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321名無しになりきれ:2011/11/29(火) 19:54:22
>「ルナちゃん、あなたの魔法で、『蟻が詰まってる』場所を吹っ飛ばせない?
 ほら、あの扉状態になってしまった蟻の集団とか」
「え?え?う、うん!ま、まかせて。よ〜し!まかせろぉー!」
慌てて懐からタクトと紙を取り出すと呪文の詠唱。

>「フィジルのみなさーん!初めてお目にかかりゃーす。
>魔界からの留学生、ササミ・テバサコーチンだで、よろしゅうたのんますなも…てっ!!??
>ほぎゃあああ!地獄絵図うぅ!??」

「……っっ!!!」
突然現われたササミ・テバサコーチン。耳がキーンとしたかと思うと落ちるミク。
リリィに糸を結んで落ちずには済んだみたいだけどなんか凄いことになってきた。
ルナは気を取り直して詠唱を再開するつもりだったけど部屋の入り口を見て腰を抜かしそうになる。
最悪なことに部屋の入り口からトリフィードたちが飛び出してきたのだ。

株分けされた子か親かはわからなかったが戦っていた隊員たちがここにいるということは
トリフィードたちも何時ここへ入って来てもおかしくはない。

「あわわわ…!!ワディワジーっ!!!」

322名無しになりきれ:2011/11/29(火) 20:09:30
>「ルナちゃん、あなたの魔法で、『蟻が詰まってる』場所を吹っ飛ばせない?
 ほら、あの扉状態になってしまった蟻の集団とか」
「え?え?う、うん!ま、まかせて。よ〜し!まかせろぉー!」
慌てて懐からタクトと紙を取り出すと呪文の詠唱。

>「フィジルのみなさーん!初めてお目にかかりゃーす。
>魔界からの留学生、ササミ・テバサコーチンだで、よろしゅうたのんますなも…てっ!!??
>ほぎゃあああ!地獄絵図うぅ!??」

「……っっ!!!」
突然現われたササミ・テバサコーチン。耳がキーンとしたかと思うと落ちるミク。
リリィに糸を結んで落ちずには済んだみたいだけどなんか凄いことになってきた。
ルナは気を取り直して詠唱を再開するつもりだったけど部屋の入り口を見て腰を抜かしそうになる。
最悪なことに部屋の入り口からトリフィードが一匹飛び出してきたのだ。

株分けされた子か親かはわからなかったが戦っていた隊員たちがここにいるということは
トリフィードも何時ここへ入って来てもおかしくはない。

「あわわわ…!!ワディワジーっ!!!」
涙目になりながらも得意魔法の『逆詰め』を使えば
蟻の扉が崩れて、キャシャアと口を開いたトリフィードの胃袋に詰まっていく。

「やったあ!!!外へ出れる!!みんな逃げよう!!」
蟻を詰められてパンパンに膨れたトリフィードは動かなくなっている。

【部屋に入ってきた一匹のトリフィードのお腹に蟻を詰める】
【外への扉を塞いでいた蟻はほとんどいなくなった】

323名無しになりきれ:2011/11/29(火) 20:14:56
>68-79
>「もちろん!ルナちゃん、久しぶり!
 ここのところ全然姿を見なかったけど、どこかへ実習にでも行ってたの?
 あっ、もしかして、ここの遺跡探索で篭ってたとか?」
「ふぇ?篭ってた!?(毎日元気いっぱい登校してたんですけど!私の存在感はどこ!?)
えっと、…じ、実習!そう、実習に行ってたんだけどトリフィードの噂を聞いて帰って来たんだ。
ちょちょいと退治しちゃおって思ってさ。
そしたら遺跡に入るリリィたちを見つけてね。危ないなって思って助けにきたってわけ」
見栄っ張りのルナの言葉には嘘が混じっている。

>「ああ、確か、ルナさんでしたわね。
 こうやってお話するのは始めてかしら。
 私は初音美紅と申しますわ。
 以後お見知りおきを」
「ふっ…こちらこそ。オレの名前はルナ・チップル。
蜘蛛に捕まった蝶のように、神に罪の血を捧げたい」

>「そんなこと言ってる場合じゃありません!このままでは蟻に食べられてしまいますよ!!」
「くすっ…、いくらなんでも蟻が人間なんて……」
>「蟻が!蟻がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
>「ぎゃあぁあ!!!助けてくださ!!!!!」
「……ひぅ!んん〜!!!!!」
ルナは蟻に食べられる隊員たちを見て、目と口を真一文字にして叫ぶのを堪える。
(×)みたいな顔になってる。

>「氷結散弾脚(フリージングショットキック)!!」
>フリードが技を放つと、ミクが作った足場が盛大に揺れた。
>「うわーッ!!揺れてる揺れてる!グレンにルナちゃん、飛ばされないようちゃんと捕まって!!」
「うんわかったわ!わかったリリィ!」
>「蟻なんてかわいいもんや、私の魔法にかかればちょちょいのちょいや
>だから早く私をこの糸から解放するんや!」
「えっ!?」
声のほうを見たら真がミクの糸に縛られていた。
事情はわからなくても状況はわかる。みたまま芋虫。
「こわい。なんなのぉこの状況ぉ……」

>「…背に腹は変えられないとは、良く言ったものですこと。
 開放してあげるのはよろしいですけれど、くれぐれも魔法の暴走には注意してくださいましね」
そして真は糸を解かれ自由になる。もしかして悪い子?と思うと、ルナの恐怖は更に膨らんでいく。

324名無しになりきれ:2011/11/29(火) 20:16:55
>68-79
>「もちろん!ルナちゃん、久しぶり!
 ここのところ全然姿を見なかったけど、どこかへ実習にでも行ってたの?
 あっ、もしかして、ここの遺跡探索で篭ってたとか?」
「ふぇ?篭ってた!?(毎日元気いっぱい登校してたんですけど!私の存在感はどこ!?)
えっと、…じ、実習!そう、実習に行ってたんだけどトリフィードの噂を聞いて帰って来たんだ。
ちょちょいと退治しちゃおって思ってさ。
そしたら遺跡に入るリリィたちを見つけてね。危ないなって思って助けにきたってわけ…だぜ」
見栄っ張りのルナの言葉には嘘が混じっている。

>「ああ、確か、ルナさんでしたわね。
 こうやってお話するのは始めてかしら。
 私は初音美紅と申しますわ。
 以後お見知りおきを」
「ふっ…こちらこそ。オレの名前はルナ・チップル。
蜘蛛に捕まった蝶のように、神に罪の血を捧げたい」

>「そんなこと言ってる場合じゃありません!このままでは蟻に食べられてしまいますよ!!」
「くすっ…、いくらなんでも蟻が人間なんて……」
>「蟻が!蟻がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
>「ぎゃあぁあ!!!助けてくださ!!!!!」
「……ひぅ!んん〜!!!!!」
ルナは蟻に食べられる隊員たちを見て、目と口を真一文字にして叫ぶのを堪える。
(×)みたいな顔になってる。

>「氷結散弾脚(フリージングショットキック)!!」
>フリードが技を放つと、ミクが作った足場が盛大に揺れた。
>「うわーッ!!揺れてる揺れてる!グレンにルナちゃん、飛ばされないようちゃんと捕まって!!」
「うんわかったわ!わかったリリィ!」
>「蟻なんてかわいいもんや、私の魔法にかかればちょちょいのちょいや
>だから早く私をこの糸から解放するんや!」
「えっ!?」
声のほうを見たら真がミクの糸に縛られていた。
事情はわからなくても状況はわかる。みたまま芋虫。
「……(こわい。なんなのぉこの状況ぉ……)」

>「…背に腹は変えられないとは、良く言ったものですこと。
 開放してあげるのはよろしいですけれど、くれぐれも魔法の暴走には注意してくださいましね」
そして真は糸を解かれ自由になる。もしかして悪い子?と思うと、ルナの恐怖は更に膨らんでいく。

325名無しになりきれ:2011/11/29(火) 20:18:52
>68-79
>「もちろん!ルナちゃん、久しぶり!
 ここのところ全然姿を見なかったけど、どこかへ実習にでも行ってたの?
 あっ、もしかして、ここの遺跡探索で篭ってたとか?」
「ふぇ?篭ってた!?(毎日元気いっぱい登校してたんですけど!私の存在感はどこ!?)
えっと、…じ、実習!そう、実習に行ってたんだけどトリフィードの噂を聞いて帰って来たんだ。
ちょちょいと退治しちゃおって思ってさ。
そしたら遺跡に入るリリィたちを見つけてね。危ないなって思って助けにきたってわけ…だぜ」
見栄っ張りのヴィジュアル系もどきのルナの言葉には嘘が混じっている。

>「ああ、確か、ルナさんでしたわね。
 こうやってお話するのは始めてかしら。
 私は初音美紅と申しますわ。
 以後お見知りおきを」
「ふっ…こちらこそ。オレの名前はルナ・チップル。
蜘蛛に捕まった蝶のように、神に罪の血を捧げたい」

>「そんなこと言ってる場合じゃありません!このままでは蟻に食べられてしまいますよ!!」
「くすっ…、いくらなんでも蟻が人間なんて……」
>「蟻が!蟻がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
>「ぎゃあぁあ!!!助けてくださ!!!!!」
「……ひぅ!んん〜!!!!!」
ルナは蟻に食べられる隊員たちを見て、目と口を真一文字にして叫ぶのを堪える。
(×)みたいな顔になってる。

>「氷結散弾脚(フリージングショットキック)!!」
>フリードが技を放つと、ミクが作った足場が盛大に揺れた。
>「うわーッ!!揺れてる揺れてる!グレンにルナちゃん、飛ばされないようちゃんと捕まって!!」
「うんわかったわ!わかったリリィ!」
>「蟻なんてかわいいもんや、私の魔法にかかればちょちょいのちょいや
>だから早く私をこの糸から解放するんや!」
「えっ!?」
声のほうを見たら真がミクの糸に縛られていた。
事情はわからなくても状況はわかる。みたまま芋虫。
「……(こわい。なんなのぉこの状況ぉ……)」

>「…背に腹は変えられないとは、良く言ったものですこと。
 開放してあげるのはよろしいですけれど、くれぐれも魔法の暴走には注意してくださいましね」
そして真は糸を解かれ自由になる。もしかして悪い子?と思うと、ルナの恐怖は更に膨らんでいく。

326名無しになりきれ:2011/11/29(火) 20:23:19
>「ルナちゃん、あなたの魔法で、『蟻が詰まってる』場所を吹っ飛ばせない?
 ほら、あの扉状態になってしまった蟻の集団とか」
「え?え?う、うん!ま、まかせて。よ〜し!まかせろぉー!」
慌てて懐からタクトと紙を取り出すと呪文の詠唱。

>「フィジルのみなさーん!初めてお目にかかりゃーす。
>魔界からの留学生、ササミ・テバサコーチンだで、よろしゅうたのんますなも…てっ!!??
>ほぎゃあああ!地獄絵図うぅ!??」

「……っっ!!!」
突然現われたササミ・テバサコーチン。耳がキーンとしたかと思うと落ちるミク。
リリィに糸を結んで落ちずには済んだみたいだけどなんか凄いことになってきた。
ルナは気を取り直して詠唱を再開するつもりだったけど部屋の入り口を見て腰を抜かしそうになる。
最悪なことに部屋の入り口からトリフィードが一匹飛び出してきたのだ。

株分けされた子か親かはわからなかったが戦っていた隊員たちがここにいるということは
トリフィードも何時ここへ入って来てもおかしくはない。

「あわわわ…!!ワディワジーっ!!!」
涙目になりながらも得意魔法の『逆詰め』を使えば
蟻の扉が崩れて、キャシャアと口を開いたトリフィードの胃袋に詰まっていく。

「やったあ!!!外へ出れる!!みんな逃げよう!!」
蟻を詰められてパンパンに膨れたトリフィードは動かなくなっていた。

【外への扉を塞いでいた蟻をトリフィードに詰めて扉を開く】

327名無しになりきれ:2012/01/15(日) 04:06:55
「コホン。まず始めに皆さんにはアキヴァの街に行ってもらいます。
そこでエンジェル軍に包囲されているキモヲタたちを救出してほしいのです」

リリスは美しい髪を揺らしながら前をいく。
冷たいリノリウムの床に響くヒールの音。
しばらく歩き、建物の外に出れば大きな毛むくじゃらの姿があった。

「ごろごろごろごろ…」
デビルチルドレンたちの目のまえには年老いた巨大な猫。
奇妙なことにその胴体には窓がずらりと並んでいる。
リリスが猫の顎をこちょこちょして

「デビルチルドレンたちを頼みましたよ」と言えば
「にゃー…」
巨大な猫は小さく答えた。すると…

「発車ですか!?リリスさま!?」
猫のバスの窓からシュガーエッジそっくりの子供が顔を出す。
そのこはリリスが手なずけた天使。
仮想空間リンネを作るさい、ゼウスの力を流用出来たのもそのこのおかげ。

「ええ、デビルチルドレンが生まれたのです」

「えーなんだってー!?」
シュガーは巨大猫の蚤退治をやめて慌てて駆けて来て…

「ぼくの名前はシュガー!よろしく!」
シャルルに抱き着き、続けてトムにも抱き着いた。

「ヘルの外に出るならボクとこのビッグキャットに任せて下さい!きっと役に立ちますから!」

328名無しになりきれ:2012/02/13(月) 18:45:16
>「リリィ、ごめんな……ルナもそんな怪我させてもうて」

「べつにいいの。体の痛みなんて…」

>「ああああああああああ!!嫌!嫌!何で!エンドウ君を助けるはずだったのに!
 何で私、ルナちゃんにこんな事を!!」

「…えへ」
ルナは微笑した。

329名無しになりきれ:2012/02/13(月) 19:21:34
ミクの糸がリリィとルナの体を繋ぎ止めていた。
ササミが人の心を理解出来ないように、ルナにもミクという人物がわからない。
本当のことを言ったら、ここにいるグレンや勇気やフリードや真のことなんて理解不能。
リリィのこともわからない。本当のことはわからなくて、
ただわからないくせに勝手に決め付けて、勝手に安心してお友達と思っている。

>「リリィ、ごめんな……ルナもそんな怪我させてもうて」

「べつにいいの。体の痛みだから…」

>「ああああああああああ!!嫌!嫌!何で!エンドウ君を助けるはずだったのに!
 何で私、ルナちゃんにこんな事を!!」

「…えへ」
ルナは微笑した。

330名無しになりきれ:2012/02/15(水) 23:53:27
ミクの糸は命綱となって、リリィとルナを現世に繋ぎ止めていた。
胸の出血から、薄れていく意識にまどろんで、ルナは幼いころのことを思い出していた。
かくれんぼをして迷子になったルナを探すために行方不明になってしまった兄のこと。
その日から両親はルナのことを見てくれずに、兄を探すことに夢中になって
寝ても覚めてもずっといなくなった兄だけを思い続けたこと。

誰にもみてもらえないことはいないと同じこと。
ただ誰かにみてもらいたい。
ルナのビジュアル系の格好は、クラスメートに。
男言葉は神隠しにあってしまった兄のように
親に興味を持ってもらいたかったから。

>「リリィ、ごめんな……ルナもそんな怪我させてもうて」

「べつにいいの。体の痛みだから…」

>「ああああああああああ!!嫌!嫌!何で!エンドウ君を助けるはずだったのに!
 何で私、ルナちゃんにこんな事を!!」

「…えへ」
ルナは微笑した。
リリィを助けなければ自分の心は死んでしまうのだから。
それは自己愛で友情も愛情もぜんぶただの自己満足。

(なんて醜いのかな…なさけないよ…)

ササミは颯爽と現れリリィの右手を切断し
真と一緒に儀式魔法の中心となって槍の封印を行っていく。
結局それなら、今までの迷いや悲しみや葛藤なんて無意味だった。

もとからササミのように心がなかったら何にも苦しむ必要もない。
自分のやってきたことはただの道化芝居。

331名無しになりきれ:2012/02/16(木) 00:05:31
ミクの糸は命綱となって、リリィとルナを現世に繋ぎ止めていた。
胸の出血から、薄れていく意識にまどろんで、ルナは幼いころのことを思い出していた。
かくれんぼをして迷子になったルナを探すために行方不明になってしまった兄のこと。
その日から両親はルナのことを見てくれずに、兄を探すことに夢中になって
寝ても覚めてもずっといなくなった兄のことだけに思いを巡らせていた。

だからルナは孤独だった。

誰にもみてもらえないことはいないと同じこと。
ただ誰かにみてもらいたい。
ルナのビジュアル系の格好は、クラスメートに。
男言葉は神隠しにあってしまった兄のように
親に興味を持ってもらいたかったから。

>「リリィ、ごめんな……ルナもそんな怪我させてもうて」

「べつにいいの。体の痛みだから…」

>「ああああああああああ!!嫌!嫌!何で!エンドウ君を助けるはずだったのに!
 何で私、ルナちゃんにこんな事を!!」

「……ち、…ちがうの」
ルナは視線を落とす。
ただ、リリィを助けなければ自分の心が死んでしまうのだ。
すべて自己愛で友情も愛情もぜんぶただの自己満足。

(なんて醜いの…なさけない…)

ササミは颯爽と現れリリィの右手を切断し
真と一緒に儀式魔法の中心となって槍の封印を行っていく。
結局それなら、今までの迷いや悲しみや葛藤なんて無意味だった。

もとからササミやミクのように心がなかったら何にも苦しむ必要もない。
自分のやってきたことはただの道化芝居。

332名無しになりきれ:2012/02/16(木) 00:13:58
ミクの糸は命綱となって、リリィとルナを現世に繋ぎ止めていた。
胸の出血から、薄れていく意識にまどろんで、ルナは幼いころのことを思い出していた。
かくれんぼをして迷子になったルナを探すために行方不明になってしまった兄のこと。
その日から両親はルナのことを見てくれずに、兄を探すことに夢中になって
寝ても覚めてもずっといなくなった兄のことだけに思いを巡らせていた。

だからルナは孤独だった。

誰にもみてもらえないことはいないと同じこと。
ただ誰かにみてもらいたい。
ルナのビジュアル系の格好は、クラスメートに。
男言葉は神隠しにあってしまった兄のように
親に興味を持ってもらいたかったから。

>「リリィ、ごめんな……ルナもそんな怪我させてもうて」

「べつにいいの。体の痛みだから…」

>「ああああああああああ!!嫌!嫌!何で!エンドウ君を助けるはずだったのに!
 何で私、ルナちゃんにこんな事を!!」

「……ち、…ちがうの」
ルナは視線を落とす。
ただ、リリィを助けなければ自分の心が死んでしまうのだ。
すべて自己愛で友情も愛情もぜんぶただの自己満足。

(なんて醜いの…なさけない…)

ササミは颯爽と現れリリィの右手を切断し
真と一緒に儀式魔法の中心となって槍の封印を行っていく。
結局それなら、今までの迷いや悲しみや葛藤なんて無意味だった。
もとからササミやミクのように心がなかったら何にも苦しむ必要もない。
自分のやってきたことはただの道化芝居。

魔方陣から弾かれて転げて、暗い天井を仰ぎみる。
今のルナは、熱く沸いてくる胸の痛みにだけに自分の生と存在を感じていた。

【魔方陣から弾かれて、仰向けでヒクヒクしてる状態】

333名無しになりきれ:2012/02/16(木) 00:17:34
ミクの糸は命綱となって、リリィとルナを現世に繋ぎ止めていた。
胸の出血から、薄れていく意識にまどろんで、ルナは幼いころのことを思い出していた。
かくれんぼをして迷子になったルナを探すために行方不明になってしまった兄のこと。
その日から両親はルナのことを見てくれずに、兄を探すことに夢中になって
寝ても覚めてもずっといなくなった兄のことだけに思いを巡らせていた。

だからルナは孤独だった。

誰にもみてもらえないことはいないと同じこと。
ただ誰かにみてもらいたい。
ルナのビジュアル系の格好は、クラスメートに。
男言葉は神隠しにあってしまった兄のように
親に興味を持ってもらいたかったから。

>「リリィ、ごめんな……ルナもそんな怪我させてもうて」

「べつにいいの。体の痛みだから…」

>「ああああああああああ!!嫌!嫌!何で!エンドウ君を助けるはずだったのに!
 何で私、ルナちゃんにこんな事を!!」

「……ち、…ちがうの」
ルナは視線を落とす。
ただ、リリィを助けなければ自分の心が死んでしまうだけ。
すべて自己愛で友情も愛情もぜんぶただの自己満足。

(なんて醜いの…なさけない…)
ササミは颯爽と現れリリィの右手を切断し
真と一緒に儀式魔法の中心となって槍の封印を行っていく。
結局それなら、今までの迷いや悲しみや葛藤なんて無意味だった。
もとからササミやミクのように心がなかったら何にも苦しむ必要もない。
自分のやってきたことはただの道化芝居。

魔方陣から弾かれて転げて、暗い天井を仰ぎみる。
今のルナは、熱く沸いてくる胸の痛みにだけに自分の生と存在を感じていた。
【魔方陣から弾かれて、仰向けでヒクヒクしてる状態】

334名無しになりきれ:2012/06/21(木) 14:41:00
「ルミちゃんは学園の屋上から落ちて死んだそうです。
自殺とも事故ともつかない最期だったとか。どんな飛び下り方をしたのか
顔がすっぱりと断ち切られ、お面のように壁に張り付いていたそうです。
その顔はやすらかで苦悶に満ちてもおらず、ただぽかんと口と目を開けて
虚空を見つめていたといいます」

騒がしい食堂内を少女がのそのそと歩いている。
まるで彼女のまわりだけに強い重力のくびきが存在するかのように…。

「七不思議なんて洒落になんないよ。なんか日に日に数が増えてっちゃてるし…」

「もうすぐ夏だからかも」

335名無しになりきれ:2012/06/21(木) 15:15:06
騒がしい食堂内に黒づくめの集団。
それはルナとその仲間たちの組んだビュジュアル系ガールズロックバンド
「ステレヨポエミー」
彼女たちもまた最近ちまたを賑わせているいう七不思議に興味深深だった。
ドラム担当の少女がカレーを頬張りながら怖い噂話をしている。

「そして…ルミちゃんは学園の屋上から落ちて死んだそうです。
自殺とも事故ともつかない最期だったとか。どんな飛び下り方をしたのか
顔がすっぱりと断ち切られ、お面のように壁に張り付いていたそうです。
その顔はやすらかで苦悶に満ちてもおらず、ただぽかんと口と目を開けて
虚空を見つめていたといいます」

「……屋上から落ちたときに、電線とかに顔を持っていかれちゃったのかもね」

「………」

ルナ・チップルは口を真一文字にしてその話を聞いていた。なんか怖い。
七不思議というより怪談みたいだし、
ルミって名前が自分と一文字違いでそこが気になってあんまり話にも集中できなかった。

「てか七不思議がいくつあんのかって話よ!増えちゃってるじゃん。
調べても調べても増えちゃってんなら永遠に解明できないよ。
そもそも何を解明すんのかもわかんないし」

騒がしい食堂内を少女がのそのそと歩いている。
まるで彼女のまわりだけに強い重力のくびきが存在するかのように…。

「七不思議なんて洒落になんないよ。なんか日に日に数が増えてっちゃてるし…」

「もうすぐ夏だからかも」

336名無しになりきれ:2012/06/21(木) 15:24:34
騒がしい食堂内に黒づくめの集団。
それはルナとその仲間たちの組んだビュジュアル系ガールズロックバンド
「ステレヨポエミー」
彼女たちもまた最近ちまたを賑わせているいう七不思議に興味深深だった。
ドラム担当の少女がカレーを頬張りながら怖い噂話をしている。

「そして…ルミちゃんは学園の屋上から落ちて死んだそうです。
自殺とも事故ともつかない最期だったとか。どんな飛び下り方をしたのか
顔がすっぱりと断ち切られ、お面のように壁に張り付いていたそうです。
その顔はやすらかで苦悶に満ちてもおらず、ただぽかんと口と目を開けて
虚空を見つめていたといいます」

「屋上から落ちたときに、電線とかに顔を持っていかれちゃったのかもね」とギターの子。

「………」
ルナ・チップルは口を真一文字にしてその話を聞いていた。なんか怖い。
七不思議というより怪談みたいだし、
ルミって名前が自分と一文字違いでそこが気になってあんまり話にも集中できなかった。

「てか七不思議がいくつあんのかって話よ!増えちゃってるじゃん。
調べても調べても増えちゃってんなら永遠に解明できないよ。
そもそも何を解明すんのかもわかんないし」
バンっテーブルを叩いて立ち上がる。
ルナもステレヨポエミーの仲間たちも、そんなにおつむの出来はよくない。
ただルナの兄は、神隠しにあって行方不明になっているので
そんな不思議話は半ば習慣的に聞き入ってしまうルナがいた。

騒がしい食堂内を少女がのそのそと歩いている。
まるで彼女のまわりだけに強い重力のくびきが存在するかのように…。

337名無しになりきれ:2012/06/21(木) 16:08:41
騒がしい食堂内に黒づくめの集団。
それはルナとその仲間たちの組んだビュジュアル系ガールズロックバンド
「ステレヨポエミー」
彼女たちもまた最近ちまたを賑わせているいう七不思議に興味深深だった。
ドラム担当の少女がカレーを頬張りながら怖い噂話をしている。

「そして…ルミちゃんは学園の屋上から落ちて死んだそうです。
自殺とも事故ともつかない最期だったとか。どんな飛び下り方をしたのか
顔がすっぱりと断ち切られ、お面のように壁に張り付いていたそうです。
その顔はやすらかで苦悶に満ちてもおらず、ただぽかんと口と目を開けて
虚空を見つめていたといいます」

「屋上から落ちたときに、電線とかに顔を持っていかれちゃったのかもね」とギターの子。

「………」
ルナ・チップルは口を真一文字にしてその話を聞いていた。なんか怖い。
七不思議というより怪談みたいだし、
ルミって名前が自分と一文字違いでそこが気になってあんまり話にも集中できなかった。

「てか七不思議がいくつあんのかって話よ!増えちゃってるじゃん。
調べても調べても増えちゃってんなら永遠に解明できないよ。
そもそも何を解明すんのかもわかんないし」
バンっテーブルを叩いて立ち上がる。
ルナもステレヨポエミーの仲間たちも、そんなにおつむの出来はよくない。
ただルナの兄は、神隠しにあって行方不明になっているので
そんな不思議話は半ば習慣的に聞き入ってしまうルナがいた。

「ふむー。どうしよう」
ルナが困っていると掲示板に張り紙をしているリリィの姿が目に飛び込む。
しめたっと思ったルナは人込みを縫うように進みながら声をあげて手をぶんぶんと振る。
すると横槍をいれるかのようにあの女が現れた。

>「リリィやないのー!久しぶりやねえ!」

「むむっ!ササミ・テバサコーチン!」

338名無しになりきれ:2012/06/21(木) 16:21:36
「ふむむ。どうしよう」
ルナが困っていると掲示板に張り紙をしているリリィの姿が目に飛び込む。
しめたっと思ったルナは人込みを縫うように進みながら声をあげて手をぶんぶんと振る。
すると横槍をいれるかのようにあの女が現れた。

>「リリィやないのー!久しぶりやねえ!」

「ぎゃーっ!ササミ・テバサコーチン!あいつ帰ってきていたの!?」
悲鳴をあげてテーブルの下に隠れる。変な緊張感で胸がどきどきしている。
知らない人と廊下ですれ違うのならいっこうに構わない。
挨拶なんかしなくったってそれは無視したとは言われない。
でもササミの場合はルナと知っていて無視をする。そんなことは許されない。
心がこわれてしまうから。

339名無しになりきれ:2012/06/21(木) 17:04:32
「ふむむ。どうしよう」
ルナが困っていると掲示板に張り紙をしているリリィの姿が目に飛び込む。
しめたっと思ったルナは人込みを縫うように進みながら声をあげて手をぶんぶんと振る。
すると横槍をいれるかのようにあの女が現れた。

>「リリィやないのー!久しぶりやねえ!」

「ぎゃーっ!ササミ・テバサコーチン!あいつ帰ってきていたの!?」
悲鳴をあげてテーブルの下に隠れる。変な緊張感で胸がどきどきしている。
知らない人と廊下ですれ違うのならいっこうに構わない。
挨拶なんかしなくったってそれは無視したとは言われない。
でもササミの場合はルナと知っていて無視をする。そんなことは許されない。
心がこわれてしまうから。

「だいじょうぶ。ササミと二人っきりというのなら問題大だけど、
リリィもいるし…。ここは自然に対処すれば…」
かちこちになりながらも、ルナは二人の前に躍り出た。

「よー、ひさしぶふぃ」
そしていきなり噛んでしまう。

>「七不思議っていうのに七つ以上あるのも不思議な話だがね。
>他にもまだありそうやったけど、知ってりゃーす?
>フリードや他何組かもう調査したらしいけど、まだ究明には至ってないみたいやね。」

「あ、しってる。壁に張り付いた女の子の顔と美術室の人形の話。
まーそれだけだけどさ。リリィは他に何か知ってる?」
ルナは話に夢中になっていた。
だからシャオロンが張り紙を排除したことに気がついたのは、
彼女が仁王立ちして満足そうに自分の紙を見ているところだった。

「なんだよこの張り紙は!?こんな高飛車な内容じゃ集まるもんもあつまらねーだろっ!?
おめーは岩男の大群でも従えてりゃいいんだよ。このチンクシャ女」
ルナはたぶん排除されたであろうリリィの張り紙(破損部分は逆転魔法で再生)の端を持って
掲示板にべたんと貼り付けようとする。でも、むにゃりという変な感触。
お約束というか前方不注意で、ササミの魔乳に張り紙ごとうずまっているルナの両手があった。

340名無しになりきれ:2012/06/21(木) 18:39:00
騒がしい食堂内に黒づくめの集団。
それはルナとその仲間たちの組んだビュジュアル系ガールズロックバンド
「ステロヨポエミー」
彼女たちもまた最近ちまたを賑わせているいう七不思議に興味深深だった。
ドラム担当の少女がカレーを頬張りながら怖い噂話をしている。

「そして…ルミちゃんは学園の屋上から落ちて死んだそうです。
自殺とも事故ともつかない最期だったとか。どんな飛び下り方をしたのか
顔がすっぱりと断ち切られ、お面のように壁に張り付いていたそうです。
その顔はやすらかで苦悶に満ちてもおらず、ただぽかんと口と目を開けて
虚空を見つめていたといいます」

「屋上から落ちたときに、電線とかに顔を持っていかれちゃったのかもね」とギターの子。

「………」
ルナ・チップルは口を真一文字にしてその話を聞いていた。なんか怖い。
七不思議というより怪談みたいだし、
ルミって名前が自分と一文字違いでそこが気になってあんまり話にも集中できなかった。

「てか七不思議がいくつあんのかって話よ!増えちゃってるじゃん。
調べても調べても増えちゃってんなら永遠に解明できないよ。
そもそも何を解明すんのかもわかんないし」
バンっテーブルを叩いて立ち上がる。
ルナもステロヨポエミーの仲間たちも、そんなにおつむの出来はよくない。
ただルナの兄は、神隠しにあって行方不明になっているので
そんな不思議話は半ば習慣的に聞き入ってしまうルナがいた。

341名無しになりきれ:2012/06/21(木) 18:51:34
「ふむむ。どうしよう」
ルナが困っていると掲示板に張り紙をしているリリィの姿が目に飛び込む。
しめたっと思ったルナは人込みを縫うように進みながら声をあげて手をぶんぶんと振る。
すると横槍をいれるかのようにあの女が現れた。

>「リリィやないのー!久しぶりやねえ!」

「ぎゃーっ!ササミ・テバサコーチン!あいつ帰ってきていたの!?」
悲鳴をあげてテーブルの下に隠れる。変な緊張感で胸がどきどきしている。
知らない人と廊下ですれ違うのならいっこうに構わない。
挨拶なんかされなくったってそれは無視されたことにはならない。
でもササミの場合はルナと知っていて無視をする。そんなことは許されない。
心がこわれてしまうから。

「だいじょうぶ。ササミと二人っきりというのなら問題大だけど、
リリィもいるし…。ここは自然に対処すれば…」
かちこちになりながらも、ルナは二人の前に躍り出た。

「よー、ひさしぶふぃ」
そしていきなり噛んでしまったけど、豚のマネが流行っているのだと誤魔化した。

>「七不思議っていうのに七つ以上あるのも不思議な話だがね。
>他にもまだありそうやったけど、知ってりゃーす?
>フリードや他何組かもう調査したらしいけど、まだ究明には至ってないみたいやね。」

「あ、しってる。壁に張り付いた女の子の顔と美術室の人形の話。
まーそれだけだけどさ。リリィは他に何か知ってる?」
ルナは話に夢中になっていた。
だからシャオロンが張り紙を排除したことに気がついたのは、
彼女が仁王立ちして満足そうに自分の紙を見ているところだった。

「なんだよこの張り紙は!?こんな高飛車な内容じゃ集まるもんもあつまらねーだろっ!?
おめーは岩男の大群でも従えてりゃいいんだよ。このチンクシャ女」
ルナはたぶん排除されたであろうリリィの張り紙(破損部分は逆転魔法で再生)の端を持って
掲示板にべたんと貼り付けようとする。でも壁には変な凹凸があり生暖かい微妙な感触がする。
その理由はお約束というか前方不注意で、張り紙と掲示板の間にリリィを挟んでしまっていたのであった。

342名無しになりきれ:2012/06/21(木) 19:04:35
「ふむむ。どうしよう」
ルナが困っていると掲示板に張り紙をしているリリィの姿が目に飛び込む。
しめたっと思ったルナは人込みを縫うように進みながら声をあげて手をぶんぶんと振る。
すると横槍をいれるかのようにあの女が現れた。

>「リリィやないのー!久しぶりやねえ!」

「ぎゃーっ!ササミ・テバサコーチン!あいつ帰ってきていたの!?」
悲鳴をあげてテーブルの下に隠れる。変な緊張感で胸がどきどきしている。
知らない人と廊下ですれ違うのならいっこうに構わない。
挨拶なんかされなくったってそれは無視されたことにはならない。
でもササミの場合はルナと知っていて無視をする。そんなことは許されない。
心がこわれてしまうから。

「だいじょうぶ。ササミと二人っきりというのなら問題大だけど、
リリィもいるし…。ここは自然に対処すれば…」
かちこちになりながらも、ルナは二人の前に躍り出た。

「よー、ひさしぶふぃ」
そしていきなり噛んでしまったけど、豚のマネが流行っているのだと誤魔化す。

>「七不思議っていうのに七つ以上あるのも不思議な話だがね。
>他にもまだありそうやったけど、知ってりゃーす?
>フリードや他何組かもう調査したらしいけど、まだ究明には至ってないみたいやね。」

「あ、しってる。壁に張り付いた女の子の顔と美術室の人形の話。
まーそれだけだけどさ。リリィは他に何か知ってる?」
ルナは話に夢中になっていた。
だからシャオロンが張り紙を排除したことに気がついたのは、
彼女が仁王立ちして満足そうに自分の紙を見ているところだった。

「なんだよこの張り紙は!?こんな高飛車な内容じゃ集まるもんもあつまらねーだろっ!?
おめーは岩男の大群でも従えてりゃいいんだよ。このチンクシャ女」
ルナはたぶん排除されたであろうリリィの張り紙(破損部分は逆転魔法で再生)の端を持って
掲示板にべたんと貼り付けようとする。でも壁には変な凹凸があり生暖かい微妙な感触がする。
その理由はお約束というか前方不注意で、張り紙と掲示板の間にリリィを挟んでしまっていたのであった。

343名無しになりきれ:2012/06/21(木) 19:08:12
「ふむむ。どうしよう」
ルナが困っていると掲示板に張り紙をしているリリィの姿が目に飛び込む。
しめたっと思ったルナは人込みを縫うように進みながら声をあげて手をぶんぶんと振る。
すると横槍をいれるかのようにあの女が現れた。

>「リリィやないのー!久しぶりやねえ!」

「ぎゃーっ!ササミ・テバサコーチン!あいつ帰ってきていたの!?」
悲鳴をあげてテーブルの下に隠れる。変な緊張感で胸がどきどきしている。
知らない人と廊下ですれ違うのならいっこうに構わない。
挨拶なんかされなくったってそれは無視されたことにはならない。
でもササミの場合はルナと知っていて無視をする。そんなことは許されない。
心がこわれてしまうから。

「だいじょうぶ。ササミと二人っきりというのなら問題大だけど、
リリィもいるし…。ここは自然に対処すれば…」
かちこちになりながらも、ルナは二人の前に躍り出た。

「よー、ひさしぶふぃ」
そしていきなり噛んでしまったけど、豚のマネが流行っているのだと誤魔化す。

>「七不思議っていうのに七つ以上あるのも不思議な話だがね。
>他にもまだありそうやったけど、知ってりゃーす?
>フリードや他何組かもう調査したらしいけど、まだ究明には至ってないみたいやね。」

「あ、しってる。壁に張り付いた女の子の顔と美術室の人形の話。
まーそれだけだけどさ。リリィは他に何か知ってる?」
ルナは話に夢中になっていた。
だからシャオロンが張り紙を排除したことに気がついたのは、
彼女が仁王立ちして満足そうに自分の紙を見ているところだった。

「なんだよこの張り紙は!?こんな高飛車な内容じゃ集まるもんもあつまらねーだろっ!?
おめーは岩男の大群でも従えてりゃいいんだよ。このチンクシャ女」
ルナはたぶん排除されたであろうリリィの張り紙(破損部分は逆転魔法で再生)の端を持って
掲示板にべたんと貼り付けようとする。でも壁には変な凹凸があり生暖かい微妙な感触がする。
その理由はお約束というか前方不注意で、張り紙と掲示板の間にリリィを挟んでしまっていたからであった。

344名無しになりきれ:2012/06/21(木) 19:47:50
「ぎゃー!!ごめんねー!」
張り紙パックをされてピクピクしているであろうリリィに謝るルナ。
しょんぼりしているとある違和感に気がつく。なんかササミにおかしな所がある。

「あれれ…ササミのあんなとこに顔なんかあった?」
怪訝に思っているルナの思考を破って現れたのは赤マント。

「お、七不思議のほうからのこのこと現れやがったぜ。
思うに、この増殖する七不思議って怪異自体が妖しいんだよな。
木を隠すなら森。なんか隠されてる気がするぜ」

345名無しになりきれ:2012/06/21(木) 19:56:35
騒がしい食堂内に黒づくめの集団。
それはルナとその仲間たちの組んだビュジュアル系ガールズロックバンド
「ステロヨポエミー」
彼女たちもまた最近ちまたを賑わせているいう七不思議に興味深深だった。
ドラム担当の少女がカレーを頬張りながら怖い噂話をしている。

「そして…ルミちゃんは学園の屋上から落ちて死んだそうです。
自殺とも事故ともつかない最期だったとか。どんな飛び下り方をしたのか
顔がすっぱりと断ち切られ、お面のように壁に張り付いていたそうです。
その顔はやすらかで苦悶に満ちてもおらず、ただぽかんと口と目を開けて
虚空を見つめていたといいます」

「屋上から落ちたときに、電線とかに顔を持っていかれちゃったのかもね」とギターの子。

「………」
ルナ・チップルは口を真一文字にしてその話を聞いていた。なんか怖い。
七不思議というより怪談みたいだし、
ルミって名前が自分と一文字違いでそこが気になってあんまり話にも集中できなかった。

「てか七不思議がいくつあんのかって話よ!増えちゃってるじゃん。
調べても調べても増えちゃってんなら永遠に解明できないよ。
そもそも何を解明すんのかもわかんないし」
バンっテーブルを叩いて立ち上がる。
ルナもステロヨポエミーの仲間たちも、そんなにおつむの出来はよくない。
ただルナの兄は、神隠しにあって行方不明になっているので
そんな不思議話は半ば習慣的に聞き入ってしまうルナがいた。

「ふむむ。どうしよう」
ルナが困っていると掲示板に張り紙をしているリリィの姿が目に飛び込む。
しめたっと思ったルナは人込みを縫うように進みながら声をあげて手をぶんぶんと振る。
すると横槍をいれるかのようにあの女が現れた。

346名無しになりきれ:2012/06/21(木) 19:59:04
>「リリィやないのー!久しぶりやねえ!」

「ぎゃーっ!ササミ・テバサコーチン!あいつ帰ってきていたの!?」
悲鳴をあげてテーブルの下に隠れる。変な緊張感で胸がどきどきしている。
知らない人と廊下ですれ違うのならいっこうに構わない。
挨拶なんかされなくったってそれは無視されたことにはならない。
でもササミの場合はルナと知っていて無視をする。そんなことは許されない。
心がこわれてしまうから。

「だいじょうぶ。ササミと二人っきりというのなら問題大だけど、
リリィもいるし…。ここは自然に対処すれば…」
かちこちになりながらも、ルナは二人の前に躍り出た。

「よー、ひさしぶふぃ」
そしていきなり噛んでしまったけど、豚のマネが流行っているのだと誤魔化す。

>「七不思議っていうのに七つ以上あるのも不思議な話だがね。
>他にもまだありそうやったけど、知ってりゃーす?
>フリードや他何組かもう調査したらしいけど、まだ究明には至ってないみたいやね。」

「あ、しってる。壁に張り付いた女の子の顔と美術室の人形の話。
まーそれだけだけどさ。リリィは他に何か知ってる?」
ルナは話に夢中になっていた。
だからシャオロンが張り紙を排除したことに気がついたのは、
彼女が仁王立ちして満足そうに自分の紙を見ているところだった。

「なんだよこの張り紙は!?こんな高飛車な内容じゃ集まるもんもあつまらねーだろっ!?
おめーは岩男の大群でも従えてりゃいいんだよ。このチンクシャ女」
ルナはたぶん排除されたであろうリリィの張り紙(破損部分は逆転魔法で再生)の端を持って
掲示板にべたんと貼り付けようとする。でも壁には変な凹凸があり生暖かい微妙な感触がする。
その理由はお約束というか前方不注意で、張り紙と掲示板の間にリリィを挟んでしまっていたからであった。

「ぎゃー!!ごめんねー!」
張り紙パックをされてピクピクしているであろうリリィに謝るルナ。
しょんぼりしているとある違和感に気がつく。なんかササミにおかしな所がある。

「あれれ…ササミのあんなとこに顔なんかあった?」
怪訝に思っているルナの思考を破って現れたのは赤マント。

「お、七不思議のほうからのこのこと現れやがったぜ。
思うに、この増殖する七不思議って怪異自体が妖しいんだよな。
木を隠すなら森。なんか隠されてる気がするぜ」
と言ったところで今回のレスはおしまいだった。

347名無しになりきれ:2012/06/21(木) 20:02:08
>「リリィやないのー!久しぶりやねえ!」

「ぎゃーっ!ササミ・テバサコーチン!あいつ帰ってきていたの!?」
悲鳴をあげてテーブルの下に隠れる。変な緊張感で胸がどきどきしている。
知らない人と廊下ですれ違うのならいっこうに構わない。
挨拶なんかされなくったってそれは無視されたことにはならない。
でもササミの場合はルナと知っていて無視をする。そんなことは許されない。
心がこわれてしまうから。

「だいじょうぶ。ササミと二人っきりというのなら問題大だけど、
リリィもいるし…。ここは自然に対処すれば…」
かちこちになりながらも、ルナは二人の前に躍り出た。

「よー、ひさしぶふぃ」
そしていきなり噛んでしまったけど、豚のマネが流行っているのだと誤魔化す。

>「七不思議っていうのに七つ以上あるのも不思議な話だがね。
>他にもまだありそうやったけど、知ってりゃーす?
>フリードや他何組かもう調査したらしいけど、まだ究明には至ってないみたいやね。」

「あ、しってる。壁に張り付いた女の子の顔と美術室の人形の話。
まーそれだけだけどさ。リリィは他に何か知ってる?」
ルナは話に夢中になっていた。
だからシャオロンが張り紙を排除したことに気がついたのは、
彼女が仁王立ちして満足そうに自分の紙を見ているところだった。

「なんだよこの張り紙は!?こんな高飛車な内容じゃ集まるもんもあつまらねーだろっ!?
おめーは岩男の大群でも従えてりゃいいんだよ。このチンクシャ女」
ルナはたぶん排除されたであろうリリィの張り紙(破損部分は逆転魔法で再生)の端を持って
掲示板にべたんと貼り付けようとする。でも壁には変な凹凸があり生暖かい微妙な感触がする。
その理由はお約束というか前方不注意で、張り紙と掲示板の間にリリィを挟んでしまっていたからであった。

「ぎゃー!!ごめんねー!」
張り紙パックをされてピクピクしているであろうリリィに謝るルナ。
しょんぼりしているとある違和感に気がつく。なんかササミにおかしな所がある。

「あれれ…ササミのあんなとこに顔なんかあった?」
怪訝に思っているルナの思考を破って現れたのは赤マント。

「お、七不思議のほうからのこのこと現れやがったぜ。
思うに、この増殖する七不思議って怪異自体が妖しいんだよな。
木を隠すなら森。なんか隠されてる気がするぜ。やっちまいなフリード!」
大きな声をあげるルナは屁っ放り腰。
――と言ったところで今回のレスはおしまいだった。

348名無しになりきれ:2012/08/05(日) 17:23:54
>>155
>『やっぱフィー坊の知り合いのブラコンみたいに兄のパンツとか盗むのかな』(猫語)

「人聞きの悪いこといわないでよ。私はそんな変態じゃないし。
つか盗みたくってもお兄ちゃんは神隠しにあってて行方不明になってるから盗めないから…」

ルナはうつむいて、頬は朱に染めている。

>「試しにタバスコとか口のあたりに塗ってみましょうか?」
>『それササミさんも辛くない?』(猫語)

「あ、言われてみたらそうね。…じゃあどうしよ」

>「とりあえず僕が先頭ということで防御を固めさせていただこうと思います」

「うん。それじゃあじゃんじゃん守っちゃって」

>「男の僕には関係ありませんしサイズも合うんで・・・・・・
 それにすでに呪われていれば呪いの重複はありませんからね」

「え?呪いは重複しないの?へー、それは盲点かも。
そう考えてみると世の中には三重苦の人とかがいるから呪いよりよっぽど大変ね」

>>156
>「あかんがね。口だと喋れなくなるかもしれせんし、目の方がいいがね。でもタバスコとか持ってるんきゃ?」

「うっんと…、ササミが辛いのはべつに構わないのね。
でもタバスコがないという…。じゃあ他の生き地獄を考えないと」

それから数分後。 ルナは背後から飛来するササミに気づいた。
ササミの顔には疑念と焦燥が浮かんでいる。

>「まっすぐ飛んだはずやのに……幻術に嵌められとるか、七不思議「無限回廊」か……とりあえず!」

349名無しになりきれ:2012/08/05(日) 19:14:46
>>155
>『やっぱフィー坊の知り合いのブラコンみたいに兄のパンツとか盗むのかな』(猫語)

「人聞きの悪いこといわないでよ。私はそんな変態じゃないし。
つか盗みたくってもお兄ちゃんは…」

ルナはうつむいてる。

>「試しにタバスコとか口のあたりに塗ってみましょうか?」
>『それササミさんも辛くない?』(猫語)

「あ、言われてみたらそうね。…じゃあどうしよ」

>「とりあえず僕が先頭ということで防御を固めさせていただこうと思います」

「うん。それじゃあじゃんじゃん守っちゃって」

>「男の僕には関係ありませんしサイズも合うんで・・・・・・
 それにすでに呪われていれば呪いの重複はありませんからね」

「え?呪いは重複しないの?へー、それは盲点かも。
そう考えてみると世の中には三重苦の人とかがいるから呪いよりよっぽど大変ね」

>>156
>「あかんがね。口だと喋れなくなるかもしれせんし、目の方がいいがね。でもタバスコとか持ってるんきゃ?」

「うっんと…、ササミが辛いのはべつに構わないのね。
でもタバスコがないという…。じゃあ他の生き地獄を考えないと」

それから数分後。 ルナは背後から飛来するササミに気づいた。
ササミの顔には疑念と焦燥が浮かんでいる。

>「まっすぐ飛んだはずやのに……幻術に嵌められとるか、七不思議「無限回廊」か……とりあえず!」

――破壊。ササミの持つ六本の枝分刀が、超振動を得て竜巻のように荒れ狂う。

>>157-158
>「へえ、ルナちゃんお兄ちゃんがいたんだ。しかも美形だなんて初耳。お兄ちゃんも魔法が使えるの?」

「え、まあね。でも、まだわたしがちっちゃかったときに
お兄ちゃんは行方不明になっちゃったから顔とかしか印象にないんだ」

>それから待つこと数分後、ササミは戻ってきた。
ルナはササミの異変に気がつく。

「あ!人面瘡が…!!」
指をさししめしたさきには氷が融解しかけている人面瘡。
なんとササミの体温で氷が溶けかけているのだ。

「げひゃっ、ほんと…おそろしい悪魔みたいなやつらだね。
目にタバスコとか鼻山葵以上の罰ゲームじゃないかい!
そんなわるいこたちにはお仕置きだよー!」
ササミの意志とは裏腹に、刃は壁と言わず扉と言わず切り刻んでいく!

>「うわああ!!」
>頭を抱え床に身を伏せたリリィのすぐ脇に、ビシっとひびが入った。
>「え・・・・うそおおおお!!」
>ササミの攻撃に耐え切れなかったのか、嫌な破壊音とともに、足元の床が砕け、消滅した。
>「う、うそでしょー!!」
>リリィはまっさかさまに奈落へと落っこちていった。

350名無しになりきれ:2012/08/05(日) 19:31:35
「リリィーっ!きゃあ!?」
廊下に入った亀裂は蜘蛛の巣のように広がると、ルナを巻き込んで一斉に砕け散った。
これで七不思議「無限回廊」は難なくクリアというところか。
でもルナは考えてみた。無限回廊の無限の理由を…。

「…あ、もしかしたらメビウスの輪!そんな空間が何らかの力で作り出されているのかも」

351名無しになりきれ:2012/08/05(日) 19:51:49
「リリィーっ!きゃあ!?」
廊下に入った亀裂は蜘蛛の巣のように広がると、ルナを巻き込んで一斉に砕け散った。
奇しくもこれで「無限回廊」はクリアというところか。
しかしルナは考えてみた。無限回廊の無限の理由を…。

「…あ、もしかしたらメビウスの輪!そんな空間が何らかの力で作り出されているのかも。
って、誰がなんのために?あ、そっか。先に進めないように何かを隠しているのかも!」

352名無しになりきれ:2012/08/05(日) 19:59:04
>>155
>『やっぱフィー坊の知り合いのブラコンみたいに兄のパンツとか盗むのかな』(猫語)

「人聞きの悪いこといわないでよ。私はそんな変態じゃないし。
つか盗みたくってもお兄ちゃんは…」

ルナはうつむいてる。

>「試しにタバスコとか口のあたりに塗ってみましょうか?」
>『それササミさんも辛くない?』(猫語)

「あ、言われてみたらそうね。…じゃあどうしよ」

>「とりあえず僕が先頭ということで防御を固めさせていただこうと思います」

「うん。それじゃあじゃんじゃん守っちゃって」

>「男の僕には関係ありませんしサイズも合うんで・・・・・・
 それにすでに呪われていれば呪いの重複はありませんからね」

「え?呪いは重複しないの?へー、それは盲点かも。
そう考えてみると世の中には三重苦の人とかがいるから呪いよりよっぽど大変ね」

>>156
>「あかんがね。口だと喋れなくなるかもしれせんし、目の方がいいがね。でもタバスコとか持ってるんきゃ?」

「うっんと…、ササミが辛いのはべつに構わないのね。
でもタバスコがないという…。じゃあ他の生き地獄を考えないと」

それから数分後。 ルナは背後から飛来するササミに気づいた。
ササミの顔には疑念と焦燥が浮かんでいる。

>「まっすぐ飛んだはずやのに……幻術に嵌められとるか、七不思議「無限回廊」か……とりあえず!」

――破壊。ササミの持つ六本の枝分刀が、超振動を得て竜巻のように荒れ狂う。

>>157-158
>「へえ、ルナちゃんお兄ちゃんがいたんだ。しかも美形だなんて初耳。お兄ちゃんも魔法が使えるの?」

「え、まあね。でも、まだわたしがちっちゃかったときに
お兄ちゃんは行方不明になっちゃったから顔とかしか印象にないんだ」

>それから待つこと数分後、ササミは戻ってきた。
ルナはササミの異変に気がつく。

「あ!人面瘡が…!!」
指をさししめしたさきには氷が融解しかけている人面瘡。
なんとササミの体温で氷が溶けかけているのだ。

「げひゃっ、ほんと…おそろしい悪魔みたいなやつらだね。
目にタバスコとか鼻山葵以上の罰ゲームじゃないかい!
そんなわるいこたちにはお仕置きだよっ!」
ササミの意志に逆らうべく、 人面瘡に支配されたササミの腕は
無限回廊の破壊を停止する。その時だった。

>「うわああ!!」
>頭を抱え床に身を伏せたリリィのすぐ脇に、ビシっとひびが入った。
>「え・・・・うそおおおお!!」
>ササミの攻撃に耐え切れなかったのか、嫌な破壊音とともに、足元の床が砕け、消滅した。
>「う、うそでしょー!!」
>リリィはまっさかさまに奈落へと落っこちていった。

353名無しになりきれ:2012/08/05(日) 20:20:55
「リリィーっ!きゃあ!?」
廊下に入った亀裂は蜘蛛の巣のように広がると、ルナを巻き込んで一斉に砕け散った。
奇しくもこれで「無限回廊」はクリアというところか。
しかしルナは考えてみた。無限回廊の無限の理由を…。

「…あ、もしかしたらメビウスの輪!そんな空間が何らかの力で作り出されているのかも。
って、誰がなんのために?あ、そっか。先に進めないように何かを隠しているのかも!」

「ちっ!!」舌打ちをする人面瘡。
ルナは直感で、嘘や噂で塗り固められた現実から真実が垣間見えたような気もした。

奈落の底へ落ちている途中。ルナは空中を泳ぎながらリリィに近づくと
その手を握って違和を感じた。片方の手がすかすかなのだ。

「……リリィのバカ。骨がないのどうして隠してたの?
でも、もしかしたら七不思議の謎は私たちが解けるかも。だって…
…ぎゃ!」
呻き声。脊椎に感じる圧迫感。
なんと人面瘡に支配されたササミの腕がルナの首根っこを押さえつけていた。
このままだと、ササミとルナは丸ごと奈落の底に激突してしまうかも知れない。

354名無しになりきれ:2012/08/06(月) 20:05:57
http://www.youtube.com/watch?v=HfAhZK_Zo8k
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כָּל עוֹד בַּלֵּבָב פְּנִימָה
נֶפֶשׁ יְהוּדִי הוֹמִיָּה
וּלְפַאֲתֵי מִזְרָח קָדִימָה
עַיִן לְצִיּוֹן צוֹפיָּה
עוֹד לֹא אָבְדָה תִּקְוָתֵנוּ
הַתִּקְוָה בָּת שְׁנוֹת אַלְפַּיִם
לִהְיוֹת עַם חָפְשִׁי בְּאַרְצֵנוּ
אֶרֶץ צִיּוֹן וִירוּשָׁלַיִם

355名無しになりきれ:2012/08/14(火) 13:21:30
>「重圧から解放されたい気持ちがあることは否定せーへんけどな、わたしゃそんなに単純じゃあらぁせーへんのや!
>一面だけ見てわかったよーな口を利かれてもええ迷惑だがね!
>重圧を背負うも降ろすも自分自身で決める!
>あんたの出る幕なんてありゃあせーへんわ!
>それに!一番大切なものに手ぇ出すなんてとろくせー事やらせるわけあらへんやろ!」

血を抜かれ魔力を失い、人間の姿が保てなくなっていたササミは、
本来の姿、七面鳥の姿で叫んでいた。その全身はしわしわに干からびていた。
しかし――
子を守る母親の心は何者より勝る……

ササミの念動力により、巨顔と化した人面瘡の本体へと侵入する七つの手袋。
唸る怪音波。高温によって膨張を始める人面瘡の本体。

>重圧を背負うも降ろすも自分自身で決める!

「…いいねぇ、そのつよい意志。あたしとちがってあんたはブレやしない。
それに比べりゃあたしは、噂に翻弄され続ける奴隷みたいなもの…。かなしいったらない」
巨顔の化け物からは、はらはらと涙が流れ落ちたように見えた。
そして涙は一瞬で蒸発し、闇に消える。
巨顔の化け物は体内を沸騰させながら悶え苦しんでいた。
それを観察していたフリードは考える。果たして液体状の敵を倒せるのか? と…。
だが、その考えは取り越し苦労だ。フリードは次の瞬間叫ぶ…

>「これが僕の必殺技です!フリージングサーベル!サーベルストレート!!」

氷の刃が巨顔を斬断する。刹那、

356名無しになりきれ:2012/08/14(火) 13:32:50
>「重圧から解放されたい気持ちがあることは否定せーへんけどな、わたしゃそんなに単純じゃあらぁせーへんのや!
>一面だけ見てわかったよーな口を利かれてもええ迷惑だがね!
>重圧を背負うも降ろすも自分自身で決める!
>あんたの出る幕なんてありゃあせーへんわ!
>それに!一番大切なものに手ぇ出すなんてとろくせー事やらせるわけあらへんやろ!」

血を抜かれ魔力を失い、人間の姿が保てなくなっていたササミは、
本来の姿、七面鳥の姿で叫んでいた。その全身はしわしわに干からびていた。
しかし――
子を守る母親の心は何者より勝る……

ササミの念動力により、巨顔と化した人面瘡の本体へと侵入する七つの手袋。
唸る怪音波。高温によって膨張を始める人面瘡の本体。

>重圧を背負うも降ろすも自分自身で決める!

「…いいねぇ、そのつよい意志。あたしとちがってあんたはブレやしない。
それに比べりゃあたしは、噂に翻弄され続ける奴隷みたいなもの…。かなしいったらない」
巨顔の化け物からは、はらはらと涙が流れ落ちたように見えた。
そして涙は一瞬で蒸発し、闇に消える。
巨顔の化け物は体内を沸騰させながら悶え苦しんでいた。
それを観察していたフリードは考える。果たして液体状の敵を倒せるのか? と…。
だが、その考えは取り越し苦労だ。フリードは次の瞬間叫ぶ…

>「これが僕の必殺技です!フリージングサーベル!サーベルストレート!!」

氷の刃が巨顔を斬断する。刹那、大爆発。
これは揚げ物をしてるときに火事が起きて、フライパンに水をかけたら爆発するのと同じ原理。
一種の水蒸気爆発と言えた。

>「急激に温度が変われば成分が変化して元とは違う性質になるはずです
 簡単に言えば寒さで死ぬって事です
 ゆえに倒したと言ってしまっていいでしょ・・・・たぶんう」

「え、そうなの?よくわかんないけど…。恐竜が絶滅したのとおなじ原理なのかな?
っていうか私たちって、まだ落下してる途中じゃ…」
ルナは落下しながら正座。小首をかしげている。

357名無しになりきれ:2012/08/14(火) 13:35:34
>「重圧から解放されたい気持ちがあることは否定せーへんけどな、わたしゃそんなに単純じゃあらぁせーへんのや!
>一面だけ見てわかったよーな口を利かれてもええ迷惑だがね!
>重圧を背負うも降ろすも自分自身で決める!
>あんたの出る幕なんてありゃあせーへんわ!
>それに!一番大切なものに手ぇ出すなんてとろくせー事やらせるわけあらへんやろ!」

血を抜かれ魔力を失い、人間の姿が保てなくなっていたササミは、
本来の姿、七面鳥の姿で叫んでいた。その全身はしわしわに干からびていた。
しかし――
子を守る母親の心は何者より勝る……

ササミの念動力により、巨顔と化した人面瘡の本体へと侵入する七つの手袋。
唸る怪音波。高温によって膨張を始める人面瘡の本体。

>重圧を背負うも降ろすも自分自身で決める!

「…いいねぇ、そのつよい意志。あたしとちがってあんたはブレやしない。
それに比べりゃあたしは、噂に翻弄され続ける奴隷みたいなもの…。かなしいったらないさ」
巨顔の化け物からは、はらはらと涙が流れ落ちたように見えた。
そして涙は一瞬で蒸発し、闇に消える。
巨顔の化け物は体内を沸騰させながら悶え苦しんでいた。
それを観察していたフリードは考える。果たして液体状の敵を倒せるのか? と…。
だが、その考えは取り越し苦労だ。フリードは次の瞬間叫ぶ…

>「これが僕の必殺技です!フリージングサーベル!サーベルストレート!!」

氷の刃が巨顔を斬断。刹那、大爆発。
これは揚げ物をしてるときに火事が起きて、フライパンに水をかけたら爆発するのと同じ原理。
一種の水蒸気爆発と言えた。

>「急激に温度が変われば成分が変化して元とは違う性質になるはずです
 簡単に言えば寒さで死ぬって事です
 ゆえに倒したと言ってしまっていいでしょ・・・・たぶんう」

「え、そうなの?よくわかんないけど…。恐竜が絶滅したのとおなじ原理なのかな?
っていうか私たちって、まだ落下してる途中なんじゃないの…」
ルナは落下しながら正座。小首をかしげている。

358名無しになりきれ:2012/08/14(火) 13:36:52
>「重圧から解放されたい気持ちがあることは否定せーへんけどな、わたしゃそんなに単純じゃあらぁせーへんのや!
>一面だけ見てわかったよーな口を利かれてもええ迷惑だがね!
>重圧を背負うも降ろすも自分自身で決める!
>あんたの出る幕なんてありゃあせーへんわ!
>それに!一番大切なものに手ぇ出すなんてとろくせー事やらせるわけあらへんやろ!」

血を抜かれ魔力を失い、人間の姿が保てなくなっていたササミは、
本来の姿、七面鳥の姿で叫んでいた。その全身はしわしわに干からびていた。
しかし――
子を守る母親の心は何者より勝る……

ササミの念動力により、巨顔と化した人面瘡の本体へと侵入する七つの手袋。
唸る怪音波。高温によって膨張を始める人面瘡の本体。

>重圧を背負うも降ろすも自分自身で決める!

「…いいねぇ、そのつよい意志。あたしとちがってあんたはブレやしない。
それに比べりゃあたしは、噂に翻弄され続ける奴隷みたいなもの…。かなしいったらないよ」
巨顔の化け物からは、はらはらと涙が流れ落ちたように見えた。
そして涙は一瞬で蒸発し、闇に消える。
巨顔の化け物は体内を沸騰させながら悶え苦しんでいた。
それを観察していたフリードは考える。果たして液体状の敵を倒せるのか? と…。
だが、その考えは取り越し苦労だ。フリードは次の瞬間叫ぶ…

>「これが僕の必殺技です!フリージングサーベル!サーベルストレート!!」

氷の刃が巨顔を斬断。刹那、大爆発。
これは揚げ物をしてるときに火事が起きて、フライパンに水をかけたら爆発するのと同じ原理。
一種の水蒸気爆発と言えた。

>「急激に温度が変われば成分が変化して元とは違う性質になるはずです
 簡単に言えば寒さで死ぬって事です
 ゆえに倒したと言ってしまっていいでしょ・・・・たぶんう」

「え、そうなの?よくわかんないけど…。恐竜が絶滅したのとおなじ原理なのかな?
っていうか私たちって、まだ落下してる途中なんじゃ…」
ルナは落下しながら正座。小首をかしげている。

359名無しになりきれ:2012/08/14(火) 14:41:24
>「人型の生物中心の社会では人型のほうが便利だからじゃないのでしょうか?
>あと人間大のほうが食費が掛からないとか」
>とそれっぽい理由を言うフリードリッヒ
>真相は本人以外誰にも分からないものである

「そう、真相は本人以外は誰にもわからないものさ」
落下する一同の中心に立つ白き影。やわらかな微笑。
そこにはちょんまげを結った少年が立っていた。

「有名な怪談話のお岩さんだって、江戸で評判の美人がモデルだって言うしね。
真実なんて時と場合によって変化するもの。とてもとても脆弱なものなんだよ」
少年は骸骨の死神の人形を片手にはめて、それにむかって話しかけていた。
が、おもむろに面をリリィにむけ

「そうはおもわないかい?ぐるぐるめがねのお嬢さん。いや、リリィ…。ひさしぶりだね」
少年がもつ骸骨はカタカタと口を震わせていた。まるで腹話術のように。
そして少年は、静かな湖面のような目でリリィを見つめている。

「きみたちは嘘つきだね。厚化粧。豊胸。鳥。猫。みんな偽りの姿で生きている。
嘘ばかりついて、真実でさえ自分の都合のいいように塗り替える。
ほんとうに醜い生き物だよ。人間って生き物は…」

いつのまにか生徒たちは黒い箱の上にいた。まわりを見渡せば赤い海。空も血の様に赤い。
宙には黒い小さな箱が浮いており、それには生徒たちの姿が映し出されていた。
所謂テレビのようだった。

「だからボクは美しい真実の存在を造りだしたいのさ。どういう意味かわかるよね?
穢れのない完全で美しい人間を造り出して、ボクは神様になるのだよ」

「だから君の骨ちょうーだい。一番形のいい骨を…」
骸骨がリリィを見つめる。同時に骨が引きずり出されるような感覚が彼女を襲う。

「なにやってんのよ、あのちょんまげ!やめなさい!リリィを助けてササミにフリード!」
ルナは宙にストックされていた血の球をササミに詰め込む。
するとちょんまげ姿の少年「死神」は歌いだす。レクイエムを…。
それは赤い海と共鳴し、同時に生徒たちの耳を劈く振動波を生み出した。

360名無しになりきれ:2012/08/14(火) 14:46:42
>「人型の生物中心の社会では人型のほうが便利だからじゃないのでしょうか?
>あと人間大のほうが食費が掛からないとか」
>とそれっぽい理由を言うフリードリッヒ
>真相は本人以外誰にも分からないものである

「そう、真相は本人以外は誰にもわからないものさ」
落下する一同の中心に立つ白き影。やわらかな微笑。
そこにはちょんまげを結った少年が立っていた。

「有名な怪談話のお岩さんだって、江戸で評判の美人がモデルだって言うしね。
真実なんて時と場合によって変化するもの。とてもとても脆弱なものなんだよ」
少年は骸骨の死神の人形を片手にはめて、それにむかって話しかけていた。
が、おもむろに面をリリィにむけ

「そうはおもわないかい?ぐるぐるめがねのお嬢さん。いや、リリィ…。ひさしぶりだね」
少年がもつ骸骨はカタカタと口を震わせていた。まるで腹話術のように。
そして少年は、静かな湖面のような目でリリィを見つめている。

「きみたちは嘘つきだ。厚化粧。豊胸。鳥。猫。みんな偽りの姿で生きている。
嘘ばかりついて、真実でさえ自分の都合のいいように塗り替える。
ほんとうに醜い生き物だよ。人間って生き物は…」

いつのまにか生徒たちは黒い箱の上にいた。まわりを見渡せば赤い海。空も血の様に赤い。
宙には黒い小さな箱が浮いており、それには生徒たちの姿が映し出されていた。
所謂テレビのようだった。

「だからボクは美しい真実の存在を造りだしたいのさ。どういう意味かわかるよね?
穢れのない完全で美しい人間を造り出して、ボクは神様になるのだよ」

「だから君の骨ちょうーだい。一番形のいい骨を…」
骸骨がリリィを見つめる。同時に骨が引きずり出されるような感覚が彼女を襲う。

「なにやってんのよ、あのちょんまげ!やめなさい!リリィを助けてササミにフリード!」
ルナは宙にストックされていた血の球をササミに詰め込む。
するとちょんまげ姿の少年「死神」は歌いだす。レクイエムを…。
それは赤い海と共鳴し、同時に生徒たちの耳を劈く振動波を生み出した。

361名無しになりきれ:2012/08/14(火) 22:30:22
「拙者はエクストリームリモコン争いに参加するでござる」
優男がきた。彼の名はヒムラ。またのはをひとりっきり罵倒斉。
幕末のころより剣をふるってきた飛天御剣流を受け継いだ幕末最強の剣士である。
ダメ人間の巣「ヶヶ島」でぼーっと暮らしていたがオロンピックと聞いて駆けつけたのだ。
真っ黒に日焼けした笑顔でマカダミアンナッツをお土産にしてて・・・

「おろ、エルどの。ひさしぶりでござるな」
こぼれる白い歯。ほほの十字傷。
ヒムラはある目的があってオロンピックに参加していた。

「さっき、あやめをあやめてしまったのでござるよ」
駄洒落にしては不謹慎だったが、あやめは元気なおばけになって
三浦さまを便所のなかで金縛りにしていた。もちろん三浦さまは失格。
あやめはけらけらと笑いながら

「じょあやくるとじょあだれのもの〜じょあじょあきみのもの〜」
たのしく歌いながら過ごしていたという

362名無しになりきれ:2012/08/18(土) 16:38:15
   (
   )    (
   ( (    )
    ヽヽ  ノ
     ) ))
   _,,(,, (_     パチパチ...
   (⌒─⌒)
  ((::;゚;ω;゚:)           ∧_∧  
  |,.ノ从从ヾ,|     /⌒ヽ.  (ω;`)  
 {{二二二二}}   |   .|.━⊂  )
  |;:;:;ililililili;:;:;|    ヽ__ノ  し─J
  `ー‐一一'

363名無しになりきれ:2012/08/20(月) 21:38:45
>>362
http://www.youtube.com/watch?v=HfAhZK_Zo8k
                  ▲
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                  ▼
כָּל עוֹד בַּלֵּבָב פְּנִימָה
נֶפֶשׁ יְהוּדִי הוֹמִיָּה
וּלְפַאֲתֵי מִזְרָח קָדִימָה
עַיִן לְצִיּוֹן צוֹפיָּה
עוֹד לֹא אָבְדָה תִּקְוָתֵנוּ
הַתִּקְוָה בָּת שְׁנוֹת אַלְפַּיִם
לִהְיוֹת עַם חָפְשִׁי בְּאַרְצֵנוּ
אֶרֶץ צִיּוֹן וִירוּשָׁלַיִם

364由樹 ◆uvM7LCEnLQ:2012/08/25(土) 20:50:07
俺はネカマだす

365名無しになりきれ:2012/08/25(土) 22:15:37
http://www.youtube.com/watch?v=HfAhZK_Zo8k
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                  ▼
כָּל עוֹד בַּלֵּבָב פְּנִימָה
נֶפֶשׁ יְהוּדִי הוֹמִיָּה
וּלְפַאֲתֵי מִזְרָח קָדִימָה
עַיִן לְצִיּוֹן צוֹפיָּה
עוֹד לֹא אָבְדָה תִּקְוָתֵנוּ
הַתִּקְוָה בָּת שְׁנוֹת אַלְפַּיִם
לִהְיוֹת עַם חָפְשִׁי בְּאַרְצֵנוּ
אֶרֶץ צִיּוֹן וִירוּשָׁלַיִם

366名無しになりきれ:2012/08/26(日) 11:47:30
>「最悪や……もうお嫁行けへん…………うぅう〜〜〜〜……!」

「……」
じと目であかねの反応をうかがう鳥居。彼は数百年間生きてきた元吸血鬼。
死なない体によって精神は成熟されることもなく人間としての心は奇形とも言える発達をみせていた。
しかし鵺との戦いのなかで、頼光の神気の影響を受けた彼は再び人間の道を歩むこととなり
生への目覚め、痛み、苦しみなどを思い出してゆくこととなった。
しかしそれでよいのだと、彼は心のどこかで思う。
人としてのコミュニュケーションこそが唯一の成長の手段なのだから。
たとえ行き先に死が待っていたとしてもそれは自然の摂理。逃げることはしない。
気がつけば冷たい感触。いつのまにか頬に擦り寄っていた白蛇の体温は
腫れた頬にじんわりと染み込んだ。

生還屋は言う。

>「とりあえず……そうだな。暴力女二匹とガキンチョ、オメーらは俺と文官のジジイとやらを探しに行くぞ。
  まっ、オメーらなら俺がいなくても余裕だとは思うけどよ。奴らに襲われたら脇腹ぶん殴ってから、横面ひっぱたいてやりゃいいんだ」

続けて、あかね

>「りょーかいやで生還屋はん。その前にもっ一発だけ引っ叩いてええ?誰が暴力女や、誰が!」

「……」
無言の少年は、そっとあかねを指差した。



フーの依頼で手習所のジイさんを連れてくることになった冒険者たちは
そんなに迷うこともなく目的地へと近づいている。
しかし、あやしい。中へ、奥へと引っ張り込まれているこの感じ。

>「なーんか、嫌な予感がしやがる」
生還屋もそう感じているらしく言葉を漏らす。鳥居は鼻白んだ表情で

「それ、やめてください。そういうこと言うから宇宙の電波みたいのが
しゅばばーって集まって悪いことが起き来ちゃうんです。言霊みたいのが…」

松明を突き出し見上げた先には生還屋の顔。彼は勘だのなんだのと真面目な顔で言っている。

「なんか、すごくホラーな能力なんですけど…。未来予知とかなのかなぁ」

367名無しになりきれ:2012/08/26(日) 12:00:05
>「最悪や……もうお嫁行けへん…………うぅう〜〜〜〜……!」

「……」
じと目であかねの反応をうかがう鳥居。彼は数百年間生きてきた元吸血鬼。
死なない体によって精神は成熟されることもなく人間としての心は奇形とも言える発達をみせていた。
しかし鵺との戦いのなかで、頼光の神気の影響を受けた彼は再び人間の道を歩むこととなり
生への目覚め、痛み、苦しみなどを思い出してゆくこととなった。
しかしそれでよいのだと、彼は心のどこかで思う。
人としてのコミュニュケーションこそが唯一の成長の手段なのだから。
たとえ行き先に死が待っていたとしてもそれは自然の摂理。逃げることはしない。

ぬるり…。気がつけば頬に冷たい感触。
いつのまにか頬に擦り寄っていた白蛇の体温は
少年の腫れた頬にじんわりと染み込んだ。

生還屋は言う。

>「とりあえず……そうだな。暴力女二匹とガキンチョ、オメーらは俺と文官のジジイとやらを探しに行くぞ。
  まっ、オメーらなら俺がいなくても余裕だとは思うけどよ。奴らに襲われたら脇腹ぶん殴ってから、横面ひっぱたいてやりゃいいんだ」

続けて、あかね

>「りょーかいやで生還屋はん。その前にもっ一発だけ引っ叩いてええ?誰が暴力女や、誰が!」

「……」
無言の少年は、そっとあかねを指差した。



フーの依頼で手習所のジイさんを連れてくることになった冒険者たちは
そんなに迷うこともなく目的地へと近づいている。
しかし、あやしい。中へ、奥へと引っ張り込まれているこの感じ。

>「なーんか、嫌な予感がしやがる」
生還屋もそう感じているらしく言葉を漏らす。鳥居は鼻白んだ表情で

「それ、やめてください。そういうこと言うから宇宙の電波みたいのが
しゅばばーって集まって悪いことが起き来ちゃうんです。言霊みたいのが…」

松明を突き出し見上げた先には生還屋の顔。彼の意識は阿頼耶識にでも通じているのだろうか。
宇宙万有の展開の根源「阿頼耶識」

「なんか、すごくホラーな能力なんですけど…。未来予知とかなのかなぁ」

368名無しになりきれ:2012/08/26(日) 12:03:45
>「最悪や……もうお嫁行けへん…………うぅう〜〜〜〜……!」

「……」
じと目であかねの反応をうかがう鳥居。彼は数百年間生きてきた元吸血鬼。
死なない体によって精神は成熟されることもなく人間としての心は奇形とも言える発達をみせていた。
しかし鵺との戦いのなかで、頼光の神気の影響を受けた彼は再び人間の道を歩むこととなり
生への目覚め、痛み、苦しみなどを思い出してゆくこととなる。
しかしそれでよいのだと、彼は心のどこかで思う。
人としてのコミュニュケーションこそが唯一の成長の手段なのだから。
たとえ行き先に死が待っていたとしてもそれは自然の摂理。逃げることはできないのだ。

ぬるり…。気がつけば頬に冷たい感触。
いつのまにか頬に擦り寄っていた白蛇の体温は
少年の腫れた頬にじんわりと染み込んでいる。

生還屋は言う。

>「とりあえず……そうだな。暴力女二匹とガキンチョ、オメーらは俺と文官のジジイとやらを探しに行くぞ。
  まっ、オメーらなら俺がいなくても余裕だとは思うけどよ。奴らに襲われたら脇腹ぶん殴ってから、横面ひっぱたいてやりゃいいんだ」

続けて、あかね

>「りょーかいやで生還屋はん。その前にもっ一発だけ引っ叩いてええ?誰が暴力女や、誰が!」

「……」
無言の少年は、そっとあかねを指差し寂しく微笑んだ。



フーの依頼で手習所のジイさんを連れてくることになった冒険者たちは
そんなに迷うこともなく目的地へと近づいている。
しかし、あやしい。中へ、奥へと引っ張り込まれているこの感じ。

>「なーんか、嫌な予感がしやがる」
生還屋もそう感じているらしく言葉を漏らす。鳥居は鼻白んだ表情で

「それ、やめてください。そういうこと言うから宇宙の電波みたいのが
しゅばばーって集まって悪いことが起き来ちゃうんです。言霊みたいのが…」

松明を突き出し見上げた先には生還屋の顔。彼の意識は阿頼耶識にでも通じているのだろうか。
宇宙万有の展開の根源「阿頼耶識」

「なんか、すごくホラーな能力なんですけど…。未来予知とかなのかなぁ」

369名無しになりきれ:2012/08/26(日) 12:18:25
>「最悪や……もうお嫁行けへん…………うぅう〜〜〜〜……!」

「……」
じと目であかねの反応をうかがう鳥居。彼は数百年間生きてきた元吸血鬼。
死なない体によって精神は成熟されることもなく人間としての心は奇形とも言える発達をみせていた。
しかし鵺との戦いのなかで、頼光の神気の影響を受けた彼は再び人間の道を歩むこととなり
生への目覚め、痛み、苦しみなどを思い出してゆくこととなる。
しかしそれでよいのだと、彼は心のどこかで思う。
人としてのコミュニュケーションこそが唯一の成長の手段なのだから。
たとえ行き先に死が待っていたとしてもそれは自然の摂理。逃げることはできないのだ。

ぬるり…。気がつけば頬に冷たい感触。
いつのまにか頬に擦り寄っていた白蛇の体温は
少年の腫れた頬にじんわりと染み込んでいる。

生還屋は言う。

>「とりあえず……そうだな。暴力女二匹とガキンチョ、オメーらは俺と文官のジジイとやらを探しに行くぞ。
  まっ、オメーらなら俺がいなくても余裕だとは思うけどよ。奴らに襲われたら脇腹ぶん殴ってから、横面ひっぱたいてやりゃいいんだ」

続けて、あかね

>「りょーかいやで生還屋はん。その前にもっ一発だけ引っ叩いてええ?誰が暴力女や、誰が!」

「……」
無言の少年は、そっとあかねを指差し…微笑。



フーの依頼で手習所のジイさんを連れてくることになった冒険者たちは
そんなに迷うこともなく目的地へと近づいている。
しかし、あやしい。中へ、奥へと引っ張り込まれているこの感じ。

>「なーんか、嫌な予感がしやがる」
生還屋もそう感じているらしく言葉を漏らす。鳥居は鼻白んだ表情で…

「それ、やめてください。そういうことを言うから宇宙の電波みたいのが
しゅばばーって集まって悪いことが起き来ちゃうんです。言霊みたいのが…」

松明を突き出し見上げた先には生還屋の顔。彼は自分を、勘が鋭いと語る。
鳥居は小首をかしげる。彼の意識は阿頼耶識にでも通じているのだろうか。
宇宙万有の展開の根源「阿頼耶識」に。

「なんか、すごくホラーな能力なんですけど…。未来予知とかなの?」
にぱーと笑いながらてくてくと夜道を歩む。そのときだった――

370名無しになりきれ:2012/08/26(日) 13:52:57
あかねに引き寄せられる。同時に生還屋が上体を逸らし、
獲物を掴み損ねた動死体がつんのめり、倒れた。
そして目の前に繰り広げられる異様な光景。
まるで自分達の周りだけ世界が光の速さで廻っているようだ。

>「どうなってやがんだ、こりゃあよぉ……!」
>「どっからどう見ても道術や!このままおったらウチら、命を取り込まれるで!!」
>「こりゃ、ヤベえんじゃねえの!?おいオメーら、さっさと……!」

「逃げたら、いつかは捕まっちゃうんです!あいてに背中をみせたままじゃどうしようもない…」
少年の赤色の瞳が石炭のように煌煌と光を放つ。道術による「時の加速」は生命に関わる危機。
それは鳥居にも実感できた。

>「こんなもん自然に出来る訳ない。誰かが意図的に作っとるんや、けど誰が何のために!?」

「敵…。ぼくたちの敵?でもどうしてこんな邪魔を…」
推測するにも確証もなく、憶測も余計な不安を生み出すことだろう。

>「汝、水の眷族なる八又巳頭飯綱よ、汝の名と書の契約において、贄をうけとりて力を貸したまへ」
あかねが印を結びブルーの金貨を弾くと、フーから受け取った禍祓いの水が溢れ出し、疑似太陽へ向かって噴射される。

>「水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝ち、土は水に勝つや!」

「わあ、よくわかんないけどすごいです!水は火に勝ち、火は菌に勝つ?」

>「わーしもた!草が絡まって変なとこ入っ、ぎゃーっ服の下はあかんてー!誰か助けてぇー!」

「えー!?どうしよー…。犬みたいのが噛んでるけど助けるの無理みたいだし…あ!!」
風で消える松明。夜空に舞っている火の粉。

「わーい、夜空がきれいです…。でもなんかだか悲しくなってきます…。人のたましいみたいです…」
刹那、風切り音のあとに鳥居の後方で鳴る甲高い乾いた音。
斧が建物の柱に当たる音だ。動死体が武器をなげたのだ。
良く見れば、薄闇のなかで無数の刃物が光っている。

「あわわわ…どうしよう。マリーさんが夜目が利くっていっても限界があるだろうし、
あかねちゃんもたすけないとダメだし…とりあえずはこの草たちを燃やしたらいいのかな?
土地神さまが言ってたみたいに、燃えるものがなくなるほど燃やしちゃえば…」

えへへと笑いながら、鳥居は右手から梅の実くらいの炎の玉を数個、コロコロと生い茂る草むらに転がした。
それはスーパーボールのようにあっちこっちに跳ねながらあたりを燃やすだろう。

371名無しになりきれ:2012/08/26(日) 13:54:13
あかねに引き寄せられる。同時に生還屋が上体を逸らし、
獲物を掴み損ねた動死体がつんのめり、倒れた。
そして目の前に繰り広げられる異様な光景。
まるで自分達の周りだけ世界が光の速さで廻っているようだ。

>「どうなってやがんだ、こりゃあよぉ……!」
>「どっからどう見ても道術や!このままおったらウチら、命を取り込まれるで!!」
>「こりゃ、ヤベえんじゃねえの!?おいオメーら、さっさと……!」

「逃げたら、いつかは捕まっちゃうんです!あいてに背中をみせたままじゃどうしようもない…」
少年の赤色の瞳が石炭のように煌煌と光を放つ。道術による「時の加速」は生命に関わる危機。
それは鳥居にも実感できた。

>「こんなもん自然に出来る訳ない。誰かが意図的に作っとるんや、けど誰が何のために!?」

「敵…。ぼくたちの敵?でもどうしてこんな邪魔を…」
推測するにも確証もなく、憶測も余計な不安を生み出すことだろう。

>「汝、水の眷族なる八又巳頭飯綱よ、汝の名と書の契約において、贄をうけとりて力を貸したまへ」
あかねが印を結びブルーの金貨を弾くと、フーから受け取った禍祓いの水が溢れ出し、疑似太陽へ向かって噴射される。

>「水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝ち、土は水に勝つや!」

「わあ、よくわかんないけどすごいです!水は火に勝ち、火は菌に勝つ?」

>「わーしもた!草が絡まって変なとこ入っ、ぎゃーっ服の下はあかんてー!誰か助けてぇー!」

「えー!?どうしよー…。犬みたいのが噛んでるけど助けるの無理みたいだし…あ!!」
風で消える松明。夜空に舞っている火の粉。

「わーい、夜空がきれいです…。でもなんかだか悲しくなってきます…。人のたましいみたいです…」
刹那、風切り音のあとに鳥居の後方で鳴る甲高い乾いた音。
斧が建物の柱に当たる音だ。動死体が武器をなげたのだ。
良く見れば、薄闇のなかで無数の刃物が光っている。

「あわわわ…どうしよう。マリーさんが夜目が利くっていっても限界があるだろうし、
あかねちゃんもたすけないとダメだし…とりあえずはこの草たちを燃やしたらいいのかな?
土地神さまが言ってたみたいに、燃えるものがなくなるほど燃やしちゃえば…」

えへへと笑いながら、鳥居は右手から梅の実くらいの炎の玉を数個、コロコロと生い茂る草むらに転がした。
それはスーパーボールのようにあっちこっちに跳ねながらあたりを燃やすだろう。

372名無しになりきれ:2012/08/26(日) 14:13:26
>「最悪や……もうお嫁行けへん…………うぅう〜〜〜〜……!」

「……」
じと目であかねの反応をうかがう鳥居。彼は数百年間生きてきた元吸血鬼。
死なない体によって精神は成熟されることもなく人間としての心は奇形とも言える発達をみせていた。
しかし鵺との戦いのなかで、頼光の神気の影響を受けた彼は再び人間の道を歩むこととなり
生への目覚め、痛み、苦しみなどを学習してゆくこととなる。

(いきることはくるしいこと…せつないこと…)
でもそれでよいのかもしれないと、彼は心のどこかで思っていた。
コミュニュケーションこそが人としての唯一の成長の手段なのだから。
たとえ行き先に死が待っていたとしてもそれは自然の摂理。

鳥居の母親は、我が子の命を奪うことは神様でも許さないと称し彼を吸血鬼に変えた。
そんな狂気的な感情を持った母親だが、鳥居はもう一度会いたいと思っていた。
いつかどこかで会えたらと、希望的観測を抱いていたが
そんな思いも、いつかは自分の肉体と一緒に砂のようにきえてしまうのだろう。
そんなむなしさを忘れたいがために繰り返す道化芝居。嘘の現実。

ぬるり…。気がつけば頬に冷たい感触。
いつのまにか頬に擦り寄っていた白蛇の体温は
少年の腫れた頬にじんわりと染み込んでいる。

生還屋は言う。

>「とりあえず……そうだな。暴力女二匹とガキンチョ、オメーらは俺と文官のジジイとやらを探しに行くぞ。
  まっ、オメーらなら俺がいなくても余裕だとは思うけどよ。奴らに襲われたら脇腹ぶん殴ってから、横面ひっぱたいてやりゃいいんだ」

続けて、あかね

>「りょーかいやで生還屋はん。その前にもっ一発だけ引っ叩いてええ?誰が暴力女や、誰が!」

「……」
無言の少年は、そっとあかねを指差し…微笑。



フーの依頼で手習所のジイさんを連れてくることになった冒険者たちは
そんなに迷うこともなく目的地へと近づいている。
しかし、あやしい。中へ、奥へと引っ張り込まれているこの感じ。

>「なーんか、嫌な予感がしやがる」
生還屋もそう感じているらしく言葉を漏らす。鳥居は鼻白んだ表情で…

「それ、やめてください。そういうことを言うから宇宙の電波みたいのが
しゅばばーって集まって悪いことが起き来ちゃうんです。言霊みたいのが…」

松明を突き出し見上げた先には生還屋の顔。彼は自分を、勘が鋭いと語る。
鳥居は小首をかしげる。彼の意識は阿頼耶識にでも通じているのだろうか。
宇宙万有の展開の根源「阿頼耶識」に。

「なんか、すごくホラーな能力なんですけど…。未来予知とかなの?」
にぱーと笑いながらてくてくと夜道を歩む。そのときだった――

373名無しになりきれ:2012/08/26(日) 14:45:07
鳥居はあかねに引き寄せられる。同時に生還屋が上体を逸らし、
獲物を掴み損ねた動死体がつんのめり倒れる。
そして目の前に繰り広げられる異様な光景。
まるで自分達の周りだけ世界が光の速さで廻っているかのようだ。

>「どうなってやがんだ、こりゃあよぉ……!」
>「どっからどう見ても道術や!このままおったらウチら、命を取り込まれるで!!」
>「こりゃ、ヤベえんじゃねえの!?おいオメーら、さっさと……!」

「逃げたら、いつかは捕まっちゃうんです!あいてに背中をみせたままじゃどうしようもない…」
少年の赤色の瞳が石炭のように煌煌と光を放つ。道術による「時の加速」は生命に関わる危機。
それは鳥居にも実感できた。

>「こんなもん自然に出来る訳ない。誰かが意図的に作っとるんや、けど誰が何のために!?」

「敵…。ぼくたちの敵?でもどうしてこんな邪魔を…」
推測するにも確証もなく、憶測も余計な不安を生み出す。
鳥居は眉根を寄せ、ただただ怪訝な顔。

>「汝、水の眷族なる八又巳頭飯綱よ、汝の名と書の契約において、贄をうけとりて力を貸したまへ」
あかねが印を結びブルーの金貨を弾くと、フーから受け取った禍祓いの水が溢れ出し、疑似太陽へ向かって噴射される。

>「水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝ち、土は水に勝つや!」

「わあ、よくわかんないけどすごいです!水は火に勝ち、火は菌に勝つ?」

>「わーしもた!草が絡まって変なとこ入っ、ぎゃーっ服の下はあかんてー!誰か助けてぇー!」

「えー!?どうしよー…。犬みたいのが噛んでるけど助けるの無理みたいだし…あ!!」
風で消える松明。夜空に舞っている火の粉。

「わーい、夜空がきれいです…。でもなんかだか悲しくなってきます…。人のたましいみたいです…」
刹那、風切り音のあとに鳥居の後方で鳴る甲高い乾いた音。
斧が建物の柱に当たる音だ。動死体が武器をなげたのだ。
良く見れば、薄闇のなかで無数の刃物が光っている。

「あわわわ…どうしよう。マリーさんが夜目が利くっていっても限界があるだろうし、
あかねちゃんもたすけないとダメだし…とりあえずはこの草たちを燃やしたらいいのかな?
土地神さまが言ってたみたいに、燃えるものがなくなるほど燃やしちゃえば…」

えへへと笑いながら、鳥居は右手から梅の実くらいの炎の玉を数個、コロコロと生い茂る草むらに転がした。
それはスーパーボールのようにあっちこっちに跳ねながらあたりを燃やすだろう。

「あかねさん、だいじょうぶですか!?
それと道術って誰かが遠くから狙い撃ちしてかけられるものなんですか?
呪いの藁人形みたく髪の毛とかあれば時間差とかでも…。
それか、この場所に前もって誰かが術を仕掛けていたとしたら、
この道を通ることを知っている者は限定されますよね」

とりあえずはこの異常な場所を脱出しなければならない。
しかし地図の順路から外れれば多分迷子になってしまうことだろう。
動死体を殲滅しての強行突破。鳥居にはそれしか考えられなかった。

「とぉりゃーっ!焼き尽くしてやります!ばけものたちめ〜ゆるしませんよ。
マリーさんっあかねちゃんのこととをたのみます!」
鳥居は松明を振り回しながら暴れはじめた。時々口からは炎の神気を吐いて
ちいさい怪獣のようである。

374名無しになりきれ:2012/08/26(日) 20:34:27
            f^^ァ       , イ}
   /^≧x、__>:f⌒{__ノ== '爪´  ,/
     `ー――宀イ:::::::::::::::::::::::ヽ:ゝ<
         / 廴:::::::糞袋::::::::::;:ノヽ
          {   `ヽ、_::::::::::::厂   }
         (>、     `⌒´   ,/^)
           `ー一'⌒ヽ、___ ..ノー'

375名無しになりきれ:2012/08/31(金) 19:13:40
動死体たちを倒すには炎が有効だ。
それは動死体となった操縦士を、あかねの指示で蹴り飛ばした時に
すでに実証済みのこと。
鳥居は無我夢中で神気を帯びた松明を振り回し、叩き、燃やし、屠る。
動死体はグロテスクなダンスを踊りながら人の形をした火柱となる。

376名無しになりきれ:2012/08/31(金) 23:00:57
動死体たちを倒すには炎が有効だ。
そのことは動死体となった操縦士を、鳥居があかねの指示で蹴り飛ばした時にすでに実証済みのこと。
それ故に少年は、無我夢中で神気を帯びた松明を振り回し、動死体を叩き、燃やし、屠る。
周囲に漂う肉の焦げる匂い。夜空に響く断末魔の叫び。
動死体はグロテスクなダンスを踊りながら人の形をした火柱となる。

鳥居の口元には笑みが浮かぶ。
炎によって煌煌と照らされる大地に、無数の敵影。
敵の投擲した短刀が銀色の軌跡を宙に描く。
それを一瞬早く鳥居は飛び退く。

「わ!あなた、ナイフを投げるのお上手ですね。うちのサーカス団にスカウトしたいくらいです」
微苦笑し仰向けに仰け反る。
間一髪。たった今まで鳥居がいた空間を巨大な戦斧が切り裂いている。
そして鳥居の顔が青ざめた。足元から恐怖が這い上がってくる。
炎は敵の姿を浮かび上がらせるとともに、その多すぎる数をも露にしていた。

鳥居は松明を握り締める。
恐怖は去れ。心を怒りに染めろ。

「たあああ!」
敵へ突進せんとする鳥居の前に、マリーが現れた。

>「うぉぉぉぉっぉぉぉっぉぉぉぉ」

「マ、マリーさんっ!!」
鳥居は瞠目した。あかねと鳥居の盾となり、
襲い来る刃を次々と薙ぎ払ってゆくマリーの姿に。

377名無しになりきれ:2012/08/31(金) 23:12:06
動死体たちを倒すには炎が有効だ。
そのことは動死体となった操縦士を、あかねの指示で蹴り飛ばした時にすでに実証済みのこと。
それ故に少年は、無我夢中で神気を帯びた松明を振り回し、迫り来る動死体を叩き、燃やし、屠る。
夜空に響く断末魔の叫び。漂う肉の焼ける臭気。
動死体たちはグロテスクなダンスを踊りながら人の形をした火柱となってゆく。

炎によって、大地は煌煌と照らされていた。
続けて建物の影から吐き出される無数の敵影。
刹那、敵の投擲した短刀が銀色の軌跡を宙に描く。
それを一瞬早く鳥居は飛び退く。

「わあ!あなたはナイフを投げるのお上手ですね。うちのサーカス団にスカウトしたいくらいです」
微苦笑し仰向けに仰け反る。
間一髪。たった今まで鳥居がいた空間を巨大な戦斧が切り裂いている。
そして鳥居は瞠目する。目の前の光景に足元から恐怖が這い上がってくる。
炎は敵の姿を浮かび上がらせるとともに、その多すぎる数をも露にしていた。

鳥居は松明を握り締める。
恐怖は去れ。心を怒りに染めろ。

「たあああ!」
敵の群れへ突進せんとする鳥居。
しかしそこへマリーが現れた。

>「うぉぉぉぉっぉぉぉっぉぉぉぉ」

「マ、マリーさんっ!!」
硬い音が響き渡る。マリーはあかねと鳥居の盾となり、
襲い来る刃から二人を守ってくれたのだ。

378名無しになりきれ:2012/08/31(金) 23:27:02
動死体たちを倒すには炎が有効だ。
そのことは動死体となった操縦士を、あかねの指示で蹴り飛ばした時にすでに実証済みのこと。
それ故に少年は、無我夢中で神気を帯びた松明を振り回し、迫り来る動死体を叩き、燃やし、屠る。
夜空に響く断末魔の叫び。漂う肉の焼ける臭気。
動死体たちはグロテスクなダンスを踊りながら人の形をした火柱となってゆく。

炎によって周囲は煌煌と照らされていた。
燃える彼らを見つめる鳥居の瞳は赤く輝いていた。
その奥に戸惑いを隠しながら。
続けて建物の影から吐き出される無数の敵影。
刹那、敵の投擲した短刀が銀色の軌跡を宙に描く。
それを一瞬早く鳥居は飛び退く。

「わあ!あなたはナイフを投げるのお上手ですね。うちのサーカス団にスカウトしたいくらいです」
微苦笑し仰向けに仰け反る。
間一髪。たった今まで鳥居がいた空間を巨大な戦斧が切り裂いている。
そして鳥居は瞠目する。目の前の光景に足元から恐怖が這い上がってくる。
炎は敵の攻撃を浮かび上がらせるとともに、その多すぎる数をも露にしていた。

鳥居は松明を握り締める。恐怖は去れ。心を怒りに染めろ。
正真正銘、人間の男ならそうするはずだ。

「たあああ!」
咆哮し敵の群れへ突進せんとする鳥居。
しかしそこへマリーが現れた。

>「うぉぉぉぉっぉぉぉっぉぉぉぉ」

「マ、マリーさんっ!!」
硬い音が響き渡る。マリーはあかねと鳥居の盾となり、
襲い来る刃から二人を守ってくれているだ。

379名無しになりきれ:2012/08/31(金) 23:35:54
動死体たちを倒すには炎が有効だ。
そのことは動死体となった操縦士を、あかねの指示で蹴り飛ばした時にすでに実証済みのこと。
それ故に少年は、無我夢中で神気を帯びた松明を振り回し、迫り来る動死体を叩き、燃やし、屠る。
夜空に響く断末魔の叫び。漂う肉の焼ける臭気。
動死体たちはグロテスクなダンスを踊りながら人の形をした火柱となってゆく。

炎によって周囲は煌煌と照らされていた。
燃える彼らを見つめる鳥居の瞳は赤く輝いていた。
その奥に戸惑いを隠しながら。
続けて建物の影から吐き出される無数の敵影。
刹那、敵の投擲した短刀が銀色の軌跡を宙に描く。
それを一瞬早く鳥居は飛び退く。

「わあ!あなたはナイフを投げるのお上手ですね。うちのサーカス団にスカウトしたいくらいです」
微苦笑し再び仰向けに仰け反る。
間一髪。たった今まで鳥居がいた空間を巨大な戦斧が切り裂いている。
そして鳥居は瞠目する。目の前の光景に足元から恐怖が這い上がってくる。
炎は敵の攻撃を浮かび上がらせるとともに、その多すぎる数をも露にしていた。

鳥居は深く呼吸を整えて松明を握り締める。
恐怖は去れ。心を怒りに染めろ。
人間の男ならそうするはずだ。

「たあああ!」
咆哮し敵の群れへ突進せんとする鳥居。
しかしそこへマリーが現れた。

>「うぉぉぉぉっぉぉぉっぉぉぉぉ」

「マ、マリーさんっ!!」
硬い音が響き渡る。マリーはあかねと鳥居の盾となり、
襲い来る刃から二人を守ってくれているだ。
だがそれも長くはもたないだろう。鳥居はあかねに振り返る。

「あかねさんっ!この術を破る方法は…えっ!!?」

380名無しになりきれ:2012/08/31(金) 23:41:07
動死体たちを倒すには炎が有効だ。
そのことは動死体となった操縦士を、あかねの指示で蹴り飛ばした時にすでに体感済みのこと。
それ故に少年は、無我夢中で神気を帯びた松明を振り回し、迫り来る動死体を叩き、燃やし、屠る。
夜空に響く断末魔の叫び。漂う肉の焼ける臭気。
動死体たちはグロテスクなダンスを踊りながら人の形をした火柱となってゆく。

炎によって周囲は煌煌と照らされていた。
燃える彼らを見つめる鳥居の瞳は赤く輝いていた。
その奥に戸惑いを隠しながら。
続けて建物の影から吐き出される無数の敵影。
刹那、敵の投擲した短刀が銀色の軌跡を宙に描く。
それを一瞬早く鳥居は飛び退く。

「わあ!あなたはナイフを投げるのお上手ですね。うちのサーカス団に入団してください!」
微苦笑し再び仰向けに仰け反る。
間一髪。たった今まで鳥居がいた空間を巨大な戦斧が切り裂いている。
そして鳥居は瞠目する。目の前の光景に足元から恐怖が這い上がってくる。
炎は敵の攻撃を浮かび上がらせるとともに、その多すぎる数をも露にしていた。

鳥居は深く呼吸を整えて松明を握り締める。
恐怖は去れ。心を怒りに染めろ。
人間の男ならそうするはずだ。

「たあああ!」
咆哮し敵の群れへ突進せんとする鳥居。
しかしそこへマリーが現れた。

>「うぉぉぉぉっぉぉぉっぉぉぉぉ」

「マ、マリーさんっ!!」
硬い音が響き渡る。マリーはあかねと鳥居の盾となり、
襲い来る刃から二人を守ってくれているだ。
だがそれも長くはもたないだろう。鳥居はあかねに振り返る。
目には目を、歯に歯を、道術には道術を…

「あかねさんっ!この術を破る方法は…えっ!!?」

381名無しになりきれ:2012/09/01(土) 01:23:51
あかねは草木に拘束されていた。周辺を燃やす炎は徐々にあかねに這いよろうとしていた。
鳥居は目を見開いた。草木が炎で焼かれているということはつまり…。

「ボクのミスだ!ボクが安易に、辺りを炎で照らそうとしたからあかねさんが…。
うわああああんっごめんなさいっ!」
気がつけば鳥居は地を蹴っていた。
飛び出すと同時に落ちている刃物を拾い上げあかねの元へと疾駆。
体を反転させあかねの四肢を拘束する草木の根元を斬断する。
そして空の円陣をねめつけると、まだ地面で燻っている火の玉たちに合図を送り…

「紅蓮の炎よ。日天の輝きよ。天の十字となりて我に力を!」

382名無しになりきれ:2012/09/01(土) 01:37:46
あかねは草木に拘束されていた。周辺を燃やす炎は徐々にあかねに這いよろうとしていた。
鳥居は目を見開いた。草木が炎で焼かれているということはつまり…。

「ボクのミスだ!ボクが安易に、辺りを炎で照らそうとしたからあかねさんが…。
うわああああんっごめんなさいっ!」
気がつけば鳥居は地を蹴っていた。
飛び出すと同時に落ちている刃物を拾い上げあかねの元へと疾駆。
体を反転させあかねの四肢を拘束する草木の根元を斬断する。
そして空の円陣をねめつけると、まだ地面で燻っている火の玉たちに合図を送り…

「紅蓮の炎よ。朱雀の宿星よ。我に力を!
天の十字となりて、敵を滅ぼせ!!」

383名無しになりきれ:2012/09/01(土) 02:53:45
あかねは草木に拘束されていた。周辺を燃やす炎は徐々にあかねに這いよろうとしていた。
鳥居は目を見開いた。草木が炎で焼かれているということはつまり…。

「ボクのミスです!ボクが安易に、辺りを炎で照らそうとしたからあかねさんが…。
うわああああんっごめんなさいっ!」
気がつけば鳥居は地を蹴っていた。
飛び出すと同時に落ちている刃物を拾い上げあかねの元へと疾駆。
体を反転させあかねの四肢を拘束する草木の根元を斬断する。
そしてよたよたとふらつくあかねに肩を貸しながら
空の円陣をねめつけると、拾った枯れ枝を炎の神気で燃やし…

「紅蓮の炎よ。朱雀の宿星よ。我に力を!
天の十字となりて、敵を滅ぼせ!」
燃やした枝を宙に放り投げると、それは炎の粒(火の粉)となって飛んでゆき
十字の形を描きながら空の円陣にへばり付かんとする。

鳥居は術は使えない。しかし円陣の力を利用し、
母親から聞いていた占星術のうろ覚えの知識と見よう見まねで適当に術を考えたのだった。

「グランドクロスが生じたとき、世界に大災厄が訪れるとお母さんから聞きました。
だから炎の神気の十字架を作って、円陣が造り出しているであろうこの世界を崩壊させます」

384名無しになりきれ:2012/09/09(日) 00:23:55
>「空間を反転させて脱出口を作るとはオミゴト!

「えぇっ!?私ってこんなこともできたんだ。すごーい」
不思議空間に出現した謎の穴を見つめ、ルナ・チップルは目をぱちくりさせた。
反転魔法の思わぬ効果に自分自身が驚いていた。
リリィの感嘆の声と拍手を浴びながら、そーっと穴に近づいて行く。


>「ハイクを読め。 我が妖刀ヘイボンでカイシャクしてやる」
>「いやいやいや、本人の話では魔法学園の生徒らしいし、それは勘弁してください。
 ユリさんも、学園に来て早々闇払いのお世話になるのは困るだろ?ここは穏便に」

385名無しになりきれ:2012/09/11(火) 21:41:02
GM:無し
NPC:共有可
名無し参加:なし
決定リール:なし
レス順:投下順(変更も可)
四日ルール適用。
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
備考:とりあえずこんな感じでいこうかと思います
参加者のみなさん、よろしくお願いいたします

386名無しになりきれ:2012/09/11(火) 21:48:39
この作品は、ペルソナシリーズ(主にP2とP3とのクロスオーバーです
を通して独自解釈をしてオリジナルストーリーで展開していきます。

※設定(独自解釈・オリ設定含みます)

○珠間瑠市
 本作のメインとなる場所。
 海に面した人口128万の政令指定都市。
 『蓮華台』……七夕川の北に位置している。本丸公園、アラヤ神社、七姉妹学園などがある閑静な高級住宅地。
 『平坂区』……下町情緒あふれる街となっており、春日山高校などがある。
 『夢崎区』……珠間瑠市1番の繁華街。派手さと軽薄さが売り物といった施設が多い。又、カジノや風俗街などがある地域で、
        割と犯罪行為が多かったが、監視カメラの増設などで、一時期よりは減っている。
 『青葉区』……強いて言えば大人の街。テレビ局や出版社などの施設が多く、野外音楽堂がある青葉公園がある。
 『港南区』……空の科学館や恵比寿海岸など観光地が多く、観光シーズンは賑わいを見せる。
 『巌戸台港区』……旧鳴海区。


○巌戸台港区
 正式には、珠間瑠市巌戸台港区。
 かつては『鳴海区』と言われていたが、1999年に起こった異変により壊滅的被害を受ける。
 復興をした際に現在の『巌戸台港区』と言う名称へと変更された。

387名無しになりきれ:2012/09/11(火) 21:55:11
この作品は、ペルソナシリーズ(主にP2とP3とのクロスオーバーです)を通して
独自解釈をしてオリジナルストーリーで展開していきます。

※設定(独自解釈・オリ設定含みます)

○珠間瑠市
 本作のメインとなる場所。
 海に面した人口128万の政令指定都市。
 『蓮華台』……七夕川の北に位置している。本丸公園、アラヤ神社、七姉妹学園などがある閑静な高級住宅地。
 『平坂区』……下町情緒あふれる街となっており、春日山高校などがある。
 『夢崎区』……珠間瑠市1番の繁華街。派手さと軽薄さが売り物といった施設が多い。
        又、カジノや風俗街などがある地域で、割と犯罪行為が多かったが、
        監視カメラの増設などで、一時期よりは減っている。
 『青葉区』……強いて言えば大人の街。テレビ局や出版社などの施設が多く、野外音楽堂がある青葉公園がある。
 『港南区』……空の科学館や恵比寿海岸など観光地が多く、観光シーズンは賑わいを見せる。
 『巌戸台港区』……旧鳴海区。

○巌戸台港区
 正式には、珠間瑠市巌戸台港区。
 かつては『鳴海区』と言われていたが、1999年に起こった異変により壊滅的被害を受ける。
 復興をした際に現在の『巌戸台港区』と言う名称へと変更された。

○月光館学園
 巌戸台港区から少しだけ離れ、海面に浮かぶ人工島にある小中高一貫の私立学園。
 校舎は新しく見えるが、人工島であるポートアイランドが出来た際に、現在の新校舎へと移転している。
 月光館学園自体の設立は1982年である。
 桐条グループが出資のため、各種設備はかなり充実していた。
 学力・スポーツの面において珠間瑠市周辺でも、かなりのレベルを誇る名門校。

○七姉妹学園
 珠間瑠市蓮華台にある中高一貫の学園。通称はセブンス。
 学校の校章には、7つの星がデザインされており、校舎の大時計、生徒の持つエンブレムなどにも施されている。
 時計台をシンボルとした洋風の校舎がオシャレだと言うことで、人気が高い。
 バリバリの進学校と言う訳でもなく、月光館学園から言うと少しだけランクは低い。

○春日山高校
 珠間瑠市平坂区にあ男子高校。通称はカス高
 札付きの不良や、成績に問題がある者ばかりが通う学校であり、評判は最悪と言っていい。
 隣の区にある七姉妹学園と、何かと比較される。月光館学園は同じ市内にあるが、
 距離が離れすぎているため、比べられることはないようだ。

388名無しになりきれ:2012/09/11(火) 22:02:57
この作品は、ペルソナシリーズ(主にP2とP3)を通して
独自解釈のオリジナルストーリーで展開していきます。

※設定(独自解釈・オリ設定含みます)

○珠間瑠市
 本作のメインとなる場所。
 海に面した人口128万の政令指定都市。
 『蓮華台』……七夕川の北に位置している。本丸公園、アラヤ神社、七姉妹学園などがある閑静な高級住宅地。
 『平坂区』……下町情緒あふれる街となっており、春日山高校などがある。
 『夢崎区』……珠間瑠市1番の繁華街。派手さと軽薄さが売り物といった施設が多い。
         又、カジノや風俗街などがある地域で、割と犯罪行為が多かったが、
         監視カメラの増設などで、一時期よりは減っている。
 『青葉区』……強いて言えば大人の街。テレビ局や出版社などの施設が多く、野外音楽堂がある青葉公園がある。
 『港南区』……空の科学館や恵比寿海岸など観光地が多く、観光シーズンは賑わいを見せる。
 『巌戸台港区』……旧鳴海区。

○巌戸台港区
 正式には、珠間瑠市巌戸台港区。
 かつては『鳴海区』と言われていたが、1999年に起こった異変により壊滅的被害を受ける。
 復興をした際に現在の『巌戸台港区』と言う名称へと変更された。

○月光館学園
 巌戸台港区から少しだけ離れ、海面に浮かぶ人工島にある小中高一貫の私立学園。
 校舎は新しく見えるが、人工島であるポートアイランドが出来た際に、現在の新校舎へと移転している。
 月光館学園自体の設立は1982年である。
 桐条グループが出資のため、各種設備はかなり充実していた。
 学力・スポーツの面において珠間瑠市周辺でも、かなりのレベルを誇る名門校。

○七姉妹学園
 珠間瑠市蓮華台にある中高一貫の学園。通称はセブンス。
 学校の校章には、7つの星がデザインされており、校舎の大時計、生徒の持つエンブレムなどにも施されている。
 時計台をシンボルとした洋風の校舎がオシャレだと言うことで、人気が高い。
 バリバリの進学校と言う訳でもなく、月光館学園から言うと少しだけランクは低い。

○春日山高校
 珠間瑠市平坂区にある高校。通称はカス高
 札付きの不良や、成績に問題がある者ばかりが通う学校であり、評判は最悪と言っていい。
 隣の区にある七姉妹学園と、何かと比較される。月光館学園は同じ市内にあるが、
 距離が離れすぎているため、比べられることはないようだ。

GM:無し
NPC:共有可
名無し参加:なし
決定リール:なし
レス順:投下順(変更も可)
四日ルール適用。
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
備考:とりあえずこんな感じでいこうかと思います。
参加者募集中です。よろしくお願いいたします。

389名無しになりきれ:2012/09/13(木) 00:12:22
鳥居が生み出した炎の十字架は、空に浮かぶ円陣に直撃した。
手ごたえはあった。薄氷が割れるような音がした。たしかに円陣は破壊された。
予定では、これで皆が生き残れるはずだった。

しかし―

>「世界ぶっ壊すて……だって、『まだウチらもその世界の中にいる』やないの!!」
>「……おいおい何やったんだよガキンチョ!さっきより『もっとヤバく』なってんぞ!」



轟音。鳥居はびくんとなって耳をふさいだ。
カタカタ震えながら空を見ると、空中の円陣は、
外周から中心に向けて火柱を落とし続けている。

390名無しになりきれ:2012/09/13(木) 22:34:35
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http://www.youtube.com/watch?v=HfAhZK_Zo8k

391名無しになりきれ:2012/09/13(木) 22:35:40
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http://www.youtube.com/watch?v=HfAhZK_Zo8k

392名無しになりきれ:2012/09/22(土) 12:23:49
ユリは夢見石が本物か調べるために、リリに念を送って欲しいと頼んだ。
本物なら、石は思念を現実化する古代兵器の可能性が高いのだそうだ。

「じゃあ、もしかしたらこの石が古代兵器ってこと?」

393名無しになりきれ:2012/09/22(土) 12:39:11
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394名無しになりきれ:2012/09/28(金) 03:40:51
>「見つけたでー! 犯人や!」
>「ちゃいますって! 犯人と思しき人物のデータ渡されとりますやん!」

「ああ?だれやねん!おまえは誰やねん!」

>「犯人は現場に戻ると言う法則がある……。もう少し待てば現れるはずだ!」
>「おおそうか!」

「だからおまえは何者やねん!んな都合のいい話あるわけないやろ!」

がやがやがや。現場にはたくさんの野次馬たち。

「お!みてみい。わいの勘が大当たりや。
あいつや!あのスーツのメガネが放火犯や!」
警部の目が光る。

「放火犯逮捕やー!」
警部が指差した人物を警官隊が一斉にもみくちゃにする。

「うぐあ!なんや?わしは通りすがりのタダのテロリストや!放火魔とちゃうーっ!!」

「なんやて!?」

「警部。こいつのポケットから小型の核ミサイルが見つかりましたで」

「なっ!小型の核ミサイル?逮捕や!そんなもんもってんの普通に逮捕や!」

「逮捕やー!」

国際テロリストを逮捕した警察はよろこんで帰っていった。
夜も更け、現場に残ったのは変態紳士たちのみ。

「ほんとに現れるずらか?」

「信じて待つしかないなあ」
半焼した喫茶店の一階。
変態紳士たちはむしゃむしゃと何かを食べている。
それは誕生日ケーキだった。奇しくも今日はパイオツの誕生日。

「まさか、半焼した喫茶店で誕生日を迎えるなんて夢にも思わなんだ」
しみじみと語るパイオツ。

「鳥の足もあるぞ。みなで食べるのじゃ」
カフエが焼いてくれた鳥の足をむしゃむしゃとみなで貪る。
カチカチカチと時計の針は音を立てて時を刻む。

「来ぬの。放火魔は。
そうじゃユグドラどの。いっしょにお風呂に入らぬか?背中を流しやっこしようぞ」
カフエがユグドラを誘う。

「あ、そうしたほうがいいっすよ。
ここは俺たちが見張っているので安心してください」と巻貝。
カフエはぽいぽいと服を脱いでお風呂に入ってゆく。
それを見てニヤケ顔を隠しているのは変態おっさんのスカーとパイオツ。

「あのーおれたちは外を見てくるずら。ユグドラさんとカフエさん、二人は
ゆっくりとお風呂に入ってろずら^^ゆっくりとずら」
ユグドラがお風呂に入れば、窓に張り付いた二人のおっさんの顔がはっきりと見えることだろう。

395名無しになりきれ:2012/09/29(土) 03:03:18
左右から迫る巨大な影。鳥居は死を覚悟した。
しかし、もつれ合う巨体。震える地面。
マリーの目にも止まらぬ剣捌きで、鳥居は窮地から救われた。

>「よ、よっしゃ!行くぞ!おいガキンチョ、へばってんじゃねえ!」

「も、もうダメかもです。ぼくのことはかまわずに、先に…」
弱音を吐く鳥居を、生還屋がひょいと持ち上げ疾駆する。

>「鳥居はんよう頑張ったで、あともうちょいだけ頑張りぃ!」

「あかねさん…ごめんなさい。マリーさんも……」
そして、朦朧とする意識で辿り着いたのは所謂安全圏。

>「鳥居はん、飲んどき。だいぶ楽になると思うで」
差し出された水をくぴくぴと飲みながら、鳥居は円陣に視線を這わせる。
どうやらここは、外界からの脅威とは無縁らしい。
それから暫く歩いていくと、前方に人影があった。
その正体は、フーの言っていたフェイ老人、その人であった。
彼は木造の、そう大きくない建物を背にして、微動だにせず立っていた。

396名無しになりきれ:2012/09/29(土) 03:30:47
左右から迫る巨大な影。鳥居は死を覚悟した。
しかし、もつれ合う巨体。震える地面。
マリーの目にも止まらぬ剣捌きで、鳥居は窮地から救われた。

>「よ、よっしゃ!行くぞ!おいガキンチョ、へばってんじゃねえ!」

「も、もうダメかもです。ぼくのことはかまわずに、先に…」
弱音を吐く鳥居を、生還屋がひょいと持ち上げ疾駆する。

>「鳥居はんよう頑張ったで、あともうちょいだけ頑張りぃ!」

「あかねさん…ごめんなさい。マリーさんも……」

そして、朦朧とする意識で辿り着いたのは安全圏。

>「鳥居はん、飲んどき。だいぶ楽になると思うで」
差し出された水をくぴくぴと飲みながら、鳥居は円陣に視線を這わせる。
どうやらここは、外界からの脅威とは無縁らしい。
それから暫く歩いていくと、前方に人影があった。
その正体は、フーの言っていたフェイ老人。
彼は木造の、そう大きくない建物を背にして、微動だにせず立っていた。

まず初めに生還屋が口を開く。
フェイはフーの名を聞くと一旦は警戒心を解いたものの
彼の元へは行けないと頑なに拒絶する。

>「が、主らに付いていく事は出来ん。主らがそうであるように、儂にも『事情』がある」
>「そんな固い事言わんと、一緒に来てえな!うちらも割と深刻な事情があるんや!あ、清国だけに、なんちゃって」

「そうなのです。ぼくたちは遺跡の調査を依頼されて清国に招聘された日本の冒険者なのです。
ぼく個人としては、すごく遺跡をみるのが楽しみでここに来ました。
それはどうしてかって、遺跡というのは人類の宝でしょう?延々と連なる人の生きた証です」

397名無しになりきれ:2012/09/29(土) 03:58:24
左右から迫る巨大な影。鳥居は死を覚悟した。
しかし、もつれ合う巨体。震える地面。
マリーの目にも止まらぬ剣捌きで、鳥居は窮地から救われた。

>「よ、よっしゃ!行くぞ!おいガキンチョ、へばってんじゃねえ!」

「も、もうダメかもです。ぼくのことはかまわずに、先に…」
弱音を吐く鳥居を、生還屋がひょいと持ち上げ疾駆する。

>「鳥居はんよう頑張ったで、あともうちょいだけ頑張りぃ!」

「あかねさん…ごめんなさい。マリーさんも……」

そして、朦朧とする意識で辿り着いたのは安全圏。

>「鳥居はん、飲んどき。だいぶ楽になると思うで」
差し出された水をくぴくぴと飲みながら、鳥居は円陣に視線を這わせる。
どうやらここは、外界からの脅威とは無縁らしい。
それから暫く歩いていくと、前方に人影があった。
その正体は、フーの言っていたフェイ老人。
彼は木造の、そう大きくない建物を背にして、微動だにせず立っていた。

まず初めに生還屋が口を開く。
フェイはフーの名を聞くと一旦は警戒心を解いたものの
彼の元へは行けないと頑なに拒絶する。

>「が、主らに付いていく事は出来ん。主らがそうであるように、儂にも『事情』がある」
>「そんな固い事言わんと、一緒に来てえな!うちらも割と深刻な事情があるんや!あ、清国だけに、なんちゃって」

「そうなのです。ぼくたちは遺跡の調査を依頼されて清国に招聘された日本の冒険者なのです。
ぼく個人としては、すごく遺跡をみるのが楽しみでここに来ました。
なぜなら遺跡というのは人類の宝でしょう?延々と連なる人の生きた証ですから」

>「っ、下だ!やべえぞ!」

「わあ!!」
一瞬、反応が遅れて足をとられる。靴の底がぎざぎざに裂け鳥居はすっ転ぶ。

>「やっぱ、こういう事かよ……!おいコラ、クソジジイ!なんだってこんな真似しやがる!
  呪いのせいで気でも狂いやがったか!」
>「……まさか。儂はまともじゃよ。正気かどうかと問われると、ちと悩まねばならんがの」

(…正気じゃない?なぜ?)

>「例えば…………あん中に守らなあかん物があったり、なんて」
あかねは犬神と同化し、建物へと走ってゆく。

398名無しになりきれ:2012/09/29(土) 04:04:46
左右から迫る巨大な影。鳥居は死を覚悟した。
しかし、もつれ合う巨体。震える地面。
マリーの目にも止まらぬ剣捌きが、鳥居は窮地から救ったのだ。

>「よ、よっしゃ!行くぞ!おいガキンチョ、へばってんじゃねえ!」

「も、もうダメかもです。ぼくのことはかまわずに、先に…」
弱音を吐く鳥居を、生還屋がひょいと持ち上げ疾駆する。

>「鳥居はんよう頑張ったで、あともうちょいだけ頑張りぃ!」

「あかねさん…ごめんなさい。マリーさんも……」

そして、朦朧とする意識で辿り着いたのは安全圏。

>「鳥居はん、飲んどき。だいぶ楽になると思うで」
差し出された水をくぴくぴと飲みながら、鳥居は円陣に視線を這わせる。
どうやらここは、外界からの脅威とは無縁らしい。
それから暫く歩いていくと、前方に人影があった。
その正体は、フーの言っていたフェイ老人。
彼は木造の、そう大きくない建物を背にして、微動だにせず立っていた。

まず初めに生還屋が口を開く。
フェイはフーの名を聞くと一旦は警戒心を解いたものの
彼の元へは行けないと頑なに拒絶する。

>「が、主らに付いていく事は出来ん。主らがそうであるように、儂にも『事情』がある」
>「そんな固い事言わんと、一緒に来てえな!うちらも割と深刻な事情があるんや!あ、清国だけに、なんちゃって」

「そうなのです。ぼくたちは遺跡の調査を依頼されて清国に招聘された日本の冒険者なのです。
ぼく個人としては、すごく遺跡をみるのが楽しみでここに来ました。
なぜなら遺跡というのは人類の宝でしょう?延々と連なる人の生きた証ですから」

>「っ、下だ!やべえぞ!」

「わあ!!」
一瞬、反応が遅れて足をとられる。靴の底がぎざぎざに裂け鳥居はすっ転ぶ。

>「やっぱ、こういう事かよ……!おいコラ、クソジジイ!なんだってこんな真似しやがる!
  呪いのせいで気でも狂いやがったか!」
>「……まさか。儂はまともじゃよ。正気かどうかと問われると、ちと悩まねばならんがの」

(…正気じゃない?どうして?)

>「例えば…………あん中に守らなあかん物があったり、なんて」
あかねは推理した言葉をフェイに投げかけたあと
犬神と同化し、建物へと走ってゆく。

399名無しになりきれ:2012/09/29(土) 04:16:19
左右から迫る巨大な影。鳥居は死を覚悟した。
しかし、もつれ合う巨体。震える地面。
マリーの目にも止まらぬ剣捌きが、鳥居は窮地から救ったのだ。

>「よ、よっしゃ!行くぞ!おいガキンチョ、へばってんじゃねえ!」

「も、もうダメかもです。ぼくのことはかまわずに、先に…」
弱音を吐く鳥居を、生還屋がひょいと持ち上げ疾駆する。

>「鳥居はんよう頑張ったで、あともうちょいだけ頑張りぃ!」

「あかねさん…ごめんなさい。マリーさんも……」

そして、朦朧とする意識で辿り着いたのは安全圏。

>「鳥居はん、飲んどき。だいぶ楽になると思うで」
差し出された水をくぴくぴと飲みながら、鳥居は円陣に視線を這わせる。
どうやらここは、外界からの脅威とは無縁らしい。
それから暫く歩いていくと、前方に人影があった。
その正体は、フーの言っていたフェイ老人。
彼は木造の、そう大きくない建物を背にして、微動だにせず立っていた。

まず初めに生還屋が口を開く。
フェイはフーの名を聞くと一旦は警戒心を解いたものの
彼の元へは行けないと頑なに拒絶する。

>「が、主らに付いていく事は出来ん。主らがそうであるように、儂にも『事情』がある」
>「そんな固い事言わんと、一緒に来てえな!うちらも割と深刻な事情があるんや!あ、清国だけに、なんちゃって」

「そうなのです。ぼくたちは遺跡の調査を依頼されて清国に招聘された日本の冒険者なのです。
ぼく個人としては、すごく遺跡をみるのが楽しみでここに来ました。
なぜなら遺跡というのは人類の宝でしょう?延々と連なる人の生きた証ですから」

>「っ、下だ!やべえぞ!」

「わあ!!」
一瞬、反応が遅れて足をとられる。靴の底がぎざぎざに裂け鳥居はすっ転ぶ。

>「やっぱ、こういう事かよ……!おいコラ、クソジジイ!なんだってこんな真似しやがる!
  呪いのせいで気でも狂いやがったか!」
>「……まさか。儂はまともじゃよ。正気かどうかと問われると、ちと悩まねばならんがの」

(…たしかに、いきなりこんなことをするなんて正気の沙汰じゃありません)

>「例えば…………あん中に守らなあかん物があったり、なんて」
あかねは推理した言葉をフェイに投げかけたあと
犬神と同化し、建物へと走ってゆく。

400名無しになりきれ:2012/09/29(土) 04:53:44
「フェイ老人。いったいこれはどういうことなのですか?
あかねさんの言ったように何かを守るために円陣を張っていたのなら
フーさんの使者であると知ったぼく達を、なぜ再び攻撃を仕掛けてくるのです?
それとフーさんが、もしも貴方が動けないことを分かっていて
僕たちを差し向けたとしたら、それは彼にも問題がありますね。
もしかしたら実は仲違いしているのか、
それともグルになって冒険者たち全員を貶めようとしているのか。
はっきり言えば、僕たちは誰の味方でもないし、敵でもない。
それを敵と貴方が勝手に決め付けるのは、まったくもってナンセンスなことなのです」

言い終えると鳥居はフェイに向かって鞭を放つ。
老人の両足を拘束して、あかねを援護するつもりだ。
と同時に再び地面の円陣から突き出してくる無数の槍。
殺傷能力は低いようだが、小さい子供にとってそれは脅威だ。
やわらかい腹部。首筋などを傷つけ細胞組織を破壊する。

「…うっ…ぷぷ」
鳥居の肉体に再び訪れる死。
しかしその身体が動死体のごとく強靭さを増してゆくことに
フェイは気付くことだろう。

【フェイを鞭で拘束しようとする。鞭は普通の鞭なので破壊も可】
【槍に串刺しになりながら動死体化】

401名無しになりきれ:2012/09/29(土) 05:07:10
「フェイ老人。いったいこれはどういうことなのですか?
あかねさんの言ってたように何かを守るために円陣を張っていたのなら
フーさんの使者であると知ったぼく達に、なぜ再び攻撃を仕掛けてくるのです?
それとフーさんが、もしも貴方が動けないことを分かっていて
僕たちを差し向けたとしたら、それは彼にも問題がありますね。
実は仲違いしているのか、それともグルになって冒険者たち全員を貶めようとしているのか。
はっきり言えば、僕たちは誰の味方でもないし、敵でもないです。
それを貴方が、勝手に敵と決め付けるのは、まったくもってナンセンスなことなのではないのでしょうかっ」

言い終えると鳥居はフェイに向かって鞭を放つ。
老人の両足を拘束して、あかねを援護するつもりだ。
と同時に再び地面の円陣から突き出してくる無数の槍。
殺傷能力は低いようだが、小さい子供にとってそれは脅威だ。
やわらかい腹部。首筋などを傷つけ細胞組織を破壊する。

「…うっ…ぷぷ」
首筋から流れ出した血が幾条もの筋を描き、衣服を深い色に染め上げる。
円陣に滴り落ちる鮮血。鳥居の肉体に再び訪れる死。
しかしその身体が動死体のごとく強靭さを増してゆくことにフェイは気付くことだろう。

【フェイを鞭で拘束しようとする。鞭は普通の鞭なので破壊も可】
【槍に串刺しになりながら動死体化】

402名無しになりきれ:2012/10/03(水) 23:10:21
名前:ハルマナ・マルケット
性別:男
種族:
年齢:
髪型:
瞳色:
容姿:
性格:
職業:
能力:
備考:

403名無しになりきれ:2012/10/03(水) 23:13:25
名前:
性別:
種族:
年齢:
髪型:
瞳色:
容姿:
性格:
職業:
能力:
備考:

404名無しになりきれ:2012/10/11(木) 22:12:52
ダッて走ってきたリリィはまるで電光石火。ルナに体当たりをくらわし
右手を振り下ろすと持っていたカドゥケウスの杖を叩き落とす。


リリィがものすごい剣幕でルナを怒るのは友達を大切に思っているから。
それはわかっていた。
でも、やっと打ち解けてきたササミの頼みごとを無碍にすることもできない。
とうかなんというか…。この杖を持っていると偉いものになった気がするのだ。

ユリは夢見石に意識を集中している。
そして、夢見石の素晴らしさなどを、みんなに説明してくれた。


人が夢をみると書いて「儚い」

405名無しになりきれ:2012/10/12(金) 22:18:42
ダッて走ってきたリリィはまるで電光石火。ルナに体当たりをくらわし
右手を振り下ろすと持っていたカドゥケウスの杖を叩き落とす。
ルナは一瞬の出来事に座り込んで呆けていた。
どうしたのリリィ?どうしてそんなに怒っているの?どうしてそんなに悲しそうなの?
リリィの言うことには、分からないアイテムを使ってしまうと
呪われてしまったり、魂を奪われてしまったりするのだそうだ。

>「ルナちゃん、よかったらこの杖、フリード君に氷漬けにしてもらってから持ち歩くのはどうかな?
 ハンカチで持てばそんなに冷たくないよ、きっと」

「……わかったわ。じゃあ、お願いフリード」
フリードに視線を送り、ルナは落ちている杖をつんつんと指差した。

>「で、でも!心配してくれてありがとね、ルナちゃん。
 左手はまだ完治してないけど、保健室でちゃんと治療を受けるから大丈夫だよ」

「うん。おともだちのことを心配するのは正しいことだもん。
ぜったいで、たしかで、安心していられることなんだもん」
胸の奥底が、ふわっと暖かくなる。
リリィがものすごい剣幕でルナを怒るのは友達を大切に思っているから。

一方のユリは、夢見石に意識を集中していた。
そして、ルナに感謝したあと、夢見石の素晴らしさなどを、みんなに説明してくれた。

>「この夢見石は私が頂戴していきますが、学園の生徒と偽って同行していたシツレイもある事です。
 1人1つまで、夢見石の力で叶う範囲なら願いを叶えてあげましょう。
 願いが無いならそれでも結構、私はお先にシツレイいたします」
>「別にいいですけど・・・・願いは自分で叶えなければ意味が無いものですし
 でも出来るならば人間としておかしくない背の高さが欲しいです」

「あ、じゃあ私は…神隠しにあって行方不明になっちゃったお兄ちゃんに会いたい!」
それはルナの切実な願いだった。あの日、兄が消えてしまった日から、
ルナの家族はおかしくなってしまったのだ。
あの日に時間を捲き戻せたら、ルナはかくれんぼなんてしない。
ルナを探しにいったまま、兄は帰って来なくなってしまったのだから。

406名無しになりきれ:2012/10/12(金) 23:29:02
ダッて走ってきたリリィはまるで電光石火。ルナに体当たりをくらわし
右手を振り下ろすと持っていたカドゥケウスの杖を叩き落とす。
ルナは一瞬の出来事に座り込んで呆けていた。
どうしたのリリィ?どうしてそんなに怒っているの?どうしてそんなに悲しそうなの?
子犬のような顔でリリィを見上げる。彼女の言うことには、分からないアイテムを使ってしまうと
呪われてしまったり、魂を奪われてしまったりするのだそうだ。

>「ルナちゃん、よかったらこの杖、フリード君に氷漬けにしてもらってから持ち歩くのはどうかな?
 ハンカチで持てばそんなに冷たくないよ、きっと」

「……わかったわ。じゃあ、お願いフリード」
フリードに視線を送り、ルナは落ちている杖をつんつんと指差した。

>「で、でも!心配してくれてありがとね、ルナちゃん。
 左手はまだ完治してないけど、保健室でちゃんと治療を受けるから大丈夫だよ」

「うん。おともだちのことを心配するのは正しいことだもん。
ぜったいで、たしかで、安心していられることなんだもん」
胸の奥底が、ふわっと暖かくなる。
リリィがものすごい剣幕でルナを怒るのは友達を大切に思っているからなのだ。

一方のユリは、夢見石に意識を集中していた。
そしてルナに感謝したあと、夢見石の素晴らしさなどをみんなに説明してくれた。

>「この夢見石は私が頂戴していきますが、学園の生徒と偽って同行していたシツレイもある事です。
 1人1つまで、夢見石の力で叶う範囲なら願いを叶えてあげましょう。
 願いが無いならそれでも結構、私はお先にシツレイいたします」
>「別にいいですけど・・・・願いは自分で叶えなければ意味が無いものですし
 でも出来るならば人間としておかしくない背の高さが欲しいです」

「あ、じゃあ私は…神隠しにあって行方不明になっちゃったお兄ちゃんに会いたい!」
それはルナの切実な願いだった。あの日、兄が消えてしまった日から、
ルナの家族はおかしくなってしまったのだ。
あの日に時間を捲き戻せたら、ルナはかくれんぼなんてしない。
ルナを探しにいったまま、兄は帰って来なくなってしまったのだから。

>「そういえばルナ、あんた穴から出た後「頑張ってユリ」って親指を突き出してやーしたな。まさか…」

「あの…えっと、それには大した意味なんてないの。
ユリが夢見石を握ってがんばってたから、反射的に応援しちゃった。
夢見石って兵器なのかもだけど、実際問題、ユリはカエルとかスライムを出しただけだし…。
そりゃ七不思議的なことをやられちゃったら困るけど、ユリはそんな悪いこじゃないよね?」

407名無しになりきれ:2012/10/23(火) 21:34:49
その身に鉄槍を受けた鳥居は、串に刺さった団子のように仰向けに浮いていた。
肌の色が鮮烈なほどに白い。黒い髪が微かに揺れている。
その目は閉じられており、唇だけが血のように赤い。

フェイの言葉に、すっと鳥居は目を開く。すると赤い光を放つ瞳が現れた。
目尻と唇が、きゅうっと吊りあがれば口もとに浮かぶは魔性の笑み。

と、マリーが鳥居をコートで包んで、振り回す。

>「……させぬよ、それだけは」

「あれえー」
鳥居はマリーに投げ飛ばされた。
直後、眼前に骨張ったフェイが迫り、突き出された彼の前腕が鳥居の石頭と激突。
ぱきん――とフェイの左腕の折れる音が、鳥居の耳朶を打つ。
(この人…、身を挺して…)
フェイと重なるように倒れこんだ鳥居は、そのままでんぐり返しで
ころころと門の方角に転がってゆく。
フェイの動きで、あの門のむこうがわに、
とてつもなく大切なものがあるということが推測できたからだ。
普通に説得できないのなら、弱みを握って強請る…それしかない。

408名無しになりきれ:2012/10/24(水) 20:08:29
その身に鉄槍を受けた鳥居は、串に刺さった団子のように仰向けに浮いていた。
肌の色が鮮烈なほどに白い。黒い髪が微かに揺れている。
その目は閉じられており、唇だけが血のように赤い。

フェイの言葉に、すっと鳥居は目を開く。すると赤い光を放つ瞳が現れた。
目尻と唇が、きゅうっと吊りあがれば口もとに浮かぶは魔性の笑み。

と、マリーが鳥居をコートで包んで、振り回す。

>「……させぬよ、それだけは」

「あれえーーー」
鳥居はマリーに投げ飛ばされた。
直後、眼前に骨張ったフェイが迫り、突き出された彼の前腕が鳥居の石頭と激突。
ぱきん――とフェイの左腕の折れる音が、鳥居の耳朶を打つ。
(この人…、身を挺して…)
フェイと重なるように倒れこんだ鳥居は、そのままでんぐり返しで
ころころと門の方角に転がってゆく。
フェイの動きで、あの門のむこうがわに、
とてつもなく大切なものがあるということが推測できたからだ。
彼を説得するためには、あかねが狙ったように
フェイの「事情」を知らなければならない。
彼のことを理解しなければダメなのだ。

409名無しになりきれ:2012/10/24(水) 20:11:33
その身に鉄槍を受けた鳥居は、串に刺さった団子のように仰向けに浮いていた。
肌の色が鮮烈なほどに白い。黒い髪が微かに揺れている。
その目は閉じられており、唇だけが血のように赤い。

フェイの言葉に、すっと鳥居は目を開く。すると赤い光を放つ瞳が現れた。
目尻と唇が、きゅうっと吊りあがれば口もとに浮かぶは魔性の笑み。

と、マリーが鳥居をコートで包んで、振り回す。

>「……させぬよ、それだけは」

「あれえーーー」
鳥居はマリーに投げ飛ばされた。
直後、眼前に骨張ったフェイが迫り、突き出された彼の前腕が鳥居の石頭と激突。
ぱきん――とフェイの左腕の折れる音が、鳥居の耳朶を打つ。
(この人…、身を挺して…)
フェイと重なるように倒れこんだ鳥居は、そのままでんぐり返しで
ころころと門の方角に転がってゆく。
フェイの動きで、あの門のむこうがわに、
とてつもなく大切なものがあるということが推測できたからだ。
彼を説得するためには、あかねが狙ったように
フェイの「事情」を知らなければならない。
彼のことを理解しなければダメなのだ。

410名無しになりきれ:2012/10/24(水) 23:50:23
その身に鉄槍を受けた鳥居は、串に刺さった団子のように仰向けに浮いていた。
肌の色が鮮烈なほどに白い。黒い髪が微かに揺れている。
その目は閉じられており、唇だけが血のように赤い。

フェイの言葉に、すっと鳥居は目を開く。すると赤い光を放つ瞳が現れた。
目尻と唇が、きゅうっと吊りあがれば口もとに浮かぶは魔性の笑み。

と、マリーが鳥居をコートで包んで、振り回す。

>「……させぬよ、それだけは」

「あれえーーーっ!」
鳥居はマリーに投げ飛ばされた。
直後、眼前に骨張ったフェイが迫り、突き出された彼の前腕が鳥居の石頭と激突。
ぱきん――とフェイの左腕の折れる音が、鳥居の耳朶を打つ。
(この人…、身を挺して…)
フェイと重なるように倒れこんだ鳥居は、そのままでんぐり返しで
ころころと門の方角に転がってゆく。
フェイの動きで、あの門のむこうがわに、
彼にとって一番大切なものがあるということが推測できたからだ。
彼を説得するためには、あかねが狙ったように
フェイの「事情」を知らなければならない。
彼のことを理解しなければダメなのだ。と鳥居は思った。

(あのおじいさんは僕たちが死んでも失うものは何もないって言ってました。ただ廻るだけって…)
生にも勝利にも執着しない老人が、何かを守ることだけには執着している。
マリーの言葉に、自分も後悔はしたくないと返していた。

「彼は自分の命よりは大切なものがあって、それを守って死ぬことに喜びを感じているっていうの?
んん…ちがう。もしかして死にたがってる?でもなんか変です。何かが。
マリーさん、よくわかんないけど、その人を殺しちゃったらマズイ気がします。
うまく説明できませんが、もしかしたら罠かも……」

>「後は……ぬしらには、これを返してやろう」

「?……ん、んん。けほっ」
足元に円陣が現れる。と同時に内側から押し寄せる苦痛。
円陣の脅威はあかねにも襲い掛かっていた。
円陣の中の世界は外とは違う独自の世界が展開されているようだ。

「円陣のなかの閉じた世界。ぼくやあかねさんを拒絶する世界。滅びの世界。
こんな世界もういやです。マリーさん、受け取ってー!」
鳥居は近くに生えている槍にマリーのコートを捲き付けてマリーの近くに投げる。
吸血鬼に戻った少年の膂力はすさまじい。
そして跳躍。円陣から脱出してフェイの背中にしがみつく。

「あなたがここから動けない理由は何かを守るため。でも守る理由は?
もしかしたら守らざるえなくなっちゃったとか。誰かにここに閉じ込められちゃってるとか。
この世界から抜け出すためには…死ぬしかないとか?」
ぱっかりと開く口。赤い口内に光る小さな牙。

「おじいちゃんも吸血鬼になりたい?言うこと聞かないと噛むよ」
鳥居はフーに依頼されたことをもう一度語る。

411名無しになりきれ:2012/11/26(月) 23:58:14
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
それはフェイの想像を超えて、子どもたちを助けるに至った。
アカネの書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するだけだったのだ。

施術は成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの間違いか、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「でもぼくは…」

(囚われていたい。ずっとずっと遊んでいたい。夢のなかを…さまよっていたい……)

「死にたくなんかないよ。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。

412名無しになりきれ:2012/11/26(月) 23:59:52
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
それはフェイの想像を超えて、子どもたちを助けるに至った。
アカネの書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するだけだったのだ。

施術は成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの間違いか、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「でもぼくは…」

(囚われていたい。ずっとずっと遊んでいたい。夢のなかを…さまよっていたい……)

「死にたくなんかないよ。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。

413名無しになりきれ:2012/11/27(火) 00:34:58
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
それはフェイの想像を超えて、子どもたちを助けるに至った。
アカネの書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するだけであった。

施術は成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。
そして思い出すのだ。母親のことを。
感じるのだ。自分の境遇のわびしさを。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの間違いか、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「でもぼくは…」

(囚われていたい。ずっとずっと遊んでいたい。夢のなかを…さまよっていたい……)

「死にたくなんかないよ。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。

414名無しになりきれ:2012/11/27(火) 00:40:42
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
それはフェイの想像を超えて、子どもたちを助けるに至った。
アカネの書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するだけであった。

施術は成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。
そして思い出すのだ。母親のことを。
感じるのだ。自分の境遇のわびしさを。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの悪戯か、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「でもぼくは…」

(囚われていたい。ずっとずっと遊んでいたい。夢のなかを…さまよっていたい……)

「死にたくなんかないよ。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。

415名無しになりきれ:2012/11/27(火) 20:43:11
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
彼女の書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するのみ。
だがそれは、フェイの想像を超えて子どもたちを助けるに至り
施術は見事に成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。
そして思い出すのだ。母親のことを。
感じるのだ。自分の境遇のわびしさを。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの悪戯か、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「でもぼくは…」

(囚われていたい。ずっとずっと遊んでいたい。夢のなかを…さまよっていたい……)

「死にたくなんかないよ。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。

416名無しになりきれ:2012/11/27(火) 20:48:23
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
彼女の書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するのみ。
だがそれは、フェイの想像を超えて子どもたちを助けるに至り
施術は見事に成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。
そして思い出すのだ。母親のことを。
感じるのだ。自分の境遇のわびしさを。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの悪戯か、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「でもぼくは…」

(このまま囚われていたい。ずっとずっと遊んでいたい。夢のなかを…さまよっていたい……)

「死にたくなんかないよ。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。

417名無しになりきれ:2012/11/27(火) 21:06:20
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
彼女の書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するのみ。
だがそれは、フェイの想像を超えて子どもたちを助けるに至り
施術は見事に成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。
そして思い出すのだ。母親のことを。
感じるのだ。自分の境遇のわびしさを。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの悪戯か、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「でもぼくは…」

(このまま囚われていたい。ずっとずっと遊んでいたい。夢のなかを…さまよっていたい……)

「死にたくなんかないよ。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。
その理由は老人と子どもたちにとっての特別な存在になれたから。

418名無しになりきれ:2012/11/27(火) 22:45:07
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
彼女の書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するのみ。
だがそれは、フェイの想像を超えて子どもたちを助けるに至り
施術は見事に成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。
そして思い出すのだ。母親のことを。
感じるのだ。自分の境遇のわびしさを。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの悪戯か、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「でもぼくは…」

(このまま囚われていたい。ずっとずっと遊んでいたい。夢のなかを…さまよっていたい……)

「死にたくなんかないよ。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。
その理由は老人と子どもたちにとっての特別な存在になれたから。

419名無しになりきれ:2012/11/29(木) 21:38:02
マリーの提案によって、何かを閃いたアカネ。
彼女の書いた森羅万象風水陣の略式図には
さすがのフェイ本人も苦々しく独語するのみ。
だがそれは、フェイの想像を超えて子どもたちを助けるに至り
施術は見事に成功。フェイは感謝の言葉を述べる。
鳥居は胸を撫で下ろして微笑する。
子どもたちと老人が、救われたことの喜びに。
そして同時に嫉妬する。
フェイの門弟たちを見つめる眼差しに思い出したのだ。母親のことを。
感じるのだ。自分の境遇のわびしさを。

俯き加減で、ちらりとあかねの顔をうかがう。
あの時、一瞬見せたあかねの顔。あれは嫌悪だったのだろうか。
西洋で吸血鬼は忌むべき存在。鳥居の心にいわれの無い罪悪感が生まれる。

(ぼくのお母さんはこの世の理を外れてまで、ぼくの魂をこの世に残しました。
神気の力で一度人間に戻ったとき、それは間違いだったって本人も言っていたのに…。
何かの悪戯か、まだ呪いは続いているみたいです。ああ、逃れられやしないです)

「死にたくなんてありませんから。誰も……」
少年の微笑は、いつの間にかうすい笑みに変わっていた。
痛む体を摩りながら、フェイを見下ろす。
床に頭を摩り付けている老人の姿を見るのは心地よかった。
その理由は老人と子どもたちにとっての特別な存在になれたから。

いっぽう、生還屋はこっそりと双篠マリーの横腹を肘で小突いていた。
その顔に浮かんでいるのは下卑た笑み。その態度に鳥居は嫌悪感を抱く。
どこかで感じた感覚。そう彼は鳥居の父親に似ているのだ。

「思い出してしまいました…。あの人でなしのことを。
ぼくを殺そうとした悪い大人のことを……」
鳥居はつぶやくと眉根を寄せて彼らのことを見つめた。小声で何かを話している。
あの男もマリーも同じ穴のムジナなのだろう。そう思うとだんだんと心が離れていった。
もしかしたらあかねも…、吸血鬼の鳥居のからはなれていってしまうかも知れない。

「…あ、あっ、その男は…、うそつきででたらめで悪い男です。そんな人の質問に答えちゃダメです。
フェイさんは最初にぼくの質問に答えてください。こどもたちにこんな悪いことをしたのは誰ですか?
できることならば、僕たちがその災いを祓ってみせましょう。
……もちろんあかねさんも、手伝ってくれますよね?そうしたらみんな幸せになれるから!」

鳥居の様子は明らかに変だった。
それはまるで、構ってくれない大人の注目を浴びるために号泣する幼児のようでもあった。
遺跡のことや冒険者の意思などを無視し、鳥居は己の心に開いている大穴を埋めようともがいているのである。

420名無しになりきれ:2012/12/08(土) 20:42:36


421名無しになりきれ:2012/12/09(日) 21:18:04
女神来てくださいね

422名無しになりきれ:2012/12/16(日) 21:42:51
>「ルナちゃんは、今日も気合い入ってるね」

「えへへ、そうでしょ。やっぱこういうメイクの良さがわかるのってリリィだけね。
私の場合、気合い入れてメイクをがんばんないと存在感ゼロなんだもん」
リリィの何気ない言葉にルナは破顔。
うれしく思いながら冬の冷気の停滞する石畳を歩む。

>「それにさ、ササミちゃんは確かに光物好きだけど、値段で身に着けてるわけじゃ無いと思うよ。
 要は好きか嫌いか、気に入ったか気に入らなかったか、じゃないかな?」

「えー…、なにその価値観。ざっくりしちゃってる。まあ、ササミらしいっちゃササミらしいけど…」
ルナがそう言い返した視線の先には、何故か頬を赤らめているリリィがいた。
その様子にルナは、やはりササミを連れてこなかったことに後悔する。
たぶん、リリィはササミのことを憧れているのかもしれない。もしかしたらそれ以上の感情…。
ルナにもその気持ちはわからなくもなかった。
実際、マイナスから始まったササミとの関係も今ではほんの少しプラスに傾いている。
まるで心が、溶け出した氷のように。これも全部……

そして、ボレアースに二人は到着した。
ルナは氷の首飾りを手にとる。

>「フリード君はきっと、とっても可愛いですって褒めてくれると思うけどね。
 でもさ、そう思えるならいい機会じゃない?
 そろそろルナちゃんは、フリード君以外の男の子とも交友関係を広げるべき・・・・・じゃないかなぁ?」
 リリィは水晶のボタンを手に取りながら、「今日はパーティもあるんでしょ?」と畳み掛けた。

「え!?なにそれ。ふざけているの!」
真っ赤な顔でルナは声を荒げた。
そんなつもりで言ったわけじゃ…と返したかったけど、考えてみればそうなのだ。

423名無しになりきれ:2012/12/16(日) 21:47:48
>「ルナちゃんは、今日も気合い入ってるね」

「えへへ、そうでしょ。やっぱこういうメイクの良さがわかるのってリリィだけね。
私の場合、気合い入れてメイクをがんばんないと存在感ゼロなんだもん」
リリィの何気ない言葉にルナは破顔。
うれしく思いながら冬の冷気の停滞する石畳を歩む。

>「それにさ、ササミちゃんは確かに光物好きだけど、値段で身に着けてるわけじゃ無いと思うよ。
 要は好きか嫌いか、気に入ったか気に入らなかったか、じゃないかな?」

「えー…、なにその価値観。ざっくりしちゃってる。まあ、ササミらしいっちゃササミらしいけど…」
ルナがそう言い返した視線の先には、何故か頬を赤らめているリリィがいた。
その様子にルナは、やはりササミを連れてこなかったことに後悔する。
たぶん、リリィはササミのことを憧れているのかもしれない。もしかしたらそれ以上の感情…。
ルナにもその気持ちはわからなくもなかった。
実際、マイナスから始まったササミとの関係も今ではほんの少しプラスに傾いている。
まるで心が溶け出した氷のように。これも学園のみんなのおかげかもしれない。

そして、ボレアースに二人は到着した。
ルナは氷の首飾りを手にとる。

>「フリード君はきっと、とっても可愛いですって褒めてくれると思うけどね。
 でもさ、そう思えるならいい機会じゃない?
 そろそろルナちゃんは、フリード君以外の男の子とも交友関係を広げるべき・・・・・じゃないかなぁ?」
 リリィは水晶のボタンを手に取りながら、「今日はパーティもあるんでしょ?」と畳み掛けた。

「え!?なにそれ。ふざけているの!」
真っ赤な顔でルナは声を荒げた。
そんなつもりで言ったわけじゃ…と返したかったけど、考えてみればそうなのだ。

424名無しになりきれ:2012/12/16(日) 23:32:07
>「そういう事なら、少し勉強いたしますよ?」

「えぇ!ほんとにぃ!?」
店員が伝えてくれた首飾りの値段にルナは驚愕する。
安すぎるのだ。不気味なほどに、低価格なのだ。



>「ああ、いい買い物できた。お茶代が残ってホントに良かったよー」
ルナもこくこくとうなずきながら喫茶店の椅子に腰をおろす。
リリィも嬉しそうに戦利品である紙袋を抱きしめている。

> 「今日買った細工ボタンは、ササミちゃんにプレゼントするのに使うんだ。
> ほら、ササミちゃんっていつも薄着でしょ?今日も寒い格好で尖塔の上に止まってたし。
> 服とかだと、背中とかの顔が隠れちゃうから、ショールを編んでみたの。
> 最初からいくつかわざと穴を開けててね、ボタンの開閉で開いたり閉じたりするの。
> だから一枚もので使ったり、マフラーにしたり、羽織った時には背中とかの顔が出せるようにって思って。こんな感じで」
> リリィはテーブルの上に指で書いてみたが、多分ルナにはうまく伝わらないだろう。
> 「あとはボタンつけるだけだから、今日ササミちゃんに持っていくんだー」

「へー…。やっぱリリィってやさしい。
それじゃあ私も何かプレゼントしようかなー。かわいいくつしたとか」

>「・・・・・・あ、とうとう降ってきたね」
>曇天からひらひらと粉雪がちらつき始めた。

「……うん」
ルナはちょっと悲しい気持ちになる。

>見て見て、とルナにコーヒーカップの中を指差し、「可愛くて飲めない」とちょっぴり眉を寄せた。

微苦笑したあとルナもコーヒーカップの中をみてみる。
するとそこにはシロクマがいた。
ルナはリリィと一緒にマスターに会釈。

>「・・・・・・・ところでルナちゃんは、結局何を買ったの? もしかして、さっきの雪の結晶みたいなペンダント?」
>ルナにシュガーポットを勧めながら、リリィはうきうきとルナの手元を覗き込んだ。

「じゃーん!」
満面の笑み。手元で冷たく光る首飾り。
ルナは両手を首の後ろにまわして首飾りをかけてみせる。
と同時に自分の体が急速に縮んでしまったかのような錯覚に陥り身震いしてしまった。
そして嘆きや悲しみにも似た雄たけびが耳の奥に聞こえたような気もした。

「……」

そこへ現れたのはエンカという男子生徒。

>「へぇ、なかなかマブいねぇ、そこの彼女ォ。リリィのツレか?名前はなんてーの?」

「…ルナ・チップル」

>「俺の名前はエンカ・ウォン。この学園の全ての生徒と友達になる男だ!」

「……え、えっと、がんばって」
苦笑いでエンカにそう返すと、困惑した顔でリリィをみる。
ていうか先ほどリリィが言った言葉のせいで変な意識が生まれてしまう。
今まで接してきた男子生徒とといえば、ほとんど美少女にしか見えないフリードだけ。
それゆえに、ルナは男子生徒に対しての免疫が少ないのかもしれないのだ。

>バァンッ!!!

突然の大きな音にびくりと体を竦ませる。

>「み……水……」
>「分かりましたちょっと待っててください!」
音のした方向、窓の外を見ると何者かにフリードがお酒のビンを手渡している。

「な、なによこれぇ。いきなりアンデルセン童話みたいな感じなんですけど」

425名無しになりきれ:2012/12/16(日) 23:34:57
>「そういう事なら、少し勉強いたしますよ?」

「えぇ!ほんとにぃ!?」
店員が伝えてくれた首飾りの値段にルナは驚愕する。
安すぎるのだ。不気味なほどに、低価格なのだ。



>「ああ、いい買い物できた。お茶代が残ってホントに良かったよー」
ルナもこくこくとうなずきながら喫茶店の椅子に腰をおろす。
リリィも嬉しそうに戦利品である紙袋を抱きしめている。

> 「今日買った細工ボタンは、ササミちゃんにプレゼントするのに使うんだ。
> ほら、ササミちゃんっていつも薄着でしょ?今日も寒い格好で尖塔の上に止まってたし。
> 服とかだと、背中とかの顔が隠れちゃうから、ショールを編んでみたの。
> 最初からいくつかわざと穴を開けててね、ボタンの開閉で開いたり閉じたりするの。
> だから一枚もので使ったり、マフラーにしたり、羽織った時には背中とかの顔が出せるようにって思って。こんな感じで」
> リリィはテーブルの上に指で書いてみたが、多分ルナにはうまく伝わらないだろう。
> 「あとはボタンつけるだけだから、今日ササミちゃんに持っていくんだー」

「へー…。やっぱリリィってやさしい。
それじゃあ私も何かプレゼントしようかなー。かわいいくつしたとか」

>「・・・・・・あ、とうとう降ってきたね」
>曇天からひらひらと粉雪がちらつき始めた。

「……うん」
ルナはちょっと悲しい気持ちになる。

>見て見て、とルナにコーヒーカップの中を指差し、「可愛くて飲めない」とちょっぴり眉を寄せた。

微苦笑したあとルナもコーヒーカップの中をみてみる。
するとそこにはシロクマがいた。
ルナはリリィと一緒にマスターに会釈。

>「・・・・・・・ところでルナちゃんは、結局何を買ったの? もしかして、さっきの雪の結晶みたいなペンダント?」
>ルナにシュガーポットを勧めながら、リリィはうきうきとルナの手元を覗き込んだ。

「じゃーん!」
満面の笑み。手元で冷たく光る首飾り。
ルナは両手を首の後ろにまわして首飾りをかけてみせる。
と同時に自分の体が急速に縮んでしまったかのような錯覚に陥り身震いしてしまった。
そして嘆きや悲しみにも似た雄たけびが耳の奥に聞こえたような気もした。

「……」

そこへ現れたのはエンカという男子生徒。

>「へぇ、なかなかマブいねぇ、そこの彼女ォ。リリィのツレか?名前はなんてーの?」

「…ルナ・チップル」

>「俺の名前はエンカ・ウォン。この学園の全ての生徒と友達になる男だ!」

「……え、えっと、がんばって」
苦笑いでエンカにそう返すと、困惑した顔でリリィをみる。
ていうか先ほどリリィが言った言葉のせいで変な意識が生まれてしまう。
今まで接してきた男子生徒とといえば、ほとんど美少女にしか見えないフリードだけ。
それゆえに、ルナは男子生徒に対しての免疫が少ないのかもしれないのだ。

>バァンッ!!!

突然の大きな音にびくりと体を竦ませる。

>「み……水……」
>「分かりましたちょっと待っててください!」
音のした方向、窓の外を見ると何者かにフリードがお酒のビンを手渡している。

「な、なによこれぇ。いきなりアンデルセン童話みたいな感じなんですけど」

426名無しになりきれ:2012/12/17(月) 00:35:56
「あんたたちなにやってるの!?」
外に出ると遠く風の音が聞こえる。それはひどく物悲しい音色だった。
目前に迫った「冬」の到来に身構えたフィジルの島々が交わす囁き声のようにも
この世界の奥底に封じ込められた巨大な存在が、外の世界を思って続ける慟哭のようにも聞こえる。
じっと耳を傾けているとそれだけで鈍い痛みの形をした感情が止め処なく胸の奥底から滲みだして来そうな感覚。
ルナは一瞬目眩のようなものに襲われたが、気を取り直して目の前の光景に意識を集中する。

「その人、喉が渇いてるの?じゃあリリィの口移しで…。
なーんて上手い話があるわけないじゃん!
この私が反転魔法であなたのお口にお酒を詰め込んであげるけど、
苦情は受け付けないから!」

タクトから迸る稲妻。
フリードリッヒの持つ酒ビンにワディワジを放つ。
それを受けた酒ビンからは液体が噴出しフードの男の口元に迫る。

刹那、凍えた風が切れ味の良い刃物の鋭さで顔を切りつけてくる。
冷たいのも痛いのも通り越し、逆に熱く痺れたような衝撃でルナの頬を叩く。

いつのまにか雪は降りしきっていた。
まだ昼だというのに視力を支える光の絶対量そのものは夜のそれに近かった。
墨を溶かしたような黒い空間をその純白の粒で埋め尽くそうとするように
雪は激しく狂おしく乱れ舞っている。

「…なんかこれってやばいくない?」
どんどんと降り積もってゆく雪が足に重い。
一呼吸ごとに喉を焼く冷気。

「このままじゃパーティーに行けなくなちゃう!下手したら寮にも帰れなくなっちゃう。
みんな、はやく学園に帰ろう!フリード、あなた寒い国出身なんでしょ?なんとかしてよ!」
ルナはいち早く学園に戻ることを選択する。他にも選択肢はあるかも知れない。
リリィとエンカの手を握って無理やり引っ張ってゆく。が、その手は氷のように冷たかった。
吹雪の奥、漆黒の空から無数の馬の嘶きが聞こえたような気もした。

427名無しになりきれ:2012/12/17(月) 22:53:06
>「なれるから!じゃねーよ、ガキンチョ」

「きぃー!また餓鬼って言った。こう見えても僕はあなたのおじいちゃんよりも長生きしてるんですからっ!」
鳥居は金切り声あげて暴れ狂う。
なぜなら生還屋の右手が、鳥居の髪をぐちゃぐちゃにして掴んでいるから怒り心頭なのだ。
そんなぷんすかちゃんな状態の少年の言葉を聞いてか聞かずか生還屋はこうも続ける。

>「俺達にゃ先にこなさなきゃならねえ仕事があんだろ。このジジイとガキ共を助けたのは、ただの成り行きだぜ。
 それともなんだ。一度引き受けた仕事をほっぽって、僕は僕のしたい事をします〜ってか?
 それこそ嘘つきで、でたらめってモンだろ?」

「その冷めた感じ。割り切った感じが気に入らないです」
半眼で暗い顔。生還屋にぐしゃぐしゃとなすがままにされている鳥居。

>「別に聞くのは自由だし、やるのも自由だけどよ。
 それはこっちの仕事が終わってからにしな」

「ブーッ!」
とうとう鳥居は苦虫を噛んだような顔でむくれてしまった。
生還屋に痛いところを突かれた鳥居は、自分のわがままに気付いてしまっていた。
しかし納得できないのが業というもの。鳥居はフェイに視線を移す。
自分が求める答えを言ってくれるものと信じて。

>「じゃが、いずれにせよ……ぬしらには突き止めようがあるまい。
 下手に藪をつつけば、蛇どころか鬼を招きかねん。やめておく事じゃよ。
 ……儂は、ぬしらには死んで欲しくない。この呪災は、国の兵士や術士に任せておけばよい」

「ふむむ…」
もう、唸るしかなかった。大人の体でない鳥居が、大人になりきれないように
吸血鬼の不死身の体は、心の暴走を招くのだ。
夢の中にいると自覚した人間が、好奇心からとんでもないことをするかのように
この世のすべての不幸に復讐できるものと錯覚してしまうのだった。

428名無しになりきれ:2012/12/17(月) 22:57:34
>「なれるから!じゃねーよ、ガキンチョ」

「きぃー!また餓鬼って言った。こう見えても僕はあなたのおじいちゃんよりも長生きしてるんですからっ!」
鳥居は金切り声あげて暴れ狂う。
なぜなら生還屋の右手が、鳥居の髪をぐちゃぐちゃにして掴んでいるから怒り心頭なのだ。
そんなぷんすかちゃんな状態の少年の言葉を聞いてか聞かずか生還屋はこうも続ける。

>「俺達にゃ先にこなさなきゃならねえ仕事があんだろ。このジジイとガキ共を助けたのは、ただの成り行きだぜ。
 それともなんだ。一度引き受けた仕事をほっぽって、僕は僕のしたい事をします〜ってか?
 それこそ嘘つきで、でたらめってモンだろ?」

「その冷めた感じ。割り切った感じが気に入らないです」
半眼で暗い顔。生還屋にぐしゃぐしゃとなすがままにされている鳥居。

>「別に聞くのは自由だし、やるのも自由だけどよ。
 それはこっちの仕事が終わってからにしな」

「ブーッ!」
とうとう鳥居は苦虫を噛んだような顔でむくれてしまった。
生還屋に痛いところを突かれた鳥居は、自分のわがままに気付いてしまっていた。
しかし納得できないのが業というもので、鳥居はフェイに視線を移す。
自分が求める答えを言ってくれるものと信じて。

>「じゃが、いずれにせよ……ぬしらには突き止めようがあるまい。
 下手に藪をつつけば、蛇どころか鬼を招きかねん。やめておく事じゃよ。
 ……儂は、ぬしらには死んで欲しくない。この呪災は、国の兵士や術士に任せておけばよい」

「ふむむ…」
もう、唸るだけの少年。大人の体でない鳥居が大人になりきれないように
吸血鬼の不死身の体は心の暴走を招くのだ。
夢の中にいると自覚した人間が、好奇心からとんでもないことをするかのように
この世のすべての不幸に復讐できるものと錯覚してしまうのだった。

429名無しになりきれ:2012/12/17(月) 23:54:12
フェイはマリーの質問にも答え、鳥居も幾つかの情報を得た。
マリーさまさまというべきだろう。
あとはフェイの無事をフーに伝えて、対処してもらうだけだ。
となれば長居は無用。冒険者たちは寺院へと足を運ぶ。

>「……そう言えばよぉ、ガキンチョ」
>フーの待つ寺院に向かう途中、思い出したように生還屋が鳥居に声をかけた。
>「軽く流してたけどオメー今、吸血鬼……ようは不死身なんだろ?
 アイツ確か結界張ってるとか言ってたよな。寺ん中、入れんのか?」

「しりません。入れなかったら入れなかったでそれまでのことです。
ていうか入れなかったら頼光の神気でもう一度人間のこどもに戻してもらうだけです」
首をクルッと生還屋から真逆に向け視線をそらす。
いやなこという。と鳥居は思っていた。

そして――

>「……あー、いや、その心配は無さそうだ」

飛び交う悲鳴。寺院の門に群がる動死体。

>「どうすんだ、これ……つっても、オメーらの事だ。腹なんざとうに決まってんだろうけどよ」

「結界は!?フーさんはいったい何をしてるんですか?
あかねさん、結界の再起動ってできますか?マリーさん、あとのことは頼みます!」
鳥居は跳躍して塀の縁に飛び乗る。

430名無しになりきれ:2012/12/18(火) 18:24:52
>「なれるから!じゃねーよ、ガキンチョ」

「きぃー!また餓鬼って言った。こう見えても僕はあなたのおじいちゃんよりも長生きしてるんですからっ!」
鳥居は金切り声あげて暴れ狂う。
なぜなら生還屋の右手が、鳥居の髪をぐちゃぐちゃにして掴んでいるから怒り心頭なのだ。
そんなぷんすかちゃんな状態の少年の言葉を聞いてか聞かずか生還屋はこうも続ける。

>「俺達にゃ先にこなさなきゃならねえ仕事があんだろ。このジジイとガキ共を助けたのは、ただの成り行きだぜ。
 それともなんだ。一度引き受けた仕事をほっぽって、僕は僕のしたい事をします〜ってか?
 それこそ嘘つきで、でたらめってモンだろ?」

>「別に聞くのは自由だし、やるのも自由だけどよ。
 それはこっちの仕事が終わってからにしな」

「ブーッ!」
とうとう鳥居は苦虫を噛んだような顔でむくれてしまった。
生還屋に痛いところを突かれて自分のわがままに気付いてしまったのだ。
しかし納得できないのが業というもの。鳥居はフェイに視線を移す。
自分が求める答えを言ってくれるものと信じて。

>「じゃが、いずれにせよ……ぬしらには突き止めようがあるまい。
 下手に藪をつつけば、蛇どころか鬼を招きかねん。やめておく事じゃよ。
 ……儂は、ぬしらには死んで欲しくない。この呪災は、国の兵士や術士に任せておけばよい」

「ふむむ…」
もう、唸るだけの少年。フェイの顔はけわしい。
呪災そのものを振り払うという提案に、喜ぶこともなく、
それどころか心配してしまっている。

431名無しになりきれ:2012/12/18(火) 18:31:56
そしてフェイはマリーの質問にも答え、鳥居も幾つかの情報を得た。
まさにマリーさまさま。あとはフェイの無事をフーに伝えて対処してもらうだけ。
となれば長居は無用。冒険者たちは寺院へと足を運ぶ。

>「……そう言えばよぉ、ガキンチョ」
>フーの待つ寺院に向かう途中、思い出したように生還屋が鳥居に声をかけた。
>「軽く流してたけどオメー今、吸血鬼……ようは不死身なんだろ?
 アイツ確か結界張ってるとか言ってたよな。寺ん中、入れんのか?」

「しりません。入れなかったら入れなかったでそれまでのことです。
ていうか入れなかったら頼光の神気でもう一度人間のこどもに戻してもらうだけです」
首をクルッと生還屋から真逆に向け視線をそらす。頬はプーと膨らんでいる。
いやなこという。と鳥居は思っていた。



>「……あー、いや、その心配は無さそうだ」

飛び交う悲鳴。寺院の門に群がる動死体。

>「どうすんだ、これ……つっても、オメーらの事だ。腹なんざとうに決まってんだろうけどよ」

「結界は!?フーさんはいったい何をしてるんですか?
あかねさん、結界の再起動ってできますか?マリーさん、あとのことは頼みます!」
鳥居は跳躍して塀の縁に飛び乗る。

432名無しになりきれ:2012/12/18(火) 18:37:12
>「なれるから!じゃねーよ、ガキンチョ」

「きぃー!また餓鬼って言った。こう見えても僕はあなたのおじいちゃんよりも長生きしてるんですからっ!」
鳥居は金切り声あげて暴れ狂う。
なぜなら生還屋の右手が、鳥居の髪をぐちゃぐちゃにして掴んでいるから怒り心頭なのだ。
そんなぷんすかちゃんな状態の少年の言葉を聞いてか聞かずか生還屋はこうも続ける。

>「俺達にゃ先にこなさなきゃならねえ仕事があんだろ。このジジイとガキ共を助けたのは、ただの成り行きだぜ。
 それともなんだ。一度引き受けた仕事をほっぽって、僕は僕のしたい事をします〜ってか?
 それこそ嘘つきで、でたらめってモンだろ?」

>「別に聞くのは自由だし、やるのも自由だけどよ。
 それはこっちの仕事が終わってからにしな」

「ブーッ!」
とうとう鳥居は苦虫を噛んだような顔でむくれてしまった。
生還屋に痛いところを突かれて自分のわがままに気付いてしまったのだ。
しかし納得できないのが業というもの。鳥居はフェイに視線を移す。
自分が求める答えを言ってくれるものと信じて。

>「じゃが、いずれにせよ……ぬしらには突き止めようがあるまい。
 下手に藪をつつけば、蛇どころか鬼を招きかねん。やめておく事じゃよ。
 ……儂は、ぬしらには死んで欲しくない。この呪災は、国の兵士や術士に任せておけばよい」

「ふむむ…」
もう、唸るだけの少年。フェイの顔はけわしい。
呪災そのものを振り払うという提案に、喜ぶこともなく、
それどころか心配してしまっている。

――そしてフェイはマリーの質問にも答え、鳥居も幾つかの情報を得た。
まさにマリーさまさま。あとはフェイの無事をフーに伝えて対処してもらうだけ。
となれば長居は無用。冒険者たちは寺院へと足を運ぶ。

>「……そう言えばよぉ、ガキンチョ」
>フーの待つ寺院に向かう途中、思い出したように生還屋が鳥居に声をかけた。
>「軽く流してたけどオメー今、吸血鬼……ようは不死身なんだろ?
 アイツ確か結界張ってるとか言ってたよな。寺ん中、入れんのか?」

「しりません。入れなかったら入れなかったでそれまでのことです。
ていうか入れなかったら頼光の神気でもう一度人間のこどもに戻してもらうだけです」
ツンと顔をそらす。頬はプーと膨らんでいる。
いやなこといいいます。と鳥居は思っていた。

433名無しになりきれ:2012/12/18(火) 19:35:43
>「……あー、いや、その心配は無さそうだ」

飛び交う悲鳴。寺院の門に群がる動死体。

>「どうすんだ、これ……つっても、オメーらの事だ。腹なんざとうに決まってんだろうけどよ」

「ええ、たすけるに決まってます!」
鳥居は跳躍して塀の縁に飛び乗る。すると目の前に広がる絶望の風景。
方々からあがる火の手。今にも破られそうな正門。
動死体に囲まれている手傷を負った男。

(たすけなきゃ!)
動死体と戦っている男に鳥居は自分を重ねた。
自分の中の何かを守るために彼は戦っているのだろう。
そう、たった一人で不幸に抗っているのだ。

「マリーさん、ごめんなさい!」
こんどは鳥居がマリーを投げた。動死体の群がる男の方角に。

「あかねさん、結界の再起動はできますか!?僕は門を何とかしてみせます!」
鳥居は寺院の建物の中に入ると巨大な物体を押して出てきた。
それは仏像だった。門まで押して重石の代わりにするのだ。
しかし肩や頭に齧り付く動死体たち。それでも鳥居は押し続けている。

――今まで迷惑をかけ過ぎてしまった。
それにここを守りきれなかったら、自分たちも向こうの班の人たちも
全滅の可能性がある。

他の冒険者たちの嫌悪感、それよりも通り越してただ繋がっていたい。
もしかしたら繋がってくれるかも知れないという淡い希望を抱いて、
鳥居は仏像を押し続けるのだ。

434名無しになりきれ:2012/12/18(火) 19:44:34
>「……あー、いや、その心配は無さそうだ」

飛び交う悲鳴。寺院の門に群がる動死体。

>「どうすんだ、これ……つっても、オメーらの事だ。腹なんざとうに決まってんだろうけどよ」

「たすけるに決まってます!」
鳥居は跳躍して塀の縁に飛び乗る。すると目の前に広がる絶望の風景。
方々からあがる火の手。今にも破られそうな正門。
動死体に囲まれている手傷を負った男。

(たすけなきゃ!)
動死体と戦っている男に鳥居は自分を重ねた。
自分の中の何かを守るために彼は戦っているのだろう。
そう、たった一人で雨のように降り注ぐ不幸に抗っているのだ。

「マリーさん、ごめんなさい!」
こんどは鳥居がマリーを投げた。動死体の群がる男の方角に。

「あかねさん、結界の再起動はできますか!?僕は門を何とかしてみせます!」
鳥居は寺院の建物の中に入ると巨大な物体を押して出てきた。
それは仏像だった。門まで押して重石の代わりにするのだ。
しかし肩や頭に齧り付く動死体たち。それでも鳥居は押し続けている。

(今まで迷惑をかけ過ぎてしまいました。
ここを守りきれなかったら、ぼくたちも
帰ってきた頼光たちもみんなしんじゃいます)

他の冒険者たちの嫌悪感、それよりも通り越してただ繋がっていたい。
もしかしたら繋がってくれるかも知れないという淡い希望を抱いて、鳥居は仏像を押し続けていた。

435名無しになりきれ:2012/12/31(月) 16:52:49
放課後の教室は閑散としていた。
ところどころ染みをつけたベージュのカーテンが冷たい風に煽られてゆっくりと膨れ上がる。
柔らかく膨らんだ布地のむこうには灰色の空が見えた。

海棠美帆は冷たい空を見つめながら、ジョーカーのことを考え続けていた。
やはりあれは夢ではなかった。
今やこの街では都市伝説はただの伝説にとどまらない。
謎の怪人が現身の存在となって、街の闇を徘徊している。

だが、海棠に変化はなかった。
あの時感じた異様な力――ペルソナ――はまったく感じられない。
一瞬目を覚ました凶暴な獣が、また寝入ってしまったような感じだった。
なぜだろう。ジョーカーが存在しているのなら何故姿を現さないのだろう。
あの時、海棠に力を貸せと言ったのはなんだったのだろう。

「海棠さん」
声をかけられたので振り向いた。野中ミエコだった。

「クラスの人のことたちなんて、気にすることないわ。心の中でバカにしてたらいいわよ。
私は海棠さんが犯人だなんて信じていないから」

436名無しになりきれ:2012/12/31(月) 21:03:33
放課後の教室は閑散としていた。
ところどころ染みをつけたベージュのカーテンが冷たい風に煽られてゆっくりと膨れ上がる。
柔らかく膨らんだ布地のむこうには灰色の空が見えた。

海棠美帆は冷たい空を見つめながら、ジョーカーのことを考え続けていた。
やはりあれは夢ではなかった。
今やこの街では都市伝説はただの伝説にとどまらない。
謎の怪人が現身の存在となって、街の闇を徘徊している。

だが、海棠に変化はないように思えた。
あの時感じた異様な力――ペルソナ――はまったく感じられない。
一瞬目を覚ました凶暴な獣が、また寝入ってしまったような感じだった。
なぜだろう。ジョーカーが存在しているのなら何故姿を現さないのだろう。
あの時、海棠に力を貸せと言ったのはなんだったのだろう。

「海棠さん」
声をかけられたので振り向いた。野中ミエコだった。

「クラスの人のことたちなんて、気にすることないわ。心の中でバカにしてたらいいわよ。
私は海棠さんが犯人だなんて信じていないから」

「…ありがとう」と海棠は答えた。声はかすれていた。
野中は小さな声で話を続ける。

「須藤竜子なんて病院送りになって当然の女なのよ。下品で野蛮で最低の糞女。
今ごろは病院のベッドで天井を見ながら猛省してるのかしら?
ふひひ、私たちを苛めたから天罰が下ったのね」
小鼻を膨らませながら野中は興奮していた。普段の無口な彼女はどこへいったのやら。
詰め寄るように海棠に近づいているために生温い息が吹きかかる。

「……あの、まさかなんだけど」
異様な野中の言動に脳裏に浮かぶ疑念。
海棠の怪訝な表情に、野中は気が付くと慌てて言葉を返す。

「え?私がジョーカー様に依頼して須藤を襲わせたっていうの?
そ、そりゃ確かにジョーカー様に電話をかけてみたことはあるんだけど、結局携帯は繋がらなかったわ。
ジョーカー様にも好みがあるのかしら。それとも電話が殺到していて忙しかったのかしらね…?」

437名無しになりきれ:2012/12/31(月) 21:15:19
放課後の教室は閑散としていた。
ところどころ染みをつけたベージュのカーテンが冷たい風に煽られてゆっくりと膨れ上がる。
柔らかく膨らんだ布地のむこうには灰色の空が見えた。

海棠美帆は冷たい空を見つめながら、ジョーカーのことを考え続けていた。
やはりあれは夢ではなかった。
今やこの街では都市伝説はただの伝説にとどまらない。
謎の怪人が現身の存在となって、街の闇を徘徊している。

だが、海棠に変化はないように思えた。
あの時感じた異様な力――ペルソナ――はまったく感じられない。
一瞬目を覚ました凶暴な獣が、また寝入ってしまったような感じだった。
なぜだろう。ジョーカーが存在しているのなら何故姿を現さないのだろう。
あの時、海棠に力を貸せと言ったのはなんだったのだろうか。

「海棠さん」
声をかけられたので振り向いた。野中ミエコだった。

「クラスの人のことたちなんて、気にすることないわ。心の中でバカにしてたらいいわよ。
私は海棠さんが犯人だなんて信じていないから」

「…ありがとう」と海棠は答えた。声はかすれていた。
野中は小さな声で話を続ける。

「須藤竜子なんて病院送りになって当然の女なのよ。下品で野蛮で最低の糞女。
今ごろは病院のベッドで天井を見ながら猛省してるのかしら?
ふひひ、私たちを苛めたから天罰が下ったのね」
小鼻を膨らませながら野中は興奮していた。普段の無口な彼女はどこへいったのやら。
詰め寄るように海棠に近づいているために生温い息が吹きかかる。

「……あの、まさかなんだけど」
異様な野中の言動に脳裏に浮かぶ疑念。
海棠の怪訝な表情に、野中は気が付くと慌てて言葉を返す。

「え?私がジョーカー様に依頼して須藤を襲わせたって言いたいの?
そ、そりゃ確かにジョーカー様に電話をかけてみたことはあるんだけど、結局携帯は繋がらなかったわ。
ジョーカー様にも好みがあるのかしら。それとも電話が殺到していて忙しかったのかしらね…?」

438名無しになりきれ:2012/12/31(月) 21:38:47
放課後の教室は閑散としていた。
ところどころ染みをつけたベージュのカーテンが冷たい風に煽られてゆっくりと膨れ上がる。
柔らかく膨らんだ布地のむこうには灰色の空が見えた。

海棠美帆は冷たい空を見つめながら、ジョーカーのことを考え続けていた。
やはりあれは夢ではなかった。
今やこの街では都市伝説はただの伝説にとどまらない。
謎の怪人が現身の存在となって、街の闇を徘徊している。

だが、海棠に変化はないように思えた。
あの時感じた異様な力――ペルソナ――はまったく感じられない。
一瞬目を覚ました凶暴な獣が、また寝入ってしまったような感じだった。
なぜだろう。ジョーカーが存在しているのなら何故姿を現さないのだろう。
あの時、海棠に力を貸せと言ったのはなんだったのだろうか。

「海棠さん」
声をかけられたので振り向いた。野中ミエコだった。

「クラスの人のことたちなんて、気にすることないわ。心の中でバカにしてたらいいわよ。
私は海棠さんが犯人だなんて信じていないから」

「…ありがとう」と海棠は答えた。声はかすれていた。
野中は小さな声で話を続ける。

「でもね。須藤竜子なんて病院送りになって当然の女だったじゃん。下品で野蛮で最低の女。
今ごろは病院のベッドで天井を見ながら猛省してるのかしら?ふひひ、私たちを苛めたから天罰が下ったのね」
小鼻を膨らませながら野中は興奮していた。普段の無口な彼女はどこへいったのやら。
詰め寄るように海棠に近づいているために生温い息が吹きかかる。

「……あの、まさかなんだけど」
異様な野中の言動に脳裏に浮かぶ疑念。
海棠の怪訝な表情に、野中は気が付くと慌てて言葉を返す。

「え?私がジョーカー様に依頼して須藤を襲わせたって言いたいの?
そ、そりゃ確かにジョーカー様に電話をかけてみたことはあるんだけど、結局携帯は繋がらなかったわ。
ジョーカー様にも好みがあるのかしら。それとも電話が殺到していて忙しかったのかしらね…?」

439名無しになりきれ:2013/01/01(火) 00:52:03
放課後の教室は閑散としていた。
ところどころ染みをつけたベージュのカーテンが冷たい風に煽られてゆっくりと膨れ上がれば、
柔らかく膨らんだ布地のむこうには灰色の空が見えた。

海棠美帆は冷たい空を見つめながら、ジョーカーのことを考え続けていた。
やはりあれは夢ではなかった。
今やこの街では都市伝説はただの伝説にとどまらない。
謎の怪人が現身の存在となって、街の闇を徘徊している。

だが、海棠に変化はないように思えた。
あの時感じた異様な力『ペルソナ』はまったく感じられない。
一瞬目を覚ました凶暴な獣が、また寝入ってしまったような感じだった。
なぜだろう。ジョーカーが存在しているのなら何故姿を現さないのだろう。
あの時、海棠に力を貸せと言ったのはなんだったのだろうか。

「海棠さん」
声をかけられたので振り向いた。野中ミエコだった。

「クラスの人のことたちなんて、気にすることないわ。心の中でバカにしてたらいいわよ。
私は海棠さんが犯人だなんて信じていないから」

「…ありがとう」と海棠は答えた。声はかすれていた。
野中は小さな声で話を続ける。

「でもね。須藤竜子なんて病院送りになって当然の女だったじゃん。下品で野蛮で最低の女。
今ごろは病院のベッドで天井を見ながら猛省してるのかしら?うふふ、私たちを苛めたから天罰が下ったのね」
小鼻を膨らませながら野中は興奮していた。普段の無口な彼女はどこへいったのやら。
詰め寄るように海棠に近づいているために生温い息が吹きかかる。

「……あの、まさかなんだけど」
異様な野中の言動に脳裏に浮かぶ疑念。
海棠の怪訝な表情に、野中は気が付くと慌てて言葉を返す。

「え?私がジョーカー様に依頼して須藤を襲わせたって言いたいの?
そ、そりゃ確かにジョーカー様に電話をかけてみたことはあるんだけど、結局携帯は繋がらなかったわ。
ジョーカー様にも好みがあるのかしら。それとも電話が殺到していて忙しかったのかしらね…?」
野中は笑っていた。

440名無しになりきれ:2013/01/01(火) 14:00:39
放課後の教室は閑散としていた。
ところどころ染みをつけたベージュのカーテンが冷たい風に煽られてゆっくりと膨れ上がれば、
柔らかく膨らんだ布地のむこうには灰色の空が見えた。
海棠美帆は冷たい空を見つめながら、ジョーカーのことを考え続けていた。
やはりあれは夢ではなかった。
今やこの街では都市伝説はただの伝説にとどまらない。
謎の怪人が現身の存在となって、街の闇を徘徊している。
だが、海棠に変化はないように思えた。
あの時感じた異様な力『ペルソナ』はまったく感じられない。
一瞬目を覚ました凶暴な獣が、また寝入ってしまったような感じだった。
なぜだろう。ジョーカーが存在しているのなら何故姿を現さないのだろう。
あの時、海棠に力を貸せと言ったのはなんだったのだろうか。

「海棠さん」
声をかけられたので振り向いた。野中ミエコだった。

「クラスの人のことたちなんて、気にすることないわ。心の中でバカにしてたらいいわよ。
私は海棠さんが犯人だなんて信じていないから」
「…ありがとう」と海棠は答えた。声はかすれていた。
野中は小さな声で話を続ける。

「でもね。須藤竜子なんて病院送りになって当然の女だったじゃん。下品で野蛮で最低の女。
今ごろは病院のベッドで天井を見ながら猛省してるのかしら?うふふ、私たちを苛めたから天罰が下ったのね」
小鼻を膨らませながら野中は興奮していた。普段の無口な彼女はどこへいったのやら。
詰め寄るように海棠に近づいているために生温い息が吹きかかる。

「……あの、まさかなんだけど」
異様な野中の言動に脳裏に浮かぶ疑念。
海棠の怪訝な表情に、野中は気が付くと慌てて言葉を返す。

「え?私がジョーカー様に依頼して須藤を襲わせたって言いたいの?
そ、そりゃ確かにジョーカー様に電話をかけてみたことはあるんだけど、結局携帯は繋がらなかったわ。
ジョーカー様にも好みがあるのかしら。それとも電話が殺到していて忙しかったのかしらね…?」
野中エミコのほの暗い笑みを見て、海棠の顔は凍りついてしまう。

「……そ、それ、もう二度とやらないほうがいいよ。
遊びでもなんでも…。人を呪わば穴二つって言うじゃない」
語尾が震えている。野中はジョーカーと接触しようとしていた。
否、本当は接触していて嘘をついているのかも知れない。
その可能性も大だ。海棠だってジョーカーと接触したことなど秘密にしていたい。
例え動機が興味本位だったとしても、それを明かすことは良しとしない。
噂では、ジョーカー様には憎い相手を殺すことも依頼できるし、交渉しだいでは夢を叶えてくれるともいう。
誰だって、今、手に入れている現実がジョーカーの能力によるものだなんて後ろめたくて言うことなど出来ないだろう。

441名無しになりきれ:2013/01/01(火) 15:41:13
割り切れない気分のまま海棠は窓を閉めた。
窓は閉まる寸前に、ぴゅーと甲高い風の音を発した。

(もう一度、ジョーカーに会いたい)ため息が漏れる。
ジョーカーと出会ったあの日から、携帯の呼び出し音は一度も鳴っていない。
だからと言って海棠のほうから電話をかけるという勇気もなかった。
勇気もないくせにジョーカーのことを思うと日に日に胸が苦しくなる自分がいた。

>「やぁ!ワタシ神部衣世って言うの、美術部員! 突然なんだけど、前衛的絵画のモデルになってみない?!」

突然、教室に元気な声が響く。驚いて振り返ると長身の女が佇んでいる。
――神部衣世。
美術部員。一年留年している。そんな噂を聞いたことがある。
海棠の記憶では一度も会話はしたことはないが、嫌いなタイプではなかった。
留年を経験していたという噂が、何となく心の緊張を解く。
彼女も自分よりなのかもと思う。同じ学園の異分子。そんな気持ちだった。

「わ、悪いけど私、自分を見られるのってあんまり好きじゃないから…。ほ、他の人に頼んでみたら?」
海棠は、神部が会話のきっかけを掴みたいだけなことなど知らない。
なので真に受けていた。全身に心臓があるような感じで、体全体が恥ずかしさで脈打っていた。
それとは正反対に、野中はメガネをピキンと輝かせながら挙手をしている。

「あーそれなら私を描いてください。いいでしょ?
さあ早く!美術室にいきましょ!あ、海棠さんも一緒にいきましょー!」
神部、海棠、二人の手を引っ張って野中は廊下に歩みだした。

442名無しになりきれ:2013/01/01(火) 15:52:34
割り切れない気分のまま海棠は窓を閉めた。
窓は閉まる寸前に、ぴゅーと甲高い風の音を発した。

(もう一度、ジョーカーに会いたい)ため息が漏れる。
ジョーカーと出会ったあの日から、携帯の呼び出し音は一度も鳴っていない。
だからと言って海棠のほうから電話をかけるという勇気もなかった。
勇気もないくせにジョーカーのことを思うと日に日に胸が苦しくなる自分がいた。

>「やぁ!ワタシ神部衣世って言うの、美術部員! 突然なんだけど、前衛的絵画のモデルになってみない?!」

突然、教室に元気な声が響く。驚いて振り返ると長身の女が佇んでいる。
――神部衣世。
美術部員。一年留年している。そんな噂を聞いたことがある。
海棠の記憶では一度も会話はしたことはないが、嫌いなタイプではなかった。
留年を経験していたという噂が、何となく心の緊張を解く。
彼女も自分よりなのかもと思う。同じ学園の異分子。そんな気持ちだった。

「わ、悪いけど私、自分を見られるのってあんまり好きじゃないから…。ほ、他の人に頼んでみたら?」
海棠は、神部が会話のきっかけを掴みたいだけなことなど知らない。
なので真に受けていた。全身に心臓があるような感じで、体全体が恥ずかしさで脈打っていた。
それとは正反対に、野中はメガネをピキンと輝かせながら挙手をしている。

「あーそれなら私を描いてください。いいでしょ?
さあ早く!美術室にいきましょ!あ、海棠さんも一緒にいきましょー!」
神部、海棠、二人の手を引っ張って野中は廊下に歩みだした。
海棠はその様子に再度いぶかしむ。野中は海棠よりも無口で大人しい子だったはず。
もしかしたら、いじめっ子の須藤竜子がいなくなったおかげで明るさを取り戻したのだろうか。
そんな疑問も置き去りに、三人の足音はリノリウムの床に響く。

443名無しになりきれ:2013/01/03(木) 17:03:42
>――パリーン! カプセルが砕け散るような音が響いた。そして我は無傷で立っていた。

『ば、ばかな!?きさまはマトリョーシカか!?』

>「ラスボス! お前の正体がなんとなく分かった気がする……。”創造主”の残留思念……。
 自らの手を離れ意思を持って一人歩きを始めた《世界》への嫉妬、恨み、憎しみ……。
 怨念だけが意思を持って世界に留まった存在ではないか!?」

『くくく、この世界の成れの果てを目の当たりにしてしまえば創造主でさえも怨念と化すだろうよ。
よーく見るがいいユグドラ。お前の作り上げたこの世界を。
変わらぬ永遠と美しい静寂を捨てたお前らの醜い世界を、このざまを。
与えられては奪われる。その繰り返しではなかったか?
救われることもなく繰り返される…永遠の悲しみのな!』

「バカな神様ずらね…」

生首のスカーがあらわれた。

「怖いのは死ぬことでも生きることでもないずら。…執着をもつことずら。
でも俺は生きることに執着しなかったずら。命を捨ててユグドラを庇ったずら。
それはなぜか分かるずらか?」

『ちっぽけなプライドというものだろう』

「ちがうずら。俺たちは見えない絆で繋がっていたからずら。
絆は永遠に失うことはないのずら。だから執着なんてもとからなかったずらよ」

『………』

ラスボスは無言になった。
そこへ意気揚々とノアが解説を入れる。

>「その通り。みんな、反撃開始だ!
 あいつが付けている名札に書いてある”神”と言う肩書、あれを”紙”に書き換えれば勝てる!!
 一気に畳み掛けろ!」

そしてブラッディは神の肩書きを紙に書き換えた。

444名無しになりきれ:2013/01/05(土) 22:08:29
巨馬の黒瞳に映る紫電の光。視線の先には杖を持ち決死の覚悟を決めるテオボルト。
ボレアースは、このような人間(?)が実在しているということに驚きの色を隠せないでいた。
そう言えば、風の噂で聞いたことがある。

ある属性の魔法に異常なまでの適性を示す。
ある魔法を生まれつき能力として有している。
未知なる力に開眼する。
今までは天才と言われて来た種類の子供たちが、
続々と生まれ始めているという噂を。

なるほど、このような人間が増え始めているというのなら
神に対する信仰心などが減少しているという事実も頷けた。
しかし、まだ早い。ボレアースは全身に力をこめる。
神の前では人はまだまだ無力なのだということを、この世界に示さなければならない。
人が神にとって変わるなどあってはならぬことであり、あたりまえのことなのだ。

そのときだった。魔力の放出を感じた。

>「神同士潰しあってりゃぁええがね!!!」
ササミの声が頭の内部で何度も反響する。「まずい」と巨馬は思う。
しかし、氷の槍を放つべく、氷の魔力を最大限まで宿した体はまるで固定砲台。
動けないのだ。射線上に立つテオボルトに氷の槍を放つまでは。
続けて両耳が捉えたのは僅かな時空震。
なんということか。リリィの体から幽霊のような女が浮かび上がってた。
それは六角形の物体を連続し壁を展開させると、
巨大雪玉の軌道を大きく変えることに成功する。

これはボレアース最大の失策だった。
ササミの魔力を吸収した首飾りに亀裂が生じる。
その僅かな隙間から無数の触手が噴出する。それは「蔦」だった。
魔力の高いものを求め彷徨うように広がると身動きのとれないボレアースを捉える。
巨体に突き刺さり、その呪いを解く。
そして神の姿に戻したあとにエネルギーである神気というものを飲み込んでゆく。

「うおおおお!吸われるのじゃあああ!きさまらが邪魔をしたせいじゃ。
クロノストーンが復活してしまうぞいいいいい!!」
神の姿に戻ったボレアースは髭もじゃの初老の姿をしていたが、みるみるうちにやせ細ってミイラのようになった。

445名無しになりきれ:2013/01/05(土) 22:20:39
巨馬の黒瞳に映る紫電の光。視線の先には杖を持ち決死の覚悟を決めるテオボルト。
ボレアースは、このような人間(?)が実在しているということに驚きの色を隠せないでいた。
その覚悟と秘められた魔導の才に…。そう言えば、風の噂で聞いたことがある。

ある属性の魔法に異常なまでの適性を示す。
ある魔法を生まれつき能力として有している。
未知なる力に開眼する。
今までは天才と言われて来た種類の子供たちが、
続々と生まれ始めているという噂を。

なるほど、このような人間が増え始めているというのなら
神に対する信仰心などが減少しているという現実も頷けた。
しかし、まだ早い。ボレアースは全身に力をこめる。
神の前では人はまだまだ無力なのだということを、この世界に示さなければならない。
人が神にとって代わるなどあってはならぬことなのだ。

そのときだった。

>「神同士潰しあってりゃぁええがね!!!」
ササミの声が頭の中で何度も反響する。魔力の放出を感じる。「まずい」と巨馬は思う。
しかし、氷の槍を放つべく、氷の魔力を最大限まで宿した体はまるで固定砲台。
動けないのだ。射線上に立つテオボルトに氷の槍を放つまでは。
続けて両耳が捉えたのは僅かな時空震。
なんということか。リリィの体から幽霊のような女が浮かび上がっていた。
それは六角形の物体を連続し壁を展開させると、巨大雪玉の軌道を大きく変えることに成功する。

これはボレアース最大の失策だった。
ササミの魔力を吸収した首飾りに亀裂が生じる。
その僅かな隙間から無数の触手が噴出した。「蔦」だった。
それは魔力の高いものを求め彷徨うように広がると身動きのとれないボレアースを捉える。
捲きつき固定するとその巨体に突き刺さり呪いを解く。
そして神の姿に戻したあとにエネルギーである神気というものを飲み込んでゆく。

「うおおおお!吸われるのじゃあああ!きさまらが邪魔をしたせいじゃ。
クロノストーンが復活してしまうぞいいいいい!!」
神の姿に戻ったボレアースは髭もじゃの初老の姿をしていたが、みるみるうちにやせ細ってミイラのようになった。

446名無しになりきれ:2013/01/05(土) 22:29:16
巨馬の黒瞳に映る紫電の光。視線の先には杖を持ち決死の覚悟を決めるテオボルト。
ボレアースは、このような人間(?)が実在しているということに驚きの色を隠せないでいた。
その覚悟と秘められた魔導の才に…。そう言えば、風の噂で聞いたことがある。

ある属性の魔法に異常なまでの適性を示す。
ある魔法を生まれつき能力として有している。
未知なる力に開眼する。
今までは天才と言われて来た種類の子供たちが、
続々と生まれ始めているという噂を。

なるほど、このような人間が増え始めているというのなら
神に対する信仰心などが減少しているということも頷けた。
しかし、まだ早い。ボレアースは全身に力をこめる。
神の前では人はまだまだ無力なのだということを、この世界に示さなければならない。
人が神にとって代わるなどあってはならぬことなのだ。

そのときだった。

>「神同士潰しあってりゃぁええがね!!!」
ササミの声が頭の中で何度も反響する。魔力の放出を感じる。「まずい」と巨馬は思う。
しかし、氷の槍を放つべく、氷の魔力を最大限まで宿した体はまるで固定砲台。
自らの強力過ぎる魔力のために凍てついて動けないのだ。射線上に立つテオボルトに氷の槍を放つまでは。
続けて両耳が捉えたのは僅かな時空震。
なんということか。リリィの体から幽霊のような女が浮かび上がっている。
それは六角形の物体を連続し壁を展開させると、巨大雪玉の軌道を大きく変えることに成功する。

これはボレアース最大の失策だった。
ササミの魔力を吸収した首飾りに亀裂が生じる。
その僅かな隙間から無数の触手が噴出した。「蔦」だった。
それは魔力の高いものを求め彷徨うように広がると身動きのとれないボレアースを捉える。
捲きつき固定するとその巨体に突き刺さり呪いを解く。
そして神の姿に戻したあとにエネルギーである神気というものを飲み込んでゆく。

「うおおおお!吸われるのじゃあああ!きさまらが邪魔をしたせいじゃ。
クロノストーンが復活してしまうぞいいいいい!!」
神の姿に戻ったボレアースは髭もじゃの初老の姿をしていたが、みるみるうちにやせ細ってミイラのようになってしまった。

447名無しになりきれ:2013/01/06(日) 12:39:12
頭がキンキンする。冷気で血が淀んでいる。
だからルナの思考は鈍くなっていた。

ボレアースに蹴飛ばされ、二つに割れた雪だるまの片割れをどうにかするべく
フリードは自分自身を氷の腕で吹っ飛ばす。
なんという元気だろうか。否、それは元気というものを超えている。
ルナはえへへと薄い笑みを浮かべた。
あとはわずかに残された魔力で、足元の雪原に反転魔法をかけ
冷たさを熱さに変え穴を開ければ…

しかしその笑顔は凍りつく。
幽霊の女の出現。続いて

>「あ〜〜〜こうなったら一蓮托生だぎゃあああ!!」
なんとササミが首飾りに魔力を供給しはじめたのだ。
と同時に負ぶさってきたリリィが丸い物体になってころりと落ちる。

「ひっ!!」
ルナは生首が落ちてきたと思ってびっくりした。
しかしすぐに首飾りを外してササミから離れると、丸いものを拾い上げて反転魔法を流そうとする。
時間を捲き戻してリリィを再生するつもりなのだ。
でも魔力も少なく、まして時間に干渉するほどの力をルナはもっていない。

「なにこれ!どうなっちゃってるのよ。誰かなんとかして!!」
金切り声をあげたが、その声は自分でも驚いてしまうほど小さい。
気道も肺も寒さで縮み上がっているのだ。声など出ないのだ。

そして目の前に現れた白いドレスの女が、「次はお前だ」とばかりにルナを指差す。
ルナは負けじと迫り来る雪玉を指差す。すると女は雪玉の排除を優先させ
女が出現させた壁は雪玉の軌道を変える事に成功する。

「た、たすかったぁ!」
とりあえず雪玉という目の前の恐怖は去った。
だがササミの魔力を吸収した首飾りには亀裂が生じていた。
その僅かな隙間から無数の触手が溢れ出して来る。それは「蔦」だった。

蔦の主タナトストーンは、ボレアースをわざと神に戻し、純正の神気の吸収に成功すると
次に生徒たちの魔力に反応しざわざわと触手のように動きだす。

448名無しになりきれ:2013/01/06(日) 12:53:33
頭がキンキンする。冷気で血が淀んでいる。
だからルナの思考は鈍くなっていた。

ボレアースに蹴飛ばされ、二つに割れた雪だるまの片割れをどうにかするべく
フリードは自分自身を氷の腕で吹っ飛ばす。
なんという元気だろうか。否、それは元気というものを超えている。
彼は術者である自分を気絶させて雪玉を消すつもりだったのだろう。
ルナはフリードの心意気に感化され、腰に下がったタクトに手をかける。
もう自分たちでなんとかするしかない。こうなったらわずかに残された魔力で、
足元の雪原に反転魔法をかけ、冷たさを熱さに変え穴を開けるしか…

しかしその表情は凍りつく。
幽霊の女の出現。続いて

>「あ〜〜〜こうなったら一蓮托生だぎゃあああ!!」
なんとササミが首飾りに魔力を供給しはじめたのだ。
と同時に負ぶさってきたリリィが丸い物体になってころりと落ちる。

「ひっ!!」
ルナは生首が落ちてきたと思ってびっくりした。
しかしすぐに首飾りを外してササミから離れると、丸いものを拾い上げて反転魔法を流そうとする。
時間を捲き戻してリリィを再生するつもりなのだ。
でも魔力も少なく、まして時間に干渉するほどの力をルナはもっていない。

「なにこれ!どうなっちゃってるのよ。誰かなんとかして!!」
パニックになり金切り声をあげたが、その声は自分でも驚いてしまうほど小さい。
気道も肺も寒さで縮み上がっているのだ。声など出ないのだ。

そして目の前に現れた白いドレスの女が、「次はお前だ」とばかりにルナを指差す。
ルナは負けじと迫り来る雪玉を指差す。すると女は雪玉の排除を優先させ
女が出現させた壁は雪玉の軌道を変える事に成功する。

「た、たすかったっ!」
とりあえず雪玉という目の前の恐怖は去った。
だがササミの魔力を吸収した首飾りには亀裂が生じていた。
その僅かな隙間から無数の触手が溢れ出して来る。それは「蔦」だった。

蔦の主タナトストーンは、ボレアースをわざと神に戻し、純正の神気の吸収に成功すると
次に生徒たちの魔力に反応しざわざわと触手のように動きだす。

449名無しになりきれ:2013/01/10(木) 11:21:43
テオドールの魔法でズタズタに破壊されるクロノストーンの右腕。噴出する真紅の鮮血。
フリードに打ち下ろされんとしていた大鎌は、握力を失った主のもとからすり抜けて、雪原へと突き刺さった。

>「名前が知りたければ教えて差し上げよう。テオボルト・ジェナス。自分探し途中のただの魔法使いだ。
 封印されてたのは貴様か? 封じられるのが嫌なら、そっ首落としてそこらの森の獣の餌にしてくれよう」

「ほほう、テオボルト君。君は農民になれ。

450名無しになりきれ:2013/01/12(土) 03:15:09
芸事を観客に見せることによって、鳥居は喝采の拍手を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証。

門を塞ぎ終えると足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
呟いて男を見れば怪我はそれほど深くはないようだった。
ほっと胸を撫で下ろし、視線をあかねに移す。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

あかねは出会った当初のあっけらかんとした調子で皆を急かしてくる。
鳥居が吸血鬼となったことに怪訝な表情を見せたのは気のせいだったのだろうか。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探すなどとらしくないことを言ってはいるが、結局は安全な道を選ぶという彼らしい行動だった。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「お願いします」

451名無しになりきれ:2013/01/12(土) 11:56:48
芸事を観客に見せることによって、鳥居は喝采の拍手を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でもこの異国に来てからというもの、
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。
それはいったいなんなのだろう。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

沈黙が落ちる。しばらくして…

「マリーさんってどうしてこんな仕事をやってるんですか?」
鳥居は恐る恐る聞いてみた。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

あかねは出会った当初のあっけらかんとした調子で皆を急かしてくる。
鳥居が吸血鬼となったことに怪訝な表情を見せたのは気のせいだったのだろうか。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探すなどとらしくないことを言ってはいるが、結局は安全な道を選ぶという彼らしい行動だった。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「お願いします」

452名無しになりきれ:2013/01/12(土) 13:44:56
芸事を観客に見せることによって、鳥居は喝采の拍手を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でもこの異国に来てからというもの、
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。
それはいったいなんなのだろう。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

沈黙が落ちる。しばらくして…

「マリーさんってどうしてこんな仕事をやってるんですか?
いざとなったら生身の人間も殺しちゃうんですよね。女の人なのに…」
鳥居は恐る恐る聞いてみた。マリーには何か目的があるのだろう。
そう思う。それが何かを知りたいと思う。強い意志を生み出す何か。
鳥居とは違う何か。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

あかねは出会った当初のあっけらかんとした調子で皆を急かしてくる。
鳥居が吸血鬼となったことに怪訝な表情を見せたのは気のせいだったのだろうか。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探すなどとらしくないことを言ってはいるが、結局は安全な道を選ぶという彼らしい行動だった。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「お願いします」

453名無しになりきれ:2013/01/12(土) 14:32:19
芸事を観客に見せることによって、鳥居は喝采の拍手を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でも鳥居は、フェイと接触することで、自分の内側に眠る何か恐ろしいものに気付きはじめていた。
あの老人は鏡だったのだ。彼は大切な絆を守るために他人の命を奪おうとした。
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。それはいったいなんなのだろう。

心の奥底に眠る狂気のようなもの。
こんなものがある限り、神気なんて自然に消滅してしまっていたかも知れない。
神気なんて大層なもの、この愚かな道化師には不釣合いだったのだ。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

そして、すでに動かなくなった動死体を見ながら逡巡する。
動死体と不死の王は何か繋がりがあるはず。その王が存在しているという王宮の地下。
彼は不死となってから、形の残る財や宝を好んだという。
少し自分と似ていると思う。卵細工を好む自分と。そう思うと怖かった。
と同時に鳥居が救われる答えがあるのかも知れない。そんな祈りにも近い希望も感じた。

鳥居は蒸発の音にふと我に返る。
気が付けば、あかねが水を召喚し僧房の入り口の火を消している。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

彼女は変わらない。そんないつも明るい彼女を羨ましくも思う。
鳥居を吸血鬼と知り、先ほど見せた怪訝な顔はすでになかった。

454名無しになりきれ:2013/01/12(土) 14:51:28
芸事を観客に見せることによって、鳥居は喝采の拍手を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でも鳥居は、フェイと接触することで、自分の内側に眠る何か恐ろしいものに気付きはじめていた。
あの老人は鏡だったのだ。彼は大切な絆を守るために他人の命を奪おうとした。
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。それはいったいなんなのだろう。

心の奥底に眠る狂気のようなもの。
こんなものがある限り、神気など、戦いで消耗する以前に自然消滅してしまったかも知れない。
そう、神気なんて大層なもの、この愚かな道化師には不釣合いだったのだ。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

そして、すでに動かなくなった動死体を見ながら逡巡する。
動死体と不死の王は何か繋がりがあるはず。その王が存在しているという王宮の地下。
彼は不死となってから、形の残る財や宝を好んだという。
少し自分と似ていると思う。卵細工を好む自分と。そう思うと怖かった。

鳥居は蒸発の音にふと我に返る。
気が付けば、あかねが水を召喚し僧房の入り口の火を消している。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

彼女は変わらない。そんないつも明るい彼女を羨ましくも思う。
鳥居を吸血鬼と知り、先ほど見せた怪訝な顔はすでになかった。

455名無しになりきれ:2013/01/12(土) 15:12:54
芸事を観客に見せることによって、鳥居は喝采の拍手を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でも鳥居は、フェイと接触することで、自分の内側に眠る何か恐ろしいものに気付きはじめていた。
あの老人は鏡だったのだ。彼は大切な絆を守るために他人の命を奪おうとした。
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。それはいったいなんなのだろう。

心の奥底に眠る狂気のようなもの。
こんなものがある限り、神気など、戦いで消耗する以前に自然消滅してしまったかも知れない。
そう、神気なんて大層なもの、この愚かな道化師には不釣合いだったのだ。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

そして、すでに動かなくなった動死体を見ながら逡巡する。
動死体と不死の王は何か繋がりがあるはず。その王が存在しているという王宮の地下。
彼は不死となってから、形の残る財や宝を好んだという。
少し自分と似ていると思う。卵細工を好む自分と。そう思うと怖かった。

鳥居は蒸発の音にふと我に返る。
気が付けば、あかねが水を召喚し僧房の入り口の火を消している。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

彼女は変わらない。そんないつも明るい彼女を羨ましくも思う。
鳥居を吸血鬼と知り、先ほど見せた怪訝な顔はすでになかった。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探す。生還屋らしい言葉。そのほうが安全。彼らしい言葉。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「はい、信じてます」
少し釘をさし、生還屋を見送ったあと。鳥居はマリーに視線を移す。
フーを救出するまえに、彼女に聞きたいことがあったのだ。

「マリーさんってどうしてこんな仕事をやってるんですか?
いざとなったら生身の人間も殺しちゃうんですよね。女の人なのに…」
恐る恐る聞いてみた。マリーには何か目的があるのだろう。
そう思う。それが何かを知りたいと思う。
鳥居とは違う何か。強い意志を生み出す力。

456名無しになりきれ:2013/01/12(土) 15:21:23
芸事を観客に見せることによって、鳥居は喝采の拍手を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でも鳥居は、フェイと接触することで、自分の内側に眠る何か恐ろしいものに気付きはじめていた。
あの老人は鏡だったのだ。彼は大切な絆を守るために他人の命を奪おうとした。
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。それはいったいなんなのだろう。

心の奥底に眠る狂気のようなもの。
こんなものがある限り、神気など、戦いで消耗する以前に自然消滅してしまったかも知れない。
そう、あんな大層なもの、この愚かな道化師には不釣合いだったのだ。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

そして、すでに動かなくなった動死体を見ながら逡巡する。
動死体と不死の王は何か繋がりがあるはず。その王が存在しているという王宮の地下。
彼は不死となってから、形の残る財や宝を好んだという。
少し自分と似ていると思う。卵細工を好む自分と。そう思うと怖かった。

――鳥居は蒸発の音にふと我に返る。
気が付けば、あかねが水を召喚し僧房の入り口の火を消している。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

彼女は変わらない。そんないつも明るい彼女を羨ましくも思う。
鳥居を吸血鬼と知り、先ほど見せた怪訝な顔はすでになかった。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探すという生還屋らしい言葉。そのほうが安全という彼らしい言葉。
どちらも彼なのだ。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「はい、信じてます」
少し釘をさし、生還屋を見送ったあと鳥居はマリーに視線を移す。
フーを救出するまえに、彼女に聞きたいことがあったのだ。

「マリーさんってどうしてこんな仕事をやってるんですか?
いざとなったら生身の人間も殺しちゃうんですよね。女の人なのに…」
語尾が震えていた。マリーには何か目的があるのだろう。
そう思う。それが何かを知りたいと思う。
鳥居とは違う何か。強い意志を生み出す力の源を。

457名無しになりきれ:2013/01/12(土) 16:07:55
僧房の内部は未だに燃え続けていた。
フーは書庫の中、書棚の下敷きになっていた。
鳥居はフーと書棚の間に出来た隙間に手を入れて、ドタンとひっくり返す。
続けてポケットから小瓶を取り出して水を飲ます。
彼が書庫にいるということは、大切な書物を火災から守ろうとでもしたのだろうか。

「しっかりしてくださいフーさん!大丈夫ですか?あ、ちょっと待ってて」

ぼばん!一旦出で行き、寝室から持ってきた布団を書棚に被せ、
酸素の供給を断ち切り消化する。

「本ですか?なにかの本を探して下敷きになっちゃたとか?」
布団を剥ぎ、焦げた本を指差し問う鳥居。

「あ、そうだ、あかねさん。この寺院がこんなになっちゃったこと
倉橋さんに伝えたほうがいいのでしょうか?
もしも僕たちが寺院から動かなくっちゃダメになったら
お互いに場所がわかんなくなっちゃいますよ。危ないから来るなとか、進行状況とか。
フーさんの人形で連絡と確認できませんか?
交信が繋がったらあとはマリーさんに話してもらいましょう」

458名無しになりきれ:2013/01/12(土) 16:33:33
僧房の内部は未だに燃え続けていた。
フーは書庫の中、書棚の下敷きになっていた。
鳥居はフーと書棚の間に出来た隙間に手を入れて、書棚をドタンとひっくり返す。
続けてポケットから小瓶を取り出してフーに水を飲ます。
彼が書庫にいるということは、大切な書物を火災から守ろうとでもしたのだろうか。

「しっかりしてくださいフーさん!大丈夫ですか?あ、ちょっと待ってて」

一旦書庫から出で行く鳥居。
寝室から持ってきた布団を書棚に被せ、
酸素の供給を断ち切り消化する。

「本ですか?なにかの本を探して下敷きになっちゃたとか?」
布団を剥ぎ、焦げた本を指差し問う。

「あ、そうだ、あかねさん。この寺院がこんなになっちゃったこと
倉橋さんに伝えたほうがいいのでしょうか?
もしも僕たちが寺院から動かなくっちゃダメになったら
お互いに場所がわかんなくなっちゃいますよ。危ないから来るなとか、進行状況とか。
フーさんの人形で連絡と確認できませんか?
交信が繋がったらあとはマリーさんに話してもらいましょう」

そう言ってフーの体の下に頭を入れて抱き起こす。
だが、鳥居が小さいために、フーの膝から下が床に着いている。

「あなたには死んでもらっちゃ困ります。僕、この嘆願だけはやり通したいんです。

459名無しになりきれ:2013/01/12(土) 18:57:18
芸事を観客に見せることによって、鳥居は喝采の拍手を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でも鳥居は、フェイと接触することで、自分の内側に眠る何か恐ろしいものに気付きはじめていた。
あの老人は鏡だったのだ。彼は大切な絆を守るために他人の命を奪おうとした。
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。それはいったいなんなのだろう。

心の奥底に眠る狂気のようなもの。
こんなものがある限り、神気など、戦いで消耗する以前に自然消滅してしまったかも知れない。
そう、あんな大層なもの、この愚かな道化師には不釣合いだったのだ。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

そして、すでに動かなくなった動死体を見ながら逡巡する。
動死体と不死の王は何か繋がりがあるはず。その王が存在しているという王宮の地下。
彼は不死となってから、形の残る財や宝を好んだという。
少し自分と似ていると思う。卵細工を好む自分と。そう思うと怖かった。

――鳥居はあかねの黄色い声にふと我に返る。
気が付けば、あかねがあの動死体と戦っていた男に抱きついてる。
否、正確には塀から飛び降りたあかねを男が受け止めていただけなのだが。
(ぐぎぎぎ)奥歯をかみ締めて嫉妬している鳥居。
かぶり振ってもうどうでもいいと思う。自分は吸血鬼、あかねは人間。
いったい何を求めていたのだろう。あほらしい。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

ただ彼女は変わらない。そんないつも明るい彼女を羨ましくも思う。
鳥居を吸血鬼と知り、先ほど見せた怪訝な顔はすでになかった。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探すという生還屋らしい言葉。そのほうが安全という彼らしい言葉。
どちらも彼なのだ。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「はい、信じてます」
少し釘をさし、生還屋を見送ったあと鳥居はマリーに視線を移す。
フーを救出するまえに、彼女に聞きたいことがあったのだ。

「マリーさんってどうしてこんな仕事をやってるんですか?
いざとなったら生身の人間も殺しちゃうんですよね。女の人なのに…」
すこし語尾がかすれた。緊張で喉がカラカラになる。
マリーには何か目的があるのだろう。
そう思う。それが何かを知りたいと思う。
鳥居とは違う何か。強い意志を生み出す力の源を。

460名無しになりきれ:2013/01/12(土) 19:07:04
芸事を観客に見せることによって、鳥居は拍手喝采を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でも鳥居は、フェイと接触することで、自分の内側に眠る何か恐ろしいものに気付きはじめていた。
あの老人は鏡だったのだ。彼は大切な絆を守るために他人の命を奪おうとした。
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。それはいったいなんなのだろう。

心の奥底に眠る狂気のようなもの。
こんなものがある限り、神気など、戦いで消耗する以前に自然消滅してしまったかも知れない。
そう、あんな大層なもの、この愚かな道化師には不釣合いだったのだ。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

そして、すでに動かなくなった動死体を見ながら逡巡する。
動死体と不死の王は何か繋がりがあるはず。その王が存在しているという王宮の地下。
彼は不死となってから、形の残る財や宝を好んだという。
少し自分と似ていると思う。卵細工を好む自分と。そう思うと怖かった。

――鳥居はあかねの黄色い声にふと我に返る。
気が付けば、あかねがあの動死体と戦っていた男に抱きついてる。
否、正確には塀から飛び降りたあかねを男が受け止めていただけなのだが。
(ぐぎぎぎ)奥歯をかみ締めて嫉妬している鳥居。
かぶり振ってもうどうでもいいと思う。自分は吸血鬼、あかねは人間。
いったい何を求めていたのだろう。不快な感じが胸に残る。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

ただ彼女は変わらない。そんないつも明るい彼女を羨ましくも思う。
鳥居を吸血鬼と知り、先ほど見せた怪訝な顔はすでになかった。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探すという生還屋らしい言葉。そのほうが安全という彼らしい言葉。
どちらも彼なのだ。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「はい、信じてます」
少し釘をさし、生還屋を見送ったあと鳥居はマリーに視線を移す。
フーを救出するまえに、彼女に聞きたいことがあったのだ。

「マリーさんってどうしてこんな仕事をやってるんですか?
いざとなったら生身の人間も殺しちゃうんですよね。女の人なのに…」
すこし語尾がかすれた。緊張で喉はカラカラ。マリーには何か目的があるのだろう。
そう思う。それが何かを知りたいと思う。鳥居とは違う何か。強い意志を生み出す力の源を。

461名無しになりきれ:2013/01/12(土) 19:13:38
芸事を観客に見せることによって、鳥居は拍手喝采を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でも鳥居は、フェイと接触することで、自分の内側に眠る何か恐ろしいものに気付きはじめていた。
あの老人は鏡だったのだ。彼は大切な絆を守るために他人の命を奪おうとした。
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。それはいったいなんなのだろう。

心の奥底に眠る狂気のようなもの。
こんなものがある限り、神気など、戦いで消耗する以前に自然消滅してしまったかも知れない。
そう、あんな大層なもの、この愚かな道化師には不釣合いだったのだ。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

そして、すでに動かなくなった動死体を見ながら逡巡する。
動死体と不死の王は何か繋がりがあるはず。その王が存在しているという王宮の地下。
彼は不死となってから、形の残る財や宝を好んだという。
少し自分と似ていると思う。卵細工を好む自分と。そう思うと怖かった。

――鳥居はあかねの黄色い声にふと我に返った。
気が付けば、あかねがあの動死体と戦っていた男に抱きついてる。
否、正確には塀から飛び降りたあかねを男が受け止めていただけなのだが。
(ぐぎぎぎ)奥歯をかみ締めて嫉妬している鳥居。
かぶり振ってもうどうでもいいと思う。自分は吸血鬼、あかねは人間。
いったい何を求めていたのだろう。ただ不快な感じがする。
胸の奥にあの暗い蠢動を感じる。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

ただ彼女は変わらない。そんないつも明るい彼女を羨ましくも思う。
鳥居を吸血鬼と知り、先ほど見せた怪訝な顔はすでになかった。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探すという生還屋らしい言葉。そのほうが安全という彼らしい言葉。
どちらも彼なのだ。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「はい、信じてます」
少し釘をさし、生還屋を見送ったあと鳥居はマリーに視線を移す。
フーを救出するまえに、彼女に聞きたいことがあったのだ。

「マリーさんってどうしてこんな仕事をやってるんですか?
いざとなったら生身の人間も殺しちゃうんですよね。女の人なのに…」
すこし語尾がかすれた。緊張で喉はカラカラ。マリーには何か目的があるのだろう。
そう思う。それが何かを知りたいと思う。鳥居とは違う何か。強い意志を生み出す力の源を。

462名無しになりきれ:2013/01/12(土) 19:54:06
僧房の内部は未だに燃え続けていた。
フーは書庫の中、書棚の下敷きになっていた。
鳥居はフーと書棚の間に出来た隙間に手を入れて、書棚をドタンとひっくり返す。
続けてポケットから小瓶を取り出してフーに水を飲ます。
彼が書庫にいるということは、大切な書物を火災から守ろうとでもしたのだろうか。

「しっかりしてくださいフーさん!大丈夫ですか?あ、ちょっと待ってて」

一旦書庫から出で行く鳥居。
寝室から持ってきた布団を書棚に覆い被せ、
酸素の供給を断ち切り消化する。

「もしかして本を探していたのですか?
それってどれですか?燃えちゃったら大変です!」
布団を剥ぎ、焦げた本を指差し問う。

「あ、そうだ、あかねさん。この寺院がこんなになっちゃったこと
倉橋さんに伝えたほうがいいのでしょうか?
もしも僕たちが寺院から動かなくっちゃダメになったら
お互いに場所がわかんなくなっちゃいますよ。危ないから来るなとか、進行状況とか。
フーさんの人形で連絡と確認できませんか?
交信が繋がったらあとはマリーさんに話してもらいましょう」

そう言ってフーの体の下に頭を入れて抱き起こす。
だが、鳥居が小さいために、フーの膝から下が床に着いている。

「あなたには死んでもらっちゃ困ります。だって僕、この嘆願をやり遂げるって決めたんです。
もしも王宮の地下に不死の王がいるのなら会ってみたい。だから生きてください。
そして足を上げてください。脛が傷だらけになちゃうと悪いから!」
鳥居はフェイを背に乗せて、前かがみになった。
脱出する準備万全だ。指示されるがままにフェイを安全な場所に運ぶだろう。

463名無しになりきれ:2013/01/12(土) 20:02:10
芸事を観客に見せることによって、鳥居は拍手喝采を浴びる。
人を助けることによって、感謝される。
誰かの記憶に残ることによって、人との繋がりを手に入れる。
それが鳥居の存在の証であり心地よいこと。

今まではそう思って生きてきた。
でも鳥居は、フェイと接触することで、自分の内側に眠る何か恐ろしいものに気付きはじめていた。
あの老人は鏡だったのだ。彼は大切な絆を守るために他人の命を奪おうとした。
何かほの暗いものが心の奥底で蠢動しているのを感じる。それはいったいなんなのだろう。

心の奥底に眠る狂気のようなもの。
こんなものがある限り、神気など、戦いで消耗する以前に自然消滅してしまったかも知れない。
そう、あんな大層なもの、この愚かな道化師には不釣合いだったのだ。

門を塞ぎ終えると、鳥居は肩で息をしながら足早にマリーたちを追う。
すぐに目に飛び込んだものはマリーに倒された動死体の山。

「すごいですね。マリーさんって…」
動死体の脳幹を一突き。見事な剣さばきだ。
これほどのことを、彼女は誰にも褒められるわけでもなくやってのけた。
過去にも影に隠れてやってきたのだ。命を懸け、自らの体を汚しながら。
鳥居には、そんなにまでして、なぜ、どうして。と疑問が沸く。

そして、すでに動かなくなった動死体を見ながら逡巡する。
動死体と不死の王は何か繋がりがあるはず。その王が存在しているという王宮の地下。
彼は不死となってから、形の残る財や宝を好んだという。
少し自分と似ていると思う。卵細工を好む自分と。そう思うと怖かった。

――鳥居はあかねの黄色い声にふと我に返る。
気が付けば、あかねがあの動死体と戦っていた男に抱きついてる。
否、正確には塀から飛び降りたあかねを男が受け止めていただけなのだが。
(ぐぎぎぎ)奥歯をかみ締めて嫉妬している鳥居。
かぶり振ってもうどうでもいいと思う。自分は吸血鬼、あかねは人間。
いったい何を求めていたのだろう。ただ不快な感じがする。
胸の奥にあの暗い蠢動を感じる。

>「どやっ!ここはウチらに任せといた方がよさそうやろ?
 フーはん、あん中におるんやね?……よっしゃ、急ご!マリーはん!鳥居はん!
 生還屋はんは……」

ただ彼女は変わらない。そんないつも明るい彼女を羨ましくも思う。
鳥居を吸血鬼と知り、先ほど見せた怪訝な顔はすでになかった。

>「あー、俺ぁ生き残りを探してくるとするぜ。オメーらに付いていくよか、その方が安全そうだしよ」
生還屋はぶっきらぼうな口調で、あかねの言葉を断ち切った。
生き残りを探すという生還屋らしい言葉。そのほうが安全という彼らしい言葉。
どちらも彼なのだ。

>「まっ、安心しろよ。ヤバそうな気がしたら、そんときゃ連れ戻しに行ってやっから」

「ハイ、シンジテマス」
少し釘をさし、生還屋を見送ったあと鳥居はマリーに視線を移す。
フーを救出するまえに、彼女に聞きたいことがあったのだ。

「マリーさんってどうしてこんな仕事をやってるんですか?
いざとなったら生身の人間も殺しちゃうんですよね。女の人なのに…」
すこし語尾がかすれる。緊張で喉はカラカラ。マリーには何か目的があるのだろう。
そう思う。それが何かを知りたいと思う。鳥居とは違う何か。強い意志を生み出す力の源を。

464名無しになりきれ:2013/01/12(土) 20:16:38
僧房の内部は未だに燃え続けていた。
フーは書庫の中、書棚の下敷きになっていた。
鳥居はフーと書棚の間に出来た隙間に手を入れて、書棚をドタンとひっくり返す。
続けてポケットから小瓶を取り出してフーに水を飲ます。
彼が書庫にいるということは、大切な書物を火災から守ろうとでもしたのだろうか。

「しっかりしてくださいフーさん!大丈夫ですか?あ、ちょっと待ってて」

一旦書庫から出で行く鳥居。
寝室から持ってきた布団を書棚に覆い被せ、
酸素の供給を断ち切り消化する。

「もしかして本を探していたのですか?
それってどれですか?マリーさん、持っていきましょう!」
布団を剥ぎ、焦げた本を指差し問う。

「あ、そうだ、あかねさん。この寺院がこんなになっちゃったこと
倉橋さんに伝えたほうがいいのでしょうか?
もしも僕たちが寺院から動かなくっちゃダメになったら
お互いに場所がわかんなくなっちゃいますよ。危ないから来るなとか、進行状況とか。
フーさんの人形で連絡と確認できませんか?
交信が繋がったらあとはマリーさんに話してもらいましょう」

そう言ってフーの体の下に頭を入れて抱き起こす。
だが、鳥居が小さいために、フーの膝から下が床に着いている。

「あなたには死んでもらっちゃ困ります。だって僕、この嘆願をやり遂げるって決めたんです。
もしも王宮の地下に不死の王がいるのなら会ってみたい。だから生きてください。
そして足を上げてください。脛が傷だらけになちゃうと悪いから!」
鳥居はフェイを背に乗せて、前かがみになった。
脱出する準備万全だった。指示されるがままにフェイを安全な場所に運ぶだろう。
その胸中に、もしかしたら不死の王に会えるかも知れないという期待。
自分の孤独な魂が、救われるかも知れないという微かな希望を宿しながら。

465名無しになりきれ:2013/01/16(水) 16:31:32
――大正時代。震災の爪痕も今は昔。
奇跡的に倒壊から免れた皇国の玄関『東京駅』
この赤褐色の建物を中心に帝都は復興を続けてきた。
かかるご時世とあらば、大東京一の盛り場である銀座も、
さぞかし火の消えたようになっているかと思わらるであろうが、さにあらず。
騒いで憂さを晴らしたいのか、老若男女が繰り出し大変な人出となっていた。
カフェーの女給と腕を組んでいる紳士。
少女歌劇の男役もかくやという断髪したモダンガールが
ロイド眼鏡にステッキ姿のモダンボーイを従えてペイヴメントを闊歩している。
その活気溢れるさまは夏の宵に相応しい。

ところ変わって裏通りの長屋。武者小路頼光の住居は今宵も慌しかった。
彼はあろうことか犬と格闘していた。それも三日前に隣人から預かった犬である。

「うおおお、この馬鹿犬!人様の家をめちゃくちゃにしやがってゆるさんぞ!!」
怒る頼光の周囲を、綿埃のような小型犬がキャンキャンと吠えながら暴れ回っている。
小型犬の名前は「満月」と飼い主から聞いている。きっと白くて丸いからだろう。
満月は枕の綿を引きずり出し、ドテラを引きちぎって、
その切れた布を咥えながら頼光から逃げ回っていた。小型犬が半狂乱しているのには理由があった。
実はとても空腹なのだ。その原因は頼光にあった。
彼は、満月の飼い主から預かった犬ビスケットを半分以上食べてしまっていたのだ。
隣人が旅行から帰って来るのは二日後というのにすでに餌はなかった。

「わかったぁ!わかったからもう暴れるんじゃねえ!
おう、そうだ。これからガキんちょのサーカスにでも行くか。
猛獣にやってる餌があるかも知れねえな。
いや待てよ。公演を何度もすっぽかしているから行きずれえな…。
じゃあ倉橋ん家に行くか?晩御飯の残り物でもあるかも知れねえ。
そうだ、それがいい!ぐわははははは!!」

そのとき、高笑いしている頼光の肩を、ぽんと叩く者がいた。

466名無しになりきれ:2013/01/16(水) 16:36:35
――大正時代。震災の爪痕も今は昔。
奇跡的に倒壊から免れた皇国の玄関『東京駅』
この赤褐色の建物を中心に帝都は復興を続けてきた。
かかるご時世とあらば、大東京一の盛り場である銀座も、
さぞかし火の消えたようになっているかと思わらるであろうが、さにあらず。
騒いで憂さを晴らしたいのか、老若男女が繰り出し大変な人出となっていた。
カフェーの女給と腕を組んでいる紳士。
少女歌劇の男役もかくやという断髪したモダンガールが
ロイド眼鏡にステッキ姿のモダンボーイを従えてペイヴメントを闊歩している。
その活気溢れるさまは夏の宵に相応しい。

ところ変わって裏通りの長屋。武者小路頼光の住居は今宵も慌しかった。
彼はあろうことか犬と格闘していた。それも三日前に隣人から預かった犬である。

「うおおお、この馬鹿犬!人様の家をめちゃくちゃにしやがってゆるさんぞ!!」
怒る頼光の周囲を、綿埃のような小型犬がキャンキャンと吠えながら暴れ回っている。
小型犬の名前は「満月」きっと白くて丸いからだろう。
満月は枕の綿を引きずり出し、ドテラを引きちぎって、
その切れた布を咥えながら頼光から逃げ回っていた。
小型犬が半狂乱しているのには理由は空腹。その原因は頼光にあった。
彼は、満月の飼い主から預かった犬ビスケットを半分以上食べてしまっていたのだ。
隣人が旅行から帰って来るのは二日後というのにすでに餌はない。

「わかったぁ!わかったからもう暴れるんじゃねえ!
おう、そうだ。これからガキんちょのサーカスにでも行くか。
猛獣にやってる餌があるかも知れねえな。
いや待てよ。公演を何度もすっぽかしているから行きずれえな…。
じゃあ倉橋ん家に行くか?晩御飯の残り物でもあるかも知れねえ。
そうだ、それがいい!ぐわははははは!!」

そのとき、高笑いしている頼光の肩を、ぽんと叩く者がいた。

467名無しになりきれ:2013/01/16(水) 16:44:16
――大正時代。震災の爪痕も今は昔。
奇跡的に倒壊から免れた皇国の玄関『東京駅』
この赤褐色の建物を中心に帝都は復興を続けてきた。
かかるご時世とあらば、大東京一の盛り場である銀座も、
さぞかし火の消えたようになっているかと思わらるであろうが、さにあらず。
騒いで憂さを晴らしたいのか、老若男女が繰り出し大変な人出となっていた。
カフェーの女給と腕を組んでいる紳士。
少女歌劇の男役もかくやという断髪したモダンガールが
ロイド眼鏡にステッキ姿のモダンボーイを従えてペイヴメントを闊歩している。
その活気溢れるさまは夏の宵に相応しい。

ところ変わって裏通りの長屋。武者小路頼光の住居は今宵も慌しかった。
彼はあろうことか犬と格闘していた。それも三日前に隣人から預かった犬である。

「うおおお、この馬鹿犬!人様の家をめちゃくちゃにしやがってゆるさんぞ!!」
怒る頼光の周囲を、綿埃のような小型犬がキャンキャンと吠えながら暴れ回っている。
小型犬の名前は「満月」きっと白くて丸いからだろう。
満月はドテラを引きちぎってその切れた布を咥えながら頼光から逃げ回っている。
小型犬が半狂乱している理由は空腹。その原因は頼光にあった。
彼は、満月の飼い主から預かった犬ビスケットを半分以上食べてしまっていたのだ。
隣人が旅行から帰って来るのは二日後というのにすでに餌はない。

「わかったぁ!わかったからもう暴れるんじゃねえ!
おう、そうだ。これからガキんちょのサーカスにでも行くか。
猛獣にやってる餌があるかも知れねえな。
いや待てよ。公演を何度もすっぽかしているから行きずれえな…。
じゃあ倉橋ん家に行くか?晩御飯の残り物でもあるかも知れねえ。
そうだ、それがいい!ぐわははははは!!」
そのとき、高笑いしている頼光の肩を、ぽんと叩くのは女の白い手。

468名無しになりきれ:2013/01/16(水) 19:09:19
背後には黒服の女が立っていた。
見た感じおよそこの長屋に相応しくないその女の名前は双條マリー。
長い髪は後ろに束ねられ、きりりとした気丈な瞳を輝かせながら
端正な双眸を頼光に見せ付けている。

「驚かせてすまない。ある知人から犬の餌の配達を頼まれてきたのだが、
隣には人がいないようだ。悪いが君が預かってはもらえないだろうか?」
マリーは籠に入った犬ビスケットを頼光に差し出した。

「おい、こりゃすげー偶然だな!この犬コロは隣の奴から預かっていた犬だ。
今、腹へって大暴れしてたとこだったんだがな。これで助かったぞ!」
すごい偶然もあるものだと驚嘆しながら、頼光は犬ビスケットの封を開け満月に与える。
すると満月は袋の中に顔を突っ込み餌を貪り始めるのだった。
兎にも角にもものすごいのは犬の気迫。頼光はあまりの気迫に面食らってしまい言葉が喉につまった。
さすがのマリーも口をぽかんと開けている。

469名無しになりきれ:2013/01/16(水) 19:27:23
背後には黒服の女が立っていた。
見た感じおよそこの長屋に相応しくないその女の名前は双條マリー。
長い髪は後ろに束ねられ、きりりとした気丈な瞳を輝かせながら
端正な双眸を頼光に見せ付けている。

「驚かせてすまない。ある知人から犬の餌の配達を頼まれてきたのだが、
隣には人がいないようだ。悪いが君がこの荷物を預かってはもらえないだろうか?」
マリーは籠に入った犬ビスケットを頼光に差し出した。

「おい、こりゃすげー偶然だな!この犬コロは隣の奴から預かっていた犬だ。
今、腹へって大暴れしてたとこだったんだがな。これで助かったぞ!」
すごい偶然もあるものだと驚嘆しながら、頼光は犬ビスケットの封を開け満月に与える。
すると満月は袋の中に顔を突っ込み餌を貪り始めるのだった。
兎にも角にもものすごいのは犬の気迫。頼光はあまりの気迫に面食らってしまい言葉が喉につまった。
さすがのマリーも口をぽかんと開けている。

「この小型犬、めずらしいな。血統書付きの犬のように思える。
失礼だがこんな長屋には不釣合いなほど高級な犬のようだ。隣人はいったい何者なのだ?」
マリーはしゃがみこむと犬の背を撫でながら問う。

「ん、ここだけの話。わけありの夫婦みてえだな。駆け落ちしてこの長屋に転がり込んだって噂だけどよ。
この間、富くじが当たって、二人でまだやってねえ新婚旅行に行くんだとかなんとか言ってたぞ」

470名無しになりきれ:2013/01/16(水) 20:31:41
背後には黒服の女が立っていた。
見た感じおよそこの長屋に相応しくないその女の名前は双條マリー。
長い髪は後ろに束ねられ、きりりとした気丈な瞳を輝かせながら
端正な双眸を頼光に見せ付けている。

「驚かせてすまない。ある知人から犬の餌の配達を頼まれてきたのだが、
隣には人がいないようだ。悪いが君がこの荷物を預かってはもらえないだろうか?」
マリーは籠に入った犬ビスケットを頼光に差し出した。

「おい、こりゃすげー偶然だな!この犬コロは隣の奴から預かっていた犬だ。
今、腹へって大暴れしてたとこだったんだがな。これで助かったぞ!」
すごい偶然もあるものだと驚嘆しながら、頼光は犬ビスケットの封を開け満月に与える。
すると満月は袋の中に顔を突っ込み餌を貪り始めるのだった。
兎にも角にもものすごいのは犬の気迫。頼光はあまりの気迫に面食らってしまい言葉が喉につまった。
さすがのマリーも口をぽかんと開けている。

「この小型犬、めずらしいな。血統書付きの犬のように思える。
失礼だがこんな長屋には不釣合いなほど高級な犬のようだ。隣人はいったい何者なのだ?」
マリーはしゃがみこむと犬の背を撫でながら問う。

「ん、ここだけの話。わけありの夫婦みてえだぞ。駆け落ちしてこの長屋に転がり込んだって噂だけどよ。
この間、富くじが当たって、二人でまだやってねえ新婚旅行に行くんだとかなんとか言ってたな。
つーか気になってんだけどよ。なんであんたが犬の餌なんて配達しに来たんだ?」

「フッ…、たんなる野暮用さ。とある知人の経営する貿易商が店じまいすることになってな。
七月二十八日の着日指定だった商品を急遽今日配達することになった。
知人には恩があったのでな。断り切れなかったのだ……」

それだけ言い置くと、仕事が残っているからと、マリーは帰って行った。
頼光は表通りまで見送り、再び長屋に戻ると満月の頭を撫でた。

「よく食うなおめえ。また餌がなくなっちまうぞ。
って、ちょっと待て。今日は何日だ?」
眉間に中指を当て、もみもみと解す。新婚旅行から隣人夫婦が帰って来るまでのこり二日。
この犬ビスケットの着日指定日は五日後の二十八日。
頼光は三日分の餌を隣人から預かっていたがそれは半分以上自分が食べてしまった。
それは関係なしとして二日の空白はいったいなんなんだろう。
いや、深く考えることもない。二日後に隣人は帰ってくるはずなのだから。

471名無しになりきれ:2013/01/16(水) 21:33:58
背後には黒服の女が立っていた。
見た感じおよそこの長屋に相応しくないその女の名前は双條マリー。
長い髪は後ろに束ねられ、きりりとした気丈な瞳を輝かせながら
端正な双眸を頼光に見せ付けている。

「驚かせてすまない。ある知人から犬の餌の配達を頼まれてきたのだが、
隣には人がいないようだ。悪いがこの荷物、君が預かってもらえないだろうか?」
マリーは籠に入った犬ビスケットを頼光に差し出した。

「おい、こりゃすげー偶然だな!この犬コロは隣の奴から預かっていた犬だ。
今、腹へって大暴れしてたとこだったんだがな。これで助かったぞ!」
すごい偶然もあるものだと驚嘆しながら、頼光は犬ビスケットの封を開け満月に与える。
すると満月は袋の中に顔を突っ込み餌を貪り始めるのだった。
兎にも角にもものすごいのは犬の気迫。頼光はあまりの気迫に面食らってしまい言葉が喉につまった。
さすがのマリーも口をぽかんと開けている。

「めずらしいな、この小型犬。血統書付きのように思える。
失礼だがこんな長屋には不釣合いなほど高級な犬のようだ。隣人はいったい何者なのだ?」
マリーはしゃがみこむと犬の背を撫でながら問う。

「ん、ここだけの話。わけありの夫婦みてえだぞ。駆け落ちしてこの長屋に転がり込んだって噂だけどよ。
この間、富くじが当たって、二人でまだやってねえ新婚旅行に行くんだとかなんとか言ってたな。
つーかさっきから気になってんだけどよ。なんであんたが犬の餌なんて配達しに来たんだ?」

「フッ…、たんなる野暮用さ。とある知人の経営する貿易商が店じまいすることになってな。
七月二十八日の着日指定だった商品を急遽今日配達することになった。
知人には恩があったのでな。断り切れなかったのだ……」

それだけ言い置くと、仕事が残っているからと、マリーは帰って行った。
頼光は表通りまで見送り、再び長屋に戻ると満月の頭を撫でた。

「よく食うなおめえ。また餌がなくなっちまうぞ。って、ちょっと待て。今日は何日だ?」
眉間に中指を当て、もみもみと解す。新婚旅行から隣人夫婦が帰って来るまでのこり二日。
この犬ビスケットの着日指定日は五日後の二十八日。
頼光は三日分の餌を隣人から預かっていたがそれは半分以上自分が食べてしまった。
それは関係なしとして二日の空白はいったいなんなんだろう。
頼光は布団にごろりと寝転がると天井を見つめ深い溜め息。それほど考えることもないと目を閉じる。
そう、二日後に隣人は帰ってくるはずなのだから。

472名無しになりきれ:2013/01/16(水) 22:37:09
だがしかし、隣人夫婦は二日経っても帰って来なかった。
海水浴中に二人とも海で溺れ、夫は帰らぬ人に、妻は旅行先の病院へと入院することになったという。
そして奇しくも今日は七月二十八日。
退院した妻が、予定遅れで小型犬を引き取りに来た日と何故か同じ日だった。
彼女は数日後、隣の長屋から高級住宅街へと引っ越すという。

「満月。暴れませんでした?この子、私の言うことしかきかないわがままな子なんです。
おまけにイギリスのドッグフードしか食べれませんの。きっとお腹を空かせていることでしょう」

「いやいや大丈夫でしたよ。犬ビスケットなら間に合いました。
店じまいするってことでなぜか早めにお宅に届いたみたいですな。
もちろん私がきっちり預かって満月ちゃんに食べさせてあげましたよ」

「……え、そうですか」
見開いた女の瞳に頼光の姿と、犬ビスケットの袋が映っている。
袋には可愛らしい犬の絵と「犬ビスケット」という文字が印刷されていた。

「しかし助かりました。今日届くはずの犬の餌が、数日前に届いたんですから。
おかげで大暴れされなくてすみました!がははははは!!」

その言葉を聞いて隣人の女は微笑んだ。

「いいこね」
当たり前かのように満月は、くぅと鳴く。

473名無しになりきれ:2013/01/16(水) 23:13:41
――大正時代。震災の爪痕も今は昔。
奇跡的に倒壊から免れた皇国の玄関『東京駅』
この赤褐色の建物を中心に帝都は復興を続けてきた。
かかるご時世とあらば、大東京一の盛り場である銀座も、
さぞかし火の消えたようになっているかと思わらるであろうが、さにあらず。
騒いで憂さを晴らしたいのか、老若男女が繰り出し大変な人出となっていた。
カフェーの女給と腕を組んでいる紳士。
少女歌劇の男役もかくやという断髪したモダンガールが
ロイド眼鏡にステッキ姿のモダンボーイを従えてペイヴメントを闊歩している。
その活気溢れるさまは夏の宵に相応しい。

ところ変わって裏通りの長屋。武者小路頼光の住居は今宵も慌しかった。
彼はあろうことか犬と格闘していた。それも三日前に隣人から預かった犬である。

「うおおお、この馬鹿犬!人様の家をめちゃくちゃにしやがってゆるさんぞ!!」
怒る頼光の周囲を、綿埃のような小型犬がキャンキャンと吠えながら暴れ回っている。
小型犬の名前は「満月」きっと白くて丸いからだろう。
満月はドテラを引きちぎってその切れた布を咥えながら頼光から逃げ回っている。
小型犬が半狂乱している理由は空腹。その原因は頼光にあった。
彼は、満月の飼い主から預かった犬ビスケットを半分以上食べてしまっていたのだ。
隣人が旅行から帰って来るのは二日後というのにすでに餌はない。

「わかったぁ!わかったからもう暴れるんじゃねえ!
おう、そうだ。これからガキんちょのサーカスにでも行くか。
猛獣にやってる餌があるかも知れねえな。
いや待てよ。公演を何度もすっぽかしているから行きずれえな…。
じゃあ倉橋ん家に行くか?晩御飯の残り物でもあるかも知れねえ。
そうだ、それがいい!ぐわははははは!!」
そのとき、高笑いしている頼光の肩を、ぽんと叩くのは女の白い手。

474名無しになりきれ:2013/01/16(水) 23:19:20
背後には黒服の女が立っていた。
見た感じおよそこの長屋に相応しくないその女の名前は双條マリー。
長い髪は後ろに束ねられ、きりりとした気丈な瞳を輝かせながら
端正な双眸を頼光に見せ付けている。

「驚かせてすまない。ある知人から犬の餌の配達を頼まれてきたのだが、
隣には人がいないようだ。悪いがこの荷物、君が預かってもらえないだろうか?」
マリーは籠に入った犬ビスケットを頼光に差し出した。

「おい、こりゃすげー偶然だな!この犬コロは隣の奴から預かっていた犬だ。
今、腹へって大暴れしてたとこだったんだがな。これで助かったぞ!」
すごい偶然もあるものだと驚嘆しながら、頼光は犬ビスケットの封を開け満月に与える。
すると満月は袋の中に顔を突っ込み餌を貪り始めるのだった。
兎にも角にもものすごいのは犬の気迫。頼光はあまりの気迫に面食らってしまい言葉が喉につまった。
さすがのマリーも口をぽかんと開けている。

「めずらしいな、この小型犬。血統書付きのように思える。
失礼だがこんな長屋には不釣合いなほど高級な犬のようだ。君の隣人はいったい何者なのだ?」
マリーはしゃがみこむと犬の背を撫でながら問う。

「ん、ここだけの話。わけありの夫婦みてえだぞ。駆け落ちしてこの長屋に転がり込んだって噂だけどよ。
この間、富くじが当たって、二人でまだやってねえ新婚旅行に行くんだとかなんとか言ってたな。
つーかさっきから気になってんだけどよ。なんであんたが犬の餌なんて配達しに来たんだ?」

「フッ…、たんなる野暮用さ。とある知人の経営する貿易商が店じまいすることになってな。
七月二十八日の着日指定だった商品を急遽今日配達することになった。
知人には恩があったのでな。断り切れなかったのだ……」

それだけ言い置くと、仕事が残っているからと、マリーは帰って行った。
頼光は表通りまで見送り、再び長屋に戻ると満月の頭を撫でた。

「よく食うなおめえ。また餌がなくなっちまうぞ。って、ちょっと待て。今日は何日だ?」
眉間に中指を当て、眉根をもみもみと解す。新婚旅行から隣人夫婦が帰って来るまでのこり二日。
この犬ビスケットの着日指定日は五日後の二十八日。
頼光は三日分の餌を隣人から預かっていたがそれは半分以上自分が食べてしまった。
それは関係なしとして二日の空白はいったいなんなんだろう。
頼光は布団にごろりと寝転がると天井を見つめ深い溜め息。それほど考えることもないと目を閉じる。
そう、二日後に隣人は帰ってくるはずなのだから。

475名無しになりきれ:2013/01/17(木) 16:08:48
名前 パラケルスス13世
種族 魔人
年齢 23歳
外見 紅いドミノマスクで目元を隠し、金刺繍の朱いタキシードに紅いマントを羽織っている。
   髪はキャラメルブラウン。長いので後ろで束ねている。
技能 錬菌術。
装備、アゾットの古剣。謎の小瓶(凝縮された父親が入っている)

錬金術師パラケルススの末裔。
金属に限らず、様々な物質や、人間の肉体や魂をも対象として
それらをより完全な存在へ練成する試みを日々模索し旅しているのだが
能力が未熟なために様々な失敗を繰り返している。
性格は真面目。父親を尊敬していた。ロンギヌス(聖槍騎士団)が宿敵。

476名無しになりきれ:2013/01/17(木) 16:38:02
名前 パラケルスス13世
種族 魔人
年齢 23歳
外見 紅いドミノマスクで目元を隠し、金刺繍の朱いタキシードに紅いマントを羽織っている。
   髪はキャラメルブラウン。長いので後ろで束ねている。
技能 錬菌術。剣術。
装備、アゾットの古剣。白のポシェット。
   謎の小瓶(凝縮された父親が入っている)

錬金術師パラケルススの末裔。
金属に限らず、様々な物質や、人間の肉体や魂をも対象として
それらをより完全な存在へ練成する試みを日々模索し旅している
しかし如何せん能力が未熟なために様々な失敗を繰り返し続けている。
性格は真面目。父親を尊敬していた。ロンギヌス(聖槍騎士団)が宿敵。

477名無しになりきれ:2013/01/17(木) 19:03:57
名前 リュジー・タライノ
種族 人間
年齢 27歳
外見 ゆるいヴェーブのかかった柔らかな黒髪。透き通った鼻筋。
   綺麗な指の繊細な爪先。頬に傷。黒服。
技能 霊能力
装備 数珠。さらし。短刀。

やくざの若頭。呪怨の家の土地を転がそうとして
組員をいっぱい殺されたから調べ始めたと思っていた。

478名無しになりきれ:2013/01/17(木) 21:21:57
名前:パラケルスス13世
種族:魔人
性別:女
年齢:23歳
技能:錬金術。剣術
外見:紅いドミノマスクで目元を隠し、金刺繍の朱いタキシードに紅いマントを羽織っている。
   髪の色はキャラメルブラウン。長いので後ろで束ねている。
装備:アゾットの古剣。白のポシェット。
   謎の小瓶(凝縮された父親が入っている)
操作許可指定:
設定許可指定:

錬金術師パラケルススの末裔。
金属に限らず、様々な物質や、人間の肉体や魂をも対象として
それらをより完全な存在へ練成する試みを日々模索し研究し続けている。
しかし如何せん、能力が未熟なために様々な失敗を繰り返し続けてきた。
父親を尊敬しており性格は真面目。ロンギヌス(聖槍騎士団)が宿敵。


名前:リュジー・タライノ
種族:人間
性別:男
年齢:27歳
技能:霊能力
外見:ゆるいヴェーブのかかった柔らかな黒髪。透き通った鼻筋。
   綺麗な指の繊細な爪先。頬に傷。黒服。
装備:数珠。さらし。短刀。指輪。
操作許可指定:
設定許可指定:

やくざの若頭。土地買収の際に呪怨の家と関わってしまう。
その後、謎の怪事件多発の末に多くの組員を失ってしまったという不幸者。
右手人差し指にはめた指輪は組員からプレゼントされたもの。
背中には天照大神と龍の刺青が彫られている。

479名無しになりきれ:2013/01/17(木) 21:36:26
名前:パラケルスス13世
種族:魔人
性別:女
年齢:23歳
技能:錬金術。剣術
外見:紅いドミノマスクで目元を隠し、金刺繍の朱いタキシードに紅いマントを羽織っている。
   髪の色はキャラメルブラウン。長いので後ろで束ねている。
装備:アゾットの古剣。白のポシェット。
   謎の小瓶(凝縮された父親が入っている)
操作許可指定:名無しも可
設定許可指定:名無しも可

錬金術師パラケルススの末裔。
金属に限らず、様々な物質や、人間の肉体や魂をも対象として
それらをより完全な存在へ練成する試みを日々模索し研究し続けている。
しかし如何せん、能力が未熟なために様々な失敗を繰り返し続けてきた。
父親を尊敬しており性格は真面目。ロンギヌス(聖槍騎士団)が宿敵。


名前:リュジー・タライノ
種族:人間
性別:男
年齢:27歳
技能:霊能力
外見:ゆるいヴェーブのかかった柔らかな黒髪。透き通った鼻筋。
   綺麗な指の繊細な爪先。頬に傷。黒服。
装備:数珠。さらし。短刀。指輪。
操作許可指定:名無しも可
設定許可指定:名無しも可

やくざの若頭。土地買収の際に呪怨の家と関わってしまう。
その後、謎の怪事件多発の末に多くの組員を失ってしまったという不幸者。
右手人差し指にはめた指輪は組員からプレゼントされたもの。
背中には天照大神と龍の刺青が彫られている。

480名無しになりきれ:2013/01/18(金) 19:36:10
>リリィさん
じつは学園の生徒たちの魔力を吸って巨大化も考えてましたw
でも学園が静かというフリがあったので幽霊さんが生徒たちを守るために
片っ端から球体に閉じ込めてるのかなって。
なのでリリィさんの慧眼に恐れおののいていたのですw
クロノストーンとしては最後にちょっとリリィさんを感じとれたのでよかったー
って勝手に思っていますw

>フリードさんとテオさん
さんざん挑発してしまってすみませんでした。
あの台詞を言ってみたいからあんなテンションになっちゃいました。
おかげさまで結果的にはすごく追い詰められたのでぞくぞくとしましたw

>エンカさん
やさしさでやられちゃいましたwまさに北風と太陽ですね。
スノボーしてる絵を想像したらエウレカセブンのOP曲DAYSが流れてきましたーw

>ササミさん
情けない神発言はクロノストーンのSAN値を密かに削ってたかもw
某ラスボスのもろぱくりみたいなオチは、
中国のドラえもんみたいなものなので許してくださいです(テヘペロ)
じつは禁断の果実の匂いと葉擦れの音とかで甘い夢の世界へ誘惑とかも考えてました。
個人的にみんなの心のSSっぽいのを読んでみたかったりしたかったから。
漫画版のナウシカの不死の番人が、やさしさで双子の王様を下僕にかえてしまった感じ。

481名無しになりきれ:2013/01/21(月) 15:47:12
フーを背負ったまま鳥居は無言。その顔に焦燥の色は隠せない。
さらにマリーは、術で時間稼ぎをして欲しいとあかねに催促している。
もはや遅疑逡巡は許せない。おまけに一考の猶予もない。

しかし今はマリーとあかねを信じるしかない。
>傷つくのは自分じゃなく、近しい人間なんだってことを思い知らされてね
そう、あの言葉とともに。

>「これで……どうなるん?え?棚の裏?ほな……ちょい待ってな。ていっ!」

あかねが何かに気付き棚の裏を蹴飛ばすと小さな穴が出来た。
気流が変化しているということは他に空間があるということだった。
彼女は術で小さくなると内側に潜り込み…

>「うわっ、暗っ……えっと……あ、あったでマリーはん!
 なんかここ、床板が外せそうや……元の体に戻れば……痛っ!狭っ!
 あかん!ごめん!一旦この棚どけてや!」

「はい、任せてください!」
鳥居はフーを一旦床に寝かせ、棚を両手で動かす。
すると、書棚の奥には小さな空間があった。
床にはあかねが言ったように切れ目が入っている。その下には階段があった。

>「……フーはんが向かおうとしてたんは、そこで間違いなさそうやね」
書棚の陰から顔だけを覗かせて、あかねが言う。
着替えているのだ。鳥居は顔だけのあかねを見てパッと顔を背ける。
その頬は朱で染まっていた。


――地下にはそれなりに広い部屋があった。
空気の循環は保たれているようだ。フーの術――流れを操る力によるものだろう。

>「ほい、これ。暗いやろ?」
最後尾にいたあかねが燃えた板きれをエプロンで掴んで持ってきた。
それを使って燭台に火を点けると、部屋の全体に明かりが行き渡る。

「あ。ありがとうございます。これなら物の色もはっきりと見えます」
吸血鬼の鳥居は、闇の中でも物の輪郭は見えていたらしい。
見えてはいたらしいが、如何せん、地下に隠された道具の価値まではわからない。
ただ子どものころに、鳥居の母親も同じようなものを持っていたような懐かしい感じがする。
それは押入れに仕舞われていたおもちゃ箱を開いたような感覚と似ていた。

鳥居が不思議な感覚に襲われていると、あかねはフーの回収したいものを見つけたらしく声をあげる。
おまけに部屋の隅に快活そうに笑う女の描かれている巻物を見つける。

>「どうする?これ。そう大した荷物にはならへんけど……」

「持っていきましょう。これって誰かの思い出なのかもしれないです。
誰が描いたのかはわかりませんが、こんなに緻密に描いているってことは
その人を大切に思っていて、永遠にその姿をとどめておきたいっていう、
そんな祈りのようなものを感じます」
鳥居は袋に巻物を入れて腰に捲きつける。
ついでに金刺繍の施されている黒の中国式マントを羽織っていい気分。

>「――おい、何やってんだ?いい加減この建物、ヤバそうだぜ。
 時間切れだ。さっさと脱出しろ」

「あ、いけない。こんなところに閉じ込められて蒸し焼きなんて
まっぴらごめんです。はやく逃げましょう!マリーさん、あかねさん!」

482名無しになりきれ:2013/01/21(月) 16:47:34
フーはあかねの術によって目をさましたあと結界を再起動。
その後、地下室で回収したものの返却を求めてきた。
目を瞠らせたのは彼のものすごい剣幕だった。

「はい、これ」
鳥居は女の描かれていた巻物をフーに手渡す。

「あの、この絵の女性は誰ですか?」
おそるおそるではあるが、好奇心で問いかけてみる鳥居。
彼女はフーの昔の恋人なのだろうか。
それとも写真ではないということは過去に生きた大切な人なのだろうか。
いずれにしろ憎い相手の絵を好き好んで保管している人間などいないだろう。
きっと何か思い入れのある女なのだ。

フーはフェイの手紙を受け取り、
二度と結界が破れられないように守って欲しいと鳥居たちに頼んできた。
鳥居もそれには賛成だった。
倉橋や頼光、ブルーたちが帰って来れる場所を守る。
彼らが帰ってくることを信じて。

>「――鳥居はん」

そんな中、あかねが鳥居に話しかけてきた。
彼女は何やら鉢と布切れを持っていた。

>「さっき燃えた棚、素手で棚触っとったやろ。これ、薬草の軟膏と包帯や。
 ホントは術使ってちゃんと治してあげたいんやけど……鳥居はん、吸血鬼やん?
 多分、水の術とは相性悪いと思うから……」
あかねは少し言い難そうだった。

「……ありがとうございます。うん、多分僕、水の術には弱いのかもしれないです。
聖水とか聖なるものとか。もしかしたらこの結界も、ぼくの体に悪影響を与えているのかも」
鳥居のその顔には覇気というものがなかった。まるで迷子の子犬。少年の心は闇のなかにいた。
(いっそのこと全員他人ならいいのに)

483名無しになりきれ:2013/01/21(月) 20:20:27
フーを背負ったまま鳥居は無言。その顔に焦燥の色は隠せない。
さらにマリーは、術で時間稼ぎをして欲しいとあかねに催促している。
それを聞いていた鳥居の喉がひくりと動く。もう遅疑逡巡は許せない。
火災によって、僧房が崩れるのも時間の問題だ。

でも今はマリーとあかねを信じるしかない。
>傷つくのは自分じゃなく、近しい人間なんだってことを思い知らされてね
そう、マリーは自分よりも、近しい人間が傷つくことを恐れている。
鳥居にはその言動が、何故か信じるに値することに思えたのだ。

>「これで……どうなるん?え?棚の裏?ほな……ちょい待ってな。ていっ!」

あかねが何かに気付き棚の裏を蹴飛ばすと小さな穴が出来た。
気流が変化しているということは他に空間があるということだった。
彼女は術で小さくなると内側に潜り込み…

>「うわっ、暗っ……えっと……あ、あったでマリーはん!
 なんかここ、床板が外せそうや……元の体に戻れば……痛っ!狭っ!
 あかん!ごめん!一旦この棚どけてや!」

「はい、任せて!」
鳥居はフーを一旦床に寝かせ、棚を両手で動かす。
すると、書棚の奥には小さな空間があった。
床にはあかねが言ったように切れ目が入っており、その下には階段が見える。

>「……フーはんが向かおうとしてたんは、そこで間違いなさそうやね」
書棚の陰から顔だけを覗かせて、あかねが言う。あかねは着替えているようだ。
それに気が付いた鳥居はパッと顔を背け、その頬を朱で染めあげるのだった。

――地下にはそれなりに広い部屋があった。
空気の循環は保たれているようだ。フーの術――流れを操る力によるものだろう。

>「ほい、これ。暗いやろ?」
最後尾にいたあかねが燃えた板きれをエプロンで掴んで持ってきた。
それを使って燭台に火を点けると、部屋の全体に明かりが行き渡る。

「あ。ありがとうございます。これなら物の色もはっきりと見えます」
吸血鬼の鳥居は、闇の中でも物の輪郭は見えているらしい。
見えてはいるらしいが、如何せん、地下に隠された道具の価値まではわからない。
ただ子どものころに、鳥居の母親も同じようなものを持っていたような懐かしい感じがする。
それは押入れに仕舞われていたおもちゃ箱を開いたような感覚と似ていた。

鳥居が不思議な感覚に襲われていると、あかねはフーの回収したいものを見つけたらしく声をあげる。
おまけに部屋の隅に快活そうに笑う女の描かれている巻物を見つける。

>「どうする?これ。そう大した荷物にはならへんけど……」

「持っていきましょう。これって誰かの思い出なのかもしれないです。
誰が描いたのかはわかりませんが、こんなに緻密に描いているってことは
その人を大切に思っていて、永遠にその姿をとどめておきたいっていう、
そんな祈りのようなものを感じます」
鳥居は袋に巻物を入れて腰に捲きつける。
ついでに金刺繍の施されている黒の中国式マントを羽織っていい気分。

>「――おい、何やってんだ?いい加減この建物、ヤバそうだぜ。
 時間切れだ。さっさと脱出しろ」

「あ、いけない。こんなところに閉じ込められて蒸し焼きなんてまっぴらごめんです。
はやく逃げましょう!マリーさん、あかねさん!」

484名無しになりきれ:2013/01/21(月) 21:58:30
フーはあかねの術によって目をさましたあと結界を再起動。
その後、地下室で回収したものの返却を求めてきた。
目を瞠らせたのは彼のものすごい剣幕だった。

「はい、これ」
鳥居は女の描かれていた巻物をフーに手渡す。

「あの、この絵の女性は誰ですか?」
おそるおそるではあるが、好奇心で問いかけてみる鳥居。
彼女はフーの昔の恋人なのだろうか。
それとも写真ではないということは過去に生きた大切な人なのだろうか。
いずれにしろ憎い相手の絵を好き好んで保管している人間などいないだろう。
きっと何か思い入れのある女なのだ。

フーはフェイの手紙を受け取り、
二度と結界が破れられないように守って欲しいと鳥居たちに頼んできた。
鳥居もそれには賛成だった。
倉橋や頼光、ブルーたちが帰って来れる場所を守る。
彼らが帰ってくることを信じて。

>「――鳥居はん」

そんな中、あかねが鳥居に話しかけてきた。
彼女は何やら鉢と布切れを持っていた。

>「さっき燃えた棚、素手で棚触っとったやろ。これ、薬草の軟膏と包帯や。
 ホントは術使ってちゃんと治してあげたいんやけど……鳥居はん、吸血鬼やん?
 多分、水の術とは相性悪いと思うから……」
あかねは少し言い難そうだった。

「……ありがとうございます。はい、たぶん僕、水の術には弱いのかもしれないです。
聖水とか聖なるものとか。もしかしたらこの結界も、ぼくの体に悪影響を与えているのかも」
そうは言ったものの、鳥居にも自身の体の秘密はよくわからなかった。
もしかしたら鳥居を吸血鬼に変えた母親本人も予期せぬことが起きているのかも知れない。
ただ鵺との戦いで死にかけた鳥居は、唐獅子の生み出した神気を一度はその肉体に受け入れることが出来た。
だとしたら自分はいったいなんなのだろう。
何時ぞや倉橋が「生成り小僧」と彼を呼んだことは的を射ていたのかもしれない。
和装から洋装、土と木から煉瓦と混凝へ。まさに大正の狭間に寄生する「虫」が如し己の存在。

485名無しになりきれ:2013/01/21(月) 22:29:50
沈黙が落ちる。

自分は人に戻れるのだろうか。
戻る必要があるのか。

張り詰めたような静かな時間の中で、少年はずっと考えていた。
倉橋たちは無事にフーの代わりの人間を連れてくることが出来るのだろうか。
頼光が足をひっぱっているのではないか。いやブルーがついているから大丈夫だろう。
こちらはフェイ老人との約束は叶っている。あとは使いを出して後日ということなのだろう。
フェイからは不死の王について古い言い伝えを聞くことが出来ている。
問いてはみたいが、フーは古い言い伝えのことはわからないと初見のころに言っていた。

486名無しになりきれ:2013/01/21(月) 22:45:06
沈黙が落ちる。

自分は人に戻れるのだろうか。
戻る必要があるのか。

張り詰めたような静かな時間の中で、少年はずっと考えていた。
倉橋たちは無事にフーの代わりの人間を連れてくることが出来るのだろうか。
頼光が足をひっぱっているのではないか。いやブルーがついているから大丈夫なのではないか。
こちらはフェイ老人との約束は叶っている。あとは使いを出して後日ということになるのだろう。
すでにフェイからは不死の王について古い言い伝えを聞くことが出来ている。
フーにこのことについて問いてはみたいが、彼は古い言い伝えのことはわからないと初見の時に言っていた。

487名無しになりきれ:2013/01/21(月) 23:21:19
沈黙が落ちる。

自分は人に戻れるのだろうか。
戻る必要があるのか。

張り詰めたような静かな時間の中で、少年はずっと考えていた。
倉橋たちは無事にフーの代わりの人間を連れてくることが出来るのだろうか。
頼光が足をひっぱっているのではないか。いやブルーがついているから大丈夫なのではないか。
こちらはフェイ老人との約束は叶っている。あとは使いを出して後日ということになるのだろう。
すでにフェイからは不死の王について古い言い伝えを聞くことが出来ている。
フーにこのことについて問いてはみたいが、彼は古い言い伝えのことはわからないと初見の時に言っていた。

兎にも角にも今はこの結界を守ることに専念しよう。
そう考えたら鳥居から雑念が消えた。

その時だった。

>「……今、誰かがこちらを見ていタ。結界を切り裂いて、誰かガ。
 僕から見て三時の方向……距離は、およそ十間(二十メートル弱)ダ」

(きた!)
鳥居はすぐ隣にいたマリーたちの耳元で囁く。

「生け捕りにしましょう。フーさんの言葉だけじゃよくわかんないです。
あかねさんは、フーさんが相手に見せている場所を思いっきり術で光らせてください。
覗き見してるってことは強い光で目くらましが出来るはずですから。
そこへマリーさんが行って捕まえる。迷路のような狭い道なら目が眩んでる状態で走るのは
かなり不利だと思います。あとは尋問たいむです。相手が何者か知りたいです」
不審者のことを、鳥居は呪災を起こした人たちと考えていた。
複数の術者か、それか個人と仮定したのなら遺跡の宝を使って呪災を起こしている者に違いない。
嘆願を達成するためには謎を突き止めなくてはならない。

488名無しになりきれ:2013/01/23(水) 16:36:22
>「…………違うな、多世界に影響をもたらす者は排除するのみ
 それ以上でもそれ以下でもない……」

リュジーは永久闘争存在の言葉を聞き、ふと思う。
多世界に影響をもたらす者。きっとあの悪霊のことだと。
かつて除霊を相談した霊能力者は、恐怖におののきこう語った。
これは人の手にはおえないと。
蓄積した呪いが、怨念が、時と空間を越え拡大してゆくのだと。
そしてその忌まわしき残念な怨念の根源の名は――

「……佐伯伽椰子」
思い出すたびに背筋が凍りつく。あの不吉な女の名前を。
呪怨の家で起こった凄惨な事件。たしかに佐伯には同情はする。
しかし、リュジーは一歩もひけない。
佐伯が己を不幸にした世界に復讐するつもりなら
リュジーも仲間を呪い殺した佐伯に復讐する。

かならずや仇を討つ。佐伯の首を友の墓前に供えるのだ。
そう、それが男の生き様。任侠ヘルパーなのだから!

「このまま尻尾まいて逃げれねーぜ」
眼光鋭くリュジーはひとりごちる。
そんな中、突如一匹の不思議な生物―淫夢君がひょっこりと現れ
何やら挨拶をする動作をしてリュジーの肩に乗る。

「おまえも行くか?ならしっかり捕まってろ」

そうこうして、淫夢君を肩に乗せたリュジーを乗せた猟犬は激闘地跡に降りた。

>「…………」

「…………」
リュジーは大気に残った微かな波動を感じていた。
たしかにここでは何かがあったらしい。

489名無しになりきれ:2013/01/23(水) 16:43:56
>「…………違うな、多世界に影響をもたらす者は排除するのみ
 それ以上でもそれ以下でもない……」

リュジーは永久闘争存在の言葉を聞き、ふと思う。
多世界に影響をもたらす者。きっとあの悪霊のことだと。
かつて除霊を相談した霊能力者は、恐怖におののきこう語った。
これは人の手にはおえないと。
蓄積した呪いが、怨念が、時と空間を越え拡大してゆくのだと。
そしてその忌まわしき怨念の名は――

「……佐伯伽椰子」
思い出すたびに背筋が凍りつく。あの不吉な女の名前を。
呪怨の家で起こった凄惨な事件。たしかに佐伯には同情はする。
しかし、リュジーは一歩もひけない。
佐伯が己を不幸にした世界に復讐するつもりなら
リュジーも仲間を呪い殺した佐伯に復讐する。

かならずや仇を討つ。佐伯の首を友の墓前に供えるのだ。
そう、それが男の生き様。任侠道なのだから!

「このまま尻尾まいて逃げれねーぜ」
眼光鋭くリュジーはひとりごちる。
そんな中、突如一匹の不思議な生物―淫夢君がひょっこりと現れ
何やら挨拶をする動作をしてリュジーの肩に乗る。

「おまえも行くか?ならしっかり捕まってろ」
そうこうして、淫夢君を肩に乗せたリュジーを乗せた猟犬は激闘地跡に降りた。

>「…………」

「…………」
リュジーは大気に残った微かな波動を感じていた。
たしかにここでは何かがあったらしい。

490名無しになりきれ:2013/01/23(水) 17:20:05
「ちっ、逃げたか…」
リュジーはあたりを見渡していた。
無数の猟犬と排除する者。
現世ではあれほどの威勢を放っていた伽椰子も
この世界では追われる立場なのだろう。

「こりゃあ、いたちごっこだ」
リュジーも呪怨の能力の片鱗を現世で体験している。
永久闘争存在も、これだけの猟犬をひきつけているということは全能ではないのだろう。
彼をもってしても、伽椰子の探索には骨を折っているのかもしれない。

「どうする?」
戦いにおいては先をとることが勝利に繋がるものだ。
相手の行動の先を読むのだ。そらなら伽椰子の目的は?
ただ逃走しながら、殺戮を繰り返しているだけなのだろうか?
今のリュジーには知ることが必要なようだ。

「いったい伽椰子は、何が目的なのだ?」
淫夢君の頭を撫でながらリュジーは呟くのだった。

491名無しになりきれ:2013/01/23(水) 18:48:23
>「…………違うな、多世界に影響をもたらす者は排除するのみ
 それ以上でもそれ以下でもない……」

リュジーは永久闘争存在の言葉を聞き、ふと思う。
多世界に影響をもたらす者とは、きっとあの悪霊のことだと。
たしかに、心当たりはある。
かつて除霊を相談した霊能力者は、恐怖におののきこう語った。
この一件は人の手にはおえないものだと。
蓄積した呪いが、怨念が、時と空間を越え拡大してゆくのだと。
そしてその忌まわしき怨念の名は――

「……佐伯伽椰子」
思い出すたびに背筋が凍りつく。
あの不吉な女の名前。
呪怨の家で起こった凄惨な事件。

たしかに佐伯には同情はする。
しかし、今のリュジーにはそんな気持ちなどさらさらない。
佐伯が己を不幸にした世界に復讐するつもりなら
リュジーも仲間を呪い殺した佐伯に復讐するのだ。
かならずや仇を討つ。佐伯の首を討ち取り、友の墓前に供えるのだ。
そう、それが男の生き様。任侠道なのだから!

「このまま尻尾まいて逃げれねーぜ」
眼光鋭くリュジーはひとりごちる。
そんな中、突如一匹の不思議な生物―淫夢君がひょっこりと現れ
何やら挨拶をする動作をしてリュジーの肩に乗る。

「おまえも行くか?ならしっかり捕まってろ」
そうこうして、淫夢君を肩に乗せたリュジーを乗せた猟犬は激闘地跡に降りた。

>「…………」

「…………」
リュジーは大気に残った微かな波動を感じていた。
たしかにここでは何かがあったらしい。

492名無しになりきれ:2013/01/23(水) 18:55:34
「ちっ、逃げたか…」
リュジーはあたりを見渡していた。
無数の猟犬と排除する者。
現世ではあれほどの威勢を放っていた伽椰子も
この世界では追われる立場なのだろう。

「こりゃあ、いたちごっこだぜ」
リュジーも呪怨の能力の片鱗を現世で体験している。
永久闘争存在も、これだけの猟犬をひきつけているということは全能ではないのだろう。
彼をもってしても、伽椰子の探索には骨を折っているのかもしれぬ。

「どうする?」
戦いにおいては先をとることが勝利に繋がるものだ。
相手の行動の先を読むことだ。
それなら伽椰子の目的は?
ただ逃走しながら、殺戮を繰り返しているだけなのだろうか?

――わからない。

今のリュジーには知ることが必要なようだ。

「いったい伽椰子は、何が目的なのだ?」
淫夢君の頭を撫でながらリュジーは呟くのだった。

493名無しになりきれ:2013/01/31(木) 07:13:39
>「…………違うな、多世界に影響をもたらす者は排除するのみ
 それ以上でもそれ以下でもない……」

リュジーは永久闘争存在の言葉を聞き、ふと思う。
多世界に影響をもたらす者。きっとあの悪霊のことだと。
かつて除霊を相談した霊能力者は、恐怖におののきこう語った。
これは人の手にはおえないと。
蓄積した呪いが、怨念が、時と空間を越え拡大してゆくのだと。
そしてその忌まわしき残念な怨念の根源の名は――

「……佐伯伽椰子」
思い出すたびに背筋が凍りつく。あの不吉な女の名前を。
呪怨の家で起こった凄惨な事件。たしかに佐伯には同情はする。
しかし、リュジーは一歩もひけない。
佐伯が己を不幸にした世界に復讐するつもりなら
リュジーも仲間を呪い殺した佐伯に復讐する。

かならずや仇を討つ。佐伯の首を友の墓前に供えるのだ。
そう、それが男の生き様。任侠ヘルパーなのだから!

「このまま尻尾まいて逃げれねーぜ」
眼光鋭くリュジーはひとりごちる。
そんな中、突如一匹の不思議な生物―淫夢君がひょっこりと現れ
何やら挨拶をする動作をしてリュジーの肩に乗る。

「おまえも行くか?ならしっかり捕まってろ」

そうこうして、淫夢君を肩に乗せたリュジーを乗せた猟犬は激闘地跡に降りた。

>「…………」

「…………」
リュジーは大気に残った微かな波動を感じていた。
たしかにここでは何かがあったらしい。

494名無しになりきれ:2013/02/01(金) 16:05:33
>「…………違うな、多世界に影響をもたらす者は排除するのみ
 それ以上でもそれ以下でもない……」

リュジーは永久闘争存在の言葉を聞き、ふと思う。
多世界に影響をもたらす者。きっとあの悪霊のことだと。
かつて除霊を相談した霊能力者は、恐怖におののきこう語った。
これは人の手にはおえないと。
蓄積した呪いが、怨念が、時と空間を越え拡大してゆくのだと。
そしてその忌まわしき残念な怨念の根源の名は――

「……佐伯伽椰子」
思い出すたびに背筋が凍りつく。あの不吉な女の名前を。
呪怨の家で起こった凄惨な事件。たしかに佐伯には同情はする。
しかし、リュジーは一歩もひけない。
佐伯が己を不幸にした世界に復讐するつもりなら
リュジーも仲間を呪い殺した佐伯に復讐する。

かならずや仇を討つ。佐伯の首を友の墓前に供えるのだ。
そう、それが男の生き様。任侠ヘルパーなのだから!

「このまま尻尾まいて逃げれねーぜ」
眼光鋭くリュジーはひとりごちる。
そんな中、突如一匹の不思議な生物―淫夢君がひょっこりと現れ
何やら挨拶をする動作をしてリュジーの肩に乗る。

「おまえも行くか?ならしっかり捕まってろ」

そうこうして、淫夢君を肩に乗せたリュジーを乗せた猟犬は激闘地跡に降りた。

>「…………」

「…………」
リュジーは大気に残った微かな波動を感じていた。
たしかにここでは何かがあったらしい。

495名無しになりきれ:2013/02/01(金) 17:25:46
鳥居の「目くらまししたい」という言葉に、
あかねはそれは無理だけど「足止めはよい提案」と言ってくれた。
マリーも肩をぽんぽんしてくれる。
鳥居は心の中で「やった!」と小さなガッツポーズ。

>「――鳥居はん、ウチらも行こや。マリーはんほど滑らかには無理やろうけど、
 吸血鬼の力なら塀を越えて追っかけられるんちゃう?」
>「あと……出来ればその、おぶってって……欲しいんよね。
 ウチじゃマリーはんの真似は無理やし……。自分で言うのもなんやけど、ウチそんな重ないから……ねっ?」

496名無しになりきれ:2013/02/01(金) 20:24:48
鳥居の「目くらまししたい」という言葉に、
あかねは「それは無理、でも足止めはよい提案」と言ってくれた。
マリーも肩をぽんぽんしてくれる。
鳥居は心の中で「やった!」と小さなガッツポーズ。
あとは尋問時間の始まりを待つだけ、と暢気。

>「――鳥居はん、ウチらも行こや。マリーはんほど滑らかには無理やろうけど、
 吸血鬼の力なら塀を越えて追っかけられるんちゃう?」
>「あと……出来ればその、おぶってって……欲しいんよね。
 ウチじゃマリーはんの真似は無理やし……。自分で言うのもなんやけど、ウチそんな重ないから……ねっ?」

あかねを背に薄闇を跳躍。何時と言われてもその方角ははわからなかったけどとりあえずマリーの向かった方角ならわかる。
その距離はおよそ十間。鳥居は猫のように屋根や塀の上を走ると視線の先に観察者とマリーを捉える。
でも、その様子はおかしかった。
鳥居の想像では観察者に馬乗りになったマリーが短剣片手に「ぜんぶはけ」と鬼の顔で言っているはずだった。
しかし現実は、思ってたのとちがう。

(そっか…。僕は何にもわかってなかったです。生け捕りにする作戦なんて、
本来のマリーさんの剣捌きを鈍らせるものだって、とっても危険なものだって
最初に気付くべきでした……)
遅れて到着した鳥居はそのような認識だった。鬼に出会えば鬼を斬る。神に出会えば神を斬る。
マリーに対しての歪んだ評価。

鳥居は大きく息を吸い込むと瓦の屋根を跳躍。観察者の背後に着地。
だが、あかねを背負っているので体勢を崩して転んでしまう。

「いてて…。あの、すみませんでした。僕が貴方を生け捕りにしたいって言ったんです。
それはフーさんに結界を守るって約束したからです。結界の中にはまだ生きてる人が沢山いるんですよ。
それなのに結界を破壊してしまうなんて貴方は一体なんですか?」

497名無しになりきれ:2013/02/02(土) 20:32:56
鳥居の「目くらまししたい」という言葉に、
あかねは「それは無理、でも足止めはよい提案」と言ってくれた。
マリーも肩をぽんぽんしてくれる。
鳥居は心の中で「やった!」と小さなガッツポーズ。
あとは尋問時間の始まりを待つだけ、と暢気。

鳥居の想像では、観察者とその一味が不死の王に関係する遺物を盗んで悪用して呪災を起こし、
その災害から人々を守ろうとしているフーをいけ好かないからやっつけにきた。そう思っていた。
でもマリーは、観察者が僧房に隠されているものを狙っていたという。
そしてそれをフーは否定しない。それはつまり、観察者たちに足りないものがあるということだ。
その証拠は動死体が観察者たちが生み出した不死の王の失敗作ということ。
すべてあくまでも鳥居の想像の話だが。



>「――鳥居はん、ウチらも行こや。マリーはんほど滑らかには無理やろうけど、
 吸血鬼の力なら塀を越えて追っかけられるんちゃう?」
>「あと……出来ればその、おぶってって……欲しいんよね。
 ウチじゃマリーはんの真似は無理やし……。自分で言うのもなんやけど、ウチそんな重ないから……ねっ?」

あかねを背に薄闇を跳躍。何時と言われてもその方角ははわからなかったけどとりあえずマリーの向かった方角ならわかる。
その距離はおよそ十間。鳥居は猫のように屋根や塀の上を走ると視線の先に観察者とマリーを捉える。
でも、その様子はおかしかった。
鳥居の想像では観察者に馬乗りになったマリーが短剣片手に「ぜんぶはけ」と鬼の顔で言っているはずだった。
しかし現実は、思ってたのとちがう。

(そっか…。僕は何にもわかってなかったです。生け捕りにする作戦なんて、
本来のマリーさんの剣捌きを鈍らせるものだって、とっても危険なものだって
最初に気付くべきでした……)
遅れて到着した鳥居はそのような認識だった。鬼に出会えば鬼を斬る。神に出会えば神を斬る。
マリーに対しての歪んだ評価。

鳥居は大きく息を吸い込むと瓦の屋根を跳躍。観察者の背後に着地。
だが、あかねを背負っているので体勢を崩して転んでしまう。

「いてて…。あの、すみませんでした。僕が貴方を生け捕りにしたいって言ったんです。
それはフーさんに結界を守るって約束したからです。結界の中にはまだ生きてる人が沢山いるんですよ。
それなのに結界を破壊してしまうなんて貴方は一体なんですか?きっと薄汚い泥棒さんでしょう?」

498名無しになりきれ:2013/02/02(土) 21:20:34
鳥居の「目くらまししたい」という言葉に、
あかねは「それは無理、でも足止めはよい提案」と言ってくれた。
マリーも肩をぽんぽんしてくれる。
鳥居は心の中で「やった!」と小さなガッツポーズ。
あとは尋問時間の始まりを待つだけ、と暢気。

鳥居の想像では、観察者とその一味が不死の王に関係する遺物を盗んで悪用して呪災を起こし、
その災害から人々を守ろうとしているフーをいけ好かないからやっつけにきた。そう思っていた。
でもマリーは、観察者が僧房に隠されているものを狙っていたという。
そしてそれをフーは否定しない。それはつまり、観察者たちに足りないものがあるということだ。
その証拠は動死体が観察者たちが生み出した不死の王の失敗作ということ。
でもすべては、あくまでも想像の話。

>「――鳥居はん、ウチらも行こや。マリーはんほど滑らかには無理やろうけど、
 吸血鬼の力なら塀を越えて追っかけられるんちゃう?」
>「あと……出来ればその、おぶってって……欲しいんよね。
 ウチじゃマリーはんの真似は無理やし……。自分で言うのもなんやけど、ウチそんな重ないから……ねっ?」

「うん。いいですよ。あかねさんにはいっぱい助けてもらいましたから。
あ、そのお礼と言ってはなんですけど、日本に無事に帰れたら、
僕のサーカスを観に来て欲しいです。一緒に頼光も働いていますから」

あかねを背にした鳥居は薄闇を跳躍。とりあえずマリーの向かった方角に向かう。
その距離はおよそ十間。猫のように屋根や塀の上を走ると視線の先には観察者とマリー。
でも、その様子はおかしかった。
鳥居の想像では観察者に馬乗りになったマリーが短剣片手に「ぜんぶはけ」と鬼の顔で言っているはずだった。
しかし現実は思ってたのとちがう。

(そっか…。僕は何にもわかってなかったです。生け捕りにする作戦なんて、
本来のマリーさんの剣捌きを鈍らせるものだって、とっても危険なものだって
最初に気付くべきでした……)
遅れて到着した鳥居はそのような認識だった。マリーが体験した摩訶不思議な出来事は知らない。
おまけに鬼に出会えば鬼を斬る。神に出会えば神を斬る。マリーに対しての歪んだ評価。
鳥居は大きく息を吸い込むと屋根を跳躍。観察者の背後に着地。
結界を破ったと思われる彼に対し、鳥居は嫌悪はあったが敵意はなかった。
それ故に攻撃は仕掛けない。仕掛けたとしても鳥居の能力では避けられてしまうだろう。
あかねを背負ったまま、鳥居は体勢を崩して無様に転倒。

「いてて…。あの、すみませんでした。僕が貴方を生け捕りにしたいって言ったんです。
なぜならフーさんに結界を守るって約束したからです。結界の中にはまだ生きてる人が沢山いるんですよ。
それなのに結界を破壊してしまうなんて貴方は一体なんですか?きっと薄汚い泥棒さんでしょう?
たぶん盗んだ遺物で誰かを不死にしようとして失敗したんでしょうね。だからフーさんの隠していた大切なものを探していた。
そうでしょ?」

499名無しになりきれ:2013/02/02(土) 22:19:24
鳥居の「目くらまししたい」という言葉に、
あかねは「それは無理、でも足止めはよい提案」と言ってくれた。
マリーも肩をぽんぽんしてくれる。
鳥居は心の中で「やった!」と小さなガッツポーズ。
あとは尋問時間の始まりを待つだけ、と暢気。

鳥居の想像では、観察者とその一味が不死の王に関係する遺物を盗んで呪災を起こし、
その災害から人々を守ろうとしているフーをいけ好かないからやっつけにきた。そう思っていた。
でもマリーは、観察者が僧房に隠されているものを狙っていたという。
そしてそれをフーは否定しない。それはつまり、観察者たちに足りないものがあったということだ。
その証拠はお粗末な動死体。観察者たちが生み出した不死の王の失敗作と鳥居は仮定する。

>「――鳥居はん、ウチらも行こや。マリーはんほど滑らかには無理やろうけど、
 吸血鬼の力なら塀を越えて追っかけられるんちゃう?」
>「あと……出来ればその、おぶってって……欲しいんよね。
 ウチじゃマリーはんの真似は無理やし……。自分で言うのもなんやけど、ウチそんな重ないから……ねっ?」

「うん。いいですよ。あかねさんにはいっぱい助けてもらいましたから。
あ、そのお礼と言ってはなんですけど、日本に無事に帰れたら、
僕のサーカスを観に来て欲しいです。一緒に頼光も働いていますから」

あかねを背にした鳥居は薄闇を跳躍。とりあえずマリーの向かった方角に向かう。
その距離はおよそ十間。猫のように屋根や塀の上を走ると視線の先には観察者とマリー。
でも、その様子はおかしかった。
鳥居の想像では観察者に馬乗りになったマリーが短剣片手に「ぜんぶはけ」と鬼の顔で言っているはずだった。
しかし現実は思ってたのとちがう。

(そっか…。僕は何にもわかってなかったです。生け捕りにする作戦なんて、
本来のマリーさんの剣捌きを鈍らせるものだって、とっても危険なものだって
最初に気付くべきでした……)
遅れて到着した鳥居はそのような認識だった。マリーが体験した摩訶不思議な出来事は知らない。
おまけに鬼に出会えば鬼を斬る。神に出会えば神を斬る。マリーに対しての歪んだ評価。
鳥居は大きく息を吸い込むと屋根を跳躍。観察者から二間ほどはなれた背後に着地。
結界を破ったと思われる彼に対し、嫌悪はあったが敵意はなかった。
それ故に攻撃は仕掛けない。仕掛けたとしても鳥居の能力では避けられてしまうだろう。
だがそれ以前に、鳥居はあかねを背負ったまま体勢を崩して無様に尻餅をついてしまう。

「いてて…。あの、すみません。あかねさん」
よれよれと立ち上がり謝罪する。でも観察者をマリーと自分で挟んでいる状況は作れた。
鳥居は面を観察者に向け

「すみません。僕が貴方を生け捕りにしたいって言ったんです。
なぜならフーさんに結界を守るって約束したからです。結界の中にはまだ生きてる人が沢山いるんですよ。
それなのに結界を破壊してしまうなんて貴方は一体なんですか?きっと薄汚い泥棒さんでしょう?
たぶん盗んだ遺宝で誰かを不死にしようとして失敗したんでしょうね。だからフーさんの隠していた大切なものを探していた。
そうでしょ?」
あかねをその場に下ろして鳥居は問い詰める。

「僕たちは遺跡を守れって嘆願を受けたんです。だから遺宝は返してください。
……そう、僕はこの土地で、皆、何かの欲求があって行動しているってことを理解しました。
では貴方の望んでいることはなんですか?
僕たちは罪もない人たちの命を守るためにフーさんに力を貸していますが、
べつに彼に嘆願を受けたわけではありません。
何かの交換条件で、遺宝を返していただくことはできませんか?」
一方的に自分の想像で語る鳥居。

「もしもダメでしたら、申し訳ないですが、これからの貴方の未来がどうなるかは保障できませんね。
ただの結界を破壊した者として、泥濘の上で眠ることになるかもしれませんよ」
闇を湛え、なお爛々と光を宿す嚇灼の瞳。鳥居は漆黒のマントをなびかせながら観察者をねめつける。

500名無しになりきれ:2013/02/12(火) 12:08:58
鳥居の「目くらまししたい」という言葉に、
あかねは「それは無理、でも足止めはよい提案」と言ってくれた。
マリーも肩をぽんぽんしてくれる。
鳥居は心の中で「やった!」と小さなガッツポーズ。
あとは尋問時間の始まりを待つだけ、と暢気。

鳥居の想像では、観察者とその一味が不死の王に関係する遺物を盗んで呪災を起こし、
その災害から人々を守ろうとしているフーをいけ好かないからやっつけにきた。そう思っていた。
でもマリーは、観察者が僧房に隠されているものを狙っていたという。
そしてそれをフーは否定しない。それはつまり、観察者たちに足りないものがあったということだ。
その証拠はお粗末な動死体。観察者たちが生み出した不死の王の失敗作と鳥居は仮定する。

>「――鳥居はん、ウチらも行こや。マリーはんほど滑らかには無理やろうけど、
 吸血鬼の力なら塀を越えて追っかけられるんちゃう?」
>「あと……出来ればその、おぶってって……欲しいんよね。
 ウチじゃマリーはんの真似は無理やし……。自分で言うのもなんやけど、ウチそんな重ないから……ねっ?」

「うん。いいですよ。あかねさんにはいっぱい助けてもらいましたから。
あ、そのお礼と言ってはなんですけど、日本に無事に帰れたら、
僕のサーカスを観に来て欲しいです。一緒に頼光も働いていますから」

あかねを背にした鳥居は薄闇を跳躍。とりあえずマリーの向かった方角に向かう。
その距離はおよそ十間。猫のように屋根や塀の上を走ると視線の先には観察者とマリー。
でも、その様子はおかしかった。
鳥居の想像では観察者に馬乗りになったマリーが短剣片手に「ぜんぶはけ」と鬼の顔で言っているはずだった。
しかし現実は思ってたのとちがう。

(そっか…。僕は何にもわかってなかったです。生け捕りにする作戦なんて、
本来のマリーさんの剣捌きを鈍らせるものだって、とっても危険なものだって
最初に気付くべきでした……)
遅れて到着した鳥居はそのような認識だった。マリーが体験した摩訶不思議な出来事は知らない。
おまけに鬼に出会えば鬼を斬る。神に出会えば神を斬る。マリーに対しての歪んだ評価。
鳥居は大きく息を吸い込むと屋根を跳躍。観察者から二間ほどはなれた背後に着地。
結界を破ったと思われる彼に対し、嫌悪はあったが敵意はなかった。
それ故に攻撃は仕掛けない。仕掛けたとしても鳥居の能力では避けられてしまうだろう。
だがそれ以前に、鳥居はあかねを背負ったまま体勢を崩して無様に尻餅をついてしまう。

「いてて…。あの、すみません。あかねさん」
よれよれと立ち上がり謝罪する。でも観察者をマリーと自分で挟んでいる状況は作れた。
鳥居は面を観察者に向け

「すみません。僕が貴方を生け捕りにしたいって言ったんです。
なぜならフーさんに結界を守るって約束したからです。結界の中にはまだ生きてる人が沢山いるんですよ。
それなのに結界を破壊してしまうなんて貴方は一体なんですか?きっと薄汚い泥棒さんでしょう?
たぶん盗んだ遺宝で誰かを不死にしようとして失敗したんでしょうね。だからフーさんの隠していた大切なものを探していた。
そうでしょ?」
あかねをその場に下ろして鳥居は問い詰める。

「僕たちは遺跡を守れって嘆願を受けたんです。だから遺宝は返してください。
……そう、僕はこの土地で、皆、何かの欲求があって行動しているってことを理解しました。
では貴方の望んでいることはなんですか?
僕たちは罪もない人たちの命を守るためにフーさんに力を貸していますが、
べつに彼に嘆願を受けたわけではありません。
何かの交換条件で、遺宝を返していただくことはできませんか?」
一方的に自分の想像で語る鳥居。

「もしもダメでしたら、申し訳ないですが、これからの貴方の未来がどうなるかは保障できませんね。
ただの結界を破壊した者として、泥濘の上で眠ることになるかもしれませんよ」
闇を湛え、なお爛々と光を宿す嚇灼の瞳。鳥居は漆黒のマントをなびかせながら観察者をねめつける。

501名無しになりきれ:2013/02/25(月) 21:38:59
最近、ルナの様子はおかしかった。
もとからおかしいと言われたらそれまでだったけど、ここ数日特に気分が優れない。
なんだか胸がくるしい。

もしかして恋煩い?そう思ってみて
フリード、エンカ、テオボルト、の顔を順番に思い浮かべてみる。
でもべつに好きでもなんともないみたいだった。
それならなんだろう。
もしかしたらササミとの関係なのだろうか。
ルナを小ばかにした感じのササミ。
「ぎゃははは!」あの笑顔がぽわんと出てくる。
リリィみたいに仲良しになってもっと自分を見てくれる関係になりたい。
そうなのだろうか。
自分を受け入れてくれない者への嫌悪。そう、それは昔からあった。
だから怖いメイクをしてみんなを怖がらせて平伏せさせようとしていた。
でもその作戦もまったく上手く行っていない。…みじめだった。

ルナは盛大なため息。鏡にうつっているのは花のない自分の顔。
ササミと同じ。素顔を隠している自分。
(もうばれちゃってるけど)
こっそり窓から尖塔を見上げてみるものの、ササミは見えない。
寝込んでいるにしても、その様子はおかしくて気配がない感じ。

502名無しになりきれ:2013/02/25(月) 22:30:41
そんなある日、封書がくる。内容はとある小島で清掃活動に野外活動をすること。
おまけに課題を果たせなかった者にはペナルティがあるということだった。

「小島かー。面白そう」
ルンルン気分になったルナは身支度を始める。
パジャマ、下着、ボディクリーム。日焼け止め。化粧道具。お菓子。水着。
あと銛。本で読んだりして、これが魚を刺す道具ってことは知っている。
それらをパンパンになるまでリュックにつめこむ。
収まりが悪いので出したり詰める順番を変えたりしながら。

そして、女子寮の門を出るとエンカの乗った丸い塊がトロトロと道を横切っていった。

「あ…」
目をぱっちり開いて手を小さくあげてみたけど、エンカはそのまま通り過ぎていってしまう。
(あれれ、ものすごく運転に集中してたから気がつかなかったみたい…とほほー…)
ルナはふうと一息をついて、馬車に乗った。

馬車は森に入ってぐんぐんと道を進んでゆくと
大ムカデに乗ったパピスヘテプとフリードとすれ違った。
(え!?今のワカメ頭フリードじゃなかった!?)
思わず二度見するも、馬車は、木々のスライドに引き裂かれるようにどんどん離れて
とうとう二人の姿は遠く見えなくなってしまった。

(なんか変な悪夢に紛れ込んじゃったみたい…)
なんだか、さみしい。そんなふうに思っていると馬車は途中で停止。
馬車から降りるとカンテラとベンチが寂しく置かれていた。
道の向こうには空を背景にして聳え立つ灯台。ルナは仕方なく歩く。

遠くでは雷鳴が響いていた。

503名無しになりきれ:2013/03/04(月) 18:37:27
そんなある日、封書がくる。内容はとある小島で清掃活動に野外活動をすること。
おまけに課題を果たせなかった者にはペナルティがあるということだった。

「小島かー。面白そう」
ルンルン気分になったルナは身支度を始める。
パジャマ、下着、ボディクリーム。日焼け止め。化粧道具。お菓子。水着。
あと銛。本で読んだりして、これが魚を刺す道具ってことは知っている。
それらをパンパンになるまでリュックにつめこむ。
収まりが悪いので出したり詰める順番を変えたりしながら。

そして、女子寮の門を出るとエンカの乗った丸い塊がトロトロと道を横切っていった。

「あ…」
目をぱっちり開いて手を小さくあげてみたけど、エンカはそのまま通り過ぎていってしまう。
(あれれ、ものすごく運転に集中してたから気がつかなかったみたい…とほほー…)
ルナはふうと一息をついて、馬車に乗った。

馬車は森に入ってぐんぐんと道を進んでゆくと
大ムカデに乗ったパピスヘテプとフリードとすれ違った。
(え!?今のワカメ頭フリードじゃなかった!?)
思わず二度見するも、馬車は、木々のスライドに引き裂かれるようにどんどん離れて
とうとう二人の姿は遠く見えなくなってしまった。

(なんか変な悪夢に紛れ込んじゃったみたい…)
なんだか、さみしい。そんなふうに思っていると馬車は途中で停止。
馬車から降りるとカンテラとベンチが寂しく置かれていた。
道の向こうには空を背景にして聳え立つ灯台。ルナは仕方なく歩く。

遠くでは雷鳴が響いていた。

504名無しになりきれ:2013/03/05(火) 12:13:02
>「笑っているか、だと?『笑っていた』さ。俺のすぐ傍でな。そして今は、どこにもいない」

苛立ちの色を隠せないジャン。彼は鳥居の頭を蹴り飛ばし、マリーに視線を移す。
そう、まるで、わざと悪いことをして自分に興味をむけさせる駄々っ子のように。

だから鳥居は思った。彼には自分しかいないのだと。本当に孤独なのだと。
それもそうだろう。自分の心を癒すために人の命を奪う。
そんな者を誰が好きになるというのか。それ故に自ら堕ちてゆく永遠の闇と孤独の螺旋。

ヌケダセヤシナイ。救われない。

鳥居の心はまたもや揺らいだ。が、その時、マリーが歩み寄んでくる。その動きは怒りを孕んだ無拍子。
鬼気迫るマリーの眼光に、鳥居は孤独に喰われそうになった自分を取り戻す。
そして血煙の中で交差する二つの影。横溢し、ぶつかり合う二つの剣気。
それに伴い、周囲を埋め尽くしてゆく殺気。

その中で、突如、鳥居の耳朶に響いたのは優しい声だった。

>「自分がそんなになってもうたら……誰が……マリーはんを……守るんや……」

「あかねさん。

505名無しになりきれ:2013/03/05(火) 12:19:47
>「笑っているか、だと?『笑っていた』さ。俺のすぐ傍でな。そして今は、どこにもいない」

苛立ちの色を隠せないジャン。彼は鳥居の頭を蹴り飛ばし、マリーに視線を移す。
そう、まるで、わざと悪いことをして自分に興味をむけさせる駄々っ子のように。

だから鳥居は思った。彼には自分しかいないのだと。本当に孤独なのだと。
それもそうなのかもしれない。ジャンは自分の心を癒すためだけに人の命を奪う。
そんな者を誰が好きになるというのか。それ故に自ら堕ちてゆく永遠の闇と孤独の螺旋。

ヌケダセヤシナイ。救われない。

ジャンと自分の心を照らせ合わせ、鳥居の心はまたもや揺らいだ。
が、その時、マリーが歩み寄んでくる。その動きは怒りを孕んだ無拍子。
鬼気迫るマリーの眼光に、鳥居は孤独に喰われそうになった自分を取り戻す。
そして血煙の中で交差する二つの影。横溢し、ぶつかり合う二つの剣気。
それに伴い、周囲を埋め尽くしてゆく夥しい殺気。

そんな中、ふと鳥居の耳朶に響いたのは優しい声だった。

>「自分がそんなになってもうたら……誰が……マリーはんを……守るんや……」

506名無しになりきれ:2013/03/05(火) 16:05:45
>「笑っているか、だと?『笑っていた』さ。俺のすぐ傍でな。そして今は、どこにもいない」

苛立ちの色を隠せないジャン。彼は鳥居の頭を蹴り飛ばし、マリーに視線を移す。
そう、まるで、わざと悪いことをして自分に興味をむけさせる駄々っ子のように。

だから鳥居は思った。彼には自分しかいないのだと。本当に孤独なのだと。
それもそうなのかもしれない。ジャンは自分の心を癒すためだけに人の命を奪う。
そんな者を誰が好きになるというのか。それ故に自ら堕ちてゆく永遠の闇と孤独の螺旋。

アア、ヌケダセヤシナイ

ジャンと自分の心を照らし合わせ、鳥居の心はまたもや揺らいだ。
が、その時、マリーが歩み寄んでくる。その動きは怒りを孕んだ無拍子。
鬼気迫るマリーの眼光に、鳥居は孤独に喰われそうになった自分を取り戻す。
そして血煙の中で交差する二つの影。横溢し、ぶつかり合う二つの剣気。
それに伴い、周囲を埋め尽くしてゆく夥しい殺気。

そんな中、ふと鳥居の耳朶に響いたのは優しい声だった。

>「自分がそんなになってもうたら……誰が……マリーはんを……守るんや……」

「そんなことを言ったって、今の僕に出来ることは、これくらいしかないんです。
あとはマリーさんを信じて、待つしかないのです」
マリーさんなら僕たちを笑顔に変えてくれる。鳥居はそう信じていた。
この戦いはもうすぐ終わって、あかねも助かる。
重傷をおってもなお、人のことを気遣っているこんな優しい少女が助からないわけがない。

気がつけば、血煙の中から出ているジャン。
構える刀の切っ先はマリーの正中線を捉えて離さない。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」
あかねの声は小さく弱弱しかった。でもその言葉は純粋で、真っ直ぐ鳥居の心に響く。
と同時に体のなかが暖かくなる。とてもあたたかく、熱いくらいに。
なんということか。あかねは術で己の血液を操作して鳥居に供給してくれたのだ。

507名無しになりきれ:2013/03/05(火) 16:14:32
>「笑っているか、だと?『笑っていた』さ。俺のすぐ傍でな。そして今は、どこにもいない」

苛立ちの色を隠せないジャン。彼は鳥居の頭を蹴り飛ばし、マリーに視線を移す。
そう、まるで、わざと悪いことをして自分に興味をむけさせる駄々っ子のように。

だから鳥居は思った。彼には自分しかいないのだと。本当に孤独なのだと。
それもそうなのかもしれない。ジャンは自分の心を癒すためだけに人の命を奪う。
そんな者を誰が好きになるというのか。それ故に自ら堕ちてゆく永遠の闇と孤独の螺旋。

アア、ヌケダセヤシナイ

ジャンと自分の心を照らし合わせ、鳥居の心はまたもや揺らいだ。
が、その時、マリーが歩み寄んでくる。その動きは怒りを孕んだ無拍子。
鬼気迫るマリーの眼光に、鳥居は孤独に喰われそうになった自分を取り戻す。
そして血煙の中で交差する二つの影。横溢し、ぶつかり合う二つの剣気。
それに伴い、周囲を埋め尽くしてゆく夥しい殺気。

そんな中、ふと鳥居の耳朶に響いたのは優しい声だった。

>「自分がそんなになってもうたら……誰が……マリーはんを……守るんや……」

「そんなことを言ったって、今の僕たちに出来ることは、これくらいしかないんです。
あとはマリーさんを信じて、待つしかないのです。
いいからアカネさんは安静にしていてください!おねがいですから!」
マリーなら僕たちを笑顔に変えてくれる。鳥居はそう信じていた。
この戦いはもうすぐ終わって、あかねも助かる。
重傷をおってもなお、人のことを気遣っているこんな優しい少女が助からないわけがない。

気がつけば、血煙の中から出ているジャン。
構える刀の切っ先はマリーの正中線を捉えて離さない。
どうやら仕留め切れなかったらしい。鳥居は祈る気持ちで目を閉じた。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」
聞こえてくる小さく弱弱しいアカネの声。でもその言葉は純粋で、真っ直ぐ鳥居の心に響く。
と同時に体のなかが暖かくなる。とてもあたたかく、熱いくらいに。
なんということだろう。あかねは術で己の血液を操作して鳥居に供給してくれたのだった。

508名無しになりきれ:2013/03/05(火) 16:19:30
>「笑っているか、だと?『笑っていた』さ。俺のすぐ傍でな。そして今は、どこにもいない」

苛立ちの色を隠せないジャン。彼は鳥居の頭を蹴り飛ばし、マリーに視線を移す。
そう、まるで、わざと悪いことをして自分に興味をむけさせる駄々っ子のように。

だから鳥居は思った。彼には自分しかいないのだと。本当に孤独なのだと。
それもそうなのかもしれない。ジャンは自分の心を癒すためだけに人の命を奪う。
そんな者を誰が好きになるというのか。それ故に自ら堕ちてゆく永遠の闇と孤独の螺旋。

アア、ヌケダセヤシナイ

ジャンと自分の心を照らし合わせ、鳥居の心はまたもや揺らいだ。
が、その時、マリーが歩み寄んでくる。その動きは怒りを孕んだ無拍子。
鬼気迫るマリーの眼光に、鳥居は孤独に喰われそうになった自分を取り戻す。
そして血煙の中で交差する二つの影。横溢し、ぶつかり合う二つの剣気。
それに伴い、周囲を埋め尽くしてゆく夥しい殺気。

そんな中、ふと鳥居の耳朶に響いたのは優しい声だった。

>「自分がそんなになってもうたら……誰が……マリーはんを……守るんや……」

「そんなことを言ったって、今の僕たちに出来ることは、これくらいしかないんです。
あとはマリーさんを信じて、待つしかないのです。
いいからアカネさんは安静にしていてください!おねがいですから!」
マリーなら僕たちを笑顔に変えてくれる。鳥居はそう信じていた。
この戦いはもうすぐ終わって、あかねも助かる。
重傷をおってもなお、人のことを気遣っているこんな優しい少女が助からないわけがない。

気がつけば、血煙の中から出ているジャン。
構える刀の切っ先はマリーの正中線を捉えて離さないでいた。
どうやら仕留め切れなかったらしい。鳥居は祈る気持ちで目を閉じる。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」
すると聞こえてきたのは小さく弱弱しいアカネの声。でもその言葉は純粋で、真っ直ぐ鳥居の心に響くのだった。
と同時に体のなかが暖かくなる。とてもあたたかく、熱いくらいに。
なんということだろう。あかねは術で己の血液を操作して鳥居に供給してくれたのだ!

509名無しになりきれ:2013/03/05(火) 16:24:05
>「笑っているか、だと?『笑っていた』さ。俺のすぐ傍でな。そして今は、どこにもいない」

苛立ちの色を隠せないジャン。彼は鳥居の頭を蹴り飛ばし、マリーに視線を移す。
そう、まるで、わざと悪いことをして自分に興味をむけさせる駄々っ子のように。

だから鳥居は思った。彼には自分しかいないのだと。本当に孤独なのだと。
それもそうなのかもしれない。ジャンは自分の心を癒すためだけに人の命を奪う。
そんな者を誰が好きになるというのか。それ故に自ら堕ちてゆく永遠の闇と孤独の螺旋。

アア、ヌケダセヤシナイ

ジャンと自分の心を照らし合わせ、鳥居の心はまたもや揺らいだ。
が、その時、マリーが歩み寄んでくる。その動きは怒りを孕んだ無拍子。
鬼気迫るマリーの眼光に、鳥居は孤独に喰われそうになった自分を取り戻す。
そして血煙の中で交差する二つの影。横溢し、ぶつかり合う二つの剣気。
それに伴い、周囲を埋め尽くしてゆく夥しい殺気。

そんな中、ふと鳥居の耳朶に響いたのは優しい声だった。

>「自分がそんなになってもうたら……誰が……マリーはんを……守るんや……」

「そんなことを言ったって、今の僕たちに出来ることは、これくらいしかないんです。
あとはマリーさんを信じて、待つしかないのです。
いいからアカネさんは安静にしていてください!おねがいですから!」
マリーなら僕たちを笑顔に変えてくれる。鳥居はそう信じていた。
この戦いはもうすぐ終わって、あかねも助かる。
重傷をおってもなお、人のことを気遣っているこんな優しい少女が助からないわけがない。

気がつけば、血煙の中から出ているジャン。
構える刀の切っ先はマリーの正中線を捉えて離さないでいた。
どうやらマリーは、ジャンを仕留め切れなかったらしい。鳥居は祈る気持ちで目を閉じる。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」
すると聞こえてきたのは小さく弱弱しいアカネの声。でもその言葉は純粋で、真っ直ぐ鳥居の心に響くのだった。
と同時に体のなかが暖かくなる。とてもあたたかく、熱いくらいに。
ああ、なんということだろう。あかねは術で己の血液を操作して鳥居に供給してくれたのだ!

510名無しになりきれ:2013/03/05(火) 17:09:16
「なんてことを!なんてことをしたんですかアカネさんっ!!」
悲しみが胸を押しつぶしてくる。こんなに悲しいのなら心なんていらない。
それなのに自分は冷酷な怪物にもなりきれない、まして人間の子どもとしての幸せもありはしない。
中途半端な生成り小僧。つらいことを忘れたいから、因果さえも笑い飛ばしたい。
それゆえにサーカスで繰り広げてきたのは永遠の宴。道化芝居。

かなしみよ、なくなってしまえ!この胸の奥深くに封じ込めてしまえ!

つらい。くるしい。こんな現実はいやだった。
鳥居はまだ息のあるアカネの姿をみて震えていた。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」

しかしアカネの言葉が頭に響く。鳥居はマリーに視線を移す。
そこには一人ジャンに立ち向かうマリーの姿。
彼女は怒気で揺らいで見えた。その姿に鳥居はふと思う。

(悲しみや怒り。それは忘れたり押し殺したりしてしまうものじゃないのかも。
立ち上がる気持ちや、戦う気持ちに変えるべきものなのかもしれない。そう、マリーさんのように。
そうじゃなきゃ、この心はなんのためにあるというんですか!)

鳥居の瞳に灼熱の炎が宿り初める。

(僕は幸せでした。アカネさんの優しい気持ちに触れることができて…。
それに、目の前にはマリーさんが立っています。彼女は背中で僕に語りかけてくれました。
そして教えてくれました。ぶれない心の軸というものを!)

511名無しになりきれ:2013/03/05(火) 19:15:19
>「笑っているか、だと?『笑っていた』さ。俺のすぐ傍でな。そして今は、どこにもいない」

苛立ちの色を隠せないジャン。彼は鳥居の頭を蹴り飛ばし、マリーに視線を移す。
そう、まるで、わざと悪いことをして自分に興味をむけさせる駄々っ子のように。

だから鳥居は思った。彼には自分しかいないのだと。本当に孤独なのだと。
それもそうなのかもしれない。ジャンは自分の心を癒すためだけに人の命を奪う。
そんな者を誰が好きになるというのか。それ故に自ら堕ちてゆく永遠の闇と孤独の螺旋。

アア、ヌケダセヤシナイ

ジャンと自分の心を照らし合わせ、鳥居の心はまたもや揺らいだ。
が、その時、マリーが歩み寄んでくる。その動きは怒りを孕んだ無拍子。
鬼気迫るマリーの眼光に、鳥居は孤独に喰われそうになった自分を取り戻す。
そして血煙の中で交差する二つの影。横溢し、ぶつかり合う二つの剣気。
それに伴い、周囲を埋め尽くしてゆく夥しい殺気。

そんな中、ふと鳥居の耳朶に響いたのは優しい声だった。

>「自分がそんなになってもうたら……誰が……マリーはんを……守るんや……」

「そんなことを言ったって、今の僕たちに出来ることは、これくらいしかないんです。
あとはマリーさんを信じて、待つしかないのです。
いいからアカネさんは安静にしていてください!おねがいですから!」
マリーなら僕たちを笑顔に変えてくれる。鳥居はそう信じていた。
この戦いはもうすぐ終わって、あかねも助かる。
重傷をおってもなお、人のことを気遣っているこんな優しい少女が助からないわけがない。

気がつけば、血煙の中から出ているジャン。
構える刀の切っ先はマリーの正中線を捉えて離さないでいた。
どうやらマリーは、ジャンを仕留め切れなかったらしい。鳥居は祈る気持ちで目を閉じる。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」
でもアカネはさらに言葉を続けてきた。小さく弱弱しい彼女の声。
でもその言葉は純粋で、真っ直ぐ鳥居の心に響くのだった。
と同時に体のなかが暖かくなる。とてもあたたかく、熱いくらいに。
ああ、なんということだろう。あかねは己の術で血液を操作し、
鳥居にその血液を供給してくれたのだ!

512名無しになりきれ:2013/03/05(火) 19:28:15
「なんてことを!なんてことをしたんですかアカネさんっ!!」
悲しみが胸を押しつぶしてくる。アカネは死んでしまうかもしれない。
そんなことは耐えられない。それなら、こんなにも悲しい気持ちになるのなら心なんていらない。
それなのに自分は冷酷な怪物にもなりきれない、まして人間の子どもとしての幸せもありはしない。
中途半端な生成り小僧。つらいことを忘れたいから、因果さえも笑い飛ばしたい。
それゆえにサーカスで繰り広げてきたのは永遠の宴。道化芝居。

鳥居は思いっきり叫びたかった。

かなしみよ、溢れるな!この胸の奥深くに閉じ込められてしまえ!と。

だが、つらい。くるしい。こんな現実はいやだった。
鳥居はまだ息のあるアカネの姿をみて震えていた。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」

しかしアカネの言葉が頭に響く。鳥居はマリーに視線を移す。
そこには一人ジャンに立ち向かうマリーの姿。
彼女は怒気で揺らいで見えた。その姿に鳥居はふと思う。

(悲しみや怒り。それは忘れたり押し殺したりしてしまうものじゃないのかも。
立ち上がる気持ちや、戦う気持ちに変えるべきものなのかもしれない。そう、マリーさんのように。
そうじゃなきゃ、この心はなんのためにあるというんですか!)

鳥居の瞳に灼熱の炎が宿り初める。

(僕は幸せでした。アカネさんの優しい気持ちに触れることができて…。
それに、目の前にはマリーさんが立っています。彼女は背中で僕に語りかけてくれました。
そして教えてくれました。絶対に揺らぐことのない、正義の心というものを!!)

513名無しになりきれ:2013/03/05(火) 20:10:28
「なんてことを!なんてことをしたんですかアカネさんっ!!」
悲しみが胸を押しつぶしてくる。アカネは死んでしまうかもしれない。
そんなことは耐えられない。それなら、こんなにも悲しい気持ちになるのなら心なんていらない。
それなのに自分は冷酷な怪物にもなりきれない、まして人間の子どもとしての幸せもありはしない。
中途半端な生成り小僧。つらいことを忘れたいから、因果さえも笑い飛ばしたい。
それゆえにサーカスで繰り広げてきたのは永遠の宴。道化芝居。
それなのにこんなことが起きてしまうなんて……。

だから鳥居は思いっきり叫びたかった。

かなしみよ、溢れるな!この胸の奥深くに閉じ込められてしまえ!と。

だが、溢れ出して来る感情は止められない。つらい。くるしい。こんな現実はいやだった。
鳥居はまだ息のあるアカネの姿をみて震えながら、絶望でその心を萎縮させていた。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」

しかしアカネの言葉が頭に響く。鳥居はマリーに視線を移す。
そこには一人ジャンに立ち向かうマリーの姿。
彼女は怒気で揺らいで見えた。その姿に鳥居はふと思う。

(悲しみや怒り。それは忘れたり押し殺したりしてしまうものじゃないのかも知れません。
立ち上がる気持ちや、戦う気持ちに変えるべきものなのかもしれない。そう、マリーさんのように。
そうじゃなきゃ、この心はなんのためにあるというんですか!)

鳥居の瞳に灼熱の炎が宿り初める。

(僕は幸せでした。アカネさんの優しい気持ちに触れることができて…。
それに、目の前にはマリーさんが立っています。彼女は背中で僕に語りかけてくれました。
そして教えてくれました。絶対に揺らぐことのない、正義の心というものを!!)

「助太刀します!マリーさん!」

ドクンと心臓が脈打つ。
鳥居はジャンに向かって一歩踏み出し、次に駆けた。
この体に宿るのはアカネの命。そしてこの拳に宿るものはマリーの意志。
猪突してある程度の間合いに入った時、ジャンはあの絶対的な勝利の間合いに鳥居を引きずり込むはず。
それならば鳥居は逃げない。さらにもう一歩踏み出して刀よりも深い間合いに潜り込む。
そこへ炎の神気をこめた拳で一突き。狙うはがら空きになるであろう左わき腹。
鳥居の身長なら低姿勢で踏み込めば剣撃より先に踏み込むことができるはず。
例え防御されたとしてもそのまま拳を捻りこむ。追いかけて焼き尽くす。



514名無しになりきれ:2013/03/05(火) 20:25:38
「なんてことを!なんてことをしたんですかアカネさんっ!!」
悲しみが胸を押しつぶしてくる。アカネは死んでしまうかもしれない。
そんなことは耐えられない。それなら、こんなにも悲しい気持ちになるのなら心なんていらない。
それなのに自分は冷酷な怪物にもなりきれない、まして人間の子どもとしての幸せもありはしない。
中途半端な生成り小僧。つらいことを忘れたいから、因果さえも笑い飛ばしたい。
それゆえにサーカスで繰り広げてきたのは永遠の宴。道化芝居。
それなのにこんなことが起きてしまうなんて……。

だから鳥居は思いっきり叫びたかった。

かなしみよ、溢れるな!この胸の奥深くに閉じ込められてしまえ!と。

だが、溢れ出して来る感情は止められない。つらい。くるしい。こんな現実はいやだった。
鳥居はまだ息のあるアカネの姿をみて震えながら、絶望でその心を萎縮させていた。

>「鳥居はん……マリーはんを……助けたげてや……」

しかしアカネの言葉が頭に響く。鳥居はマリーに視線を移す。
そこには一人ジャンに立ち向かうマリーの姿。
彼女は怒気で揺らいで見えた。その姿に鳥居はふと思う。

(悲しみや怒り。それは忘れたり押し殺したりしてしまうものじゃないのかも知れません。
立ち上がる気持ちや、戦う気持ちに変えるべきものなのかもしれない。そう、マリーさんのように。
そうじゃなきゃ、この心はなんのためにあるというんですか!)

鳥居の瞳に灼熱の炎が宿り初める。

(僕は幸せでした。アカネさんの優しい気持ちに触れることができて…。
それに、目の前にはマリーさんが立っています。彼女は背中で僕に語りかけてくれました。
そして教えてくれました。絶対に揺らぐことのない、正義の心というものを!!)

「助太刀します!マリーさん!」

ドクンと心臓が脈打つ。
鳥居はジャンに向かって一歩踏み出し、次に駆けた。
この体に宿るのはアカネの命。そしてこの拳に宿るものはマリーの意志。
猪突してある程度の間合いに入った時、ジャンはあの絶対的な勝利の間合いに鳥居を引きずり込むはず。
それならば鳥居は逃げない。さらにもう一歩踏み出して刀よりも深い間合いに潜り込む。
そこへ炎の神気をこめた拳で一突き。狙うはがら空きになるであろう左わき腹。
鳥居の身長なら低姿勢で踏み込めば剣撃より先に踏み込むことができるはず。
例え防御されたとしてもそのまま拳を捻りこむ。追いかけて焼き尽くす。

>「奪ってやるぞ、神殺し……。俺だけが奪われたままでなど、いられるか……。
 仲間も、命も、正義も、全て失って……お前も俺になってしまえ――!」

「マリーさんが、お前になんかなるわけないです!僕が、守ってみせるからぁ!!」
咆哮し、疾駆する鳥居。その右手に凝縮されるは炎の神気。
間合いを詰められたと同時にそれは発火し、ジャンの左脇腹を狙うことだろう。

515名無しになりきれ:2013/03/06(水) 12:12:16
シャドウの火炎攻撃を受け、ペルソナ「オトヒメ」の内部には無数の水泡のようなものが噴出。
それはまるで水のエナジーが沸騰しているようなイメージだった。
海棠を守っていたオトヒメは身を悶えながら消滅してゆく。
そう、オトヒメは耐久性に優れているペルソナであった。
しかし弱点をつかれてしまえば至極脆いものなのだ。

(くっ、情けない。こんなんじゃ…足止めにもなってないよ……)
膝から崩れ落ちた身体は気絶寸前。ふらりと崩れ落ちてゆく。
ああ、だめ。全身に力が入らない。このままでは頭を床に打ち付けてしまう。
そう思った次の瞬間――

>「ちょいと失礼するぜ!?」
身体を支えられた。次に持ち上げられた。整髪料の匂いが鼻腔をくすぐる。
(あの、オールバックメガネ?)
海棠を肩に担いだ中務は、安全な場所に移動すると優しく床に下ろしてくれた。
それはとても意外な行動で海棠には信じられなかった。
昔、海棠がメガネをかけていた時、クラスメイトの男子たちは
みんな揃って海棠のことをメガネザルとバカにした。
それは不良と呼ばれる人達だけではなく、普通の子も含めてクラスの男子全員だった。
だけどこのインテリヤクザ風な少年は、その見た目とは違って海棠を助けてくれたのであった。

「…あ、ありがと」
床にへたれこんでいる海棠は少年を見上げながら言った。
すると神部の声が響きわたる。そう、彼女は逃げていなかったのだ。

>「お願い、アクラシエル、ハンマ!!」
神々しい光を纏い、両腕に二挺の長槍を持った天使が光鎖でシャドウを縛り付けていた。
あれが神部のペルソナ「アクラシエル」なのだろう。
神部の心のように美しいペルソナ。それでいて何か強い情念を秘めているようなペルソナだった。

(まさかと思ってはいたけど、本当にペルソナを出しちゃうなんて)
しかし海棠はもう一度驚くことになる。

>「フフ、そう、か。そうだったな……。見たぞ、約束だ――僕に力を貸せ。来い、”スサノオ”!!」

「う、うそよ!!あの子までペルソナを…」
もうなんて表現すれば良いのだろう。ほとんどノリのようなもの。
でもスサノの生み出したペルソナは異様な巨体を誇っていた。
だから海棠は、その巨体が張りぼてではないことを祈る。ただなんとなく。

それでもシャドウは怯むこともなく火炎攻撃を再び発動させた。
それに応戦するかの如くスサノオは赤の壁を生み出しシャドウの火炎を防御。
次に大剣を構えながらシャドウに突進。
目標のシャドウは光鎖に拘束されたまま沈黙しているかのようだった。
だがそれは諦念からの沈黙ではなかった。
シャドウの内部は高エネルギーで臨界点にまで達していたのである。

>「吠え面かいてろ、鉄屑が――――マカジャマ」
しかしシャドウの魔法が発動する刹那、中務の封殺が展開された。
その隙を突くようにスサノオの大剣が、シャドウの身体を突き破る。

516名無しになりきれ:2013/03/06(水) 12:20:05
シャドウの火炎攻撃を受け、ペルソナ「オトヒメ」の内部には無数の水泡のようなものが噴出。
それはまるで水のエナジーが沸騰しているようなイメージだった。
海棠を守っていたオトヒメは身を悶えながら消滅してゆく。
そう、オトヒメは耐久性に優れているペルソナであった。
しかし弱点をつかれてしまえば至極脆いものなのだ。

(くっ、情けない。こんなんじゃ…足止めにもなってないよ……)
膝から崩れ落ちた身体は気絶寸前。ふらりと崩れ落ちてゆく。
ああ、だめ。全身に力が入らない。このままでは頭を床に打ち付けてしまう。
そう思った次の瞬間――

>「ちょいと失礼するぜ!?」
身体を支えられた。次に持ち上げられた。整髪料の匂いが鼻腔をくすぐる。
(あの、オールバックメガネ?)
海棠を肩に担いだ中務は、安全な場所に移動すると優しく床に下ろしてくれた。
それはとても意外な行動で海棠には信じられなかった。
昔、海棠がメガネをかけていた時、クラスメイトの男子たちは
みんな揃って海棠のことをメガネザルとバカにした。
それは不良と呼ばれる人達だけではなく、普通の子も含めてクラスの男子全員だった。
だけどこのインテリヤクザ風な少年は、その見た目とは違って海棠を助けてくれたのであった。

「…あ、ありがと」
床にへたれこんでいる海棠は少年を見上げながら言った。
すると神部の声が響きわたる。そう、彼女は逃げていなかったのだ。

>「お願い、アクラシエル、ハンマ!!」
神々しい光を纏い、両腕に二挺の長槍を持った天使が光鎖でシャドウを縛り付けていた。
あれが神部のペルソナ「アクラシエル」なのだろう。
神部の心のように美しいペルソナ。それでいて何か強い情念を秘めているようなペルソナだった。

(まさかと思ってはいたけど、本当にペルソナを出しちゃうなんて)
しかし海棠はもう一度驚くことになる。

>「フフ、そう、か。そうだったな……。見たぞ、約束だ――僕に力を貸せ。来い、”スサノオ”!!」

「う、うそよ!!あの子までペルソナを…」
もうなんて表現すれば良いのだろう。ほとんどノリのようなもの。
でもスサノの生み出したペルソナは異様な巨体を誇っていた。
だから海棠は、その巨体が張りぼてではないことを祈る。ただなんとなく。

それでもシャドウはスサノオを怯むこともなく、火炎攻撃を再び発動。
それに応戦するかの如くスサノオは赤の壁を生み出しシャドウの火炎を防御。
次に大剣を構えながらシャドウに突進。
目標のシャドウは光鎖に拘束されたまま沈黙しているかのようだった。
だがそれは諦念からの沈黙ではなかった。
シャドウの内部は高エネルギーで臨界点にまで達していたのである。
それは、ここにいる誰も気付いていないであろう危機だった。

しかし――

>「吠え面かいてろ、鉄屑が――――マカジャマ」
シャドウの魔法が発動する刹那、中務が封殺を展開。
その隙を突くようにスサノオの大剣が、シャドウの身体を突き破る。

517名無しになりきれ:2013/03/06(水) 14:16:52
シャドウの火炎攻撃を受け、ペルソナ「オトヒメ」の内部には無数の水泡のようなものが噴出。
それはまるで水のエナジーが沸騰しているようなイメージだった。
海棠を守っていたオトヒメは身を悶えながら消滅してゆく。
そう、オトヒメは耐久性に優れているペルソナであった。
しかし弱点をつかれてしまえば至極脆いものなのだ。

(くっ、情けない。こんなんじゃ…足止めにもなってないよ……)
膝から崩れ落ちた身体は気絶寸前。ふらりと崩れ落ちてゆく。
ああ、だめ。全身に力が入らない。このままでは頭を床に打ち付けてしまう。
そう思った次の瞬間――

>「ちょいと失礼するぜ!?」
身体を支えられた。次に持ち上げられた。整髪料の匂いが鼻腔をくすぐる。
(もしかして、オールバックのメガネくん?)
海棠を肩に担いだ中務は、安全な場所に移動すると優しく床に下ろしてくれた。
それはとても意外な行動で海棠には信じられなかった。
昔、海棠がメガネをかけていた時、クラスメイトの男子たちは
みんな揃って海棠のことをメガネザルとバカにした。
それは不良と呼ばれる人達だけではなく、普通の子も含めてクラスの男子全員だった。
だけどこのインテリヤクザ風な少年は、その見た目とは違って海棠を助けてくれたのであった。

「…あ、ありがと」
床にへたれこんでいる海棠は少年を見上げながら言った。
すると神部の声が響きわたる。そう、彼女は逃げていなかったのだ。

>「お願い、アクラシエル、ハンマ!!」
神々しい光を纏い、両腕に二挺の長槍を持った天使が光鎖でシャドウを縛り付けていた。
あれが神部のペルソナ「アクラシエル」なのだろう。
神部の心のように美しいペルソナ。それでいて何か強い意志を秘めているようなペルソナだった。

(まさかと思ってはいたけど、本当にペルソナを出しちゃうなんて)
だが海棠は、もう一度驚くことになる。

>「フフ、そう、か。そうだったな……。見たぞ、約束だ――僕に力を貸せ。来い、”スサノオ”!!」

「う、うそよ!!あの子までペルソナを…」
もうなんて表現すれば良いのだろう。ほとんどノリのようなもの。
でもスサノの生み出したペルソナは異様な巨体を誇っていた。
だから海棠は、その巨体が張りぼてではないことを祈る。ただなんとなく。

それでもシャドウはスサノオを怯むこともなく、火炎攻撃を再び発動。
それに応戦するかの如くスサノオは赤の壁を生み出しシャドウの火炎を防御。
次に大剣を構えながらシャドウに突進。
目標のシャドウは光鎖に拘束されたまま沈黙しているかのようだった。
だがそれは諦念からの沈黙ではなかった。
シャドウの内部は高エネルギーで臨界点にまで達していたのである。
それは、ここにいる誰も気付いていないであろう危機であった。

しかし――

>「吠え面かいてろ、鉄屑が――――マカジャマ」
シャドウの魔法が発動する刹那、中務が封殺を展開。
その隙を突くようにスサノオの大剣が、シャドウの身体を突き破る。

518名無しになりきれ:2013/03/06(水) 15:46:11
大型のシャドウ。その金属の身体に深々と突き刺さるスサノオの大剣。
ラクシャーサの連撃による多くの裂傷。
ハンマにより拘束されマカジャマにより封じ込められたシャドウのエナジーは
今まで内外から受けたの圧力に耐え切れないとばかりに、傷口から弾けるように噴出する。

大剣をトリガーとして内側から完熟した石榴のように翻るシャドウ。
溢れ出た金属の部品は、まるで肋骨のようだった。

ふと気がつけばポーチの中の水晶髑髏が青白く発光していた。
そうだ、イデアルエナジーを回収しなければ。
取り出した水晶髑髏を目の前に掲げる。
するとシャドウの残骸から幾条もの光が、光線となって水晶髑髏に吸い込まれていった。

それはまるで、人の魂のようだった。おまけに海棠が奪っている感じ。
今までにあの機械のシャドウが集めていたものを強奪している気分。
としたらあれはこの廃工場で、何かのエネルギーを集めていたのかもしれない。

ふと海棠は、とある噂を思い出す。この廃工場は昔、処刑場だったということ。
貧苦に喘いで一揆を起こした農民たちを大量に殺戮した場所であり
謀反の際には、士族が同じ場所で大量に殺された曰くつきの場所だということを。

(長居は無用かも。かなり火もまわってきちゃったし)

「神部さん、スサノちゃん。みんな、早く逃げましょう!動けない人はいないよね?」
自分なりに大声で叫んで、海棠は廃工場から脱出した。

(とりあえずは、任務完了ってとこかな…)
徐々に心が落ち着いてくる。いい意味でも悪い意味でも。なので海棠はまた無口になった。
あんな風に最後にシャドウのエナジーを吸い取った自分を皆はどう思っているのだろうか。
やはり普通じゃないと思われるのだろうか。でもそんなことを言ってしまえば、みんな普通ではないのだが。
問題は山積み。彼らのもつあの召喚器は、ジョーカーから渡されたものなのだろうか。
海棠は近くにいた風祭にむかって恐る恐る話しかけてみる。

「あの…、さっきは助けていただいてありがとうございました。私、海棠美歩って言います。
驚きました。あなたたちもペルソナ使いなんですよね?
その召喚器って、どうなされたのですか?もしかして、ジョーカーから授かったものだったりして?」

首をかしげて覗くように少年の顔を見上げる。月明かりを浴びた彼の顔はいたって普通。
普通過ぎるほど普通だった。あの悪鬼のペルソナを内に秘めているとは思えないほどに。

見上げれば、夜空には不気味なほどに光り輝く巨大な満月。それはビルを背景にぽっかりと浮かんでいた。
街並みに生み出された巨大な影は深く、その影は黒で黒を塗りつぶしたかのような漆黒。
踏み外してしまえば、奈落にでも堕ちてしまうと錯覚するほどに、その闇は深いのであった。
【シャドウ殲滅。その後、廃工場から脱出。帰りの道すがら、風祭さんに、その召喚器はどうしたの?って聞く海棠】

519名無しになりきれ:2013/03/06(水) 15:57:09
シャドウの火炎攻撃を受け、ペルソナ「オトヒメ」の内部には無数の水泡のようなものが噴出。
それはまるで水のエナジーが沸騰しているようなイメージだった。
海棠を守っていたオトヒメは身を悶えながら消滅してゆく。
そう、オトヒメは耐久性に優れているペルソナであった。
しかし弱点をつかれてしまえば至極脆いものなのだ。

(くっ、情けないね。こんなんじゃ…足止めにもなってないってば……)
膝から崩れ落ちた身体は気絶寸前。ふらりと崩れ落ちてゆく。
ああ、だめ。全身に力が入らない。このままでは頭を床に打ち付けてしまう。
そう思った次の瞬間――

>「ちょいと失礼するぜ!?」
身体を支えられた。次に持ち上げられた。整髪料の匂いが鼻腔をくすぐる。
(もしかして、オールバックのメガネくん?)
海棠を肩に担いだ中務は、安全な場所に移動すると優しく床に下ろしてくれた。
それはとても意外な行動で海棠には信じられなかった。
昔、海棠がメガネをかけていた時、クラスメイトの男子たちは
みんな揃って海棠のことをメガネザルとバカにした。
それは不良と呼ばれる人達だけではなく、普通の子も含めてクラスの男子全員だった。
だけどこのインテリヤクザ風な少年は、その見た目とは違って海棠を助けてくれたのであった。

「…あ、ありがと」
床にへたれこんでいる海棠は少年を見上げながら言った。
すると神部の声が響きわたる。そう、彼女は逃げていなかったのだ。

>「お願い、アクラシエル、ハンマ!!」
神々しい光を纏い、両腕に二挺の長槍を持った天使が光鎖でシャドウを縛り付けている。
あれが神部のペルソナ「アクラシエル」なのだろう。
神部の心のように美しいペルソナ。それでいて何か強い意志を秘めているようなペルソナだった。

(まさかと思ってはいたけど、本当にペルソナを出しちゃうなんて)
だが海棠は、もう一度驚くことになる。

>「フフ、そう、か。そうだったな……。見たぞ、約束だ――僕に力を貸せ。来い、”スサノオ”!!」

「う、うそよ!!あの子までペルソナを…」
もうなんて表現すれば良いのだろう。ほとんどノリのようなもの。
でもスサノの生み出したペルソナは異様な巨体を誇っていた。
だから海棠は、その巨体が張りぼてではないことを祈る。ただなんとなく。

それでもシャドウはスサノオを怯むこともなく、火炎攻撃を再び発動。
それに応戦するかの如くスサノオは赤の壁を生み出しシャドウの火炎を防御。
次に大剣を構えながらシャドウに突進。
目標のシャドウは光鎖に拘束されたまま沈黙しているかのようだった。
だがそれは諦念からの沈黙ではなかった。
シャドウの内部は高エネルギーで臨界点にまで達していたのである。
それは、ここにいる誰も気付いていないであろう危機であった。

しかし――

>「吠え面かいてろ、鉄屑が――――マカジャマ」
シャドウの魔法が発動する刹那、中務が封殺を展開。
その隙を突くようにスサノオの大剣が、シャドウの身体を突き破る。

520名無しになりきれ:2013/03/06(水) 16:06:31
大型のシャドウ。その金属の身体に深々と突き刺さるスサノオの大剣。
ラクシャーサの連撃による多くの裂傷。
ハンマにより拘束され、マカジャマにより封じ込められたシャドウのエナジーは
今まで内外から受けたの圧力に耐え切れないとばかりに、爆発とともに傷口から噴出する。

大剣をトリガーとして内側から完熟した石榴のように翻るシャドウ本体。
溢れ出た金属の部品は、まるで肋骨のようだった。

ふと気がつけばポーチの中の水晶髑髏が青白く発光していた。
そうだ、イデアルエナジーを回収しなければ。
取り出した水晶髑髏を目の前に掲げる。
するとシャドウの残骸から幾条もの光が、光線となって水晶髑髏に吸い込まれていった。

それはまるで、人の魂のようだった。おまけに海棠が奪っている感じ。
今までにあの機械のシャドウが集めていたものを強奪している感じ。
としたらあれはこの廃工場で、何かのエネルギーを集めていたのかもしれない。

海棠は、とある噂を思い出す。この廃工場は昔、処刑場だったということ。
貧苦に喘いで一揆を起こした農民たちを大量に殺戮した場所であり
謀反の際には、士族が同じ場所で大量に殺された曰くつきの場所だということを。

(長居は無用かも。かなり火もまわってきちゃったし)

「神部さん、スサノちゃん。みんな、早く逃げましょう!動けない人はいないよね?」
自分なりに大声で叫んで、海棠は廃工場から脱出した。

(とりあえずは、任務完了ってとこかな…)
徐々に心が落ち着いてくる。いい意味でも悪い意味でも。なので海棠はまた無口になった。
あんな風に最後にシャドウのエナジーを吸い取った自分を皆はどう思っているのだろうか。
やはり普通じゃないと思われるのだろうか。でもそんなことを言ってしまえば、みんな普通ではないのだが。
問題は山積み。彼らのもつあの召喚器は、ジョーカーから渡されたものなのだろうか。
それと行方不明の久我浜清恵は何処に?海棠は近くにいた風祭にむかって恐る恐る話しかけてみる。

「あの…、さっきは助けていただいてありがとうございました。私、海棠美歩って言います。
驚きました。あなたたちもペルソナ使いなんですよね?とてもかっこよかったです。
そして質問あるんですけど、あの廃工場で久我浜清恵さんを見かけなかったですか?
それとその召喚器って、どうなされたのですか?もしかして、ジョーカーから授かったものだったりして?」

首をかしげて覗くように少年の顔を見上げる。月明かりを浴びた彼の顔はいたって普通。
普通過ぎるほど普通だった。あの悪鬼のペルソナを内に秘めているとは思えないほどに。

見上げれば、夜空には不気味なほどに光り輝く巨大な満月。それはビルを背景にぽっかりと浮かんでいた。
それとは逆に、街並みに生み出された巨大な影は深く、その影は黒で黒を塗りつぶしたかのような漆黒。
踏み外してしまえば、奈落にでも堕ちてしまうと錯覚するほどに、その闇は深いのであった。
【シャドウ殲滅。その後、廃工場から脱出】
【帰りの道すがら風祭さんに、久我浜清恵さんを知らない?その召喚器はどうしたの?って質問】

521名無しになりきれ:2013/03/06(水) 16:15:36
シャドウの火炎攻撃を受け、ペルソナ「オトヒメ」の内部には無数の水泡のようなものが噴出。
それはまるで水のエナジーが沸騰しているようなイメージだった。
海棠を守っていたオトヒメは身を悶えながら消滅してゆく。
そう、オトヒメは耐久性に優れているペルソナであった。
しかし弱点をつかれてしまえば至極脆いものなのだ。

(もう、情けないっ。こんなんじゃ…足止めにもなってないってば……)
膝から崩れ落ちた身体は気絶寸前。ふらりと崩れ落ちてゆく。
ああ、だめ。全身に力が入らない。このままでは頭を床に打ち付けてしまう。
そう思った次の瞬間――

>「ちょいと失礼するぜ!?」
身体を支えられた。次に持ち上げられた。整髪料の匂いが鼻腔をくすぐる。
(もしかして、オールバックのメガネくん?)
海棠を肩に担いだ中務は、安全な場所に移動すると優しく床に下ろしてくれた。
それはとても意外な行動で海棠には信じられなかった。
昔、海棠がメガネをかけていた時、クラスメイトの男子たちは
みんな揃って海棠のことをメガネザルとバカにした。
それは不良と呼ばれる人達だけではなく、普通の子も含めてクラスの男子全員だった。
だけどこのインテリヤクザ風な少年は、その見た目とは違って海棠を助けてくれたのであった。

「…あ、ありがと」
床にへたれこんでいる海棠は少年を見上げながら言った。
すると神部の声が響きわたる。そう、彼女は逃げていなかったのだ。

>「お願い、アクラシエル、ハンマ!!」
神々しい光を纏い、両腕に二挺の長槍を持った天使が光鎖でシャドウを縛り付けている。
あれが神部のペルソナ「アクラシエル」なのだろう。
神部の心のように美しいペルソナ。それでいて何か強い意志を秘めているようなペルソナだった。

(まさかと思ってはいたけど、本当にペルソナを出しちゃうなんて)
だが海棠は、もう一度驚くことになる。

>「フフ、そう、か。そうだったな……。見たぞ、約束だ――僕に力を貸せ。来い、”スサノオ”!!」

「う、うそよ!!あの子までペルソナを…」
もうなんて表現すれば良いのだろう。ほとんどノリのようなもの。
でもスサノの生み出したペルソナは異様な巨体を誇っていた。
だから海棠は、その巨体が張りぼてではないことを祈る。ただなんとなく。

それでもシャドウはスサノオを怯むこともなく、火炎攻撃を再び発動。
それに応戦するかの如くスサノオは赤の壁を生み出しシャドウの火炎を防御。
次に大剣を構えながらシャドウに突進。
目標のシャドウは光鎖に拘束されたまま沈黙しているかのようだった。
だがそれは諦念からの沈黙ではなかった。
シャドウの内部は高エネルギーで臨界点にまで達していたのである。
それは、ここにいる誰も気付いていないであろう危機であった。

しかし――

>「吠え面かいてろ、鉄屑が――――マカジャマ」
シャドウの魔法が発動する刹那、中務が封殺を展開。
その隙を突くようにスサノオの大剣が、シャドウの身体を突き破る。

522名無しになりきれ:2013/03/06(水) 16:19:12
大型のシャドウ。その金属の身体に深々と突き刺さるスサノオの大剣。
ラクシャーサの連撃による多くの裂傷。
ハンマにより拘束され、マカジャマにより封じ込められたシャドウのエナジーは
今まで内外から受けたの圧力に耐え切れないとばかりに、爆発とともに傷口から噴出する。

大剣をトリガーとして内側から完熟した石榴のように翻るシャドウ本体。
溢れ出た金属の部品は、まるで肋骨のようだった。

ふと気がつけばポーチの中の水晶髑髏が青白く発光していた。
そうだ、イデアルエナジーを回収しなければ。
取り出した水晶髑髏を目の前に掲げる。
するとシャドウの残骸から幾条もの光が、光線となって水晶髑髏に吸い込まれていった。

それはまるで、人の魂のようだった。おまけに海棠が奪っている感じ。
今までにあの機械のシャドウが集めていたものを強奪している感じ。
としたらあれはこの廃工場で、何かのエネルギーを集めていたのかもしれない。

海棠は、とある噂を思い出す。この廃工場は昔、処刑場だったということ。
貧苦に喘いで一揆を起こした農民たちを大量に殺戮した場所であり
謀反の際には、士族が同じ場所で大量に殺された曰くつきの場所だということを。

(長居は無用かも。かなり火もまわってきちゃったし)

「神部さん、スサノちゃん。みんな、早く逃げましょう!動けない人はいないよね?」
自分なりに大声で叫んで、海棠は廃工場から脱出した。

(とりあえずは、任務完了ってとこかなぁ…)
徐々に心が落ち着いてくる。いい意味でも悪い意味でも。なので海棠はまた無口になった。
あんな風に最後にシャドウのエナジーを吸い取った自分を皆はどう思っているのだろうか。
やはり普通じゃないと思われるのだろうか。でもそんなことを言ってしまえば、みんな普通ではないのだが。
問題は山積み。彼らのもつあの召喚器は、ジョーカーから渡されたものなのだろうか。
それと行方不明の久我浜清恵は何処に?海棠は近くにいた風祭にむかって恐る恐る話しかけてみる。

「あの…、さっきは助けていただいてありがとうございました。私、海棠美歩って言います。
驚きました。あなたたちもペルソナ使いなんですよね?とてもかっこよかったです。
そして質問があるんですけど、あの廃工場で久我浜清恵さんって女の子を見かけなかったですか?
わたしと同じ七姉妹学園の生徒なんですけど。それとその召喚器って、どうなされたのですか?
もしかして、ジョーカーから授かったものだったりして?」

首をかしげて覗くように少年の顔を見上げる。月明かりを浴びた彼の顔はいたって普通。
普通過ぎるほど普通だった。あの悪鬼のペルソナを内に秘めているとは思えないほどに。

見上げれば、夜空には不気味なほどに光り輝く巨大な満月。それはビルを背景にぽっかりと浮かんでいた。
それとは逆に、街並みに生み出された巨大な影は深く、その影は黒で黒を塗りつぶしたかのような漆黒。
踏み外してしまえば、奈落にでも堕ちてしまうと錯覚するほどに、その闇は深いのであった。
【シャドウ殲滅。その後、廃工場から脱出】
【帰りの道すがら風祭さんに、久我浜清恵さんを知らない?その召喚器はどうしたの?と質問】

523名無しになりきれ:2013/03/12(火) 16:28:23
>「俺は……これからも人を殺すぞ。右腕が治れば、また……。
 いや……治らなければ、左腕だけでも……。左腕を失えば、剣を咥えてでも殺してやる……!」

まるで殺して欲しいとでも言わんとばかりのジャンの形相に鳥居は悟った。
彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。きっと死に場所を求めていたのであろうと。
しかし、マリーは殺さなかった。それを鳥居は疑問に思う。
なぜなら寺院での鳥居の問いかけに、マリーは悪い奴らがのさばっているのは許せないと言っていたからだ。
なのにマリーは殺さなかったのである。

(ふむむ?では殺すのと殺さないの違いってなんでしょう…)
ジャンの鞘で拳を弾かれたあと、マリーの剣撃をジャンが受けたことを確認していた鳥居は
距離をとって二人をじっと見ていた。
(彼に生き恥をさらさせるつもりなのでしょうか)
そうとも思った。かつてマリーは、鳥居の頂いたスペル・ヴァイザーの撮影機を破壊した。
その時もスペルの命を奪うことはしなかった。

(もしかして、彼のことを可哀想と思っているのかも。戦争に運命を狂わされた可哀想な犠牲者と…)
何はともあれ、マリーは殺さない。という答えを選び、いっぽうのジャンは、殺し続けてやると吠えている。

>「殺せ……。さもなくば、後悔させてやるぞ……。いつか、必ずな……!」

ジャンをこのまま放って置けば、これからも沢山の罪もない人が彼に殺されるだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これからは誰も死なない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
おまけに他人の血を浴びた身体で人を喜ばせることなど出来やしない。

だからもう、関係ない。後は自己責任なのだ。鳥居はジャンを殺さない。その行為に後悔はしない。
今後の人生は彼の人生であり、いつかジャンに恨みをもった名も知れぬ者に彼が殺されたとしても自業自得。
そんなことよりも今の鳥居にはやらなければならないことがある。
鳥居はアカネの元へ駆けると彼女を背負う。傷の手当てのために寺院へと帰ろうとしているのだった。

524名無しになりきれ:2013/03/12(火) 21:02:57
>「俺は……これからも人を殺すぞ。右腕が治れば、また……。
 いや……治らなければ、左腕だけでも……。左腕を失えば、剣を咥えてでも殺してやる……!」

まるで殺して欲しいとでも言わんばかりのジャンの形相に鳥居は悟った。
彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。
あのフェイ老人と同じく、わりきれないまま運命の裁定を待っているか弱い人間なのだと。
それならばマリーが殺さなかった理由も頷ける。
かつてマリーは、鳥居の頂戴したスペル・ヴァイザーの撮影機を破壊した。
その時もスペルの命を奪うことはしなかった。

(もしかして、彼のことを可哀想と思っているのかも。戦争に運命を狂わされた可哀想な犠牲者と…)
何はともあれ、マリーは殺さない。という答えを選び、いっぽうのジャンは、殺し続けてやると吠えている。

>「殺せ……。さもなくば、後悔させてやるぞ……。いつか、必ずな……!」

ジャンをこのまま放って置けば、これからも沢山の罪もない人が彼に殺されるだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これからは誰も死なない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
おまけに他人の血を浴びた身体で人を喜ばせることなど出来やしない。

だからもう、関係ない。後は自己責任なのだ。鳥居はジャンを殺さない。その行為に後悔はしない。
今後の人生は彼の人生であり、いつかジャンに恨みをもった名も知れぬ者に彼が殺されたとしても自業自得。
そんなことよりも今の鳥居にはやらなければならないことがある。
鳥居はアカネの元へ駆けると彼女を背負う。傷の手当てのために寺院へと帰ろうとしているのだった。

525名無しになりきれ:2013/03/12(火) 21:24:19
>「俺は……これからも人を殺すぞ。右腕が治れば、また……。
 いや……治らなければ、左腕だけでも……。左腕を失えば、剣を咥えてでも殺してやる……!」

まるで殺して欲しいとでも言わんばかりのジャンの形相に鳥居は悟った。
彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。
あのフェイ老人と同じく、わりきれないまま運命の裁定を待っているか弱い人間なのだと。
それならばマリーが殺さなかった理由も頷ける。
しかし、このままジャンを放って置けば、これからも沢山の罪もない人が殺されてしまうことだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これから先は誰も殺されることはない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
何か良い方法はないものだろうかと、色々と思案するものの良い考えは浮かばない。

526名無しになりきれ:2013/03/13(水) 13:46:57
>「俺は……これからも人を殺すぞ。右腕が治れば、また……。
 いや……治らなければ、左腕だけでも……。左腕を失えば、剣を咥えてでも殺してやる……!」

まるで殺して欲しいとでも言わんばかりのジャンの形相に鳥居は悟った。
彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。
あのフェイ老人と同じく、わりきれないまま運命の裁定を待っているか弱い人間なのだと。
それならばマリーが殺さなかった理由も頷ける。
しかし、このままジャンを放って置けば、これからも沢山の罪もない人が殺されてしまうことだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これから先は誰も殺されることはない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
何か良い方法はないものだろうかと、あれやこれやと思案するものの良い考えは浮かばない。
マリーを守るために振り上げた拳も、ただ行き場を失ったまま、
やけに冷たい土の感触に怒りの心を冷ましてゆくだけだった。

527名無しになりきれ:2013/03/13(水) 15:00:32
>「俺は……これからも人を殺すぞ。右腕が治れば、また……。
 いや……治らなければ、左腕だけでも……。左腕を失えば、剣を咥えてでも殺してやる……!」

まるで殺して欲しいとでも言わんばかりのジャンの形相に鳥居は悟った。
彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。
あのフェイ老人と同じく、わりきれないまま運命の裁定を待っているか弱い人間なのだと。
それならばマリーが殺さなかった理由も頷ける。
しかし、このままジャンを放って置けば、これからも沢山の罪もない人が殺されてしまうことだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これから先は誰も殺されることはない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
何か良い方法はないものだろうかと、あれやこれやと思案するものの良い考えは浮かばない。
マリーを守るために振り上げた拳も、ただ行き場を失ったまま、
やけに冷たい土の感触に怒りの心を冷ましてゆくだけだった。

>「殺せ……。さもなくば、後悔させてやるぞ……。いつか、必ずな……!」

怨念を孕んだジャンの言葉。彼はこの場で殺されることを強く願っている。
しかしその言葉は少年の心にやけに虚しく響くのだった。
自分が救われる答えなんてない。ありやしないと彼は叫び、死を望んでいるのだ。

そう、確かにこうすれば救われるという答えなどない。
でも諦めて止まってしまった人間と、探し求め続ける人間では何かが違うと鳥居は信じてみたい。
そんな価値があると信じていたい。信じる心を失わないでいたい。
鳥居は思い出す。かつて、そんな男と出会っていたことを。
一突きによって殺された人たちの魂を、救ってみせると誓ったあの男の姿を忘れない。
はっきり言えば馬鹿。でも彼は求め続けている。

諦めて捨ててしまったものは二度とは戻ってこないかもしれない。それは自分で捨ててしまったから。
だが失ったものは求めれば見つけられるのではないか。形は違えど再び新しい花は咲くのではないか。
ただそう信じていたいだけだった。心のなかに眠るあの男とともに。

「死にたいのなら一人で勝手にどうぞです」
そういい残して、アカネを背負う。鳥居は彼女の治療のために寺院に戻るつもりだ。
もう後のことは関係ない。今はアカネを救いたいだけ。
これから何が起ころうともただ自分の人生を真っ当するだけ。
障害は怒りの炎で焼き尽くす。ただそれだけのこと。

【鳥居:アカネを背負い寺院へ。あとはマリーさんにお任せ】

528名無しになりきれ:2013/03/13(水) 15:07:30
>「俺は……これからも人を殺すぞ。右腕が治れば、また……。
 いや……治らなければ、左腕だけでも……。左腕を失えば、剣を咥えてでも殺してやる……!」

まるで殺して欲しいとでも言わんばかりのジャンの形相に鳥居は悟った。
彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。
あのフェイ老人と同じく、わりきれないまま運命の裁定を待っているか弱い人間なのだと。
それならばマリーが殺さなかった理由も頷ける。
しかし、このままジャンを放って置けば、これからも沢山の罪もない人が殺されてしまうことだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これから先は誰も殺されることはない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
何か良い方法はないものだろうかと、あれやこれやと思案するものの良い考えは浮かばない。
マリーを守るために振り上げた拳も、ただ行き場を失ったまま、
やけに冷たい土の感触に怒りの心を冷ましてゆくだけだった。

>「殺せ……。さもなくば、後悔させてやるぞ……。いつか、必ずな……!」

怨念を孕んだジャンの言葉。彼はこの場で殺されることを強く願っている。
しかしその言葉は少年の心にやけに虚しく響く。
自分が救われる答えなんてない。ありやしないと彼は叫び、死を望んでいるかのようだった。

そう、確かにこうすれば救われるという答えなどない。
でも諦めて止まってしまった人間と、探し求め続ける人間では何かが違うと鳥居は信じてみたい。
そんな価値があると信じていたい。信じる心を失わないでいたい。
鳥居は思い出す。かつて、そんな男と出会っていたことを。
一突きによって殺された人たちの魂を、救ってみせると誓ったあの男の姿を忘れない。
はっきり言えば馬鹿。でも彼は今も求め続けているのだろう。

少年の顔から悲しい笑みがこぼれる。

諦めて捨ててしまったものは二度とは戻ってこないかもしれない。それは自分で捨ててしまったから。
だが失ったものは求めれば見つけられるのではないか。形は違えど再び新しい花は咲くのではないか。
ただそう信じていたいだけだった。心のなかに眠るあの男とともに。

「死にたいのなら一人で勝手にどうぞです」
そういい残して、アカネを背負う。鳥居は彼女の治療のために寺院に戻るつもりだ。
もう後のことは関係ない。今はアカネを救いたいだけ。
これから何が起ころうともただ自分の人生を真っ当するだけ。ただそれだけのこと。

【鳥居:アカネを背負い寺院へ。あとはマリーさんにお任せです】

529名無しになりきれ:2013/03/13(水) 17:21:22
>「殺せ……。さもなくば、後悔させてやるぞ……。いつか、必ずな……!」

ジャンの形相に鳥居は悟った。彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。
あのフェイ老人と同じく、わりきれないまま運命の裁定を待っているか弱い人間なのだと。
それならばマリーが殺さなかった理由も頷ける。
しかし、このままジャンを放って置けば、これからも沢山の罪もない人が殺されてしまうことだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これから先は誰も殺されることはない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
何か良い方法はないものだろうかと、あれやこれやと思案するものの良い考えは浮かばない。
マリーを守るために振り上げた拳も、ただ行き場を失ったまま、
やけに冷たい大陸の風に、怒りの炎を冷ましてゆくだけだった。

怨念を孕んだジャンの言葉は、この場で殺されることを強く願っている証。
しかしその言葉は少年の心にやけに虚しく響いていた。
自分が救われる答えなんてない。ありやしないと彼は叫び、まるで死を望んでいるかのようだった。

そう、確かにこうすれば救われるという答えなどない。
でも諦めて止まってしまった人間と、探し求め続ける人間では何かが違うと鳥居は信じてみたい。
信じる心を失わないでいたい。
鳥居は思い出す。かつて、そんな男と出会っていたことを。
一突きによって殺された人たちの魂を、救ってみせると誓ったあの男の姿を忘れない。
はっきり言えば馬鹿。でも彼は今も求め続けているのだろう。

少年の顔から悲しい笑みがこぼれる。

諦めて捨ててしまったものは二度とは戻ってこないかもしれない。それは自分で捨ててしまったから。
だが失ったものは求めれば見つけられるのではないか。形は違えど再び新しい花は咲くのではないか。
ただそう信じていたいだけだった。心のなかに眠るあの男の愚直な笑顔とともに。

「死にたいのなら一人で勝手にどうぞです」
そういい残して、アカネを背負う。鳥居は彼女の治療のために寺院に戻るつもりだ。
もう後のことは関係ない。今はアカネを救いたいだけ。
これから何が起ころうともただ自分の人生を真っ当するだけ。ただそれだけのこと。

【鳥居:アカネを背負い寺院へ。あとはマリーさんにお任せです】

530名無しになりきれ:2013/03/16(土) 12:40:56
>「殺せ……。さもなくば、後悔させてやるぞ……。いつか、必ずな……!」

ジャンの形相に鳥居は悟った。彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。
あのフェイ老人と同じく、わりきれないまま運命の裁定を待っているか弱い人間なのだと。
それならばマリーが殺さなかった理由も頷ける。
しかし、このままジャンを放って置けば、これからも沢山の罪もない人が殺されてしまうことだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これから先は誰も殺されることはない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
何か良い方法はないものだろうかと、あれやこれやと思案するものの良い考えは浮かばない。
マリーを守るために振り上げた拳も、ただ行き場を失ったまま、
やけに冷たい大陸の風に、怒りの炎を冷ましてゆくだけだった。

怨念を孕んだジャンの言葉は、この場で殺されることを強く願っている証。
しかしその言葉は少年の心にやけに虚しく響く。
自分が救われる答えなんてない。ありやしないと彼は叫び、まるで死を望んでいるかのようだった。

そう、確かにこうすれば救われるという答えなどない。
でも諦めて止まってしまった人間と、探し求め続ける人間では何かが違うと鳥居は信じてみたい。
信じる心を失わないでいたい。
鳥居は思い出す。かつて、そんな男と出会っていたことを。
一突きによって殺された人たちの魂を救ってみせると誓ったあの男の姿を忘れない。
はっきり言えば馬鹿。
世界のすべてを飲み込もうとして海のものとも山のものともつかなくなってしまった愚かな男。
でも彼は今も探し求め続けているのだろう。この世のどこかで。

少年の顔から悲しい笑みがこぼれる。

諦めて捨ててしまったものは二度とは戻ってこないかもしれない。それは自分で捨ててしまったから。
だが失ったものは求めれば見つけられるのではないか。形は違えど再び新しい花は咲くのではないか。
ただそう信じていたいだけだった。心のなかに眠るあの男の愚直な笑顔とともに。

>「鳥居、茜をつれて急いで寺院へ戻れ…もしかしたら、まだ何とかなるかもしれない
 …万が一間に合わなかった時は分かってるな」

「…はい」
マリーの言葉に真剣な顔の鳥居。

>「私は少し遅れる…すぐに追いつくはずだから心配しないでくれ」

彼女の顔は恐ろしいほどに冷たい顔だった。
以前の鳥居ならどうしてそんな怖い顔しちゃうのかなって不思議に思う顔。
でも今はわかる。この世で生きるということは真剣なことなのだ。

鳥居もジャンを見つめる。でもその顔はマリーとは対照的に哀れみの顔。
そう、ジャンがもっとも嫌う表情だった。

「あなたは今までどうして生きてきたのですか?死ぬのが怖かったからですか?
いえ、それなら今こうして死を望むことはないと思います。
たぶん神殺しのマリーさんに決闘を挑んで、剣士としての最期を迎えるつもりだったのでしょう?
それを僕はとても残念に思います。剣士としての誇りは貴方を生かすとともに貴方を痛切なまでに苦しめた。
つまりその苦しみはあなたの愛の形だったのではないでしょうか?
ですが死にたいのなら一人で勝手にどうぞです。
マリーさんは貴方のように弱い人間を殺すことは出来ませんから…」

そういい残して、アカネを背負う。鳥居は彼女の治療のために寺院に戻るつもりだ。
もう後のことは関係ない。今はアカネを救いたいだけ。
これから何が起ころうともただ自分の人生を真っ当するだけ。ただそれだけのこと。

【鳥居:アカネを背負い寺院へ帰る(予定)】

531名無しになりきれ:2013/03/16(土) 12:49:25
>「殺せ……。さもなくば、後悔させてやるぞ……。いつか、必ずな……!」

ジャンの形相に鳥居は悟った。彼はマリーに殺してもらいたかったのだろうと。
あのフェイ老人と同じく、わりきれないまま運命の裁定を待っているか弱い人間なのだと。
それならばマリーが殺さなかった理由も頷ける。
しかし、このままジャンを放って置けば、これからも沢山の罪もない人が殺されてしまうことだろう。
でも今ここでジャンを殺してしまえば、これから先は誰も殺されることはない。彼もこれ以上殺さずにすむ。
そう考えると鳥居の頭はわけがわからなくなってしまう。
ただ鳥居がジャンを殺せない理由は、死んで彼が救われるというのなら
自分もこのまま生きていては救われないということを認めてしまうことになってしまいそうだからだ。
何か良い方法はないものだろうかと、あれやこれやと思案するものの良い考えは浮かばない。
マリーを守るために振り上げた拳も、ただ行き場を失ったまま、
やけに冷たい大陸の風に、怒りの炎を冷ましてゆくだけだった。

怨念を孕んだジャンの言葉は、この場で殺されることを強く願っている証。
しかしその言葉は少年の心にやけに虚しく響く。
自分が救われる答えなんてない。ありやしないと彼は叫び、まるで死を望んでいるかのようだった。

そう、確かにこうすれば救われるという答えなどない。
でも諦めて止まってしまった人間と、探し求め続ける人間では何かが違うと鳥居は信じてみたい。
信じる心を失わないでいたい。
鳥居は思い出す。かつて、そんな男と出会っていたことを。
一突きによって殺された人たちの魂を救ってみせると誓ったあの男の姿を忘れない。
はっきり言えば馬鹿。世界のすべてを飲み込もうとして海のものとも山のものともつかなくなってしまった愚かな男の大きな背中。
でも彼は今も探し求め続けているのだろう。この世のどこかで。

少年の顔から悲しい笑みがこぼれる。

諦めて捨ててしまったものは二度とは戻ってこないかもしれない。それは自分で捨ててしまったから。
だが失ったものは求めれば見つけられるのではないか。形は違えど再び新しい花は咲くのではないか。
ただそう信じていたいだけだった。心のなかに眠るあの男の愚直な笑顔とともに。

>「鳥居、茜をつれて急いで寺院へ戻れ…もしかしたら、まだ何とかなるかもしれない
 …万が一間に合わなかった時は分かってるな」

「…はい」
マリーの言葉に真剣な顔の鳥居。

>「私は少し遅れる…すぐに追いつくはずだから心配しないでくれ」
彼女の顔は恐ろしいほどに冷たい顔だった。
以前の鳥居ならどうしてそんな怖い顔しちゃうのかなって不思議に思う顔。
でも今はわかる。この世で生きるということは真剣なことなのだ。
続けて鳥居もジャンを見つめる。でもその顔はマリーとは対照的に哀れみの顔を隠せないでいた。
そう、ジャンがもっとも嫌う表情で少年は言葉を紡ぐ。

「あなたは今までどうして生きてきたのですか?死ぬのが怖かったからですか?
いえ、それなら今こうして死を望むことはないと思います。
たぶん神殺しのマリーさんに決闘を挑んで、剣士としての最期を迎えるつもりだったのでしょう?
それを僕はとても残念に思います。剣士としての誇りは貴方を生かすとともに貴方を痛切なまでに苦しめた。
つまりその苦しみはあなたの愛の形だったのではないでしょうか?
ですが死にたいのなら一人で勝手にどうぞです。
マリーさんは貴方のように弱い人間を殺すことは出来ませんから…」

そういい残してアカネを背負う。鳥居は彼女の治療のために寺院に戻るつもりだ。
もう後のことは関係ない。今はアカネを救いたいだけ。
これから何が起ころうともただ自分の人生を真っ当するだけ。ただそれだけのこと。

【鳥居:アカネを背負い寺院へ帰る予定です】

532名無しになりきれ:2013/05/01(水) 11:45:51
「どうした小僧!腰がひけているぞ!それにその腰の剣は飾り物か〜?」
色男の長い足がトロを蹴る。ドタ!
戦車の屋根に転がるトロ。気絶!

――ボクは誰だ?
まるで暴れる生き物の背中から放り出されるように目が覚めた。
といってもここはどこなのか。船の中なのか。
(……ああ、これは『夢の中』だ。ボクはいまテイールで小悪党どもと戦っている真っ最中なんだ)
トロは夢の中で目覚めていた。頭上から女の声が聞こえてくる。

「もう逃げられないのですか?やはりこのような小さな船では……」
この女の人は誰なのだろう。すると男の声がして

「私たちは命にかえてもこの子を守ろうと決めた。弱音は吐かない。最後までだ」
この二人の男女の声には聞き覚えがある。とても懐かしい声。
するとしばらくして、船底から鈍い響き。慌てた召使らしき男が駆け下りてくる。

「旦那様!早く!海の中から…海底から何かが上がってきます!」

「この子を甲板へ!」
言われるのかが早いか、抱き上げられる感覚。
漆黒の空。頬を打つ風。

「樽に入れて放り投げろ!」
「正気ですかあなた!?この嵐の」
「早くしろ!この船は呑まれる!!」

――空中に投げられ、海面に落ちる瞬間でトロは目覚めた。

>「トロ! 逃げよう!」
「うん!」エルに手をひかれ路地裏を逃げる。

533名無しになりきれ:2013/05/01(水) 12:17:13
自然と悲しくなって、目からは涙がこぼれていた。
トロはエルに見られないように手で拭う。

一方でロゼッタ一味の戦車。
ロゼッタに罵られ、てんぱったデブは戦車をそのまま後進させていた。

「ほええええ!」
ひっくり返ってマヌケな格好になるロゼッタ。
すると戦車のなかにもどってくる色男。

「ロゼッタさま!!だいじょうぶですか!!」

「ええい触るんじゃないよ気持ち悪い!はやくあのガキどもを追うんだよ」
ロゼッタは色男を跳ね除け、戦車の蓋をあけると、そこから上半身を乗り出す。

「あの小娘が首からぶら下げていた宝石。ありゃオーリキャルクだよ。
なんであんな小娘がそんなたいそうなものをもってたんだろうねえ?
…おわっ!!」
とつぜん戦車は急停車。なんと両側の建物の壁に挟まれて進めなくなってしまっていた。

534名無しになりきれ:2013/05/01(水) 12:28:01
「おーい、マキガインさーん!」
トロは手をふって近づいてゆく。

「あ、君たち。無事だったんだね…」
めがねをひろい残念そうなマキガイは静かに呟く。

「あのクソ女、ゆるさねえわ。歩く公共猥褻罪が。
こんど会ったらアンカケぶっ掛けてやる」

今日からマキガインとトロたちの、振り返ればロンリネスな、
振り返らなくてもロンリネスな生活が始まる。

535名無しになりきれ:2013/05/08(水) 17:26:47
「おーい、マキガインさーん!」
トロは手をふって近づいてゆく。

「あ、君たち。無事だったんだね…」
めがねをひろい残念そうなマキガイは静かに呟く。

「あのクソ女、ゆるさねえわ。歩く公共猥褻罪が。
こんど会ったらアンカケぶっ掛けてやる」

今日からマキガインとトロたちの、振り返ればロンリネスな、
振り返らなくてもロンリネスな生活が始まる。

536名無しになりきれ:2013/06/14(金) 13:35:07
「おーい、マキガインさーん!」
トロは手をふって近づいてゆく。

「あ、君たち。無事だったんだね…」
めがねをひろい残念そうなマキガイは静かに呟く。

「あのクソ女、ゆるさねえわ。歩く公共猥褻罪が。
こんど会ったらアンカケぶっ掛けてやる」

今日からマキガインとトロたちの、振り返ればロンリネスな、
振り返らなくてもロンリネスな生活が始まる。

537名無しになりきれ:2013/08/11(日) 21:13:46
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