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【場】『自由の場』 その3

259妖狐『キン・コン・ユウ』:2023/05/25(木) 13:54:50
>>258
結局、狐は斑鳩に反論せずに退散したのだから
レスバは斑鳩の勝ちという事で良いのではないだろうか
レスバは相手が逃亡して書き込まなくったら勝ちなのだから

斑鳩が気にする匂いだが、その元となる液体は
既に綺麗さっぱりと舐めとられていてもう無い
だからもう匂いなどしないはずなのだが、
皿に顔を近付けて嗅げばまだ血の匂いが辛うじて嗅ぎ取れるかもしれない
その程度、ちょっと洗えば取れるだろうが、それでも気になるのなら皿を処分してしまえばいいだろう

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
斑鳩の屋敷を去ってからしばらくの事
結局狐達は都内の犬カフェに来ていた

徳家「やっぱ犬カフェは良いな、若くて可愛い犬がいっぱいいるぜ!」
徳家「俺、ちょっとあの子に声かけてみようかな?」
狐「あー、良いんじゃないか?」

徳家「おーい、そこのお嬢さ

バンッ!

警察「警察だ!」
狐狸「な、なんだ?」
警察「このカフェは違法風俗店の摘発があった、今から調査をさせてもらう!
   逆らえば…射殺する!」

徳家「おい、お前がこんな所連れてくるからこうなったんだぞ!どうすんだよ!」
狐「ふざけるな!お主が来たいと言ったんじゃろうが!」

おわり

260りん『フューネラル・リース』:2023/05/27(土) 13:29:47
ここはとある遊園地

年齢10歳程度の少女が>>261と共に
何か上がったり下がったりする絶叫マシンに乗り込んで来た

ゴォォォォォォォ

マシンが超スピードで上がったり下がったりすると
りんの頭に咲いている鈴蘭が風圧で物凄い勢いで靡いている

261りん『フューネラル・リース』:2023/05/28(日) 20:25:20
>>260
その後もジェットコースターやお化け屋敷に入り遊園地を満喫するりん達
ちょっと暑くなって来た気候の中、
猛スピードで走る絶叫マシンに乗りながら受ける風が涼しくて心地が良い

態々自ら危険な乗り物に乗って恐怖を味わう人間はやっぱり面白いなぁと思うりんだった

帰り際、何か遊園地によくあるソフトクリームを食べながら話すりん達

りん「今日は楽しかったねぇ〜」
阿部マリア「そうですわね、特にあのボロボロの観覧車が良かったですわね!」

そう、マリアが観覧車の方へ振り向いて言った直後

がしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん
つい先程まで乗っていた観覧車が崩落した!

りんマリ「「あっ…」」
清「けれど、次はないでごじゃるよ」

二二二二二二二二ヽ
            |。|
        / ̄ ̄ ̄ ̄\
       /       ヽ               /^^^^\
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       ヽ           /        /           、     \
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ヽ                           '⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒

             終
           制作・著作
           ━━━━━
            ⓃⒽⓀ

262甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/06/03(土) 12:57:34
5月中旬頃の話だった
ここは公園なのか、道端なのか
そこには綺麗な紫色のツツジの花が咲いていた

何をするわけでもなく、ただツツジを見つめている

263甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/06/04(日) 20:38:24
>>262
スッ

徐にツツジの花に触れ、一輪取る
そしてそれを口に含んだ

その花弁には、甘い蜜が溜まっている
花の香りと相まって、自然のジュースといったような味だ

ツツジの蜜を吸うと、何だか懐かしい
子供の頃の思い出に浸れるような感じがする

だがそんな時間も、蜜を舐めて一瞬で終わる

「…」

いくら思い出に浸った所で、昔に戻れるわけではない
ほんの少し物思いに浸れるだけだ
だが、そんなほんの少しでも有意義な時間だった

ひとしきりツツジを見て、そして去って行く
それだけの話だった

264小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/14(水) 16:45:07

『H湖』近くの『金平糖工場』にやって来た。
一般的な体育館程度の大きさの建物。
ここで何万種類もの味の金平糖が作られている。

  「――……」

今、『彼ら』は見当たるだろうか?

265小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/16(金) 22:10:16
>>264

しばらく周囲を散策し、静かに立ち去った。

266甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/06/17(土) 12:17:01
学校でのとある教室でのこと

トントントントントントン

鉛筆で指の間をトントンする遊びをしている
ただし、使っているのは鉛筆ではなく
カッターナイフだ

267リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/06/17(土) 19:24:40
>>266

放課後の教室。
危ない遊びに興じる甘城。
その様子を眺める『西洋人形』。

「天音ちゃん、とっても上手ね」

「ウフフフフフフフフフフフフフフフ」

イチゴスパゲッティをお裾分けされた恨みを晴らしに来た――――のではない。
人間達の視線を掻い潜り、こっそり校内に侵入した。
たまたま甘城を見かけて今に至る。

268甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/06/17(土) 21:44:57
>>267
トントントントントン

隙だらけだ
メリーが復讐に来たのなら今が絶好のチャンスというやつだろうが
そうでないのなら別にどうでもいいかもしれない

トントントン…
        ドスッ!

メリーが話しかけて来たせいで気がそれたのか
手の甲に思い切りナイフが突き刺さる

269甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/06/17(土) 21:56:13
>>268
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

270リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/06/17(土) 21:56:28
>>268

メリーとしては、例のイチゴスパはそこまで悪い味ではなかったので、
その件で甘城を恨んではいなかった。

「あっ――――――」

事故が起きた瞬間、思わず声が出た。
メリーが話し掛けたせいで手元が狂ったのなら、メリーのせいなのだろう。
友達が傷付くのは良くない事だ。

「天音ちゃん、大丈夫?辛い?苦しい?」

「どうしよう。天音ちゃんのお手々が痛い痛いしちゃったわ。早く直さないと」

甘城の近くでワタワタするが、それでどうにかなりはしない。
つまり、何も出来ていない。
ただ動揺しているだけだ。

271甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/06/17(土) 21:57:07
>>269
どうしようもなく体から定期的に湧き上がる
破壊欲、殺人衝動、怒り、憎悪

自分自身に叩きつける事で少しは気が晴れる


肉を切り裂き、裂かれた肉と肉の間に異物が割り込んでくる感触


   グチャ グチャ


鋭くも鈍い痛みが手の甲を襲う

スゥー

刺さっていたナイフを一気に引き抜き…


ザシュ  ザシュ  ザシュ


何度も手の甲を突き刺す動作を繰り返す


「やる?」

真っ赤に染まったナイフをメリーに差し出す

272リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/06/17(土) 22:14:35
>>271

鈍く光るカッターナイフを、自らの手に振り下ろす甘城。
その光景を見ている内に、逆にメリーは冷静になっていく。
狂気を孕んだ甘城の姿と、『悪い人間』を腐らせる自分自身が、
記憶の中で重なったからだ。

「――――ありがとう、天音ちゃん」

         ソッ

カッターナイフを受け取る。
人間用なので、メリーには少し大きめだ。
しっかりと両手で握った。

       ブ ォ ン ッ

それを全力で『振り被る』――――。

273甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/06/17(土) 22:55:55
>>272
思い切り破壊衝動を
自身に何度も何度も何度も何度も突き立てた事で、多少は溜飲が下がった
後に残るのは手の痛みと、疲労感だけだ
別に心地良いとも、不快ともいえない
ただ疲れただけだ

何も感情の籠って無さそうな顔で、メリーがナイフを振りかぶるのを黙ってみている
その刃で何を、どこを切るのか
何もせずにただじっと見ているだけだ

274リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/06/17(土) 23:32:51
>>273

勢い良く振り被った『カッターナイフ』。

     パ ッ

それを途中で『手放す』。
メリーの体は小さいが、力は大人と同等。
全力で物を投げれば、相応の衝撃は与えられる。

       ――――――ガシャァンッ!

投げつけたカッターで『窓ガラス』を割る。
これは『合図(>>272signal)』だ。
ここは教室。
『ガラスが割れる音』がしたら、近くにいる生徒か教師が来るだろう。
さらに『血濡れのカッターナイフ』が飛んできたとあれば、
無視されるという事はない。

  「メリーは天音ちゃんを手当できないから」

      「だから手当してくれる人を呼んだわ」

         「天音ちゃん、カッターを投げちゃってゴメンね」

              「メリー、また来るから」

                  「その時は、また遊んでね」

人が来る気配がしたら、室内の適当な場所に隠れておく。
おそらく甘城の方に注意が向くだろう。
その隙に教室から脱出する。

275甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/06/18(日) 07:45:57
>>274
       ――――――ガシャァンッ!

普通のナイフならともかく、人形のパス精CCCで投擲された
カッターナイフくらいで割れるほど脆い窓ガラスがあるか?
という疑問は多少あるが…とにかく割れた

「……」

教室内の物陰に隠れたメリーに、血の滲んだ手を振る


カツカツ

誰かの足音が聞こえる
どうやら教室に入って来るようだ
あま公とその人物が話している間に、メリーはこの場から去るのだろう

それにしても、この二人がまた会う事はあるのだろうか?
もしかしたら、次に会うまでには死んでいるかもしれない…


ところで、割られた窓はあま公が弁償しなくてはいけないのか?
手の治療費よりもそっちの方が高くつくぞ…

276小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/18(日) 17:10:39

『花びら』を庭に埋めて、自宅で『彼ら』を待っていた。
彼らとの交流は続いていたが、
このところ忙しい日々が続いたせいか、会うのは久し振りだ。
今日は『お茶』と『お菓子』も用意してある。

        コト……

口の中で柔らかく解ける『スフレパンケーキ』と、
それに合わせた濃厚な『アッサムミルクティー』。
しかし、『お茶会』をする為だけに呼んだのではない。
彼らなら、何か見聞きしている事があるかもしれないと思ったのだ。

277『リトルスター』:2023/06/19(月) 18:35:45
>>276(お待たせしました)

 ぴょんっ!

ロポポ「アヤコ! おはよう! ちょっと暫く会ってなかったね」

ラポポ「と言っても、おいら達も忙しかったから三人一緒に来るのは難しかったかな」

ヨポロ「うーん! 良い匂いだ。相変わらずアヤコが作る菓子は
食べる前から、お腹がグーグー鳴りそうなぐらいだっ」

 来たのは、貴方が最初に邂逅した時。それと同じく『仲良しな三人組』

小人達は、めいめい好きに喋りつつ、君の腕に飛び乗りつつ菓子を見たり
兄妹で喋ったりしている……。

278小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/19(月) 19:40:47
>>277

  「――久し振りに皆と会えて私も嬉しいですよ」

           ニコ……

穏やかな微笑みと共に『リトルスター』を出迎える。
『スタンド使い』となって初めて遭遇した『非日常』。
それが『彼らとの出会い』だった。

        「にゃ……」

来訪者の気配を察したのか、『帽子猫』が起きてきた。
撫でて欲しいのか、飼い主に擦り寄っている。
その毛並みに触れながら、小人達に向き合う。

  「この子は『撫子』です。仲良くしてあげて下さいね」

  「……食べながら、お話をしましょう」

       コト

           コト

               コト

スフレパンケーキを切り分け、小皿に分けて三人の前に置いた。

279『リトルスター』:2023/06/20(火) 11:40:13
>>278

ラポポ、ロポポ、ヨポロ共に。『撫子』と言われた少々変かった猫に対し
良い意味で驚きの声を各自上げつつも。直ぐに、笑顔でその顎と言える部分や
撫でた方が良さそうな部位に手を伸ばす。

 三人の小人。小皿に切り分けても十分に、彼等、彼女には大きいサイズだ。

こう言う、お茶会に関しては来訪する機会が多いであろう三人だ。

用意したらしい、小人達のサイズの食事出来る食器なりカップなりを
取り出し。小石川も見慣れた感じに穏やかな小人達との交流は何時もの感じで
開かれる事は間違いない。

ロポポ「アヤコ、そー言えば、どんな話があるの?
 何だか何時もする、お話と違う気がするわ」

 人から見ればパン屑程度(小人からすれば結構な量だ)の
スフレパンケーキの欠片を飲み込み。お茶を飲みつつ、首を傾げて
妹の彼女は君に尋ねる。

ラポポ「なんだか何時もと違って、ちょっと悩みがある感じだもんな」

ヨポロ「僕ら小人は、そー言うのがわかるんだよアヤコ。
 特に、長く付き合ってる人なら、猶更ね」

 君が、何か悩みを抱えてるのは、お見通しのようだ……。

280小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/20(火) 20:25:14
>>279

やはり特異な存在だからこそ、直感が鋭いのだろうか。
そうでなくても、彼らとは古い付き合いだ。
何となく分かってしまうのも無理はない。

  「『小林丈』……そういう名前を聞いた事はありませんか?」

  「『ヤジ』という名前でも構いませんが……」

彼ら――『リトルスターズ』は、今日のように外へ出る事もある。
もしかすると町の何処かで、『小林に関する手掛かり』を見聞きしているかもしれない。
そういう期待があった。

  「……去年の夏頃からいなくなってしまった私の友達です」

  「その時期に――誰か『特別な想い』のようなものを感じた事はないでしょうか……?」

『想い』――あの『金平糖』には、それが使われる。
もし、小林に何か『強い想い』があったのなら、小人達が感じ取った可能性もあるだろう。
彼らに分からなければ、『工場の主』である『ゴースト』に聞く事も考えていた。

281 『リトルスター』:2023/06/21(水) 14:00:49
>>280(レス遅れ失礼しました)

小林? ヤジ?

 小人達は、君の訊いた名に不思議そうな顔をで互いに見合わせるものの
合点がいった者達はいない。

ラポポ「去年の夏、かー。そう言えば、ちょっと街から出そうな隅っこで
強い輝きが一杯出た。って言うのをゴーストが言ってた気はするよ」

ヨポロ「でも、一杯だからね。誰が誰の輝きって言うのを知るのは
流石に難しいよ。ゴーストなら、また違ってるかも知れないけどさ」

 やはり、小人達では『想い』の輝きについて出所程度は聞きかじってるものの
完全に把握となると難しいようだ。

ロポポ「んー……アヤコ、それじゃあゴーストに、会う?
 お茶会を、ちょっと早目に終わっちゃうけれど」

小人達は、君を『ゴースト』に会わせる事に抵抗はない。
 また、いずれ会おうとゴーストも言っていた。

久しぶりだが、彼女は変わらず。あの『工場』に居るだろう……。

282小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/21(水) 18:46:14
>>281

三人の言葉を聞いて、深い頷きを返す。

  「――あの時には沢山の『想い』が生まれましたからね……」

例の事件では、多くの想いが生じた筈だ。
逆に言えば、その中に『小林の想い』も含まれている。
闇雲に歩き回るよりも、手掛かりを得られる可能性は高い。

  「もし『さっきの名前』を何処かで聞いた時は、私に教えて下さい」

        スッ

  「……『工場』に行きます」

ソファーから立ち上がって、『普通の帽子』に擬態した『撫子』を被る。
いい機会だから一緒に連れて行く。
これも貴重な経験になるだろう。

「ここに戻って来たら、また『お茶会』の続きをしましょう」

三人には肩に乗ってもらい、『ゴースト』の下へ向かう。

283『リトルスター』:2023/06/25(日) 11:06:05
>>282(大変お待たせしました。場スレを占領するのも悪いので
自身のミッションスレ↓へ移動したいと思います
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1606787541/l50
【ミ】『星のダイアローグ』)

      〜〜♪


〜♬         〜〜♩


      〜🎶

 ロポポ「うんっ! 『ゴースト』との、お話が終わったら
お家かでも、工場の何処か楽しそうな場所でも、お茶会はしてもいいよっ」

 ラポポ「友達となら、何処でだって、お茶は楽しいからなっ」

 ヨポロ「よーしっ、それじゃあ、飛び込めーっ」

仲良し三人組は、帽子猫の撫子の縁に跳び乗るようにして
小石川と共に光の輪の中へ入っていく。

 思えば、あの時から随分と色んな事が貴方にはあった。

救世を望む医師の団体、夢幻の如き紅い街、夏の事変……数えきれない
幾つもの想いを経て、貴方は久しく工場へ向かう……果たして、待ち受けるのは。

                              To be continued...

284斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/28(水) 10:25:24
何時かの昼下がり、6月28℃の熱い日々にて……(スターウォーズOP曲)

先日は『ケーブルテレビ』で見た蕎麦屋に行く予定だったが、もたもたしている内に結局時間切れになってしまった。
しかし一度決めた事を成し遂げないのは、僕の心によくないモノを残すぜ。

 「今日こそは……今日こそは行く!故の『ショートカット』!」

赤いメッシュをいれた黒髪を揺らして、星見町を疾走する僕は
そんなこんなで近道を選択した結果、エンドア大戦とかお年寄りの道案内とかクローン戦争とか携帯電池切れとか色々あって、遠回りと化して公園を横切る羽目になった。
僕にも何故こうなったかは分からない(たぶんシスのせいだ)が、お陰で『奇妙なもの』を見つけた

 「……何故だろう、どんどん離れてってる気が……うん?」

なんのけなしに掌をついた樹木の幹に、平べったい穴が深く刻まれているのを見つけたのだ。
およそ人間の肩ぐらいの高さに空いた無数のそれは、奥が見えないくらいには刻まれていた……。

 「なんだこりゃ……キツツキ?いや、それにしちゃ低いしデカいな。」

285白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/28(水) 11:10:00
>>284

「……?」

          スタスタ

「斑鳩君。……こんにちは」

用もなく公園にいたわけではなく、
この道を通るのが近かっただけだ。
そこで友人を見つけたので、声をかけて。

「木のうろを。見ているのですか?」

ゆっくりと、横からそれを覗き込もうとした。

286斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/29(木) 22:06:09
>>285


声をかけられてパッと、猫に声をかけられた鼠のように半歩飛び退いた。
えーと?このお麗しい髪をした先輩は何処のどなただったか……。

 「白岸パイセン?」

チャーリーのチョコレート工場ばりのサイケデリックな脳内が回答を導き出す
そう、学食をご一緒させていただいた仲だ。

 「こんにちは、んー……」

別に回答に詰まる事じゃない、ただ衣服を正す準備とかが欲しかった
炎天下を散々歩き回ったからね。あと風下にも移動したかった。理由は同じ。

 「……うろだと思ったんですけど、多分違うな。『人為的』な何かを見てて。」

そう、この樹木の『これ』は人為的なものだ
多分とは言ったが、僕はほぼ確信していた。

 「先輩はどうしてここに?」

287白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/29(木) 22:24:11
>>286

「はい。トーリは、『白岸・ノエル・トーリ』です」

         ペコリ

小さく、頭を下げた。

「『人為的』」

言葉を繰り返して、飲み込んでから、問いに答える。

「買い物に。今から行くところでした。
 この道を通ると、近いので…………」

        スッ

「今日はとても、暑いですから。
 だからトーリは、近道がしたかったのです」

僅かに額に滲む汗が、前髪を張りつかせる。
トーリが話し、動く調子は、いつでもアンダンテだ。
ゆっくりとハンカチで汗を拭いながら――

「『人為的』」「だと……斑鳩君は、言いましたよね」

「たしかに。トーリにも……
 啄木鳥が突いたとか。栗鼠が、巣を作ったとか」

      「そのような穴には、見えませんね。
        ……とても。『人為的』に見えます」

『謎の穴』に顔を近づけて、それをやはり、ゆっくり見つめた。

288斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/29(木) 22:51:52
>>287

この人、こういう事に興味を持つ人だったのか……好奇心旺盛なんだな
そんな事を考えながら改めて樹木に空いた穴を横目で見る。

 「確かに……リスとかキツツキの仕業じゃなく」

それは深く、一つではなく無数に空き、平べったいがよく見ると菱形で
同じ場所に何度も開けたような跡をしていた。

 「なんというか、穴のこの部分を見ると」

がっぽりと開いた穴の淵を指さす。

そして何より、穴の淵が『崩れていない』
無数にとは言ったが、何度も穴を開けたというより
『一発で穴を開けた』のが無数にある……とみるべきかもしれない。

 「一撃必殺っていうか……躊躇いが無いんですよね、思い切り開けてる。」

でも、そんな道具は思いつかないし、そんな事をする理由も思いつかない。
どんな人間がどんな理由で?

 「それだけと言えばそれだけ……なんですけどね。」
 「気になります?」

289白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/29(木) 23:19:41
>>288

「そう、ですね。トーリは……とても気になります」

トーリの顔には『表情』が出にくい。
あるいは、読みにくいだけなのかもしれないが。

「もし『人為的』だとすれば、これは……
 ただなんとなく、砂を山にしてみるとか、
 拾った枝を、手折ってみる。とか、みたいな、
 ちょっとした……気軽な事ではない気がします」

「どんな人が……なぜ、こんなことをしたのか」

         「とても。とても気になるのです」

『学校生活』ではないのかもしれないが、
学友と取り組む『課外研究』にはちょうどよかった。

「『目印』」

「というのが。トーリの中には、一番に浮かびました。
 高さが似ているのは、『見やすい』ように」

    「……けれど。それなら、きっと。
     こんなに同じ木にいくつも、付けませんね」

躊躇い傷なき大量の『傷』は、
少なくともおあつらえ向けの『自明の解』はない。

「それに。何への目印なのかも、よくわかりませんし。
 トーリは、この意見は……
 自分で言ったことですが、違うような気がします」

「斑鳩君は。……どんな気持ちなら、これを付けると思いますか?」

大真面目に一度、頷いた。

それから、『斑鳩』の所感も聞いてみようと、話してもらおうとする。

290斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/29(木) 23:59:52
>>289

木陰の中で髪の毛をかき上げる。
夏の木漏れ日に映るパイセンとか絵になるなぁ、などとのんきな事を考えていたので
その疑問は飲み込むのに数分を要した。

 「白岸パイセンが自信ないって言われてもな……」

じゃあ自分にはあるのか?と問われると微妙なところだ
確かに『目印』としては何度もつける意味はないかもしれないが
じゃあ他に何かあるか?と常識的に考えるとパッと思いつかない。

 「それじゃあ……パイセンが常識的な考えを披露してくれたので、非常識なものから考えましょうか?」

全ての不可能を除外して最後に残ったものが如何に奇妙なことであってもそれが真実となる、と
ホームズ先生も言ってらっしゃる。

懐を探すと、財布を取り出し、更に中から千円札を取り出す。

 「んー……まぁこれでいいか。」

渋い顔で穴に突っ込むと、紙幣は穴の中に完全に隠れてしまった。

 「最初は『八つ当たり』だと考えたんですけど、自分ならもう少し乱雑に空けますね。」
 「八つ当たりできりゃあなんでもいいんですから。そこらのベンチでもゴミ箱でも。たぶん……厚さが足りなかった。」

紙幣を穴から取り出す。木くず一つついていない。
断面は実に……滑らかだ。

 「穴は随分深い、『ナイフ』とか『包丁』よりも長いけど、『鉄パイプ』よりは幅が広いし上下に狭すぎる。」
 「何より断面が鋭利……この道具は『幅広』の『長い刀身』を持っていて、こう……肩の部分まで持ち上げてから体重をかけて思い切り突いた。」

幅広で。長い刀身を備えた道具。
 
 「……『剣』で。」

そうでなければここまで深くは突き刺せない。少なくとも『剣を持った人間』がやるには。
……現代に剣を持った人間とかいるんだろうか?

 「激情に任せてない……『明確な目的』をもって、『集中してた』のでは?と、思うんですよね。ただ……」

地面をチラリと見る、残念だが……今の説に必要な、其処にある筈の物がないのだ。
ここでパイセンと同じ結論に至ったが、同じように躓いている。何度もそれを行った筈なのに、その跡がない、不気味なくらいに……。

291白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/06/30(金) 09:13:52
>>290

「斑鳩君がトーリをどう見ているかは分かりかねますが、
 トーリはあまり、自信が無い方です」

涼しい真顔で、そう返す。

「ですから。考えの続きは……斑鳩君に、お任せしてみます」

そうして、彼の推理と、その披露をじっと見ていた――――
汚れすらなく出て来た紙幣を見て、小さく二度ほど、拍手の仕草をする。 

「――――トーリは。見事な推理だと、は感心しました。
 以前、包丁で、木のまな板を深く斬ってしまったことがありました。
 固い野菜を切るとき、勢い余って……
 その時の切り口は……もっと狭く、粗い物だったと、記憶しています」

     「『剣』を使って、とても。丁寧に。
        何度も何度も、斬りつけて……」

地面を見る斑鳩とは対照的に、トーリは上を見る。思考の際の、癖だった。
只の癖で――――斑鳩と違い、何かに気付いたからではない。

「『稽古』」
          「『強くなりたい』……そんな、気持ちで」

「かも。しれません。真剣を使った稽古はあまり聞きませんが。
 何度も何度も剣を木に打ち付ける理由が、トーリは他に余り思いつきません」

現代に剣を持った人間などいるのだろうか?
ゆっくり、顔を下げる。

「そうだとすれば。『剣豪』が、このあたりにいるのかもしれませんね。
 ……トーリも少し、斑鳩君の『冗談』を真似してみました」

                   フ

目元と吐息だけ、小さく笑う。
そういう情緒がトーリにはある――――そして。

「……地面に。何か、あったのですか?」

そこでようやく、斑鳩が下を見て、何か言いたげなのを気付いたのだ。

292斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/06/30(金) 21:23:37
>>291

 「おっ、やりますな白岸パイセン。」

『冗談』にニヤリと笑う
しかしそう聞くと何処かストンと腑に落ちる物がある

 「『練習』か……そうだよ、練習の筈なんだ。」 

スカーフを弄る。或いはこれが僕の癖なのかもしれない。
集中し、冷静に実行された行為……条件には確かに当てはまる。ただ……。
 
 (突きの練習、ただそれなら…何故僕の『肩の位置の高さ』なのだろう?酷く大男なのか?わざわざそうする理由があったのか?)
 (それに、仮に大男だとしたら……やはり『残っていないとおかしい』)

いつの間にやら当初の目的をすっ飛ばし
襟元をパタパタすると、白岸パイセンに視線を戻す。

 「あった……というか、無いんですよ。これだけ深く差し込むなら当然ある筈の」
 「雨が降ったとか、風が吹いても これだけの深さの数を空けているなら。」

無数に空いた穴の手前を。足先で追う……全体重を使って樹木の幹に刀身を押し込む場面を想像すれば
この辺りの筈だった。しかし其処には何もない。

 「『脚運び』の痕跡が無いんです、どんな戦技でも、脚を使わない……というのは限りなく少ないし」
 「地面を蹴り、その反作用で重心を移動させ、一撃を入れてるなら。この辺りの地面が僅かでも抉れてたりする筈なんです。」

雨が降ろうが風が吹こうが……足跡の残る土の構成は有るし
これほど深々と穴を開けるなら、相応に地面も抉れなければおかしい…というのが斑鳩の考えだ。

 「もっと言うなら……さっきの千円札にもついてなかった。『鉄片』が僅かばかりも。」
 「樹木に大穴を空ける鋭さを持っていて、欠片も刃こぼれしない刀剣なんて有るんでしょうか?まるで……」

僕は言い淀んだ、常識、非常識以上にまさしく冗談のような話故に
まるでそんな物など最初からなかったかのようだ……穴だけが勝手に空いたというのか?

 「『超越した何か』だ……。」

293白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/01(土) 09:39:55
>>292

「ありがとうございます、斑鳩君。言ってみた甲斐がありました。
 ――――――――――『無い』、ですか?」

地面に向けていた目を上げる。
答えは推理しなくとも、斑鳩が教えてくれる。

「『足運び』……ああ。そう。ですね、斑鳩君のお陰でトーリも理解しました。
 剣道部の練習でも、皆さん剣を振るときは『踏み込んで』いましたし」

        「踏み込まずに刃を振るう……
         それこそ『料理』のような行程では、
         こんなにも深く、傷付けられません」

    「それとも。鋸で引いたりしたら。
     それでも、こんなにも綺麗には、傷付けられません」

その推理をなぞるように言葉を紡ぎ、得心と共に、穴に指を添える。
殺傷力は勢いが作る――――――勢いは踏み出す脚が作る。

「だから、そう、『道理』がありません」

足跡を隠そうとするほど慎重な人間なら、こんな形で練習はしないだろう。
推理が成立しないのは、『論理』が無いからだ。

そして――――現実において論理無き事象は『論理無き力』だけが起こす。

「……『超越』」

「トーリは疑問でした。
 もし。『剣豪』が、真剣の練習をするためにこれをするとして、
 わざわざこのような、人が通る道でする理由はありません。
 音も。とてもうるさくなるでしょうから、夜でも油断は出来ませんし。
 『刀』を。持ち歩いている行き帰りだけでも、罪に問われかねないのです」

                スッ

「『人目についても問題が無い』」「……」「そこにも、『道理』がありません」

木に触れていた白指を離す。そこにもやはり、木屑などは付いていない。

「だからトーリは。『超越した何か』が。
 あるいは。『超越した何か』で、これを『した』という事を否定できません」

「それが一番。道理があるだなんて。不思議な話です。……そうですよね?」

『斑鳩』はそれを認めるだろうか――――?
この世には『超越した力』があるという、荒唐無稽な話だ。だが、それは『ある』

294斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/07/02(日) 05:02:33
>>293

彼は何もしゃべらなかった。


瞳を先輩から逸らし、その視線を大地から樹木に向けて
ただ黙っていた。


 ( 技巧に優れる装甲、影の身体、統一し縛る鎖……『三位一体』 )


女の声が、聞こえた気がした。
私達から何かを引き出した女の声が。


ただ黙って、樹木の穴に見せつけるように右腕を掲げて見せる。

そして見える者にはその腕に……無数の銀色の蛇のように、無数の『鎖』が這い回り。
蛇が落ち着いた頃には、その右腕は腕時計ごと半透明の枷で覆われていた。

それが動けば、聞こえる者には金属の鱗がこすれ合うような音が聞こえたであろう。

『それ』は常人に見えず聞こえず、物理的法則を無視してなお『立ち向かう力』として顕現する。

推理の必要はない、矛盾を超越したものは此処にある。
回答は……。

 (……思い出した、一抹とか言ったかな、彼。)

295白岸・N・トーリ『ダムぜル・イン・ディストレス』:2023/07/02(日) 19:11:42
>>294

言葉ではない返答。『鎖音』が脳裏によみがえり、
目の前の音と、光景と合流する。

深い納得と、理解。そして、自分がどうすべきか。
――――答えを。導くのは難しくない。

「…………」


            スッ ・・・

両手を体の前で組み、目を閉じる。
『それ』は無限の原野に立つ為の力であり、
ひけらかす武力ではない。

                  だが―――― ・・・

   (『ダムゼル』)
      
   『枷』であり『翼』


     シャキン!               シャキン!

         (『イン』)

        『檻』であり『鎧』

                    ズァァァァァ ッ


         (――――――――― ……『ディストレス』)

                    『錘』であり『剣』

丸みを帯びた、『足跡』にも見える10枚の羽。
それを擁するのは、広げれば身の丈を凌ぐ『鋼鉄の翼』。

「トーリも、斑鳩君も、『これ』を出来る形ではないのですから――――
 トーリ達の間には。隠し事はあっても、『嘘』はそこにはなかったのでしょう」

             「トーリには。それが、嬉しく感じます」

笑みを浮かべず、ただ、口に出した。

返答は無くても良い。ただ、所感を述べただけだ。
背に宿る一対の『それ』が――――その同種の力が、『答え』になるなら。それでいい。

296斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/07/03(月) 00:43:26
>>295

 「遅めの『自己紹介』……という事にさせていただきますよ、トーリ先輩。」

鎖を引っ込めると後に残っている事実はこうだ

誰かが(恐らく彼だ)『スタンド』の練習でこの穴を開けた。
トーリ先輩は『スタンド使い』だ。
僕らは何方も、この穴を(たぶん)空けれるスタンド使いじゃない。

 「お互い『力』を持つものとして、誠実にお付き合いする方がよろしいでしょうから、ね。」

あまりいい事じゃあないが、この言葉に嘘はない、まぁ喜んでもらえるなら何よりだし。
他人のスタンドについて嬉々として話す事もないだろう。

 「それにしても『鉄の羽』……です、か、中々手札が多そうな……」

それにしても蕎麦を食いに出た遠回りの先で、我ながらとんでもない事を知ったと思う。
汗も引っ込みそうな衝撃……そばを食いに?

 「あっ、蕎麦……ッ」

急いで腕時計を見……動いていない。
ゼンマイ式のこの腕時計は中の振り子がゼンマイを巻いて動く。
そして僕は此処で穴を調べたせいで『立ち止まっていた』……ので……。

 「スマッ……」

ホと言う前に懐から僕を出迎えたのは真っ黒な板切れだった
残念だが……電池切れだぜ、数レス前にちゃんとその旨が記載されている。

 「……。」
 「…………。」
 「………………。」

言わずもがなだが、僕は此処で先輩と出会う前にやたらと遠回りし
穴の事をしげしげと眺めていたので、先輩に責任があるわけではない。
ただ、自らの好奇心にトドメを刺されただけである。


僕は夏の木陰の中、糸の切れたマリオネットの如く膝を屈した。

297白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/03(月) 01:23:14
>>296

「はい。『能力』を持っていても、いなくても。
 トーリと斑鳩君である事には変わりませんが、
 それでも。『能力を持ったトーリ達』である事は、大事だと思います」

「改めて。よろしく、お願いいたします」

首肯して、とてもゆっくりと、その羽を畳んでいく。
畳み終えたら、長々と見せびらかす事もない。解除するだろう。

「『手札』」
「斑鳩君は。―――――――――――……『そば』?」

何かを言いかけて、けれど。
目の前でいきなり崩れ落ちた後輩に、かける言葉が思いつかず。

「『そば』」

なんとなく、もう一度、繰り返して。

「……ふ」
「よかったら」「お腹が。空いているならですが」

口元にささやかに浮かんだ笑みと共に、
ゆっくりと……切り出す。

「この近くに。トーリが好きな、和風のカフェがあります。
 そこの名物は『あんみつ』なのですが。
 ……軽食として、小さな御蕎麦が、出ていたような覚えがあります」

少しだけ屈んで、視線を合わせて、伝える。
 
「トーリの買い物先と、同じ方向です。……トーリが。案内しましょうか?」

実はそれは的外れな親切なのだが――――友達には、親切にすればするほどいいのだ。

298りん『フューネラル・リース』:2023/07/08(土) 12:41:34
ここは星見町…ではない
ここは富士山

「うーさーぎーおーいしかーのやーまー♪」

頭から鈴蘭が咲いた10歳ほどの少女が山を登っている

何故、りんが富士山を登っているのか
それは、富士山には美味しい湧き水があるからだ
水にこだわりのあるりんは、富士山の湧き水を汲むためにわざわざ星見からやってきたのだ

299りん『フューネラル・リース』:2023/07/09(日) 20:57:11
>>298
苦労して登った甲斐あって、美味しい富士山の名水をたくさん汲む事が出来たりん達
その帰りの出来事だった

りん「いやぁ〜、冷たくて美味しかったねぇ〜」
阿部マリア「頭から水被った時は流石に引きましたわ…」
清「なんじゃあれは!」

突然大声をあげる清
その視線の先には、登山を舐めているとしか思えない
やけに軽装な登山者の姿が

マリア「おい、あいつ落ちますわよ」
りん「あっ、ちょ、危ないっ!」
清「此奴の構え…隙が…ある!」
清「否!隙があるようで隙がある…余程の身の程知らずか!不気味な…」

登山者「滑るッ!」

りん「あああっ!」

ザシュザシュザシュ

マリア「うおぉ、こいつはひでぇ…」
清「だが…ここは一気に!(滑落)」

一気に滑落していった登山者
その体は岩に何度も叩きつけられ、肉が抉れ骨が折れ
もはや人間とは思えないような無残な姿になっていく様を見せつけられた

りん「あぁ…(吐き気) はぁ…(吐き気)」
マリア「ちっ、気持ち悪ぃもん見せやがって
    おい、救急車に連絡しますわよ」
清「承知してごじゃる…」

その後、救急隊が駆けつけたが、登山者の遺体はしばらく見つからなかったという

マリア「しかしあの軽装、死にに来たとしか思えませんわね」

<

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                        終
                      制作・著作
                       ━━━━━
                       ⓃⒽⓀ

300百目鬼小百合『ライトパス』:2023/07/13(木) 18:53:18

星見町――――『地下アーケード』。
どのような需要があるのか分かりにくい店や、看板を掲げていない店などが軒を連ね、
大通りや歓楽街とは違ったアングラな雰囲気を漂わせている。
無論、ここにも秩序は存在し、堂々と法を犯す者はいない。
一見して常連客と思われる人間もいれば、興味本位で入り込んだらしい者もいた。
その中で自然と目立っていたのは、汚れ一つない真っ白なスーツを着こなした人影だ。

         ザ ッ

短く整えられた黒髪と切れ長の目を持つ長身の女。
口に咥えている煙草はフランス産の『ジタン』だ。
『スペインのジプシー女』を意味し、扇を手にして紫煙を纏った踊り子が、
パッケージに描かれている。

       ザッ

            ザッ

                 ザッ

女は歩き続ける。
その風貌は若くはないが、枯れてもいない。
未だ衰えない力強さがあった。

               ――――――ザッ

気の向くままに歩いている風を装っているが、足取りとは裏腹に眼光は鋭く、
油断なく周囲を観察しているようにも見える。

301百目鬼小百合『ライトパス』:2023/07/14(金) 12:12:10
>>300

かつての百目鬼のような『スタンド使いの警官』という例外はあっても、
『アリーナ』と『警察』では根本的な領分が違う。
同時に、共通点もある。
どちらも巨大な組織ゆえに構造が複雑化し、簡単に動く事が出来ない点だ。
至らない部分をカバーする為には、市井の人間の協力が欠かせない。
だから刑事を退いた訳ではないが、
組織に属さない今の自分だからこそ出来る事もあった。

         ジジ…………

立ち止まった時、ちょうど煙草を吸い終わってしまった。
踊り子の図柄がデザインされた小箱から、新たな一本を取り出す。
それを口に咥え、ライターの蓋を親指で跳ね上げる。

       キィィィィィ――――――――ン

甲高く澄んだ金属質の音色が、地下街に響く。
フランス製『デュポン』のライターが奏でる独特の音だ。
『喫煙具』にこだわりを持つ百目鬼は、とりわけ『フランス製品』を好んでいた。

302百目鬼小百合『ライトパス』:2023/07/15(土) 15:05:23
>>301

見回りを行う百目鬼の注意は、やがて一人の男に向けられる。
首筋から覗く『蜘蛛の入れ墨』には見覚えがあった。
その特徴と罪状から『毒蜘蛛』という名前を付けられた犯罪者だ。

   (あの野郎は昔アタシがブチ込んでやった筈だ)

           フゥゥゥゥ――――…………

   (奴がシャバに戻ってもおかしくない頃合いか)

思考と共に煙を吐き出し、男の動向を窺う。
『毒蜘蛛』は『知能犯』だ。
自分では手を下さず、常に『巣の中枢』に陣取っている。
複数の犯罪に関与した事は間違いないが、
決め手になるような証拠を見つけられず、一応は逮捕できたものの、
全ての罪を暴くには至らなかった。

       ス ッ

『毒蜘蛛』は地下街の奥に姿を消した。
入口から最も遠い『最深部』だ。
それは何処か『蜘蛛の巣』を思わせる。

(こいつは放っておく訳にもいかないねえ)

一定の距離を保ちながら、その後を尾行する。
油断の出来ない相手だ。
用心して掛からなければならない。

    ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

通行人の中に『スタンド使い』がいれば、以下のような光景が見えただろう。
『白いスーツを着た女』の傍らに『白い人型スタンド』が発現している。
スタンドの右手に握られた『警棒』が、金属的な光沢を放っていた。

303百目鬼小百合『ライトパス』:2023/07/17(月) 14:55:03
>>302

    それから数分後――――――。

             フゥゥゥゥ――――…………

突如として襲い掛かってきたチンピラ達を叩きのめし、
百目鬼は景気良く煙を吐き出した。
おそらく『毒蜘蛛』の手先だろう。
こいつらの相手をしている間に、本命には逃げられてしまったようだ。

「退屈させてくれないねえ」

その言葉は一概に否定的とも肯定的とも言えず、複雑な響きを伴っていた。

304甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/07/22(土) 13:02:46
台所

ここはあま公の自宅か>>305の家だかは分からないが、
ここでお菓子を作っているようだ
さて、何の料理を作っているのだろうか

305甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/07/23(日) 21:17:47
>>304
松本「おっ、出来たみたいだね」

あま公が冷蔵庫から取り出したのは、綺麗な透明の水ゼリーだ

マリア「結構美味そうじゃありませんの」

無造作にゼリーを掬い、口にするマリア
ゼリーの中には魚や海藻を模した寒天が入っている
掬うとプルンと震えて、見た目にも涼やかで綺麗だ

マリア「うん、美味いですわ」

海のイメージしているのか、ほんのりと塩とラムネの味がする
寒天にも一つ一つ、違うフルーツの味がして飽きさせない

マリア「ただね」

ガリ ガリ

マリア「何でガラス片が入っているんですの!?」
あま「シーグラスをイメージして」
あま「飴細工を入れるつもりだった」

ゼリーの中には様々な色のステンドグラスの破片が混入している
眺めるだけならこれはこれで綺麗だ

マリア「どう間違えたらそうなるんですの!?」ペッ
松本「ステンドグラスが血で真っ赤に染まってるね」
あま「きたない」
マリア「ふざけんじゃねえですわよ!てめぇらもガラスみたいに粉々に砕いてやりますわよ!」


___/\       + |\   |ヽ>   
\    \      !  \ | ヽ  
  \___\ * \_/ <  ̄ / ヘ \
    ̄ ̄ ̄ ̄      <\  
  ::| ||     。 +  ___< ̄  ゙i
  ::| ||  +   /\ \  \|    )
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       終
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306斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/07/31(月) 02:39:19
斑鳩翔は7月の終わりに夏のビーチに来ていた。

阻む物一つない広い空、地平線まで広がる青い海
砂浜は太陽の光を反射して、黄金の輝きを放ち。

海の家では500円の焼きそばを800円という夢と思い出込みのぼったくり価格で売却し
シャワー場所と簡易トイレには長蛇の列ができている……筈だった

そしてサーフパンツにサングラスを装備して降り立つ僕は、人呼んで真夏のラブ・ハンター……

 「あっつ……ぅ……」

ラブ・ハンターは溶けかけてた

気温は約39℃以上を記録し、雲一つない晴天は……
砂浜で反射した日光ビームは紫外線と肩を組んで容赦なく照り付ける
海からの風は吹いているが、もはやドライヤーが眼前にあるのと変わらない。

 「クソッ!マジに誤算だった……!自然現象まで計算に入れてなかった……」

拳を強く握りしめる、汗が頬を伝う様はもはや滝といっても……流石に過言だったが、体感はまったく変わらない。
このままだと日光で僕はとける。

 「何処だよ『僕達』がナンパすべき水着美女は!肌を炭化させようと考えてる気合入った野郎しか見えねぇ!」

307硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/07/31(月) 06:51:30
>>306

「翔チャン」


嘆き斑鳩のすぐ背後、
鼻ピアス、金髪のブレイズヘアを後ろで縛った男子高校生こと『硯研一郎』。
襲いかかる熱波から少しでも逃れる為にパラソルの下に備えられたビーチチェアに腰を下ろし項垂れている。


「俺は君が今日遊びたいって言うから、
 前日の夜にアルバイト先にお休みの電話して、予定を空けたんだぜ。
 夏休みの稼ぎ時の男子高校生がバイトのシフトに穴をあけてしまったんだ。
 次回、出勤する時にバツが悪い事必死だ。
 こんな髪型だと入れるアルバイトも中々に絞られてしまうんだぜ」


ゴキュッ


この炎天下ですっかり温くなってしまったペットボトルのジュースを一気に飲み干す。



「てっきり冷房の効いた部屋でスマブラ大会としゃれ込むのかと思ったが、
 『ナンパ』しに外に駆り出すとはまさかって感じだ。
 正直、もう身体は限界だ」


「なぁ翔チャンーー、
 現実の女は置いておいて今から俺の家で『ギャルゲー』でもしないかい?
 

 現状、この海岸に女性は見当たらないが、
 俺の家に行けばスイカみたいなおっぱいの妹から、
 国家予算級に資産を持った家の太いお嬢様やら、女がよりどりみどりだし、
 ゲーム屋の小倅の俺には『知識』があるから、
 俺が横にいれば、女とのゴールインをアシストできる。確実にだ。
 そして何よりーーー『冷房』がある」

308斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/08/01(火) 01:28:25
>>307

 「成程ォ!完璧な提案だな!冬でも夏でもなにも問題ない!ついでにあのラッパー&ラッカー共も呼ぶか!」
 「って、じゃあー今海でやる意味ねぇーだろうがぁー!!夏だから来たんだよォ!」

赤いメッシュの入った短髪を揺らし
ケンイチローの要請を日焼け止め&アイスノンごとケンイチローにダンク&シュートしつつノリ突っ込みをキメる
タオルで巻いてそのアイスノン首に回してろと言いつつ研一郎の夏の予定の裏をスルーした。

 「てゆうか、自分から連絡取っといてなんだけど……生きてたんだなぁYOU。」
 「しばらく見ないからてっきりよっぱりトラブルとダンスっちまったかと。」

周囲を見渡すと、目星を付け
自分のクーラーBOXに『鎖』を引っ掛けてon小型ラジオonパラソルon鳥のぬいぐるみごとずるずる引っ張っていく
砂浜に跡を残しながら目指すは『日陰』かつ、風と海に近くなる岩陰のほうだ。

 「まぁ〜〜〜しゃあねぇ、予定変更だ……研一郎チャン。針と糸で海の『魚』相手にナンパしに行く、ビーチチェア持ってきてくれ。」
 「ところでおたく、『釣り竿』は?後呼んでるのが『一抹』だから餌は兎も角。竿が『2本』しかねぇけど、持ってきたよな?確かメールして……」

309硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/01(火) 10:09:09
>>308




    「ああ」



空のペットボトルをリュックにきちんと仕舞い右肩に掛け、
ビーチチェアを折り畳み、やたらテンションの高い斑鳩の後に続く。




「普通さ。
 学校に行ったり、地元の友達と遊んだり、
 家の仕事を手伝ったり、バイトしたり、色々さ。
 幸いな事にあの『オモシロ超能力』を使う事もなく平穏な日々を過ごしていた。


 ああ…いや、この前、『クリフト』だか『トルネコ』だか『ビアンカ』だか『セフィロス』だか忘れたが…
 とにかく、そのーー『セフィロス』の案件に首を突っ込んでしまい、
 その日1日だけ『猫探し』の為に『猫捕まえ太郎』の『像』を発現してしまったがね」



適当な所にビーチチェアを置いて再び組み立て、
その上に腰を下ろし徐にリュックの中を漁り始める…。



「その『一抹』という人は知らないが、それはそうと。

 『母子家庭』の一人息子が当日、釣具を用意するというのは中々にハードルが高く、
 結果的に言うと『釣竿』は見つからなかった。
 だが代わりに『店』の『倉庫』から『それっぽい』『長柄』を見繕ってきたんだが…、
 あったあった」


リュックの中から取り出したのは、
各所に『信号機』の意匠が施された全長30cmにも満たない紫色の『斧』だ。
刃物であるにも関わらずその材質は『プラスチック』であり、刃先は丸みを帯び殺傷力が皆無。
明らかにーー子供向けの『特撮ヒーロー』の『玩具』だ。
(参考動画:ttps://youtu.be/Ljt6JGBfxGE)




「ええと…、
 『仮面ライダードライブDXシンゴウアックス&シグナルチェイサー』だそうだ。
 翔チャン、これでなんとかなりそうかい?」

310斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/08/01(火) 21:05:07
>>309

 (おも……しろ……?たぶん『スタンド』の事だよな……)

汗と共に髪をかき上げる、場所はこの辺りでいいだろう
パラソル片手に設置によさげな場所を探す。

 「君が電話帳に僕の『名前』をどう書いてるか気になってきたぜ、その『名詞群』。」

 (でも、ひとつ『確信』を持って言える、本来の名前と絶対かすりもしてないと……FFトDQマジッテルシ)

セフィロスの案件って何……黒マテリア強奪とか?
そんな事を考えつつ腕に『鎖』を巻きつけ、重量を増したうえでパラソルをしっかりと地面に差し込む
これで滅多な事ではズレる事もないだろう、しかし今重要なのは『釣り竿』だ。

 「で、釣り竿の件は……」

彼の家は確か『おもちゃ屋』だ、その倉庫なんだから竹竿かな?
最低でもウケ狙いで磁石式の釣りゲームとか……?等と考えていたら、彼はリュックから『それ』を取り出した。

 「…………」

僕はゆっくりと歩み寄ると、研一郎の手からそれをそっともぎ取り、柄についていた目立つ赤い色のボタンを押した。

 マッテローヨー! ピッピッピッピー!

 「…………」

仮面ライダードライブDXシンゴウアックス&シグナルチェイサーを見る。
硯研一郎を見る。
もう一度、仮面ライダードライブDXシンゴウアックス&シグナルチDXシンゴウアェイサーを見……

 スゥー

 「わぁー、ニチアサでキル率最多を誇ってそうな斧だ―!」

 「成程、これで海の魚どもを根こそぎKillし、ついでに砂浜で人様に迷惑かけるイカれた半グレだのロイミュードだのもフェイタリティ。
  最終的に真夏のビーチでマーメイドどもを片っ端から口説き落とし、ハレムを築いて二人でこのビーチの帝王となろうってか。
  なんやかんやで地球温暖化も解決し、一抹 貞世も腰を抜かすってもんだぜ。(ワンブレス)」

 「よーしそうと決まればイケイケで」

DXシンゴウアックス&シグナルチDXシンゴウアェイサーを構え。

 「イケるかァーーーーッ!!!」

渾身のツッコミと共に空に放り投げた(精密動作:B)おお、見よ
まるで『2001年宇宙の旅』で空に投げられた骨が宇宙船に変わるシーンのようではないか。

 ヒュンヒュンヒュンヒュン パシィ

 イッテイーヨ! ピッポー ピッポー

仮面ライダードライブDXシンゴウアックス&シグナルチェイサーをキャッチ(精密動作:B)して
研一郎にそっと返却する、人の物を勝手に乱暴に扱ってはいけない。

 「せめて1mある竹竿かな?とか思うじゃん!さっきの名詞の如くかすりもしてねぇんだけど!?」ナンダヨネコツカマエタロウッテ
 「どうにかなりそうかって?ならないよ!糸も針も長さもないだろ!ビックリしてるわ君の発想力に…………嫌味とかじゃなく純粋に興味で聞くんだけど、何で持ってきたのコレ?」

311硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/01(火) 21:52:11
>>310


「やっばり駄目だったかい。
 ひょっとしたら、もしかしたら、
 いけるんじゃあないかと思ったんだが」


ポチ \イッテイーヨ!!/


目の前で繰り広げられた斑鳩劇場の後に、
手元に返却された玩具のボタンを押す。
万が一に備えて、一応電池は入れてきた。



「逝ってよし、だそうだ。」


          「いや」


「『備えあれば憂いなし』と言うじゃあないか。
 翔チャンが途轍もない発想力の持ち主ならば、
 これを上手く釣竿にしてくれるかもしれない。

 それに『わらしべ長者』理論で、
 その辺に『大きなお友達』がいたら交換してくれて、
 気が付きゃあ手元にロッドがあったかもしれない。
 こー言うのを『ワンチャン』って言うんじゃあないのかい?」
 
     トントン

玩具を肩にかける。


「ちなみにエサに使えるんじゃあないかと、
 冷蔵庫にあった『ミートボール』を持ってきたんだが、
 この炎天下で痛むのは必死だったから、
 バス待ちの停留所で全部食べちゃったよ」

         「とても」

「美味かったよ。
 ご馳走様でした」

312硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/01(火) 22:26:32
>>311
必死→必至

313斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/08/01(火) 23:27:38
>>311

 (すさまじくか細いの解ってたんじゃん……)

呆れた様子でクーラーBOXから長い袋を2本取り出すと一つからロッドとリール、糸、針、重り、餌箱を取り出し
慣れた手つきで組み立てていく。

 「こんな健康有料不良少年の僕たちが要る所に彷徨ってる『大きなお友達』とか
  ジョーンズに襲われてる最中かどざえもんの二択じゃない?」

糸に針と重りを付けると、ラジオの電源を入れる
今くらいの時間なら『カナリアの声』が聴けるかもしれない。

 「そして僕が求めてるのはひと夏のアバンチュールであってワンチャンじゃあ……
  いやそりゃあ、ワンチャン狙いではあるけどもそれは女の子狙いなの、生足素敵なマーメイドなの。野郎はNO。」

完成した釣り竿を何回か降って確かめると
満足そうに頷き……

 「ハイハイ、良かったね。
  研一郎チャン、キャッチ!」

完成した釣り竿と餌箱を硯研一郎に放ると
自分の釣り竿に取り掛かる。

 「壊すなよ、まあお下がりのお下がりだけど……
  餌の付け方はミートボールを冷蔵庫から取り出すみたいにいかないぜ?」

餌箱は二つある、木箱とプラスチックだ
……プラスチックの方からは何かか細く音が聞こえるが。

314斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/08/01(火) 23:28:44
>>313
有料→優良

315硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/02(水) 01:16:31
>>313

「アバンチュールはよくわからないが、
 アバンストラッシュならできるぜ。

 アバンストラッシュ、知っているかい?
 子供の頃近所のラーメン屋に置いてある漫画で読んだんだが、
 このシンゴウアックスをこう逆手に持って…」


昔漫画で読んだ独特の構えを再現し、
本来の玩具の遊び方を堪能した後リュックに仕舞い
渡された釣竿に持ち替えた。


「ありがとう翔チャン。
 凄いな、手慣れたものじゃあないか。
 将来はこれで食っていけるんじゃあないか」


        「だが」


「どうにも厭な予感、というか悪寒がするな」

恐る恐る両方のエサ箱を開いていく。

316斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/08/02(水) 22:42:54
>>315

 「アバンストラッシュねー。」

ラジオからロックが流れる最中。

 「ホントはさー、沖縄だのハワイだの行きたかったんだよな。
  ホノルルでアバンストラッシュだのギガストラッシュだのしたかったよなー、だって僕達1どきりの青春だぜ?」

僕が釣り竿を組み立てる傍らで、研一郎チャンが餌箱に手をかける

 「でもカツアゲできそうな悪い面したヤツが近所に居なくてさ。
  話聞いてみたら、なんかもうボコボコにされて『爆発』した後なんだってよ。アバン先生から大地斬伝授する前にハドラーやられてるんだもんな」

木箱の方は練り餌だ、茶色の粘土のようでちぎって捏ねて
釣り針にくっつけて使うタイプ、食いつきはよくないが量だけは有る。

 「目の上のたん瘤の風紀委員四天王もなんかいつの間にか倒れてたし……。」

もう片方は……人間大だったら『宇宙怪獣』と言われても信じれる姿の『イソメ』。
手で触るには割とガッツがいる姿をしていてうにゅにゅと動く……食いつき抜群の画像検索したくないソレである。 
あ、そういえば聞いてなかった。
 
 「にしても一抹君遅いな、一足先に年上のお姉さま方とアバンチュールしてんのかな?メールでも送ろうかな。
  ……ところでおたく、蟲平気だっけ?」

317硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/03(木) 08:47:43
>>316

「俺の家は商売をやっているし、
 それに家には祖父母がいるからな。
 子供の頃から旅行に行けないのは慣れっこだ」

        「まぁ」


「今年も東京に住んでいる、
 叔母の『悠碑ちゃん』が一人娘ーー
 つまり俺の従姉妹の『キラミちゃん』を連れて帰省してくるので、
 彼女の相手をして終わるだろう」



        カパッ



(ウネ ウネ ウネ ウネ ウネ)


             「ひゃあ」



上擦っているが抑揚の全く感じ取れない独特の悲鳴をあげた。
どうやら『ウネウネ』の類は『不得手』だったらしい。


「翔チャン、ちょっとばかし助けが欲しいのだが、
 ひょっとして今、お手隙ではないのかい?」

318斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/08/03(木) 19:34:54
>>317

従妹、自分には聞きなれない言葉だ。
祖父母しかいないのは僕と同じだが、彼の家は家計的にだいぶ苦しそうではある。
ある意味、僕の方は恵まれてると言えるだろう 比較する意味があるかは兎も角。

 「へー……従妹ねぇ。」

素っ頓狂な声にニヤニヤしながら完成した竿を片手に立ち上がる。
準備は完了、後は投げて待つだけだ。

 「ヘイヘイ、年の離れた兄でアバンの使徒の割に、勇気たりてないんじゃないのー?」

 「というか君『アレ』あるだろ『アレ』……えーと『おもしろ超能力』?
  ちぎって針の先に刺すんだよ ハヤニエみたいにな。」

竿を肩に担ぐと行こうぜと海岸に置いた椅子を顎で指す

 「ま、どーしてもというなら、共闘のよしみで助けてやらなくも……。」

319硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/03(木) 21:13:37
>>318


「悠碑(ゆうひ)ちゃんとキラミちゃんだったら、
 悠碑ちゃんの方が歳が近いんだがね。
 俺のお母さんもその妹の悠碑ちゃんもシンママってヤツで、
 我が家唯一の男であるおじいちゃんも『文化系男子』だから、
 こういう『虫取り』や『川釣り』ってのには、
 中々触れる機会がなかったんだ」


            「よっと」

顔を顰め、意を決し
餌箱の中で蠢くイソメを摘み悪戦苦闘しながら針につける。


「あの、『スタンド』?ってやつは中々便利ではあるんだが、
 アレばかりに頼るのはどうかと思っていてね。
 上手く言語化するのは難しいが、
 俺が未だに『ガラケー』を使っている理由に近いかもな」

       
       「うひゃあ」

「なんとかできた。
 さぁ、フィッシングの時間だ」

320斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/08/03(木) 23:12:47
>>319

 「アハン?」

研一郎を待って位置につくと、餌箱から餌を取って針に付け。
リールのストッパーを外し、水平線向けてスイングする。

 「右手に『ハンマー』持ってるくせに、態々石ころ探して釘を打つのも
  妙な話だと思うけどね。」

風切り音と共に針が飛んでいく様は、自分のスタンドでの戦いざまに似ている。

妙なもので、普段だとベタベタするだけの潮風も
こういう格好で浴びると実に涼やかだと思う

 「ま、物好きがいても神様がバチあてるわけじゃ、ねぇか!」

後は竿からの感覚を頼りに、ラジオや波の音を聞きながら待つだけ。
魚をひっかける騙し合いとして餌を何処に放るかという考えは有るが
それを除けば釣りの基本は忍耐だ……。

 (うーん……。)

ありていに言えば『暇』になった。

 「なぁ、従妹ってどんな感じ?やっぱ可愛いのか?」

321硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/04(金) 17:19:08
>>320


「硯希良美ちゃんは、
 綺麗な顔立ちをしているんじゃあないかい。
 まぁ、最もまだ『小学校2年生』だがね」


       チャポッ


「ちょっと前までは『プリキュア』にハマっていたらしくて、
 この間彼女を向かいに行く時に『サプライズ』で
 その『キュア』のお面を被って待っていたら、
 どう言う訳かその『セフィロス』の問題に巻き込まれたんだ」


水面に沈んだ釣り針、動きはまだない。


「非常に胸糞悪くなる場面に、
 遭遇する事になってしまったし、
 俺も結構な怪我を負ってしまった。
 東京から遊びに来た親戚を向かいに行ったら、
 何故か全身怪我をしてしまったわけだから、
 あの後お母さんに無茶苦茶怒られてしまったぜ。


 翔チャンは随分と荒事に慣れている様子だったが、
 君にもこんなトホホなエピソードはあるのかい?」

           「ーーあ」

「翔チャン、君の釣竿にアタリがきてるぜ」

322斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ:2023/08/05(土) 14:57:04
>>321

「いや、容姿でなく君から見てどうかだぜ?
 殊更に下は流石に範囲外だ。
 僕は生まれてこの方一人っ子だし、親戚の類も聞いた事がない。」
 
 「とはいえなるほど、君がプリなんとかを
  用意するくらいには目に入れてもなんとやらか。」

楽な姿勢を取り直す
姿勢で釣りの成果が上がるわけではないのだから
こういう姿勢の方がいい。

 「認めるのは癪だが、ないとは言えないな
  しかし君が手傷を負うとは信じ難い。
  君が手傷を負う程の相手かい?」

側からの声に反射的に手首を返す
手応えアリだ。

 「おっと……」

 「うん?」

323硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/05(土) 16:40:53
>>322

「そうさ。
 女の子にしては少々ヤンチャな所があるが、
 硯の家は女が強い家系らしいからな」

カラカラッ


針の先に確かな重さを感じはするが、
魚が掛かった時の『引っ張られる』感触がない。
リールを巻き、獲物を海の中から陸へと手繰り寄せる。


「翔チャン、
 ただの男子高校生を買い被りすぎじゃあないのかい。
 俺はただ右往左往していただけだ。

 むしろ、俺より翔チャンのエピソードの方が聞きたいな。
 クラスメイト達が教室で話すソーシャルゲームの話題よりずっと興味深い」


釣針の先に繋がっていたのは『ジーマ』の空き瓶。
どうやら砂底に転がっていた瓶の口に、
落とした針が引っかかってしまったらしい。


「翔チャン、
 俺の方には『スミノフ』の空き瓶がきたぜ。
 随分とチャラい『お魚さん』だが、
 確か昨日ここで『ヒップホップフェス』が開催されたので、
 来場者の『忘れ物』だろうな。
 『釣り』から一転『ボランティア活動』だ」

324 斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ:2023/08/05(土) 19:08:23
>>323

 「さて。」

 「僕と君で戦ったあの時は
  君がただフラフラしていたとは到底思えなかったな
  それともここ数日でフラフラの定義が変わりでもしたのかい?」

魚を誘う為に断続的に糸を引っ張っていたが
随分と抵抗を受けている。

 「僕の方もそう多くはない、君とのを除いても
  戦略的勝利が1結果的勝利が1
  自他共に認められる勝利となると……」

ロッドが極端にしなり
とうとうリールを巻けないほど抵抗が強まる
父に連れてもらった時はよくやった事だ

 「根掛かりだなコレは、石にでも引っかかったか」

こうなると糸を切らざるをえない
友人が見たのはおそらく僕の竿の誘いだろう。
針と糸を付け直し、再び海に投じる

 「やれやれだ、何の話だったかな?」

325硯研一郎『RXオーバードライブ』:2023/08/06(日) 07:36:18
>>324


   
「君も大概、随分と謙虚な生き方をしているな。

 人生において『勝利』の定義は難しい。
 『受験』『就職』『結婚』『起業』『出産』など、
 これから俺らの人生には様々な『ターニングポイント』が訪れるだろうが、
 その時の『選択』の答えが正しかったかどうかは直ぐにはわからないだろうし、
 きっと死ぬ直前まで何が『勝利』だったのかわからないだろう。


 にも関わらず君はその若さで、
 既に明確な『勝利』を『3つ』も手にしている。
 充分に、充分に立派じゃあないか」



吊り上げた酒瓶を取り外し、
横で針を付け直す斑鳩の所作をなぞり、
四苦八苦しながらも自身の釣竿に針と糸を付け直し、再び海に落とす。



 「確か『ロスト・アイデンティティ』って名前だったかい。
  凄い格好いい名前だ、俺の『猫捕まえ太郎』とは大違いだ」



「何の話をしたいのか俺にもよくわからないが、
 夏休みに友達とダラダラと遊んでいる、
 その行為に『中身』を求めるのは無粋じゃあないのかい」

326斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ:2023/08/06(日) 16:39:31
>>325

「ならわかるだろ?若いからさ」

若いから取捨選択できず
不可能を諦めきれず
自分を納得させられない。

 「未来は明日からやってくる、避けようがない
  だったら詰め込む中身くらい
  自分で選びたいんだよ。」

斑鳩翔は足りるを知らない
いつかは知るかもしれないけれど
今はまだ、赤いスカーフを首に巻いている

 「空き瓶釣ったのも釣りは釣り
  でも釣ったって気しないだろ?」

自分で選んで中身を詰め込みたい、
振り返った時に、今日の事を思い出すように。

 「……あとな、名前の件はおたくが忘れてるだけ
  だと思うぜ、ぜってーそうだ。」

327甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/08/12(土) 12:28:46
海岸
>>328とスイカ割りをしている

328甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/08/13(日) 21:31:21
>>327
信長「なぁ、その西瓜何か変なもん噴き出してるんだが…」

あま公が棒を西瓜に降り降ろした瞬間、

パァァァン!!!

棒が西瓜を叩き割るよりも先に、西瓜が爆発した!

信玄「ほら言わんこっちゃない!
   だから中国産の西瓜はやめろって言ったんだ!」
謙信「しょうがないだろ安かったんだから」

しかも、安かったので調子に乗って大量に持って来た西瓜は
誘爆するかのように次々と爆発していき、
海岸は血の海地獄のように真っ赤に染まっていった

                          __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                   \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                      ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      .'                            ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:               ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                             ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
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                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙i|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´

                    終
                  制作・著作
                  ━━━━━
                   ⓃⒽⓀ

329甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/09(土) 12:44:14
ここは祭りの会場

祭りは夏の専売特許ではない
秋には秋祭りがある
秋というには暑い気もするが…

そして今、>>330と食べ歩きをしている

330空井イエリ『ソラリス』:2023/09/10(日) 13:36:05
>>329

夏場をほとんど抜け殻のように過ごしていたが、
空蝉も見当たらなくなった今、
一念発起して人間らしい事をしようと思った。

祭りに誘うような相手はいないので、
1人で来ることになったわけだが……

「こういうのも、たまにはいいもんだ」

       ガリッ

       りんご飴の端を齧る。
       りんごには到達しない。

「こいつは……たまに食う度に、
 どうするのが正解か分からなくなるよな?」

そこに偶然知り合いがいたのは、僥倖だったと言える。

331甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/10(日) 15:57:13
>>330
こういう祭りの屋台で売られているようなりんご飴は、
見た目は綺麗で美味しそうだが、いざ食べると食べ辛くて困る
祭りという環境の雰囲気でつい買ってしまうが、買った後後悔する事は少なくない
りんご飴専門店なら美味くて食べやすいりんご飴も食べられるかもしれないが、
りんご飴なんて屋台でしかほとんど見かけないだろう

「切って食べるのが正解…らしい」

という事らしいが、
屋台で買った物をわざわざ切るために持って帰る奴もそんなにいないだろう
大抵はその場で齧りつくものだ
刃物持ち歩いてるやべー奴ならそれでカットするのもいいかもしれないが

厚い飴の壁に阻まれりんごに届かない空井の隣では、
いちごやみかんやぶどうといった、ミニサイズで食べやすいフルーツ飴を食べているあま公がいる
ちなみに、さっきの切る云々の情報は今あま公がスマホで検索したらしい

332空井イエリ『ソラリス』:2023/09/10(日) 18:25:22
>>331

「なるほどな……道理だぜ。
 食べ歩きにはそもそも向いてねーわけだ」

      ペロ

「ま、おれはこう見えて少食なんでね。
 屋台歩きの間……
 こいつだけで間が持つなら、悪くはない」

噛んで砕けた側面を舐めながら、
甘城の食べている『フルーツ飴』類を見る。

「……悪くはないだけで、
 もっといい択はあったようだけど」

りんご飴は進化の歴史に取り残された遺物だ。
そもそも飴が仮に柔らかいとして、
りんご自体、棒に刺して丸齧りに向いていない。

「お前さん、こういう祭りってヤツに慣れてるのか?」

『フルーツ飴』を選ぶのに慣れも何もないが……
少なくとも、このイエリよりは手慣れているように思えた。

333甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/11(月) 16:04:41
>>332
「りんご飴食べてると飽きるし…」

慣れているかどうかはともかく、
経験則からりんご飴を避けてフルーツ飴を選んだようだ
りんご飴は食べるのに時間がかかるし、食べてる途中で飽きやすい
それにりんご飴だけで割と腹いっぱいになってしまう

「…食べる?」

フルーツ飴を1本差し出してみる

334空井イエリ『ソラリス』:2023/09/11(月) 18:57:22
>>333

「確かに……こんなサイズの飴を、
 そうそう食べることもないからな。
 もちろん中身はりんごなわけだが、
 りんごだって丸ごと齧ろうとは思わねー」

「純粋におれのミスだ。
 だがまあ……そういう向こう見ずさも、
 祭りらしさってやつに背負ってもらおう」

飴から口を離して、差し出された飴を見る。

「ついでに、『分けっこ』もな。
 ここでの遠慮はいいことじゃねー。
 ありがたくいただくよ」

少しだけ逡巡した後、受け取ることにした。
それから泳いでいた視線を周りに走らせる。

「とはいえ……おれも大人だ。お返しに何か奢るよ。
 綿がしでも、タコ焼きでも……くじ引きでもいいぜ」

335甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/11(月) 21:34:33
>>334
「良いの?高いけど」

昨今の物価の高騰の影響か、
今年の祭りの屋台は大分値上がりしている

そこのたこ焼き屋も500円はするし、
今食べてるフルーツ飴は800円はした
かき氷も綿あめも例年よりずっと高い

こうしてぐるっと見回して見ると、どこもかしこも値上げしている
ワンコインで買える方が少数派なくらいかもしれない

何か風船ヨーヨーの風船の水を飲んだり、
金魚すくいの金魚を食おうとしている奴もいるが、
見なかった事にした方が良いかもしれない

「じゃあこれ」

あま公が指差したのは、電球にカラフルな液体が入った飲料
電球ソーダという物だ
これまた、祭りという場でしか見かけない代物だ

336空井イエリ『ソラリス』:2023/09/12(火) 05:20:44
>>335

「いいよ。遠慮するような場所でも、相手でもないさ」

並んで歩くと甘城と然程変わらない年には見えるが、
これでも大学生だ。大学生は大人では無いが……
まあ、高校生よりは自由に出来る金を持っている。

…………イエリが金を持ってるのは、
スタンド使いとして稼いだのもあるが。

        「……」

ヤバすぎる客たちからはスッと目を逸らす。
祭りの喧騒とアルコールのせいだろう。
あるいは世相か。今背負い込むような話ではない。

「へぇ、『電球ソーダ』か…………なるほどな。
 おれはSNSでしか見たことなかったぜ。
 こいつは、実に『映え』ってやつだな。
 せっかくだ、おれも一杯やらせてもらおう」

二人分の『電球ソーダ』を買う事にしたイエリ。

「何色がいいかな、甘城ちゃん。
 おれはこう見えて、『青』が好きなんだが…………」

カラフルな液体を吟味する。
こう見えても何も今日着ている服も空色だ。

どれも味は変わらなさそうだが、選ぶのも楽しさだ。

337甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/12(火) 16:16:33
>>336
電球ソーダはまさに『映え』のために作られたものらしい
ただ、インスタに挙げるためだけに買って即捨てられる物が多い中、
電球は飲んだ後にインテリアとして再利用しやすく、捨てられにくいらしい

「じゃあ…赤」

青が好きというのに対して、赤と答える
赤と青で見栄えを気にして…か、どうかは分からない

電球の中に入っている液体は、
LEDで照らされ綺麗に光っているが、
これ、飲んで良いのか?と言いたくなるような、
健康的にヤバそうなケミカルな発光をしている

338空井イエリ『ソラリス』:2023/09/12(火) 19:13:00
>>337

「良いね。甘城ちゃんには赤が似合うよ」

ソーダを二つ買って、赤い方を渡す。

「かき氷のシロップの色だ。
 綺麗で映えて、食べ物の色じゃねー。
 自然にこんな色なのは毒のある動物くらいだ」

      「だが嫌いじゃない」

   ヂュ

細いストローから中身を吸った。
甘いだけの味だ。
口の中がベタつくタイプの。

「やっぱり、悪くないな。
 ……おっと、乾杯するのが先だったか?
 ま、こいつで盛大にやると、多分割れちまうからな」

    フッ

鈴の転がるような笑いを言葉の端に浮かべながら、
不出来で人工的な甘露を啜る。『悪くない』と思える。

339甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/13(水) 16:17:25
>>338
「かんぱーい」

  チン

電球が割れないように、優しくグラスを合わせる

ストローから電球の中の赤い液体を吸い上げる
鮮やかにも毒々しいかき氷シロップの味

「甘っ…」

そのままでは甘すぎて喉に絡み付きそうな、焼け付くような味だ
だがこれはソーダ、炭酸水で割っている
炭酸のおかげか、幾分かは飲みやすくはなっている

「飲み物なのに喉が渇く…」

軽減されているとはいえ、ベタつくもんはベタつく
美味いか不味いかで言えば、美味い方だが
一言で言えばジャンクな味だ

340空井イエリ『ソラリス』:2023/09/13(水) 19:32:50
>>339

「ああ、乾杯」

もう一口飲んだ。

「家で同じものを飲めって言われれば、
 断固拒否させてもらいたいな……
 ここの空気で割るのが前提の味だ」

電球という小さな器にも関わらず、
その底が見えるのはとても遠く感じる。

「……あとで、ラムネでも買いに行くか。
 まあ、アレはアレで甘い飲み物ではあるけど。
 自販機で水、って手も無くはないけどな?」

祭りの屋台にある飲み物といえば、
アルコール以外は甘いものばかりだ。
食べ物の方はソース味とタレ味が9割だろう。

「おれはせっかくなら、この祭りを楽しみたい」

はっきり言って飽きる部分もあるが、
この日ばかりはバランスを取る必要性もないだろう。

341甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/14(木) 16:25:22
>>340
バリ バリ

数本持っていた飴も、
もう食べ終わって棒だけになってしまった
一つ一つが小さいのですぐ無くなってしまうし大してお腹に溜まらない
飴とかき氷シロップのようなソーダの食べ合わせは、くどいくらいに甘いが

「じゃあ、次どうする?」

いつの間にかベビーカステラを買っていたあま公
小さいベビーカステラは甘さ控えめなので、
激甘ソーダとも合わない事もない
カップに何個か入っているそれは、言えば分けてもらえるだろう
というか、シェア出来るからこれを買ったのかもしれない

甘い物ばかりで飽きるかもしれないが、周囲を見回してみれば結構総菜系の屋台もあった
唐揚げにじゃがバタに鮎の塩焼き、珍しいものだとケバブがあったりする

342空井イエリ『ソラリス』:2023/09/14(木) 19:03:31
>>341

「甘いものばかり食べたからな……
 そろそろ目先を変えていこうと思う。
 甘さとしょっぱさでバランスを取るのは、
 砂上の楼閣並みに不安になるが…………
 ま、お互いまだまだ若いからな?」

暴飲暴食は肌に悪いが、たまになら悪くない。
『惣菜』系の屋台の並ぶ通りへと進んでいく。

「あの妙に長いフライドポテトでも買ってみるぜ。
 祭りでしか食えないってもんでもなさそーだが、
 そういう微妙さも祭りらしさな気がするんだ」

    トコトコ

「それで良いかな、甘城ちゃん」

つまんで食べられる数の多い物という意味では、
フライドポテトもベビーカステラも意味は同じだ。
祭りらしさとは『それそのもの』ではなく、
それを取り巻いての交流や、空気なのだろう。

秋祭りはまだまだ多くの屋台が並んでいるが、
それを全て回り尽くすには――誌面の方が足りないかもしれない。

343甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/15(金) 18:06:47
>>342
どこにでもありそうな普通のフライドポテトだが、
祭りという場所の雰囲気が調味料になり妙に美味く感じる
たこ焼きも焼きそばもだが、家で同じ物を食べても
まぁ、こんなもんかとなるだろう
味覚に直接影響を与えているわけではないのに、面白いものだ

「良いよぉ〜…」

こうしてイエリと一緒に歩いていると何か落ち着く
これといって特別面白い事してるわけでもなく、無駄話をしているだけだが楽しい
何か気楽でいられる相手だ
なんとなくお姉ちゃんっぽい人だと、密かに心の中で思うあま公


フライドポテトの屋台の横で、鳥肉の焼ける香ばしい匂いがする
小さい屋台で、お客がいなくて気付きにくいが焼き鳥の屋台のようだ
ただ、ここで焼いている鳥はどうも鶏肉ではないようだ

イエリが気付くかどうかは分からないが、この店、普通の焼き鳥屋ではない

ス ズ メ の 焼 き 鳥 屋 だ

ジュー…

小さい雀が1羽丸ごと串刺しで焼かれている

「……」

それをじーっとあま公が見つめている

「それください」

344空井イエリ『ソラリス』:2023/09/15(金) 23:03:05
>>343

「ありがたい話だ。
 お前さんとは好みが合うぜ、甘城ちゃん」

波長が近い、というものかもしれない……と、
少しだけ浮かべてすぐに頭の中で取り消した。
自分に似ているというのは、失礼な話だし、
甘城に似ているというのは、思い上がりだ。

「おっ、焼き鳥もあるのか。
 安居酒屋みてーな品揃えになってきたな。
 いや、安居酒屋が祭りみてーな…………ん?」

        「……成る程?」

なかなかショッキングな見かけだ。

「いつか……京都に行くことがあれば、
 怖いもの見たさで食いたいと思ってたんだ。
 だが、こういう出会い方も悪くねー」

が、イエリはそこに深い関心を持たない事ができる。
根底にある無関心と酷薄さを、社交で包み隠せば良い。


    「おれも、それを一つ」


少なくとも、この時間が楽しいと思える感受性はあるのだから。

345甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/16(土) 19:40:53
>>344
羽を毟られた雀の姿そのまま焼かれたそれは、
見る人によってはグロテスクに映り、人を遠ざけてしまう
だがこれも立派な食材だ

雀と言ったらそこら中に無数に居るが、
野生の個体を勝手に捕って食べる事は法で禁じられているし、
野生の雀は非常に衛生的に悪く、食には適さない
だから食用に育てられた雀を輸入しなければいけないのだが、これが結構貴重だ
なので、雀の焼き鳥というのは結構レアな食べ物だったりする

バリ バリ

それは骨ごとバリバリと食べる事ができ、
頭に齧りつくとトロッとして鶏レバーのような味の脳味噌が飛び出て来る
みりんと醤油で味付けされたタレもよく合っている
単なる珍味ではなくちゃんと美味い、今日まで続いている理由が分かる料理だ

肉に支配された咥内を甘いソーダで洗う
リセットするというには味が濃すぎるが、今はこれで良い

祭りの会場は広く種々雑多な屋台が並んでいる
この後も祭りを練り歩いていれば、珍しい屋台を見つけるかもしれない
けどそれは今語る事ではない
ただ、秋祭りを十分に楽しんだ、この事実があるだけだ

346甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/30(土) 13:03:31
図書館

異常な残暑でそう感じないかもしれないが
9月ももう終わり、暦の上ではもう秋だ

秋といえば読書の秋
静寂に包まれた図書館で静かに本を読む
>>347はどんな本を読んでいるのだろうか

347ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/09/30(土) 15:50:10
>>346

甘城の向かいに座っているのは、プラチナブロンドの五歳児だった。
瞳の色は透き通るようなエメラルドグリーン。
『有名私立幼稚園』の制服を着ている。
図書館に来たら甘城を見つけたので、その近くに座ったのだ。
隣の椅子には、大きなテディベアが座らされている。

          パラ…………

読んでいるのは『はらぺこあおむし』。
一匹の青虫が沢山の食べ物を食べ、蛹を経て蝶になる仕掛け絵本である。
『人生は椅子取りゲーム』。
いずれ自分も美しい蝶として華麗に羽ばたくのだ。
そんな事を考えながら、ページを捲っていた。

348甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/09/30(土) 22:12:15
>>347
こうして、静かな空間でジッと亞書を読んでいると気が狂いそうになる
マジで何の意味も無いアルファベットの羅列だ
これを大真面目に呼んで何になるというのだろう?
ハッキリ言って苦行だ
こんな物読むくらいならヴォイニッチ手稿を解読していた方がマシだ

正面に座る五歳児の読んでいる絵本が目に入る

「はらぺこあおむし…」

超有名な児童書だが、未だに読んだ事が無いあま公

「…面白い?それ」

少なくとも、亞書よりは面白いかもしれないが…

349ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/09/30(土) 22:40:21
>>348

記憶が飛んだ甘城にアッパーカットをかましたり、
台風の日にコロッケを奢ってもらったり、
強くなる為の特訓に付き合わせたダイアナだ。

「あま公はつまんなさそうね、フフン」

別に何か勝ってる訳でもないのに、無意味に鼻を鳴らす幼稚園児。

「そんなの読んでないで、あま公も『はらぺこあおむし』見なさいよ」

        ズイッ

机の上に乗せていた絵本を、甘城の近くに押しやる。
特に目を引くのは大胆かつ鮮やかな色彩だ。
しかも、これは読み聞かせに向いた大型版であり、
開くと全長80cmにもなるビッグサイズなので、見応え十分。

350甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/01(日) 18:05:11
>>349
「うん」

随分と大きな絵本を押し付けられる
読み聞かせには丁度良いのだろうが、個人で読むには大き過ぎなのではないだろうか?

ペラ

ページを捲ってみると、
あおむしが食べたと思われる箇所に穴が開いているというギミックに感心させられる
今となってはそう珍しくもないギミックなのだろうが、発表された当時としては斬新だった事だろう

ギミックが面白いだけではなく、子供に分かり易いように蝶の一生を描いている
児童書とは案外侮れないものだ

しかし気になるのは

「何で土曜日だけドカ食いしてるの?」

チョコレートケーキとアイスクリームとピクルスとチーズとサラミとペロペロキャンディーとさくらんぼパイとソーセージとカップケーキとスイカ……

絵本にこういうのは野暮かもしれないが、それにしたって土曜日だけ明らかに異常だ
ぜってー青虫が食うわけねーだろって物を食べているのもツッコミどころだが、何より食べる量がおかしすぎる
青虫がドカ食い気絶部でも青虫の体躯を考えれば無理があるだろう
質量保存の法則はどうした?

351ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/10/01(日) 18:54:01
>>350

自分の席から身を乗り出して、甘城と一緒に絵本を眺める。

「きっと、すっごくお腹が空いてたんでしょ」

良く言えば子供らしい答えが返ってきた。
空想を現実に当てはめておかしいだの間違ってるだの、
重箱の隅をつつくような些末な事を考えながら絵本を読む五歳児はいない。
いたとしても、それはダイアナではない。
肉屋に来て秋刀魚が売ってないと文句をつけるのか?
科学的な議論がしたいなら、ネイチャーでも読んでろって話だ。

「あま公はどれが好き?
 わたし『さくらんぼパイ』が食べたい気分だわ!」

        スッ

たくさんの食べ物が描かれた中から、パイのイラストを指差す。

「そういえば、あま公も『大きなケーキ』を出せるじゃない。
 ねえ、他にも作れるの?」

以前、湖畔で特訓に付き合ってもらった時の事を思い出した。
巨大な『ウェディングケーキ』によって、突撃を阻止されたのだ。
よって『ビター・スウィート・シンフォニー』の事は、
『ケーキを出せるスタンド』と認識している。

(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1591247432/903-917)

352甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/02(月) 18:54:56
>>351
>あま公はどれが好き?
>わたし『さくらんぼパイ』が食べたい気分だわ!

「さくらんぼパイ」

スッと机の上にハンカチを置く
するとハンカチの上に、さくらんぼパイが一切れ出現する

図書館は基本、飲食禁止の所が多いのだが、ここではどうなのだろう?
仮に禁止されてる所だったとして、ダイアナはルールを守るだろうか?
お嬢様というのは、そこら辺きっちりとしていそうではあるが

>そういえば、あま公も『大きなケーキ』を出せるじゃない。
>ねえ、他にも作れるの?

「お菓子なら何でも」

何でも、とは言うが作れない物は当然ある
醤油煎餅を出せと言われても作れないし、ジュースなんかも無理だ
案外制約の多い能力である

「何か食べたい物でも?」

353ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/10/02(月) 19:47:53
>>352

魔法のように現れた一切れのパイに視線が釘付けになる。

  「おいしそ…………」

       スイッ

         「――――う…………!」

               ピタ

無意識に手を伸ばしかけ、寸前で思い止まった。
大抵の図書館では飲食禁止だ。
いくら自分で食べたいと言ったからといって、
ルールに反してがっつくのは浅ましいような気がする。

「な、なかなかスゴいじゃないの!」

          チラ

        「フフン、褒めてあげる!」

そう言いつつもパイの事を気にしているらしく、時折そちらに視線を送っている。

「え、ええと――――そうね…………。
 やっぱり豪華で美しいものがいいわ!
 わたしを満足させたら専属パティシエにしてあげてもいいわよ!」

あまり具体的な注文ではないが…………何が出てくるのだろうか?

354甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/03(火) 18:04:49
>>353
パンッ

ハンカチの上のさくらんぼパイに手を押し付けると消えるパイ
必要の無い手順であるが、こうすると何となくそれっぽい感じにはなる

「はい」

パイの消えたそこに、次いで出て来たのは
刻まれたデーツが練り込まれた、温かくてしっとりした蒸しケーキの上に
べたべたのトフィーソースがかかり、その上に冷たいバニラアイスが乗っかったケーキ
スティッキートフィープディングだ
キャサリン妃の好物として知られているが、ダイアナ元妃のお気に入りでもある
ソースが垂れてしまっているが、能力で消してしまえば無問題だろう

食器を作る能力は無いのでスプーンは付かないので、もし食べるとしたら素手で掴む必要がある

355ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/10/03(火) 19:39:40
>>354

さくらんぼパイが消えてしまう様子を未練がましく見ていたが、
続いて現れたお菓子の方に興味が移り、大きく目を見開く。

「わ!『スティッキー・トフィー・プディング』じゃない!」

英国の伝統的なお菓子であり、ダイアナもそちらの血筋なので食べた事があった。
『ビター・スウィート・シンフォニー』の能力で出しただけあって、とても美味しそうだ。
鼻をくすぐる甘い匂いが、否応なしにダイアナの心を誘惑する。

(お、美味しそう…………!
 でも、ここで食べたら負けた気がする…………!)

(わたしは一流のレディーわたしは一流のレディーわたしは一流のレディー………………)

「――――――ご、合格よ!
 とりあえず、あま公を『専属パティシエ候補』って事にしといてあげるわ」

       「フフン!」

              ジィィィィィ――――――――――ッ

『スティッキー・トフィー・プディング』をガン見しながら、自分勝手な判定を下した。

356甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/04(水) 19:01:40
>>355
「…それは光栄です」

勝手に『専属パティシエ候補』にしながら、プディングをガン見するダイアナ
はらぺこあおむしのようにはらぺこな子供におあずけしたままにするのも忍びない

サッ

ハンカチを取り上げると綺麗さっぱり消えるプディング

「あそこに休憩所があるから」

図書館内の休憩所、そこは飲食が可能な場所だ
御親切な事に、ちょっとした食器程度なら借りられそうだ
そこでなら規則違反にもならないだろう

357ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/10/04(水) 22:14:03
>>356

「――――あっ」

パイと同じように消滅したプディングを見て、
露骨に残念そうな顔をするダイアナ。
本人としては、なんて事ない風を装っているつもりでいる。
お菓子を凝視していたり、心の声が口から出ているが、
これでも頑張っている方だった。

    「え!?」

         「あ!そ、そうね!」

「せっかくあま公が出してくれてるのに、一口も食べないんじゃあ失礼だわ。
 『一流のレディー』のわたしが直々に味見してあげる。
 そう、これは上に立つ人の義務よ!」

       トッ トッ トッ

そこはかとなく言い訳じみた言葉を並べながら、
お菓子につられて甘城についていく。

             ――――――ストン

休憩所の中で一番良さそうな場所(ダイアナ目線)を選び、
そこで『座る動作』をする。
このアクションによって『椅子形態』の『オンリー・ガール』が発現し、
その上に腰を下ろして生意気に脚を組む。
空気を取り込んで実体化しているので、見た目は半透明の椅子だ。
甘城の前で使うのは初めてかもしれない。
今までは『人型』しか見せていなかった気がする。

358甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/05(木) 18:40:41
>>357
椅子ならそこら辺にいくらでもあるのに態々『オンリー・ガール』に座るダイアナ

確か、『オンリー・ガール』の『空気椅子』に座る所は見ているはずだ
なのでそれに驚きは無いのだが
お気に召す椅子が無かったのか、やはり椅子に対する拘りがあるのか?
そんな疑問がほんの少し頭を過ったが、然程気にする事でもないか
どんな椅子に座ろうがダイアナの自由だ
もっとも、空気椅子に座る5歳児は傍から見ればかなり変だが…

カタ

「ご試食お願いします」

改めて『スティッキー・トフィー・プディング』をダイアナに献上する
庶民の物とはいえちゃんと食器を添えてあるプディングは、
ハンカチの上にあったさっきの物よりも様になっているのではないだろうか

水筒から液体を注ぐと、紅茶の香りが漂ってくる
無糖の紅茶のようだ

359ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/10/05(木) 20:09:32
>>358

『オンリー・ガール』は、その名の通り『唯一無二』。
ダイアナだけが座る事を許されたダイアナ専用の椅子なのだ。
そこに座るという行為は、ダイアナにとって自らの特別さを誇示する事でもある。

          「フフン!」

ただ椅子に座っただけなのに、何故か得意げな顔でほくそ笑んでいるのは、
その辺りに理由があるのだろう。
確かに『オンリー・ガール』の『発動条件』は珍しい。
だが、ダイアナが他の人間よりも優れているかといえば、
少なくとも本人が思っている程ではない事は明らかだが。

「フフ、ありがとう」

      コホン

   「では、このダイアナが味見をしてあげましょう」

とろけるようなプディングをスプーンで掬い上げ、そっと口元に運ぶ。
金持ちの令嬢だけあって、極めて上品な所作だった。
一応、基本的な教育は行き届いているらしい。

         「 ! ? 」

次の瞬間、口の中に広がる味に目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。

  「な、何よコレ!」

      パク

      「美味しい!美味しすぎる!クセになりそう!」

              パク

                「手が止まらないわ!」

                     パク

余裕ぶった態度は呆気なく消え失せ、ひたすら眼前のプディングを味わう。
ダイアナも高級品には慣れているので、それなりに舌は肥えている。
しかし、『ビター・スウィート・シンフォニー』は、それを上回っていた。

360甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/06(金) 20:50:20
>>359
普段不遜な態度を取りながら、
上品な所作で食するダイアナに育ちの良さを感じさせられる

パク
   パク
      パク

しかしプディングを食べる手は止まらない
『BSS』の作る食べ物は一流パティシエ並みだ
とても甘いが、優しい甘さで上品さを感じさせる
温かいプディングの上に乗った冷たいアイスとの組み合わせで飽きを感じさせない

『BSS』の菓子は賞味期限が非常に短いが、
このペースならばすぐに完食出来るだろう

しかし、いくら美味いからといって
飲み物無しで食べ切るのは厳しいかもしれない

「紅茶、砂糖要る?」

無糖の紅茶は子供には渋いだろうか?
ダイアナの場合は無糖でも飲めるのだろうか

361ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/10/06(金) 21:51:49
>>360

見事に洗練された奥深い味わいに舌鼓を打つダイアナ。
その時、紅茶の香りが漂ってきた。
いったん手を休め、紅茶の注がれたカップを眺める。

「あま公、なかなか気が利くじゃない。
 『パティシエ兼メイド候補』にしてあげてもいいわよ」 

ちょうど喉が渇いていた所だった。
躊躇なく紅茶を受け取り、そのまま音を立てずに飲む。
甘味の強いプディングと合わせるには、無糖の紅茶が丁度いい。

「――――――『ごちそうさま』」

         コトッ

『賞味期限』については知る由もないが、
あまりの美味しさで無事に完食する事が出来た。
正直、予想以上の味だ。
しかも、それが即座に出てくるのだから、
ダイアナとしては是非とも目をつけておきたい。

「フフン、あま公あなた見所があるわ。
 ご褒美に『ダイアナとお話できる権利』をあげる」

         ゴソ

制服のポケットから、『キッズスマホ』を取り出す。

「わたしの為に働きたくなったら、いつでも言っていいのよ」

恩着せがましく連絡先を押し付けようという算段のようだ。

362甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/07(土) 21:41:47
>>361
読書の秋で図書館に来たのに、
すっかり食欲の秋になってしまったが
ダイアナが満足しているのなら、それでも良いだろう

『パティシエ兼メイド候補』にしていただいたあま公
我儘お嬢様に仕える使用人は気苦労が絶えないだろう
実際に彼女に仕えている方々はご苦労な事だ

そして恐れ多い事に『ダイアナとお話できる権利』までいただいてしまった
オプーナを買う権利とどちらが価値があるのだろうか?

>わたしの為に働きたくなったら、いつでも言っていいのよ

それはこちらにメリットはあるのか!?
いや、それなりの給与が出るのならメリットはあるかもしれないが

「…有難き幸せ」

サッとスマホを取り出し、交換をする

363ダイアナ『オンリー・ガール』:2023/10/07(土) 22:27:18
>>362

腐っても『金持ちの令嬢』。
いくら人使いが荒かったとしても、タダ働きで酷使させられる事はないだろう。
常識的に考えれば、それなりの待遇は保障される筈だが…………。

        ピッ

とにかく連絡先の交換は完了した。

「良かったわね!あま公は世界一の幸せ者よ!」

       「フフン!」

上機嫌で鼻を鳴らし、『オンリー・ガール』から下りる。
『人型』に変形したスタンドが、テディベアの中に入り込んでいった。
甘城と特訓していた時は、この能力を使う事なく決着してしまったので初公開だ。

「さ、戻るわよ。
 今度はあま公の選んだ本を一緒に見てあげるわ。
 わたしに相応しいタイトルを持ってきてちょうだいね」

           トッ トッ トッ

相手に選ばせると言いながら、いちいち注文をつける。
それがダイアナだ。
その後、秋の図書館で二人がどう過ごしたかは本人達次第だろう。

364甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/10/08(日) 19:07:10
>>363
とんでもなく尊大で自分勝手だが、不思議な事に腹が立たない
ダイアナが子供だからか?
微笑ましさすら感じるくらいだ

軽食を済ませて、再び読書に戻る

「ならこれ」

ダイアナに期待に応えられたかは分からないが、
オススメの本を持って来るあま公

そのタイトルは「非現実の王国で」

ヘンリー・ダーガーが19歳の時から約60年間をかけて書いた超大作
世界一長いとして有名な小説だ
この小説を通して、ヘンリー・ダーガーという人物の人生を伺う事が出来る…ような気がする
もっとも、ヘンリー・ダーガーはこの小説が世に出る事は望んでいなかったのだが…
現代でいえば、パソコンのHDD内の物を全世界に公開されるようなものだろう
公開処刑も良い所だ

そして、やたら長いだけでなく内容も子供が読むのに適しているかどうか…そこが問題だ

365りん『フューネラル・リース』:2023/10/14(土) 12:28:59
木々が鬱蒼と生い茂る秋の山

「きのこのこのこげんきのこ」

10歳ほどの頭に鈴蘭が咲いた少女と>>366が歩いている
この山にも色んなきのこが自生している
これは、きのこ狩りだ

366夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/14(土) 15:00:25
>>365

傍らに『ドクター・アリス』を発現させ、りんと一緒に秋の山を散策していた。

     ザッ ザッ ザッ

           「――――――おん??」

                ピタッ

「りんちゃんりんちゃん、
 アッチから『キノコっぽいニオイ』がするぞ」

『超人的嗅覚』が、それらしい匂いを捉えた。
古くからトリュフを探す為に豚の嗅覚が活かされ、
近年ではトリュフ犬も活躍している。
非常に鋭敏な『超嗅覚』なら、それらと似たような芸当が可能だが、
本体の知識が乏しいので、キノコの種類までは分からない。

367りん『フューネラル・リース』:2023/10/14(土) 18:36:34
>>366
「凄いよアリスちゃん、豚みたい!」

もう少し言いようがあるだろう

松茸でも見つかれば良いのだが、
そう簡単に見つかったら苦労はしないだろう

夢見ヶ崎が捉えたキノコらしき匂いを辿ると
一本の大きなキノコが生えているのを発見した
…いや、見る人によっては全くキノコに見えないかもしれない

燃え盛る炎のような凶悪な形をした赤いキノコ
見るからにヤバいそれは

「カエンタケだ…」

368夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/14(土) 19:23:09
>>367

王様の耳はロバの耳、アリスの鼻は豚の鼻。
オモシロイからユルしてやろう。
フハハッ!!

「おお!!なんかスゴそうなのがでてきた!!」

見つけたキノコに近寄り、じっくりと観察する。
りんの言う通り、火炎という名前を冠するに相応しいフォルムだ。
名は体を表すとは、まさにこの事だろう。

「ねえねえ、コレってレアなヤツかな??」

         スッ

その辺に落ちていた枝を拾い、
『ドクター・アリス』で『超人的味覚』を『移植』する。

「せっかくだし、チョット『あじみ』してみよっと!!」

            プスッ

枝の先端をカエンタケに突き刺し、『味』を確認する。
たとえ致死性の猛毒が含まれていたとしても、
それが身体に回る事はないので、平然と『味見』が出来るのだ。
『スズランのアジ』もスリリングだったけど、『カエンタケのアジ』はどうかな??

369りん『フューネラル・リース』:2023/10/15(日) 18:30:10
>>368
カエンタケはレアなのだろうか?
ある地域では大量発生していたりするし
ナラ枯れによって全国的に生育環境が広がっている
そう珍しくもないかもしれない

「ああ、アリスちゃん危ないよっ!」

凶悪な見た目に違わぬ途轍もない攻撃的な性能を持つカエンタケ
その致死量はたったの3g、しかし食べてすぐ死ぬわけではなく
腹痛、嘔吐、水様性下痢、頭痛、めまいや手足のしびれ、呼吸困難、言語障害
造血機能障害、血圧低下、びらん、肝不全、腎不全、呼吸器不全、循環器不全、胸痛、高熱、悪寒、口渇、眼球出血
これが2日ほど続き、仮に回復しても後遺症が残るという地獄のようなキノコだ
極めつけは触れただけでも皮膚が炎症するというが…まぁ、触らない方が良いだろう

毒キノコの中には美味い種類も多く存在する
有名なのはベニテングダケで、中毒症状を覚悟してまて食べるチャレンジャーも少なくない
ベニテングダケはその毒の成分に旨味があるらしい
では、カエンタケはどうだろうか?

『超人的味覚』を移植した枝に味見をさせるアリス
感じたのは苦味だ
不味い…という事もないが、死の危険を冒してまで食べるようなものではない

「ど、どう?美味しい?」

370夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/15(日) 19:15:26
>>369

『ドクター・アリス』を通して、
凶悪極まりない威力を誇る猛毒キノコの味が伝わってくる。
やはり苦味が強く、美味ではなかった。
少なくとも、これを食べる為に死にたいとは思わない。

       「う〜〜〜〜〜〜ん??」

「ビジュアルはインパクトあるけど、アジはイマイチかなぁ」

  「コレだったら『スズラン』のほうがウマかった!!」

とりあえず満足したので、テイスティングに使った枝を引き抜く。

   「でも、きねんシャシンとっとこ」

              パシャッ

ついでにスマホのカメラを起動して、カエンタケを撮影しておいた。

「よし!!『カエンタケのニオイ』はおぼえたぜ!!」

       「――――――で??」

改めて意識を集中させ、『超嗅覚』によるキノコ探知を再開する。

「むこうのほうで『ちがうニオイ』がする。
 こんどはおいしくたべられるヤツかも!!」

        ザ ッ

新たなキノコの匂いを追いかけて歩き出す。
松茸ではなさそうだが、カエンタケでもない。
おツギはナニかな??

371りん『フューネラル・リース』:2023/10/16(月) 18:40:51
>>370
「い、いや〜照れるな〜」

スズランの方が美味かったと言われて、何故か我が事のように喜ぶりん
カエンタケと比べて美味いと言われて嬉しいのか…

それにしても、
命の危険を賭してまでも食べようとする
人間の食に対する探究心には驚かされる
りんはやっぱり人間って凄まじいなと感心する

「あ、待ってアリスちゃん!」

新しいキノコの匂いを辿って歩くアリスを追いかけるりん
その匂いの先には

「あっ、綺麗だね〜…
 ド ク ツ ル タ ケ」

純白の卵のような形をした幻想的で美しいキノコが生えていた
その味もとても美味しいというが…名前通り毒持ちだ

その毒は、食した人にコレラのような症状を齎すがそれは1日程で収まる
が、それは罠だ
一旦収まった後に何日か後に再発症し、内臓の細胞を破壊し尽くし多臓器不全に至らしめる
別名「死の天使(destroying angel)」

372夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/16(月) 20:56:23
>>371

溢れ出る好奇心はアリスを動かす原動力だが、
それだけでは命が幾つあっても足りない。
探知に優れた『ドクター・アリス』があるからこそ、
目前に迫る危険を未然に回避できるのだ。
アリスじゃないコたちは、いいコもワルいコもマネするなよ!!

「お〜〜〜〜!!
 ハデじゃないけどキレイなカンジ!!
 シンプルイズベスト!!」

               プスリ

さっきと同じように枝を突き刺して、躊躇なくテイスティングを行う。

「ん!!なかなかイイよ!!
 クセがなくてたべやすそうだし、『テンプラ』とかどうかな??」

カエンタケと比べると味は悪くない。
むしろ美味しいと思える程だ。
しかし、その奥底に『刺激的な何か』を感じる。
言葉で言い表すのは難しいが、何となくヤバそうな気配だった。
もしかすると毒素に由来するものかもしれない。

「でも、もったいないから『カンショウヨウ』にしとこう」

だいたいナマエに『ドク』ってついてるだろ!!
こんなモンくえるか!!
そんなコトよりツギだツギ!!

  「ん〜〜〜〜〜〜」

           「――――――『ソッチ』」

                ス ッ

新しく見つけた匂いの源を指差す。
専門家には及ばないが、毒キノコっぽい匂いはボチボチ学習しているので、
キノコ探しの精度は少しずつ上がってきているだろう。
ずっとヤマあるいてると、だんだんオナカすいてきたぞ。

373りん『フューネラル・リース』:2023/10/17(火) 18:09:33
>>372
『ドクター・アリス』がいるアリスは
命の危険を冒さず好奇心を満たす事が出来るが、
それを持たない普通の人間は常に命懸けだ
そんな命を張った人間のおかげで様々な事が解明されてきたのだ
先人達が良い子か悪い子だったかは分からないが、敬意を払わなければ

「あっ、ちょっと待ってってば」

キノコを試食してはさっさと次のキノコを探すアリス
そんな忙しないアリスに付いて行くのに必死のりん
ゆっくり鑑賞している暇も無い

毒キノコっぽい匂いを学習したアリスの目指した先には何があるか…

「おぉぉぉっ!?ヤマドリタケだよ!!!」

味にくせがなく、香りも舌触りも歯応えも良く
ポルチーニとも呼ばれる高級キノコ、それが数本

超激ヤバ毒キノコを乗り越えてついに当たりを引いたか

374夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/17(火) 18:58:56
>>373

「そうそう!!シャシンとるのわすれてた!!」

           パシャッ

せっかくなので、『ドクツルタケ』の姿もカメラに収めておく事にした。
しかし、これが毒だと分かるのは、やはり先人達の知恵の賜物だろう。
勇気ある先人には敬意を払う。
それは大事な事だ。
当たり前のように存在する物の一つ一つも、
多くの人のが積み重ねた努力によって成り立っているのだから。

「いや〜〜〜〜キノコってオモシロイよねぇ〜〜〜〜。
 みればみるほどおくがふかい!!
 キノコのセカイはソコしれないな!!
 アリスポイント5000!!」

じゃあさじゃあさぁ、りんちゃんとアリスも、
いつかソンケイされるようになるんじゃないかな??
まだダレもみつけたコトのないキノコをハッケンしたりして!!
いや、ソレはホントにキノコなのか??
もしかしたら、キノコがはえたウサギかもしれない。
『スズランのはえたオンナノコ』だったら、すぐちかくにいるけどな!!

「お??コレおいしいヤツ??
 どうりで『イイにおい』がするとおもった!!
 りんちゃんにみとめられるとはタダモノじゃないとみたぞ」

        サクッ

「よし!!グルメでユウメイなアリスがレビューしてやろう!!」

毒きのこエキスが付着した枝は捨ててポケットを漁り、
取り出したヘアピンに『超味覚』を移植して味見してみよう。

375りん『フューネラル・リース』:2023/10/18(水) 18:28:21
>>374
キノコなんてほとんどが未知の種類だ
その気になればマジで新発見も夢じゃないかもしれない
キノコが生えたウサギ…
キノコの中には昆虫に寄生する冬虫夏草という種類もある
そういうキノコが存在しないとも言い切れないのがキノコの恐ろしい所だ

『超味覚』を移植したヘアピンで味見をする
独特の香りと旨味があり、生でも十分美味いが
やはりこれはソテー等にして料理のトッピングにするのが良さそうだ

「あれ?でもこれヤマドリタケとヤマドリタケモドキ
 どっちだろう…?」

ヤマドリタケによく似たヤマドリタケモドキというキノコが存在する
どちらも纏めてポルチーニと呼ばれ、モドキも美味しく食べられるのだが

376夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/18(水) 20:55:23
>>375

期せずして『ポルチーニの匂い』を覚えてしまった。
この辺りを探し回ったら他にも見つかるかもしれないが、
環境に対する配慮を無視した乱獲は控えておく。
自然に挑んだ先人達だけではなく、
恵みを与えてくれる自然そのものにも感謝しよう。
ねこそぎとっちまったら、もうとれなくなっちゃうもんな!!
フハハハ八ッ!!

  「 お お お お お ! ? ! ? 」

味見した瞬間に、毒素とは違う意味で『ビビッ』と来た。
常人の舌で味わったとしても、とても美味しいキノコ。
『超嗅覚』に加えて『超味覚』を通す事で、素材の味が鮮烈に感じられる。

「いままでのヤツとは、ひとアジもふたアジもちがう…………!!」

    「ひとくちで『よんアジ』くらいちがうぞ!!」

さすがのグルメなアリスも、コレにはニッコリせざるをえないのだ。

「あ!!じゃあさ、あたらしくナマエつけたらどうかな??
 『ヤマドリタケ』とか『ヤマドリタケモドキ』はほかにもあるけど、
 『りんちゃんとアリスがみつけたキノコ』はトクベツってコトにしてさぁ」

      「んっん〜〜〜〜〜〜」

「『ヤマドリタケモドキヤマドリタケリンスズランアリスブタモドキ』とか」

                  「――――――どう??」

地面にしゃがみ込んで、ヤマドリタケかヤマドリタケモドキを観察しながら、
やたら長ったらしい通り名を提案する。

      シ ャ キ ィ ン ッ

その隣で『ドクター・アリス』が腕を振るった。
『超人的触覚』+『精密性』+『爪』!!
これらの要素が組み合わさり、まるで外科手術のような手際の良さで、
根の部分を傷付ける事なく採取できる筈だ。

377りん『フューネラル・リース』:2023/10/19(木) 18:41:47
>>376
「早口言葉みたいだね」

『ヤマドリタケモドキヤマドリタケリンスズランアリスブタモドキ』
これを噛まずに言える人はいるのか?

「や、ヤマドリタケモドキヤマドリタケリンスジュ…」

言えない!覚えられない!
何の名前だか分からない!


りんが早口言葉に苦戦している間に、
『ドクター・アリス』の超精密な動きでキノコを採取
寸分の狂いも無い外科手術のような動きは一種の芸術とも言える

余談だが、キノコの正確な種類を特定出来ない場合は絶対に採取すべきではない
専門家ですら間違える事のあるのがこの界隈だ
ましてや、素人が誤って毒キノコを採ってしまったら目も当てられない
これは『ドクター・アリス』という最強の毒見役がいるからこそ出来る事だ

378夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/19(木) 20:55:35
>>377

   「そいっ――――」

       ヒョイッ

      「ほほいっ――――」

           ヒョイッ

          「――――オッケイ!!」

                ヒョイッ

持参したカゴの中に、収穫したポルチーニを放り込む。
ちょっと少ないかもしれないが、味は保証されている。
今は量より質だ。

「ねえ、りんちゃん。
 アリスはオナカすいてきちゃったんだって。
 つーワケで、ボチボチもどらない??」

「ヤマドリタケモドキヤマドリタケリンスジュ…………」

「『リンスズランアリスブタモドキタケ』で、
 『バターやき』とかたべてみたいなぁ〜〜〜〜」

同じ場所で噛んでしまったので、妥協してリメイクした。
まだナガイって??
もっとよさげなナマエがおもいついたヒトは、
『りんとアリスのキノコがかり』までドシドシおうぼしてくれよな!!

  「おん??どっかでナンかいいニオイがするな??
   でも『リンスズランアリスブタモドキタケ』じゃないし…………」

      「にてるんだけど、チョットちがうような…………」

            ザッ ザッ ザッ

『超嗅覚』に引っ掛かった方向へ進むと、そこにはキノコが何本か生えていた。
今さっき採ったばかりのキノコと瓜二つの見た目。
つまり、ヤマドリタケかヤマドリタケモドキのどちらかという事になる。
コ、コレは…………ドッチがドッチなんだ!!
さては、ふたごトリックか??

「まとめて『リンスズランアリスブタモドキタケ』でいっか!!」

       ――――プスッ

『味見』をしてみると、やっぱり違う。
ヤマドリタケのフリをしたヤマドリタケモドキか??
ヤマドリタケモドキのフリをしたヤマドリタケなのか??
アリスしじょうにのこるナンカイなジケンにブチあたってしまった。
『グルメたんていアリス』がみちびきだした、
ジケンカイケツのてがかりは――――――『おいしくたべる』だ!!

379りん『フューネラル・リース』:2023/10/20(金) 20:21:43
>>378
『リンスズランアリスブタモドキタケ』

ちょっとだけ短くなったがヤマドリタケ要素が消えたせいで原型が無い!
もはや何のキノコだかこれもう分かんねぇな
リンスとか体に悪そうだしズランとか誰だよ?

「バター焼き良いねぇ
 そこに鈴蘭も添えて…」

それはりんにしか出来ない食べ方なのだが

>おん??どっかでナンかいいニオイがするな??

「あっ、ちょっと待ってってば〜」

次から次へとキノコを見つけては歩いて行くアリス

「若い子は元気でいいなぁ」

アリスのスタミナについて行くので精一杯なりん
キノコ狩りに来たのに全くキノコを採らずにもう疲弊気味だ

「これは…う〜ん、どっちだろう?」

匂いが違うという事は、どっちかがヤマドリタケでどっちかがヤマドリタケモドキなのかもしれないが
全くの別種という可能性も大いにある
が、『ドクター・アリス』が味見をして大丈夫というのなら毒キノコではないのかもしれない
本来は絶対に手を出すべきではないが、ここは採ってしまっても大丈夫だろう、多分…

「『リンスズランアリスブタモドキタケ』で行くんだね…」

名前に関しては一旦置いておくとして
どっちなのかよく分からん謎キノコを数本採取するりん
折角来たんだから少しくらいは自分で取らなくちゃ来た甲斐が無いだろう

「どうやって食べようかな〜」

キノコを採取しながらどう料理しようか想像を膨らませにやにやする

380夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/20(金) 22:21:58
>>379

この意味不明な名前を聞いて何のキノコか分かるのは、
実際に採取した本人達だけだろう。
地方の一部地域のみで使われるマイナーな通称よりも遥かにレア度が高い。
もはや暗号の域だが、今日という一日を彩る思い出の一つになってくれる筈だ。

「ニオイよしアジよし。
 『アリスのアリス』はウソつかないからさぁ〜〜〜〜」

     スッ

『リンスズランアリスブタモドキタケ』を採取するりんを見守りつつ、
秋の風物詩であるキノコ狩りの様子をカメラに収める。

             パシャッ

「みためチョーそっくりだから、アリスじゃなかったらコンランしちゃうね!!」

みんな、ちょっとココでおもいだしてほしい。
『リンスズランアリスブタモドキタケ』は、メイジツともに『こうきゅうキノコ』。
『ヤマでポルチーニとってきたよ!!』なんていいふらしたら、
いっぱいヒトがきてシゼンがあらされてしまうかもしれない…………。
ゲンケーがフッとんでしまったリユウは、
かなしい『ランカク』をふせぐためでもあったのだ!!
グルメたんていアリスにシカクなし!!

「だんだんサムくなってきたし、あったかい『キノコスープ』もイイかも。
 『キノコのパイつつみ』とかもよさそうじゃない??」

りんがキノコを入れられるようにカゴを差し出す。

「ヤマおりるまでに、たべたいメニューかんがえようよ。
 もどったらイッショにリョウリしようぜ!!
 アリスもジャンジャンてつだう!!」

以前、二人で『カニ鍋』を食べた思い出があるが、
『ドクター・アリス』がなければ危うく中毒死を遂げていた。
もし鈴蘭が混入されそうになったら、その時は阻止しよう。
いれるなよ??ゼッタイだぞ??

381りん『フューネラル・リース』:2023/10/21(土) 18:09:29
>>380
アリスの奴そこまで考えて…

「キノコに合うお酒も考えなきゃね〜
 ピザやパスタにしてワインと合わせるのも良いかなぁ〜」

鈴蘭酒も良いが、やはりワインの方が合うかもしれない
いや、アリスは飲まないかもしれないが

>以前、二人で『カニ鍋』を食べた思い出があるが、
>『ドクター・アリス』がなければ危うく中毒死を遂げていた。

確か、あの時はりんが飲んでいた鈴蘭酒をアリスが味見していたはずだ
カニすきその物には鈴蘭は混入していない!
自分以外が食べる物には基本鈴蘭は入れないぞ!たぶん
人に食べさせる鈴蘭料理はまだ研究中だ!

>いれるなよ??ゼッタイだぞ??

ふりか?ふりでも入れないからな?たぶん


十分にキノコを採った籠を背負い山を歌いながら降りる

「ある日 森の中 熊さんに 出会った♪」

ところで、最近熊による事件が多発しているようだが
りん達は無事に下山する事が出来ただろうか?

382夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/21(土) 20:03:03
>>381

あのときは、りんちゃんトクセイの『カニず』を、
ウッカリもらおうとしたトコだったから、りんちゃんはワルくないぞ。
たしか『フオンなニオイ』がしたから、やっぱりやめといたんだっけ??
ブタにもまけないアリスの『ハナ』がなかったら、
そのままブッたおれて『リタイア』まっしぐらだったぜ。

   「ハナさくモリのミチ♪♪」

          「クマさんにであった♪♪」

りんに合わせて歌を歌いながら、並んで歩いて下山する。
その途中、遠くの方で獣の臭いやら四足で地面を踏みしめる音を感じ取った。
おっ??モリのクマさんかな??

    ザッ ザッ ザッ

通常、山に入った人が熊と遭遇しにくいのは、
熊の方が人の気配を先んじて察知して、接近する前に離れているからだ。
そして、『ドクター・アリス』のセンシング能力は、熊と同じか熊より上。
あからさまに目立つ獣臭さや移動音を見落とす事などあろう筈がなく、
そちらから遠ざかる方向に進んでいく。
探索、採取、危機管理など、
あらゆる面において威力を発揮する『ドクター・アリス』は、
まさにキノコ狩りにはうってつけのスタンドだったと言えよう。
キノコがりといえばアリス、アリスといえばキノコがりだ!!
アリスを『アキのキゴ』にしてもイイかもしれない。
ココでイック――――『きのこがりクマさんいたらマジにげろ』

        ザッ ザッ ザッ

『危険に立ち向かえるスタンド』は数多くいる。
しかし、『危険に遭わないように立ち回れるスタンド』は少なく、
そこは『ドクター・アリス』の専門分野。
ついでに、このヘンからガメンにながれはじめるエンドロール。

  『 りんちゃんとアリスのボウケンinアキのヤマ

      リンスズランアリスブタモドキタケをさがせ

             (クマさんにチューイせよ) 』

            ――――――そんなカンジでオシマイ!!

383リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/24(火) 21:25:34

町外れに立つ『教会』。
ここは『鷲津ヨハネ』の家族によって運営されている。
『聖堂』とも呼ばれる『礼拝堂』の一隅に、
古めかしい『西洋人形』が腰掛けていた。
この人形に関して、一部の人々の間で奇妙な噂が囁かれている。
真相は定かではないが、『独りでに動く事がある』らしい。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

    少なくとも――――――今は動いていない。

384アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/25(水) 23:31:05
>>383
「これが『噂』の人形?」

そんな『噂』を耳にして教会に訪れる一人の女性。
人形の前に屈みこみ、物珍しそうにジッと見る。

「……別に、普通の人形よね?」
(なんで『協会』にこんなのがあるの?って感じだけど……)

385リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/25(水) 23:58:40
>>384

長椅子の上に座っている(あるいは座らされている)西洋人形は、
『アンティークドール』を思わせる外観だった。
綺麗に仕立てられた赤いドレスとボンネットを身に着けている。
見た目の古さとは裏腹に『保存状態』は良好で、なかなか値打ちがありそうだ。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

人形の『まぶた』は閉じられている。
まるで眠っているようにも見える姿だが、勿論そんな筈はないだろう。
こうした人形には『スリープアイ』と呼ばれる可動式の機構が存在しており、
それが組み込まれたタイプだとすれば説明はつく。

              パチ………………

  では――――――

      今、それが『緩やかに開こうとしている』のは、

                   一体どんな理由なのだろうか…………?

386アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/26(木) 00:13:13
>>385
「……やっぱり、どう見ても普通の可愛い人形ね。
『手入れ』がされてるみたいだから、教会の展示物って所かしら」

ちょっとした好奇心で訪れてみたが、
何の変哲もないただの『人形』にちょっと残念そうに呟くが……

              パチ………………

「……えっ!?」

ゆっくりと瞼が動くのを見て、驚愕の声を漏らす。

387リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/26(木) 07:13:59
>>386

所詮、根拠のない『噂』に過ぎなかったのだろうか。
先入観を持って見れば、何でもない事が奇妙に思えるものだ。
少なくとも『さっきまで』は。

      ス ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ッ

その両目が緩慢に開き始め、冷たいガラス製の眼球が露出していく。
美しい『青い眼』だ。
およそ半分ほど持ち上がった所で止まり、
薄目を開けている『寝起き』のような顔になった。

            ジィィィィィィ――――――………………

まだ眠そうな表情の『青い眼の人形』が、正面で屈むアヤメを見つめている。
そんな風に見えるだけかもしれない。
あるいは、本当に『見ている』のかもしれなかった。

388アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/26(木) 21:49:45
>>387
「び……」

(ビックリした〜〜〜!
今、勝手に開いた気がしたけど……
アレよね、傾きで自動に目が開く機能があるタイプの……)

心臓をバクバクと鳴らしながらも、未だ『半信半疑』だ。
人形の『スリープアイ』機能の詳細は知らないまでも、何となくの知識として知っていた。

「は……」

「はぁい。こんにちは」

そんな自分の淡い希望を確かめるべく、
速まる鼓動を抑えながら、ニッコリと挨拶してみる。

389リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/27(金) 06:52:39
>>388

非常に『地味な絵面』ではあるものの、確かに『独りでに動いた』。
随分と呆気ないが、これが『噂の真相』なのだろうか?
そうだとしたら、また大袈裟な『尾ひれ』がついたものだ。

  「――――――こんにちは」

今、礼拝堂には『アヤメしかいない』。
だが、『何者かの声』が聞こえた。
それも、『かなり近い距離』から。

           パ チ リ

ほとんど同じタイミングで、人形の『まぶた』が『完全に開いた』。

  「わたし、『メリー』」

       「一緒に遊びましょうよ」

           「ウフフフフフフフフフフフフフ」

幼い少女のような笑い声が、『神の家』である神聖な教会内に響く。

390アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/27(金) 09:56:51
>>389
「ふふっ……なんて、喋るわけ」

所詮ただの噂話か、と言いかけた矢先、

           パ チ リ

「えっ」
     「今、目がっ――」

>  「――――――こんにちは」


「ぉぎゃわああああ!!?」

     ズデェエエエンッ

完全に不意を突かれ、尻もちをついて驚きの声を上げる。

391リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/27(金) 12:20:04
>>390

「ウフフフフフフフフフフフフフフ」

       スクッ

座っていた人形が、誰の手も借りずに立ち上がる。
恐ろしい程に自然で、全く違和感のない動作だった。
現代の最先端技術を駆使したとしても、ここまで出来るかどうかは怪しい。

        ――――――コトッ

椅子から降りて、アヤメの足元に近寄っていく。
身長は『60cm』。
およそ生後二ヶ月の赤子と同じくらいだ。

  「ウフフフフフフフ」

      トッ

       「何して遊ぶ?」

           トッ

    「『ヨハネちゃん』がいないから退屈してたの」

              トッ

アヤメの周りを歩きながら、西洋人形は話し続ける。
『ヨハネ』というのは、どうやら教会の関係者らしい。
この『呪いの人形』にも思える存在と、どういう関わりがあるのだろうか?

      「『あなたのお名前は?』」

再び正面に向き直った人形が、アヤメに問い掛けた。

392アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/27(金) 12:50:44
>>391
「ひィィィ〜〜〜……っ」

「お化っ! おば、おばばばば!?」

完全に腰を抜かして喋る人形に圧倒される。

(い、いやッ! なにビビってるのよ! 私には『スタンド』があるじゃない!
何かあっても案外何とかなるかも……
こーゆー西洋妖怪?って拳銃だとか剣だとか、そーゆー物理が案外有効だったりするものね!?)

(そ、それによく見たら……赤ん坊だと思えばちょっと可愛いかも……?)

パニックになりながらもアクション映画(脳筋)的な思考を働かせ、
大きく息を整えて心を落ち着かせる。

   スゥ―――っ
              ハァ ア ア ア ・ ・ ・

「―――よしッ」

>      「『あなたのお名前は?』」

「はひィィっ!?」

「あ、アヤメって言います! 『カワチ アヤメ』――」

   ――ハッ

(――こ、こういうのって……名前言って大丈夫なのかしら……!?)

393リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/27(金) 13:37:35
>>392

この人形が本当に『呪いの人形』の類であれば、
『名前を知られる事』は『良くない結果』を招くかもしれない。

  「『カワチアヤメ』――――――」

         「『アヤメちゃん』ね」

               ――――とはいえ、もう『知られてしまった』。

「メリーはね、お友達の『顔』と『名前』を覚えるのは得意なの」

     「忘れないから」

             ズ イ ッ

                 「『絶対』」

念を押しながら、間近に迫る人形の顔。
口元は『オープンクローズドマウス』となっている。
口を開けて話し始める寸前のような造形だ。

「ねぇ、アヤメちゃん。メリーとお話しましょうよ」

「アヤメちゃんは『お祈り』しに来たの?」

両手を背中に回し、あどけなく小首を傾げる。
教会を包む『神聖な空気』も、
この『動く人形』に対しては、何ら効き目がなさそうだ。
つまり『かなりヤバい代物』とも解釈できた。

394アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/27(金) 14:07:18
>>393
「うっ…うぅ…!」

「よ、ヨロシクね……メリーちゃん…」

(も…もしかして、マズイ? ひょっとして……)

顔面に肉薄され、顔面をひくつかせながら答える。
これが『ホラー映画』なら、間違いなく『バッドエンド』のフラグを一つ立ててしまっただろう。

「え?! えーっとぉ……そう、そうねぇ……」

ここで変な誤魔化しをすれば、何となくだが『よくない』雰囲気を覚えた。
元より、自分は『嘘を吐く』というのは非常に『嫌い』な性分だ。
それ故に――

 「あ…」

「貴女に……会いに来たの」

――偽らず、答えることにした。

「この教会で『動く人形』が居るって噂を聞いて、興味本位で……
その、私も最近『不思議な力』――って、言っていいのかしら――を自覚して……
それで、もしかしたら貴女もそうなのかなって……」

「どんな子かな〜って……」

395リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/27(金) 14:46:20
>>394

迂闊に名前を教えてしまった者が『どうなるか』。
それを視聴者に知らしめる為の『最初の犠牲者』。
もしかすると『有り得る』のかもしれない。

「メリーに会いに来てくれたの?」

人形の発する声色に、明らかな『喜びの色』が混じる。
下手に言い繕わなかったのは正しい判断だったようだ。
『リトル・メリー』も『嘘』は好きではなかった。
正確には『嘘をつく人間』が嫌いなのだ。
そういう『悪い人』を見ると、『物言わぬ肉塊』に変えてしまいたくなる。

     「メリー、とっても嬉しいわ」

         ピ タ ァ ッ

     「ありがとう、アヤメちゃん」

不意に伸ばされた人形の両手が、アヤメの手に触れた。
赤子のように小さな手を通して、体温を持たない冷たい感触が伝わる。
これによって『呪い』を掛けられている…………というような事はないだろう。

              ――――――多分。

  「『不思議な力』?」

       「メリーも『持ってる』わ」

              「ウフフフフ、『おそろい』ね」

ほとんどのスタンドには『本体』が存在する。
もしメリーが『スタンド能力』で操作されているとすれば、
この奇怪な現象にも説明がつく。
謎は解けた。

    ………………そうだとしたら『本体』は?

396アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/27(金) 15:21:52
>>395
「え…えぇ、仲良くしましょうね? メリーちゃん」

触れられた手に一瞬びくっと戸惑う。

「え…じゃあ、貴女も『スタンド使い』――」

『同じ』だという言葉を耳にし、
言葉の途中で、その可能性に気がつきハッと安堵する。

「『スタンド使い』! そう、それよ! 『スタンド能力』!!」

「な〜んだ! 全然! 怖がる必要なんかなかったわ!」

謎(不安)が解けた! と言わんばかりにメリーの手を両手でぎゅっと握り返し、
嬉しそうに『メリー』を持ち上げてそのままその場でグルグルと楽し気に回りだした。

397リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/27(金) 15:55:58
>>396

特に抵抗する事もなく、『リトル・メリー』の体は軽々と持ち上げられる。

     「ウフフフフフフフフフフフフフフフフ」

厳かな静謐さを湛えた礼拝堂の中で、
『メリーゴーランド』のように回る一人と一体。

「アヤメちゃんは『お友達』だから、メリーの事を教えてあげる」

「実はね、メリーは『親善大使』なの。
 『本当に仲良くなるのは大人になってからじゃ遅い』って考えた人がいたのよ。
 それで、この国のみんなと『お友達』になる為に、ずっと昔『お船』に乗ってきたの」

「たくさんの人が港にいて、みんな歓迎してくれたわ。
 それから『学校』で暮らしていたのよ」

それは、およそ『一世紀』近く前に遡る。
人形を『子供達の友好の架け橋』として、国同士で贈り合おうという計画が存在した。
子供騙しだと冷笑する人々もいたが、計画は実行に移され、
輸送の為に用意された船で『リトル・メリー』も運ばれて来たのだ。

398アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/27(金) 16:22:35
>>397
「へぇー、海外から?
凄いじゃない、立派な使命だわ」

「お友達が欲しいってそういうことだったね」

そんな『遥か昔』の出来事だとは露知らず、そっと地面に下して頭を撫でる。
『幽霊』でなく、『スタンド』だと思えばとりわけ怖くもないのだ。

(いやね、私ったら。
こんないい子を怖がっちゃって……
どうしてそのことに頭が回らなかったのかしら)

「『人型』とか、『剣』だとか、『翼』だとか……
色んな形があるんだもの。『人形のスタンド』が居てもおかしくないわ」

  ・ ・  ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「『幽霊』なんて、居る訳ないもの」

目の前の『人形』が『スタンド能力』による片鱗だと思い込み、一人うんうんと納得して頷く。
そして、ふと抱く一つの当然の『疑問』――

「貴女の『本体』はどこ? どうせなら挨拶したいわ」

「さっき言ってた『ヨハネ』ちゃんって子?
『学校』で暮らしてる――って、言ってたけど……学生さん? あ、それとも学校の先生かしら?」

399リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/27(金) 17:22:28
>>398

スタンドには様々なヴィジョンが存在し、秘められた能力も千差万別。
『メリー・バッドエンド』も例外ではなかった。
他のスタンドと比べて異質な点があるとすれば、それは『本体』に他ならない。

   「ウフフフフ」

優しく頭を撫でてもらうと、楽しかった頃を思い出す。
学校に寄贈され、そこに通う子供達と過ごした日々。
幸せな毎日だったが、『ハッピーエンド』は訪れなかった。

「『ヨハネちゃん』は『お友達』で『シスター』なの。
 『懺悔』に来る人達のお話を聞いてあげてるのよ。
 初めてメリーに会った時、『ここに住んでもいい』って言ってくれたから――――」

     「だから、メリーは『ここ』にいるの」

少なくとも、『ヨハネ』は違うようだった。
しかし、『本体の所在』については、今ひとつ要領を得ない。
語られる話の中に、『それらしい人物』が出てこないのだ。

「メリーの『不思議な力』はね、いつからあるのか分からないのよ。
 どうして『こうなった』のかメリーも知らないの」

   「ウフフフフフフフフフフフフフフフフ」

アヤメを見上げながら、『魂』を宿した人形は楽しげに笑う。

400アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/27(金) 23:01:59
>>389
「ん……んん?」

いまいち要領を得ない答えに、不思議そうにやや眉を顰める。
何となく分かるのは、現在この教会に保護(?)されているという事だけだ。

『スタンド使い』になって日は浅いが……
自分が考えているモノと、目の前の人形――何かが『食い違っている』ように思えた。

「えぇっと……じゃあ、結局のところ、貴女の『本体』って『誰』なのかしら?
近くに居るのよね……?」

401リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/28(土) 00:30:36
>>400

『何かがおかしい』と感じたのは、決して気のせいではなかったのだろう。

「――――――『本体』?」

人形が小首を傾げる。
表情こそ変化しないものの、質問の意図を掴みかねている様子が窺えた。
しかし、途中で合点がいったらしく、一歩踏み出しながら言う。

    「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」

          「『すぐ近く』よ」

      「だって『目の前』にいるじゃない」

   「アヤメちゃんはメリーとお話してるでしょう?」

      「ウフフフフ、変なアヤメちゃん」

    ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

仮に、今の言葉を『ありのまま受け取る』としたら、
どういった解釈が成り立つだろうか………………?

402アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/28(土) 12:19:05
>>401
「え? でも、スタンドって精神の形(?)なのよね
『人形』が本体ってどういう――?」

                      「……?」
      「あ、あれ……?」

(モノに『スタンド』――精神力が宿ったってことなのかしら
つまり、『肉体』の代わりに『人形』の方に精神が入ってる? って事?
じゃあ元々あった『肉体』はどこに……)

     ゾゾゾォ―――ッ

独り言をつぶやくように思考し、ふと、先程語られた『メアリー』の過去を思い出す。
『元が人間』だとかそういう話をしていたわけでなく、『自分は元から人形だった』という風に言っている様に聞こえた。

ちょっとだけ背筋に悪寒が走る。

「え、えぇっとぉ……つ、つまり……」

(結局のところ、それって『お化け』と何が違うのかし、ら……)

……などと、そんな不躾な質問が口から出る訳もなく、再び固まった表情で『メリー』を見る。

403リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/28(土) 13:16:12
>>402

大抵のスタンドには本体が存在し、本体がいないスタンドは珍しい。
本体がいて、なおかつ生物ではないケースは更に少ない。
『リトル・メリー』は、その極めて稀な実例の一つだった。

   「アヤメちゃんも分からないのね」

          コトッ

     「メリーも分からないわ」

          コトッ

    「ウフフフフ、不思議よねぇ」

          コトッ

軽い足音を響かせながら、少しずつ近付いていく。

「でも、メリーとアヤメちゃんは『お友達』よ」

「メリーに会いに来てくれたんだもの」

「――――――そうよね?」

透き通った『青い眼』がアヤメを見上げ、無邪気な声色で問い掛けた。
美しくも無機質な『ガラスの眼球』。
しかし、そこには人間に対する強い『念』が渦巻いているような…………。

404アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/28(土) 13:46:14
>>403
(や、やっぱり『幽霊』とか……
そういう類の『関わっちゃいけない』系のナニカなのかしら……)

(――でも、別に悪い子じゃあなさそう――)

自分の中の『恐怖心』と葛藤しつつ、唸りながら思考を巡らしていると……

          コトッ

     「――うっ!」

          コトッ

       「うぅ…っ!」

          コトッ

             「――ぅひい!?」

一歩、また一歩と近づく『メリー』。
その情念渦巻く『圧』に気圧され、思わず退きそうになる。
こういう『ホラー』な感覚は、正直に言えばかなり『ニガテ』な部類に入る『アヤメ』。
だが同時に、友達が欲しいというこの子の無垢な願いを、無下には出来ないという葛藤が自身の頭を悩ませる。

「……………」
           「も……」

               ・  ・
             「 勿 論 っ ! 」

「『お友達』になりましょう、メリーちゃん!」

405リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/28(土) 15:02:45
>>404

スタンドは『超常の存在』であり、目の前の西洋人形も同様だ。
しかし、果たして『リトル・メリー』の全てが、
『スタンド能力』だけで説明できるのだろうか?
もしかすると、それとは別種の『オカルトじみた何か』が関わっている可能性も、
必ずしもゼロとは言えない。

「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」

返ってきた言葉を聞き、満足げな笑い声が響く。

「アヤメちゃんと『お友達』になれて嬉しいわぁ」

「メリー、アヤメちゃんの事を忘れないから」

「――――――『絶対』に忘れないから」

青い眼の奥で渦巻いていたのは、人間に対する根深い『愛憎』。
『友好の証』としてやって来たメリーは子供達に愛されたが、
国交断絶と共に『敵国の人形』に変わり、『憎しみの対象』となった。
破壊される事を不憫に思った教師の手で隠されたという事実があったからこそ、
まだ『人間を信じる気持ち』が少しだけ残されている。

「アヤメちゃんも、メリーの事、忘れちゃイヤよ」

      ピ タ ッ

人形の両手がアヤメの足に触れた。
メリーの『魂』には『人を信じる気持ち』がある。
それを裏切らない限り『安全』だ。

    もし裏切ったら――――――『呪い殺される』としても………………。

406アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/28(土) 15:39:15
>>405
(い……言ってしまったわ……)

半ば勢いで承諾してしまった事に、やや顔を引くつかせる。

(……でも、大丈夫。後悔はしないわ。
この子の素性がどうであれ――『見捨てる』なんて選択を取ったら――
私は、今以上に自分の事が嫌いになりそうだもの)

「……えぇ、そうね。私も嬉しいわ」

満足そうに笑う『メリー』を見て、そんな細やかな恐怖心は微かに吹き飛んだ。

「……ごめんなさい、実を言うとちょっと……
ホンのちょこっと――(いや、かなり)――貴女を怖がっちゃったけど……
何故か分からないけど……私、貴女のこと嫌いにはなれないわ」

瞳の奥に渦巻く『愛憎』の情念を、その深さを、『アヤメ』はすべて理解した訳ではない。
しかし、『メリー』が『人形』の姿をしている為に感じる『幼さ』故か……
どこか大人に必死に救いを求める子供の様な――純真で、今にも壊れてしまいそうな危うさを覚えたのだった。

「でもあれよね。要するに『ピ〇キオ』みたいなものだと考えればいいのよね!?」

「そう考えるとやっぱり! 全ェ〜然っ! 怖くなんかないわ!
むしろ『可愛い』部類に入るのでわ!?(実はちょっと怖いケド…)」

そんな『子供』を決して『放ってはおけない』と、
そう自分に言い聞かせるよう、力強く握りしめ――

>「――――――『絶対』に忘れないから」

「……………」   ヒクッ ヒクッ・・・

(ごめん、やっぱりちょっと怖いかも)

――ちょっぴり、後悔したのだった。

407リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/10/28(土) 16:31:39
>>406

『操り人形』ではないが、『魂を持った人形』という意味では、
それと似たようなものなのかもしれない。
とりあえず、今は『目に見える危険』はないのだ。
そう――――ただ『独りでに動いて独りでに喋るだけ』と思えば…………。

「ねぇ、アヤメちゃん。
 『メリーの好きなお歌』を教えてあげる」

そう言い置いてから、『リトル・メリー』は歌い始める――――。

     「 青い眼をしたお人形は 」

    「 アメリカ生まれのセルロイド 」

      「 日本の港へ着いた時 」

     「 いっぱい涙を浮かべてた 」

神聖な『賛美歌』の代わりに、『礼拝堂』の中に響く歌声。

    「 わたしは言葉が分からない 」

    「 迷子になったらなんとしよう 」

     「 優しい日本の嬢ちゃんよ 」

     「 仲良く遊んでやっとくれ 」

メリーが口ずさんだのは、異国情緒の漂う童謡『青い眼の人形』だ。
戦前に流行し、戦時中は『敵国の歌』と見なされ、歌う事を禁じられていた。
自分と同じ過去を持つ『青い眼の人形』は、
長い年月を経たメリーの『孤独』を癒やしてくれる。

「アヤメちゃん、今度は一緒に歌いましょうよ」

会いに来てくれた。
友達になると言ってくれた。
だから、『リトル・メリー』は『カワチアヤメ』を信じている。

408アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/28(土) 17:05:53
>>407
静かに耳を澄まし、『メリー』が口ずさむ歌を聴く。

自分が生まれる以前のこの歌は、当然初めて耳にする歌だった。
年号が2つ3つと遠く離れたこの歌は、普段自分が聴いている歌に比べるととても古臭く思えるのだが……

「……いい歌ね、とても」

この歌が『この子』の為に作られた歌ではないのだろう。

だが、『この子』の瞳に宿る『人を信頼したい』という想いが、
凄惨な日々を過ごしてきたであろう悲しみが、
目の前の子供と自然と重なり今で聞いたどんな歌詞よりも心に響いた。

「ふふっ、上手に歌えるかしら?」

「正直、歌は苦手なのだけれど――」

不可思議な出会いを求めた。
友達になると『約束』した。
だから、『カワチアヤメ』は『メリー』を裏切ることはないだろう。

409百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/03(金) 13:15:52

(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688977700/63-70)

黒羽とのやり取りを終えた後、『乗り込む手筈』を考えていた。
こちらは『手掛かり』を提供してもらいたい立場だ。
その為には何らかの『代価』を用意するのが上策。
だが、要求を撥ね付けられたり、それ以前に門前払いを食らってしまえば、
話し合いの段階にすら到達せずに終わってしまう。
そこが要点だ。
つまり『話さざるを得ない状態』に持っていけばいい。
『前渡し』してしまえば、向こうも口を閉ざす訳にはいかなくなる。

個人だろうが組織だろうが、『悩み事』の一つや二つは常に抱えているものだ。
だから占い師の『何か悩み事がありますね』という常套句が成立する。
その『種類』まで特定できれば、切り込む『隙』も見出だせよう。
『推理の材料』はある。
『関星会』が『落ち目』である事を考えると、
『羽振りのいい暮らし』をしているとは思えない。

だが、まだ細やかな情報が足りていない。
やはり、実際に『現場を見てから』だ。
『筆』のヴィジョンを持つ『黒羽の能力』も知っておきたいし、
『ライトパス』についても話す必要がある。

    キィィィィィィ――――――――――ン

                   シボッ

甲高く澄んだ音を響かせながら、『デュポン製ライター』の蓋を親指で跳ね上げ、
同じくフランス産である『ジタン』の煙草に火を点ける。

「『三刀屋』に言うべきかねぇ…………」

「まだ手を借りたいような状況じゃあないが…………」

『三刀屋路行』は、百目鬼小百合と親交の深いスタンド使いだ。
以前の『組手』で『能力』も把握している。
荒事となれば頼りになる存在ではあった。
しかし、別に『殴り込み』に行く訳ではない。
無計画に人手を増やした所で、目に付きやすくなるだけだろう。

      フゥゥゥゥ――――…………

「今後、必要になったら呼ぶ事にするか」

思考に区切りをつけると共に、深まりつつある秋の空に向けて煙を吐き出し、
『枯山水の庭』に面した縁側から立ち上がる。

410百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/04(土) 15:50:56

警察時代の元部下『如月慧慈』から、
『流星刀』についての情報を得た『百目鬼小百合』は、
街で『聞き込み』を行うと同時に、信頼できると感じた人物に『協力』を求めていた。
その内の一人が『ここ』にいる。
個人的な連絡先は聞かなかったが、『町外れの教会』といえば他にはない筈だ。

「さてと――――首尾よく会えればいいけどねえ」

          ス ッ

『鷲津ヨハネ』は『懺悔に耳を貸している』と話していた。
おそらく『懺悔室』だろうと見当をつけ、そこに入って椅子に腰を下ろす。
ざっと半世紀ほど生きてきて初めて入る場所だが、
まるで『取調室』のような印象を受けるのは、昔を思い出してしまうせいだろうか。

411ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/11/04(土) 18:04:05
>>410
「そこにいるのは迷える仔羊…
 貴方が何者であろうとも、ここはすべてを受け入れる…」
懺悔室の向こうから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
どうやら小百合の目当ての人物はここに居たようだ。
彼女はどこか棒読み気味に退屈そうな顔で文言を唱えている。

「…おや?」
そして目が合う。ヨハネは以前と同じような修道服の身なりで現れた。

「まさかここで知り合いと会えるとは思わなかったねぇ。
 わざわざここに来るとは、何か耐えられないことでもあったのかしら?警備員さん?」
両手を顎に乗せ、肘をついた体制で小百合の顔を見つめてくる。
こちらに気づくまで見せていたつまらなそうな顔が、とたんにどこか楽しげな顔になった。

412百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/04(土) 18:47:56
>>411

聞き覚えのある声が耳に届き、肩を竦めて胸を撫で下ろす。

「いや、せっかくだから『懺悔』しようかと思ってね。
 『煙草の吸いすぎ』で『空気を汚した罪』を、
 アタシが『肺ガン』になる前に告白しておこうと考えたのさ」

      「ま、今更な話だけどねえ」

笑みを浮かべる口元に煙草はない。
教会内で大っぴらに喫煙するのは流石に憚られた。
向かい合うシスターが喫煙者だとしてもだ。

「本題に入るけど、ちょいと尋ねたい事があるんだ。
 これから『一仕事』やる予定があって、その為の『人材』を探してる」

「単刀直入に言うと『敵情視察』さ。
 そういう『才能』を持った人に手伝って欲しい仕事があるんだよ」

「ここには色んな人が来てるだろうから、
 もしかしたら『心当たり』があるんじゃないかい?」

『ライトパス』の能力は、お世辞にも『偵察』には向いていない。
教会は『不特定多数』が訪れる場所であり、
スタンド使い同士は『引かれ合う性質』を持つ。
だからこそ、ある種の『期待』を持って、この場所に赴いた。

413ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/11/04(土) 19:24:48
>>412
「へぇ、そりゃ気が合うね。
 私もちょうどそれに関して何度も神様に懺悔してるよ。
 でもここの神様は特に気にしないそうだよ。」
彼女の言葉に軽い調子で答える。
ジョークを返しているあたり、どうやら楽しいようだ。

「ふぅん?随分じゃないか。
 警備会社ならそういうお仕事の人は足りてるかと思ってたよ。」
軽口を言いつつも、先程よりも真面目な表情になった。
小百合の『目』を見て本気で伝えたいことであることがわかったのかもしれない。

「さぁねぇ、迷える仔羊の数には事欠かないけど…
 大体の場合この懺悔室に来る人間からはそういう個人情報は聞かないのさ。
 私ができるのも嘘発見器くらいだけどねぇ。」
そう言って少し考える。

「一体どこを視察するのかな?
 もっと詳しく聞きたいところなのだけど…」

414百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/04(土) 19:59:20
>>413

ヨハネが『特技』によって感じた通り、小百合の両目には『真剣さ』が漂っていた。

「そういえばヨハネさん――――アンタの事は、まだ聞いてなかったねえ」

ここに来る人間の事を考えていたが、目の前のシスターについて知るのが先だろう。

「懺悔の内容は『守秘義務』があるんだったね。
 だから、まずはアタシから教えるよ」

      ズ ギ ュ ン ッ

白百合の紋章を持つ人型スタンド『ライトパス』を発現する。

          ライトパス
「こいつの名前は『 正 道 』。能力は『光の線』を引く事さ」

          ド ヒ ュ ウ ッ

ジャケットの内ポケットから取り出した『扇子』を広げ、
神速で『特殊警棒』を走らせると、一筋の『光の線』が生まれる。

「この『線』に触れたものは、
 生物でも物体でもアタシの『好きな方向』に動かせる。
 ただし、スタンドの力で動かせる重量に限るけどねえ」

『光の線が入った扇子』を掲げながら、自分の『能力』を明かす。

「視察する場所は『暴力団の本拠地』さ。
 前に話した『スタンドを目覚めさせる刀』について、
 『昔の知り合い』から『情報』を買った。
 『刀』の『元々の持ち主』が『そこの連中』だったって事が分かったんだ」

「実際に『乗り込む』前に、『探り』を入れておきたいと思ってね」

どうやら、小百合が相手にしているのは『ヤクザ』らしい。
しかも『スタンド絡み』だ。
これは『警備会社』では扱えない案件だろう。

415ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/11/04(土) 20:34:47
>>414
「なるほど、秘密を共有しようということ?
 貴方の能力は戦いに向いていそうだね。」
感心するように彼女のスタンドを見つめる。

「まぁ、そうだねじゃあ私のスタンドも見せようか。」

      ズ ギ ュ ン ッ

そう言って自分の背後にスタンドを出現させた。
以前も見た通り、目隠しをした聖職者のようなスタンドだ。

「私の能力は、視界を外した相手の『目』を
 鉄球として拝借する能力だよ。
 まぁ、相手の眼球を盗むわけじゃないけどね」
背後に立つスタンドはじっとしたままである。

「…なるほどねぇ。
 ヤクザ連中にスタンドを生み出す刀ねぇ。
 まさにナンタラに刃物ってやつか。」
小百合の危惧も理解できるとヨハネは思った。
暴力団がスタンド使いの集団となっている可能性があり得るのだ。

「しかし、探索に適した人物ねぇ…
 懺悔室には色んな人が来るが、スタンド使いかまでは明かす人は居ないし…
 私は、その手のことは素人だしねぇ。」
そう言って考える。

「そいつらがお人形集めが趣味のかわいいチンピラだったりでもすりゃ
 心当たりはあるんだがね。」

416百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/04(土) 21:11:54
>>415

片手で扇子を閉じながら、『聖職者風のヴィジョン』を見やる。

「確か『ゴッド・ノウズ』だったね?
 『目を拝借する』ってのは、つまり『視界を覗ける』って事かい?」

「そうだとしたら『うってつけ』の人材だよ。
 連中の一人に能力を使えれば、『ソイツの視界』を通して屋内の様子が掴める」

鷹揚に腕組みをしながら考えを巡らせる。
『ヨハネのスタンド』は、まさしく『敵情視察向き』の能力。
これは思いがけず『当たり』を引いたかもしれない。

「ソイツらの名前は『関星会』。
 今は『落ち目』になってるけど、それでもヤクザはヤクザだからね。
 『危険』を伴うのは間違いない」

「それを承知した上で『協力』を頼みたいんだ。
 ヨハネさんは、外から『能力』を使ってくれるだけでいい。
 その間、アンタに危害が及ばないように、アタシが周りに目を光らせとくよ」

「――――『世の為』と『人の為』だ。頼まれてくれないかい?」

居住まいを正し、深く頭を下げる。
小百合の『ライトパス』を含めて、『戦闘向きのスタンド』は多いが、
『調査が出来る能力』は貴重だ。
ヨハネに並ぶような人材は、なかなか見つけられないだろう。

417ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/11/04(土) 21:28:36
>>416
「まぁ、そういうものと思ってくれていい。
 あまり使ったことはないが、視界を把握はできるだろう。」
そう言ってうなずいた。

「ふっ、聖職者にヤクザの視察を頼むとは
 なかなか面白いことを言うねぇ。」
ニヤニヤと笑いながらヨハネは答える。
嫌がっている様子ではないようだ。

「世のため人のためねぇ。
 その言葉はどうやら、でまかせで言ったものじゃないようだ。」
小百合の目をじっと眺めた上で答える。

「まぁ警備員さんが警護してくださるんなら、考えてもいいかもねぇ。
 報酬、次第かなぁ?」
そう言ってみる。

「そろそろ美味しいお酒と
 それに合う最高の料理が欲しいと思ってたんだけど…」
チラチラと小百合の様子をわざとらしく見る。
何が欲しいのかは明白だろう

418百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/04(土) 21:57:45
>>417

百目鬼小百合の『目』からは、少しの『嘘』も感じられない。
確かに『本心』で言っている事が分かる。
事実、小百合は『本気』だった。

「アタシは『絶対に嘘をつかない』とまでは言わないけど、
 『大事な時に嘘はつかない主義』でね」

まもなく顔を上げ、ヨハネに向き直る。

「ウチの会社は『施設警備』だけじゃあなく『身辺警護』も扱ってるんだ。
 アンタの安全はアタシが保障するさ」

以前、小百合の背後から襲い掛かろうとしたチンピラを、
『ゴッド・ノウズ』が返り討ちにした。
その様子を思い出すと、ヨハネも『戦えないスタンド使い』ではなく、
むしろ戦闘も十分にこなせるだろう。
しかし、『警護する』と言った以上、決して危害は加えさせない。

「ヨハネさんは『シードル』が好みだったね?
 それに合う『気の利いたつまみ』も保障するよ」

ヨハネとは歓楽街の居酒屋で一緒に酒を飲んだ仲だ。
『何が欲しいか』は言われずとも察した。
無論、その要求にも応えるつもりでいる。

419ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/11/04(土) 22:45:43
>>418
「そういう人間は信用できるね。
 私としては肝心な時に嘘をつかない人間は嫌いじゃない。」
じっと小百合と目を合わせて告げる。
ヨハネの視線はまさに刺さるように見えるだろう。

「それじゃあ御厄介になろうかな。
 私は喧嘩は得意じゃないからね。」
本当にそうなのかはともかく
ヨハネ自身は争いは好まないようだ。

「まぁ、それが正解。
 そういうご褒美があるなら
 私もやる気が出るさ。」
正解を引き当てたようで
ヨハネも嬉しそうな顔をしている。

「それじゃあ知る限り、一番いいところのを頼んでもらっていいかな?
 シードルもおつまみもね。」

420百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/04(土) 23:06:45
>>419

左右で色の違う『オッドアイ』。
その瞳と向き合っていると、心の中を見透かされているように感じる。
思い返せば、ヨハネと知り合った時から『奇妙な感覚』を覚えていた。

「ここの『神様』に誓って約束したよ。
 罪深い『ヘビースモーカー二人』を許して下さる器の大きな方だからねえ」

「…………ところで、ちょいと気になった事があってね。
 さっき『私が出来るのは嘘発見器くらいだ』と言ったけど、
 それも『能力の一部』なのかい?」

ヨハネの話では、『ゴッド・ノウズ』は『他人の視界を借りる能力』の筈だ。
『嘘を見抜く力』も持ち合わせているのだろうか?
有り得ない事ではないだろうが、そこに疑問を抱いた。

421ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/11/04(土) 23:20:26
>>420
「なーに、神様は寛大だからね。
 ニンゲンのことなんてなんとも思ってないさ。
 だから許してくれるよ。今回のこともね。」
いたずらっ子のような表情で答える。

「…あぁ、能力のことを聞きたいんだね?
 実を言うと、目を盗むことが能力であってね」
そう言って改めてじっと見つめる。

「…嫌われるのとかがあんまり好きじゃないから、大体の人には黙ってるんだけどね。」

「でもまぁ、背中を預ける人には教えておいてもいいか。」
刺すような視線がまた小百合に向く。

「嘘かどうかわかるのは、私自身が元々持っているものなんだよ。
 こうして相手の目を覗き込むと、
 相手の言ってることが嘘か本当かわかってしまうんだ。
 相手の目の動きでね。」

422百目鬼小百合『ライトパス』:2023/11/04(土) 23:48:51
>>421

「ハハハ、そりゃあ違いない。
 勝手に崇め奉られたんじゃ、神様も迷惑してるだろうさ」

百目鬼自身、古くからの『信心』を蔑ろにはしないが、
それに頼り切るような精神は持ち合わせていない。

「『嘘が分かる』…………か」

「なかなか『難儀な特技』を抱えてるんだねえ」

「話してくれた事に感謝するよ」

一見すると便利なように思えるが、本人にとっては辛い面の方が大きいだろう。
周りが嘘つきばかりに見えてしまっても不思議はない。
『嘘』が溢れている世の中では、さぞかし生きづらいであろう事が想像できた。

「――――さて、そろそろ帰る事にするか。
 『次の人』を待たせてると悪いからね」

         スッ

おもむろに椅子から立ち上がると、
ヨハネと正面から向き合い、『嘘のない目』で告げる。

「仕事が終わった後は、ブッ倒れるまで呑ませてやるから楽しみにしてな」

そう言って軽く笑い、背中越しに片手を振って、『懺悔室』から出て行く。

423ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2023/11/05(日) 00:04:26
>>422
「ま、そういうこと。
 だから好き放題で構わないさ。」
神様への認識が思いの外軽いようだ。

「わかってくれて嬉しいよ。
 …私としてもこういうのはあんまり好きじゃないのさ。
 まぁ、それでも話せるニンゲンがいることは嬉しいよ。」
気軽に話せるのはどうやら彼女が小百合に気を許しているようだ

「じゃあ、また会おうか。その時に。」
と言って手をふる。

「ありがたいねぇ。
 私はこう見えて結構行ける方だから、覚悟しておくといいよ。」
ニッコリとしながら彼女の背中を見送っていった。

「…次の人が案外ヤクザの人が来るんだったりしてねぇ?」
そう言って次の客を待つのであった。

424赤月『サクソン』:2023/11/06(月) 13:52:33

「むぅ・・・・・」

首を軽く傾げ、悩まし気な唸り声を上げる
黒髪の一部を赤く染めた女子中学生だ。下校途中らしく制服を着ている
だが、少女が居る場所は健全な中学生としては随分と『らしからぬ』場所であった

「こういうのもあるのか」

ここは歓楽街。その一画に聳え立つビルの一つ
その中には『コスチュームショップ』と呼ばれる・・・・『衣装』を売り買いする店が存在していた
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/433)
彼女が居るのは、そんな店の一つだ

「ぶかぶか・・・・」

だが、『コスチュームショップ』だからといって全てが全て如何わしいわけではない
どうやら、この店は比較的猥雑ではない、アニメやゲームのキャラクターの
コスプレ衣装をメインとした店らしい

そんな店の中で、彼女はサングラスや伊達眼鏡などを扱うゾーンに居た
どうやらいくつかの眼鏡をためつすがめつ見分し、自分の顔にかけているようだ

425呉羽萌『バッド・アイデア』:2023/11/06(月) 17:40:59
>>424



    「む」

    「むむむ〜?」


ぐいーっ


    「いいじゃんいいじゃん」


サングラスを試す赤月のフレーム越しの眼前に、
緑とピンク色のツートンカラーの派手な髪色をした女子高生が唐突に現れた。


「ちゅかちゅかぁ〜〜、
 赤メッシュパイセン顔ちっちゃぁ〜〜!
 羨ましいんですけどぉーッ」


「赤メッシュパイセン、
 せっかくの小顔ちゃんなんだから
 こっちのフレームのないほっそい眼鏡の方が似合うって思う、
 『キザシちゃん』なんだけどそこん所どーす??」

426赤月『サクソン』:2023/11/06(月) 18:13:28
>>425

「む・・・・これはなかなか・・・・・」

>ぐいーっ


>    「いいじゃんいいじゃん」

                           「わっ」

突然の声掛けに動揺したせいか、手に持っていたサングラスが俄かに宙を舞う
わたわたとした手付きで両手が動き、何とか空中でキャッチする事が出来た
ほっ、と息をつきながら突然の闖入者に視線を合わせる

「君は・・・・」

何か苦情でも言ってやろうと思ったが、その口調からはどうも悪意のようなものは感じられない
そう思いながら、ふと手元のサングラスに視線を落した

ゴーグルの様に目線を覆い隠すようなミラーシェードだ
成人男性を想定した製品である為か赤月の輪郭に対しては大分ぶかぶかな印象が感じられる
第三者視点でまともに『おしゃれ』として使うのであれば、控えめに見ても合ってはいないだろう

「・・・・・・。」

「これ、かな?」      スチャッ

何か言おうとしたのかしばらくもごもごと口を動かした後、
呉羽の言葉に従うようにノンフレームの伊達眼鏡をかける
どちらかというと子供らしい印象を受ける赤月の顔立ちであったが、
シャープな形状の伊達眼鏡をかけた事でインテリめいた知的な印象が強まった

427呉羽萌『バッド・アイデア』:2023/11/06(月) 20:20:56
>>426





     「お〜っ」


「良き良きじゃあ〜ん。
 さっきの『なんとかレンジャー』や自転車乗りみたいな、
 鬼デカ鬼テカリサングラスもアレはアレでアリだけど、
 せっかくの強カワフェイスが隠れちゃうしィ、
 絶対こっちの方が良き衛門だッてぇぇ〜〜」


細いメガネを掛けた赤月の容貌を褒める女子高生。
その語調自体は独特ではあるが、
貶すなどの悪意は一切含まれていない事が伺える。



      「撮ろ撮ろ!
       笑ってぇ〜〜〜〜」

カシャッ!

赤月と顔を並べ、
横構えのスマホのインカメラで2ショットの写真を1枚撮影する。


「バッチェ撮れてるしィ〜〜〜〜〜。
 赤メッシュパイセンってば、
 ハイパー可愛いすぎてキザシちゃんキレそう!!!」


         「あっ」


「パイセン、今撮った鬼カワ写真渡したいから、
 LINE教えてくれないすかー?」

428赤月『サクソン』:2023/11/06(月) 21:01:29
>>427

「あ、ああ・・・・ありがとう」

先程までかけていたミラーサングラスに名残惜しそうな視線を送りつつ、
どこか歯切れの悪い返答を返す赤月
容姿を褒められて悪い気はしていないものの、それを素直に喜んでいないようだ

>      「撮ろ撮ろ!
>       笑ってぇ〜〜〜〜」

                        「あっ!」

呉羽の言動に圧される様な形で抵抗なく画角に収まる
咄嗟に出てきた右手は反射的に指を二本立ててピースサイン

「あ、ああ・・・・・ありがとう」

   そのまま流れでスマホのLINEを開き、
     自分のIDを登録させるためのQRコードを彼女に見せ・・・・

 
                     「・・・・じゃない!」

「なんだ、君は!
 何が目的なんだ!?」

事、ここに及んでようやく状況の不可解さに大きな声が出た
スマホ画面を見せながらも、誰何の声をあげる

429呉羽萌『バッド・アイデア』:2023/11/07(火) 10:24:32
>>428



     ポロン



QRアイコンを読み込まれた赤月のスマホの画面に友人登録画面が現れた。
『萌』という名前にアプリで煌びやかに加工した自撮りアイコンだ。


        
        「はて?」

狼狽える赤月の問いかけに首を傾げる女子高生。
カラコン、アイシャドウ、つけまつ毛を駆使し、
これでもかと言う程にデカ目メイクされた瞳で赤月を見つめる。
だが、やはり『悪意』の類は感じられない。


「なんだ君は!?って言われてもなぁ〜ッ。
 キザシはただの『SJK』だヨ?
 バイト帰りになんとなく寄ってみただけぇ〜〜、へへ」



        「あッ」 




「LINEきたぁ〜〜〜〜?

 萌え萌えキュンの『萌』って書いて『キザシ』って読むんよ。
 中々に一見さんぶっ殺死の名前だよねェ」



       「ちゅかちゅかぁ〜」


「パイセンはコスプレしてぇ!って意気込み持って来たの〜〜〜?
 『ハロウィン』は過ぎたけどぉ〜〜〜??」

430赤月『サクソン』:2023/11/07(火) 14:18:55
>>429

 「あっ」

                ピコン

QRアイコンが読み込まれ、友達登録画面が現れた瞬間に反射的に承認を押してしまう
それにより呉羽のアプリにも赤メッシュのアカウント・・・・『赤月ナカレ』の情報が流れ込む
(アイコンは初期画面のまま変更がない)

 「キザシ・・・・」

             「む、むむむ・・・・・」

悪意が無いのがこの際厄介だ、と赤月は感じた
相手が敵意を向けてくるなら同様の敵意で叩き返せば良い
だが、純粋な好意で関わって来る相手にはどうすれば・・・・距離感を掴めずにいる

「はあ・・・・」

ため息をつきながら、目の前の受難を受け入れる
実際のところ、呉羽が選んだ伊達眼鏡は結構イケてるように見えたし、褒められて悪い気はしなかったからだ

もっとも・・・・

「『ハロウィン』や『仮装パーティ』の為にここに来たわけじゃない」

「ちょっとした理由があって、『変装』に使えそうな物を探しに来ただけだ
 説明が遅れて勘違いさせてしまったみたいだけどね」

近くに置かれていた仮装用の『仮面』を手に取り、
ささやかに困ったような眉根を寄せた笑みを浮かべる

「私の名前は赤月ナカレという
 キザシ・・・・君はこの手の物に詳しいのかな」

431呉羽萌『バッド・アイデア』:2023/11/07(火) 16:13:33
>>430



    「うーん」
ゆら

「うーん」  ゆら   「んー?」 ゆら


唇に人差し指を添え、目線を上に向ける。
緩いテンポを刻むメトロノームのよう上半身を左右にゆらゆらと揺らし、
考え込む仕草を見せる。


     「キザシはぁ〜」


「別にコスプレにも変装にも詳しくないけれど、
 めちゃくちゃ詳しい人は知ってるよおぉ〜〜ッ。
 『スマホちゃん』って名前なんだけどぉーー」

      カッカッカッカッ

握ったままのスマホの画面を開き、
ご機嫌な表情のまま片手で手早くフリック入力し、検索。



       「出た出たぁ〜」


「えっとぉ〜、


 その場にふさわしい格好でありながら、
 オシャレ要素は省くといいでしょう。
 いつもと違うイメージ作りをすると驚く程気付かれません。
 全身黒などは逆に目立ちます。

 メガネ、帽子、髪の毛を縛って印象を変えるのも有用です。
 体型を隠すよう服、ストールやマフラーなどで顔のラインをぼかすのもおすすめです。


 だってえぇ〜〜〜〜。
 ねぇねぇナカレちゃん、
 今ナカレちゃんが手に取ったその『仮面』もチョーイケてるとは思うんだけど、
 多分、コスプレって『目立つ』為のものだろーし、
 ひょっとして『お店選び』の時点で間違ってたりするんじゃねす?」

432赤月『サクソン』:2023/11/07(火) 20:27:20
>>431

「ん・・・・?」

    ゆらり

           ゆら

  ゆら 
                 ゆら ゆらり

不思議なリズムで身体を揺らす呉羽を見つめているうちに
いつの間にか同じようなリズムで体幹を揺らす自分自身の姿に気付いた

「検索か・・・・!」

ぐいっ、と身を乗り出すようにして画面を見る
そういえば、『変装』というイメージに捕らわれて過ぎていたように思える
ここは過去の知見を参考にするべきだろう

「・・・・・・・・・・・・・。」

「確かに、変装をするにしては些か目立ち過ぎていたように思える
 ここは改めて別の商品を見分し・・・・」

>ひょっとして『お店選び』の時点で間違ってたりするんじゃねす?

        「ぐっ!!」

『変装』について書かれた記事を読むにつれて、赤月の表情は明らかに曇っていった
いわゆるテンションがダダ下がっている状態だ
そこに・・・・呉羽から『トドメの一撃』が突き刺さり・・・・・!!

呻き声を一つ上げて
明らかに・・・・! 致命傷を受けたかのように蹲る・・・・!

433呉羽萌『バッド・アイデア』:2023/11/07(火) 21:08:26
>>432


「あちゃあ〜〜〜。
 ひょっとしてキザシってば、
 ナカレちゃんの地雷をちゅどーん!しちゃった感じ?」



スマホを制服のポケットに仕舞う。
そして、蹲る赤月に合わせてその場にしゃがみ込み、
沈んだ顔を下から覗き込む形でじぃと見つめる。



「やっぱ『変装』って『コスプレ』のイメージあるし、
 ナカレちゃんが勇み足で『コスショップ』に来ちゃった気持ちわかるよ。
 
 スマホちゃんは地味なカッコしなさーい!って言ってるけど、
 そんなアドバイスはシカトブッこいて、
 ウチらはウチらなりのサイコーのコーデを目指せば良さげじゃね?

 お互いのお洋服ちゃんを見て、キャピキャピするのは女の子の特権じゃね。
 んでェ〜、その後サイゼで打ち上げすればよくね?」


          「ちゅか、ちゅか」


「ナカレちゃんは、
 何で変装したいのかなあぁ〜〜〜っ。

 深いワケがあるのか、ないのかワケワカメだけどさあぁ〜〜〜っ。
 キザシちゃんで良ければお話し聞くよおぉ〜〜〜〜」

434赤月『サクソン』:2023/11/07(火) 23:03:26
>>433

「別に・・・・そんなのではない」

蹲る赤月の顔を見上げてみると、
そうは言いつつも気にしているのだろう
複雑な表情で眉を顰めながら呉羽を見つめ返してきた

「勇み足・・・・」

             「いや・・・・」

     「確かにこれは勇み足だった」

すうっ、と立ち上がる

「前回、この店で買った商品が良かったから
 そのせいで偏った成功体験が生まれてしまったのだろう
 キザシに勇み足と言われても仕方がない程に」

うんうん、と一人合点がいったような顔で頷く

「そう考えると原点に立ち返るべきだろう
 キザシ・・・・君は私がどうして変装をしたいのか、と聞いたな?」

「詳しい理由は教えられない
 だけど、ちょっとした理由で私が何者であるのか・・・・隠したい理由があるだけだ
 今更だけれども」

435呉羽萌『バッド・アイデア』:2023/11/08(水) 03:36:21
>>434


    「ん〜〜〜っ」
「ぺこり」


ぬるっと立ち上がり、
再び赤月に目線を合わせ頭を下げる。


「そうだよねぇぇ〜〜〜、
 変装したいなんてよっぽどの訳アリアリーナちゃんで、
 誰にだって聞かれたくないことの一つや2つあるだろーし、
 それを聞くのはヤボヤボだったねぇ〜〜。
 キザシちゃんも『勇み足』だ、ゴメンゴメン」

      
        「でも」

「『陰がある』って言うのかにゃあ〜〜ッ、
 『アンニュイ』って言うのかわ〜んッ、
 キザシ、フンイキある女の子激カワで好き〜〜ッ」

436赤月『サクソン』:2023/11/08(水) 12:19:21
>>435

「『訳アリアリーナ』・・・・・」

正直なところ、赤月がこうして変装用の道具を仕入れている理由はある種の『備え』であった
『アリーナ』と『極夜』。星見町の闇に存在する二つの組織。『二重スパイ』・・・・
複雑な身の上となってしまった以上、時に素顔のまま活動する事が出来ない可能性もある

(変装道具はその為の備えのつもりだったけど)

「・・・・・・・・・・。」

「いや、ありがとう。キザシ
 変装の役には立たないかもしれないけど、君が選んでくれたコレは」

     すちゃっ

先ほど手に取った『ノンフレーム伊達眼鏡』を再び顔に乗せる

「結構似合ってる・・・・と私も思う
 変装とかは関係なく普通に買っておきたいくらいだ」

「しかし、陰のあるフンイキか・・・・
 君から見て私は、そんなに陰があるように見えていたのかな?」

不安げに聞く
心当たりがあったからだ

ここ最近の騒動の中で赤月は一人の人間を『殺害』していた
その経験が、見ず知らずの人間から見ても明らかになるようだとしたら・・・・

(気配を隠すすべを身につけなければならない・・・・)

437呉羽萌『バッド・アイデア』:2023/11/10(金) 20:49:18
>>436



    「ん〜〜」

    「ん〜〜〜?」

    「んん〜〜〜??」


「キザシ、難しい事はよくわかんないけどおぁ〜〜、
 あんま詳しくなさげなコスプレショップに1人で行ってェ〜、
 真剣に衣装選びするって事はぁ、
 そんだけ『変装』する事に必死ちゃんって事でしょー?」

「まっ」

          カシャッ


スマホを取り出し、
伊達メガネ姿の赤月の姿を撮影し、
その車種をLINEで送信する。


「とりあえず、そのメガネはすげー似合ってるよ!
 マジでチョーカワいいんだから!!!」


         「さっ!」


「メガネは決まったし次はお洋服選びしよーぜ!
 ウチらなりのサイコーの変装を見せつけよ!

438赤月『サクソン』:2023/11/10(金) 22:37:08
>>437
         カシャッ

                「うわっ!」

シャッター音に合わせた短い悲鳴
突然の無礼を咎める間もなく、ピロリンというスマホの着信音が鳴る
不意討ちのような隠し撮りでありながら、余計な力が籠っていないためか
なかなかに写りの良い写真だ

「む・・・・そういうのはちゃんと許可を取ってから」

>         「さっ!」

                   「わ、わっ!」

反論も虚しく腕を引かれる
彼女の態度がそこまで反感を買うものではない為か、あるいは言葉の『起こり』を見抜かれている為か
完全に会話のペースを呉羽に握られたまま、次なる『お洋服選び』へと引っ張られていく

「ま、待て、会計を・・・・会計を済ませてからだー!」

そう言って彼女らはこの店から離れて行った
なんともデコボコな二人の、珍道中はここから始まるのだろう・・・・多分

439りん『フューネラル・リース』:2023/11/11(土) 12:27:22
異常な残暑が続いた11月
ようやく気温も下がり秋らしくなって来た頃
紅葉が舞い散る並木道

ひゅーるりー
       ひゅーるりーららー

紅い葉っぱに混じって、白い鈴蘭の花が舞う
その下で頭に鈴蘭が咲いた少女が歌っている

440宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/11(土) 17:20:07
>>439

赤く染まる並木道の向こう側から一人の男が歩いてきた。
カーキ色の作業服と革手袋を身に着けている。
初めて会った時と同じ姿だ。

「君は『りん』という名前だったな」

見覚えのある少女の手前で立ち止まる。

「俺の事を覚えているか?」

以前りんが育てた鈴蘭を見せてもらう約束をしていたが、
仕事が忙しかった事もあり、完全に時期を逃してしまった。

441りん『フューネラル・リース』:2023/11/12(日) 18:08:30
>>440
「はい?」

何か作業員らしき男がいきなり現れて
「俺の事を覚えているか?」などと話しかける
声かけ事案か?

ここは春先に会った時のように、そこそこ人通りが多い

「えーっと…」

宗像とは一度会った事はあるが
大分前に一回会ったきりのおじさんを思い出すには少々時間が掛かる

「あっ、前に鈴蘭が見たいって言ってた」

少し思い出して来たようだ

「えーっと…
 宗像志功さん!」

微妙に違う…!

442宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/12(日) 18:40:44
>>441

左手の『痺れ』を意識的に無視しながら、りんと向き合う。

「――――『宗像征爾』だ」

「『鈴蘭』の季節は過ぎてしまったようだな」

おもむろに周囲を見渡し、どこか座れそうな場所を探す。

「それは別として、幾つか聞きたい事がある」

「君が『熊野風鈴』という名前を知っていればいいが」

りんが熊野と面識があるかどうかは定かではなかった。
熊野側が一方的に知っているだけという可能性もある。
いずれにしても、俺のやる事は変わらない。

443りん『フューネラル・リース』:2023/11/13(月) 18:59:00
>>442
宗像が周囲に座れる場所を探して見渡すと
近くにベンチが置かれている場所があった
そのすぐ横には自販機が、後ろにはドラッグストアがある
ドラッグストアにがそこそこ人が出入りしているようだが、ベンチには誰も座っていない

>君が『熊野風鈴』という名前を知っていればいいが

「え?」

風に乗って、
紅い葉っぱと共に踊るように宙を舞っていた白い花弁が
ひらりと地に落ちる

熊野風鈴という名前を聞いた時、僅かにりんの表情が変わった
宗像にそこまで表情の違いを読み取れるかは分からないが
そこには敵意だとかいった感じは無い
どちらかというと、少し怯えのようなものがある

「あのぉ、熊野さんの知り合い?」

444宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/13(月) 20:58:22
>>443

宙を舞う白い花弁を目で追い、やがて緩やかに落下する様子を見届けた。

「二度ほど会って立ち話をした程度の間柄だ」

自分という人間は、客観的に見ても気が利く方ではない。
しかし、今回は向き合っていた為に、りんの表情が変化した事に気付けた。
一瞬、心証を悪くしてしまった可能性が頭を掠め、
『一抹がいれば助かった』と考えたが今更だろう。
それよりも熊野に対する反応が引っ掛かった。
奴の話には信憑性に欠ける部分があるが、
それと関係しているかどうか見極めておきたい。

「良ければ座って話したいが、構わないか?」

空いているベンチに視線を移し、りんに問い掛ける。

445りん『フューネラル・リース』:2023/11/14(火) 19:03:18
>>444
「う、うん…」
「良いよ?」

少しばかり怖がっているようだが
話し合いには応じるようだ

ベンチへと移動するが
座る前に自販機の前に立つ

何か買うつもりらしい

446宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/15(水) 00:48:26
>>445

熊野の話では、りんの頭に咲いている『鈴蘭』を放っておくと、
大きくなって『怪物』を生み出してしまうらしい。
それを防ぐ為には、定期的に花を引き抜く事で、
成長を妨げなければならないと聞かされていた。
りんの隣に立ちながら、鈴蘭に変化が起きていないか確認する。

「――――『家族』は元気か?」

『仕事』を終えて戻ってきてから、自販機の前で硬貨をバラ撒き、
通りすがりの少女に手を貸してもらった。
どこか覚束なさのある動きに、一種の共通点を感じた事を覚えている。
その時の出来事を思い出したせいか、
りんの後から『リンゴジュース』を購入してベンチに腰を下ろす。

447りん『フューネラル・リース』:2023/11/15(水) 18:55:48
>>446
隣からりんの鈴蘭を確認する
鈴蘭は特に変化した様子は無く、至って普通だ
いや、人間に咲いているという時点で異常なのだが、普通だ
強いて変わった所といえば、花弁が一枚欠けているというくらいか

宗像が『リンゴジュース』を購入した後に、
硬貨を入れて飲み物を一つ、いや二つ購入する

1本はいろはすスターフルーツフレーバー
星見町の地域限定フレーバーだ、マイナー過ぎる

もう1本はいろはす天然水

ギュッ

天然水のキャップを開封する

ボトボトボト

そして頭部に注いだ!
頭の鈴蘭に水やりをするように

「ぷはーっ」

頭部の花も緊張して喉が渇くのか?
それは分からないが、水やりをしてスカッとしたような表情だ

>――――『家族』は元気か?

「家族?」
「うーん、元気にしてるって言って良いのかな?」

ハッキリと元気にしてる、とは答えられないのか微妙な答えだ

「今は時期が違うからみんな枯れちゃってるけど
 春になったら元気に咲くよ」

448宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/15(水) 20:42:32
>>447

花に関する知識は乏しいが、外見に大した変化が見られない事くらいは分かる。
考えられる可能性としては、熊野が嘘をついたか、既に誰かが花を抜いたか。
仮に後者であれば、熊野の言う『依り代』であるりんは、嫌がって抵抗していただろう。

「随分と『変わったスタンド』を持っているな」

『頭に花が咲く』という奇妙な現象が、必ずしもスタンドによるものである確証はない。
しかし、それ以外の可能性が考えにくいのも事実だ。
結局は『風変わりなスタンド』として判断するしかなかった。

「初めて俺に会ってから今日までの間に、
 その『鈴蘭』を誰かに触られた事はなかったか?」

         グッ

水を被るりんを眺めながら、左手でキャップを開けようとした。
だが、上手く力が入らない。
右手を使えば簡単に開けられる。
しかし、楽をしていると今の状態に慣れるのが遅れてしまう。
この分だと、中身に有りつくには、もう少し時間が掛かりそうだ。

449りん『フューネラル・リース』:2023/11/16(木) 18:57:37
>>448
スタンドというものが存在し、
自分の鈴蘭が咲いているのはスタンドによるもの
それは他のスタンド使いと話して知ったし、
音のおねえさんこと音仙にも教えられて分かっている

しかし、自分のスタンドというのがどういうものなのか
その本質は知らない

>初めて俺に会ってから今日までの間に、
>その『鈴蘭』を誰かに触られた事はなかったか?

「え〜と、誰かに触られた事はいっぱいあるけど
 宗像さんと会ってからは無かったかな」

         グッ

キャップを開けられずに苦戦する宗像を見るりん

「あの」
「大丈夫?開けようか?」

今の状態に早く慣れるために敢えて左手で開けようとする宗像
ここでりんに開けさせるのは楽をする事になってしまうだろうか?

450宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/16(木) 19:49:00
>>449

誰からも触れられていなければ、他の人間に花を抜かれた可能性はなくなる。
りんが嘘をついていないとは言い切れないが、ここで嘘をつく理由が薄い。
本当の事を言っていると思ってもいいだろう。
そして、熊野の説明によると花は成長する筈だが、時間が経っても変化がない。
これらを総合すると、熊野の話は怪しくなってくる。

「いや、気にしなくていい」

     ググッ

「さっき熊野について話したが、それは君の『スタンド』と関係がある」

             グググ

「まだ『可能性』の段階だが――――」

        プシュッ

しばらく格闘した末に、ようやくキャップを開栓する。
ペットボトルを傾け、リンゴジュースを喉に流し込んでいく。
当然だが、『ドクターペッパー』よりは癖のない味だった。

「その前に、俺の『能力』を教えておく」

        ズ ズ ズ

そう言い置いて、傍らに『アヴィーチー』を発現する。
右腕に備わった『鋸』は、以前は見せていなかった代物だ。
さらに、もう一つ目に見える変化があった。
左腕に『罅』が入っている。
今にも壊れそうだが、負傷している訳ではないらしい。

「君がしたように、その『水』を俺に引っ被せてくれ」

本体が受けた『傷害』と『損害』を引き金にして、
『アヴィーチー』は『能力』を発動する。
何故、熊野風鈴は『花を抜け』と言ったのか。
一つの仮説だが、その答えが分かりかけてきたような気がする。

451りん『フューネラル・リース』:2023/11/17(金) 18:26:08
>>450
「えぇ?水を?」

いきなり水を被せろと言われて困惑するりん
宗像の頭部には花が咲いてるわけでもなく、栄養になるわけでもない
こんな寒空の下、水を被るなんて正気なのか?

「じゃあ…
 行くよぉ?」

ドボ ドボ ドボ

自分にそうしたように、
優しく頭に天然水をかける

452宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/17(金) 19:12:23
>>451

『寒空の下で水を被せられる』というのは、
直接的なダメージはなくとも、明確な『被害』の一つに数えられる。

      ド サ ァ ッ

その直後、『アヴィーチー』の右腕が切り離され、地面に落下した。

        ≪アヴィィィィィィィィィイ≫

    ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリィッ

 ≪血ィィィィイイイイイイ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!≫

猛烈な勢いで高速回転する『チェーンソー』を唸らせながら、
解放された『ノコギリザメ』が咆哮を上げる。
接触するだけで四肢が吹き飛ぶ。
これまで効かなかった奴らは何人かいたが、
よほど常人離れした耐久力を持っていない限り、直撃を受ければ死ぬ。

  ≪ドコダッ≫

     ≪ドイツダァ〜〜〜〜ッ≫

          ≪『水ヲ浴ビセタ奴』ハァ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!≫

『嗅覚による探知』を挟む為、すぐには動き出さない。
だが、あと一瞬後には、『水を被せた相手』に突っ込んでいく。
目の前に『生命を脅かす危険』が迫っている事は、りんにも分かるだろう。

453りん『フューネラル・リース』:2023/11/18(土) 18:12:40
>>452
「ひ゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!゛!゛?゛?゛」

水を浴びせた直後、右腕が落ちて『ノコギリザメ』となり
怒りの咆哮を上げる

自分から頼んでおいてブチギレるのは理不尽過ぎる…

「ご…ごめんなさい」

それでも一応、水をかけたのは自分だ
正直に謝罪すれば許してもらえる…か?

「これあげるから許して…」

いろはすのスターフルーツフレーバーを鮫に差し出す
値段は120円程度
頭から水かけられた被害に見合うか?
そもそも、鮫がいろはすを飲むか?

人通りが割と多い道の中で繰り広げられる光景
それを目撃している人もちらほらいるが、
傍から見れば中年のおっさんが子供相手に恐喝しているように見えるかもしれない
何か中年男性が頭に水をかけてくれと頼んでいる所から見ていた人もいそうだが

454宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/18(土) 19:25:14
>>453

『等価以上の傷』を負わせるか、『価値ある品物』を差し出す事で、
『ノコギリザメ』の攻撃は終了する。
だが、それを決めるのは本体ではない。
全ては『ノコギリザメ』次第だ。

  ≪アヴィィィィィィィィィイ≫

                 ――――――ドギュンッ!!

今にも突撃しようかという直前、『ノコギリザメ』が『右腕』に戻る。
今回は大した被害ではなかった為に、『水のボトル一本』で『足りた』らしい。
『アヴィーチー』を解除し、自らの手で『いろはす』をりんに返す。

「『アヴィーチー』の能力は、本体が危害を加えられない限り発動しない」

「スタンドには『受動的な能力』も存在するという事だ」

髪から滴り落ちる雫を払い、言葉を続ける。

「俺は熊野風鈴から『頭に鈴蘭が咲いた少女の花を抜け』と言われた」

「そうしなければ花が大きくなり、
 『怪物』を生み出してしまうというのが理由だが、俺の考えでは信憑性が薄い。
 その『鈴蘭』には変化がないし、誰かに抜かれた事も考えにくいからだ。
 君の話を聞いて、そう判断した」

「では、『なぜ鈴蘭を抜かせたがったのか』という疑問が出てくる」

「――――ここまでは分かるか?」

りんが理解しやすいように、一旦そこで話を区切る。

455りん『フューネラル・リース』:2023/11/19(日) 18:38:36
>>454
渡した傍から突き返されるボトルを受け取り戸惑うりん

「え、えーと…
 良かったらこれ使って」

鈴蘭の柄のハンカチを出して言う
ハンカチには微かに鈴蘭の香りが付いている

>俺は熊野風鈴から『頭に鈴蘭が咲いた少女の花を抜け』と言われた

「え?」

さっきの出来事にも戸惑うりんだったが、
宗像の口からは更に混乱の元になる言葉が発せられた

「何それ…
 初めて聞いたんだけど」

これまで生きていて、
今の今までそんな経験は一度たりとも無い

「うちよりうちの事に詳しいおねえさんに聞いても、
 そんな事言われた事ないよ…」

>――――ここまでは分かるか?

「う、うん…」

456宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/19(日) 20:59:06
>>455

『価値ある品物』を差し出して『ノコギリザメ』を退かせたのは、りんが初めてだった。
『アヴィーチー』の能力を知らなかった以上は『偶然』だろうが、
明確に『生命の危険』を伴う状況で不確かな手を打つ事は考えにくい。
戦闘の経験がないか、戦闘できる力を持たないというのが妥当な解釈だ。

「驚かせて悪かった」

りんの手からハンカチを受け取り、水滴を拭いながら話を続ける。

「熊野の言葉には嘘が混じっているが、
 『怪物が現れる』という部分に関しては間違っていないだろう。
 実際に『怪物によって引き起こされたと思われる事件』が存在するからだ」

「ただ、本当に『鈴蘭が育って怪物が現れる』なら、
 その花に全く変化がないのは腑に落ちない。
 おそらくは『逆』だ」

「――――『鈴蘭を抜かれると怪物が現れる』」

「熊野は『怪物を表に出したかった』。
 だから、俺に『鈴蘭を抜け』と言ったらしいな」

俺の知る熊野風鈴は『刺激』に飢えた性格の持ち主だった。
人に害を為す『怪物』を解放しようと考えても不思議はない。
問題は『なぜ知っていたか』だ。

「熊野が『条件』を知り得た理由だが、
 本人も知らない事実なら、誰かに聞いた可能性はない」

「熊野は『鈴蘭を抜いた事がある』からこそ『何が起きるか分かっていた』。
 そう考えれば、全体の辻褄は合う」

再び話を中断し、りんの反応を待つ。
熊野の名前を出した時、りんの表情には怯えの色が窺えた。
それは、熊野が『怪物』を知っていた事と無関係ではないだろう。

457りん『フューネラル・リース』:2023/11/20(月) 18:32:43
>>456
実際、りんは戦闘経験無いし、戦闘には不向きな能力だ
毒を扱う能力でありながら、その毒では殺す事は出来ず暗殺にも向かない

「え、待って…え?」

鈴蘭を抜かれると怪物が現れる
鈴蘭を抜いた事がある

理解が追い付かない

鈴蘭を抜かれた事なんて一度も無いし、
怪物…?
この人、何言ってるの?

でも、この話を聞いてると何かざわざわするのを感じる
聞くのは怖い
でも、ちゃんと聞かなきゃいけない気がする

「あの…ちょっと待って」
「うち、鈴蘭を抜かれた事なんてないし、怪物って言われても…」

怪物によって引き起こされたと思われる事件
そんな身に覚えのない事を言われても、りんには何の事だがさっぱりだ

458宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/20(月) 19:31:18
>>457

りんの反応を見て、しばらく押し黙る。
嘘は言っていないように見えた。
おそらく本当に知らないのだろう。

「『俺の能力』は見せた通りだ。
 何らかの形で『危害』を受ける事で発動し、
 『等価以上の傷』を与えるか『価値ある品物』を差し出すまで暴れ続ける」

「君にも『似たような力』があると思ったが、俺の勘違いかもしれない」

『アリーナ』や『エクリプス』の言葉を借りるなら、
『アヴィーチー』は『カウンター型』のスタンドだ。
自分の意志で自由に能力を使えず、相手が特定の行動を取らなければならない。
『花を抜かれると発動する』というのは奇妙ではあるが、
可能性としては十分に有り得る。

「『事件』の現場は町外れに立つ『廃墟のビル』だ。
 そこで『鈴蘭を咲かせた少女から怪物が現れた』と熊野は言っていた」

「この事は『熊野のスタンド』からも話を聞いている。
 本体の思惑は別にして、
 『精神の象徴』であるスタンドが嘘をつくというのは想像しづらい。
 だから『真実を語っている』と見た」

りんの頭に咲く『鈴蘭』を一瞥する。

「『例えば』の話だが、その花を抜くと何が起きる?」

熊野が鈴蘭を抜いた事があるとしても、なぜ抜こうと思ったのか。
単なる興味本位だったのか。
あるいは、それ以上の何かがあったのかもしれない。

459りん『フューネラル・リース』:2023/11/21(火) 18:47:29
>>458
町外れに立つ『廃墟のビル』

そういえば、
一日だけ何も覚えてない時があった
その時、町外れの廃ビルで目を覚ました
あの時、何だか分からないが変な違和感があった

鈴蘭を咲かせた少女から怪物が現れただとか、
熊野のスタンドがどうだとか言われても、
頭の中がもうぐちゃぐちゃだ

>『例えば』の話だが、その花を抜くと何が起きる?

「あの…あの…」

目の前の男は、りんの花を抜こうとしているのか?
それは分からないが、りんはその問いに怯えを感じている

「分かんない…」
「でも、絶対抜いちゃ駄目」
「抜かれたら、きっと死ぬから…」

460宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/21(火) 19:19:46
>>459

『花を抜くと死ぬ』。
その一言で、熊野が『鈴蘭』を抜こうと思った理由に察しがついた。
大方、本当に死ぬかどうか試したのだろう。
あの性格なら考えそうな事だ。
花を抜けば本体が死に、本体が死ぬと『怪物』が現れる。
そう解釈した方が納得はいく。
花を抜かれて死ぬ筈のりんが生きているのは不可解だが、
おそらく『行方不明』になった一人が関係している可能性が高い。

「――――そうか」

りんから視線を外し、通りを行き交う人々を見つめる。
あの事件で、少なくとも『四人』が命を落とした。
ここで同じ事が起これば、もっと多くの人間達が犠牲になるだろう。
この世界に害を及ぼし、しかも本体に制御できない力なら、
二度と使われないように取り除いてしまうのが最も確実だ。
だが、『本体の死亡』が『条件』なら、それも難しい。

「俺が『その花を抜く』と言ったら、君はどうする?」

片腕を伸ばして『鈴蘭』に触れながら、りんに問い掛ける。

461りん『フューネラル・リース』:2023/11/24(金) 16:23:05
>>460
花を抜くと怪物が現れる?
そんな話信じられない…信じたくない
けど、もしもそれが本当だったら…

「させないよ」

りんの顔には未だに怯えや戸惑いがある
だがそれだけではない

「もし、今の話が本当だったら」
「ここに居る人間達が死ぬかもしれない」
「うちは生きたいし、人間を死なせたくもないし
 貴方を人殺しにしたくもない…!」

自分も生きる、周囲の人間を死なせない、宗像を人殺しにはさせない
覚悟を決めたものの顔だ


                ふわっ・・・


宗像が鈴蘭に手を伸ばし、触れようとした瞬間
鈴蘭からはひとひらの白い花弁が分離し、その手に触れる

白い花弁には、『鈴蘭の毒』が付与されている
最高出力に調整されたその花に触れれば、強いかぶれに襲われるだろう

462宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/24(金) 18:16:55
>>461

虚無を湛えた黒い瞳が、りんの表情を正面から見据える。
さっきまでとは違い、少女からは確かな『覚悟』を感じた。
自分と周囲を守る為に、目の前の相手に立ち向かおうとする強い意思だ。

「『知り合い』に聞いたが、『鈴蘭』には『毒』があるそうだな」

        ふわっ・・・

風に舞う『花弁』が手に触れた。
こちらから腕を伸ばしていたのだから、避けようがない。
『素手』で接触すれば、急激な『かぶれ』に襲われ、隙を作る事が出来ただろう。

「――――次からは『顔』を狙え」

だが、その手は『革手袋』に覆われていた為、
『鈴蘭毒』は本来の効果を発揮する事が出来ない。
事前に対策した訳ではなく、普段から身に着けていた。
要するに『幸運な偶然』だ。

「『敵の能力』が分かっている以上、『攻撃』は慎重に行うべきだ。
 危害を加えられた瞬間に『発動条件』が整い、
 俺が『ノコギリザメ』を放つ事は容易に想像できる。
 今度は『水のボトル一本』では足りないだろう」

「その『花弁』で止められるのか?」

       ス ッ

『鈴蘭』から手を離す。
ここで『抵抗の意思』が見られなければ、
花を掴んで『危機感』を煽るつもりだった。
しかし、その必要はなくなったようだ。
りんは生き続けなければならない。
それが『犠牲者を出さない唯一の方法』だろう。

「俺が話した内容が、どれだけ頭に入っているかは知らない」

自分が生きる。
周りの人間も死なせない。
俺を人殺しにさせない。

「だが、『今の言葉』を忘れるな」

実現できないのは『最後の一つだけ』だ。

463りん『フューネラル・リース』:2023/11/25(土) 15:51:43
>>462
りんとて策も無く花を飛ばしたわけではなかった
さっき見たところ、宗像は左手が不自由で力が入らない様子だった
そして鈴蘭に手を掛けようとした手(鈴蘭を引き抜けるのなら恐らく右手だろう)
そちらを狙えば鈴蘭を引き抜く事は出来ない

そして被害を受けた時に出て来る『ノコギリザメ』
さっき出て来た時は、即座に襲い掛かって来る事はなかった
宗像の話を信じるなら、加えた危害以上の物を差し出せば良い
いろはすでは足りないかもしれないが、十分価値のある物を出す事は可能だ

だが、結果はこの通りだ

「あっはは…駄目だったかぁ…」

相手の服装を計算に入れていなかったという致命的なミス
これが、幾度も修羅場を潜り抜けてきた宗像と
今まで戦いとは無縁の世界に生きて来たりんの差だろうか

宗像はりんを殺さなかった
何故なのか?
何にしても、相手が違っていたら死んでいたかもしれない
自分の力がまるで通じない事に、非力さを痛感させられる結果になった


りんは、宗像が既に殺人の罪で手を汚している事を知らない
だが、もしそれを知っていたとしても、りんは自分の前で更に殺しの罪に汚れる事を止めるだろう

「…あのね、宗像さん」
「お願いがあるんだけど」

もしも自分が制御不能の怪物になったら倒してほしい――――

そんなお願いは絶対にしない
りんは『生きる決意』を決めているのだ

「もしも、うちに何かあったら…」
「うちの事を助けてくれる『味方』になってくれない?」

りんは知らないが、殺人者である宗像に『命を救う味方』になる事を頼む
たった2回会っただけ、それもあまり仲良くもなく恐怖の対象ですらある宗像に何故頼むのか

「宗像さん、きっと良い人だと思うから、信用出来るかなって」

花を摘まず、りんに次はどうすれば良いか助言をしてくれた
それだけで信用して良いのか?
だがりんは、宗像を…人間を信じてみたかった

464宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/25(土) 17:59:20
>>463

最初に考えたのは、りんが本気かどうかだった。
『敵』と見なされたとしても当然の人間に対して言う言葉とは思えない。
しかし、先程の『覚悟』を考えると本心なのだろう。

「――――『分かった』」

申し出を『承諾』する。
りんが何処かで死ねば、また新たな犠牲者が出てしまう。
それを防ぐ為には、この少女の命が守られなければならない。
『殺し屋』を始めた筈だが、どうやら『逆』をやらなければならなくなった。
物事は思い通りにはいかないものだ。

「だが、『条件』がある。
 問題が起きた時、俺が必ず駆けつけられる保証はない。
 自力で逃げ切れるのが一番だが、最低でも時間稼ぎ程度は出来る力が必要だ。
 今のままでは『本気で向かってくる相手』に対抗できる見込みは薄い」

「『実戦』では、常に先を読む事が要求される。
 『ノコギリザメ』が起動するまでの間、
 俺自身も『アヴィーチー』で攻撃を仕掛ける。
 『自動操縦』を相手にしながら、
 『人型』を凌ぐ方法まで考えていたなら大したものだが、
 俺なら距離を取る事を優先した」

『命の奪い合い』においては、一手の間違いが『致命傷』に至る事は珍しくない。
それが戦闘に向いた能力でなければ尚更だ。
やはり、りん自身の『自衛能力』を高める必要がある。

「『今よりも強くなれ』――――それが『条件』だ。
 その場に俺がいれば助けてやれるが、
 そうでなければ自分で我が身を守らなければならない。
 ただ、経験がなければ分からない事も多いだろう」

「必要なのは『訓練』だ。
 能力が戦闘向きでなくとも、『立ち回り』次第で生存の確率は上がる」

「今後、俺が『戦い方』を教える。
 『何かあった場合』と合わせて、『やる気』がある時は連絡してくれ」

口頭で『電話番号』を告げる。
それを伝える事が出来たら、りんの連絡先を聞いておく。
そこまで済めば、このやり取りも終わりが近いだろう。

465りん『フューネラル・リース』:2023/11/26(日) 18:24:34
>>464
りんは、戦う事は苦手だ
能力が戦いに不向きだからとかそういう事ではない
人間を傷付けたり、傷ついたりする事が嫌なのだ

それでも、もっと酷い事に…
最悪の事態にならないようにするには
戦わなきゃならない事もあるだろう


「…強くなるよ、うち」

「じゃあ、先生って呼んで良い!?」

それは用心棒的な意味での先生なのか
戦いの師としての先生なのか

今時スマホを持っていないのは珍しいが、そういう人も居るだろう
宗像の連絡先を登録して、自分はスマホの番号を教える

「じゃあその時はお願いするね、先生!」

466宗像征爾『アヴィーチー』:2023/11/26(日) 20:09:54
>>465

例の『怪物』を目の当たりにした訳ではないが、
その性質は『ノコギリザメ』と似ているのだろう。
傷付けられる事で発動し、本体の意思と無関係に暴れ回る。
違う点を挙げるとすれば、制御の可否だ。
『ノコギリザメ』の発動と解除は任意で行える。
しかし、りんに宿る『怪物』は、完全に制御不能である可能性が高い。
二度と現れないように『封印』しておかなければならない力だ。
その為には、りん自身が強くなる事が根本的な解決策になる。

「今の段階で、俺に考えられる使い方を教えておく」

「目の前に何かが飛んでくるだけでも、大抵の相手は隙が生まれる。
 露出している事もあるが、それが『顔を狙え』と言った大きな理由だ」

「上手く隙が作れたら、『花弁』を『服の中』に潜り込ませるのが手っ取り早い。
 相手は対処しなければならなくなり、一時的に動きが止まる」

「もちろん距離が開いている事が前提だ。
 そうでなければ、相手は『花弁』を何とかするよりも、
 君に攻撃する方を優先するだろう。
 だから距離を置く事が重要になる」

それをされていたら、もっと手を焼いていた。
少なくとも『人型』の射程外には逃げられていた筈だ。
あの『花弁』も、使い方を工夫すれば身を守れる。
おそらく、りんなら出来るだろう。
『悲劇を起こさせない覚悟』があるならば。

「好きなように呼べばいい」

空のペットボトルを手にして、ベンチから立ち上がる。

「それから――『これ』を渡しておく」

       ス ッ

ポケットから『L型フラッシュライト』を取り出し、りんに差し出す。
大人の手の中に収まる大きさで、『配管』を思わせる形状が特徴だ。
これを渡すのは『理由』があった。

「『俺の物』が傷付けられた時にも、『アヴィーチー』は能力を発動できる。
 射程距離は『100m』だ」

「その範囲内にいれば助けられる」

あらかじめ渡しておけば、距離が離れていても『援護』が可能になる。

          ザッ

「生憎『今年の開花』は見逃したが、いつか『家族』を見せてもらう」

             ザッ ザッ ザッ

おもむろに踵を返し、赤く色づいた通りを歩いていく。
熊野に話を聞いてから長い時間が経ったが、これで一応の片がついた。
この顛末に関しては、『アリーナ』の『吾妻常喜』にも話しておくべきだろう。

『事件の詳細』について、りんには伝えなかった。
本人の意思ではなかったとはいえ、
自分の能力で『五人』が犠牲になったという事実。
それを受け止めきれるかどうか分からなかったからだ。
いずれにせよ死者は生き返らない。
しかし、死者を増やさない事は出来る。

あの夜、『赤月ナカレ』に言われたように、
俺も『先の事』を考えなければならなくなったようだ。

467りん『フューネラル・リース』:2023/11/27(月) 18:32:27
>>466
少女の手には不釣り合いなフラッシュライトを手に取るりん

そういえば、鈴蘭のハンカチを宗像に貸しっぱなしだった
でも、それも良いだろう
フラッシュライトと交換という事にしておこう
価値が釣り合っているかどうかはさて置いて…

何処へと去る宗像を見送るりん
紅い葉っぱが降りしきる中、りんも再び歩き出し帰路へと
いや、そのまま鈴蘭畑には帰らない

りんには今、行きたい場所がある


ちなみに、余計な事かもしれないが
これは人通りの多い道中にあるベンチの前での事であり
一際目立つ二人の一連のやり取りは道行く人達にバッチリ見られており
会話まで聞いていた人達には「なにいってだこいつら」って顔で見られていた

468美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/11/30(木) 17:34:42

愛車の『ランドクルーザー』で『山』に来ていた。
星見町と同じ『S県H市』にある『根川山』だ。
しかし、本格的な登山をしようという訳ではない。
根川山は『S県内で最も低い山』である。
標高は『32m』で、登頂に要する時間は僅か『五分』足らず。

    バタン

運転席のドアを閉め、車をロックして駐車場に立つ。
鍵には『キーホルダー』が取り付けられている。
『Electric Canary Garden』のイメージキャラクター『電気カナリア』のマスコット。

        「――――さて、と」

                     パシャッ

この辺りは自然豊かな公園でもあり、今は紅葉が真っ盛りだ。
見応えのある景色を眺めつつ、スマホで『写真』を撮り、『SNS』に投稿する。
それから、緩やかな足取りで遊歩道を歩き始めた。

469美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/01(金) 17:31:45
>>468

まもなく遊歩道を抜けると、小さな立て札が見えてきた。
『根川山登山口』とある。
つまり、ここから先が『本番』だ。

        パシャッ

SNSに投稿する為に、スマホで写真を撮る。

「高くても低くても『山』なのよねぇ」

現在の『門倉派』は『大山脈』には程遠い。
まさしく、この『根川山』のようなものだろう。
だからこそ、こうして訪れようと思ったのかもしれない。

「それじゃあ『登って』いきましょうか」

心の中で『門倉派』の成功を祈願し、『最初の一歩』を踏み出す。
『登山道』は歩きやすく整備されており、『スニーカー』でも問題なかった。
木立の中を散策しつつ、一番いい『画角』を探しながらスマホを構える。
もしかすると、その様子が誰かの目に留まるかもしれない。
あるいは、『ソーシャルメディア』という『文明の利器』を通して、
見知らぬ誰かに伝わるかもしれない。

470美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/02(土) 20:33:16
>>469

落ち葉の降り積もった山道を登る。
『バードウォッチング』は趣味の一つであり、野外に出掛ける機会は少なくない。
しかし、最近は『門倉派』の活動に時間を割いていた影響で、
自然に触れる機会が減っていた。

「――――まだまだ『インパクト』が弱いのよねぇ」

考えていたのは『自分の能力を最大限に発揮する方法』だ。
門倉に『大型スピーカー』の調達を依頼した。
だが、それだけで『プラン9・チャンネル7』を活かしていると言えるだろうか?
『アイドルショー』の前座でもある『AIアイドルショー』においては、
『プラン9』の全てを出し切らねばならない。
これは『一人のスタンド使い』としての『挑戦』なのだ。

「『スピーカー』は『人寄せ用』と割り切るとして、
 『人が集まった後』で何をするか…………」

現実的なパフォーマンスとしては、観客のスマホを通して『声』を届ける。
つまり『一対一』で話すのだ。
『お題をくれた相手のスマホに飛ぶ』というのがいいかもしれない。
まず、全体に向けてスマホを出してくれるように呼び掛け、
そこから順次『能力対象』にしていき、最終的には全部『ファン』にする。
切り替えは意識するだけで行えるから、そこは問題ないだろう。
改良の余地はあるが、悪くないアイディアだ。
サプライズ的な要素を残すなら、こちらからスマホに話しかけ、
当たった人から『トークのお題』をもらうのもいい。

「物事を理解する為には距離を置いてみる事も必要ね」

『プラン9・チャンネル7』は『文明ありき』の能力。
『音響機器』にカテゴライズされる『電子機器』に溢れた街中で、
『プラン9』は最大の力を発揮できる。
逆に言えば、このような山の中では無力に近い。
逆に、敢えて『文明』から離れる事によって、『新しい発見』を得られる筈だ。
そういう事を期待する気持ちもないではなかった。

「…………ん」

何か小さなものが視界を横切り、ふと足を止める。
それはスルスルと木の幹をよじ登っていく。
よく見ると『リス』だった。

「これも『新しい発見』ではあるかしら」

      パシャッ

木の枝で動きを止めたリスの姿を撮影し、コメントを付けて投稿する。

471美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/03(日) 22:04:51
>>470

『プラン9』の能力を最大限に発揮する方法。
それは自分が一番よく分かっている。
『モラル』という足枷を外してしまえばいい。

あくまで例えばの話だが、
『無差別に情報を抜いて拡散する』なんて事も出来てしまう。
しかも、それを実現する事には何の苦労もなく、おそらく露見する可能性も低い。
呆気ないくらい簡単に、人々の注目を集められる。

しかし、それは『パフォーマンス』ではなく『犯罪』だ。
社会秩序を乱しかねない使い方は、他ならぬ美作自身が許せない。
誰よりも『プラン9』が活かされる事を願いながら、
それを自分が阻んでいるというジレンマに、美作は葛藤し続けている。

「『使われない』っていうのは、『力』にとって幸せな事なのかしら」

     ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ

             「それとも――――――」

考え事をしながら登り始めて、およそ五分後。
前方に立て看板が見えてきた。
どうやら、ここが『山頂』らしい。

        ザッ

「――――――『登頂完了』ね」

さすがに絶景は臨めないが、眼下に見える湖と、
そこに掛かる木製の橋は、なかなか風情がある。

        パシャッ

山頂を背景に、スマホを構えて『自撮り』する。

472薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/03(日) 23:35:48
>>471
山頂には先客がいた。
駐車場に自転車が一台停めてあったので、事前に予想はできたかもしれない。

茶色とベージュで統一された地味な服装の男性。歳は20代くらいだろうか。
背は高くも低くもなく、痩せても太ってもおらず、おおよそ特徴というものが見当たらない体格。
男性は後からやってきたあなたの方を振り返り、会釈をする。
何かを言いたそうな黒い、深淵の底のような瞳が印象的だった。


男性は『盾』のような……いや『盾そのもの』としか言いようのない物体を左手に持っている。
子供向けのオモチャだろうか?だが、あなたはその『盾』に見覚えがあるはずだ。

それは、先日『ニンゲン』を名乗る者によって強制的に参加させられた謎のゲーム、
その中で襲ってきた三人組の盗賊のひとりが持っていた『盾』とそっくりだった。

473美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/04(月) 03:54:30
>>472

写真を撮った後、少し遅れて『先客』に気付く。

「――――こんにちは」

     ニコッ

向き合う男性とは対照的に、一分の隙もない完璧な笑顔で会釈を返す。
そして、まず視界に飛び込んできたのは『盾』だ。
最初は疑問に思っただけだった。
真贋は別として、普段から持ち歩くような品物ではないし、
風変わりな『アウトドアグッズ』でもないだろう。
それを持参する理由が思い付かない。

「…………?」

しかし、何故か引っ掛かる。
記憶の片隅に、無視できない何かを感じた。
その正体を理解した時、頭の中でピースが嵌まる音が響く。

「あの、ちょっとお尋ねしたいんですけどぉ……」

「もしかして――『知らない誰かに閉じ込められた事』ってありません?」

常識で考えれば妙な質問だが、彼が『参加者』の一人だったなら、
これだけでも何を言わんとしているかは察しがつくだろう。

474薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/04(月) 12:32:26
>>473
「どうも」

サイクリングは薄島の趣味のひとつだ。
特に自然の中を一人で散策することは、普段人間の相手ばかりの
毎日の気疲れを癒すのに最適だと思っている。
山中の人目の付かないところで『イカルス・ライン』の射撃の練習もしているのだが……。

『イカルス・ライン』は『弓使い』のスタンドだ。この『盾』は『的』にちょうどいいのだった。
木にこの『盾』を括りつけて狙う──そうしてスタンドの練習をしているのだ。
あなたが目敏ければ、『盾』に何かで穿たれたような穴がいくつもあることに気付くだろう。

そんな練習をしていたが人が登って来たのでやめた、というのが今の状況だった。

「あー……急に始まって急に終わって、ギフト券を10万円分もらいましたが。
『VISITORS』だったか。何だったんでしょうね」

その男はまさしく参加者のひとりだった。

「知ってるってことはあなた……でも『ニンゲン』さんじゃあなさそうだ。
私以外の6人の誰かですか。私は『ヤガモ』です」

475美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/04(月) 17:09:35
>>474

『盾』の表面に穿たれた穴には気付いたが、
相手の雰囲気を察し、今は言及を避けておいた。

「『ヤガモ』――――」

立てた人差し指を口元に添わせ、緩やかに記憶を辿る。

「確か『仕事先』で巻き込まれた方ですよねぇ。
 実を言うと、私も同じ境遇だったんです。
 仕事中に『アレ』がありまして……」

当時を振り返り、苦笑いを浮かべた。

「『部屋』の受ける影響が、
 『ゲームと現実で繋がってる』って聞いた時は、
 思わず血の気が引いちゃいましたよ。
 高価な機器が色々ありましたから」

ミキシングコンソール、モニタースピーカー、コンデンサーマイク。
途中で終了した事も手伝い、結果的に破壊を免れた。
弁償する必要がなくなったのは救いではある。

「それから『トイレットペーパー』を送ってくれましたよね?」

目の前の彼が『届け先』を覚えていれば、この言葉で分かる筈だ。

476薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/04(月) 18:25:10
>>475
「ええ、ええ……清掃の仕事で向かった他所様のアパートだったもんで、
『部屋はリセットされない』って言われた時はどうしたもんかと思いました。
結果的には毛布くらいで済みましたが」

土足で踏み込まれた靴の跡などの汚れも発生したものの
もともと清掃で来ていたので予定通り仕事するだけで済んだのは幸いだった。
もしアパートの建て替えが必要なほどの被害が生じていれば、
二つある臓器の片方が無くなっていたかもしれない。

「あーなるほど。役に立つわけでもない高額機材が。
そりゃおっかないですね……お互いに無事でよかったものです」

安堵の気持ちを共有する。
薄島のいた部屋には高価な家財はなかったが、
他人様から預かった部屋で大事が無くて本当に助かった。

「ということは『カナリア』さんか。
いやぁ、まあ余っている品を送りつけただけでして。
情報を出したくないのか、せっかくの一日一回の日記を無為に書く人がいるなと思ったから
情報共有に積極的だと思った人へお礼を送ってみよう……という試みだったんですが。
そちらからの情報には助けられました」

薄島は相手が出したくないと思っている情報を引き出す──『交渉術』が得意ではない。
あのゲームの時は、その辺りで後れを取っている感覚があったため
お互いライバルよりも仲間として『情報を共有し合おう』という機運を醸成して補おうとしていたのだった。

477美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/04(月) 19:22:13
>>476

「あはは……『値段』もそうですけどね、
 『スケジュール』に支障が出なかった事にホッとしましたよ」

あの場所は『スタジオ』であり、そこに置いてあるのは全て『局の備品』だった。
それらが壊れたとなると、その後の予定に穴が空きかねない。
もちろん対策はされただろうが、何事もないのが一番だ。

「あれにはビックリしましたよぉ。
 まさか『品物が運ばれてくる』なんて思わなくて。
 でも、元気づけられました。
 物資が限られた状況で譲ってもらえたんですからね」

『上手く活用できたか』と言われると微妙な所だ。
あの時の『ヤガモ』自身が言っていたように『粗品』だったし、
そもそも使う前にゲーム自体がシャットダウンされてしまったのだから。
しかし、『隔離された空間に物資が届く』というのは、それだけでも有り難かった。

「私の『情報』がお役に立てたなら何よりです」

『メディアに携わる者』として、
『情報』を通して『誰かを助けたい』と思う気持ちがあった。
それゆえに、ささやかな『アドバイス』を流したのだが、
こうして同じ『参加者』と顔を合わせると、
その判断が正しかった事を実感できる。
『カナリアは生かす価値がある』と気付かせる事で、
『交渉』を有利に進める打算もなくはなかったが。

「そうそう――せっかく会えたんですし、『これ』渡しておきますね」

        スッ

名刺入れから『名刺』を一枚取り出し、『ヤガモ』に差し出す。

「――――よろしくお願いします」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

        星 見 F M 放 送

         *   *   *

        Electric Canary Garden

         *   *   *

      パーソナリティー:美作くるみ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そのような『所属』や『肩書』が記されている。
片隅には手書き風のイラストが添えられていた。
『電気コード』の付いた『デフォルメ調の小鳥』だ。

478薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/04(月) 19:56:22
>>477
「まあ、そういう『特殊技能』でもあったんで、活用しないとね。
……『スケジュール』ですか」

高額機材といい、なにか芸能関係の方だろうか?
そう思っているところへ名刺を渡される。

「ほう、星見FM……たまに聴きますよ。
配送の仕事をすることもあるので」

趣味のサイクリングにしろ、仕事での運転にしろ
ハンドルを握っている時におあつらえ向きなのが『ラジオ』というメディアだ。
残念ながら星見FMだけを聴くわけでもないし、彼女のファンというわけでもなかったが……
それは『言わぬが花』か。

「すみません、職業柄お返しの名刺を持っていなくて……」

バツが少し悪そうに懐からメモ帳を取り出すと、さらさらとペンで書いて手渡す。


薄島 漣
       080-****-****


「配送だの清掃だの、地味な仕事ばかり点々としています。
少し古い言葉ですが『フリーター』ってやつですか。
薄島 漣(すすきしま れん)です」

479美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/04(月) 20:41:46
>>478

手渡されたメモ用紙を受け取り、そこに書かれた文面に目を通す。

「ご丁寧にありがとうございます。『薄島さん』ですね」

『人脈』は広い方がいい。
特に『スタンド使い』の人材は。
個人としてだけではなく、『門倉派』としてもそうだ。

「現代は『ネット社会』ですけど、
 大きな災害が起きた時に役立つのが『ラジオ』ですから。
 いざという時に必要とされる重要なメディアなんですよ。
 安定して受信できるだけじゃなく、『情報の質』という意味も含めてです」

今はネットに繋がってさえいれば、大抵の情報は手に入れられる。
しかし、情報の数が大量になると、
『フェイク』や『誤情報』の流布も増える事は避けられない。
ましてや非常時ともなれば、尚更その傾向は加速してしまい、
さらなる混乱を引き起こす原因になってしまう。
それ以前に、ネットが使えなくなる可能性も有り得るのだ。
緊急時であっても機能し、情報に『一定の質』が維持される『ラジオ』の需要は、
現代社会においても決してなくなる事はない。

「ところで、薄島さんは『ああいう事』には慣れてらっしゃいます?
 ええと、『スタンド絡み』の件について。
 私は……まぁ、なんというか『触り程度』なんですけど」

こうして会えたのも何かの縁かもしれない。
多少の『情報共有』はしておいて損はないだろう。
ただ、薄島の認知度によって、話す内容は変わってくる。

480薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/04(月) 21:28:13
>>479
「なるほど。確かに発信する側の設備と、受信する側の機器さえあれば聴けますからね。
しかし『情報の質』というのは……まあ難しい話ですね」

『何かを言いたげな目』で美作を見る薄島。

なにをもって情報の質とするか。それを決めることは難しい。
かつて郵便屋だった薄島。郵便配達員には『通信の秘密』を遵守することが求められる。
それは『どんな情報が伝達されているかに関知しない』ということであり、
たとえ邪悪なやり取りが行われていようと『全て素通しする』ということだ。
それは警察のような国家権力すら協力を求めることのできない、重いものだった。

「それは『フィルタリング』ということですから。
そこに善意がなければ、容易に堕落するものですし」

個から個への通信を右から左へ素通しするだけの薄島のような郵便屋と違い、
多数の公共へ発信する美作らマスコミには素通しなど不適切なばかりでなく、物理的にも不可能だ。
そこにはどうしても発信者による『フィルター』がかかる。
『フィルター』の『質』とはなにか?

「……失礼、釈迦に説法ですね」


「スタンド絡みの件……ですか。
残念ながら私も『ああいうの』はこの間のアレが初めてですよ。
まあ仕事柄、噂程度に耳に入ることはありますが……」

あちこちをウロチョロしているので色んな物事や人との接点は得やすい。
人に深く関わらない性格ゆえ『そうと知らずに出会って別れた』こともあったのかもしれない。

「そういえば……この間は路地裏でおかしな女を見かけましたね。
群れをなす野良猫に襲われながら、傘一本でそれらをちぎっては投げていました。
両者ともスタンド像らしきものは見当たりませんでしたが、アレもスタンド絡みだったのかな……?」

481美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/04(月) 23:15:57
>>480

「おっしゃる通りです。
 その為に『電波法』や『放送法』という決まりがあり、
 『電波の使用』には客観的かつ明確な定義が定められ、
 問題が生じた際に及ぶ『責任の所在』が明らかにされています。
 そして、それらを以てしても『絶対確実』は有り得ない。
 他のメディアと比較した場合の『相対的な評価』に過ぎません」

美作くるみは『何か言いたげな顔』はしていなかった。
にこやかな表情を崩さないのは、薄島のように『生まれつき』ではない。
経験と訓練によって培われた『技術』だ。
しかし、言葉には『真剣さ』が込められている。
目の前にいる男性は『ラジオ』に――『美作くるみの生きる世界』に一石を投じているのだ。
それと真剣に向き合わずして『メディア関係者』は名乗れない。
『リスナー』を大事にせずに『パーソナリティー』を名乗れはしない。

「『放送の倫理』については、私も常日頃から考えています。
 いえ…………『この仕事』を続けている間は、
 ずっと考え続けなければならない問題でしょう。
 実を言うと、ここに来るまでも考えていたんですよ」

薄島が何気なく口にした問い掛けは、
美作の『スタンド使いとしての本質』をも突いていた。

「例えば、私に『社会を混乱に陥れる力』があるとします。
 それを実現するのは至って簡単で、不用意に証拠を残す事もありません。
 そして、『その力を活かす事』を、私は心から望んでいる」

『例えば』と前置きしているが、全て『事実』だ。
やろうと思えば、世間を騒がせる事くらいは幾らでも出来てしまう。
それも『ノーリスク』で。

「でも――――私は『そうしません』。
 これから先も決して実行しないでしょう。
 私の『キャリア』に誓って、それだけはお約束します」

口先だけなら何とでも言える。
そう思われても当然だろう。
だが、『断言』する。
『今だからこそ言い切れる』と言うべきか。
『プラン9・チャンネル7』という力。
圧倒的であるからこそ、『モラル』を欠いた使い方は出来ない。
同時に、この才能を華々しく『開花』させたいという強い願望がある。
この葛藤、ジレンマ、苦悩は、他人には理解しがたい領域かもしれない。
『力の使い方』に悩み苦しみ、ようやく『道』を見出した今だからこそ、『断言』できるのだ。

       美作くるみの表情は、『そういう顔』だった。

「…………話が逸れましたね。
 メディアが間違いを犯した時は、薄島さん達に『声を上げる権利』があります。
 それを躊躇わずに行使して下さい。
 『より良いメディア』を、ぜひ私達と一緒に作り上げて下さい」
 
「これは私からの『お願い』です」

そこまで言い終わると一礼し、少し間を置いて口を開く。

「――――薄島さんは『アリーナ』という組織をご存知ですか?」

482薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/05(火) 00:10:08
>>481
「……なるほど」

微笑む。
薄島の闇の底のような瞳が、眩しいものを見るかのような笑顔に変わった。
その眼差しが伝えるものは『敬意』。『何か』ではなくはっきりと見て取れた。

「それは私個人に対してというより、ラジオの向こうの人たち……
いやそれ以外も含めた『世間』みんなに対する宣誓ですかね。
『リスナーを代表して』……というのは僭越ですが、ええ、確かに聞きました」

彼女の番組のファンでもない自分にその資格があるかはやや怪しいが、それを言うのは野暮か。

薄島にはもちろん美作のスタンド能力まではわからない。
ただあのゲームに参加させられた以上、スタンド使いではあるのだろう。
仮に放送に何ら関係のない能力であっても『スタンド使いのマスコミ関係者』というだけでも
今の星見町の秩序を乱すくらいはいくらでもできてしまうに違いない。

それを思えば、美作の宣言は立派だと思った。


「わかりました。頼まれた以上は心に留めておきます」

『お願い』を受け取る。
今日まで、薄島は他人に深く関わることを避けてきた。
『イカルス・ライン』が矢として放つメッセージには必ず『矢傷』の痛みが伴う。
わざわざ傷つかなくても伝わる要件にはあえて自分が介在する必要はない。
そんな生き方を選んできた。

だが、こうして真摯に語り合って無下にするほど冷淡でもないのだ。


もしも、世の多くの人が彼女のラジオの間違いを正したいと願った時は──

『イカルス・ライン』の欠点は『矢の供給』に困ることだ。
薄島自身の意見を扱うことには向いていない。
矢となるのは原則として『誰かに託されたメッセージ』だ。

──だからその時は、無数の矢が降り注ぐことになろう。


もちろん、今の彼女からはそんなことは想像もつかないが。


「『アリーナ』……いえ、初めて聞く名前です」

483美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/05(火) 22:11:08
>>482

「――――ありがとうございます」

心からの『誠意』を短い謝辞に込めて、焦点を次の話題に切り替える。

「端的に説明すると、『アリーナ』は『スタンド使いの組織』です。
 『全員がスタンド使い』という訳じゃなく、
 あくまで『スタンド使いが中核になっている』という意味ですが……」

「もう少し細かく言うと、幾つかの『派閥』が集まって出来上がっている組織ですね。
 『スタンド使いの闘技場』があって、その運営が活動のメインです」

「私も『アリーナ』が開催する『興行』に、一度だけ『出場』した事があるんですよ。
 例の『VISITORS』に巻き込まれたのは、その後でした」

簡潔な説明を終え、一呼吸つく。
最初は『出場者の一人』だった自分も、今では『アリーナの一員』になっている。
ただし、現時点では『名前だけ』の状態に近い。

「関わりを持つ事になるかは別として、薄島さんも『スタンド使い』であれば、
 存在を知っておいても損はないんじゃないかなと思います」

484薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/05(火) 22:47:33
>>483
「『闘技場』を運営する組織ですか。
しかも実態は雑多な派閥の寄せ集めであると」

スタンド使いを戦わせて興行を行うという商売はいかにもあり得そうだ。
それがそんなにも盛り上がっているとは。自分の耳に入っていないということは
表沙汰で大っぴらに行われてはいないのだろうが。


「闘ったんですか?
それは……失礼ですが、意外ですね」

ラジオパーソナリティーとして表の顔を持つ女性が、裏の闘技に。
しかも実況解説とかではなく選手として参加するとは驚いた。
美作のここまでの態度からも想像がつかない。
実はメディア人としての表の顔を見せているに過ぎなかったのだろうか?

(いや、已むに已まれぬ事情があったのかもしれないしな)


「そうですね、どう関わるかはともかくとして
知っておいた方が良さそうです。詳しく聞かせてください」

485美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/05(火) 23:35:34
>>484

「あぁ、私は『試合』に出た訳じゃあないんです。
 『闘技場』が『興行』のメインストリームなのは事実ですけど、それだけじゃなくて。
 私が参加したのは『競技』なんですよ」

「提示された『シチュエーション』に対して、
 それぞれの選手が『能力』を使って対応し、
 幾つかの項目に分けて『採点』されるという趣向でした。
 最終的に『得点の高い人が優勝する』という流れでしたね」

あの日の事を思い出す。
溢れんばかりの大歓声に包まれて、大きなステージに立つ感覚を。
かつて『アイドル』として活動していた時代と重なる心地良い瞬間だった。

「もし『殴り合って欲しい』と言われていたら、間違いなく断ってたと思います」

薄島は知らない事だが、『プラン9・チャンネル7』に戦闘能力は皆無だ。
強い弱い以前に、『戦闘』という行為そのものが不可能。
もっとも、仮に『戦える力』があったとしても、
そういった場は美作の望む『舞台』ではなかった。

「そんな風に、『アリーナ』は『闘技場以外の興行』も行っているんです。
 でも、そういう派閥は『少数派』みたいですね」

それをやろうとしているのが『門倉派』だ。
しかし、そこまで言ってしまう事は躊躇った。
人脈は広い方がいいが、実際に協力してもらうとなると、
やはり『適性』を考慮しない訳にはいかない。
現在は『アイドル候補』を探すのが最優先。
その考えからいくと、薄島は『候補者』には成り得ないだろう。

「それから、場合によっては街の『治安維持』とか、そういった側面もあるそうですよ」

486薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/06(水) 01:31:03
>>485
「へぇ……
そういうスポーツめいたことをしてる団体もあるんですね」

『アリーナ』、思ったより懐の深い組織のようだ。
芸能人が課題にチャレンジする系のテレビ番組を連想した。


(まあ、僕はあんまりスポットライトを浴びるのは好きじゃないけども……)

美作が『薄島にアイドルの適性がない』と見て取ったのは正しい。
それはルックスの面でもそうだし、性格的にも向かないだろう。
そしてそれは『闘技』でもおそらくはそうだ。
薄島は一対一の接近戦より、多対多の広域戦で輝くタイプといえる。

「参加したいかと言われると痛いのはあんまり好きじゃありませんが……
観戦もできるなら、いちど見てみたいですね」

『まずは観客として』。可能なら、それが一番穏当かつ『百聞は一見に如かず』だ。
その伝手を美作が持っているかはわからないが。


「なるほど治安維持活動ですか……うーん」

薄島は『悪事を働く側にも事情があるのではないか』と考えてしまうタイプだ。
正義感をもって自警団のような真似を進んでするのは柄じゃないとは思う。
とはいえ、それは人間らしさの残る『小悪党』に対してのこと。
唾棄すべき邪悪や大被害をもたらしそうな巨悪に立ち向かう者がいるなら、
それを助ける仲間の一人になることは吝かでない。
さらに言えば上述の通り『誰かと組んだ方が能力的にはシナジー』だ。

「正直言いますとね。
スタンド能力が『後衛向き』なもので『前衛』がいた方が能力を生かせるんでしょうけど……
もし『上から正義を押し付けるような』治安維持だったら、あんまり気が進まないんです。
だからそれこそ詳細を聞かない段階で『やりたい』と言える話じゃないですね」

487美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/06(水) 16:39:35
>>486

「それが普通の感覚だと思いますよ。
 『アリーナ』の全体像については、私も良く知らないんですから。
 さっきも言いましたけど、『アリーナ』の『興行』に参加したのは、
 『その一回きり』なんですからね」

『門倉派』としての『興行』は『まだ実現していない』。
『アリーナ』の全容を知らないのも本当だ。
この辺りの認識は、おそらく代表者の『門倉』も同じようなものだろう。

「あ、もう一つありました。
 『アリーナ』主催の『パーティー』に出席した事があります。
 その時は、ただ食事をしながらお喋りするだけでしたけど」

思えば、あの時が最初だったのだ。
『アリーナ』という存在を知り、次に『選手』として出場した。
そして、今では『構成員』の一人。

「ご存知かどうか知りませんが、『夏の魔物事件』というのがあったんです。
 何十年前も前から沢山の被害者が出ていた大規模な事件で、
 私も『解決』に協力させてもらいました。
 ただ、『協力依頼』を出してきたのは、
 事件と直接の関わりがあった人で、『アリーナ』とは無関係です」

「その事件に『アリーナ』が関わったという話は聞きましたね。
 といっても、彼らが主導で動いた訳じゃなく、
 あくまで『バックアップした』という事らしいです」

「かなり大きな事件でしたし、そこで『自分から舵を取らなかった』というのは、
 不用意に動かないスタンスがあるのかもしれません。
 大抵の場合、大きな組織ほど腰は重くなりがちですし」

『魔物事件』には、美作自身も大いに関わった。
その件に『アリーナが関与したらしい』と聞いたので、
『治安維持的な側面もある』と考えたのだ。
これくらいしか根拠はないが、
大規模な事件でも主導権を握らなかった事から、
ある程度の推測は成り立つ。

「もし『観戦』したいのでしたら、私が紹介しますよ。
 私も一度は『出場』した身ですから、
 もしかすると『観戦の案内』が回ってくるかもしれません。
 その時は薄島さんにお知らせしますね」

「実を言うと、後学の為に『観戦』に行った事もあるんです。
 まぁ、なんというか『凄かった』ですよ。
 お客さんの熱気や雰囲気の盛り上がりもですけど、
 やっぱり『試合』となると、お互いに『攻撃』が飛び交う訳で…………」

「『スタンド使いの戦い』というのを初めて見たんですけど、圧倒されましたね」

『扇原映華』と『結城迦楼羅』の試合を思い出す。
あれは『プラン9』では踏み込めない領域だった。
逆に、彼らには踏み込めないのが『美作の領域』なのだが。

488薄島漣『イカルス・ライン』:2023/12/06(水) 20:55:07
>>487
「『夏の魔物』。そんな事件が……。
そうですね、個別の案件の事情を考えた上で
そんな風に依頼を受ける形の方がしっくりきます」

ふんわりとだが輪郭は掴めてきた。
伝手があれば、何かあった時に縁になるだろう。
『夏の魔物』については縁がなく、薄島はまったく蚊帳の外だった。


「それはいい刺激になりそうです。是非とも機会があれば。
スタンドに目覚めてから、いままで一人で練習するしかできませんでしたから」

美作がその道のプロだということももちろんあるのだろうが、
言葉での説明だけでも『アリーナ』の試合の熱さは伝わってきた。
薄島はスタンドに目覚めて結構経つが、実践というものをまだ見たことはない。
スタンド同士の戦いとはどういうものか知れば参考になる。

「それじゃあ、何かあったらさっきの連絡先にでも。
……電話番号だけじゃアレか。SNSの連絡先もどうぞ。
では」

パーソナリティーの仕事中とかでは電話だと差し支える場面もあるだろう。
メモ帳にSNSの連絡先を記して渡し、その場を去る。


(『Electric Canary Garden』か。次のオンエアはいつかな)

ラジオは今まで聴きたくなった時に適当に付けて
やっている番組を聴くだけだったが、せっかくだから美作の番組を聴いてみようか。
そう思いながら山道を降りて行った。

489美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/07(木) 16:55:57
>>488

「これはどうも。
 こちらこそ、あの『ゲーム』に参加していた方と、
 こうして出会えた事を嬉しく思っています。
 もし何かあれば、連絡を取らせていただきますね」

     ニコリ

「薄島さん、ではまた――――」

メモ用紙を受け取り、笑顔で会釈して薄島を見送る。
そういえば、彼が持っていた『盾』を見て、困った事を思い出した。
今、美作の手元には『サーベル』があるのだ。
『銃砲刀剣類登録証』を申請しようとしたのだが、
対象になるのは『日本刀』のみで、それ以外は認められないらしい。
とりあえず自宅に置いてあるものの、どうするべきか。

「まさか『ゲームの世界から持ち帰ってきた』なんて言えないし…………」

おいおい考えるとして、今は『他にやるべき事』があった。

         パシャッ

薄島に会う前に撮影した『自撮り写真』。
それを改めて撮り直す。
今の方が『いい表情』が出来るような気がしたからだ。
そうだとしたら、きっと薄島と話したせいだろう。
心の中にあった『わだかまり』が一つ解消できたように思える。

「――――やっぱり『こっちの方』が写真映りいいじゃない」

490宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/07(木) 17:37:18

寂れた神社に一人の男が佇んでいた。
カーキ色の作業服と革手袋を身に着けている。
足元を覆うのは無骨な安全靴だ。

「『見込みは薄い』と思っていたが――――」

周囲を見渡し、境内を歩き始める。
やがて辿り着いたのは石垣の一角だった。
『あの男』は、そこに座っていた筈だ。
『暗灰色の瞳』に『乾いた光』を湛えた男。
酷く『冷えた目』を持っていた事を覚えている。
『殺手のマテリア』と『同じ目』だった。
そして、今は『俺の目』も似たようなものだろう。

「やはり『いない』ようだな」

胸ポケットから小箱を取り出す。
箱の前面には『ココアシガレット』と書かれている。
昔からある駄菓子の一種だった。

「――――少し『待つ』か」

あの日、『あの男が座っていた場所』に腰を下ろす。
一度しか会っておらず、約束もしていないような相手と、
本気で再会できるとは考えていない。
『待つ』というのは『ここに来る誰かを待つ』という意味だった。

491ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/08(金) 11:02:37
>>490(遅レスとなりますが、宜しくお願いします)


 コツ
    コツ
         コツ……
 
   「―――『蝙蝠』……」

境内に、一人の人影が新たに訪れる。貴方に、宗像に気づいてる様子は無い。

頭上に首を回し、何か探してる素振りだ。そして、恰好も頭まで隠すフードで
顔は包帯で覆っており、異様だ。

 低い声は、一言そう空飛ぶ存在の名を唱えていた。
貴方にも、つい最近記憶に焼き付く呼称だろう。

 
 コツ コツ コツ チャリン……

 男性らしい、素性も不明な人物は賽銭箱に近づくとズボンから
剥き出しの小銭を数枚掴むと、箱に投げ込む。

 (……神頼みしか、今は縋る方法が皮肉にも他に余り無い)

幾らか町を練り歩いてみた。だが、『蝙蝠の男』の情報を得る事は叶わなかった。

 残るは、『小林』の頃の伝手だ。だが、それはノエにとって禁じ手であり
決して選ぶ事は出来ない。

 (『ロダン』にも、この話はするべきか? ……情報網は広いだろう。
だが、オレに出せる対価は今は無い)

 賽銭箱の前で、考え込む。思考に没頭してる為に宗像が
声を掛けるか近寄らない限りは意識を向けないだろう。

492宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/08(金) 14:33:54
>>491

あの日、ここで『殺し屋』と出会った男がいた。
今は、その男自身も『同業者』だ。
仮に、『殺し屋になった男』が『あの日と同じ場所』にいたとして、
『男と出会う者』は『同じ道』を辿るのか。
何の根拠もない迷信じみた話だが、数日前から漠然とした疑問を感じていた。
俺が『ここ』に来たのは、それを確かめる為だったのかもしれない。

          ビリィッ

賽銭箱の前に立つノエの後方で、不意にビニールを裂くような音が響いた。
ココアシガレットの包装を破いた音だ。
それに反応したなら、石垣に腰を下ろした人影にも気付けるだろう。

「――――『願掛け』か?」

『あの日に聞いた問い掛けと似た言葉』を、包帯の男に投げ掛ける。

493ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/08(金) 15:59:18
>>492

> ビリィッ

クルッ

振り返り、片手を服の内側に触れるように手を差し込める。

服の裏にはペットボトルを括り付けている。中身は湖畔の水だ。

>『願掛け』か?

石垣に座る人影を見て、包帯から覗かせる琥珀色の目を僅かに細めて
手の動きは止まるものの、下す事は無い。

夢の中の人影と、その人物の背格好は一致しない。
いや、あの蝙蝠の男が姿形を変えられるなら、夢の中の人物像に意味は無いが。

「……あぁ」

「『蝙蝠』を探してる」

(どうオレの言葉に反応する)

雰囲気や気配は、只者で無いと直感が囁く。

オレを、蝙蝠の男は把握してないだろう。小林は死んだ
ノエのオレを知る術は無い。だが、奴の仲間にそう言う能力者が
万が一でも無い可能性は、疑うべきだろう。

 警戒は崩さず、男の動きを注意深く見定める。

494宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/08(金) 16:46:10
>>493

身なりの異質さは気にならなかったが、相手が取った行動には注意を引かれた。
反射的な動作にしては、妙に手慣れたものを感じる。
そこから汲み取れたのは、『場数を踏んだ者の動き』だ。

「水を差すようで悪いが、見つけるのは難しいだろうな」

包帯の男から見て、『俺の目』には何が映っているのか。
そこにあるのは『乾いた光』か『冷えた眼差し』か。
俺に知る術はない。

「俺の知識が間違っていなければ、この時期は『冬眠』している筈だ」

今は『真冬』だ。
蝙蝠が活発に活動する季節は、とっくに過ぎてしまっている。
常識で考えるなら見つかるとは思えない。
だが、目の前の男は『蝙蝠を探している』と言う。
不可解な話ではあった。

「それとも『蝙蝠に似た何か』の話か?」

『季節外れの蝙蝠』から頭に浮かぶのは、
『カーディナル・シン』と呼ばれた『スタンド』だった。

495ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/09(土) 22:22:49
>>494(レス遅れ失礼しました)

男の瞳の光の色合いを、ノエがどう解釈して推測を立てるか。
 答えを出すには半日以上の時を有する必要がある。

その目の色合いよりも、まず先に男の言葉に対してどう返すか。重要なのは其処だ。

明らかに『蝙蝠』に対して強く反応はしてない。『クロ』では無い。

だからと言って、明け透けに自分が蝙蝠に変化する男の事を
洗いざらい告げるかと言えば、否だ。手前勝手な目的で探してるが
 その相手の危険性を熟知してるなら、吹聴するのは下の下の策でしかない。

「……そうだな、あんたの言葉は正しい。見た目通りに
オレは頭の中も普通じゃないんだろう。
 『普通の人には見えない蝙蝠』、そんな代物を探してるって言うなら」

「あんたは、どう思う?」

 さらに、深堀りするように言葉を重ねる。

深く、この話題を追求しようと思ったのは、その対峙する男の気配が
自分と同じく陽の光が当たらぬ陰りの匂いを無意識に嗅ぎついた故か。
 または、暗中の中で手あたり次第に手応えを求めたからかも。

 とは言え、言葉の賽は投げられた。もう戻す事は出来ない。

496宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/09(土) 23:16:57
>>495

大方の察しはついたが、腑に落ちない点もある。

「今の言葉は『限られた人間には見える』と解釈した」

俺が対峙した『カーディナル・シン』は、
『血肉』を取り込んで『実体化』したスタンドだった。
そうだとすれば『一般人』にも見える筈だ。
だが、異常な『しぶとさ』を含め、『ハイネ』には謎が多い。
あるいは、単に発現するだけなら、『実体化は不要』とも取れる。
いずれにせよ、未知の何かがあったとしても不思議はないだろう。

「簡単に探せるものではないだろうが、
 少なくとも『真冬の蝙蝠』よりは見込みがあるだろう」

村田の話では、奴は『手駒』を増やしている。
『方法』は聞かなかったが、『威武』から得た情報と繋ぎ合わせれば、
それを推測する事は難しくない。
『刀を持った男』、『刀傷』、『増えるスタンド使い』。
総括すると『刀で斬られた者がスタンド使いになる』と考えるのが妥当だ。
そして、人目を引きやすい行動を続けていれば、
いつか何処かで『誰か』の目に触れる事は避けられない。

「『その蝙蝠』なら俺も見た事がある」

包帯の男を見据えたまま、おもむろに腰を浮かし、
座っていた石垣から地面に降り立つ。

497ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/10(日) 13:12:58
>>496

ノエには『カーディナル・シン』の全貌を知る由は無い。知ってるのは
夢で知った群体の蝙蝠から人に代わる事、また村田や黒羽と共闘の際に
見た一匹の蝙蝠、それが恐らく関連してると推測のみ。全て気の迷いで
論破される程の儚い手掛かりのみだ。

ノエには、『蝙蝠』がスタンドであるだろうと推察は出来てる。
だが、それが実体化か非実体化を任意で出来るのか? 元々実体してるのかも
判断出来ない。だが、スタンド使いなら普通の人間には見えない。その言葉で
察せられるだろう。そう見当をつけての問いかけだ。

>『その蝙蝠』なら俺も見た事がある

「そうか」

 腰を浮かせた挙動に反応する事はしない。敵と見定めてるなら既に
仕掛けているだろう。少ない反撃の手口を見せるのには遅すぎるし
その必要は無いと判断する。

「オレは、そいつを追ってる。人相は『幾らか把握』してる
手段まで教える気が無いがな」

「……あんたは、何処までそいつの情報を把握してる?
等価交換だ」

アレは、確かに夢だ。だが、只の夢で無いのは間違いない。

目の前の男が、そいつと何処まで関わってるかは知らない。だが
手掛かりがあるなら、少ない対価だが渡そう。

498宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/10(日) 15:24:35
>>497

握力の具合を確かめるように、『左手』を軽く握り締める。
この『後遺症』は『殺し屋の形見』だ。
俺が生きている限り、捨てる事は出来ない。

「俺は奴と戦った」

あの『仕事』を思い出すと、生々しい『血の匂い』が蘇る。

「話す代わりに、この場で俺と戦ってもらう」

『交換条件』を口にしながら、改めて境内を確認する。
正面に『社殿』が鎮座し、入口の『鳥居』までは『石畳』が通っていた。
その左右には『狛犬』や『石灯籠』が並び立つ。

「個人的な事情で『戦力』が低下しているが、
 その状態で『どこまでやれるか』を確かめておく必要がある」

『左腕の精度』が落ちた事は、致命的ではないにせよ、小さくない足枷だ。
今の状態を踏まえた上で、戦い方を考え直さなければならなかった。
そして、その相手は『熟練者』であるほど都合がいい。

「『練度の高い人間』と『手合わせ』すれば、今後の参考になるだろう」

包帯の男は、相当な『経験』を積んでいると判断した。
先程の自然な動きから、それが読み取れる。
相手に取って不足はない。

「そちらも『準備』は出来ている筈だ」

『衣服の内側に差し込まれた片手』に視線を向け、
ココアシガレットを胸ポケットに収める。

499ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/10(日) 16:22:01
>>498
(本格的なバトルになるまでに、こちらは中断する方針ですが
もし望むのであればバトルスレに移行します)

>俺は奴と戦った

 ピク

「……そうか」

>話す代わりに、この場で俺と戦ってもらう

>『どこまでやれるか』を確かめておく必要がある

「……そうか  ――是非に及ばず
オレもオレの為に、試すのは願っても無い機会だ」

神社なら『手水舎』があるだろう。チラッと一瞬目線をそちらに移したが
特に仕込む事はせず、歩みは『狛犬』の方に向け歩く。
 そして、懐に忍ばせたペットボトルと、ポケットに入れてた残る小銭を
掲げて、告げる。

「立ち位置は、どちらも此処から。合図は、ポケットにコインもあるが……
あんたが好きなやり方で決めてくれれば良い」

 男(宗像)が好きにして良いと言うなら、軽くペットボトルの水を口に
含んだ後に、コインを宙に投げる。落ちたら……手合わせの開始だ。

500宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/10(日) 17:50:43
>>499

包帯の男と向き合うように、反対側の『狛犬』に歩いていく。
互いの距離は『5m』程だろうか。
相手と同時に立ち止まり、掲げられたコインに視線を移す。

「見ず知らずの相手と『殺し合い』をするつもりはない」

いくら寂れた場所とはいえ、『神社』を『血』で汚す事は忍びない。

「どちらかが一度でも『有効打』を命中させた時点で『決着』だ」

死力を尽くした『命のやり取り』においては、
たった一度『触れられただけ』で、『死』に直結する状況は珍しくない。
俺も『そうなる筈だった』。
『アリーナ』が何らかの処置を施したらしいが、
おそらく『死にかけた』というよりは『生き返った』と呼ぶ方が近いだろう。

「――――戦う前に一つだけ聞きたい事がある」

包帯の男の姿が、記憶の中で『熊野風鈴』と重なり合う。
『花屋』の前で奴と対峙した時、こう考えた。
こちらが明確な攻撃行動に出れば、『フォー・エヴァ・ロイヤル』は迎撃するだろう。
そして、向こうの方が速い以上、俺は一撃を食らう事になる。
それを『引き金』として『能力』を発動し、その場で熊野を八つ裂きにする。

「『自立した意思を持つスタンド』についてだが――――」

しかし、俺は『執行猶予』を選択した。
他でもない『熊野のスタンド』によって、
『間接的に助けられた事実』を否定できなかったからだ。
スタンドが『精神の象徴』であるなら、
『フォー・エヴァ・ロイヤル』の言動を、
『本体の良心』と解釈する事も出来る。

「『スタンドの意思』は、どこまで『本体の意識』と繋がっていると思う?」

『アヴィーチー』の一部である『ノコギリザメ』も『自我』を持つ。
それは『スタンド自身の意志』であり、
『本体の精神』が形を成した存在だと言える。
『ノコギリザメ』に宿る『凶暴性』は、間違いなく俺自身の中から現れたものだ。
『事件の現場』で『フォー・エヴァ・ロイヤル』が言いかけた事も、
本体が無意識の内に『真実』を明かそうとしていたのかもしれない。
実情は定かではないが、結果的に俺は『欺かれると同時に助けられた』。
奇妙な話ではあるものの、それは紛れもない『事実』だ。
そうだとすれば、考慮しなければ『義理』を欠く。

501熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/10(日) 22:42:37
>>499-500

その時、人気のないはずの神社に近付く者がいた
ハイブランドのコートに上品な格調のブラウスで身を包んだ女だ
彼女は緊迫感が満ちる境内へと近づき・・・・そこで見知った男性がいる事に気付いて笑みを浮かべた

「あら? ふ、ふふふ・・・・」

502宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/10(日) 23:00:57
>>501

(※ノエPCとのやり取りが終わるまでは、そちらに対しては反応できる余裕がない。
  終わった後であれば、おそらく反応できると思われる。
  または『一方的にやり取りを見ていた』などの形にしてくれても構わない)

503ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/11(月) 12:19:59
>>501-502(レス遅れ失礼、宗像PCと同上の意見です)

>どちらかが一度でも『有効打』を命中させた時点で『決着』だ

その言葉に無言でコクリと頷く。
 『ゼロ・モーメント』は本来、相手に披露した時点で『敗北』に近しい。
奇襲によって最大の効果が発揮すると考えてるし、目の前の男の申し出を
普通ならば辞退するべきなのか賢い。だが

(『運命』は何時であれ自分を優遇などしない。未来を手繰り寄せるのは
己の力を最終的に発揮しない事には)

蝙蝠の男と対峙した時、幸運に雨が降るか? 水場が近くにあるか?
 弾丸に出来る程の大量の水を、仲間を備えてるか?

運では勝利を手に出来ない。一人では白星を手にした事も未だ覚えが無い。

(『ゼロ』のままに 何を成せるか……何を得れるか)

コインを投げる前に水を含もうと、腕を上げ。そして、男の問いかけに
暫く口閉ざす。気を害した訳では無い、答えを紡ぐのに暫し考えを整理した。

>『スタンドの意思』は、どこまで『本体の意識』と繋がっていると思う?

「……難しい問いだな」

自立した精神の意思。それで思い浮かぶのは、あの黒い影法師
討つ事は叶わなかった。そして、魔物の手によって夏の象徴へ変化し
本体と分離した存在(エド・サンズ)。小林は、言葉を交わす機会は
あの騒動の状況だとほぼ無かったが、それでも記憶に強く残ってる。

最近でノエが遭遇した事件で思い出すなら『ナイトメア』だ。
 あれは自立、と言うよりは自動操縦と言うべきだろうが
少年の苦しみを緩和する為に産まれたものだった。

『ゼロ・モーメント』は群体だ。意思は存在しない、ただ自分の意思の任意で
動き、硝子の球の弾となる。彼が求める答えの一助に足りえない。

「……オレ個人の考えに、なるが。
『自立』されたスタンドならば、その時点で本体との繋がりは
『意識』と言う意味合いでは無いと思う。だが、少なからず
『心』の繋がりはあるんじゃないか? 表面的な繋がりじゃない
もっと根深い部分で……」

「……長話をし過ぎたな」  ゴキュ


           ――ピィンッ

答えを言い終えると共に、ペットボトルの水を口に含みコインが指から弾かれ
宙を舞う。回る硬貨の光が鈍く空の陽に反射しつつ……地面の石畳へ接触しようとする。

504宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/11(月) 14:45:20
>>503

『熊野風鈴』は十中八九『りん』から手を引かない。
おそらく『警告』は無駄に終わるだろう。
それは最初から明らかだった。

「――――『貴重な見解』だった」

だが、包帯の男が言うように、
本体とスタンドの間に『根深い心の繋がり』があるなら、
『僅かな可能性』は残されているのかもしれない。
『スタンドが本体を止められる』とは思わないが、
『フォー・エヴァ・ロイヤル』には『借り』がある。
『借りを返す』という意味でも、あの場で仕掛ける事は出来なかった。
しかし、『一度だけ』だ。
『二度目』はない。

「俺の名は『宗像征爾』――――」

太陽光を反射しながら空中で回転するコインが、
冷え切った石畳に向けて落下していく。

      キィンッ

まもなく、金属質の音が境内に響いた。
周囲が静かだった事もあり、その音は意外に大きく聞こえる。
境内の外にいた者にも聞こえただろう。

       アヴィーチー
  「これは『無間地獄』だ」

            ズ ズ ズ ズ ズ

開始の合図と同時に『自らのスタンド』を発現する。
『ノコギリザメの意匠』を持つ『右腕』に、
長大な『鋸』を備えた人型のヴィジョンだ。
一方、『左腕』には全体的に『罅』が走り、何らかの『前兆』を思わせた。

         ザ ッ

相手の動向に注意を払いながら『アヴィーチー』を半身に立たせ、
最大まで展開した『鋸』と『右腕そのもの』を『盾』にするように構える。
これは『訓練』だが、仮に『実戦』なら『一撃で即死』だ。
積極的に攻め込んで相手の攻撃を誘い、
『発動条件』を満たすのが『アヴィーチー』の常套手段だが、
瞬時に決着する状況では慎重に立ち回らなければならない。

505熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/11(月) 16:52:11
>>503-504

「・・・・・・・。」

そこに居たのは2人の男(?)たち
いや・・・・一人は顔に包帯を巻いているせいで生物も明らかではないのだが
どちらにせよ互いに尋常の人間でない事は確かだろう

「ふぅん・・・・・」

境内に流れる剣呑な気配を感じ取り、物陰で息をひそめる熊野
彼らが対峙する様子を見ながら、唇が不満の形に突き出される

「何、あれ・・・・・」

彼らは戦いに臨んでいた・・・・そう、『戦って』いるのだ

「私には・・・・何もしてくれなかったくせに」

だからこそ・・・・熊野の心の中には腹立たしさがあった
宗像という男が、自分ではなく『包帯男』を害そうとしている事に不満があったのだ

「ま、いいか
 宗像さんには『素敵なプレゼント』を用意しているのですもの」

ポケットの中に突っ込んだ『スマートフォン』を弄りながら
彼らの戦いの決着が着くのを見守る

506ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/12(火) 12:11:09
>>504


        アヴィーチー
  「これは『無間地獄』だ」


    ゴゴゴゴゴゴゴ・・・ッ

(人型…右腕は『鋸』、見た目は完全に近接に秀でていると感じられる)

『ゼロ・モーメント』の神髄、それは水中及び水源が豊富な足場でこそ発揮される。

 だが、この場ではそうでない。仮想敵が『蝙蝠』の使い手である以上
宗像が考える思考と奇しくもノエは合致している。全ての攻撃がほぼ致命傷
になると考え、臨まないといけない。

 (なら、決めるべき行動は ――ただ一つ)

        ――タンッッ!

動くのは、横か? 後ろか?  否!  『前進』だっ!!

『アヴィーチ』へ、無謀にもスタンドを何処にも発現する様子も無く
包帯男は自殺志願の如く駆ける! 距離は、今のスタートダッシュで
3〜4mに縮まったと思える。

507宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/12(火) 16:21:57
>>506

何故『スタンド』を出さないのか。
あるいは、既に出しているのかもしれない。
いずれにせよ、『一撃で決着する』という状況で接近してきた以上、
『無策』である筈はないだろう。

「自分が不利な状況では、人間は強く警戒する」

包帯の男は『熟練者』だ。
そうした相手は往々にして、対峙する者の『裏』を突く。
あらゆる行動の中には、常に何らかの『布石』が仕込まれている。

「だが、有利な状況になると警戒が緩み、つけ入る隙が生じる」

純粋な接近戦では、おそらく『アヴィーチー』が有利だろう。
だからこそ、俺を油断させやすい。
『相手に有利だと思わせる事』は、確実に不意を突く上では欠かせない行動だ。

「だから敢えて突っ込んできた」

その場から動かず、前進する相手を注視しながら浅く腰を落とし、
体勢を安定させて『タイミング』を計る。
俺自身、攻める事で敵の攻撃を誘う場面は多い。
『あからさまな突撃には裏がある』と判断した。

「――――違うか?」

少なくとも『水』を使う事は分かっている。
衣服の内側に片手を差し入れた動作と、
そこから取り出されたペットボトルから、
『水』が重要な意味を持つらしい事は推測できた。
当然の帰結として『現時点で水が存在する場所』を警戒しなければならない。

508ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/12(火) 16:44:44
>>507

 >――――違うか?

それに対し、ノエの答えは『行動』で示される。

 距離 『アヴィーチー』との間隔は約2m程。そこで、歩みを止めると共に
止めるまでの走った勢いのままにペットボトルを投げる。

それはアヴィーチーを盾にしてる男(宗像)向けてか? 
 いや、スタンドを盾にしている相手に向けて単調な投擲は通じない!
アンダースローからの……アヴィーチーより更に頭上! 空目掛け!!

 この行動が成功するなら、凡そ5〜6m程アヴィーチーの頭上を越えて
ペットボトルは宙を舞うだろう。

(敵の選択肢を、狭める。近接操縦型スタンドである確率が高いならば
そう言ったスタンド使いはスタンドへ割くリソースは大きく占める。
 故に、頭上のペットボトルを警戒して行動をするか。或いは
一見無防備であると見えるオレを狙うか、二つの動きに絞らなければいけない。
どちらを警戒して対応しようと動いても『オレに優位になる』)

509宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/12(火) 18:07:29
>>508

『投擲』は成功し、狙い通りの軌道で投げる事が出来た。
放物線を描くペットボトルは、現在『アヴィーチー』の上空に位置している。
無論、その動作を見落とす理由はない。

  「『搦め手』が得意なようだが――――」

             ダ ン ッ ! !

                  「それを使われる前に終わらせる」

ペットボトルが投げられた瞬間、足元の石畳を踏みしめて前方に跳躍し、
大型肉食獣並みの『体当たり』を仕掛ける。
『跳ぶ為の準備(>>507)』は既に終えていた。
『2m』という距離は、たった一度の跳躍で十分に埋まる距離だ。
前進する事によって、頭上から来るであろう攻撃を逸らす意図もある。
仮に相手の攻撃が速かったとして、こちらの攻撃も『一動作』で済む。
相手は『動いた後』だが、こちらは『動く前』。
立ち止まった直後の無防備な『静止時間』を狙い、確実に命中させる。

「俺は正面から攻める事しか出来ない」

予想される『本体からの攻撃』は、
ダメージフィードバックのない『右腕』を盾にして防ぎ、
痛みを意に介さず突き進む。
共通点は『水』。
警戒するのは『水を含んだ口』だ。

510ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/12/12(火) 18:43:03
>>509


『体当たり』

 近接型のスタンド、パワーに自信あるだろう体躯。
成程、理にかなった攻撃だ。初動の準備も、抜かりなく行っている。

恐らく、オレより死闘と言う点で自身より上の場数を踏んだであろう。
 小林は、常に隣に共闘者が居た。この男のように激闘に身を置ける資格を
有する強力な力なら、それを必要とせずとも生き抜けただろう。

 スタンドの突進である以上、避けるにしても常人である自身の肉体では
相手のスピードが例え同等であれ一度ペットボトルを投げるのに
立ち止まるのを選んだ自分では直撃こそ避けれても、完全な回避は出来ない。

 >俺は正面から攻める事しか出来ない

             『奇遇だな』

      『オレも』         『似たようなもんさ』

 宗像には、声は複数から聞こえただろう。
一つは、予測してた通りに包帯男の口……それと、『頭上』だ。

 メ欄:口3 ペ2

 『ペットボトルに二体』 『口の中に三体』の『ゼロ・モーメント』を
備えてる。そして、それを瞬時に『硝子(死滅回遊)弾』へ化す事は可能だ。

 (『鋸』への攻撃は、無意味……であるなら  ば!)

口の中の『ゼロ・モーメント』はゴムボール程のサイズ。それを
アヴィーチーの『両足』! 両方の太腿付近へ飛来!(パス精:CBC)

      ――更に

 『もう一発……ッ』

 ペットボトルに入った容量の水、限界サイズまで『死滅回遊弾』生成!

  『死滅回遊    旗立』

 ペットボトルごと、それを宗像の頭上へ落下!(スB)

尚、アヴィーチーへ直撃するものは攻撃を止めると言う意味合いで
本気で直撃させるつもりだが、宗像本体への頭部への攻撃は。当てる直前には
停止をさせ、解除するつもりだ。
 それでも、弾丸並みの速度。手で頭部を防ごうとしてもペットボトルと言う
重しは軽くてもゼロ・モーメントの速さが勝るだろう。
 アヴィーチーの突進が阻止出来れば、宗像本体への攻撃は『致命傷』の
判定と捉えられても可笑しくない。
 とは言え、アヴィーチーの攻撃を喰い留められなければ、こちらの敗北は必須。
距離と、ゼロ・モーメントの速さがシビアだが。どちらの攻撃も同じタイミング
になれば引き分けにもつれ込めるか……と言う具合か。


(※判定については、そちらに任せて頂き構いません)

511宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/12(火) 20:16:13
>>510

『至近距離』の戦いにおいては、特に『スピード差』が大きな影響を及ぼす。

     ド ヒ ュ ッ !

                ド ヒ ュ ッ !

硬質の『死滅回遊弾』が『アヴィーチー』の両足に命中する。
しかし、既に『跳んだ後』であり、それら『二発のパワー』だけでは、
突進自体を阻止するには力不足だった。
多少は勢いが落ちたものの、互いの距離は急速に縮まり、もはや激突する寸前だ。

「『近距離型』にとって最も厄介なのは、『遠距離からの飛び道具』だ」

『スタンドによる飛び道具』は『五十嵐宙』の『エフェメラル』を思い出させる。
次の瞬間には、上空から『狙撃』される事は理解できた。
『跳躍』という行動を選んだのは、頭上の攻撃を回避する為でもあったが、
自由に操作できるとなれば話が違ってくる。
このまま予定通りに『体当たり』を敢行したとして、
『先手』を打てるかどうかは微妙な所だろう。
今のダメージを『引き金』にして、
『ノコギリザメ』を起動させたとしても意味は薄い。

「だが、距離が近ければ『やりようはある』」

        ド ッ !

ゆえに『体当たりよりも早く命中する攻撃』を繰り出す。
『鋸』の長さは『1m』。
突進の勢いに乗せて『槍』のように突き出す事で、『残りの距離』を一気に埋め、
『上空からの攻撃』を食らう前に一撃を浴びせる。
ただし全力は出さず、適度に加減する程度に留める。
それでも直撃すれば幾らかは吹き飛ぶだろう。



(※この行動に対する判定は一任する)

512ノエ『ゼロ・モーメント:2023/12/15(金) 13:17:12
>>511(レス遅れ大変失礼しました)

>、距離が近ければ『やりようはある』

 吸い込まれるように体の深い鳩尾付近に向かう『鋸』

スピードは、人並みに近い。『ゼロ・モーメント』……口内に一つ
残してるが今の口の水の容量では精々ビー玉か、それより少々大きいサイズ。
 鋸と言う大きい武器を逸らすに至らない。

なら、回避? 後ろへ倒れ込もうとしてみるか? 
 僅かにでも、鋸の当たる時間を防げれば頭上の『ゼロ・モーメント』が
相手の頭部に命中出来る。 そら  体を 動か


         ――あばよ、『小林 丈』。


            …………。



   ドスゥ!


 「っくうっ!!?」  ドサッッ゛


……包帯男は、鋸が命中するまで『微動だにせず』硬直し。そして
アヴィーチーの攻撃は完全に直撃する。加減を宗像がしたなら
 打突の衝撃で後ろに倒れ込むだろうが、胸元が裂かれたり出血するような
重傷にはならない筈だ。数日は、打ち身の青痣ぐらいは出来るだろうが。

 その直後程度で、宗像の背中に僅かに軽い衝撃でペットボトルが
軽く当たる感触と共に石畳へコロンコロンッと転がる音が聞こえる。

 「……負け、だな。オレの…………」

 男(ノエ)は『降参』の言葉を、座り込みつつ力なく唱える。

513宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/15(金) 16:48:26
>>512

『鋸』の先端は『丸型』であり、ただ突き出しただけでは斬撃に至らない。
実質的なダメージは、概ねノエが理解している通りだろう。
完治には『自然治癒』で事足りる筈だ。

「そちらが先に攻撃を食らわせた」

両足に残る痛みを自覚しながら、『アヴィーチー』を解除する。
銃弾のようなスピードだったが、パワーで上回ったのが幸いだった。
しかし、『命中した』という結果は覆せない。

「場合によっては、あれで死んでいる」

地面に転がるペットボトルを拾い上げ、包帯の男に差し出す。

「――――『君の勝ち』だ」

奈落の底を思わせる黒い瞳に虚無の光を湛え、淡々と『事実』を告げる。
『接触のみ』で命を奪われる状況は、『殺し屋』を殺した際に身を以て体験した。
だからこそ、両足に受けた『硝子球』に殺される未来も、十分に有り得ただろう。

514ノエ『ゼロ・モーメント:2023/12/15(金) 18:31:39
>>513

「……どうなんだろうな」

両足の攻撃、それでも尚 怯むことなく突撃を繰り出せた男(宗像)

確かに命中すれば能力が作用するスタンドは幾らでも存在するだろう。
 だが、ノエは持ち合わせてない。たらればの話を幾ら挙げてもキリが無い。

「……『蝙蝠の男』は」

「ダークレッド色の髪、年齢は少年に近い。『マテリア』っての言うのを
得ようとしたがアリーナに邪魔されたらしい。
人相ってさっき言ったが謝罪する。オレが知ってるのは、これ位で
顔は正確にどんな容貌が知らない。年齢も、そいつが肉体の年齢を操れるなら
大した情報にはならない」

 目の前の差し出されたペットボトルを受け取ると共に
見上げつつ情報を出す。

「あんたは、そいつについて何処まで把握してる?」

515宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/15(金) 19:47:21
>>154

包帯の男が語る容貌は、『あの夜』に見た姿と一致していた。

「そいつの名前は『ハイネ』だ。
 スタンドは『カーディナル・シン』」

「『マテリア』は『殺し屋』だった。
 俺は『アリーナ』から奴を排除する依頼を受け、
 その途中で『ハイネ』と出くわして交戦している」

『マテリア』が残した『後遺症』を噛み締めるように、
『左手』を胸の高さに持ち上げて軽く握り込む。

「『蝙蝠』は『実体化』していた。
 実際の『血肉』を取り込んでいるらしい
 奴自身が言うには『穢れた血啜りの群像』だ」

「『蝙蝠』を集める事で『人型』を作り出せる。
 その動きは『パワー』も『スピード』も『常人以上』だった。
 最低でも『二体』を同時に操る力を持つ」

「おそらく『実体化』しているせいだろうが、
 奴とスタンドは『ダメージの繋がり』が薄い。
 『人型』の一体を寸断されても『四肢を失う程度』で済んだ」

「そして、その状態から『自力で復活できる』ような事を口走っていた。
 『損耗は時が癒す』と――――」

『蝙蝠の群れ』や『複数の人型』も脅威だが、奴の『生命力』は異常だ。
それこそが『ハイネ』の強さだろう。
『殺す寸前』までは持っていける。
事実、辛うじて椅子に寄り掛かっていた『ハイネ』は、
まともな人間に当てはめると『瀕死の重傷』に見えた。
しかし、完全に『とどめ』を刺す事は容易ではなく、
取り逃がすと『再起』してしまうとなれば、これほど厄介な相手は少ない。

「――――俺が知っているのは『これぐらい』だ」

一通りの話を終えると、静かに口を閉じる。

516熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/15(金) 20:12:17
>>514-515

包帯の男と宗像の激突は一応の決着が着いたようだ
どうやら、両者は何らかの情報のやり取りをするためにスタンド戦闘という形で交渉を行っていたらしい
一通りのやり取りが終わったところで、さてどうしようか、と考えていたところ・・・・

(『殺し屋』の『マテリア』・・・・?
 『蝙蝠』の『カーディナル・シン』・・・・?)
       キケン
とても・・・・『面白そう』な話が聞こえてきた

(『蝙蝠』のスタンドに・・・・『アリーナ』・・・・『排除の依頼』・・・・?
 ねえ!それってとっても・・・・)

(――――楽しそう!!)

「ふ・・・・うふふふ・・・・・ふふふふ・・・・」

物陰となった林の中から若い女の声が聞こえてくる
その声はあまりにも・・・・そう、あまりにも・・・・

『楽しげ』な・・・・この状況にそぐわぬ声色だ

517ノエ『ゼロ・モーメント:2023/12/15(金) 20:48:41
>>515-516

「……」

 目線で、笑い声の方に顔を向け。

「仲間か?」

宗像へ尋ねる。その傍ら、思考も続ける。

そして、一つの結論に到達する。

「……マテリアを妨害したのは、あんたもだな?
そして、他に仲間に男女が居た。そして、男の方は『村田』……違いないな」

 フゥ……と短く吐息をつく。

夢の中の幾つかの単語、そして宗像の余りに敵を把握してる事を知れば、だ。


(……彼は、やはり。オレよりも遥かに先で闘ってるか)

自分がノエとなった契機に、彼が居た。巻き込んでしまった。


 恨みなんて無い、感謝しかない。でも、それを伝える事は出来ないだろう。

会わせる顔も、資格も無い。

>奴とスタンドは『ダメージの繋がり』が薄い。
 >『人型』の一体を寸断されても『四肢を失う程度』で済んだ

「……四肢、を? でも、奴は携帯で普通に手を使って仲間と連絡」

 あの夢は、間違いなく真実に近い光景だった。だが、彼の言葉も嘘では無い。
ならば、と思い至った事実に手を口に当てて一瞬愕然を示して、予想を口にする。

「――ダメージを『年齢』で肩代わりしてる?」

 驚異的だ。そうなると、見かけだけで相手を探し当てるのは困難だ。

蝙蝠と言う姿に変形し、人には侵入不可能な経路も可能。
 更に相手の血肉を得る。『吸血鬼』に近しい特性の能力。


・・・今のままでは『勝てない』

元々、ノエは単身でどんなスタンド使いにも奇襲などの搦め手を除いて
真っ当に戦って勝てるとは思ってないが。敵の強大な能力の片鱗や
仲間が居る背景も考えれば、小細工でどうにかなる相手で無い事は
再確認出来た。今の、自分がどんな犯罪行為などして事前準備をした所で
奴の足元にすら触れる前に無残に死ぬのは目に見えてる。

「……有難う。あんたのお陰で知りたい事が知れた」

518宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/15(金) 21:13:12
>>156-157

無言のまま林を一瞥し、包帯の男に向かって首を横に振る。

「あの『硝子球』のようなタイプは初めて目にする。
 一つの経験として大いに参考になった」

どういう事情があるのかは知らないが、目の前に立つ人物にも、
相応の『何か』があるのだろう。

          ス ッ

      「俺からの『餞別』だ」

胸ポケットに入れていた『ココアシガレット』を取り出し、それを差し出す。
かつて『ここで出会った殺し屋』から、これを受け取った。
今、『殺し屋となった自分』が同じ物を渡す事に、奇妙な感覚を覚える。

          ザ ッ

にわかに踵を返し、その場から立ち去ろうとする。

519熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/15(金) 21:50:09
>>517-518

「私の時はあんなにもそっけなかったのに・・・・」

物陰から、姿を現す
10代後半くらいの若い女性だ。冬物の衣装に身を包んでいるが
その言動からはただの参拝客という気配は感じられない

「そこの『包帯さん』とはあんなに楽しく遊んじゃうんだ?」

「ねえ、宗像さん」

520熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/18(月) 01:01:39
age

521ノエ『ゼロ・モーメント 』:2023/12/19(火) 11:31:25
(すみません。文面から宗像PCとの
やりとりが先になるだろうなぁと思って書き込んでいませんでした。
こちらは離脱します。お付き合い有難うございました)

>>518-519


 身を起こし、手元のココアシガレットを少し見つめ
離れる男と、少し遠くから身を現した女を見つめる。
 自分の記憶に関連のない姿なのを認めると、そのまま静かに足を動かし
神社から離れる。

 
 『蝙蝠の男』の正体。能力について重要な手掛かりを知った。

そして、自身の知る人物たちが。今も尚 激闘の渦中の中で動いてる事も。

(……今のゼロのオレに、何が出来て、何を成せるのか)

 日々、自分の胸に問いかけている。そして、前にも後ろにも光は見えない。

 だが今日は他の日とは違う。収穫のある一日だったのは確かだ。

止まらずに、歩みを進めよう……小さくながらも、一歩ずつ。

522宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/19(火) 16:43:30
>>519-520

この寂れた神社に、三人もの『スタンド使い』が集まっている。
驚くべき偶然だが、これも『持つ者』の間に働く『引力』の影響か。
それは認めざるを得なかった。

「『取り引き』を果たしただけだ」

背後から聞こえた『熊野風鈴』の声に足を止め、振り返らずに言葉を返す。
こいつが満足するのは『手合わせ』ではなく『殺し合い』だ。
しかし、まだ『執行猶予中』である以上、手を上げる訳にはいかない。

「言いたい事は、それだけか?」

『自立した意思を持つスタンド』は、本体自身と深い部分で繋がっている。
包帯の男が示した見解が正しければ、熊野が『命を捨てない可能性』も皆無ではない。
少なくとも『フォー・エヴァ・ロイヤル』には、
『自らの存在を消滅させない権利』があるだろう。

523熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/19(火) 17:17:35
>>521-522

「あら、行ってしまった・・・・」

勝負が付くや否や足早に去って行ってしまった『包帯の男』を見送る
彼も危険な香りが漂う人であり、それなりに興味があったが・・・・本命は別にいる

「お久しぶりです。宗像さん」

本命はこちらだ。宗像征爾・・・・『ノコギリとサメ』のスタンドを持つ男
彼に対して軽く挨拶を交わす

「本当につれない人
 そんなに冷たいと大切な物を取りこぼしてしまいますよ?
 例えばこんな風に・・・・」

         ぽいっ

そう言いながらスマートフォンを宗像に向けて放り投げる
SIMカードが未挿入のその端末は、近隣のWiFi電波を拾ってSNSの画面を表示していた

           『花の女の子』

それは、複数のSNSや文章投稿サイトに跨って掲載されたとある『怪談話』
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688976640/43)

星見町ローカルの都市伝説を装ってはいるものの、宗像が見ればそこに込められた『悪意』に気づくだろう
この文章は・・・・『スタンド使いに「花の女の子」の花を抜かせる事』を目的に書かれた文章であると・・・・

「力作です。宗像さんにレビューを貰えると嬉しいなぁ」

524宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/19(火) 18:15:28
>>523

投げられたスマートフォンを左手で掴もうとして『取り零した』。
それが足元に落ちると同時に『表示された文面』が視界に入る。
電子機器の扱いには未だに慣れていない。
だが、そこに書かれた内容は理解できる。
熊野自身が明かさなければ、おそらく半永久的に知る事はなかっただろう。

  「初めて会った時に言ったな」

           ズ ズ ズ ズ ズ

               「『程々にしておく事だ』と」

音もなく振り返りながら、傍らに『アヴィーチー』を発現させる。

「『神社を血で汚す』のは忍びないが、止むを得ない」

          ザ ッ

「『熊野風鈴』――――お前には死んでもらう」

右腕の『鋸』を構えて前進し、一歩ずつ間合いを詰めていく。
『執行猶予』が切れた以上、熊野を自由にさせておく理由はなくなった。
『この場で殺す』。
包帯の男に妨害されていれば厄介だったが、今は『一対一』だ。
しかし、もし戻ってくれば『二対一』になる可能性はある。



(※現在の距離を決めて欲しい)

525熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/19(火) 23:33:54
>>524

「あなたのせいだよ・・・・?宗像さん」

「あなたが私の気持ちを弄んだから・・・・」

「人の事を『その気』にさせておいて、自分だけはさっさと帰っちゃって」

「そんな甲斐性なしだから・・・・こんな事になっちゃったんだよ・・・・?」

彼我の距離は『5m』
全力で距離を詰めれば今すぐにでも近接出来そうだ
・・・・・だが

「あの時、私を『殺して』おけば
 こんな風になる事もなかったのに」

     ぐるっ!!

             ―――――ダッ!

熊野風鈴は・・・・宗像征爾に向かって『いかない』!
くるりと踵を返すと、彼から逃げる様に鎮守の森方向・・・・つまり森の奥に向かって走っていく!

「追いかけて来てね!宗像さん!」

「私を逃がしたら、次はもっと大きな事でりんちゃんを追い詰めてみせるから!」

・・・・かつてと今とでは、熊野風鈴と宗像征爾の関係性・・・・状況が違う
かつては熊野の方が『追いかける側』であったが、今は宗像が追いかける番だ
だからこそ・・・・今まで使えなかった作戦が使える

――――即ち、『逃げる』こと

人の手が入った場所とはいえ、鎮守の森は天然自然の障害物が多数存在しており
また、地面には人を転ばしてしまいそうな木の根や石が多くある

             ズギャッ!!

熊野はそれらの障害物を・・・・避けていかない
その代わりに『赤絨毯』を自分の足元に連続発現し、自分の動きを『都合の良い動き』に変えていく
それにより常人では不可能な速さで森の中を歩く事が可能となるはずだ・・・・!

宗像と熊野の進行速度の差を使って、宗像の視線から外れるくらいに距離を取ろうとする。

526宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/20(水) 00:56:11
>>525

脱兎の如く駆け去る熊野の動きを見て取り、
地面に落ちているスマートフォンを拾い上げる。
僅かな時間差だが、この間にも若干の距離が開いた。
それから熊野を追って走り出し、鎮守の森に踏み込んでいく。

「その『絨毯』を出すのが『フォー・エヴァ・ロイヤル』の能力か」

だが、足場の悪い場所では、どうしても動きが制限されてしまう。
一方、『絨毯』の上を走る熊野の速度は衰えない。
『舗装されている』という理由だけではなく、
『都合の良い結果を出す能力』が、一目散に逃げる本体を助けている。
両者の『走行時の安定性の差』によって、確実に距離が広がり始めていた。
このままでは、『見失う』のは時間の問題だろう。

「『怪物』から逃げ切っただけの事はある」

       ドゴォッ!!

完全に姿が見えなくなる前に、なるべく大きな石を見つけ次第、
『アヴィーチー』で蹴り飛ばす(パス精BCC)。
狙いは『熊野の胴体』だ。
苦肉の策だが、現状では他に打つ手がない。
その為、この攻撃の目的は、どちらかといえば『探り』を入れる事だった。
ここで熊野を取り逃がしたとしても、ある程度の情報は得ておく必要がある。

      ――――――熊野風鈴を『確実に殺す為』に。

527熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/21(木) 13:15:29
>>526

「ふふふ・・・・さあ、どうだろうね!?」

       ドゴォッ!!

               「・・・・・・・・・!」

逃走する熊野に向かって蹴り飛ばされる石を見やり、
一瞥した後に、ぷいっと視線を逸らして逃げに徹する

蹴り飛ばされた石の衝撃音と速さから、彼のスタンドの力強さは何となく把握した
この程度の攻撃であれば、『赤絨毯』の特性・・・・『好都合な結果』を出す能力で十分に回避可能だろう

(まあ、少しくらいはヒントを差し上げないとね)

そのまま逃走を続けて宗像からの視界を切り・・・・・山奥へと逃げ去る

          (さて・・・・・)

『仕込み』の時間は5-6分程度あればいい
その間に・・・・・いくつかの『仕掛け』を済ませて・・・・・

「来てくれるかな・・・・・?宗像さんは」

森の中、自身が立つ地面に2X3m程度の『赤絨毯』を敷いた状態で
宗像征爾が訪れるのを待つ

528宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/21(木) 18:30:32
>>527

派手な音と共に飛んできた事によって、熊野は容易に背後からの攻撃に気付けた。
元々『アヴィーチー』の精度は高くない。
足場の悪い中で蹴り飛ばした石は、さらに命中率が落ちる。
それに加えて、熊野には『フォー・エヴァ・ロイヤル』がある。
掠めただけでも軽い衝撃を受けただろうが、幸い石が当たる事はなかった。

「『逃げ』に徹する相手は『高天原』以来だ」

石を蹴り飛ばした直後、まだ距離が大きく離れていない内に、
『アヴィーチー』が『スマートフォン(>>525)』を投げ放つ。
命中精度を上げる為に、『走りながら』ではなく、その場に立ち止まって投擲を行う。
これが外れてしまえば逃してしまう可能性が高くなるが、
このまま追い続けても、いずれ同じ事になる。
狙いは変わらず『熊野の胴体』だ。
要するに、身体の何処かに当たればいい。

       ザッ ザッ ザッ

『結果だけ』を先に述べると、熊野は『逃げ切った』。
また、『絨毯の上』を走る『熊野の足跡』は、地面には残らない。
しかし、体重が掛かった分だけ地面は沈み、『絨毯を敷いた跡』が残る。
それを辿る事は難しくないだろう。
今、『絨毯の跡』を追い、安全靴の足音が熊野に迫りつつあった。

529熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/21(木) 22:38:20
>>528

『アヴィーチー』の攻撃速度は人間の域を出ない
こうして距離が離れた状態であれば、それが対象に当たるかどうかは運次第という事になるだろう
相手が、ただの人間であれば芯を捉えられずともいくらかの手傷を負わせる事が出来たはずだが・・・・
どうした事だろうか、熊野は決して回避能力に優れているわけではないにも関わらず、その攻撃は掠りもしない

       ザッ ザッ ザッ

「・・・・・来たね」

いくらかの仕込みを終えて、宗像を待ち構える熊野
森の中に『赤絨毯』を引き、その上に立っているのが宗像から見えるはずだ
宗像の姿を認めるや否や、熊野は『赤絨毯』の端(宗像が居る方の端っこ)に立ち、
己のスタンドに地面に落ちている石をいくつか拾わせる

「その・・・・『高天原』さんっていうのが誰の事なのかは知らないけれども」

「私の前で他の人の名前を呼ぶなんて
 ちょっと嫉妬しちゃうなあ」

「ねえ、宗像さん」

「今は・・・・私だけを見て、いただけます?」

「私を・・・・この場で殺す為に」

530宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/21(木) 23:26:52
>>529

いかに『絨毯』による『補正』があったとしても、熊野自身の動きは常人の域を出ない。
そして、『一目散に逃げる』という事は、『真っ直ぐ走っている』と考えられる。
後ろを振り返らず、先程のような音もしないのだから、
何かが飛んできている事にも気付けないだろう。
『アヴィーチー』の精度で命中させられる確率は、外す確率と同じ程度にはあった筈だ。
だが、スマートフォンは小さい為に、当たらなかった事は不自然ではなく、
この時点で『奇妙』と断言できる程ではなかった。

「お前には『遺言』を吐く猶予を与える気もない」

多くの『枯れ葉』が降り積もった地面を踏みしめながら、
『アヴィーチー』の両腕を下ろした状態で、『絨毯』の上に立つ熊野に近付いていく。
適当な石は幾らでも転がっている。
『フォー・エヴァ・ロイヤル』のスピードと精度で、それらを素早く拾う事が出来た。

「だが、『フォー・エヴァ・ロイヤル』には『借り』を作っていた」

熊野に付き従う『フォー・エヴァ・ロイヤル』に視線を移す。

「一つの『意思を持つ存在』として、最後に言い残す事があれば聞いてやる」

最大まで展開した『鋸』の先端は、地面と近い距離に位置している。

531熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/22(金) 00:11:00
>>530

「はあ・・・・」

「この期に及んでまだ誰かの話・・・・
 私の事をちゃんと見てくれないんだ」

溜息をつく。
呆れかえったような目付きで宗像を眺めながら

「・・・・・『エヴァ』」      『・・・・ハイ』

「貴女の言葉を禁じる」
                   『・・・・・!?』

「この戦いで、何があろうとも」
「貴女は一切、言葉を発してはならない」
「これは主人としての『命令』・・・・だよ?」
                           『・・・・・・・・。』

「ごめんね、宗像さん
 以前は私の従者が勝手な事を言ってしまったみたいで」

「二度と、あんな真似はさせないから」

言葉を発した直後、『フォー・エヴァ・ロイヤル』に回収させた石を掴み
一つ一つ、本体の手によって宗像の顔へと投擲する パス精CCC
『赤絨毯』の上では本体の行動に『失敗』はあり得ない
投擲された石は100%の精度を以て、目標となる宗像の顔面へと殺到する

(だからこそ・・・・あなたは防御か回避を選ばなくてはならない
『エヴァ』の『絨毯』がある以上、偶然起こり得る全ての可能性は
 私にとって『都合の良い未来』へと収束するのだから)

532宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/22(金) 19:16:10
>>531

投げつけられた石は、あたかも『運命』に愛されたかのように、
真っ直ぐ『顔面』めがけて飛来する。
妙に『精確』だと感じたものの、本体による投擲であり、不意を突かれた訳でもない。
『ただの石』はスタンドを傷付けられない筈だが、
何らかの『能力』が付与されている可能性を考慮し、
軌道を避けるように『斜め前方』に歩いていく。
『アヴィーチー』は、本体の『1m先』を進ませる。
仮に回避が間に合わなかったとしても、スタンドが間に立っていれば、
『能動的接触』によって直撃を防げるだろう。
それと同時に、熊野の投擲に合わせる形で、
『アヴィーチー』の『左腕(パス精BCD)』に握った『数個の石(>>528)』を、
一纏めにして投げ放つ。
大雑把な散弾に近いとはいえ、『精度低下』を加味して命中は期待しておらず、
あくまでも牽制に過ぎない。

「――――憐れなものだ」

その一言は、発言を禁じられた『フォー・エヴァ・ロイヤル』に対して投げ掛けられたのか。
あるいは、自らの半身を他人として扱う『熊野風鈴』に向けた言葉だったのかもしれない。
いずれにせよ、俺の考えは変わらず、行動に影響を及ぼす事もなかった。

「『死ぬ準備』をしろ」

本体である俺自身から『フォー・エヴァ・ロイヤル』まで、
およそ『2m』の距離に近付く事を目的として、足を止めずに歩き続ける。
境内で刃を交えた『包帯の男』が引き上げた事は幸いだった。
もし残っていたなら、おそらく邪魔されていただろう。
彼の『目』からは、どこか気負う部分が見受けられた。
しかし、それは『殺しの仕事』とは違う筈だ。

533熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/22(金) 21:28:44
>>532

正確な軌跡を描いての投擲とはいえ、所詮は人並みの力による攻撃だ
宗像の目前に迫ったそれはスタンドヴィジョンに妨げられて地面に落ちる
・・・・互いにけん制の攻撃を交わし合う状況ではあるが、手傷を追わせるには足らない状況が続く

「嬉しい・・・・
 ようやく私に向かって話しかけてくれたね。宗像さん」

                  バラララッ!

そして、宗像の石弾もまた致命打にはなり得ない
『赤絨毯』の端に立つ熊野は自身の能力によって『回避』行動を最善化している
視線は宗像に向けっぱなし、飛来する石に対してはほんの少し視線を動かしただけ
だが、『フォー・エヴァ・ロイヤル』の能力はそれでも・・・・それだからこそ、最大限の効果を発揮する

軽く身体を動かすだけで、石の散弾は熊野の遥か後方へと飛び去って行った

「・・・・これがもう少し早ければ
『りんちゃん』を護れたかもしれないのにね?」

宗像が接近する。その距離は熊野からみて2mの距離だ
その前方1m・・・・宗像と熊野の丁度中間地点に先行した『アヴィーチー』が迫る

「やって、『エヴァ』」

      ズワァァアアアア――――ッ!!

それまで本体の傍に控えていた『フォー・エヴァ・ロイヤル』が動き始める
本体に迫り来る宗像を妨げる様に、一歩大きく前進し・・・・

               ドッシャウアアァァァ!!

両腕を大きく振りながら、
フックのような打撃を『アヴィーチー』の頭部に向けて放つ パス精CBB

534宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/23(土) 19:11:40
>>533

『左腕の精度』が低下しているせいで、『絨毯の真価』には気付けない。
外れるのは当然だろうと、自分の中で結論づけた。
投擲直後に走り出し、一気に間合いを詰める(>>532)。

「終わってしまった事を考えても意味はない」

俺は『熊野を目指していない』。
『本体である俺自身からフォー・エヴァ・ロイヤルまで2mの距離』に接近した。
そして、『アヴィーチー』は『本体の1m先』に立っている。
『アヴィーチーからフォー・エヴァ・ロイヤルまでの距離』は『残り1m』であり、
現時点における『鋸の長さ』は『最大』。
既に『攻撃できる間合い』だ。

     「俺が考えているのは、お前を殺す事だけだ」

          ザ バ ァ ッ ! !

走ってきた勢いを合わせ、『アヴィーチー』の『右腕』を力強く振り上げる。
地面には降り積もった『枯れ葉』。
それらを『鋸』で巻き上げ、熊野と『フォー・エヴァ・ロイヤル』両方の視界を塞ぐ。
さらに、この間合いは『ギリギリ鋸が届く距離』だ。
向かってくる『フォー・エヴァ・ロイヤル』に対する直接攻撃になる(パス精BCC)。

それだけではない。
ここに来るまでの間、スタンドの両手に『石』を拾い集めていた(>>528)。
『右腕』を振り上げた瞬間、『握っていた右手を開く』。
そうする事で自然に『アンダースロー』の形になり、
至近距離から『石の散弾』が飛んでいく(パス精BCC)。
これによって、近くにいるであろう熊野を『同時に攻撃する』。

また、振り上げられた『ダメージフィードバックのない右腕』は、
そのまま『防御態勢』に繋がり、急所に対する攻撃を防ぐ『盾』になる。
『スピード』と『精度』は『フォー・エヴァ・ロイヤル』が上だが、
『攻撃のリーチ』は『アヴィーチー』が上だ。
先んじて行動を起こし、『枯れ葉』で視界が遮られたのなら、
『スピードと精度の差』を埋められる可能性はある。

地力で勝る相手に対して、無駄な動きは一切しない。
『視界の阻害』、『スタンドを狙った攻撃』、『本体を狙った攻撃』、『防御』。
それら『四つ』を『一つの動作』で完遂させる。

535熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/23(土) 22:56:42
>>534

「・・・・・・・!?」

           「退きなさい!『エヴァ』!」

己に迫り来る『アヴィーチー』を迎撃する為、敵に向かって前進する『フォー・エヴァ・ロイヤル』
その視界が振り翳された『鋸』によって巻き上げられる『枯れ葉』によって塞がれる
瞬間、身の危険を察知した熊野は己の『従者』を手元に戻すように下がらせる!


   ギャリギャリギャリィィ────ッ!!

だが一瞬、遅い!
バックステップをするように後方へ飛び退いた『フォー・エヴァ・ロイヤル』であったが、
己をかばう様に突き出した左手が『アヴィーチー』の『鋸』に引き裂かれていった!

    ブッシャアアア――――ッ!!

ダメージフィードバックによって熊野の左手から血が噴き出る!
熊野は苦痛に表情を歪めながらも『エヴァ』とともに後ろに下がる・・・・!

     そこに追撃する『石の散弾』であったが・・・・・

        「はっ・・・・・」

『石の散弾』を認識するや、ふわりとやる気のない動きを見せる熊野
たったそれだけの動きで、『散弾』の軌道から身体が外れ、石は後方へと去って行く
先程と同じ結果、幸運な回避。だが、幸運が何度も続くというのは、むしろ必然と言えるものかもしれない

     バッ!

だが、熊野は次なる宗像の追撃を警戒しているのか
『フォー・エヴァ・ロイヤル』を自身のもとに戻して後退・・・・
『赤絨毯』の真ん中へと戻るように後ろ向きに歩いていく

後ろ歩きとはいえ、その動きには危うげが無い・・・・
後ろが見えているかのようなスムーズさで下がっていく

536熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/23(土) 22:57:07
>>535
追記

537宗像征爾『アヴィーチー』:2023/12/24(日) 19:13:44
>>535

最初に蹴り飛ばした石を含めて、熊野に対しては何度か『投擲』を行っている。
これまでの攻撃は、いずれも『外れても不思議のない状況』であり、さほど違和感はない。
しかし、『視界を阻害した状態』で『精度の低下していない右腕』を使って、
『至近距離』から放った『散弾』が『一発も命中しない』という結果は、
流石に疑惑の念を抱かせた。
単なる『偶然』で片付けてしまうには出来すぎている。
そうなると、これまで一度も当たらなかった事も、全くの無関係ではなさそうだ。

「随分と『運がいい』ようだな」

『フォー・エヴァ・ロイヤル』は『独立した意思』を持つ。
『本体と連携してくる可能性』を警戒して、両者を同時に攻めた事が、
思いがけない光景を浮かび上がらせる。
『フォー・エヴァ・ロイヤル』は『斬撃を食らった』。
あらゆる攻撃を無条件で回避できるなら、これも避けられている筈だ。
一見『無敵』に見える『熊野の能力』にも、『死角』が存在する事を暗示している。

「だが、従者は『そうでもない』らしい」

攻撃を受けた事で、熊野側には『僅かな隙』が生じるだろう。
平常時であれば、どうという事のない一瞬。
『命のやり取り』においては、それが『生死の境』を左右し得る。

      ズ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ

熊野が予想した通り、すぐに『追撃』は来た。
熊野達を追って前進しながら、手傷を負った本体とスタンドを纏めて狙うようにして、
袈裟斬りに『鋸』が振り下ろされようとしている。
ただし、依然として『1m』の距離は維持されており、あまり踏み込まれてはいない。



(※占有を避ける為に、以後のやり取りはバトルスレッドで行いたい)

538熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/12/24(日) 20:09:39
【戦】『スタンドバトルスレッド』 その1 へ移動
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453049803/491

539りん『フューネラル・リース』:2024/01/06(土) 12:23:09
街外れにあるとある廃ビル

りんはここに来る事が怖かった
だが、『フューネラル・リース』と向き合うために
一度ここに来なくてはいけないと思った

ある時突然、ここに倒れていて
前日の記憶が無かった

『フューネラル・リース』が何かしたという事は分かる

ここに来て、何かする事があるわけではないが
それでもここを見ておく必要はある

540芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/07(日) 18:46:10
>>539

 町はずれの廃ビル。そう、君にとっての恐怖の『原点(オリジン)』

りん、君は自分の中にある恐れ。抱える心の陰りを少しでも克服 晴らす為。

君は訪れた。少しでも前に進むために。そう……そして。



 「 お  れ   には


              関係な

                     Wiiフィ!!!」



   一人の変な野郎が、君の頭向けて虫取り網を振りかざし
突如として空中から躍り出てくるように参上した!!!


 明けまして!
           あんまり目出度くねぇ新年だけどそれでも前向きに行こうぜ!


 『地の分で良い事ほざこうとしても、やってる蛮行は許されないから!!』

 
「でも、ウィゴーちゃん!! 人気投票が出てくる前に少しでも
俺は人気投票上位陣を物理で出来る限り排除せにゃならんのよ!!」

 『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトだボケ!!』

 狂人の目的は、君を人気投票から排除する目的だ!!

541りん『フューネラル・リース』:2024/01/07(日) 19:51:14
>>540
しばらく一人でこの廃ビルを歩き回ったが
やっぱり何も思い出せない
ここで起きた事、その痕跡を辿ってみても『フューネラル・リース』は応えてくれない
けど、ここで『フューネラル・リース』が覚醒して、誰かが犠牲になった事は本当なんだって
それは分かる

謝ったらその人が帰って来るわけじゃないし、どうにかなるわけでもない
それでも、心の中でその人に謝るりん
だからって、いや、だからこそ手に入れた命を手放したりはしない
勝手かもしれないけど、その人の分まで背負って生きる

その誓いを胸に、その場にそっと花を置き

>   一人の変な野郎が、君の頭向けて虫取り網を振りかざし
>突如として空中から躍り出てくるように参上した!!!

「ふぁっ!?」

何だこのおっさん!?(驚愕)

あまりにも不意打ち過ぎて反応が追い付かずに虫取り網で捕獲されてしまった
どう考えても真面目な話する導入だったのにどうするんだよ…

「に、人気投票って何!?」

当然の事だが天の声とは会話出来ないしメタ的な話などりんは知るはずもない

というかこのキャラに投票する人なんていないから排除する必要などないのでは…

542芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/08(月) 12:28:14
>>541

>どう考えても真面目な話する導入だったのにどうするんだよ…

「てめぇ、アウラPCとの教会での絡みでは最後
(>ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/837)
ドロドロの愛憎劇を新郎新婦にやってた癖に、今更なに言ってんの?
あん時、真面目にこちとら絡んでたんだよ? 
 結構ショックだったよな〜〜〜〜〜ぁぁぁ??? あの茶番(チラッ?)」

『あんたPLの持ちPCの一人だからって、その関連で他のPCの出来事
列挙すんの反則でしょ!! つかそのチラ見もキモいし!!』

>このキャラに投票する人なんていないから排除する必要などないのでは

「そうかもしれねぇし、そうじゃないかも知れねぇ。だが、朝山PLは
普通に、りんちゃん好きだから投票が開始されたら一票入れる気なんだよ
( ゚д゚)、ペッ
 震災で、ミッションの返信が遅いと、あれみんな大丈夫かな? って
心労は増えるし、家電製品がぶっ壊れてPC新調すんの遅くなったりとかで
こちとら散々なのに、おめぇは清き一票が確実に入るとか、ふざけてんじゃねぇよ」

『お め ぇ の リ ア ル 事 情 と か 知 ら ん よ ! ! !
あと、早くそちらのお嬢さんの頭から網を外してやれよ! 可哀そうでしょ!』

「まぁまぁ、少し待ってくれよウィゴーちゃん。
俺は、しゃべる人形、踊って歌えるアイドルの素質あるミーガンみたいな
人形を探して、ここまでやって来たのに。見つけたのはピクミンガール一人。
 何でだよ……人気投票でメリー&芦田コンビで、あわよくば一位獲ろうと
画策してたのに、こんなの・・・こんなのあんまりじゃねぇかっっ゛!!!!」

『だったら、りん&芦田・ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトで良いだろうがい!!!』

「嫌だよ!!! なんでケムリクサのワカバや犬夜叉の殺生丸の妻みてぇな
名前の奴に、俺ら夫婦がわざわざコンビ組まないとならんのさ!!!」

 『誰 が 夫 婦 じ  ゃ   い!!!!!!』   ド ガ  ァ゛! ! !

スタンドが狂った変な野郎をぶっ飛ばした拍子で網は君の頭から外れた。良かったな、感謝しろよ

『はーっ  はーっ……まじ疲れる、こいつ……。
……? と言うか、そちらのお嬢さん。貴方、その頭の花とか、スタンドでは……』

「頭に花生えてるなんて、別にそんな不思議でも無いだろ。
俺、似た奴を知ってるぞ」

 スタンドは、遅れて君の頭に気づいた。頭から血を咲かせてる男の方は
君に対して殆ど意識を向けずに、そう嘯く……多分、次にこいつが
放つ言葉は、君にとって何の利益もない話題だろう。

543りん『フューネラル・リース』:2024/01/08(月) 18:55:20
>>542
>ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/837

その節は申し訳ありません…
反省はしていますが、自分でも何故ああしたのか割と本気で分からない

それにしても、りんは一体何を見せられているんだ?

「これは…夫婦漫才?」

目の前で繰り広げられているそれに思わず言ってしまったが
そんな事言ったらスタンドの方は絶対嫌がりそうだ
無論、りんはそんな事は知らないが

>……? と言うか、そちらのお嬢さん。貴方、その頭の花とか、スタンドでは……

「あっ、貴方もスタンドの人ですよね」
「えーっと、うちのこれはスタンドというか
 花もうち自身なんだけど」

なんというか、その辺の事は本当によく分からない
というかりんの存在自体が色々と謎なのだ

>頭から血を咲かせてる男

「うわぁ…頭大丈夫ですか?」

物理的な意味でだ、他意はない

鈴蘭の香りのする鈴蘭柄のハンカチ手に頭がヤバい事になってる男の頭を拭おうとするりん

544芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/08(月) 20:05:59
>>543

>その節は申し訳ありません…

「いや、許しはしねぇ……。例えウィゴーちゃんが許しても
俺は許しはしねぇ! 何故かって!?
 そ の 方 が 面 白 く な る じ ゃ ね ぇ か!!」

『屑の極みか、おめぇは。あとウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです
それと夫婦漫才って次言ったらマジビンタね。こいつの頭は大丈夫ですよ
もう治らないから、喀血を逆にさせれば少しは血の気も引いてマシに
なるってもんですよ』

「そんな冷酷な言葉も美しいマイangel『誰がangelだdevil面』
 あー、そんでお前に似てる奴の話をしてたんだっけ?
そいつはな……国会にも出た事がある。んで、頭は花じゃなくて魚なんだわ。
 可哀そうによ、頭が半分ぐらい魚に吞み込まれた影響なんだろうな。
そいつは何時もギョギョって興奮すると叫んでるんだよ」

『さ か な ク ン は 人 間 だ よ ! ! ! !』

「ウィゴーちゃん!! さかなクンは人間って括りじゃなくて偉人だぜ!」

 『ちがっ……違わないのが腹立つな、こいつ!』

>鈴蘭の香りのする鈴蘭柄のハンカチ手に頭がヤバい事になってる男の頭を拭おうとする

「――拭うな!! そんなスズランで生きながらえたくはねぇ!!」

 『なに言ってんだこいつ(´゚д゚`)』

「ハァ……ッ  ハァ……っ  おれは過去……スズランの奴隷だった!!』ドンッ!!

『おまえ何処のフィッシャータイガーだよ。殴るのも疲れるから放置するよ、オッケー?
 どうせスズランハンケチで頭部拭ったら、毒が頭から心不全とか起こして
次レスでは喋れなくなるから、こっからは私だけ喋る事にするからね』

「メタ推理で、俺の事置物にするの流石に酷くね( ゚Д゚)」

『どうせ、あんたギャグ空間なら蘇るから別にいいじゃん』

 りんがハンカチで血を拭う事に関して、スタンドもイカレ男も
特に抵抗も何もしない。PLも、芦田がこれ以上ボケると収拾つかないと
判断してるしな。



 芦田「俺の味方は誰も居ないのかよ。( ゚д゚)、ペッ
失望しました。あま(※甘城)にゃんのファンやめます」

『上等だよ! むしろ、甘城PLも、あんたをファンには持ちたくねぇよ!!』

545りん『フューネラル・リース』:2024/01/09(火) 20:21:54
>>544
>さ か な ク ン

さんをつけろよデコ助野郎!!
いやそれはともかく

「いやでも、拭かないと色々危ないから…」

>どうせスズランハンケチで頭部拭ったら、毒が頭から心不全とか起こして
>次レスでは喋れなくなるから、こっからは私だけ喋る事にするからね

「香りだけだよ!?」

毒とかないからね!?

特に抵抗しなさそうな芦田の頭部を優しく拭うりん
鈴蘭のように白いハンカチが芦田の血でべったりと赤く染まる…

りんは知らない(はず)の知識だが
本体とスタンドにはダメージフィードバックなるものが存在する
芦田が思いっきり頭から血を垂れ流す怪我をしているのに
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』はなんともないのだろうか…

「スタンドとめ…」
「どつき漫才する人間は初めて見たよ〜
 人間って色々あって面白いな〜」

と言っても、
芦田のように第四の壁を軽々しく超えてくる人間もそうはいないだろう
それもスタンド能力とか全く関係無しに

「えっと、ウェア・ディ…」
「ウェアさんと」

フルネームで呼ぼうとしたが諦めた

「芦田さん?」

二人の会話から恐らくそれが名前だろうという事は分かった

「は、ここに人形を探しに来たの?」

これもさっきの会話で聞いた事だ
最初は人気投票がどうとか言ってたが…

546芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/10(水) 12:29:58
>>545

>さんをつけろよデコ助野郎!!

「はい……その切は平にお詫び申し上げます。さかなクンさん
この度は弊社がまことに無礼な発言をして申し上げありません。
ほら……星の女も謝って」

  星の女「すみません、新年だからって勝手にやりたい放題でゲスト出演させるの
止めてくれません??」

 『誰 だ よ ! ? Σ』

銀河のような、まさしく宇宙がウェーブの長い髪の中に彩られ、瞳にも夜空が
映っている幻想的な女性が突如として

星の女「いや、流石にこれ違反行為ですから記憶処理しますよ?」


 ーーーーーーー^ーーーーーーーーーーーー

芦田「……ぁん? いま何の話だったけ? あー、そうだ。
ウィゴーちゃんが俺と痛み共有しない話だったけ」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。あと、夫婦(めおと)って
いま言おうとしませんでしたか?? 
 えーっと、確か魂の拘束。スタンドの拘束は本体(この馬鹿)も拘束するけど
本体の拘束は精神である私には意味無いんで「ウィゴーちゃん、ウィゴーちゃん」
ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトだっつーの、なに? スマホ??』

チョイチョイと、苦笑いで芦田はスタンドへスマホのある部分を見せる。


           星見板wiki

【スタンドのルール】
◆『スタンド』とは『人間』が引き出す『精神的エネルギー』である。
◆『スタンド』の多くは『力有る像』を持ち、これを『ヴィジョン』と呼ぶ。
◆『スタンド』は『スタンド使い』にしか見えないし、触れることも出来ない。
◆逆に『スタンド』は『ヴィジョン』を利用し、他の物体や『スタンド』に『干渉』出来る。
◆『スタンド』の負った傷は『本体』の傷となり、その逆も然りである。


   ◆『スタンド』の負った傷は『本体』の傷となり、その逆も然りである。


『馬 鹿 は 私 だっ    だ! !  !   ゴ   ハ ァ  ァ! !  !   !』


 スタンドパズル、他ミッションでも数々与え続けた芦田へのツッコミ及び
いま現在までの累積した痛みがウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトを襲う……!

 『ぜーっ……自立型…………自立型になりさえすれば、こんな痛みなどぉおおおっっ゛』

「ウィゴーちゃんがセル第三形態見たいに!
 おい、てめぇ!! どうしてくれるんだよ、頭お花畑野郎がっっ!!」

 芦田は自分のスタンドが傷つけられた怒りで、青筋を立てて
りんに指を突き付ける。

 ……いや、お前の所為だよ!!

547りん『フューネラル・リース』:2024/01/10(水) 18:59:46
>>546
「え゛ぇ゛っ゛!?」

いきなり目の前で
スプラッタな状態になった『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』に
思考が追い付かず、只々驚愕するしかないりん

「えっ?うちのせい!?」

地の文はりんではないし、
地の文に対してならともかくりんに責任を問うのは筋違いなのだが
いや、というかどう考えても自爆だしこちらに責任を問われても…

「えっ、あの、えっと」
「ごめんなさい!」

「あの、うちどうすればいいか…
 スタンドの手当てとかしたこと無いし」

「と、とにかく救急車!救急車!!!」

謂れのない罪を着せられあたふたと慌てるりん
とりあえず119をしようとするが、これ呼ぶ意味あるかな…

548芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/11(木) 12:52:14
>>547

>ごめんなさい!

 「――お前の罪を 赦そう アシュタロス」

 『ど う  言  う ネ タ だ よ! ?
誰もわからねぇよ、GS美神の漫画なんぞ!』

 「正月で少し時間ある時にPLが久しぶりに読んで面白かったからさ」

 芦田のボケによって、痙攣していた筈のウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは
元気に怒鳴りつつツッコミへと復活した。どうやら自力で蘇生範囲のようだ。

 『黄色い救急車を呼んでも手遅れだと思いますし……とりあえず
話を戻しますね、お花の方。この馬鹿もとい狂人は
なんか道を自由に歩く人形の噂をどう言う伝手なのか知ったらしく
何を思いついてか、そっから虫取り網一本で意気揚々と外を散策してる次第でして』

「別に、生真面目に説明しなくて良いよウィゴーちゃん。
あと、ついでに人気投票の話をここでしても。スパイダーマンとデッドブールの
会話で、デップーがメタ発言してもスパイディには何言ってるか意味不明に
聞こえる処理が公式でもされてるから。りん坊も、そー言う処理で
さっきの話題は宜しくね(キラッ)」

 『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。
一人だけツッコミはきついです! 誰かまともなPCの方、乱入扱いで
構いませんので、この場をどうにかしてくれませんかね!!?』

 「安心しなよ、ウィゴーちゃん……あと精々222レスぐらいで終わるから」

『2を重複打ちだよな、ソレ!!!!?? 地獄の空間が形成されるよ、そのレス数!』

 わーわーぎゃーぎゃーと騒ぐ一人と一体。
ある程度騒いでテンションが落ち着いたのか、急に真面目な顔で芦田は告げた。

そう、りんに。目の前の花が頭に咲いた少女にである。

「……フッ
おめーが何でそんなに深刻に悩んでるのか、知らないけどよ」

そう、野性味のあるシニカルな感じに口の弧を微かに吊り上げ……。

 『お 前 今 ま で の 茶 番 の 空 気 で シ リ ア ス
や れ る と 思 っ て ん の ! ! ?』

上げる前にスタンドが驚愕の叫び声で遮った。

そりゃそうだ。

「ちょちょっ(;'∀') ウィゴーちゃん、いま真面目なく う き♪」

『無理だよ!!! お前今までの流れで、この娘の悩みとか苦しみとか
吐き出させるの天地ひっくり返しても不可能だって!!
 あとウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト! せめてウェアさんとかにしろ!!』

 


 どうする? 真面目な空気にしちゃう?

549りん『フューネラル・リース』:2024/01/11(木) 19:09:25
>>548
頭のイカれた大男がいる、一人では手に負えん(コ)

「え?あれ?治ってる?何で?」

もはやどこをどうツッコメばいいのか分からないが
さっきまで血みどろの惨状だったスタンドが
何か知らないが勝手に治ってるいるので、救急車を呼ぶ必要は無いようだ
…多分

と、何か急に真面目な雰囲気に…
なろうとして自らのスタンドに邪魔される芦田

ここから真面目にして良いのか?
出来るのか!?

…ここはギャグで流してしまった方が良いのかもしれないが
何事も度胸が肝心だ、やってみようか


「ここ、ちょっと前に事件があって」

りんの傍には一輪の花が供えられている
被害者が正確にどこで亡くなったかは知らないため
とりあえずここに供えるしかない

芦田に心境をぶちまけるだとかそういう事は無いだろうが
ちょっとした世間話程度の話ならするかもしれない

550芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/12(金) 11:22:37
>>549

>ここ、ちょっと前に事件があって

「ふーん? んで?
誰が死んで、多分知り合いで? お前さん。その殺した奴を知りたいとか?」

 『――何か、周辺に残骸があるのなら』

           『知る事 可能かも知れませんよ』

       ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

 芦田は、狂人であるが馬鹿でも鈍い訳でも無い。周囲に便利で有能な
人間がいれば鈍感で役立たずとしてサボる事もあるが、基本は探偵事務所の
助手をする程度に能はあり……更に、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトと言う
アリーナが初期捜査で重宝する程度に有能な力を所持もしてる。

 『廃ビルですので、色々と残骸が多く少し絞り込むのに時間は掛かりますけどね』

「まぁ、血を拭ってもらったサービスがてら。ウィゴーちゃんも
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトっ』
まぁ、そー言う訳で殺人現場の捜査ってんなら、別にいま目の前で
危険があるでもねーし、急用でも無いしな」

 どうするよ? そう、芦田は君(りん)へ問いかける。

勿論、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは説明を省いてるので
スタンド関連の過去まで読みほどけない。だが、『ここで過去にスタンド関連で何か』と
言う分からない故に分かる情報も得られるだろう。
――また、『引き金』となった人物が或いは映る可能性も、ある……。

 選択は、君だ。

551りん『フューネラル・リース』:2024/01/12(金) 15:53:03
>>550
誰が死んだかは知らないし、知り合いでもないだろう
犯人が誰かなんて事は言わずともだ
ただ、喪に服し、この場で起きた事を考えるだけだった

「分かるんですか?過去の事」

だが、この口ぶりからすると
この二人は出来るらしい、ここで起きた事を知る事が

全て知る事は出来ないかもしれないし、
知りたい事が必ずしも知れるとは限らない
けど、ここで起きた事を知りたい

…りんは正直な所、怖い
だが、『フューネラル・リース』の事を少しでも知らなければ
『フューネラル・リース』と向き合う事は出来ない

だから

「あの…」
「本当に、出来るんなら」
「知りたいです、ここで何があったか」

逃げない

552芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/13(土) 16:57:37
>>551

>本当に、出来るんなら 知りたいです、ここで何があったか

『重い期待に対して、こう答えるのは心苦しいですが。
私の力は過去を見れますが、スタンドの関わるものに対しては見えません。
 ですので、貴方に関わった何かがあったとしても、それを知るのは難しいでしょう』

ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは、最初にそう告げる。

「でも、ウィゴーちゃん。何かあったんなら、その前の犠牲者なり
誰か出入りしてたかは知れる筈だ。こいつの出入りはともかくよ
他に使い手が居たとして、行き成りスタンドを発現して出入りしてたとかじゃねぇならよ」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト……まっ、確かにね』

具体的に、何が起きたのか? その事実は闇だ。だが、闇を明かすであろう
光への手がかり、その『種火』となるものは得られる可能性がある。

数分ほど、下らない戯言を発するイカレた男と、そいつに嫌味の応酬で言葉を返す
スタンドは『フィルム』を何度かモノクロのヴィジョンに触れつつ色んな廃ビルに
散らばってた残骸から引き出していた。

 
  そして……結果は。


 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


 「駄目でした てへぺろ! (ノ≧ڡ≦)」

 『微塵切りにしてやろうか……? 今なら出せるよ 領域展開』

 廃ビル内で、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは懸命にいろんな場所に
スタンド能力を行使してみた。
 だが、りんの記憶から抹消されてる為に仕方がない事なのだが。
【場】『自由の場』 その2
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/724-748
   及び
『葬送の花渦』にて、被害が起きたのは廃ビル外。そして廃ビル内での発端でも
加害者となる人物はスタンド能力を発現していた為に、今のスタンドの力では
何にせよ過去改変フィルムで詳細を明らかにする事は出来ないのだ。

「まっ、そうがっかりすんなよ〜ピクミンガール。何か起きたか不明だが
此処でスタンドの何かしらが起きたってのの確かなんだからよ。
 気にせず、前向きに人生……」

 せめて帰り道だけ途中まで送ってやるわ。と言いつつ適当な男と共に
りんは外に出るだろう。そして……自由奔放な男は適当な場所を目的なく
ぶらぶら君の視界の中で踊るように移動したのをピタリと止め……。

 「…………この『ゴミ』は、最近落ちたもんか?」

 ――そう手に持つのは、だいぶ時間が経ってて汚れてるが。

 ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1647262289/29

 「――『タオル』か? これ」

 ……芦田の手には、既に最近の天候や野晒なのも相まって襤褸布だが
辛うじてタオルと思しき形態をしていた。何処となく、それは君にも
芦田にも名も無き何かの犠牲になった存在の『遺志』なり『無念』のようなものを
不思議と感ずるに至った。

 「……ウィゴーちゃん」

『正式名称で……えぇ、わかってますよ』

 「――俺ら、すげー今シリアスしてんじゃね? 最初の導入見返してみろよ?
おめぇら、こんなマジの展開になると予想出来たの居ないでしょ?」

 『だ ま っ て く れ る ? ? ほ ん と 』  ズギュン

一瞬、全ての空気を台無しに男はしかけたが。間髪入れずにスタンドは
『過去改変』のフィルムを抜き出し……そして、フィルムのある部分を見せた。

 タオルを使用する……『髪を金色に染めた大学生程度の男』

 周囲には、数人程度の同年代の若者の姿も見て取れる。
金髪の大学生が、何やら焦った様子でタオルを使用しており、それを
差し出した仲間と共に何か早口で伝達してるらしい様子。

 そのフィルムより先は『感光』して黒く……『スタンドが関わった』のだろう
形跡が見て取れる。

 「……多分、こいつら『被害者』だな。
おい、目に焼き付けておけよ」

 「――お前が原因か、他に元凶が居るか知らないが。
こいつ等は、十中八九死んだ。そして、お前さんが関わってるって
思ってるのなら。何かしらで『償い』の方法探すんだな」

「どうやって? そんなん俺は知らねぇし、わからねぇよ。
こんな狂った男なんぞの言葉より、お前さんが模索するしかねぇんだから」

 風が吹きすさぶ。冷たい風だ、男の言葉と同様に暖かくは無い。

逃げなかった君は、少しだけ出来事の『片鱗』を知ったのだ。

553芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/13(土) 17:05:59
>>551(悪い! ちょっとタイム!)

 「……いや、ちょっと待てよ?
これって普通に【ミ】『葬送の花渦』に調査した結果とか
言い切りじゃなく、そっちに伝えて結果報告を出して貰ってから
行動処理するべきだよな? この事案って」

『今更かい! まぁ早めに気づいたんなら、良し!』

554芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/13(土) 18:18:23
>>551(↓により訂正させて頂きます。色々と暴走してすみません)
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1647262289/47

 「……ふむ、『なしのつぶて』なぁ。

『すみません、力不足で』

 「いや、ウィゴーちゃんの所為じゃないよ」

なるべく、しらみつぶしに。芦田とウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは
周辺、廃ビル内や外にもあるゴミを探してみたが。綺麗さっぱりと
フィルムを引き抜けるに可能だと思える物は無かった。
 代わりに、芦田は持ってるスマホから一つの記事を出す。

 ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1647262289/40

「とりあえず。ウィゴーちゃんがビル内に転がってたネジとかから
フィルム出したら『感光』してた。つまり『スタンド関連』の何かはあった。
 そんでもって、此処の住所と合致してる記事」

 何かあったのは、確かなんだろうよ。そう、りんに
明日の天気でも告げるような軽い調子で芦田は告げる。

 「……なんつーか、『納得』があんま出来ねぇ感じだよなぁ」ポリポリ

「おめぇさんは? このまま、此処で何か大変な事ありました。
 でも、わからねぇし忘れて前向きに生きましょうって感じにすんのか?」

芦田は、りんに聞く。何が起きたかわからない、ただし『何か起きた』のだ。
スタンドに関わる何かは、このビルで過去に。

 それと、調べればわかる程度の未解決の事件の記事。
今は、これだけが数少ない過去の残滓だ。

555りん『フューネラル・リース』:2024/01/13(土) 18:57:50
>>554
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』の能力をもってしても
その仔細を知るには至らなかった
ちょっと期待と、不安があっただけに
ほんの少しの落胆と安心が入り混じった複雑な感情に見舞われる

ここで『フューネラル・リース』が覚醒し、人が死んだ
それは言われるまでもなく分かり切っている事だ
ただ、『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』によって
それはより確実な事実となった、それだけだ

「ううん、忘れるつもりはないよ
 多分、忘れた方がずっと楽なんだろうけど」
「でも、だからってずっと引きずって後ろ向きになるのは嫌」
「勝手だけど、ここで何が起きたか今は分からないけど
 うちはそれも持って行って前向きに生きたいな」

結局、ここに来た収穫はほとんどが無かったが
ここに来て向き合う、それ自体がりんにとって意義のある事だったのかもしれない

「それに、うちが前に進んで生きてればいつか分かると思います」

りんが『フューネラル・リース』と向き合い続けていれば
何れ分かるかもしれない

その時、りんは己の過去を受け入れられるだろうか?

556芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2024/01/13(土) 19:17:55
>>555(お付き合い有難うございました! 楽しかったです)

 「……『納得』が、できねぇな」

「いや? お前さんの回答じゃねぇよ。この『事件』っての『真相』よ。
元凶がよ、まぁ、そっちにあるとしてもよ?
 因果関係とか、何でこの記事の奴らが死んだのか。
巻き込まれたのか、実は悪い奴らで正当防衛で、お前さんが返り討ちしたのかだとか。
 そこら辺が全く謎しな……腐っても『探偵』の助手だしなぁ」

 なぁウィゴーちゃん?

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。
ふむ、この事件……少し追う必要性があるようですね』

 「おぅ、つう訳でだ。りん、だったか?
 こっちもこっちで、この事件ちょいと追ってみるからよ。
また何かあればスマホなりで連絡しろよ。
 ――真実ってのは、いずれ解き明かされるもんだぜ。
例え、どんなに上手く葬り去ろうとしたってよ、必ず人の手で
隠されたもんは人の手で暴かれるもんさ」

 何時になく、狂った男は少々『やる気』になったようだ。

虫取り網で理由なく捕まった、この奇妙な出逢い。

 何時か……この縁が何か、今の暗闇を明かす切っ掛けになるのやも。

557りん『フューネラル・リース』:2024/01/13(土) 20:27:47
>>556
『納得』というのは重要だ
『納得』がいかなければもやもやしたものが残ってしまい
人によってはそこから進めなくなってしまう事すらある

芦田だけではなく、りんにしたって
飲み込み進もうとはしているが納得には至ってはいないだろう

「はい
 芦田さん、だよね?
 そっちも何か分かったら教えてください」

あれ?りんって名乗ったっけ?
と思ったが細かい事はいいだろう


冷たい風が吹く冬の廃ビル
あの日は、冬と春の境目となる時期だった
冷たさと暖かさが入り混じる微妙な時

しばらくすればまた、あの季節がやってくる
春一番が吹いてくる頃

その時が来れば、りんはまたここの事を思い出すだろう

558美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/01/14(日) 05:45:57

『図書館』の敷地内にも『防災行政無線』の『屋外拡声器』は整備されていた。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1665841153/346)

「さて、と――――」

         キキィッ

駐輪場に停車する『カナリアイエローのベスパ』。
『臨海地域』では『ちょっとした問題』が起きたが、ずっと気にする程の事でもない。
『機械仕掛けの小鳥』――『プラン9・チャンネル7』を発現し、
鉄柱に取り付けられた『スピーカー』を『能力下』に収める。

    《『1001-111(イチゼロゼロイチ・イチイチイチ)』》

        《『1001-111(ナイン・セブン)』》

拡声器から響き渡る『スタンド音声による放送』は、
『半径300m内のスタンド使い全員』に聞こえただろう。
そして、本体は『120m離れた場所』にいる。
『遠隔型』の強さ。
ヴィジョンが遠くに行けるのではなく、能力そのものが広範囲に作用するタイプ。
それゆえに、誰一人として『本体』に気付ける者はいない。

(門倉さんの『人を見る目』は、本当に『確か』よね)

この方法を使えば、『門倉派』の宣伝も簡単に出来てしまう。
『プラン9』は『最高峰の広報担当』だ。
『スタンド音声』である以上、完全に無視する事は出来ないし、
確実に『スタンド使いだけ』に届く。
『ネットを使った拡散』などは、誰でも出来るゆえに『信憑性』が薄く、
埋もれて忘れられたら『そこで終わり』。
底の浅い『伝播』など足元にも及ばない、圧倒的な『情報発信能力』が、
『プラン・チャンネル7』にはある。

(まぁ、『宇宙戦争』程にはならないでしょうけど)

H・G・ウェルズのSF小説『宇宙戦争』が『ラジオドラマ』として放送された際、
火星人の襲来を事実と信じた人々によるパニックが起きたという都市伝説がある。
美作が企図しているのは『それ』に近い。
『星見町』を混乱に陥れようという訳ではないが、
多くの『リスナー達』を巻き込むような『派手なパフォーマンス』をやろうとしていた。

        ド ル ン ッ !

『目的』を果たした後は、ここに留まる意味はない。
速やかにエンジンをリスタートさせ、駐輪場から発進する。
『立つ鳥跡を濁さず』。

559宗像征爾『アヴィーチー』:2024/01/18(木) 08:18:02

おそらく『ここ』だろうと考え、再び『鎮守の森』に足を踏み入れる。

    「――――――『また』か」

細切れに散らばった『破片』を見下ろし、
時間の流れに取り残されたかのように立ち尽くす。
それと同時に、散乱した『写真』の残骸と、
『馨』が命を落とした日の出来事が、記憶の中で重なり合う。
失うのは『二度目』だった。

           ス ッ

やがて緩やかに腕を伸ばし、『写真の切れ端』を拾い始める。
『こうしたのが誰か』も、その『目的』も容易に想像できた。
俺に『人間らしさ』を期待したのだろう。
俺自身も『そうであって欲しい』と、心の何処かで感じていたのかもしれない。
だが、現実は違ったようだ。

「もう『終わってしまった事』だ」

これは単なる『過去の記録』に過ぎない。
写真が破られたからといって、そこに写る人間が死ぬ事はない。
『既に死んだ人間』は死なない。

「『これ』がないと、いつか忘れてしまいそうになる」

それでも破片を拾い集めているのは、これが必要だからだ。
たとえ大切な思い出と呼べる記憶であっても、
長い時間が経てば、徐々に薄れて消えてしまう。
『思い出せる物』がなければ、過ぎ去った過去を忘れない事は難しくなる。

         ハラリ

               ハラリ

しかし、左腕の『後遺症』のせいで細かな破片を掴みづらく、
作業は思いのほか難儀していた。

560宗像征爾『アヴィーチー』:2024/01/22(月) 01:50:45
>>559

長い時間を掛けて『写真の破片』を集め終わった。
それは記録であり、既に終わってしまっている。
たとえ破られたとしても、写っている人間が死ぬ事はない。

  『元通りに直せる』としても、そこに写る人間が生き返る事はない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「完全にぶっ壊れて原型留めずとも
 多少パーツあれば直ぐに元通りなのよ。凄くね? 凄くね?」

「あんたの知り合いか、あんた自身
 喋れるスタンドの知り合いっている? 
 教えてくんねえかな。ウィゴーちゃんの友達増やしたいのよね 俺。
 あんたのなんか貴重品壊れた時とか、無償で直すけど」

「んじゃまー、またどっかで出会えた時に。
 もし知り合ってたら教えてくれーな」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』という名で呼ばれる、
『半自立型のスタンド』を連れた男を知っている。
『部品があれば元通りに出来る』と言った。
『意思を持つスタンド』を紹介すれば『無償で直す』と。
顔を合わせたのは一度きりだが、あれほど目立つ人間は多くない。
あの男を探し出すのは、りんの時より難しくはない筈だ。

        「妙な『縁』だ」

男の風貌を思い出しながら、『公衆電話』を探す為に立ち去った。

561小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/26(金) 18:32:17

閑静な住宅が立ち並ぶ通りを、しずしずと進む黒い人影。
それは『喪服の女』だ。
何かを探している様子で、しきりに辺りを見回しながら、
気遣わしげな表情で歩いている。

  「日が落ちる前に見つけてあげないと……」

家で飼っている『猫』の姿が見えなくなった。
普段は眠っている事が多いのだが、
気まぐれを起こして外に出てしまったのだろう。
行動範囲は広くない筈なので、見つける事は困難ではないとは思うが、
冷え込みが強くなる前に探し出したい。

562白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/27(土) 21:00:59
>>561

学校帰り、この辺りに寄る用があり、その帰路だ。
殆ど改造のない制服に瞳と似た濃い青のマフラーを巻き、
冬風に長い髪を揺らして、静かに歩いていた。

「……?」

喪服姿の珍しさに顔を向けたが、
その人物の仕草に、声をかける事を決めた。

「あの。何か、お探しですか?」

頼まれたわけでもないが、
『頼みたい』ように思えたから――――それだけだ。

563小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/27(土) 21:59:19
>>562

呼び掛けられて、くるりと振り返る。
普段は喪服と揃いの『黒い帽子』を被っているのだが、今日は被っていない。
アップに纏められた黒髪は、控えめながら艷やかな光沢を持っていた。

  「――ええ……」

相手の質問に『肯定』を返しつつも、『説明の仕方』には迷う。

  「『猫』がいなくなってしまったもので……」

確かに猫である事には違いない。
ただ、『とても珍しい猫』だ。
一見して猫には見えない程の。

  「気まぐれで出掛けたのだと思いますが、
   暗くなると冷え込みが厳しくなりますから、
   その前に見つけてあげたいのです」

もし、このまま帰ってこなかったら。
心配は募り、それが顔にも表れている。
今まで一人で暮らしてきた自分に出来た『家族』なのだから。

564白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/27(土) 22:05:07
>>563

「『猫』……そう、なのですね。
 それはとても心配だと、トーリも思います」

『葬儀』に関係する用事ではない事には、
触れない方がきっと良いのだろう。
頼まれてもいない詮索はしないに限る。

「その。よければですが……
 トーリにも、探すのを手伝わせてくれますか?」
  
それよりは、して欲しそうなことをするべきだ。

「『猫』に。詳しいわけではないので、
 うまく探せるかどうかは、わかりませんが……」

それがトーリ自身にもしたいと思える事なら尚更だろう。

565小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/27(土) 22:27:51
>>564

『葬儀』以外で、日常的に『喪服』を着る人間は多くない。

  「……ありがとうございます」 

         ニコ…………

見ず知らずの相手に向けてくれた親切に、自然と柔らかい微笑が浮かぶ。
ただ、ここから先が少々問題だった。
説明しなければならない。

  「『撫子』という『黒い猫』です。
   近くで呼べば出てきてくれると思うのですが……」

話しながら、再び歩き始める。
向かう先は住宅地の中に整備された『公園』。
そこにいるという確信があった訳ではなく、
行動範囲はそれくらいまでだろうと予想したからだった。

  「私は……『小石川』という者です」

少し歩くと、やがて公園の入口らしいものが前方に見えてくる。

566白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/27(土) 22:46:28
>>565

「トーリも。心配ですので。
 ……『白岸・ノエル・トーリ』と言います。
 小石川さん、よろしくお願いします」

         ペコリ

「『撫子』」
「ちゃん。ですね。黒猫の」

公園には人らしき影は多くは無い。
住宅街の公園というのは得てしてそういうもの。
せいぜい親子連れをたまに見かけるぐらいだ。

「撫子ちゃん、には。 
 なにか、首輪のような……鈴のようなものは。
 ……ほかの黒猫と見分けられるものは、付けていますか?」

       「小石川さんには見分けられても――――
        トーリには、見分けられないかもしれないです」

もちろん、『撫子』の実態からしてそんなことは起きないのだが・・・

567小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/27(土) 23:13:53
>>566

白岸と名乗った少女に丁寧な会釈を返す。
この近辺は街の喧騒から離れており、賑やかなのは子供が遊んでいる時くらいだった。
大抵の場合、今のように静かなものだ。

  「――いいえ……」

  「その……『そういったもの』はありません」

答え方に『躊躇い』が混じる。
『撫子』は『マシュメロ』によって誕生した『帽子猫』だ。
他の猫と間違う可能性はないだろう。
どちらかといえば、『猫に見えない姿をしている』と言った方が正しい。
しかし、ありのままを話す事は難しかった。

  「……家の庭で『花』を育てているのです」

  「もしかすると、そういった場所にいるのかもしれません」

さりげなく話題を変えながら、季節の花々が植えられた『花壇』に近付いていく。
しかし、そこに撫子の姿はなかった。
花壇の周囲は小さな『生垣』で囲われており、その中は見えない。

568白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/27(土) 23:23:37
>>567

会釈を終えると、ほとんど同じ背丈の二人は並んで歩く。

「そう。なのですね。『縛る物』がないのは――――
 撫子ちゃんにとっては、開放的で。良いことなのだと、思います。
 猫は、縛られるのが嫌いな、生き物だと。……聞いたことがあるので」

言葉を丁寧に探して、ゆっくりと返す。
本心でもない事を言っている、という意味ではない。
少しでも。相手のためになることが、言いたいから。
『縛る物』がないのが良いことだと、口にするのはどこか重いから。

「お庭で、花。とても……お洒落だと、トーリは思います。
 トーリの家でも。プランターで、小さな花は育てています」

            キョロ ・・・

「『花壇は立ち入り禁止』……これも。
 撫子ちゃんには、関係ないでしょうね」

立て看板が目に入る。
少なくとも花が踏み荒らされたような様子は無い。

「見えるところには、見当たらないですが――――
 ……黒い猫なら。影にいたら、トーリなら気づかないかもしれません」

花を踏まないあたりまで近づいて、生垣の影などを覗いてみる事にした。

569小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/27(土) 23:45:37
>>568

  「……そうですね」

  「猫は……好きな時に好きな場所へ行く生き物です。
   撫子は眠っている事が多いので、
   あまり独りで出掛ける事はありませんが、
   やはり時々どこかに行きたくなるのでしょう」

  「私にも、時々そうした事がありますから……」

           ソッ

  「――『花壇』は乱れていませんね……」

荒らされていない花壇を見て安堵した。
内側が空洞になっている撫子の体重は、普通の猫と比べて軽いが、
もし花の上を通ったなら足跡は残る。
それがないという事は、そうしなかったのだろう。

  「白岸さんは『お好きな花』がおありですか?」

  「私は『ラベンダー』が好きで……その『香り』も愛用しています」

白岸に倣い、『生垣』に視線を移す。

    ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

その中に何か『黒いもの』が見える。
形までは分からないが、『生垣の一部』ではない事は確かだろう。
そして、よく観察すれば、微かに動いているらしい事も分かった。

570白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/28(日) 00:15:45
>>569

「――――そう。なのですね。
 トーリは。あまりそういう気持ちになることがなくて。
 ずっと。同じ場所にいたいというわけでは、ないのですが」

          「……いえ」

途中で話を切ったのは、
自分のそれがひどく個人的な独白に感じたからだ。

「花――――」

「トーリは。あまり詳しくはありませんが、
 青くて、小さい花が好きです。
 名前は今となっては分かりませんが、
 ……昔いた家で育てていて、
 その想い出のせいなのだと、思います」

生垣の中の『何か』に気づき、

「『ラベンダー』……トーリも知っています。
 小石川さんに、似合う気がします。
 ……雰囲気の話で、花言葉、だとか。
 そういうものは、トーリはあまり、知らないのですが」

普通のように話しながら『小石川』に視線を戻して、
特に止められたりしないようであれば、それをよくのぞき込んでみよう。

571小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/28(日) 00:38:17
>>570

ここ――『小石川家』がある住宅街は、至って静謐さを湛えた場所だ。
小石川自身そういった雰囲気を好むが、時には賑やかさが恋しくなる事もある。
そんな時は、多くの人々が行き交う通りに足を運ぶ。

  「……白岸さんも『花』がお好きなのですね」

気に掛かる部分はあったが、踏み込むべきではない。

  「きっと……『白岸さんに似合う花』なのだと思います」

白岸も同じように配慮してくれた事は察していた。

         ゴソ…………

僅かに見えたのは『猫の耳』だろうか?
やはり、ここには猫がいるようだ。
それも『黒い猫』が。

  「――『撫子』」

           「にゃあ」

生垣に向かって名前を呼ぶと、やや遅れて『反応』があった。

572白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/28(日) 00:58:58
>>571

住宅街の閑静さは単に過疎地域なのではなく、
そうした空気を好む住民が集まるゆえなのだろう。
小石川の気風からもそれは読み取れる。

「そう、だったのかもしれません。
 ……ああ。トーリは、その時も。
 そう言われた覚えがあります。
 ……トーリに似合う花を選んだんだ、と」

より厳密には、その時は『ノエル』と呼ばれていた。
その名前は、もっぱらその頃に呼ばれていた。

「撫子ちゃん。
 見つかって、良かったです。
 家に帰ることが出来て……」

物思いの霞を思考から払いながら、猫を見てみる。
小石川に似合う、小さく大人しい黒猫なのだろうか?

573小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/28(日) 01:27:01
>>572

  「……外は寒いですから、ここに入ってしまったのかもしれませんね」

         ガサ…………

                ガサガサ…………

  「白岸さん、ありがとうございました。これで無事に連れて帰れます……」

生垣から物音が聞こえる。
呼び掛けに応じて、こちら側に出てこようとしているのだろう。
それから数秒後、『黒猫の撫子』が姿を表した。

     トッ トッ トッ

           「にゃあ」

これは――――果たして『猫』なのだろうか?
出てきたのは『黒いキャペリンハット』だった。
似合うといえば似合うかもしれないが、
それは『帽子として』であり、とても猫には見えない。
確かに『耳』は生えているし、『尻尾』らしきものもあるようだ。
それどころか、この世の生き物とも思えないような奇妙な外見だった。

  「その――驚かせるつもりはなかったのですが……」

  「――『説明』が難しかったもので……」

奇妙な『帽子猫』は、白岸の足元に座り、その姿を見上げている。
鍔の部分が体毛である事を考えると、『長毛種』なのだろう。
体毛に隠れてしまっているが、きちんと『足』もあるらしい。

574白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/28(日) 01:46:01
>>573

「その。子は。……そう、なのですね。
 いえ。確かに、撫子ちゃんの見た目は……
 『説明』されても、分からなかったと思います。
 今のように、こうして、見てみないと」

見たとしてもかなり信じ難い存在だろう。
トーリは『スタンド』の存在を知っているので、
それが『ありえる』ということを理解はしている。

「トーリも。疑ってしまって……
 この子が寒い思いをする時間が、
 長くなってしまったかも、しれません」

しばらく猫を見ていたが、
顔を上げ、小石川に向き直った。

「……どういう種類でも。猫は、可愛い動物ですね」

トーリ自身は犬派なのだが、それはわざわざ言わない。
猫を可愛いと思う気持ちは別に嘘ではないのだから。

575小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/28(日) 02:10:21
>>574

思っていたほど驚かれなかった事は、逆に意外だった。
しかし、その理由は分かるような気がする。
『非日常』に接する事が初めてでなければ。

  「ええ――この子は確かに『猫』です……」

         スッ

  「そして……私の『家族』なのです」

両手を伸ばして撫子を抱え上げる。
大人しい性格のようで、すんなりと持ち上げられた。
遠目からは『変わった帽子』に見えるだろう。

  「……撫でられるのが好きなので、『撫子』と名付けました」

        ソッ…………

片手で帽子猫を撫でる。
そうされると落ち着くらしく、徐々に耳が『寝た状態』になっていく。
こうなると完全に『帽子』にしか見えなかった。

  「いえ……白岸さんが見つけて下さったのです。
   私だけでは気付かなかったかもしれません」

  「よろしければ、何か『お礼』をしたいのですが……」

帰宅の途中に見えたし、あまり引き止めるのも迷惑だろうか。
そのように考えながら言葉を紡ぐ。
ただ、今この場で出来る事があれば、それをしたいと思う。

576白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/28(日) 15:42:23
>>575

「そう、なのですね。
 ――――意味があって。素敵な、お名前だと思います」

『名づけ』はどれほどシンプルな物でも意味がある。
そこに『想い』があるならなおさらだろう。

「『お礼』」
「―――――――ですか。そうですね、『何か』」

          「せっかく、ですから」

申し出に、少しだけ思考がフリーズした。
お礼という概念にではなく、『何か』という言い回しにだ。
もちろん受け取らずに拒む事も出来るのだろうが、
それはこの女性に対し、失礼なことに感じられる。

「あの。……例えば、なのですが。
 小石川さんが考えている『お礼』というのは、
 どのようなものがあるのでしょうか?」

          「……」

「すみません、失礼な言い方だとは思います。ただ……
 トーリはとても。『何かを決める』のが、得意では……ないのです」

わざわざ触れ回るような弱みでもないが、
不躾な問いかけには、理由が必要だと思った。するべきだから、する。

577小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/28(日) 20:55:54
>>576

表情には出さないものの、白岸の反応は気に掛かった。
予想していない答え方だったからだ。
しかし、そういった人間がいる事そのものは不思議ではなく、
ゆえに深く立ち入ろうという気は起こらない。

  「――お気になさらないで下さい。
   私にも『苦手な事』がありますから、お気持ちは分かります」

それから、自らの腕の中で静かにしている『撫子』を一瞥する。

  「……では、こうしましょう」

  「少しの間、この子を抱いてあげてくれませんか?
   『お礼』なのに『お願いする』というのは変な話ですが……
   『滅多に出来ない体験』ではないかと思います。
   とても大人しい性格ですから、暴れたりしませんよ」

普通の猫と同じように、その辺りの気質は『飼い主に似る』という事なのだろう。

  「もし『アレルギー』をお持ちでないのでしたら……」

相手に心の余裕を持たせる緩やかな所作で、白岸に『帽子猫』を差し出す。
それを受け取ったなら、まず『重さ』が『帽子程度』しかない事が分かるだろう。
そして、生き物の証である『体温』と、豊かな『毛並み』の感触が伝わる筈だ。

578白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/29(月) 00:47:43
>>577

「……ありがとうございます、小石川さん」

        ペコリ

「『猫アレルギー』は。ありませんので。
 ぜひ、トーリにも抱っこをさせてください。
 ……トーリは猫を抱いたことがないですが、
 『傷む』のような抱き方は、しないよう。気を付けます」

        ス ―――― ・・・

両手を前に差し出し、『帽子猫』を受け取る。

「……『暖かい』」

軽い、と思うよりも先に、それが口に出たのは、
冬の住宅街を歩いた後だったからだろうか。

「猫。なのですね。分かってはいたのですが、
 こうしてみると――――もっと、実感できます。
 安心している事が。……生きている事が」

              「……」

腕の中にいるその姿に視線を落としていたが、
少しすると、ゆっくりと顔を上げた。

「……そろそろ。トーリはお礼にとても満足しました。
 今度は小石川さんが、撫子ちゃんを抱っこしてあげてください」

          ソ ・・・

あるじ
「主の腕の中が一番――きっと。落ち着ける場所なのです」


預かるときに増してゆっくりと、その体を『飼い主』の方へと返す。

579小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/01/29(月) 02:01:53
>>578

撫子は眠りかけているのか、両方の目が半分ほど閉じられている。
出歩いて疲れたのかもしれないし、白岸の抱き方が良かったのかもしれない。
ともかく落ち着いた心持ちでいる様子だった。

         「――にゃあ……」

『スタンド生物』である撫子は、
外見だけを見れば生き物にすら見えない不可思議な存在だ。
しかし、たとえ風変わりな姿であっても、普通の猫と同じように生きている。
その『生の営み』が愛おしい。

  「……ご飯も食べますし、睡眠も取ります。
   食事をした後は、ほんの少しだけ『重くなる』んですよ」

            クス…………

穏やかに微笑みながら、白岸の手から撫子を受け取る。

  「撫子に優しくして下さって、ありがとうございました。
   白岸さん……もし何処かでお会いする事があれば、またお話をさせて下さい」

        スゥッ

  「――では、失礼いたします……」

深々と頭を下げると、寝息を立て始めた帽子猫を抱いて花壇から離れ、公園の出口に向かう。

              コツ コツ コツ …………

立ち去り際、白岸が最後に口にした言葉が、意識の片隅に引っ掛かった。
普段あまり使わない表現だからだろうか。
撫子を見て驚きが少なかった事と合わせて、何か複雑な事情を感じる。
しかし、それは彼女の個人的な部分だろう。
今の自分にとって大事なのは、撫子が無事に見つかり、
『小さな縁』が出来たという事なのだから。

580白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2024/01/29(月) 02:44:46
>>579

口にしてから、言ってしまった――――と、そう思った。
この小石川という女性の雰囲気が為せるものなのか?
表に出していないものは、出すべきではないものだ。

「―――――――こちらこそ。
 また。お話しできたら嬉しいです、小石川さん」

                スッ

頭を下げ返し、公園の逆の出口に向かう。
単純に、帰る方向が逆だからだ。

「では。……日も沈んで来ますから、どうか。お気をつけて」

              ザッ ・・・

『主』――――己の指針は、とうに失われた。
新しい保護者は保護者でしかない。
自由であるべきという指針は指針ではない。

(それでも)

自由である事で小石川や――――千々石、斑鳩。
縁が紡がれているのも事実だ。それは良いこと。とても良いこと。

          ・・・思考を振り払い、そのまま帰路についた。

581りん『フューネラル・リース』:2024/02/03(土) 12:51:31
ここは自然公園内にある
少女の霊が出るという噂の心霊スポット 鈴蘭畑

「鬼はうち、福は外〜♪」

その近くの小屋で豆をまいているのは
年齢10歳程の頭に鈴蘭が咲いている少女だ

582ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/04(日) 19:29:15
>>581
「ふー…」
近くのベンチでゆっくりとタバコを吸う女性。
…のように見えるがそのタバコには火がついていない。

「ま、少しは量を減らさないとね」
どうやらそれはタバコではないらしい

「おや」
太線を向けると頭に花が生えた少女が見えた。

「…都市伝説みたいなのがいる」
興味があるのか、そっちに歩いていく。

583りん『フューネラル・リース』:2024/02/05(月) 18:05:11
>>582
「鬼はうち〜」

豆をぶつけられる鬼役がいないが
これは本来、鬼役をやる予定だった長谷川 平蔵(ながせがわ へいぞう)の
家が火付けされてしまったために来れなくなってしまい
止むなく一人で豆まきをする事になったからだ

バラバラと豆を撒き散らし、ノリにノってきたりん
りんお手製の豆鉄砲用のアサルトライフルに豆を装填する

「福は外ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

ババババババババッッッ

豆の詰まったアサルトライフルを四方八方に発砲するッッッ!!!

「あっ」

周囲に誰もいないと思っていて気付かず
ヨハネにアサルトライフルの豆が勢いよく飛んでいく(パスEBくらいか?)

584ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/05(月) 19:23:14
>>583
「あっと危ない。」
自分に向けて飛ばされてきた豆鉄砲。
ヨハネは咄嗟に目を庇いつつ…
あえて避けたりしなかった

ピシッ ピシッ
パクっ

「いまのはちょっとだけ、効いたかな〜?
 あ、周りはよく見ようね〜」
口の中に飛び込んだ豆をポリポリと食べながら、ヨハネは微笑んだ。

「福は外ってことは、コレで私に福来たる…ってことでいい?」
目付きが悪い女性だ。
りんからみたらちょっと怖い見た目に見えるかもしれない。

585りん『フューネラル・リース』:2024/02/06(火) 19:08:41
>>584
タバコではない、電子タバコか
さもなくばココアシガレットだろうか?
を咥えながら豆を食べるのは中々器用な真似をする
いや、その時は咥えていないのかもしれないが

「ごめんなさ〜い」

頭の鈴蘭を揺らしながらヨハネに駆け寄り謝るりん
多少目付きが悪かろうと、あまり気にしない

「怪我とかしてませんか?」

豆鉄砲とはいえ、目とかに入ったら危険ではある

586ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/06(火) 20:32:31
>>585
ヨハネは口をモゴモゴさせている。
どうやらタバコは咥えていなかったようだ。

「ああ、気にしないでいいよ。
 見ての通り無傷だよ、」
そう言ってヨハネは手を振る。

「福は外、だそうだからむしろ感謝かな?こっちに福が飛んできたってわけだし?」
どこか意地悪そうに答える。
よく見ると手に持っているのはタバコではなくココアシガレットのようだ。
ちょっと甘い匂いがする。

587りん『フューネラル・リース』:2024/02/07(水) 13:58:35
>>586
「良かった〜」

とりあえず、怪我をさせていない事に安堵する

「いつも鬼が追い払われてるのはかわいそうかと思って
 うちは鬼はうちって言うようにしてるんですけど」
「日本昔ばなしで、そうすると鬼が来て福を持って来てくれる話もあったし」
「けど福を追い払わなくても良かったかなぁ」

「あ、でもおねえさんに福が行ったなら良かったです!」

588ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/07(水) 22:01:06
>>587
「ずいぶんと優しい子だね。
どうせなら欲張って、鬼も福も全部家に溜め込むのが一番得なんじゃないかな。」
再び口にココアシガレットを加える。

「それも福を外に持ってきてくれたおかげだろうねぇ。
多分今後いいことがあるだろうね。」
どこか気さくな態度で答える。
しかしヨハネの視線はそう話してる間にも『りん』の頭の上に生えているものに向いているようだ

589りん『フューネラル・リース』:2024/02/08(木) 11:37:06
>>588
「えへへ、じゃあそろそろ豆を片付けないと」

辺り一面の散らばった豆をせっせと回収するりん
しかし、銃まで使って盛大にばら撒いた豆を回収するのは大変だ

しゃがみ込んで豆を拾い集める集めると頭の鈴蘭もゆらゆら揺れる
ふと、ヨハネの視線に気が付くりん

「あ、うちの鈴蘭気になる?」

590ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/08(木) 21:14:42
>>589
「拾ったのはそのまんま食べちゃだめだよ。
ちゃんと洗ってからにしな。」
そう言って軽く前かがみにその様子を見る。

「ああ、そうそう、スズランだったねえ。
そのお花の名前。」
そう言って頭の上で揺れる鈴蘭を指さした。

「それって本当に頭に生えてるやつ?
それとも」
「ネットで出回ってるお花の女の子とかいうののコスプレ?」

何気なく質問して…今度は少女に視線を合わせる。
ヨハネは目を見れば嘘を言っているかどうかがわかる。
本物か偽物か。果たしてどっちが本当なのだろうか…?

591りん『フューネラル・リース』:2024/02/08(木) 22:03:59
>>590
「犬じゃないんだからちゃんと洗うよ〜」

流石に地べたに落ちたものを
そのまま食べたりはしないくらいの衛生観念はあるが
食べ物を捨てるような事もしない

>それって本当に頭に生えてるやつ?
>それとも
>ネットで出回ってるお花の女の子とかいうののコスプレ?

「本物だよぉ、えへへ、綺麗でしょ?」

自分の鈴蘭を撫でながらちょっと自慢気に笑う

「ネットで出回ってるのって、あれ?
 見ると30日後に頭に花が咲いて死んじゃうっていうの…」

どうやらネット上の噂はりんも把握しているようだ

「あれうちに似た特徴で紛らわしいから迷惑してるんだよ〜」

ヨハネの真偽を見抜くその目には、鈴蘭の少女が嘘をついているようには見えない

592ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/08(木) 23:25:01
>>591
「ああすまないね。
 見た目的に土とか好きそうに見えたもんだからね。」
冗談を飛ばしているようだ。

「ネットは見てるんだねぇ。それなら話が早い」
彼女の目を見たヨハネは確信する
(本物か…)
世の中には妙なやつがいると感じた。

「まぁ要するにあんたにはそんな能力はないってわけだ。
それなら一安心だね。」

「ま、そもそも本当なら誰がそんな話で来るわけないし。」
ココアシガレットを新しく咥えて答える。

「…帽子とか、被ってみるかい?妙な噂に巻き込まれずに済むかもしれないけど…」
どうやら心配しているようだ

593りん『フューネラル・リース』:2024/02/09(金) 14:06:47
>>592
「帽子は被る時もあるけど
 日が当たらないと元気が出ないし
 花を押さえつける感じになっちゃうからちょっときついんだよね」

別に帽子が嫌いというわけではなく
気分によっては被る時もあるが、花を押さえるのは少々苦しいようだ
夏なんかは時々麦わら帽子を被っているりんが見られる

結構な数の豆を拾ったが、まだ辺りには豆がいっぱい散らばっている
調子に乗ってばら撒き過ぎたせいか、一人で集めるのは骨が折れそうだ

「それに、うちは自分自身をあんまり隠したくないな」

594ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/09(金) 21:50:23
>>593
「確かに…日光は花にとってはなくてはならないものだしねえ。
 常にはできないか」
彼女の言い分に耳を傾け、理解を示すように返事を返す。

「隠し事は得意じゃないってことかな…」
りんの目を見ていると、彼女は常に正直に生きているようだと感じた。

「たとえそれで、なにか起こる可能性があったとしてもかい?」
具体的には言わないが、どこか都市伝説を鵜呑みにする人間が現れないかと心配なようだ。

595りん『フューネラル・リース』:2024/02/10(土) 15:09:42
>>594
「何かかぁ…」

拾い集めた豆を袋に詰める
そんな作業を繰り返しながらヨハネの言う可能性について考える

りんの鈴蘭はりんそのものと言っていい
噂を鵜呑みにした人間がそれを引き抜こうとしたら、死ぬ

そして解き放たれるのは『フューネラル・リース』

周囲の命を狩り尽し、
りんを再生させる無慈悲で絶対的なりんの味方だ

例のネットの噂を鵜呑みにする馬鹿者はそうそういないだろうが
今後絶対に出て来ないとは言い切れない
そう考えると、鈴蘭を隠した方が良いのかもしれないが

「自分を偽って生きるのって、きっと苦しいと思うよ」
「うちは、花も含めてりんっていう人間だから」
「それも含めてちゃんとりんを見てほしいの」

鈴蘭はりん自身であり、誇りであり、偽りたくないものだ

「確かに、それで何かされるかもしれないけど
 でも、絶対に悪い事なんて起こさせない」

それを防ぐのはそう簡単な事ではないだろう
だから隠しておいた方がいいのかもしれない
でも、自分を偽って隠しておくのは嫌だ

勝手だけど、りんは自由に生きていたい
そのための覚悟は出来ている

596ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/10(土) 20:47:52
>>595
「なるほど、一理あるね。私も仕事柄、自分を偽ってる人間は嫌になるくらい見てきたよ。」
ポリポリと、ココアシガレットを食べ始める。

「世の中はそういう人間のほうが多いからねぇ。誰も彼もが苦しそうに見えてくるよ。」
目の動きで嘘が分かる。そんな能力があるからこそ、ヨハネは彼女の言葉に何処か共感できるのかもしれない。

「あんたは見かけによらずできた子みたいだね。思うままに生きるなんてのはなかなかできることじゃない」

「まぁ、それがあんたの生き方なら反対はしないよ」
そう言ってあたりを見回す。
「それでも大変なら…愚痴くらいは聞いてやってもいいよ。私は見ての通りの聖職者だからね」
りんの様子を見ながら答える。
聖職者…のわりにはタバコっぽいのを咥えていたりと、あまり真面目そうには見えないが。

597りん『フューネラル・リース』:2024/02/11(日) 15:38:27
>>596
「じゃ、じゃあ愚痴っていうかお願いなんですけど…」

笑顔を浮かべながらも
申し訳なさそうというか、ちょっと疲れたような顔でヨハネを見る

「あの…
 豆を拾うの、手伝ってくれます?」

もうかなり拾ったのにまだ豆はそこら中に散らばっている
一人でやってたら日が暮れちまうよ!

別に聖職者がそれを手伝う必要はない

598ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/11(日) 22:09:01
>>597
「ん?あぁごめんね。ずっと見たままで」
そう言って近寄っていき、屈んで豆を拾いに行く。

「しかし随分と撒いたもんだね。
これだけやってるなら多分いいことあるんじゃないかね。」
あっちこっちを探しているうちに結構豆が集まってきた。
少し楽しそうにヨハネは答える。

「他にもなにかあったら、ちょっと町外れの教会に来てみなよ。相談くらいはできるからね。」
そう言いつつどんどんと集めていく。
割とすぐに集め終わるだろう。

599りん『フューネラル・リース』:2024/02/12(月) 15:07:28
>>598
りんとヨハネの二人掛かりでようやく終わりが見えてきた豆拾い

「ありがとうございます、やっと終わりそうだよ〜」

腕をまくり額の汗を拭うりん
まだ2月だというのに、労働をしていると暑くなってくる
その労働の種を撒いたのはりん自身なのだが

「あっ、よかったらおねえさんもそれ持ってってください」

ヨハネが集めた分はヨハネに譲る
労働の対価としてはやっすい給料だ


バサバサバサ

鳥が飛んで来た音がする
何羽か鳩が豆に集って来たようだ

「あっ、由紀夫久しぶりだね〜、元気にしてた?」

ホーホケキョ

顔見知りなのか、1羽の鳩に挨拶をするりん


>他にもなにかあったら、ちょっと町外れの教会に来てみなよ。相談くらいはできるからね。

「その時は、由紀夫も連れてって良いですか?」

600ヨハネ『ゴッド・ノウズ』:2024/02/12(月) 22:33:21
>>599
「あぁ、こっちの分も終わったよ。」
豆を抱えながら答える
やがて、りんから自分が拾った分を受け取ることになった

「どうもありがとう。まぁこれは…料理に使えなくはないか」
量はそこそこある豆を見ながら呟いた。

バサッ

「おや、鳩が豆をくいにきた?
…ってペットだったのね…
 まぁ…」
鳩の様子をしばらく眺めてから答える。

「うちには他にも変なのがいるし、今さら鳩が増えても大丈夫だろ。私は構わないよ。」
そう言って軽く笑った。

「おっと、そろそろ帰らないと。
 そらじゃあ…」
そう言ってからスマホを操作して、地図アプリを見せる。

「うちの教会はここだから、覚えといてね。」
そう言って住所を見せると、
覚えたところを見計らい、その場から悠々と去っていった。

601甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/02/14(水) 15:13:59
2月14日

「あげる」

季節外れの陽気のバレンタインデー

暖かい空気に包まれながら>>602にチョコレートの包みを渡す
果たして、中身は一体…

602甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/02/15(木) 16:17:23
>>601
松本「へー、USJのカエルチョコじゃないか
   珍しい物を買って来たね」

ケロ

松本「ん?」
松本「なぁあま公、今何か声が聞こえた気がしたんだけど…」
あま「そう?」

松本「おーいマリア、チョコレートあるんだけど食べるかい?」
阿部マリア「おぉ、デカいチョコレートですわね!食いごたえがありそうですわ!」

カエルチョコに齧りつこうとするマリア
その時、突如チョコレートが動き出してマリアの頭部を直撃し破壊した!

松本「おい、どういう事だ!?何でチョコレートが動くんだよ!?」
あま「ネットで買おうとしたんだけど買えなかったから、手作りしてみたんだけど
   多分…その時、本物のヒキガエルが混入した」
松本「何でこの季節にカエルがいるんだよ!?」
あま「暖冬だから…」

           ,、   ,、
         /・`、ニ・ヽ
        /  ___ゝ
        /.   ´ヽ_ノ
       八     く `ー、
     /丁   房 }ソ_ノ
     Ц_/{;ニニニニソ
      ノ八ー―ノ八

       終
     制作・著作
     ━━━━━
      ⓃⒽⓀ

603妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/17(土) 12:32:38
パチ

白い狐の耳と尻尾を生やした9歳くらいの女が将棋を打っている
対局相手は犬(四国犬)だ
(犬が吠えると狐が代わりに打つという形を取っている)

604雨田 月人『インサニティ』:2024/02/17(土) 12:52:36
>>603(僕 ケモナー『獣耳派容認』じゃないんだ。御免ね
あと、ちょっとレス遅めになります)

 いやー、あの人(美作) 一瞬運命の人(ミミ)かなぁ〜って
思えた気がしたんだけど、当てが外れたなー。何だか調子が出ないなぁ。

 そんなブラブラと人気が少ない公園(とかで良い?)を歩いてたら
なんか子供と犬が将棋してた。なんかの童話の風景?

 「へぇ〜 それ、将棋の体裁とか出来てるの?」

(僕もそんな将棋について詳しくないけどね)

 のんびりと声を掛ける。なんか暇つぶしに面白いネタになりそうかな。
学校とかで他の人間たちと話す時って、正直面倒だけど爪弾きにされる
関係性は色々と面倒くさいからね。はー、やだやだ学校も。
 気を抜くと直ぐにミミと一緒に何時までも過ごしたくなるよ。

605妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/17(土) 14:21:45
>>604
公園の屋根付き休憩所にて将棋を打つ2匹
狐の対戦相手は四国犬の一二三

「なんじゃ?」

一二三との対局に水を差す人間に殺意が湧いた狐だが
今は神聖な対局の時間だ、すぐに殺意を抑える

「見てわからぬか?」

盤面を見てみれば、将棋に詳しくなくてもちゃんと出来ている事が分かるだろう
何故犬がルールを理解出来るのかというと、四国一二三を始め狐がここら辺の犬達に将棋を教え広めているからだ

狐の方は振り飛車戦法で攻めていたようだが

以下、犬語を日本語に訳して表記する

四国一二三「王手」
狐「何?」

盤面を何度も見返す狐だが、どう見ても詰みだ

狐「…詰みです」


「おい人間、貴様が話しかけてきたせいで負けてしまったではないか
 食い殺されたいか?」

四国一二三「おばあさまが耄碌したからだと思うんですけど」

606雨田 月人『インサニティ』:2024/02/17(土) 14:30:46
>>605

>以下、犬語を日本語に訳して表記する

って事は、食い殺されたいか? ってのも実際は。

アーゥン  ガァウ  グゥウ゛ゥ?

って事だね。御免、ぼく犬語は流石に無理だな。ミミの声は
良く聞けるんだけどさ。

 「あー、犬の真似 上手だねぇ。僕が子供のころもやったのかなー」ニコニコ

「それにしても、君。親御さんとかは? 一人だと、物騒なんじゃないの?」

周りをきょろきょろ見るよ。獣耳より、母親とか父親の方(ミミ)は
確かな僕の運命の相手かもと期待しつつね。

607妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/17(土) 15:33:43
>>606
いや、そこは普通に日本語で言ったのだが…(人間と話す時は基本日本語)
まぁ、いちいち訂正する事ではないか…

「親などとうの昔、平安時代に死んでいるわ」

残念な事にとっくの昔に死んでいるし
仮に生きていたとしても、狐の親は狐
雨田のお好みのミミではないだろう

四国一二三「やっぱり将棋は面白いですね(犬語)」
狐「将棋は世界最高のボードゲームだからな(犬語)」
狐「プロの棋士は本当に尊敬するわ、藤井聡太王将は我がリスペクトする数少ない人間だ(犬語)」

そんな会話をしていた所に、急にぐぅ〜と腹の音が鳴る

狐「ああそうだ(唐突)、我も藤井聡太王将のような昼飯を食いたくて作ってきたのだった(犬語)」

そして、昼飯を取り出す狐
弁当箱の中から、何か蒸した肉のような匂いがする
そしてこの肉、耳のような形をしているのだが…人の耳の形にとてもそっくりなんだ…

608<削除>:<削除>
<削除>

609雨田 月人『インサニティ』:2024/02/18(日) 12:26:32
>>607

 言うて、子供の姿だと。食い殺すぞって言われても、はは 随分口悪いねーって
笑顔で僕なら流すぐらいだから、大した反応の差異ないよね。

 で、耳焼きに対してだが。

 「……?」 スン スン

   「――あれ? この匂い、最近すごくどっかで嗅ぎ覚えがあるな」

人の耳の形は、まぁ人形焼きとか豚足とかあるじゃない? 行き成りリアルな
耳の形されても、そう言う形で焼かれてる肉なのかなーってミミを愛する僕としても
一瞬でそれがミミが焼かれたものだと理解して激昂とかしないよ。

 でも、僕。以前のゲームで人の肉を燻製にして焼いて食べてるし、嗅ぎ覚えあるよねー。

 「え……まさか」

  「それ、は。まさか、本物のミミを焼いたもの……!?」」

  (※一応、焼かれたミミに対してもダイスロールしとくよ。
もし最愛のミミに近しかったらショックの度合いも比例する)

610妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/18(日) 14:43:16
>>609
「ん?ああ、そうだな」
「耳だよ」

木耳とかパンの耳とかじゃない、耳だ
何の耳とは言っていないが…

「沖縄の郷土料理、ミミガーを我なりにアレンジして作ったのよ
 本来は豚の耳でやるのだがな」

耳を一つまみ食う狐

「うむ、美味い!
 このコリコリ食感とコラーゲン…
 冷めても美味いとは流石我だな」

四国一二三「藤井くんはそんなもの食べないと思うんですけど…(犬語)」
狐「なんじゃ、お主はいらぬのか?(犬語)」
四国一二三「いえ、食べさせて頂きます!」

狐が耳をくれてやるとガツガツと食べる四国犬

611雨田 月人『インサニティ』:2024/02/18(日) 22:28:15
>>610

 犬と共に人の耳をパクパク食べ進める妖狐。

もし、雨田にとって。その耳が運命に近しい相手に近かったら。

 なんで……なんでそんな残酷な事を人(ミミ)に行えるんだよぉ―――zノ!

なんぞ、のたまってたかも知れないが。戦闘力たったの6のミミだ。
多分、ピアスなり開けられてる跡が微妙にミミ愛好家の雨田は目敏く気付いたのだろう。

ただ、ミミ愛好家としても本物の『ミミ』だとわかる。

 「へぇ〜、それ『本物』か。て事は……」

特に先程の衝撃さを引きずる事なく、それでもちょっとしたマジックでも
見たような淡い感嘆を込めて、妖狐へ問いかける。

「あんた、人喰いか。人間に怪物とか言われる感じの存在?」

 雨田にとって、人間は別に愛着を覚えるものでない。

・・・・
たまたま自分は、そう言う造りで産まれて。そして似たような構造の
生き物が周囲に居るが、執着や愛情に近しい感情を覚えるのは『ミミ』限定だ。

映画などなら、人を襲う存在は山ほど居るが。現実で自分以外に
人間と言うカテゴリーを息するように襲うであろうものを目にするのは
これが初めてだ。自分以外を除いては。

 「僕の、お仲間?」

612妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/20(火) 14:15:23
>>611
狐「う〜む、この味…
  息子や娘達にも食わせてやりたかったな(犬語)」
四国一二三「しかしこれ、値段はいくらになるんですかね?(犬語)」
狐「何故そんな事を聞く?(犬語)」
四国一二三「500円以上したら藤井昼食嫉妬民が沸いてきそうじゃないですか(犬語)」
狐「我らは藤井君じゃないから別に良いだろう(犬語)」

>あんた、人喰いか。人間に怪物とか言われる感じの存在?
>僕の、お仲間?

「…む?」

雨田の言葉に耳をピクッと震わせ反応する

  バケモノ
「…人間の仲間などもった覚えはない」

青く冷たい目で雨田を見る

「貴様からは同胞(狐)の匂いもしない
 妖怪変化でもない、人間であろう?」

613雨田 月人『インサニティ』:2024/02/21(水) 14:59:26
>>612


>貴様からは同胞(狐)の匂いもしない 妖怪変化でもない、人間であろう


「肉体の構造だけはねぇ。でも、僕も君も別に必要ないのに人は殺すんでしょ?
生まれに関しては、もう仕方がないでしょ。そうやって作られちゃった命なんだし」

 糸目で破顔しつつ、笑い声と共に告げる。

「でも、僕は人間ってのは、まだ一つしか殺してないし。
いや、四つが正解かな? でも、三つは特殊なゲーム……ゲームってわかる?
まぁ、お遊び染みたものだったから厳密には一つだけかな。
 けど、そっちは多分さ、僕より沢山殺してるわけじゃん?
凄いよっ、僕、先輩って君の事を呼んでもいいかな?」

 にこやかに、笑顔を崩す事なく言葉を続ける。

「僕と先輩、多分仲良く出来ると思うよ。僕はミミって言う運命の相手を
望んでるけど、先輩はミミって言うのを別に食事の為以外に
必要としてるんじゃないでしょ? 違うよね。だったらどんなに
穴空いてる醜いミミでも、焼き殺すなんて愛してるのならしないだろうし」

 雨田 月人は狂っている。妖狐は、人を喰うまでのルーツがあっただろう。
だが、雨田は最初から人から産まれてるが人間と言う対象に愛情とか共感する
感性が大いに欠けていた。そして、それ以外の知性などは相応に所有してる。

「僕ね、思うんだよ。この人間って社会は誰か一つ殺すだけで
騒ぎになるし、グループでそいつを躍起になって探そうとする。
 そして、今の現代は探し当てるのに中々優秀だ。不思議な幽霊さんを
持ってる人たちも居るらしいし、僕一人で一つ殺すにしても一苦労なんだよね。
 先輩みたいな人が一人でも協力してくれるんなら、僕としても助かるんだけどな」

 どう? そう、雨田はにこやかに首を傾げて穏やかに提案をする。

614妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/21(水) 19:22:34
>>613
「必要ない…?」

その言葉に顔を顰める
狐にとって、殺人は必要な事だ
例えこの命尽き果て魂だけになっても、殺して殺して殺し続けなければならない

今すぐにでもこの男を殺してやりたいところだが
九尾だった頃の全盛期ならともかく
老衰ですっかり衰えた身では無暗に突っかかる事は出来ない

少しばかり、狐は雨田の戯言に耳を傾けた

>不思議な幽霊さんを
>持ってる人たちも居るらしいし、僕一人で一つ殺すにしても一苦労なんだよね。

スタンド使い…
かつては陰陽師や憑きもの筋などと呼ばれていたもの達か
しかし雨田の言葉からは、彼自身がそうであるかは断定出来ない

「…その協力とやらは、
 貴様は何をして我に何をさせるというのだ?」

聞くだけ聞いてやる
そんな態度で雨田の提案を聞く

615雨田 月人『インサニティ』:2024/02/23(金) 10:34:08
>>614

>必要ない…?

「あー、語弊かな。食欲・睡眠欲・性欲とかの人間で言う三大欲求って言うの?
人間が作った『括り』だと不必要って意味ね。
 先輩にとって誰か喰うのが必要不可欠だったのなら、謝るよ。
僕にも、僕のポリシーがあって。それ、否定されると流石に我慢ならないしね」

 言い方が悪かったとは思う。多分、先輩って普通の人間と何処か違うようだし
産まれながら人を主食にしてたとかなら、勝手に人間って言う種族の
ルールを挙げたのは先輩を侮辱した事になるだろうからね。

>協力とやらは、貴様は何をして我に何をさせるというのだ?

「え? 僕は別に先輩にあれこれ何かして欲しい、やってくれなんて言わないよ?
 むしろ、僕が先輩が誰か喰うとか殺すのに手を焼いてたとかあって
助けがいるなら、僕も、その人(ミミ)に関心あったら手伝うって話。
 で、僕はその時にソレの『ミミ(人)』が欲しかったら、頂戴って
先輩に強請る時があると思うんだ」

 どう? と、雨田は糸目のまま微笑を浮かべて問いかける……。

616妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/24(土) 16:26:14
>>615
「ふん…」

実に気持ちの悪い男だ

狐は愛するものを奪われた怒り、悲しみ、憎しみを原動力として今日に至る
雨田は愛するミミを求めている
そこには愛という共通するものがあるが、狐と雨田では決定的に違うところがある

狐は自分が狐という種族である事を決して否定しないし
絶対厳守ではないが狐社会におけるルールは重んじている

対してこの人間は…

「哀れな人間よのぉ」

様々な含みを持たせているが、だらだらと語る事でもない
この一言で十分だろう


狐の経験上、こういった手合いは絶対に信用してはならない
信用出来る要素が微塵もないが

「貴様にそんな利用価値があるのか?」

まず、この男に何が出来るというのかだ

617雨田 月人『インサニティ』:2024/02/25(日) 15:59:33
>>616(レス遅れ失礼しました)


>哀れな人間よのぉ
>貴様にそんな利用価値があるのか?

「うん? ないと思うなら断ればいいだけの話じゃない?」

「別に先輩に上手く取り入りたい、とか。そう言う打算目的じゃないよ。
あくまで効率から、二人で協力した方が何かと楽になるでしょ? って言う
提案だからね。だから先輩が乗り気じゃないなら、この話は、お終い!」

 終わり、終わり! と軽く拍手を鳴らして雨田は相も変わらず
糸目で微笑を掲げて今の話題を〆に向かわせる方向へ演出している。

 妖狐と駆け引きを行おうとしてるのか? これに対してメリットがあるのか?

雨田は、別にそう言った物事は考えてない。憐れ、と言う言葉にも
一瞬疑問符を浮かべたが、話題にする必要性も無いと一瞬で頭の隅へ押しやった。
 
 (『ミミ』の事を、別に先輩が理解しそうとはミミ焼いてる時点で
同好の士には成らないだろうからな。
 別に、ここで幽霊さんで仕掛けるのも無くな無いけど)

 先輩は、正直、守備範囲外だ。前提として僕の運命の人(ミミ)は
狐では無いだろう。啓蒙がもっと深ければ、それも有りになる? いや、厳しいな。

 運命の人(ミミ)なら、例え相手がどれ程強くてもモノにする為に
死力尽くそうとも思うが。はっきり言って、対象外だと既に織った先輩と
喧嘩なり無駄に殺し合うのも疲れるし、後で家に帰って叔父さんに見咎められたり
学校で誰誰に絡まれたんだーって言い訳の話を作るのも怠い。

少なくとも妖狐には無い悩みだ。人間社会に擬態して生きてるような怪物(雨田)は
身の丈に合わないサイズの小さな服で着るような窮屈さを味わってる。

少し前に、幾らかミミを得た事で溜飲も下がったが、いずれこのフラストレーションと
言える解消したいと思える気持ちも融点を超える事があるのかも知れない。

「あ、それじゃあ一つだけ取引って言うか『意見交換』しようよ。
 先輩なら、幾らか食べようと思った獲物で普通の人には見えない
幽霊を持ってる人を少なからず知ってるんじゃない?
 僕も、浅い因縁だけど数名知ってるから、少し情報交換でも
こうして知り合った記念として、どう?」

 妖狐の直観は、まごう事なく雨田の内心を射抜いてる。

彼は誰であろうとも損得の勘定で切り捨てられる状況なら即座に恋人であろうと
家族であろうと『ミミ』の為なら平然と切る。それは、妖狐とて例外で無いのだから。

618妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/26(月) 19:41:14
>>617
これまでの狐生、様々な人間を相手にしてきた狐だ
憎き人間であろうと、利用価値があるのなら手を組む事もあった
今、目の前にいる信用ならない人間とも、能力次第では手を組んでも良いのだが…

何が出来るかも分からない相手と組むというのはリスクが大きい
手強い相手との戦いで、殺すのを手伝ってくれと言っても
後から殺人の証拠隠滅が専門でしたとか
逆に証拠隠滅の手伝いをしてくれといって、後から得意分野は殺しでしたとか
なんて事になったら間抜け過ぎるだろう

>『意見交換』

「…そうさなぁ」

狐にとって、相手がスタンド使いかどうかなど正直に言ってどうでもいい
そこにいる人間を殺したいかどうか、それだけだ

が、この男が自分が話した情報に興味を持ち殺しにでも行けば
間接的に殺した事になるのでそれはそれで良いか、とも考える

「いいだろう、暇潰しには丁度良い」

ミミガー擬きに齧りつき話を聞く姿勢に入る

耳を一つ雨田に差し出して

「食うか?」
「…まぁ、食わんだろうな」

619雨田 月人『インサニティ』:2024/02/28(水) 12:40:47
>>618

>食うか?

 「あー、うん……ミミ以外の部位で、今度お誘いしてくれると嬉しいかな」

苦笑気味に、そこは手をひらひら翳して丁重に断らせて貰った。
 これが100点近いもんだったら、流石に先輩でもちょっと許せないけど
六点のミミだしね。もし、次に出会った時に気が利いてくれたら先輩
ちゃんと綺麗に包装してミミをプレゼントしてくれるかな?

六点でも、ミミはミミだからねー。分け隔てなく愛する、って思想は尊いと
思ってるから口にするのは遠慮するよ。

 「とりあえず、僕が出会った幽霊持ちだけど。
スピーカーで大音量で番号の羅列を放ってた。いわゆる、特定の人にしか
聞こえない感じの。かなり広範囲に、そんな音量流せる女だからさ」

 名前教える前に、すぐ行っちゃったから容姿だけ
かいつまんで告げるね、と。その時の30点台のミミ(美作)の
服装なり、顔つきや外見年齢などを簡潔に告げておく。

「多分、殺すのはそんな難しくなさそうだったかなー。
 けど、仕留めるとなると。あれって一回逃がしたら大音量で広めに
他に助け求められそうだから。もし先輩が出会ったら、直ぐに何も
させずに意識失わせる手段もたないと、きつそうだよ」

 なんの目的で数字を挙げてたのか。雨田には知る由も関心も無い。
ただ、結構遠くからでも聞こえた感じ。
 以前、ゲームに参加した時に同じように幽霊持ちらしい人物が大勢居たのと
学校で見かけたのも含めると、うじゃうじゃ虫見たいに居そうだ。

「一番楽そうだけど、厄介そうな奴はソレかなー。
 先輩は、どんなの知ってる?」

620妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/28(水) 20:56:08
>>619
大音量で番号の羅列を放つ女
目的が不明なのが不気味だ
特定の相手にしか聞こえないとはいえ、その特定の相手からすれば
「ドッカンバッカンうるせーんだよ!近所迷惑だろーが!」って所だろう

「何かの呪術か?面妖だな」
「そういう奴は…
 直接的な武力は持たないが、掠め手
 化かす力を持つ奴が多い、油断ならん」
「一度術中に嵌れば抜け出すのは難しいだろうな」

実際の所、暗号垂れ流し女の能力など知る由も無いが
今聞いた第一印象はそんな所だ

>先輩は、どんなの知ってる

雨田が気に入るミミかどうかは知らないが
最近あった中でも特にイラつかされた人間の事を教える事にした狐

「貴様が興味があるかは知らんが、50くらいの小娘だ」
「よく無駄口を叩く奴でやけにヤニ臭い女だったよ」

アリーナの試合で戦わされた女だ
ざっくりと容姿くらいは教えるが、名前なんかは知らない

「警棒を持つ式神…
 あぁ、貴様の言う幽霊だ」
「ただでさえとんでもない速度で面倒な奴だったが
 奴との戦いの最中、我は何かの力に引っ張られた」
「恐らくはあの警棒による力だったのだろうな」

アリーナの試合という形式故に殺されはしなかったが
それが狐の誇りをズタズタに切り刻んだのだ
何より、敗けた相手があの小娘だった事が腹立たしい

「耳など興味も湧かん故に見ておらんかったが…
 興味は湧いたか?」

621雨田 月人『インサニティ』:2024/02/29(木) 10:58:13
>>620(長らく付き合わせてすみません。
よろしければ、〆に向かわせて頂きます)

 「警棒かぁー」

警棒。所謂、自衛の為とか警察官なりが使う道具。
 職業そのまんまの人が発現したとかじゃないだろうけど
年齢が50ってなると、何というか、お堅い感じの人間なんだろうなぁと
言うイメージが沸いた。どんな『ミミ』なのだろう。
 『ミミ』は、若くとも老いても傷さえ無ければ美しい。
年と共に彩られた美麗さと言うのを秘めている。

 「うんっ 有難う先輩。興味 持ったよ
会えるか分からないけど、もし『ミミ』を手に入れられたら
先輩に一番に会わせて上げるねー」

 ニコニコと、先輩にお礼を言う。こうやって、種族は異なるだろうけど
先輩って言う存在と会えたのは良かったな。意見交換って言うのも
新鮮で楽しかったよ。なにより、先輩は僕を吹聴しようとしないだろうし
したところで、信じる人間とかってどれだけ居るだろうって言う位には
人類の天敵として生きてるだろうしね。

 「引っ張る力か。僕と先輩が出会ったのも
何かしらの『引力』なにかもね? 先輩」

 「また、今度気が向いたら此処へ来るよ。良い所だね 人気が少ないってのは」

    「じゃあ、またね! 先輩っ」

 (さて、今日は先輩とで時間を潰せたし。
 ――早く、新しい『ミミ』と出会えれば良いな)

 雨田は鼻歌と共に妖狐より足取り軽く去っていく。

  その向かう運命の旅路は……何処へと向かうか。

622妖狐『キン・コン・ユウ』:2024/02/29(木) 18:45:43
>>621
「ふん、
 貴様との引力など今すぐにでも引き千切って捨てたいものだな」

去り行く雨田に聞こえるかどうかは知らないが
そう吐き捨てる

相手が人間であろうと使える物は使う
雨田が件の女を見つけて殺してくれればそれで良し
返り討ちにあってもそれはそれで愉快だ、どっちがくたばっても溜飲が下がる
そうならなくとも別に損はしない


ここからは犬語を日本語に翻訳して進める

四国一二三「藤井くんの昼食を真似するならやっぱりぴよりんとかが食べたいのですが」
狐「ぴよりんか……あれは取り寄せは出来ぬからな、作ってみるか」

後日

四国一二三「えっ、何ですかこれ」
狐「ぴよりんを再現しようとしてみたのだが、ちょっとばかり失敗してしまってな」

狐「ひよこ饅頭になってしまった」
四国一二三「ジャンルが全然違うじゃないですか、どういう間違えをしたらそうなるんですか」

四国一二三「しかもこれ、ひよこ饅頭ですらないし」

     / ̄\      /⌒\    
    /     ヽ    /     ヽ
    |   |   |    |   |   |
     |.   |   |   |.   |   /
     ヽ.  |  |___|    |  /
     /             \
     /    、______,     ヽ
    |      \___ノ     丿
    \___  、____,   _/
    カ エ ル ま ん じ ゅ う

623甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/03(日) 12:23:33
3月3日 本日は雛祭り

飾り付けられたひな人形の前で
雛祭りの料理を食べるあま公と>>624

624甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/03/04(月) 18:43:41
>>623
カリ カリ カリ

あま「…」
松本「…」
朝比奈「…」

さっきから全員ひなチョコしか食べていない
会話もなくただひなチョコを貪る、謎の会合

ふいに米麹甘酒に手を出すあま公

朝比奈「あっ、それは」

甘酒と間違えて白酒を飲んだあま公がしばらく暴れたが
ちょっとして落ち着いた後、みんなで雛流しに行く事になる


朝比奈「雛が流されるの見てるとさ」
松本「見てるとなんだい?」
朝比奈「何か、虚しくなるよね」
松本「何でさ?」
あま「流されていく人生を見てるみたい」
朝比奈「そういう事」
松本「そう…」

松本「ん!?」

雛に混じって妙な物が流されているのを見つけた松本

松本「死体じゃねえか!!!」


後日、警察によって土座衛門の身元が調べられたが
結局身元不明の遺体のままだ

松本「結局何だったんだろう、あの死体は」
朝比奈「考えてもしょうがないのは分かるけど、頭から離れないんだよね」

あま「…そういえば、飾ってた雛人形が一つ無くなってるんだけど」
朝比奈「だから?」

         ∩
.           {::}              _
         /:;;:ヽ.        ,.:'::;;;;::ヽ
.        l|  |!         〈:::l  l:::〉
      ,.r┬ゝ-イ‐r┐、     ゞゝ-イ:<
       / | 「l "~" | .| , ヽ   / ,゙-‐-"、 \
     l. ヽ,|」    l/  l   / 、.\__/_,  l
.     |  ノr'r:=zく    .|  l  77-'-ヾ.、  ヽ.
      〉、.// .||  ||゙ヾ.、 ./、 /   // ,へ ヾ.、  ヽ
.     / //ー|L,,」|―ヾ.、 l   // /   ヽ,ヾ.、  l
 __l,,_/,/__二二___ヾ.、,l,,_/,/_/____ヽ_ヾ.、ノ__
.|   ||〈〉||   ||〈〉||   ||〈〉||   ||〈〉||   ||〈〉||  |
.|   ||〈〉||   ||〈〉||   ||〈〉||   ||〈〉||   ||〈〉||  |

                終
              制作・著作
               ━━━━━
               ⓃⒽⓀ

625コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/03/31(日) 04:57:43

『駅前広場』で『棒』のようなものをもって歩き回る影一つ。


「こゃ〜〜ん、ごめん王城ちゃ〜ん。
 思ったよりこんこんちきでうまくいかないねっ。
 この町に来てからすぐは何回も会ってたんだけどな〜。
 あれは初心者ユーザー優遇サービス? だとしたら短あい!」


急に独り言を言いだしたヤバイ子だろうか?
もちろん違う。スマホでビデオ通話しているカワイイ子だ。
       
      ・・・少なくとも、彼女に聴けばそう言うだろう。
         持っている棒はつまり、『自撮り棒』というわけだ。

「カワイイ魔法使いちゃんが行きそうなところとか、
 そういうのもあたし、わっかんないしね〜。
 あ、もしかしたらリョージちゃんのお店はそうだったのかも!?」

                 キョロ

                      キョロ

「とりあえず、『可能性ありそ〜なとこ』に来てみてるけど、誰〜もこんこん!」


ヒントがあるとすれば、恐らく例の『電波放送』だ。多分きっと。
『スタンド使いに聴かせるための放送』をしていたということは、
つまり、それを流していた場所は『聴かれる公算』があったということ。

もちろん、適当にやってただけとか、『全部の場所でしてた』とか、
反証になるようなシチュエーションはいくらでも思いついてしまうけど。


「王城ちゃんがカワイく喜んでくれるように〜、そろそろ見つけたいんだけどなあ」


思いつくことはなんでもやってみる、そういう段階が今なんだろうと思ったのだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――
●『魔法の呪文はおこのみで!』関連の活動です。
  対応いただける方は、以下の詳細を確認の上よろしくお願いいたします。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

626真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/03(水) 22:17:33
>>625 (コヤシキ様)

 地域指定の大型ゴミ袋をずるずる引きずり、
 背を丸めた『シスター』がひとり広場に近づいてくる。

 その肩には、
 『清らかな心で愛する星見をきれいに
           ほしあかり聖心教会』 のたすき。


 だが……抱えるポリ袋に厚みはなく、
 中身がほとんど入っていないことが分かる。


  「うぅ……」   トボトボ…


「駅前なのにぃ、ゴミがぜんぜんありませぇぇん……
 星見住民、モラル高すぎですぅぅ……」

 手持ちぶさたの『火ばさみ』をカチカチ鳴らしながら、
 一本線にデフォルメされた目をしょぼしょぼさせる。


「このままではぁ、また奉仕活動をサボって
 玉打ちに行ったと思われてしまいますぅぅ……」


 そこへ……とつぜんの『春嵐』。



   びゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 彡彡彡



「ひょげぇ〜……っ!?」


     「ま、待ってぇぇ……!」


 啓蟄の風に奪いとられた薄身のゴミ袋は、
 春空の下を転がるように飛んでいく。
 ……ちょうどコヤシキの眼前を横切るように。

627コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/04(木) 04:34:21
>>626(ありやさん)

 
             びゅ

              わああ
                  っ


「わおわおわお! 転がるゴミ袋を猫に見間違える、
 とってもとってもカワイ〜イあるあるがあるけど〜」
          

      ――――――――――  はしっ

               
         『袋』は『コヤシキコヤネ』の前を通り過ぎて。
          少しだけ離れた『空中』でくるりと回り、動きを止めた。

「空飛ぶ袋なら、間違えるのは『カラス』かなあ?
 こゃ〜〜ん、やだやだ。だとすればこれって『共食い』かもね〜っ」

何も知らなければ、つむじ風が袋を捕らえたようにも見える円の動き。

けれど『白いカラス』のような『スタンド』が、それを捕らえていたから、
それを手元に下ろしながら、『ありや』の方に振り向いて。

「……って言っても分かんないか!
 お電波ゆんゆん送受信中のコヤコヤの前に、
 かわい〜いシスターちゃんがとぼとぼ登場〜」

                  スッ


「は〜い、返すねシスターちゃん。ゴミ拾いだなんて偉いんだあ〜」

目を細ぉ〜く細めて、『ゴミ袋』を差し出しながら、
持ち手部分をゆっくりと差し出す。

「でも、この町ってあんまりゴミ落ちてないよね。そういうとこもか〜わいいけどっ」

628真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/05(金) 17:51:43
>>627 (コヤシキ様)

「え、えぇ……うそぉぉ……
 す、すごい『かしこ鳥』ですぅ〜〜〜!」


 予想外の『キャッチング』に瞳を見開き、
 語彙力ゼロで讃嘆の声をあげるありや。

 春風にふたたび巻き上げられぬように
 修道服のベールを両手で押さえながら、
 親切な回収者のもとへと駆け寄る。


「す、すいませぇぇん………ハァハァ
 助かりましたぁぁ……
 か、風で髪が暴れまくりでぇぇ……
 いっしゅん前が見えなくなりましたぁ……」

 いったん背筋を伸ばし、
 型崩れしたベールと乱れた蓬髪を整えてから、
 ふかぶかと頭を下げてゴミ袋を受け取る。


「ありがとうございますぅ……!
 『善き行いには善き行いで贖われる』と言いますがぁ、
 あなた様の『善行』に、わたくし感謝いたしますぅ……
 とってもとっても見事な腕前でしたぁ……(パチパチ)」
 
「あっ、『鳥ちゃん』も、ありがとうねぇぇ〜〜〜……
 見た目より重かったはずなのにぃ、
 あなたもとっても偉いですぅぅ……(パチパチ)」


  「…………(パチパチ)」


 「……… (パチ…)」


「………」


「あのぉ……
 『世界一鳥と仲良しな人』、ってわけでは……
 もちろんないです、よねぇぇ……?」

「この鳥ちゃんもこころなしか、
 ちょっと透けてますしぃ……」    サッサッ

629コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/05(金) 23:16:33
>>628(ありやさん)

   「わおわお〜、拍手喝采あられやこんこ〜ん」

                           ヒラヒラ〜

世の中には『鷹匠』のように鳥とコミュニケーションを取り、使役する人間もいる。
だが――――『狐耳ヘッドホン』を付けたこの風貌。どう見ても『匠』って感じはしない。

「いいよいいよ〜。落ちてから拾うか、落ちる前に拾うかの違いだこん〜。
 かわいいヒトをお手伝いしただけのあたしと、
 かわいくな〜いゴミを集めたシスターちゃん。よきよきな行いはど〜っち」


                      ヒュルルル

           「か〜わいいあなたの方っ! だ、こ〜ん」

白く透き通る『かしこ鳥』は、『コヤシキコヤネ』の手に止まり、
そのくちばしで『ありや』の顔を指し示す。

    「というか!見えてるんだあ」

「コぉ〜んンな感じだけど、あたしって『魔法使い』なんだ〜。
 見えるってことは、『シスターちゃん』もそうってことだあ!」

          「魔法使い同士!
           世界一仲良くなっちゃう、こ〜ん?
           ……あ、でも魔法使いは『教会』の敵だっけ!
           こゃ〜ん、あたし達狩られちゃう〜?」

     ズイ

口ではそのように言いながら、『カラス』を引っ込めず、
『ありや』の手がそこを通るなら『すり抜ける』事を確かめられる。

        ――――『スタンド』で間違いなさそうだ。


「な〜んて失礼千万こんこんちきだよねっ。
 JRPGじゃないんだから、そんな悪い風には思ってないよお」

JRPGって例え、オタクちゃんすぎるかなあ!?と付け加える――――

630真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/06(土) 11:17:42
>>629 (コヤシキ様)

「まぁぁぁ…… (頬に手を当てる)

 ではぁ……
 もしもわたくしが『かわいくないゴミ』だったら、
 あなた様はわたくしを
 助けてくださらなかったのですかぁぁ……?」


「いいえぇ、
 きっとそんなことはないはずですぅ……
 あなたもぉ、そうだよねぇぇ〜〜〜〜?」   ウフフ

 膝を曲げて視線を『鳥ちゃん』の高さに合わせると、
 指先を差し出しながら
 小さな賢者にも同意を求める。
 (『善行』に『上下』はない、と言いたいようだ)


「それにしてもぉ、
 『魔法使い』ですかぁぁ……」

   「わたくしが『見える』のは、
    『主の御わざ』によるものだと
    信じておりますがぁ……」

「ところ変われば『主の呼び名』も変わるように
 (あるいは『聖書』の解釈が変わるように)、
 『奇跡』の呼び方もひとそれぞれ、
 ということでしょうかねぇぇ……?」


 頬に手を当てて う〜〜ん とうなるが、
 すぐさまこんな推論に意味はないと膝を伸ばし、
 あらためてコヤシキに向き直る。


「うふふ……もしも仮にあなた様が
 『世界一悪い魔法使い』だったとしても、
 わたくしはあなた様と
 『世界一仲良く』なりたいって思いますよぉぉ……?」


 手荷物を置いて一歩うしろに下がると、
 胸に手を当て、『一人と一羽』にそっと会釈する。


       マ ガ チ
「わたくし、真雅致 ありやと申しますぅぅ……」

「名も知らぬ者、されど窮する者を
 あわれむ心を持つ優しいお方ぁ……

 あなた様のお名前をおうかがいしても、
 よろしいですかぁぁ……?」

631コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/06(土) 19:15:33
>>630

                  ・・・
「こゃ〜ん、シスターちゃん優しいのに意地悪なこと聞くね!
 そんなところもか〜わいいっ。
 あたし、実際ゴミ拾いとか全然〜したことないからさあ。
 そーゆーことしてる人のこと、ほんとにエライと思ってるんだあ」

                    トン

           『白いカラス』をありやの指先に止まらせる。
            きわめて繊細な着地は、痛みを感じないものだ。

「でも、確かに『人助け』とどっちが上とかはないのかもねっ。
 さっすがシスターちゃん、おはなし上手でか〜わい〜い」

言葉は微妙に『噛み合っていない』返答だが――――
それ以上何かを言うでもなく、ほかの話題に言葉をつづけ始めた。

「昔の人とか今の人が西や東で見た『それ』を、
 こんこんちきにいろんな呼び方をしたのかもね〜。
 あたしは『魔法』だっ!って思ったけど、
 『奇跡』でも『加護』でもいいし、
 『ノロイ』でも『スタンド』でもいいし……
 うぅ〜ん、でも今回は『奇跡』に一票かなっ!」

     ≪こうしてあたしたちを、めぐり合わせてくれたんだもん〜
        こんこんぐらっちゅれーしょん!出逢いに感謝とお祝いを!≫

            カラスに喋らせたのに、深い意味はないけれど。

「だから、世界一カワいい仲良しコンコンビになっちゃおっかあ!
 あたし、『コヤシキ コヤネ』
 せっかくなら『コヤコヤ』ってかわいく呼んでほしいこ〜ん」

                クイ

          「コヤは2か〜い。そこがチャームポイントっ!」

『狐のサイン』を作った両手にお辞儀をさせ、目を深く細める。

「というわけで! 今後ともよろしくね、ありやちゃ〜ん。
 ちなみに、『ほしあかり聖心教会』っていうのがありやちゃんのお仕事場?
 あたし、このへん引っ越して来たばっかりだから、詳しくなくって〜」
 
         「『ほしあかり』なんて、なんだかロマンチックでか〜わいい名前っ」

632真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/08(月) 22:01:42
>>631 (コヤコヤ様)

「ま、まぁぁぁ〜〜〜……!
 『かしこ鳥ちゃん』かしこぉ〜〜〜〜……!」


 スタンドを介したおしゃれなごあいさつに、
 口元を押さえ感嘆の息を漏らすありや。

 頬ずりしそうな近距離で手元の鳥をキラキラ…と眺めるが、
 コヤシキの声ですぐさま我に返って襟を正す。


「あっ、オホン……失礼しましたぁぁ……。

 それでは親愛の情を込めてぇ、わたくし
 『コヤコヤ様』と呼ばせていただきますねぇぇ……」


「えぇ〜〜っとぉぉ……
 あっちの『ぶどう農園』を抜けた先の
 おやまのふもとに『精神科病院』があるんですがぁぁ、
 わたくしたちの教会はその真裏にありますぅぅ……」


「『ほしあかり』って名前はたぶん、
 むかし山のあたりには街灯がなくて暗かったのを、
 むりやり小綺麗に言い換えてみたのが由来じゃないかと
 わたくしは睨んでおりますぅぅ……」


「そんなかんじで建物はちょっとおんぼろなんですがぁ、
 中にいるのはみんな良い人たちばかりですよぉぉ……」

「もしコヤコヤ様がなにかの折にでも
 立ち寄ってくださったときは、
 いっぱいおもてなししますねぇぇ……」


「……」


「…………」 ソワ…


「あ、あのぉ〜〜〜〜……ちなみにコヤコヤ様はぁ……
 普段どういうことをされてる方なんでしょうかぁぁ……?」


 おめーが言うなって感じだが、
 コヤシキの風貌と場馴れ感にはさすがのありやも
 『カタギじゃない』気配を感じているようすだ。

633コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/10(水) 19:48:34
>>632(ありやさん)

「わおわお〜〜嬉しいなあ!
 もちろんあたしも、あ・り・や・ち・や・んって〜
 カワイイ6文字全部に親愛込めて、こんこんとお話するこ〜ん」

人懐っこい表情に、どこまで意味を持たせているのかは分からないが、
声色からするに、少なくとも『親愛』という言葉に嘘はないのだろう。

「それで〜……あ〜そっちはまだ行ったことないなあ!
 今の『お仕事』が終わったら、お散歩ついでに、
 ありやちゃん達に遊んで貰いに行っちゃおうかなっ」
  
     「あたしも『サイレント・ライト』も、
      遊びざかりで愛されざかりだから〜」

示された方角に首を向け、『かしこ鳥』に愛想をふりまかせていたが、
自分の手に戻した『サイレント・ライト』に細めた目を合わせる。

「でも、遊んでばっかりでもいられなあ〜い世知辛あ〜いこの世の中!
 こ〜んな風に見えて、カワイイコヤコヤお仕事熱心なんだよ〜」

サイバー調で装飾の多いジャージ……のように見えるその服装からして、
インターネットか都心部にのみ生息する人間なのは『風体』通りだが……

      「インターネットのセーフティネット、
       かしこまないで申しにおいで、
       『コヤコヤのお悩み相談小屋』
       毎週土曜と時々不定期ドキドキ配信中〜!」

          クイクイ

「まあ要するにまとめると、『配信者』なんだけど〜
 誰にでも、信じられて、心を預けられるものは必要だから……
 例えそれが偉くてスゴい神さまでも、道案内のカラスでも、かわいいキツネでもね!
 だから、そういうものを、あたしも、しようとしてるんだあ」

『キツネのサイン』を両手で作り、改めてご挨拶。
ゲーム配信とかもしてるけどね〜と、軽い響きで付け加えてから。

「で、今は拡張版……ネットの外でもお悩み解決中なんだよね。
 ありやちゃん、もしよかったらなんだけど、
 こんなあたしの『お手伝い』をちょこんっとだけお願いしてもいい〜?」

そしてぱちぱちと、人一倍に大きく輝く目を瞬かせ、返事を待っている。

634真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/10(水) 23:56:43
>>633 (コヤコヤ様)

「はえぇ〜〜〜〜……!
 コヤコヤ様はぁ、『配信者様』だったんですかぁぁ……
 どおりでぇぇ……!」


 手元から飛び立った『かしこ鳥』――
 『サイレント・ライト』を追いかける視線が、
 そのままコヤシキが携える『棒』に留まる。


「それってつまりぃ……
 わたくしたちでいう『傾聴』と『伝道』のご活動を
 おひとりでなされているということですかねぇぇ……?」


 瞳を閉じてふむふむ唸るありや。
 そのまま胸の前で手のひらをぱんと合わせると――


「それってぇ……とっても
 すばらしいご活動ですねぇぇ……!」  パァァァ…!


「『福音の伝道とは、どのような形であれ、
  ひとびとに対する愛で心を満たし、
  救いを信じさせる力を持つ』――などと申しますぅ。

 わたくしぃ、献身の志を同じくするものとしてぇ、
 コヤコヤ様のご活動をぉ、
 心から応援いたしますよぉぉ……!」


 ずいぶんと『前のめり』な解釈にも思えるが、
 ともかく懐からスマホを取り出すと、
 本人の目の前で『コヤシキコヤネ』と検索するありや。

 もし『チャンネル』がヒットしたら、
 そのまま登録ボタンをぽちーする。
 (現代人のスピード感)


「(スマホをしまいつつ) それで、ええっとぉ……
 『お手伝い』、ですかぁ……?
 まぁぁ……わたくしにできることでしたらぁ、喜んでぇぇ……」


「市井の方々のお困りごとに寄り添うというのもぉ、
 『ゴミ拾いをサボるのに絶好の口実……
 じゃなくってぇ、そのぉ、
 たいせつな『奉仕活動』の一つですのでぇぇ……」


    カニカニ


 ダダ漏れな打算の声をごまかすように
 右手の『火ばさみ』をカニカニさせる。


「それでぇぇ……
 その『お手伝い』の内容というのはぁぁ……?」

635コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/11(木) 07:33:22
>>634(ありやさん)

『サイレント・ライト』は手の上を駆け上り、棒の先端、スマホの上に留まる。
もちろん――――そういう風に操作をしている、という話だ。

「うんうん〜、言葉が合ってるかは分かんないけど、たぶん合ってるよお!
 だからあたしたち、ある意味同業者……というかライバルなのかも?
 なのに応援ありがとう〜! わおわお、具体的な応援もしてくれてる!?
 コヤコヤ嬉しい〜! 最近ちょっと配信減らしてるけど、
 今のお悩み解決が済んだら頻度戻すから、良かったら遊びに来てねっ」

どこまで本当に合っているのかは分からないところだが……
とりあえず、『コヤシキコヤネ』の公式チャンネルはすぐに見つかった。

             凝ったロゴデザイン、週に複数回に及ぶ配信頻度、
             有志による切り抜きまとめの存在――――
             そして5桁に及んでいるチャンネル登録者数。
             『個人配信者』としては『上澄み』の部類だが、
             『インフルエンサー』とまでは言えない段階だろうか。

「こゃあん、サボリなんて! ありやちゃん意外と俗っぽい〜?
 そんなところもか〜わいいっ。
 あ、で! お手伝いなんだけどね〜。
 ありやちゃんの『カワイイ魔法』……
 じゃなくって『神さまの奇跡』?を、
 ほんのちょこ〜んっとだけ教えてほしいんだあ」

『火ばさみ』の動きに向いていた視線を、
改めて『サイレント・ライト』に向ける。

「具体的には、お名前と、何が出来るのか?
 細かい難しいこんこんちきな『ルール』とかは言わなくって大丈夫〜。
 もちろんあたしと、カワイイ『お悩み主』ちゃん以外に喋ったりはしないこ〜ん」

          「じゃあ何に使うの〜? それはひ・み・つ。
           こ〜んな怪しいお手伝い、受けてくれる?」

636真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/11(木) 22:38:48
>>635 (コヤコヤ様)

> 「ありやちゃんの『カワイイ魔法』……
>  じゃなくって『神さまの奇跡』?を、
>  ほんのちょこ〜んっとだけ教えてほしいんだあ」


 「えっ」  ピタッ


> 「具体的には、お名前と、何が出来るのか?」
> 「こ〜んな怪しいお手伝い、受けてくれる?」


 「………………………………
  ………………………………い、」 


        「い、い、いやですぅぅ」   サァァ ――〜 ッ


 先ほどまでの『きゃっきゃうふふ』の
 楽しげな雰囲気から一転、
 心の潮が引くようにさ〜っと身を引くありや。


  「な、『なんで』ですかぁ……?」


 口をついて出たのは『当然の疑問』……
 それは端的だったが、しかし『多面的』な問いでもあった。


   『なんで』、そんなことを知りたいのか?
   『なんで』、その理由は秘密なのか?


 短い問いかけに込めた『疑念』は、
 コヤシキがあらかじめ『お断り』を入れた部分に
 対してだけではなく……


> 「もちろんあたしと、カワイイ『お悩み主』ちゃん以外に喋ったりはしないこ〜ん」


   『なんで』、急に無関係の『第三者』が出てくるのか?
   『なんで』、その第三者には『喋って』しまう前提なのか?


 突如あらわれた『その相手』への『疑心』を、
 眼前のコヤシキに訴えかける『なんで?』だった。



    ジト――――――〜〜〜〜〜ッ


 眉根を寄せ、半眼になってコヤシキを見つめる。
 『疑問』が『疑念』に変わる直前のさざなみに、
 その視線は揺れていた。


「あ、あやしぃぃぃ…… (ジト目)

 コヤコヤ様だけにお伝えするならまだしもぉ、
 その『お悩み主ちゃん』とはいったいぃぃ……?」


「こんなことあまり言いたくはないのですがぁぁ……
 コヤコヤ様、なにか騙されているのではぁぁ……?」  


 それでも目の前の『同友』を信じたいありやは、
 疑いの目をコヤシキではなく『第三者』に向けている。

637コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/12(金) 10:22:51
>>636(ありやさん)

瞬いていたまぶたがゆっくりと止まり、
また、殆ど閉じるくらい細めた目に戻っていく。

「こゃ〜〜〜ん、疑いの目100%〜!
 でもわかるよお。あたしもこんな話されたら、
 きっと『なんで』『おかしい』ってこんがらがっちゃうと思うなあ」

                  ジ…


「なのにあたしの心配をしてくれるなんて〜!
 ありやちゃんってと〜っても、優しくって、か〜わいいっ」

この町の事情やスタンドの知識、あるいは無条件で信じてくれる知人。
そうした『有利材料』を持たない以上、選択肢は多くは無い。

          まるまるでっちあげの話を作るのか、
          何も言わず、自然に聴けるのを待つのか、
          それとも、正直に正面からお話しするのか。

「かわいいお悩み主ちゃんは――――本人が良いって言ってたから言っちゃうけど、
 今『試験』を受けてるの。その内容が、『魔法使いについて沢山知ること』!
 ほんとはもうちょっと先もあるんだけど、そこは『守秘義務』って感じ。
 あたしは知ってるし、悪いことじゃない?のかなあ?とも思ってる」

         「試験に受かったら、お悩み主ちゃんは、
          晴れて『自分の夢』に踏み出す事が出来るんだあ」

話に聴いただけの『魔法使い』の試練。
『門倉』や『候補生ら』が組んでの大ペテンだとして、
そこに極端な不思議があるわけでもない。
実は何かの下準備をさせられている、と言う可能性だってある。

             『それでも』。

「実際、全部がホントに正しい話かは分かってないんだけど〜
 『100%間違いないもの』なんて、きっと、この世界にないからさあ。
 それでもあたしはかわいい『お悩み主ちゃん』のことを、信じて導いてあげたい。
 ありやちゃんがあたしのことを信じてくれるのと、同じくらい……」

『雑賀王城』という男のことを、それほどよく知ってはいない。
幾度かの会話の中で、彼が本気だと知っただけだ。
迷える子羊から、『王さま』になろうとしていることを。

                             『それでも』。

    「それでも……だから、かな?
     ありやちゃんを化かして、イイ感じに丸めこんで、
     そういう風に教えてもらうっていうのは嫌だから〜」

「だから、話せるのはここまで!だ、こ〜ん。
 これで『イヤかも』って思うなら、
 あたしとありやちゃんのために、この話は一回無かった事にしてほしいなっ」

638真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/13(土) 19:16:30
>>637 (コヤコヤ様)

「『魔法使い』を知る……『試験』……?」


 コヤシキの説明を聞いてみても……正直、
 その『黒塗り』の背景を飲み込めたとはいいがたい。
 ただ、ひとつだけ分かることはある。

 たんに情報を訊き出したいだけなら、
 第三者に話すことを事前に伝える必要なんてない。
 訊き出す理由だって適当にでっちあげればいいだけだし、
 それは今この瞬間の説明だってそうだ。

 コヤシキは今にいたるまでずっと、
 ありやに対して『誠実』でありつづけようとしている。

 そしてどうやらそれは――
 彼女の『お悩み主』に対しても同じように。



「…………わたくしはもともと、

 『神から授かった賜物を、むやみやたらに
  見せびらかしたり自慢してはならない』――

 そう教わってまいりましたぁぁ……」


「……それでなくとも、わたくしの『賜物』は
 なんと言いますかぁ、そのぉぉ………ち、『ちぶ』……」


「ンンッ…………わたくしにとってはぁ、
 こころの『恥部』でもあると言いますかぁ……
 あんまり人様にすすんで
 見せるようなものでないと言いますかぁぁ……

 ……すみませぇぇん、このはなし、
 あんまりピンと来ないですよねぇぇ……?」


 困り笑いを浮かべつつ、顔を上げて
 コヤシキの持つ『自撮り棒』の先端を見つめる。


「だからぁ……『あの子』の堂々たる姿には、
 とってもびっくりしたんですよぉぉ……
 そういう心の有りようもあるんだなぁってぇぇ……」


 春光の透き通る白翼にまぶしげに目を細めると、
 コヤシキへゆっくりと微笑を向ける。


「『お悩み主』様についてはぁ、わたくし、
  正直よく分かりませぇぇん……」

「けれどぉ……
 その方を『信じたい』と言ったコヤコヤ様の『誠実さ』を、
 わたくしは信じますぅぅ……」


      ニコ…

            スタンド
「―――わたくしの『賜物』でよければ、
 お見せしますねぇぇ……」


 祈りのかたちに重ねた両手のひらを
 コヤシキへ向けて伸ばし、そっと開く。

 蓮華を模した手の中に、
 『手のひら大』の『ハエ』が一匹、
 生まれたての赤子のようにうずくまっていた。


「『デビルズインレイ』――と、申しますぅ……」

639コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/15(月) 21:40:52
>>638(ありやさん)

                       バサッ

飛び立った『サイレント・ライト』が、コヤシキコヤネの頭に乗る。

「あたしの『サイレント・ライト』は――――――
 あたしの魔法で、あたしに焼き付いた光なんだあ。
 だからあたしには、きっと、ありやちゃんがいう『賜物』のお悩みは、
 ちゃあんと、心の底からの『共感』っていうのはできなくって」

『魔法』を積極的に触れ回ることは、
『鬼柳』に教わる前からしていなかった。
だけれど、『魔法を隠そうと思った事』も、おおよそなかった。

           その姿の『意味』は、忘れていないからだ。


「……でも、だから大切にしたいし!
 それにぃ、分かることもあるんだこ〜ん。
 ありがとね、ありやちゃん。
 隠してたものを教えてくれる大事さは、コヤコヤよぉ〜く分かるから」

                「……こんっくらいねっ!」

    バッ

「ぜぇ〜んぶ終わったら、きっと『お悩み主ちゃん』と一緒にお礼するねえ」

カラスの翼と、コヤシキコヤネの両腕が大きく開いて円を描き。

       「っていうわけで! コンコンセンサス成立〜だ、こんっ」

少しはにかんだ後、それを畳みながら、ぱん、と小さく手を打った。

「わおわお! スヤスヤしてる?
 『デビルズインレイ』ちゃん、こんこん〜っ。
 かわいいあたしは『コヤコヤ』。今後ともよろしくねっ。
 それで。かわいいあたしを踏んでるのが『サイレント・ライト』だよお」

            ヒソヒソ

そうして、やけに小さな声で、両手を筒のようにして声をかける。
スタンドに挨拶をするのは一般的には変かもしれないが――――
少なくとも『ありや』は『サイレント・ライト』にも礼を言っていたから。

「コヤコヤちょっぴりムシぎらいなんだけど……こゃあん、この子はか〜わいいかもっ」

それから、手のひらに向けていた視線を上げ、『ありや』にそれだけ伝えておいた。

640真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/17(水) 15:38:03
>>639 (コヤコヤ様)


            ポワワ…


 コヤシキの真摯な、そして思いやりある応答を受け、
 ありやの胸中に『あったかぁ〜〜いきもち』が
 春先の蕾のようにふくふくと芽吹く。


「か……『か〜わいい』……?」


 それはまるで自分の醜い精神の鏡像に、
 初めて『赦し』をもらった時のような……。

 あるいはSNSに黙々とアップし続けてきたダイエット記録に
 初めて『いいね!』をしてもらった時のような……。
 (一回もやったことないけど……)


「え、えへ、でへへぇ……!
 じゃ、じゃあ、どんどん出しちゃいますねぇぇぇ……!」


 ゆるゆるな照れ顔をうつむかせ、
 頭の上に『寝ぼけバエ』をボテっと載せる。

 そうしてありやはとつぜん、
 自身の衣服や所持品を次々と翻していく。

 ベールの内側、スカートの裾、ひっくり返したバッグの裏……
 そんなありふれた陰の中から、新たな『ハエ』たちが
 無造作にボトボトと転がり落ちてくる。


 最終的に――ソフトボール大の『6匹のハエ』が、
 夕刻の電線に集まる烏合のように、
 ありやの肩や頭を止まり木にして一列に並んだ。


「じゃ、じゃじゃあぁぁ〜〜〜〜〜んんん……!
 じつはぁ、『デビルズインレイ』はぁぁ……
 『デビルズインレイ』……『ズ』なのでしたぁぁ……!」

  「コヤコヤ様、『サイレント・ライト』ちゃん、
   よろしくねぇぇ〜〜〜……!」


 彼女たちの優雅な『協奏』に憧れて、
 自分も両腕を広げてみるありや。

 しかし止まり木のハエたちは、おのおの好き勝手に
 顔や前脚を洗ったりするだけだった。


  「………………」


「……オ、オホン……。
 それで……ええぇっとぉ……
 この子たちに、『何ができるか』……でしたっけぇぇ……?」


「………………あ、あのぉ、それってぇぇ……
 説明だけでも、大丈夫ですかねぇぇ……?
 実際にお見せする必要って、ありますぅぅ……?」

 それは質問の体裁をしているが、
 あきらかに否定されたがっている疑問文だった。

 ありやの瞳に、露骨なためらいの影がふたたび垣間見える。

641コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/18(木) 19:18:28
>>640(ありやさん)

「うわうわうわ! 『デビルズインレイ』ちゃんが沢山!
 ちょっとぞくぞくするぐらい続々ご登場〜!」

          パタパタ

   「マジシャンのショーみたいでか〜わいい!
     それか、水族館のペンギンショーかな?
      昔行った『やる気ないペンギンショー』がかわいくって〜」

どういう情緒か、手足をばたつかせるコヤシキコヤネ。

     「って〜、話題をしっかり、
      こんこんトロールしないとねっ。
      ペンギンショーのことは置いていて〜っ」

「ごめんね〜ありやちゃん、『見なきゃダメ』なんだあ!
 なんだけど、『見せられるとこだけ』で大丈夫。
 これは例えばなんだけど〜」

          スッ

    《あたしの『サイレント・ライト』は、
     名前通りかわいいライトになるんだよね》

              カッ!

カラスが上に向けた『口』が開くと、
そこから『ライト』が空に向け照射される。

     「で、このもうちょっと先があるんだけど……
      けっこう危ない魔法だと思ってるから、
      カワイイ人たちがいるとこでは使わない事にしてる」

「ありやちゃんも……そういう『見せて良いとこ』ってあるかなあ?
 イヤな気持ちにしてまで『試験』に受かったって、
 『お悩み主ちゃん』もそういうのは、すごくイヤだと思うからさ」

『特徴集め』において能力の粒度は触れられていない。
勿論深く掘り下げるほど悪魔作成の材料は増えるが、
極論、『光を放つ』だけでも『問題』はないはずだから。

「どうかな〜ありやちゃん。かわいいコヤコヤかわいくおねだり〜」

                チラッ

         「四つも頭下げちゃうこ〜ん」

両手の狐のサイン(棒を持ってて半端だけど)と、
『投光』を止めた『サイレント・ライト』と、
それから、本人も頭を下げつつ、ちらちらと視線を上げて反応伺い。

642真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/19(金) 22:28:38
>>641 (コヤコヤ様)

「お? お、おぉぉ〜〜〜……!」

 『サイレント・ライト』から放たれた
 光の尾を追いかけ、天を仰ぐありや。


「『サライちゃん』、すごいですぅぅ……
 こっちが『ハエ』ならそっちは『映え』ですねぇぇ……
 同じ『はえ』でも天と地ですぅぅ……」


「それにしても、安心しましたぁぁ……
 こんなにかわいい『サライちゃん』でも、
 わたくしの子たちと同じような問題を
 抱えていらっしゃるのですねぇぇ……」


「コヤコヤ様のいう『危ない』使い方……。

 わたくし……ほんのすこし前に、
 まさしくその使い方を誤ってぇ、
 『大切な方』を傷つけてしまいそうになったのですぅ……」

「なのでぇ、人前で『賜物ズ』を使うことに
 どうしても慎重になってしまって
 いたのですがぁ……」


「たしかに……この『サライちゃん』の光のように、
 危なくない部分だけをお見せすればよいのですねぇ……
 それでしたらぁ……」

「『コンコンコヤコヤサライ』のみなさまぁ、
 どうかそのお顔を上げてぇ、
 良ければご覧になってくださいぃぃ……」


 頭上のハエを一匹、片手でつかんで胸の前へ。

 捕まえられたハエは六本脚でシャカシャカと
 宙を掻いて必死の抵抗を示すが、
 ありやが頭をキュッとつまむと、
 なにかを悟ったように動かなくなる。


「わたくしの『デビルズインレイ』は、こうやってぇぇ……」


 言いながら、縦割れた口器部にありやが指を差し込む。
 そのままバナナの皮を剥くみたいに、
 ハエの皮を頭からべろぉ〜っと裏返しにひん剥く。

 そうしてきれいに翻った赤黒い蝿肉の奥から、
 バナナの果肉のように白い『鉄杭』が突き出していた。


「ぺろ〜〜〜んとぉ、きれいな『鉄杭』に
 生まれ変わることができますぅぅ……」

643コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/22(月) 14:52:59
>>642(ありやさん)

「こゃあん、ありやちゃんってば〜!
 いっぱい褒めてくれるね! コヤコヤうれし〜い。
 あたしって結構ぜぇ〜んぶ真に受けちゃうよ〜」

                   バササ
          
    「『サイレント・ライト』も喜んでるこ〜ん。
     あたしには見えてないけど!」

翼をはためかせるカラスは、律儀に顔を下げたまま。

「まあ、あたしも色んな魔法を知ってるわけじゃないけど、
 やろうと思えばどんな魔法でも危険だとは思うし……
 たぶん、慣れるまでは失敗しちゃう事も普通だと思うから、
 自分なりのルールを見つけて守っていくしかないんだろうねえ。
 あ! いわゆる、コ〜ンプライアンスってやつ?」

   「だからありやちゃんはそこのところ、
    すっごくしっかりしてるなぁ〜ってコヤコヤ感心!」

『投光する』だけのスタンドであっても、
目に見えない光源を作れるだけで危ない使い方は思いつく。
それが出来るからエライとか、強いとか、そういう事じゃあないけれど。

             スッ

「はいは〜い、コンコンコヤコヤあ〜んどサイレント・ライト、
 かわいく前向きモ〜ドで」

言われてから顔を上げて、『デビルズインレイ』と『ありや』を見据える。

「――――わおわおわお!
 『杭』になっちゃった! 確かにこれは『映え』じゃないかも!?
 うぅ〜ん、でもでもゾンビ映画とかにも『カワイさ』はあるし、
 ありやちゃんとか、いつもの『デビルズインレイ』ちゃん――――
 『デレイ』ちゃ〜んっ、とのギャップで、むしろカッコかわいい路線?」

       「って、そういう話じゃないかあ!」

   ジ…

何でもかんでも無理にかわいがるわけではなくって、
『可愛いと思う』理由は、いつだってそこにある。

「無理言ったのにありがとうありやちゃ〜ん!これでお悩み解決に近づいたよお」

644真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/22(月) 22:39:19
>>643 (コヤコヤ様)


「………」


「………………うふ」


 色彩豊かなコヤシキの反応に微笑をつくり、
 みずからの唇にそっと『鉄杭』をあてる。


「うふふ……ありがとうございますぅぅ……
 コヤコヤ様のようなお方にそう言っていただけると、
 とってもとっても嬉しいですねぇぇ……」


 微笑みながら感謝を伝えるありや。
 しかし、その音色は先ほどまでとはすこし違っていた。

 コヤシキが自分の向けた言葉たちを、
 ほんとうの意味では受け止めていないような。
 ここにはいない遠い自分へと手渡しているような。


 すこしだけ首をかたむけて、
 ありやは鉄杭をかり、とかじる。


「……………ただぁ、ええっとぉ……
 ごめんなさぁぁい……」

「たいへん申し訳ないのですがぁぁ……
 わたくしがコヤコヤ様にお見せできるのは、 
 ここまでになりますぅぅ……
 『サライちゃん』も、ごめんねぇぇ……」

「主から賜った物は、
 主の元へと返さなくてはなりませぇぇん……」


 眉をハの時にかたむけながら、
 『鉄杭』を握った手を胸の前へと運び、
 もう一方の手で上からそっと包みこむ。

 そのまま花びらを撒くように両手を開くと、
 『主の御印』は風一つ残さずこの世から消え去る。


 それからすこしだけ背を丸め、
 両手を合わせてコヤシキへと向き直るありや。


「それでぇ……えぇ〜っとぉ……
 代わりといってはなんですがぁ……」

「コヤコヤ様がたのご活動――
 『魔法使いについて沢山知ること』――でしたよねぇぇ……?」

「ひょっとしたら……とってもとっても
 差し出がましい申し付けかもしれませんがぁぁ……

 それにご協力してくださる方を探すお仕事ってぇ、
 わたくしもお手伝いさせていただくことってできますかぁぁ……?」

645コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/23(火) 01:22:38
>>644(ありやさん)
               
「やったあ! かわいいありやちゃんが喜んでくれて、
 コヤコヤもとっても×(かける)3! 嬉しいこ〜ん」

          パチ
            パチ


       「あ!片付け方もとってもお洒落!
        か〜わいかったなあ。
        またねえ『デレイ』ちゃ〜ん」

大きく輝く目を、数回瞬かせる。
それは目の前の微笑をいつもよりしっかり見る為で、
そして、それを何か行動に繋げはしないのだ。

        今すぐ、パズルでも解くように、
        彼女に言葉をどうこうしたとしても、
        互いの望みを導けはしないだろう。


「……って、わおわおわお、ありやちゃん謝らないで〜!
 大事だからもっかい言っちゃうことだけど、
 ほんと、見せてくれただけですっごく助かるんだから!」

        バサバサ

カラスの羽も羽ばたかせて喜びを表現する。
それは、ある程度『見せるため』の動きだけど、
それを沸き立たせているのは打算だけじゃあない。

「……で! なのに、まだまだ助けてくれるなんてさあ!
 差し出がましいなんて! そんなわけないよお〜っ。
 むしろあたしが申し訳なくって、それに、
 とっても嬉しくって! こゃぁん、情緒が迷子でこんこんちき〜っ」

『ありや』の協力的姿勢に、言葉以上に感謝していた。
能力を見せてくれるだけでもありがたい話だった。
だが、その先はコヤシキコヤネが導いた答えではなく、
『ありや』が自主的に見せてくれた、かわいい輝き。

「う〜ん、あたしもありやちゃんのこと、 
 お仕事とかプライベートとか、何か手伝えたりするかなあ?」

        「見ての通りカワイイコヤコヤ。
         こう見えてけっこう働き者だよ〜」

だから『見返り』なんか求めてないとしても、
ただただ甘えて貪るより、出来ることで返せれば良いと思う。

          特別な背景なんかはない、善意としてだ。

646真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/23(火) 14:51:52
>>645 (コヤコヤ様)

「むむっ……。
 コヤコヤ様からの個人的な『お手伝い』、
 ですかぁぁ……?」

「それでしたらぁ……!
 ぜひとも 『わたくしを通して寄付金――」


 瞳に『¥』形のよこしまな光を宿し、
 すぃ〜っとコヤシキに一歩近づくありや。

 すると両肩に乗せていた二匹のハエが、
 左右同時にほっぺたへ体当たりして主人を戒める。


「オベェッ! ご、ごぼぼっ……
 す、すみませぇぇん、まちがえましたぁ……」
 (一仕事を終えて解除されるハエたち)


「そうですねぇ…… (さすさす)

 わたくしとしてはぁ、
 コヤコヤ様が普段されているような
 『善き行い』をつづけてくだされば、
 それが何よりの見返りであると
 お伝えしたいのですがぁぁ……」


 両頬をさすりながら、
 地面に置いていたゴミ袋と火ばさみを拾いあげる。
 薄いゴミ袋を見て、なにかを思い出したような顔。


    \ ??ピコーン /
  
       「あ」



「ではではぁ……こういうのはどうでしょうぅぅ?

 わたくしの今日のような奉仕活動のことをぉ、
 コヤコヤ様のSNSとかで
 ご紹介していただくというのはぁぁ……?」


       「 ……わたくしが日々の奉仕に
         まじめに取り組んでるという
         『アリバイ作り』にも
         なりますしぃぃ…… (小声) 」


「もちろん、コヤシキ様のご活動とお手伝いとの
 釣り合いがとれれば、の話ですがぁぁ……」


 自分が手伝える『お仕事』の範囲については、
 このあときちんと詳細をうかがうつもりだ。


「……いかがでしょうぅ……?」

647コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/24(水) 19:31:39
>>646(ありやさん)

「わあ〜ぉ、ありやちゃんってば案外体張るぅ!
 カワイイねぇ〜。コヤコヤますます好きになってきちゃったあ!
 『配信』やってたらほんとに寄付(ドネート)しちゃうかも〜」

俗物っぷりはそういう演技とみなしたのか、
演技じゃないとわかったうえでそういうことにしたらしい。

「うんうんいいよぉ、共犯者になってあげる!
 あ、『教会』の宣伝とかは、コンプラ的にちょこんっと難しいけど。
 個人的なお友達としておハナシは出来るんじゃないかな〜。
 最初は文章からスタートして、ウケが良かったらコラボ配信とかあ!?」

  「……は、ありやちゃんサイドのコンプラNGかな!
   でも、ありやちゃんだけじゃなくって、
   きっとあたしにもプラスになるんじゃないかなって気がするこ〜ん」

ことインターネットにおいて『宗教』は過敏な反応を生む。
だが、『シスターさん』はむしろ大歓迎だ。

『コヤシキコヤネ単体』を推している人間も当然存在はするが、
コラボ相手が『同性』かつ『似た業種』であればリスクも小さい。
多くの子羊たちは、残念ながら、真意ではなく振る舞いを愛するから。

「だから、こんこんぐらっちゅれーしょん!
 『魔法の試験』だけで終わらないパートナーの誕生をお祝いしよ〜」
 
        「どういうことをお話していくかとか、
         こういうことは話さないでほしいとか、
         その辺りはまたおいおい打合せしたいなあ」

『軽く触れてくれ』くらいの話だったのかもしれないし、
今後実際そうなるのかもしれないが、コヤシキコヤネは結構乗り気のようだ。

「だから、ね、ありやちゃ〜ん。連絡先教えておいてくれる? 解散はその後〜」

どのような未来が導かれるかは未知数だけれど、
出会いというものは得てして、『求めることだけ』では止まらない。

            『以上』であれ、『以下』であれ・・・

648真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/25(木) 17:36:35
>>647 (コヤコヤ様)

「えっ……ど、『ドネート』……
 あっ、なるほどぉぉ……
 『そういう稼ぎ方』がぁ……」


 コヤシキが放った何気ない一言を捕まえて、
 ハッと真剣な『値踏み顔』になるありや。

   (なにか星見町のモラルにとって、
    あまり良くないひらめきを
    与えてしまったかもしれない)


「あっ、連絡先でしたねぇぇ……
 もちろんお教えしますよぉぉ……
 ちなみにわたくし、撮影NGありませぇぇん……!」


 謎の自信に満ちた顔でスマホを取り出すと、
 手慣れた操作でメッセンジャーアプリの
 QRコードを示す。
 (画面はバキバキに割れている)


 そんな感じで連絡先交換を終え、
 ほくほく笑顔で画面をスワイプしていると……


    ポコッ(81) ポコッ(82)  ポコココココッ ((((88))))


 教会からの『通知』の数が
 エグいことになっていることに気づく。


   「ビョエ!! 鬼電!!」



「す、すみませぇぇん、コヤコヤ様ぁぁ……!
 わたくし、ちょっと急用を思い出してしまいましたぁ……!」

「ていうかぁ、悪い心当たりがありすぎて
 逆にちょっと何用か思い出せないんですがぁぁ……!」


「わたくし、ここで失礼させていただきますぅぅ……!
 ごめんなさぁぁい……!」     ペコ! ペコ!


「く、くれぐれも! くれぐれもぉ、『アリバイ作り』……
 じゃなくってぇ、『お手伝い』のほう、
 よろしくお願いいたしますねぇぇ〜〜〜!!」


「あとで連絡しますからぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」



     彡彡彡 びゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん



 そんな感じで……
 とつぜんの『春嵐』が運んだ出会いは、
 その終わりもまた『嵐』のごとく。

 ゴミ一つない道をつむじ風のように駆け上り、
 それから最後に振り返って手を振ると、
 シスターの後ろ姿は遠い道の先に消えていく。

 穏やかな春の、すこしだけ騒がしい光の中へ。

649コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/25(木) 20:57:33
>>648(ありやさん)

「こゃあん、ありやちゃん……! ほんとか〜〜わいいっ!」

それがどこにかかるのか、
あるいは『言葉通り』そのものなのか――
『良くない』と『可愛い』は相反しないのかもしれない。

「オッケー、オッケー!
 もしエラぁい人になにか聞かれたら、
 あたしの名前出しちゃっていいからあ!
 またあとでね〜っありやちゃ〜ん」

        ヒラヒラ

「春らんまん、素敵な出会いで気持ちもらんら〜ん。
 カワイイお友達が出来てほくほくのコヤコヤでしたあ〜」

『サイレント・ライト』を解除しながら、
狐を模ったままの両手をひらひらと振る。
汚れも輝きも背負って吹き去った、
ありやの背中が消えるまでそうしていた。

「さあて! さっそく王城ちゃんにシェアしなきゃあ〜っ」

『やってること』とは別の『やりたい事』も増えたから、
やはり春というのは出会いの季節なのだろう。

       勿論……『試験』の行程が進んだのも収穫。
       吉報を持ち帰るべく、その場を去ると決めたのだった。

650真雅致 ありや『デビルズインレイ』:2024/04/25(木) 22:45:20
>>649 (コヤコヤ様)

651コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/04/30(火) 10:08:33

『ありや』と別れたあと、『雑賀』との合流のため、
移動を始めた『コヤシキコヤネ』……

「うぅ〜ん?」

が、連絡にイマイチ反応がない。
単純にスマートフォンをしまっているだけか、
リアルタイムで今、『魔法使い』に会っているのか……


     カチャカチャ


手元のスマホを再度『撮影用』の棒に取り付けた。

           バサササ


肩に乗せた『サイレント・ライト』も含め、
『出会い』を促すある種の誘蛾灯。

人通りの多い駅前。目にして反応する人間がいれば、
この『待ち時間』も無為なものにはならなさそうだ……


―――――――――――――――――――――――――――――――
●『魔法の呪文はおこのみで!』関連の活動です。
  対応いただける方は、以下の詳細を確認の上よろしくお願いいたします。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

652コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/05(日) 20:03:36
>>651(つづき)

           コン!

『狐の鳴き声』は『王城』からの着信音。

「……わおわお、流石王城ちゃん!」

思わず声を上げてしまったけれど、
これで『半数』は集められたということだ。

          『過半数』にして会えたら、
          それはもっと良いだろう。


         スタスタスタ


『自撮り棒』の上に『サイレント・ライト』を止まらせ、
周りを探りながら駅前通りより歓楽街方向へ向かっていく……

653コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/12(日) 04:11:49
>>652(つづき)

そのまま、歓楽街の方へと消えていった。

654美作くるみ『プラン9・チャンネル7』&キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/12(日) 15:03:21

高架下に描かれた『ウォールアート』の前に、二十代半ばの女が佇んでいた。
『オールブラック』でコーディネートした『モードストリート』を身に纏っている。
思案顔で周囲を見渡し、何事か考えている様子だ。

「理想的な『リスニングポジション』は、
 『リスナー』と『二つのスピーカー』を結ぶ『三角形』――――」

交互に視線を行き来させる先には、古い『電柱』が立っている。
いつ頃からあるのか、配線が複雑に絡み合っている様は有機的にも見え、
まるで巨大な『蜘蛛の巣』が張られているようだった。
ただし、観察しているのは『電柱そのもの』ではなく、『付属物』の方だ。

「…………『ステレオ』は『アレ』と『ソレ』が良さそうね」

街を歩くと、時折『電柱に取り付けられたスピーカー』を目にする事がある。
ここから流れるのは、商店の宣伝や放送業者からの広告募集、
または警察からの注意喚起など様々だった。
一説によると、こうした『街頭放送』のルーツは、
戦後の混乱に紛れて業者が機器を設置した事に端を発するらしい。

    タ ン ッ

           グ ル ッ

                  バ バ ッ

女の背後にいるのは高校生ぐらいの少年だ。
身体を動かしながらリズムを刻み、軽快なステップを踏む。
『ストリートダンス』の練習らしい。
連れの女と似た格好だが、
彼の衣装には『アラクネ』と『ライオン』の『刺繍』が施されていた。
特殊な技法を用いて製作されているようで、金属的な輝きを放っている。

655美作くるみ『プラン9・チャンネル7』&キリシマ・アキト『候補生』:2024/05/13(月) 16:10:02
>>654

これで『下見』は済んだ。
ほとんどの準備を終えた今、他にやるべき事は多くない。
差し当たって『もう一つ』。

「キリシマ君、いい感じに仕上がってるじゃない。
 『パルクール研究会』に所属してるだけあって、
 やっぱり基本的な運動神経は大したものね」

後ろを振り返り、パートナーのダンスを評する。
早い段階から練習させてきて正解だった。
まだ荒削りの部分があるものの、人前に出せるレベルにはなりそうだ。

「最初こそ苦難の道を歩んだが、
 『パル研』と掛け持ちする日々にも慣れてしまった……。
 我が『使命』の為ならば容易い修練さ……」

         ビ ッ !

激しく動いていたキリシマが、
不意に静止してポーズを決め、美作に人差し指を向ける。
『ロック』および『ポイント』と呼ばれるアクションだ。
この場において、たった一人の観客である美作は、静かに口角を上げた。

「その『熱意』と『努力』に負けないように、
 私も『技術』と『才能』を駆使して全力でサポートしてあげる」

『悪魔召喚パフォーマンス』を披露するという『魔法使い試験』は、
美作くるみにとって『初回興行』に近い。
『門倉派』の名義ではないので『非公式』だが、『次』に繋がっていく仕事なのだ。
『一人の人間』としても『一人のスタンド使い』としても、
どこまでやれるか試されている。
だから、『これまでの全て』を使う。
『門倉派の肩書』も、築き上げてきた『人脈』も、
手に入れた『物品』も、何もかも注ぎ込んで『完璧』を志す。

「――――『雑賀君』って、どんな人なの?」

「フ……なんだか急な話じゃあないか……。
 そうだな……オレと同じく『使命』を背負った男だ。
 ヤツ自身が口にしていたように『王』を目指している」

         ス ゥ ッ

おもむろに姿勢を戻し、美作の問い掛けに応じる。

「オレが見るところ、それに見合う『大器』の持ち主でもあるな……。
 『王になる』という意思が『身の丈』に合っている。
 フフ……相手にとって不足はない……!」

キリシマから見た『雑賀王城』という人間は、手強い競争相手だ。
『魔法教室』に入った時から、そう感じていた。
最後まで残るであろう事も予想し、事実その通りになっている。

「で――雑賀がどうかしたのか……?」

「『試験』とは関係ないんだけど、ちょっと気になる事があったから」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ああ、いや? 『元アイドル』の方に仕立てていただくのも、
 まっ、もちろん随分と魅力的ではありましたがね……
 『王』になるッて話を導けるのは『神』だけ、という事です。
 ぼくは『こんな風』は決まってる。――――よろしくお願いします」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あの日、『アイドルだった事』は言っていない。
しかし、雑賀は『元アイドル』と明言した。
それが少しだけ引っ掛かっていたのだ。

「ここで分かれましょう。私は私で動くから、何かあったら連絡して」

「フ……オレは『剣』に見合うように、自らに『磨き』をかけておくとしよう……」

再び踊り始めたキリシマを残し、駐車場に向かって歩いていく。
少なくとも『あと一手』できる事がある。
それを果たしておこう。

656コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/13(月) 16:47:10

         ――――『歓楽街』の近辺。

「…………」

         ポコッ

     メッセージを送信した。

ベンチに腰掛けて『スマホ』に夢中になっている。
『友達』から連絡が来たから、
足を止めてそうする必要があった。

頭に『サイレント・ライト』を止まらせているけれど、
今は目立つためというより、一応周りの確認のため。

        「ほんと、かわいいひとだなあ」

そう溢して返信を待つ。
もしくは、『スタンド』に気づいた誰かがいることを。

―――――――――――――――――――――――――――――――
●『魔法の呪文はおこのみで!』関連の活動です。
  対応いただける方は、以下の詳細を確認の上よろしくお願いいたします。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

657鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/14(火) 22:45:46
>>656

キコッ キコッ キコッ


「あーッ、重てェ。
電動チャリ欲しいけれどたっけェんだよなありゃあ。
原付も考えたけれど駐車場代はバカらしいし」

「はぁ、はぁ」

         「あ」


職場からの帰路、
年季の入った無骨なデザインのママチャリを立ち漕ぎしていた途中で、
見知り顔を発見したのでママチャリから降り自転車を押し歩きコヤシキへ近づく。

      カラカラカラカラカラッ


 「オッス。おめー、あにやってんだ?
 なんか頭に『鳥』乗っかってけどよ」

658コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/15(水) 00:14:53
>>657

             ピョン


背筋が小さく跳ねて、それからスマホをポ膝の上に置く。
おどろいたから跳ねたのではなく、喜んで跳ねた。

「わおわお、アヤネちゃん!だあ〜っ、今日もか〜わいいっ」

             クイクイ

    「やっほおこんこん〜コヤコヤだよお」

片手できつねを象るポーズ。

「待ち合わせ中にカワイイお友達からメッセ来て、それ返してたとこ!
 夢中になっちゃってたから……乗せてて正解だったかも!」

          ≪これが、あたしの魔法なんだあ。
            ちょっと出しとく用事があって……
            説明するとこんこんちきなんだけど、
            イタズラはしてないから安心して〜≫

混み入った話は『くちばし越し』にしつつ、自転車に目を向ける。
行きかもしれないけれど、疲れて見えたからだ。

「そういうアヤネちゃんは? どこかの帰り?
 だとしたらお疲れ様ぁ〜だ、こんっ」

          ポンポン

              「かわいく並んでおしゃべりしよ〜!」

ベンチの隣席のほこりを手ではらい、『烏』は一旦しまっておいた。
目の前に蝶がいるのに『誘蛾灯』をつけておくなんてことはないのだから。

659鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/15(水) 04:40:29
>>658


「よっと」
     ガチャッ


歩行者の邪魔にならないように、
コヤシキの座っているベンチの裏に自転車を寄せ、足でスタンドを起こし
念の為にロックを掛けて鍵を抜いておき、
特に遠慮をする事もなくベンチに腰を下ろす。



「おー、おー。
 こんこんだぜ、こんこん。
 今日も今日とて普通にお仕事こなしてましたわな。
 とっとと家帰って風呂入ってメシ食ってウダウダする為にィー、
 チャリで爆走していた所コヤコヤに遭遇したってわけよ」


ちなみにこちらの服装は上下共黒のパンツスーツで。インナーは白のブラウスで、化粧も最低限で済ませている。



「スタンドを出しとかなきゃいけねー事情ったァ、
 こりゃあまた、まぁまぁメンドくさそーな……。
 ひょっとしてすげーダルい事に首突っ込んでねーか?」


          「まぁいいや」


「前に言っていたお友達リストのお友達が増えたんなら良かったじゃねぇか。
 その、なんだっけ…アレだ……『配信』ッ!!『配信活動』は順調か?」

660コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/15(水) 22:55:17
>>659

       「んっん〜。さっすが!
        かわいくてえらぁ〜いっ」

ベンチの裏はあまり人が通りそうにない程度のスペースだから、
自転車を止めて迷惑になる事は一切ないだろう。

「わお〜やっぱりお仕事帰り!お疲れ様あ!
 スーツも似合ってて、か〜わいいっ。
 潤いといやしのフレッシュなコヤコヤを、
 帰り道の給水スポットにして行っちゃって〜」

サイバー調のジャージのような服装と鬼柳の服装は対照的でもある。
もっとも、化粧については同じくそれほど厚いものではないけれど。

「うぅん、めんどくさいってほどじゃ〜ないんだけど、
 けっこう大変ではあるかも! そうだねえ、こんっくらい〜?」

                      スッ

とびっくり大きな丸を両腕で作った。

「でもまあ、怖かったり危なかったりはしないし、
 やりがいもやる意味もあるお仕事なんだけどねえ」「……」

   「コぉ〜んプライアンス、ってやつで!
    詳しいことは内緒だけど〜」

       そして一瞬何かを言いかけたが――――
       広げていた腕をぱたぱたとさせた後、続きは無かった。

「ね〜! そうなの! と〜ってもかわいい子と仲良くなれたんだあ。
 あ! 勿論アヤネちゃんも負けないぐらいかわいいけど〜〜。
 その子は『配信』! とかも一緒にやったりできるかも〜って感じだし」

    「まあ今あんまりできてないんだけどね!
     こやぁん、早く防音室のあるおうちにありつきたいこ〜ん」

休んでもいいと言われがちな世の中だが、配信者にとって『数』は正義。
『ゲーム実況』をはじめとする編集済の撮りためを切り崩したりはしているが、
メインコンテンツである『雑談配信』に適している環境が無い。

「いちおう不動産屋さんにはもう会ったけど。アヤネちゃん『不動産』詳しい〜?」

661鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/15(水) 23:48:41
>>660

「いやァ、毎日疲れるわ。
 職種柄5月なんてただでさえクソ忙しいのによ、
 この間なんて「業務だけではなく会社のSNSにも注力しろ」ッて、
 お叱りを受けちまってよおぉ〜〜〜。

 いやさ、仕事だからそりゃあ言われりゃあやるけれどよおぉ〜〜ッ。
 なんつーの?『適材適所』ちゅーもんがあんだろ!
 メシの写真を撮らねェ人種にやらせるのは酷ってもんよ」



            「はあぁぁ〜〜〜〜」


自らの現状に深く嘆息して、項垂れる。
明日の事を考えると正直気が重たい。


「生憎、不動産には詳しくねェけど、
 ちゅか『ユーチューバー』や『配信者』ってのは審査通り辛いって聞くぜ。
 年収がウン百万あろうとも『定職』じゃねぇのがいけねぇのか、
 ガンガン審査落とされちまうとか何とか。
 何処で聞いたかすら覚えてねぇ程のうろ覚えの話だけどよ」


           「あー」

「『配信』してーのなら、市の『貸し会議室』使うとか?
 市営だからネカフェ使うよりよっぽど安く済むだろうし、
 最近の会議室は『Wi-Fi』も通してるし、
 それにこの間『スピーカージャック』した『バカ』みてーに、
 近隣住民にご迷惑をかけるような事もねーだろうし」


          「よっと」


ベンチから腰を上げると、
真横に設置された自販機の前に立つ。
ポケットから取り出した小銭を投入する。


「まッ、折角の『給水所』だしな。コヤコヤは何飲むよ。
 時期柄か『つめた〜い』も『あたたか〜い』、
 どっちも入ってるぜこりゃあ」

662コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/16(木) 01:45:37
>>661

「アヤネちゃんカワいいしおしゃべり上手だけど、
 SNSってそれだけじゃないもんねえ。
 全部が全部『案件』だとウソもつかなきゃいけないし、
 きっと言いたい事全部言えないし〜。
 うぅ〜ん、あたしだったら相談乗れるけど……」
 
         「でもでも、お仕事の事をよそに出せないかあ。
          あっちもこっちもコンプライアンスでこんこんちき〜」

芸能人や配信者でも『SNSの使い方』を間違える例など枚挙にいとまがない。
『企業アカウントの中の人』に任命された勤め人には、より難しい事だろう。

         そういえば『鬼柳』の職業を前の時に聞いていたか、
         コヤコヤは頭の中でボヤボヤ考えていたりした。
         ガパオライスを食べながら聞いたような気もしなくはないけれど。

「あ! そうそう! そうなの! アヤネちゃんそれって詳しい部類だよお。
 前に何度かかわいいお家探ししたんだけど、つんつるてんのこんちきちんだったなあ。
 まぁ、お仕事のせいだったのかはわかんないけど! こゃ〜ん世知辛いっ」

『コヤシキコヤネ』は計算づくというタイプではないが、
『個人勢配信者』の中で戦っていける程度には『頭』は働く。

           「まあ、こっちでそーゆうの気にしない、
            とびきりかわい〜いお店に出会えたから、
            結果的にはこんこんぐらっしゅれーしょんだけどっ。
            契約とかまだまだだし、配信はもうちょっと〜……」

なのでもちろん『本気で何もなしでいきなり来た』わけじゃあなくって、
――――多少なりのタイムラグはあるけれど、『調べていた時期』はあった。

「ってわおわお、会議室! またまた詳しい〜さっすが町の大先輩だあ。
 たしかに……踊ったり歌ったりする配信するんじゃなかったら、
 かわいいサラリ〜マンちゃんたちの会議の邪魔にはならないはず?
 あとは配信する時間に空いてるなら――――あ! 『つめた〜い』ので!」

  トトッ

                 「今日はコヤコヤ『冷た党』〜」

ベンチから立ち上がって、ポケットをあさりつつ自販機の前についていく。
奢ってくれそうな気はするけど『奢られる気満々』にしない処世術ってやつだし。

「いやあ、アヤネちゃんのおかげで『本業』が出来るかも。
 そうなったら、ううん、ならなくっても感謝感激あられやこんこんだあ」

「まぁ〜その前に、かわい〜『副業』をクリアしなきゃだけど〜。あ! ココアだこん!」

アイスココアに目を少しだけ見開きつつ――単純に並んでお喋りがしたいだけ、だったりもする。

663鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/16(木) 18:05:11
>>662


「アイスココアね。あいよ。
 私は微糖のコーヒーっと」
 

    ピッ

        『ガッコン』!


ベンチから立ちあがろうとするコヤシキに、
片手で「座ってな」と言うジェスチャーで制すと、
自販機のボタンを押し、
取り出し口から出てきた缶を取りベンチに戻り、
そのうちの一つをコヤシキに差し出す。


「そーそー、前メシ食いながら話したけど、
 アヤネちゃんは今は『ブライダル会社』で働いていて、
 すんげぇ〜掻い摘んで話すと新郎新婦様のご要望を聞いて、
 最高の結婚式の為に『粉骨砕身』しましょー!って仕事よ。
 
 ガキの頃から憧れていた仕事って訳じゃねーし、
 給料が安いやら拘束時間きちーやら、あのクソ上司ぶん殴りてーやら、
 それなりに不平不満もあるけれどォ〜〜。

 ーーまぁ、働いていたら誰だって何かしらあるだろうし、
 会社からお賃金貰って『OL』やらせて貰ってる身だし……
 こうやって『友達』と話したり、酒飲んだりしてストレス解消する訳」

   
         カッ

缶のプルタブを引きコーヒーを一口。
フルタイムでの労働で疲弊し切った脳みそに糖分を与える。

        
           「かぁぁぁ〜!!!」



「って、いやァ、別に私なァ〜〜んにもしてねぇけどな。
 その『副業』やら『本業』やらが上手く行くなら何よりだわ。

      っていけね、ジャリ銭取るの忘れてたわ」


         ズギュン


特別、気負ったり身体を硬直させたりといった様子もなく
まるで呼吸や瞬きをするかのように極々自然な所作で、
『人型スタンド』の『上半身』だけを発現。
その『スタンド』で自販機の硬貨受け取り口を漁らせて、
鬼柳自身はベンチに腰掛けたまま取り忘れたお釣りを回収する。

664コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/17(金) 01:36:50
>>663

「わおわお、疲れてるのにごめ〜ん。ありがとうねっ!」

            ストン

ジェスチャーを受けて座りなおして、ジュースを受け取る。

「あぁ〜そっかそっか、5月の次は……『ジューンブライド』っていうんだっけ?
 やっぱりウエディングドレスとかってあこがれるし、
 かわいいチャペルで狐の嫁入り〜なんてシアワセのイメージだけど、
 裏ではアヤネちゃんたちが頑張ってくれてたりっ」

                     カシュ

          「支えてくれてたりするんだあ。
           『お仕事』ってなんでも大変だこ〜んっ」

   ゴッゴッ

「ん〜〜〜甘ぁい! 脳に効くぅ〜。これまた幸せっ!.」

ココアを流し込む。脳に響くような甘さが好きだ。

「え〜! またまたあ!
 アヤネちゃんってば謙遜しいでか〜わいいっ。
 まあでもさ、実際すっごい助かったと思ってるんだよ。
 こやぁん、コヤコヤずっと助けられっぱなし〜」

             「ほんとこゃ〜んだよ」

『スタンドのヴィジョン』に視線を向けて、
それから、すぐに『鬼柳』へと視線をなおす。

                    「それでさあっ」

お願いするのはスタンドにではなく、人にだからだ。

「もう一つ、アヤネちゃんに助けてもらう事ってできないかなあって……!」

見ず知らずの人に頼むのは苦手じゃあない。むしろ得意だ。
そこから友達が出来ることもあるし、それは嬉しい。
けれど『友達』相手に利害を持ち出すのは、いつだって緊張する。

            そこから友達じゃなくなるかもしれないのが怖いのだ。

665鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/17(金) 13:18:33
>>664

「まぁまぁ、仕事の話は良いわけよ別に。
 明日もそれなりに忙しいだろうけれど、
 お陰で家で飲む『第3のビール』が進むわマジで」

  
          「ご苦労」


釣り銭をスタンドから受け取るとそのヴィジョンを消し、
財布ではなく直にスーツのポケットの中に突っ込む。


「私、ジッサイ別に何もしてねぇしなぁ〜〜。
 私の話を聞いて動くかどうかはコヤコヤ次第だしよぉーーッ。
 まっ、けれど褒められて悪い希望はしねーぜ」


           「はて?」

「助けてもらう?
 よくわかんねーけど取り敢えず話聞くぜ」


コヤシキの心中を察しているかは定かではないが、
真剣な眼差しを向けてくるコヤシキとは対照的に、
怪訝に思う様子も見せずにコヤシキが口を開くのを待つ。

666コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/18(土) 00:44:47
>>665

「『動く』のは本人でも、きっかけを与えることって、
 あたしはすっごく尊いことだと思ってるんだあ。
 ……まあまあまあ、仕事もそこも一旦おいといて〜っ」

『鬼柳』の様子は話を続けるのに助けになる。
なるべくいつも通りの笑顔を作る。それも得意な事だ。                 

「実はあたしの今の副業っていうのが、
 『スタンドのことをたくさん調べる』ことなの。
 詳しくはコンプライアンスってやつなんだけど……
 それで『スタンド使い』を見つけるために、
 あたしの『サイレント・ライト』を出したままにしてたり〜」

          スッ

ベンチから前に出した手の上に、
『サイレント・ライト』を発現する。

「あたしなりに『いるかも』ってところ歩いてみたり、
 いろいろやってるみたけど全然見つからなくって」

         「それで」

       バササササ

飛び立たせたそれは町の光景を俯瞰するけれど、
もちろん見えるところにターゲットがいるはずもない。

「こんな事頼まれて、もしイヤじゃなかったらなんだけど……
 アヤネちゃんのスタンドのこと……ちょっとだけ教えてくれないかな!」

          「お礼できる事はそんなに多くないけどっ」

『頼む』以外の選択肢はないだろう。
『丸め込む』ような選択肢はありえない。

いつか自分の友達が、『王城』の前に立ちはだかる運命にならないように。

667鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/18(土) 01:48:35
>>666


「『スタンド使い』の調査だぁ〜〜〜?
 そりゃあ、また随分と『アングラ』なバイトだわな。
 なァんか悪い大人に騙されていたりしてねぇかぁ〜〜〜?」

事情を話してくれた『コヤシキ』にではなく、
話してくれたその『仕事』の内容の胡散臭さに『心配』し思わず顔を顰め。

       
           「にしても」

「その仕事斡旋した奴ぁ随分と意地が悪ィんだなぁ。
 『スタンド使い』なんて多分そもそもの絶対数が少ねーだろうし、
 『スタンド』持ってる人間の有無なんて見た目じゃあ区別つかねぇだろうし、
 そりゃあ探すのに難儀するだろーに……」


            グビッ

缶を傾け中身を飲み干しーー、


          『ズギュン』


傍に改めて『スタンド』を発現。
黒檀色の陶器の様な質感の女性的な線の細い人型であり、
胸元まで伸びた艶やかな髪で目元が隠されておりその表情は伺えない。
両腕・両膝から先が幾つもの『星型性多面体』で構成された奇異なデザインをしている。


「別に隠す程大それたモンでもないから、
 教えるのなんて全然構わねェんだけどよぉぉ〜〜〜!

 私の『アスタロト』ッてマぁぁジで『地味』だぞッ!! 
 本ッッッ当に地味だからなッ!!!
 教えてくれって言ったのオメーなんだから、
 ショボくてもガッカリすんなよマジで!!!!」

668コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/18(土) 18:07:17
>>667

「わおわお、あたしの心配〜!?
 優しいなあ。アヤネちゃんってほんと優しくってかわいいよ。
 大丈夫! あたしこんな感じだけど騙されないの得意なんだ〜」

         クイッ

           「ホントにありがとね。
            びっっくリするぐらい見つかってなくって、
            困惑困窮こんこんコンビネーションだったからさあ」

キツネのサインを両手で作って『問題無し』を明るく示す。
『ありや』からも心配をされたが、それも妥当な『胡散臭い話』だし、
そのうえで『コヤシキコヤネ』を心配してくれるのはどこまで嬉しい話だろう。


「えぇ〜! 見せてもらって地味なんて思わないよお!
 あたし、『魔法』が地味かハデか分かるぐらい詳しくないし!
 とりあえず見た目はとってもエキゾチック?ミステリアス?
 むしろ、オシャレでハデハデ〜な感じだあ」


          ジィィ〜〜〜

               「『アスタロト』ちゃん! っていうんだね。
                なんだっけ、ゲームで聞いたかも。
                すっごい賢い悪魔の名前だったかなあ」

「名前も含めて、かわいいだけじゃなくってとっても『強そう』!」

                              バサササ

頭の上に戻した『サイレント・ライト』と、2つの視界でその姿を見る。
『人型のスタンド』自体を見た経験があまりないけれど、
少なくとも、見た限りでは『地味な魔法』とは思えない。

「じゃあじゃあアヤネちゃん、コンティニューよろしくお願いだこ〜ん!」

お披露目の続きを促す。すっかり観客の気分ではあるが…………

669鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/18(土) 23:52:55
>>668


「そうそう、『アスタロト』。
 なァんでこんな名前つけたんだっけかなァ。 
 誰かに付けてもらったような気がすっけど…
 あぁ〜〜〜〜ッ、思い出せねェェ〜〜〜〜ッ」


           コンッ


中身を飲み干したスチール缶を足元に置き、
傍の『アスタロト』に缶蹴りの鬼の要領で踏ませる。

「え〜〜とだなァ。
 手足から先が『パイナップル』みてーにボコッてなってるよな。
 例えば、この缶踏ませている脚を、こう念じて…」


         『パッ』


ボドボドボドボド!!!

缶を踏む『アスタロト』の右膝から先が消え失せ、
消失した右足の代わりに20匹前後の『ヒトデ』がこの世に現れ、足元に落下する。

出現した『ヒトデ』は奇抜なデザインもさる事ながら、
その身体は半透明に透けており『スタンド』である事は明白。


「こんな感じにスタンドの手足を『ヒトデ』にして、
 すげートロいるけれど私が操作できる感じ。
 
       ーーな、『地味』だっていったろ?」


ウネ ウネ ウネ ウネ


コンクリートの上に放られたヒトデ達は、
足元に置いた『缶』を目指し『星』型の体を捩らせるが、
その動きは『鈍重』そのもである(スE)。

670コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/19(日) 00:53:40
>>669

      「うわわわわわ!
       お星さまキラキラ!?じゃなくてボドボド!」

ヴィジョンとはいえ足がばらけて無数の生物になるのは、
けっこうショッキングな絵面ではあるのだった。

「こゃ〜っ、これってコヤコヤ全然地味じゃないと思うけどお!?
 『見た目が変わる魔法』は見たことあるけど、
 『形が変わって、そのまま動かせる』なんて初めてだし」

               ジィィィ

「それに、ゆっくりたくさん動いててか〜わいいっ!」

『スタンドの知識』が豊富であれば別なのかもしれないが、
『絵面』で言えばそれはかなり『希少なタイプ』だ。

「いやあ〜すごいの見られたあ!
 見せてくれてありがとねっアヤネちゃ〜ん」

        スッ 

「お返しにあたしのも……って、言いたいんだけど、
 ここだとほんとに『飛ばすだけ』〜になっちゃうし。
 ベつにアヤネちゃん、魔法を見たい〜とは言ってないもんね〜」

お返しをしたいが、『スタンドを見せる』のは、
きっとお返しとして成立しない。
見たいのはこっちだけだろうから。

「お仕事の手伝いってわけにもいかないだろうし、
 わわおどうしよ〜! アヤネちゃんはコヤコヤに何かしてほしい事あるかなあ?」

671鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/19(日) 18:34:05
>>670



        ウネッ ウネッ

   ウネッ クネッ グジュ… ギュル…


『バキッ』    『ベコ』ッ


     『バキャ』ッ!      『メゴォ』ッ!


地面に放られた『ヒトデ』達がようやく空き缶に到達し、
ゆっくりと、まるで捕食し消化するのように『スチール缶』を破壊していく。



「クッソトロいけれど、すげーパワーを持ってる感じ。
 んでヒトデだから何にでもひっつくし、
 家であまりにもやる事がねー時は、
 コレを壁に投げては剥がしてって繰り返して遊んだりしてるわ」
 
          「ヨイショ」

ズズズズ!


『アスタロト』の腿をヒトデに近付けて吸引。
群体の『ヒトデ』を『アスタロト』の右脚へと戻す。


「見たい見たくないで言ったらアレだな〜。
 他人の話す『バイク』や『腕時計』と一緒だわな。
 私ァそれ自体にゃあさして興味はねェけどよおぉ〜〜〜、
 目キラキラさせて楽しそうにバイクや腕時計自慢するのを、
 ウンウンと頷きながら聞くのは嫌いじゃねェぜ。
 

 ーーーまァ、けどアレだわな。
 ぶっちゃけスタンド見るよりオメーのやってる『配信』の話の方が聞きてェわ。
 だってオメー、『スタンド』なんざより、『配信』の方が好きだろ?
 なんつったて『配信』を『生業』にする為に家も決めずに、
 身一つで星見町までやって来たくれェなんだからよォ」

      
           「よっと」

『アスタロト』に破壊され鉄切れと化したスチール缶を拾わせゴミ箱に投げ捨てる。
そしてスタンドを解除し、ベンチから腰を上げる。


「メシ行こーぜ、メシ。
 私ン家の裏にこのご時世にも関わらず店内で喫煙できる『町中華』があんのよ。
 今日の日替わりメニューは確か『麻婆茄子定食』だった筈。

 『レモンサワー』が飲みてぇからチャリ一旦家に置いて帰るけれど、
 そこで『餃子6個400円』を奢ってくれや。
 それがスタンド見せたお礼代わりっつー事で」

672コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/20(月) 00:57:49
>>671


「すごぉい! やっぱり地味じゃないよおこれ。便利そうだしかわいいし!」

ただ、彼女がそれを地味だというのも分かるけれど。
そこに同調して、盛り上がる必要はないだろう。

「やっぱりアヤネちゃんってすっごく、とってもかわいいよ。
 そうなの、あたし『サイレント・ライト』の事も……好きだけど、
 でも『お話』したいっていうのとは違ってさあ」


         『魔法』は『魔法』。
         『自慢』するまでもない、降ってわいたギフト。
         それに――――――


「『配信トーク』のほうがあたしも楽しいし、楽しませられそうってこと!
 楽しいお話してなんぼのコンなお仕事、早口でしっかり語りまくっちゃうこ〜ん」

          「コンコンプライアンスの範囲でねっ」

 ・・・・・・・
『配信をするため』に星見町に来たというのは、
あながち間違っているわけでもない。

  
「わおわお! 中華いいなあ〜。この前のお店もおいしかったし、
 中華って好きなの多いんだよね。酸辣湯とか〜、麻婆もそう! ……あ!
 でもでもごめ〜ん! さっきチラッと言ったけどコヤコヤ今待ち合わせ中なんだあ」

『王城』との合流は『経過報告』の意図なので、
なんならチャット一本でも問題は無いだろう。
けれど『合流』に対面を選んだのは彼だ(話の流れでもあるにせよ)。
 
     導くというのは『支配』でも『放任』でもないのだと思う。
     彼がしたい事をしたうえで勝てるようにしてあげたい。

「ちょこんっとお話しするだけのすぐ終わる用事だから、
 アヤネちゃんが自転車置いてくる間にお話ししてきて、
 そのあと合流するのでもい〜い?

ダメだ!って言われればそれはもう優先するしかないし、王城も納得はするだろうけど。

673鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/20(月) 16:35:36
>>672



    「オーケーオーケー」

「全然、謝るこたァねぇっての。
 むしろ急に誘って私の方こそ悪りィなって感じだぜ。
 先約が優先だろそりゃあ」


ポケットの中から猫のキャラクターのキーリングを付けた自転車の鍵を取り出し、
リングの隙間に人差し指を通しくるくると回す。


「んならついでに着替えるわ。
 私ん家の前で集合でいっか?
 
 私の都合でその待ち合わせ相手を帰すのも申し訳ねェし、
 なんならそいつも連れて3人でメシでも食うか?
 コヤコヤとそいつが良ければッて話になるがよォォ〜」

674コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/05/20(月) 20:08:35
>>673

「ううん、誘ってくれて嬉しい〜。
 アヤネちゃんあたしが知らないお店連れてってくれるし、
 お話ししてて楽しいんだあ」

             スッ

ベンチから立ち上がる。

「あたしは3人で食べるの賛成〜っ。
 あ、待ち合わせしてる相手、
 いちおう『男の子』なんだけど……
 ま、あたしたち女子会って感じじゃないし、
 そのお相手ちゃんもあんまり気にしなそうだし。
 せっかくだからお誘いしてみるねえ」

『鬼柳』と『雑賀』の相性が良いかは分からないけど、
仮に魔法使いになれたなら、話せる相手は多い方が良い。というか。
そういう打算を抜きにしても、彼とご飯を食べるのも楽しいだろうから。

「それじゃ〜またあとでっ。こっち合流出来たら一回連絡するこ〜ん」

そういうわけで、ここでお別れというわけでもない。さっくり分かれて、あとはお楽しみだ。

675鬼柳礼音『アスタロト』:2024/05/20(月) 20:34:42
>>674


     「あいよ」


「私ァ別に気にしねぇけどォ。
んじゃあまた後でなぁ」

ガチャリ


ベンチの裏に停めた自転車のロックを解除し跨ると、
右手でバイバイ代わりのキツネサインを作り、
自宅へ向けて自転車をゆっくりと漕ぎ始めた。

676りん『フューネラル・リース』:2024/05/25(土) 10:27:29
芸術と言えば芸術の秋だが
別に絶対に秋でなきゃいけないなんて決まりはない
初夏の芸術があったって良いだろう

そしてここは美術館

10歳くらいの女の子が展示品を見て回っている
頭に鈴蘭が咲いているが何もおかしな事はない
平和な美術館の一幕だ

677りん『フューネラル・リース』:2024/05/26(日) 20:58:08
>>676
芸術というと、芸術品を作る生物は人間だけではない

海底の砂に円状の模様、ミステリーサークルを描く
アマミホシゾラフグという魚がいる
これは雌のフグの産卵場としての役割がある

ニワシドリという鳥はあずまやを作り
それを花や木の実で美しく飾り立てる、高い美的感覚を持っている

しかし、それらは大体本能による行為で生存戦略の一環なのだが
人間はそういう本能とは別の目的で芸術品を創り上げる

生きる上で必要は無いが、人生を豊かにする
そんな芸術品を創り上げる人間がりんは好きだ


今、りんが居る絵画のコーナーには鈴蘭の絵が展示されている
一口に絵画と言っても、作者毎にその絵のタッチはまるで違う
同じ題材でも一つとして同じ物は無いのだ
それがまた興味深く、いくら見ていても飽きが来ない


            バシャアア

何の音だ?
突然、何か液体がぶちまけられた音にりんが振り向く

そこにはなんと

りん「えっ、何してるの!?」

絵画にトマトスープをぶっかける謎の集団が居た!

環境活動家「お前ら食べ物を大切にしろ!!!
      こんな絵よりも食べ物の方が大事に決まってるだろ!!!」
りん「いや、食べ物を粗末にしてるのあなた達だよ…」
阿部マリア「っていうか、それガラスに覆われてるからスープかけても無駄ですわよ」

環境活動家達はその後すぐに警察に逮捕された
彼らの主張自体はまるっきり間違っているという事もないのだが
どうしてこうおかしな方向に行くのだろうか?

こればかりはいくら考えてもりんは理解が出来なかった

                     _
                  ,  ´   ̄マュ  
                /         ヘ  ㍉
                    /           彡入_ミヽ
               7 / /    , -‐ ' ´     .寸
                { ∥/  //ノ             }!
                 {∥  /〃/リ         ヽ  .i {
                 {.ノ, - 、_/      --ー.〟〉 ,才
               { .{f ヽ.~〃      +壬ぅ  .ヒ孑
                  {λ弋`     丶  ~´   V.}
               {  Iッー '        ,廴ニ .ソ7
                   ` yソ! .}       /   __」/
                /           /.ャ七7{/  < How dare you !
             / ̄く    ヽ、    .′ `ニ丿
             _/   ヽ     `  .、 ヽ ~ノ
         /        ヽ     /仰k゛ "
        / /        ヽ |   ./!|リト 〈
        /  /         ヤ    i.トゝミヾ
    /    \            ヤ   / ( 人)、
   /                 ヤ  /  ハク }

              終
            制作・著作
            ━━━━━
             ⓃⒽⓀ

678美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/05/30(木) 14:52:39

星見町の一角に立つ『Luna-Polis』は、
月の光を思わせる『月白色』が印象的な十階建てのマンションだ。
物件としての質は『それなり』に高く、防音とオートロックを完備している。
その一室に『美作くるみの住居』があった。
インテリアはガラスと金属を多用した無機質で都会的な『アーバンモダン』。
日当たりと眺望の良い窓からは、刻一刻と移り変わる街の風景を見渡せた。

「――――フ……ここから見える『世界』は中々の展望だな……。
 オレの見立てでは、あの辺りが『門倉不動産』といったところか……」

キリシマを『自宅に呼んだ』のは理由がある。
『試験』に向けて『最終確認』を済ませたかったが、
それは『門倉不動産』では出来ない。
『間違いなく人目につかない場所』が必要だったのだ。

「『これ』を持っていて。『幸運のお守り』よ」

          チャリッ

美作がキリシマに差し出したのは、『鈴蘭のペンダント』だった。
『りん』・『涙音』・『一抹』の三人がいなければ完成しなかっただろう。
ペンダントを受け取ったキリシマが、それを首に掛ける。
傍らにあるのは『アンティーク』の詰まった『トランク』。
『一抹の義父』から『小道具』として譲り受けた品々だ。

「オレは『Bluetoothスピーカー』を調達してきた。
 『詠唱内容』も『スキマ時間』を駆使して完成させている……。
 後ほど『メフィスト』の意見に耳を傾けたいが……」

美作のプロデュースは『クラシック』な路線ではなく、
独自の世界観で構築されている。
そして、『スタンド使い達の言葉』を使って作る『詠唱』は、
美作の監修の下でキリシマが担当した。
美作が彼に教えたのは、ただ上手く歌うだけではなく、
感情を込めれば強い訴求力を伴うという事だ。

「ええ、せっかくだし一足先に『実演』してもらおうかしら。
 それから、今の内に『例の物』を見せておこうと思って」

クローゼットから取り出されたのは、一振りの『剣』だった。

「本当に何度も言うようだけど、くれぐれも取り扱いには注意してね」

       ソッ…………

それが美作からキリシマの手に渡される。

「あぁ……分かっているさ……。決して『振り回したりはしない』と誓おう」

            …………ス

「実は『振り回したくて仕方ない』と思っていても、だ」

大きな姿見の前に立ち、己の全身を鏡面に映し出す。
『魔法による刺繍』が施された衣装と、『魔力を秘めた鈴蘭』を封じたペンダント。
さらに『異世界の魔剣』を携え、その柄に片手を添える。

    ス ラ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ

慎重に『サーベル』を鞘から引き抜き、湾曲した刀身の重さを確かめる。
キリシマを見ていて思い出すのは、
『ニンゲン』と名乗る正体不明の何者かが仕掛けた『ゲーム』。
そこで手に入る『ゲーム内アイテム』の一つが、この刀剣だったのだ。
持ち帰って以降、長い間しまいっ放しだった。
世に出すつもりはなかったのだが、
思いがけず『活躍の場』が訪れた事を喜ぶべきなのかどうか。

「ポンと出したように見えるかもしれないけど、
 それを手に入れるのだって苦労してるのよ。
 まぁ、心から欲しかった訳でもないんだけど…………」

    バッ!

           バッ!

                   バッ!

一方のキリシマは、サーベルを構えてポーズを取り始め、
完全に自分の世界に入ってしまっている。
『役に入り込む』なら、これくらいの方がいいのかもしれない。
今にも振り回すのではないかと少し心配したが、
さすがに分別はあったようで、しばらくしてから刃を鞘に収めた。

「フ…………フフフ…………!!『いい』――――実に『いい』…………!!
 この身に『力』がみなぎってくるのを感じるぞ…………!!」

「それは良かったわ。
 じゃ、本番前の『リハーサル』に移りましょうか。
 私も『参加』するから、最初から最後まで『通し』でやるわよ」

          ――――――パチン

美作が指を鳴らすと、肩の上に『プラン9・チャンネル7』が発現し、
リビングに設置された『サラウンドスピーカー』が能力下に置かれた。
ホテルのラウンジを思わせるデザインのソファーに腰を下ろして、
手塩に掛けて育てたキリシマの『演技』を眺める。
これが二人で行う『最後の仕上げ』だ。

679甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/06/01(土) 09:09:48
6月
雨がよく降る時期、梅雨の真っ只中
この時期が梅仕事をする頃だ

梅シロップを作る為に青梅のヘタを取り除くあまと>>680
一つ一つ丁寧に……

「……」

只只管大量の梅のヘタを取る作業
苦行か何かか?

680甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/06/02(日) 18:57:03
>>679
永遠にも続くかのようなヘタの除去作業
最初はただの苦行でしかなかった
しかしやっている間、シロップの出来上がりを考えると段々楽しくなってくる
そして、その内心は無になり……

あま「あっ」
富沢梅夫「もう終わってる」

気が付くと終わっていた

阿部マリア「あら、美味しそうな梅じゃありませんの
      一つ頂きますわよ」

突然押し入って来たマリアが青梅をいくつも鷲掴みにして食った!

ガリッ バキバキィ

マリア「この硬い種がうめぇんです…わ……」
マリア「おえっ…貴様ら、何を食わせやがったんですの…?」

梅夫「お前が勝手に押し入って食ったんだろ」
あま「生の青梅食べたらそうなる…」

梅の実にはアミグダリンという成分が含まれている
これは人体に取り込むと猛毒のシアン化水素、俗に言う青酸が生じる
特に種に多く含まれており、所謂天神様を食べて死亡した例は数知れず
ただし、これは梅干しにしたりして熟成させる事によって毒性が弱まるため
少量なら摂食する事が出来るようになる


医者「またこいつか、今度は何だよ?」
看護師「青梅を種ごと大量に食ったそうです」
医者「こいつの歯どうなってんだ?」

普通未熟な梅をそんなに食ったら死ぬ
だがマリアは何故か生きていた
奇跡的に生きていたのだ
何故生きていたのかは不明だ


それから時が経ち

マリア「美味そうなシロップですわね、飲ませてもらいますわよ!」

ガブガブ

梅夫「なぁ、梅シロップを作ってたんだよな?」
あま「そうだけど?」

マリア「ヒック、これは…梅酒ですわゾ」
梅夫「あま公、お前酒入れただろ」
あま「ごめん、知らないうちに入れてた」


梅夫「まぁ、普通の梅酒ならいいよ」
梅夫「けどこれ…」
マリア「みりん梅酒じゃねえか!!!!!!」

免許の無い者が梅酒を漬ける時は通常、20度以上の酒を使わなければならない
何故なら度数の低い酒だと、梅の酵母菌を殺菌し切れずに
元の酒よりも高い度数の梅酒にり、密造酒として扱われるためだ
みりんは精々度数15程度、完全にアウトだ
免許さえあれば問題無いのだが、当然あま公達は免許を持っていない

梅夫「どうすんだよ、警察にバレたら現行犯で抹殺されて梅の木のしたに埋められちまうぞ!」
あま「マリアのせいにしとく」
梅夫「おぉ、それは名案だな!」

梅夫「このアバズレが、お前がみりん梅酒なんか作ったせいでみんなが迷惑してるだろうが!
   警察が来たら全部話してやるから覚悟しとけよ!」
マリア「えぇっ?」

   |/ ̄ ̄\| \ 今日はみりん梅酒/  ┌─────┐
   |\    /|   \   にするか /.   │みりん梅酒 │
   |   ̄ ̄  |    \ ∧∧∧∧/      └─────┘
   | .○○○. |     <    み >  一般の人が
   \.○○./     < 予  り >  みりんを使って梅酒を
.      ̄ ̄       <    ん >  造ることは許されていません
 ─────────< 感 梅 >──────────
   __[警]          <    酒 >     ,.、 ,.、
    (  ) ('A`)     < !!!! の >    ∠二二、ヽ
    (  )Vノ )     /∨∨∨∨\   ((´・∀・`))<みりん一升
     | |  | |     /死ぬ気なの!\  / ~~:~~~ \

                終
              制作・著作
              ━━━━━
               ⓃⒽⓀ

681小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/06/02(日) 21:00:34

街の喧騒から離れた閑静な住宅地に佇む『離れ付きの一戸建て』。
そこには一人の女と一匹の猫が暮らしていた。
『小石川文子』と『撫子』だ。

      パチ…………

深夜、不意に目が覚め、ベッドの上で身を起こす。
何か物音がした訳ではなく、『夢』を見たからだった。
やがて立ち上がり、窓の方に歩いていく。

  「――また『あの夢』が……」

『夏』が近付くと『同じ夢』を見る。
かつて星見町を巻き込んだ事件と、そこに関わった多くの人々を思い出す。
そして、『魔物』と呼ばれた魂が迎えた最期の瞬間を。
その度に『もっと何か出来たのではないか』と考えてしまう。
しかし、既に『解決』した話であり、何もかも終わってしまった。

  「――『私に出来る事』は……」

だが、『同じ事が起こらない』という保証はない。
『これから』に備える事は無駄ではないし、万一を考えれば『必要』だ。
『起こってからでは遅い』というのは、身に沁みて理解している。

       「にゃあ」

                ――――ゴソ

寝室の片隅で『黒い影』が蠢く。
『マシュメロ』の能力によって『キャペリンハット』から生まれた『帽子猫』。
奇妙な姿をしているが、それ以外は猫そのもので、
小石川にとっては『家族』と呼べる存在だった。

  「……ありがとう」

            ニコ…………

撫子に微笑みかけ、カーテンに手を掛ける。
自分の中で『やるべき事』が決まった。
カーテンの隙間から星空を見上げ、小さな輝きに思いを馳せる――――。

682佐良 猟果『マンティコア』:2024/06/05(水) 21:15:30

「はーーーーっ!」

自宅の自室で、溜め息混じりの呼気を大きく漏らす。
通話を終えたばかりのスマートフォンに、自身の険しい表情が反射する。

「全然ダメだった」

「語尾跳ね過ぎだ。絶対馬鹿だと思われた。
 『すっごく』って何回言った?準備が足りないから、慣れてる言葉に逃げるんだ」

「『くるみさん』が、漫画に詳しくないのも分かってなかった。
 古参のリスナー共から、きっとニワカだと思われる」

「『悲しい』も、本当は『哀しい』のニュアンスで言いたかったのに、できなかった。
 緊張とかじゃなくて、私がダメだからだ」

「何より最後、『私以外』って二度続けた。いくらでも言い換えられたのに。
 最後だからって気を抜いたんだ。一番頑張らないといけないのに。
 私のせいで、リスナーさんが減ったらどうしよう............」

「全部私のせいだ。私が全然ダメだから」

「私がダメだから、あのひと多分、ずっと他のひとのこと考えてた」

そのくらいはわかる、という自負はあった。
涙は出なかった。泣いていいほど、頑張ってないから。

683小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/06/06(木) 00:19:06
>(笑美)
>(朝山)

街の喧騒から離れた閑静な住宅地に立つ『離れ付きの一戸建て』。
やって来た二人をリビングに迎え入れ、ソファーを勧める。
テーブルの上には、ラベンダーのハーブティーと、
ドライフルーツを練り込んだパウンドケーキが用意されていた。

  「――どうぞ、召し上がって下さい……」

          コト

二人の向かいに座ると、切り分けたケーキを皿に乗せて差し出す。

684朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2024/06/06(木) 16:56:28
>>683
今日は小石川から、一つ考えていることがあるということで
笑美は彼女の家へとやってきたのであった。

「本日はお呼びいただき、光栄です。
 どうぞよろしくお願いいたします。」
席に座っていた笑美は頭を下げた。

「これは…どうもありがとうございます。
 とても美味しそうです。」
積もる話はありそうだが、まずは一息つくところだろう。

「朝山さんも本日は、よろしくお願いします。」
朝山さんの方にも視線を向けて頭を下げた。

685朝山『ザ・ハイヤー』:2024/06/06(木) 18:22:30
>>683-684(少し遅レスとなりますが、一日一レスは何とか返そうと思います)

「小石川おねーさん、この前はパーティ有難うっス
これ、お返しっス」

 そう、ごま蜜饅頭を渡した。ちゃんと、この前のお礼をしなさいねと
朝山の母親などがチョイスした品だ。味の保障は出来る。

 「ケーキ有難うっス。こちらこそ、宜しくっスよ。ときみー」

お礼と挨拶を返しつつも、普段なら披露するニュー・エクリプス・ポーズなり
ハイテンションな様子は薄い……どうも、少し今日の朝山は
ぼんやりとしている感じだ。

686小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/06/06(木) 19:12:49
>>684(笑美)

  「……こちらこそ、いつも笑美さんには感謝しています」

何かと頼っているのは、やはり彼女を『信頼』しているからだろう。
そうした繋がりを大切にしたいと思っている。
『未来に起こり得る災い』を防ぐ為に。

  「これからお話する内容は、涙音さんにも知っていて欲しい事ですから、
   よろしければ笑美さんの方から伝えておいて下さい……」

パウンドケーキは手作りだった。
しっとりした生地に、ほのかなラム酒の香りが漂う。
甘すぎる事のない自然な味わいで、ラベンダーティーにも合っている。

  「先ほど少しだけ伝えましたが……今から詳しくご説明します」

>>685(朝山)

  「ありがとうございます……。せっかくですから、皆さんで頂きましょう」

饅頭の箱を受け取って、テーブルの上に置いた。
同時に、普段と違う朝山の様子に気付く。
どう声を掛けるべきか迷っていると、奥の方から小さな足音が聞こえてきた。

        「にゃあ」

              トトトトト…………

控えめな鳴き声を上げた『帽子猫』が朝山の足元に寄ってきた。
小石川が愛用している『キャペリンハット』そのものだが、
『耳』が生えているし『尻尾』もある。
奇妙な外見ではあるものの、確かに『猫』だ。

  「……朝山さんは、まだ会った事がありませんでしたね」

  「この子は『撫子』という名前です……。どうか仲良くしてあげて下さい」

>>684-685(両者)

  「――お二人とも、食べながら聞いていて下さい……」

  「ご存知のように『魔物事件』は『解決』しました。
   ですが、それで何もかも終わりにしてしまえるほど簡単な話ではありません。
   今後いつか何処かで、また『同じような災い』が起きても不思議はないからです」

  「『起きた後で動くのは遅い』――あの時、私は痛感しました……。
   そして、二度と『同じ過ち』を繰り返さない為に、
   今度は『起きる前』から準備する事にしたのです」
 
  「私は『スタンド使いの集まり』を作ります。
   『烏合の衆』ではなく、お互いの事を理解し合う『和』を持った『輪』を……」

  「今こうしているように、
   『お茶』を飲んで『お菓子』を摘みながら『会話』をして、
   それぞれについて深く知る。
   そのような『スタンド使い同士の親睦の場』です」

  「……『サロン』と名付ける事にしました」

687朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2024/06/06(木) 20:17:04
>>685
「ときみー?…あ、私のことですね。はい。
 お土産、私もいただきますね。」
少しだけ気づかなかったようで、慌てて返事を返した

「フヒヒ、元気ですね。朝山さん…」
朝山は普段よりも元気さはない。ものの、笑美からすれば元気そうに見えるのだろう。

>>686
「いえ、こちらも小石川さんにはお世話になってますから。夏子さんと再会したときにも大きな助けになりましたし。」
互いに力を貸してもらっている。笑美はそんなふうに感じているのだろう。
友人とその息子と会ったときのことは、感謝してもしきれないほどだ。

「…はい、涙音も小石川さんのことなら協力してくれると思います。由楽のこともありますし。」
そう言ってからケーキを口に運ぶ。考えてみれば家族ぐるみでの付き合いになっている気がしている。

「とても美味しいです。お茶と合います。」
パウンドケーキの味は思わず顔が緩んでしまうほど美味しく感じる。

そして小石川の話をゆっくりと聴いていく。
彼女から感じるのは確かな信念。そして魔物事件においての悲しみ。

「…なる程。同じスタンド使い同士でお互い腹を割って話し合えるような場所…それが必要だと感じたのですね。」

「そのような場所があれば…情報交換もできますし、あるいは心のケアも可能かもしれませんね。『サロン』…ですか。」
そう言ってラベンダーティーを口に運ぶ。
スタンド使い同士の交流が必要という彼女の思いは、笑美には共感できるものだ。

「円滑に話ができる場は必要ですね。たしかに…」
カチャリとカップを置く。

「私たちはその参加者第一号…という感じでしょうか?」

688朝山『ザ・ハイヤー』:2024/06/07(金) 10:57:55
>>686-687
(申し訳ありません。朱鷺宮 笑美PCに対して、ときみーと言いましたが
正確には、ときみーママと書くつもりでしたが、抜けてました。
以後気をつけさせて頂きます)

「『撫子』ちゃんっスか。朝山っス、初めましてっスね」

よろしくっス、とハット部分を撫でる。
 普段なら、うわーーーー!!! すっっごく可愛い不思議なメルヘンキャットす!

と、大はしゃぎしそうな朝山だが。やはり、大人しい反応に留まっている。

もぐもぐと、ケーキを大人しく食べて話を聞き終えると共に
鷹揚に頷いて、ちょっと考える仕草と共に、こう口を開いた。

「うーん…とっても素晴らしいアイデアだと思うっス。
是非ぜひ、自分も協力はしたいと思うっスよ。
 そうすると、これから私が色々友達をいっぱい作ったら
小石川おねーさんの、そのサロンを紹介するって事で良いんスかね?」

689小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/06/07(金) 17:26:14
>>684(笑美)

  「お役に立てたのでしたら、私も嬉しく思います……」

            ニコ………

  「ええ、いわば『スタンド使いの社交場』です。
   お互いについて理解し合える機会を設ければ、
   強いて団結する事を意識せずとも、
   知らず知らずの内に繋がりを深められるでしょう……。
   私が求めているのは、そうした『自然な結束』です」

『空井イエリ』も名簿には加えているのだが、
『サロン』の拠点となる『ここ』で初めて話をしたという意味では、
『第一号』と言えるだろう。

  「笑美さんと涙音さんも、是非『会員』に加わって頂きたいのです」

>>685(朝山)

  「撫でられるのが好きなので、撫子と呼んでいます。
   きっと朝山さんの事も好きになってくれると思います……」

         「にゃ……」

                スゥッ

  「……『権三郎』にも会わせてあげたいですね」

もう少し撫でてもらえると思ったのか、
撫子は朝山の足元に落ち着いて、
その場から動かなくなった。

  「はい――私と朝山さんのような、
   『スタンド使いの友人』を増やしたいと思っています。
   でも、朝山さんの出来る範囲で大丈夫ですよ。
   朝山さんがいてくれるだけでも、私は心強いのですから……」

>>684-685(両者)

  「『サロン』の『入会方法』ですが、『招待制』を導入しています。
   『主宰者の友人』か『会員の友人』……どちらかの条件を満たす方を、
   『新たな会員』としてお迎えします」

  「つまり、加入する為には『誰かの紹介が必須』という事です……。
   『誰を紹介するか』は、笑美さんと朝山さんの判断にお任せします。
   それから、『正会員』になった方には、『これ』をお渡しします」

          スッ

『ラベンダーの香り袋』を三つ取り出し、それらをテーブルに並べる。

  「――こちらが『会員証』になります。
   『ラベンダー』の香りが心を落ち着かせるように、
   この町に『災い』が起きた時、それを『鎮める』という意味を込めました」

  「お二人のような『主宰者の友人』には基本的に無条件で渡し、
   『会員の友人』の場合は『主宰者』が判断した上でお渡しします。
   そして、それらによって生じる『責任』は『主宰者』が負います」

  「『見学に来ただけ』というような方は、
   ひとまず『仮会員』に留め……その後も来てもらえるようであれば、
   『会員証』を渡して『正会員』になって頂きましょう」

  「……ここまでの話を聞いて、お手伝いして頂けるなら、
   お二人とも『会員証』を受け取って下さい」

690朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2024/06/07(金) 19:49:29
>>688
(問題なしです>朝山さん)
「…何だかいつもより…?」
先程までは元気そうであると思っていたものの、以前見た時より少しおとなしいように感じられた。
笑美は不思議そうに朝山の様子を見始めた。

>>689
「ええ、由楽もまた会いに行きたいといっているくらい気に入ってるみたいですよ。
 またよろしければ…お願いしますね。」

小石川の提案を聞いて同意するように頷いた。
「スタンド使い同士は惹かれ合うものだと聞きますが…
 やはり協力し合うためにはお互いを詳しく知ることが必要ですね。
 協力しますよ。」
会員になってほしいという小石川の要望。
笑美には断る理由もないだろう。

そして差し出された『会員証』を確認する。
「災いを鎮める香り…確かにふさわしいものかもしれませんね。」
「…誘いも無理強いはせず、自由意志での参加を尊重する。ということですね。
 素晴らしい判断と思います。」
そこまで言うと、会員証である匂い袋に手を伸ばす。

「私にできる限りのことをします。この街のため…とまではいかなくとも、
 小石川さんの望むことのために。」
笑美は喜んで協力するつもりのようだ。

「もちろん涙音にもこのことを伝えますね。」

691朝山『ザ・ハイヤー』:2024/06/08(土) 12:04:04
>>689-690

「うん。権三郎もきっと撫子ちゃんと仲良くなれると思うっス。
そうっスね。自分も、ときみーママと同じで……あっ」

会員証の香り袋を受け取り、同意の言葉を口にしようとした所で
ラベンダーが何か頭を刺激したのだろう。思い出した顔で、呟く。

 「そう言えば、いちまっつんに。『小林先輩』を探す協力を
してくれるように頼まれたんっス。
 お友達を作るのと一緒に、そっちも皆で手伝って貰って良いっスかね?」

(……木崎君が、一緒にいま居たら。魔法使い試験も
これでちゃっかり突破ってなったんスかね?
 でも、ずっちぃっスよね)

 朝山が少し落ち込み気味なのは、手伝いが途中で出来ずに終わったからだ。
理由としては色々あってだ。少なくとも、朝山にはどうしようも出来ない
事情で中途半端に友達になれた彼の助けを無碍にしてしまった。

 それが、小骨に引っかかったように朝山には未だ気が重く
調子が少し出ない理由だ。

 「…………」

 多分だが、木崎は別に朝山を責める言葉も詰りもしなかった。

でも、凄く寂しそうな顔を覗かせてたと、朝山の記憶には根強い。

 再度撫子を撫でで上げつつ、自分の無力さに、どうもパワフルが
今は調子が出ずに居る。でも、友達の小石川や、ときみーママに対して
悩みを伝える気は少なくとも朝山には無い。

692小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/06/08(土) 20:42:07
>>690(笑美)

  「涙音さんにも、よろしくお伝え下さい」

そして、笑美は『二人分の会員証』を受け取る事になる。
『小林の件』について朝山に話す時、小石川が笑美に視線を送った。
『あの事は黙っておいて欲しい』という意味だろう。

  「……朝山さんが持ってきてくれたお饅頭を頂きましょうか」

やがて、朝山を気にする笑美を見て、率先して饅頭に手を伸ばす。

  「――美味しいです。お二人もどうぞ……」

>>691(朝山)

  「ええ――『小林さん』の事も……是非そうしましょう」

『小林丈の足取り』は、既に掴んでいる。
だが、小石川は口外しない。
彼が自らの意志で姿を消したのなら、無理に暴くべきではないだろう。
その代わり、手伝ってもらう事も否定しなかった。
『多くの人が捜している』と知れば、小林も気が変わって、
自分から真実を明かしてくれるかもしれない。

  「……覚えていますか?
   以前、ここでパーティーをしていた時、
   朝山さんは私を励ましてくれましたね」

  「朝山さんは、いつも私を勇気づけてくれて……。
   あなたが悩んでいる時は、力になりたいと思っていました」

小石川文子と朝山佐生が出会ったのは、もう随分と前の話になるだろう。
大抵の場合、小石川は『励まされる側』だった。
二人の立場が逆になったのは、今が初めてかもしれない。

  「話しづらいのでしたら、無理に教えて欲しいとは言いません。
   でも、私は朝山さんの味方ですよ」

朝山の手の上に、自分の片手を添える。
お互いを理解するというのが『サロン』の目的であり、
それは付き合いの長い朝山に対しても同じ事だ。
あくまでも相手の気持ちを尊重した形で。

  「だから、今日でなくても……いつか打ち明けてくれますか?」

>>690-691(両者)

  「笑美さん、朝山さん――ありがとうございます。
   お二人が助けて下さる事が、私には大きな支えになります」

  「……さっき朝山さんが言われたのは『一抹貞世』という方ですね?
   私は面識がありませんが、『あの事件』で被害に遭われたという……」

  「お二人とも、一抹さんの連絡先はご存知ですか?
   差し支えなければ、その方と話してみたいのですが……」

  「『サロン』については、いずれ『烏丸』さんにも伝えておきましょう。
   今はお忙しいようですから、また日を改めて連絡を取ってみます」

693朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2024/06/08(土) 22:21:43
>>691
「小林さんを探すお手伝いですか?
 …できるかぎりやってみますね。私も心配ですし。」
朝山から持ちかけられたその要望に軽く微笑みかける笑美。

「その、改めてお土産ありがとうございますね。」
と言ってお饅頭を手に取った。

>>692
(わかってます。あのときのことは秘密ですね。)
小石川の視線を確認した笑美は軽く頷いた。
以前小林のことを探っていたときのことを話すわけには行かないだろう。
とはいえ心配なのは本心だ。

「涙音も、喜んで参加してくれると思いますよ。
 もしかしたら由楽までついてくるかもしれませんけど。
 あの子、カラスのお姉さんがお気に入りらしいですから。」
少し笑いながら答える。
かつてのお泊りのようにまた騒がしくしそうである。

「思えば…夏の魔物の件で色々ありましたね。一抹さん。」
小石川が頑張っていたことを思い出した。
とても忙しかったなあと懐かしむように考える。

「一抹さんとは…はい、連絡先は受け取ってますよ。
 以前あったことがありまして…」
そう言ってから思い出したように声を出す

「あぁ、そう言えば一抹さんには小石川さんの連絡先も教えてました。
 お礼をしたいって言ってましたよ。」

694朝山『ザ・ハイヤー』:2024/06/09(日) 10:50:25
>>692-693

>だから、今日でなくても……いつか打ち明けてくれますか?

「うん・・・大した事じゃないんっスよ。本当に」

 「ただ、新しく出来た友達に。お手伝いして上げる約束だったんスけど。
……色々事情があって、約束を駄目にしちゃったから……。
 ちょっと落ち込んでるだけっス。また、直ぐに元気になるっス」

 木崎や、魔法使い試験については。詳しく話す事は出来ない。
それは重々承知してるので、そう曖昧にしか伝えられないが
折角の好意を無碍にする事は朝山には出来なかったので、そう
ぼかしつつ伝えたのだった。

「いちまっつんの連絡先なら、私も知ってるっスよ。
 今すぐにでも連絡先渡しておくっス。
小林先輩と、いちまっつん。早く会えると良いっスね」

695小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/06/09(日) 20:34:18
>>693(笑美)

  「私も、また由楽さんにお会いしたいです……。
   『そう言っていた』と伝えておいて下さい」

スタンド使いではない由楽は、『サロンの会員』としては扱えないが、
大切な友人の一人である事は変わりない。

  「『撫子』は……見せると驚かせてしまうでしょうか。
   由楽さんは笑美さんと涙音さんの『特技』を知っていますか?」

朝山の足元にいる帽子猫を見下ろす。
撫子は実体化したスタンド生物であり、一般人にも見えるし触れる。
由楽に『スタンドの知識』を身に付けさせるなら、見せてもいいかもしれない。

  「……笑美さんも一抹さんとお知り合いだったのですね。
   私の連絡先をご存知なら、話をするには丁度いいかもしれません」

>>694(朝山)

  「――そうでしたか……お友達と……」

朝山の気持ちを察して、それ以上は無理に触れない。

  「私と朝山さんも、まだまだお互いに知らない部分がありますね。
   これから一緒に理解していきましょう。
   その為の『サロン』なのですから……」

交流を深める事で互いを理解する。
それが『サロン』の理念。
少なくとも、今ここで朝山の新しい面を知る事が出来たのなら、
決して無駄にはならない。

  「……『一抹さんの連絡先』も受け取っておきます」

>>693-694(両者)

  「――ありがとうございます。一抹さんとは後ほどお話してみます」

一抹の連絡先を受け取り、お茶の入ったカップを持ち上げる。
彼は、二人の『共通の友人』らしい。
笑美と朝山の事は信頼しているので、もし二人が推薦するなら、
『保証』は十分に確保できるだろう。

  「もしかすると、彼も『サロン』に招待するかもしれません。
   お二人の知る範囲で、一抹さんはどのような方ですか?
   どんな事でも構いませんから、主観的な印象を聞かせて下さい」

696朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2024/06/09(日) 21:45:39
>>694-695
「朝山さん。
 困ったことがあれば相談に乗りますよ。いつでも。」
笑美も気になっていたようだ。
朝山の告げた話を聞いて、相談にならいつでも乗れると伝えたくなったようだ。


「分かりました。それを聞けばきっと由楽も喜びますよ。
 色んな人に会えたら由楽も楽しめるかもしれませんね。」
由楽はサロンの会員とはなれないが、ここにはいつでも来たいだろう。

「いえ…そういうことは伝えてませんけどね…
 でもちょっと興味深そうに見てくることはありますね。」
由楽はスタンド使いではないので、スタンドは見えないだろう。
だがもしかしたら感づいていたりするのだろうか…

「でも、猫ちゃんも大好きですからね。『撫子』ちゃんを見たら
 とっても喜ぶと思いますよ。
 それに…結構魔法とかが好きな子ですから、むしろ気にいるんじゃないでしょうか。」
そう言って微笑んだ。
由楽は意外と度胸も座っているのかもしれない。

「ええ、あったのはまだ少しだけですけど。
 …一抹さんはどんな人かですか?」
小石川の質問に少し考えてから答える。

「…なんだかとても危なげな雰囲気でしたね。
 例の夏の魔物の一件をずっと気にしているような…
 もっと強くなりたいと、思い詰めているように見えましたね。」
湖畔であった時の一抹を思い浮かべた。
あの時の彼は、もっと強くなりたいと言う思いを強く感じていた。
助けられてばかりであるのを気にしていたように思えたのである。

697朝山『ザ・ハイヤー』:2024/06/10(月) 21:53:18
>>695-696

>お二人の知る範囲で、一抹さんはどのような方ですか?

「いちまっつんスか……」

アダージョ達との共闘、焼き肉、そして最近での公園。

何気に思い返すと、あんまり個人でいちまっつんと遊んだり
話しをしたりなどが自分、そんなに無いなと小さな衝撃もあったが
うんうん考えた後に、自分の精一杯の語彙を集めて、呟く。

 「音痴仲間っスね。あと、たまに毒舌をよく吐くっス。
それと、私と一緒で焼き肉も大好きっス」

 「いちまっつんの、その危うげ……って所は、あんまり自分は
よく分からないっスけど。小林先輩を凄く心配してたのは知ってるっス。
 心配事が多いと、きっとご飯もあんまり美味しく食べれないから
早く会えるように、私もお手伝いしたいっスね」

698小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/06/10(月) 23:13:02
>>696(笑美)

  「確かに……由楽さんは、とてもしっかりした子でした。
   それでは、いつか撫子をお見せしましょう」

以前、この家で朱鷺宮姉妹を預かった時、
由楽は姉の涙音よりも堂々としているように見えた。
その事を思い出すと、笑美の意見にも納得できる。
何より母親の言葉なのだから、おそらく大丈夫なのだろう。

  「――『思いつめていた』……ですか」

きっと、周りに迷惑を掛けてしまったと感じているのだろう。
彼の立場を考えれば、それも無理からぬ事だ。
押し潰されそうな気持ちは良く分かる。
他でもない小石川自身も、意図せずに傷付けてしまった多くの人達と、
救おうとしながら救えなかった魂に対し、
『償いをしたい』という思いを抱く部分があった。
一抹と小石川は何処か似ているのかもしれない。

  「さっき笑美さんが『心のケアも可能』と言われましたが、
   ここで『他のスタンド使い』の方々と話す事は、
   一抹さんの助けになれるかもしれませんね……」

>>697(朝山)

  「……人には色々な面があるものです。
   一抹さんにも、朝山さんの知らない部分があるのでしょう。
   そうした事を理解し合うのも『サロン』の目的ですよ」

おそらくは、小石川も朝山も笑美も、
それぞれ『人の知らない部分』を持っているのだろう。

  「きっと一抹さんは……朝山さんと一緒にいる時には、
   『パワフル』に過ごせているのだと思います。
   私も朝山さんが元気だと嬉しく思いますから……」

年が近いからという理由もあるかもしれないが、
普段は元気な朝山の姿が一抹に良い影響を与えているのであれば、
それは好ましい事と言える。

  「今日、今まで知らなかった朝山さんの一面を知る事が出来ました。
   次に会う時は、私の事もお話しますね……」

>>696-697(両者)

  「お二人のお陰で、一抹さんの事が少し分かってきました。
   あとは、私の方からお話してみようと思います」

ひとまず次は、一抹に『サロン』の案内をする事にしよう。
その際は、同じ場に空井を招く事も考える。
『あの事件』に関わった者同士、話したい事があるかもしれない。

  「……私からは『以上』です。
   次に来て頂く時までには、正式に『サロン』の準備を整えておきます。
   お二人は『正会員』ですので、私が不在の時に『会員』の方が来た場合、
   代わりに『応対』をお願いするかもしれません」

そこまで言うと、笑美と朝山の顔を交互に見つめ、穏やかな微笑を浮かべる。

  「お二人のお陰で、私は立ち上がれます……。
   どうか、これからも私に力を貸して下さい」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「本当に誰かに寄り添いたいなら、
 まずはそいつらの抱えてる、
 醜悪な『負の感情』から目を背けるのをやめろ……」

空井イエリから伝えられた言葉を聞いた時、心の奥が軋むように感じ、
無意識に自らの胸元に手を添えていた。

  「――……確かにお聞きしました」

正確に言えば、小石川文子は『悪い面から目を背けていた』のではなく、
『良い面に目を向けていた』のだ。
それが結果的に『悪い部分から目を逸らす』という形になっていたのかもしれない。
しかし、『どう受け取られるか』は『相手次第』。

  「その『醜悪さ』を『どう受け取るか』は『私次第』です」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

追い求めた『理想』が『現実』によって打ち砕かれても、
小石川文子は『理想』を捨てない。
心が折れても再び立ち上がれるのは、
かけがえのない『友人達』がいてくれるからだ。
かつて『魔物』を討つ為に味方を集め、その味方によって激しく糾弾されても、
ずっと味方であり続けてくれる友人がいる。
小石川文子は『一人ではない』。
だから、何度でも立ち上がれる。

699朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2024/06/10(月) 23:58:50
>>697-698
「…知り合いとまでは行きませんけど
 こうしてみると、一抹さんはいろいろな一面があるんですね。」
朝山の言葉を聞いて、少しほほえみながら答える。

「ありがとうございます。
 由楽から撫子を見た時の感想を聞いてみたいものですね。」
小石川の言葉に嬉しそうにかえした。
どんな反応をするか、少し想像ができたかもしれない。

「私が見た限りだと…
 色々と大変なことがあったことが分かります。
 きっと小石川さんと話すことで、少しは一抹さんの気持ちも
 軽くなると思います。もちろん、他のスタンド使いの方々とのお話も。」

夏の魔物の一件は思った以上の影響がある。
心に深い傷を残したものもいれば、姿を消してしまったものもいる。
サロンはそういう人のために必要かもしれない。

「改めて、サロンの設立に賛成します。
 …私も時々顔を出しますので、そのときには応対できると思います。
 これからのサロンの運営、できる限り力を貸させていただきますね。」
と言って頷いた。

「できる限りのことをしましょう。
 ここで人同士のつながりができれば、大きな事が起こってもきっと大丈夫ですよ!」
笑美は力強く声をかけた。
これからサロンが大きな助けになることを期待しているのだろう。

700朝山『ザ・ハイヤー』:2024/06/13(木) 11:50:24
>>698-699(レス遅れ失礼しました)

 >きっと一抹さんは……朝山さんと一緒にいる時には、
   『パワフル』に過ごせているのだと思います

「……『パワフル』に……そうっスか」

     ――ニコ

「うんっ……なら、ちょっと元気を取り戻すっス!
 ときみーママに負けないっス! サロンを、この家いーーーっぱい
埋めつくすぐらいに沢山人を集めるっスよ!」


 小石川の言葉に、少しだけ朝山も元気を取り戻したようだ。
普段と同じ、よりは少し小さいが、それでも元気な声量で
ガッツポーズと共に、サロンの活動を宣誓する。

 (木崎君、約束守れなくて御免ねっス)

(けど、いつか木崎君が、また笑顔で、こっちでも
お茶出来るように、私、頑張るっスよ)

 そう、まるで遠い空に木崎の面影があるかのように(※しんでない)
彼方を強く見つめつつ、瞳に炎を燃やすのだった。

701小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2024/06/13(木) 21:15:16
>>699(笑美)

思い返すのは、初めて笑美と出会った幼少期。
お互いに大人になり、それぞれの道を歩んだ後に再会し、今も交流が続いている。
その経験が『人と人の交流』の大切さを改めて教えてくれた。

  「『お茶』と『お菓子』は、常に用意しておきます。
   それを出して頂ければ問題ありません。
   『持ち込み』も歓迎しています」

朝山が持参してきた『饅頭』に視線を向ける。

  「『未来の災い』に備える為に、私は力を尽くします。
   それが私に出来る『私の戦い』だと思っています」

数十年前、一緒に遊んでくれた『お姉ちゃん』。
いつの間にか背が伸びて、身長は追い越してしまった。
その事実が過ぎ去った年月を物語っている。

  「一緒に『サロン』を作り上げていきましょう」

それでも『鵲笑美』――『朱鷺宮笑美』が、
小石川文子にとって頼りになる存在である事には変わりない。

>>700(朝山)

少しだけ元気を取り戻した様子を見て、静かな微笑を返す。
彼女の事情は知らないが、誰でも落ち込む事はある。
そんな時、倒れてしまわないように支えられる力になりたい。

  「朝山さんが元気でいてくれると、私も元気になれます……」

そして、そんな姿は『小石川文子の心』も支えてくれる。

  「『私の戦い』に、朝山さんの力を貸して下さい」

複数の人間がいれば、一人では達成できない事も可能になる。
『魔物事件』では『質より量』を重視していたが、『サロン』の目的は逆だ。
朝山を呼んだのも、彼女を信頼に寄せているからこそ――――。

>>699-700(両者)

  「――では……お二人とも、よろしくお願い致します」

ソファーから立ち上がり、姿勢を正して頭を下げた。
そして、笑美と朝山を玄関まで見送るだろう。
『スタンド使いの社交場』である『サロン』は、ここから始まる。

702美作くるみ『プラン9・チャンネル7』&キリシマ・アキト『候補生』:2024/06/13(木) 21:31:06

『H市』から『T名高速』に乗り、およそ二時間のドライブを経て『M市』に到着した。

         ――――――バタン

愛車の『ランドクルーザー』から降りて、駐車場を歩き出す。
目的地は『紫陽花園』。
先日、リスナーの一人である『ミルク綿菓子』に、
『オススメスポット』として紹介された場所だ。

「そういえば聞き忘れてたけど、キリシマ君は『高所恐怖症』じゃなかったわよね?」

「フッ……オレは『パル研』の『発起人』にして『会長』……。
 上り詰める事を恐れていては『パルクール』は出来ないさ……」

今日は『パートナー』であるキリシマ・アキトも助手席に乗せてきた。
まもなく、二人の前に『大吊橋』が姿を現す。
『400m』の長さと『70m』の高さを誇る『日本最長』の『歩行者専用吊り橋』だ。
天候に恵まれたお陰で『日本一の山』を望む事も出来る。
二つの『日本一』を同時に楽しめるのは贅沢な気分だった。

「スゴい眺め!雄大な自然と大パノラマ!これぞ『絶景』って感じ!」

「あぁ……『メフィスト』が棲む『月の都』を上回る見事な眺望だな……。
 いつの日か、こんな『映える舞台』で立ち回りたいものだ」

「それは――止めておいた方がいいと思うけど……。
 さて、忘れない内に『写真』を撮っておかないとね」

        パシャッ

都会から離れた開放的な空間を堪能し、『SNS』に使う写真を撮影しながら、
二人は『紫陽花園』に向かって歩みを進める。

「本当にキレイな所ねぇ。
 どっちを向いても見渡す限り『紫陽花天国』。
 まるで別の世界に迷い込んだみたい」

彼らを待っていたのは、『205種』にも及ぶ『紫陽花尽くし』の世界だった。
美作が特に注目するのは、ここでしか見られない『オリジナル品種』だ。
雪のような白と仄かな水色が印象的な『スカイウォーク』。
薄紫色の可愛らしい『夏空』。
そして、淡いブルーが清涼感を漂わせる『覇王』。

「近くに『強者の気配』を感じるが……あれが『そう』じゃあないか?」

「『覇王』って書いてあるから間違いないわね。
 『覇王線』の持ち主が育てたから、そういう名前が付いたらしいわ」

「フ……『ミルク綿菓子』か……。それならオレも『聴いている』」

『覇王線』は『成功者の相』。
是非あやかりたいところだ。
それは『魔法使い試験』に限らない。

「『覇王』と一緒に私を撮ってくれる?あとでキリシマ君も撮ってあげるから」

「『盟約』において『取引』に応じよう……。『支配者の名を持つ花』よ……!
 このキリシマ・アキトに力を授けてもらうぞ……!!」

           パシャッ

『紫陽花見物』を満喫した二人は、続いて『ショップ』に向かった。
ボリューム満点のホットドッグと分厚いサンドイッチをテイクアウトし、
爽やかな初夏の空気に包まれながら、心地良いウッドテラスに座って味わう。
眼前には吊り橋が見えており、景色と食事を同時に楽しむ事が出来る。

                パシャッ

デザートは、ここでしか食べられない『空色』のソフトクリーム。
ロケーションに因んで『そらソフト』と名付けられているらしい。
店先に等身大のオブジェが設置されており、そこで撮影する人が多く見受けられた。

「――――それで『願い事』は何にするの?」

帰り際、『フラワードロップ』を手にして、美作がキリシマに問い掛ける。
間伐材に『花の種』を貼り付けた木製チャーム。
これに願いを込めて橋の上から蒔く事が、ここを訪れた観光客の恒例になっているそうだ。

「『契約成就』と言いたいところだが、この大自然から力を得た今のオレは、
 より『高み』を目指して『使命の全う』だ……!」

「じゃあ、私は……『この大空に向かって羽ばたけるように』」

         パ ッ

                パ ッ

次の瞬間、二つのチャームが同じタイミングで夕暮れの空に放たれた。

「帰りは下道を使いましょうか。行きと違った景色を見るのもオツなものよ」

二人の間に初夏の風が吹く。
地面に落ちた『種』は芽吹き、いつか『花』が咲くだろう。
彼らは橋の上に佇み、自らが描き出す『未来』に思いを馳せる。


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