ .......,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;
........,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
........,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
俺は勝手にそんな風に、
自分なら彼女の力になれるんでは、と思ってたんだ。
.
36
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:58:05
40 名前:(33/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:56:01 ID:DNqZuo56 [40/73]
だから彼女に認めてもらえるように、
いつかその曲を託してもらえて共に奏でられることを
目標にして頑張っていた。
そんなある日、
┌─────────────────
|そこのイスの上の包み開けてみろ。
└──────v──────────
| ||;;|||;;| ||;;|||;;||___ | ) (
| ||;;|||;;| ||;;|||;;|| [][][]|( )
_|三三三三 ∧_∧ . 三三三三三三三三||;;;.
/| ;;i____┏8i ( -∀-) / .ハ.ハi ̄\
,/ :| / 。ノヾ ;;;(つ三∋○ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | \二)
:| ̄ ̄ ̄ ̄ | |: | | [] | | |/ \ __,, ,____ __.,,,_
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ :|二二)
_______________________/| |::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄| |::::| ハ :: ∧ ∧
;;(二二二) (二二二) (二二二) (二二二) (二二二) ::| (-゚ ,,)
|::| |::| |::| |::| |::| :| ノ :: ....... | U
 ̄ ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ ̄ ̄ .ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ ̄ ̄ ハ ̄ | )
U^ヽ)
37
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:58:44
41 名前:(34/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:56:38 ID:DNqZuo56 [41/73]
┌────────────
|!! これ…!!
└────v───────
| ||;;|||;;| ||;;|||;;||___ | ) (
| ||;;|||;;| ||;;|||;;|| [][][]|( )
_|三三三三 ∧_∧ . 三三三三三三三三||;;;.
/| ;;i____┏8i ( -∀-) / .ハ.ハi ̄\
,/ :| / 。ノヾ ;;;(つ三∋○ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | \二)
:| ̄ ̄ ̄ ̄ | |: | | [] | | |/ \ __,, ,____ __.,,,_
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ :|二二)
___________________ て___/| |::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄| .∧ ∧ て.:::| ハ ::
;;(二二二) (二二二) (二二二) (二二二) (っ゚ ,,)二) :|
|::| |::| |::| |::| [lllll|]と|::| :| ノ :: ....
 ̄ ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ ̄ ̄ .ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ | )  ̄
U^ヽ)
あのどケチで人使いの荒いマスターがわざわざ俺のために
新品のアコーディオンを買ってくれたんだよ。
この物資が不足し始めてた不安定な時代、
手に入れるのは大変だったろうに。
.
38
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 01:59:25
42 名前:(35/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:57:07 ID:DNqZuo56 [42/73]
┌────────────
| ありがとうございます…。
└─────v──────
| ||;;|||;;| ||;;|||;;||___ | ) (
| ||;;|||;;| ||;;|||;;|| [][][]|( )
_|三三三三 ∧_∧ . 三三三三三三三三||;;;.
/| ;;i____┏8i (-∀- ) / .ハ.ハi ̄\
,/ :| / 。ノヾ ;;;(つ三∋○ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | \二)
:| ̄ ̄ ̄ ̄ | |: | | [] | | |/ \ __,, ,____ __.,,,_
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ :|二二)
_______________________/| |::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄| :∧ ∧: .::| ハ ::
;;(二二二) (二二二) (二二二) (二二二):( ,,):二) :|
|::| |::| |::| |::| [と |::| :| ノ :: ....
 ̄ ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ ̄ ̄ .ハ  ̄ ̄ ̄ハ ̄ :| ):  ̄
:UU:
┌──────ヘ─────────────────────
|前のは音がかすれちまってるとこがあるだろう。
|そこを聞くたびイライラするからな。
|まぁオマエも感謝したなら今までの倍は働いて貰わないと。
└──────────────────────────
…もう逢えなくなったけど…今でも「親父」という単語を聞くと
瞼に浮かぶのはいつもこの人の姿なんだ。
.
39
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:00:14
43 名前:(36/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:57:33 ID:DNqZuo56 [43/73]
俺が徴兵された時にただ一人泣いてくれた人だから。
┌──────────────────────
|…今までお国もオマエの周りの奴らも誰もオマエを
|守ってやろうとしなかったのに、
|なんでオマエがお国を守らないといけないんだ?
|…狂ってるよ。どこかおかしいんだよこの国は…。
└──v───────────────────────────────
絶対負けるな。賭けてもイイ。 |不謹慎なこと言わないで下さい、
|誰かに聞かれたらマスターがまずいですよ。
└──v────────────────
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =-
∧_∧ / ̄\
(;∀; )/ \ ∧ ∧
( つ∽ ) \┳┛ (-゚ ,,)
| ~~ / \ | U
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛. | )
…俺は彼に逢うまではいつどこでのたれ死んでもいいと思っていたはずなのに…。
.
40
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:00:55
44 名前:(37/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:58:05 ID:DNqZuo56 [44/73]
人_人_人
ヽ < !! >
ヽ Y⌒Y⌒Y
~●
/ ̄ ̄ \
/\ _. /  ̄ ̄\ |_____.| / ̄\
/| ̄ ̄|\/_ ヽ |____ |∩( ;||┘ | ̄ ̄| ̄ ̄|
/ ̄ ̄| ̄ ̄| ̄| (-゚; ||┘ _ユ_II___ | ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|
/ ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄|( ” つつ[三≡_[----─゚  ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|
/ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄| ⌒\⌒\ || / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|
/ ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄] \_)_)..||| | ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄
 ̄ ̄ /|\
戦場では必死に生きたいと願ってた。
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.........
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,.....
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,.....
________
|_∧_,,, ___|
/ (三ミ):::: /|
/ ::と三ミつ:: / |
/ /三@ノ: /
/ (ノ:::::: /
/ /
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| |
─── 生きていればマスターのとこへ、
あの楽しかった日々に戻れるかもしれない…なんて
生死の境の最中も薄ら甘いことを考えてた。
41
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:01:41
45 名前:(38/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:58:30 ID:DNqZuo56 [45/73]
けど、俺が戻ってきた時には、もうあのバーはなかった。
マスターの自宅の焼け跡付近には知らない奴らが
掘っ立て小屋を建てて、新しい集落が出来ていた。
/////\ /////\
∧_,,, ///// _ \ ///// _ \
(#゚;;-゚) ///// \ ///// \
∪;; ;;|=f |___| | ̄ ̄ ̄| | |___| | ̄ ̄ ̄| |
〜(;; ;;;@Y |___| | | | |___| | | |
,U" | |___|_|___| | |___|_|___| |
あの人なら生きていれば闇市でもなんでもして食いつないでるはず。
だが噂も聞かなかった。だからもう二度と逢うこともなくなったんだ。
.
42
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:03:16
46 名前:(39/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:59:13 ID:DNqZuo56 [46/73]
─── もちろん、住所も知らない、実は本名すらよく知らないあの女の方にも
逢うことも二度となかった。
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =- ∧ ∧
/ ̄\ (*゚ー゚)
/ \ ∩ヽ ∧ ∧
/ \ ) (-゚ ,,)
/ \ | U
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ | )
彼女は出征前の俺に、お守りにといつもはめてた指輪の一つをくれた。
そのガラス玉も、男との思い出の品の一つだったらしい。
彼女にとっては大切なモノだったんだろう。
.
43
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:04:20
47 名前:(40/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 21:59:51 ID:DNqZuo56 [47/73]
だけど、そんなモンよりね。ただ一曲が聞きたかった。
貴女を捉えて離さないその曲を。
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =- ∧ ∧
/ ̄\ (゚ー゚*)
/ \ ∩ヽ ∧ ∧
/ \ ) (- ,,)
/ \ | U
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ | )
,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
........,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.......,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
…でも教えてもらっていたとしても、無意味だったかな。
それ以前に、俺は日々の生活が困難になったから。
このでぃの姿で街を歩くと人々は皆目を背ける。
∧_,,, ∧_∧ ∧_∧
(;;#゚;;-) ( ) ( )
((( ∪;; ;;|=f ( ) ( )
〜(;; ;;;@Y | | | | | |
,U" | (__)_) (__)_)
激しい火傷跡が残ったこの顔でバーなんかに出入りできない。
生活に音楽を奏でるゆとりなどあるワケもない。
俺はやっとのことで人目につかないような工場で
座って出来る革細工の仕事をさせてもらえることになった。
.
44
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:04:56
48 名前:(41/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:00:33 ID:DNqZuo56 [48/73]
ところがね。俺が人目を避けようとしてるその頃、
街では俺みたいなでぃが目につき始めたんだよ。
アコーディオンを持って。
♪
♪ ♪
.,.,_.,.,
,,,_ζ (゚-;;゚#) ♪
(´-;;`#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;メ;;)~
(;;';;_;;; ;;)~ U"Y
わざと目立つところで、物悲しい軍歌を奏で、
施しを得ることを生業とするでぃ達が。
.,.,_.,.,
チャリーン ,,,_ζ (゚ー;;゚#)
(´-;;`#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;メ;;)~
Y⌒ ⑩ (;;';;_;;; ;;)~ U"Y
彼らが本当に元軍人なのかどうか知らないけど
俺はとてもやるせなかった。
.
45
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:05:26
49 名前:(42/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:01:10 ID:DNqZuo56 [49/73]
俺の大好きな楽器で惨めな金儲けをしていることが。
.,.,_.,.,
,,,_ζ (ー;;゚#;;)
(#´;;ー`) ([llll|]と|
⑩と;;';; ;U、 |;_;;メ;;)~
(;;';;_;;; ;;)~ U"Y
演奏の上手さで金を稼ぐのならいい。
そうではなく、アコーディオンは単なる演出用の小道具で、
姿形にかかる同情心の方をアテにしてること、
そして『 でぃ+アコーディオン = 哀れみの対象 』という図式を
世の中に作ってしまったことが、悔しくてたまらなかった。
.
46
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:05:54
50 名前:(43/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:01:46 ID:DNqZuo56 [50/73]
一方でうらやましくてしかたなかった。
アコーディオン演奏で、生計が立てられることが。
♪ ♪
.,.,_.,.,
♪ ,,,_ζ (゚-;;゚#) ♪
(´-;;`#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;メ;;)~
(;;';;_;;; ;;)~ U"Y
∧_,,,
(;;# ;;-)
((( ∪;; ;;|=f
〜(;; ;;;@Y
,U" |
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
だってね、音楽の演奏って楽しいんだよ?
♪ アコーディオンを練習してたあの頃は
♪ ∧ ∧ ♪ 毎日が楽しかった。
(,,゚ー゚). ♪
|つ[|lllll])
〜( | 今やってる単純作業の仕事なんかよりも
U U ずっと…。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
47
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:06:27
51 名前:(44/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:02:24 ID:DNqZuo56 [51/73]
どこをどう間違ったのか。
それともやはりこれが俺にとって妥当な道だったのか。
∧_,,,
,,,_ζ (゚-;;゚#)
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
(;;';;_;;; ;;)~ U"¥
俺はアコーディオン奏者になっていた。
募金箱を持ち土下座をする係の盲目のびぃと組まされた。
そう、この世界にも掟と組織はあったんだ。
.
48
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:06:59
52 名前:(45/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:03:15 ID:DNqZuo56 [52/73]
軍歌と悲しい曲を弾くように指示されてた。
そうすると我々の姿形に同情した人間だけでなく、
つらい戦争体験者の気持ちにもうったえられて、
儲けがもっと増えるから。
♪ ♪
∧_,,,
♪ ,,,_ζ (゚-;;゚#) ♪
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
(;;';;_;;; ;;)~ U"¥
アコーディオン演奏経験者の俺にはたやすい仕事だった。
.
49
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:07:36
53 名前:(46/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:03:45 ID:DNqZuo56 [53/73]
哀愁?そりゃガキだったあの頃よりも
今の方がよっぽどわかってるだろう。
だけど曲にその感情を移入することはあまりなかった。
惰性で弾いてた。
∧_,,,
,,,_ζ (゙-;;゙#)
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
Y⌒ ⑩ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
…心を込めてしまうとずっと抑えているプライドが
本当に砕けてしまいそうだったから。
.
50
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:08:10
54 名前:(47/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:04:34 ID:DNqZuo56 [54/73]
たまに俺と同じような本物の元軍人が
涙ながらに曲の注文をしてくることがあった。
∧_,,,
,,,_ζ (#゚;;-゚)
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;) ∧_,,,,
(;;';;_;;; ;;)~ U"¥ ( )
と )
| | |
(_)_)
戦争で逝った友のことでも思い出してるのか…。
そんな奴の気持ちはわかる。
だからそんな時は出来るだけ言われた曲を丁寧に弾いてやった。
♪ ♪
∧_,,, ♪
♪ ,,,_ζ (゚-;;゚#)
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;) :∧_,,,,
(;;';;_;;; ;;)~ U"¥ :( )::
:( )::
:| | |::
:(_)_):
51
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:08:31
55 名前:(48/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:05:03 ID:DNqZuo56 [55/73]
でも、頼まれても、絶対弾かない曲もあった。
その曲は覚えてないと、誤魔化していた。
∧_,,,
,,,_ζ (#゚;;-゚)
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;) ∧_,,,,
(;;';;_;;; ;;)~ U"¥ ( ∩∩
⑩⑩⑩ ( ハ )
人 Y
し(_)
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三 ♪
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∩ ∩ ♪ ♪
 ̄(,, ´w). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (,, ) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪ ∧ ∧
_( つ▽________l ヽ____ (,,゚ー゚) (ヮ-*,) ♪
(__ ) (__〜 ([llll|]と| と゚・*∩
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | ) | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U U U
それは昔、あのバーで彼女と演奏した数々の曲。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
52
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:09:17
56 名前:(49/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:05:32 ID:DNqZuo56 [56/73]
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ダメなんだ。あの頃、俺がアコーディオンを弾くことを
喜んでくれた彼らの姿は、俺の一番大切な想い出で、
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧::::::
三三三三三三三三( ・∀・)::::::::: 三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l):::::: .∧ ∧::::
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,*゚ー):::: ̄ ̄ ̄ :::∧_,,,::::
_( つ▽________ /゚・*|::::____ ::::(-;;゙#,,)::::
(__ ) 〜__):::: ::::([llll|]と;|::::
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ :::: |;_;;;;;;):::::
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ::::U ¥::::
だから、こんなとこでこんなことのために
彼らを思い出す曲を絶対弾きたくないんだ。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
53
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:09:53
57 名前:(50/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:05:58 ID:DNqZuo56 [57/73]
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
過去の栄光も消え果て、あの店で落ちぶれ果てていた彼女が
俺に大事な曲を教えてくれなかった理由 ────
∇
≡≡
∩ [] Ⅱ =- ∧ ∧
/ ̄\ (-"*,)
/ \ *・゚ ヽ ∧ ∧
/ \ ) ( ,,)
/ \ と |
 ̄ ̄ ̄ ̄ \┳┛ | )
今ならなんとなくわかる気がするよ…。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
54
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:10:25
58 名前:(51/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:06:29 ID:DNqZuo56 [58/73]
──── 戦後40年、
俺達みたいなことを生業としてる奴もだいぶ減った。
♪ ♪
∧_,,,
♪ ,,,_ζ (゚-;;゚#) ♪
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
(;;';;_;;; ;;)~ U"¥
∧_∧ ∧_∧
( ) ( )
( ) ( )
いい加減に消えろという視線の通行人はいつものようにいるが、
俺達に感情移入して一緒に泣くような客はもうとうに現れなくなった。
.
55
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:10:57
59 名前:(52/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:09:52 ID:DNqZuo56 [59/73]
そのかわり、数が減ってきた俺達を珍しいモノ扱いする客も出てきた。
♪ ♪
∧_,,,
♪ ,,,_ζ (゚-;;゚#) ♪
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
ハハ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
( *゚o)
(_)
目の前にいる、この少女も俺達を見て驚いているようだ。
でぃを見たのは初めてかい?
.
56
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:11:27
60 名前:(53/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:10:21 ID:DNqZuo56 [60/73]
ほら、普通の子供なら怖くて逃げ出すよ。
君も逃げたらどうなんだい?
♪ ♪
∧_,,,
♪ ,,,_ζ (゚-;;゚#) ♪
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
ハハ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
( *゚-)
(_)
一曲終わっても彼女は俺達を凝視したまま。
∧_,,,
,,,_ζ (゚-;;゚#)
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
ハハ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
( *゚-)
(_)
57
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:11:49
61 名前:(54/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:10:48 ID:DNqZuo56 [61/73]
俺は彼女を構ってみたくなった。
次に俺が弾いたのは子供なら誰でも知ってる童謡。
おじさん、こういう曲も弾けるんだよ。
♪
ノ
∧_,,,
,,,_ζ (゚ー;;゚#)
Σ (#*;;-*) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
ハハ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
( *゚-)
(_)
58
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:12:09
62 名前:(55/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:11:12 ID:DNqZuo56 [62/73]
すると、彼女は笑顔でその童謡を歌い出した。
♪ ♪ ♪
∧_,,,
♪ ♪ ,,,_ζ Σ (゚o;;゚#) ♪
Σ (*-;;*#) ([llll|]と|
♪ |;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
ハハ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
( *^ヮ)
(_)
59
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:12:25
63 名前:(56/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:11:32 ID:DNqZuo56 [63/73]
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
♪
日 ▽ Ⅱ Y 目 ∧_∧ ¶....| 日 ♪
三三三三三三三三( ・∀・)三三三三
∧_∧[] ◇ (i ヽ/ l) ∇ ∧ ∧ ♪ ♪
 ̄(,, ). ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (っ゙*,,) ̄ ̄ ̄ ̄ ♪ ∧ ∧ ♪
_( つ▽________*・゚ ヽ____ (-゚ ,,)
(__ ) (__〜 ([llll|]と|
━┳━ ' . ━┳━ ━┳━ ━┳━ | )
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ U U
あぁ、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
60
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:12:51
64 名前:(57/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:11:54 ID:DNqZuo56 [64/73]
とうの昔に忘れてしまったと思ってたのに
♪ ♪ ♪
:∧_,,,:
♪ ♪ ,,,_ζ :( -;; #): ♪
(*-;;*#) :([llll|]と|:
♪ |;;';; ;U、 :|;_;;;;;;)
ハハ (;;';;_;;; ;;)~ :U"¥:
( *゚ヮ)
(_)
あの時の感覚が、あの時彼女に初めて歌って貰った時の感覚が蘇る。
.
61
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:13:20
65 名前:(58/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:12:26 ID:DNqZuo56 [65/73]
何年こうしていても虚しかった理由。
施しを貰っても、泣いて感謝されても虚しかった理由。
♪ ♪
♪ ♪ ♪
∧_,,,
♪ ♪ ,,,_ζ ( -;; #) ♪
(*-;;*#) ([llll|]と|
♪ |;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
ハハ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
( *゚ヮ)
(_)
俺は ────
歌って欲しかったんだ。
.
62
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:13:40
66 名前:(59/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:12:48 ID:DNqZuo56 [66/73]
俺の演奏に合わせて、誰かに歌って欲しかった。
∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
< 探したのよ、こんなとこにいたの! >
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
∧_,,,
,,,_ζ (-;;゚#,,)
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
ハハ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
(゚-゚*)
(_)
63
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:14:09
67 名前:(60/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:13:17 ID:DNqZuo56 [67/73]
┌───────────────────
|おじちゃん達の邪魔しちゃダメでしょー!
|本当にスミマセンでした、
|さぁ、帰りますよっ!!
└────v──────────────
∧_,,,
,,,_ζ (-;;゚#,,)
∧ ∧ (*-;;*#) ([llll|]と|
( ) |;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
と つ ハハ (;;';;_;;; ;;)~ U"¥
ヽ )((゚o゚*) ⑩⑩⑩⑩⑩
(/"ヽ) (_)
まもなく少女の母親が現れて、俺達に少し多めの金を置いて
慌てて少女を連れ去っていった。
.
64
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:14:39
68 名前:(61/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:13:57 ID:DNqZuo56 [68/73]
父親が吐き捨てるように言うのが聞こえた。
┌───────────────────
|童謡で子供につけこむなんて、
|最近のでぃは性質が悪すぎるんじゃないか?
└──y────────────────
いくら金が集まらないからって
∧_,,,
,,,_ζ (゙-;;゙#)
(*-;;*#) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
(;;';;_;;; ;;)~ U"¥
⑩⑩⑩⑩⑩
…あぁ、安心してくれ。やっぱりもうここでは軍歌しか歌わないから。
.
65
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:15:12
69 名前:(62/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:14:26 ID:DNqZuo56 [69/73]
そして、戦後の40年間、今じゃほとんど
たった一人の家族のように暮らしてる
盲目のびぃに初めてこう尋ねられた。
┌──────────┐
| |
| おまえ、 |
| └───────────
└──────┐
| 音楽が好きなのか?
|
└──────v─────────
∧_,,,
,,,_ζ (-;;゚#,,)
(#*;;-*) ([llll|]と|
|;;';; ;U、 |;_;;;;;;)
(;;';;_;;; ;;)~ U"¥
⑩⑩⑩⑩⑩
.
66
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:15:31
70 名前:(63/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:14:50 ID:DNqZuo56 [70/73]
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::| べつに…。 |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::\_________/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
67
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:15:58
71 名前:(64/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:15:50 ID:DNqZuo56 [71/73]
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::.::::.γ⌒ヽ::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::
:.:.:.:.:.:ヽ___ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:.
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
…湧き上がってしまった狂おしいほどの感情。
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. . . . _,, :
/⌒ヽ/⌒\ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. . . . ∧_,,, _,,. : ''"^
"""" .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. . . . ( ;;; ;;;;) _,. : ''"^ ゛
。。 ュュュ....... ュ ,,:;;::::::: [iと;; ;;| ゛ ~
田 ユュュ゚ _,,. : ''"^:::::... _ _ _ , ...: _,. |;_;;;;;;) ゛ ~ _゛''
エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ _,,. : ''"^ ¥U _゛ "~" " .. 〟
_,,.. -‐| |l.~´ _-.=.._... =‐._.| |l.__.-.=-.._--=-_| |l .ー_,. : ''"^ ゛ ... ";;;;;;;;; ゛゛ ゛ '''' 〟 ”
::, ~~ ~-  ̄ -  ̄ _~~_~ _ ̄ _ ̄- ~_,.~ ''"^ _ ゛ " ゛ _ ";;;;;;;;;;;;;;_ ~ 〝, ’””
:::::::........ ...:._,. : ''"^ ' ,,,,, "".....~~ 〟 ,;;;;;;;;;;;;;;;,’, ’;” ” 〟
過ぎ去った日々。帰らぬ人々。戻らぬ我が肉体。
封印してきた全ての哀愁を乗せて奏でる
夜空だけに向けた調べ
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
68
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:16:21
72 名前:(65/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:16:26 ID:DNqZuo56 [72/73]
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
秋の虫達よ、川の蛙達よ、
リーン
リーン… /⌒
//⌒
iiWw,,,,,, \WWiiw//
`""´``''''´" """'''"`''''''""'´"`'''''"" ''''
おまえ達だけでいいから
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
69
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 02:16:47
73 名前:(66/66)[sage] 投稿日:04/10/27(水) 22:16:47 ID:DNqZuo56 [73/73]
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::♪:::::::::::::::::::::::
::::.::::.γ⌒ヽ::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::.::::
:.:.:.:.:.:ヽ___ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:.♪. .:. :. .:. .:. .:. :. .:. .:. .:. :. .:.
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
♪
♪
o _ __。 r―-‐ ‐ ┐
: :: ::::。i____≠。 i :: :::::::: :: o +__ _ _o ♪
: :: ::::|-liDllliii_| 。 i ;; ;;;;;;; 。__。o__ _o. i::::: :: : 。 。 ♪ リーン
: :: ::::|=|iD|||iii_| o 。 +.「≡≡l| ::: ::。 !:::。.:: :::: 「 ̄ ̄匸l ___ _ _,, :
┌┐+.:゚.|=|iDllliii_| li ̄==l‐‐ |:≡≡l|___。 ::| ̄三l 「⌒l |ヒ三三. ∧_,,, : _,,. : ''"^
「 三|-┐ i_ 。i r‐┐ ==| r──┐l| ミr─┐ 三|:-|ヒ1!__lli三三 ( ;;; ;;;;) _,. : ''"^ ゛
。。 +..。p 。+。..p「~ 。。p|+..。 .p..。+。 p。+..。.p.。 | +p..。. + p「。゚。p [iと;; ;;| ゛ ~
ヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱ _,. : |;_;;;;;;) ゛ ~ _゛''
~ ̄ ̄|「7 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|「7 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|「7 ̄ ̄ ̄ ̄_,,. : ''"^ ¥U _゛ "~" " .. 〟
_,,.. -‐||[l.~´ _-.=.._... =‐._.||[l.__.-.=-.._--=-_||[l .ー_,. : ''"^ ゛ ... ";;;;;;;;; ゛゛ ゛ '''' 〟 ”
::, ~~ ~-  ̄ -  ̄ _~~_~ _ ̄ _ ̄- ~_,.~ ''"^ _ ゛ " ゛ _ ";;;;;;;;;;;;;;_ ~ 〝, ’””
:::::::........ ...:._,. : ''"^ ' リーン ,,,,, "".....~~ 〟 ,;;;;;;;;;;;;;;;,’, ’;” ” 〟
おじさんと一緒に歌わないか?
::::.._,. : ''"' ""〝 ,,,,, "".....~~ ゛ ~ _゛ 〜 糸冬 〜
70
:
名無しさん
:2021/12/28(火) 18:57:45
==============================================================================================
呪われた姫君を救え!! 2004/11/23
==============================================================================================
71
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 18:58:11
115 名前:(1/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:47:43 ID:9ibQUVt5 [2/65]
【 呪われた姫君を救え!! 】
私の愛する姫君に
∧ ∧
("-"*)
⊂ ::::⊃
ノ ::::::ヽ
` 〜〜^
魔女の呪いがかけられた
.
72
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 18:59:38
116 名前:(2/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:48:11 ID:9ibQUVt5 [3/65]
誰も近づけなくなった いばらの城
P
||
|::|
∧ △|::::|
△田.lΠl l.△
. |゚゚゚|二||O||二|゚゚゚|
__〔ニニ〕 ||⌒|| 〔ニニ〕______
__| | || 丗 || | |_____
その一番奥に眠る 石人形が 彼女
.
73
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 18:59:53
117 名前:(3/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:48:46 ID:9ibQUVt5 [4/65]
彼女を心から愛する者が
単身で城内の魔物を倒し 魔女に挑み倒すこと
Α_Α Α_Α Α_Α
((i)皿(i)) ↑ ((i)皿(i)) ↑ ((i)皿(i)) ↑
U U ヽノ U U ヽノ U U ヽノ
( ( ( ( ( ( ( ( (
彡彡へ> 彡彡へ> 彡彡へ>
それが魔女が唯一許した呪いを解く鍵
.
74
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:00:10
118 名前:(4/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:49:15 ID:9ibQUVt5 [5/65]
「 ならば私が行くしかないでしょう
行かせて下さい 父上 母上 」
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
(Д`(∀‘ | : |
∧_∧ と と .| : |
( ・∀) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) ( |( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「 いけないよ 王子
オマエはたったひとりの この国の跡継ぎ 」
.
75
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:00:24
119 名前:(5/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:49:44 ID:9ibQUVt5 [6/65]
「 婚約の誓いを交わした
愛しいあの方の 御身に降りかかった不幸
いてもたってもいられませぬ 」
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
(Д`(∀‘ | : |
∧_∧ と と .| : |
( ;-∀) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) ( |( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「 それでもいけない 魔女の力は極悪で強大だ
オマエの身に何かあったらこの国はどうするのだ 」
.
76
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:00:41
120 名前:(6/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:50:29 ID:9ibQUVt5 [7/65]
「 それに あちらの国が魔女の手に落ちた今
友好の証であった オマエ達の婚約は
もう意味を成さないのだよ
あの国はもはや敵対国
迂闊に手を出してはいけない 」
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
(Д`(∀‘ | : |
∧_∧ と と .| : |
( ・∀) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) ( |( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「 彼女のことは忘れなさい
いずれアナタに相応しい王女を
再び探してあげましょう 」
.
77
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:00:57
121 名前:(7/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:51:03 ID:9ibQUVt5 [8/65]
「 …私は 彼女以外の女性は考えられませぬ 」
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
(Д`(∀‘ | : |
∧_∧ と と .| : |
( iii-∀) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) ( |( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「 誠実で純真な我が息子よ
…だが己の立場はわかっているな?
誰もが認めるこの国の後継者 」
.
78
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:01:16
122 名前:(8/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:52:38 ID:9ibQUVt5 [9/65]
「 利発で心優しく育ったオマエの担うこの国の未来を
既にどれだけの国民が期待しているか知っておろう 」
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
(Д`(∀‘ | : |
∧_∧ と と .| : |
( ・∀) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) ( |( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「 そして欲と暴力を好む我らが親族ウララー家が
私達の座を狙ってることもわかっていますね?
この国の繁栄、平和、正しき自治のためにも
アナタが退くことだけは避けなければならないのです。 」
.
79
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:01:30
123 名前:(9/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:53:05 ID:9ibQUVt5 [10/65]
「 可哀想な頼みとはわかっているが
単身で姫を救うなどということだけは
無謀な行いだけは慎んでくれ 」
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
(Д`(∀‘ | : |
∧_∧ と と .| : |
( ;-∀) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) ( |( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「 … わかりました 」
.
80
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:01:54
124 名前:(10/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:53:40 ID:9ibQUVt5 [11/65]
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::
頭ではわかっても 胸の痛みと共に溢れる恋心
__
| | ∧_∧
| | <⌒ヽ-∀)
| | / ⌒ヽ
| | / ヽ
__|__| <______ゝ
全てを失っても 彼女を救いたい
.
81
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:02:30
125 名前:(11/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:54:02 ID:9ibQUVt5 [12/65]
向かった馬小屋で 待ってたのは私の侍女
幼い頃から私の身の世話を務めていた 今では一番の侍女頭
∧_∧ ∧ ∧
<⌒ヽ・∀) (‘-‘;,)
/ ⌒ヽ と つ
/ ヽ | )
<______ゝ U U
「 お気持ちはわかりますが 行ってはなりません
残された国王 王妃が どれほどお嘆きになるかおわかりですか? 」
「 そこをどくんだよ オマエなら私の彼女を想う気持ちを
誰よりも一番良く知っているだろう? 」
∧_∧ ∧ ∧
<⌒ヽ・Д) (‘o‘;,)
/ ⌒ヽ と つ
/ ヽ | )
<______ゝ U U
「 えぇ 知っております
だからこそ命がけでお諌めする覚悟で参りました
どうしても行くのなら 私を殺して下さい 」
.
82
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:02:45
126 名前:(12/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:54:23 ID:9ibQUVt5 [13/65]
彼女を押しのけ 強引に馬に乗り
∧_∧ ∧∧
<(・∀・; )ミ ヽ
/⌒ヽ つミ /ヽ___)
// /⌒) /
| ヽ〜^し' i
振り返って見た先にあったのは
短剣で胸を突き 血を流して横たわってる彼女の姿
.
83
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:03:12
127 名前:(13/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:54:45 ID:9ibQUVt5 [14/65]
心で詫びを入れながら 馬を走らす
∧_∧ ∧∧ ∧∧ ∧,,∧
<( ;=Д=)ミ ヽ / ミミ゚Д゚,,彡
/⌒ヽつミ /ヽ___) (_/ ミ U ミ
// /⌒) / i (⌒ ,,ミ ̄ヽ
| ヽ〜^し' / | し' |
城門の前で会ったのは 剣術師範の息子
身分は違えども 同じ日に生まれ共に稽古してきた一番の親友
「 知ってるか?ここ100年の間
あの魔女に勝てた勇者など独りもいない
君の腕ごときで勝てると思うのか? 」
∧_∧ ∧∧ ∧∧ ∧,,∧
<( ;・Д)ミ ヽ / ミミД゚ ,,彡
/⌒ヽつミ /ヽ___) (_/ ミ U ミ
// /⌒) / i (⌒ ,,ミ ̄ヽ
| ヽ〜^し' / | し' |
「 負けるかもしれないが
それでも彼女を心から愛し
救える可能性があるのは私一人だ 」
.
84
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:03:30
128 名前:(14/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:55:14 ID:9ibQUVt5 [15/65]
「 だが君がこの国を治めることを放棄すれば
いく万という民が救われない世になるぞ 」
∧_∧ ∧∧ ∧∧ ∧,,∧
<( ;・∀)ミ ヽ / ミミД゚ ,,彡
/⌒ヽつミ /ヽ___) (_/ ミ と ミ
// /⌒) / i (⌒ ,,ミ ̄ヽ
| ヽ〜^し' / | し' |
「 …わかっている
だから生きて彼女と帰るつもりだ 」
.
85
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:03:53
129 名前:(15/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:55:44 ID:9ibQUVt5 [16/65]
「 その考えが 甘いと言うのだ!! 」
∧_∧∧_ ∧∧ 彡
<(;・∀ミ ) ∧,,∧ ミ ヽ 彡
/(つミ r'´, cミ゚Д゚# 彡 ヽ__)
// /⌒)∴≡=/ ミ ミ |
| ヽ〜^し' ((・ / ミ⌒) ヽ
「 どうしても行くのなら 私を倒して行け
私ごときを倒せない者が
魔女に挑む資格などあるはずがなかろう 」
∧_∧ / \ ∧,,∧
<( ;・∀)/ \ミ゚Д゚# 彡
/ ⌒ヽ つ と つ
/ ヽ ミ ミ
<______ゝ U U
86
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:04:46
130 名前:(16/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:56:21 ID:9ibQUVt5 [17/65]
彼は最期に泣きながら私に言った
「王子の心に巣食い この国を破滅に導く姫君こそ 魔女ではないか? 」と
己の命乞いではなく 私情に狂う私の身を哀れみ嘆き 流したであろう最期の涙
∧_∧
<( ∩∀T)
∧,,∧ / ⌒ヽ つ
:::::::ミ:::::::::彡 / ヽ |
ヽ) <_____ゝ
親友の血と諫言と涙を浴びて 迷う我が身
人を愛し慕うことは これほどの罪なのか?
.
87
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:05:06
131 名前:(17/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:56:44 ID:9ibQUVt5 [18/65]
私の命などいくつ捧げてもかまわない
心から信頼する大事な人間を二人も失ってしまった今
もう私は この罪なる道に進むしか…
∧_∧ / /
< ̄ ̄ヽ) / /
/ | / /
/ | / /
<___ノ
城外で待っていたのは数百人の民
身の不自由な者 病身の家族のいる者
直接私が施しをした 見覚えのある者もいる
∧_∧
<( ;・∀) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
「 このたびは なんという不幸に 」
「 おいたわしや 王子様 」
.
88
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/28(火) 19:05:38
132 名前:(18/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:57:08 ID:9ibQUVt5 [19/65]
「 ですが行ってはなりませぬ
アナタのいないこの国の未来で
我々貧しい者は
どうやって生きていけばいいのでしょう 」
∧_∧
<( ;-∀-) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
「 しかし 姫を救う方法は
それしかないのだよ 」
民衆の中から 一際力強い声が
「王子、私めが魔女退治に行きましょう」
∧_∧
(∀ ゚ ,,)
( )
∧_∧ | | |
<( ・∀) (_(_) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
89
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:18:45
133 名前:(19/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:57:35 ID:9ibQUVt5 [20/65]
見覚えのある若者
「あの時 王子が情けを下さって 医者を寄越してくれたおかげで
私の妹は こうして一命を取り止めることができたのです。」
∧_∧
(,,゚ ∀ ゚ )
( ) ∧∧
∧_∧ | | | (∀゚*)
<( -д) (_(_) ( ,,) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
侍女を見殺しにし 親友を手にかけ 凍りついていた心に流れる暖かさ
弱った妹を抱き 泣きはらしうろたえていた当時の彼と
今の己の姿が重なる
よかった 私は彼を救えていたのだな?
∧_∧
(゚ ∀ ゚ ,)
( ) ∧∧
∧_∧ | | | (∀゚*)
<( -∀) (_(_) ( ,,) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
「 こう見えても 私も街で一番の力持ち
古寺院に巣食う魔物を退治したこともあります
私に命をかけたご恩返しをさせて下さい。 」
.
90
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:19:18
134 名前:(20/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:58:23 ID:9ibQUVt5 [21/65]
「 だがね この呪いは
姫を心から愛する者でないと解けないのだよ 」
∧_∧
(∀ ゚ ,)
( ) ∧∧
∧_∧ | | | (∀゚*)
<( ・∀) (_(_) ( ,,) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
「 王子、 私はこの国の良き国王となるアナタと
そのアナタの王妃となる姫のことは
生涯誓って 心から愛し続けますよ 」
∧_∧
( ゚ ∀ ゚)
∧∧ ( )
∧_∧ (*゚∀゚)')
<( ;∀∩ (,, ) ∧_∧
/ ⌒ヽ ノ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
…若者の誠心誠意の言葉に 私の頑なな心は 崩された
私は彼に自分の気持ちを託し見送り
城に戻ることにした
.
91
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:19:51
135 名前:(21/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:59:04 ID:9ibQUVt5 [22/65]
部屋に戻ると 泣きはらす王妃の姿
||
∧_∧ ||
( Tっ∩ ||
∧_∧ / ノ  ̄ ̄ ̄|
( ・∀) (⌒(⌒ ) ____|
( )
| | |
(_(_)
慎ましくも毅然とし 国中の女性の尊敬を集めるこの王妃も
私の前では 子を想うただの母親
∧_∧ ∧_∧
( -∀)(‘っT )
( つと と )
| | | ( ( (
(_(_) (_(_)
「 ご心配かけました 私は今後二度と
一人で城を抜け出そうとは 考えないと誓います 」
翌日 亡き二人を弔いながら 同じことを誓う
.
92
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:20:13
136 名前:(22/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:59:33 ID:9ibQUVt5 [23/65]
だが数ヵ月後 悲しい知らせが届いた
P
||
|::|
∧ △|::::|
△田.lΠl l.△
. |゚゚゚|二||O||二|゚゚゚|
__〔ニニ〕 ||⌒|| 〔ニニ〕______
__| | || 丗 || | |_____
あの若者が 魔物に殺され
いばらの木に 無残に吊るされていたと
∧_∧
( =∀) _||_
( ) ∧∧  ̄|| ̄
| | | ( *) ,||,,,
(_(_) ( ,,) "" ""
またしても 私の恋心は 犠牲者を出してしまった
.
93
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:20:42
137 名前:(23/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:00:13 ID:9ibQUVt5 [24/65]
「 あたし 泣かないよ
おにいちゃんと 約束してたもの 」
∧_∧
( ・∀) _||_
( ) ∧∧  ̄|| ̄
| | | (゚∀゚*) ||,,,
(_(_) ( ,,) "" ""
「 おにいちゃんが ダメだったら 私が行くの
私の命があるのは 王子様のおかげ
だから 私達兄妹は 国を守る王子様のかわりに
魔女と戦うの 」
∧_∧ ∧∧
( T∀(∀゚*)
( つ ,,)
| | |
(_(_)
私はこんな健気な娘をも 孤児にしてしまったのか
若者の墓に深く懺悔した後
城で娘を引き取ることにした
.
94
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:21:03
138 名前:(24/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:00:39 ID:9ibQUVt5 [25/65]
私の噂を聞いて 何人もの勇者が城にやってきた
私の代わりに 魔女を退治してくれると
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
∧_∧ (Д`(∀‘ | : |
∧_∧ (-∀- ) .と と .| : |
( ^ x) ( ) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) | | | ( |( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あの若者のように 心底私に尽くす気持ちの者もあれば
勇者として力試しをしたい者 名を上げたいだけの者
父母に媚へつらうだけの者 支度金目当ての者
いろんな者が訪れた
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
∧_∧ (Д`(∀‘ | : |
(・∀・ ) .と と .| : |
( ) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
| | | ( |( | ::|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そして城に戻ってくる者は 誰もいなかった
.
95
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:21:25
139 名前:(25/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:01:06 ID:9ibQUVt5 [26/65]
いばらの城に送る すなわち その者を殺すこと
私は犠牲者が増えることに 耐えられず
魔女退治に来る者を 断るようになった
それでも私を心配し心痛める者のために 姫を諦めたフリをすることにした
∧_∧
(-∀- )
と )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
|
96
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:21:56
140 名前:(26/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:02:07 ID:9ibQUVt5 [27/65]
魔女は卑劣な方法で 彼女の国を盗った
だが現在かの国は 落ち着きを取り戻し
恐怖政治の中 豊かさを見せ始めている
そしてこともあろうに 我が国へ友好不可侵の同盟を申し込んできた
∧_∧
∩=∀=#)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ
|U ⌒)
いばらの城付近に攻め入る 我が国の英雄を名乗る者の一部の暴虐が
あちらの国民の脅威に なってきているらしい
我が国民にも 戦争の不安を募らせる日々を送らせないためにも
これ以上私怨を 国交に持ち込めない
…もう 私に姫は救えない
.
97
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:22:33
141 名前:(27/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:02:33 ID:9ibQUVt5 [28/65]
私が魔女を呪う気持ちは 魔女の呪いよりも醜く強いのではないか?
悪鬼羅刹になって 全ての犠牲を省みず
あの城を滅ぼすことが出来たら 私はどんなに幸せだろう
∧_∧
∩-∀- )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ
|U ⌒)
…しかし 私を慕う民が 私のこのような心の内を知れば
どんなに落胆するだろうね
結局私は なんの身動きもできない
∧_∧ ∧∧
∩・∀・ ) (゚∀゚*)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ ( ,,)
|U ⌒) UU
「 お疲れでしたら 寝室でお休み下さい
こんなところでは お体に触ります 」
.
98
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:23:07
142 名前:(28/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:03:09 ID:9ibQUVt5 [29/65]
あの時 私を心を溶かしてくれた 悲しき恩人の妹
私の侍女として仕え 手元で育っている娘
∧_∧ ∧∧
∩ ・∀・) (゚∀゚*)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ ( ,,)
|U ⌒) UU
「 王子の無念は わかります
私も剣の稽古も魔法の勉強もしております
いずれ 私が魔女に勝てるように
一人前になるまで お待ち下さい 」
「 それはもう いいのだよ
オマエまで亡くしてしまっては
オマエの兄に申し訳が立たない 」
∧_∧
(,, -∀) ∧∧
/ つ (∀゚*,)
(_ ⌒)) ( ,,)
(_)) UU
「 王子のお許しがなければ
私は 兄の敵討ちということで 魔女と戦います 」
.
99
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:23:35
143 名前:(29/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:04:14 ID:9ibQUVt5 [30/65]
「 …希望を失わないで下さい
澄んだ魂を曇らせないで下さい
復讐心なら全て私が背負います 」
∧_∧
( ・∀) ∧∧
/ つ (∀゚*,)
(_ ⌒)) ( ,,)
(_)) UU
情けないことに 彼女のそんな言葉に救われる
∧_∧
( -∀-)_ ∧∧
U U ヽ || ∇ (∀゚*,,)
(⌒(⌒ノ=rf ===c )
し'し'__i__| (/"ヽ)
私の一番愚かで醜い 心の内を知る侍女
彼女の人をも殺す術の鍛錬を
嬉しい想いと 後ろめたさの中で聞く
.
100
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:24:00
144 名前:(30/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:04:57 ID:9ibQUVt5 [31/65]
十年の月日が流れ 父は崩御し
王位を継承する
§ §§ §
||三| :|三| : |
||三lVV/| : |
|| (-‘ | : |
∧VVVl || と .| : |
( -∀) | ̄| ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) | ( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
…これで一切の我儘が できなくなるな
望みのない石になった姫を 今更后にと願う国民などもはやいない
私はいずれ 一番国益をもたらす婚姻を
結ぶことになるだろう
.
101
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:24:24
145 名前:(31/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:05:24 ID:9ibQUVt5 [32/65]
一方 いばらの城の方は
私が姫を諦めたという話の後も 目指すものは少なくなかった
P
||
|::|
∧ △|::::|
△田.lΠl l.△
. |゚゚゚|二||O||二|゚゚゚|
__〔ニニ〕 ||⌒|| 〔ニニ〕______
__| | || 丗 || | |_____
「 あの城には 呪われた美しい姫君が
石像の姿で眠る 」
という噂は既に世界中に広まっている
私と姫のことなど知らぬ勇者が
次々とあの城に挑んでは散った
.
102
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:24:59
146 名前:(32/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:06:01 ID:9ibQUVt5 [33/65]
もう諦めたこととはいえ
見知らぬ他の男が 姫の美しさだけを目当てに
こぞってやってくる浅ましさには 心底参る
∧_∧ ∧∧
∩∀-iii)_ (゚∀゚*)
ヽ U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf . | )
し'し'__i__| U"U
…それでも 石になった彼女を救える者が
いるに越したことはないが …
私以外の 彼女の美しさに恋する者に救われたら
彼女と彼女の気持ちは
果たして誰のものになるのであろうか?
私が手を出せぬほどの 野蛮な者の手に落ちなければよいが…
.
103
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:25:38
147 名前:(33/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:06:46 ID:9ibQUVt5 [34/65]
「 ご心配なさらぬように
魔女を一撃で亡き者にする 剣魔法
時間はかかりましたが
次の満月の晩には会得しようと思っています」
∧_∧ ∧ ∧
( ・∀・)_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
賢く武芸にも秀でたあの娘は 今は護衛も兼ねる私の侍女頭
「満月?」
「 えぇ これを会得するのには
修行だけではダメなのです
私自身 魔女になり その一撃において
彼女を上回らなければなりません 」
∧_∧ ∧ ∧
( ・∀・)_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
.
104
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:26:12
148 名前:(34/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:07:13 ID:9ibQUVt5 [35/65]
「では 悪魔と契約を行い 本物の魔女になるつもりと ?
それを行う人間は 強大な力を得たとしても
ゆくゆく地獄の業火を 浴び続ける運命になると 」
「 わかっておりますよ
でも 私の命というのは
この為に使うべき物だと考えています 」
∧_∧ ∧ ∧
( ;・∀・)_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
「 私のために オマエがそんな
運命を辿ってはいけない 」
∧_∧ ∧ ∧
( ;・∀) (∀゚*,,)
( つ | U
) ) ) | )
(_)_) U U
「 王子のためだけでは ありませんよ 」
.
105
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:26:41
149 名前:(35/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:07:52 ID:9ibQUVt5 [36/65]
「 あの優しかった兄が 強かった兄が
無残に殺され その死を辱めるように
吊るされていた姿 」
∧ ∧
(;;;∀;;;)
U;;;;;;つ=l二フ
|;;;;;;;;|
(/"ヽ)
「 私はあの時から 我が身もろとも あの魔女を
地獄に葬り去る覚悟です 」
.
106
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:27:19
150 名前:(36/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:08:26 ID:9ibQUVt5 [37/65]
「 王子 いえ 国王
あなたは 多くの人から愛され慕われ
ご自分の感情を殺してでも
そこに存在せねばならぬ身
私は身よりもなく 代わりはいくらでも入る ただの侍女
自分の感情通りに単身復讐をしようが
何も失うものなどない身 」
∧_∧ ∧ ∧
( ;・Д) (゚∀゚*)
( つ と つ=l二フ
) ) ) | )
(_)_) U U
「 昔も申したでしょう 私ならアナタの負の心も背負えます 」
彼女の魔女退治は 私の念願でもあった
だが次の満月には この娘は魔女になる…?
∧_∧ ∧ ∧
( ;-Д-) (*゚∀゚)
( ) と つ=l二フ
) ) ) ( |
(_)_) U U
.
107
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:27:44
151 名前:(37/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:09:18 ID:9ibQUVt5 [38/65]
そんな中 大きな噂が持ち上がった
海の向こうの大陸を 物凄い勢いで統一している
某国の若く美しい王子が いばらの城の姫に
恋焦がれていると
∧ ∧
(,,゚Д゚)
U |
( |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
/
…ふざけた国も あったもんだ
一国の王子に そんな賭けじみた冒険をさせるだなんて
.
108
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:28:14
152 名前:(38/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:09:49 ID:9ibQUVt5 [39/65]
その王子の別の噂も聞く 非常に感情的で一本気
己の怒りに触れる者は 正義の名の下に容赦なく切ると
「 …私にもそんな強さがあれば
姫を救えたのかもしれなかったな 」
「 蛮勇と国を治める強さは違います
今この国がこうして平和なのは
国王の つらくも強いご英断の積み重ねです 」
∧_∧ ∧ ∧
(-∀- )_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
「 …彼なら姫を救えるかもしれない… 」
「 その前に私が行きます
私が魔女を倒し 姫を王の元へ 」
∧_∧ ∧ ∧
(-∀- )_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
.
109
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:28:43
153 名前:(39/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:10:23 ID:9ibQUVt5 [40/65]
「 …今の私はね…
姫のことよりも
オマエが魔女になってしまうことの方が
つらくてたまらないんだよ 」
∧_∧ ∧ ∧
( ;=∀=)(∀゚;,,)
U つと |
(⌒(⌒ノ=rf| )
し'し'__i__|U"U
決して表では表せぬ感情を共有してきた彼女
私の悲しい恩人の残した たった一つの形見
このままたった一人で
悪魔に魂を引き渡した
漆黒の世界に放り込めるワケがない
∧_∧ ∧ ∧
( T∀)∀゚;,,)
( つ U
) ) ) | )
(_)_) U U
.
110
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:29:15
154 名前:(40/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:11:00 ID:9ibQUVt5 [41/65]
長年愛した姫への 裏切りとわかってる
それでも止められない
この娘に 感じる愛おしさ
∧_∧∧ ∧
( T)゙;,,)
( つ U
) ) ) )
(_(_)UU
自分のそば以外の 他のどんな世界にもやりたくない
もう戦いも復讐も忘れさせて ただ幸せにしてやりたい
∧_∧ ∧ ∧
( -∀-) (;゙∀゙)
( ) | つO
) ) ) ( |
(_)_) U U
魔女になる決心をするほど 心の凍てついていた娘は
そんなこと考えたことなどなかったのだろう
しばらく迷っている様子だった
.
111
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:29:44
155 名前:(41/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:11:26 ID:9ibQUVt5 [42/65]
娘の出した答えは
「 魔女にはならない これからもそばで仕える
だが私が姫を想う気持ちは 持っていて欲しい 」 と
∧_∧
( ・∀・)
( ) ∧ ∧
) ) ) (∀゙; ⌒)
(_)_) U( つつ
彼女に言わせれば 姫を一途に想う私の姿が
自分を強くする支えでもあったと
∧_∧
( =∀=)
( ) ∧ ∧
) ) ) (∀゙; ⌒)
(_)_) U( つつ
強くなることしか 考えてなかった彼女に
急に自分に向けられ 求められた愛は
人生をも脅かす とまどいになってしまっているのだろう
.
112
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:30:19
156 名前:(42/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:12:00 ID:9ibQUVt5 [43/65]
彼女は今更 私の権力の前で 服従しているのではない
人生の一番の目的 復讐を諦めてくれたのは
私をつらい目に合わせたくないという心配りだろう?
∧_∧ ∧ ∧
( -∀-) (,,;゙∀)
( ) | U |
) ) ) ( |
(_)_) U U
いつかその好意が 私を頼る気持ちになってくれたらと願い
私は待つことにした
…もう届かない遠くの石になった姫を諦め
近場の石の心を持った娘に
乗り換える…か
情けない卑怯者
.
113
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:30:52
157 名前:(43/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:12:43 ID:9ibQUVt5 [44/65]
海を渡ってきた王子の強さは
この近辺を脅かし続けた魔女の比ではなかった
しかも悪魔との契約などではない
先天的に備わっていた力が
修行や怒りで 人智を超える勢いで強化していくというから凄い
∧ ∧ .,, ;; ''::;;,, .
(#゚Д゚);::'" "'::;;;; ;;.;,;.;,,;.;,,;.;,;.:.::,:,:,::,::::::.:
| つ;::::::::
( |"。'::;;,,:::::: .,,, ;; ;;.;,;.;,,;::;.;;,;;,;;.;,,;.:,:,:,::,:.::,
(/"U "; ;; '"
いわゆる 少年誌的伝説の勇者
実はこの物語の主人公
.
114
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:31:37
158 名前:(44/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:13:16 ID:9ibQUVt5 [45/65]
既にその強さと奔放さで
彼は単身その怒りに任せて 悪政をする国に乗り込んでは
その国の「許しがたい魔王」を討伐していた
∧ ∧
(,, ゚Д)
| つ┼── ○
( | 大
(/"ヽ)
┌───────────────――──────────┐
| ギコ王子の会心の一撃!! チビ魔王に135のダメージ! .|
| チビ魔王は倒れた!!ギコ王子に67の経験値! |
| ギコ王子はラギを覚えた! |
└──────────────────────――───┘
そんな彼がある日 呪われた城の噂を耳にする
世にも美しい姫が 悪い魔女に魔法をかけられて
石にされてしまってる
∧ ∧
( ゚Д゚)
| つ/⌒/
ヽ ⌒)^)
| ̄し'U
地元付近には元婚約者もいたそうだが
魔女を恐れ 戦おうともせず放置
ならば この気の毒な姫を魔の手から救うのは
自分だろう
.
115
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:32:05
159 名前:(45/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:13:54 ID:9ibQUVt5 [46/65]
北の祠の巫女より 神の導きの言葉を貰い
愉快な商人の手伝いをして船を手に入れ
途中 竜宮を苦しめる魔物も退治して
伝説の剣も手に入れて
王子はいばらの城へ突き進む
∧ ∧
(,,゚Д゚)
U |
( |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
城の全ての魔物を殺し
∧ ∧ .,, ;; ''::;;,, .
(#゚Д゚);::'" "'::;;;; ;;.;,;.;,,;.;,,;.;,;.:.::,:,:,::,::::::.:
| つ;::::::::
( |"。'::;;,,:::::: .,,, ;; ;;.;,;.;,,;::;.;;,;;,;;.;,,;.:,:,:,::,:.::,
(/"U "; ;; '"
魔女も吹き飛ばした王子が 奥の間で出会ったモノ
.
116
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:32:33
160 名前:(46/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:14:19 ID:9ibQUVt5 [47/65]
それが彼女
∧ ∧
("-"*)
⊂ ::::⊃
ノ ::::::ヽ
` 〜〜^
私が愛した姫の時を止めた姿
彼女の美しさなら 私が一番良く知っている
彼は姫に本当に一目惚れして
彼女にかかった呪いを解いたんだろう
*
∧ ∧ ∧ ∧ *
(,,*゚Д)(o ゚*,,)
| つOと | *
( | / ヽ
UU <___>
.
117
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:33:00
161 名前:(47/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:14:42 ID:9ibQUVt5 [48/65]
「 ここは…? 」
「 魔女の城です アナタを石に変えた
悪しき魔女は この私が成敗いたしました」
∧ ∧ ∧ ∧
(,,゚Д゚) (,,*゚ o゚)
と つ Oと |
( | / ヽ
UU <___>
「 あなたは…? 」
「 囚われになったアナタの噂を聞き
海を越えてやってきたギコ王国の王子です
この呪いは心からアナタを愛する者にしか解けないと聞き
こうして馳せ参じました 」
∧ ∧ ∧ ∧
(,,゚Д゚) (o ゚*,,)
と つ Oと |
( | / ヽ
UU <___>
.
118
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:33:30
162 名前:(48/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:15:13 ID:9ibQUVt5 [49/65]
「 そうだったのですか ありがとうございます
でも私には 定められた婚約者がいるのですよ 」
∧ ∧ ∧ ∧
(,,゚Д゚) (-゙;,,)
と つ Oと |
( | / ヽ
UU <___>
「 知っています アナタのご親族が亡き者にされ
アナタが眠りについて十余年
一度だって魔女討伐をすることもなく
魔女が治めていたアナタの国と
友好不可侵の同盟まで結んだ臆病者のことですね 」
「 十余年? 私はそんなに眠っていたの?
彼は本当に私を助けてくれなかったの? 」
∧ ∧ ∧ ∧
(,;-Д)(o ゚;,,)
| つ と |
( | / ヽ
UU <___>
「 申し訳ありません 私の言葉も迂闊でした
何か事情があったのかもしれません
現在では国王になっている アナタの婚約者の元に参りましょう 」
.
119
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:34:09
163 名前:(49/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:15:45 ID:9ibQUVt5 [50/65]
「 人々は呪いを解かれた我が身を祝福してくれます
ですが父も母も知った家来もいなくなったこの国では
身の置き場がありません 」
∧ /∧ ∧ ∧∧
(゚Д゚(゚- T*)ミ ヽ
| つ∩ |ミ /ヽ_)
/ ̄( ⌒)´)´ ) /
| し' し'し' i
「 …モララー王国がアナタを受け入れて下されば
よいのですが。 」
「 …アナタの言ってたことは 真実です
誰に聞いても 彼は私を一度も 助けに来なかったと
私のことなど 魔女の手に落ちた時点で
その心から 切り捨てられたのかもしれません 」
∧ ∧∧ ∧ ∧∧
(,, -Д)*Tっ)ミ ヽ
| つ/ つミ /ヽ_)
/ ̄( ⌒)´)´ ) /
| し' し'し' i
「 姫はそれほどまでにモララー国王をお慕いしていたのですか? 」
.
120
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:34:28
164 名前:(50/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:16:22 ID:9ibQUVt5 [51/65]
「 遠く離れた私の国でよろしければ
私の妻となって来てくれませんか? 」
∧ ∧ ∧ ∧ ∧∧
(,,゚Д゚)(゚- ゚*)ミ ヽ
| つ/ つミ /ヽ_)
/ ̄( ⌒)´)´ ) /
| し' し'し' i
「 …もちろんそれはモララー国王に逢ってからお考え下さい 」
∧ ∧ ∧ ∧ ∧∧
(,, ゚Д)( *゙ -)ミ ヽ
| つ/ つミ /ヽ_)
/ ̄( ⌒)´)´ ) /
| し' し'し' i
121
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:35:08
165 名前:(51/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:17:30 ID:9ibQUVt5 [52/65]
私に出来ることといえば 勇者と姫君を盛大に迎えること
十余年 思い焦がれてた君を
あの当時の美しい姿のまま 見ることができて
私は心の底から 嬉しかったよ
∧ ∧ ∧ ∧ lVVV∧
(,, ゚Д) (,,*゚ -) (∀; )
| U| | U|っと )
( | / ヽ ( ( (
U U <____> (_(__)
だけど君は その分年をとった私に
驚いたようだったね
そして私に尋ねた
∧ ∧ ∧ ∧ lVVV∧
(,, ゚Д) (,*Tっ) (∀・; )
| U| | U|っと )
( | / ヽ ( ( (
U U <____> (_(__)
「どうして アナタが助けに
来て下さらなかったのですか?
私の父母の仇をとってはくれなかったのですか? 」
.
122
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:35:39
166 名前:(52/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:18:00 ID:9ibQUVt5 [53/65]
…言い訳はできなかった
王位継承者である責任の重さのせいにはできない
∧ ∧ ∧ ∧ lVVV∧
(,, ゚Д) (,*Tっ) (∀-; )
| U| | U|っと )
( | / ヽ ( ( (
U U <____> (_(__)
なぜなら彼女の背後には それを持ったまま
彼女を救い出せた 天才的な強さの勇者がいるから
∧ ∧ ∧ ∧ ∧VVVl
(,,゚Д゚) (*゚ -゚) ( ・∀・)
|U | |U )っと )
( | / ヽ ( ( ( ∧ ∧
U U <____> (_(__) (∀゙; ⌒)
U ( つつ
私の想いを 全て知ってる侍女が
私の為に いろいろと語ってくれた
親友や自分の兄が身を呈して私を止めたことも
国民を思うため身動きできなかった私のことも
.
123
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:36:41
167 名前:(53/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:18:40 ID:9ibQUVt5 [54/65]
しかし私のことで 震えながら必死に訴える侍女の姿を見て
土下座して畏まる侍女を 思わず助け起こす私の姿を見て
彼女は女として悟ることが あったのだろう
∧ ∧ ∧ ∧ ∧VVVl
(,,゚Д゚) ( * - ) ( -∀-)
|U | |U ) ( つつ
( | / ヽ ) ) ) ∧ ∧
U U <____> (__)_) (∀T; ⌒)
U ( つつ
私は 彼女が呪いにかかっている間に
助けにもいかずに 愛人を作っていた 不誠実な人間
「 彼女は 私が国に連れて帰って
一生幸せにします 」
∧ ∧ ∧ ∧ lVVV∧ ∧ ∧
(#゚Д゚)(-T*,,) (∀- ) ∩∀T*)
| つ ∩ | ( ) ヽ U
( | / ヽ ( ( ( | )
U U/___> (_(__) U U
若く強く美しいこの王子の 屈託のない誓いの言葉が眩しい
私より君の方が この世にも美しい姫を
手に入れる価値のある人間なんだろうね
.
124
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:37:10
168 名前:(54/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:20:26 ID:9ibQUVt5 [55/65]
その晩 私の城の泉のほとりで
口づけを交わす 若き二人をみる
∧_∧ ハハハハ
( =∀) (,, ) ,,)
( ) ( ) >
(⌒(⌒ ノ\
し' し' \
伝説の勇者の 一世一代の恋
傷つく姫を 労わり癒す
物語の中のラブロマンスで一番の盛り上がりどころ
脇役の私は 彼女を連れ旅立つ勇者の王子に
彼女を救ってくれた礼として 城に眠っていた宝『 魔法の鍵 』 を渡す
∧VVVl ∧ ∧
( -∀) (Д゚*,,)
( つ ♀と |
) ) ) | )
(_)__) U U
「とうぞくのカギ」では開けられなかった扉も
開けることが可能な 冒険者には役立つアイテムだ
もちろん国の財産をきちんと管理し
他人様の部屋や宝箱を開く用事のない私には
もともと不必要なモノだ
.
125
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:37:40
169 名前:(55/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:21:22 ID:9ibQUVt5 [56/65]
さて 旅立つ王子と姫は 知っているのか知らないのか
魔女が倒され 主無き彼女の国を襲う混沌
P
||
|::|
∧ △|::::|
△田.lΠl l.△
. |゚゚゚|二||O||二|゚゚゚|
__〔ニニ〕 ||⌒|| 〔ニニ〕______
__| | || 丗 || | |_____
他国からの侵略か 内部からのクーデターか
元友好国の主としてこの行く末を見守る義務がある
「 はやくも 野心家のクックル皇帝が
領土拡大にこの地の侵略を始めたな… 」
「 魔族の生き残りも 魔女の抑えの効かなくなった今
各地を混乱させています…」
lVVV∧ ∧ ∧
(・∀・ ) (゚∀゚;)
( ) U U |
| | | | )
(_(_) U U
126
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:38:35
170 名前:(56/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:22:13 ID:9ibQUVt5 [57/65]
「 現地の情勢を探れ 」
「 他の近隣国と和平条約を結べ 」
「 難民の受け入れの準備をしろ 」
lVVV∧ ∧ ∧
(-∀- ) (゚∀゚;)
と つ U U |
| | | | )
(_(_) U U
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( ) ( )( )
魔女の独裁時代よりも 恐ろしく予想のつかない乱世
このように 軟弱な私が 乗り切れるモノだろうか?
.
127
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:39:03
171 名前:(57/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:22:44 ID:9ibQUVt5 [58/65]
「 …私のそばで これからもずっと
助け支えになってくれるか? 」
∧VVVl ∧ ∧
( ・∀・) (゚∀゚;)
( ) U U |
| | | | )
(_)_) U U
「 …はい… 」
∧VVVl ∧ ∧
( -∀) (∀゙* )
( ) U |
| | | | )
(_)_) U U
君の私に向ける真心は知った
振られた私への同情もあるかもしれないが
それでもいい 今の私には君しかいない
これからも 君を愛させてくれ
.
128
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:39:30
172 名前:(58/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:23:23 ID:9ibQUVt5 [59/65]
馬鹿な国王が身分の低い侍女を寵愛することなどは
特にめずらしいことでもない
∧VVVl ∧ ∧
( -∀)(∀゙* )
( つと |
| | | | )
(_)_) U U
私達は特に誰からも祝福を受けることなく
ただ二人 つらい時ほどなお一層寄り添った
.
129
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:40:11
173 名前:(59/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:24:19 ID:9ibQUVt5 [60/65]
乱世は飛び火し 更なる巨悪がこの世を襲う
あの魔女とは比べ物にならないほど
強い魔族に 我が国も脅かされる
∧_∧ ∧ ∧
( ;・∀・) (*゚∀゚)
( つ つ と つ==l二フ
私の愛しい人は 城で国を守らねばならぬ
私の代わりに 何度も戦場に赴いた
∧_∧ ∧ ∧
( ・∀・) (゚∀゚*)
( つ つ と つ==l二フ
私を守ること それが 彼女の愛の証だと 今の生きる歓びだと
.
130
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:40:46
174 名前:(60/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:24:43 ID:9ibQUVt5 [61/65]
ある日 彼女は 魔族の呪いを
一身に帯びて帰ってきた
∧ ∧ ∧_∧
(iii゙∀゙) (・Д・; )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ )
ヽ
体中に出来た腫れ物には 焼けるように熱が篭もる
「 熱いかい 何か欲しいものはあるかい 」
∧ ∧ ∧_∧
(iii゚∀゚) (Д・; )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ )
ヽ
「 魔女になってたら 地獄の業火を浴び続けなければいけなかった
でも この焼ける痛みは 私が死すれば消え去ります 」
.
131
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:41:12
175 名前:(61/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:25:16 ID:9ibQUVt5 [62/65]
「 死など 不吉なことを 」
「 私 魔女にならなくてよかった 」
∧ ∧ ∧_∧
( iii゙∀) (Д・; )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ )
「 アナタに幸せを教えてもらいました 」
∧ ∧ ∧_∧
( iii゙∀) (Д・; )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ )
.
132
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:41:56
176 名前:(62/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:25:42 ID:9ibQUVt5 [63/65]
∧ ∧ ∧_∧
(;;;;;∀;) (ロT )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ ) ,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
........,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.......,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
そして この数十分後 私も
侵略してきた 魔物に命を奪われる
あの勇者の王子と 身も心も強くなったかつての姫が
この地を訪れる時 全てが破壊され 人の住めなくなった
この一帯の惨事の跡に 心痛めるであろう
∧ ∧ ∧ ∧
(;゚Д゚) (iii゚っ゚)
|U | |U )
( | <___>
U U (/ U ,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
........,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.......,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
そして王子は最後の旅を決意し
漆黒の大魔王に打ち勝ち この世の伝説になる
.
133
:
呪われた姫君を救え!!
:2021/12/29(水) 01:42:46
177 名前:(63/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:26:23 ID:9ibQUVt5 [64/65]
私のことは 物語の中には
ほとんど綴られていないだろうね
/ ̄ ̄\
:::::::/ ̄ ̄ヽ \
:::::::\ \ \
:::::::\ \ / ̄
:::::::\/ ̄ ̄ヽf
あ…残っていたよ
『 ヒロインを救おうともせず 手近な下賤の女にうつつを抜かし
乱世に真っ先に 魔族に滅ぼされた臆病者 ヒロインの元婚約者 』
だそうな。
何一つ成し遂げたモノの残らない 脇役などそんなモノであろうな。
〜 糸冬 〜
134
:
名無しさん
:2021/12/29(水) 01:43:33
==============================================================================================
喋る猫の話 2005/6/30
==============================================================================================
135
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:44:09
329 名前:(1/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:18:24 ID:G3UX+gA0 [2/14]
【喋る猫の話】
昔は喋る猫が珍しいだなんて知らなかったよ。
┌──────────
| 逝ってよしだゴルァ
└───v───────
∧ ∧
( ´∀`) ∧∧
( ) (゚Д゚ ) ̄ ̄`〜
(ソ(ソ U U ̄UU
.
136
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:44:43
330 名前:(2/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:18:59 ID:G3UX+gA0 [3/14]
だって俺の散歩にいつもついてくる猫は
┌───────────────────────
| 昨日そっちの草むらにコジュケイの親子がいたぞ、ゴルァ
└─────v──────────────────
| 君はそのあとどうしたの?
└──v─────────────
∧ ∧
∧∧ (´∀` )
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚) c )っ
UU ̄U U (/"U
┌────────────────
| ヒナを一匹いただいたぞ。ウマー
└─────v───────────────
| そうだったんだー。
└──v──────────
∧ ∧
∧∧ ( ´∀`)
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚) c )っ
UU ̄U U (/"U
いつも普通に喋っていたからね。
.
137
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:45:11
331 名前:(3/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:19:51 ID:G3UX+gA0 [4/14]
小さな村で他に年頃のあう子供もいなかったから
喋る猫は俺のいい友達だった。
┌──────────────────────
| 川遊び?やめとけ午後から夕立が降る。マズー
└─────v───────────────
|せっかく船をこしらえたのに。
└──v──────────
∧ ∧
∧∧ (〜` )
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚) O二フ )
UU ̄U U (ソ(ソ
.
138
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:45:40
332 名前:(4/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:20:24 ID:G3UX+gA0 [5/14]
ある日町から来た少年が喋る猫をみて物凄く驚いた。
┌──────────────────────
|見かけない顔だな。名を名乗れ。ナンツッタリシテ
└─────v───────────────────
|わわっ!!猫が喋ってる!!
└────v────────────
∧ ∧ ∧ ∧
∧∧ ( ´∀`) (∀゚; )
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚) ( ) ( っ
UU ̄U U U"U (/"ヽ)
? ?
∧ ∧ ひぃ〜〜
∧∧ (´∀` )
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚) ( ) ∧ ∧
UU ̄U U U"U (;゚∀゚)
俺も猫もどうしてそんなことに驚くのかわからなかった。
だって俺達の間では普通に当たり前のことだったから。
.
139
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:46:21
333 名前:(5/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:21:00 ID:G3UX+gA0 [6/14]
┌─────────────────
|おまえら一体何なんだ?ゴルァ
└─────v───────────
< ホントだ猫が喋ってる! >∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨ テレビ局に取材して貰わなきゃ >
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
∧∧ ∧_∧ ∧_∧
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚) ( ) ( )
UU ̄U U ( ) ( )
大人達も猫が喋ると騒ぎ出した。猫が一言喋るたびに大騒ぎだった。
┌─────────────────
|テレビの上は暖かいがそれが何か?
└─────v───────────
< この猫の知能はどれくらいなんだろう!? >
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
< そもそも種族はなんだ!?突然変異か地球外生物か!? >
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
∧∧ ∧_∧ ∧_∧
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚) ( ) ( )
UU ̄U U ( ) ( )
だけど大人達って変なんだ。猫が喋ることばかりに驚いて、
猫と普通に会話しようと誰もしないんだ。
.
140
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:46:52
334 名前:(6/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:21:38 ID:G3UX+gA0 [7/14]
| オマエは何者なのか?
└─────────v──────────
|いつどこで生まれたのかわかるか?
└──────────v─────────
|オマエの他に仲間はいるのか?
└───────────v──────
∧∧
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚)
UU ̄U U
猫が普通に喋ろうとしても、周りは猫に一方的に質問責めだった。
.
141
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:47:33
335 名前:(7/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:22:03 ID:G3UX+gA0 [8/14]
┌────────────────
| なぁ、喋る猫って変なのか?
└─────v──────────
∧ ∧
∧∧ (Д` )
〜′ ̄ ̄( ゚Д゚) ( )
UU ̄U U (ソ(ソ
ある日、やつれた猫はそう俺に質問してきた。
でももう俺にはわからなかった。
喋ることであんなに皆から特異なもの扱いされて騒がれてる今の猫をみてると
喋らない方が静かに暮らせるかもしれないとも思えてくるから。
∧ ∧
(Д` )
( )
(ソ(ソ
そしてある日とうとう猫はいなくなった。
もともと野良猫、もうどこで何してるのかもわからない。
.
142
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:48:05
336 名前:(8/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:23:03 ID:G3UX+gA0 [9/14]
何年かしてから俺はあの猫と柄も尻尾もよく似た猫をみつけた。
∧_∧
( ´Д)
( ) ∧∧
| | | (゚Д゚ ) ̄ ̄`〜
(_)_) U U ̄UU
┌────────
| こんにちは。
└───v─────
∧_∧
( ´∀)
( ) ∧∧
| | | (゚Д゚ ) ̄ ̄`〜
(_)_) U U ̄UU
と、俺は昔のように話しかけてみた。
.
143
:
喋る猫の話
:2021/12/29(水) 01:48:36
337 名前:(9/9)[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:23:32 ID:G3UX+gA0 [10/14]
すると猫は、
┌────────
| ニャーン
└───v─────
∧_∧
( ´)
( ) ∧∧
| | | (゚Д゚ ) ̄ ̄`〜
(_)_) U U ̄UU
と、鳴いた。ただそれだけ。
〜 糸冬 〜
.
144
:
名無しさん
:2021/12/29(水) 01:49:01
==============================================================================================
わらべ唄 2002/6/20
==============================================================================================
145
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:49:51
268 名前:わらべ唄[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:53 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
星ひとつ見えない真っ暗な空は大嫌い。
闇の中じゃ何も見えやしない。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::∩::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
| |_|~| ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/⌒ヽ/⌒\
( ) """"""""""" iiiii iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii iiiii iiiii
( o )
.
146
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:50:26
269 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:53 ID:???
::::::+:::::::::::::::。:::::::::::::゚:::::::::::::::::。::::::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::+:::::::::::::::::::。::::::::
:::::::::::::::゚::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::::::+:::::::::::::゚::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::::゚:::::::::+:::
:::::::::::::::::::::::::。:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::
星は明るいし綺麗だから好き。たくさんあればあるほど
僕の道を照らしてくれる気がする。
::::::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::∩:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
| |_|~| ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/⌒ヽ/⌒\
( ) """"""""""" iiiii iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii iiiii iiiii
( o )
.
147
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:50:56
270 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:54 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ___ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
けど一番好きなのはお月様。
周りの星の明るさも消してしまうほどの明るい満月。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::∩::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|~|_| | ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/⌒ヽ/⌒\
( ゚ω) """"""""""" iiiii iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii iiiii iiiii
o( )
.
148
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:51:33
271 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:54 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ___ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
どうして一番好きかって?お月様は僕の故郷なんだよ。
月には昔、ウサギがたくさん住んでてね、
僕もあそこで餅をついてたんだ。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∩::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|~|_| | ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/⌒ヽ/⌒\
o-( ゚ω゚) """ iiiii iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii iiiii iiiii
(/,/ ヽ)ヽ)
.
149
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:52:02
272 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:55 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ___ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
星は遠過ぎるから昔と変わらないけど、月は…
遠く離れてしまった今、僕の故郷の月は本当に綺麗に見える。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∩:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|~|_| | ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/⌒ヽ/⌒\
o-( ゚ω)iiiii iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii iiiii iiiii
(/,/ ヽ)ヽ)
.
150
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:52:46
273 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:55 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
―― もう、うさぎ一匹住むことが出来なくなってしまった月 ――
住んでた僕達が戦争をしてすっかり汚してしまったんだ。
月の平和と正義のためにと戦ったはずの僕達は
結局 月を生き物の住めない星にしてしまった。
::::::::::::::::::::::::::::::::: __,,:::========:::,,__
:::::::::::::: ...‐''゙ ,,,, ''‐...
..‐´ ';,,;:";,, `‐..
/ ,,,::''゙ ;; '' ;;‐;; ;: ゙;,,,_;:"" \.
::´; ,,;'' ;;; ';;,,;''‐ ''‐゙ ゙''''; ヽ.
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
月と一緒に死んだ仲間も大勢いたけど
僕は自分や他のウサギの血にまみれながらも
最後は大好きなお月様を裏切って
こっちの星に逃げてきて生き延びることにした。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/)
//;ミ・
(ω= ):
<二二||と # :ヽ
: て #o;) ・:;∴;;;;、 @つ :;;':;・
.
151
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:53:28
274 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:56 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ___ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
今あそこにある月には生き物は何も住んでいないんだ。
お月様の光が冷たいのは
まだアチコチに死体が転がってるからなのかな?
それとも、お月様がもう二度と生き物はいらないって
言ってるからなのかな?
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
∩ ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/⌒ヽ/⌒\
o |~|_| | iiiii iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii iiiii iiiii
(⌒~( ゚ω)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
愚かな生き物がいないからこそ
今の月の光はあんなに清らかなんだろうね。
…泣きたくなるほど今が一番綺麗だよ、お月様。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
152
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:54:20
275 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:57 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ___ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
大好きな満月の夜、こんなに明るいのに
僕は道がわからなくなってしまう。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
∩ ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/⌒ヽ/⌒\
o |~|_| | iiiii iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii iiiii iiiii
(⌒~( -ω)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
あの戦争で傷を負った耳の器官が麻痺して
均衡感覚や方向感覚がいかれてしまったからなのかな?
それとも
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
153
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:54:39
276 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:57 ID:???
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ___ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∩:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,,,,,,|~|_| |,,,,,,,,/⌒ヽ/⌒\
iiiii iiiiiiiiio-( ゚ω)iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii iiiii iiiii
(/,/ ヽ)ヽ)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
見つかるはずもない
月への帰り道をつい探してしまうからなのかな…?
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
154
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:55:12
277 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:58 ID:???
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... . . . ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... . . ______ . . ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. . .. ,.-'' ̄  ̄''-、 . . ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::... . . ,r´ ;; ,, ヽ . . ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::... . . l ;; ;; l . . ...:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::... . . | :;;;;;;; ,,. | . . ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::... . . l ,:;;;;;;;;''' ;;;;;;;;;;, l . . ...:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::... . . `、 ;; ;; ,,;;;;;;;;,, ,ノ . . ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::... . . `-.._ _,,-´ . . ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... . .  ̄ ̄ . . ...:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... . . . ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
もう帰ることの出来ない故郷の光を浴びながら
今夜も、愚かで罪深いウサギは道を探して跳ねてみる。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
糸冬
155
:
わらべ唄
:2021/12/29(水) 01:55:57
278 名前:《無粋な解説》[sage] 投稿日:02/06/20(木) 18:59 ID:???
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
〜 このお話の元ネタは
わらべ唄 【 う さ ぎ 】
でお送りいたしました。 〜
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
うさぎ うさぎ 何見て跳ねる
十五夜お月さん見て跳ねる
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
…なんてね。つまりはこんなの昔からどこにでもある話ってことさ。
∩
o |~|_| |
(⌒~( -ω)
.
156
:
◆/D8/honey2
:2021/12/29(水) 02:00:42
==============================================================================================
◆/D8/honey2 蜂スレ寂寥感短編まとめ
・ノスタル自慰
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/43066/1640621726/3-69
・呪われた姫君を救え!!
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/43066/1640621726/70-133
・喋る猫の話
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/43066/1640621726/134-143
・わらべ唄
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/43066/1640621726/144-155
==============================================================================================
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板