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【場】『 大通り ―星見街道― 』 その3

810乙街 澄『プロリフィック』:2025/04/29(火) 02:51:42
>>809

本体に手帳を渡すと、役目を終えた『妖精』たちは解除された。
鉛筆の文字を消すかのように、虚空に掠れて消えていく。
それを待たずに、乙街は再びペンを走らせ始めた。

「……私は、『神経衰弱』のほうが得意ですかね……エヘヘ……」

     チラッ

「エヘヘ…………」 チラッ

『じゃあノらなきゃいいのに』レベルで恐る恐るアリスをチラ見しつつ、
スキップに遅れをとらないように、少し早足で歩き出す。

「……本当ですね。キッチンカーが……。
 それに、あれは……ヨーグルトとブルーベリー……ですか?」

驚愕した様子で、『ドクター・アリス』を凝視する。
目覚めて間もないとはいえど、さすがに何かを察したらしかった。

「……話題は、まだまだありそうですが……。
 まずは、クレープですね。いちごとピスタチオ、でよろしいですか?
 私は……ううん。……少し、悩む時間を下さいますか」

キッチンカーの前に立つと、一通りメニューを眺め回す。

「すみません……注文、よろしいでしょうか。
 この、『ストロベリーアンドピスタチオ』をひとつと……」

しばし、逡巡したあと。

「…………いえ……やっぱり、『ふたつ』。お願いいたします」

その後、2人は一緒にクレープを食べたり、歓談したりしたのだろう。
どんな話をしたのか。いつまで続いたのか。別れの言葉はなんだったのか。
しかし、語られない時間というものは、あってもいいと思うのだ。


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