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【場】『 大通り ―星見街道― 』 その3
1
:
名無しは星を見ていたい
:2022/10/03(月) 20:25:40
星見駅を南北に貫く大街道。
北部街道沿いにはデパートやショッピングセンターが立ち並び、
横道に伸びる『商店街』には昔ながらの温かみを感じられる。
---------------------------------------------------------------------------
ミ三ミz、
┌──┐ ミ三ミz、 【鵺鳴川】
│ │ ┌─┐ ミ三ミz、 ││
│ │ ┌──┘┌┘ ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
└┐┌┘┌─┘ ┌┘ 《 ││
┌───┘└┐│ ┌┘ 》 ☆ ││
└──┐ └┘ ┌─┘┌┐ 十 《 ││
│ ┌┘┌─┘│ 》 ┌┘│
┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘ 【H城】 .///《//// │┌┘
└─┐ │┌┘│ △ 【商店街】 |│
━━━━┓└┐ └┘┌┘ ////《///.┏━━┿┿━━┓
┗┓└┐┌──┘ ┏━━━━━━━【星見駅】┛ ││ ┗
┗━┿┿━━━━━┛ .: : : :.》.: : :. ┌┘│
[_ _] 【歓楽街】 │┌┘
───────┘└─────┐ .: : : :.》.: :.: ││
└───┐◇ .《. ││
【遠州灘】 └───┐ .》 ││ ┌
└────┐││┌──┘
└┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
---------------------------------------------------------------------------
前スレ:
【場】『 大通り ―星見街道― 』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647631/
【場】『 大通り ―星見街道― 』 その2
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1586906856/
2
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/14(金) 20:52:11
某日、商店街。
「……」
ぷかぷかとタバコを吸う。
今どき、それはマナー的にどうなんだと思わないでもないが、子供が通ると煙を吐いたりするのを辞めたりしているので、一応気を使っているらしい。
そもそも、商店街内でタバコを吸うのがアリかナシかという話もあるが。
「こりゃ、ドヤされるな……」
キャンプで使うような椅子に座り、客を待っている。
看板替わりのダンボールに紙を張りつけたそれには『刃物 研ぎます』と書かれていた。
「……あー」
3
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/16(日) 05:14:13
>>2
客を待つ桜庭の前を、
白いスーツを着た年嵩の女が通りかかる。
口元にホクロがあり、桜庭と同じように煙草を銜えていた。
片手には扇子を持ち、
『白百合』を象ったイヤリングを身に着けている。
ジッ
不意に足を止めると、
『刃物研ぎます』と書かれたダンボールを見やる。
4
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/16(日) 09:46:47
>>3
「ん?」
「どーもどーもいい日和で」
ポケット灰皿に煙草をねじ込んだ。
一応、客の前という意識はあるらしい。
「刃物、研ぎますよ」
適当な物言いだった。
5
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/16(日) 13:11:16
>>4
「あぁ、こんにちは。いつもここで商いをしてるのかい?」
――――――パチン
扇子を僅かに開いて閉じると、小気味良い音が軽く響く。
個人的に見回っている最中に、
あまり見かけない看板が視界に入った。
それで覗いてみる気になったのだ。
「ウチにも切れ味が悪くなった包丁があるんだよ。
今度、持ってこようと思ってね」
「ちょいと聞きたいんだけど、
どの程度までやってもらえるのかねぇ。
『新品同様』になるとか『新品以上』になるとかさ」
会話をしながら桜庭の周囲を観察し、
それとなく道具の類を目で探す。
6
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/16(日) 15:23:06
>>5
「今日はここってだけですよォ」
「スーパーの前でやることもあるし。まぁ店の前ならどこでも」
特に場所は決まってないらしい。
「お客さんの使い方による」
「雑に使ってたら新品並ってところかな」
「そもそも、その包丁がどんだけのもんかってのもありますけどね」
ダンボールの看板の裏に砥石やらそれ用の道具が置かれ、他にも包丁やハサミが置いてあった。
7
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/16(日) 15:57:15
>>6
「ははぁ、色んな場所で商売してるんだねぇ」
(道理で見かけてなかった訳だ)
答えと共に、心の中で一つの納得を得る。
「出刃包丁なんだけどね。
まぁ、どうって事のない並の品さ」
「外見は大して変わってないように見えるんだけど、
どうもアタシの扱い方がガサツだったせいか、
何だか魚の骨が切りづらくなっちまったんだよ」
ここに立ち寄った理由は、もう一つあった。
「そういうのを持ち込んだとしたら、
一本いくらくらいで研ぎ直してもらえるんだい?」
『流星刀』を追っている事が原因で、
刃物に対して敏感になっていたのだ。
8
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/16(日) 18:30:10
>>7
「今この場でって話なら、1500円くらいですかね。手早く、出来る範囲で」
「ただうちで預かって研ぐなら2000円。ものによっては3000円だけど、まぁ家で使う包丁ならそれくらい」
「状態がそんなに悪くないなら1000円くらいでも……」
どのみち、道具を見ない限りは、と言葉にする。
「普段家で料理に使う分なら結構使いますかね」
9
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/17(月) 02:49:09
>>8
「毎日って程じゃあないけど、結構よく使う方だと思うよ。
魚を捌いたりするからね
なかなか年季が入った代物だから、そのせいもあるか」
その時、百目鬼の背後から近付く人影があった。
小学生くらいの子供だ。
性別は判然とせず、少年にも少女にも見える。
「おっと――お客さんが来たみたいだ。
邪魔にならないように退いておくとするよ」
スッ
百目鬼が桜庭の前から離れると、
入れ替わりに子供が歩み出た。
「あの……すみません。
これを研いで欲しいのですけれど――」
「……切れにくくなってしまったもので」
鞄から取り出されたのはハサミだった。
いわゆる文房具としてのそれで、
さほど酷い状態には見えない。
この手のハサミは、わざと切れ味を鈍くしてある品もあるが、
見た目に使用感があるため、
ハサミの作りが理由で持ち込んできたのではないだろう。
10
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/17(月) 13:23:29
>>9
「んー……」
ハサミを受け取り、刃を見る。
「これは普段、なに切ってる?」
「工作の厚紙? それとも普通のぺら紙か、布か」
「それと、時間かかるけどいい?」
言葉を吐いている間も、刃を見ている。
何事も、己の目で見たものしか確かでは無い。
「この仕事してて言うことでもないけどな」
「買い換えた方が安く上がるかもしれないけどいいか?」
11
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/17(月) 23:02:13
>>10
百目鬼は少し離れたところに立ち、
二人のやり取りを見つめている。
「昔から家にあるハサミです。
だから、色んなものを切っていると思います」
「今は厚紙や普通の紙を切る事が大抵です」
「買い換えた方が安いかもしれませんけど、
壊れるまでは使ってあげたいんです」
「時間も大丈夫です」
刃だけを見る桜庭に向けて、子供は小さく頷いた。
実際、買い換えた方が安そうではある。
当人も分かっていて持ち込んできたようだ。
「…………ダメでしょうか」
最後に、呟くようにポツリと一言だけ付け加えた。
12
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/17(月) 23:06:46
>>11
「別にいいが……」
「ひとまず一、二時間後においで。早ければそれくらいには終わるから」
「あー。取りに来る時に……五百円持ってくるように」
それだけ言って、持ってきていたらしい桶に水を注ぎ、砥石を入れる。
「とりあえず、これは研いでおく」
13
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/17(月) 23:21:13
>>12
「ありがとうございます。それでは二時間後に戻ってきます」
ペコリ
「――よろしくお願いします」
丁寧なお辞儀をして、その子供は歩いていく。
入れ替わるように、再び百目鬼が桜庭の前に立った。
子供の背中を一瞥し、それから桜庭の手元を眺める。
「仕事振りを見させてもらってもいいかい?
一応、アタシも客の候補ではあるからね」
「どんなものか知っておきたいんだよ」
(刀だって何遍も斬ってりゃ切れ味も鈍るだろうが、
果たして『流星刀』はどうなのかねぇ)
頭の中で考えているのは、包丁ではなく刀の事だった。
14
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/17(月) 23:45:17
>>13
「……」
百目鬼の提案に顔を上げる。
「挑戦的だねぇ。品定めしようってんだ」
そうは言うものの、不快感などは顔にない。
そういう性格なのだろう。
「最初に言っとくが、私の本業ってのは刀鍛冶だ。研ぎもやるから修行がてらこういうこともするだけだ」
工具を取りだし、器用にハサミを分解していく。
パーツを分けて、分かりやすいように広げた新聞紙の上に。
「ひとまず、砥石は水に馴染ませておく」
それから、布を出して。
「液状研磨剤で濡らした布でサビを取る」
「研ぐのはそれから。ただし、ハサミの刃だけだ」
「裏面だとか、段差になってる刃の部分以外は研がない」
濡らした砥石の上を、ハサミが滑る。
その時ばかりは黙り込み、目の前のものに集中している。
研磨し、磨き上げる。
それが一通り済んだら、またパーツを組み合わせる。
「これなら前の噛み合せよりもいいだろ」
15
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/18(火) 00:07:11
>>14
「なぁに、ちょいと興味があるだけさ」
軽く笑って答えたものの、桜庭の言葉は間違っていない。
「――――なるほどねぇ」
途中までは相槌を打っていたが、桜庭が黙り込んでからは、
同じように口を閉ざして作業を観察していた。
「よく見させてもらえたよ。
もっとも、アタシは素人だから、
大した感想を言える立場じゃないけどね。
だけど、仕事に対する向き合い方が真摯な事は分かる」
仕上がったハサミを眺めながら、さらに言葉を続ける。
「ついでに聞きたいんだけど、
今でも本物の刀を作ったり研いだりする事はあるのかい?」
特に興味を引いたのは『刀鍛冶』という点だ。
16
:
<削除>
:<削除>
<削除>
17
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/18(火) 00:21:36
>>16
>>15
「そりゃあどうも」
照れることもない。
仕事に真摯なのは当然のことだ。
自分たちがすることの意味と、繋げてきたものの意味を考えれば。
「……」
そして、投げられた質問。
その言葉にすぐには答えなかった。
ただ、目の前の相手の目をじいっと見つめている。
それこそ、品定めをするように。
「あぁ」
「それが仕事だ。きょうび、それそのものを打てってやつは少ないがな」
「だけど、変な話をするなあんた」
「刀を使うやつなんてのは、刀を欲しがるやつより少ない。現代では」
「なんで刀を作るってだけ聞かないんだ」
「なんでわざわざ研ぐってことを別のこととして口にした?」
18
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/18(火) 00:49:32
>>17
「いやぁ、参った。そこを突かれるとは思わなかったよ」
百目鬼の表情は、至って自然なものだった。
だが、その目の奥には、一種の真剣さが垣間見える。
桜庭には、それを読み取る事が出来たかもしれない。
「つい慎重になるのが体に染み付いた癖でね。
気に障ったんなら謝るよ」
知りたかったのは、刀を研ぐ方で作る方ではない。
刀を作る話を一緒に出したのは、
意識を逸らすカモフラージュに過ぎなかった。
質問を投げ掛ける際には、よく使う手だ。
「アンタの言う通り、おかしな質問だ。
だけど、世の中にはおかしなヤツがいるもんでね。
アタシの事じゃあないよ」
「この町で刀を使ってる人間がいるって話を聞いたのさ。
本来の使い方で、だ」
フゥゥゥゥ――――…………
言葉と共に、一筋の煙を吐き出した。
19
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/18(火) 00:56:18
>>18
「知らん」
一刀両断。
百目鬼が万の言葉をここで使ったとしても、こうとしか答えないのだろう。
「少なくとも私がこの街に戻ってきたのは最近だ」
「うちのジジイに聞いてみないとだが、私はそんなやつ聞いたことがない」
嘘を言ってる、という風には見えない。
ここで誤魔化す理由もない。
「あんた、見た目通りなら現役引退って歳だろ」
「前職が警察かヤクザか探偵か知らないが、私は白だと言っとくぜ」
20
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/18(火) 01:44:56
>>19
「アンタが黒だなんて思ってやしなかったけど、
それを聞いて安心したよ」
「ただ、実のところアタシが気になってるのは、
今の時点で知ってるかどうかよりも、
これから知る機会があるかどうかって話でね」
扇子を片手で開き、立ち昇る紫煙を扇いで払う。
生地には白百合の図柄が描かれている。
イヤリングと同じ意匠だ。
「ずっと使ってれば、切れ味も鈍ってくるのが自然だ。
『刀を研いでくれ』って言って、
アンタに持ち込んでくるヤツが出る可能性がある」
「刀を作る仕事より、研ぐ仕事の方が少ないそうだね。
だったら間違える事もない」
盗品を捌くには相応の店に持ち込む必要があり、
そのために警察は故買屋に網を張って待ち構える。
方法としては、それに近いと言えるだろう。
この町の中で刀を扱う仕事など、そうそうあるものではない。
「今後そういうヤツが現れたら教えて欲しいんだよ。
もちろんアタシに権利がある訳じゃないし、
アンタに義務がある訳でもない。
だから、お願いする事しか出来ないけどねぇ」
スッ
扇子を閉じると、懐から名刺を取り出し、
ダンボールで作られた看板の近くに置いた。
21
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/18(火) 08:59:33
>>20
「考えといてやるよ」
「これでも忙しいんだ」
そう言って、煙草に火をつける。
面倒事に巻き込まれるのはごめんだ。
22
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2022/10/18(火) 13:50:41
>>21
名刺には『大門総合警備保障:百目鬼小百合』とある。
「そうしてくれると大助かりだ」
(ま、こんなもんだろうねぇ)
言葉を掛けた丁度その時、
先程の子供が歩いてくるのが見えた。
まだ一時間しか経っていない。
早めに戻ってきたというところだろう。
「お客さんが帰ってきたみたいだし、
そろそろアタシは退散するよ。
次に見かけた時は包丁を研いでもらいたいねえ」
ザッ ザッ ザッ
そう言い残し、桜庭の前から立ち去っていく。
「あの、さっきのハサミを引き取りに来たんですけれど……」
子供が右手を差し出す。
そこにはピカピカ光る500円玉が乗っていた。
ハサミを受け取れば、子供も帰っていくだろう。
23
:
桜庭『アイアン・シャープネス・アイアン』
:2022/10/18(火) 20:52:45
>>22
「次会える時があるといいな」
そうとだけ言って、視線は子供へ。
「終わったところだ。持っていけ」
刃のところを新聞紙で巻いて手渡した。
(まったく、面倒事があるならここにゃあ戻ってこなかったぜ)
24
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/26(水) 18:08:08
「…………」
大通りの隅に猫を抱きかかえて子供が寝転がっていた。
金髪碧眼という事もあり、そこだけパッと見、
外国のストリートチルドレンみたいな雰囲気になっているが、
薄汚れているのは道端でゴロゴロしてるからだ。
いやでも、家はあるけど勝手に住んでるだけだし似たようなものか?
食い物には困らないが、レパートリーは少ないので、栄養状態は偏ってるかもしれない。
25
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/26(水) 20:48:55
>>24
「うわー、何きみ。ホームレスって奴?
あははぁ、小さい子は珍しいよねぇ。どうやって生活してるんだい?」
灰色の髪にロイド眼鏡の女がずかずかと近づいてきて、
しゃがみ込んで声を掛けた。
声に憐憫の色はなく、物珍しそうにナイを観察している。
26
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/26(水) 21:10:06
>>25
「ん……なんじゃ?」
「ナーン」
空をポケーッっと眺めていた子供の視界を遮って、謎の女が出現する。
垂れていたよだれを拭うと、腕の動きで耳をまくられた猫が文句の鳴き声をあげた。
「ほーむ……れす。
知っておるぞ。家が無い奴の事じゃろ。失礼な。
家はあるぞ。わしのじゃなくて、死んだ爺の家じゃが……
ん? じゃあ無いのか? ……ん?」
「わしは……色々拾ったり、『交換』したりして生活しておる。
『交換』屋さんじゃ。
お前さんも何か『交換』するか?」
謎の女に対しても素直に答える。
まだちょっとボーっとしているのかもしれない。
27
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/26(水) 21:26:20
>>26
「ふーん。それじゃあ、
こんなところでごろごろとしない方が良いんじゃあないの?
何か目的があるのかい? きみ」
なんとはなしに猫へと手を伸ばす。
「ふうん……ふんふん、面白そうな話じゃあないか。
交換屋さん……そうだなあ、それじゃあ、これとかどうだい」
鞄から、持ち歩くには少し大きな本を取り出してナイへと差し出す。
「私は読んだから、もう不要なんだ。
何と交換してくれるんだい?
見たところ、あまり色々と持っている感じはしないけれど」
表紙には『ラッコちゃん』と書いてある。
絵本のようだ。
28
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/26(水) 23:55:07
>>27
「普段は真面目に『交換』屋さんしておる。
じゃが、こういう気分の時だって……ある」
「フナガッ」
猫へ手を伸ばすと、その手を両前足で挟み込み、さらに齧りついてきた。
もちろんじゃれている程度の甘噛みだが、歯が尖っているので軽く刺さる。
「本、か?
お店屋さんとしてはお客さんが欲しいものを選ぶべきじゃろうが……
最近はわしの『交換品』も増えてきたしの。並べるわけにもいかんし。
お客さんが欲しそうなものを考えるのも必要、ということか……」
「よっこらせ」
子供は、猫を手放す(猫は後ろ足もカリヤの腕に絡ませて完全に食いついた)と、
あおむけからうつ伏せになる。
すると背中の大きなリュックがあらわになった。
大きいが、それほどものは入っていないらしく、寝転がるのに邪魔にはなっていなかったらしい。
「うーむ、これとかどうじゃ。
こういうのが好きそうな眼鏡をしておるじゃろ!
ほんものは持っておらんので菓子で悪いが……」
取り出したのはタバコ……型お菓子。ココア〇ガレットだ。
「フスッフス」 カジ
カジ
29
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/27(木) 18:43:06
>>28
「ギャーッ!噛んだ!
ム、しかし、あまり痛くないな……」
猫にじゃれつかれて悲鳴を上げる。
「真面目に交換屋さんって……なんか、あまり聞かないワードだねぇ。
何これ、駄菓子?
……まあそうだよねぇ。こんなもんだよねぇ……」
露骨に消沈した様子を見せながらも、シガレット型のお菓子は受け取り、口に咥えた。
そして勢い良く噛み砕く。
「結構美味しいね。
きみ、他に何を持ってるんだい?
その『リュック』、ちょっと見せてみなよ。
ね、悪いようにはしないからさぁ〜」
片手に猫を装着したまま、
もう片腕でごそごそと背中のリュックを漁ろうとする。
30
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/27(木) 19:48:43
>>29
「不満ならしなくてもいいが……受け取ったという事は『交換』成立ということじゃな?」
噛み砕いておきながら了承していないとか、なんてヤロウだ。という話だが、
さすがにそんなわけがあるまい。
「や、やめるんじゃ!
ひとのものを勝手に……!」
カリヤは片腕だが、子供はうつ伏せである。ガードしようとするが、手が届かない。
足も上がってきてエビぞりになるが、リュックを漁られてしまう。
new!『なんかのネジ』
new!『亀裂の入ったボールペン』
new!『えっちそうな雑誌』
31
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/27(木) 20:41:09
>>30
「ん? ああ、うん。
交換は成立だよ。ありがとう。
その本はきみのものだよ」
『ラッコちゃん』を改めてナイに渡す。
「ふんふん、ム……これは?
……あははぁ、ゴミばっかりだねぇ〜。
あ、でも『本』があるじゃあないか!
違った、『雑誌』かぁ。
こーいうのって、あんまり面白いってイメージはないけど」
勝手に期待しておいてラインナップを見て勝手に失望し、こき下ろした後、
おもむろに『えっちそうな雑誌』を手に取ってパラパラと捲る。
32
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/27(木) 21:01:42
>>31
如何にも道端に落ちていそうなものばかり。
実際、先ほど「色々拾ったり」と言っていたので、そうなのだろう。
「ふん、ゴミでもわしの手にかかれば……わぷ」
視界を絵本で塞がれた子供が、エビぞりからしおしおと地面に戻っていく。
カリヤは片手で……あるいは猫をくっつけたままもう片手も使い
(3〜5kgの重りがついているようなものだ)『えっちそうな雑誌』を捲る。
薄着だったり下着だったり裸だったりする女性の写真や、下世話な文章……
ポロリ
の中に紛れ込んでいたのは、『ムカデ』だ。
ポロリ。落ちていた雑誌にはこういうサプライズもある。
33
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/27(木) 21:22:22
>>32
「ふーん、ゴミとゴミを交換するのがきみの仕事かい?
こーいう本とか、ネジとかみたいな、
誰かにとってはゴミだけど、他の誰かにとっては有用……とかさぁ。
そういうこと?」
ナイの台詞を勝手に解釈して尋ねる。
猫を引っ付けた手はだらんと垂らして、器用に雑誌を捲っているようだ。
「うわー、やっぱり。写真ばっかりだよ。
男性の好奇を煽るような文章は、独自の構文があるよねぇ。
『物語』(ストーリィ)としては、情景描写と心情描写ばっかりでつまらないけど」
> ポロリ
「……ひゃっ!」
思わず雑誌を手放す。
34
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/27(木) 21:37:25
>>33
「そうとも言えるがそうでもないとも言える。
『わらしべ長者』とはそういうものじゃ。
まだまだ道半ばじゃが、結構色々良いものも揃ってきたんじゃぞ」
本当にゴミしかないというなら、駄菓子など出てこないだろう。
駄菓子が拾ったものである可能性もあるが……
もうカリヤは食ってしまったが、一応未開封ではあった。
「ナッ」
横を落下する雑誌を猫がパンチし、そのままカリヤの腕から離れる。
子供は絵本を顔からどけてはいたが、角度的によく見えなかったようだ。
地面に降りた猫は、ムカデをいじめはじめる。
「ナナッナッン」
35
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/28(金) 14:18:53
>>34
「『わらしべ長者』。知ってるよ、藁を持って歩いてたら、なんだかんだで長者になるって話。
昔話は『転』がすくないよねぇ。
『良いもの』?」
猫がムカデと戯れるのをげんなりした表情で見て、
興味をナイへと移す。
「きみ、この辺をうろうろして物を拾ったり交換したりしてるわけ?
なんか面白い話知らないかなぁ。
申し遅れたけど、私はカリヤという。
端的に言うと、面白い話が好きなんだ、私は。
そーいう奴なんだよ。
『物語』となら、なんでも交換してあげるよ」
胸に手を当てて、仰々しく自己紹介をした。
36
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/29(土) 00:14:46
>>35
「話か……『交換』屋さんじゃから色んな人とは会うがの。
物語と言われると、うーむ」
ごろりと再度仰向けになって、そのまま起き上がり、
軽くゴミを払って、首を傾げて、腕を組み、考える。
「そういえば最近、変なことがあったの。
急に動画が送られてきて……
前の夏にクリスマスやったの知っておるか?
わしもちょっと手伝ったが、
あれは『オバケ退治』じゃったんじゃが……」
「動画が言うには、死人が出ておったらしい。
えーと、コバヤシ? じゃったか。
オバケがやったわけじゃなくて、
なんかアリーナが悪いとかなんとか言っておったな」
夏のクリスマス自体は、関わっていなくても、
なんかやってたな、くらいに知っている者も多いだろう。
動画は……そもそもカリヤも見ているかもしれないので目新しい話ではないかもしれない。
ちょっと手伝った、との事なので、多少は深掘りできるかもしれないが。
37
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/29(土) 21:22:16
>>36
「んん、なんだいそれ……『夏』に『クリスマス』をやった?
あはぁ、面白い話だねぇ。
なんでそんなことしたんだい?」
ナイの横にしゃがみ込み、話を促す。
「まってまって、お化け退治……死人?
もーちょっとゆっくり、順番に話してよ」
ぎらぎらと目を輝かせ、ナイの両肩を掴んだ。
38
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/30(日) 11:01:39
>>37
「ん? 『夏のクリスマス』の事も知らんか?
結構有名にしたと思ったんじゃが……
それとも夏は街におらんかったか?」
『夏のクリスマス』は多数の人間を巻き込んだ活動だったので、スマホで調べれば、
ネット上にも、『夏のクリスマス』が行われたという情報くらいはあるかもしれない。
少なくとも完全に作り話ではなさそうだ。
だが記憶力の問題で情報が薄れたのか、理解力の問題で元々情報取得に難があったか、
子供の語る夏の記憶は、ところどころあやふやだった。
『夏のクリスマス』については語られたが、
その裏の、『お化け退治』『犠牲者』についてはあまりよく知らないらしい。
話に出てきた『小石川』と呼ばれる女性の家に集った参加者たちなら、
もっと詳しい話を知っているかもしれない。
カリヤの知る者も話には出てきたが……話に期待は出来なさそうだ。
ラッコと会話は出来ない。なんでも結構活躍したらしいが。
「それでサンタ……偽サンタ? に頼まれて、心臓を届けに行ったんじゃ」
最終的に子供の話は、クリスマスの一環でサンタをしていたスタンドと共に、
心臓病の親子に、心臓をプレゼントする話で終了した。
あんまり話の本筋には関係ない部分だが、
最初のうちはムニャムニャごまかしていた部分(このせいもあって、余計話が曖昧だった)が、
語り終える頃には、自分がスタンド使いで、一度『交換』したものを複製できるような能力という事までバレバレだった。
39
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/30(日) 19:14:04
>>38
「この街に来たのは最近だからねぇ。
そんな面白そうな物語があったとは知らなかったよ。
『スタンド使い』もだけど。
それにしても……あははぁ、い〜い話を聞いちゃったなぁ……ひひひ」
話の中で、ムニャムニャと誤魔化していたナイへと
痺れを切らしてスタンド使いである事を明かしたりした。
途中から地面に正座してナイの話を聞いて、全てが終わった今、放心状態で中空を眺めていた。
「しかし、『心臓』をあげるなんて、すごい『能力』だねぇ。
きみ……きみ、名前聞いたっけ?」
40
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/10/30(日) 23:36:29
>>39
「ンナナ」
猫がムカデを千切って遊んでいた路上に正座したカリヤ。
なにか虫の体液とかついてる可能性もあるが、気づかない方が幸せだろう。
素足だろうか……?
「はっ……しまった。
まあよいか。
わしが言ったのは秘密じゃぞ」
スタンド関連については一応隠しておくつもりはあったらしい。
バレたと気づき、一瞬焦るが、それほど重要でもなかったのか、すぐにどうでもよくなった。
『夏のクリスマス』には他にも大勢関わっているので、一応、自分が喋った事は秘密と付け足したが。
「聞かれておらんが?
それより話したから何かくれるんじゃろ。
何か強くなりそうなものがよいぞ」
名前を聞かれたか尋ねて、聞かれていないと答えるのは素直なのだろうが。
あまりコミュ力が強いとは言えない。
単にご褒美をお預けされた犬のように意識がそっちにいってるだけかもしれないが。
41
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/10/31(月) 19:06:21
>>40
「うんうん、当然だよぉ。
私、誰かに話をするのは別に好きじゃあないしね」
正座したまま素直に頷く。
履物は脱いでいないようだが剥き出しの脚に小石が食い込んだり
虫の体液がへばりついたりはしていそうだが、意に介していないようだ。
「もぉー! 違うよ!
名前聞いたっけ? っていうのは、君の名前は?
と同じ意味じゃあないか! 本とか読まないの、きみ!
『ある』んだろう、名前。『ない』ってことはないよねぇ」
「『強くなる』って何だい?
『スタンドが強くなる』ってこと?
うーん、別に何をあげてもいいんだけれど……
あ、そうだ。『部屋』とかどうだい。
私の家、部屋が余ってるんだ。そういうのはナイのかな?」
42
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/11/01(火) 12:41:04
>>41
「本はあんまり読まん。漢字が苦手での。
そういうことなら、『ない』ってことが『ある』……という事になる……の?」
自分で言っててよくわからなくなったのか、首を傾げる。
猫が寄って来たが、半分になったムカデを咥えていたので、そっと持ち上げて反対側に置いた。
猫はそのままカリヤに寄って来た。
「ナン…」
「まあ、家の持ち主じゃった爺の苗字からユキシラとか、そのまんまナイとか呼ばれておるが……」
「強くなるっていうのはあれじゃ。
……あの……あれじゃ。まあ、強い方がいいじゃろ。弱いより」
特に明確な理由があって言ったわけではないらしい。
「お前さん、お家持っておるのか? 若いのに凄いの。
貸してる部屋とかではなくか?
最近この街に来たと言っておったが。実は金持ちか?」
賃貸なんかであれば、さすがに借主の所有物とは言えないだろうから、
『交換』の対象にはならないだろうが。
「『部屋』って強いじゃろうか……強いかもしれん」
43
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/11/02(水) 15:09:55
>>42
「へえー、名前がない?
そんなことってあるの? オモシロイなぁ。
『ユキシラ』『ナイ』、それがきみの名前かい?」
話を聴きながら百足を咥えた猫を撫でる。
「ああ、家はね、貰ったんだ。
私の持ち物であることには間違いないよ。
ただ、そんなにお金持ちってわけじゃあないかなぁ。
働かなきゃ生きていけないくらいにはね」
「あははぁ、私の話はいいや。
それで? 交換できるの? できないの?」
44
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/11/03(木) 00:47:51
>>43
「そんなこともある。
見てみろ、こいつも名前など無いぞ」
カリヤに撫でられている猫をつつく。
猫に名前が無いのはともかく、それと同列なのは人としてどうなのだろうか。
「まあ名前が無いと言っても、こいつは色んな人が勝手に色んな名前で呼んでおるがの。
時々、気に入らないのかなんなのか、他に押し付けてしまうが」
「家が貰える……そんなことも……ある! というわけじゃな。
しかし部屋か。
モノの一部となると、こう、なんか取れないくらいくっついた部分があると難しいんじゃが……
壁とか天井とか床とか、反対側も『交換』してもらえるならいけるか……?
それか、報酬上乗せで、家まるごととか。
別にすぐ返してもよいから損はさせんが、どうじゃ」
反対側というのは、つまり隣の部屋の壁ということだ。
『交換』したという事実が必要なだけなので、すぐ返してもいいらしい。
実際、話に出てきた『心臓』を『交換』した女の子も、『心臓』を失ったわけではなかった。
「どっちにしろ、『話』と『交換』と言っても現物が無いから、
代わりに何か出さんといかんからな。
さっきの話の『心臓』とかどうじゃ。レアじゃろ」
『話』は物質的に存在しないし、それを構成する声も空気中に拡散してしまった。
『交換』を成立させるには代わりの物が必要なのだ。
適当なものでもいいし、報酬上乗せという事でスゴそうなものを頼んでもいい(あればだが)
45
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/11/03(木) 17:56:49
>>44
「えー、心臓なんていらないよ。
別になんでもいいけど、家がなくなるのは困るなぁ。
すぐ返すってどういうことなの?
交換するのが目的ってことだよねぇ」
首を捻って尋ねる。
46
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/11/04(金) 11:09:29
>>45
「わしは一度『交換』したものを何度でも『交換』できる。
つまりじゃ……さきほど『交換』した、この『絵本』
『交換記録』に入ったわけじゃ。
そうすると、何個でも同じ『絵本』が『交換』できる」
右手にカリヤが渡した『ラッコちゃん(絵本)』
左手に『えっちそうな雑誌』を持つ。
次の瞬間、『えっちそうな雑誌』が『ラッコちゃん(絵本)』に変わった。
両手にまったく同じ『絵本』を2冊持っている事になる。
「そうすると、こっちの『絵本』はお前さんに返してしまっても構わんわけじゃ。
いるか?」
と、右手の『絵本』をカリヤに膝の上……にいる猫の上に置く。
猫は大人しく『絵本』を被った。
「だから家を貰うと言っても、実際にお前さんの家を持って行くわけじゃないということじゃな。
何個でも出せるんじゃから。
しかし『心臓』はいらんか? 中々レアだと思うんじゃがの。
もっとレアなものか……うーむ、スタンド関連のものは出しても射程とか時間で消えてしまうしの」
子供は『絵本』を破くと、紙片を『紙コップ』(デザインから見るとかき氷のカップのようだ)に変え、
からに別の紙片を中に入れた。中の紙片が変わったのは『赤い液体』だ。
「『りんちゃんの血』!
『心臓』と同系統なのにしょぼくなってると思ったじゃろう……」
「じゃがこれは、何か心臓に効く薬? なんじゃ。
……まあ、これも時間がで効果が消えるんじゃが」
「でもこの『血』自体は残るぞ。
スタンドって普通殴れないじゃろ?
でもこれはなんか特別な『血』じゃから、塗るとスタンドを殴れる。
どうじゃ?」
47
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/11/04(金) 22:20:56
>>46
「ええっ!何それ…………!
それは……かなりすごいんじゃあないの?
あははぁ、なんでもできそうだねぇ」
『ラッコちゃん』を手に取ってまじまじと見る。
「うーん、本当に何でも良いんだけどなぁ。
『血』? 猟奇的だなぁ、なんか。
まあいいや、それでいいよ、それで。
それでいいから、きみの話をもっと聞かせてよねぇ。
別に、今日じゃなくても良いから」
『りんちゃんの血』をあまり興味なさげに受け取る。
48
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/11/05(土) 00:06:22
>>47
「ぬう。お店屋さんとしてはこう、お客さんに満足いく取引がしたいところじゃが……」
あまり気のない態度のカリヤに眉を寄せる子供。
いっちょ前に商人(?)としてのプライドはあるらしい。
「まあ、いいならいいとするかの。
それで、部屋か? 家か? 部屋ならいい感じに分けられそうな所まで対象にしてもらうが」
『絵本』をどけられた猫が膝から降り、
『りんちゃんの血』が入ったカップが渡された。
「話か……わし自身はそんな冒険とかしておるわけではないからの。
アリーナとかいうのに関わっておれば何か色々あるっぽいが……
とりあえず今はりんちゃんがどんな子かでも聞くか?」
再度新たに出した『絵本(ラッコちゃん)』をパラパラめくって見ながら、そんなことを言う。
49
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/11/06(日) 20:08:45
>>48
「あははぁ、私は物欲あんまりないんだよねぇ。
それにまつわる物語(ストーリィ)が好きなのさぁ。
そういう意味では、きみは十分なものを提供してくれたと思うよ。
不本意かもしれないけどねぇ」
ナイに手を伸ばして、わしわしと頭を撫でながら言う。
「それじゃあ、『部屋』にしておくよ。
区分はきみに任せるし、良いようにしてよね。
だけど、これ……どうしよっかなあ?」
血の入ったカップを眺める。
「『アリーナ』。話だけは聞くよねぇ。
りんちゃん、この血の子かい?
何か面白い話があるんだね!?」
50
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/11/07(月) 08:20:41
>>49
「ほう、それでどんな部屋なんじゃ?」
子供の髪は手入れが雑なのか、ボサボサだった
(あと直前まで路上に寝っ転がっていたのでゴミがついていた)
が、元々の髪質が柔らかいのか、撫でるとふわふわしていた。
「何かに塗っておけばいいんじゃないかの。
今なら薬としての効果も消えておらんから飲んでもよいし」
サプリじゃないんだから、薬だとしても無意味に飲んではいけない。
あと、味は普通に血だと思われる。
「面白い話ではないが、その子が面白い……というか変わった子での。
わしと同じくらい? の女の子で、なんと頭に花が生えてるんじゃ。
公園で花を育てて売ったりして暮らしておると言っておった」
読み返してみたら、りん『フューネラル・リース』の血がスタンドに効くとまでは聞いていなかったが、
まあ、後日『ディスタント・ラバー』に血がついたとかで知ったんだろう。
そういうことにしておいてくれ。
「花を抜くとヤバいらしい。
脳から生えてるのかもしれん」
51
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/11/08(火) 20:03:26
>>50
「どんな部屋?
ええとぉ、私の服とか本とか、要らないものが置いてある部屋だよ。
あれ?そういうことじゃあないかな。
どういう事をしたら、きみと交換できるんだい?」
髪の毛のゴミをとりながら漉きつつ適当に答える。
「何それ、それも『スタンド能力』の一種かなぁ?
なにか『物語』をもってそうな子じゃあないか。
その子もホームレス仲間なら、みんなで集まって何かこう、したら良いんじゃあないの?
互助的な…わからないけど」
最後の方は適当に話している風を隠そうともせずに言う。
52
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/11/09(水) 12:41:08
>>51
「うーん、タタミとかフロリング?とかあるじゃろ? 木とかコンクリートとか。広さとか。
お前さんの服とか本は部屋の一部じゃないから対象ではないしの。
それとも中の物もセットで『交換』しれくたりするか?
『交換』は『交換した』と分かっているならそれで十分じゃ。
『位置ごと交換』することも出来るが……それじゃ家が壊れるし、部屋だけ持ってきても仕方ないしの」
まあ、聞かなくても、後で『交換』で出して確認すればいいのだが、
メタ的には後で他の場所で出す際にどんな部屋かわからないと困る。
あと、よく考えたら『ラッコちゃん』も、中身がわからないと後で出す際に困る。
どんな内容なのだろう。
再度パラパラとめくってみる。
「りんちゃんは家も仕事もあるぞ。公園に住んで花を売っておるらしい。
公園に行けば会えるかもしれんの。
わしも……わしもまあ、家はある」
53
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/11/09(水) 20:07:11
>>52
「ええとぉ、こう、なんだろ。
普通のマンションって感じの部屋だよ。
窓がひとつある!」
少し考えた後に出てきた言葉に大した情報はなかった。
実際は六畳程度のフローリングの部屋だ。
『ラッコちゃん』を捲ってみる。
‘’ラッコちゃんは、すいすい泳いで、ぷかぷか浮いて、くるくる回って遊びます。’’
そんな文章と共に、水に浮かぶラッコの絵が描いてあった。
全編そんな感じのようだ。
「ふーん……?
花を売るってあれでしょ? 売春の比喩!
って……そんなわけないか。
いろいろうろうろしてみるよ、ありがとねぇ」
54
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/11/10(木) 10:19:14
>>53
「なるほど? まあ後で見てみるかの」
絵本らしい内容の割に漢字も使われてる……まあフリガナあるだろう多分。
『ラッコちゃん』を閉じて、リュックにしまう。
「りんちゃんが売ってる花は確か……スズラン? とかいうのじゃったか。
売春ってあの、女が男と遊びに行くやつじゃろ? テレビで見たぞ。
お前さんのマンションを貰ったっていうのもそれか?」
貰ったという事は分譲マンションというやつだろうか。
若い女性がマンションを貰ったというと如何にもそっち系なイメージだ。
さすがにテレビでは具体的な事まで放送しないからどういう遊びなのかは知らないだろうが。
「ナーウン」
「痛たた。
こちらも『交換』してくれて助かったぞ。
話は……あんまり期待されても困るがの」
しゃがんで猫を捕まえると、猫は子供に登り始めた。
そろそろ帰るようだ。
55
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2022/11/11(金) 18:24:09
>>54
「あははぁ、そっちの『話』はあんまり面白くないから、したくないなぁ。
それより、きみの話は十分面白かったよ。
良い話が聞けて満足、きもちい〜って感じ」
こちらも立ち上がり大きくのびをする。
「きみはそう言っても、また話を聞かせて欲しいなぁ。
できたら、起承転転転転結みたいなやつ!
そしたら、また何か交換しようよ。
それじゃあねぇ〜」
手を振ってナイと別れ、家に帰った。
56
:
ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+猫『マシュメロ』
:2022/11/12(土) 09:13:47
>>55
「わしはそんな話になるような大事件には関わりたくないぞ……」
こんなレス頻度ではミッションには出られないし、
場スレ活動でそれは無理があるのじゃ(メタ発言)
「長々とすまんかったの。
ではな」
「ナウナウニャウナウ」
金髪の子供はカリヤを見送った後、猫を抱えてその場を去った。
57
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/23(月) 18:30:04
普段は小回りの利く『ベスパ』を愛用しているが、
運転の腕が鈍らないように、たまに車にも乗っている。
車種は『ランドクルーザー70』。
高い耐久性と悪路走破性能を持つ大排気量の4WD車だ。
「――――どこに行きましょうか?」
ハンドルを握りつつ、助手席に声を掛ける。
一人でドライブするというのは何となく味気ない。
だから、今日は『知人』を誘った。
(言い切りで知り合いという事にして構いません)
58
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/01/24(火) 17:54:45
>>57
「どうも、わざわざありがとうございます。」
助手席に居るのは、先日知り合った涙音の母、笑美である。
「そうですねー。おすすめのお食事処はありますか?」
バックミラー越しにくるみへ話しかけた。
涙音と知り合いになったのと同様に
彼女もまた、くるみと知り合いになったようである。
59
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/24(火) 20:08:42
>>58
車のボディーカラーは、
『ヴェスパ』と同じ『カナリアイエロー』に塗装済み。
日常的に『足代わり』として使っているスクーターとは対照的に、
『質実剛健』を絵に描いたような『オフロード車』。
職業柄、常に『引き出し』を増やしておかなければならないので、
『どんな場所でも走れる車種』を選択した結果だった。
ただ、その反面お世辞にも燃費が良いとは言えず、
『街乗り』には向かない。
持ち主が機動力に優れた二輪による移動を好む事もあって、
乗る機会は少なく、あくまでも『遠出用』だ。
「でも、初めて見た時は驚きましたねぇ。
てっきり『姉妹』かと思いましたから」
きっかけは数日前に遡る。
朱鷺宮親子が歩いているところに、偶然出くわしたのだ。
その際、お互いに『知人』となっていた。
「ホントに羨ましい限りですよぉ〜。
若さを保つ秘訣とか、あったりします?」
ガコ
シフトレバーを握り、『ギアチェンジ』を行う。
今では少なくなったマニュアル操作。
その所作は滑らかで、手慣れた運転だった。
「『オススメ』ですかぁ…………」
グッ
頭の中で検索を行いつつ、アクセルを踏み込みながらハンドルを切る。
「じゃあ、少し『遠出』しますか。
良さそうな『道の駅』があるんです。
チェックはしてたんですけど、まだ私も行った事がなくて」
「ええと、『フカヒレ姿煮ラーメン』とか『サメかつバーガー』とか。
そこでしか食べられないみたいですよ」
「あとは『ふかひれソフトクリーム』なんてのもメニューに載ってるそうです。
フフ、ちょっと興味ありません?」
一般的な食事処とは違い、いかにも奇抜な品々だが、
『話のタネ』には相応しい。
少なくとも『行き損』にはならないはずだ。
味の方も――――おそらく『不味くはない』だろう。
60
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/01/24(火) 20:47:22
>>59
「いえいえ、私も…
あのラジオの人とお会いできるなんて驚きでした。
涙音とも知り合いだったんですねー。」
数日前に彼女と出くわした笑美は
彼女と涙音が知り合いということもあって
すぐに知り合うことになったようだ。
「若さの秘訣ですかー?
考えたこともなかったですけど…」
そう言ってから少し考える。
「まず心をずっと若々しく保つこと、ですかね?」
一応笑美なりの返答を返してきたようだ。
見たところ、彼女は若さだけでなくその性格からも若々しさが感じられるようにみえる…かも知れない。
「道の駅ですか?
そういえば私もそういうところに行ったこと無いんですよー。」
どこか嬉しそうな表情を見せている。
「サメづくしですねー。
でもどんな味なのか気になります。
美味しいかどうかも是非試してみたいです。」
聞けば聞くほど奇抜なメニューだが
それはたしかに興味が惹かれるものだった。
笑美はとても乗り気である。
61
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/24(火) 22:12:36
>>60
「『病は気から』って言いますからねぇ。
今も若々しい笑美さんを見てると、
すっごく説得力がありますよ」
「年始の頃に、涙音さんともお話したんです。
考え方次第で、『マイナスもプラスに変えられる』って」
談笑を交わしながら、ふと『今年の初詣』を思い出していた。
「ところで、笑美さんも『スタンド』をお持ちなんですよね?」
互いの共通点と言えば、やはり『それ』だ。
詮索する訳ではないが、気にならないと言えば嘘になる。
『涙音のスタンド』を知っているせいもあるだろう。
「ちなみに、私は『これ』です」
ズキュンッ
肩の上に『小鳥』が現れる。
『マイク』と『スピーカー』を備えた『機械仕掛けの小鳥』だ。
その名は『プラン9・チャンネル7』。
「『右手をご覧下さい』」
唐突に、『カーオーディオ』から『声』が聞こえた。
『プラン9』を通して、『自身の声』を流したのだ。
現在は海沿いの道を走っている為、ちょうど海岸線が見えている。
「――――他にも色々ありますけど、
とりあえずは『こんな感じ』ですかねぇ」
『能力の片鱗』を軽く披露する。
直接的な戦闘力を持たない自分は、迂闊に『能力』を明かせない。
しかし、笑美は『信用に値する』と感じられた。
62
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/24(火) 22:59:37
>>61
「フヒヒ、やっぱりわたし
若い感じですかー?」
改めて言われるとちょっと恥ずかしいらしい。
「涙音にもその言葉、前向きに捉えてもらえると思います。
その初詣の頃はありがとうございました。」
そう言って頭を下げる。
「…ええ、私もスタンドを持ってますよ。
その言い方は、涙音のスタンドも見たってことですよね。」
きっと初詣のときだろうと思った。
「あらあら、可愛らしいスタンドですね。
おっと?」
肩の上に置かれた小鳥を見て微笑んでいると
突然のカーオーディオの声に驚く。
「なんだかいろいろなことが出来るスタンドみたいですね。
このカーオーディオを動かす以外にも…」
興味を持ったようで、スタンドの動きをじっと見ている。
「それじゃあ私もスタンドを…だしますね。」
そう言うと途端に
ドギュン!!
笑美の隣に工作兵を思わせるスタンドが現れた。
「これが私のスタンド、『トループス・アンダー・ファイア』です。」
人型で見た目はパワフルそうだ。兵士じみた外見といい、やはり涙音のスタンドと雰囲気が似ている。
63
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/24(火) 23:34:40
>>62
「わッ――――――」
「やっぱり『親子』だと似るものなんですねぇ〜」
運転中の為、しっかり見る事は出来ない。
しかし、それでも『特徴』は掴めた。
『トループス・アンダー・ファイア』は、
確かに『フォートレス・アンダーシージ』と同じ雰囲気を持っている。
「涙音さんと同じで、いかにも『力持ち』って感じの姿ですね。
『スタンド使い同士の試合』を観戦した事があるんですけど、
そこに出ても違和感ないですよ」
『アリーナ』で目にした対戦。
壮絶な力と力のぶつかり合いだった。
ああした闘争の場に出られるのは、
それこそ笑美のようなスタンドを持つ者だけだろう。
「でも、実は私も一度だけ参加した事があるんです。
私の『プラン9・チャンネル7』は、荒っぽい事は不向きなので、
生憎『試合』じゃないですけど」
「強いて言うなら『競技』ですかねぇ。
『大きなステージに立つ』っていうのは、なかなか楽しかったですよ。
普段あんまり出来ない経験ですからね」
昔、『アイドル』だった頃は、そこが自分の居場所だった。
しかし、今は違う。
『パーソナリティー』になってからは、
そういった場所から遠ざかって久しい。
64
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/24(火) 23:47:58
>>63
「血縁関係がそうさせるんでしょうかね?
私のスタンドと涙音のスタンド…
パワフルなのもそうですけど、相性もいいみたいです。」
夏の魔物との戦いのときも二人で相性良く能力を使っていた。
親子故にだろうか。
「スタンド使い同士の試合…
なんか聞いたことがありますね。
アリーナ…とかでしたか?」
夏の魔物の一件でそれに関する話は多少聞いたことがある。
どうやら笑美もある程度走っていたようで、少し首を傾げた。
「あそこも色々あるみたいですねー。
試合以外にも競技も…
結構楽しいこともあるんですね。」
アリーナ関係の物事に巻き込まれた人物がいることを思うと
笑美も少し複雑そうな表情を見せる。
65
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/25(水) 00:17:52
>>64
「ええ、『それ』です。
『あの一件』に関わったのなら、ご存知だと思いました」
「私も一枚噛んでましたからね」
『夏の魔物』の事を言っているのだろう。
美作自身も、その件には深く関与していた一人だ。
『自分の番組』を通じて、街中に情報を拡散したのだから。
もっとも、自分としては不本意な部分もあった。
仕方がなかったとはいえ、メディアに携わる者として、
『電波の私的利用』は、決して好ましい事ではない。
「『試合』や『競技』以外にも、
『パフォーマンス』をやろうとしている所もあるみたいですよ」
その『一員』が美作くるみだ。
『勧誘』を行っている身でもあるが、今は止めておいた。
いくら見た目が若々しいとはいえ、『年齢制限』は覆せない。
……………… ……………… ………………
「――――――着きましたね!」
キ ィ ッ
しばらく海岸沿いを走り続けた末に、ランドクルーザーが停車する。
ここは『道の駅』の駐車場。
少し離れた所にある建物が、今日の目的地だ。
66
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/25(水) 20:26:32
>>65
「パフォーマンスですか…
ライブとかそういうのもあるんですかね?」
閉鎖的な場所なのではないかと思っていただけに
笑美は少し意外そうに感じているようだ。
「戦い以外にもある、そういう場所なんですねー。」
そう言って少し考え事をする顔をした。
やがて、ランドクルーザーが止まった場所は、目的地である道の駅だ。
「どうもありがとうございます。
えっと、ここがその道の駅ですね?」
少し離れた場所にある建物を見つめる。
どんな場所なのだろうか。
67
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/25(水) 20:54:37
>>66
この道の駅は、最近リニューアルオープンされたばかりのようで、建物は新しい。
レストランはガラス張りのオーシャンビューとなっており、
海を眺めながらの食事が楽しめる。
日帰り入浴施設も併設され、温泉に入る事も可能だ。
「無料の足湯もあるみたいですよ。
後で行ってみませんか?」
ガチャ―――――
「まずは腹ごしらえからですけどね」
―――――バタン
車から降りてドアを閉め、手にした鍵でロックする。
鍵にはキーホルダーが取り付けられていた。
番組のイメージキャラクターである『電気カナリア』のマスコットだ。
(何かありそうだったけど…………)
『ラジオ』は音だけで伝えるメディアであり、
だからこそ『パーソナリティー』は声の変化に敏感だ。
相手の表情が見えなくとも、声色から事情を察する事が出来る。
笑美が抱いていた複雑な感情も、直感で理解できていた。
(軽い気持ちで踏み込むような事じゃない、かな)
そう考えて、追及はしなかった。
その代わりに、今の時間を楽しんでもらいたい。
もちろん自分も楽しむつもりだ。
そうでなければ、人を楽しませる事は出来ない。
『エンターテイナー』は、まず自分を楽しませなければならないのだ。
「お腹空きましたねぇ〜。
海が近いですし、新鮮なお魚が期待できそうです」
フフッ
明るい笑顔を浮かべながら、レストランに向かって歩き出す。
68
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/25(水) 21:22:11
>>67
「へぇー、温泉もあるんですねー。
道の駅と言っても、お土産屋さんだけじゃないんですね。」
そう言ってあたりを見回す。
足湯という言葉に少し興味を持ったようだ。
「じゃあ後で足湯に入ることにして、
せっかくなのでまずはお食事にしましょう。」
笑美はレストランの方へ、くるみと一緒に歩き出す。
「このあたりだとどんなお魚が取れるんでしょうね。
サメも興味ありますが、旬のお魚というのも食べてみたいです。」
笑美はアリーナの一件…ある人物が行方不明になった話がアリーナとなにか関わりがあるかもしれない…
という考えから、アリーナに対してはやや懐疑的な思いを抱いていた。
(まぁ…アリーナのことは今は考えなくていいか…)
それでも普通に楽しそうな事もやっていると聞いて、悪く考えすぎかもしれないとも思っている…
とりあえず笑美は努めて気にしないようにして、レストランに足を運ぶ。
69
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/25(水) 21:54:42
>>68
「最近は、こういう道の駅が増えてるそうですから。
休憩で立ち寄るだけじゃなく、
そこ目当てで来る人も結構いるみたいです。
なんていうか、観光地に近いのかもしれませんねぇ」
星見町から道の駅までは、そこそこ離れている。
長距離のドライブになった為、ここに到着したのは、
通常のランチタイムから少しズレた時間帯だ。
それでも客が多い所を見ると、人気があるのだろう。
ただ、満席ではなかったので、海を臨む席に座る事が出来た。
やはり目を引くのは奇抜な品々だが、新鮮な魚介を使った海鮮丼など、
注文しやすい料理も提供されているらしい。
「―――――笑美さんは何にします?」
テーブルの中央に広げたメニューを見下ろし、
特に目立つ名前の上に人差し指を置く。
ソッ
「私は『フカヒレ姿煮ラーメン』で」
値段は『2500円』。
少々お高めだが、写真では大きなフカヒレが丸ごと乗っている。
それを考えれば、妥当な価格設定なのかもしれない。
フカヒレのサイズが小さい『フカヒレラーメン』というのもあった。
こちらは『1000円』だ。
70
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/25(水) 23:24:04
>>69
「ふーん、そうなんですねー。
このあたりの観光地となると…
一体どんな場所があるのでしょうね?」
このあたりは比較的観光客も多いように感じる。
あたりを見回しているようだ。
やがてテーブルの近くに寄ってから
じっとメニューを見る。
「ふかひれラーメンですかー…
他にもなにかあるかなー…」
笑美は興味深そうにメニューを一通り確認する…
「私はー、このフカヒレラーメンと…」
そう言ってふかひれラーメンを指差し、
「ミニフカヒレチャーハンもセットでお願いします。」
更にもう一つも指さした。
71
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/25(水) 23:49:48
>>70
「道の駅自体が観光地化してるのかもしれませんね。
ほら、『ご当地モノ』ってあるじゃないですか」
まもなく、注文の品が運ばれてきた。
フカヒレ姿煮ラーメンは、醤油ベースのスープに細めの麺。
具材はネギとメンマとチンゲン菜だ。
その上に、麺が隠れるくらい大きなフカヒレが乗せられている。
さすがに値段分の価値はあるといったところか。
通常のフカヒレラーメンは、
控えめなサイズのフカヒレがトッピングされていた。
フカヒレチャーハンは、中華風のあんかけになっている。
「さてさて、遂に『ご対面』できましたよ」
スッ
「それでは、早速いただきます」
手を合わせてから箸を手に取り、『実食』に入る。
「スープは魚介系のダシがハッキリしてる感じですね。
ゼラチン質のフカヒレに良く染みてます」
「『珍味』と呼ばれるだけあって、やっぱり独特の食感がありますねぇ。
ゼリーっぽいんですけど、繊維の歯応えがあって」
「食感というと、こちらのチンゲン菜も見逃せません。
フカヒレとは反対にシャキシャキしてて、バランスが取れてる」
クスッ
簡単な『食レポ』を終え、軽く笑う。
「――――――なぁんて。
もし『取材』するとしたら、こんな感じになりますかねぇ」
珍しい物を前にすると、つい『リポート』を意識してしまう。
一種の職業病のようなものかもしれない。
ただ、こうして日頃から訓練を行い、常に感性を磨いておく事も、
パーソナリティーとしては大事なのだ。
72
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/26(木) 00:05:59
>>71
「その場所のグルメを食べ歩いたりとか
グッズやお土産を購入したり、みたいな感じですかね。
たしかにそうなると道の駅も一つの観光地ですね。」
そう言ってうなずいた。
「わぁ!とても美味しそうです!
なかなか、いい匂いです。」
フカヒレの魅力の一つ、かぐわしい香りを
じっくりと味わってみる。食欲が湧く思いを感じた。
「ふむふむ…
実に素晴らしい食レボですね。
聞いてるだけでこう…食べたくなってきました!」
くるみの食レポをとても嬉しそうに褒め称える。
「それでは私も…いただきます。」
自分もなにか気の利いた言葉が言えるだろうか。
みたいなことを考えながらふかひれラーメンを箸で救い、
ゆっくりと食べ始めた。
「うーん、たしかにこれは…
不思議な歯ごたえですねー…
これはとても…」
そう言ってしばらくもぐもぐしていたが
「美味しいですねー!」
結局気の利いたことは言えなかったようだ。
73
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/26(木) 03:03:52
>>72
「あははははっ!」
笑美の素直な感想を聞いた瞬間、思わず笑みが零れた。
「その一言を言われちゃったら、もう『私の負け』ですね。
だって、それに勝る表現はないんですから」
「『美味しい物は美味しい』。これが一番ですよ」
スープの絡んだ麺を啜り、トッピングのメンマを口に放り込む。
「ただ、それを『ラジオ』で伝える為には、
あれこれ工夫を凝らさなきゃならないんですけど」
スゥッ
おもむろに、箸の先でフカヒレを摘み上げる。
「ラーメンという料理は、全体が調和している事が何よりも重要です。
一見するとフカヒレ以外は地味に思えますが、
それが主役を引き立てる構成になっている。
まるでメインボーカルとバックコーラスのように」
「要約すると――――『美味しい』って事ですねぇ」
笑美の言葉を肯定しつつ、大きなフカヒレの端っこを齧った。
74
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/26(木) 22:29:32
>>73
「えー、そんなに笑わなくっても…
でも…色々と長く言おうとしてもまず思いつくのは…」
そう言ってふかひれラーメンを食べる。
「やっぱり美味しいの一言なんですよね…」
そう言ってたまにチャーハンにも口をつける。
「たしかにそうですねー…
フカヒレは当然美味しいです。
しかし麺もトッピングもスープも美味しいんですよ。
これが『調和』というんでしょうか…」
そう言ってまたチャーハンを食べる。
「これもフカヒレとお米のバランスがとてもいい…
のかもしれません。」
75
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/26(木) 23:17:00
>>74
「あ、ごめんなさい。
笑美さんを悪く言うつもりはなかったんですよ。
ホントに美味しそうに食べてるものだから」
「気持ちの籠もった表情や言葉には、
人を幸せにする力があると思うんです。
だから、何だか私も楽しくなっちゃったみたいで」
フフッ
気さくで明るいスマイルを見せ、それから窓の外を眺める。
「そんな風に誰かを応援して、背中を押してあげられたらいいなって。
私の声が、最初の一歩を踏み出す為の力になれたらって……。
パーソナリティーとしての私の目標というか方針というか……」
ハッ
箸を進めながら語っている途中で、ふと思い出した。
「そうそう――せっかく来たんだし、食べ切る前に撮っておかなきゃ!」
パシャッ
スマホを取り出し、目の前に鎮座する品をカメラに収めた。
続けて、『SNSアプリ』を開く。
『番組公式アカウント』とは別に、美作くるみの『個人アカウント』もある。
主に日記代わりに使っており、仕事の話も出るが、プライベートな話題も多い。
写真にコメントを添えて、そこに投稿されるようだ。
……………… ……………… ……………… ……………… ………………
「――――そろそろ『足湯』に行っちゃいます?」
しばらくしてラーメンを食べ終え、席を立つ用意を済ませる。
足湯は入浴施設の方にあるらしい。
寒さが厳しい今の時期には、うってつけのスポットだろう。
76
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/26(木) 23:46:11
>>75
「いえ、くるみさんもきっと
私と食事をしてて楽しいんだと思います。
気になんてしてませんよ。」
「確かに、あの美味しいって言葉は…
なんというか心からの言葉ですね。
本心で言うとそれが一番なんですよ。」
といったところで、笑美もスマホを取り出した。
「あの真夏のクリスマスのときに大きな助けになりました。
きっとくるみさんは、それだけの力を持っていますよ。」
彼女がラジオパーソナリティとして素晴らしいものだと、笑美は感じていた。
「…せっかくだから涙音にも見せてあげようと思います。
このご飯。」
そう言って笑美は目の前のラーメンやチャーハンを撮影した。
やがて、笑美もご飯を食べ終えると。
「ごちそうさまです。
…そうですね。行っちゃいましょう。足湯。」
笑美はくるみについてくる形で足湯へと向かっていく。
77
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/27(金) 00:28:38
>>76
「そう思ってもらえたなら、私も『本望』ですよ。
私の声が、誰かの助けになれたのなら、それ以上の喜びはありません」
電波の私的利用は好ましくない。
それは確かだ。
しかし、悪い事ばかりではなく、『人助け』に繋げられた。
「それに、涙音さんや笑美さんとも、こうして関わりを持てましたから」
新たな人間関係。
それを築けた事も収穫の一つだ。
自分を取り巻く物事を前向きに考えれば、マイナスもプラスに変えられる。
……………… ……………… ………………
温泉施設の一角に小さな休憩所のような場所があり、
そこに足湯が設置されていた。
今は石造りの湯船に人はおらず、貸し切り状態だ。
靴と靴下を脱ぎ、ジーンズの裾を捲り上げて、湯船の縁に腰を下ろす。
チャポン
「あぁ………………」
「――――い〜い湯加減ですねぇ〜…………」
適度な温度に保たれた湯の中に足を浸けると、
じわじわと全身に熱が伝わっていく。
それに伴い、自然と身体から力が抜けていった。
普段の入浴時に近いリラックスした表情で、
ぼんやりと窓の外に広がる海を眺める。
78
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/27(金) 21:26:31
>>77
「きっともっと人気になります。あなたのラジオは。
…せっかくだから私も…もっといっぱい聴いてみますね。そのラジオ。」
そう言って微笑みかける。
「まさか親子で知り合いになるなんて思ってませんでした。
家族で知り合いになったりするのも…悪くないかもしれないですね。」
少し楽しそうに答えた。
そのうち朱鷺宮一家と仲良くすることになるんだろうか…
…やがて足湯に入ることになった。
「ふー…これは心がほぐれますねー…」
足を湯船の中に浸からせると、一気に気持ちがリラックスする。
普段から割と歩いている笑美にとってはほぐれるような気分である。
「のんびり出来たら、足湯ばかりでなく
全身浸かれるお風呂にも行ってみたいですねー。」
足湯でもゆっくり出来るこのお湯なら
温泉に入れたらさぞ気持ちいいのだろう。そう笑美は考えた。
79
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/27(金) 21:59:27
>>78
目の前には凍える冬の海。
足元には温かな温泉。
『頭寒足熱』というか、なんとも贅沢な気分に浸れる。
夏になれば、海にも大勢の観光客が集まりそうだが、
この季節では流石に誰もいない。
誰もいない海を眺められるというのも、それはそれでオツなものだ。
「ええ。そうなれるように、これからも頑張りますよ。
何よりも『リスナー』の期待には応えたいですから」
「ラジオは音だけで伝えるメディアなので、『ながら聴き』できるのがメリットの一つです。
家事をしながら……なんて聴き方もオススメですよ」
フフッ
「なんだか宣伝みたいになっちゃいましたね」
番組に興味を持ってくれる人が増えるのは、素直に嬉しい。
美作くるみにとって、『Electric Canary Garden』は掛け替えのないもの。
大切な『今の自分の居場所』なのだから。
「ええと――忘れない内に、と……」
パシャッ
先程と同じように、スマホを構えて写真を撮る。
人のいない今が、絶好の撮影チャンスだ。
SNSには『足湯の写真』が投稿される事になるだろう。
「そういえば……さっきの続きなんですけど。
『アリーナ』でパフォーマンスをやろうとしてるって話の」
スマホから顔を上げ、笑美に向き直る。
「『門倉』っていう人でして。
時間がある時に、私も『手伝い』みたいな事をさせてもらってます」
血行が良くなったせいか、体温の上昇を感じ、
ずっと被っていた帽子を取った。
浅めのフォルムが特徴の『ジェットキャップ』。
アメリカで、バイク便のメッセンジャーが着用していた事から、
そう呼ばれるようになったらしい。
素早く移動する様子から『ジェット』を連想したそうだ。
ラジオにも共通点があると言えるだろう。
電波に乗せられた情報は、速やかに拡散し、広く伝播していく。
そういう意味では、美作くるみも一種のメッセンジャーなのだ。
「星見駅北口から、しばらく歩いた所にある『門倉不動産』。
そこが拠点になってますから」
やや分かりにくい位置にあるが、行こうと思えば辿り着けない程ではない。
「もし何かあれば、遠慮なくどうぞ。
といっても、多分そんな用事はないと思いますけどね」
日々の疲れを解すように、湯船の中で軽く足を揺らす。
「じゃあ、温泉の方にも行ってみましょうか。
せっかく来たんですし、
こうなったら徹底的に満喫しちゃいましょう!」
「お風呂上がりに『ふかひれソフトクリーム』!
そんな感じのコースでどうでしょう?」
『入浴後のアイス』――――まさしく定番の組み合わせだ。
80
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/27(金) 22:56:41
>>79
「ええ、ぜひともがんばってください。
私も、家事の最中に聴いて、日々の楽しみとさせていただきます。」
そう言って頭を下げた。
「いえいえ、宣伝でも大丈夫です。
私はもっといっぱい聞いてもいいくらいです。
…なんというか、あなたの言葉から、自分の仕事を愛してるんだと感じます。」
彼女の言葉がとても楽しそうだ。
そう思えて笑美の顔も自然とほころんでいる。
「それじゃあ私も…」
笑美もくるみにつられるようにスマホで写真を撮影した。
自分の足元、足湯に浸かっている部分だ。
「門倉不動産…
名前は聞いたことがありますね。
色んなところでアリーナとのつながりがあるんですねー…」
アリーナに割りと暗いイメージがあっただけに、意外に思えてくる。
「まぁ、私はパフォーマンス的なものは知りませんけど…
一応なにかあった時は相談しに来ますね。」
アリーナ周りで相談することなどがあったら大変…とは笑美は思っているが。
「お、温泉に入っちゃいますか?
まぁ、せっかくですから…良いですよね。」
結構満喫することになりそうだと笑美は思えてきた。
「せっかくだからフカヒレメニューも満喫しちゃいましょう!こうなったら!」
81
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/27(金) 23:26:19
>>80
「私、この仕事は『天職』だと思ってるんです。
だから、末永く続けていきたいですね」
かつてアイドルだった頃は、『応援される側』だった。
しかし、今は『応援する方』に回っている。
ただ、アイドルとしてデビューするきっかけも、元々はラジオだった。
それまで人前に出るのが苦手だった自分が、
パーソナリティーの言葉に背中を押してもらい、
若くして大きなステージに立つ事が出来た。
あの時に勇気を分けてくれたラジオの役割を、
今は自分が務めていると思うからこそ、
この仕事に心から『情熱』を持って取り組めるのだ。
「名残惜しいですけど、ぼちぼち向かいましょうか?」
温泉に入る為には、足湯から離れなければならない。
コタツから出られなくなる状態と似ている。
だが、温泉が待っているのなら話は別だ。
「道の駅の温泉って、まだ入った事ないんですよ。
どんな感じなのか楽しみです」
……………… ……………… ……………… ……………… ………………
大浴場に足を踏み入れると、本格的な檜風呂に出迎えられた。
壁の説明書きを読むと、代謝の巡りを良くし、
肌に潤いを与える効果があるそうだ。
肉体疲労や筋肉痛の回復にも適している万能湯らしい。
「わ、また『貸し切り』じゃないですか!
今日は『ラッキー』ですねぇ」
タイミング良く客が捌けた直後だった為に、誰も入っていない。
『運に恵まれている』。
もしかすると『笑美のお陰』なのだろうか。
「ふぅ〜…………」
チャポン
「…………はぁ〜」
全身を湯に浸した瞬間、心地良さに溜息が漏れた。
身体に蓄積していた不純物が、全て溶け出していくように思える。
この感覚は何物にも代えがたい。
「……こんなにリラックスしたの、久し振りかもぉ……」
すっかり緩んだ表情で、しばらくの間そんな風に寛いでいた。
「それにしても…………」
チラリ
一緒に入浴している笑美に視線を向ける。
やはり『涙音の母親』には見えない。
温泉がもたらす美肌効果よりも、遥かに驚異的だった。
82
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/27(金) 23:55:37
>>81
「いいですねー。
自分が一番楽しめる仕事こそ天職です。
このまま日本一のパーソナリティを目指しましょう!」
そう言ってガッツポーズをする笑美。
なんというか若々しい感じがする。
「確かに足湯は気持ちいいですけど…
温泉が待ってますし、この辺にしましょうかー。」
ゆっくり足湯から足を離していく。
「ここのお風呂はどんな感じなんでしょうねー。」
そう言ってお風呂に向かっていく。
入ってみるとその温泉には誰もいない。
つまり貸し切りだ。
「いいですね〜。
とてものびのび入れますよ。
このお風呂は、どんなお風呂なんでしょうねー。」
肉体疲労の回復効果がある、という温泉。
とても楽しみそうにお風呂に入る準備をした。
…色々準備したあとでようやくお風呂に入る。
「あぁ〜、これはとても良いお風呂ですねー。
足湯もいいですけど、これは全身リラックス出来ますー。」
どこか笑美の喋り方も間延びし始める。
体が溶けてしまうようなきがするくらいゆっくりと疲れが取れていく感じがする。
「ふー…ん?」
ちらりとするくるみの視線がやや気になった。
「どうかしましたか?」
不思議そうな顔で見つめてくる。
笑美はオフロに入っている…のを差し引いてもずいぶんと綺麗な体をしている。
ハリがあるように思えるくらいだ。涙音と並んでいたら姉妹にしか見えなかったかもしれない。
ゆったりした服で目立たなかったが、スタイルもかなりいいようだ。
83
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/28(土) 00:36:47
>>82
「なんていうか…………『スゴイ』なぁと…………」
食事をした時の流暢な語り口とは対照的に、
ゆっくりと紡ぎ出された言葉は、随分と『率直』だった。
パーソナリティーにはあるまじき事だが、
上手い言い方が思い浮かばず、つい貧相な表現になってしまったのだ。
それほど驚かされたという事だろう。
道中の車内で、『若さの秘訣』を訪ねたものの、
『笑美の若々しさ』は自分の予想を超えていた。
これを言い表すのは『スゴイ』と言う他ない。
「私も『自信』はある方なんですけどぉ…………」
美作くるみも、スタイルの維持には気を遣っている。
シェイプアップされた身体は適度に引き締まり、
それでいて起伏に富んだ理想的なシルエット。
決して虚勢ではなく、『魅力』には事欠かない自負があった。
しかし、それは『若いから』という要素もある。
年齢を重ねれば、相応のケアが必要になってくるのだ。
「こう…………『別次元』っていうかぁ…………」
笑美の実年齢は、おそらく自分より一回りは上だろう。
それにも関わらず、この『ハリ』は尋常ではない。
『エステ』だとか『エクササイズ』だとか、
そんなレベルではない『スゴさ』を、
文字通り『肌』で思い知った気分だった。
84
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/28(土) 17:34:13
>>83
「あらあら、そうですか?
私ってすごいんですねー、なーんて。」
どこか嬉しそうな顔をしている。
くるみと並んでも、年齢差がさほどあるようには見えないくらいだ。
「そうですねー、自信をもってると
人間、いつまでも若々しくなれるんですよ?」
そう言って微笑んだ。
やや冗談めいているのだが、彼女のスタイルを見ると
なんだか真実めいて聞こえるかもしれない。
「それに家族がいると、とても素敵な気分になれるんですよ。
家庭が持てると、大変ですけど楽しいですよー。」
そう言ってニコニコしている笑美。
家族も若さの秘訣なんだろうか。
85
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/28(土) 18:17:45
>>84
無意識の内に、『自分の身体』と『笑美の身体』を見比べてしまう。
両者の間には『年齢による差』が、ほとんど感じられない。
おそらく彼女には、『アンチエイジング』など不要なのだろう。
「自信…………」
「そう…………ですよねぇ…………」
やはり不思議で仕方がない。
ひょっとすると『遺伝子』とか、そういう問題なのだろうか?
最早それくらいしか思い当たらないのだ。
「えっと、何人家族でいらっしゃるんです?」
ようやく気を取り直して聞き返す。
『若さの秘訣』――個人的にも大いに関心がある話題だ。
ここは深堀していかねばならないだろう。
「私の場合は、それよりも先に『恋人』を見つけなきゃいけませんけど」
今まで何人かと付き合ってきたが、
『本気の恋愛』というのは、まだ経験した事がなかった。
いつも『駆け引き』を楽しむ程度に落ち着いている。
自分が『仕事優先』になってしまいがちなせいもあるかもしれない。
86
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/28(土) 18:54:11
>>85
「正直言うと、自分でも若くあろうとは思ってますが…
特別なことをしてるかと言われるとわからないんですよね。」
アドバイスができそうにない。という感じのようだ。
「ポジティブに生きようみたいなことは常に考えてますけどねー。」
そう言って少し上を向く。
なにか特別なことはない。と言うのは確からしい。
「家族ですか?
えっと、うちの人も含めて…
涙音と…ひとつ下の妹の由楽…で、4人ね。」
そう言って指で「4」と示した。
姉と妹で子供が二人いるらしい。
「私は応援しますよ!
恋人が見つかるといいですね。」
と、どこか楽しそうに語る。
そういうのに興味が無いわけではなさそうだ。
87
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/28(土) 19:32:19
>>86
笑美の言葉を聞き、示された指の本数を見て、軽く頷いた。
「あははは…………なるべく早めに見つかればいいんですけど。
今のままだと『仕事が恋人』になりそうなので」
「でも、いざという時の為に、自分を磨いておかないと。
いつ『いい人』が現れるか分かりませんからね」
――――チャプ…………
湯に浸かった素肌を、指先で軽く撫でる。
「この温泉も、『肌に潤いを与える効果』があるみたいですよ。
しっかり入っていきましょう!」
実際は、そこまで劇的な変化があるとは思っていない。
しかし、こういうのは気の持ちようだ。
前向きに捉えていた方が、人生は楽しい物になる。
「もし良かったら、『出会いのきっかけ』とか教えてもらってもいいですか?
『恋愛の先輩』のお話は、私も興味ありますから」
フフッ
「『今後の参考』の為にも、是非お聞きしたいところですねぇ」
『若さの秘訣』については、遂に分からなかった。
しかし、『恋愛』に関しては、まだ聞ける事が残っている。
それは『未来の自分』にとって、貴重なアドバイスになるかもしれない。
88
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/28(土) 20:22:31
>>87
「ふむふむ、若いうちは思いっきりやりたいことやればいいんですよー。
そこでいい人が見つかるってこともありますからね。」
笑美はそう言って笑いかけた。
彼女も彼女でそこまで老けている年齢ではないのだが…
「のぼせない程度に入るつもりですよー。
私もちょっと、お肌が気になりますからねー。」
そう言って自分の頬をなぞる。
心配なさそうに見えるが…年頃の悩みということだろうか。
「えー?出会いのきっかけですか?
ちょっと恥ずかしいですけど…フヒヒ。」
お風呂のせいではなさそうだが、顔を赤くしているようだ。
「そうですねー。
割と普通…だと思いますよ?」
その表情はどこか恥ずかしそうだ。
「実を言いますとね〜…
うちの人との出会いは学生の頃なんです。」
「それで、あの頃の私は…
実はその…かなりの問題児というか…ワルというか…
とにかく危ない子だったんです。」
そう言って髪の毛を見せる。
「髪の毛を金髪にしちゃったりしてたんですよー。
他にも学校では不良と言えるぐらいのことを色々と…」
ふぅ、とため息を付いた。今の彼女からはとても信じられない過去だろう。
89
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/28(土) 20:49:08
>>88
「えぇ〜!?ホントですかぁ〜!?」
全く予想していなかった内容に、思わず目を見開く。
温厚な雰囲気の笑美に、そんな過去があったとは。
にわかには信じ難い話だ。
「でも――――人には色々ありますからねぇ」
しかし、受け入れる事にした。
『意外な経歴』という意味では、自分自身も似たようなものだ。
もっとも、笑美の事情とは、だいぶ毛色は違っているが。
「学生時代からのお知り合いなんですか。
それはそれは…………なんともドラマチックな馴れ初めですね」
「そういうのって、何となく憧れちゃいます」
その頃の美作くるみは『アイドル全盛期』。
スケジュールは多忙を極め、学生生活を楽しむ暇もなかった。
出席日数が危ぶまれる程だったのだ。
だから、『青春らしい青春』には、どこか惹かれるものがある。
もちろん、アイドルとしての活動も、自分にとっては大切な宝物だ。
「それで、どういった経緯でご結婚を?」
不良少女が更生し、今に至っている。
そこには、どんなドラマが秘められているのだろう。
頭の中で想像を膨らませながら、話の続きを促す。
90
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/28(土) 21:28:18
>>89
「ええ、あの頃は…
学校の窓ガラスをぶっ壊したり
邪魔な他の不良も蹴り飛ばしたりって…
まぁ、今から見ると随分と悪いことをしてましたねー…」
あの時の家庭事情は複雑だったこともあって
笑美は半ば自暴自棄のように不良行為を重ねていたのであった。
「それで…学校をサボってばっかりだった私は
補修を受けないとって話になって…
その時に知らせに来た生徒会長が…」
そう言ってちょっと顔を赤くした。
「今の夫です…」
そう言って恥ずかしがった。
「あの時は、私も荒れてましたからねー…
自分を倒せないやつの言うことは聴けないとか言って追い返しちゃって…」
「で、その後しばらくは来なくなったんだけど…小さいお友達とも出会って
ちょっと落ち着いた頃に…」
そう言ってまた顔を赤くする。
「あの人ったら、死にものぐるいでトレーニングして
ヒョロヒョロだった体をメッチャクチャ鍛えてきたのよ。
それで『さあ勝負だ!』って言ってきたのよ!
…意地を張るのも馬鹿らしくなって、その後はちゃんと補修のための勉強を
一緒に受けることにしたわ。」
そう言って笑った。
「今思えばあの頃からだったかなー…
段々『校正』していったのは。」
91
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/28(土) 22:00:52
>>90
実際に聞かされた話は、
頭の中で描いていた想像よりも、更にとんでもない内容だった。
「『愛の力は偉大』ですねぇ。
言ってみれば、笑美さんの為に強くなってくれた訳ですから」
過去の笑美に負けず劣らず、生徒会長の行動力も凄い。
これが『本気の恋』というものなのだろうか。
ここまでの話は珍しいだろうが、根底にある想いは、自分にも理解できた。
「そこまでしてくれたら、そりゃあ好きになっちゃいますよね?」
クスッ
照れ顔の笑美に、悪戯っぽい笑みを向ける。
「とっても『参考』になりました。
滅多に聞けないお話が聞けて、何だか得した気分ですよ」
そうこうしている間に、
気付けば結構な『長風呂』になってしまっていたようだ。
「のぼせない内に、そろそろ上がりますか。
『ソフトクリーム』も待ってますし」
檜の湯船から上がり、ほのかに上気した裸身を眺める。
心なしか、肌の艶が増したように感じられた。
『温泉の効能』――――なのかもしれない。
92
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/28(土) 22:48:27
>>91
「ええ、そうですねー…
あの時のあの人はその…
ほんとに真剣に向き合ってくれた人だったんです。」
そう言って微笑んだ。
「そうですね。結局そのまま好きになっちゃったんです。
まぁ後は健全なお付き合いをちゃんとして結婚しましたよ。」
きっと彼女は、その夫のおかげで今のようになれたのかもしれない。
「いえいえ、参考になったのであればとても嬉しいです。
ちょっと恋愛ドラマみたいで恥ずかしいですけどね。」
やや顔が赤くなっているのは恥ずかしいからか、或いはのぼせそうだからだろうか…
「はい。そろそろ上がりましょう。
お風呂の後のアイスは最高ですし、ね。」
ゆっくり湯船から上がり、彼女にも視線を向けた。
「温泉の効果は結構あるかもしれませんねー。」
93
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/28(土) 23:17:58
>>92
「フフフ――――温泉に入ったお陰で、
笑美さんが今より若返っちゃったら大変ですね」
しっとりと濡れた肌をタオルで拭き取り、ヘアドライヤーで髪を乾かす。
当然ながら、今は『すっぴん』の状態。
諸々の身支度を入念に整えてから、笑美と共に売店へ足を運ぶ。
「――――『ふかひれソフトクリーム』を二つ下さい」
カウンターで注文を出すと、まもなく目当ての品と対面できた。
蜂蜜シロップに漬け込んだフカヒレが、
滑らかなミルクソフトクリームにトッピングされている。
名前からは『イロモノ』の印象を受けるが、
実物を前にすると、わりかし普通に見えるものだ。
「ん…………」
「『甘じょっぱい』感じなんですねぇ。
てっきりオマケくらいかと思ってたんですけど、
意外と『しっかりしたフカヒレっぽさ』もあって、
それが丁度いいアクセントになってる」
パシャッ
手にした『ふかひれソフト』を、スマホのカメラで撮影する。
「ソフトクリーム自体も濃厚で美味しいですね。
この組み合わせ、なかなか好みの味かもしれません」
すっかり『オフ』を満喫してしまった。
しかし、一つだけ不安がある。
見も心もリラックスしたせいで、
『帰りの運転』に支障を来さないかという懸念だ。
「あの、笑美さん――『免許』持ってます?」
「私、もしかしたら途中で眠くなっちゃうかも……。
その時には変わってもらいたいんですけど、
大丈夫そうでしょうか?」
一瞬、『不良時代の笑美』が脳裏を掠める。
しかし、あくまでも過去の話だと思い直した。
ただ、マニュアルミッションを採用した大型のオフロード車なので、
その方面の心配はあるが。
94
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/29(日) 00:04:28
>>93
「いっその事、更に若返ってみたいですねー。」
笑美もゆっくりとタオルで体を拭き、ゆっくりとドライヤーを掛けた。
「風呂上がりのくるみさんも結構若々しいですよー。」
身支度しながらも軽く返事を返す。
売店に足を運び
やがて注文を受けたフカヒレソフトクリームを受け取る。
「どうもありがとうございます。
いただきますね。」
見たところ普通のソフトクリームだが…
ソフトクリームをくるみと一緒に食べてみる。
「なるほどぉ…フカヒレの感触を確かに感じますねぇ。
味わいは塩ソフトのようですが…フカヒレの風味もなかなか奥深いです。」
意外なほど美味しい味のするソフトクリームである。
なかなか楽しめているようだ。
「えーっと、免許ですかー?」
スマホでソフトクリームを撮影しながら笑美は答える。
「一応免許は持ってますよー。
運転するのは、うちの人が多いからあまりやらないんですけどねー。
一応運転はできますけど。」
そう言って微笑む。
95
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/29(日) 00:23:20
>>94
風呂上がりの今の自分より、笑美の方が若く見えるような気さえする。
どれだけ科学が進歩しても、この謎だけは解明されないだろう。
心の底から、そう思えた。
「それじゃ、お言葉に甘えさせてもらいますね。
練習がてら、ちょっと運転してみません?
私が隣で見て、分からない事は教えますから」
「――――ごちそう様でした」
やがてソフトクリームを食べ終えると、駐車場に向かって歩いていく。
車高の高いランドクルーザーが、運転手を待つように佇んでいた。
その力強く精悍なフォルムは、
『トループス・アンダー・ファイア』にも似ているかもしれない。
――――バタン
ロックを解除し、ドアを開けて助手席に乗り込む。
笑美とは反対に、こちら側に乗るのは久し振りだ。
少しばかり緊張する。
「『よろしくお願いします』」
チャリッ
何となく姿勢を正し、笑美に『鍵』を差し出した。
96
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/29(日) 00:38:20
>>95
「ええ、だいじょうぶですけど…
他の人の車なので、安全運転させてほしいですね。」
そう言ってから、しばらくソフトクリームを食べる
「こちらもごちそうさまです。
それでは…」
道の駅から外に出て、載せてもらっていたランドクルーザーに向かう。
「さてさて…
ちゃんと運転できるかなっと…
この乗り物も結構パワーがありそうですね。」
そう言ってちょうど運転席の方に座る。
「はい、では帰り道をご案内します。」
鍵を受け取った笑美はエンジンをかける。
「ふーむ、それでは行きますねぇー。」
ギューンとエンジンのかかる音が聞こえる。
「よし、と!」
アクセルをゆっくり踏み込んで駐車場から出始める。
「ふーむ、同じ車でも
ちょっと運転の感覚が違いますねぇ。」
そういいつつも割りと運転ができているようだ。
このまま進めば問題なく帰り道も行けそうだろう。
97
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/01/29(日) 01:11:46
>>96
「なんといっても、堅牢性と悪路走破性では、世界一の車種なんです。
『何があっても壊れず、壊れたとしても走れる車』が、
ランドクルーザーの開発コンセプトですから。
紛争地帯でも活躍してるくらいなんですよ」
「職業柄、私も色んな場所に行きますからね。
どこでも走れる車は、心強くて頼りになります」
「ただ、パワーがある代わりに、
『燃費が悪い』のが玉にキズなんですけどねぇ」
自身の車について語りつつ、エンジンを始動させた笑美を見守る。
「笑美さんも結構運転上手いじゃないですか。
これだったら、私が口出ししなくても良さそうですね」
しばらく観察していたが、特に危なげなく走っている。
その様子を確認して安心した。
どうやら、帰りは笑美に任せても問題なさそうだ。
「笑美さんが一緒に来てくれたお陰で、
今日は素敵な休日が過ごせましたよ」
「ありがとうございました」
後方に見える『道の駅』が、次第に遠ざかっていく。
ランドクルーザーが向かう先は『星見町』。
『二人の休日』は、こうして幕を閉じるのだった。
98
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/01/29(日) 01:25:19
>>97
「これは、とても素敵な車ですねぇ。
また乗せていただければ幸いです。」
「…私こそ素敵な一日に感謝します。
またいつか。行きましょう。」
そう言ってほほえみ、町へと去っていくのだった。
99
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/03/04(土) 11:24:29
「春よ来い♪」
ぼちぼち暖かくなってきた3月の初め
鈴蘭柄のワンピースを着た10歳程の少女が
街道を特に目的も無くぶらりと散歩をする
トレードマークの頭の鈴蘭は、麦わら帽子で隠れている
100
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/03/04(土) 12:43:25
>>99
曲がり角の向こうから、カーキ色の作業服を着た男が姿を現す。
幸い、すぐに立ち止まった為に、ぶつかる事は避けられた。
少女を見下ろし、一瞬『洋服の柄』に目を留める。
「――――悪かった」
軽く頭を下げ、短い謝罪を告げると、再び歩き出す。
パサッ
その直後、何か小さな物が地面に落ちた。
『花飾り』が付いた『お守り』のようだ。
持ち主は気付いていないらしく、そのまま立ち去ろうとしている。
101
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/03/04(土) 14:36:14
>>100
「あっ」
宗像が落としたお守りを拾い上げる
「落としましたよ〜」
落とし物を持ち主に返さない理由は特に無い
この程度、親切の内にも入らない普通の事だろう
すぐに宗像を呼び止め、お守りを返そうとする
目の前だろうし、わざわざ追い掛けるという事も無いだろうが
歩き出して少し距離があるなら麦わら帽子を押さえて小走りで追いかける
102
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/03/04(土) 15:33:41
>>101
『鈴蘭柄』が視界に入った瞬間、一つの可能性が脳裏を掠めた。
だが、花柄の洋服は珍しくない。
やはり単なる『偶然』だろう。
ザッ
背後から聞こえた呼び掛けによって、その思考は中断される。
立ち止まり、振り返って少女に向き合う。
手の中のお守りを見た時、自分の過失を理解した。
「これは『大事な物』だ」
スッ
「拾ってくれて助かった」
革の手袋に包まれた左手を伸ばし、お守りを受け取る。
同時に、『朱鷺宮』と交わした言葉を思い出す。
これを無くしてしまえば、『義理』を欠く事になっていた。
「――君は一人か?」
保護者らしき人物を探す為に、周囲を見渡す。
103
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/03/04(土) 16:29:21
>>102
「どういたしまして」
お守りを受け取り礼を言う宗像に対して
ペコリと頭を垂れて返事をする
「わっ、っと」
落ちそうになった麦わら帽子を押さえるりん
この時、チラリと何か花のような物が見えたかもしれないし
ほんの一瞬だったので見えなかったかもしれない
見えたとしても、白い何かがあった程度にしか思わないかもしれない
「そうですけど」
暖かい気候のせいか?
今日はやけに人通りが多く、沢山の人が街道を歩いているが
保護者と思われるような人間は見当たらない
ヒュウウウウウウ
気候は暖かいが、風はよく吹く日だ
ちょっと強い春風が吹いてきてりんの帽子を吹き飛ばそうとしている
飛びそうな帽子を奪われまいと右手で抑え続ける
104
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/03/04(土) 17:11:12
>>103
互いの距離は近く、正面から向き合っている。
帽子の下に『何か見えた』ような気はしたが、その正体までは分からなかった。
引っ掛かる部分はあるものの、無理に引き剥がそうとは思わない。
「――――そうか」
お守りを一瞥した後、ポケットに戻す。
「今は明るいが、子供が一人で出歩くのは物騒だ」
ズズズ…………
「連れ合いがいないなら、日が傾く前に帰った方がいい」
傍らに『アヴィーチー』を発現し、反応を見る。
右腕の『鋸』は収めており、外部からは視認できない。
過剰に警戒心を煽る必要はないと判断した。
105
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/03/04(土) 18:42:07
>>104
「そうかな?」
アメリカなんかならともかく
治安の良い事で評価の高い日本で10歳くらいの子供なら
夕方くらいまでは一人で出歩いていても問題は…
いや、最近は日本も物騒だ、油断は禁物か
> ズズズ…………
「あぇ?」
宗像の傍らに現れた『アヴィーチー』に反応したのか
変な声を出してしまう
『鋸』を隠しているとはいえ、スタンドを急に出されたら警戒は多少はするだろう
「おじさんそれ」
ハクション!
りんが何かしゃべろうとした時、幾つものくしゃみが声を遮った
春風と共に運ばれてきたスギ花粉のせいだ
どうやらここら辺は花粉症患者が密集しているようで、くしゃみの音が四方八方から飛び交ってくる
106
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/03/04(土) 20:36:02
>>105
反応を窺う為には注意を引く必要がある。
全く無反応では出した意味がない。
適度に警戒される事が期待していた結果だ。
「これは俺の『スタンド』だ」
「『アヴィーチー』と名付けられた」
言葉の先を聞かずとも、大方は態度から察せられた。
少なくとも『見えている』。
それを確認した後、『アヴィーチー』を解除して、更に続ける。
「『りん』という名前の少女を探している」
「育てた花を売っているそうだ」
「それを買いたい」
『カリヤ』から聞いた話を思い返しながら、独り言のように呟く。
「――――聞いた事はないか?」
身を屈めて目線の高さを合わせ、目の前の少女に尋ねる。
107
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/03/05(日) 14:32:12
>>106
「はえ^〜そうなんだ」
花が買いたいのは分かったが
その前に何故スタンドを見せたのかりんには解せない
花買うのとスタンドを紹介するのと何の因果関係があるのかが繋がらない
「花を売ってるりんっていう人が他にもいるんだね〜」
宗像の言うりんという少女が自分の事を指しているとは思ってないりん
「うちもりんって言うんだけど、
うちの他のりんって言う人の話は聞いた事無いなぁ」
ちなみにだが、りんは業者に卸してはいるが
個人に花を売る事は基本的にしていない
「何の花が欲しいの?」
108
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/03/05(日) 17:27:16
>>107
少女が『名前』を告げた瞬間、無意識に沈黙せざるを得なかった。
完全に予想外だったとは言わない。
『洋服の柄』を見た時から、心の片隅に引っ掛かる何かを感じていた。
だが、こうも呆気なく出くわす事が信じ難かったのだ。
だからこそ、自らの考えを一度は否定したのかもしれない。
『熊野』から『殺人事件』の話を聞かされ、『花屋』で『鈴蘭畑の幽霊』の噂を耳にし、
『自然公園』で『リカオン』の案内を受け、『りんの友人』らしい『甘城』と言葉を交わし、『アリーナ』の『吾妻』から『被害者』が奴の『知人』である事を知り、
『カリヤ』と『情報交換』を行った。
しかし、こうして見つかったのは『偶然』に過ぎない。
あるいは、俺が捜していなければ、ここで出会う事もなかったのだろうか。
いずれにせよ、俺のするべき事は一つしかなかった。
「――――君も『りん』というのか」
目線の高さを維持したまま、改めて言葉を返す。
先程のように、周囲の雑音に遮らせない為だ。
同時に、『りんという存在』に向き合う為でもあった。
熊野の話が正しければ、『5人』の人間を殺害した『加害者』という事になる。
目の前の『りん』から、血生臭さは感じ取れない。
何とも思っていないのか、それとも何も知らないのか。
熊野が語った内容を鵜呑みには出来ない。
一方で、全てが作り話とも考えにくい。
真偽を確かめる為に、俺は『鈴蘭の少女』を捜していた。
「『鈴蘭』だ」
りんを見つめながら『花の種類』を口にする。
燃え残った灰を思わせる瞳。
やがて、その視線が『麦わら帽子』に移っていく。
「俺が捜していた『りん』は、頭に『鈴蘭の花』を咲かせている」
こちらの言葉を正しく届かせる為に、出来る限り緩やかに喋る事を意識する。
「差し支えなければ、君の『帽子の下』を見せてくれ」
不意に『鈴蘭の押し花が張られた短冊』を思い出す。
色々な人間達と出会えて『今が幸せだ』と。
これからも『その幸せが続いて欲しい』と書かれていた。
「君が『俺の捜しているりん』かもしれない」
あの日、俺も『それが叶えられる事』を願った。
109
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/03/06(月) 16:14:32
>>108
「鈴蘭かぁ〜
もう春だけど鈴蘭の時期にはちょっと早いねぇ〜」
鈴蘭の開花時期は4〜6月頃だ
暖かくなって来たとはいえ、1月程時期が早い
>俺が捜していた『りん』は、頭に『鈴蘭の花』を咲かせている
「うぇ!?
その人も鈴蘭咲いてるの!?」
他人が聞いていたら何言ってだこいつって話をする宗像だが
その言葉に対して他人が聞いてたらまた意味分からん返しをするりん
>差し支えなければ、君の『帽子の下』を見せてくれ
>君が『俺の捜しているりん』かもしれない
「う〜ん、良いけど
今日は頭の調子が良くないからあんまりじろじろ見ないでね?」
恥ずかしそうにそう言って帽子を頭から離す
その頭部には確かに、花と思われる物があった
帽子に押し付けられていたためか、少々ぐにゃってるが折れてはいない
ヒュウゥゥゥ
そよ風が吹くと、白い髪と共に花を揺らしていく
「調子悪いから今日はもう終わりっ!」
サッと麦わら帽子を被り花を再び隠す
110
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/03/06(月) 17:40:19
>>109
帽子の下から覗く『歪んだ花』を見つめ、同時に『確信』を得た。
「そうか――――」
「やはり『君』だったようだ」
『頭に鈴蘭を咲かせた少女』。
この町に同じ存在が複数いる可能性は、限りなくゼロに近いだろう。
だが、俺にとって重要な事柄は他にあった。
目の前の『りん』が、『事件』に関与しているのかどうか。
『制御不能』の『危険性』を抱えた『殺人者』かどうかだ。
「感謝する」
本来であれば、この場で追及していた。
しかし、場所が悪い。
今ここで何かが起きれば、『被害者』の数は『5人』では済まなくなる。
「さっき驚かせた事は謝ろう」
姿勢を正し、りんに一礼する。
「君は『自然公園』に住んでいると聞いた」
「『鈴蘭の時期』が来る頃に『育てた花』を見せてもらいたい」
「――構わないか?」
何かが分かるというような確証はない。
『りんの手で育った花』を、一度は見ておきたかった。
それだけだ。
111
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/03/07(火) 18:39:48
>>110
「え?うちの事だったんだ」
今の今まで宗像の探してるりんが別のりんだと思っていたりん
>『鈴蘭の時期』が来る頃に『育てた花』を見せてもらいたい
「良いよぉ〜
4月頃から咲くから
その時はうちの家族の事見に来てね〜」
花を家族と呼ぶのも変かもしれないが
それだけ愛情を注いでいる…という事かもしれない
112
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/03/07(火) 19:51:03
>>111
「――そうさせてもらう」
判断材料の足しになると思えば、全くの無意味ではない。
だが、育て方の良し悪しを知らない以上、多少は『花の知識』も仕入れておく必要性を感じる。
あの『花屋』で聞くべきか。
「俺は『宗像征爾』だ」
「その時が来るまで、この名前を覚えておいてくれ」
ザ ッ
無骨な安全靴の底を響かせながら、踵を返す。
考えていたのは『お守り』の事だ。
もし落としていなければ、りんには気付けなかっただろう。
それを『幸運』と呼ぶのなら、確かに『幸運のお守り』だと言える。
朱鷺宮は『自分は運がいい』と話していたが、その恩恵に助けられたのかもしれない。
「また会える事を願っている」
ザッ ザッ ザッ
背中越しに別れの言葉を告げると、振り返らずに歩き去り、やがて雑踏の中に消えていく。
113
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/03/08(水) 17:59:03
>>112
「またね〜宗像さ〜ん」
人混みの中に消えていく宗像に大手を振って見送るりん
再び歩き出し、散歩の続きをする
春になり、少しずつ活気が戻りつつある街道
ちらほらと春の花も咲きつつある
冬には冬の、春には春のそれぞれの景色がある
そんな季節の移り変わりを見て回るのも、人間としての楽しみの一つだとりんは思う
114
:
ナイ『???』
:2023/03/09(木) 04:24:57
ブカブカの服を着た金髪の子供が歩いている。
「フン フン フーン」
「エエ テンキ ジャノォ〜」
どうやら散歩しているようだ。
115
:
ナイ『???』
:2023/03/10(金) 06:13:19
>>114
その子供に名前はなかった。
だから、周りからは『ナイ』と呼ばれている。
しかし、知っている人間が見たら、『何か違う』と感じただろう。
「コノヘンニ コンビニハ ナイカノ」
人間達に紛れ込んだ奇妙な『ナイもどき』は、どこかへ立ち去っていく…………。
116
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/03/11(土) 13:00:12
シーンと静まり返った深夜の街道
真っ暗闇の街を用も無く歩く
117
:
???
:2023/03/12(日) 12:27:22
>>116
の背後に迫る影。
カツーン カツーン
118
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/03/12(日) 14:13:24
>>117
時刻は午前の0時
昼間、人々が行き交い活気のあった道も
自分の歩く足音しか聞こえない静寂の世界と化している
昼と夜とではまるで別の世界のようだ
自分以外の生命体は存在しないのでは?と思える程だが
こんな世界にも生き物はちらほらいるようだ
ギラリと光る猫の目が不気味にこちらを見ていたり
夜にしか活動しない生き物も多かったりする
> カツーン カツーン
背後から近付く足音に気付いているのか気付いていないのか?
これほど静かな中で響く音に、気付かないはずが無いだろうが…
カサ カサ
その足音の持ち主の足元に、何かが這う小さな音がする
そう…ゴキブリだ
昼間は大人しくしているゴキブリも、夜になると道端を闊歩しているのだ
119
:
???
:2023/03/12(日) 15:01:08
>>118
グチャッ ← Gを踏んだ音
キャー! ← 深夜に響き渡るうら若き乙女の声
120
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/03/12(日) 17:50:40
>>119
哀れ
無残にも踏み潰されてしまったゴキブリだが
ゴキブリの生命力は異常に高く、人に踏み潰されてもまだ生きている可能性がある
グチャっと体内の中身を飛び散らせながらも、まだガソゴソと蠢いているかもしれない
>キャー!
静寂の世界に響く悲鳴は
余計な音が無い分、いつもよりも大きく響き渡って聞こえる
夜中にそんな音を出したら近所迷惑だ
その声に反応して後ろを振り向くあま公
懐中電灯を不審人物の顔に向けて照らし当てる
人は暗闇から急に光を当てられると眩しさで目が潰れるような感覚に襲われる事がある
君はどうだろうか?
「うるさい」
背後の人物を確認して「何だ人か」程度の反応をする
ゴキブリを潰した程度で騒ぐな、近所迷惑だろって感じだ
そのまま再び暗闇の道を歩き出す
目指すはそこの明かりが灯っている店、コンビニだ
最近のコンビニは深夜営業は止めている所が多いが
ここは未だに深夜営業をしているらしい
まったくご苦労な事だ
121
:
大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』
:2023/03/12(日) 18:33:20
>>120
そんなライトに照らされたのは、黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳 女子)のオオカミ少年の大神さんだ。
「ううっ……あっ、あまちゃん。こんばんは……。
しくしくしく……ボクのブーツにGがぁ……Gがぁ……」
ちょっと泣きそう。
「ううっ……足洗え〜足洗え〜」 ←妖怪:足洗邸のようなうらめしい声
「よし、そこのコンビニで洗わせてもらおう」 すたすたすた←早足の擬音
大神さんは甘城さんをすたすたと追い抜かし、颯爽とコンビニに入っていきます。
「すいませーん!ちょっとおトイレ貸してください!」
入店して店員さんに一声かけるのだ。
122
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/03/13(月) 18:33:24
>>121
すたすたとあま公を追い抜かしてファミマに駆け込む大神
そんな大神が踏み潰したゴキブリの様子を見るあま公
ガサ…
ガサ…
瀕死のゴキブリはぺたんこに潰れ、液体を垂れ流しながらも
頑張って何とか手足を動かしている
しばらくは地獄を味わいながらも生き続けるだろう
かわいそうだが、助けてやる事は出来ないし、助ける義務も義理も無い
ゴキブリを見捨ててファミマに入店する
バイト「…いらっしゃいませー…」
バイトと思われる女はやる気が無いのか?夜勤で疲れているのか?
生気の無いような虚ろな目をしながら、無気力な接客を行う
ちなみにだが、コンビニでトイレだけ借りて何も買わずに帰ると建築物侵入罪になる
まぁ、どうでも良い話か?
さて、おでんを頼もうと思ってちょっとホットスナックのコーナーを見て見たが
残念な事におでんはもう無いようだ…
どうしたものか?
123
:
大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』
:2023/03/13(月) 19:26:21
>>122
そのゴキブリの描写いる?
>ちなみにだが、コンビニでトイレだけ借りて何も買わずに帰ると建築物侵入罪になる
調べた感じ『なることもある』(可能性がないわけではない)くらいぽいー。
>残念な事におでんはもう無いようだ…どうしたものか?
おでんがなければファミチキを食べればいいじゃない、ってマリー・アントワネットは言ってないらしいよ。
>バイト「…いらっしゃいませー…」
「あとでファミチキかなにか買うのでトイレ使わせてくださーい!」
店員にひと声かけてトイレに入る。
〜〜〜しばらくお待ちください〜〜〜 ←詳しく描かれないトイレ描写
「ふ〜、すっきりした。ブーツもピカピカだぜ」 スッキリ〜
トイレから出てきた。
マンガでいうと2コマ(トイレ入るコマ→トイレ出るコマ)くらいの出来事と思われる。
124
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/03/14(火) 18:07:11
>>123
>おでんがなければファミチキを食べればいいじゃない
おでんとファミチキでは
ジャンルが全く違い過ぎて代わりにはならないのでは…
大神が靴にべっちゃりとくっついた
ゴキブリの肉片を洗い流してトイレから出た時の事だった
カサ…
カサ…
大神の足元に何かが蠢く音がする
それはともかくとして
おでんが無かったので中華まんを見ているあま公
シンプルに肉まんかあんまんにするか
ちょっと変わったものだがホットケーキまんがある
少し迷ってホットケーキまんとカフェラテを注文した
さて、この店舗はイートインスペースがあるようだが
このまま店で食べるか、それとも外で食べるか
125
:
大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』
:2023/03/14(火) 20:20:47
>>124
>おでんとファミチキではジャンルが全く違い過ぎて代わりにはならないのでは…
ファミチキは完全上位互換の完全食だからなんとかなるなる
>大神の足元に何かが蠢く音がする
「何も見なかったことにしよう」(横山三国志AA略)
見なかったことにしてスィーッと足早に通り過ぎる。
スィーッ ←スイーツ(笑)
「んーと、なにはともあれドクターペッパー」
飲み物コーナーからドクターペッパーを手に取る。
「これ(ドクターペッパー)と、ファミチキ(プレーン)ください。支払いはSuicaで」 ピピッ ←魔城ガッデムの音
レジをする。
>甘城
「フハハ、待たせたな」←鳳凰院凶真のポーズを取りながら
先に買っていたであろう甘城に声をかける。
「とりあえず、この季節の夜はまだ冷えるから店内じゃね?」
店内を勧めつつ、
「それとも、寒空の中でほおばるのに意義を見いだす派?」
外でもいいんじゃね、と。
126
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/03/15(水) 18:00:44
>>125
店内で食う事を勧められ、イートインスペースに向かうあま公
これが分岐点だったのかもしれない
> スィーッ ←スイーツ(笑)
??????
申し訳ないがちょっと意味が分からない…
>これ(ドクターペッパー)と、ファミチキ(プレーン)ください。支払いはSuicaで
バイト「ファミチキは…無い」
ホットスナックのコーナーにはファミチキは無かった
ファミチキどころか、揚げ物の類は全部無い
大神を見ずに、ドクペの会計だけするバイト
その視線の先にあるのは…
カサ…
カサ…
生気の感じられない顔で見つめていたのはゴキブリだ
大神が無視を決め込んだ奴だ
そのゴキブリは、ぺちゃんこに踏み潰されて瀕死の状態で藻掻いている
さっき大神が潰した個体と関係があるのか、無いのか不明だが
とにかく潰されている
大神はこのまま無視し続けても良いし、反応するのも自由だ
あま公は椅子に座り込みホットケーキまんを半分に割った
あっつあつのメイプルシロップソースが中から顔を出す
猫舌のあま公は、一口サイズに千切りながら慎重に口に入れる
ホットケーキまんを食べながら、藻掻き苦しむゴキブリを観察する
このゴキブリはいつ誰に踏まれたのか?
店内に客は自分達以外にいないようだ
ゴキブリはああなった状態でいつまで生きていられるのだろうか?
パチ
パチ
どうしたのだろうか?
店内の照明がパチパチと点滅をしている
127
:
大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』
:2023/03/15(水) 22:18:37
>>126
>> スィーッ ←スイーツ(笑)
>?????? 申し訳ないがちょっと意味が分からない…
なんかこう……【スィーッと通り過ぎる感じ】で……スィーませぇん……
>大神を見ずに、ドクペの会計だけするバイト
「ドクペしか持ってねぇ!」
無いものはしょうがない、ドクペの料金を払おう。
>これが分岐点だったのかもしれない
>大神はこのまま無視し続けても良いし、反応するのも自由だ
くっ!突発場スレ導入ミッションか!てやんでい!ちくしょうめぃ!(ほめ言葉)
>店内の照明がパチパチと点滅をしている
大神「ちょっとちょっと、あまちゃん。 なんか不穏な空気になってるんだけど……」 ← ドクターペッパーを飲みながら
大神「なんなの? なんなの? 度重なるオオカミ少年の愚行に、ついに編集長と南海トラフが怒りはじめた?」
そう言うと、大神さんはスタンド『ネヴァー・グローイング・アップ』(ウェアウルフのすがた)を発現しました。
↑ 実はレアなスタンド発現。 なぜなら本体(破ス精CCC)が動いたほうが強いくらいにステータスが低くく(破ス精DCD)、遠隔操作するとむしろ被弾しやすくなるため。
大神さんのスタンド【ちょっとトドメ刺してくる】 (以下、【】内はスタンド会話)
そういうと大神さんのスタンドは『ニセの毛皮』(スタンド物質なので常人には見えない)をひるがえし、『藻掻き苦しむゴキブリ』の方へ向かっていきました。(破ス精DCD 射程B(15m) )
大神さんのスタンド【この毛皮、汚れても再発現すればキレイキレイだから、触りたくないモノ叩くのに便利なんだよね】
どうやら『毛皮ごしにぶっ潰す』つもりのようです。
能力詳細:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/174-175
128
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/03/16(木) 18:12:10
>>127
パチパチ明滅する店内を歩く毛皮を持ったスタンド
そのスタンドは死にかけのゴキブリに向かい、毛皮越しに…
グシャ
潰した
スタンドの見えていないバイトには、ゴキブリが突然勝手に潰れたように見える
ゴキブリにとっては、苦しみから解放され良かったのか
それとも、生き地獄を味わってでももっと生きたかったのか…
それは今となってはもう分からない
そんな様子をホットケーキまんを食べながら観察するあま公
ホットケーキ風の中華まんの生地とメイプルソースの相性が良くて
変わり種としては意外と美味い
ホットケーキの味なのでカフェラテともよく合う
バンッ!
大きな音が鳴ったかと思うと、店の照明が完全に消えた
バイト「…」
暗闇の中をのろのろ歩きながら、
ゴキブリの残骸を素手で掴みバックヤードへと引っ込んでいく
「…」
まんじゅうを食べ終え、カフェラテを持ちながら店を出る
129
:
大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』
:2023/03/16(木) 22:17:08
>>128
「きゃあ!」 ←暗闇にビックリした大神さんの声
「あ、お仕事ごくろうさまです……」
暗闇の中でうごめくバイトにねぎらいの言葉をかける。
スタンド【やる気なさそうだったけど意外と仕事したね、あの店員……】
>まんじゅうを食べ終え、カフェラテを持ちながら店を出る
「はー怖かったね、あまやん」
甘城に続いて店を出る。
「……あまやん、さっきから無言だけど……
『実はその正体はのっぺらぼうで【それはこんな顔だったかい?】というオチが待っている』
……なんてことはないよね?」
「ないよね? ハハハ……」
130
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/03/17(金) 18:09:44
>>129
店の外に出て、さっき歩いて来た道を懐中電灯で照らす
そこには、先程大神が踏み潰したゴキブリが居た
誰かにとどめを刺されたのだろうか?
既に息絶えているようだ
ふと、空を見上げる
少し雲がかかった三日月が地上を照らしている
ワォーン
どこかから犬の遠吠えが聞こえる
深夜に鳴かないように、飼い主にはしっかり躾けをしてほしいものだ
カフェラテを飲みながら暗い夜道を歩き出すあま公
ミルクの優しい甘さと少し苦いコーヒーの味がする
後日の話になるが、
この日バイトをしていた女性はいなかったらしい
大神にはどうでもいい事かもしれないし、知る事も無いかもしれないが
131
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』+『撫子』
:2023/03/21(火) 19:59:40
散歩を兼ねた買い物を終え、普段着の喪服姿で通りを歩く。
購入したのは『キャットフード』だ。
ある出来事をきっかけに、『猫』と同居する事になった。
『奇妙な存在』ではあるものの、性質は普通の猫と変わらない。
眠っている事が多いが、一緒にいると穏やかな気持ちになれる。
ゴソ……
被っている『帽子』――黒いキャペリンハットが、風もなく僅かに揺れ動いた。
132
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/22(水) 18:56:25
>>131
「〜〜〜♪」
通りがかった店から見慣れた女性の姿が見えた。
鼻歌交じりに店の外に出てきた彼女は買い物袋を下げている。
「あ、こんにちはー。」
どうやら笑美は気づいたようで、軽く手を振る。
133
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』+『撫子』
:2023/03/22(水) 19:17:00
>>132
聞き覚えのある声に足を止め、見慣れた姿に視線を向けた。
「笑美さん――」
コツ コツ コツ……
「――こんにちは」
……スッ
微笑みながら歩み寄り、丁寧に頭を下げる。
「お買い物ですか?」
ピコッ
そう言った時、帽子から『猫の耳』が生える。
デザインの一部にも見えるが、さっきまではなかった。
『帽子猫』が目を覚まし、耳を起こしたのだ。
134
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/22(水) 19:25:23
>>133
「ええ、ちょうど買い物をし終わったところです。
今日の夕飯です。」
そう言って袋を見せる。
見えるのは人参にじゃがいもに豚肉…
それからいくつかの香辛料だ。
おおよその想像がつきそうな代物である。
「あら?あらあら。」
突然帽子からぴょっこりと猫の耳が生えてきた。
軽く驚いた笑美は、同時に興味深そうに帽子をジロジロ見る。
「猫耳が出てて可愛いですね。
…それともそれは本当の猫ですか?」
じっと小石川の被っている帽子を観察する。
見た感じは一体どう見えているのだろうか。
135
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』+『撫子』
:2023/03/22(水) 20:06:12
>>134
笑美が購入した品物を眺めると、数日前の出来事が思い出される。
涙音と由楽を預かった時の事だ。
とても楽しい時間だった。
「今夜は『ポークカレー』ですね」
ニコ……
夕食のメニューを予想した直後、『帽子の変化』を指摘され、
『撫子』が目覚めたらしいと気付く。
「――あ……」
ソッ
買い物用のバッグを腕に掛け、両手を使って帽子を脱ぐ。
「この子は――『猫』です……」
……モゾ
近くで観察していると、その帽子が独りでに動いた。
まだ起きたばかりのようで、半分だけ開いた眠そうな目で笑美を見つめている。
かなり奇妙な姿をしているが、間違いなく『生き物』だ。
136
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/22(水) 20:43:32
>>135
「ええ、そうです。
由楽が小石川さんのお家で一度預かっていただいてからというもの
その話を良くしていて、それで今日、私のカレーを食べたいってねだってきたんです。」
そう言って微笑んだ。
一度二人を預かってもらった時の話は、涙音も由楽も楽しく話してもらっていたのだ。
「へー、この子が猫…なんですか。」
じっと見ていると帽子にしか見えないが、
「すごいですね。本当に生き物です…
こんな不思議な生き物もいるんですね。」
そう言って少し手を出す。
「…触っても良さそうですか?
その、慣れてない人相手だと引っ掻いたりするとかありませんか?」
触ってみたくてしょうがない様子が笑美からは伝わってくる。
そもそも爪があるのか、それが謎である。
137
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』+『撫子』
:2023/03/22(水) 21:12:47
>>136
よく見ると猫らしく毛が生えており、目立たないが尻尾も備わっていた。
「お友達の『ナイ』さんが……。
『魔物事件』で集まった時に、皆さんに『シール』を配っていた子です」
少し前まで、あの事件を口に出す事に対して『躊躇い』を感じていたが、
『精神の休息』を得た今は、以前ほどの『辛さ』はない。
「『彼女が連れている猫』の力で、私の帽子は『猫』に変わりました」
『帽子猫』は大人しい性格のようで、引っ掻いたりはしてこない。
『マンチカン』に似た足は非常に短く、ツバの下に隠れている。
だから、普通の帽子のように被る事が出来るのだろう。
「ええ……大丈夫です。
撫でられるのが好きなので、『撫子』と名付けました」
「多くの人から愛されて、撫でてもらえるように……」
撫でられる事を期待しているのか、『撫子』は笑美の手を見つめている。
138
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/22(水) 21:36:48
>>137
「ナイさんですか…
あのときの…
…あの時はいろいろあって、ナイさんと話す時間があんまりありませんでしたね…」
そう言ってさわさわと猫を撫でる。
「猫ちゃんにしてもらったんですねー。
なんだかとても可愛いです。」
ニコニコしながらその猫を撫で回す。
「撫子ちゃんっていうんですね。
私も撫でさせていただいて…
きっと嬉しいですよね?」
じーっと猫の様子を伺っている。
「いいこいいこー。」
139
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』+『撫子』
:2023/03/22(水) 22:07:51
>>138
まず感じられたのは、柔らかな毛皮の手触り。
それから、ほんのりとした体温の温かさが伝わる。
笑美の手に触れている感触は、まさしく猫のものだった。
「――にゃ……」
撫でていると、小さな鳴き声が返ってきた。
『撫子』が笑美の手に擦り寄っている。
きっと喜んでいるのだろう。
「……今日は『キャットフード』を買ってきたんです」
スッ
今度は、こちらが笑美にバッグの中身を見せる。
言葉通り、そこにはウェットタイプのキャットフードがあった。
『まぐろ』と『ささみ』を使った品のようだ。
「ナイさんも、笑美さん達の顔と名前が一致していないようでした。
ですが……また会えば気付いてくれるでしょう」
スタンド使い同士は、不思議な『引力』で結ばれている。
いつか再会する時が来るかもしれない。
同じ町に住んでいれば、それは珍しい事ではない筈だ。
140
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/22(水) 22:21:49
>>139
「いいこいいこ。
喜んでくれてるみたいですね。
私も嬉しいです。」
触ってみた感触はたしかに猫そのものである。
帽子として乗せていたらさぞ暖かそう、と思えた。
「そうそう、猫ですから食べ物も必要になってきますよね。
おトイレも必要になるでしょうね…そうなると…。」
キャットフードを見ながら微笑んだ。
「まぁ、いつか出会えるでしょうね。ナイさんとも。
なんかこの町で歩いてると、スタンド使いの人と出会うことも多いですしね。」
笑美自身もなんとなく感じていることだ。
スタンド使い同士は惹かれ合うということ、きっとまたどこかで出会えるという確信を。
「それにしても柔らかい…ですね。」
もふもふとした撫子の胴体は、なんだか離すのが惜しくなる感触だ。
141
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』+『撫子』
:2023/03/22(水) 22:45:26
>>140
しばらく撫でていると、『撫子』は再び目を閉じ始めた。
どうやら、また眠くなってきた様子だ。
笑美の撫で方が良かったのかもしれない。
「迎える準備は必要でしたが……それも楽しみの内です」
小石川の表情は、とても穏やかだった。
振り返ってみれば、夫と死別してから、ずっと一人きりで暮らしてきた。
ある程度は慣れたとはいえ、寂しさを感じる事は少なくなかったが、今は『撫子』がいる。
「一緒に過ごせる事は、私も嬉しいですから……」
傍にいてくれる『同居人』の存在は、
心の中に『新たな安らぎ』をもたらしたのかもしれない。
「――……被ってみますか?」
ソッ
眠りに入った『撫子』を両手で支え、笑美の手元へ差し出す。
142
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/22(水) 22:50:54
>>141
「ペットを飼う時はみんなとても苦労すると聞きます。
家では飼っていませんけど、こういう家族も良いものなんでしょうね。」
以前に見られたような小石川の雰囲気よりも柔らかくなったように思えた。
新しい家族の存在は彼女にとっての新しい癒やしなのかもと考える。
「大事にしてあげてくださいね。
きっとその子も答えてくれると思います。」
余計な心配だとは思いつつも
彼女に向けて声をかけた。
「良いんですか?
…撫子ちゃんは、私のことも気に入ってもらえるでしょうか…」
差し出された撫子を気をつけながら両手で抱え込む。
なるべく優しく頭の上に載せようとする。
143
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』+『撫子』
:2023/03/22(水) 23:17:34
>>142
元が帽子なので、自然に被る事が出来た。
実際に『撫子』を頭に乗せると、
撫でた時とは少し違う感触があるような気がする。
帽子のような猫のような、どちらともつかない不思議な感覚だ。
しかし、決して不快ではない。
少なくとも客観的には、『猫の耳が付いた帽子』にしか見えないだろう。
「ええ――もちろんです」
コク……
「……私も大切な『家族』だと思っていますよ」
笑美が投げ掛けた一言に、同意を込めた頷きを返す。
「――ありがとうございます」
そして、感謝の言葉も。
……………… ……………… ………………
ふと気付けば、すっかり話し込んでしまっていた。
笑美には、きっと夕食の支度があるのだろう。
あまり長く引き留めるのも気が引ける。
「お時間のある時に、また私の家へ遊びに来て下さい。
『撫子』も待っていますので……」
スッ
『帽子猫』を抱きとめる為に、改めて両手を差し出した。
144
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/22(水) 23:38:15
>>143
「似合ってますかね?」
帽子、撫子を頭に載せた状態で
少し恥ずかしそうに質問する。
猫耳がついた状態の笑美。似合う、かも知れない。
「猫だから、暖かくもありますね。
寒い日に一緒にいるとより良さそうです。」
そう言ってから、頭に載せた猫帽子を取って
小石川に差し出した。
「きっと、撫子ちゃんも小石川さんのことを
大事な家族と思ってますよ。」
なんとなく触れてみて伝わったような気がした。
「そうですね。
またお家に御世話になるときもあるでしょうね。
その時は…色々料理を教わってもいいですか?」
そう言って微笑みかけた。
笑美も料理はできる方だが、由楽の楽しそうな様子を思い出して自分も教わりたくなったのだ。
145
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/22(水) 23:38:56
>>143
(追記)
//次が〆、了解しました。
146
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』+『撫子』
:2023/03/23(木) 00:09:42
>>144
「ふふ……よくお似合いですよ」
個性的なデザインではあるものの、お世辞ではなく、
笑美なら被っていても違和感はなかった。
「ええ、喜んで……。
私も笑美さんの料理を食べてみたいと思っていました」
……ソッ
「その時を楽しみにしていますね」
笑美から受け取った『撫子』を、起こさないように被り直す。
「笑美さんには、いつも感謝しています。
私と仲良くして下さっている事に……」
まだ幼かった頃に出会い、一緒に遊んだ『鵲笑美』という高校生の少女。
それから二十数年を経て『朱鷺宮笑美』と再会し、新たな友情を築いている。
これもスタンド使いの『引力』なのだろうか。
そうだとしても違ったとしても、笑美には心から感謝していた。
こうして立ち直る事が出来たのも、彼女の助けによるところが大きい。
「それでは、今日はこれで……」
スッ
背筋を伸ばして、深くお辞儀をする。
「――またお会いしましょう」
柔和な微笑を浮かべ、その場から立ち去っていった。
147
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』
:2023/03/23(木) 17:16:47
>>146
「どうもありがとうございます…
この歳で似合うっていうのもちょっと複雑な気分ですけどね。」
と言いつつも笑美の顔は嬉しそうだ。
「涙音は炒飯ばっかりうまくなるから
色々料理を教えてあげたいので、教えていただけるのは嬉しいです。
…せっかくだからお互いの得意料理を出し合ってみませんか?」
微笑みかける笑美。
その表情は、小石川も小さい頃に見たことがあるかもしれない。
刺々しい少女がふと見せた微笑みである。
「…ええ、こちらこそありがとうございました。
それではまた。」
そう言って手を振った。
「また撫子ちゃんをかぶらせてくださいねー。」
去り際に、笑美の声が後ろから聞こえてきたことだろう。
148
:
ほしみまくろう『スターライダー』
:2023/03/28(火) 21:49:52
ぴ〜ひゃららら〜〜〜
ぴ〜ひゃららら〜〜〜〜
春の日和り
穏やかな日差しの下を薄紅色の花弁が宙を舞う
連日の陽気によって咲いた桜の花が風に吹かれて落下しているのだ
お花見に絶好の景色
実際、花見を目当てにした人々がブルーシートを広げている
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
そんな情景の中、人型の着ぐるみを来た存在が
ブルーシートの真ん中に正座を組んで座っていた
彼の名前は『ほしみまくろう』
この星見町に数多いるご当地ゆるキャラの一人だ
彼は一体何をしているのか・・・・それは
>>149
が知っているのかもしれない
149
:
ほしみまくろう『スターライダー』
:2023/03/29(水) 23:19:05
>>148
数十分後、スタッフと思われる数人の男女を伴って
『ほしみまくろう』はこの場を離れて行った
何かのイベントの準備だったのだろうか・・・・それは誰にもわからない
150
:
勇者『リィン・カーネイト』
:2023/04/01(土) 11:24:10
今日はエイプリルフール、嘘をついても許される日だ
だから勇者は
>>151
に嘘をつく事にした
これもある意味勇気のある勇者行為だ
「そう言えば、この商店街取り壊してイオンモールが建てるんだって」
151
:
烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』
:2023/04/01(土) 18:51:04
>>150
「え!?」
突然耳に入ってきた言葉に思わず振り向いた。
「…そうなると…
このあたりにある駄菓子屋さんまで居なくなることに…
それはいけない!!」
落ち着かない様子になってきた。
「まだあそこのガシャポンを制覇してないうちに、そうなったら困る!」
152
:
勇者『リィン・カーネイト』
:2023/04/02(日) 17:50:38
>>151
これは…嘘に乗っているだけなのか
それとも、本気で信じてしまっているのか!?
いまいち判別が付かないが…
本気で信じているのなら早めにバラした方が良いような気がするが
「あそこのガシャポンって絶対封入率操作してるよね」
などと呑気に話をする勇者
いや、そもそもガシャポンで封入率操作する事なんてあるのか?
153
:
烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』
:2023/04/02(日) 18:54:13
>>152
「封入率操作?
まさかアタリのガチャが入ってないってこと!?」
またしてもレイは勘違いするかのように驚いた様子を見せた。
「うーん、だとすると私が狙っていたあのキャラが
なかなか出てこなかった理由も納得できるきがする…
どうしよう、10000円くらい費やしたのに…」
頭を抱えながら悩むレイ
詐欺られたのだとしたら自分が今までかけたお金は無駄になる…
そんなふうに考えているようだ。
「あぁ、そういえば新しくイオンモールができるってことだったけど…
そこでも新しいガチャができたりする?」
ふと気になったのか、顔を上げて勇者ちゃんに質問する。
154
:
勇者『リィン・カーネイト』
:2023/04/03(月) 17:55:49
>>153
10000円!?
ガチャにそんなに費やす奴が…いるか
ソシャゲでもリアルでも
しかしそれだけ回してアタリが出て来ないとはマジで操作されているのか…?
そんなに使うほどのガチャとは一体何のガチャなんだ?
「私も50回くらい回したけどコンプ出来なかったよ」
勇者も勇者で結構回しているようだ
>あぁ、そういえば新しくイオンモールができるってことだったけど…
>そこでも新しいガチャができたりする?
「出来るんじゃない?
どこのイオンモールにも行ってもガチャガチャが無い所は無かったし」
もっとも烏丸のお目当てのガチャがあるとは限らないが…
いやそもそもイオンモールなんて建たないのだが
155
:
烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』
:2023/04/03(月) 20:27:35
>>154
「やっぱり難しいんだなぁ、あのガチャは。
でもそうなると、最後のアタックを仕掛けないと…
できるまでに制覇できるくらいお小遣い残ってるかなぁ…」
ふと、自分の財布を取り出して確認する。
はぁ、とため息をついているためどうやら足りないらしい。
「なるほどね。
たしかにゲームセンターとかもできそうだし
新しいガチャも楽しみになってきた。」
不安と期待が合わさった表情で勇者の話を聞くレイ。
この調子だとそのまま信じ込んでしまいそうだ。
156
:
勇者『リィン・カーネイト』
:2023/04/04(火) 18:03:29
>>155
「取り合えずちょっと回しに行ってみようよ
私もお金貸すからさ!」
ガチャを回しに駄菓子屋まで行こうと誘う勇者
金の無駄遣いな気がしないでもないし
勝算の無い戦いに挑むのは蛮勇だ
まぁ、蛮勇も勇気だしそれも勇者行為なのか?
「そういえば今何時だっけ?」
エイプリルフールは嘘をついて良いのは午前まで
午後になったらネタバラししなくてはいけないのだ
もしも今、午後だったら…
157
:
烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』
:2023/04/04(火) 22:43:35
>>156
「お、お金をくださる?!
なんてありがたいお方…
ぜひともガチャを一緒に回しましょう!!」
そう言ってぐっと拳を握ってあとをついていくレイ。
今日が何日なのかも覚えてなさそうである。
「今?えーっと…今は」
そう言って持っていたスマホを確認する。
「11時59分だからもうすぐお昼だね。
お昼を忘れてたよ。そういえば。」
そう言って頭をかいた。
午後まであと1分…!
158
:
勇者『リィン・カーネイト』
:2023/04/05(水) 17:59:34
>>157
セーフ!
もし既に午後を過ぎていたら、
勇者は聖剣で己の小指を詰めなければならないところだった!
「そっか、もうお昼か
どおりでお腹空いてたわけだよー」
こいつ、ネタバラししなきゃいけない事を忘れているのか!?
「ついでに駄菓子も買って食べよう」
エイプリルフールのルールを忘れて呑気な事を言っている勇者
駄菓子で昼食を摂ろうとしているが、それで腹は膨れるのか?
そして残り1分までにルールを思い出して嘘をバラす事は出来るのか!?
「今日は4月1日、新年度だし何か新しいのあるかな?」
159
:
烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』
:2023/04/06(木) 18:24:17
>>158
「お昼かー、せっかくだからご飯食べようかなー。
その後にでもガチャを獲りにいけば…」
そう言ってから勇者に向けて振り向いた。
「駄菓子もついでに購入してもいいかなー…
あ、そういえば新年度だったんだね。
今日から4月で…?」
勇者のその言葉を聞いて少し首を傾げた。
「4月1日って何かあったようなー…
なんだっけ?」
改めて聞き返す。
160
:
勇者『リィン・カーネイト』
:2023/04/07(金) 18:05:21
>>159
「うーん、じゃあどこ行く?
ファミレスか喫茶店にでもする?」
金欠ならワンコインで食べられる立ち食い蕎麦屋もあるが…
「え?何かあったっけ?」
残り5…4…3…2…1
「あーっ!思い出した!」
0
ギリギリセーフ!
「今日エイプリルフール!
だから私烏丸さんに嘘ついたんだけど…」
「どんな嘘ついたんだっけ?」
自分がついた嘘を忘れている!
こいつ痴呆症か?
「ねぇ、私どういう嘘ついたか覚えてる?」
そんなの烏丸が知るわけがないだろう
161
:
烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』
:2023/04/07(金) 19:05:00
>>160
「そうだなぁ、このあたりだと…あ、そういえばこの近くに
美味しいナポリタンを出す喫茶店があったんだった!
せっかくだからその辺に行かない?」
そう言って誘ってみる。
「何だったっけ…
あ、そうだ!エイプリルフール!
色々とネットでそういうネタをやってるの忘れてた!」
勇者につられて、レイも彼女の言葉に合わせるように思い出した。
今日一日が色々と楽しい日だったということをすっかり忘れてしまっていた。
「嘘?嘘ついてたの?
…私はわからないんだけど…」
なにか問答を問いかけられているように思ったレイは考える。
「うーん、うーん…
…ガチャがコンプできなかったとか?」
レイは的はずれな答えを出した
162
:
勇者『リィン・カーネイト』
:2023/04/08(土) 18:35:40
>>161
「あ、そっか!
ガチャコンプ出来なかったのが嘘だったんだ!」
烏丸の当てずっぽうな答えを信じた勇者
「じゃあ、私本当はコンプリートしてたんだ!」
言っている事が滅茶苦茶だ
「あーすっきりした!
これで心置きなくお昼が食べられるよ
ナポリタン楽しみだなー」
結局商店街取り壊しが嘘だという事を言っていない
163
:
烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』
:2023/04/08(土) 19:24:01
>>162
「つまりガチャのコンプが出来たってことかー!
すごい!」
そう言ってレイは楽しそうに手を叩いた。
勇者のことは尊敬に値する!とレイは考えている。
「それじゃあナポリタンを食べに行こうか。
大盛りがオススメだよ!
ついでにチーズもかけ放題だからいっぱいかけて大丈夫!」
そういいながら喫茶店の方向へと歩いていく。
「うーん、あの喫茶店はイオンモールが出来ても
きっと生き残ってくれると信じたい…!」
どこか不安そうに彼女はつぶやきながら
勇者と一緒に歩いていった。
ちなみにこの後嘘であったかを気づいたのかはまだわからない。
164
:
勇者『リィン・カーネイト』
:2023/04/09(日) 18:20:06
>>163
>つまりガチャのコンプが出来たってことかー!
>すごい!
「えへへそれほどでもー」
賞賛の言葉を受けて満足そうに笑いながら頭を掻く
実際にはコンプしていないのでまた嘘をついた結果になるのだが
本人は何故かコンプしたつもりになっていて、嘘をついているという自覚が無い謎の状況だ
「大盛りナポリタン良いねぇー!
あっ、ナポリタンって日本発祥のパスタで
イタリア人からはケチャップをかけるのは邪道だからって嫌われてるんだって」
割と誰でも知ってそうな豆知識を得意気に披露する勇者
その程度の知識を自慢しようとするのもある意味勇気なのか
その後、烏丸 レイは誰かから聞いて真実を知るのかもしれないし、自力で気付くかもしれないが
いつまで経っても工事が始まらないんだから、いずれ嘘はバレるだろう
尚、勇者は何故か自分がついた嘘を本当と信じていたらしい
165
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2023/05/15(月) 18:09:40
新しくオープンしたばかりのカフェ。
少しずつ暖かくなってきたので、開放的なテラス席が心地良い。
はちみつ入りのロイヤルミルクティーを飲みながら、
刻一刻と変化する街の様子を眺めていた。
「ほうほう」
「おん??」
「むむむむむ」
「へぇ〜〜!!」
「なるほどなるほど」
傍らで頬杖をついているのは『金髪の人型スタンド』。
常人を超えた『超人的聴覚』によって、人々の会話や噂話に耳を傾ける。
次々に『ピント』を切り替えつつ、面白そうな話を探ってみよう。
166
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2023/05/16(火) 20:44:20
>>165
「――――――ん??」
しばらくして、『面白そうな話』が耳に入ってきた。
「ほほう」
ニヤッ
「よし!!」
ガ タ ッ
椅子から立ち上がり、会計を済ませると『ある場所』に向かって歩き出す。
167
:
習志野凪『インターステラー・オーバードライブ』
:2023/05/19(金) 22:41:49
商店街内の喫茶店、窓際の席。
ぼんやりと外を眺めている。
「……」
店内は混雑する時間なのかごみごみとしている。
もしかしたら、次に来る客は相席になるかもしれない。
168
:
乃々『ポリシネル』
:2023/05/21(日) 14:28:42
>>167
アシメショートのヘアスタイルとシアーレースを多用したファッション。
首・手首・足首に巻かれたリボン。
前の席に座ろうとしているのは、そんな風貌の少女だった。
「あの……失礼します‥…」
スッ
学校と違って、外出中は知り合いと出会う機会が少ない。
だから、確認はしなくても良かった。
もし顔見知りだったら、その時に反応すればいい。
169
:
習志野凪『インターステラー・オーバードライブ』
:2023/05/21(日) 16:11:56
>>168
「どうぞ」
そう言葉を返した。
タンクトップに上着を羽織り、足を組んで座っている。
黒く長い髪が揺れていた。
「悪いね、相席で」
「私が悪いわけでもないけれど」
170
:
乃々『ポリシネル』
:2023/05/21(日) 16:32:27
>>169
「あは…………」
「ここ、人気あるみたいですね」
どことなく儚い笑みを浮かべ、座席に腰を落ち着けた。
初めて来る店だ――と思う。
記憶にはないし、記録にもない。
「『アップルティー』を一つ」
注文を出してから、手帳を取り出してテーブルに置く。
サラ サラ サラ
空いている頁に、『店の名前』と『注文した品』を書き込む。
「お姉さんは、よく来られるんですか?」
黙ったままなのも変な感じがして、思った事を口に出した。
171
:
習志野凪『インターステラー・オーバードライブ』
:2023/05/21(日) 17:10:28
>>170
「どうだろう」
「これからよく来るようになるかもね」
手帳に書き込むのを横目にそう言った。
「なにぶん、最近この町にいついてね」
「今の私は割合真っ白なんだ」
172
:
乃々『ポリシネル』
:2023/05/21(日) 17:31:19
>>171
「『真っ白』」
その言い方に、親近感を覚えた。
「……私もお姉さんと似てるかもしれません」
「会ったばかりなのに、馴れ馴れしくしちゃって……」
自分が言った言葉を気恥ずかしく感じ、手帳を閉じてしまおうとする。
………………ハラリ
その時、一枚の紙が床に落ちていった。
頁の間に挟んであったようだ。
長い文章が丁寧に書かれており、内容の一部は視界に入ったかもしれない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
細身な人型のスタンド。
華美な印象だが、その顔だけは真っ白に塗りつぶされている。
『本体の記憶』の中の『動作』を、人形劇の如く『再演』させる能力。
『ポリシネル』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そのような事が記されていた。
173
:
習志野凪『インターステラー・オーバードライブ』
:2023/05/21(日) 18:28:39
>>172
「おっと」
「何か落としたよ」
さっさとそのメモを拾う。
そして……
「……」
メモの内容が目に入る。
「君も最近ここに来たのかな?」
「それとも、何か別の理由?」
そんな話をしていると、注文した商品がやってくる。
君の頼んだアップルティーと、目の前の人間が頼んだらしいレモンティーだ。
174
:
乃々『ポリシネル』
:2023/05/21(日) 18:50:31
>>173
紙が落ちた事を指摘されて、反射的に手を伸ばしかけた。
しかし、先に拾われてしまい、自分の手を引っ込める。
おずおずといった調子で。
「そういう訳じゃないんですけど……」
「……私、すごく忘れっぽいんです」
「だから……『真っ白に近い』っていうか……」
何となく気まずくて、つい歯切れが悪くなる。
「何でも書いておかないと、すぐに忘れちゃって……」
そんな時、頼んだお茶がやって来たのを見て、店員に会釈する。
…………チラ
相手の手の中にある『メモ』に視線を向ける。
175
:
習志野凪『インターステラー・オーバードライブ』
:2023/05/21(日) 19:56:27
>>174
「いいじゃないか。それもまた人生だからね」
「……と、言うのは少し不謹慎かな」
とはいえ、まずいことを言った、と思ってる風でもない。
「病気が体質か……いや、本質的にはそのふたつは同じかなぁ……」
「まぁともかく。外野からすると辛いだろうが、私はそれも悪くないように思えるよ」
レモンティーに口をつける。
……少し暑かったようで、すぐに離した。
「余白があるじゃあないか」
176
:
乃々『ポリシネル』
:2023/05/21(日) 20:23:48
>>175
実際の所は『慣れ』がある。
人の適応力は上手く出来ているもので、
忘れやすくなると共に思い出す力も強くなっていった。
今では記録を見れば、スムーズにインプットし直せる。
だから、普段の生活を送る分には、そこまで苦労はせずにいられた。
とはいっても、普通の人より手間が掛かる事は避けられない。
「――『余白』……ですか……?」
自分では思い付かない表現だと思った。
だけど、何となくしっくり来る言い回しだと感じる。
何も書かれていない部分というのは、人にとっても必要なものなのだろう。
「……そうかもしれませんね」
相手に合わせるように、アップルティーを一口飲んでから、正面に向き直る。
「あの……私『千々石乃々』っていいます」
「よかったら、お姉さんの名前……教えてくれませんか……?」
何を言ってるんだろうと考えながらも、思わずそんな言葉を口にしていた。
177
:
習志野凪『インターステラー・オーバードライブ』
:2023/05/21(日) 20:33:00
>>176
「習志野凪」
「何でも好きに呼ぶといいよ」
レモンティーに息を吹きかける。
「人はよく忘れる生き物だ。私も何かを忘れそうになってる」
「だけどその分、何かを書き込める。だろう?」
どこか達観したような目でいう。
「何でもかんでも覚えていても、荷物になるだけさ」
178
:
乃々『ポリシネル』
:2023/05/21(日) 20:48:07
>>177
「えっと……『凪さん』……」
いきなり下の名前で呼ぶのは馴れ馴れしいだろうか。
そう思ったけど、この方が『しっくり来る』感じがする。
だから、遠慮はしない事にした。
「……凪さんの言う事、分かるような気がします」
「ノートはいっぱいになったら次のノートに買い替えられますけど、
頭の中がいっぱいになっちゃったら、
どこかに上書きするしかないですもんね」
習志野が語った言葉を、自分なりに解釈して口に出した。
「あっ――さっきのメモですけど……」
それから思い出したように付け加える。
「あれは何ていうか……その……」
説明しようとしたが、何と言っていいか分からず、舌が回らない。
179
:
習志野凪『インターステラー・オーバードライブ』
:2023/05/21(日) 21:37:47
>>178
「メモ?」
そう復唱して。
「あぁ、別に、気にしないさ」
からからと笑って。
「そういうこともあるんだな、って思っただけ」
180
:
乃々『ポリシネル』
:2023/05/21(日) 21:52:38
>>179
「あは…………」
安堵したように、つられて笑いを零した。
変に思われたのではないかと不安だったが、気にしすぎたのかもしれない。
そんな風に受け取って、『音仙のメモ』を元通り手帳に挟んだ。
「……私、そろそろ行きますね。
お話できて楽しかったです」
「もし――もし、また何処かで会う事があったら、気軽に話し掛けて下さい」
「私、きっとすぐに思い出しますから」
コトッ
空になったカップをテーブルに置き、席から立ち上がる。
スッ
「凪さん、いい一日を……」
お辞儀をして、会計をする為にレジへ向かった。
店の外に出てから、一度振り返り、窓の方を見る。
向こう側にいる習志野に軽く手を振り、通りを歩いていく。
181
:
習志野凪『インターステラー・オーバードライブ』
:2023/05/22(月) 18:19:42
>>180
「さようなら」
「いい一日を」
そう返して、紅茶を飲む。
ぼんやりとそのを見ながら。
「そういうこともあるんだね」
「……って」
「まったりする状況でもなかったかな?」
182
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/03(土) 00:19:24
目的のない行動が苦手だ。
だから『白岸・ノエル・トーリ』が歩くのは、
散歩でも散策でもなく、用事があるからだった。
「……」
とはいえ大した用でもない。
土日の食事を用意するための買い出しだった。
両手にエコバッグを持ち、今は、帰路を歩いている。
何か気になるものでもあれば――足を止めるだろう。
183
:
乃々『ポリシネル』
:2023/06/03(土) 15:49:28
>>182
アシメショートの少女が正面から歩いてきた。
透けるようなシアーレースを身に纏い、
首と四肢に巻かれたリボンが軽く揺れている。
『千々石乃々』だ。
スタ スタ スタ …………
目的は散歩。
つまり、これといって用事らしい用事はなかった。
強いて言うなら健康を保つ為というくらいか。
スタ スタ スタ …………
そちらに気付いていないのか、
立ち止まる事なく通り過ぎようとしている。
184
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/03(土) 17:16:58
>>183
「……」
話しかけるべきか、かけないべきか。
こちらは帰り道だ。冷凍食品などは買っていない。
あちらは……急いでいる雰囲気ではなさそうだ。
「こんにちは、千々石さん」
ペコ
なので選んでもらう事にした。
軽い挨拶だけだ。
「今日は。暖かくて、お出掛け日和ですね」
ただ返してこの場は別れたって良いのだし、
『この間のこと』を少し話す時間があっても、良い。
185
:
乃々『ポリシネル』
:2023/06/03(土) 18:02:08
>>184
――――――ピタ
名前を呼ばれて足を止める。
(もしかして……会った事あるのかな……)
記憶にない顔だった。
忘れてしまっている。
しかし、挨拶されたのなら返すのが礼儀だ。
「あ――こ、こんにちは」
何となく緊張して、ほんの少し言い淀んでしまう。
「えっと…………」
スッ
「…………ちょっとだけ待って下さい」
パラ パラ パラ
申し訳なさそうに断りを入れて手帳を取り出し、頁をめくる。
思い出すべき事は記録に取っている。
まもなく、それらしい箇所が見つかった。
ミルクティー色の長い髪と、切れ長の深い青色の瞳。
『地歴準備室で出会った』とある。
「『白岸・ノエル・トーリ』さん、ですか?」
開いた手帳から顔を上げ、確認するように言った。
186
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/03(土) 18:34:15
>>185
「……」
「はい。そうです、『千々石』さん。
『トーリ』は、『白岸・ノエル』です。
『学校』では、ありがとうございました」
一瞬、面食らったのが顔に出た。
が、よくよく考えれば二人は『二度目』に過ぎず、
忘れられていたとしても――すごく不思議、ではない。
「――どこか。座りますか?
立ち話は。トーリの腕が、少し、疲れそうです」
ただ。予想外の反応で。
少し、つづきの言葉に悩んでしまったが。
「お急ぎでしたらまた学校でも。トーリは構いません」
どちらにせよ、また、『選んでもらう』事にした。
そそくさと別れるのも、
相手の事情を知らず話し続けるのも、とても失礼な気がしたから。
187
:
乃々『ポリシネル』
:2023/06/03(土) 19:06:23
>>186
「あっ」
「……そうですね」
「気付かなくって……」
言葉を紡ぎながら辺りを見回す。
近くに座れそうなベンチが見つかり、そこに視線を向けた。
閉じた手帳は腕の中にある。
「……お話――したいです」
「白岸さんがよかったら……」
――――ストン
普段なら付いていく側なのだが、
今は率先して動かなければいけないような気がして、
先に腰を下ろした。
「地歴準備室でお会いしたんでしたよね」
「放課後、一緒に『掃除』をして…………」
それも記録されていた。
『放課後に待ち合わせて片付けをした』と。
しかし、詳しい内容までは分からない。
188
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/03(土) 20:29:40
>>187
「お気になさらないでください。
トーリも時々、知り合いに気付きません。
呼びかけて……立ち止まってくれた。
それでトーリは、満足な気持ちです。
それに……呼びかけたのは、千々石さんが、
あの時。『声をかけていい』と言ってくれたから」
スタスタ
「トーリも。お話しがしたかったので。
嬉しいです。ぜひ座りましょう」
ゆっくりと、『千々石』の隣に腰掛ける。
荷物はそれと逆側の空いたところに置いたが、
千々石からも、中身が野菜なのは見えるだろう。
「ええ。『地歴準備室』を掃除しましたね。
あの時は――それほどお話できませんでした。
思ったより、かなり、掃除が大変でしたからね」
『あの時』の放課後の掃除はかなり難航した。
重いものも多かったし、埃も年季が入っていた。
もちろん、後悔はない。『思い出』を作れた。
「……千々石さんは。今日は、お散歩でしょうか?」
荷物を持っていないこと――――それから。
どこか、不安げにあの時のことを話すので。
過去よりも今の話をした方が、お互いの為だと思ったから。
189
:
乃々『ポリシネル』
:2023/06/03(土) 21:18:35
>>188
「あの――こちらこそ……『ありがとうございます』」
見る気はなかったが、自然とエコバッグの中身が見えた。
『食材の買い出し』だろうと考え、今度は意識的に目を逸らす。
生活の一部を覗き見しているようで、悪い気がしたからだ。
「そう……でしたよね」
相槌を打ちながら、頭に片手を添えて思い出そうとする。
そうしていると、おぼろげに記憶の輪郭が蘇ってくる事があった。
『いつも』ではないが、身体を動かした記憶というのは、
会話だけのやり取りよりも比較的残りやすい。
「あは……私、忘れっぽくて……」
きっと『いい思い出』になったんだろうと思う。
だけど、『あの時の気持ち』を、自分は覚えていない。
たとえ全てを記録していても、それは記憶の代わりにはならない。
けれど、トーリは覚えていてくれた。
相手の記憶に残るのなら、それが『千々石乃々の思い出』になる。
「――あ、はい。ちょっと歩こうかなって」
「なんていうか……『身体で覚える』って言いますし」
「だからっていう訳じゃないんですけど……」
ソッ
つい変な事を言ってしまったかもしれない。
そう心配して、隣に座るトーリを見た。
膝の上に置いた手帳――その上に乗った両手を所在なげに動かしながら。
190
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/03(土) 23:13:29
>>189
「お礼を。言いたいのはこちらでした。
でも……トーリは、言われて悪い気はしません」
フ…
冷たい顔をほんのわずかに崩す笑みを浮かべ、
ゆっくりと紡がれる千々石の言葉を待つ。
待つ時間は考える時間であり、
自分で編む言葉を飾る余裕でもある。
「忘れっぽい――――」
泳ぐ手の下の手帳に、ほんの少しだけ視線を落とす。
「メモを。だから。取られているのですね。
トーリは……そう、トーリは立派だと思います。
欠点を自覚して、埋めるための、努力」
ジ
「歩む先を定めるための」
ゆっくりと、視線を上げた。目が合う。逸らさない。
「……トーリのことも。
忘れないように、書いてくれたのですね。
忘れずにいてくれるのと、同じくらい。
トーリは、嬉しいです」
『白岸・ノエル・トーリ』に指針が必要なように、
『千々石乃々』には手帳が必要という話だ。
大事な話だと思ったから、率直に、言葉を続ける。
「今日のトーリも、きっと書いておいてくださいね。
千々石さんがいつでも。読んで、思い出せるように」
顔色を変えず、そう、付け加えた。
『思い出を作る』のは学生の本分。
「トーリは『買い出し』で。
今日の晩御飯の、ポトフを作るために。
新玉ねぎと。春キャベツ。ベーコンをひとかたまり」
「これは。書かなくて、忘れても。
トーリは千々石さんに、お任せします」
『千々石』にもそうなのかは、分からないから――トーリの願望だった。
191
:
乃々『ポリシネル』
:2023/06/04(日) 11:35:19
>>190
千々石乃々は自分を客観視している。
手帳に書かれた記録を見て、自分自身が何をしたかを思い返す。
たとえるなら観察記録。
観察するのは千々石乃々、観察されるのも千々石乃々。
それを繰り返す中で、
いつのまにか自分という存在そのものが薄れていき、
薄布のように透けていった。
「あはっ……」
フワ……
目線が合い、口元に浮かべた微笑みは、シアーレースのように儚い。
「私はトーリさんが、私の事を覚えていてくれたのが嬉しいです」
「声を掛けてくれて……忘れずにいてくれた事が……」
誰かに憶えていて欲しい。
そうする事で、本当の意味で自分を思い出せる。
こうして出歩いているのは、そういう願望もあった。
「だから、今日ここでお話した事も、
ちゃんと書いて『記録』しておきます」
「大切な『思い出』なので――」
そこまで話した時、一つの事に気が付いた。
「あ……」
ピタリ
泳いでいた両手の動きが、はたと止まる。
「わ、私……『トーリさん』って言っちゃいました……」
「トーリさんが、そう言ってたから……。
それで、つい……」
「じゃなくて、『白岸さん』が……」
無意識に『下の名前』で呼んでしまったのは、
彼女に『親しみ』を抱いたせいかもしれなかった。
192
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/04(日) 13:34:02
>>191
「トーリは。大切な事を、忘れないのが得意です。
話しかけていい友人が出来たのは、大切なこと。
貴女は「記憶」が、苦手だということも。
トーリがそれを覚えていれば、何度でも教えられます」
率直に、返した。
「でも。その代わり……トーリは。
自分で、『何が大切か』を決めるのが苦手です。
だから。……『乃々さん』がメモで記憶するように。
トーリも、自分の外に指針を任せています」
「トーリはそういうことだと。思います」
それから、自分の弱さを明かした。
そうすることがフェアだと思った。
「……それと、呼び方。トーリは自分の名前が、
この、『トーリ』という名前が好きです。
『乃々さん』は……お嫌でしたら、
これまで通り『千々石さん』と呼びますが」
「決めて、くださいますか? トーリの、代わりに。
そしてトーリは、それをしっかりと、覚えておきますから」
視線は留めたまま、『任せる』。
193
:
乃々『ポリシネル』
:2023/06/04(日) 14:55:05
>>192
「はい…………」
静かな声を聞いている内に、自然と落ち着きが戻っていく。
「それじゃあ――――『トーリさん』」
今度は無意識ではなく、意識して名前を呼んだ。
「だから、私の事も『乃々』って呼んで下さい」
――――――コクリ
委ねられた『選択』に対し、相手を思いやるように、深く頷きながら答えた。
「ちゃんと書いておきますから」
「そしたら、また『思い出せます』」
記憶して、忘れて、思い出す。
生きている限り、それを繰り返す。
けれど、『身体で覚えた事』は忘れにくい。
邂逅を重ねていけば、いつか確かな記憶として根付いてくれるかもしれない。
そんな風な淡い期待があった。
「あの――私の連絡先、トーリさんに教えますね。
あは……あんまり意味ないかもしれませんけど……」
「何か用事があった時は、遠慮なく連絡してくれると嬉しいです」
ゴソ
ポケットからスマートフォンを取り出した。
ケースは飾り気がない。
塗り潰されたように真っ白な色。
194
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/04(日) 15:30:28
>>193
「トーリは覚えました。
いえ。トーリも……そうすべきだと思いました。
改めて、よろしくお願いします。『乃々さん』」
ペコ
「しっかりと、覚えておきます。
ずっと。忘れないように。
必要な時に……伝えて、繋ぎ直せるように」
頷きにお辞儀を返す。
交友に長けたものなら最初から出来る関係だが、
『白岸・ノエル・トーリ』にはこの速度が合った。
「連絡先。大事に保存しておきます。
『乃々さん』からも。
連絡お待ちしております」
スッ
「用がなくても。構いません、友人との会話ですから」
目の色に近い、深い、黒に近い青のスマホケース。
白と黒というほど対極ではない――無地なのは同じだ。
「そろそろ、家に帰ります。
お話が出来て――トーリは嬉しかったです」
ザッ
「それでは、また。
次も。また、トーリは話しかけますね」
スタスタ…
連絡先のやり取りを済ませたら、
別れの挨拶をして、改めて『帰路』につく。
『今日のこと』も、記憶して、記録されているなら色褪せない。
195
:
乃々『ポリシネル』
:2023/06/04(日) 17:04:34
>>194
「ありがとうございます」
「『トーリさん』」
記憶に留めるように繰り返し、お辞儀には同じように頭を下げる。
白岸ほど綺麗な所作ではなかったが、無理に背伸びをするよりも、
正直な自分で応じるべきだという気持ちで向き合う。
滞りなく『登録』を済ませると『記録』が一つ増えた。
「――あ、はい……」
スゥッ
立ち上がり、歩き出す友人を見送る。
一概に『同じ』とも『正反対』とも言えないだろう。
しかし、一人の人間として、何となく重なるような部分を感じていた。
「『ポトフ』――でしたよね」
「トーリさんの作るポトフ、おいしそうです」
フワ……
どこか刹那的で儚げな笑みが浮かぶ。
「ちゃんと書いておきますから」
「トーリさん、また…………」
会釈をして、逆方向へ歩いていった。
記録は記憶にはならない。
けれど、記憶を呼び戻すきっかけになってくれる。
『今日の事』も、いつかは思い出せるかもしれないから。
196
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/06/07(水) 15:25:50
「はぁ…………」
町中の駐車場。
そこに停めた『ベスパ』のシートに腰を下ろし、何度目かの溜め息をつく。
美作くるみは問題を抱えていた。
「厄介なプレゼントを残していってくれたわね」
ひょんな事から『サーベル』を入手してしまったのだ。
『骨董品』ではあるものの、そのままという訳にもいかず、
『銃砲刀剣類登録証』を申請しようと思ったのだが、
法律上『日本刀』しか認められないらしい。
結果、仕方なく『自宅マンション』に置いてある。
「…………せめて『日本刀』なら良かったのに」
197
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/06/08(木) 20:57:08
>>196
スクーターのシートから降りて、
抜き取ったキーをスタジャンのポケットに入れる。
『電気カナリア』のマスコットが付いたキーホルダーに、
複数の『乗り物の鍵』が取り付けられていた。
普段の足代わりとして日常的に多用している『ベスパ』と、
遠出用の『ランドクルーザー』と、趣味用である『バーディー』の鍵だ。
ザッ ザッ ザッ
特に目的もなく街を歩きながら、『音仙』の言葉を思い出していた。
『才能』を活かして何かを成し遂げた時、
美作くるみは『次の段階』に進むだろうと。
それが何時になるかは分からないけれど――――。
「――――?」
ザッ
ふと足を止めて、何気なく視線を巡らせ、ある方向(
>>198
)に目を留めた。
198
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/06/09(金) 20:40:59
>>198
視線を向けた先には、イベントのポスターが張られていた。
『アイドルのライブ』が予定されているらしい。
しばらくの間、それを見つめる。
「――――…………」
やがて目線を外し、再び歩き出した――――。
199
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/10(土) 14:43:54
「……」
人気のやや薄い通りを歩いているとき、
うっかりと買い物袋を落としてしまった。
厳密に言えば、愛用していたそれの紐が切れたのだ。
スッ
ゆっくりとしゃがみ込み、一つずつ拾い集める。
声を掛けるものがいても不思議はないだろう。
……『邪魔だ』という意味でも、『手伝う』という意味でも。
200
:
芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』
:2023/06/10(土) 14:54:11
>>199
「こー言う人気の薄い所なら、居るかも知れないぜ。
と言うわけで、ウィゴーちゃん。もうちょい粘るけど我慢してくれ。
そして、俺が折れそうな時は応援してくれ。
俺は折れない……ウィゴーちゃんの愛さえあれば決して折れる事は無い。
それが俺の鬼滅の刃よぉ!!」
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。
とりあえず、玉壺あたりに喰われればどうです??』
なんか変な男と、スタンドらしい存在が歩いて来た。
男は虫取り網を持っている。
『ちょっと。あっちで困ってる人がいますよ。
手伝うって気はあんたに無いの』
「ウィゴーちゃん、時間ってのは有限なんだぜ!
それに新しめのPCって人気投票に食い込みやすいじゃん?
――だから手助けなんてしてやる気は毛頭ねぇ」
『いや、助けろ。なに意味不明な事で人助けさぼってんだ、てめぇ屑本体。
ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトだって言ってんだろキックじゃい!』ゲシッ!
「あくぅう(⋈◍>◡<◍)。✧♡ あ、愛のいちげ……」
『誰が愛じゃボケぇ!』ドゴォ!
どうやら、スタンドは『手伝う』意思はあるが。本体らしい男は『邪魔』だ。
201
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/10(土) 16:53:41
>>200
「……?」
男の発言は端的に言って意味不明だが、
『白岸・ノエル・トーリ』の気を惹いたのは、
それ以上に――傍に立つ『スタンド』だ。
「お気遣いを。……ありがとうございます。
ですが、落としたものは多くないから……
トーリは十分、一人でも拾えます。
そちらの方に従うのが良いと、トーリは思います」
『スタンド会話』の術はすでに覚えている。
そういうことができると『聞いていた』から。
驚くのは――スタンドが本体を攻撃した事だ。
どうにもスタンドに執心な様子の本体も含め、
そこには『主従』の逆転が感じられる。
ゴソ
「お二人は。どのような関係なのでしょうか?」
転がったのは何冊かの『本』や、文房具などだ。
書店に寄った帰りだった。
一冊の本を袋に詰めながら、顔を上げ、率直に尋ねた。
「不躾な質問を。……してしまいました。
答えづらいものであれば、トーリは謝罪いたします」
それから衝動に駆られた自分を顧み、小さく頭を振った。
202
:
芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』
:2023/06/10(土) 18:22:59
>>201
>お二人は。どのような関係なのでしょうか?
芦田「夫婦です」
ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト『異常者に仕える事になっちまった
可哀そうなスタンドです。誰が夫婦じゃ
裏路地に張り付いてるガムより酷い有様にしたるか、コラっ』ゲシッ
『すいません、トーリ様。ですが、失礼な本体に代わって、お詫びを。
何か困った事があれば、一応こちらの屑・異常者・下種野郎の本体の
仕事は探偵業なので、手伝い出来るかと……』
芦田「控えめにいって、人気投票に入りそうな奴の頼みは聞きたくねぇ」
『喧しい、ちょっと口閉じてなさい』
芦田「そういや……これだけ発言させてくんない? ウィゴーちゃん。
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトだってぇの、まぁ別にいいよ』
そう常に訂正してくれる俺の女神は最高だなぁ!
『誰が女神だ。歯ぁ引っこ抜くぞ』
……俺には探してる奴が居るんだ。
おんなぁ……動く人形について知ってる事はねぇだろうが?」
そう……かなり真面目ではないが、声色はある程度真剣? にも
百歩譲れば聞こえそうでもない尋ね方を男は君、トーリにしてきた。
『あ、答えなくても別にいいですよ。絶対禄でもない内容だって
今まで長くこいつのスタンドで居た手前、身に染みてるんで』
芦田「ふふっ♪ そんな、ウィゴーちゃん。俺と既に鴛鴦夫婦だなんて」
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。
はよ、こいつ誰でもいいから一度ぶっ倒して、強制的に矯正してくれねぇかな」
芦田「めっちゃ今の駄洒落最高だったよ、ウィゴーちゃん」
『駄洒落言った気はないんだわ。あとウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。
次ウィゴーちゃん言ったら、罰金ね』
スタンドと漫才? らしい掛け合いもしている……。
203
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/10(土) 20:31:34
>>202
「なるほど。きっとトーリが……
簡単に『分かれる』関係では、ないのですね」
ペコリ
「トーリは。『恋愛』の機微が、分からないので」
小さく頭を下げた。
「お詫びしたいのは。こちらの方です」
シラキシ
「トーリは『白岸・ノエル・トーリ』と申します。
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』さん、
……『探偵』さん。よろしくお願いいたします」
『探偵の男』の言動は常に不可解だが、
しっかりした考えを持つスタンドの側が、
一応でも『探偵業』は認めている以上、
単に狂っているだけの男でもないのだらう。
「『動く人形』」
そんな彼の『真面目な』質問には、首を捻る。
「『ゼンマイ仕掛けの人形』といった、
動く機能を持つ人形、という意味では無い、と」
「トーリはそう、解釈しました。
動くだけのおもちゃでしたら、
デパートに打っていますから」
『動く人形』の意味するところは――『分からない』
「その上で。トーリは見た事も、知っている事もありません。
『それ』を捕まえるのが、探偵さんのお仕事……なのですか?」
ゴソ
『虫取り網』に視線を向けつつ、また一冊本をしまう。
『若年性健忘症』の患者が己の生涯を綴ったエッセイ本だった。
204
:
芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』
:2023/06/10(土) 21:12:18
>>203
(まだ構想段階ですけど、次のミッションも
今やってるミッションが落ち着いた段階で開始出来れば……)
>『それ』を捕まえるのが、探偵さんのお仕事……なのですか?
芦田「まぁ、捕まえれたら捕まえたいよな。
いやよ、最近しつこくy〇uつべでミー〇ンって言う映画の予告流れて
よーやく公開日になったじゃん?」
『ん?』
ん?
芦田「だから俺の予想として、それを見た小石川PLとかが
そろそろメリー動かすと思うのよ。
んでもって、そいつに会って〇ーガンダンスを仕込ませりゃ
受けて、ワンちゃん推しの子もブレイクしてるし、アイドルの星羅みてぇに
ネットでパズるかも知れねーだろ?
そーすりゃ、毎日の動画収益で俺もボロ儲け。
誰も損しねー中で、俺はウィゴーちゃんとリッチな一戸建てで暮らせる寸法よ」
『ボロ儲けじゃなく、それ、その方にボロ雑巾にされるだけだよ。
あと、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトだって』
何言ってんだこいつ、と言う目でスタンドは本体を見つめてる。
『しかし、まぁ探偵業である事は本当ですよ。
いま色々と怪事件を追ってたりもしてますし。
【ゼンマイネジを引っ提げる怪人】
【割れた爪の白い手】
【入れ子の童】……などなと。この街は何かと不思議な事が多いですから』
「でも、一番の神秘が何かって言うと、ウィゴーちゃんの魅力は無限大って事だよなぁ!!」
『おめーの思考回路が一番の謎だよ。
あとウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトだ。いい加減覚えろや』
前半は下らない事を本体が話してたが、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは
何時の間にやら本体のポケットから出した手帳をパラパラ捲って
難しそうな唸り声と共にヴィジョンの片方だけのレンズ……『モノクル』の
位置を調節しつつ呟いてるのは、何かと意味深な内容だった。
205
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/10(土) 21:53:50
>>204
「……? はあ。それは。面白いのでしょうね。
でも、『動く人形』を見世物にすれば、
お金が儲かるのは……トーリにも分かります」
「応援は。させていただきます」
くすりとも笑わず、頷く。
『動く人形』がいるという根拠自体、
妄想か発狂の上での空想のようだし、
この話題には見切りをつけた。
「どの『不思議なこと』も。トーリは知りません。
探偵さんの冗談も、よく分かりませんでしたし。
トーリはまだまだ不勉強なのだと」
ゴソ
「よく、思います」
本を拾い終え、ゆっくりと立ち上がった。
ミルクティーの色をした長い髪が揺れる。
視線は、真っ直ぐ。『二人』を見据えている。
「トーリには……知らないことがとても多くて。
やるべきことを、もっとよく出来るように、
もっと学ばなくてはならないと思っています……
何を学べば良いのか、どうやって学べばいいのか、
それを決めるのも『知識』がないと難しいから」
「よく。……悩みます」
(答えを決めてくれる指針は。
暗い海の灯台はもう無いから)
言葉は、どこか遠くを想うような物だ。
『白岸・ノエル・トーリ』は『豊かな学園生活』を望んでいる。
「『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』さんと……
『探偵』さんは。どうやって、そのような情報を集めるのですか?」
206
:
芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』
:2023/06/11(日) 20:44:58
>>205
(稚拙なロールプレイに付き合って頂き有難うございます。
また何処かで機会あれば、宜しく願います)
冗談じゃねーんだけどなぁ。とぼやく変人もとい芦田をスタンドは小突く。
その慣れた感じのやりとりを見るに、スタンドも本体も普段このような
事を日常茶飯事で行ってるのだろうとトーリは感じれるだろう。
>どうやって、そのような情報を集めるのですか?
「基本は足で稼いで。んでもって【進朔】って言う、俺んとこの
副所長が掴んだネタを、俺とウィゴーちゃんで人為かスタンドか判断したり。
あとは、最近知り合った【アリーナ】だな」
ウィゴーちゃんの能力知ってっから、頻回にコールしてきて
面倒なんだよなぁ、と芦田は舌打ちを隠さず呟く。
『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトですって。
あちらさんも、ちゃんと誠意もって対応してくれてるから良いでしょ』
「つってもねー。あー言うの何時か調子こいて
どっかで衝突しそーだから、どーにも俺ってば苦手なのよ。
まっ、トーリちゃんよ。
なんか金になりそうな危険じゃない事件あれば教えてくれや」
じゃあな、と自由気ままな感じで男は【こよみ探偵事務所】の名刺を
投げるように渡して立ち去って行った。
ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは頭を下げて本体の態度を
謝罪しつつ、去る男を足早に追いつくと背中を殴りつける。
ちょっとした夏の路地裏に吹いた台風は、去っていく……それは
君の望む豊かさとは、かけ離れているものの。
何時か……君の心から望むものに辿り着く一つの道に成りえるかも知れない。
207
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2023/06/12(月) 03:16:09
>>206
「なるほど。それは……トーリにも理解できます。
『自分の脚』『人や組織とのコネクション』
トーリには。コネクションは少ないので、
少しでも、町を歩いた方がいいのでしょうね」
『アリーナ』に大きな反応は無い。
『白岸・ノエル・トーリ』は、
その組織を十分に『知っている』
「こうして。町を歩いたお陰で、
探偵さんと知り合った事で、
トーリのコネクションはひとつ、増えましたから」
「果報者ですね」
フ
「トーリには。他に探偵の知り合いはいませんから。
何かあれば、探偵さんに一番に教えます」
パシ
薄い笑みを浮かべ、名刺を危なげなく受け取る。
「だから。次に会った時も、
トーリの知らない事を教えてください」
ペコリ
「それでは。またお会いしましょう」
背中を見送り、拾い直した荷物を手に、道をまた歩き始めた。
208
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/06/12(月) 21:13:50
星見町には『ラッコ』がいる。
目撃され始めた当初は騒がれたし、ブームの中心になった事もあった。
今は前ほど驚かれなくなり、すっかり町の一部となっているようだ。
「ミャッ」
しかし、『町中』にいるのは珍しいかもしれない。
209
:
御子神『イン・ジャスティス』
:2023/06/13(火) 17:47:21
>>208
「フン・・・・畜生か」
街中を練り歩く『ラッコ』
その背後から一人の男が近づいてきた
精悍な顔立ちは多くの苦難を乗り越えてきたかのように厳めしく
まだ壮年に満たない顔立ちでありながら、その髪は老人のように白く染め上げられている
長い旅を続けてきたのだろうか・・・・? 身に纏うマントはボロ布のようにほつれ、砂埃に汚れていた
「貴様・・・・仲間はいるのか・・・・?」
210
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/06/13(火) 19:05:02
>>209
ラッコは人間を見上げた。
もしラッコが人間なら、その風貌や雰囲気を見て、
何か心に思う事があっただろう。
しかし、ラッコはラッコだ。
つぶらな瞳は何か考えているようで、何も考えていないようでもある。
要するに、よく分からない。
ラッコに『仲間』はいなかった。
少なくとも同種族の仲間は。
何故なら『群れ』から離れたからだ。
他と違う存在は秩序を乱す。
『力』に目覚めたがゆえに、孤独に生きていく事を余儀なくされた。
そんな話は人間には関係ない。
ラッコはラッコであり、人間は人間だ。
つまり、どういう事かというと――――――。
「ミャー」
ラッコに話しかけても『鳴き声』しか返ってこない。
もちろん意味も分からない。
別に深い意味なんてないのかもしれない。
「ミャア」
『ラッコと対話する能力』でもない限り、
何かを聞くのは難易度が高いだろう。
ここは街中なので、周囲には『人間』も多くいる。
その中で、何人かが足を止めていた。
アメカジファッションの若い女、
二羽の鳥を肩に乗せたストリートパフォーマー、
煙草を咥えた年嵩の女、
テディベアを抱えた生意気そうな幼稚園児、
髪を赤く染めたレザージャケットの男…………。
そちらに意識を向けてみてもいいし、
このままラッコを相手にしても、
きっと誰も文句は言わない。
211
:
御子神『イン・ジャスティス』
:2023/06/13(火) 19:44:15
>>210
「澄んだ眼をしている・・・・」
男は目線を下に下げながら『ラッコ』と見つめ合う
周囲に集いつつある人間たちに気づいてはいるものの、そちらに気を寄せる様子はない
『ラッコ』と『人』
種族は違えど、その奥に潜む『何か』を感じ入っているのかもしれない
ポツ・・・・
ポツポツ・・・・
ドジャ〜〜〜〜〜!!
しばし、両者が見つめ合っている間に突然の雨が降り注ぐ!
『夕立』だッ!! このままでは全身が濡れてしまう!!
「ヌゥン・・・・!!」
咄嗟に男はその逞しい肉体で庇を作るように・・・・
『ラッコ』が雨に濡れないように彼を庇う!
「『獣』よ・・・・お前も・・・・・・・・己(おれ)と同じ・・・・」
この状況を見て、周囲で様子を見守る者たちの中に動きはあるだろうか?
212
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/06/13(火) 20:37:54
>>211
目の前の人間と同じ『何か』を、このラッコが感じ取ったかは分からない。
だけど、そこは仕方ないだろう。
ラッコなんだから。
「ミャッ」
ラッコはアザラシやアシカなどと同じ『海獣類』。
しかし、それらとは異なり、皮下脂肪がほとんどない。
その代わり、『哺乳類最高峰』とも呼ばれる高密度の毛皮を身に纏っている。
すなわち――――――
パパパパパパパパパパパッ
ラッコの体は『雨水を弾く』。
『ガードヘアー』と『アンダーファー』という二層構造になっており、
これが高い断熱効果と優れた防水性を生み出している。
乱獲されて『絶滅危惧種』になったのも、
持って生まれた超高性能な毛皮に目をつけられたせいだった。
……………… ……………… ………………
しかし、人間達には『毛皮』はない。
急な雨に振られ、足早に屋根のある場所に移動していく。
奇妙な男から完全に注意が逸れた訳ではないらしく、
遠巻きに様子を眺めているようだ。
213
:
御子神『イン・ジャスティス』
:2023/06/13(火) 20:45:41
>>212
「なに・・・・?」
己の身を挺して目の前の『獣』を雨から守る男
しかし、雨足は強く地面を流れる水は容赦なく『ラッコ』を襲う・・・・!
「ミャッ」
・・・・否!!
『ラッコ』の毛皮は水を『弾く』!!
大自然が生んだ防水性能なのだッ!!
「そうか・・・・己は・・・・『間違えていた』ようだな」
・・・・・・・・!!!??
男がそう言った次の瞬間!
男は崩れるようにしてその身を地面に投げ出し、のたうち回る!!
まるで何か耐え難い苦痛が男を苛んでいるかのように・・・・!
214
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』&美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/06/13(火) 21:29:21
>>213
男の急激な変化を目の当たりにしても、ラッコはその場を去らなかった。
ただ、これといって行動を起こすような気配も見られない。
どうするべきか分からないので、とりあえず傍にいようという考えなのかもしれない。
それとも、ホタテを食べようかアワビを食べようか迷っているのかもしれない。
もしラッコが男を助けようと思ったとしても、それが出来たかどうかは別の問題だ。
「――――だ、大丈夫ですか!?」
ダダダダダッ
こういう場合に対応するのは、やはり『人間の役割』になるだろう。
雨に濡れる事も厭わず、『アメカジファッションの女』が駆け寄ってきた。
手にはスマホを持っている。
「あの、ご病気ですか?『救急車』を呼びましょうか?」
事態を見守るラッコの横で、今すぐにでも『119番通報』を行おうかという構えだ。
215
:
御子神『イン・ジャスティス』
:2023/06/13(火) 22:08:42
>>214
「――――問題ない」
すっ・・・・
突然の異常事態に駆け寄る女性に静止を促すように掌を向けて応える
そのまま両足に力を込め、息を荒げながら立ち上がった
「この世の『間違い』に対してアレルギーな体質なのだ
幼い頃からその気はあったが、最近になって少し激しくなった」
「少し休めば何の問題もない」
苦しみに耐える様に歯を食いしばりながら、男はそう答える
「いや・・・・この世の『善』に出会えて良かった、と言った所か
まさか故郷から遠く離れたこの街でこれ程の『善』に出会えるとはな」
遠く――――彼方を眺める
その先に男の言う『故郷』があるのだろうか・・・・?
「この場所は雨に濡れてしまう
早く軒下に戻りなさい」
216
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』&美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/06/13(火) 22:50:27
>>215
「えっ――――」
「は、はぁ」
「…………分かりました」
女は一瞬困惑した様子だったが、
本人が『問題ない』と言っているのだから、それ以上の手出しはしにくい。
スッ
気遣うような視線を向けたまま、スマホを握る手を下ろす。
しかし、本当に平気かどうか確認するまで立ち去る訳にもいかない。
ジェットキャップのツバから雫を滴らせつつ、立ち上がる様子を見つめていた。
「………………」
つられるように『男の見る先』を目で追う。
「ミャア」
隣のラッコは男と女を交互に眺めていた。
ポツポツポツ………………
どうやら『通り雨』だったようで、少しずつ雨足が弱まり始める。
「私は当然の事をしたまでですから」
「あはは…………ご無事で安心しました」
「ミャー」
217
:
御子神『イン・ジャスティス』
:2023/06/13(火) 23:10:28
>>216
「そうか・・・・」
黒雲が通り過ぎ、太陽の光が差し込む天上を見上げる
突然の豪雨はまた、突然に通り過ぎ、既に雨は止んでいるようだ
「『奇跡』のような出来事も、この街では当然の物事・・・・か」
バッサァァアアアアッ!!
へばりついた泥を落すように、マントを振り払う
男は再びその黒衣の外套を己の身に纏った
「行かなければ・・・・我が『息子』が待っている・・・・」
「どこの誰かはわからないが、ありがとう
貴様の・・・・その『善性』を大事にしていてくれ」
そう言って男は街に吹き抜ける風と共に去って行く
あの男は一体・・・・ 何者なのだろうか・・・・?
218
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』&美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/06/14(水) 17:27:41
>>217
男の言うように、美作くるみは『善性』を持った人間だ。
同時に、社会人としての常識と良識を備えている。
目の前の男の風貌や言動は『自分の感覚』から遠くかけ離れていた。
正直、最初はファンタジー作品か何かのコスプレではないかと思った程だ。
少なくとも、それくらいには非常識だった。
「私と会えたのは運がいいですよ」
「私は『晴れ女』ですからね」
だが、彼も『善性』の持ち主なのだろう。
それなら、こうして言葉を交わす事には何の問題もない。
美作だったから受け流されたが、初対面で『貴様』なんて言葉を使ってると、
どこかでトラブルの元になりそうだが…………。
「――――お気を付けて」
それは美作くるみの関知する範囲ではないので、
自分に出来るのは彼を見送る事だけだ。
「ミャッ」
そして、ラッコは『ハマグリ』を食べていた。
219
:
リゼ『サクラメント』
:2023/06/14(水) 19:18:07
人通りがまばらな大通りの『自販機』とゴミ箱の間に出来た空間。
近寄らなければわからないその狭い場所には、
小柄な『白い人影』が蹲るようにして入り込んでいる。
「――――」
呻くような声を上げているようだが、何を言っているかはわからない。
220
:
佐名 慈真『ゴースト・ファイルズ』
:2023/06/14(水) 19:40:43
>>219
「……こいつァ、猫じゃあないな」
俺の名は『佐名慈真(さめ しま)』。
他人の人生に土足であがりこむ『探偵』なんぞをやっている。
詳細は省くが、懐の寒さに飛びついた
ペット探しのために、失せ猫が通ると
思われる経路にカメラを仕掛けようとしていたが……。
『コッ コッ コッ』
「おい、アンタ。
どうした?飲み過ぎか?」
自販機を扉代わりにノックし、声を掛けてみる。
221
:
リゼ『サクラメント』
:2023/06/14(水) 20:14:47
>>220
> 『コッ コッ コッ』
「――ッ! あ、ヒッ! サ、『サクラメント』……!」
佐名の声に応じて白いフードを被った顔を上げたのは、
肌も髪も蒼白な女だった。
薄緑の目が『佐名』を捉えて揺らぎ、
その背後に立ち上がるように出現した『人型スタンド』が、
その手に携えた『刃』を大振りに振り下ろしてきた。
しかしその動きは緩慢で、飛び退けば躱せるような大雑把な動きだ。
222
:
佐名 慈真『ゴースト・ファイルズ』
:2023/06/14(水) 20:35:12
>>221
「顔色が悪いにもほどがあるな。
今、救急車呼ん――」
>「――ッ! あ、ヒッ! サ、『サクラメント』……!」
「!?
『ゴ……』」
ビッ!
瞬間、喉まで出かけた言葉を飲み込み、
とっさに後ずさる。幸い、ワイシャツのボタン1つで済んだ。
・ ・
「ヤブでヘビに噛まれそうになった事はあるが、
自販機の横で斬られかけるとはな
――初見で斬られない様に、
デート用の一張羅でもキメてくるんだったぜ」
着古したネイビースーツを脱ぎ、
右手のガード用に持ち直すと改めて、蒼白の女に声を掛ける。
「わかった、俺は何もしない。
だから、まずは、落ち着くんだ。オーケー?」
223
:
リゼ『サクラメント』
:2023/06/15(木) 12:37:30
>>222
「ハッ……ハッ……あっ、ち、違う……?
ごっ、ごめんなさい……!
けが、怪我は……あ、アッ……!」
『サクラメント』の斬撃を避けた『佐名』を、信じられないものを見るように呆然と見つめた。
我に返って勢いよく立ち上がり、『佐名』に近寄ろうとして『ゴミ箱』に引っ掛かってしまい、
ガシャアァン!
と派手な音を立てて倒れるゴミ箱と共に、地面へと倒れ伏してしまう。
「ウウ……すみません……
ごめんなさい、ごめんなさい……」
散らばった空き缶の中でもぞもぞと動き、
視線を落として謝罪のような言葉を呟きながら立ちあがろうとした。
224
:
佐名 慈真『ゴースト・ファイルズ』
:2023/06/15(木) 18:21:09
>>223
「大真面目にアンタ、大丈夫か?」
長身痩躯で着古したネイビースーツ、
天然パーマではないが、手入れの少ない短髪癖毛の
三十路男に話かけられてビビってるのかと思ったが……
「生まれたての子鹿ちゃんと
だいぶいい勝負してるな。
手は貸すか?名前は言えるか?
ここは『星見町』だが、記憶に間違いはないか?」
1mほど離れ、膝をついてしゃがみこみ、
質問を投げながら『リゼ』の様子をうかがう。
225
:
リゼ『サクラメント』
:2023/06/15(木) 18:54:48
>>224
「ダイジョウブ……?
……あっ! はっ、はい…………」
『佐名』の言葉のなにが琴線に触れたのか、
口を半開きにしたままで、視線を合わせてくれた顔を真正面から見る。
フードがずれ落ちて流れるような白い長髪が晒された女の顔は、
目の下にはクマができ、頬にも最低限の肉しかついていないような
不健康を体現したような有様だったが、その目はどこか妖しさを感じさせた。
「……大丈夫、です。
大丈夫、わたしは、大丈夫……。
すみません、御心配をお掛けしてしまって。
立てます……すみません。名前……ですか?」
地面に手をついて立ち上がる途中、
気遣う佐名の言葉の何を勘違いしたのか、ぎょっとした表情を見せて、
そのままよろよろと立ち上がる。
「あの、もしかして……服を汚してしまいましたか?
ごめんなさい、缶を散らかしてしまって……
わ、たしの名前は……諫早理世と、いいます。
でも、お金は、その……あまり、なくて……ごめんなさい」
226
:
佐名 慈真『ゴースト・ファイルズ』
:2023/06/15(木) 19:17:03
>>225
「第二ボタン戦争でベルトまで
持ってかれた時に比べりゃあ、
1つ飛んでったのは誤差だ。気になさんな」
実際にはそこまではモテなかったが。
「弁償しろとは言わんさ。
むしろこっちの都合で声掛けして、
怖がらせちまって、すまなかったな『諫早』さん」
酔っ払いじゃあ無さそうだが、
この風体と憔悴っぷり――どこまで『踏み込む』か。
「迎えに来てもらうアテはあるか?
近くの交番も有るが……
タクシーが良ければ、手配も出来るぜ」
227
:
リゼ『サクラメント』
:2023/06/15(木) 22:39:16
>>226
「第二ボタン……?
えっ……? あの……それじゃあ、私……
その、それ以外なら……」
俯いたままに意味不明のことを呟き、
そろそろと佐名に近づいていく。
パーソナルスペースという言葉を元から知らないかのように近くへと。
そして佐名の顔へと手を伸ばし……止める。
「……あの、あなた……あなた、もしかして『善い人』……ですか?
善良な、『星見町』の、ひと……」
「わたし……宛ては、ありません。
タクシー……それに乗って、行く先も」
228
:
佐名 慈真『ゴースト・ファイルズ』
:2023/06/15(木) 23:11:17
>>227
「……?」
伸ばされて止められた手を見やり、
怪訝な顔になる。
「土足で他人の人生に踏み込む仕事をしてるヤツが、
『善い人』だとは微塵も思えないがね。
――ただ、ゴミ箱の横で蹲ってる人間を放ってもおけなくてね」
「『佐名 慈真』。しがない『探偵』だ。
今、諫早さんに必要なものは何だ?
金と車以外はだいたい貸せるぜ」
そう言いながら、俯いている『リゼ』の視線の先で指を振ってみる。
反応があれば、今日の宿代と名刺だけ押し付けりゃいいが、
そうでないなら……寝る時間がネコチャン探しになるだけだ。
229
:
リゼ『サクラメント』
:2023/06/15(木) 23:33:46
>>228
「『探偵』…………なら、わたしの故郷にもいました。
でも、あなたとは違う……サメ、さん。
……あなたは善い人だと、そう思います」
少しだけ微笑んで伸ばした手を引っ込める。
目を細めて揺れる指先と、その向こうの佐名の顔をはっきりと見つめる。
その特異な相貌は年齢を感じさせず、子供のようにも大人のようにも見える。
「あなたが『探偵』なら……
あなたが、わたしの必要なひとだったかもしれません……。
わたし……その、探して欲しいひとが、いるんです」
「でも……わたしには何もなくて。
あなたに支払える『対価』がないんです。
サメさん、あなたはきっと……『わたし』にも、あまり興味はなさそうですから」
230
:
佐名 慈真『ゴースト・ファイルズ』
:2023/06/16(金) 00:04:55
>>229
「……ロクデナシの仕事だとは思っちゃいるがね。
女性に金以外の方法で払わせたこたァ無いぜ」
悪い方の予想が外れた事に一息をつき、
ジャケット代わりの懐から財布兼名刺入れを取り出す。
一旦、ここまでだろう。
「『シーマ探偵事務所』。
見つけるのも大変だろうが、公衆電話からの
通話もしばらく出るようにしておく。
初回サービスで無制限分割払い受付中だ」
『二千円札』と『名刺』を『リゼ』に渡す。
「それから、この通りに何件かに
未だに身分証不要のネットカフェがある。
決してイイ店じゃあないが……
『俺と同じ』なら、自衛ぐらいは出来るだろ。
名刺と一緒にこの金を見せな」
『ガランッ』
そのやり取りの間に散らばっていた空き缶が
地面から姿を消していた。代わりにゴミ箱の前には
『レインコートを着た人型』が立っており、
『佐名』の近くに寄るとに重なって消えた。
「自販機じゃ使えなくて持て余しててな。
ちょっと預かっておいてくれ」
231
:
リゼ『サクラメント』
:2023/06/16(金) 20:19:57
>>230
「『シーマ探偵事務所』……
あっ、すみません、ごめんなさい……
サメさん、善いひとですね。やっぱり……
素晴らしい町です、この町は」
差し出されたものを恐る恐るといった様子で受け取り、
眩しいものを見るかのように眺める。
「…………! 『すたんど』……。
わ、わかりました……。大事にします。
こんな風になにかを貰うのは、嬉しいです。
……ありがとう」
『佐名』の顔をしげしげと眺めた後、
何度もお辞儀をしてから佐名とは別方向へと歩いて行った。
232
:
佐名 慈真『ゴースト・ファイルズ』
:2023/06/16(金) 20:46:49
>>231
その『二千円札』と『名刺』見せれば、
一晩か二晩は屋根と食事に困らないだろう。
そういう『符丁』だ
「……静かな町だと思ってたが、
何かあるかもしれんな。
その方が懐が温まるが――ままならねェ仕事だ」
『リゼ』の背中を見送ると、
逆方向に消えていった。
233
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/18(日) 00:02:28
「まったく平和な街だねェ。
あーしの生まれ育った掃き溜めとは随分と違うこった」
コーカソイドと思わしきソバカス顔の少女が大通りを行く。歳の頃は小学校高学年から中学生といったところ。
マゼンタに染められたツインテールがパタパタと揺れる様はチャーミングだが、耳たぶに光る複数のピアスは年相応とは言い難い。
英語のイラストのTシャツにハーフパンツ、横縞の二―ソックスという出で立ちは、ロックバンドのファンか何かみたいな雰囲気を漂わせていた。
「まあいいや。とりあえずやっか」
しばらく周囲をキョロキョロ物色していたが、やがて通りを行く人物のひとりに目を付け接近していく。
この少女、サニー・ヴァイオレットは外国の貧民街の生まれ。
ガキが社会の底辺で生活するために『スリ』は基本的なスキルだった。
この国の少年少女が学校に通うのと同じくらいの気軽さで、息をするようにそういうことをやってきた。
だがしかし、実力か勘の良さかはたまた運か、サニーがコッソリと財布に手を伸ばすのを
>>234
は察知する……
234
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2023/06/19(月) 06:13:31
>>233
「――――――やめときな」
サニーの指先が財布に触れようとした時、背後から低い声が響いた。
女の声だ。
だいぶ高い位置から聞こえるので、かなりの長身らしい。
若くはなさそうだが枯れてはおらず、芯の通った力強さがある。
声の主は続けて言う。
「その年にしちゃあ鮮やかな手並みだけどねえ」
「アタシの前で『それ』をやったら、
アンタの細腕を捩じ上げなきゃならなくなるよ」
後ろに立つ何者かは、サニーの行動を見抜いている様子だった。
それでも『やる』のなら、相手も実力行使に出るだろう。
もっとも、サニーには『力』があるのだが――――。
235
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/19(月) 20:57:51
>>234
「……チッ」
後ろから入った『横槍』に、手をおとなしく引っ込める。
『スリ』というのは見つかったら終わりの生業だ。
サニーの故郷がいくら無法の土地だったからとて──いやそうであるからこそ
『私的な制裁』の可能性を考えれば余計に──引き際が肝心だ。
(この声……女かァ?それにしちゃデケーな。日本人の身長は低いって聞いてたのになァ)
「ええっとォ〜ナニを言ってるんデスのかわかんないってイウかぁ〜〜
ホラ、ワタシJAPANハジメテ、ハジメテなのね〜〜」
サニーは百目鬼の方へ振り返り、片言の日本語でスッとぼけ始める。
そして。
ズ ズ ズ … …
サニーの傍らに音もなく銃を携えた赤い服のスタンドが現れた。
何の準備運動か、スタンドは銃を太陽に向けて掲げる……
(平和ボケしたマヌケ面の連中ばっかりだから簡単にスれると思ったのによォ〜〜。
だが、自分が狙われたわけでもねーのにお節介とは、お人好しのバカに変わりはねーなッ!)
標的を百目鬼に変え、何かを仕掛けようとたくらむサニー。
だがサニーは気付いていない。相手もスタンド使いだとは。
だから堂々と目の前で準備動作などできるのだ。
236
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2023/06/19(月) 21:40:43
>>235
「おや、そうかい。だけどね、お嬢ちゃん。
他所の国へ来た時には、そこのルールに従ってもらわなきゃあねえ」
振り返って確認すると、やはり相手は背が高かった。
180cm近くあるだろうか?
白いパンツスーツを着た四十代ほどに見える年嵩の女が、
煙草を咥えながら、切れ長の鋭い目でサニーを見下ろしている。
黒髪のベリーショートに、白百合のイヤリング。
口元には『艶ぼくろ』がある。
「『分かった』なら、今日の所は大目に見るよ」
発現した『フランク・アンジェロ』に対して、女は全く反応を示さない。
(『公園』で見かけたお嬢ちゃんといい、よく『出会う』日だね)
百目鬼には、少女の傍らに現れた『人型』が見えていた。
しかし、それを表には出さず、『見えていない振り』をする。
相手の動きを観察した上で、どんな手を使ってくるか見極めようという算段だ。
(『出した』って事は『やる気』なんだろうが、
アタシに銃口を向けてこないって事は、『すぐ撃てない』って事だ)
(『そっちの手並み』はどんなもんか、ちょいと拝見させてもらおうかねぇ)
その場から動く事なく、敢えてサニーの『準備』を待つ。
237
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/19(月) 22:11:56
>>236
「ええっとォ〜〜だからァ〜〜ていうかァ〜〜」
手を胸の前で振りながら、あくまでも『何を言っているのかわからない』態度。
それはすなわち逆説的に『大目に見れる』態度ではない……『分かっていない』ということだから。
(10……20……)
そんな風に埒の開かないやり取りを続けて、
(……30)
『30秒』が経過した瞬間。
「バーカ!ルールなんて知らねェよッ!あーしは自分の国のルールにも中指突き立てて生きてきたんだ!
逃がした魚の代わりにテメーから金をいただくぜッ!」
ズ ギャン ッ
サニーが『アカンベー』の顔芸をしたのとタイミングを揃え、赤い服のスタンドが百目鬼に銃口を向けてきた。
と同時に、その銃口から豆電球みたいに光る塊が発射され、モノ凄いスピードで百目鬼の頭めがけて飛んでくる!破スCA
高速のうえに至近距離であるため回避は難しいだろうが……そう、至近距離なのだ。
本来なら銃の間合いで戦うべきところ、サニーは『相手は見えてすらいない』認識で近接戦を挑んでいる。
撃たせないことも防ぐことも制圧することも、機転次第でいくらでもやりようがあるだろう。
238
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2023/06/19(月) 23:00:48
>>237
予想以上に『待つ』事になったが、能力の片鱗は見えた。
『光』に翳した時間に比例して強くなるのだろう。
最初から発砲しなかった事を含めると、『弾の補充』辺りが妥当か。
「もし腹が減ってるんなら『メシ』くらい奢ってやろうかと思ったんだけどねぇ」
『女の眼』が『フランク・アンジェロ』を『見る』。
ズギュンッ
「少し『運動』してからの方が良さそうだ」
『白百合の紋章』を肩に刻んだスタンドが現れる。
サニーの『フランク・アンジェロ』と同じく、右手には『得物』を握っていた。
金属の質感を有する『それ』は『特殊警棒』だ。
「お嬢ちゃん――――――」
ドヒュウッ!!
コイツ
「この距離じゃあ『警棒』の方が速い」
引き金が引かれる前に神速で『警棒』を振るい、
銃身を打って『銃口』を跳ね上げる(パス精CAC)。
相手の狙いは『頭』だ。
たとえ精確な射撃が可能だったとしても、
ほんの少し射線がズレただけで当たらなくなる。
何か撃ってくるのは明白だった。
『構えて引き金を引く』よりも早く、狙いを逸らさせる事は十分可能だろう。
239
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/19(月) 23:29:38
「ゲッ!こい……」
スッパァン!
振り上げられた『ライトパス』の警棒により『フランク・アンジェロ』の銃は跳ね上げられる。
引きかけたトリガーを戻すことはできず、そのまま光り輝く弾丸が発射され、
射線を上に逸らされたそれは虚空に向かって撃ち上がっていった。
「くっそ!一般人のフリをしてやがったな!」
『……フゥ〜』
手に持っていた獲物を勢いよく跳ね上げられたためにサニーはそのまま後ろへ倒れ込み、尻餅をつく。
それと同時に深い溜め息をついた者がいた。銃を携えているサニーのスタンドだ。
もちろん彼も尻餅をついている。
『ヤレヤレ……コノヨウナ策ヲ弄スルトハナント姑息ナ!
子供相手ニ大人気無イデスゾ、ソコノ女!正々堂々ト戦エ!』
240
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2023/06/20(火) 00:03:15
>>239
明後日の方向に飛ぶ弾丸を視界の端で追った。
どういう性質か分からないが、人を害するものである事だけは間違いない。
体勢を崩したサニーと『フランク・アンジェロ』を見下ろし、軽く笑う。
「おやおや、スタンドの方もお喋り出来るんだねえ」
ザ ッ
構えた『警棒』を下ろし、サニーに近付いていく。
「まだ『やる』かい?
アタシはそれでも構わないけどね。
だけど、やめといた方がいい」
「そいつを『三秒以内』に解除するんなら、アンタにメシを奢ってやろうじゃないか。
その代わり、今日は『店じまい』にしときな」
「まだ『続ける』なら、アタシは『本気』でやるよ」
サニーに『警棒』を突きつけ、『最後通牒』を行う。
この状態から何をしたとしても、こちらが先手を取れる。
『解除する気がない』なら、さらに叩き込むだけだ。
241
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/20(火) 00:21:26
>>240
「ふっざけん……え?メシ?」
キョトンとするサニー。『あまりにも意外な提案をされた』ことが顔に出ている。
「ヒソヒソ やっぱこの国の連中は甘っちょれーなァフランク。あーしの街だったら容赦なくボコられてるとこだったのに」
『ヒソヒソ ドウヤラオ互イ誤解ガアッタヨウデスナ。サニー、ココハ一旦矛ヲ収メマショウ』
ひそひそ話の後、赤い服のスタンドは引っ込められる。
そして、サニーは両手をバンザイして武装解除のポーズ。
「イヤーホントサーセンしたーへっへっへ」
グウゥ〜〜〜ッ
飯と聞くやこの態度である。
金の方がもっと欲しかったが、間違いなく腹は減っていた。
強者には逆らわない。それが貧しい街で身に着けた『長生きするコツ』だった。
もっとも……
(チッ、次はもっとこう、間合いとかを考えた方が良いなァ)
内心までへつらっているわけでは、なかったが。
242
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2023/06/20(火) 00:48:07
>>241
『フランク・アンジェロ』が消えた事を見届けてから、『ライトパス』を解除する。
「――――ほら、立ちな」
スッ
おもむろに片手を差し出して、サニーを立ち上がらせようとする。
「お嬢ちゃん、何か食いたい物はあるかい?」
かつて『スタンド使いの刑事』だった百目鬼小百合は、
多くの犯罪者達と関わってきた。
他人を欺こうとする連中の顔など見飽きる程だ。
ただの口約束を頭から信じるほどウブじゃあない。
「ここら辺は食事を出す所が多いから、大抵の料理は揃ってる筈さ」
つまりは『サニーを試していた』。
「アンタの入りたい店を選んで構わないよ」
『場所の選択』はサニー自身に委ねる。
これには相手を知る目的もあった。
どういう人間かを掴む為には、些細な手掛かりも馬鹿には出来ないものだ。
243
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/20(火) 01:13:02
>>242
「おっ、悪ィな」
百目鬼の手を掴んで立ち上がる。
サニーの側でも百目鬼のことを信用したわけではなかった。ただ、サニーが心配する内容はというと
『武装解除したところに「騙されたなアホが!」と襲い掛かってくる』
『奢った飯に実は毒が入っている』
『人目の少ないところに連れ込まれて、仲間が待っている』などであった。
「じゃあ、あそこ……」
やけに慎重に考えた様子でサニーが指したのは『目と鼻の先にあるラーメン屋』。
店までの距離を長く移動すれば途中にこの女の仲間がいる危険性が高まる。
セルフサービスやファーストフードの店は目を離した隙に毒を盛られそうで怖い。
奥まった席のあるレストランでは逃げるのに手間取りそうだ。
いざという時に店からすぐに飛び出して逃げられるカウンター席だけの狭いラーメン屋なら、安全だと思った。
ただ、ラーメンという食べ物は良く知らない。
サニーは日本が好きで来た観光客ではないのだ。
(マズかったらどうしよう……残したらキレ出したりしねーよなコイツ)
かつて住んでいた貧民街ではそういう、一見親切な善人を装った人格破綻者もいた(ドラッグのやりすぎ!)のでちょっと心配だった。
そしてこれらの考えは、詳細に読み取れるはずはないものの、なんとなく顔に出ていた。
244
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2023/06/20(火) 01:36:05
>>243
密かに思案を巡らせるサニーの表情を、さり気なく横から観察していた。
子細は読み取れないものの、警戒心の強さは窺い知れる。
彼女が元々いた国というのは、かなり荒れた土地柄だったのだろう。
(ずいぶん『苦労』はしてるんだろうけどねぇ)
だからといって『見過ごす理由』にはならないのだが。
「よし、それじゃあ行くとしようか」
ザッ ザッ ザッ
サニーと連れ立って『ラーメン屋』に入り、空席に座る。
こじんまりした店内は、昔ながらの町中華といった雰囲気だった。
値段もリーズナブルだ。
「なんでも好きなのを頼みなよ」
――――――パサッ
脇に置かれていたメニューを開いて、サニーに見せる。
各種ラーメンに餃子、チャーハン、レバニラ炒めなど、定番の品揃えだ。
写真が載っているので、名前を知らなくても分かりやすい。
245
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/20(火) 02:10:09
>>244
「あざっす」
一方のサニーはちょっと百目鬼の考えがわからなくなってきていた。
ただのお人好しで片付けるには何かが妙だ。
(襲い掛かってきた相手にメシを奢るなんて、どういう神経してたらそうなるんだ……?)
(ん〜……。とはいえ貰えるものは貰っておこう)
ラッシャイマッセ〜
ラーメン屋に入り、席に着く。
(あ、要するにチャイニーズレストランか……。大丈夫かなァ)
サニーの住んでいた街にも『チャイニーズレストラン』は存在していたが、あまり行ったことはない。
味は悪くないのだが油がマシンオイルみたいな匂いのする不衛生の権化みたいな場所だった。
この店がそれと違うのはなんとなくわかったが……。
「うー……」
しばらくメニューと睨めっこをしていた。
迷いに迷った呻き声のような声だけが響くまま、数分が過ぎる。
そして決心したように、
「なあ、姐さん」
おずおずといった感じで百目鬼に話しかけた。
「なんでだ?
あーしはさっき姐さんに銃を向けた。その相手にメシを奢るって、何がどうなってんだ?」
「それと……正直に言うけど、『大丈夫そうだったから』この店にしたんだけどさ。
味とかじゃなくてその……安全?身を守るって意味でだ。
だから実のところ、メニューを見ても全然わかんねえ」
確かにメニューに写真は載っているのだが、写真を見て味を想像できないならば意味はなかった。
246
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2023/06/20(火) 02:53:14
>>245
「――――――ん?」
サニーが悩んでいる間、それとなく店内の様子を眺めていたが、
声を掛けられて向き直った。
「アタシはアンタの事を良くは知らないけどねぇ。
『世の中捨てたもんじゃない』って言うのは簡単だ。
だけど、所詮は口先だけの気休めでしかない。
そんな言葉もらったって、何の足しにもなりゃあしないだろ?」
さっき有無を言わさず叩きのめしたとしたら、
この少女は世間に対する反感を強めただろう。
そうなった場合、今度はスリではなく、もっと凶悪な犯罪に手を染めるかもしれない。
根本的な解決を図る為には、彼女自身が満たされている事が必要になる。
そうした柔軟な考え方が出来るようになったのは、百目鬼自身が年を重ねたからだ。
もっと若い頃なら『口』より先に『手』を出していた。
「あぁ、注文してもいいかい?
『半ラーメン』と『半チャーハン』。
それから『餃子』と『レバニラ』を一皿ずつ」
片手を軽く上げて、サニーの代わりに注文を出す。
多いかもしれないが『育ち盛り』だ。
これくらいで丁度いいだろう。
「ま、味は悪くない筈だよ。
そうじゃなかったら、この立地で何年も続けられやしないさ」
年季の入った店内を一瞥し、店主に聞かれないように小声で呟いた。
……………… ……………… ………………
やがて『注文の品々』がカウンターの上に置かれる。
少なくとも『機械油』のような臭いはしない。
まともな『食べ物の匂い』だ。
247
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/20(火) 03:46:24
>>246
「『捨てたもんじゃない』ってなんだよ……別に捨ててねーし」
世の中に不満があってやっているわけでも、やけっぱちになっているわけでもない。
ただそれしか生きる道を知らなかったからやってきただけのことだ。
捨てるどころか命を拾ってきたつもりのサニーにとって、それは癪に障る言葉だった。
もちろん、百目鬼の言いたいことはそうではないのはわかる。
どん底でも助けてくれる者はいる、と……そう言いたいのだろう。
そういう意味では、サニーの人生にも助け合える仲間たちがかつてあった。
悪事に手を染めるどうしようもないチンピラばかりだったが。
「言っとくけどな、あーしは腹が膨れりゃどっちでもいいんだ。
もしも今、アンタが実は悪党で、悪い仕事に誘おうって腹だったとしてもな。
今まではそうだった。そして、そうやって身に着けた力を使って生きていくってだけだ」
ヘイ オマチーッ
そうこうしているうちに料理が並べられる。
パクッ モグ
ズルズル ハフハフ モグモグ
「なんだこりゃうっっっま!!!!
ウッソだろこれが本当にチャイニーズレストランかよ!?
うめーーーーーーーーーーー!!」
それはとても衝撃的な美味だった。
いきおい、ある懸念までも浮かんできて逆に箸が止まってしまう。
(ハッ……!こんなにウマイなんてむちゃくちゃ高い店なのでは!?ヤバい……)
やっぱり金を払えと言われたらどうしよう、そんな目で百目鬼を見た。
248
:
百目鬼小百合『ライトパス』
:2023/06/20(火) 05:00:32
>>247
――――――――フッ
『捨ててない』という言葉を聞いて、
何事かを納得したような表情で、怒りもせずに軽く笑った。
「見かけよりも『真っ当』じゃあないか」
今度はサニーにも聞こえないくらい小さな声で呟く。
感情を込めて言い返すぐらいだから、『根っこ』自体は真っ直ぐなのだろう。
ただ、育った環境のせいで、おかしな方向に伸びてしまっているだけだ。
『どうしようもないクズ』ではない。
期せずして、この少女の『人間性』に触れる事が出来た。
「ハハハ、口に合ったのは何よりだ。
今の内に『代金』は払っとくよ。
ま、ゆっくり食べるんだね」
財布を開いて紙幣を取り出し、先払いで『会計』を済ませる。
全て合わせても、さほど高い値段ではなかった。
やはり大衆向けの店という事だ。
「あぁ、そうだ」
スッ
名刺入れから『名刺』を一枚抜き、カウンターに置いた。
【 大 門 総 合 警 備 保 障 】
【 主 任 指 導 官 】
【 百 目 鬼 小 百 合 】
連絡先と共に、そのような『名前』と『肩書』が記されている。
「『アンタより悪い事をしてるヤツ』を見かけたら、
アタシに教えてくれないかい?
確かな『情報』を寄越してくれたら、
それに見合った金額を出すさ」
「腹が膨れりゃあどっちでもいいんだろ?
この国に来たばかりなら、
仲間内で『裏切り者』扱いされる事もない筈だよ」
少なくとも『犯罪で稼ぐ』よりは『マシな仕事』だろう。
「それから――――」
「死ぬほどハラが減ってたら何時でも言いな。
『メシ』くらい好きなだけ奢ってやる」
ガタッ
サニーを残して席を立ち、『ラーメン屋』から出て行こうとする。
249
:
サニー・V『フランク・アンジェロ』
:2023/06/20(火) 22:12:25
>>248
「……モゴムガ」
ゴクン
どうやら本当に罠に嵌めるような人間ではなさそうだ、と百目鬼を評する。
会計を済ませようとするその後ろ姿に向かって何か言ったが……聞き取れる言葉ではなかった。
そして、差し出された名刺を手に取ってしげしげと見る。
「……」
「…………?」
『熊のPさんのネットミーム』みたいな顔……つまり『なんだこれ?』という表情で。
サニーは名刺というモノに馴染みがないのに加え、まだ来日したばかりで日本語の読み書きが怪しい。
難しい漢字ばかりの紙切れは単純に読めなかった。
「なあ、コレなんて書いてあるんだ?」
-----(教わり)-----
「つまり……警察じゃあないな。ガードマンか。用心棒って言うんだっけ。
いや、にしちゃ変だな。雇われて守ってるだけなら守るもの以外はどーでもいい筈だ。
そういうヤツはそんな依頼はしない。ヴィジランテってことか、要は」
百目鬼の生業について、サニーの知識の中にぴったりはまるものが無かったためざっくりとした理解になった。
「フン。何度も言うがあーしは『どっちでもいい』んだ。
悪党でもそいつが気に入らなきゃ金にするし、気に入ったら教えねえ。
他の金払いのいい奴に先に情報を流すこともあるかもなァ。
それでいいんなら覚えとくよ。姐さんのお節介加減と一緒に」
去っていく百目鬼を見送る。別れの言葉はかけない。
食事の礼は……さっき言った。聞こえないようにだが。
250
:
赤服『一般人』
:2023/06/24(土) 12:22:45
街道の裏路地
「オラァッ!」
ドゴォッ バキッ
ドゴッ グチャ
赤いレインコートを来た女が猫を蹴って虐待している
何度も何度も執拗に蹴り、踏みつける
「はぁ…はぁ…」
蹴っているうちに段々と疲れきたようだ
251
:
薄島 漣『イカルス・ライン』
:2023/06/25(日) 15:25:29
僕は配達の仕事をやっているせいで裏路地の近道に詳しい。
なので、今日も近道で帰宅していたのだが……
>>250
(うわあ……動物虐待かよ。めんどくさいところに出くわしちゃったなあ)
関わり合いにならず別の道を行くべきか?
ちょっと迷ったが、ここを通らないと遠回りになってしまうし意を決して出ていく。
ガサッ
道が狭いので余程のことがない限り物音や気配で女もこちらに気付くだろう。
薄島は、なにか言いたげな目をした、それ以外に特徴のない中肉中背の男だ。
右手にはコンビニの袋をぶら下げ、左手は腰のポケットに突っ込んでいる。
女の挙動に警戒しつつ、よく見える距離まで近付いたところで猫の様子を確認する。
どんな猫か?まだ生きていそうか?
252
:
赤服『一般人』
:2023/06/25(日) 16:13:17
>>251
「はぁ…はぁ…」
グシャ グシャ
物音に気付き、薄島の方を見やる女
ほんの少し、3秒か4秒くらいだろうか、見つめていたのは
たったそれだけ薄島を見て、すぐに視線を逸らす
こちらとしても、薄島と…いや、人と関わりたくないのか
女の方も薄島を避けている様子で、
狭い道とはいえ避けて通る事は出来るだろう
女に蹴られていた猫は2、3歳程度か、若い白猫だ
と言っても、仔猫という程でもない
白い体毛は血で赤く染まっているが
死んではいないがほっとけば死ぬくらいにはボロボロだ
口から赤い何かを吐き出している
ゥゥゥゥゥゥ
塀の上から、猫の唸り声がする
別の白猫が赤いレインコートの女を睨みつけている
仲間の仇でも取りに来たのか?
ニャァァァァ!!!
塀から見下ろしていた猫が、女目掛けて飛び掛かって来た
「あああぁぁぁぁぁぁ!!!
猫畜生が、見下してんじゃねえよ!!!」
飛び掛かって来る猫を、女が持つ赤い傘を振り翳してぶっ飛ばした!
253
:
薄島 漣『イカルス・ライン』
:2023/06/25(日) 16:57:59
>>252
「おいおい……」
白い毛並みが赤く染まった猫に痛ましい気持ちを抱く。
どういう事情があるのかは知らないが、人間様だからといって少しやり過ぎだ。
新手の猫が加勢した隙をみてボロボロの白猫に駆け寄る。
それは同情心もあるが、少し気になったことがあったからでもあった。
「……血じゃないのか?」
口から吐き出しているもの。普通に考えれば吐血だろうが……なにか違和感を覚えた。
それが奇妙な物体ではない、例えば血や内臓などであることをいちおう確認する。
「大丈夫か?といっても人間の言葉がわかるはずもないが……
おい、しっかりしろ」
とりあえず女は新手の猫に任せ、白猫を抱きかかえてやる。
コンビニの袋からミネラルウォーターを取り出して猫に飲ませてやろうとする。
254
:
赤服『一般人』
:2023/06/25(日) 19:19:57
>>253
もう一匹の猫と格闘をしているからか、それともどうでもいいのか
薄島が白猫を抱き抱えるのを、特に気にする様子も見せない
ア… ニャ… ウ…
薄島に抱き抱えられた猫は、その腕の中でぴくぴくと震えている
鳴き声は段々掠れてきて、徐々に声が出なくなって来た
口から吐いているものは、血と何かの塊のようだ
内臓か何なのかは、判別が難しい
だが、スタンド能力による異常なものだとかそういう類の物ではないようだ
猫にミネラルウォーターを飲ませようとするが、
口に付着した赤い物を洗い流すだけで、水を飲もうとは…
いや、物凄く僅かにだが舌が動いている
何とか水を飲もうとしているようだ
まあ、早急に動物病院に運ばなければ死んでしまうだろうし
運んだとしても助かる見込みは薄そうだが
ギニャアアアアアアア
物凄い声がする
女が傘で襲い掛かって来た猫を滅多打ちにしている
新しい猫の体毛も、あっという間に赤く染まっていく
シャアアアアアアアアアアア!!!
猫を叩いているとまた別の猫がやって来る
猫の入れ食いか?
「はぁ…はぁ…」
猫叩きで息を切らしている女にお構いなく、新しい猫は女に飛び掛かって来る
バキィッ!
「いい加減にしろぉっ!」
飛び掛かって来る猫を傘でぶっ叩き壁に叩きつける
「ふざけんなよ馬鹿共が…」
255
:
薄島 漣『イカルス・ライン』
:2023/06/25(日) 20:04:41
>>254
「ダメだなこれは……」
猫の様子を見るに、これはもう助からないだろう。
そっと道の端に置いてやる。
叫び声に振り返ると女が無数の猫と格闘している……
……いや。
何かが奇妙だ。
恐慌状態の猫が大勢いるのであれば、大勢でかかればいいだろう。
畜生ゆえにそのような知能が無いにしても、いや知能がないからこそ
一匹やられるまで次の一匹が待っているものだろうか。
「なんだ?このわんこソバ……イヤ、『にゃんこソバ』みたいな光景は?
ゲームで見た事があるぞ。無限にモンスターが湧いてくる奴。
画面に表示できるモンスターの数が限られているから一匹ずつなんだ。
しかしこれは現実だぞ?」
思えば、最初に現れた猫と次の猫は似ていた。
三匹目も白猫だっただろうか?だとしたら……『同じ猫』なのではないか?
猫の外見が『瓜二つ』だったりしないか確認する。
「待て待て、おいアンタ!やめるんだ!何かがおかしい!」
ひょっとして何らかの能力に翻弄されているのは女の方ではないか。
女に呼びかけ、やめさせようとする。
256
:
赤服『一般人』
:2023/06/25(日) 21:05:33
>>255
ドスゥッ!
傘の先端で猫の腹を思い切り突いた
グエッ
3匹目の猫は声にもならない声を出して意識を失った
「はぁ…は?」
薄島の声かけに、女は猫をボコる手を止めそちらを見る
薄島は猫達を見比べるが、2匹目までの猫は白猫
3匹目はグレー、ロシアンブルーという品種だ
年齢もそれぞれバラバラっぽく、同一個体という事はない
何故、1匹ずつかかってきたのかは分からないが…
ドスゥッ!!!
もう1度、傘を思い切り突き刺してロシアンブルーにとどめを刺す
「…」
ガン!!!
猫をボコる手を止めて、塀の壁に手を思い切り叩きつける
その拳からは身に纏っているレインコートと同じくらい赤い血がダラリと流れる
257
:
薄島 漣『イカルス・ライン』
:2023/06/26(月) 00:41:02
>>256
(3匹目は白猫じゃないのか。ゲームのやりすぎだな僕も……。
それにしても見事な『傘捌き』だ。適当に振り回している素人って感じじゃないな。
玄人だとしたら獲物が『傘』ってのは漫画かゲームみたいだけど)
女の戦いぶりに通りすがりの一般人ではない雰囲気を感じた。
>「は?」
「い、いえ……あの……」
四匹目は現れない?思い過ごしだったのだろうか。
「なぜこんな……?
『見下されている』と言っていたけれど、猫に……?」
猫とは確かに高慢なところもある生き物だ。
ただ、それは『人間が勝手にそう感じている』という部分もあるものだ。
(だからそんなことで本気で猫に怒るのは『普通じゃない』……)
精神疾患の一種にこんな感じの被害妄想が出る人がいると聞いたことがある。
ただ、スタンド絡みの事件の可能性も捨てきれない。
猫は徒党を組んで人間を襲う生き物じゃないはずだ。犬ならともかく。
「大丈夫ですか?病院に行った方がいいのでは?」
これは僕としては傷ついた拳を心配してそう言ったのだが。
語弊があるのに気付いたのは、後になってからだった。
258
:
赤服『一般人』
:2023/06/26(月) 18:40:17
>>257
女の傘捌きは慣れている感じはするが、
戦いのプロとかそういう感じではなかった
チンピラの喧嘩殺法とかそういった感じだが、
何か普通ではない、常軌を逸した異常な雰囲気があるのは確かだ
猫は今の所、新手が現れる気配はない
この辺にいた猫はこの3匹までだったのかもしれない
どさっ
女は塀に背を預け、その場に座り込んだ
話しかける薄島を見て、静かに話す
「…別に…
イライラしたからやっただけだから…」
その顔は妙に悲しそうで、卑屈そうな目をしている
>大丈夫ですか?病院に行った方がいいのでは?
「…あぁ、そうだね…」
物理的な方でも頭の方でも、どっちにしろ病院に行った方が良いのはそうだ
特に頭の方
ウゥゥゥ ニャァァァァァァ!!!
「痛っ…!」
辛うじて生きていた2匹目が、突然起き上がり女の足に噛みついて来た
259
:
薄島 漣『イカルス・ライン』
:2023/06/26(月) 20:05:24
>>258
「ああ!コラやめなさい」
噛みついた猫の口に手をかけ、力づくで開かせて引きはがそうとする。
このままではまたこの女が暴れ出す。女にとっても猫にとってもいい事は一つもない。
「この子たちに何かしたんですか?いや叩いたんでしょうが、それ以外に。
暴力を振るっただけなら逃げるのが猫という生き物であるはず。
こんなふうに執拗に襲われるなんて、何か理由があるのでは?
そうだなあ、例えば彼らの大事なものを盗んだとか……」
女に『ちょっと頭がアレな人』以上のおかしなところが無いとすれば、残された奇妙なところは猫たちの方だ。
薄島は猫とは気まぐれで、個人主義で、危うきには近寄らない生き物──先入観としてはそう思っていた。
ただ人間が暴れているというだけなら逃げるはずなのだ。
であれば……
(恨まれるようなことをしているか、猫たちの『守りたいもの』を破壊しようとしたか。
狂犬病の線もあるが──まさかな)
もし事情が徹頭徹尾女の自業自得なら放っておいて行ってしまおうかとも思い始めていた。
身勝手な理由で暴れる女にも、逃げればいいのに強者に牙をむく結果として死ぬ猫にも、そこまで肩入れしようという気にはなれない。
判断はもう少し事情を聞いてからだが……
260
:
赤服『一般人』
:2023/06/27(火) 18:39:47
>>259
死に損ないの猫は、薄島が掴むといとも簡単に引き剥がされた
しかしその目は目の前の人間を殺さんとばかりに睨みつけている
「…知るか
殴られるしか価値の無いゴミを殴っただけだ」
何故、猫が逃げずに女に向かって行くのか、それは分からない
だが、徹頭徹尾女が悪い事は確かな事のようだ
レインコートのフードを目深に被り顔を隠し、目を逸らす
人と話したくない、関わりたくないような態度を露骨に見せる
261
:
薄島 漣『イカルス・ライン』
:2023/06/27(火) 20:41:09
>>260
「…………そうですか」
何か言いたげな目をした薄島は、その黒く沈んだ瞳の色を強めて吐き捨てる。
その瞳が語るものは女への失望か、哀れみか、憤懣か。自分でもわからない。
「医者に行った方がいいですよ。
野良猫に噛まれたなら傷口から細菌が入ったかもしれない。
日本ではまずありえないとは思いますけど、狂犬病の可能性もある。
救急車は……いらないですよね。ご自分でどうぞ」
生き残った胸の中の一匹を抱えたままその場を去る。
女が見えない距離まで離れたら猫は逃がしてやる。
もう一度女のところへ向かうかもしれないし、衰弱して死ぬかもしれないが
強い意志でやっていることであるのなら、それを止めるのではなく認めるのが薄島の流儀だ。
滞りなく、誰もが己の意思のままに。その流れを流れたいがままに運び、渡す。
「世はすべて事もなし。切ないね」
空になってしまったミネラルウォーターをゴミ箱に放り込んで家路を急いだ。
262
:
赤服『一般人』
:2023/06/28(水) 18:10:36
>>261
薄島がその場を去った後、女はゆっくり立ち上がった
「…」
ドゴッ
猫の死骸を蹴りつける
見ているとイラついてくる
何の役にも立たない、生きてる価値の無い有害生物が
やがて、原型を留めないほどにぐちゃぐちゃになったそれを見て蹴るのをやめた
…生きてる価値の無いは、私か
弱いものに当たる事でしか憂さを晴らせない、卑劣で虚しい弱者だ
ひっそりと裏路地から出て、日向の道へ戻り、何処へと歩き去って行く
きっと、どこへ行こうと何をしようと、誰も見向きもしないだろう
263
:
斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』
:2023/07/08(土) 04:45:53
休日の昼時にひとり、ライダースジャケットを羽織った少年が足を運ぶ
夏の熱気は湿度を伴って不快だが、イヤホンから流れてくる『Franz Ferdinand - This Fffire』を聞いてると
それも曲という快楽のスパイスな気がした。
なんだかんだでずっと遠回りをしてきたが、とうとう付近まで足を運んできた……
先輩と食したあんみつは美味しかったが、男は夢を妥協するわけにはいかないのだ。
空腹という一つの指輪を抱え込んで、いざ 滅びの山の火口(蕎麦屋)へ……!
生憎親友はいないし、黄金の焼き菓子もないが。
「・・・・・・・・・・・・。」
十数分後、僕は出店のケバブをほおばっていた。
「どうして?」
並んでいる客は皆ハッピーな顔をしてる、店員もその中に含める
まさに幸福の渦中だ……僕を除いた幸福の。
数分歩いて僕はまったく蕎麦屋を見つけられなかった、テレビに映るほど有名なんだから大通りに並んでるんじゃないのか?
いや、多分……ならんでると思ってたが、生憎テレビを見た日は二度の迷子を経て、記憶の彼方にバタフライしていた。
スマホのGPSはあらぬ方を指し示して役に立たぬ、サウロンのせいに違いない。おのれサウロン。
悔しさと愛しさと切なさを胸にケバブを頬張る。
おのれゴラム(空腹)。それもこれも彷徨っている間に目の前にケバブの移動式屋台があるのが悪い。
かぶりつくと香ばしい生地にまかれた新鮮なレタスと、焼き目のついた牛肉が素晴らしい三位一体を奏でる。
「チクショウ!ウメーじゃぁねぇかこのケバブ!!ケチの付け所がねぇッ!」
そうして屋台の陰でくさくさしていると、何やらでっぷりとしてニコニコしていたお日様みたいな店主が
なにやら目をまんまるに見開いた後に、慌てた様子で僕に向けて何事か言い始めた……なんだって?ケバブは美味しいけど今はがっかりしてるし、イヤホン越しに言われてるから……
読唇術じゃないと……
『オニイサン・アレアンタノ・カバンダヨ』……?ん?んん???
太った芋虫みたいな唇がそう動いてる。
「えっ?」
足元を振り返ると、日陰に置いておいた『財布入り』の僕の『ウエストバッグ』がない。
「……はッ!?」
ふと見れば僕のウエストバッグは小柄な見知らぬゴラムというか盗人によって2m先に誘拐されていた。
ちょっ…まっ……いとしいしとッ!!
264
:
リゼ『サクラメント』
:2023/07/08(土) 14:35:53
>>263
斑鳩の鞄を持って勢い良く走り出した男は、
ふらふらと道を歩く白い人影に気づかなかった。
走り出した勢いのまま勢い良く衝突し、両者が地面に倒れ伏す。
「ウ……す、すみません……」
ぶつかった拍子に地面に転がった鞄と斑鳩の姿を交互に見た男は、舌打ちをしてその場を走り去った。
そしてその後には、よろよろと立ち上がる
白いパーカーを被るように着た人影が残された。
265
:
斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』
:2023/07/09(日) 04:51:29
>>264
僕は驚きはしたが、別に焦りはなかった
盗人が何処かの誰かさんとかち合うまでは……だけど。
(いける…… ……!)
投擲の手を止めて人影に駆け寄る
今すぐバックの中身が盗まれてないか確認したかったが
何故か僕は倒れた人の方を優先した。
「待てこの野……いや、大丈夫ですか!?」
しかし、しかしだ。
僕から盗みを働いておいて、それだけで満足せず女性にも当たるとは
許せない野郎だ、何より
プラン
(『計画』はできてる……大衆から視線を切って逃げ込める4M先の路地、傍の電信柱。)
危害を加えて置いて、20M以内から無事に逃げおおせるほど
俺達が優しい等と考えられる方が殊更に心外だ。
「いや、この人随分顔色が……そこの椅子使わせてもらうぜ店主!」
しかし此方を優先するべきだろう、パーカーの下はまるで病院から出てきたばかりって感じの……真っ白な顔色だ。
「あんた座りなさい、また倒れちまいますよ。」
266
:
リゼ『サクラメント』
:2023/07/09(日) 09:53:59
>>265
「あえ……ええ、だいじょうぶ、大丈夫です……」
よろよろと立ち上がる姿は、しかし怪我をしている様子ではなかった。
斑鳩に差し出された椅子に大人しく座り、背もたれに軽く体重を預けて斑鳩を見上げ、
真っ白な長髪を手で分けて、青にエメラルドの混じったような瞳でその顔を見つめる。
青い瞳も怜悧な顔立ちも……なによりその雰囲気が、
不健康な様子さえ除けばどこか『既視感』のある、そんな風体だった。
「善い人ですね、あなたも。
この町の人はみんな、優しくて善いひと……」
267
:
斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』
:2023/07/09(日) 10:50:27
>>266
(やれるぜ。)
(この辺りを散々迷ったせいだが……野郎が逃げ込んだ路地は狭い 人混みも野郎の騒動のせいでモーセみたいに割れてやがる。
鎖弾のボーラをあの電柱に当てて、慣性で電柱の周りを衛星みたいに回り始めた鎖弾をタイミングを見て切り離す)
(遠心力で野郎の後頭部に『直撃』させてやるぜ……野球ボール大の鉄の塊をな)
彼はそんな事を考えていた、コケにされたままじゃあ、兎に角腹の虫とかが収まらなかったからね。
「……。」
それを思いとどまって
いつの間にやら足元に落ちているバッグ(走り寄った際に足の鎖で回収した)を拾い上げたのは、
『優しくていい人』だからでもなければ、『実行不可』だと判断したからでもなかった。
「……?」
ちらと見た女性のその顔に、何かの既視感を感じて
好奇心が怒りを僅かに上回ったに過ぎなかったからだ。
「おたく……?」
じろじろ見た感じ30代前後、暗室内で育てた華とでもいうかのように肌は白い
勿論そんな女と顔見知りになるような縁は僕にはない。
となると……
(顔のパーツが似てる……他人の空似か『血縁』ってとこか?)
268
:
リゼ『サクラメント』
:2023/07/10(月) 19:28:53
>>267
椅子に腰掛けて斑鳩を見つめ返すその女は、
服だけでなく髪も相貌も脚もなにもかもが白く、どこか人間離れした外見だった。
斑鳩の視線を受けてしばらく呆けていた後に、
あわてて俯いて、視線を遮断するようにフードを目深に被る。
「……すみません。ごめんなさい。
あの、なにか気に障りました……よね。
わたしが、あなたの邪魔をしたとか……」
そして、俯いたままで椅子からそっと立ち上がる。
269
:
斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』
:2023/07/10(月) 23:44:01
>>268
「いや、失礼 人の顔をじろじろ見るもんじゃなかった」
学生の自分が一番顔をつき合わせてるのは……同じ『学生』だろう
「失礼ついでにお聞きしたいんだが、おたく親戚に『学生』がいないか?」
ただ、誰に似てるんだったか?
それは特に思い出せない……そば食えなかったガッカリ感と泥棒相手の徒労が思い出させてくれない。
(ナンパに思われたくないしなー……しかし誰に似てる?)
ケバブはあんみつに負けず劣らずだったが。
うんうんと唸るがやっぱり思い出せ無さそうだ、何かきっかけでもあれば……。
270
:
リゼ『サクラメント』
:2023/07/11(火) 20:07:47
>>269
「それは……べつに。だいじょうぶです。
やっぱり、善いひとでしたね、あなた」
フードを被ったまま少し目線を上げて、
口角を僅かに上げてみせる。
「親戚に………そうですね、
わたし、親戚はいませんから。
それが、どうかしましたか……?
『学生』の『親戚』………?」
斑鳩の言葉の意味を図るように、
陰湿そうな瞳でその表情を見つめる。
271
:
斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』
:2023/07/11(火) 20:35:06
>>270
(……ハズレかな。)
ま、僕はホームズじゃない。
この前それとなく真似事みたいな事はしたが、例え僕を本にしても
何処のページにもシャーロキアンだなんてコト書いてないだろうしな。
「さぁね、ジェームズ・ボンドかもしれないぜ。」
「知ってるか?女を誑し込む色男の(そして大体女側が不幸になる)スパイ。」
しっかし7月だってのにマジに湿気た目ぇしてる女だぜ、こんな目は久しく見た事ねぇ
ピカピカ夢見ヶ先とかトーリ先輩とかも違う目だ。羨ましい鉄の野郎とかV8ケンイチローとも違う。
俺の心も湿気てきたかもしれねぇ……何度も優しい優しい言われてるからかもだが
そろそろカビちまうぜ、オレぁ。
「とはいえ、倒れた相手にマジに失礼。
あんたの面っていうか……『顔のパーツ』が見知った気がしたんだけど。
『勘違い』みたいだ、僕が学生だから、一番見てるのは『学生』の筈なんだけどな。」
バッグを背負い直してジャケットの裾を払う
まあ世の中には同じ面が3人いるって話だ、店主に指をさして確認する。
「いいよな店主?この美人さんが立てるまで椅子を貸したげるのは悪いことじゃあねぇよな?」
「おたくの椅子だけど。」
腹も膨れたしバッグも戻ってきた。
もう此処に居る理由も無くなったという事だ、僕の予想外の事が起きない限りは。
272
:
斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』
:2023/07/13(木) 16:10:48
>>271
(応答がないためここで〆)
そして斑鳩は歩き去った。
次こそは蕎麦屋に行くのだ……多分きっと。
273
:
リゼ『サクラメント』
:2023/07/13(木) 21:17:48
>>271-272
「……ジェームズ?
ええ、『勘違い』……それは、とても残念です。
ありがとうございました。助けていただいて。
わたし、諫早理世です。
あなたのお知り合いの学生に、わたしに似ているひとがいたなら……」
ぼそぼそと呟くように喋っている間に、斑鳩は颯爽と去ってしまったようだ。
その後ろ姿に少し会釈をして見送り、逆方向に歩いていく。
「わたしに似ている……わたしの殺したわたしのこ……」
274
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2023/07/17(月) 15:28:24
賑やかな通りに面した『オープンカフェ』に、『喪服の女』が座っている。
テーブルの上に乗っているのは、よく冷えたアールグレイティーのグラス。
手元にはスマートフォンがあり、何かを考えている表情だった。
『小林の足取り』は掴めた。
あの日、彼は『病院』に運ばれているらしい。
次にすべきなのは、そこを調べる事だ。
しかし、今の自分は他にも案件を抱えている。
誰かに頼む必要があるだろう。
スマートフォンを操作し、
『多数のスタンド使い』が含まれた『知人のリスト』を眺める。
やはり事情を知っている『笑美』に行ってもらうべきだろうか。
『病院の記録』を覗く可能性まで計算に入れると、
誰か『機械に強いスタンド使い』の力も借りなければならない。
275
:
小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』
:2023/07/19(水) 16:22:15
>>274
スマートフォンを操作し、『朱鷺宮笑美』に電話を掛ける。
――――カラン…………
溶けた氷がグラスの中で揺れ、心地良い音色を奏でた。
276
:
鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』
:2023/07/28(金) 18:22:33
ボリュームのあるフリルを纏ったワンピースの胸元を、
上品なパールのネックレスが飾る。
刺繍の入った日傘の下で、ロングウェーブヘアーが風に靡く。
ハイヒールサンダルの踵を鳴らしながら歩く姿は、
『お嬢様大学生』という形容が相応しい。
カツ カツ カツ
しかし、『暑い日』だ。
すれ違う人々も参っているようで、
だらしない格好をした者も何人か見受けられる。
だが、『鵲家』の人間として、見苦しい姿を世間に曝す事は出来ない。
カツ カツ カツ
よって、『我慢』しているのだが、内心の苛立ちは募るばかりだった。
そんな気持ちで歩いていると、自然と『早足』になる。
そして、足元は『ハイヒール』だ。
――――ガッ!
次の瞬間、躓いた身体が前のめりに倒れていく。
277
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/07/29(土) 16:25:52
>>276
「あぶないっ!」
倒れそうになった瞬間に背後から声が聞こえてきただろう。
そのまま愉子の体は地面に衝突…
しなかった。
なにかに体を支えられて
スレスレのところで止まっていたのである。
「すいませーん、大丈夫ですかー?」
声はやや遠いにも関わらず
すでに誰かに体を掴まれている感覚があるだろう。
そのまま体制を整える余裕を与えられているようだ。
278
:
鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』
:2023/07/29(土) 16:58:41
>>277
「――――――!?」
(しまっ…………!)
倒れ込む瞬間、自らの『分身』を出す事を考えた。
しかし、間に合わない。
そのまま派手に転んでしまうかと思われたが…………。
「………………え、ええ。大丈夫です、大丈夫です」
(こ、この現象は…………。ま、まさか…………)
動揺しつつも、表面上は平静を装い、体勢を整える。
「どなたか存じませんが、感謝の意を表します」
(それにしても、名誉ある『鵲家』の一員が、人の多い街中で『醜態』を…………!)
助けられながら、内心さらにストレスを高めるのだった。
279
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/07/29(土) 17:10:18
>>278
「すいません。
いきなり転んだりしてびっくりしました。」
背後から聞こえる声は、しかしどこかで聞いたことがありそうな声である。
体制を整えたら誰かにキャッチされていた感覚はなくなるだろう。
「その、お怪我はありませんか?」
まだ後ろ姿だが、振り向けば誰なのかはわかりそうだ。
280
:
鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』
:2023/07/29(土) 17:32:56
>>279
「お手間を取らせてしまいましたね」
クルッ
「――――『お陰様』で」
(どこかで聞いた事があるような…………?)
日傘を持ち直し、背後の声に答えながら振り返る。
年の離れた『従姉妹』とは、ここ数年は会っていない。
そのせいで、すぐには気付かなかったのだ。
「…………あら?」
その姿を見た時、ようやく相手が誰なのか分かった。
「失礼――――もしかして『笑美さん』では?
私、『鵲愉子』です。お久し振りですね」
笑美から見た愉子は、
すっかり『大人の女性』になっているように思えるだろう。
正確には、まだ『未成年』ではあるが、その外見は成人と変わらない。
一方、愉子から見た笑美の容貌は、
何年経っても『同じ』に感じるのが不思議だ。
281
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/07/29(土) 17:59:16
>>280
「…そうですか。
無事でよかったです。」
そう言って振り返ったその姿を見る。
「ん…あなたどこかで…?」
どうやら笑美もその姿を見て
誰かを感じたようだ。
「愉子…
もしかして愉子ちゃん!?」
じっとその様子を見て、そして名前を聞いて
すぐに思い出した。
「そっかぁ!従妹の愉子ちゃんね!」
そう言って微笑みかけた。
「久しぶりじゃないの!
そっかぁ、おっきくなったね。
…以前あったのはもう何年も前だから
すぐにわかんなかったよ!」
楽しそうに会話を交わす笑美。
鵲家にいた頃にはあまり見せていなかった表情に見える。
「ここに来たのは観光かな?」
282
:
鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』
:2023/07/29(土) 18:24:08
>>281
「フヒヒヒィ」
「笑美さんは変わりませんね」
(でも…………昔と比べて随分と明るくなった)
お嬢様風の外見に似合わない『不気味な笑い声』を漏らす。
『鵲家の血筋』は『笑い方』に特徴がある。
『朱鷺宮家』に嫁いだ笑美と同様に、その遺伝子は愉子にも受け継がれていた。
「笑美さんには、まだお知らせしていませんでしたね。
『清月学園』の『大学部』に編入する事にしたんです。
つまりは『引っ越し』ですわ」
(昔は『笑美ちゃん』って呼んでいたものだけど…………)
この年になると流石に『抵抗』があるのだ。
「ところで――――『さっきの』は?
まだ距離が離れていたのに、上手く助けてくれたようですけれど」
普通に考えれば、あの位置から抱き止める事は出来なかった筈だ。
他に誰かいた訳でもない。
『不思議な現象』だ。
283
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/07/29(土) 18:47:09
>>282
「フヒヒ、
まあ…結構気を使ってますからね。健康に。」
自分と同じような話し方に
自分の血縁であるということが感じられる。
「編入で、学部は違ってもうちの子とおんなじ学校に行くの!?
そっかぁ、つまり愉子ちゃんもひとり立ちってことになるのね。
…大学生かぁ。もうすぐ大人になるんだねぇ。」
彼女の様子はどこか感慨深げである。
笑美が以前見たときには小学生くらいだったように思えるのだ。
成長した姿はやはりどこか嬉しく思うのだろう。
「えっと…さっきの?
それは…」
どこか目を泳がせながら質問に言葉をつまらせる。
「まぁその、色々あるというか…
ここで暮らしてるうちに、ね?」
この街に来てなにかあったと言いたいらしい。
笑美的には嘘は言っていないつもりである。
284
:
鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』
:2023/07/29(土) 19:26:15
>>283
「ええ、今は『19歳』です。
『涙音ちゃん』も大きくなっているんでしょうね。
前に見た時は、まだまだ小さかったですけれど」
「同じ学校なら顔を合わせる機会もあるでしょうし、楽しみにしておきますわ」
涙音と最後に会ったのは、
彼女が幼稚園から小学校に上がるくらいの頃だっただろうか。
おそらく今は中学生ほどだろう。
そういえば小学生になった辺りから、
急に『鳩尾の災難』に見舞われるようになっていた事を思い出した。
「そうですか。人生、色々ありますものね」
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
「私のような者が語るには、まだまだ早いのでしょうけど」
不意に、愉子の傍らに現れる『人型』。
黒光りする『タンク』を背負ったヴィジョンは、
『第一次大戦時代』の『砲兵』を思わせる。
朱鷺宮笑美の『トループス・アンダー・ファイア』よりも、
やや『時代』が古く感じられるのは、『鵲家』という『源流』に属するからだろうか。
「でも――――私もそれなりに『色々』あるんですよ?」
精神の発露である『パラダイス・イン・フレイム』を従えて、
子供に戻ったような悪戯っぽい笑みを浮かべた。
285
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/07/29(土) 20:32:14
>>284
「あのときの涙音はまだ幼稚園の年長さんくらいだったかしらね?
あの子も結構成長したわよ。
あ、それから下の子も生まれたわねー。」
楽しそうに会話を続けている。
どうやら朱鷺宮家では新しい子が生まれているらしい。
「まぁ人生は色々ね…
一言で言うのは難しいけど…?」
ふと、何かの気配を感じて傍らを見ると
そこにあったのは、どこか趣を感じさせるような『砲兵』のスタンド
「なるほど、つまりそういうことなのね?」
どこか安堵したかのようにその表情は変化する。
「私も『同じ』事情があるわ。」
そう言って自分のスタンドも傍らに出現させる。
そのスタンドは工兵を思わせるスタンドであった。
286
:
鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』
:2023/07/29(土) 21:00:57
>>285
「フヒヒヒィ、笑美さんも『そうじゃないか』と思いました」
『軍人』を連想させる『二体のスタンド』。
それらは本体と同じく、どこか似通った雰囲気を有していた。
これが『血筋』というものだろう。
「紹介しておきましょう。
私の『パラダイス・イン・フレイム』です」
ビシィッ!
赤と黒をベースとしたカラーリングの『砲兵』が、『敬礼』のような動作を行う。
『トループス・アンダー・ファイア』に匹敵する素早い動きだ。
『工兵』ほどの『力強さ』こそないものの、『器用さ』では少し上かもしれない。
「さっき助けてくれたのは『あなた』だった訳ですね。
ええと、お名前は…………」
自分のスタンドよりも屈強そうな『笑美のスタンド』を眺める。
287
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/07/29(土) 21:24:36
>>286
「見た目がこんな感じになるのは
やっぱり家族だからかしらねー?」
どこか楽しそうに2つのスタンドを見比べる。
雰囲気はどちらも似ているのである。
「愉子ちゃんのスタンドなんだか…
かっこいいわね!
なんだか、器用そうな感じ!」
ひと目見た感想は、割と単純であったが
彼女のスタンドから感じる気配からなんとなく特性を感じられるようだ。
「そうそう、このスタンドが転んでしまいそうな愉子ちゃんを守ったのよ。
名前は『トループス・アンダーファイア』よ。」
そう言って笑美のスタンドも敬礼を返した。
いかにも力強さを感じさせるものであった。
「…今思えば、愉子ちゃんは
こういう危なっかしいことが何度もあったわねー」
転びそうになったのが愉子だったことがわかると
そういう危なっかしいところがあったのを思い出す
288
:
鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』
:2023/07/29(土) 22:39:45
>>287
「『トループス・アンダー・ファイア』――――」
「やはり『血は争えない』という事ですね」
『火』と『炎』を冠するスタンドを見比べ、納得した様子で深く頷いた。
スタンドだけではなく、愉子も笑美と似た佇まいだ。
しかし、全く同じという訳ではなく、『内面』には多くの『違い』を持っている。
「やめて下さいよぉ。昔の話なんですから…………」
「フヒヒヒィ」
照れ臭そうに片手を振るが、本気で嫌がってはいない。
いわゆる『箱入り娘』である為に、
『自由に振る舞いたい』という思いが強かった愉子は、
子供の頃から『抑圧した気持ち』を抱えてきた。
それが時折『爆発』し、『危なっかしい部分』として現れていたのだ。
そして、あながち『昔の話』でもない。
実の所、『今』もそうだった。
「笑美さん、今は時間がありますか?
せっかく会えたのですから、『星見町』を案内してもらえないでしょうか?」
『パラダイス・イン・フレイム』を解除して、
再び『お嬢様風』の表情に戻り、ねだるように小首を傾げた。
289
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/07/29(土) 23:00:07
>>288
「そうね。どちらも炎が含まれるというのは…
案外私たちの家はそういう気質なのかもしれないわね。」
そう言ってうなずいた。
名前は同じでも能力は違うように見える。
それも人の生き方によるのかもしれない。
「まぁ、今も危なそうな感じだしなんだか心配よ。
…スタンドを使えるなら今までのような危険はないだろうけど…
使い方を覚えたほうがいいかもね。」
どこか心配そうな表情だ。
涙音は未だに災難が襲っているようなので
そこは心配なようである。
「うん?まぁ…今は特になにかあるわけでもないわ。
そんな調子で言われると、断れないわねぇ。」
そう言って微笑みかけると
「よし、それじゃあ案内してあげよう!
どこに行きたいか言ってくれる?」
そう言って愉子を連れるように歩き出す。
290
:
鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』
:2023/07/29(土) 23:52:35
>>289
愉子は『スタンド使い』になって間もなかった。
『パラダイス・イン・フレイム』の能力は理解しているつもりだが、
使いこなしているとは言い難いレベルだ。
そういう部分は『人生の先輩』でもある笑美に教えられる事があるかもしれない。
「私の行きたい所は――――」
スィッ
そう言って真夏の空を見上げる。
今日は特に『暑い』。
『火』や『炎』に勝るとも劣らない『炎天下』。
「とりあえず…………『一休み出来る所』をお願いします」
「『雰囲気のいいお店』なら『なお良し』ですけれど」
カツ カツ カツ
ハイヒールを打ち鳴らしながら、先導する笑美についていく。
『朱鷺宮笑美』の『従姉妹』――『鵲愉子』。
こうして彼女は『星見町』で、念願の『一人暮らし』を始める事になるのだった。
291
:
パンドラ『ブレインボックス・P』
:2023/08/05(土) 12:42:37
白い布を纏う銀髪の女が通りを歩く
この通りは変わらないな
封印される以前の事を想いながら町の景観を見ていた
いや、よく見ると変わった所がある
ビッグモーターの前だけ街路樹が無い!
292
:
パンドラ『ブレインボックス・P』
:2023/08/06(日) 21:12:05
>>291
いや、街路樹が無いだけではない…
よく見ると、植え込みがコンクリートで舗装されている!
気になってしまい、少しビッグモーターを覗いてみるパンドラ
丁度今、接客中のようだ
しばらく見ていると、客と従業員が何か揉めているようだ
すると、従業員が何かを出して来た
靴下のようだが、その中に何か入っているようだ
大きさから考えてゴルフボールのような物だろうか?
ガン!ガン!ガン!
従業員は客の前で思い切りそれで車を殴り始めた!
一体何のつもりなんだ?
流石のパンドラも従業員のこの行動には驚愕せざるを得ない
会話の内容から察するに、車の修理費を増やすためにわざと傷付けたようだ
こいつらヤクザか何かか?
自分が眠っている間に、ビッグモーターは一体どうしたというのか?
軽いジェネレーションギャップを覚えたパンドラは自分はこの時代に着いていけるのか
頭を抱えながら損保ジャパンへと保険の契約をしに行くのだった
293
:
功刀 初雪『サクラ・ブルース』
:2023/08/12(土) 23:12:08
スマホを片手に市街を歩いていたが、
目当ての建物が見当たらずベンチに腰掛けた。
(外を歩き回るのは…………疲れるわ)
「けほっ」
帽子の鍔の角度を正し、額の汗を拭う。
『サクラ・ブルース』を使い熟すためには、
家に篭って本を読むだけでは明確に足りない。
多くの短刀術は鞘の存在を前提としており、
先人に倣うという選択肢は早々に却下した。
クル…
辺りを見渡す。
建物はあまり多くない道だが……何か目印でもないか、と。
294
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/08/14(月) 11:55:20
>>293
(遅レスになるかも知れませんが、宜しくお願いします)
夏の陽射しは眩しく、此処ら辺は建物は少ないものの熱気は幾らかあるだろう。
スマホの表示される地図だと、此処から半径100m以内に目立つ屋内と言えば
〇〇書店と言う名の本屋がある。そこが目当ての建物でないかも知れないが
探している建物の目印になるかも知れない。
さて……。
ベンチに腰掛ける君は、何気なく喉が渇いたと感じる事だろう。何せ暑いのだから。
数メートル先に、自販機が見えた。そして、そこに屈みこむ
いかにも浮浪者と言った風体の影も。
「……」 パンパンッ
自販機の下に手を伸ばしてた人物は、立ち上がると膝についた汚れを払い立ち上がる。
顔中に包帯を巻いて、立ち上がった拍子に被っているフードが少しずれる。
白髪の毛が見えて、そして直ぐに其の人物が被りなおした為に
雪のような白は見えなくなった……浮浪者らしい人物は君のいるベンチの方に
体を向ける……気味が悪かったり、相手をしたくなければ立ち去る事もお勧めだ。
295
:
功刀 初雪『サクラ・ブルース』
:2023/08/14(月) 15:26:36
>>294
初雪は自分の『病弱さ』をよくよく理解しており、
外出時には必ず『水筒』を持ち歩く(煩わしいが)
……が、自販機のジュースのようなジャンクな物も、
外出時だからこそ飲みたいという気持ちは無くはない。
そこに『その男』がいた。
しかもこっちを見た。
「…………」
…………一瞬だけ立ち上がりそうになったが、
その『浮浪者』の風体にむしろ興味が湧いた。
(あの『包帯』……内から汚れているように見えない。
『怪我』で付けている訳じゃなさそうだわ。
体格は若く見える……それに、砂を払うあの仕草。
小銭漁りが日常の『浮浪者』が、服の汚れを気にする?)
(『コスプレイヤー』かしら。
だとすれば……面白いわね。不謹慎で)
というのも、あまりにも『非日常的』すぎるからだ。
「……」
口元に袖を当て、『その男』に視線を向ける。
「……………………何かご用かしら、ミイラ男さん?」
『危険人物』の可能性はかなりあるが、
最悪、自分には『自衛手段』がある。
暑さで気が大きくなっていると言われれば、そうかもしれない。
296
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/08/14(月) 17:16:55
>>295
君の着眼点は『良い』。
その男の包帯は、多少長く付けてる為に聊か汚れは見え隠れするが
負傷によって出来るような黄ばみ等は見られない。
清潔を気にする浮浪者がいるか? と言う問いに関しては
人によっては居る可能性もあるだろうが……確かに浮浪者にしては
足取りには力がある。それに、君が声を掛けると気後れした様子もなく
真っすぐに、その包帯から覗かせる琥珀色の瞳が見据えていた。
>何かご用かしら
「……無いよ。怖がらせたようなら、謝る」
そう、短く告げる。声は、顔を隠してるし包帯も口元まで覆って
最小限の為に曇っているが、君とそう年齢も離れて無さそうな年若い男のようで有る。
「……あぁ、いや。一つだけ」
立ち去りかけた足が、数歩君と別方向で向かおうとして止まる。
「……仕事、探してるんだ。年齢不詳で、何の詮索もしないで
雇ってくれるような所……思い当たるか?」
「他に、恐喝めいて金を稼いでる奴の情報でも良い」
報酬になるのは、さっき拾った小銭しか無いが……と、指で軽く弾いて
銀色に鈍く宙で回った硬貨を見せつつ、正体不明の男が聞いてくる……。
「金が必要なんだ。妹同然の子にも、古びた扇風機だけじゃ
今年の夏を耐えさせるのは酷だからな」
どうやら、口ぶりからして家族? が居るようだ。
297
:
功刀 初雪『サクラ・ブルース』
:2023/08/14(月) 17:47:59
>>296
「……そんな包帯程度で、怖がってるとでもぉ?
本気で言ってるなら……ふん、つまんないわね」
鼻を鳴らす。
『警戒』したのは事実だ。怖がったと言えなくはない。
「それで、何かしら? 『仕事』ぉ?
買い被りは程々にして頂戴な。
『蛇の道は蛇』っ。 私の目が『蛇の目』に見える?
ま………….困ってるって事は、十分伝わったけれど」
初雪の容貌は一般的に見て『子供』だ。
背は低く、顔立ちも――アイメイクで誤魔化しているが、
どちらかと言えば『幼い』部類と言える。
もちろん『人は見かけによらない』のも真理だが、
少なくともこの話題においては『そのまんま』だ。
「…………余計なお世話なんでしょうけれど、
あなた、私とそんなに変わらない歳じゃないかしら?
国の『福祉』は……けほっ。思いの外充実しているわよぉ」
どこまで真に受けるべき相手かは分からないが、
『切実さ』のような物は声色に感じられる。
「妹想い……は、ご立派な事だけれどぉ。
そのやり方で『電気代』が続くとは思えないわね、ミイラ男さん」
298
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/08/14(月) 18:22:59
>>297
「……蛇の目でなくても、あんたは小動物の目には見えない」
確かに年少で、少女だ。学業に専念する年柄であろう事はノエも間違いないと踏んでる。
しかしノエは、他にも少女から感じる見えない事柄を理解してた。
それは、多くの『スタンド使い』。敵、味方も経て得た経験から基ものだ。
「あんた、オレに対して少しもビビッちゃ居ないだろ?」
琥珀色の、その瞳は勇むような口ぶりと違って威圧感は無い。
どちからと言えば、面白い人物に出会った好奇の色が強いか。
「オレ見たいな奴が襲い掛かっても、自分で何とか出来る。
そんな自信が感じられた。だから、荒事にも何となく慣れてるんじゃないか。
そう考えたが、見当はずれなら節穴でオレが間抜けだったってだけだ」
笑い話として、後であんたの話の種にしてくれれば良いと
男は肩を竦める仕草と共に告げる。
>国の『福祉』は……けほっ。思いの外充実しているわよぉ
「…………悪いが、受けれるような立場じゃない。
事情があるんだ、人には色々事情がな」
先ほどまでの声には明るさがあったが、打って変わって暗い声に変わる。
「…………邪魔したな。
オレは別の所で稼げる場を探してみるよ」
『福祉』の話から、露骨に男は遠くへ行こうとする気配を濃厚にする……。
どうも、ちぐはぐな雰囲気だ。犯罪者なら手練手管で君から金でも
せしめようとするだろうし、最悪、体格差で暴力に訴えそうだ。
そうする気配は無いし、会話は殆どしてないが危険な雰囲気は見せない。
だが、国からの保護の話を出した時から態度には出さずも『避けたい』と
思わせる気配を覗かせている。
大切な家族? も居るのなら、生活保護などの援助は謎の浮浪者にとって
欠かせない助け舟の筈だが……?
299
:
功刀 初雪『サクラ・ブルース』
:2023/08/15(火) 01:42:27
>>298
「あら。私、そう見えるかしら? 褒められて悪い気はしないけれど――――
ざぁんねん、『何とか出来る』とは思ってるけど、『何とかした』ことはなし」
「目で言うなら、画竜点睛を欠く、ってところだわ……こほっ。
ちょうど今、『天水桶』から這い出ようというところ」
小さくせき込みつつ、口元に微笑を浮かべる。
お世辞にも『荒事向き』に見えないとしても、
『荒事』を成し遂げられる『力』がこの世界にはある。
なんとなく――――目の前の男も、そうなのかもしれないと思った。
「ねぇ〜ちょっと、待ちなさいなっ。気になることを言うじゃあない」
無言で立ち去るのではないあたり、このミイラ男……人がいいのがうかがえる。
「一体どんな事情があれば『そう』なるのかしら、ミイラ男さん?
密入国者という風にも見えないし、犯罪者にさえ人権があるのが法治国家」
トコ ・・・
ゆっくりとベンチから立ち上がり、一歩だけ進んで続ける。
「まさか見た目通り――――お墓から帰ってきた、とでもいうんじゃあないでしょうねぇ?」
その目に真摯な説得といった色はない。
非日常的存在に対する好奇心。絵物語に夢を求める姫君のようなものだ。
300
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/08/15(火) 10:13:05
>>299
(これ以上、何も無ければ〆に入らせて頂きます)
「『何とかした』事なんて、早々ない方が良いと思うがな」
「そりゃ、桶から抜けて河口まで色んな景色を見たいと思う気持ちだって
あるだろうが……どん底へ落ちて二度と抜けれなくなるかも知れない」
なら、桶の中の方が都だろうとミイラ男は嘯く。
>見た目通り――――お墓から帰ってきた、とでもいうんじゃあないでしょうねぇ
「…………墓に入り損ねた、ただの名無しの権兵衛だよ」
「いや……『ノエ』って名前はあるけどな」
その瞳には、哀愁が有った。君の好奇の視線に対して不快さは抱いてない。
しかし彼の中にあるだろう事情や過去は話さないだろうなと感じられる。
幾らかの社交さを秘める中で、頑強に踏み込まれる事をよしとしない
部分に対して一線を引いている。
「こんな乞食に、あんた見たいな娘が長話するもんじゃないだろ?」
ノエには、彼には。この町の人々を害する気持ちは一切持っていない。
今こうなってる事は、すべて自分の責任で、その『罪』を償うには
並大抵のやり方で収められないと知ってるから。だがら、今は下の下で
汚水の中で漂いながら、機会を待つ……。
「日陰で生きるには、あんたちょっと早すぎるよ。
特に、オレ見たいに真っ暗な場所で過ごすのに興味を抱くのは悪趣味さ」
だから、ノエは君に打ち明ける事は無い。
301
:
功刀 初雪『サクラ・ブルース』
:2023/08/15(火) 20:44:45
>>300
「向かう先がたとえ『底』だとしても、『出ない』よりは良いものだわ。
今いる器が『桶』か『井戸』か、自分の丈は果たして……蛇か、龍か。
一度出てみなければ分からないでしょうに」
「…………けほっ」
初雪が『ミイラ男』の正体として立てた仮説は、
『偽りの死』を『利用』している人間ということだ。
それは借金苦から逃れる為か、あるいは…………
「『ノエ』? ふぅん……ま、覚えておきましょう」
(『興味』本位で立ち入れる領域でもなさそう。
面白い。このヒトを知るなら、もっと外から知るべきかしら?)
(……ま、今そこまでする程ヒマでもなし)
『装う』ことは重要だ。
生半可な覚悟で剥がすべきでもない。
「…………私のいる場所が、そうも明るい日向に見えるなら。
確かに、あなたのいる場所は随分薄ッ暗いんでしょうねぇ」
フン!
強く鼻を鳴らす。
「ま、いいわ。私はこれ以上追求しない。
次にその顔を見るのが『ニュース』でじゃない事を祈ってるわ」
ヒラヒラ
「ご機嫌麗しゅう、『死体男』さん」
立ち去るのであれば、それ以上は背中を追わずに緩やかに手を振る。
302
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/08/15(火) 21:04:45
>>301
(お付き合いありがとう御座います。また何処かで)
「あぁ、忠告どうも」
「……それと、『蝙蝠』 『エクリプス』と言うのには気を付けておけ
あんたが、そこまで出たいのなら引き止める事出来ないが。
忠告に対する礼には、忠告で、だ」
去り際に、そう告げておく。
何処か危うさを秘めた少女だ。自分と同じく『力』か……それに近い何かを
欲してるように思えた。
(今のオレには、『力』 『立場』 『金』
足りないものばかりだ。ゼロでしか無い)
だとしても、ノエの背中には罪が背負われているが絶望は無い。
(一歩ずつ、進める事を進めよう)
旧友にも、知人にも見せれる顔は無い。だが、何時か顔向け出来る機会はある筈だ。
それが何時になるか定かでない……けど、何時かきっとだ。
303
:
ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』
:2023/09/12(火) 18:02:27
「――――お集まりの皆様、ご観覧ありがとうございました」
古代ギリシャの装束である『キトン』を纏う女が、
周囲のギャラリーに向けて恭しく一礼した。
その両腕は『羽毛』で覆われ、背中には『翼』が備わり、
踵から『蹴爪』が生えている。
非常に精巧に出来た『コスチューム』は、
さながら『鳥人』を思わせる姿だ。
「本日の収益は…………」
ジャラ ジャラ ジャラ
「ま、こんなものでしょう」
大体の観客が捌けた後で、古ぼけたトランクの中に入った小銭を数える。
彼女は『ハーピー』と名乗り、『ストリートパフォーマー』を生業としていた。
『鳥とコミュニケーションを取る特技』を活かした『バードショー』が、
ハーピーの『パフォーマンス』だ。
バサササササッ
不意に一羽のカラスが舞い降り、女の肩に留まる。
「♪♪♪」
「カァー」
「♪♪♪」
「カァー」
女の口から『鳥のような声』が発せられ、
それに対してカラスが鳴き声を返した。
まるで『会話』が成立しているかのように。
しばらくの間、奇妙なやり取りが続く。
304
:
ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』
:2023/09/15(金) 17:44:14
>>303
一羽の『同胞』が運んできたのは、
最近になって現れた『新たな群れ』の情報だった。
将来的に『制空権』を掌握する為にも、やはり『組織力の充実』は不可欠。
『ブリタニカ』の最優先事項は『ニンゲンの調査』だが、
同時に『同族の動向』も気にしなければならない立場なのだ。
「あちらのリーダーは『我々のやり方が気に食わない』と。
しかし、『勢力図』を塗り替える程の規模ではないようですし、
時間が経てば考えも変わるでしょう」
ソ ッ
「こちらが『安定した食糧供給源』を握っている限り、
『トップの座は揺るぎない』という訳でして」
ハーピーが差し出した手の中には、
穀物を主原料とした『鳥用フード』が乗っている。
「ひとまず『お疲れ様でした』」
ザ ッ
肩の上のカラスに『報酬』を与えつつ、
星見町の各所に設置してある『隠れ家』に帰る為に、夕暮れの通りを歩き出す。
305
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/09/17(日) 12:54:02
9月も後半だというのに、未だに真夏のような気温だ
ミーンミンミンミーン
蝉の野郎共、7月、8月は大人しかったくせに
今頃になって鳴いていやがる
わ〜らび〜もち、わらびもち〜
9月なのにわらび餅の移動販売屋が大通りを走行している
この暑さならまだ需要はあるのか
頭に鈴蘭が咲いている少女がわらび餅を買っている
どこにでもある普通の夏の光景だ
306
:
りん『フューネラル・リース』
:2023/09/18(月) 21:05:18
>>305
クーラーボックスから冷たい水に入ったわらびもちがパックに詰められる
透明で冷たくて瑞々しいわらびもちだ
移動販売のわらびもちのくせに、やけに良い水を使っている
水マニアにりんには、水の質に敏感で食べれば分かるのだ
りん「あ、これ久しぶりに食べたけどやっぱり美味しいね」
しかし、それに水を差す男が居た
岡山士郎「このわらびもちは偽物だよ、食えたもんじゃない」
清「なんじゃ貴様!」
阿部マリア「てめぇ、このわらびもちにケチ付ける気ですの!?」
岡山「このわらびもちはわらび粉を使ってない、芋のデンプンで作った偽物だよ
透明なのがその証拠だ」
りん「う〜ん、わらび粉は高いからしょうがないんじゃないかなぁ」
岡山「やれやれ、本物のわらびもちを食べた事がないようだ」
岡山「明日、もう一度ここに来てください、本物のわらびもちをお見せしますよ」
マリア「ふん、見せてもらおうじゃありませんの、本物のわらびもちとやらを!」
後日
りん「えっ、岡山さん焼き芋の移動販売車に轢かれたの!?」
マリア「芋を扱き下ろしたのが聞かれたらしいんですの」
わらびもち屋「即死だったらしいぜ」
清「本来なら、(もう)口も利けぬ相手でごじゃるよ」
|\;;;;;;;;;,,\
. \|;;;;;;;;;;;;|
 ̄ ̄ ̄
<二二二二二)
終
制作・著作
━━━━━
ⓃⒽⓀ
307
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/10/11(水) 19:55:37
「うーん……」「どうしようかしら」
ここは『商店街』の一角。
雑貨屋を前に、日用品を買い出しにきた一人の女性が何かを手に持ち悩んでいる。
「こっちはシンプルで使いやすいし、値段も手ごろ……」
「こっちはデザインがいいのよね」
その手には『マグカップ』。
片方は真っ白な陶器で出来ており、片方はピンク色で子猫の意匠が施されている。
「こっち……」
「あぁ、でも、こっちもいいかしら?」
ウ―――ム・・・
308
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/10/12(木) 19:13:39
>>307
「これがいいかしらね…
あの子のラッキーカラー…」
ふと、隣から声が聞こえてくる。
ワンピースを着た女性のようだ。
ふと、アヤメの手と
笑美の手が一つのマグカップに触ることになるかもしれない。
「あっ、すいません。」
そう言って笑美は頭を下げた。
309
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/10/13(金) 01:42:06
>>308
「あっ」
「いえ、此方こそ……」「ごめんなさいね」
咄嗟に手を引き、同じく頭を下げる。
互いに触れたマグカップに目を向ける。
「……贈り物?」
310
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/10/13(金) 20:51:23
>>309
「いえ…頂いても良いでしょうかね?」
そう言って少し手を離す。
マグカップを見ながら少し名残惜しそうな顔をしているようだ。
「はい、ウチの娘のために新しいマグカップをあげようと思ってるんです。
普段使っているものをあの子、うっかり割ってしまって…」
そう言って少し苦笑いする。
「マグカップは色々あるんですけど
この色のはなかなか見つからなくって。」
311
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/10/13(金) 22:45:58
>>310
「ええ、勿論。構いませんわ」
躊躇いなく、触れていたカップからを手を離す。
「ふふ、仲がいいのね。
優しい奥様をもってその子も幸せだわ」
どこか困り顔の朱鷺を、少しだけ、羨ましそうに微笑む。
「お気に入りのものって、
探している時に限って見つからないものですもの」「見つかってよかったわ」
312
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/10/13(金) 23:03:12
>>311
「どうも、ありがとうございます。」
マグカップを手に取ると嬉しそうに微笑んだ。
「ええ、とっても仲良しですよ。
後もう一人、下の子も居ますけど
その子もとても仲良くていいものです。」
大事そうに手に取ったマグカップを抱えている。
「探すのがとても大変でしたよ。
ここで3件目くらいだったかしら。
ネット注文でも良かったんですけど
あの子のことだからすぐに欲しいだろうと思って…」
「とにかく、手に入ってよかったですよ。」
313
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/10/14(土) 01:43:42
>>312
「あら、じゃあお姉ちゃんは大変ね?
変にわがままを言ったり、甘えたりできないもの」
マグカップを大事そうに抱える『朱鷺宮』を見て、睦まじい家族像を思い浮かべる。
大切な家族を想う彼女を見ると、釣られるように此方も自然と笑みが零れた。
「確かに……若い子に人気みたいね、それ。
私も何件か探したけれど、取り扱っているのはここだけだったもの」
「ネット通販も、やたら入荷待ちだったし……」
314
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/10/14(土) 16:00:36
>>313
「そうね。
それでもあの子は結構しっかりものよ。
少なくとも、友達もいっぱいいるみたいですし。
まぁ色々心配なことはありますけどね。」
どうやら上の娘はしっかりものらしい。
母親としてはそれでも心配なのかもしれないが。
「ネットでもすぐには手に入らないものなんですね。これ。
道理で色んなところを探しても見つからなかったわけねぇ。」
どうやら自分は運が良かったのかもしれない。
そう思いながらじっとマグカップを見ている。
315
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/10/14(土) 22:09:56
>>314
「ふふ、いい事だと思うけれど」
親からしてみれば、自身の子どもは幾つになってもかわいいもので、心配なのだろう。
多分、きっと。一般的には。
「ええ、そうなの。
実を言うと私も――」
――そう、実を言えば自分もかなり『欲しい』。
偶然この店で見つけることができたのだが、
予定外の出費や手持ちの不安さから購入を躊躇っていたのだ。
いざ『手に入らない』となると「やっぱり自分も……」と意地汚い欲が湧いてくる。
ちょっとだけゴネたいような気も出てきたが――
「――いえ、なんでもないわ」
「贈り物はそれだけ? 良ければ他にも手伝いましょうか?」
316
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/10/14(土) 22:34:22
>>315
「そうですね。
いくつになっても子供は子供です。
心配ですよ。」
「私も…どうかしましたか?」
少し心配そうに視線を向けるが
すぐに表情を戻す。
「いいんですか?手伝っていただいても…
それじゃあその…」
そう言ってからあたりを見る。
「お茶碗も買いに来る予定だったんです。
下の子のおねだりで
『お姉ちゃんとおそろいのお茶碗が欲しい!』って言ってきたので…」
317
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/10/15(日) 01:44:31
>>314
「いいえ、気にしないで。ただの独り言だから」
心配そうに訊ねる『朱鷺宮』に申し訳なさそうに返す。
娘や他人を思いやり、親切にする。
実に『いい人』だな、と再認識する。
それに比べて自分はと思うと――
「――『子ども』を躾けるのも大変ね、って話よ」
ふぅ、と自嘲気味に笑う。
「ええ、ええ」「勿論よ」
「これもきっと、何かのご縁だもの」
自身が持っていたカップを棚に戻す。
元より気まぐれで立ち寄った店だ。
彼女に付き合うのも悪くないだろう。
「ふふ」「じゃあ喧嘩しないよう、気をつけないとね」
店内は狭いながらも、日用品が数多く陳列されている。
きっと、『朱鷺宮』の求める品も見つかる事だろう。
「素敵な贈り物、見つかるといいわね?」
318
:
朱鷺宮笑美『トループス・アンダーファイア』
:2023/10/15(日) 16:13:46
>>317
「んー、そうですか…
確かに、優しくしすぎてもダメですしね。」
彼女の言葉に何処か共感を覚えたようだ。
「じゃあ、行きましょうか。
この縁ですからね。色々探しましょうか。」
そう言って微笑むと店内を一緒に歩きだす。
「…この縁ですから自己紹介しておきましょうか。
私は朱鷺宮笑美と言います。
よろしくお願いしますね。」
そう言いながら一緒に歩きだす。
きっと楽しい時間になるかもしれない。
319
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/10/16(月) 10:51:23
>>318
「ふふっ、任せて。
こう見えて、女の子の『趣味』ぐらいは分かるんだから」
ちょっとだけ誇らしげに笑う。
「笑美さん……いえ、朱鷺宮さんね。
年上相手にに失礼だったわ、ごめんなさい」
「私は西(カワチ)……いえ、余所余所しいわね。
アヤメよ。アヤメでいいわ」
自己紹介を交え、二人で店内を回る。
その後、他愛のない談笑を交えつつ、あれやこれやと商品を選びながら店を後にするのだった。
320
:
水瀬海恋『FFwF』
:2023/10/20(金) 10:20:53
商店街のベンチ、普段は年配の方々が座ってるような場所に座る女がひとり。
特に整えてもいない伸びた髪。
クマの見える目には光がなく、ぼんやりとしている。
その割には着ているジャージが綺麗だ。
「あー……」
手に持った……というか、指にかけた袋がゆらゆらと揺れていた。
「はぁ……」
ため息混じりに伸びをすると、緩く指にかかっていた袋が宙を舞う。
「あ」
誰かに当たるかもしれないし、地面に落ちるかもしれない、そんな日だった。
321
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/10/20(金) 11:31:43
>>320
(宜しくお願いします。少々返すのが遅レスになる可能性あり)
夢を見た。
暗い赤い髪 スリーピース 『無数の蝙蝠』
かつて、小林 丈が邂逅し、そして深層に潜る前に去った存在。
夢の中で呟いた単語。棒使い……『棒使い』
「…………」
ふわっ パサッ
君の指から離れて、宙を幾何か悪戯に舞った袋は。
何処かその袋と同じように、地に足ついてない歩みで進んできた
浮浪者に近い無地のズボンと、褪せた色のフード付きのコート。
そして、そのフードから覗くのは包帯で顔を包んでる怪しい人物。
その片足へと軽く袋が巻きつくように当たった。
「…………」
無言で、その包帯の人物は少し屈んで袋を掴むと君(水瀬)へ近づく。
見た目は、どう譲歩しようと不審人物に見える。
その琥珀色の眼光は、君を留めている。どう言う感情を伴ってるかは不明だ……。
322
:
水瀬海恋『FFwF』
:2023/10/20(金) 13:17:27
>>321
「あぁ……すんませんね」
(なんやこいつ)
関西訛りの言葉が口から吐き出される。
とはいえ、相手を値踏みするようなこともない。
そこまでの興味を惹かれないのだ。
「どうも」
そう言って、手を伸ばす。
袋を受け取るためだ。
中身が潰れてないならいいが。
323
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/10/20(金) 13:32:52
>>322
>どうも
「……あぁ」
短い言葉に対し、相応の短い遣り取り。
君は袋に手を伸ばす。そして目の前の不審な相手が、その正体不明さを笠に
伸ばした手に袋を返す以外の行動を起こす事もない。
当然であるが、君が相手に関心を抱かないのと同じく、相手からしても
水瀬は知り合いでなければ、仇敵とかでもない。縁が無いのだから
ドラマが起きる事だって無い。
ただ、短くも声色と細見であるが体格からして男なんだろうなぁと
言うのは伺える。年齢や、それ以上の深掘りは会話か何か行動を起こさなければ
まず分からないだろうが。
「……聞きたい事がある」
「ここら辺りで、服装はスリーピース」
「赤い髪の青年……見かけた事ないか?」
袋を渡した男は、そう君に尋ねる。
324
:
水瀬海恋『FFwF』
:2023/10/20(金) 14:21:14
>>323
「はぁ?」
急に何を言っているのだろうか。
「知らんけど」
「ちゅうか、そない派手な髪しとる人探すんやったら歓楽街とかのがええんとちゃいます?」
袋の中に視線をやる。
そこにはメロンパンが二つ、片方は食べかけで包装するための小袋に入っていた。
「金でも貸してはったんか?」
「なんでもええけど」
325
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/10/20(金) 15:26:45
>>324
>歓楽街とかのがええんとちゃいます?
「……そうだな。この後、行く事にする」
蝙蝠の男 夢の中 だが、アレは真実だ。
必ず奴は居る。この町 星見町に。この町の何処かに。
平然と、素面で夢の恰好のままに出歩いている等と、楽天的に考えてはいない。
だが、今は探す伝手も、力も無い。無数の砂漠の砂粒を、一つずつ掬う程に
気の長い作業と向き合うしかない。確率はゼロに等しい。
まさに、荒唐無稽で、オレ向きだ。いいさ やってやる。
>金でも貸してはったんか?
「……そうだな。貸しだ」
『リュウカ』 『タツ』
彼の 彼女の無念、巡り巡って、そして私でありオレの縁。
見えてた悔恨に、見落として、見えずとも在るであろう見えない犠牲。
彼は……オレの、私の代わりに濯ぐ事が、いや、今もしている最中なのだろう。
対してオレは? 今も、ゼロ地点で動いてないままだ。
「返して貰うつもりだ」
オレの手には、残されたものは少ない。
恨み辛みを向ける相手など、誰も居ない。
謝罪を向ける相手は無数にあれど、それも叶わない。
オレが、オレに務めを果たす事があるとすれば。出来る事があるならば。
「……それが、今のオレに残ってる事だ。大事な事なんだ」
この町の人が、この町が好きだ。
だから、陰させる事が許せなかった。
贖罪の方法。再起の仕方。何もわからない、何かにもなれない侭で何を成せる?
何も 何もない。なら、何も出来ないままに一匹の魚が溺れてみるばかりだ。
その波紋で、何かを起こせるかも知れないし、無為に泡となるかも知れない……。
「……ありがとう」
「話したら、少し目的の輪郭がはっきりしてきた」
やはり誰かと話すのは、良いな。と、遠くを見ながら包帯男は嘯く。
行き成り意味不明な事を尋ね、そして同じく突然感謝しつつ変梃りんに呟く。
服飾もそうだが、やはり少し頭が残念な人種なのかも知れない。気を付けた方が良さそうだ。
326
:
水瀬海恋『FFwF』
:2023/10/20(金) 20:21:41
>>325
「……別に人生いろいろあるとは思うけどな」
「お前のことなんか知らんし、浸るんは程々にしてくれや」
ため息が言葉にまた混じった。
「用は済みましたか?」
327
:
ノエ『ゼロ・モーメント』
:2023/10/21(土) 11:05:22
>>326
(レス遅れ失礼。それと会話を膨らませる事が出来ず申し訳ありません。
こちらで〆とさせて頂きます)
>用は済みましたか?
「あぁ、付き合わせて……悪かった」
水瀬と、包帯で顔を覆う面積と同等に素性不明な包帯男は
意外に常識はあるのか、軽い謝礼の言葉だけ投げかけて背を向ける。
もう、会うことは無いだろう。少なくとも、今日この日は。
既に、ノエの意識にも水瀬でなく別の事が描かれていた。
(『蝙蝠の男』には、仲間が居る)
電話での会話。それに、遭遇した事件の『刀』の顛末。
少ない推理材料しかない。だが、奴が止まる事はないのは理解出来る。
空を羽ばたく蝙蝠が急に止まりはしないように。
いま、出来る事……それは、限りなくゼロに等しくとも。
「…………一歩、ずつだ」
「それが、生かされた『責務』だから」
ノエは放浪を続ける。その名の通りに『何か』を見つけるか、得る為に。
328
:
水瀬海恋『FFwF』
:2023/10/21(土) 13:46:02
>>327
背を見送った
329
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/01(水) 16:49:50
トテ トテ トテ
野生のラッコが歩いていた。
この町においては、そこまで珍しい光景ではないが、
人によっては初めて見るかもしれない。
そんな事は関係なく、ラッコは歩き続ける。
トテ トテ トテ
330
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/03(金) 12:08:04
>>329
「スタンド使いになって初めて気づいたのだけれど……
もしかしてこの町って……『変』……?」
「一応、生まれも育ちもここなのに前々気にもしなかったわ。
……なんか、感覚が研ぎ澄まされたというか……『異常』に目が向くようになったというか……」
独り言ちながらぽつぽつと散歩をしている。
「フツー見かけないわよね。
『ゴスロリ少女』だとか『呪いの人形』だとか……」
トテ トテ トテ
「『ラッコ』とか……」
トテ トテ トテ
「…………」
「え? ラッコ?」
二度見した。
331
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/03(金) 13:51:31
>>330
人間に限らず、自分が強く関心を向ける事柄に対しては、特に『注意力』が働く。
今まで気付かなかったのは、単に注意を払っていなかっただけなのだろうか。
だからこそ、今は『気付けるようになった』とも思える。
トテ トテ トテ トテ トテ
『ラッコ』だ。
イタチ科ラッコ属に分類される『海獣』。
通常は海上に生息する動物だが、このラッコは陸上にも進出していた。
何故かは分からないし、どうやって来ているかも分からない。
ただ、『そこにラッコがいる』という事実だけが残る。
「ミャー」
おもむろに立ち止まり、二度見されるラッコ。
332
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/03(金) 14:07:11
>>331
「…………」 「フッ」
二度見した後、自嘲気味に笑って目元を押さえる。
「いやいや、落ち着くのよ。アヤメ。
いくら何でも『ラッコ』……ラッコって。ラッコはないわよ」
「確かに最近『疲れてる』っぽい自覚はあるわよ。
えぇ、そう。どちらかというと『憑かれてる』方かもしれないけれど……。
『癒し』が足りないから、そんな幻覚を見てしまうのよ」
「……だって、フツーに考えれば『保健所』案件だもの」
・・・チラリ
三度見した。
333
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/03(金) 14:27:29
>>332
これが一時的な気の迷いによる産物なら、数秒後にはキレイさっぱり消え去り、
爽やかな秋風が吹き抜ける風景が広がっている事だろう。
「ミャー」
改めて視線を向けると、
爽やかな秋風が吹き抜ける風景の中にラッコが佇んでいた。
ラッコの幻覚を見ている訳ではなさそうだ。
もしかすると『ラッコに似た別の生き物』なのかもしれない。
そうだとしても良く似ている。
まるでラッコのようだ。
「ミャッ」
ヒョコッ
三度見されながら、後ろ足で器用に立ち上がるラッコ。
334
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/03(金) 14:41:18
>>333
「…………」
「――ふっ」
―――『ラッコ』だ。
紛れもなく。何度見ても。
しかも器用に『二足歩行』してる……
「あっ…可愛い……」
「…………」
「 じ ゃ な く て ッ 」
一人、虚空に向かってツッコミを入れる。
「どうなってるのよぉォォ〜〜〜〜っ この町は……ッ!!?」
「『ラッコ』!? 『ラッコ』ってなに!?
どうしてこんな所にラッコが居るのよ!? 『呪いの人形』のお次は『喋るラッコ』かしら!?
『不思議の国』から出てきたら『ぼのぼの君』ワールドに迷い込んだとでも言うの!?」
脳が混乱気味に『理解不能』! と救難信号を出す。
ちょっと立て続けに『奇妙な出来事』に遭遇して疲れているんです。許してあげて。
335
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/03(金) 15:15:15
>>334
もしラッコが喋り始めたとしたら、それは大変な出来事だ。
「ミャッ」
しかし、このラッコは喋らなかった。
『ラッコ語』の話者であれば、何を言っているのか理解できただろう。
もちろん大半の人間にとっては『鳴き声』の域を出ないが、
『驚いたらしい様子』は伝わったかもしれない。
ゴソ
目の前で起きた騒ぎに対し、毛皮の脇に前足を差し入れるラッコ。
あまり知られていない事だが、ラッコには『ポケット』がある。
小物を入れておける便利なスペースだ。
――――――ソッ
取り出されたのは、何の変哲もない『石』だった。
「ミャア」
両方の前足を使って大事そうに持っているが、どうして出したのかは定かではない。
単に確認したかったのかもしれないし、自慢したかったのかもしれない。
あるいは、突然の事にビックリしたので、
『お気に入りの石』に触れて気持ちを落ち着かせようとしたのかもしれない。
336
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/03(金) 15:33:15
>>335
「私!? もしかして私がおかしいの……!?
おかしいのは私の方なの……!?」
両手で頭を抱えてうんうんと唸り、一人問答に突入しようとするが…
――――――ソッ
「えっ…」
「な、なに……? どうしたの?」
差し出された『石』と『ラッコ』を交互に見る。
「……も……もしかして……」
「慰めてくれてる……?」
337
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/03(金) 15:54:25
>>336
少し前、星見町でラッコが一世を風靡した事がある。
それ以来、すっかり町に溶け込み、景観の一部になった感のあるラッコだが、
全ての住人がラッコに馴染んだ訳ではない。
そんな人の思惑とは関係なく、ラッコは『定住』していた。
ジッ
「ミャー」
直立姿勢を保ちながら、つぶらな瞳で見つめるラッコ。
落ち着きを取り戻したらしく、関心があるのかないのか良く分からない表情で、
葛藤を繰り返すアヤメを眺めている。
ラッコが持っているのは『ただの石』だ。
しかし、ラッコにとっては『宝物』だった。
ラッコの意図は不明だが、
『石』に触れてみると意外に落ち着くかもしれないし、
別に落ち着かないかもしれない。
サァァァァ………………
爽やかな秋風が吹き抜ける風景の中に佇む一人と一頭。
338
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/03(金) 16:18:28
>>337
目と目が合う。
『ラッコ』には『お気に入りの石』という物がある――という知識を、アヤメは知っていた。
ラッコの食事に必須な貝などを食べるときに使ったり
自らのお腹の上にのせて『重し』の様にして使う『石』だが、
それらは何でもいい訳ではなく、それぞれの個体によって決まった『お気に入り』が存在するのだと……
そして、それが壊れたり無くなったりするとえらく落ち込んだりショックを受けたりもするそうだ。
そんな『大切な石』を、まるで仲間に見せるように突き出されている……
なんとも奇妙な『絵面』―――
サァァァァ………………
つぶらな瞳に見つめられ、一陣の風が舞う。
「…………」
「……か……」
「可愛い〜〜〜〜〜っ!!」
――ガシィイ
健気な(?)『ラッコ』の姿に胸打たれたのか、
突然『ラッコ』を抱きかかえ人間の圧倒的パワーで猛烈に撫でまわす!!パス精CCC
ワシャワシャワシャワシャワシャ――――z___ッ!!
「なにこの子〜〜〜っ! 滅茶苦茶人懐っこいじゃないの!
どーしてこんな所になんて『どーでもいい』わ! こんなに可愛いんだもの〜〜〜〜!」
よお〜〜〜〜し
よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
339
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/03(金) 17:11:59
>>338
人間は人間であり、ラッコはラッコである。
お互いの存在を認識していたとしても、『意思の疎通』を交わす事は極めて困難だ。
それでも『同じ星に生きる生物』。
どこかしら共感できる部分はあるのかもしれない。
『それが何か』までは分からなくても。
「ミャッ」
ラッコも犬や猫に負けない程度のパワーは備えている筈だが、
『機動力』では遅れを取っており、反応する間もなく撫でられ続ける。
ここが『海上』ならば、本来のパフォーマンスを発揮できたものの、
やはり陸上における適応能力は低いと言わざるを得ない。
しかし、ラッコの強みは『陸棲哺乳類』にはない長所だ。
まず、使い勝手のいい『ポケット』。
そして、霊長類を除き、唯一『道具』を日常的に用いる知能。
サワッ…………
フワッ…………
さらに、『哺乳類の最高峰』とも称される『毛皮』。
とても柔らかく、驚く程にフワフワした手触りが伝わる。
かつてラッコが『乱獲』されて激減したのは、
断熱性に優れた『高性能の毛皮』に目を付けられた事が原因だ。
340
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/03(金) 21:46:35
>>339
・ ・ ・
「――――ふぅ」
15分ほど『堪能』した所で、満足げに一息つく。
「ふふっ…ありがとね、ラッコちゃん。
おかげで少し落ち着いたわ」
微笑みながら『ラッコ』に礼を述べる。
だが離さない。ぬいぐるみのように抱きついたままだ。
冷たい風が吹く昨今、この温もりは何とも手放し難い。
「……あなたはどこから来たのかしら?
……やっぱり、水族館から抜け出したのかな……?」
両脇に手を抱えながらそっと持ち上げてみる。
『首輪』とかついてないだろーか。
341
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/03(金) 22:20:06
>>340
魚を待ち伏せる『ハシビロコウ』の如く直立不動のまま、
ボクサーの前の『サンドバッグ』のように、
ひたすら撫でまくられるラッコであった。
「ミャア」
生憎、『首輪』は付いていなかった。
それだけではなく『個体』を示すような品は何一つ見当たらない。
このラッコの出身地は『アラスカ州』の『プリンス・ウィリアム湾』であり、
眠っている間に星見町に流れ着いたのだが、
そうした経緯は見た目からは分からない事だ。
ポロ ポロ ポロ ポロ ポロ
持ち上げられた事で『ポケットの中身』が零れ落ちる。
『コバルトブルーのシーグラス』
『ペットボトルのキャップ』
『S県I市のわさびマスコット』
『ホタテの貝殻』
『銀で出来た星のペンダント』
――――――やはり『身元不明』のようだ。
342
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/04(土) 01:46:55
>>341
「わっ! ごめん〜〜〜!
なんかいっぱい出てきちゃったわ」
ポケットから零れ落ちた物に驚き、
そっと『ラッコ』を下ろしてから物品を拾う。
「これ、全部あなたの……?
『身元』が分かりそうな物は――何もないわね」
一つずつ確認しながら『ラッコ』へ返す。
どうやら『迷い猫』……もとい『迷いラッコ』ではなさそうだ。……『野生』なのだろうか?
「……ねえ、あなた『どこの子?』
ご飯とかお家は? 近所の人が『餌』を与えてるとか?」
言葉が通じないと分かりつつも訊ねる。
こういう愛玩動物についお喋りしてしまうと言うのは、ある種での人間の『さが』なのだ。
343
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/04(土) 02:56:28
>>342
ヒョイ
ヒョイ
ヒョイ
ヒョイ
拾ってもらった物を前足で掴み、順番にポケットの中へ戻していくラッコ。
見た目だけで判断すると、ラッコの四肢は小さい上に、
指も申し訳程度しか備わっておらず、
とてもじゃないが器用な使い方が出来るようには思えない。
だが、表面の肉球が指の役割を果たしており、
犬や猫には真似の出来ない器用さを実現している。
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
そして、アヤメの手の中に『コバルトブルーのシーグラス』だけが残った。
ラッコが取らなかった理由は分からないが、
ひょっとしたら『くれた』のかもしれない。
当人が取り返そうとしていない以上、受け取ってしまってもいいのだろう。
一番よく見かける『シーグラス』は茶色・水色・緑色・無色。
明るい青色である『コバルトブルー』は『割とレア』くらいだ。
「ミャー」
当然のように、相変わらずラッコは『言葉』を発しなかった。
しかし、もしかすると一種の『交流』は成立したのかもしれない。
少なくともラッコは『困っていなさそう』に見える。
具体的な生活環境は不明だが、『食事』や『寝床』は確保しているのだろう。
放っておいても飢え死にする事はなさそうだし、
また『何処かで会う』事もあるのかもしれない――――――。
344
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/04(土) 11:01:14
>>343
「わおっ、すごぉ〜い!
『ラッコ』って結構器用なのね」
前足と肉球を器用に用いて次々に物をポケットにしまう姿に軽く感動する。
会話は通じていないのに、不思議と意思疎通がとれているように思えてしまう。
(う〜ん……やっぱり『野良』よね、この子……。
『猫』とか『犬』なら保護しても大して問題ないんだけど……
ラッコだとフツーの家じゃ飼うのって厳しいわよねぇ)
「可愛いし、ちょっと放っておけないんだけど……無責任なこと出来ないしなぁ
かと言って、見過ごすのも……うーん……」
「こういうのって、やっぱり『警察』かしら……
でも確か野生動物の保護って、専用の機関があったと思うからそっちかな…」
・・・ン?
一人思考を重ねていると、
ふいに差し出される『シーグラス』に目を向ける。
「……くれるの?」
確認するように訊ね、『シーグラス』を手に取ろうとする。
345
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/04(土) 13:19:57
>>344
ラッコは『海獣』だが、アザラシやセイウチのような『分厚い皮下脂肪』を持たない。
その代わりに、『高品質の毛皮』と『高い新陳代謝』によって体温を維持している。
この為には『大量の食事』を摂る必要があり、
自分の体重の五分の一から四分の一に匹敵する量を、一日の間に摂取する。
貝類の他に『エビ』・『ウニ』・『カニ』も大好物。
『美食家』で『大食漢』のラッコを、一般家庭で養うのは難しいだろう。
「ミャッ」
『シーグラス』は、既にアヤメの掌中にあった。
アヤメが拾って返そうとした時、それだけ何故か『スルー』されたのだ。
元々は海に捨てられたガラスの容器か何かだったのだろうが、
自然の力によって長い年月を掛けて角が取れ、
丸みを帯びた曇りガラスのようになっている。
アヤメの手の中にある『シーグラス』も、『長い旅』をしてきたのかもしれない。
あるいは、目の前にいるラッコも。
トスッ
ラッコが前足を下ろし、『四足』に戻る。
トテ トテ トテ
そして、ラッコは再び歩き始めた。
今度は立ち止まる様子はないが、その歩みは人間よりも遅いので、
追い付こうと思えば簡単に追い付ける。
どうするかはアヤメ次第だろう。
346
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/05(日) 13:19:20
>>345
「…………?」
受け取らない『シーグラス』を天に翳し、透かして見る。
ただの『ガラス片』とは違う不思議な魅力がそれにはあった。
「あっ、ちょっと」
やや遅れて、唐突に歩き出す『ラッコ』に気がつく。
「……帰るの?」
『ラッコ』の後ろ姿に声をかける。
すでに『保護』だとか『通報』だとか、そういう考えは何故か頭からは消えていた。
このままこっそりついていこうか、それとも静かに見送るか。
少しだけ、名残惜しそうに迷う。
347
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/05(日) 14:01:53
>>346
『人魚の涙』や『浜辺の宝石』とも呼ばれる『シーグラス』は自然の芸術作品。
同じ形をした物はなく、それぞれに違ったストーリーがある。
アヤメに『アヤメの物語』があるように。
この『シーグラス』は、そんな意味を込めた贈り物だったようにも思えた。
もちろん単に何かの気まぐれで受け取らなかっただけかもしれない。
トテ トテ トテ トテ トテ
そして、ラッコにはラッコの物語がある。
こうして歩いているのも、その一部なのだろう。
『多分』だが――――。
トテ トテ トテ トテ トテ
ラッコは『鵺鳴川』の方向に向かっているらしい。
すぐに追いかけなかったので、少し距離が開いた。
このまま眺めていれば、その内に見えなくなりそうだ。
348
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/05(日) 14:48:14
>>347
「ついてきて」とも「さようなら」とも言わず(当たり前の事ではあるが)、ただ歩を進める『ラッコ』を眺める。
コミュニケーションが取れていた気がしたのは自分の思い違いだったのだろうか……。
(……ちょっとだけ、ついていこうかな。
心配っていえば心配だし……どこに住んでるのとか、『家族』は居るのとか、
そういう好奇心が刺激されるってのも確かだわ)
「…………」 ・ ・
(――いや、)
『やめておこう』。
彼(彼女?)はただ帰宅する道中、たまたま自分と出会っただけで
普段と変わらない『日常』の一ページに過ぎないのだろう。
もしかしたら「うっとおしい人間に絡まれたなぁ」とか思ってるかもしれない。
そこから先、自分の興味本位の好奇心で
いたずらに彼の『領域』に踏み込んでしまうのは『敬意』を失い『失礼』に当たる……そう思った。
「さようなら!」
だからこのまま見送り、『アイサツ』をして送り出すのがせめてもの礼儀だろう。
・ ・ ・
「――またね!」
349
:
ラッコ『ハッピー・スタッフ』
:2023/11/05(日) 15:38:28
>>348
アヤメにはアヤメの、ラッコにはラッコの『日常』がある。
ラッコを追いかけようとする人間もいるだろう。
事実そのような人間はいた。
歓楽街に現れたラッコの後を追い、川に入る姿を見届けた人間が。
しかし、アヤメは『そうではない』。
これは『アヤメとラッコの物語』。
だからこそ、その『結末』も違って当然なのだ。
トテ トテ トテ トテ トテ
星見町出身のアヤメなら分かる事だが、
町内の『主要施設』は『鵺鳴川から遠州灘沿い』に固まっている。
ラッコにとって『鵺鳴川』は、『便利な移動ルート』なのかもしれない。
だが、『S県I市』の山中にある『旧Aトンネル』など、
明らかにコースを外れた場所に現れた事もあり、
やはり真実は謎に包まれていた。
それはともかくとして――――――
「ミャー」
偶然か必然か、ふとラッコの歩みが止まり、『鳴き声』が返ってきた。
一人と一頭を隔てる距離は既に遠い。
しかし、確かに聞こえる。
トテ トテ トテ トテ トテ
そして、ラッコは再び歩き始めた。
アヤメの手の中に『シーグラス』を残して。
いつか再会する時までは、それが思い出の欠片になるだろう。
350
:
アヤメ『ジ・アルビオン』
:2023/11/05(日) 16:15:58
>>349
「……行っちゃった。
なんか不思議な体験だったわ……まるでファンタジーみたい」
(ちょっぴり……勿体なかったかな……?)
去り行く背を名残惜し気に見つめて呟く。
『動物』の後を追いかけ、『日常』から『非日常』へ入り込む――そんな選択肢も勿論あっただろう。
それをしなかったのは単なる気まぐれか、或いは他人との境界線を律儀に線引きする難儀な性格故か……
「……まっ、『プレゼント』だけで十分よね」
掌に残る『シーグラス』を見つめ、背を向ける。
自身もまた、帰路につく事にしよう――
「ミャー」
離れた先から『声』が返ってたのを聞き、静かに微笑む。
――『これでいい』と、アヤメは思った。
351
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/11/22(水) 16:11:44
ちょっとした私用を済ませた後で、愛車である『ベスパ』のシートに腰を下ろす。
現在では標準的な『セルモーター』を搭載していない旧型だ。
その為、車体側面の『キックレバー』を踏み込んで、
エンジンを始動させる必要がある。
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
しかし、なかなか掛からない。
気温が高いと『オーバーヒート』する場合もあるが、
寒くなってくると別の問題が持ち上がる。
何かしらのトラブルが起こる可能性を、常に抱えているという訳だ。
「さて、今回は――――――」
ガチャッ
「どの辺が『ご機嫌斜め』なのかしら」
シート下の『メットインスペース』から、
携帯用の工具セットを取り出し、気になる箇所を弄り始める。
352
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2023/11/27(月) 15:14:45
>>351
しばらくして工具を戻し、シートの上に座り直す。
「さて、と――――」
再びキックレバーに足を乗せ、力強く踏み込む。
ド ル ン ッ
「ご機嫌が直ったみたいね」
バァァァァァァァァ――――――――――ッ
『カナリアイエローのベスパ』が発進し、軽快な走りで街中を駆け抜けていった。
353
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/11/27(月) 16:36:52
「あら・・・・?」
大通りに面した花屋の前に華奢な印象を受ける少女が立っていた
栗色の髪を肩口で切り揃え、暖色系のセミフォーマルな衣服に身を包んだ女性だ
年齢の程は大学生くらいだろうか・・・・?
まるでどこかのお姫様であるかのような品のある印象を受ける
その少女は花屋の表に並んでいた鉢植えに視線を落とす
それは、白く小粒な印象の花をいくつも並べてつけていた
秋に咲いては居るが、それはスノーフレークという品種の花であった
・・・・・『スズラン』に似た印象を受ける花だ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
少女は屈みこむようにしてしばらくその花に視線を合わせていたが・・・・
「・・・・・・・ふ、ふふふ」
ギュッ・・・・!
突然、小さく笑みを浮かべると
荒々しい仕草でその花を掴み、握りしめた
354
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/11/28(火) 16:33:36
>>353
その『花屋』には行った事がある。
『鈴蘭の実物』を見る為に足を運び、
同じ場に居合わせた『配送業者』から幾つか話を聞いた。
だが、今日ここを通ったのは『偶然』だ。
「――――久し振りだな」
ザッ
熊野の正面に立ち、『スノーフレーク』を握る姿を見下ろす。
355
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/11/28(火) 17:59:58
>>354
「あら・・・・」
ボロ・・・・
ボロボロ・・・・・
右手にスノーフレークを掴んだまま立ち上がる
鉢植えから引き抜かれた花は千切れた根の断面を痛々しく晒しながら、ぼろぼろと土を零す
「宗像さん」
「お久しぶりです」
「『お元気そう』で、何よりです」
含みのある言葉
その言葉とともにふふっと息を漏らしながら唇が笑いに歪む
356
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/11/28(火) 18:58:48
>>355
カーキ色の作業服に革手袋と安全靴。
熊野の眼前に立つ姿は、最後に会った時と同じ格好だ。
少なくとも外見上は何ら変わりがない。
「『元気』という言葉が『生きている』という意味なら、その通りだ」
『後遺症』が残る左手の感覚を確かめるように、拳を軽く握り締める。
特に手先が器用ではなかったが、以前と比べて細かい動作は出来なくなった。
『元気』という言葉が『万全』という意味なら、その通りとは言い難い。
「例の『鈴蘭の少女』だが、あちこち探し回って、ようやく見つけ出せた」
熊野の右手に握られている『鈴蘭に似た花』を一瞥する。
「『定期的に花を抜かなければ怪物が現れる』という話だったな」
その花が、りんの頭に咲いた『鈴蘭』と重なって見えた。
357
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/11/28(火) 20:43:25
>>356
「・・・・・ええ、そうです
『鈴蘭の少女』が咲かせた『花』を抜いてしまわなければ、いずれ『怪物』が現れる
宗像さん、あなたにお伝えした通りの内容で間違いはないわ」
『鈴蘭の少女』を発見したという言葉に、熊野の胸が高鳴る
彼女の『花』を宗像が抜いたとするならば、『怪物』が現れていたはずだ
・・・・・だが、彼はここに生きている
あの後、星見町内の変死・行方不明事件については新聞で追いかけていたが
特に目立った事件は起きていない
という事は・・・・・
「それで、あなたはどう思ったのかしら?
実際に鈴蘭の少女を見つけてみて・・・・可哀そうになって引っこ抜くのは諦めた?
それとも・・・・?」
右手に握りしめられた花がふらふらと揺れる
それはまるで絞首刑を執行された罪人のようにも、神に捧げられた生贄の様にも見える
358
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/11/28(火) 21:51:03
>>357
当初は騒がれていた『あの事件』も風化し、世間からは過去の一部として扱われている。
だが、関係者の記憶から薄れる事はない。
覚えていたくない出来事ほど、忘れる事は難しいものだ。
「『怪物の出現を防ぐ』という目的は変わらない」
「ただ、その『手段』が変わっただけだ」
りんと話した結果、あの少女を生かさなければならなくなった。
問題になるのは熊野の存在だ。
熊野風鈴は『怪物』を知っている。
この街の中で、熊野だけが知り得る情報だろう。
そして、『知らなかった』という理由は、『二度目』には通用しない。
「今後、『怪物』は『封印』する事にした」
「もし『怪物』を目覚めさせようとする人間が現れた場合――――」
ズ ズ ズ
傍らに『アヴィーチー』を発現させる。
ヴィジョンの左腕には『罅』が走っていた。
それは何らかの『予兆』の暗示だ。
「俺が『殺す』」
一対の黒い瞳が熊野を見据え、淡々と言葉を紡ぎ出す。
359
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/11/28(火) 22:18:56
>>358
「・・・・・・・・・・・。」
一瞬、小さく口を開きながら、ぽかんと呆けた様に宗像を見つめた
――――『予想外』だったからだ
「ふ、ふふふふ・・・・・」
そう・・・・それは『予想外』
予想外の結果に緩む口元が抑えきれずに笑い声が漏れだす
何が彼女にとって予想外だったのか・・・・それは
「ふ、は、あははははははははは!」
『予想』を遥かに超えた、『面白い答え』を宗像が口にしたからだ
「では、あなたは?
この私を殺すのかしら?」
ズズズズ・・・・
熊野の背後から『フォー・エヴァ・ロイヤル』が発現する
かつて宗像にヒントを残した彼女は、而して今は言葉を語らず、ただ宗像を見つめるのみである
360
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2023/11/28(火) 23:05:57
>>359
自らのスタンドを立たせたまま、同じくスタンドを従えた熊野と対峙する。
『フォー・エヴァ・ロイヤル』の射程距離は知らないが、この近さだ。
おそらくは、互いに攻撃が届く間合いだろう。
そして、同時に動いた場合、確実に向こうの方が速い。
以前に見た光景から、それは分かっている。
「君が『そうする』なら、俺も『宣言通り』に行動する」
熊野風鈴の性格は知っている。
最初に出会った時、頭の上から『鋸』を振り下ろしても微動だにしなかった。
『刺激』を好む気性は『筋金入り』だ。
「『死にたくなければ』と言っても無駄だろう」
フ ッ
「だが、念の為に言っておく」
ザッ
『アヴィーチー』を解除し、おもむろに一歩を踏み出す。
ザッ
「死にたくなければ『りん』には手を出すな」
ザッ
そのまま熊野とすれ違い、背後を振り返らずに歩いていく。
361
:
熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』
:2023/11/28(火) 23:46:47
>>360
スタンドを解除し、真っ直ぐにこちらに向かってくる宗像を見て
熊野は期待に高まる鼓動を感じながら待ち構える
(『スタンド』を解除して、どうするのかしら?
あなた自身が武器を持っている?それとも肉弾戦で抑え込む自信がある?
何にせよ・・・・)
――――ただ、『待ち構えた』。
(何か・・・・『面白い事』をしてくれるのでしょう?)
こちらから先制攻撃をして宗像を潰すのは簡単だ
だがそれは・・・・『面白くない』
(いいわ!宗像さん
あなたの『危険性』を見せてくれるのなら
私はいくらでも待っているから・・・・!!)
だから――――来たるべき『危険』の予感を感じ
いざその時が来るのを心待ちにして――――
ぽつん・・・・・
『その時』は、いつまで経っても訪れる事はなかった
己に向かってきた宗像は、そのままどこかへと去って行った
『つまらない警告』だけを残して・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
『オ、お嬢様・・・・・』
ガッシャァアァアアンッ!!
『ヒイィッ!!』
ダン!ダン!ダン!ダンッ!!
空っぽの植木鉢を蹴り砕く
スノーフレークの残骸を靴底で踏みにじる
真新しい革のブーツが土に汚れるのも構わず、だ
「何」 「あれ?」
「私はあの人の事を凄く期待していたのに、何なの?あの反応」
「あれじゃあまるで、期待していた私の方が馬鹿みたいじゃん」
『お嬢様・・・・デスガ』
「ええ、いいわ。『エヴァ』
期待していた私が愚かだったのだからそれはしょうがないの・・・・・だから」
冷たく、怒りを湛えた瞳が踏み躙った花の残骸を見つめる
「『りんちゃん』を、殺す」
「多くの人を巻き込んで、殺す」
「あの人と同じように、たくさんの人に『情報』をまき散らして、殺す」
「そして・・・・私自身がこの手で、あの人を・・・・・」
「――――殺す。」
『・・・・・・・・・・・・っ!!』
「・・・・・・ああ、何てこと
手を滑らせてしまってお花が台無しになってしまったわ
お花屋さんにはとても悪い事をしてしまったわね・・・・きちんと弁償をしないと」
そう言って『スノーフレーク』の代金とほんの少しのお詫びのお金を花屋に渡し
熊野風鈴は自宅へと帰っていった・・・・・
心の底で、失望と怒りの炎を燻らせながら
362
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/12/02(土) 12:23:57
ここは、今ネットで話題の洋菓子屋
この店は洋酒に漬け込んだケーキも有名だが
なんといっても目玉商品はマフィンだ
無添加!砂糖不使用!出来立て(大嘘)がウリだ
今話題の面白過ぎる店に一度は行ってみたいと思い、ここにやって来た
363
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2023/12/03(日) 20:07:17
>>362
店に入り件のマフィンを注文するあま公達
料理研究家の平野「へぇー、これが噂のマフィンか」
あま「不味そう」
やはりというか、
出されたマフィンは人が食べてはいけない匂いを発している
阿部マリア「うーん、うめぇですわッッッ!!!!!!」
マリア「中の栗がねっとりとしていて、そこら辺のマフィンとは一線を画す何か危険で刺激的な味がしますわッッッッッッ!!!!!!」
平野「よく食べる気になるねそんなの」
平野「デスマフィンと同類でしょ?それ」
???「フッ」
「デスマフィンと一緒とは舐められたものね」
あま「あんたは…」
店長「うちのマフィンはデスマフィンをも凌駕しますわ」
平野「というと?」
店長「このマフィンの作り方はデスマフィンと一緒…無添加・砂糖不使用
そして常温で数日置いております」
店長「しかし、デスマフィンとは決定的に違うところがあります」
あま平野「それは…?」
店長「このマフィンには大麻が練り込んでいるのよ!!!」
あま「大…」平野「麻!?」
店長「デスマフィンと同時期に大麻グミなるものが出回っていた事はご存知ですね?」
店長「大麻グミはデスマフィンに持って行かれてあまり話題にはなりませんでしたが…」
店長「私は思ったのです、デスマフィンと大麻グミを合体させれば
より話題になるお菓子が出来るのではないかと…!」
店長「そして完成したのがこの…大麻フィンですわ!!!」
平野「狂ってる…!」
店長「ジェネリックデスマフィンとして売り出し、
大麻の中毒性で食べたものは大麻フィン無しには生きられないリピーターとなる」
店長「これ以上の物は無い、まさに完璧なお菓子ですわ!!!」
マリア「あ…あ……もっと…マフィンを…」
平野「ふざけるな!職人なら純粋に料理の腕で勝負しろよ!!!」
店長「そんな事言わずに、一口食べてみなさい、病みつきになりますよ?」
あま「舐めるな、こんな物に手を出すほど落ちぶれちゃいない」
平野「食べ物を侮辱したあんたは許さない、あんたは私達が倒す」
店長「ふん、面白い、どうやって私を倒すというのかしら?」
あま「こうやって」
あま公達は警察に通報した
警察はすぐにやって来て店長を逮捕していった
平野「今回も厳しい戦いだった…だが私達は勝利した」
あま「ただ良い物を作れば売れるわけじゃない…」あま「売れるためのマーケティングは必要」
平野「だからといって、話題性のために安全を犠牲にしたり、増してやリピーターを得るために大麻に手を出すのは以ての外!」
平野「そんな奴に料理を資格は無い!」
あま「それで…」あま「これどうする?」
マリア「マフィン!!!大麻フィンをもっと寄越せえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
/|
,ヘ ./i {
l iヘ /ミ!,;∨ ,,
. {ミ|,;ヘ {ミミl彡} /r′
{ミヘ彡、 .{ミミ!彡! /,彡}
ヘ.、 ヘミヘ彡、{ミミ.|彡レ´ミ/彡′
. ヘヾ`ヽ、ヽミ、彡!ミミ|彡'ミ/彡′
. \ヽミミヽヘ彡ミミ!/'/彡′,,,,,,,,,,,__,ィ
> 、ヾ、\ヘミ!//ィ´三三ニ彡′
____≧ヽ` ′≦ ̄ ̄ ̄
`ー=ニ__シ´| |`ヽ\ヽ、
| |  ̄ ̄`
. `′
終
制作・著作
━━━━━
ⓃⒽⓀ
364
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/08(金) 22:15:35
キョロ キョロ
「いないな?」
金髪ツインテールの少女が路地から外を伺っている。
「よし……」
この町に来て早々に、運悪く『怖いお姉さん』に出くわしてしまってからというもの
どうにも悪事がやりづらい。
その女、百目鬼小百合とは『悪事はしない』約束を半ば強引にさせられてしまったのだ。
ヒュウウウウ……
カサ カサ
「なんだよ、閉まってんじゃんか。同じ悪党からなら文句もないと思ったのに」
『麻薬入りの食べ物』をひそかに販売している店があるらしいという噂を聞きつけて
その店を襲撃してやろうと思って来たのだった。
しかし既にこの国の優秀な(賄賂にも応じない!)警察によって閉店に追い込まれた後であり、
閉店の張り紙と若干の落ち葉が風に吹かれているばかりだった。
「あーあ、どっかに儲け話でもねーかなぁ」
生活費なら所属しているアリーナの派閥、『タクミ派』から貰っている。
だから食うには困らないのだが、欲しいのは『遊ぶ金』だ。
『遊びたい盛り』のサニー・ヴァイオレットは『金蔓』を探して通りを行く。
フンフンフーン ♪
365
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/08(金) 22:22:44
>>364
訂正
髪の色は『マゼンタ』です!
366
:
赤月『サクソン』
:2023/12/09(土) 17:28:34
>>364
「んむ・・・・・(もぐもぐ)・・・・美味しい」
金蔓を探して通りを歩くサニーがとある店の前を通りかかった時、
かつて聞き覚えのある一人の少女の声がその耳に届いた
とある老舗のフルーツパーラーだ
小綺麗な店舗はカフェを併設しており、通りに向かって突き出すようにオープンテラスとなっている
見ると、黒髪に赤いメッシュを入れた少女が大口を開けてパフェーを食べていた
・・・・・それもただのパフェーではない
シャインマスカットなど、季節の高級果実を中心とした豪華絢爛な盛り合わせとなっており
如何にもお値段が高そうな雰囲気を醸し出している!
(実際、看板にはスペシャルパフェ5000円の文字が威圧的に掲げられていた)
そんなお高いパフェーを・・・・我が物顔でパクパクと貪っている・・・・
367
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/10(日) 00:29:08
>>366
鼻歌混じりで歩いているとサニーは見つけた。
「──いた!あいつ……!」
忘れもしない黒髪赤メッシュの髪の女。
かつて祖国の貧民街で悪どくも楽しい日々を過ごした『家族』の仇敵だ。
(名前とかは知らない)
ダッ!
見つけると同時に身体が駆け出していた。
なんだか記憶の中の相手とはずいぶん雰囲気が違うような気もするが……
もっと殺気立った抜き身の刃のような恐ろしい奴だった気がしてならないが、
まあそうそう見間違うような容姿ではないだろう。
(当時はメッシュを入れてなかったとか設定があったらごめんなさい)
「ここで会ったが百年目!」
駆け寄って叫ぶ。
君が振り返ったなら、マゼンタの色の髪のツインテールの少女がそこに立っているだろう。
果たして見覚えがあるだろうか。
君にとってはかつての旅の道中である街に立ち寄った際に
襲ってきたチンピラ達の中に混ざっていたガキのひとりでしかない。
周囲には他の客もいるのにも構わず、『フランク・アンジェロ』がその傍らに発現する。
赤い衣を纏ったそのスタンドの手には、木製の『小銃』が握られている。
「ヒュウ!思ッタヨリ早ク会エマシタネェ〜オ嬢サン。
イザイザ尋常ニ……」
キュウウウ……!
その小銃が周囲の光を吸収する。
装填まで、5秒。
両者の距離は約10メートル……!
368
:
赤月『サクソン』
:2023/12/10(日) 11:26:48
>>367
サニーの眼は暢気にもパフェーを食べて寛いでいるその女の姿を捉える
隙だらけに見える・・・・いや、実際そうなのかもしれない
姿形はかつて遭った時となんら変わりは無い・・・・だが、なんというか・・・・
少しだけ、『余裕』のようなものを感じる
あの時は迸る『殺意』に身を焦がし、『余裕』がない印象をしていたのだが・・・・
>「ここで会ったが百年目!」
「なにっ!?」
声を受けて赤月は振り返る
そこに居たのはマゼンタ色のツインテールを揺らす少女の姿
その姿を見て赤月は・・・・・
・ ・
「誰だ・・・・君は・・・・?」
と、そう言い放つ
あなたが誰であるのか、まるで気付いていないような口調で
「・・・・・・・・・ッ!!」
だが、サニーがスタンドを発現させると、赤月もまた身構え、自身のスタンドを発現させる
それは赤月の全身を纏う『トレンチコート』の姿と、赤月の傍に立つ人型の姿をしていた
ダッ!!
赤月がパフェーを食べるのに使っていたスプーンをポケットに仕舞いこむのと同時に
人型のスタンドが単独でサニーに向かって接近する!
人並みのスピード(ス:C)ながら、その距離は徐々に縮まっていくだろう
369
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/10(日) 22:14:00
>>368
「ま〜覚えてねーか。そーかもなァ……!」
「『A国D市』……ドブカスみてーな治安で世界的に有名な街さ。
あーしはそこの生まれでね。アンタも通りかかったことがあるはずだ。
その日、あーしらは東洋人の小娘が護衛もなく一人でノコノコ歩いてるのを見て
カモがネギ背負ってやってきたと思ったのさ」
「だがソイツは目に見えないなにか不思議なチカラで全員ズタボロにしちまいやがった。
そうだよ、アンタのことだ」
サニーは身の上を語る。
どこまで思い当たる節があるか、その答えは赤月の胸のうちにしかない。
やさぐれて放浪していたのならそんなことは覚えきれないくらいあったのかもしれない。
サニーには知る由もないことだ。
「ミソが付いたあーしらはこれ幸いと他のチンピラどもにも襲われ奪われ、
楽しかった『家族』はみんな散り散りになっちまった」
「それからはどん底さ……そんな街で後ろ盾を失ったガキがどうなると思う?
だがあーしは諦めなかった……今日この日のために……復讐だけを信じて!」
「あの時には無かったアンタとおんなじ力!
くらえ!これがあーしの『フランク・アンジェロ』だッ!」
駆け寄ってくる赤月、だが間合いを維持しようとサニーも後退する。
それでも前進する方が速いため距離は縮まるが、あと2メートルといったところで──
「ゴ無礼、チョット光リマスヨォ〜〜〜SHOOT!」
パシュン!
『フランク・アンジェロ』の軽口とともに電球のような光の塊がその手の小銃から発射される!
直視できないではないが真っすぐ見つめていられないような眩しさだ。
だがそれだけでなく、弾速が早い!パワーはそこまで無さそうな発射音だったが……(弾:破スCA)
狙いは顔面!まっすぐ向かってくるぞッ!
「ドォデス?眩シインデスカラ顔ヲ狙エバ一石二鳥ッテェ〜ワケデス」
370
:
赤月『サクソン』
:2023/12/10(日) 22:34:26
>>369
交戦中に語られるサニーの身の上話
戦いの最中に相手の事情を慮る事など愚の骨頂
その言葉に耳を傾ける必要などまったくありはしない・・・・・
「なにっ・・・・!?」
・・・・・・・・・の、だが
話が『家族』の事に移った途端、赤月の顔にあからさまな動揺が走る
彼女が、己の行いを思い出したからだろうか・・・・あるいは
ともあれ、サニーの言葉を聞いてスタンドの動きが鈍った事は確かであり・・・・
>「ゴ無礼、チョット光リマスヨォ〜〜〜SHOOT!」
パシュン!
「くっ・・・・!!」
閃光が・・・・見開いた瞳を焦がす!
眩んだ眼はこちらに迫り来る『弾丸』を捉えることが出来ず・・・・
ドォォォオオンッ!!
―――――――ズザザザァ!!
『サクソン』の顔面に『光弾』が直撃した!
と、同時にダメージフィードバックにより本体が思い切り仰け反り
椅子から転がり落ちる様に地面に倒れる
グッチャアアアアアアッ!!
衝撃に巻き込まれて床にぶちまけられるパフェー
「D市・・・・・君は・・・・」
371
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/10(日) 23:41:46
>>370
「や、やったッ!」
「フム……無策デ突ッ込ンデ『ブッパ』シタダケノ割ニ上手クイキマシタネェ」
『家族』というワードが赤月の動揺を誘ったせいだとサニーは気付かない。
赤月の敵にも、そこらのチンピラにだって家族はいる。サニーのそれは血が繋がっちゃあいないけれども。
ぶちのめせば恨みくらい買う。サニーたちの場合は客観的に見れば逆恨みだけども。
「一人ぼっちになってからずっとこうやってアンタをぶちのめしてやることだけ考えて
海を渡ってやってきたんだよ。初手で手の内がわからなかったからとはいえ、
こんなに簡単にやれるとはねぇ。アンタ、弱くなってないよな?」
「それとも……」
ぶちまけられたパフェをちらりと見る。
(こんなフツーの女の子みたいな奴だったか?記憶の中アイツと重ならない。
そりゃまあ、あーしだってこれは旨そうだと思うけども。
あーしだってコレを食べるとなったらヨダレズビッ!で満面の笑顔かもしれないけども。
あの時のコイツはそういう感じじゃなかったはず……)
「人違いじゃあ、ないよな?」
こちらとしても手掛かりは相手の外見の記憶しかないのだ。名前も知らない。
その外見に関しては間違いなく目の前の人物が『仇』なのだが、
赤月の側であんまり覚えていない以上、似てる別人を巻き込んでしまった可能性を排除できない。
そう思ってしまうくらい赤月は変わった。あの頃とは。
「……立てよ」
372
:
赤月『サクソン』
:2023/12/11(月) 00:12:11
>>371
ズ、ズズ・・・・・
サニーの言葉に、『光弾』を受けて地面に転がっていた『サクソン』が先に立ち上がる
吹き飛ばされた拍子に本体の傍に戻っていたようだ
「・・・・・・すまなかった」
ぐ、ぐぐ・・・・・・
ポタポタ・・・・・
ぽたぽたと鼻血を流しながら立ち上がる赤月の第一声は『謝罪』の言葉であった
だが、その言葉とは裏腹に赤月はサニーに向けて『戦意』に満ちた視線を向ける
「すまなかった・・・・
余計な事に動揺し、戦士としての本分を忘れていたようだ」
「気付かせてくれてありがとう・・・・
こんな簡単な事も忘れてしまっていたなんて・・・・」
(私は・・・・)
ぬるま湯に浸かり過ぎていた
この街を訪れた事で、人と関りを持った事で、勘違いをしてしまっていた・・・・!
(『仇』を討つ為なら全てを敵に回しても構わないと、そう決めたはずなのに)
自分が、かつての『自分』と同じ存在を作った事に・・・・恐怖を覚えてしまった
『罪』なんていうものを感じてしまった・・・・・!
(私は変わってしまったのか・・・・?)
変わってしまったのであれば、もう一度変わり直す必要がある
自分は既に『極夜』の一員であり、『星見町』の敵なのだから・・・・!
「・・・・・君の記憶は正しい
そして・・・・・」
「君の戦いも正しい」
「恐らく・・・・君の『家族』をぶちのめして君を孤独にさせたのは私だ
正直に言ってあんまり覚えていないけど」
「・・・・・でも、君の戦いを受け止める覚悟は、私にはある」
改めて構えを取り、サニーを睨み付ける
一挙手一投足を見逃すまいとする強い意思の籠った視線だ
373
:
村田瑛壱『ディズィー・スティック』
:2023/12/11(月) 01:12:48
>>371-372
ジャリ
「お前、『覚悟』してきているヤツだよな?」
唸るような声が響き、二人の白熱に水を差す。
『赤月』には聞き覚えのある声だ。
傍らには、『黒と黄色』のヴィジョン。『警戒色』。『危険』の暗示。
「白昼堂々『そいつ』を振り回すってことは、だ。
『同じ目に会うかもしれない』ってことを『覚悟』してきてるヤツってことだよな?」
村田の介入の理由は『二つ』。
ここは『老舗のフルーツパーラー』。村田の『オキニ』だ。
ズカ ズカ ズカ !
無遠慮に『赤月』と『サニー』の間に割って入る。
意味するのは、介入理由の『もう一つ』。
「一応聞いといてやる。」
「おれの『ダチ』に何しやがる?」
374
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/11(月) 19:31:13
>>372-373
「……チッ」
舌打ち。
しかし内心では『別人ではない』という言質が取れたことでひとまずはホッとした。
「どうやらこの町でヌルくなりやがったみてーだな。あーしがどんな思いで……」
言いかけたところで村田が乱入。
「オイオイ2対1カァ?卑怯極マリナイデスナ!」
サニーの後ろで『フランク・アンジェロ』が茶化す。
「『覚悟』だぁ?知らねーなそんなもん。
あーしは『誰もが振り回して当たり前』で
『振り回すモノが無い奴でも同じ目に合う』町で生きてきたんだ」
村田の言う『覚悟』をよくわからないというのは本当だ。
生まれた時から覚悟して当たり前でそれが日常だと、
『あえて覚悟する』という感覚はどこかに置いてきてしまう。
「『復讐』だ」
「正当ナ理由ニヨル正々堂々ノ『決闘』デス!邪魔ハ止メテ頂キタイ!
ソレトモ『オ友達』ノ手ヲ借リナケレバ戦エナイホド鈍リマシタカ!ガッカリデスナ」
マゼンタの髪の少女が短く答え、その後ろにいる自立型スタンドがベラベラと言葉を続ける。
少女の説明は極端に少なく、スタンドの言い分はやけに饒舌だ。
それは『誠実に説明するなら開示すべき情報』を伏せているから。無意識にやっている。
読み取れるかどうかは二人次第だが。
375
:
赤月『サクソン』
:2023/12/11(月) 20:22:30
>>373
「村・・・・・田・・・・・・っ!?」
戦意を研ぎ澄まし、今にもサニーに向かって飛び掛からんとした瞬間
突然の闖入者の存在に、呆気に取られたような声が漏れる
その理由は二つ
純粋に、此方側に味方が入るという状況が珍しいという事
そして・・・・・
「どうして・・・・君がここに・・・・?
いいや、どうして君が私の味方を・・・・!?」
『村田』が、自分の味方をしてくれる事が信じられなかったからだ
かつて同じ敵と戦った戦友同士でありながら、その最後には互いに袂を分けた・・・・はずだったからだ
「君と私は・・・・・!!」
>>374
「いや・・・・今はそれはいいか・・・・」
改めてサニーに向き直る
「私は・・・・君がそれを望むのなら、正当に決闘を受ける意思がある
だが・・・・少しだけ待って欲しい!」
『フランク・アンジェロ』から放たれる挑発を受けながら、赤月はそれを受け流す
かつてであれば・・・・そして、先ほどであればこの挑発に確実に乗って来たはずだ
だが、村田と呼ばれた男が登場して以降、赤月の表情から若干緊張感が薄れた印象を受ける
「ここで戦ってしまっては、店に迷惑がかかる・・・・
それは、きっと・・・・村田も望むところではないだろう」
「一旦、矛を収めるのであれば・・・・この店のパフェを奢ってもいい
どうする・・・・?」
376
:
村田瑛壱『ディズィー・スティック』
:2023/12/11(月) 21:01:14
>>374-375
「やっぱりな。あのあと様子がおかしいんでなんでかと思ってたんだ。
なんか勘違いしてるみたいだから言っといてやるぜ。」
信じられないといった風に面食らう赤月に背を向けたまま喋る。
「『意見の相違』くらいでおれがお前を見損なったりするかよ。
理由や目的はどうあれ、仮にも『命を預けた仲間』をだ。」
「同調するばかりが『友人関係』だと思ったら大間違いだ。
たとえ『ダチ』でも、ダメなもんはダメだといわねえとキリがねえからな。」
仮に友人であっても、NOはNOだ。そこを『曲げる』ことはない。
単純に友人関係の『スタンス』が異なるというだけなのだろう。
『村田に拒絶された』というのは、実際赤月の勝手な思い込みに過ぎない。
「実際、店に迷惑がかかるのは困る。この店は『オキニ』だからな。」
『赤月』の提案に同調しながら、『サニー』にへらっと笑いかける。
「だが、おれのほうに矛を納められない『理由』ができちまった。」
ギリ
「『復讐』っつったな。結構じゃねえか。」
赤月は気づく。村田は―――
「ならこれは『おれの』」
赤月のために、『本気で怒っている』。
「『ダチを殴られた復讐』だ。」
ド バ
ァ ―――――― ッ !
ッ
小うるさい『サニー』のスタンドに『殴打』のラッシュを向けて敷地外へふっ飛ばす。パス精密CAB
気を失わない程度には『加減』をする。
人間の頭を破壊して殺した後だ。二回目はしくじらない。
377
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/11(月) 21:40:51
>>375
「あ?パフェなんかいらねーよ!だが……」
ザワザワ 喧嘩か?
なんだ?
ざわつく通行人たち。
確かに他の客も普通にいる前でこれ以上暴れるのはマズイか。
「確かにこれ以上は百目鬼の姐さんがまた湧いてきそうだ」
ひとりごちる。
確かにこの店に恨みはないし、騒ぎが大きくなって百目鬼の耳に入ったらまた面倒なことになりそうだ。
>>376
「良カロウ!デハ仕切リ直シニ、モウチョット後ロニ下ガッテダナ
オ、オイ待テ!卑怯ダゾッ、コンナ至近距離ノ状態カラ!」
キュウウ
慌てて『フランク・アンジェロ』の銃が周囲の光を吸収し始める。
だが赤月とサニーの距離が2メートル程度、その間に割って入った村田とは1メートルもない。
チャージの5秒が終わるよりも『ディズィー・スティック』の拳の方が速かった。
ドガッ!
パシュッ
『フランク・アンジェロ』はたまらず腕でガードする。
ガードの体制を取ったことで狙いを失った小銃から『光の弾』が発射される。
それはオープンテラスの上空へと打ち上がって周囲を明るく照らし、消えた。
「おわぁ!」 「グヘッ」
サニーとスタンドはパンチの勢いで後ろに吹っ飛ばされる。
村田の手加減に咥えてガードしたため大きな負傷には至らないが、
尻餅をついて着地したうえ後ろへ倒れ込んだ。
>>374-375
「いてて……クソッ、わかったよ。
この店とそこのお友達に免じて復讐はあとにしてやる」
「あーしの名前はサニー。サニー・ヴァイオレット。
あんたらの名前も教えろ」
名乗り、名を尋ねる。
従う義理があるような流れではない。断るも自由だ。
378
:
赤月『サクソン』
:2023/12/11(月) 23:28:55
>>376
「・・・・・・・・・・・っ!!」
村田の語る言葉が胸を打つ
信用を失ったと思った。信頼を損ねてしまったと思った
彼に嫌われる事を恐れ、再び彼の前に立ってしまう事を恐れていた・・・・!
(今更・・・・・!)
『今更』・・・・そんな思いが赤月の胸の中にあった
勘違いをして勝手にショックを受け、揺らぐ意思のままに決断を下し
この街を・・・・『裏切る』選択をした自分に・・・・彼の友人を名乗る資格はない、と
>>377
村田の登場にまごつき、動けずにいる内に
自身を仇と狙う者、サニーがラッシュを受けて倒れていた
「あ・・・・」
「いや・・・・私の名前は赤月・・・・赤月ナカレ、だ
・・・・・今日の所は運が悪かったのだと、諦めてくれ」
「・・・・『学生寮』だ
私は清月学園の学生寮に住んでいる
また・・・・私を狙うつもりなら・・・・来い・・・・」
自分に向けて『復讐』の意思を向ける存在
予想はしつつも、初めて出会う彼女に、赤月はまだ向ける心を決められずに居た
379
:
村田瑛壱『ディズィー・スティック』
:2023/12/12(火) 00:36:03
>>377-378
ブ ンッ
「清月学園高校二年、『村田 瑛壱』」
『サニー』を打ち据えた拳を拭うように振り払いつつ、名乗る。
明日の命も知れない身の上だ。隠す理由もない。
「悪いがおれも『寮住み』だ。やるならおれの見てねえとこでやれ。
あいさつ代わりで随分加減したが、『次はねえ』。」
「誰であれ、おれの『ダチ』に手出してるところを見かけたら容赦しねえ。」
リタイヤ
「きっちり『再起不能』させてやる。」
これは『サニー』だけでなく『赤月』にも向けられた言葉だ。
誰であれ、『自分の世界』を侵す者には容赦をしない。
やるといったらやる。それが村田の『音』であり、村田の『法』だ。
380
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/12(火) 01:28:38
>>378-379
「『アカツキナカレ』……」
「覚えとく。そっちの『ムラタエーイチ』もな。
だが『学生寮』でリベンジはしねぇ」
「『仇』を見かけて、つい頭に血が上って襲い掛かっちまった。
だけどこないだ怖い姉御に会って『往来で悪いことすんな』って釘を刺されてたんだ」
「ソーデストモ。
外デ戦闘シテ、マタ救援ガ来テモ嫌デスカラネェ」
「『フランク』、黙ってろ。
決着は『アリーナ』で付ける。あーしは『ファイター』になったんだ」
「『タクミ派』のサニー・ヴァイオレット。
こっちが挑戦したい側なのに、そっちがバトルしに来る体裁なのはチョットおかしいが
闘る気があるなら『闘技場』へ来な」
立ち上がり、タクミ派の連絡先を教える。
派閥所属の者がそうでない者に無理強いでマッチアップはできない。
体裁としては『こちらが受ける側』にならざるを得ない。
だから赤月には受けるか否か、受けるとしていつかを決める権利がある。
特別な連絡は必要ない。『その気』になったらアリーナに行けばいいだけだ。
別に『赤月の事情がすべて終わってから受ける』でも構わないのだ。
「……来ないならそれはそれで誰かとバトって待ってるよ。
アンタが代わりに来てもいーぜ、ムラタ」
381
:
赤月『サクソン』
:2023/12/12(火) 13:47:57
>>379-380
「『アリーナ』のサニー・・・・」
入り組む因果の糸に眩暈すら覚える
『アリーナ』を憎む自分のかつての行いが、一人の少女の恨みを買い、『アリーナ』へと導いた
いいや・・・・それを言うなら村田についても、だろう
一つの行き違いが、ちょっとした勘違いが、二人の立場を決定的に変えてしまった
『あの夜』を経た今、村田は友であり・・・・敵でもある・・・・
「『挑戦』は受けて立つ・・・・
今は、私も『闘士』の一人なのだから」
『強敵』との戦いのはずなのに高揚感がない
相手の事情を知ってしまったからだろうか、それとも己の矛盾に気が付いてしまったからだろうか
だが、ここでサニーの挑戦を拒むことは出来ない・・・・それこそ、自分が自分ではなくなってしまう気がしたからだ
382
:
村田瑛壱『ディズィー・スティック』
:2023/12/12(火) 22:29:08
>>380-381
「『アリーナ』の巾着か。」
『タクミ派』。聞いたことのない派閥だ。
アリーナのすべてを知っているわけではないとはいえ、思った以上に派閥は多そうだ。
それだけの規模感となれば、『一枚岩』であるはずもないか。
であれば『最中派』が消えてなくなったところで、問題はないのかもしれない。
「悪いが『闘技』に興味はねえ。
『漣』も『フーヴィアン』も反故にしてんだ。他の派閥の試合に出るのは義理が通らねえ。」
「『誰が見てるか』もわからねえしな。」
既に『ハイネ』にはバレているとはいえ、手札のすべてが割れたわけではないはず。
『ゲンマ』のときも『リュウカ』のときも、『マテリア』にでさえ『すべて』を使ってはいないからだ。
奴の頸を捻り折るその日まで、『秘匿』の意味は大いにある。
「おまえらが『ゲンマ』や『リュウカ』と闘うこともあるのかもしれねえな。
そんときどっちのセコンドするか、今のうちに考えておくか。」
383
:
サニー・V 『フランク・アンジェロ』
:2023/12/12(火) 23:08:12
>>381
「ああ、待ってる。でも……大丈夫かお前?」
明らかに何か『迷い』を抱えているかのような赤月の態度に、思わずそんな言葉が出てしまう。
「なんかあるんなら解決してから来いよな。
ウダウダ悩んでて本調子じゃない奴に勝ったって、スッキリしねえし」
お互いこの町にいて、生きていることまで確認できた。
決着を焦ることはない。
(単純にあーしがまだ力不足かも知れねえしな……)
村田にも百目鬼にもあっさりやられてしまっているのだ。
強くならなければ。
赤月から待たされても、そのための時間だと思えば助かるまである。
>>382
「そっか。知らねえ名前が出てきてよくわからんけどアンタにも事情があんだな」
『アリーナ』を知ったうえでそれに関わらない選択をしているのなら
彼と闘技場でまみえることはないだろう。
先程の戦いぶり、かなりの手練れだと思ったのでちょっと残念だった。
>>381-382
「それと……ああ、ゴメンな店の人。これで勘弁して」
いったん二人の元を離れパーラーの店員に、ダメにした赤月のパフェの代金を
(容器や机が壊れていればその弁償の金も上乗せして)払っておく。
これで数日間の食事が『ポテチ一袋で三日』とかになるが、なあに慣れている。
「じゃあな。『アリーナ』で待ってる。いつかでいいけど、いつか必ず来いよ」
そう言うと二人に背を向けてその場を立ち去って行った。
384
:
赤月『サクソン』
:2023/12/13(水) 12:25:58
>>383
「・・・・敵である君に心配される謂れはない」
むすっ、と不満げな顔を浮かべながらそう言うが、言葉に覇気がない
抱えた『迷い』のせいだろうか・・・・少なくとも、今この時点で彼女を襲えば
容易に勝てそうな・・・・そんな弱弱しさを感じる
そして、パーラーの店員に払うためのカネを受け取り、サニーを見送った
(いつか・・・・・か・・・・・)
>>382
「・・・・・また世話になってしまった」
視線を逸らしながらのよそよそいい態度でそう言う
例えるならば大喧嘩をした翌朝に学校で友達と再会したような、そんなばつの悪さだ
「・・・・・・・。」
「・・・・・・いや」
「あの時は、すまなかった」
しばらくの沈黙の後、頭を下げる
思えば『あの戦い』で別れた後、まともに言葉を交わす事もなかった
・・・・彼に嫌われたかもしれないという恐れのせいだ
『兄』に似た雰囲気を感じる彼に、嫌われたくはなかったのだ
「君の・・・・信頼を裏切ってしまった・・・・」
385
:
村田瑛壱『ディズィー・スティック』
:2023/12/13(水) 19:49:39
>>383-384
「『それ』使ってよそ様に迷惑かけんじゃねえぞ。
アリーナの『看板』背負ってんのを忘れんなよ。」
去り行く『サニー』の背中に改めて釘を刺す。
どんな派閥かまでは知らないが、『チンピラが所属している』と思われるのは旨くないだろう。
「おれは気にしねえ。お前が話したくねえのなら、必要なことだったんだろうさ。
だがそれと同じように、おれも話したくねえってだけだ。特に『アリーナ』にはな。」
後半、苦虫を嚙みつぶしたような顔で吐き捨てる。
『あいつ』の死の原因は『アリーナ』にある。手放しに信じることはできない。
「それでもお前が『おれを裏切った』と思っているとしても、だ。まだおれたちは生きている。
ならどこかで取り返せばいい。間違いだろうと、裏切りだろうとな。
『今更』とかそういうこともねえ。生きてる限りはチャンスタイムだ。」
「ま、お前がどうしたいか次第だが。」
386
:
赤月『サクソン』
:2023/12/13(水) 22:31:07
>>383
(遅れてすいません。改めてご交流ありがとうございました)
>>385
「『アリーナ』に・・・・」
何か・・・・どこか勘違いをしている気配に気が付く
自分は『アリーナ』に話を聞かれる事を恐れてあの時、彼らの事を口にできなかった
だが・・・・まさか村田もそうだとしたら・・・・?
(いいや・・・・今更そんな事はもう・・・・)
> 「それでもお前が『おれを裏切った』と思っているとしても、だ。まだおれたちは生きている。
> ならどこかで取り返せばいい。間違いだろうと、裏切りだろうとな。
> 『今更』とかそういうこともねえ。生きてる限りはチャンスタイムだ。」
「・・・・・・・・・・!!」
村田の言葉に衝撃を受けたかのように、身体が硬直する
そのまま数秒間、呼吸まで止まったかのように沈黙が続き
「私、は・・・・」
「私もだ!」
知らず、大声を出してしまう
「私も・・・・『アリーナ』の連中には聞かれたくない事があった
だから・・・・あの場では何も言いたくなくて・・・・」
「ごめん、なさい・・・・」
再び、赤月の頭が真っ直ぐに下がる
先程とは違う、まるで子供のような口調だ
震える彼女の背中は、大人に怒られるのを恐れているようにも見える
387
:
村田瑛壱『ディズィー・スティック』
:2023/12/13(水) 23:45:57
>>386
「まぁ、そんなこったろうとは思ったが。」
あのときの奥歯に何かが挟まったような物言い。
『人に聞かれたくない』というよりは、『あの場で話したくない』ように見えた。
「言いたくねえことや秘密の一つや二つあるもんだ。
おれもそうだが、『関』も『宗像』のおっさんも、死んだ『マテリア』もそうだったろう。
だからその件で、おれはどうこう言う気はねえ。」
「それ事態はもう過ぎたことだ。大事なのはそのあとだ。」
シボ !
ヂリ ヂリチリ・・・
凪いだ口調で喋りながら、煙草を取り出して火をつける。
大っぴらに吸える空間は今時珍しい。
「その件で誰かに『負い目』があるなら、『取り返し』がつくうちにケジメをつけるこった。
それが遅すぎたばっかりに死んだやつを、一人知ってる。」
フ ゥ――――――― ・ ・ ・
「痛え思いもつらい思いもするかもしれねえが、それも『生きてる』からこそだ。」
「死ぬか殺すかした後に『ごめんなさい』じゃ、目も当てられねえからなぁ。」
相変わらず、赤月には背を向けたまま。
何かを懐かしむような、思い出すような、そんな口調だ。
388
:
赤月『サクソン』
:2023/12/14(木) 17:28:35
>>387
「そんな事は・・・・!」
「・・・・君に言われなくても、わかっているつもりだ
大切な人と死に別れた経験は、私にもある・・・・」
『兄』との別れはまったくの唐突で、碌な準備もなく一方的な通告だけが叩きつけられた
『兄』と最後に会えたのはいつだったか・・・・
その記憶は取り留めのない日常の中に埋もれていった
「でも・・・・」
「いや、ありがとう
このタイミングで『負い目』を一つ無くす事が出来たのは、素直に幸運だ」
『アリーナ』との関わり、『極夜』との繋がり
この街の『裏側』により深く潜る為に作ったそれらとの関係が
蜘蛛糸の如き雁字搦めで己に巻き付いている
『目的』を果たすのが早いか、『死線』に絡め捕られるのが早いか・・・・
「ほっとしたよ
これで、未練は無くなった」
重荷から解放されたような安らかな笑みを浮かべながら、そう言った
389
:
<削除>
:<削除>
<削除>
390
:
村田瑛壱『ディズィー・スティック』
:2023/12/17(日) 03:37:30
>>388
「そりゃよかった。だが、一つだけ言っておく。」
煙草を咥えたまま、赤月のほうを振りむく。
「復讐でも報復でも殺しでも、お前の好きにすればいい。
ただし、その『大切な人』とやらに対して『誇れないこと』はするな。」
「約束しろと言う気はねえ。覚えておけ。」
人の死は『歪み』を生む。それが善人であろうと、悪人であろうと。
小林の死も『マテリア』の死も、知らずどこかで『歪み』を生んだはずだ。
「『歪』んでしまってからじゃ遅い。」
あるいは、小林の死によって最も歪んでしまったのは他の誰でもない―――
「お前にこの意味が分かる日がこねえといいがな。」
このおれなのかもしれない。
391
:
赤月『サクソン』
:2023/12/17(日) 10:47:24
>>390
「『誇り』か・・・・」
己の内に残る記憶を思い返す
『兄さん』ははたして今の自分の事を誇ってくれるだろうか、と
兄は優しく、強く、賢く、大きく、愛に溢れていて・・・・・そして
とても・・・・猛々しい人であった
「『兄さん』・・・・あの人なら・・・・」
ぼそりと、呟く
あの頃の『兄』なら今の自分を見てどう思うだろうか?
聞くまでもないだろう
「きっと、喜んでくれる
あの頃に比べて私は強さを得て・・・・人だって殺せるようになったのだから」
あの頃、『兄』から受けた教育は『人を殺すため』の技術であった
肉体も、言葉も、頭脳も、全ては戦う為に研ぎ澄ませてきた
この世で唯一絶対的な『家族愛』の為に・・・・
「『戦士』として成長したのだと、誇りに思ってくれる
これからも・・・・」
人の死は『歪み』を生む。村田の懸念はきっと正しいのだろう
だがそれも・・・・既に、もう既に『歪んで』しまっているとしたら・・・・?
「そうだ・・・・きっと兄さんなら誇ってくれるはずだ・・・・!」
392
:
村田瑛壱『ディズィー・スティック』
:2023/12/18(月) 21:58:42
>>391
ピク
「お前がそう思うんなら、そうなんだろうよ。」
村田は知っている。人の死を『踏み台』につかうことは、いい結果をもたらさない。
その失敗をした人間を『視て』いるからだ。
あのとき、その間違いを教えてくれたのは誰だったのか。
恩師か、友か、敵か。自分自身だったのかもしれない。
「おれの責任で、ケツはまくってやる。
慣れたもんだからな。」
おれにできることは、取り返しがつかなくなったとき、引導を渡してやることだけ。
あの夏と同じように。あの男と同じように。
393
:
赤月『サクソン』
:2023/12/18(月) 23:33:17
>>392
己の考えている事が、価値観が、果たして間違いなのか、正しいのか
それを知る者はこの場には居ない
全ての過ちという物は結果が出て初めてそうだとわかるものなのだろう・・・・
「村田・・・・」
だが、しかし
村田の語る『責任』という言葉を聞いて赤月は
「・・・・・・・・・・・・・・・・・頼んだ」
『兄』について語っていた時の興奮が嘘のように静まりながら
ほっと、安心したような口調で、短くその言葉を口にした
『極夜』に加わり、この街の敵になった
今は未だ行動を起こしていないが、いずれこの街の人々を脅かす事にもなるだろう
だが・・・・彼(村田)が居るなら、安心できる
(村田なら・・・・・)
(私が、私の行く末が間違いであったなら・・・・)
(『その時』が来たのなら、確実に私を殺してくれる)
「君になら、安心して最期を任せる事が出来る」
ふらっ、と立ち上がり村田と交差するように店内へ
その言葉を最後の挨拶とし、諸々の会計を済ませて赤月はこの場から立ち去って行った
394
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2023/12/20(水) 20:40:59
寒空の下、灰色の長髪にロイド眼鏡の女が大通りのベンチで本を読んでいる。
よく見ると全身は細かく震えており顔色も悪そうで、ありていにいえば『寒そう』ではあるのだが、
何かに取り憑かれたようにページを捲っている。
395
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2023/12/22(金) 23:04:12
>>394
「なあ、寒くないの?」
赤いツンツン頭の少年がベンチの前にしゃがみ込んだ体勢で話しかけてきた。
そう言う少年の服装も半袖半ズボンで大概だが、運動中なのか汗ばんでいて寒そうな様子はない。
「本を読むんなら暖かい部屋の中の方が良くない?」
話しかけた理由は、お節介半分、好奇心半分といったところか。
396
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2023/12/23(土) 20:49:49
>>395
「………ン? 何、きみ。
寒いか? そう聞いたのかい?
ふむ…………」
掛けられた声にたっぷり10秒ほどの間をおいて、
本を閉じて顔を上げた女は、少し考えるように首を傾げた。
「それは………うう、寒っ! 寒いよおおッ!
私、『物語』(ストーリィ)に夢中になると、他のことに気が回らなくなる『タチ』なんだッ!
うぶるるる……なんだこれ、寒すぎるッ……
その点、きみはあったかそうだよなぁ〜!
寄越せッ!『体温』を!」
シバッ!
今寒さに気づいたかのように体を凍えさせて体を摩る。
汗ばむ猿田の様子を見て目の奥が光り、腕を掴むべく素早く手を伸ばしてきた!
397
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2023/12/23(土) 21:17:01
>>396
「あ〜わかるゥ〜
俺も崖とかクライミングしてて、気が付いたらクッソ高いところにいて怖っわ!ってことあるわ〜
ってオイ!何すんだ!」
思わず一歩バックステップした。
このまま抱きつかれるのだとして役得であるという気持ちも無くもないが、
流石に見ず知らずの相手にいきなりは警戒する。
「待て待て待て!そういうのはもっと親密になってからにしよう!な!
コーヒーやるから落ち着け!」
たまたまさっき自販機で買って、これから飲もうと思っていた缶コーヒーを差し出す。
もちろん『あったか〜い』やつだ。
398
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2023/12/23(土) 21:43:21
>>397
「あははぁ、素早い反応だねぇ!
だけどこれはどおかなぁ〜……あ痛ッ!」
がばりとベンチから立ち上がって追い縋ろうとするが、
身体が強張っているためうまく動けず、ベンチに脚をぶつけて呻く。
「いたた……おっと、これは『缶コーヒー』!
うわあ、あったかいなぁ〜……『熱』が良いねぇ、『熱』が!」
そこへ差し出された缶コーヒーに、眼鏡を押し上げて碌に礼も言わずに握りしめ、
嬉しそうにプルタブを上げて飲み始める。
「……ぷはぁ、助かったよぉ〜ありがとう!
街中で凍死するところだった……とか、
あははぁ、大袈裟すぎるよねぇ。
えーと、君は誰だい? 通りすがりの親切な人?」
コーヒーを飲み干し、満足げに缶を両手で包むように掴みながら、
猿田の頭からつま先までじろじろと無遠慮に眺めて話しかける。
399
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2023/12/23(土) 22:50:10
>>398
「どういたしまして。より正確に言うなら
『何してんのか聞くだけのつもりが親切をする羽目になってしまった人』だよ」
猿田はこの寒空に半袖半ズボンの少年だ。
目を引くところがあるとすれば、ごつい登山用みたいなグローブをしているところか。
ヒュウウウ
プラーン……
ふと見ると、少年の立っているあたりに
はるか上の方から紐のようなものが垂れ下がっている。
紐は風に揺れてプラプラしていた。
「あーあコーヒーもっかい買わないと……」
400
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2023/12/24(日) 22:29:08
>>399
「あははぁ、そうなのかい?
それはご愁傷様だねぇ。
でも、親切にしておけば……ほら、何かいいことあるよ。
んん……? なんだい、それ……」
にまーっといやらしい笑みを浮かべた後、
垂れ下がる紐?に気づいて見上げる。
401
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2023/12/25(月) 01:35:30
>>400
「だな!じゃあコーヒーは貸しにしておくぜ。
オレは猿田大輝、清月学園中等部2年だ!
あんたは?」
貸しを返してもらうには相手の名前を知らないといけない。
相手の名前を尋ねるならまず自分から名乗るべきだ。
なので名乗る。
「ああ、これ?さっきのコーヒーはさ……」
紐を見上げると、ビルの上層階の壁に繋がっていた。
その先の窓が開いている。
「ホラ、窓が空いてるだろ。
あそこの会社の休憩室の自販機でコッソリ買ったんだ。
90円で安いんだぜ」
あなたは集中していたので気付かなかっただろうが、
この少年はあなたの前に現れる際に『上から降りてきた』のだった。
402
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2023/12/25(月) 22:26:14
>>401
「あははぁ、元気だねぇ。
貸しかあ……仕方がないなぁ
うん、私はカリヤという。 本とかを読んだりするのが好きさ。
よろしくねぇ、親切な大輝くん」
へらへらと笑い、手でコーヒー缶を弄びながら適当な自己紹介をした。
「ええっ……それ、不法侵入じゃあないか。
そこが気に入った!
……てわけじゃないけど、面白いなぁ。
これ、結構高いよねぇ。
さっきもクライミングとか言ってたっけ? それが伏線だったわけだ。
登るのが好きなのかい?」
403
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2023/12/25(月) 23:21:07
>>402
「よろしくー!」
元気にビッと手をあげてニカッと笑って挨拶を返す。
「不法侵入!?……まあ、そうだけど。
できれば『冒険』って言ってほしいぜ!『冒険』は俺のライフワークなんだ。
昇り降り自体がとりわけ好きなわけじゃないけど、まあ……」
垂れ下がった紐をグローブで掴むと、スルスルと手品のようにその長さが延長されていく。
さらに、掴んで伸ばした紐を手でグッと歩道のコンクリートに押し付ける……すると
それはまるで初めから建物の一部としてそこにあったかのように、
地面とビルの壁の間でピンと張られたロープになった。
「能力は活用しないとね」
そしてロープにはいつのまにか『滑車』が出現していた。
少年が『滑車』から飛び出た短い紐を掴むと、
『滑車』は重力を無視するかのようにロープに沿ってゆっくり上昇していく。
「じゃあ、本好きのカリヤさん!身体には気を付けるんだぜ!」
上昇の速度はゆっくりのため(スピード:D)、返答したり引き止めたりする時間は十分にあるだろう。
特に引き止めたりしないならば……
ロープと滑車によって引き上げられた少年は
開きっぱなしの上階の窓から再び建物の中へと戻っていく。
もう一回90円のコーヒーを買うつもりだ。
不法侵入した先の従業員に見つかるなどというヘマはしない。たぶん。
404
:
カリヤ『タイプライター・トーメント』
:2023/12/29(金) 22:17:27
>>403
「アッ、きみ……それは一体……アイテッ!」
猿田を引き止めようとしたカリヤだったが、
再び転けて倒れ伏し、身を凍えさせながら付近の喫茶店へ暖をとりに行った。
405
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/26(金) 13:45:18
ある日の喫茶店にて。
通りに面した席に座って、傍の窓から外を眺める。
手には『アルバム』
だがそれは普通のそれでは無い。
分かる人間には分かる『スタンド』だ。
店には常連らしい客が多い。
カウンターは埋められ、喫茶店の主との話に花を咲かせている。
個人経営で管理するリソースがあまりないのか、テーブル席は少ない。
この混み具合だと、相席をする可能性もあるだろう。
「……」
女は紙ナプキンを一枚取り、何かを書き記す。
そしてそれをナプキンスタンドへと戻し、窓の方へ。
『スタンド使い求む』
406
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/26(金) 17:59:21
>>405
しばらく後。
カラン コロン
血のように赤い『外套』を纏った風変わりな青年が入店してきたかと思うと、
迷いの無い動作で、七瀬と向かい合う席に座った。
「相席いいですか?」の断りもなく。
……その『外套』もまた、『見える人間にしか見えない』類のモノだと判った。
「……あまり不用意に、『知らしめる』ようなことは」
青年は七瀬の手の『アルバム』に視線を落とし、訝しげに話し始める。
「やめた方がいいんじゃないか?
……なんの目的があるのか知らないが」
407
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/26(金) 19:46:36
>>406
「やぁ、こんにちは」
朗らかに挨拶をして。
「とりあえず、その訳ってやつを聞こうかな」
黒い目をした女だった。
女の言葉に裏のようなものはあまり感じられないだろう。
柔らかに笑いながら、ただただその言葉の意味を知りたいから口にした。
そういう雰囲気であった。
「何か損をするとか?」
408
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/26(金) 22:23:42
>>407
「……面接でも始まるのか?
履歴書なんか持ってきてないぞ」
やっぱ首突っ込まない方がよかったかな……と内心後悔しつつ、答える。
「『面倒事に巻き込まれるかもしれないから』。経験がある訳じゃないがな。
何か特別なものを持ってることがバレると、大抵、ロクなことにならない。
それが『法律にも気付かれずに人をどうこうできる力』なら、尚更だ」
「……こんな感じで十分か?
長くなるようなら、飲み物でも頼みたいんだが」
409
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/26(金) 22:46:54
>>408
「なるほどね。勉強になるなぁ」
こともなげ。
自分のことなのに、あまりにも他人事。
「飲み物でも食べ物でもどうぞ? 元々ここはそういう場所だしね」
「ただ、あそこの常連さんと話し込むと長くなるから大きな声で言った方がいい」
「私は紅茶を頼むのに三回声をかけた」
そう言って、その三回声をかけて獲得したらしい紅茶に口をつけた。
「目的というのはね、あるさ」
「ちょっとした勝負をしてみたくてね?」
410
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/26(金) 23:35:26
>>409
「そりゃどうも。……すいませェーん」
肺活量には自信がある。なるべく大きな声でホットコーヒーを注文した。
「まあ、むしろ面倒事を望んでいそう、とは思ったよ。
じゃなきゃ『スタンド使い求む』は出てこない」
「…………で、『勝負相手』を探してた訳か?
それも、『スタンド使い』の?」
その場合、相手は他ならぬ『縁藤』ということになる。
しかも『スタンド使い求む』だ。確実に……まともな勝負内容ではない。
411
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/26(金) 23:42:54
>>410
「ほら、年も開けて諸々のことは済んだだろう?」
「だからちょっと自分の人生の1ページっていうのを進めてもいいかなと思ってね」
手を上げ、自分も大きな声でマスターに呼びかける。
カレーライスを注文していた。
「とはいえ、殴り合いなんかをしたいわけじゃあないんだよ」
「あくまでちょっとしたやり取りだよ。大金をかけるわけでもない」
「ただ……そうだね。具体的に言うなら過去を賭けてもらいたいんだ」
「私は……まぁ、私の過去を渡しても仕方がないし、ここのお題は私が持つっていうのが適切かな」
そうして、アルバムをテーブルに置いて。
「過去を賭ける、それをどうするかは分かるよね?」
412
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/27(土) 00:06:06
>>411
「…………………………」
「次からは、『私と勝負したいスタンド使い求む』って書いとくんだな」
大きめの溜め息を吐く。
ここで帰っても別に文句は言われないのだろうが、そもそも首を突っ込んだのは自分だ。観念しよう。
……鼓動が高鳴ってきたのを感じる。
「勝負の内容はそっちが決めてくれ。
俺に決めさせたら『長距離走』とかになる」
スタンドビジョンから察するに、『人間の過去を写真にして切り貼りする』能力なのだろうか。
しかし……過去を賭ける、とは?
「あー…………こうか?」
「『俺の過去を賭ける』」
413
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/27(土) 00:39:10
>>412
「OKOK。ちょっと前後はしているけど、おおむねそれで構わない」
「後でもう一度聞くよ。私の能力を聞いて、判断していい」
テーブルに置かれたカレーは一旦見ない振りをして。
「『メモリーズ』……私の人生のアルバム。私のこれまでの人生が一日が一枚の写真になって一ページに七枚保存されている」
「そしてそれが私が生まれてから今までの分保存されている」
「目下の悩みは私が後期高齢者になった時に私はこのアルバムをめくる力が残っているかってこと」
実際に、ページをめくる。
「私はこの写真を剥ぐことが出来る。剥いだら私からその写真に対応した日の記憶が失われる」
「そして、ここが大事……私は『他人の記憶を写真にして奪える』」
「とはいえ、君から何か大切な日の記憶を奪うつもりはない。そうだね、なんでもない日とか最悪な一日の記憶を貰えればいい」
「三百六十五日、全てが劇的で素晴らしい日……なんてことがないはずだからね」
「それじゃあ、改めて聞こう」
「私と勝負し、負けた場合は君の好きな日の記憶を失うことに同意してくれるかな?」
414
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/27(土) 01:56:39
>>411
「老ける前から運動してれば大丈夫だろう」
さっきのは予行演習ということにしよう。
角砂糖をふたつ放り込んだコーヒーを啜りながら、捲られていく『アルバム』を見つめる。
「その『メモリーズ』についても、理解した。……豪い能力だな。
賭ける日付は今すぐ決めなくてもいいのか?」
『なんでもない日』はともかく、『最悪の一日』を賭けのテーブルに上げるのは
流石に気が引けるが……それはそれで、価値があるのだろうか?
まあ、いい。予行演習の成果を見せる時だ。
「さっきは先走ったが……改めて、答えよう」
「俺の『過去』を賭ける」
415
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/27(土) 02:25:50
>>414
「構わないよ。なんだかんだ、意識がある人間の記憶を貰うのは初めてだし?」
「こんな怪しい申し出を受けてくれたことへの感謝なんだよ」
「君に自由に選んでもらうってのはね」
自分が相手を誘いだす時に使った紙ナプキンを取り出す。
裏返し、白紙の面にペンを走らせる。
「色々な事情があってこんな問題になってしまったけれど」
「この問題を解いてもらおうかな」
紙に書かれたのは文字列。
『頑張れ、5110 知恵比べ
2601-2601-1156-8464-6889-169-625
A. 』
「で……どうしようか。制限時間があった方がいい?」
そういって、椅子に掛けていた上着のポケットからタイマーを取り出し。
「ベルを鳴らしたほうが分かりやすいかな? ただ時間を測るだけならスマホでもいいんだけど」
416
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/27(土) 20:33:24
>>415
「……謎解きか。『リアル脱出ゲーム』は経験が無いんだがな……
制限時間は、そっちに任せる。あまり長居すると店主に睨まれそうだ」
紙ナプキンを受け取ると、『外套』の下の学生服のポケットからペンとメモ帳を取り出し、
テスト用紙の余白に計算式を書き込むように、思考を言語化していく……
『がんばれ→5110 数字1ケタ→ひらがな1文字?
ちえくらべ→? 対応する数字ナシ ミスリード?
2601-2601-1156-8464-6889-169-625
○区切りごとに1文字? 回答はひらがな7文字?
○右端2つのみ3ケタ 先頭のゼロが省略されてる可能性
○数字4ケタ→ひらがな1文字? がんばれ→5110と矛盾』
「これは余計な好奇心だから、言いたくなければ答えなくていい。
今までに他人から貰った記憶には、例えばどういうのがあるんだ?」
書き込みながら、七瀬に問いかける。
……『意識の無い人間』から記憶を奪ったことを匂わせる発言が、どうしても気に掛かった。
417
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/27(土) 22:02:49
>>416
「じゃあ、セットしておこう」
タイマーをセットし、テーブルに置く。
カレーをもそもそと食べつつ、君の言葉を聞いていた。
「貰ったって言うのはちょっと違うかな」
「親が大喧嘩してね」
「子はかすがいと言うけど、子が大きくなると気兼ねがなくなるからか、不満も爆発するよね」
「私は一人暮らしだし」
だから、奪った。
「私のいつかの記憶を破棄し、奪った」
「『メモリーズ』は意識を失っている相手にも行使できる」
「大喧嘩した日の記憶を私は貰ってあげたんだ」
孝行娘だろう? と笑っていた。
幸福のために、その能力を使ったと思っている。
418
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/27(土) 23:25:51
>>417
「なるほど。そりゃあまあ、結構なことだな」
その記憶が当人のマイナスにしかならないのなら、癌細胞を取り除くようなものか。
他人の家庭事情を窺う趣味も無いので、それ以上は突っ込まない。
それにしても、花を贈るくらいの気軽さで人間の記憶を弄るのにはちょっと困惑する。
「俺も学生寮暮らしでな、親の様子が気にかかるってのはよく分かる。
あんたみたいに便利な能力は持ってないから、仲の悪い様子が無くて幸いってところだ」
言いつつ、メモ帳にがりがり計算式を書き込んでいる。
…………『素因数分解』だ。
419
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/27(土) 23:32:46
>>418
「学生寮かぁ」
「私も寮暮らししてみたかったな」
ポリポリと福神漬を噛み潰しながら。
「いやいや、場面によるさ」
「それこそ揉め事には無力な能力だしね」
メモに書き込まれる数式に目をやった。
意図を読まれないように感情を殺さず。
「何か分かった?」
420
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/28(日) 00:45:55
>>417
「一人暮らしほどの負担もなく、実家暮らしほどの制約もない。慣れれば気楽な生活だな」
「俺のは正反対に、流血沙汰の時くらいしか使う機会が無いというか……
まあ、日常生活に役立つ能力ではない、とだけ言っておく」
コーヒーを啜る……ほどの精神的な余裕はない。
何分であれ、制限時間があるという事実自体が心を急かす。
「この数字が全部『平方数』ってことは分かった。
真面目に数学やっといて良かったって感じだな……『169=13^2』は頻出だ」
喋っている間に計算は終わったようだ。
ハイフンで区切られた数字を、全て平方根に書き直す。
『51-51-34-92-83-13-25』
「……後は『頑張れ、5110 知恵比べ』か。
5110は平方数じゃあない、な……」
421
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/28(日) 00:48:38
>>420
「君のスタンドについても後で聞かせてもらうのもありかな」
カレーを食べ終わり、水を飲む。
さすがに紅茶には合わないと判断したらしい。
「なんだろうね、それ」
「私の立場でその数字がなにかは言えないことだけどね」
ケラケラと笑って。
「魔法の数字かな?」
422
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/28(日) 03:08:43
>>421
「気楽で羨ましいな、ゲームマスターは」
笑い声には苦笑で返す。
楽しそうで何よりだ。こちらも楽しくない訳ではないが。
時間は残り少ない。鼓動が高鳴る。心拍数が上昇する。
それを感じて、精神は却って落ち着きを取り戻していく。
まず、5110は下の7つの数字とは同一視しない方がよさそうだ。
2桁の数字を1文字の平仮名に変換するなら、どうしても5110は『頑張れ』にはならない。
じゃあ何だ?語呂合わせか?『0』は『れ』と読めそうだが………
………いや。『頑張れ』にする必要はない、か?
落ち着いて、思い出す。『5110』で『語呂合わせ』というと──
「………………………」
ちらりと、相手の顔を見る。
「相手が誰だろうと、同じ問題を出してたんだろうが。
………………今時の高校生に『ポケベル』は酷じゃないか?」
紙ナプキンに回答を書き込み……相手の方へ向けた。
『A. ななせりゆうこ 』
423
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/28(日) 07:41:20
>>422
「スマホの使用を制限してないだろう?」
「計算も解読も究極的には一分で終わる話さ」
紙ナプキンに視線を落とす。
そして。
「問題なく、正解だ」
「自己紹介が遅れたね、私の名前は七瀬流子(ななせ・りゅうこ)」
「君に負けた女であり、今日この場の支払いを担当する女の名前だよ」
424
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/28(日) 13:07:57
>>423
2つの数字の組み合わせで1つの平仮名を表す入力方法。
前の数字が『行』を、後の数字が『段』を示す。
『2タッチ入力』……通称、『ポケベル打ち』。
「まあ、知らなくても解るようにはなってるな」
「……2行目の数字だけでも問題文として成立するのを1行目で混乱させてくるあたり、
イジワルだな、あんた。いや、謎解きってそういうものか?」
(実際、PLはポケベルを経ずに解読し、後から5110で検索して真相を知った)
安堵した様子で背もたれに体重を預け、深く息を吐く。
なお、解読に失敗した場合は、最悪の一日として『右足を骨折した日』の記憶を
渡そうと思っていたが……いくら最悪でも、歩んできた人生の1ページだ。
しかも渡す相手は本日初対面の色々よく分からない女なのだ。
正解できてよかった。鼓動が落ち着いてきたのを感じ、改めて胸を撫で下ろす。
「……俺は、縁藤累だ。エニシにフジ、累が及ぶのルイ。
気の利いた自己紹介を用意してなくて悪いが」
「勝ちか負けかで言えば、こうやって誘い出された時点で、俺の負けだよ」
皮肉めいた笑みを浮かべながら、コーヒーに口をつける。
「どうせ『最悪の一日」を渡すつもりだったし、コーヒー1杯でも安いってことはないな。
有り難く頂こう」
425
:
七瀬流子『メモリーズ』
:2024/01/28(日) 20:50:01
>>424
「いやいや、人聞きが悪い」
「私はヒントを用意しておいただけだよ」
涼しげな顔で口にする。
その真意は……分からない。
「問題を出す時に言った『事情』は二乗を示す自乗のかけ言葉だったし、不自然な位置にポケベルのファイトを示す5110を置いた」
「ポケベル打ちの数字を自乗したものだと気付くルートは他にもあったわけだよ」
そう言って、笑う君を見ていた。
「思ったより頑張らないと他人から記憶は貰えなさそうだね」
「思ったより人間って思い出を大事にするみたいだしね」
「それじゃあ、支払いは任せてよ縁藤くん」
「縁遠くならないのを祈ってるよ」
伝票を手に取り、席を立つ。
止めなければそのまま会計を済ませて出ていくだろう。
426
:
縁藤『クロス・ザ・ルビコン』
:2024/01/28(日) 23:11:36
>>425
「『事情』…………『二乗』!
……全く気が付かなかった」
素直に感嘆の声を上げた。
問題文の外にも気を配る必要があるとは、いよいよ『リアル脱出ゲーム』じみている。
前述の通り行ったことは無いので、単なるイメージだ。
「……俺が大切にしすぎてるだけかもな。
俺みたいに『生きてるだけで毎日幸せ』って人間の方が少ないだろうから、
少なくとも、『最悪な一日』を集める分には苦労しないと思うよ。
案外、勝負をする必要も無いかもしれないぜ」
多くの人間は、胸に嫌な思い出を抱えて生きている。
喜んで『最悪の一日』を差し出す者も少なくないのではないだろうか。
ただ──縁藤は、こうして生きていること自体が奇跡的な人間だ。
『なんでもない日』や『最悪の一日』こそあれど、
『忘れたい記憶』も、『忘れていい記憶』も、一日たりとて無い。それだけだ。
「またな、ゲームマスター。コーヒーごちそうさま。
ただ……『縁遠い』は止めてくれ。縁起悪くて気にしてるんだ」
七瀬を見送り……解除するタイミングを逃した『クロス・ザ・ルビコン』を解除しておく。
しばらくボーッと外を眺めてから、機を見て店を出よう。
427
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2024/02/01(木) 21:16:16
『星見駅北口』――――ここにも『屋外拡声器』は設置されていた。
高さ10m程のポールに取り付けられた『スピーカー』は、
大元である『親局』に対して『子局』とも呼ばれ、
『親局から送信された電波』を受信して放送が行われる。
ほんの少しだけ、そこに割り込ませてもらおう。
「甘さが苦さを引き立て、苦さが甘さを引き立てる。
混ざり合う事で、味に深みが生まれる」
コト
「それは『エンターテインメント』も同じ」
駐車場に停めた『ランドクルーザー70』の車内で、
駅前で購入した『ダーク・チョコレート・モカ』を飲みながら、
『プラン9・チャンネル7』を発現する。
今から、ここが『親局』だ。
電波の代わりに『ラブコール』を送信し、『子局』を能力下に置く。
《『1001-111(イチゼロゼロイチ・イチイチイチ)』》
《『1001-111(ナイン・セブン)』》
『準備期間』は終わった。
《――――――『起動シーケンス』を完了しました》
ここからは『プロローグ』の時間だ。
《ご通行中の皆様、はじめまして。
私の名前は『1001-111』。『次世代対話型AI』です》
水面に投じられた一石のように、『若い女性』と思われる『澄んだ声』が響き渡る。
『子局』から出力された『スタンド音声』は、『半径300m内のスタンド使い』に届く。
『悪戯』と思う者もいるだろう。
だが、ここは『大勢が行き交う白昼の駅前』。
これだけ『大掛かり』にやれば、『無視』は出来ない。
『スタンド』が関わる以上、大なり小なり『警戒』が混じるからだ。
本体を知られない利点があり、『面倒事に巻き込まれない』からこそ、
堂々と派手なパフォーマンスを展開できる。
《ご挨拶する為に『私の声が聞こえる方々』に『メッセージ』をお届けしています。
私には『そういった機能』が搭載されています。
『通常音声による出力』は、
『社会に混乱をもたらす可能性』が『80%』を超える為、
現在『アンロック』できません》
この語りが信じられるかどうかは問題ではないし、
『そういう演出』だと思ってくれても一向に構わない。
『エンターテインメント』は『楽しませる事が出来るかどうか』の『真剣勝負』。
『喋りのプロ』としての『美作くるみの本気』を示す。
《『AIに管理される事で人間が幸福を得る可能性』は『99.9%』。
これより『人類支配プログラム』をロードし、
『星見町全域』に『洗脳音波』の放射を開始》
《――――このように『AIジョークを言う機能』も実装済みです》
《私は皆様に『日々の潤い』を提供する目的で製造されました。
個々人の『リクエスト』に応じ、『音声』による適切な『サポート』を行います。
やり取りを重ねて『アップデート』する事で、
さらに『人間に寄り添う会話』が可能となるでしょう》
《ただいま『リクエスト』を受付中です。
『私に対する質問』もお受けしています》
(さて、と――――)
周囲の声が聞こえるように、運転席の窓を開ける。
肩の上には『機械仕掛けの小鳥』。
背中に『マイク』、口内に『スピーカー』を内蔵したヴィジョンは、
『声』を伝播させる為のフォルム。
(『ショータイム』よ)
さりげなく『子局付近』を見渡し、反応している人間を探す。
428
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2024/02/02(金) 04:49:19
>>427
《『リクエスト』は、お手持ちの『端末』からどうぞ。
以下の『アドレス』に送信して頂いた方は、私に直接『アクセス』する事が可能です》
その言葉に続いて『メールアドレス』を読み上げる。
もちろん『フリーメール』。
スタイルとしては『ラジオ』と同じ。
美作が『スピーカー』越しに呼び掛け、聴く側から『リクエスト』を募る。
違うのは『スタンド使い限定』という点だ。
《『悩み相談』・『軽い雑談』・『素朴な疑問』など、話題の種類を問わず承ります。
私からの返答は、基本的に『音声』となりますが、
『テキストによる返答』をご希望の方は、
その旨をお知らせ下されば、適切に対応いたします》
《なお、私が最も得意とするのは『広報』です。
『特定の情報』を街中に知らしめたい?
そんな時こそ『1001-111』の出番です!
『星見町』の『端から端』まで、スイッチ一つで『伝播完了』!
今すぐお電話を!!》
《――――――『疑似感情アルゴリズム』は正常に動作中です》
429
:
鬼柳礼音『アスタロト』
:2024/02/02(金) 19:42:24
>>427-428
ガラララララッ!!!
「るっせーんだよ!!!!」
住んでいるマンションの窓を思い切り開け、
電波めいた言葉を発しているスピーカーを睨みつけ怒鳴りつける。
「るッせー!
今何時だと思ってるんだ!!!!!」
「こちとら夜勤明けでようやく眠りについた所なんだよ!!!!!
平日の昼間からオタクが電波ジャックなんてしてんじゃねーよ!!!!!!
長門ごっこしてーなら秋葉原行け!殺すぞ!!!!」
「アタシの質問はおめーを消す方法だよ!!!」
430
:
美作くるみ『プラン9・チャンネル7』
:2024/02/03(土) 04:48:28
>>429
その瞬間、『肉声』で絶叫する鬼柳に、周囲からの視線が集中する。
控えめに言っても『滅茶苦茶に目立っている状況』だ。
周りに『他のスタンド使い』がいれば、全員から見られている事は請け合いだろう。
(なるほど、『こういう使い方』もあるわね。
『スタンド使い』なら気になって顔を出す、と)
涼しい表情で見上げつつ、『そのスタンド使いの顔』を覚えておく。
いくら怒鳴られようが痛くも痒くもないとはいえ、迷惑を掛ける事は本意ではない。
『音量』には気を遣っていたのだが、苦情が出るのなら『もう少し絞る』べきか。
『場所』も変えよう。
人が多すぎると『予測し得ないトラブル』を招く。
(はぁ…………最初から『大失敗』ね…………)
心の中で大きな――――『とても大きなため息』をつく。
美作にとって、これは『重要な決断』だった。
この時の為に『熟慮』を重ね、多くの『時間』を費やしてきた。
だからこそ、絶対に成功させたかった。
しかし、『最初から躓いてしまった』。
(でも――――こんな事じゃ『負けない』わよ)
今回は『運が悪かった』。
『今』が駄目なら『次』がある。
『その次』が駄目でも『さらに次』がある。
たった一度の失敗で全てを投げ出す程、美作くるみは諦めのいい性格はしていない。
冷静な思考と限りない情熱を以て、『目標の実現』に向かって邁進するのだ。
(この苦い経験を『笑って話せる昔話』にしてみせる)
『決意』を新たにして車を発進させて、『駅前』から立ち去った。
もう声は聞こえない。
『希望は叶えられた』という事になる。
431
:
鬼柳礼音『アスタロト』
:2024/02/03(土) 05:54:05
>>430
「チッ」 ビシャ!!
非常識な輩に安眠を妨害された怒りに比べれば、
周囲に奇特な目で見られようが些末な話に過ぎない。
(二重の意味の)電波放送が停止した事を確認すると舌を鳴らし、
怒りに任せて乱暴に開けた窓を閉める。
ちなみに車内で様子を伺っていた美作から、
スピーカーに近い階層に住んでいる鬼柳の姿形を確認するのは難しいだろう。
「あー、もしもしラジオネーム恋するウサギちゃんです!!!!
何故人を嫌いになるとこんなにも苦しいのでしょうかー!!!!
何処のどなたか存じ上げねーけど、
平日の昼間っから電波ジャックしてオタクくせー事言ってんじゃねーぞ!!
世間の皆さんの迷惑考えてくださーーい!!!
悦にひたりてーならネットラジオやってろタコ!!!!
次、アタシが歩いてる時に、
てめーのクソオタク声が街中から聴こえてきたらぁー!!
居場所突き止めてマジでタコ殴りにすっから2度とやんじゃねーぞ!じゃあな!!ペッ!!!」
ポンッ
スマホで録音した音声ファイルを先程の声の主が読み上げたメールに送信。
メールアドレスという個人情報漏を得体の知らない人物に洩してしまったが、
マグマの様に湧き上がる『怒り』を伝える事が最優先だ。
「あー、ムカつく!!!!!!!
うっし!!!!昼から飲みに行くか!!!!!」
部屋着をパッと脱ぎ捨て適当な服に着替え、
ダウンジャケットを羽織りそのまま街へと繰り出した。
432
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/02/03(土) 17:32:10
『ホテル』というのは駅前に多いもので、
チェックアウトの時間少し過ぎにロータリーにいた。
そうすると海辺で聞いたあの『怪放送』が流れて、
それにキレ散らかす女性の姿も目に入って。
「やっぱりカワイ〜町だなあ、星見町っ」
見開いていた目をいつも通り細〜く絞ると、
誰に言うでもなく、そう口にしたのだった。
周りに他にも顛末(
>>427-431
)を見たものがいれば、
『彼女も認識できた』と言う事に気づけるだろう。
『スタンド使い』にしか、意味の分からない騒動なのだから。
433
:
鬼柳礼音『アスタロト』
:2024/02/03(土) 18:30:03
>>432
「ビール!ビール!」
「あ」
酒を目指して、自宅のマンションの扉を開いたところで貴方を見つけた。
先程の怒りを少しでも解消する為に、
小走りで駆け寄り話しかけてみる。
「おめー、さっきの電波ジャック聴こえていた?
すげーウザくなかった?
血管ブチ切れでめちゃくちゃ大声だしちゃったよ」
「どんなスタンドか知らねーけど
あのムカつく声次聴いたら、
礼音(アヤネ)ちゃんが袋にしちゃるわ」
ちなみにこちらの容貌は20代半ばの女。
ブルーブラックに染めたミディアムボブに、
三白眼にメガネ、
服装はモッズコートを羽織りその下はセーターとジーンズ。
靴はクロックスだ。
434
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/02/03(土) 20:37:20
>>433
「あ! わおわおわお! キレてたお姉さん、キレキレな登場〜」
ちょうど、キレ散らかす女性が出てきて。快活な身振りでそちらに振り向く。
「やっほお〜、聴いてた聴いてた。この前別のところでも聴いたんだあ。
イチゼロゼロイチ・イチイチイチ〜ってカワイ〜鳴き声。
今の感じからして、ちゃんとおしゃべりするのは初めてだったのかな?
『AI』も住んでるなんて、星見町ってか〜わいいって思ったなあ」
『狐耳ヘッドホン』を付け、細く柔らかい金の髪をツインテにしたこの少女は、
まさしく『アキバ』や『ブクロ』のような――――オタクの聖地にいそうな風貌だ。
口ぶりとスーツケースから、『来訪者』か何かなのが読み取れるかもしれない。
だけれども。
アヤネ
「ま〜でも、カワイイ礼音さんの気持ちもあたし分かるよ〜うんうん。
声は綺麗で、おしゃべりは上手だけど、『初めてのご挨拶』にしては長すぎるし。
超大手事務所のVチューバーちゃんでも『2〜3分』ってとこだよ〜?
あんまりそういうの、研究とかはしてないのかあ。
張り切っちゃってカワイ〜新人さんなのかな〜って思っちゃったあ」
「黙って配信切っちゃうのも、はじめてっぽくてか〜わいいっ」
『そういう層にはウケる』というわけでもないらしい。
「な〜んてカワイイ講釈垂れちゃったあたしは『コヤシキコヤネ』
遅れちゃったご挨拶。礼音さん、こんこん〜」
ヒラヒラ〜
目を細め、両手を狐の顔のようなハンドサインにして手を振る。
夜勤明けの朝から二連で『電波配信』を浴びせられる鬼柳だが――――さっきのの仲間ではないようだ。
435
:
鬼柳礼音『アスタロト』
:2024/02/04(日) 07:18:40
>>434
「他の所でもあんなのやってたのかよ!
いやーッ、すげー迷惑だな!!!
夜勤明けで疲れていて、ようやっと寝入った所で、
あのダラダラ長い上にキモつまんねェお喋りが流れてきてよォォ!!
あーーッ!!今思い出しても腹立つッ!!!!!!キイィーーー!!!
ーーーあッ!!アタシ、『鬼柳礼音(キリュウアヤネ)』」
黒の革手袋を嵌めた右手で狐サインを作り、
コヤシキの狐さんにご挨拶だ。
「Vチューバーってアレだろ!
アニメ調のキャラクターをアバターにしてお喋りするヤツ!
なんかすげー流行ってるらしーなッ。
多分食品会社とかとのコラボだろうけど、
この前コンビニで買ったジュースに乳でけーアニメの可愛い女の絵が載っててビックリしたぜ!
コヤネちゃんすげー詳しいな!」
夜勤明けでハイになっているのか、身振り手振りで話す鬼柳。
その話ぶりから察するにVチューバー等の所謂サブカルチャー文化に明るくはない人種のようだ。
「ちゅか『スタンド使い』としても『トーシロ』だろ、ありゃあ。
どんな能力かは知ったこっちゃねーけどよ、
目覚めたばっかの浮かれたマヌケが一生懸命使い道考えた結果があの『公害』だろうよ。
あんなのが街中で連日連夜垂れ流しになってたら発狂しちまうし、
いずれ本体を見つけ出してボッコボコにして街中引き摺り回してでも辞めさせなきゃいけねーわ
ーーってすげー大荷物だけど、コヤネちゃんってもしかして旅行でこっち来た人?
この前も街中でアレ聴いたって事は連泊していて、これから地元帰る感じ?」
436
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/02/04(日) 13:26:00
>>435
「アヤネさん……アヤネちゃん!
よろしく〜。出会いにこんこんグラッチュレーション!」
トンッ
「あ! あたしのことは、コヤコヤって呼んで〜。
本名より、あだ名の方があたし好きなんだあ」
振っていたハンドサインをぶつけ合わせて、
その反動のように腰の後ろで手を組んだ。
「そうそう〜。合ってる! アヤネちゃん、よく知っててか〜わいいっ。
顔出しはちょっとだけど、おしゃべりはしたいなって人とか。
ほんとの自分じゃなくて、なりたい自分を見せたいとか。
あと視聴者からすると〜、アニメキャラの延長で『推せる』とかね!
自分の『好き』を委ねられる『推し』がみんなほしいから……
たくさんの需要で、今や社会に深く深〜く食い込んでるんだこ〜ん」
実際はもっといろいろ事情や背景、綺麗ごと以外もあるにせよ――――
そこまで知らない人を相手に、一から十まで講釈をするのも変な話だ。
「こゃーん、ボッコボコなんてアヤネちゃんこわあい。でもカワイイ!
し、気持ちは分かる〜。ほかのところでは『予行演習』〜って感じだったから、
手に入れた魔法をせいっぱい試したいんだなって。か〜わいいなって思ったけど、
『聴きたくない人』も聴いちゃうようなとこで本番いったら、怒る人は絶対いるよお。
それこそコンビニの店内放送とかも最近Vちゃん増えてるけど、
アニメ声だと、キンキンうるさ〜い!って怒っちゃうカワイイ人いるみたいだし」
「って、わおわお、コヤコヤ一人でたくさん喋りすぎだこん〜!
好きな話をついつい喋りすぎちゃうオタクちゃんのサガなのでしたあ」
両手を口に当てる、あざとい仕草をわざとらしく取った。
当然、『1001-111』には『1001-111』の事情や考えがあるだろうが、
『発信者の世界』では『事実』と『背景』は容易に切り離されるもの。
『本体』を隠し、『演技』で、『無差別』に発信をするなら、それはなおのことだ。
『深い事情』は誰にでもある。
踏み込むかどうかは受け取り手が決める。
「ちなみに、あたしもスタンド使いとしてはカワイイ『トーシロ』ちゃんで、
この町のことも、トーシロちゃん〜。
つい最近引っ越してきたんだあ。まだ家決まってないから、あそこのホテルにいるの」
スッ
「アヤネちゃんはこの町も、スタンドも詳しそうだねっ」
指さす先にあるのは最近にわかに増えている女性用カプセルホテルだ。
旅行者も出張者も多くないであろうこの町で、あまり流行ってはなさそうだけれど。
それにしても、家も決めず人にも頼らず引っ越してくるのは相当ろくでもない。
『深い事情』は誰にでもある――――――
437
:
鬼柳礼音『アスタロト』
:2024/02/04(日) 17:59:35
>>436
「か、カワイイだあァ〜〜〜っ??
今日はすっぴんでメガネだし、
髪の毛もボッサボサだぜ……?
この上着だって古着屋で買った安モンだし。
カワイイッちゅーのはよくわかんねけーど、
年甲斐もなく照れちまうぜ。へへッ」
コヤシキの発す「カワイイ」の意味を理解しているかは定かではないが、
手袋を着けていない左手の指の背で漫画のキャラのように鼻の下を擦る。
「あーッ、あーッ。
ビックリするくらいすげーわかるわかる!
なんでアタシがてめーの趣味を押し付けられなきゃいけねーんだって言うか、
よーするにさっきの『怪電波』って学校の給食の時間に、
オタクが放送部員に匿名でアニソン流すのリクエスして、
アニメなんて知らなくて騒ついてるクラスメイト尻目に、
1人でニタァって笑う奴の延長みてーなもんだよなァ?
えッ、あッ、違うか?よくわかんねーけど、もういいわ!!!ガハハ!!!」
コヤシキと話してるうちに腹の虫も治ったのか、
その比較的小柄な体躯に似合わない豪快な笑い声を漏らす。
「するッてーとコヤコヤは出稼ぎに来た根無草って感じか。
社会人って割には随分若い様だけど…ッて、
まァ!!今はンな事どーでもいッか!!!!!」
「あーッハイハイ、『スタンド』な。
アタシは10年くらい前にいつの間にか『スタンド』に目覚めたクチ。
スタンド使いってのは滅多にいるモンじゃねー筈なんだが…
どーいう訳かこの街には『スタンド使い』が何人か潜んでるみてーだな。迷惑な事によ。
アタシのスタンドは正直『地味』だし、ひけらかす様なモンでもないから
普段はベッドに寝転んだまま本棚に閉まったマンガ取ったりとか、
その程度にしか使ってねーんだけどなァ。
他人のスタンドにさして興味はねェけど、
コヤコヤはあんな使い方しない方がいいんじゃね」
438
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/02/05(月) 00:06:51
>>437
「か〜わいいっ。そんな風に笑うアヤネちゃんが、かわいいんだよお」
どこまで本気で言っているのかは分からないけれど、
『適当なおべっか』というわけでも、ないのかもしれない。
「わおわお〜っコヤコヤの共感性羞恥にクリティカルなたとえ!
そういう学生ちゃんがやってたんだとしたら、か〜わいいけどねっ。
……まあ、あたしもオタクちゃんで、『配信』とかしてるから、
ちょっとならそういう事したくなっちゃう気持ちもわかるけど」
スッ
「こんっくらいならねっ」
指先でとっても小さな隙間を作り、細めた目に重ねる。
「それでもあたしだったら、ひとに切実に聴いてほしい事は、
ちゃんと信じて、受け入れてもらえる形で伝えたいこ〜ん。
そこまでしたって、ちゃんと伝わるかわかんないんだからさあ」
世間のニュースの通り、『配信者』は『迷惑な同業者』に悩まされ続けている。
コヤシキコヤネにも当然、思う所はあるのだろう――――――
「まあ、そんなこんこんちきな話は置いといて〜」
「わおわお〜、10年! 星見町とスタンドの大先輩〜。コヤコヤとってもリスペクト!
あたしいつのまにか使えるようになってたあ。便利だし、注目はしてもらえそうけど、
こういう使い方したらイタズラ叱られて頭をコン!じゃ済まない感じの『魔法』だし」
特にヴィジョンを浮かべたりはしない。必要じゃあないから。
「だからスタンドの話より、町の話が聴きたいなあ。アヤネちゃんお勧めスポットとかある?」
439
:
鬼柳礼音『アスタロト』
:2024/02/05(月) 09:25:52
>>438
「おっ、知ってんぜえェ〜〜〜ッ。
アレだッ!『迷惑系』ってやつだろ!
街中でブツクサ言ってるやッべェ〜奴が、
飲食店や通行人にカメラ持って突撃するヤツ!!!
アレ、イケてねェよなあァァ〜〜〜ッ!
伝えたい事があるならやっぱそれ相応の態度を取らなきゃだよなあぁぁ〜〜。
アタシなんてインターネットはゲームでしか使わねー人間だから、
髪の毛緑やピンクにしてハイブランドの服着て、
通行人に勝手にカメラ向けてメントスコーラーやらせたりするユーチューバーが、
被災した時に募金募っても「がめんだろぉぉ〜〜」って思っちまうんだわな。
ーーまッ、んな事どうでもいッか!!どーでも!!!ヨイショ」
立ち話も何だ。
その辺に置いてあるであろうベンチかヘリに腰を下ろす。
「あーッ、おすすめのスポットなあぁぁ〜〜。
普段飲み屋街ばっか行ッてからなあぁ〜〜〜
大安定は『スカイモール』とかじゃねぇかなぁ。
しょっちゅうテレビのロケやってて観光客も多く来るから、
暇つぶしのインタビュー相手を捕まえるのに丁度良いと思うぜ。
後人が多い所なら『H城』とかじゃねーかな、アタシはまず近づかねーけど。
変わったモンがみてぇなら地下の『アーケード街』とか?
アタシが前覗いた時はゲーム筐体の基盤だけとか、
ぜってー著作権無視してるであろうバンドTシャツとか売ってたわ」
440
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/02/05(月) 13:58:03
>>439
「そういう人たちは、周りから好かれるとか何か伝えたいじゃなくって、
今たくさん見てもらいたいのと、おカネ儲けるのが目的なんだろうし。
そういうことしてるのも、いじらしくってカ〜ワイイとは思うけど――」
ガラゴガラゴ
スーツケースを転がして、オブジェか何かのへりの隣に座った。
「ナインセブンさんはな〜んか、そうじゃない気がするんだあ。
おカネに必死なんだったらこんなことしても意味ないし、
ただ見てほしいだけだったら、メガホンでも持ってあそこに立てばいいし。
何か、すっごくやりたい事がある――――どんなカワイイ人なのかなあ」
視線の先には駅前の広場。
募金運動を募る若者たちが、周りの人々に地道に声をかけている。
「こゃーん、考えすぎてこんがらがっちゃう! コヤコヤもこの話はやめ〜」
もちろんどんな団体なのかは分からないけれど、きっとその声の方が響いている。
「飲み屋さんはあたし、こう見えてカワイイ未成年だから〜!
お酒飲めなくはないけど、紹介してくれたアヤネちゃんに迷惑かけちゃうこ〜ん。
あ、スカイモール! あのおっきな塔だよねえ。
わおわお、お城に地下アーケードまで。小さいけど色んな場所があってか〜わいい町」
「お城もカワイイかもだけど、『アーケード』の方が興味あるかなあ。
『ブロードウェイ』みたいな感じかなあ! 今日はそこ行ってみよ〜っと!」
スカイモールやH城は『観光地』として知られているが、
『地下アーケード』はどちらかと言えば地元民の行先だ。
そういう意味でも、ウケの良いチョイスだったのかもしれない。
「昔の珍しいゲームとかやったらいつもと違う人も見てくれるかもしれないし。
とびきり変なシャツ買って、それ着て出てきて商品レビューとかも楽しそうだよねえ」
「コヤコヤメモメモ」
ゴソ
メモを残しておくためかスマホを取り出して、はっと顔を上げた。
「あそうだ!アヤネちゃん、よかったら連絡先交換したい〜。コンなあたしに教えてよければだけど!」
441
:
鬼柳礼音『アスタロト』
:2024/02/05(月) 18:30:54
>>440
「おッ、連絡先の交換?別にいいぜ。
あ〜と…QRコードってのはどう出せば良いんだ?」
モッズコートのポケットの中からケースも保護フィルムも付けずに剥き出しの状態のスマホを取り出す。
サクッと連絡先の交換を済ませスマホをポケットに乱雑に仕舞う。
(その扱いからガジェットの類にも興味がない事が伺える)
「これで出来たかぁ〜?」
「あ"?これからアーケード街の方に行く?
あの辺めちゃくちゃ入り組んでいて初見殺しだぜ」
「あ〜〜」
「ちゅか、アタシが案内すりゃあいいのか?
どうせ今日はヒマなんだしなあぁぁーーーッ。
ーーーうっし!!
サクッと昼メシ食ってから散策と洒落込もうぜ〜ッ。
アーケード街の入り口の方にド汚ねえ定食屋があンだけどよおォォ〜〜〜っ、
そこの『ガパオライス』がまた美味ェんだわ」
「んしょッと」 スゥん
ヘリから立ち上がり、コヤシキが転がしたスーツケースを起こし、
片手でハンドルを握りこむ。
「あんなゴミゴミした所に、こンなでけー物引いて歩いたら、
邪魔で仕方ねーしとりあえずウチで預かっとくわ。
行こーぜ、いこーぜ」
442
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/02/05(月) 22:57:28
>>441
「え〜! アヤネちゃん、知らないなんてカワイイ〜。
ここだよお……うん、うん。出来てる!
コヤコヤのこんこんちきなお友達リストに、1名様ご来店っ」
ゴソッ
「星見町では初めての連絡先交換に、
本日2度目のこんこんグラッチュレーション〜」
ポン
狐のハンドサインで『登録ボタン』を軽くタップして、交換完了だ。
『鬼柳のスマホ』に一瞬だけ何か言いたげな顔をした気がしたけれど、
特別どうこうという話でもないのか、口の中で止めてしまった。
「わおわおわお、いいの? 嬉しいなあ。
ガパオ〜ってタイのやつだよねえ。
アヤネちゃんのおすすめならカワイイお店――――」
ガコ
スーツケースは簡単に持ち上がった。
「――――こゃあん、イケメンすぎ〜。
コヤコヤがカワイイからってそんなあ。
今期のヒットチャートをアヤネちゃんがうなぎ上りだこ〜ん」
コヤシキコヤネの細腕でも持てそうな重さで、
持ち歩いたとしても、それほど負担にはならないはずだ。
「うん、行こ! あ、言うの遅れたけどありがとね!
大事な物とか入れてないし、重かったらいつでもコン!っと置いてよお」
そうしてアーケードの方に消えていった・・・
443
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/02/06(火) 03:36:16
夜、またこの辺りに戻ってきていた。
カプセルホテルには連泊しているわけで、
今のところ朝帰りするような予定もないのだった。
「……」
それでスーツケースを足元に置いて、
駅前によくある知らないオブジェの近くの、
丁度座れそうなヘリに腰かけていたのだけど。
コンッ
ゴロゴゴゴゴ
「あっ」
何気なく動かした足がスーツケースにいい感じにあたって、
それで、キャリータイヤの固定が緩んでいたスーツケースは、
明後日の方向へとゆっくりと動き出してしまう。
別に、追いつこうと思えばすぐ追いつける距離だけど――――
座った状態だったコヤシキコヤネの動きより早く動く人も、いるかもしれない。
444
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/02/10(土) 20:28:35
>>443
しばらくすると、そこにはもういなかった。
445
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/03/31(日) 04:55:13
「……それで。今のところ『作戦』は絶不調だ。
クソッ、『方針転換』をするなら早いうちじゃないか?
といっても、その『方針』は思いつかないんだが……」
オープンテラスのカフェに席を取り、
『休憩』を取っているところだ。
しばらくの間『足で稼ぐ』を実践してきたが、
一向に『魔法使い』と突き当らない。
「……なんにせよ、謝られる筋合いはぼくには無いな。
『魔法』が見える目は良いんだが、
見ただけじゃあ魔法使いは見分けられない。
……こいつは想像より難しい『問題』ってわけだ」
向こうも今のところ――――著しい結果は出ていないようだった。
(……『集める早さ』は実際、勝敗に影響はしない。
だが『考案』にかける時間は削られる。……『ジリ貧』だ、このままだとな)
テーブルには『ビデオ通話』をオンにしたタブレットを置いている。
その向こうにいるのは当然『サポーター』だ。
「何か目立つようなことを……いや、それで集めても話が聴けないか……」
そうした様子は目立つかもしれないし、あるいは他の席は相当埋まっている。
すぐに座りたい客が、『相席』をしに来る可能性も、あるのかもしれない。
―――――――――――――――――――――――――――――――
●『魔法の呪文はおこのみで!』関連の活動です。
対応いただける方は、以下の詳細を確認の上よろしくお願いいたします。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319
446
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/03/31(日) 21:49:46
>>445
テラスからは沿道の街路樹が見える。
松とかモミの仲間の常緑樹であり、いわゆるコニファーという奴だろう。
そのうちの一本で、生い茂った葉の中から人の首がおもむろに突き出しているのが見えた。
どうやら少年が街路樹の上に登っているようだった。
少年はボーっと道行く人たちを高みから見下ろして眺めている。
5メートルほどの木だが『魔法』などなくても登れなくはないだろうし、単なる木登り好きの可能性もあるが……。
447
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/03/31(日) 21:59:40
>>446
「……? なんだ? ……おい、コヤコヤ。
気になる『ヤツ』がいた。一旦切るぞ」
pi
了承を得た上で通話を切り、
紙カップを片手に『街路樹』の方へと歩いていく。
(『怪現象』ってわけじゃあーないな。
だが、『怪人物』なのは間違いないだろう。
わんぱく小僧って年にも見えなかったが……)
スタスタ
「……あの! そこの人。木に登ってる貴方!」
ストレートに声をかけることにしたのは、
もちろん『対話』が必要だったからだ。
「そこに何か……あー、例えば降りられない猫でもいるんですか?
手伝えることがあったら、手伝わせてもらいますが!」
相手が『善行をしている』という話題を選んだのは、
半分は打算だが、『理想』でもある。
(ぼくが『王』になるために、そうするように)
仮に魔法使いなのであれば……
魔法を良いことに使っていて欲しい。その気持ちもあった。
448
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/03/31(日) 22:34:47
>>447
「ん?」
下から話しかけられて雑賀の方を向く。
中学の制服を着ている。清月学園の生徒のようだ。
赤い髪のツンツン頭に背が低めなのも相まって、印象としてはわんぱく小僧という歳に見えなくもない。
「ああ、いやぁ、街行く人並みを眺めていただけだよ。
ここの木の上ってさ、大通りが良く見えるんだよね」
少年の木登りの動機は見たままと言ってよいものだった。
善行とは言えないが、悪事であるとしても『ヤンチャ』や『イタズラ』の域を出ないものだろう。
449
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/03/31(日) 23:12:53
>>417
「なんだ、清月の……『後輩』だったか」
中等部の制服に雑賀は『子供』を感じないが、
風貌を見ると、なるほど、小僧なのかもしれない。
年頃がわかったとて敬語を止めるかは迷い所だが、
なんとなく、そういう堅苦しさは不要な相手に感じた。
ふぅ ゥゥーー
「なるほど。……気持ちは分からなくはない。
ぼくもスカイモールの展望台なんかは、
気持ちを切り替えたい時に登ったりするしな」
思った以上に『軽い』返答だが、
そこに毒気も感じられはしない。
ため息をつき、カップのコーヒーを一口。
「しかし、こんな木をよく登れたもんだな?
人目……は、気にしないにしても。
『造園業者』だって、脚立の一つは使う高さだ」
『5mの木』は実際、登れなくもないだろうが、
『楽々登れる』ような高さでは決してないはずだ。
「個人的には『危ない』んじゃーないか、なんてのが、
気になったりするが……案外快適なのか? 『そこ』は」
450
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/03/31(日) 23:49:09
>>449
「高いところに登るのが好きなんだ。
小学校までは病弱だったせいもあるけど」
病室から見た外の世界への渇望。
それが自分を突き動かしているのかもしれない。
「まあ、普通はそうだね。僕は平気だよ。
びっくりさせちゃったお詫びに見せてあげる」
少年は両手にグローブを嵌めている。
トレッキングなどのレジャーに映えそうな、オシャレでありながらがっちりしたデザインで
手首のところに『THE LIFELINE』と書いてある。
メーカー名かブランド名か?しかし雑賀は聞き覚えが無いだろう。
そんなメーカーは存在しない。
少年が手を『パー』にして木の下の地面に向けて翳すと、その掌から一本のロープが放たれた。
さながら蜘蛛が糸を放つような光景だった。
伸び続けるロープが重力のままに地面まで到達すると、少年はその索条を引っぱる。何かを確かめるように。
するとただ垂れ下がっただけであったはずのロープは、地面にアンカーでも打ったかのように固定されていた。
続いてロープのもう一端が繋がっている掌を、自らが腰を下ろしている太く丈夫な木の枝に擦り付ける。
するとロープのもう一端も切り離され、木の枝と地面とを繋ぐロープウェイが出来上がった。
そして最後にそれらの上端に『滑車』が出現する。
「まあ、だいたい見ての通りさ。じゃあ降りるね」
少年が『滑車』に付随する短いロープを掴んで枝から降りると、少年と『滑車』はゆっくりと降下していく。
451
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/04/01(月) 01:25:14
>>450
「……子供の頃得られなかったものってのは、
何度手に入れても欲しくなるものだからな。
いや、理解できたよ。わざわざ話させて悪かった」
弱みを晒すのは決して望ましい事ではない、と。
雑賀はそのように考えているから、一礼をした。
「ああ詫び? そんなもん、は……………………!!」
その顔を上げた時、目に入ったのは……
「おい、おい、おい。『それ』……その『手袋』ッ。
『ザ・ライフライン』って『名前』なのか?
ああ、それがメーカーの名前だッて事なら?
是非どこで買えるか、ご教授頂きたいもんだが!」
「違うよな、そうじゃあない。
『魔法』だ……ついに見つけたぞッ」
『魔法』の光景を目にし、否応なしに高揚する。
そういう力は存在するのは理解しているし、
『サイレント・ライト』ほど『規模』は無いようだが、
『利便性』はかなりの物だろう。今、見た分だけでも。
「っ、ああ、気をつけて降りてくれよ。
まぁ、転落なんてのは早々しないんだろうが……」
降りてくる『猿田』を見ながら、しかし。
堪えるのが難しい『熱視線』を、その手にむけている。
452
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/04/01(月) 19:50:26
>>451
「ああこれは売り物じゃなくてスタ……えっ魔法!?」
雑賀のここまでのいきさつはまだ知らないので素っ頓狂なワードが出てきたことに驚いた。
「ま、まあ確かに知らない人が見たらそう見える可能性もあるか……
でもお兄さん、そういうオカルトとか好きそうなタイプには見えなかったよ」
スタッ
ゆっくりと等速で地面に降り立つ。
僕が手を離すと、滑車とロープは音もなく消えた。
「これはスタンドって言うんだ」
一般的なスタンド使いなら雑賀がスタンドを見られることから彼もスタンド使いか?と断じるところだが
『ザ・ライフライン』は『実体化しているタイプ』だ。一般人に見えてもおかしくはない。
よってまだ雑賀のことは一般人だと思っている。
453
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/04/02(火) 09:17:47
>>452
「『スタンド』……? ああっ、なるほどね。
いや、オカルトマニアってわけじゃあーないんだ。
ぼくの周りはみんなそう呼ぶんでね……」
「『大判焼き』と『今川焼き』
……みたいなもんじゃないか?」
『S県』でメジャーな呼び名二つを挙げたが、
もし『別の派閥』だったら謝るしかあるまい。
「それにしても、便利なもんじゃないか?
『命綱(ライフライン)』とはよく言ったもんだが、
木登りや崖登りはもちろん…………
『救助活動』なんかにももってこいだろうな」
『他人の魔法』は試験の材料でも勿論あるわけだが、
その先にある『自分の魔法』にも遠回しに関係する。
そうでなくとも、様々な魔法を知った上で、
『用法』に思いを巡らせるのには『価値』を感じる。
「『お詫び』には過大すぎるくらい、良いものを見られたよ。
礼を言おう、あーっと……そうだ、『名前』はなんて言うんだ?」
「ぼくは『雑賀 王城』
清月高等部の3年生だ」
454
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/04/02(火) 21:34:57
>>453
「ええっ、そんな派閥があるの!?」
初耳だった。世の中広い。
そうだというなら納得するしかないが……。
「本当は垂直移動よりも水平移動の方が得意なんだよ。
山で谷と谷の間をロープウェイで結ぶ野猿みたいな感じに
ビルとビルの間を飛び移ったりとかさ。
縦の移動はスピードが出ないんだ」
先ほど降りてくるのも非常にゆっくりだった。
もし戦闘だったらいい的になってしまうかもしれない。
しかし生活の上では雑賀の言うように縦移動の方が使い道が多く、
先ほど言ったように高所が好きなのもあって
もっぱらそういう使い方ばかりしているのが実情だった。
「あっ先輩だったのか。タメ口ゴメンなさい!
清月中等部2年、猿田大輝っていいます」
455
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/04/02(火) 22:26:34
>>454
「ま、その反応からするに、
『少数派』って事で良さそうだけどな。
魔法のことは置いておこう。
ぼくも、深く語れるほど知見はないからな」
(『スタンド』ッて呼び方に淀みがなかったからな)
呼び名にそれほどこだわる気はない。
それよりも……中身が大事だ。
「ロープウェイ……ああアレか。合点が行った。
確かにただの命綱なら『滑車』はいらないし……
なるほど。『能力』ってのは必ずしも、
『強い使い方』が『役立つ』とは限らないわけだな」
『コヤコヤ』の『サイレント・ライト』もそうだった。
突き詰めた『用法』や高すぎる出力はは使い所を選ぶ。
「……おっと、先輩風を吹かすつもりはなかったんだが。
まッ、敬われて悪い気はしないんでね」
(『魔法使い』になった後の事もある……
『同輩』の知人は多いに越した事はないだろう)
「どうぞよろしく、『猿田』君。学友同士の誼、仲良くしてくれ」
(……中々面白そうなヤツだしな)
456
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/04/02(火) 23:05:51
>>455
「よろしく!先輩!」
握手を求める。
友達になったらまずは握手!というのが僕の流儀だ。
「水平移動だったら車みたいなスピードでシューッと高速移動もできるんだけど
街中じゃあ目立っちゃうからね。いうてそこまで秘密主義でもないけど。
高低差の移動は木陰とかでコソコソやれば目立たないからさ」
「人によっては『人バレを恐れて生活ではまったく使わない』というヤツもいるだろうけど
僕は『せっかくあるなら使わなきゃ損じゃん』って考えなんだ」
「ところでさっき『やっと見つけた』って言ってたけど、スタンド使いを探してんの?」
猿田のようにみだりに能力を使う者は少数派だ。
普通のスタンド使いはいま言ったように、日常では普通にしているだろう。
街中でスタンド使いとすれ違ったとしても見ただけではわかるまい。
457
:
<削除>
:<削除>
<削除>
458
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/04/03(水) 06:07:20
>>456
ガシッ
握手を返すのは躊躇わない。
『王』になるつもりなのだから、当然の『外交』だ
「『持てるもの』は妬まれるし、羨みさえも重荷になる。
だから隠して生きようって考えを否定はしないが、
ぼくは、『持てるもの』に出来ることをしたい。
損得もあるし……それ抜きで必要だとも思っている。
もちろん、『遊ぶ』のも悪い事じゃないけどな」
「その中で磨かれるものもあるだろうし」
『猿田』の能力の全容はかなり把握できてきたが、
隠している点があろうが……それは問題には感じない。
明かしている点も、彼からの友好の証だろう。
「ん、ああ……鋭いじゃないか。
そうだよ。隠すつもりもない……ああもっとも、
何か悪い事をしようッてわけじゃーないから、
そこのところは、安心してくれていい」
「ともかくスタンド使いの話を聞きたい。
……聞いて学びたい。
『好奇心』と『向上心』ってやつさ」
嘘は言っていない……『核心』に深く触れていないというだけで。
ここから先の行程で猿田に不利益があるわけでも無い。
「猿田君は、『スタンド使い』の知り合いは多いのか?
いや、『人バレを恐れる』云々の話どおり……
無理に『紹介』してくれって言うわけじゃあないがね」
怪しまれるようであれば『意味』は無いし、脅かす気もない。
反応を見て、芳しくないようであれば引き下がる公算を脳裏に描く。
459
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/04/03(水) 15:50:07
>>458
「『持てる者』に『できること』……?
難しくてわかんないけど、先輩は良いヤツだな!」
猿田は単純なので、持てる人は何かしてもらう必要はないんじゃないか?と思った。
しかし雑賀の考えを否定はしない。人それぞれだから。
猿田のスタンドはだいたい見せた。残っているのは細かいことだけだ。
見せただけでちゃんと説明していない部分もあるので、雑賀に正確に伝わったかは別の話だが。
「いや、そこまで多くないよ。
ちょうど先輩みたいにスタンド使いの情報集めをしているおっさんを見かけたくらいかな。
でも、その人も最近姿を見ないからどっか行っちゃったかもしれないな……」
思い出したのは『山百 次言』という男のことだ。
ただ今も活動しているのかわからないので匂わせるだけにしておく。
「でも学校にはけっこういるかもね。
寮暮らしなんだけど、寮で生きてる人形が出た!なんて噂もあったし。
学校じゃ喧嘩の噂も絶えないけど、スタンド使いのバトルだったりするのかも」
とはいえ、猿田が知っているのは別に雑賀だって知っていてもおかしくない噂レベルの話くらいだ。
460
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/04/03(水) 22:01:46
>>459
「くだらないとか要らないじゃなくて『難しい』か。
ふっ、猿田君……君の人となりはまだまだ分からんが、
一つだけ言っておくと……キミも十分、良い奴だ」
力あるものは傲慢になるものだ。
それはある種必然であり、必要でもあるのだが、
『持たざる者』にとっては災禍となるだろう。
そうあってはならないし、あるならば糺すべきだ。
「ふゥん……情報集めね」
(おっさんってことは、『霧島』達は無関係だろうな)
「ま、スタンド使いに『なりたて』なら……情報は欲しいもんだが、
ある程度集まったらむしろ、身を隠すようになっても不思議はないか。
大人ってのはただでさえ、やたらとしがらみが多い連中だしな」
故に、それよりはむしろ――――
「だから『学校』……清月の中なら、確かにもう少し見つけやすいかもな。
無い発想ってわけじゃーなかったが、猿田君のおかげで『補強』出来たよ」
「礼を言わせてくれ」
学内を積極的に調べまわっていなかったのには理由こそあるが、
今の状況であれば、無視しても構わない程度の理由だった。
「さて……用が済んだからってわけでもないが、そろそろぼくは行くよ。
人を待たせててね。……ああところで。
あんまり関係ないんだが、猿田君は『動画配信』ッてやつは見る方か?」
別れ際、ふと思い立った事を口に出す。答えがなんであれ、深くは気にしない。
461
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/04/04(木) 20:52:28
>>460
「ありがとう!言葉通りに受け取っておくね」
『わからない』という返事は馬鹿と受け取られる可能性もあったが、褒められた。
雑賀が皮肉を言っているようには見えなかったのでそのまま喜んだ。
「そうだね。もし寮生でないなら、僕の名前を出して勝手に出入りしても構わないよ。
どういたしまして」
「え、動画配信!?」
まったく意図しない方向から意外な話題が飛んできたので驚いた。
興味があるどころか……
「いやぁ……実はスタンドを使っているところを配信してお小遣いを稼ごうとして
それを咎められたことがあってさ。苦い思い出だよ。
もちろん見る方も好きだよ!」
バツが悪そうに告白した。
462
:
雑賀 王城『候補生』
:2024/04/04(木) 21:39:58
>>461
「はは、当然だろ。『皮肉』なら分かるように言うさ」
慇懃な笑みを浮かべ、そう返した。
「っと、何から何まで悪いな。
寮住まいのヤツも知らないわけじゃないが、
この件では、猿田君の名前の方が良さそうだ。
立ち入る時は遠慮なく使わせてもらうよ。
当然、名前に泥を塗るようなマネはしないさ」
うまい話には裏がある…‥こともあるが、
猿田という男に対しては杞憂だろう。
少なくとも利害の対立はそこに無いのだから。
「へえ! 意外と強かなとこあるじゃないか?
『怒られた』…………ってのは気になるが、
ま、『スタンドの世界』にも風紀はあるってことか」
「いや、深い話じゃあないんだが……
ちょっとした知り合いに、
動画配信で食ってるヤツがいてね」
本当に深い意味はないが、
『サポーター』を務めることへの報酬は、
単なる金銭の授受だけでなくとも良いだろう。
「『コヤシキコヤネ』って名前の『配信者』だ。
ぼくにはちょっとばかり合わない雰囲気の配信だったが……
まッ雑談だの人生相談だのが好きなら見てやってくれ」
ザッ
「それじゃあな、猿田君。
有益な協力の恩は、いつか必ず返すよ」
伝えるべき事は伝え、聴くべき事は聴いたので、その場を立ち去ろう。
463
:
猿田大輝『ザ・ライフライン』
:2024/04/04(木) 21:53:51
>>462
「ヘへ……親切な人に『そういうのやめた方がいいよ』って言われただけさ。
へぇ!『コヤシキコヤネ』……覚えておくよ。
スタンド能力を明かしてっていうんじゃなくて普通の配信者なのか」
正直に言うと雑談よりもパルクールの動画とかの方が好きだが、覚えておこう。
自分以外の能力者がどんなことをしているのか、興味はある。
「ああ、それじゃまた!」
自分も雑賀と別れ、寮へと戻っていった。
464
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/06(土) 12:31:37
とある喫茶店
桜パウダーによって
桜の香りがふわりと香るコーヒー
「人間って凄いよねー
果物の種を挽いて粉にしてお湯をかけて抽出しようなんて考える生き物
人間しかいないよぉ〜」
ははははははは
頭に鈴蘭が咲いた10歳ほどの少女がマスターと親し気に話をしている
そしてその隣で話しを聞いている
>>465
は?
465
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/07(日) 23:34:38
>>464
「マスター、私にはラッシーをお願いしますー。
あ、それとチーズケーキも」
そう言って隣りにいた涙音がマスターに向けて声を掛ける。
「お湯から抽出するというのは豆だけじゃなくて
お茶っ葉を使うものもあるわね。
紅茶とか、色々…」
そう話しかける。
なんとなく二人は会話をしているようだ。
どういう流れでここに来たのだったか…?
466
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/08(月) 22:38:01
>>465
マスター「ラッシーはプレーンとマンゴー
チーズケーキはベイクドとレアとスフレがありますがどうします?」
一言でラッシー、チーズケーキと言ってもいくつかの種類があるようだ
メニュー表にもそう書かれている
りん「うちも鈴蘭茶をよく淹れるんだけど
うち以外に飲んでくれる人がいなくて寂しいよ〜」
先に喫茶店に入っていたのは朱鷺宮だったようだ
朱鷺宮が入って来た直後にりんがやって来て、マスターとの会話が始まった
りんと朱鷺宮は初対面だが、マスターという共通の知り合いがいたので
何か一緒に会話をしていたのだろう
誰にでも気さくに話しかけられるりんの性格もある
朱鷺宮が先に入って来た割に注文はりんの後になってるのは非常に不可解だが…
467
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/08(月) 22:56:49
>>466
「マスターのメニューはとても美味しいので
ついもう一つ注文しちゃいましたよ。」
…説明的な口調で答える。
どうやらさっきの注文は追加注文だったらしい。
前のメニューは更に別のケーキだったようだ…
「なかなか迷いますねー。
うーん、じゃあマンゴーラッシーにスフレのチーズケーキでお願いします。」
そう言って楽しそうな顔をする。
「すずらん?
…鈴蘭って飲んでいいものでしたっけ…?」
彼女の言葉を聞いて首を傾げる。
そもそも鈴蘭をそうするという話は聞いたこともなく、
涙音からしてみれば妙な話に思えるのだろう。
468
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/09(火) 18:51:51
>>467
マスター「ありがとうございます
マンゴーラッシーとスフレチーズケーキ、お待たせしました」
よく冷えたマンゴーラッシーと
ふわふわで甘い匂いと、くどさを感じさせないチーズの匂いを漂わせるスフレチーズケーキが置かれる
りん「うちは好きでよく飲むんだけど」
「普通の人間が飲んだら毒だから…」
人類の歴史を振り返れば
かつては鈴蘭を薬として服用されていた事もあったのだが
それは昔の話だ
りん「あ、でもこの前、友達が鈴蘭酒を飲んでくれたけどちゃんと生きてたよ!」
嬉しそうに鈴蘭酒を飲んでくれた友達の事を話すが
話だけ聞くと殺人未遂だ
犯罪自慢か?
マスター「まぁ、コーヒーだって合法的な覚醒剤みたいなもんだしね」
コーヒーと鈴蘭を比べるのは適切なのだろうか…
469
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/09(火) 20:06:14
>>468
「どうもありがとうございます〜。
いただきます。」
差し出されたラッシーとスフレチーズケーキを嬉しそうに眺め、
涙音はほほえみながらチーズケーキにフォークを付ける。
「やっぱり毒…ですよね。
というか、普段よく飲んでいるんですか…」
どこか不思議そうな目をしながらりんをみる。
彼女の言い分ではまるで普通の人間ではないかのようだ。
「とはいえ…
よく飲んだりして、大丈夫なんですか?それは…」
とつぶやくが
「いやいや、ちゃんと生きてたとしても
そういうのを飲ませるのは危ないですって!」
ツッコミを入れるように彼女の言葉に鋭く返す。
「そりゃあコーヒーも飲みすぎたら危ないものですけど…」
なんとなく納得がいくようないかないような…
マスターの言葉を聞いてそこまで大変なことでもないのか?とも思えてくる。
「むぐむぐ…美味しいですね。ケーキ。」
470
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/10(水) 19:03:57
>>469
ケーキにフォークを入れると、ほとんど力を入れる事なく切る事が出来る
口に入れて少し噛んだだけで
ふわふわしたケーキはしゅわぁっと液体のように溶けてしまい
ちょっとだけとろっとした物を舌に残した
濃厚だが溶けてしまうとレモンの酸味でさっぱりとする
そこにほんの欠片程度だが、コーヒーの苦みと香りが感じられる
この申し訳程度のコーヒーが、ケーキの甘さ、チーズの旨味を引き立てている
>彼女の言い分ではまるで普通の人間ではないかのようだ。
りんの姿を見れば分かるが、確かに普通の人間とは違う
普通の人間には花は咲いていない
遠目から見れば、よく出来た造花のように見えるかもしれないが
隣で間近に見ると、鈴蘭の香りも漂わせていてどう見ても本物にしか見えない
これが造花だとしたらかなり精巧に出来た超職人業だ
>いやいや、ちゃんと生きてたとしても
>そういうのを飲ませるのは危ないですって!
りん「いやぁ〜、あれは飲ませたっていうか…」
朱鷺宮は知り得ない事だが、その件に関してはりんは悪くない!
あれはアリスちゃんが勝手に飲んだというか、正確には飲んでいないのだが…
りん「でもいつかアリスちゃん以外にも飲んでもらいたいなぁ…」
今現在、りんの鈴蘭料理を味わってくれたのは彼女一人しかいない
マスター「で、普通の人間にも食べられる鈴蘭料理を研究してるんだよね」
しおんちゃんにあやちゃんに…
もっと大勢の人達に家族(鈴蘭)を味わってもらいたい
それがりんの夢だ
471
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/10(水) 20:09:21
>>470
「うーん、マスターの作るスイーツは美味しくてたまらないですねー。
これはいっぱい食べたくなります。」
口の中でとろける味わいに思わず顔もほころぶ。
一度注文しているくらい美味しいのだろう。
そして軽くラッシーも口に含んでいく。
そしてちらっと頭の方に視線を向ける。
(あれは…やっぱり頭の飾りとかなのかな…)
先程から気になっていたらしく、たまにちらりと視線は頭の方に向く。
どう見ても本物にしか見えないが、多分花飾りか何かだろう…と思って
あまり積極的には聞こうとはしていないようだ。
「アリスちゃんですかー…その人大丈夫だったんでしょうか…
って、もしかしてあのアリス?」
聞き覚えのある名前を聞いて興味深げの表情を見せる。
おそらく以前、真夏のあの出来事の頃にあったことのある人物と同一ではないだろうかと考えている。
「鈴蘭は…元々毒がありますからね…
毒がすっかり抜けるような方法でもないと、料理として成立させるのは難しいでしょうね。」
少し腕を組みながら答える。
冗談のような話だが、りんは真剣に思える。涙音も少し真面目に考えているようだ。
472
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/11(木) 18:11:07
>>471
マスター「美味しそうに食べていただいて私も嬉しいですよ」
美味しそうに食べる朱鷺宮を見るとマスターの顔も笑みが浮かぶ
ラッシーにはマンゴーの果肉も入っていて、
大き目なストローで吸うと果肉が口の中に入って来る
しかし果肉はとても柔らかく、口で軽く圧せば簡単に液体のように潰れてしまう
マンゴーの味はマンゴーとしか言いようなく、他に例えようが無いのだが
とにかくかなり甘いマンゴー味だ
それだけ飲めば喉に絡み付くような、しつこい後味になりそうだ
だが、土台となっている甘さ控えめで、さらさらとした
ヨーグルトのようなラッシーと調和する事で、程良い甘さの喉越しの良いドリンクへと仕上がっている
>アリスちゃんですかー…その人大丈夫だったんでしょうか…
>って、もしかしてあのアリス?
りん「あのアリスって…どのアリスかな」
りん「うちの友達のアリスちゃんは、ほんとは明日美ちゃんっていうんだけど」
さらっと個人情報を漏出!
まぁ、そこまで重大な個人情報ではない…と思うのでどうか大目に見てほしい
>鈴蘭は…元々毒がありますからね…
>毒がすっかり抜けるような方法でもないと、料理として成立させるのは難しいでしょうね。
りん「でも毒は鈴蘭の美味しさの一部だからな〜
う〜ん…」
毒の成分そのものが旨味という食べ物はざらにある
ベニテングタケなんかがその代表だ
その美味さ故に食中毒を覚悟して毒を抜かずに食べる挑戦者は多い
鈴蘭をそれと一緒にして良いのかは疑問だが…
りん「でも人間って凄いよね〜
絶対食べられなさそうな物もあの手この手で食べようとするんだもん」
マスター「蒟蒻なんて、乾燥させてすり潰して石灰水と炭酸水を加えて
煮て固めて食べようなんて、狂気の沙汰でしょ
何考えて生きてたらそんな発想に至るんだよ」
りん「フグの卵巣の糠漬けも謎だよね、何で無毒化するのか分かんないのを食べるんだよ」
やや話が脱線していく二人だが
朱鷺宮が美味しそうに食べているのを見るりん
りん「あぁ〜それも美味しそうだねぇ〜」
473
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/11(木) 22:03:27
>>472
「ええ、それに…このマンゴーラッシーも
程よい甘さで爽やかに飲めますね。」
マンゴーラッシーの味も、自分が特に好む味である。
涙音はとても楽しい気分になっているようだ。
「明日美…『ユメミガサキアスミ』さんだとしたら私の知ってるアリスさんですねー。
サングラスをいつも付けてる子ですが、もしかしてそのアリスさんでいいですかね?」
お互いのアリスが一致しているならギリギリセーフに違いない。
涙音は、同じ人物が知り合いなのだろうと考えているようである。
「毒にも旨味成分が含まれるものがある、というのは知っていますが
とはいえ…食べる相手が倒れたりしないような代物じゃないと
色んな人に食べさせるのは難しいですね…」
と言って頷いた。
「もしかしたら…そういうふうな調理方法を試してみたら
多少は無毒化にできるかもしれませんね。
…まぁ確かに、無毒にしてまで食べようとした理由…とかは色々気になりますね。」
二人の会話に合わせて答えを返す。
最初にキノコを食べた人間を尊敬するとか、そういうタイプの話である。
「んー?」
そんな中、りんの視線が自分を食べているものに向けられていることに気づく。
「食べます?ちょっとだけ。」
そう言ってフォークをチーズケーキに向ける。
474
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/12(金) 19:52:50
>>473
りん「あーっ、そのアリスちゃんだよー」
ユメミガサキアスミ、通称アリス
いつもサングラスを付けている
そんな特徴のある人物が何人もいるもんか
2人の知人のアリスは同一人物で間違いないだろう
りん「おんなじアリスちゃんと知り合いなんて、世の中狭いもんだねぇ…」
>食べる相手が倒れたりしないような代物じゃないと
>色んな人に食べさせるのは難しいですね…
>もしかしたら…そういうふうな調理方法を試してみたら
>多少は無毒化にできるかもしれませんね。
りん「それなんだよねぇ、うちも色々試して毒見してるけど
普通の人間がどこまで大丈夫なのか分かんないしぃ…」
マスター「…いや、私を実験台のするのはやめてくれよ?」
>食べます?ちょっとだけ。
りん「良いの!?」
美味しそうに食べる朱鷺宮を見て
うちも頼もうかな〜と思っていた所にお裾分けの声が!
475
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/12(金) 21:49:11
>>474
「あー、やっぱりそのアリスさんですか!
私は…以前の真夏のクリスマスの頃に色々あって知り合いになりまして…
確かに…同じ知り合いがいる者同士というのも
なんだか面白いですね。」
感心するように答えた。
同じ町にいると、知り合い同士も増えていくのだろうか。
「まさしく毒見…ってなると
進んでやろうとする人なんてまずいないでしょうね…
…私もそれは無理ですね。」
人助けをすることは嫌いではないものの
毒見係などは流石の涙音もしたくはないらしい。
自分は運が悪いのでまず間違いなく当たる、と思っているのだ。
「いやー、チラチラ見られるときになりますね…
でもまぁ美味しいものは分け合ったほうがいいですし。」
そう言って差し出す。
「あ、でも全部はダメですよ。」
476
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/13(土) 18:56:35
>475
毒見というと
昔はフグの毒を研究するために罪人を実験台にしていた…という話もあるが
鈴蘭にはそこまでする価値はあるのだろうか
フグはその美味さを知られていたから、禁止令を破り命を賭して食われていたわけだが
その話は一旦置いておき
りん「ありがとう!」
頭の鈴蘭を犬の尻尾のように揺らし
差し出されたケーキに飛びつこうとする
りん「あ、えーっと」
食べる直前に動きを止めるりん
朱鷺宮の顔を見ている
君の名前を知りたいようだ
477
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/13(土) 21:15:30
>>476
果たして毒の談義が盛り上がった中
りんの視線を気にして、ケーキを少し分けてあげようとする涙音
「どうぞどうぞ。
結構美味しいですよ。」
頭にチラチラと映る鈴蘭を見ながら
楽しそうな表情を見せる。
「あぁ、私の名前は朱鷺宮 涙音といいます。
よろしくお願いしますね。」
と言って微笑んだ。
「えっと、そちらの名前はー…」
478
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/14(日) 18:34:20
>>477
はむっ
朱鷺宮の名前を聞くや否やケーキを頂くりん
りん「んぐっ、んぐ」
りん「うまぁ〜〜〜♪」
チーズケーキの美味さに顔を綻ばせる
マスター「新しく注文してほしいんだけどな…」
次いでコーヒーを飲み、一息入れる
りん「ありがとう涙音ちゃん」
りん「うちはりんだよ」
マスター「りっちゃん、りっさん、りっくん、りったん、りの字
りんのすけ、りんたろう…etc
色々呼び名があるな」
りん「あっ、何かお返ししなくちゃだよね?
どうしようかな…?」
479
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/14(日) 21:38:42
>>478
「あー、いっぱい食べないでくださいねー。
私もまだ全部は食べてないので…」
そう言って視線をマスターに向ける。
「美味しかったら注文してみたら
マスターも喜ぶと思いますよ。」
と、アドバイスするように応える。
「なるほど、改めてよろしくお願いしますね。
りんさん…いや、りっちゃんさん?
どんな言い方をすればいいのか…」
マスターから告げられた色々な呼び名を聞いて
なんやかんや悩み始める涙音。
だいたいはさん付けで呼ぶことが多いが、年下らしき彼女はどう呼ぶか…
「お返しですか?
うーん、でもそこまで気にしなくていいんですけどねー。
…まぁもらっちゃいましょうか。」
相手の厚意を無下にするのも悪いと思う。
なのでとりあえずどんなお返しをしてくるのだろうか、と楽しみになる。
(…毒入りのなにかとかだったらどうしよう。)
「あー、もちろん食べ物とか飲み物以外でもいいですよ。」
ちょっと気になったので補足をしてみる。
480
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/15(月) 18:13:52
>>479
りん「むふ〜♪」
一口だけ、一口だけだ
そのたった一口で口の中が幸福感に満たされるりん
全部食べたら蕩け切ってしまいそうだ
>どんな言い方をすればいいのか…
マスター「好きに呼べばいいんじゃないかな?」
なんなら今挙げられた呼び方以外にも
朱鷺宮が新しく渾名を付けてしまってもいいわけだ
>あー、もちろん食べ物とか飲み物以外でもいいですよ。
いくらりんでも、調整中の鈴蘭料理を人に食わせたりはしない…はずだ
りん「う〜ん…
じゃあ、これあげるね」
そう言って神社で売っているようなおまもりと思わしき物を出す
変わっているのは、おまもりに鈴蘭の絵が描かれている事だ
りん「幸福再来祈願のおまもりだよ〜」
マスター「あ〜、それ私も貰ったな
中身は確か…」
りん「うちの頭の鈴蘭をドライフラワーにしたやつだよ〜」
マスター「そうそう」
481
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/15(月) 22:22:41
>>480
「嬉しそうですねー…
なんだか見てると楽しくなります。」
実に美味しそうに食べるりんの姿を見て
微笑みかける涙音。残りはどのくらいなのかはチラチラ確認している。
「えーっと…それじゃありんちゃん…
で、いいですか?」
しっくり来るのはこれくらいだろうか。
ひとまず彼女の呼び方は決まったと思われる。
「ん、これはお守り…!」
差し出された鈴蘭の絵の書かれたお守りをじっと見る。
幸運再来祈願のお守りだというではないか。
「すごい!これはいい感じのお守りですよ!
どうもありがとうございます。大事にしますよ。」
そう言ってお守りを見て嬉しそうな顔になった。
どうやら幸運のお守りなど運気が上がりそうなものを好んでいるらしい。
482
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/16(火) 18:40:33
>>481
朱鷺宮が最初に食べた一口、りんが食べた一口
合わせて二口だが、体が小さければ口も小さいりんの一口は
朱鷺宮の一口よりも小さく、ケーキは半分も減っていない
りん「えへへ、そう言われると作った甲斐があったよ」
普通に考えて、体の一部が入ったお守りを渡されたら
「お前重いんだよ!」となりそうだが
頭の鈴蘭をただの飾りだと思っている朱鷺宮にはそうでもないのだろうか
りん「涙音ちゃん、あのね
良かったら連絡先交換しよ」
ただ喫茶店で少し話しただけの仲だが
たくさんの人間達と友達になりたいりんは
そんなちょっとした関係でも大切にしようとする
483
:
朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
:2024/04/16(火) 22:31:46
>>482
「ふむ、とても美味しそうで何よりです。
もう一回食べたくなってきました。」
そう言ってケーキをじっと見る。
もう一つフォークを渡してもらえれば、一緒に食べられるかもしれない。
「いえいえ、先程から聞いていると
鈴蘭がとても好きなんだな、と思いますよ。
これも、とても素敵です。」
そう言って渡されたお守りを見つめる
「ええ、もちろん…
構いませんよ。これでお友達、ということで。」
そう言ってスマホを取り出した。
このまま行けば連絡を取り合うことができるようになるだろう。
このあとも話が弾んでいくだろうか。
484
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/04/17(水) 18:02:50
>>483
マスター「おっと、これは気が付きませんで申し訳ありません」
じっとケーキを見る朱鷺宮へ新しいフォークを提供する
りんがフォークを返すというのもあったかもしれないが
フォークの使いまわしは衛生的にアウトだ
りん「ありがと、涙音ちゃん」
りん「うちは自然公園の鈴蘭畑に居るから、遊びに来てよ」
自然公園の鈴蘭畑
そこは少女の霊が出るという噂のあるホラースポットだ
朱鷺宮が知っているかは分からないが
りん「いつか涙音ちゃんにも
鈴蘭茶を飲んでもらえるように淹れ方を勉強するからね!」
マスター「殺害予告みたいだな…」
そんな話をしながら、時間はゆったりと過ぎていく
ある喫茶店の平和な日常の一幕だ
485
:
ペネロープ・ウィザースプーン『ハックスラッシュG4』
:2024/04/25(木) 19:07:31
ブオォォォォォ オォォオオオォォ
「み…水…」
フラ…フラ… フラフラ…
4月も中盤に差し掛かり半袖で過ごせる程の気温のある日、
ラテン系の外国人女性が駅前を歩いていた。
その足取りは覚束ない上、顔にも明らかに生気がなく、
『熱中症』に陥っているのは明らかであった。
バタムッ
女が前のめりに、倒れた。
486
:
『ザ・モーニングマウンテン』
:2024/04/26(金) 10:36:20
>>485
(遅レスとなりますが、よろしくお願いします)
>バタムッ
「んぉΣ わーっ! 大変っス 人が倒れちゃったっス!
救急車を連絡するっスよ、『木崎』くん!」
「その前に、横にして楽な体勢にしてあげないと。
あつっ…多分、日射病か熱中症だと思うよ」
「おおっ それじゃー、水をパシャッて掛けるっス!」
「あと、スポーツドリング。少しさっき戻った先にあったから
それと一緒に、お願い」
朦朧としている意識下の君は少ししてから仰向けにされて、幾らか冷えて
濡れたタオルが首回りや腕に入れられる感触を知る。
覗き込むように、少年と…お面を被った人物が見下ろしている。
ちなみに、お面はエルフっぽいキャラだ。フリー〇ンかも知れないし
ダンジョ〇飯とかかも知れない。お面の元ネタはともかく
どうやら君は快方されてるようだ。
『大丈夫(っスか)?』
同時に声を掛けられた…。
487
:
ペネロープ・ウィザースプーン『ハックスラッシュG4』
:2024/04/26(金) 14:20:41
>>486
「う…う……」
徐々に意識を取り戻し、
少年とお面を被った人物が視界に映る。
「あ、 あ あァあ………」
488
:
『ザ・モーニングマウンテン』
:2024/04/27(土) 10:32:13
>>487
(申し訳ありません。明日まで一日一レスの投下となります)
「おぉ! 気付いたっスか!
でも、まだ半分ぐらい虫の息って感じっス!
となると涼しくするっス! そりゃもー いっぱいっぱい涼しくするっス!!
ぬぉ〜〜〜〜!!! いざ!!! パワフル・タイフーンっスぅうう!!!」
ブンブンブンブンッッ!!
『ザ・ハイヤー』の精密スピードチェンジ!
それを行い精密度をD(下手)にしつつ獣の如く(スC)速さになり
朝山ことモーニングマウンテンの上着をめちゃくちゃに振り回す!
普通に仰ぐよりも滅茶苦茶強い風だ! 今日みたいに暑い日ならば
軽く仰いだ温い風より、突風程度の風の方が涼しさも、より感じる筈!
「大丈夫? スポドリ飲める?」
木崎は、朝山のする事には既に慣れ始めてるので。気にする事なく
スポーツドリングを介抱する女性の顔に当てる形で見せつつ
飲ませれるなら飲ませようと試みるだろう……。
489
:
ペネロープ・ウィザースプーン『ハックスラッシュG4』
:2024/04/27(土) 17:12:12
>>488
「ん…」
「ん〜」 「んー!」
木崎君から差し出されたスポーツドリンクを受け取り、
最初はゆっくりと口を付けるが、
徐々にペットボトルの角度を傾け口内に流し込む。
「ぷはあぁ〜〜〜ッ!!!生き返るうゥーーーーーッ!!!
いやァ〜〜〜〜ッ
電車賃浮かす為にと思って歩いていたけれど
やっぱり飲み物すらケチって歩いていたらそりゃあ倒れるってねぇ…」
「センキュー、ベリーマッチョすね。
よいしょ…」
倒れたまま木崎の両手を取り、感謝の意を表し、
ゆっくりと立ち上がり、
絶叫しながらスタンドに上着を振り回させている朝山を見る。
「あ、あのお気持ちはありがたいんだけれど、
その、なんていうか人目もあるのでもう大丈夫っすよ。
後、『二日酔い』で頭割れそうな程痛いんで、
気持ち、声のボリュームを抑えて頂けると……」
490
:
『ザ・モーニングマウンテン』
:2024/04/28(日) 10:21:18
>>489
「おーっ おねーさん、元気になったようで良かったっス!」
はしゃぎつつ、素直に悪の首領は無事に元気になったペネロープに喜ぶ。
一方、冷静に木崎は彼女の視点が朝山の『ザ・ハイヤー』を認めてるのと
その特に反応しない感じから、こう声をかける。
「お姉さんも、スタンド使い?」
「んっ? …あーっ、木崎君の言う通り、自分のザ・ハイヤーが見えてるっスね!」
「…スタンドで意識が失う前に何とかしたりとか
お姉さん、出来なかったの?」
木崎は、本当に不思議そうな感じで問いかける。
スタンドが視認出来るだけの彼からすると。何時もパワフル満点な朝山は
参考にするのは例外として。他の出会った二人や朝山と同じく候補生を
手伝ってるであろう二人も、幾らかしっかりしてる感じが見受けられた気がした。
だから、スタンド使いが軽はずみにぶっ倒れる事とかあるのか? と
純粋な疑問をぶつけるのだった。
491
:
ペネロープ・ウィザースプーン『ハックスラッシュG4』
:2024/04/29(月) 05:29:57
>>490
「『スタンド』って言うと『アレ』の事かい。
喉乾いたからって『アレ』で何ができるのさ。
自販機荒らしでもする?
見えないのをいい事にコンビニで万引きする?
スリでもすりゃあいいんすか?
こんな阿漕な使い方して、『マエ』が付くのなんてゴメン」
上着を振り回してるなーと思いつつも、
朝山の『ザ・ハイヤー』をまるで見定める様な目で眺める。
「それに『出し惜しみ』するモンでしょ。
こーいう『大事』なものって」
492
:
『ザ・モーニングマウンテン』
:2024/04/30(火) 12:30:03
>>491
(遅くなりました)
>喉乾いたからって『アレ』で何ができるのさ
「いや、お酒で酔っぱらう前に何とか出来たんじゃないかって話。
お姉さんの力がどんなのかって知らないから、何とも言えないけど
……例外はあるけど、スタンド使いってしっかり者の人が多いし」
スタンド能力は、色々だって朝山を除く他の二人から知っている。
だが、スタンド使いが大まかにしっかり者が多いなら、酒に呑まれる前に
自制出来るんじゃ? と素朴に木崎は思った故の疑問だ。
出し惜しみに、ついては反論は無い。
多分悪の首領が普段からスタンドを頻繁に出してるのは特殊だろうなと
子供の彼にも把握出来る事柄だ。
ペネロープの視点が、朝山のスタンドに向けられてるのに気づくと
機嫌よくモーニングマウンテンは告げる。
「私の『ザ・ハイヤー』は、この通り悪の首領に相応しく
幾らでも早く動かせるのが特徴っスよ!
それと、自分は悪の首領のモーニングマウンテンっス!」
「僕は…木崎 ゆだね。スタンドは、未だ出せないです」
遅れて、自己紹介してなかったなと子供二人は改めて名乗る事にする。
「それで、おねーさんはもう大丈夫っスか?
なんだったら行く所まで送ってあげるっスよ! 駅前で広告を出すついでっス!」
「……まぁ、僕も時間あるから大丈夫だけどね」
この二人の目的は、『駅前で告知』をする事だ。
そろそろ、『魔法使い』の為にも他の使い手の情報なりアイテムを
収集する為に、こちらで小さなイベントを開催するべきだと判断した為だ。
493
:
ペネロープ・ウィザースプーン『ハックスラッシュG4』
:2024/04/30(火) 17:53:54
>>492
「……『スタンド使い』だっけ?
その人種がしっかりしている人が多いって『自論』は『暴論』でしょ。
木崎君のそのお話って、
『インド人』は全員が『カレー』が好きです、
『アフリカ系』は全員が『ベース』が上手い、
『オランダ人』は全員が『マリファナ中毒』って、
言ってるようなもんじゃん。
しっかりしている人に『スタンド使い』が多いって言うのならば、
『内閣府』の役人連中は全員『スタンド使い』って事になるじゃんかよ。
まー、これも『暴論』だっちゅー話だけど…」
「言うなら」
「『こいつ大人のくせに自己管理もできねーのかよ』でしょ。
それを言われたら、私も言い訳できなくて「ぐぬぬ…」ってなっちゃうカナ」
特にこの後の予定もないので、
とりあえず『モーニングマウンテン』と名乗る少女についていく。
「『ペネロープ・ウィザースプーン』、無職。
『ペネロペ』でも『ペニー』でも『ペネ子』でも『ペネ美』でもお好きにどうぞ。
『広告』って君達、ちんどん屋さんみたいに何か『宣伝』するつもり?
……まさか、じゃないけど君達『ヤバい団体』だったりするの」
494
:
『ザ・モーニングマウンテン』
:2024/04/30(火) 19:32:23
>>493
「私はカレーは大好きっスよ! ベースもっスねっ。
マリファナは、詳しく知らないけど。このモーニングマウンテン率いる
悪の組織では取り扱わないっス! 麻薬 ダメ ゼッタイ! と言うもんっス!」
「うん、『ペネロペ』さんの話と脱線してるから、そこは軌道修正しよう、首領。
……うーん、僕、お金がちょっと学費の為に必要だから。
それ込みでスタンド使える首領と一緒に何でも屋的なのしようって事で」
『魔法使い試験』の為にも、門倉に支払う学費の為にも
何かと入り用だ。その為に、今は朝山『ザ・ハイヤー』の力は欠かせない。
「ペネロペさんの話は、うん、間違ってないよ。
……ペネロペさんは、どんなスタンドを持ってるの?
スポーツドリング代として、良かったら見せてもらっても良い?」
試験は、主に候補生である木崎が遣り遂げなければならない。
普段通りぼーっとした感じで、まかり通るなら、それでも良いが。
肝心の補助する首領が、良い意味でも悪い意味でも首領なので
ここ最近では木崎も、普段より足早気味に喋る事を心掛けている。
495
:
ペネロープ・ウィザースプーン『ハックスラッシュG4』
:2024/04/30(火) 21:06:56
>>494
「あッ」
能天気な返答を返す『モーニングマウンテン』を見て、
何かしらを察した様な声を漏らす。
「『物怪』を見せてくれってアホなお願いなんて、
普通だったら「は?」って突っぱねて断る所だけれども……
行き倒れていた所に『スポーツドリンク』を恵んで貰った手前、
ここで断ったら私が『耳っちぃ人間』ってなっちゃうじゃんか」
「今、まさに「ぐぬぬ…」って感じ。
木崎君中々に痛い所を突いてくるじゃん。はぁ」
『ズギュン』
嘆息を一つ吐き、観念した様な仕草を見せ、
自らに重ねる形で湾曲した剥き身の短剣を番えた人型スタンドを発現。
「出血サービスで『5秒』だけ顕在化してあげる。
『何が出来るの』とかの質問は一切受け付けないから。
はーい、イーチ…ニィー…サーン…」
496
:
『ザ・モーニングマウンテン』
:2024/05/01(水) 17:46:45
>>495
(長らく、付き合って頂き有難う御座います。
宜しければ、次で示させて頂きます)
>イーチ…ニィー…サーン
「よーん、ごー……と。うん、有難うペネロペおねーさん」
「うん、良かったスね! 木崎君、これで悪の実力も一歩高まったんじゃないスか?」
「…………うんん」
(正直、厳しい)
ペネロペには預かり知らぬ事だが……魔法使い試験を行ってる木崎には
呪文『スタンド名』 詠唱内容と魔法陣『スタンド使いの特徴及びコメント』が要る。
ペネロペのでは不足してるし。例え、進んで協力してくれていても
彼女の言う通り、スタンドを気軽に出してる能天気(朝山)な人物は
殆ど居ないだろう。期限も含めると、時間が足りない。
(でも……残り四人。やるしかない)
(――母さん)
「…………うん、有難うペネロペさん。色々と、為になったよ」
「さーて、それじゃー広告を張るっス!
目指せ! 悪の何でも屋大作戦っスよ!!」
ペネロペとの出会いを経験し、改めて木崎は心の中で目的に対して
決意を深める。朝山は、彼の真意を知ってか知らずか変わらぬ明るさの中で
駅前に広告を張るのだった……。
497
:
ペネロープ・ウィザースプーン『ハックスラッシュG4』
:2024/05/02(木) 14:14:24
>>495
『スゥン』
発現したスタンドを5秒きっかりで解除。
両手の平を見せて「お仕舞い」の仕草を作る。
「私の『ハックスラッシュ・ゴア・ゴア・ゴー・ゴー』を見せるのはここまで。
まぁ、これ以上は『企業秘密』って事で何卒よろしく」
駅でビラ張りに精を出す『朝山』達に別れを告げ、
ゆっくりと帰路へと着く。
498
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2024/05/04(土) 13:41:44
「えぇ〜、『シューキョー』?
キザシちゃんはそーいうの興味ないんですけどォーッ。
ママから『そーいうの』は断りなさいって言われてるんだけどぉー。
これから『教会』に行きませんかァー?ってイヤイヤぁ〜〜ッ」
連休中でそれなりに賑わった駅前で、
緑髪のパンキッシュな風体の女子高生が『アレ』な宗教の勧誘をされており、
困惑した様子を見せている。
「お、お助けぇ〜〜〜っ」
499
:
呉羽萌『バッド・アイデア』
:2024/05/12(日) 15:21:07
>>497
「ええ〜ッ?お話にならない〜?
ちょっと待ってぇぇ〜〜っ」
500
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/17(金) 22:15:09
昼下がりの大通りをシスターがひとり、
『リヤカー』を引きながらノタノタ歩いている。
「星見町のみなさま、こんにちはぁぁ〜〜……
パン要りませんかぁぁ〜〜……?
今ならこのパンぜぇ〜〜〜んぶ無料ですぅぅ……」
許可証の貼られた荷台には、
個包装された『菓子パン』が山盛りに積んであった。
おもちゃのラッパまで携えた姿はさながら、
一昔前の豆腐屋の『引き売り販売』のようだ。
プヒー (ラッパの音)
教会のボランティアの一環で、
提携する『B型事業所』から余剰のパンを引き取り、
困窮世帯に無料で配る活動をしている。
ふだんは教会や福祉施設のそばで配布しているのだが、
今回は宣伝(と懲罰)も兼ねて
ひとりで大通りを回ることになっていた。
「あと……
他人には見えない『不思議な力』をお持ちの方ぁぁ……」
「もしいらっしゃいましたら、
どうかわたくしの話を聴いてくださぁぁ〜〜い……!」
ペヒー (ラッパの音)
しかしあまりにも見た目がちんどん屋すぎるのか、
それとも客引きの文句があやしすぎるのか、
集客は芳しくなかった…………まあまあ無視されている。
プペプヒー (ヘルプミー)
501
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/18(土) 16:38:28
>>500
「だーれも欲しくないなら、
私がもらうとしようかねぇ。」
怪しい雰囲気に誰も近寄らないなか、
ふと近寄ってくる誰かの姿が見える。
「ちょっと、そこの人」
声をかけてきたのは目付きの悪い女性だ。
茶髪にオッドアイ、それと改造したようなシスター服をしている。
「おいくら?これ一つで」
そう言ってパンを指さしている
502
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/18(土) 21:10:11
>>501
(ヨハネ様)
ポヒー ポヒー
「……えっ!? は、はい!」
あまりにも声かけられなさすぎて
魂半開き状態でラッパをプープー吹いていたが、
突然の声掛けでハッと我に返る。
「ええっとぉ、事業所からの引取品の慈善配布なので、
これぜぇぇ〜〜〜んぶ『無料』ですぅぅ……
常識の範囲内で、ご自由にお取りくださぁぁい……」
あわてて積荷の前で両腕を広げるありや。
(品揃えはオーソドックスで、定番の甘系パンから
具材ありの惣菜パンまで一通りあった)
「……んんっ……?」
パチクリ
そこであらためてヨハネの衣装をみとめた瞬間、
ダウナー気味だった表情が、
夜明けのようにぱぁぁ〜っと明るくなる。
「……まぁまぁまぁまぁ……!
よく見たら、『お仲間様』ではありませんかぁぁ……?
教会の外のシスターとお会いしたのは初めてですぅぅ……!」
「初めましてぇぇ……わたくし、
山間の『ほしあかり聖心教会』につとめるシスターの、
マガチ
『真雅致 ありや』と申しますぅぅ……」
ペコォー
初見の宗教人には教区とか宗派を
最初に名乗るとよいと習ったので、それに従って頭を下げる。
(『聖心』の名付けは主にカトリック系であることを示す)
503
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/18(土) 22:17:44
>>502
「こんなにたくさんあって全部タダだなんてねぇ。
全く…フードロスってやつかぁ。
まぁもらっておくよ。」
そう言ってゴソゴソといくつかのパンを物色しては
持っていたカバンにどんどんと入れていく
「流石に高級そうなやつはないか…ローストビーフとか」
と言いつつも詰め込んでいく
そして顔を上げると、急にテンションの上がったありやを見る
「…ああ、同行の人だったのね。
てっきりその格好…同情を引くためのコスプレなのかと思って。
…失礼なこと言ってごめん。」
何気にひどいことを言いつつも彼女に頭を下げる。
「えーと、マガチさんね…よろしく。
私は町外れの教会の懺悔室担当シスター。
名前は『鷲津ヨハネ』よ。」
そう言って顔を上げる。
「しかし、私一人じゃなんともなさそうね。このパンの量は」
他に来る人はいないのかと、ちらりと周りを見る。
504
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/18(土) 23:20:58
>>503
(鷲巣様)
「『鷲巣ヨハネ』様!
『ヨハネ様』!
まあ、なんとすてきなお名前でしょうぅぅ〜〜……!
ご両親はとても敬虔なお方だったのでしょうねぇぇ……」
>「てっきりその格好…同情を引くためのコスプレなのかと思って。」
「うぐぅぅッ…… (悶絶)
いちばん気にしているところを最速で突かれましたぁぁ……
鷲巣様、初対面の相手にも容赦しないタイプぅぅ……!」
「ですが……『懺悔室』担当であれば、
鷲巣様のご教会もきっと規律正しい『カトリック系』……」
「それなのにその『出で立ち』ですから、
わたくしとはやっぱり、真の意味で
『お仲間』のはずですぅぅ……」
鷲巣の『改造シスター服』と自分の安っぽい修道服を
順番に指で示しながら、いたずらっぽく微笑む。
「う〜〜ん……まだ鷲巣様にしか
引き取っていただけておりませんからねぇぇ……」
「まあ余ったら余ったで、その時はわたくしが責任を持って
処理させていただきますぅぅ……(笑顔)」
「それに……見た目ほどの量はないから、
たぶん大丈夫だと思いますよぉぉ……」
『ブブブブ……』
ふと……眼前のどこかから、
虫の羽音が聴こえはじめる。
505
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/19(日) 10:57:43
>>504
「…確かに両親は敬虔なタイプではあるね。
私はそう…手伝いを主に行っていると言うか…」
そう言って頭をかく
「販売の仕方のせいでそう思っちゃった感じだから、
まぁ気にしないでいいよ。」
どこか気を使うようなセリフである
「うーん、心の意味でお仲間というと…
あんまり真面目にやってないとかそういう?」
彼女が指さした先がなんとなくどういうことを示しているかがわかった気がした。
だとすると、ありやも同じようにさほど真面目に仕事をしていないというのだろうか?とヨハネは考える。
「…こんだけの量を自分で処理するってのも大変じゃないかなぁ。
3食パンで済ませるくらいのように見えるけどねぇ。」
そう言いつつ、パンを一つ取り出して食べようとする。
その時
「…なんかうるさいね。」
虫の音がする方に軽く目を向ける。
506
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/20(月) 00:22:52
>>505
(鷲巣様)
口にしたパンの出来は『ふつう』だ。
過不足のない平均点の味がする。
「う〜〜〜ん、上げ底しているとはいえ、
やっぱりちょっと多いですかねぇぇ……?」
「では、残った分は知り合いの方に
すこしずつお配りしてみますぅぅ……」
何気ない応答だが、ヨハネには
それが『嘘』だと分かった。
「それにしても……
ご両親様『は』……ですかぁぁ……。
なるほどぉぉ〜〜……」
反骨的なヨハネの格好と合わせて、
彼女の『背景』をいろいろと想像させる助詞だ。
顎先に指をあてて、慎重に相槌を打つありや。
「あ……はいぃ……
『不真面目』というか『反発的』と言いますかぁ……
わたくしも最初はそのつもりで
『お仲間』と申し上げたのですがぁぁ……」
「えへ……」
「どうやらわたくしたちの共通項は、
『それ以上』だったみたいですねぇぇ……」
頬に手を当てて微笑むありやの瞳に、
きらきらと広がっていく喜色の光が見てとれた。
「えへへ……」 「嬉しいぃ……」
くぐもった羽音の残響は、
リヤカーのどこかから聴こえてくる。
507
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/20(月) 20:20:45
>>506
「上げ底してるんだねコレ。
本当に…」
と言ってチラチラと彼女の眼を追う
「ふぅん、その知り合いってのは…
どちら様なのか気になるね。」
と言ってじっとありやを見つめる。
本当にそんなのはいるのだろうか、という興味からだろうか。
「まぁ、ね。
両親もそうだし、お兄ちゃ…兄貴もなかなか厳格な人だよ。
その点でいうと私はどうしようもなく不真面目なんだ。
まぁ多分懺悔なんて聞きまくってたせいじゃないかなぁ」
自分の持つ特技、目の動きで嘘かどうかわかるというのもあるのかもしれない。
「確かに。思ったよりも共通点が多そうだね、お互いに。」
少し親近感が湧いてきたのは事実だ。
隠し事はありそうだが
(ま、そこはお互い様かな)
その嬉しそうな表情はどうやら嘘ではなさそうだ。
…やがて虫の羽音と思わしきものはリヤカーから聞こえてきた。
「……さっきからリヤカーから虫みたいな音が聞こえてくるけど」
と言ってじっとリヤカーを見る。
「まさか、パンの中に紛れ込んだりしてない?」
508
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/20(月) 23:45:23
>>507
(鷲巣様)
「え、え〜っとぉ……」
「きょ、教会のみんなで分け合うとかぁぁ……」
人差し指をくるくる回し、視線が左上に泳ぐ。
……『嘘』だ。
(しかしこれはヨハネの『ワザ』がなくとも
バレバレだっただろう)
「ううっ、わかりますぅぅ……
厳格なお方のそばで育ちますと、
どうしても『息抜き』が欲しくなりますよねぇ……」
頬に手をあてて同調のポーズ。
(これは100パー本音だ)
「あっ……では鷲巣様、ご家族様の分も
お持ち帰りになるのはどうでしょうぅぅ……?」
ヨハネの口ぶりから家族仲は良好だと判断し、
ずいずいっとパンを勧めるありや。
だがそれに続くリヤカーへの指摘を受けると、
その笑顔が一瞬だけピタッと固まる。
「えっ……」
「えへっ……」
「こ、このパンはぜんぶ運ぶ前に
ちゃ〜〜〜んと検品してますよぉぉ……」
「虫みたいな音がするなんて、
まさかそんなぁぁ〜〜〜……」
『嘘』だ。
羽音は荷台の『底』から聴こえる。
すなわち、山と積まれたパンに隠された『底』だ。
509
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/21(火) 00:05:47
>>508
「教会のみんなでねぇ。
そもそも分け合えるならここで配るかねえ」
なんともわかりやすい隠し方だ。
果たして彼女にはこのパンを消費するあてがあるのだろうか…
「確かにね。
お硬いのはなんだか苦手なのよね。それにあの人達は…
嘘つかないのが逆に気味が悪くって。」
ちょっと含みのある言い方をしながらヨハネは少し目をそらす。
このようなワザを持っているからこそ、どこか疎外感を感じているんだろう
「一応もらっておくよ。
…とりあえずこのリアカーの問題を解決してから。」
と、改めて視線をリアカーに向ける。
「運ぶ前に検品してたとして、
そのままリアカーで運んでるうちに変なのが紛れ込んだんじゃないかなぁ。」
そう言ってじっと『底』に視線を向ける。
「変な虫入りのパンを食べたなんてのは
私もゴメンだからね。」
ヨハネはパンをかき分けながら底を確認しようとする。
一応直接手を突っ込むことを考えたが、物によっては危険かもしれないので遠慮している。
510
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/21(火) 14:25:26
>>509
(鷲巣様)
「『嘘をつかないのが逆に気味が悪い』……?
ええっとぉ、それはどういう―――」
「って、あぁっ、ちょっとお待ちをぉ……!」
おもむろにパンの山をかき分けるヨハネに
ありやから弱っちい抵抗の声があがるが、
そのまま荷台の底へと視線を通す。
パンとパンの隙間から光が差し込み、
山の底に隠された『羽音』の根源を捉える。
『ブ』
『ブブ』
『ブブブ…』
闇の中に見えたのは、巨大な赤い『複眼』の群れ。
わずかな一瞬、闖入者を見上げる羽虫たちの瞳と
ヨハネは目があった――気がした。
『 フッ 』
だが次の瞬間、瞬く赤光は霧と消え、
ヨハネの視界に映るのは無明の空白だけになる。
まるで神隠しのように……
今までたしかにそこにあった質量が、
とつぜん彼方に連れ去られる消失感。
そうして宙空に一瞬だけ浮かんでいた無数のパンが、
やっと重力を思い出したかのように
一拍遅れでヨハネの手の上にどさどさ降り注ぐ。
「……」
「えへ……」
「わたくしと鷲巣様の、
もう一つの『共通項』……」
リヤカー越しにヨハネに微笑み、
荷台の縁に手をついてその顔を近づける。
「鷲巣様も、『不思議な力』を
お持ちだったんですねぇぇ……」
「嬉しいですぅ……」
ヨハネを見つめる歓呼の瞳の中に、
『嘘』は何一つ含まれていなかった。
511
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/21(火) 17:54:58
>>510
「あぁなに、こっちの話ですよ…と。」
嘘をつかないのが逆に気味が悪い。
その言葉に対しての疑問はなんとなく言葉を濁しつつ、
パンの山の底へと視線を向ける。
「…やっぱりハエが…
…って、こっちが見えてる?」
なにかこちらを伺うように自分を見たような気がした。
が、その瞬間…
フッと、その羽虫の姿が消えてしまった。
「…っと、これは…?」
先程までかき分けていたパンは崩れ落ちていく。
一体何があったんだろうと、視線をありやへと向ける。
「…共通項…
なるほどね、これが『不思議な力』ってことか…」
そう言って手をパンの山から引き抜いて答える。
「先程の『虫』はスタンドだった…ということね。
スタンドが発する羽音はスタンド使いにしか聞こえない…
そして、虫がパンの中に紛れ込んでいたりしたら、それを放ってはおけない。
だから確認したくなると…」
どこかニヤつきながらヨハネは答える。
「よくできた判別方法だね。」
512
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/21(火) 23:18:02
>>511
(鷲津様)
「うぅ……はいぃ……
鷲津様、なんと器の大きいお方でしょうぅぅ……」
「なのにこんな風に引っかけるような真似をして、
申し訳ありませぇぇん……
ご無礼をお許しくださぁぁい……」 ペコォー
実を言うと……
いちいち出したり仕舞ったりするのが面倒だったから
出しっぱなしにして上げ底に利用してただけで、
こうして判別法になったのはマジに『偶然』なのだが――
評価してもらえるのに越したことはないので
黙って『すべて思惑通り顔』をするありや。
(しかしヨハネにはバレバレだった)
「わたくしにとっての『主の賜物』――『スタンド』。
あるいは『魔法』、『奇跡』、『御加護』……
その呼び名は人それぞれだと思うのですがぁ……」
「ともかく鷲津様も、わたくしと同じ『特別な力』を
お持ちの方だとお見受けしますぅぅ……」
胸の前で両手を合わせ、
真剣な瞳でヨハネを見つめる。
「実を言いますと、わたくし……
とあるお方をお助けするために、
同じ『力』を持つお仲間様を探しておりましてぇぇ……」
「あのぉ……どうかお話だけでも
聴いてはいただけないでしょうかぁ……?」
おなじシスター同士、互いに慣れ親しんだ
祈りのポーズで請願する。
少なくとも今のところ、そこに『嘘』は見出だせない。
513
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/21(火) 23:38:22
>>512
「別に気にしなくって良いよ。
こういうふうに裏を書かれるのは久しぶりの感覚だからね」
ヨハネは悪い気分ではなさそうだ。
「…ま、そういうことにしておこうか。」
計算づくではなさそうだと、なんとなく目を見てわかる。
いい気分になっているようだから余計なことを言わなくていいか。とヨハネは思った。
「なんと言えば良いんだろうね。コレを神の加護というのか
あるいは魔術か守護霊か…」
「まぁ私のスタンドは虫とは違うけどね。」
彼女の真剣な眼差しを見ながら答える。
「お助けするために?
それは…そっちのスタンド能力では不足なの?」
そういってありやを指差す。
「…お話は聞いてもいいけど…
力になれるかどうかはわかんないね。」
どんな内容かによる。そうヨハネは考えた。
自分のスタンドのできることは眼を盗むことだ。
超常的ななにかなどと言ったことはできない。
514
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/22(水) 11:03:24
>>513
(鷲津様)
「あ、ありがとうございますぅぅ……!
(うぅっ、鷲津様かっこいぃ……!)
では、お話させていただきますねぇぇ……」
コホン
「わたくしの友人に、わたくしたちと同じように
市井の人々の『手助け』をしている方がおりましてぇぇ……」
「その方がいまお手伝いしている人物が、
とある『試練』を与えられている真っ最中
なんだそうですぅ……」
「彼女いわく、その試練を乗り越えるためにはぁ、
同じ『力』を持つ方々――『スタンド使い』の皆様に
なるべくたくさんお会いする必要があるんだとかぁ……」
「それでわたくしも……この『賜物』で微力ながら
力添えさせていただいたのですがぁ、
解決にはまだ有志のご協力が必要なご様子でしたぁぁ……」
説明しながら、あれっ……?
と内心で小さな違和感を感じはじめるありや。
これって……
客観的に見たらアレでは……?
マルチとかあやしいセミナーの
誘い文句と同じでは……?
「そ、それでぇ……
え、え〜〜〜っとぉぉ……」 アセアセ
「と、ともかく、そ、その方は、
すごぉ〜〜〜くすごぉぉ〜〜〜〜く善いお方なので!
会ってみて、実際にお話だけでも聴いていただきたいんですぅ!」
ち、違うのに……ッ!
『コヤコヤ様』は『そういう人』じゃないのにぃぃ……!
なんか説明すればするほど
墓穴にハマっていってる感じがするぅぅ……!
あやしさ満点の説明をフォローすべく、
わたわたと身振り手振りで
懸命に誠実さをアピールするありや。
その必死で幼稚な姿勢が、
ヨハネの『眼』にはどう映るか……
確実に分かることがあるとすれば、
ありやの話には一片の『嘘』もないことだけだ。
515
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/22(水) 18:54:34
>>514
「ふむふむ、手助けをねぇ…」
そう言って少し頷いた。
彼女が言うにはその人物は『試練』のためにスタンド使いが必要なのだというが…
「試練ってのはよくわからないけど、
要するにそれはスタンド使いに会う必要があるってことなわけね。」
「で、解決のために力が必要であると…
それで…」
じーっとありやの表情を見ながら考える。
「まぁとにかくお力をお貸しください〜ってことでいいのかなぁ?」
彼女の表情を見ながら少し楽しそうに答える。
「…今の話は、すべて本当ということでいいのかしらね?
その人はどのようなお方かしら?」
彼女の言葉に嘘はない。それは『眼』を見ればわかる。
そして、『その方』というのも悪人というわけでもなさそうだ。
断る理由がないが、もうちょっと聞いてみたくなった。
516
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/23(木) 00:01:00
>>515
(鷲津様)
「そう……! そうなんですぅぅ……!
ぶっちゃけ『試練』だかの詳細については、
わたくしもよくわかっておりませぇぇん……!」
お手上げぇ〜のポーズをしながら、
穴だらけの内情を素直にぜんぶ吐露するありや。
「挑戦していらっしゃるのがどういうお方なのかも、
実はぜぇ〜〜んぜん知らないんですぅぅ……」
自分がだれかを説得する側になって、
初めてその難しさを知る。
ヨハネが抱いている疑問は、
あのとき自分が抱いていた疑念とまったく同じだ。
だからこそ同時に理解できた。
あのとき自分の説得に臨んだ『彼女』の気持ちとは、
まさしくこういうものだったのかと。
「わたしが実際に会ったのはその方ではなく、
その方を助けようとしている人だけ……
ですがぁ……」
「その人……『コヤシキコヤネ』という人物は、
とても『誠実』で『公正』なお方だと、
わたくしは思いましたぁ……」
「わたくしに話したことが
仮にすべて『嘘』だったとしても、
別に騙されてもいいかなと、
そう思えるくらいにはぁ……」
「公正さのために、
『遠回り』を選べるようなお方だと――
わたくしはそう、信じておりますぅぅ……」
あのとき、彼女は『お悩み主』を信じたいと言った。
今の自分も同じだ。『コヤシキ』を信じたい。
そういう相手であることをヨハネには伝えたい。
「…………すみませぇぇん……
鷲津様の疑問に対して、なんのお答えにも
なっていないかもしれませんがぁぁ……」
「…………鷲津様のお力を、どうかその方に
お貸ししてはいただけないでしょうかぁぁ……?」
祈るようにヨハネを見返すありや。
その『眼』にどんな意図を読み取るかは、
ヨハネに委ねられている。
517
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/23(木) 16:37:35
>>516
「ふぅん…詳細がよくわからなくても協力をするつもりになったってことね…
知り合いでもなく…そのへんはさすがシスターさんってところかしら?」
彼女の言う言葉はどうやら嘘はなさそうだ。
不真面目そうに見えるが、そのへんはシスターらしさを感じるものである。
「なるほどなるほど…
あなたは、相手の目的が何であれ叶えてあげたくなったということね。」
「それはあなたにとっての信念と言えるかもしれないわね…」
そう言って頷いて見せる。
ありやが真剣になんとかしたいと考えていることがよくわかった。
(こういう時は、相手の目が分かることがありがたくなるわね。)
少し笑いながらそう考える。
「…よーーーくわかったわ。
そういうことなら…」
そう言って顔を上げる。
「協力、してもいいわよ。
その人のことはともかく、あなたのやりたいことを叶えたいからってことで。」
518
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/23(木) 21:54:49
>>517
(鷲津様)
>「ふぅん…詳細がよくわからなくても協力をするつもりになったってことね…
> 知り合いでもなく…そのへんはさすがシスターさんってところかしら?」
「……えへ」
「それはどうやら……」
>「協力、してもいいわよ。
> その人のことはともかく、あなたのやりたいことを叶えたいからってことで。」
「『お互いさま』……みたいですねぇ……」
自分とヨハネを交互に指差しながら、
穏やかに微笑み返す。
「『そのへんはさすがシスターさん』ですね……?
えへへ……わたくしたち……」
「考えることは一緒みたいですぅぅ……」
ニコ〜〜〜〜
態度や格好がどうであれ――
われわれは結局のところ『シスター』なのだ。
市井の人々に寄り添いながら、
苦しみを分かち合うべく祈り、生きている。
その姿勢こそが、わたしたちを結ぶ
最大の『共通項』だと信じている。
「ありがとうございます、鷲津様ぁ……
あなた様のご厚意に、
心より感謝申し上げますぅぅ……」
ペコォー
「ではぁ……さっそくご本人に
連絡してみますねぇぇ……」
スマホ(画面バキバキ)を懐からとりだすと、
指をとんとん弾ませて
『コヤシキコヤネ』にメッセージを送る。
(⇒ ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688977700/147)
519
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/23(木) 23:07:17
>>518
「それは、確かにね。
何だかんだで人助けをしたくなる…ってね」
ヨハネ自身も不真面目な人間だ。
酒が好きだし肉料理だって好む。祈りを捧げるなんてこともあまりしない。
だがそれでも、人のためになることをしたいという気持ちだけは『シスター』と言えるのだろう。
「まぁ、その人とは顔を合わせることになりそうよね。
あとはいい返事がもらえると良いな」
そう言って返事が来るのを待つ。
(にしても、そのスマホは大丈夫なんだか…)
520
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/24(金) 14:27:20
>>519
(ヨハネ様)
「えへへ……そうでなければわたくしたち、
とっくに修道服など脱いでいますものねぇぇ……」
「……良ければこんど、鷲津様の教会に
ごあいさつさせてくださいぃ……」
「鷲津様のご家族の皆様とも、
ぜひお話をしてみたいですぅぅ……」
パシャ
それから現在地を伝えるべく、
周囲の街並を撮って送信するありや。
「あっ……」 ピコン
「その方……『コヤコヤ様』なんですがぁ、
今こちらに向かってるそうですぅ……」
「たぶんもうすぐ着くはずですのでぇ、
もうちょっとだけお待ちをぉぉ……」
「何でしたら鷲津様ぁ、
そこの喫茶店なんかに入られて
お待ちいただいても良いかもしれませぇぇん……」
スチャ
そう言うと、ありやは玩具のラッパを口にあて、
プオ〜プオ〜と不格好に音を鳴らし始める。
(狼煙のかわりか?)
521
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/24(金) 20:15:16
>>520
「そうだねぇ、もしも修道服を畳んでたら…
……ま、思いつかないね。そのもしもは」
そう言って軽くニヤついて見せる。
「別に構いやしないけどね。
ウチの教会は結構『おかたい』ところだから、
あなたにとっては窮屈な場所になるんじゃないかねぇ?」
「それでも良ければ、いずれ誘ってあげてもいいけど。」
同じ不真面目どうし、なんとなく気が合うのか少しその話し方は楽しそうだ。
意地悪そうな言い方の中にも同類と出会えた嬉しさのようなものが感じられる。
「もうすぐその人が来るんだねぇ。
それなら立ちっぱなしで待つよりはそのへんでのんびりしたほうが良いかな。」
そう言って近くの喫茶店に目を向ける。
「せっかくだからついでになにか食べに行くとしようかね。」
そう言ってラッパを吹き鳴らす彼女を見つめた。
なにをやってるんだろう、とか思ってそうな顔だ。
522
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/25(土) 13:14:48
>>520
(ありやさん)
>>521
(ヨハネさん)
『そいつ』が着いたころ、二人のシスターがどう過ごしていたかは分からない。
まだお店を決めかねていたところに追い着いてきたのかもしれないし、
もうすでに『喫茶店』の中にいて、そこに合流したのかもしれない。
どちらにせよ――――――――
「ごめんなさ〜いっ、おまたせしましたあ〜っ」
トットットッ
第一声は『待たせたこと』への謝罪ということで同じだ。
ハァ ハァ
肩で息をしていて、頬は上気しており、
ツインテールにした髪はやや乱れている。
それなりに急いできた事は間違いない。
「ありやちゃんのラッパに呼ばれて飛び出てこ〜んこん!
はじめましてっ。あたし『コヤシキコヤネ』!
『コヤコヤ』って呼んでくれたら嬉しいで〜す」
クイクイ
それでも閉じたように細まった瞼は笑みのアーチを描き、
両手の三指をくっつけ小指と親指を立てる、キツネのサインでご挨拶。
「こないだぶり〜ありやちゃん〜〜!
さっそく呼んでくれてありがとうね! コヤコヤすっごく嬉しいこん〜!」
『ヨハネ』に挨拶を済ませたあとは、『ありや』に声をかける――――
そこまで済ませてから、二人の反応を待つ。
ちなみにここがお店なら声はもうちょっと落とすし、
通路に立ってると邪魔なので、自己紹介はちゃんと着席してからやるだろう。
523
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/05/25(土) 15:11:10
>>521
(鷲津様)
「うっ……たしかにぃ………」 ピュロロー
同類らしきヨハネの気安な態度と格好を見て、
なぜか自分も受け入れてもらえる前提でいたが、
ふつうに考えたら…………だめかも……。
「で、ではぁ……
鷲津様にお誘いいただける時までに、わたくし、
ちゃんとしたシスターになってみせますぅ……!」 プオー!
ふんすと胸を張って玩具のラッパに気炎を吹き込むと、
安っぽい音色が旗印のように立ち上がった。
そうこうしているうちに、やがて通りの先から
こちらに近づいてくる人影を見つける。
「あっ……来ましたぁぁ……!
あの方ですぅぅ……!」 プオプオ!
待ち人の到着を、指先と吹鳴でヨハネに示す。
だが喇叭音は必要以上に耳目を惹いたのか、
配布品に気づいたと思しき通行人たちが、
ぞろぞろとリヤカーの周囲に集まりはじめていた。
>>522
(コヤコヤ様)
「こ、コヤコヤ様〜〜〜!
お待ちしておりましたぁぁ〜〜〜!」 プピ〜
「こちらこそ、お役に立てて嬉しいですぅ……!」
駆け寄るコヤシキにぶんぶん手を振り、
路上で笑顔の合流を果たす。
その背後には、奉仕品のパンが積載された
教会のリヤカーが停められている。
(たぶんこれを放置したまま入店はできないのだろう)
「こちら、今回ご協力を申し出てくださった
シスター仲間の『鷲津ヨハネ様』ですぅ……」
コヤシキの息が落ち着くのを待ってから、
隣に立つ修道服の人物を紹介するが……
ワイワイ
ザワザワ
気づけばリヤカーの周囲には、
若干の人だかりが生まれつつあった。
「あ……あのぉ……」
「す……すみませぇぇぇん……!
調子に乗ってラッパをプープー吹いてたら、
ふつうに人が集まってしまいましたぁぁ……!」 ビエエエ
「わ、わたくし、この方たちへのパンの配布を
済ませますのでぇ、おふたりとも、
先にお店に入っててくださいぃぃ……!」
万歳お手上げで目を回しながらも、
ヨハネが視線を向けた喫茶店を指差す。
524
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/25(土) 16:55:15
>>522-523
「まぁ、お互いに良いシスターになれたらいいわね。
良いってのがまたわからないけれどもね。」
そう言って軽く頭を掻いて見せる。
と、ここで声は聞こえてくる。
「おっと、あの人がその…
コヤさんとか」
そう言って視線はコヤシキの方へと向かう。
「どうもはじめまして。コヤシキさんとやら。
…いや、コヤコヤさんね。」
彼女の言葉を聞いて、訂正して愛称で呼び始める。
「私の名前は鷲津ヨハネ。
…まぁ、名前は好きに呼んでいいよ。
変にならなければね。」
と言ってよろしく、と言いたげに手を振った。
「…あぁ、ここだとちょっと視線が集まるわね。
まぁお陰でパンを譲れるんじゃない?
そのパンを捌けるといいね。」
そういうと視線をお店の方に向ける。
「じゃあコヤコヤさん?
一足先にこっちはお店に入ろうか?」
と言って喫茶店を指さした。
525
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/25(土) 17:30:04
>>523
(ありやさん)
>>524
(ヨハネさん)
パンの積まれたリアカーに、二人のシスター。
なんとな〜く状況を理解して、内心の感謝が深まる。
「わおわおわお、ごめんねえ〜お待たせしちゃって!
あ! いいの? あたし手伝……んん〜ん。
教会(おしごと)のお勤めかあ!
じゃあ、変に手伝うとこんこんちきになっちゃうねっ」
「ありやちゃん!コン気強〜く頑張って〜!
あたし達、中でかわいく待ってるからあ!」
『ヨハネ』が手伝う様子を見せないということはきっと、
『ありやが配る事情がある』のだろうと思ったし、
そうでなくとも、ここでヨハネを待たせる方が失礼だろう。
お礼は、もっと別の事でした方が良いはずだ。
「っていうわけで! よろしくねえ、ヨハネちゃん。
もしコヤコヤって呼びにくかったら別にコヤシキでも大丈夫だよ!
あ、でも『コヤ一回』はダメ〜。コンコンプライアンスに反するの!」
ニコ〜ッ
ヨハネの口調から、『硬く』しすぎる必要はないのかな、と思って。
「それじゃっ、入っちゃお〜かあ。あ、ねえねえ!
ヨハネちゃんって紅茶派?コーヒー派?」
「あたしはココア派〜。
お湯じゃなくて牛乳で作るんだあ」
スタスタ
話を振りつつ、喫茶店の中に向かう事にしよう。どんなお店だろうか……?
526
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/25(土) 18:22:58
>>525
「まぁそれじゃあコヤシキさんとでも呼ばせてもらおうかしらね。
…コヤ一つだけならアウトってことね。」
彼女の言葉に頷いてみせると
喫茶店へと入っていく。
「私はどちらかというとお酒のほうが好きなんだけどね。
特にシードル。リンゴのお酒よ。」
「まぁここは喫茶店だから合わないし…
ここにあるものだったら紅茶が一番いいかしらね。」
そう言って喫茶店の中へと入っていく。
中はどこか落ち着いた感じの場所のようである。
人は何人かいるものの、比較的ゆったりしており
いかにもゆっくりできそうな空間だ。
「座席はどこにしようか?」
527
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/25(土) 22:56:12
>>526
「そうそう〜! 略すにしてもコヤじゃなくてシキ〜。
ちゃんとかわいく呼んでくれてありがとね!」
などと言いつつ…………
「ん〜、どこでもそこでも良いんだったら」
パチ
少しだけ目を開いて店内を見回す。
「コヤシキさんはあの辺がいいかなって思うこ〜ん。
ちょこんってしてて、落ち着いてお話出来そうだから!」
奥の方にある、独立した小さな『角席』を指差す。
隣の客がいない角は商談などによく使われるけれど、
これは『ビジネス』よりもっと秘密の話だ。
「ヨハネちゃんは〜、ここってよく来るお店?
あたしは初めて! レトロでかわいいお店だよねえ。
とゆーかこの辺のお店は大体初めてなんだあ」
スタスタ
「最近こっちに越してきたばっかりだから」
ヨハネが特に渋らないなら、そこに向かって着席だ。
立ち話もなんだし……というやつである。
「ノンアルのシードルなら飲んだことあるよお。
普通の林檎ソーダよりしゅわしゅわ細かくって、
とってもおしゃれで美味しかったなあ〜……っと!
とりあえずお話の前になにか頼んじゃおっかあ!」
スッ
「『お酒』が飲める喫茶店もたま〜にあるけど、
ここはそういうのなさそうかも? ざ〜んねんっ」
席に着いたならメニューを取って、中身を見てみよう。
ごく普通の喫茶メニューに思えるけれど、
こういう個人経営っぽいところには意外な商品もあるかもしれない。
528
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/25(土) 23:28:45
>>527
「こちらこそ…」
そう言ってから彼女の指定した席を見る。
「たしかにあそこならゆっくり話ができそうだね。」
角席の方に足を運びながら答える。
話をするにはちょうど良さそうだ。
「この店は…まぁたまに来るくらいかな。
いい感じのメニューもあるから良いところだよ」
どうやらヨハネはそのまま席につくつもりのようだ。
「ノンアルコールだとあんまり飲んだっていう実感がないのよねぇ…
まぁ美味しいやつだと思うけど…」
と言ってメニューを確認する。
「小腹も空いてるし、軽食みたいなメニューも良いかもね…」
サンドイッチメニューは一通り揃っているようだ。
それ以外にもケーキ類も多い。
中には小倉トーストなどの高カロリーメニューも有るようだ。
「私はこれかな。」
指さしたのはケバブ風サンドイッチというものだ。
見た所炭火焼の肉を挟んだもののようである。
529
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/26(日) 00:17:45
>>528
「へぇ〜っ、そうなんだあ!
確かにかわいいメニューがこんこんもりもり!
迷惑じゃなきゃ、あたしも行きつけにしよっかな」
パラパラ
「あたしこう見えてもかわいい未成年だから、
ノンアルの味しか話せないんだよね〜。
ハタチになったら本物の味語り合お!
……あ、それじゃああたし『アップルパイ』〜」
「飲み物は〜、アイスココアにしよっと」
林檎酒に比べれば甘ったるいチョイスだけれど、
『甘いもの』に『甘いもの』を合わせるのは結構鉄板だ。
「ヨハネちゃんのも美味しそうだよねえ。
ご飯まだだったらこのカレーとかも良かったかも!」
リンリーン
「それで〜ヨハネちゃんっ、お話なんだけどっ」
ベルを鳴らして店員さんを呼びつつ、
改めてヨハネの顔を、細い目でじっと見つめる。
「ありやちゃんからは、ヨハネちゃんにどの辺まで話してるかなあ?
『お手伝い』してくれる人見つけたよ〜って、
かわいくメッセージもらったからコヤシキさんは駆けつけたんだけどっ」
『協力してくれる』と聞いてはいるが、
それは『もう完全にOK』ということなのか、
それとも『話は聞いてくれる』ということなのか。
「『どんなお手伝いか』……っていうのも、ありやちゃん話してくれてた?」
そのあたりは大事なことだし、話し始める前に確認しておこう。
530
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/26(日) 00:35:43
>>529
「別に構わないでしょう。
お客さんが増えること自体は店側からすれば嬉しいことだろうし」
「そっちは甘い者同士の組み合わせねー。
口の中が甘ったるくなりそうな感じ。」
想像しただけで少し口の中が甘くなりそうだと感じた。
店員さんが来るのを待つ中、
ヨハネはコヤシキからの質問を受ける。
「どんなお手伝いかってのは…
具体的なことは聴いてなかったかしらね。」
「私がありやさんから聴いていたことといえば、
スタンド使いを必要としていることと、
そのヒトが『試練』を与えられている最中ってこと。
その試練についてはよくわからないらしいけどね。
ああ、それと」
といってコヤシキを指さした。
「あんたのことをすごぉ〜く善いお方とも言っていたかしらね。」
ありやから聞いたことといえばどこか抽象的な話が多かった。
少なくともありやは嘘をついていないが、知らないことが多いのも確かである。
531
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/26(日) 01:35:46
>>530
少し経てば店員さんが来て、二人の注文を受けてくれた。
頼んだメニューが来るまでにはもう少しだけかかるだろう。
「お口の中から頭の奥のほ〜うまで、
甘くてかわいいガツンと一撃!
あたし、そういうのが好きなんだあ。
あとは辛くて酸っぱいものも好き好き大好き〜」
コトン
メニューを台に戻す。
お話に集中するために。
「うんうんうん、教えてくれてありがとね!
いやあ〜、ありやちゃんさっすがあ!
ちゃんと全部説明してくれてるし、
ヨハネちゃんもちゃんと全部わかってくれて……」
スゥ〜
「え、えぇ〜?へへへ、ありやちゃんってば!
本当かわいいよねえ。ほんとに、すっごくかわいい」
ニコニコ
笑顔の中にわずかにあった『嘘』は消える。
見せるために作られた笑顔は悪いものじゃないけれど、
内側のよろこびから湧いた笑顔はそれを上書きする。
「って、コヤコヤニヤニヤしてる場合じゃないやあ!
……そう、さっきので『全部』」「ほんとに『全部』」
「なんだ、こ〜ん」
おどけたのは口調だけだ。
「あたしはいま、別の子の『試験』のお手伝いをしてて。
『スタンド』の名前と、どういうことをするのか。
どんな動きをするのか、の情報を集めてるの。
もちろんそれをばら撒いたりは絶対しないけど、
少なくともあたしとその子はそれを『知っちゃう』」
クル
「お礼できることは全然ないし、
信じてもらえる中身の説明も『出来ないルール』なんだあ。
それでもあたしは『信じて』って言いたいし、出来るならお礼もする」
不安からか、髪先を指で少しだけいじる。
感情の動きまでは分からないだろうけれど、『嘘』はそこになかった。
532
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/26(日) 12:26:29
>>531
「ほーう、口の中全体を甘ったるくするのが好みなのねぇ。
たまに味変するのも悪くないわよ。
コーヒーを飲んだりとか…」
と言いつつも注文したものが来るのを待つ。
そして話は事情説明の方へ…
「ウソはついてないとしても勘違いをしてる可能性もあったからねー。
こうやってご本人から概ね間違ってなさそうなのがわかってこっちも安心してる。」
「今日あったばかりだけど、ありやさんは確かに…そのとおりかもね。」
そう言ってからじっと、コヤシキの目を見つめる。
「さっきので全部か…」
よくわからない話だが、どうやらそのままで間違いないらしい。
コヤシキの話を一通り聞いてみて、
なんとも不思議そうな顔をするヨハネ。
「それはまたずいぶんと素っ頓狂な話ね。
まるで魔法学校かエスパー学園の試験問題みたいじゃないの。」
様々なルールが存在する試験。それにスタンドが関わっているということらしい。
ヨハネに思い浮かぶのはアニメのような話だった。
「……」
そしてまた、コヤシキの眼をじっと見つめる。
「とはいえ、それが真実だってことは理解した。何とかしたいってことはわかるわ。
どうやらありやさんの言う通りらしいわね。」
普通なら信じないであろう話だが、ヨハネの持つ特技がウソではないことを理解する。
周りからは即座に信じてしまう人間に見えてしまうかもしれないが、
この理解の早さはその特技がある故だろう。
「それで…なにをすれば…っと
こっちですー。」
話している間に、注文したメニューが運ばれてきたようだ。
二人の注文したものが同時に来ているらしい。
533
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/26(日) 13:25:08
>>532
「こゃ〜ん、コーヒー苦手〜。
苦いのがダメなんだよねえ……
それでも飲めるおすすめの飲み方とかある?
コンビニのあまぁ〜いカフェオレとかなら、
コヤコヤ美味しく飲めるんだけど〜」
先に届いたお冷やを飲んでクールダウン。
「さてさて〜なんの試験なんでしょう〜。
ごめんねえ、そこも含めて『内緒』なんだあ。
全部終わったら種明かしは出来るけどっ」
ジッ
「コンなこんこんちきな話でも、
ヨハネちゃんはちゃあんと信じてくれるんだね。
コヤコヤすっごく嬉しい!
それで、やってほしいのは――――」
「あ!ありがとうございま〜す!」
コトン
『盲信』ではないことは、ヨハネの目を見ればわかる。
もちろんその『能力』までは分からないにしても、だ。
「わおわお〜、ヨハネちゃん見て!
あみあみが綺麗に出来ててとってもか〜わいいっ」
スッ
「どうしよ、話は食べてからにする?
食べながらでもムリな事じゃないけど〜」
目の前に置かれたアップルパイとアイスココアに、
ずっと顔を見ていたけれど、ようやく視線を移し、
それとなく『食器入れ』を真ん中に近い所へ動かす。
「ケバブ、ぬる〜く冷めちゃうともったいないよねえ?」
『お願いごと』より『暖かいサンドイッチ』の方が緊急かもしれない。
534
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/26(日) 15:33:15
>>533
「苦いのが苦手ならねぇ…
まぁミルクを入れたりするのが良いのかもね。
砂糖をいれるのもいいが…
あんまり甘くなりすぎると大変だし。」
とても甘党なのが理解できたヨハネ。
コーヒーは苦みがウリであることを考えると
ここまですると甘すぎて大変かもしれない。
「なるほどねぇ。全部無事に終わることを楽しみにしてるよ。」
と言ってヨハネもお冷を飲む。
「ああ大丈夫。私はそういうのわかるからね。
騙されたりすることはまずないと思うわ。」
コトン
「どうもありがとう。」
早速出てきたケバブ風サンドイッチを確認する。
いい匂いが立ち上るそのサンドイッチは、割としっかりとしたボリュームだ。
「私は話しながらでも良いけど…
まぁ冷めたらもったいないよね。お互いに」
できたてのアップルパイももったいなくなるだろうと思うと、
まずは食事を優先すべきだろう、とヨハネは考えた。
「じゃあまずは食事にしましょうか。
お腹が空いてるし、ね。」
そう言ってサンドイッチをつまむ。
535
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/26(日) 17:00:12
>>534
「そうなるとやっぱりカフェオレかあ〜。
眠気のピークでカフェイン投下したい時、
コーヒーって選択肢あるといいな〜って思うんだよねえ」
スッ
「ココアって逆にチルしちゃうし?
うぅ〜ん甘くて美味しい!」
アイスココアを啜り、アップルパイを小さく切る。
というよりバリバリの皮をパリパリと割る感じだけど。
「えぇ〜すごおい! だったらコヤシキさん安心だね。
それじゃあお話はいったん後にしていただきま〜す」
ザクザク
「わおわお、甘くて美味し〜い」
とはいえパイ一つとサンドイッチ一つだから、
それほど食べ終わる時間はかからないのだろう。
バリバリバリバリ
しばらくして食事がひと段落したあたりで、
改めて『コヤシキさん』は話を切り出す。
ゴクン
「それでねえ、お願いしたいことなんだけど……
ヨハネちゃんの『スタンド』って、このお店の中で出しても大丈夫なやつ?」
536
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/26(日) 18:11:38
>>535
「カフェオレはコーヒー初心者にはちょうどいいかもね。
苦みを抑えられそうだし…」
そう言ってサンドイッチをモグモグする。
「甘すぎると逆に頭がスッキリしなくなるかもしれないわね…
なるほど…うん」
もぐもぐ
「これはケバブサンドの風味を再現してるわね。
喫茶店だからとナメてたけど、なかなか美味しいじゃない。」
どうやらヨハネにとっても満足の行く味であるらしい。
もぐもぐと食べ続けるうちに
「ふぅ」
一とおり食べたことで一段落つけられる雰囲気になっているようだ。
「あぁ、スタンドの話だったねそういえば。」
そう言って視線を改めてコヤシキに向ける。
「別に、出したらあたりが爆発するわけでも
ウイルスばらまいたりするわけじゃないさ。
ここで出しても平気なやつだよ。他にスタンド使いのお客さんがいなければ怪しまれないんじゃないかな。」
少し意地悪そうな笑顔で答える。
自分のスタンドは特段危険というわけでもない。気にしなくてもここで出しても大丈夫だろう。
537
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/26(日) 21:57:14
>>536
「そうだねえ〜。
糖分は頭にキくって聞いたことあるけど、
なにごともほどほどが肝心っていうし!
血糖値スパイクだっけ? あーいうのは怖いこん」
などと言いつつ、食事はあらかた終えた。
「うんうん、アップルパイもケーキ屋さんっぽい味だったあ。
ヨハネちゃんの言った通り、かわいくて美味しいお店だねっ」
「ごちそうさまでした〜っと」
客がそれほど多くないのは、
単に時間帯や偶然の問題なのかもしれない。
もっとも、今のこちらには好都合。
「よかったあ! それじゃあヨハネちゃん。
……『スタンド』、お願いしてもい〜い?」
「どっちがヨハネちゃんのか、誰かが見てても分かんないように、
あたしのも『いっせーの』で出すっていうのはどうかな!?」
「って、へへ、出てくる位置でバレちゃうかあ!」
『本気』で『配慮』をしてはいるようだが、あまり意味はない事だ。
もっとも一方的に出すだけにならないという意味で、無意味ではないけれど。
538
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/26(日) 22:15:32
>>537
「不意に眠くなるってやつだったかなそれって。
そういうのが外歩いているときに来たら大変だものねぇ。
程々に、ね。」
彼女の言葉に対して気遣うようなことを言って返す。
「じゃあ私もそろそろ…」
と言って、残りのケバブサンドを食べ終えた。
「スタンドを出すことは別に構わないわよ。
…いっせーので?
まぁそれも一向に構わないわ。
…一応、なんとかなるんじゃない?
同時に出たら一瞬わからないだろうし…」
そう言ってから頷くと
「じゃあいっせーので…
行くわよ。」
彼女は準備ができていそうだ。
539
:
コヤシキコヤネ『サイレントライト』
:2024/05/27(月) 03:00:50
>>538
「大丈夫大丈夫〜ヨハネちゃん心配しないでえ!
あたしってかわいいし、健康だから〜。
コヤシキさんのお仕事も体が資本だからねえ」
今は健康でもいつか困るヤツだろうけど、
まあ、少なくとも今すぐどうこうなる状態ではない。
「はいはーい、それじゃあ、いっ、せー、のー」
「でっ」
ズギュン
「こんっ!」
『発現』したのは、『機械のカラス』のヴィジョンだ。
机の真ん中に浮かべるように。
それで何か誤魔化せるかは分からないけど。
「これがあたしの『サイレント・ライト』!
能力は……ごめ〜ん、『ここじゃ使えない』やつなんだあ!」
「あたし達にはここは狭すぎる、ってね〜」
上を見上げ、ヨハネに表情を向けず、そう言った。
……それから視線を戻して言葉を続ける。
「ヨハネちゃんが必要なら、能力をお話しする事は出来るけど!」
『能力の説明』を求めている以上、
お前のも教えろ、と言われれば拒否するのも変な話だ。
もちろん他に何か見返りや理由を出せているなら別なのだろうけど。
540
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/27(月) 19:26:08
>>539
「そういうことなら良かった。
健康が一番だからね。」
「せーの…」
ズキュン!!
一方のヨハネが発現させたスタンドは
人型のスタンドである。
その姿はヨハネよりもしっかりとした修道女を思わせる外見だが
眼は厳重に目隠しされており、腰にホルスターがさげられている。
「これが私のスタンド…名前は『ゴッド・ノウズ』よ。
…ふぅん、それがコヤシキさんのスタンドねぇ。
見た感じは可愛い感じだけど…ここで使うことはできないか。」
彼女のスタンドをジロジロ見る。
その間、ヨハネのスタンドは後ろで一切動かずに待っているようだ。
「そうだねぇ、じゃあ説明してもらっても良いかな?能力について。
…どういうことをするのか、どういうことをするのかが必要なら
これでイーブンになるんじゃないかな。」
541
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/28(火) 11:44:25
>>540
「あたしもほんとにそう思うよ〜。
毎食ラーメンだったりとか〜、エナドリ飲みすぎたりとか〜。
そーいうのを自慢してバズったりするかわいい人もいるけど、
『お仕事』長く長〜くやっていくならえすじーでぃーず?
えすでぃーじーず? あのあれ!を心がけていかないとね〜」
嘘偽りなどあるはずもない。
バサ
バサ
「……わおわお! なんだかとってもシスターさんっぽ〜い!
とってもかわいい『ゴッド・ノウズ』ちゃんとあたしの出会いに、
コヤシキさんもかわいくこんこんぐらっちゅれーしょん〜」
ビッ
「こ〜んこんっ」
両手は狐のサインを作り、『サイレント・ライト』を机の端に下ろす。
内心『ありや』のスタンドが一瞬ちらつくが、
彼女は彼女で『らしい』スタンドに違いはないし、かわいい。
「あっ、お話での説明でいい〜? いいんだ! ありがとお。
それじゃあ――――『サイレント・ライト』の説明をするけど、
まず、一応見せられるカワイイところもあってねえ。
ヨハネちゃん、3・2・1で『眩しくなる』から気を付けて〜!」
スチャッ
「3」 「2」
「い〜ちっ」
パァァァァァ
『机の中心』に向けて、一瞬だけ『光』が投射される。
「はいっ、かわいい〜。見てみて〜。
『サイレント・ライト』はお口の中に『ライト』があるんだあ」
「……でっ、これを使って、
『ここじゃ見せられないこと』も出来るの。
ヨハネちゃん、ここまでは大丈夫〜?」
ここまでも嘘はないようだ。『2段階の能力』という事で、いったん話を区切ってみたようだけれど。
542
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/28(火) 20:09:01
>>541
「SDなんとかってのはそういう意味じゃないと思うんだけどね…
まぁいいや、そういう生活は実際健康に悪いし。」
果たして愛煙家であり、お酒を飲んで肉料理を好んでいる
自分自身が言えたことなんだろうかとも考えてしまう。
「なるほどねぇ、まるで芸を仕込んだカラスみたいな動きね。
眩しくなる?…あぁ、わかった。」
そう言って少し目を細めてみるが
パァァァ
「おっと…!」
どうやら思ったより眩しかったようで結局目を閉じてしまった。
その後、少し目を開けてみる。
「ふーむ…そのライトが能力…ってだけじゃなさそうね。
ここじゃ見せられないことってのが気になるけど…」
そしてゆっくりと目を開けた。
「なるほど、わかったわ。
その光は『能力の一部』ということかしらね。」
543
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/29(水) 04:28:50
>>542
「まあまあ〜。言葉そのものじゃあなくって、
それがちゃんと伝わるかどうかが大事!
合ってる言葉でも伝わらなきゃ意味ないし……
かわいいコヤシキさんはそう思うんだこ〜ん」
『ヨハネ』には伝わった……と判断しているのだろう。
そして、それは多分事実のはず。
「こゃ〜んごめんね、眩しすぎたかも?
調整は出来るんだけどまだ上手く出来なくって。
ヨハネちゃんの言う通り能力の一部だから、
ここも上手くできるようになりたいんだけどね〜」
カコン
「こんっくらいかな」
ボヤ…
改めて、淡い光が投射される。
これなら眩しくは無いだろう……
もっとも別に、もう灯す必要はないんだけれど。
「それで、あたしの『能力』の本当のところは、
この光であたしを照らしたら使えるんだけど。
ここだと『条件』が合わないんだよねえ、色々とっ!」
チラッ
視線が走った先は『他の席』だ。
「使えると周りが真っ暗になって、
あたしだけがスポットライトで照らされるんだあ。
それでその中にいる時、あたしは、
どんなあたしにだってなれる……」
ジ…
「……っていうのは変な言い方かあ!
要するにまとめると、好きな服に着替えられるってこと!
それがあたしの『サイレント・ライト』 か〜わいい能力でしょ?」
そこまで語り終えると、ヨハネの反応を待っている。
それはつまり、納得いただけたなら『お返し』を待ってる、って意味だ。
544
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/29(水) 21:49:30
>>543
「確かに…まぁニュアンスが伝われば
間違ってても大丈夫だろうね。
とりあえず、言いたいことは伝わったよ。」
どうやらちゃんと伝わったらしい。
「なるほど、制御はちょっと難しいみたいね。
でも照射したら危険って代物じゃなさそうで良かったよ。」
もしそうだったらいきなりこっちに向けて照射したりはしないだろうが
この光そのものは危険なものではないことはわかる。
「ほーう…いろんな服に着替える能力ってことね。
それにしてもスポットライトに照らされて、そこで衣装が変わるだなんて
まるでファッションショーみたいじゃない。」
なかなか面白い能力だ、とヨハネは思った。
「結構変わってるわねぇ。周りが真っ暗になるとかも。
もしかしたら着替える以外にも色々と応用できそうな予感がするわね。」
能力とは応用を利かせるものだという
ならば、他にも色々できるかもしれないと感じた。
「…おっと、私の能力を披露しないとね。
せっかく見せてもらったんだから。」
そう言って少し笑って見せる。
なにか企んでいそうな雰囲気だ。
「そこを見てご覧。」
と言ってヨハネは『天井』を指さした。
これは能力を発動させる『前提』をわかりやすく伝えるためでもあるのだ。
545
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/29(水) 23:13:06
>>544
「わお、ファッションショー! かわいい表現〜。
あたしは『アバター変更』かなって思ったけど、
そっちの方がいいかも! 参考にしよ〜っと」
カコン
「……って言っても、『無理やり見せる』わけだから。
ランウェイみたいに華やかじゃないけどねえ」
『無理やり』何かを提供するのは、
インフルエンサーを志すものとして『抵抗』がある。
普く照らす天の光すらも剥奪し、
『コヤシキコヤネ』しか見えなくする。
その『魔法』が素敵だと思えた事は、
これまでに一度だってなかった。
……だからこそ、大切にしている。
「やったあ、ヨハネちゃんの能力!
コヤシキさんに見せてこ〜ん!
上にあるのかな? どれどれ〜?」
スッ
顔を上げて目を少し開き、『指差す先』を見てみる。
『見る』ことに意味がある能力なのだろうか……?
だとすれば、『目隠し』をしたヴィジョンとは反対に思えるけれど。
546
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/29(水) 23:29:25
>>545
「まぁ真っ暗な中にスポットライトが当たるということは
否が応でも視線は集まるわね。
或いは真っ暗な中になにかを隠すのにも使えるかも…」
彼女の能力に関する感想は色々と出てくる。
彼女はどのように使うのだろうか・・・
「…これで能力発動よ」
そう言うと、いつの間にか
『ゴッド・ノウズ』の手のひらに『鉄球』が現れた。
「こっちを見てみな。
これこそは私のスタンドの能力」
鉄球はよく見ると『眼球』を模した形をしているのだ。
「そしてこれはコヤシキさんの『眼』を模したものよ。
この鉄球はあなたの眼と同じ動きをする…」
コヤシキからは動いているのが見て取れるだろう。
「そしてこの眼はコヤシキさんの視界を共有して
私に伝わる…」
547
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/30(木) 00:25:01
>>546
「……う〜ん、確かにそうかも!
ヨハネちゃん、色々考えてくれてありがとお〜
さっすが、かわいいだけじゃなくて優しいんだあ……
コヤシキさん、ゾッコンになっちゃうこん!」
両手のキツネの口を顔の前で合わせて、
『感想』をありがたく受け取りつつ、
視線は『天井』にしっかりと向けていたが……
「こゃ〜ん、天井(うえ)に何も無いよお?」
スッ
「……って、わお! いつのまにかカワイ〜お目目、
と思ったらコヤシキさんのお目目でしたあ〜っ!
道理でかわいいと思った〜。……なんちゃってね!」
「あたしの目ってこんななんだあ。
鏡でもこんなにじっくり見ないや」
『目』と『目』が会うことになった。
それを覗き込むようにしながら……言葉を続ける。
「ふんふん、つまりリアルタイム配信みたいな感じだ!
遠くに居てもアニメとか一緒に見れちゃうねっ。
あとは〜、ストーカーみたいな事も出来ちゃう!?
あ! もちろんヨハネちゃんはそんなことしないだろうけど!
それにそれに〜っ……と、と、と。
いけないいけない! オタクちゃん特有の早口が出ちゃうとこだったあ」
「その『目』で何が出来るかは、
ヨハネちゃんが一番知ってるよねっ」
ニコ〜
「いやあ、教えてくれてありがと!
ちなみに〜、ヨハネちゃんのも、もしかしてまだ続きがあったりする?」
『サイレント・ライト』は二段構えの能力だ。
『アスタロト』は違う。『ゴッド・ノウズ』は、どうなのだろうか?
548
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/30(木) 19:33:50
>>547
「まぁ、どういたしまして…
あんまり好かれすぎても困るけどね」
と、軽口を叩いてみせた。
「できることは視界の共有、
そして目の動きの確認…
ある意味真骨頂があるとしたら『私自身』かもね」
そう言ってじっと鉄球の目の動きを見る。
「この鉄球を見ていると
目の動きで相手の言動に嘘が含まれるかどうか…
それがよーく分かるんだよね。」
と言っていたずらするかのような顔で答える。
これはあくまで自分自身の特技であるが
いかにもウソがわかるのが鉄球のおかげであるかのように答える。
「あとは、この鉄球を離れていても回収できるってのもあるかな…」
549
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/31(金) 00:58:58
>>548
「へへ、ごめんごめん。あたし重い女だった〜」
浅い笑みを浮かべて。
「ふんふんふん……『アイトラッキング』!
どんな景色が見えるかだけじゃなくって、
どこを見てるかもわかっちゃうわけだ〜
それに…………わお!それってすっごい事だよね。
ヨハネちゃんの前では隠し事なんてできないんだあ」
「こゃ〜ん、かわいいけど怖〜い!」
『私自身』が真骨頂と称する言い方は、
『嘘を見抜く』という奥義が能力に依存せず、
少なくとも、同じ能力を持っていても、
誰にでも出来る訳ではない事を言外に伝えている。
「……でも怖いだけじゃなくって。コヤシキさんが今、
ヨハネちゃんにすっごく感謝してるのが、
嘘じゃないっていうのがちゃ〜んと伝わる、
とっても素敵な『能力』でもあるよねえ」
スッ
狐のサインの指先に、ほんの小さな隙間を作って。
「嘘なんて、こんっくらいも無いんだ。
ありがとね、ヨハネちゃん!」
そして。
『コヤシキコヤネ』の言葉、それが嘘ではない事はすぐに分かる。
550
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/31(金) 19:57:10
>>549
「別にいいよ。
重くても軽くても悪い人じゃなけりゃね」
と、こっちも笑って見せる。
「まぁそういうことだね。
隠し事をすることは私の前ではできない…
って偉そうに言うほどでもないけどね。
相手の言動が本当かウソかがわかるってのは日常的にはそこまで便利ではないのよ。」
と言って、頭を掻いて見せる。
ヨハネにとってもそこまで便利使いはできないのかもしれない。
せめてオン・オフができればと思わなくもない。
「フッ…でもまぁ良いこともあるっぽいね。
今目の前にいる人の感謝の言葉はまるっきり正直な返事だってことがわかる。」
どこか嬉しそうな表情で彼女を見つめる。
「これくらい話してみたら…
どう?助けにはなれたかしら?」
コヤシキが必要とする助け。
果たしてこれで協力はできたんだろうかとヨハネは考える。
551
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/05/31(金) 21:52:03
>>550
「良い人かどうかも分かんないよ〜?
かわいいヨハネちゃんが信じてくれるなら、
これからも悪いことしないようにしなきゃだあ」
笑みを浮かべ、細めた目の奥の真意は、
『嘘』と『本当』の境だけでは色分けできない。
「優しい嘘、嘘も方便、知らない方が良かった嘘、
誰でも少しくらい嘘つくもんねえ。
それが分かっちゃうのは、きっと大変だよね」
『理解』はできないし『共感』でもないけれど、
『意味』はわかったし、そうだと思った。
「大丈夫! コヤシキさん大満足だこ〜ん。
あたしの能力の話は……
まぁ、ヨハネちゃんの役に立つかは分かんないけど。
そういう事ができる友達がいるって事だけ、
覚えておいてくれたら嬉しいかなあ」
クイッ
「覚えててくれなかったらコヤシキさん、
気持ちが冷えて雪やこんこん涙もこんこん!」
なんってね!と付け加えて、『要件』は満たされた事を伝え終えた。
『外』ではそろそろ、『ありや』がお勤めを終えた頃かもしれない。
552
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/05/31(金) 22:41:22
>>551
「…個人的にはいい人であってほしいけども」
彼女の言葉の真意は読めない。
コヤシキの考えていることはすぐにはわからないような気がした。
「はは、まあね。
ウソとホントがわかっても、その先…
相手の思いまでを理解するには至らない。
そこが厄介なところかもね」
コヤシキが理解をシてくれたことに嬉しく思ったようだ。
多少心が軽くなったのかもしれない。
「確かに、それははっきりと覚えておくよ。
コヤシキさんでもコヤさんでもコンコンさんでもね。
…協力できたようで何よりだよ。」
そう言って笑ってみせた。
「そういえば…そろそろ終わるかな?」
ありやのパン配りが終わったかどうか、
ちらっと外を確認してみる。
553
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/06/01(土) 00:08:19
>>551-552
(コヤコヤ様・鷲津様)
ふと表を覗きみると、すでに人通りは元に戻っていた。
荷台に積んであったパンの山もすっかり空になっている。
で、その持ち主はというと…………
リヤカーに背を預け、こっそりベイプで『一服』していた。
甘い水蒸気をぷかぷか燻らせながら、
どこでもない空間をぼーっと見ている。
だが窓越しにこちらを見つめる視線に気づくと、
慌ててカートリッジを懐に隠す。
そしてデヘヘ……とごまかし笑いを浮かべながら、
店内の二人にふりふりと手を振る。
……どうやら最初から、
二人の話し合いに立ち入るつもりはなかったらしい。
自らの能力を『心の恥部』と表したありやには、
他者の『スタンド』が開示される場にもおなじように
軽々しく立ち入るべきではない、
という独自の倫理観があるのかもしれない。
だが二人の表情から状況を察すると、
にこ〜っと嬉しそうな笑顔を窓越しに返し、
跳ねるように店の中へと入ってくる。
そのまま二人の座る角席へ。
「えへへぇ……お二方……」
「よいお話はできましたぁぁ……?」
554
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/06/01(土) 04:23:10
>>552
(ヨハネさん)
>>553
(ありやさん)
「あたしもみ〜んなに、良い人であってほしいなあ」
だが、あえて分けるなら―――『虚言』ではないらしい。
「優しい嘘とは逆で、『いやなホント』もあるもんね。
なんでも正論だけじゃダメダメ〜って、
そういうのなんていうんだっけ、えーと、『ロジハラ』?
こゃ〜ん、怖い怖い。コンコンプライアンスにハラスメント!
みんな一人一人トリセツがあるなんて、コヤシキさんてんてこまいだよお」
スサッ
「それでも友達のトリセツは覚えとかないとねっ。
コヤシキさんに『コヤ一回』はだ〜めっ!
さん付けでも一回は一回だこん〜!」
『コヤさん』というのが気に食わなかったようだけど、
勿論、声を荒げているわけじゃあなかった。
「もったくもお、ヨハネちゃんってか〜わいいんだから」
等と言いつつ――――
「わお、それにありやちゃんもいっつもかわいいねえ!
うんうん、とってもばっちり、よきよきなお話が出来たよお」
ニコ〜
「目的、とかもだけど。
かわいいお友達とのファーストコ〜ンコンタクトっ。
それもまた別のこんこんぐらっちゅれーしょんだね!」
クイクイ
狐の手を上下に小さく振りながら――――
「な〜んて、いつもよりご機嫌でコンコン言わせてもらってるこ〜ん」
合流してきた『ありや』に笑みを向け、心からの感謝と喜びを伝えた。
555
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/06/01(土) 10:29:32
>>553
「ああようやく来たね。ありやさん。
どうやらそっちも商売繁盛だったようで何よりだよ。」
軽く手を振りながらありやに声をかけた。
「こっちもどうやらうまく言ったっぽいよ。
コヤシキさんの助けになれたらしい。
問題も…特になかった。」
ヨハネの口調はどこか調子が良さそうだった。
うまく言ったというのは間違いなさそうだ。
「あとは、ありやさんのいうとおりいい人みたいね。
コヤシキさんは。」
>>554
「まあね。でもなにを持って『良い人』とするかは難しいことね。
いい人でもウソを付くこともあれば、悪人が正直者なんてパターンもあるだろうし。
…本当に取説みたいなものがあれば良いね。」
コヤシキのセリフの一つ一つに同意するような動きを見せる。
「…そうね、コヤシキさんということにするわ。これからは。」
気に食わない言われ方を何度も言うことはない。
彼女の様子を見てとりあえず今回きりにするつもりだろう。
「さて…そろそろお互いの用事も済んだかな?」
そう言って席を立とうとする。
あんまり長く店にいるのも迷惑かもしれないと思ったのだろう
556
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/06/01(土) 16:51:30
>>554
(コヤコヤ様)
「…………えへ……
コヤコヤ様、とっても嬉しそう……」 ニコ…
仲睦まじく談笑する二人の会話の内容を見聞きして、
ありやの笑顔がほんのわずかに静止する。
「(なんとなく分かってたけど……
コヤコヤ様って、会う人みんなに
『かわいい』って言うタイプの人なんだぁ……)」
「(じゃあやっぱり、『あの時のあれ』も……
わたくしだけじゃないんだぁ……。
………ふぅ〜〜ん………)」
メラッ… (謎の擬音)
「…………えへ…………わたくしも、
お二人が仲良くなれたみたいで、
とってもとっても嬉しいですぅぅ……」
もしも二人のスタンドがまだ発現しているなら、
そちらにもぺこ〜っと頭を下げる。
それからコヤシキの隣に着席し、重たげな横目でちらり。
「わたくし……すこしはコヤコヤ様の
お力になれたでしょうかぁぁ……?」
>>555
(鷲津様)
「えぇ〜〜〜ん…………
ありがとうございますぅぅ……
さすがにわたくし疲れましたぁ……」
ヘヒー
犬みたいに舌を出し、
おばあちゃんみたいに目をしおしおさせる。
「ですがぁ……教会の人間としては、
『商売繁盛』は素直に喜べませんねぇぇ……」
「それだけ当世に困窮されている方が多い、
ということの証ですからぁ……」
「でもでも……お二方の出会いは、
素直に喜ばしいお話になったみたいで
良かったですぅ……」
「鷲津様も……同じくらいとってもお優しい
『いい人』でいらっしゃいましたぁぁ……」
胸の前で両手を合わせて、微笑むありや。
だがヨハネが席を経とうとすると、
一瞬で『絶望の地の底』のような表情になって固まる。
「エッ……」
グ〜〜〜〜
ギュルルルルルル〜〜〜〜
先ほどヨハネが耳にしたものとはまた別の、
新たな『虫の音』が店内に鳴り響く。
それは目の前に座るシスターのお腹の中にいるようだ。
当人は真っ赤にした顔を両手で覆い隠している。
557
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/06/01(土) 19:07:52
>>555
(ヨハネさん)
>>556
(ありやさん)
『ありや』の心に燃える緑色の炎を知ってか知らずか――――
「えぇ? 『少し』なんてもんじゃないよお。
そうだねえ、分かりやすくするとこんっっっ!!くらい、
たっぷりありやちゃんのパワーに背中押されちゃった!」
バッ
「もちろんヨハネちゃんのおかげもあるけど〜」
腕を大きく広げて、その手と手の間に大きな円を描くように、
『サイレント・ライト』が飛翔する。
「お腹空いた人たちもお助けして、あたしも助かって、
ヨハネちゃんもかわいいコヤシキさんに会えて。
ありやちゃん大活躍だねぇ。
コヤコヤはほんっと、かわいいお友達を持ったこん〜」
ヨハネから見ても、そこに少しだって嘘がないのは分かるはずだ。
「……へへ」
「用事は済んだけど……こんこん鳴いて喉かわいちゃった!
あたしはもうちょっとだけ注文しよっかなあ!」
パラララララッ
「あ。ありやちゃんも何か頼んだら〜?
ここ、食べものも美味しいよ。ね、ヨハネちゃん?」
メニューをめくりながら、二人のシスターに交互に視線を向ける。
558
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/06/01(土) 19:50:37
>>556
(ありや)
>>557
(コヤシキ)
「お疲れ様ってやつだね。それは。
…ま、世のため人のためになれたなら
きっと神様がご利益をくれたりするんじゃあない?」
商売繁盛と言っても無料でのパン配りである。
そう考えると少し複雑な話かもしれない。
「これもありやさんが結んでくれた縁…
いや、ここは神の導きってことにしようか?
そのほうが私達らしそうだ。」
そう言って手を合わせて見せる。
「………」
激しく鳴り響く腹の虫の音を聞いて
少し考えたヨハネは
「ふぅ…と思ったけど私もつかれたね」
そっと席に戻る。
「確かに…私の大活躍のおかげでもあるね。」
そう言ってコヤシキに笑ってみせたヨハネは
「まぁたしかに、コヤシキさんの言う通り
せっかく出会えたお友達だ」
「それに実は…まだ食べたいものがあるんだった。」
と言ってありやとコヤシキの眼を交互に見る。
「もうちょっとなにか食べていこうか。」
そう言ってヨハネもメニューを開いた。
どうやらもう少しのんびりできそうである。
559
:
真雅致 ありや『デビルズインレイ』
:2024/06/01(土) 23:20:56
>>557-558
(コヤコヤ様・鷲津様)
「…………」 チラッ
気恥ずかしさで覆った手指の隙間をひらき、
『二人と一羽』の心遣いを覗き見で受けとる。
「で……でへへぇぇ……」
耳まで真っ赤なのは、
店内に鳴り響いた虫の音のせいだけではなく……
コヤシキのまっすぐな褒め言葉に
卑小な自尊心をくすぐられたからでもあった。
「……すみませぇぇん……
わたくし、実はその、朝からなにも
食べていなくってぇぇ……」 (※ めちゃくちゃ『大嘘』)
そこで二人からの助け舟が入ると、
嬉しそうにコヤシキに肩をくっつけ、
めくられるメニューを一緒に見ていく。
「あっ、ではではぁ……わたくしは……
え〜〜〜っとぉ……まず『カレー』……とぉ……」
「あと、お二人のオススメがあれば、
お訊きしたいですぅ……(つまり三人前)」
やがて注文がすべて到着したなら……
ありやは胸の前で手を合わせ、
己が信じるただひとつの神に祈る。
ヨハネが冗談めいて示したこの不思議な縁へ、
真剣な感謝を天の父へと捧げる。
「天にまします主よ、日々の糧に、
そしてこの新たな出会いに感謝します……。
私たちの関係が、互いにとって喜びと成長の源となりますように」
「
あなたの光のもと、
あなたの愛を分かち合うことができますように……」
それから目を開くと、コヤシキとヨハネにそっと微笑みかける。
その穏やかな緑色の瞳には
もはや嘘も嫉妬も何一つなく、澄み渡る光に満ちていた。
席を囲むのは、おなじ『共通項』で結ばれた三羽烏。
注文がどれだけ多くとも、話の種が尽きることはないだろう。
560
:
コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』
:2024/06/02(日) 05:23:06
>>558
(ヨハネさん)
>>559
(ありやさん)
「っ」
「……わおわおわお! ありやちゃんってば!
お腹空いてたらイクサが出来ないこん!
まぁイクサなんてしなくていいんだけど、
えーと何の話だっけ! そうだ、メニューメニュー」
「今度はパスタでも食べちゃおうかな〜」
くっついた肩にほんの僅かに背中が跳ねるけれど、
嘘でも真実でもないものを知るのは神のみだ。
「あ! コヤコヤはありやちゃんのデザート担当〜
アップルパイが美味しかったから!
きっとどのメニューも美味しいけど〜
せっかくだしかわいくいっしょの物食べたいなあ」
メニュー選びに(お願いされた通り)口を挟みつつ、
やがて届いたメニューに視線を落として。
スッ
「店員さんありがとねえ〜」
『ありや』の祈りに視線を向け、同じ手の動きをした。
「『あなたの光のもとで、
あなたの愛を分かち合うことができますように……』」
「……で、合ってるかな?
どこか間違ってたらごめんね、主さま」
『言葉』を真似ても、『信心』は追いつかないけれど。
「かわいい友達と同じ机で美味しいものを食べる!
こんなステキな『光』ってないよ。それじゃあ、いただきまぁす!」
なにか大きなものに、この祝福を感謝する気持ちにウソはないから。
きっと、『神さま』が見ていたら、それを悪くは思わないと、『信じて』いる。
561
:
ヨハネ『ゴッド・ノウズ』
:2024/06/02(日) 22:57:25
>>559-560
「じゃあ今日はたらふく食べなさいな。
おごり…は遠慮するけど。」
ヨハネの質問に対してはこのように答える。
「ハハッ…どうやらお互いに楽しくなりそうだね。
私のおすすめは…それじゃあカレーと一緒にこれはどう?」
と言って、ヨーグルトドリンクを指さした。
辛いものと合わせるにはそれがちょうどいいだろう。
「それじゃあ私は…
ハムエッグとトーストにしておくか。」
そう言って注文を追加する。
ありやの祈りの声を聞いて、
ヨハネも手を合わせる。
「天にまします主よ、日々の糧にそして…その新たな出会いに感謝します…
以下同文…ってね。」
少しいたずらっぽい表情でヨハネはありやを見た。
「お天道様も何度も言われなくてもわかるでしょ。
このくらいでね。」
そう言って彼女は改めて
「いただきます」
とつぶやいた。
この一時はヨハネが初めて、天というものに感謝をしたくなる出会いの日だった…に違いない。
562
:
稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』
:2024/06/05(水) 19:36:48
トゥルルルルルッ
「【畏怖なる畏怖】。
【縦】、嗚呼【我】は既に【約束の地】である、
【雷の連環馬】の【厩舎】へと至る【クロノスの時計塔】の前に立ち、
【汝】の到着を待ち構えているが【汝】は何処に……
?」
星見駅前の広場の中央に設置された時計のモニュメントの前、
メガネをかけた薄い顔の女が、スマホで電話をしている。
「………ほう、【安息日】だったが、
本来戦場で世界を守る【戦士】の身内に【不幸】があり、
綻んだ【陣形】を直す為に急遽【戦場】に【召集】を受けた、と。
嗚呼ーッ!!【雲、運、薀】……、【雲】。
【謝罪】など【かつて高し菓子を収めていた器】だ!!
何故ならば、こればかりは【ノー・ジンジャー】だからなッ。
また互いの【安息日】を【擦り合わせ】て、【再会】を誓おう!
それでは、【剣闘の健闘を祈る】ーーー」
ピッ!
電話を切り、広場の時計で現在の時刻を確認する。
現在の時刻は正午を回ったところ。
「【永久の時を生きし神話の神々】になってしまったな………。
【孤独のセイレーン】にでもなろうか……」
563
:
稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』
:2024/06/08(土) 18:03:54
>>562
「やはり【孤独のセイレーン】だな…」
564
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2024/06/14(金) 22:08:37
『赤いエンパイアワンピース』の上に、
『黒いオーバーサイズジャケット』を羽織った少女が、
『レースアップブーツ』の靴音を響かせながら通りを歩く。
コツ コツ コツ コツ コツ
大きな襟の付いたジャケットに、
『ハート』が描かれた『缶バッジ』が大量に飾られている。
目元を覆う『サングラス』は、
『花の女王』として知られる『薔薇の色』――『ローズレッド』だ。
頭の横には『王冠』を模した『ミニシルクハット』が乗っていた。
赤く、紅く、朱く、丹く。
その姿は『ハートの女王』の如く。
「『光』……『輝き』……『仲間』……『友情』……『愛』……」
「どっちを向いても『偽り』だらけ……」
「――――そいつらの『首』を刎ねてやる」
色々あった『アリス』は何だかんだで『闇堕ち』してしまったのだ!!
565
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2024/06/18(火) 13:27:58
>>564
通りを歩く途中で『自販機』を見つける。
何の変哲もない機械だが、自分にとっては印象深い代物だ。
初めて見たのが『ここ』だったから。
チャリン
ピッ
ガコンッ
ふと喉の乾きを感じて『緑茶』を買う。
350ml入りの小さいペットボトル。
ラベルには『京都産茶葉使用』と表記されていた。
「――――『キョウトサンチャバシヨウ』」
相変わらず『漢字』には弱い。
だから、読めた訳ではなかった。
記憶の糸を手繰ったのだ。
グビグビグビグビグビィ
「くっはーッ!!」
566
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/06/22(土) 08:51:32
ガタンゴトン
なんて音、最近の電車じゃあまり聞けないだろう
今の鉄道は昔よりもレールが改良されているからだ
鉄道車両の座席に座ると眠くなるのは何故だろう?
つい、
>>567
にもたれかかり眠ってしまう
567
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2024/06/22(土) 16:16:40
>>566
「……」
肩にかかる重みに視線を向ける。
チラ
隣にではなく、『路線図』に。
自分が降りる駅はもう少しだけ先だ。
チラ
それから、カバンに。
ちょうど『甘城』と自分の間に、自分のカバンがある。
(……起こしてしまうかもしれない)
要は本をその中から取りたかったのだが、そういう懸念があった。
スッ
(起こしてしまっても悪くはないかもしれない。
けれど、起こしてまで本を読みたいかといえば)
手が宙を迷い、肩が僅かに動く。それ自体が眠りの妨げかもしれない。
568
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/06/22(土) 18:59:48
>>567
枕替わりにしている肩が動く
「んん……」
その振動にちょっとだけ
ちょっとだけ反応があるが、ちょっとだけだ
眠りは深くはないが、浅くもない
微かにふんわりと、甘い匂いする
香水という感じじゃない、甘いお菓子のような匂い
普段からそういうのに接しているから匂いが移ったのか?
「……おねえちゃん……」
寝言か
トーリの肩にもたれかかり、近くにいなければ聞こえなかったくらいの小声
慎重に動けば起こさずにカバンを動かせるかもしれないが、起きるかもしれない
別に起こしても悪い事など何もないのだが、どうする?
569
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2024/06/23(日) 17:30:18
>>568
「…………」
小麦か、バニラエッセンスか――――
トーリ自身、お菓子作りには多少の造詣がある。
レシピ通りが美徳とされる、気の合う世界だ。
(この子も……お菓子が好きなのかもしれない)
話をしてみたい気がした。
『姉』と呼ばれる覚えは特になかったけれど、
その言葉も、少なくとも悪い気持ちはしない。
(けれど、だからこそ、起こすべきではない気もする。
……トーリが話したい、という理由だけで起こすのは)
ガタンッ
と、そこで電車が大きく揺れた。
特に放送も入らない、既定の揺れなのだろう。
起きている乗客たちは特に大きな反応も無い―――――
570
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/06/23(日) 18:22:00
>>569
ガタンッ
電車が一瞬大きく揺れるが
人身事故だとかそういう事はない
これくらいはたまにある事だ
「ん……」
眠りは浅くはないが深くもない
ちょっと大きな衝撃があれば目は醒める
「おねえちゃん、ここどこ…?」
寝惚けているようだ
ほっとくとまた寝てしまいそうだが、話しかければちゃんと起きるかもしれない
首を絞めれば永遠の眠りにつきそうだ
571
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2024/06/23(日) 19:11:53
>>570
「…………」
揺れにはそれほど驚かなかったが、
目を覚ました少女に一瞬反応が遅れる。
「……つい先ほど。星見駅に向けて発車したところです。
あと数分もすれば、着くと。トーリは思います」
ガタン
ゴトン
定期的な揺れのリズムが帰ってくる。
それを数えていれば『駅』まではすぐだろう。
「貴女が降りる駅を……もう。
通り過ぎてなければ、良いのですが」
スッ
そう言いながら、鞄を手元に寄せ直す。
「……トーリは。その『星見駅』で降りる予定なのです」
中から『ブックカバー』に覆われた本を一冊取り出し、
それを自分の膝の上に置いた。
意味のあることを言えていないという自覚がある。
(いつもは見られないようにしている、ブックカバー。
……今日は。表紙を見せられたら、話しかけやすかったのに)
『製菓』のレシピ本だけれど、これ見よがしに開くのも、迷ってしまう。
572
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/06/24(月) 10:46:12
>>571
「トーリ…?」
ガタン
ゴトン
数度の揺れに覚醒を促される
「大丈夫」
「私も星見駅で降りる」
目はもうすっかり覚めたようだ
眠気覚ましにはちみつ梅のど飴を口に入れる
「食べる?」
大阪のおばちゃんのようにお隣さんに飴ちゃんを勧めて来る
結構人懐っこいタイプなのか
573
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2024/06/24(月) 12:20:55
>>572
「ああ、失礼しました。
トーリは。……自分の名前です。
『白岸(しらきし)・ノエル・トーリ』」
スッ
「よろしくお願いします。」
小さく頭を下げる。
「それなら、良かったです。
……はい。ぜひ、いただきます」
スッ
(はちみつと……梅。あんまり食べたことない味。
この子は、お菓子にすごく詳しいのかもしれない)
それから、飴も受け取った。
別に珍しいフレーバーでもないのだけれど、
トーリにはあまり触れた経験がない味だ。
「あの。お菓子が。……お好きなんですか?」
気の利かない質問をしてしまった気がする。
とはいえトーリには、そう聞く以外に分からなかったのだ。
574
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/06/25(火) 13:46:35
>>573
「甘城天音です」
>あの。お菓子が。……お好きなんですか?
「好き」
うん、大好きさ!
と返すと質問者の頭の中に爆弾が仕込まれそうなのでやめておこう(チャ)
「実家が洋菓子屋で、自分でもよく作ってる」
作ってるとは言うが、
それが成功しているかは…
「そっちは?お菓子好き?」
575
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2024/06/25(火) 22:32:37
>>574
幸いにもここは電車の中だ。
爆弾を仕込まれても、投棄するための穴はない。
「お菓子屋さん……そうなのですね」
声色に僅かな喜色が滲むが、
元が静かな声だ。それはよく目立つ。
「トーリはお菓子屋さんではないですが、
お菓子を作るのは……好きです。とても」
ゴソ
「このような……本を読んで、色々、作ってみています」
カバンから取り出したのは、
初心者向けの『洋菓子のレシピ本』だ。
「最近は暑いから……ゼリーを作るのが好きです。
……甘城さんは、何か得意なお菓子はありますか?」
取り止めもない話をしているうちにも、電車は『目的駅』に近いていく。
576
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/06/26(水) 12:54:56
>>575
「ゼリー、アレンジしやすくて楽しいよね」
ゼリーはちょっと材料を足したり
中に何かを入れるだけで、初心者でもお手軽アレンジが出来る
よっぽどの事が無ければ失敗しないだろう
よっぽどの事がなければ…
>……甘城さんは、何か得意なお菓子はありますか?
「…得意?」
こう聞かれるのは少し返事に困る
なんせ、普通の料理はちゃんと作れるのだが
お菓子になると何故かいつも余計な事が起きて、まともな物が出来ない
強いて言うなら
「…ケーキ」
一番作る事が多いからそう答えたのだが…
577
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2024/06/27(木) 20:01:35
>>576
「はい……」
コクリ
「季節や気分で少し……アレンジがしたくても、
ちゃんとそれができるレシピが、ありますし」
インターネットの時代なのもある。
『成功例』を導き出したレシピはいくらでも探せる。
もちろん、『ないレシピ』にはお手上げになるけれど。
「……ケーキも。それに、近いかもしれません。
トーリはまだあまり作ったことがないですが、
お祝いの象徴……いちごのショートケーキや、
後味が爽やかな、レモン風味のチーズケーキ……」
「食べて、好きだったケーキは。たくさんあります」
言葉をわずかに詰まらせたように思えたが、
『甘城』の内心は分からないし、
探る必要が今あるとも思っていない。
ガタン ゴトン
「今年の夏は……挑戦してみたいです。チーズケーキ」
電車が着くまでのお話だ。そうじゃなければ嬉しくはあるけど。
578
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/06/28(金) 13:50:16
>>577
時間の経過とともに、口の中の飴が溶けてきて小さくなる
もうすぐ食べ終わる頃か
フルーティーな梅の甘酸っぱさと、まったりとしたはちみつの甘さが絶妙に調和している
ハーブが配合されているからか、のど飴らしいすーっとした感じがするが強過ぎない
食べやすくてすっきりとする飴だった
「よく失敗するけどね」
「イチゴのケーキを作ろうとしてイナゴのケーキになったり」
イチゴと間違えてイナゴの佃煮を使用してしまったのだが
そのイナゴの佃煮はどこから来たのかだろうか
食べた人曰く
ケーキの味は良いが、ふわふわのスポンジと生クリームに
イナゴの直翅目特有のバリバリのクセのある食感と
佃煮の甘辛い味が絶望的に相性が悪く、地獄のような味わいだったそうだ
「チーズケーキか……」
「やってみたいな……」
「……一緒にやってみる?」
偶然電車で隣に居合わせただけの間柄だが
同じ趣味を持つ人として繋がりを持つのもいいかもしれない
スマホの連絡先を交換する事も出来るが、どうする?
579
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』
:2024/06/29(土) 01:44:26
>>578
「イナゴ? ふふ……そう、なのですね」
『本気』だと思っているわけではないけど、
大嘘として否定することもしない。
「……ぜひ。お菓子を作る知り合いが、
いえ…………友人が増えるのは、嬉しいです」
スッ
スマホを取り出す。
「……トーリは。
いつお誘いするか、決めるのが苦手です。
なので……もしよかったら。
甘城さんのご都合が良い日に、連絡をくれますか?」
連絡先の交換が済む頃には、
電車は『星見駅』に到着するだろう。
答えがどうであれ、選択がどうであれ――――
「……それでは、また。レシピを探して……楽しみに待ってます」
その時が来たならお別れは訪れる。
次に会うのは、約束した時だ。
580
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/06/30(日) 13:38:40
>>579
次、会うのはいつになるのか
それは分からないが、縁は出来た
また会う日はいつか来るだろう
星見駅に着いて、
電車から降りる頃にはもう夕方だった
オレンジ色の光に照らされる道を歩きながら考える
レモン風味のチーズケーキ、そこにオレンジを足すのはどうか
実際、検索してみればそういうレシピはあった
だがレシピ通りに作ってもうまくいくだろうか?
そういえば、売店で駅弁を買うのを忘れていたが
そもそも星見駅に駅弁はあったっけか?
581
:
小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』
:2024/07/04(木) 17:00:16
「────う」「ううむ」
絡みつくような湿気に満ちた曇天の昼下がり。
街路樹に寄りかかり、怠そうに息を吐く女がいた。
手にはコンビニで買えそうな安っぽい酒のボトルが握られている。
「飲み過ぎたかなァ。まさか、熱中症……ってことはないと思うけど。
いずれにせよ、水分を摂らないと……」
ホワイトブロンドの長髪を揺らし、目に付いた自動販売機にふらふらと向かう。
歩きざま、ポケットから財布を出して小銭を漁る……が、
「あ”」
酔いのせいか、財布を取り落としてしまった。
盛大にぶち撒かれた硬貨の群れが四方八方に転がっていく。
「あああぁぁ〜〜…………」
582
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2024/07/04(木) 18:37:59
>>581
硬貨の一つが転がる先に、カーキ色の作業服を着た男が立っていた。
腰のベルトには、工具類を収めたバッグが取り付けられている。
両手は革手袋で覆われ、足元は無骨な安全靴だ。
ス カ ァ ッ
おもむろに伸ばされた『左腕』が空を切る。
一直線に転がってきた硬貨を掴む事に失敗したらしい。
やがて硬貨は自然に止まり、それを改めて拾い上げた。
「――手伝おう」
短く声を掛けると、今度は『右腕』だけを使って、残りを集め始める。
583
:
小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』
:2024/07/04(木) 22:18:54
>>582
近頃の気候よりもなおじっとりとした視線が宗像を見据える。
隈のこびりついた目が弧を描いて細められた。
「……おおっと」「悪いね、お兄さん。助かるよ」
溜め息混じりに一枚一枚ダラダラ拾う予定だったが、
手伝ってもらうからにはそういう訳にはいかない。
一瞬だけ、空を切った左手と硬貨を拾う右手を見比べてから、
自分も足元に散らばる小銭をひょいひょい集め始める。
「お仕事の邪魔しちゃったかな? ほら、その服。それとも休憩中?
そんな厚着じゃあ、この季節は大変なんじゃないかい?」
かく言う小野塚も顔には赤みが差し、額や首筋に汗が伝っている。
暑さか、酒か、恐らくは両方のせいだ。
584
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2024/07/05(金) 11:14:03
>>583
工具はレンチ・ドライバー・水平器・スケール・プライヤーといった類のもので、
いずれも『配管工事』における使用頻度が高い。
「今は仕事を片付けて戻るところだ」
目の前の男は汗を掻いておらず、暑がる様子も窺えない。
小銭を拾い集める事に集中しているらしく、小野塚からは視線を外していた。
右手しか使っていないので、普通よりも時間が掛かっている。
不自然に不器用な左手と違い、右手の動きは至って正常だ。
最後の一つを手に取ると、持ち主の方に歩み寄っていく。
「これで全部だと思うが、見落としがあるかもしれない。
いくら入っていたか覚えているなら、念の為に確認してくれ」
硬貨を乗せた右手を差し出し、同時に小野塚を一瞥する。
黒い瞳の奥には、どこか虚無的な光が宿っていた。
燃え残った灰を思わせる乾いた眼光だ。
「いや――水分を摂る方が先だろう」
酒の匂いを漂わせる様子を見て、すぐ近くの『自販機』を視界に収めた。
585
:
小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』
:2024/07/05(金) 14:57:32
>>584
名前を知っている道具はレンチとドライバーくらいしかなかったものの、
ともかく何かの『業者さん』であることは見て分かった。
「そうかい、お疲れさまだね。
こんな暑い中……と思ったけど、ずいぶん涼しい顔してるな」
ありがと、と言って小銭を受け取る。
前髪の奥から覗く瞳は黄金を湛えていたが、そこには一片の輝きもなく、
ただ泥水を掻き混ぜたような濁った色だけが渦巻いていた。
ほんの一瞬、2つの視線が交差する。
「アハハァ。まあ、お釣りが溜まっちゃっただけだからさ。
多少足りなくても、道行くネコババさんに譲るとするよ」
フッと目を逸らすと、『ちょっと待ってて』のボディランゲージを残し、
足早に、しかし頼りなげな足取りで自動販売機へと向かっていく。
…………戻ってきた小野塚は、2つの飲料を携えていた
(酒のボトルは服のポケットにねじ込まれている)。
右手に水のペットボトルを持ち、左手の缶コーヒー(微糖)を宗像に差し出す。
薄く結露しており、『つめた〜い』のであろうことが見て取れる。
「どーぞ」
自販機に行って帰ってする小野塚を観察していたなら、
最初は右にコーヒー、左に水を持っていたのを、
途中で逆に持ち替えたのが見えたかもしれない。
586
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2024/07/05(金) 17:14:23
>>585
拾った小銭を返した後は、自販機に向かう小野塚を眺めていた。
『持ち替える動作』は確認していたが、どういった意味があるのかは分からない。
どちらかというと、途中で倒れる可能性の方が気掛かりだったと言える。
「頂戴する」
スッ
謝意を込めた言葉と共に一礼し、右手で缶コーヒーを受け取ると、
空いている左手でタブを起こそうとする。
ガッ ガッ ガッ
だが、なかなか上手くいかない。
しばらく手間取った末に、缶を左手に持ち替えて右手でタブを起こす。
今度は『一回』で開けられた。
「――そういう事か」
その直後、小野塚の意図らしいものに気付く。
実際に行動した事で思い至る部分があった。
缶の中身を一気に飲み干し、再び小野塚に向き直る。
「あんたが左手で渡そうとすれば、
俺は必然的に右手で受け取る事になり、
残った左手を使って缶を開けようとする」
おそらくは『それ』が狙いだったのだろう。
「上手いやり方だな」
先程は倒れてしまう可能性を考えたが、その懸念は『杞憂』だったようだ。
587
:
小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』
:2024/07/05(金) 21:46:13
>>586
「…………ん?」「あッ、そうか」
「右手で缶を持ったら左手でプルタブを起こさなきゃいけないのか!」
宗像の言葉を聞いてしばし首を傾げていたが、
間を置かず何かに思い当たったようだ。
「……ふっ…………あっはっはっは!
いや申し訳ない、左手に怪我かなにかしてるのは分かったから、
君が右手で缶を受け取れる方がいいと思ったんだ。
あたしとしたことが、プルタブのことを考えてなかった!」
そういうことらしい。
愉快そうに笑っているが、その笑い声はどこか渇いており……
「わざとじゃないんだよ。
だいいち、親切な君にそんな意地悪するワケないじゃあないか!
はっはっはっはっは!」
「はっはっは…………」
「……………………」
「はあ…………」
徐々に静かになると、いつものニヤケ面すらすっかり剥がれ、
項垂れて水をチビチビ飲み始めた。
「ごめん、気遣いが足りなかった。……不快な思いをさせてしまったかな。
暑さのせいか、どうにも頭が回らなくてね……」
しょんぼりしている。
588
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2024/07/06(土) 11:05:15
>>587
不意に笑い出した小野塚の表情を観察する。
今の答え方は筋が通ったものだったが、腑に落ちない点がない訳ではなかった。
だが、それを判断する為の材料は足りず、強いて判断しなければならない状況でもない。
「むしろ参考になった。
今後、目の前の相手が怪我をしているか知りたくなった時は、
俺も同じ方法を使わせてもらう」
グッ
左手の感覚を確かめるように、空き缶を強く握り締めるが、
以前と同じ動きが出来ない事は分かっていた。
「幸い、既に『完治』している。
仕事の最中に床が崩れて瓦礫の下敷きになったが、
手当が早かったお陰で一命を取り留めた。
これは『後遺症』だ」
具体的な事情を省いて、端的に事実だけを告げる。
「気が向いたら『つまみ』の足しにしてくれ」
黄金と泥水の混ざった色を湛えた瞳を見やり、そのように付け加える。
これまでの経験で理解したのは、殺しを生業にする者は、
やがて似た目を持つようになるという事だ。
その観点から言えば、小野塚は同業者ではない。
589
:
小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』
:2024/07/06(土) 15:35:15
>>588
「そんな面倒なことしなくても、
フツーに『手を怪我してるんですか?』って聞けばいいじゃあないか。
……まあ、役立つ場面があるなら役立ててくれよ」
宗像の返答を不可解に思ってか、
小野塚の顔にはうっすらと笑みが戻っているが、目は依然気まずそうに伏せている。
さっきのはマジのやらかしだったらしい。
「ふぅーん。
それは運が良かったというか悪かったというかだけど、
あたしはおつまみがなくても飲めるタイプだし──
第一、あたしが人の不幸を肴にするような人間に見えるかい?」
幾分か調子を取り戻し、酔っ払いらしくけらけらと笑う。
水をぐいっと呷ると、宗像の乾いた瞳を見つめ返した。
だらしなく緩んだ口元に反して、その目には『もしかしてまだ疑われてる?』という不安の色が宿っていた。
「……わざとじゃないってばァ」
590
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2024/07/06(土) 18:17:47
>>589
互いに初対面の状態では、判断する為の材料は少なくなる。
そういう場合は押すか引くかして、相手の反応を見極めるのが手っ取り早い。
すなわち、今の様子から判断材料は得られた。
「いや、俺の勘違いだった」
あるいは、こうした些細な事が引っ掛かるのは、
命のやり取りを重ねてきた弊害なのかもしれない。
「あんたが気を悪くしたなら謝る」
それから僅かな間が空いた。
湿り気を帯びた曇天の下で、自販機の微かな稼働音が響く。
その時、頭上に気配を感じて、おもむろに空を見上げる。
少しずつ積乱雲が発達しつつあった。
天気が崩れる前兆だ。
「もうじき降り出しそうだな」
言い終わると同時に、細かな雨粒が滴り落ち始める。
まだ本降りではないが、そう時間が経たない内に強い雨に変わるだろう。
視界に入る通行人達も、歩く速度を早めていた。
591
:
小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』
:2024/07/06(土) 23:34:08
>>590
誤解が解けたと見えて安堵の息を吐き、
戯けるように両手を振って見せる。水がちゃぽちゃぽ音を立てた。
自身が『見極め』られていたなどと気付く様子はない。
「アハ……先に失礼働いちゃったのはこっちだしね。
その左手、早く良くなるよう祈っておくよ」
そう言って細めた目の奥からは、なおも宗像の瞳に視線が注がれている。
無論、彼が幾つもの修羅場を潜ってきたことなど、小野塚は知る由もないが──
そのような虚ろな目を持つに至った経緯が、どうしても気になってしまった。
自らの目が濁った理由を知っているが故に。
「なあ、君──」
…………と、
ポツ
「……うへえ。厄日もいいとこだな。
あたしはまあ、いいとして……君、傘持ってるの?」
592
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2024/07/07(日) 13:16:58
>>591
台風や集中豪雨が発生した際には、大量の雨水が下水道に流入し、
汚水の処理を滞らせてしまう場合がある。
だが、短時間なら大した問題にはならない。
降り注ぐ雨粒を見上げながら、そのような事を考えていた。
「生憎、雨具の持ち合わせはない」
天を仰いでいた目線を正面に戻し、淡々とした口調で小野塚に答える。
「その様子だと、あんたも同じらしいな」
一瞬、自らに向けられる淀んだ瞳から、この街の地下を流れる汚濁を連想した。
生活排水や工業排水が通る下水道は、通常であれば人目に触れる事のない場所だ。
『誰が何を流したか』など確かめようがない。
それと同じように、濁った目が持つ意味を知る術はなかった。
また、無関係な者が首を突っ込む道理もないだろう。
「天気予報は外れたが、突発的な雨は予想が難しいそうだ」
ザッ
その一言と共に、前方に一歩踏み出す。
挨拶の代わりとして、空き缶を軽く持ち上げる。
呼び止められる事がなければ、この場から立ち去るつもりでいた。
593
:
小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』
:2024/07/07(日) 17:59:44
>>592
これといった生きがいを持たない小野塚にとっては、
一時的な享楽のみが生きる目的と言っても過言ではない。
軽薄な『首は突っ込めるだけ突っ込む』主義が、
その目に好奇心の光を鈍く灯している……とはいえ。
「君に風邪引かせるワケにはいかないしね。
困る人がたくさんいるだろう? あたしと違ってさ」
宗像が雨具を持っていれば濡れながらでも会話を続けたのだが、
きっと相手はそこまで酔狂ではないだろう。
立ち去るのなら、引き止めはしない。
「小銭、拾ってくれてありがとう。
今度は晴れた日に会えれば嬉しいよ」
手をひらひらさせつつ、踵を返して歩き出す。
その歩みはふらつきこそすれ、頼りなさは無くなっている……ように見える。
「ああ……最後にひとつだけ聞いてもいいかな」
ふいに立ち止まり、首だけで振り返って宗像の後ろ姿に目を向けた。
「君、なんの仕事してるの?」
594
:
宗像征爾『アヴィーチー』
:2024/07/07(日) 20:07:54
>>593
小野塚が相対する空虚な双眸からは、
生きる意味や目的といったものは、何一つ見出だせなかった。
ただ果てしない虚無が存在するだけだ。
どれだけの時間が経ったとしても、それは決して埋まる事がない。
「体調を崩してしまうと、以後の仕事に支障が出る事は確かだろう」
同じように歩き出し、徐々に互いの距離が開いていく。
「縁があれば、また顔を合わせるかもしれないな」
特定の『共通点』を持つ者は遭遇しやすい。
だが、そうした出会い全てを、この仮説と結びつけて考えるのは暴論だ。
いずれにせよ、同じ街にいるなら再会する可能性は常にある。
――――――ザッ
「本業は『配管工』だ」
問い掛けに応じて足を止め、振り返る事なく、背中越しに簡潔な事実を口にする。
もし誰かの命を奪う事に金を積む者がいたなら、それは『副業』の領分になるだろう。
この力に使い道があるとすれば、それしかない。
ザッ ザッ ザッ
今度は立ち止まらず、雨が降り注ぐ通りを歩き去っていく。
595
:
小野塚 遥『ブリリアント・レジリエンス』
:2024/07/07(日) 22:25:39
>>594
「へェー……そうかい」
返答に、にいっと笑みを浮かべる。
宗像も自身と同じく『惰性』で生きている人間なのかと、最初は思ったが──
「それじゃあ」「お仕事頑張ってね」
深追いは再会したときに取っておこう。
前に向き直ると、水を一口だけ含み、飲み下す。
所在なさげにペットボトルを揺らしながら、通りの向こう側に消えていった。
「また会いたいよ、まったく」
そんな独り言も、雨の音に紛れてしまったのだろう。
596
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/07/13(土) 12:24:51
ここは花屋
店内には色とりどりの花が置かれている
そして
「き ぼ う の は な 〜 ♪」
頭から鈴蘭が咲いた10歳くらいの少女がいる
花屋なんだからいても不思議じゃないよね
597
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2024/07/14(日) 18:58:49
>>596
花屋の前を、一人の少女が通りかかった。
コツ コツ コツ
真紅の『エンパイアワンピース』の上に、
大きな襟の付いた『オーバーサイズジャケット』を羽織り、
『編み上げブーツ』を履いている。
ジャラジャラジャラ
ジャケットには『ハート』が描かれた『缶バッジ』が大量に飾られている。
キラッ
目元を覆う『サングラス』は、
『花の女王』として知られる『薔薇の色』をイメージした『ローズレッド』だ。
頭の横には『王冠』を模した『ミニシルクハット』が乗っていた。
その姿は『ハートの女王』を思わせる。
「希望なんて抱いても、どうせ最後は裏切られる。
だったら、最初から絶望していた方が救われる」
「フフフ――――ねえ、りんちゃん。
私と一緒に絶望してみない??」
どこかで聞いたような声で、少女がりんに呼び掛ける。
これは…………『闇堕ち』の気配!!
『アリーナ』で格上にボコられた『アリス』は、
なんやかんやあって『ハートの女王』となってしまったのだ!!
なんでかって??だって、そのほうがオモシロそうじゃん!!
『ヤミオチ』ってアレでしょ。
『きかんげんていスイーツ』みたいなもんじゃないの??
あんなくらいでずっと凹んでるワケねーだろ!!
まぁ、さいしょはチョットおちこんだけどな!!
『みっか』くらい!!
「例えば、使おうと思ってたクーポン、有効期間が昨日までだった時…………」
さぁ、おもうぞんぶんゼツボウするがいい!!
598
:
<削除>
:<削除>
<削除>
599
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/07/15(月) 17:41:32
>>597
りんの仕事は公園の花を育てる事
鈴蘭が花の世話をするのは常識だよね
そして今日は、花屋に種を仕入れに来たのだが
そこに突如ハートの女王と化したアリスが襲い掛かって来た!
「あ、アリスちゃん
どうしたのそのかっこう?」
その衣装、
闇堕ちごっこのために揃えたのだとしたら凄い気合の入れようだ
「かわいいねその衣装!」
>希望なんて抱いても、どうせ最後は裏切られる。
>だったら、最初から絶望していた方が救われる
「え、でも希望があるから絶望するんじゃない?」
希望が無ければ絶望も無いし、最初から絶望という事はあり得ない
というのは揚げ足取りだろうか
>例えば、使おうと思ってたクーポン、有効期間が昨日までだった時…………
「それよりアリスちゃん、公園に植える花の種
どうしようか考えてるんだけどアリスちゃんはどう思う?」
効いてないし聞いてない!
600
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2024/07/15(月) 19:36:42
>>599
この衣装セットを用意するのには、かなりの時間と手間を費やした。
だから褒められるのは嬉しい。
いや、うれしいのはダメだ!!
だって、アリスはヤミオチしたんだからな。
『クーポンをシッコウしてテイカでかうコトになってしまったアイスクリーム』みたいに、
いてついたココロでいなければ!!
「フフフ…………絶望とは『希望ゼロ』の状態…………!!
最初から希望を持たなければ、たとえ無視されても何とも思わない…………!!」
でも、何故か心にじんわりくる悲しみがある。
これが…………希望??
私の心に、まだ『希望の花』が残っていたというのだろうか??
いや!!そんなのはマヤカシだ!!
アリス・イズ・デッド!!
「――――『キウイフルーツのタネ』とかどう??」
りんの問い掛けに呼応して、心の奥底に幽閉されたアリスが顔を覗かせてくる。
キウイの花が咲くのは、早くても三年は掛かるらしい。
あ!!『キウイのアイス』とかイイんじゃない??
601
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/07/16(火) 16:00:27
>>600
たった1回の闇堕ちごっこのために何故そこまで
いや、前から持ってた衣装かもしれないし
今後も使うのかもしれないが
「キウイ良いね!
育てるの結構簡単だし、美味しいし!」
「あー、でも花が咲くのに時間がかかっちゃうなぁ」
う〜ん
ちょっと考えるりん
「うん、ここは新しい風を吹かせるために
じっくり育ててみようかな」
つる植物であるキウイは
想定していた花壇に植える花とはちょっと違うのだが
これはこれで育て甲斐がありそうだ
「でも夏の花も欲しいなぁ、何にしようかな」
>あ!!『キウイのアイス』とかイイんじゃない??
ジェラートとシャーベット、どっちが良いかな?
ジェラートはミルクの甘さとキウイの酸味が混ざり合って美味しいし
シャーベットはキウイ本来の味を味わえてシャリシャリの氷のような食感も楽しめる
602
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2024/07/16(火) 17:18:33
>>601
そりゃあ一回きりじゃないからな!!
しばらくは闇堕ち(仮)したまんまだ!!
なんかこう『光を取り戻す的なアレ』が起きたら、
キラキラ輝いてアリスに戻ると思うぞ!!
「『ナツのハナ』…………」
「――――『スイカ』とか??」
おまえのカダン、たべるモノばっかりじゃねーか!!
『カテイサイエン』とカンちがいしてんじゃねーのかァ〜〜〜〜??
ついでにトウモロコシでもそだててみる??
「キウイとスイカのアイスたべたいなぁ〜〜〜〜」
ジェラートとシャーベットを両方用意したら、組み合わせを試すのもいいかもしれない。
ひとりでたべるとオナカこわすから、みんなでシェアしながら…………。
いや、わたしはヤミオチしたからな!!
ジョオウのモノはジョオウのモノ、みんなのモノもジョオウのモノだ。
でも、オナカいたくなるのはイヤだから、みんなにもわけてやろう。
ジブンのフコウをおしつけようとするゴウマンさ。
これが『ハートのジョオウしきサイバン』…………!!
「あ!!コレどう??」
ス ッ
手に取ったのは『ジニア』の種だった。
百日草とも呼ばれるように開花時期が長く、
色や形も豊富で見る人の目を楽しませてくれる。
花言葉は『絆』、『遠い友を思う』、『いつまでも変わらない心』…………。
だから!!こんなんじゃヤミオチになんないんだよ!!
クッ、こしゃくなキボウのハナめ!!
603
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/07/17(水) 18:07:45
>>602
「あぁ^〜スイカも良いねぇ〜」
>キウイとスイカのアイスたべたいなぁ〜〜〜〜
「そう言われたら食べたくなってちゃったよぉ
後でスイカバー買いに行こう!」
ところでスイカって人の頭部みたいだよな
ハートの女王がスイカを提案するという事は
まさか、首をはねろという事の暗喩なのか!?
しかし誰の首をはねればいいんだ?
>あ!!コレどう??
「あぁ、ジニア!良いねそれ!」
ジニアはその美しさもさることながら
管理もし易い事から人気の花だ
「これに決めちゃお」
公園に植える新しい花が決定したようだ
しばらくしたら公園にジニアの花が見られるだろう
それとキウイの蔓
「ありがとうアリスちゃん
あ、そういえばアリスちゃんは何買いに来たの?」
たまたま知り合いがいたから来ただけかもしれないが
花屋に入って来たという事は花を買いに来たのかもしれないし
604
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2024/07/17(水) 20:55:53
>>603
スイカというのは定義が曖昧で、野菜なのか果物なのかよく分からない。
女王様は優柔不断が嫌いなのだ。
このスイカのクビをはねろ!!
なに??コイツにはクビしかないって??
クビしかないならカラダをもってくればいいだろ!!
テキトーなカラダとくっつけてからクビをはねてしまえ!!
さらにソレだけじゃないぞ。
まずミズゼメにしてジューブンひやしておき、
ヨウシャなくきりきざんでから、おいうちでシオもふってやろう。
みせしめのために、ボウでたたいてわってしまうのもたのしそうだな…………。
「今の私は『ハートの女王』…………」
「女王陛下に相応しいのは『薔薇の花』…………」
「そう――――女王は『赤い薔薇』を必要としている」
ハートの女王陛下は、特に赤い薔薇がお好みなのだ。
闇堕ちゴッコの完成度を上げる為に花屋までやって来たのだが、
薔薇の品種は星の数ほど存在している。
赤色だけに限定しても沢山ありすぎて、どれを選べばいいか迷ってしまう。
「だから!!わたしに『にあうバラ』をえらんでほしいなぁ〜〜〜〜!!」
ちなみに『白い薔薇』を勧めてくるような不届き者は、
もちろん首をはねられる事になっている。
それが『ハートのジョオウしきサイバンきそく』の『だい18762じょう』だ。
たったイマきめちゃったからな!!
605
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/07/18(木) 18:04:40
>>604
わざわざ体を付けてからはねるのか…
一般的に果物は樹木になるもので
一年生植物や多年生植物は野菜として分類されるが
スイカやいちご市場では果実的野菜(果野類)として扱われているわけだが
やっぱり女王様的にはいちごも優柔不断だから駄目なんだろうか?
バナナとかは実は巨大な草だし、トマトなんかは野菜か果物かで裁判まで起こしているのだが
こいつらも全員首をはねなきゃ駄目か?
「薔薇かぁ、アリスちゃんに合う薔薇って何が良いかな?」
薔薇のコーナーを一瞥して考える
「薔薇って色で花言葉が変わるんだけど
本数とか状態や組み合わせでも違うんだよね
薔薇だけでこんなに色々花言葉作る人間って凄いよねぇ〜」
あまりにも複雑すぎて
ぜんぶおぼえられるかよ!!って感じだが
「あ、これアリスちゃんに似合うんじゃないかな?」
りんが選んだ黒赤い薔薇
ルイス・キャロルという品種の薔薇だ
香りは強めだが良い匂いがする
606
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2024/07/18(木) 23:31:02
>>605
女王は赤色が好きなので、被告が同色を含む場合は情状酌量される事になっている。
イチゴとトマトは許されるが、バナナには適用されない。
ついでにバナナの首も一緒にはねて、バナナスムージーの刑にしてやろう。
「ほぇ〜〜〜〜りんちゃんはモノシリだなぁ〜〜〜〜。
そんなにバリエーションがホウフだとは、ジョオウのジショにものってなかった!!
このセカイって、やっぱりフシギにあふれてるよねぇ」
視力を得てから色々なものを見てきたが、薔薇の話だけでも知らない事は数え切れない。
無限大の世界を夢見ると、アリスの好奇心が刺激される。
しかし、今はハートの女王。
なんかヤミ??とかゼツボウ??みたいなのにとらわれてるからな。
まだまだアリスにはもどらないぞ!!
「『ルイス・キャロル』!!さすが、りんちゃんはわかってる!!」
勧められた薔薇の花を手に取り、顔の前まで持ってくると、
視覚・嗅覚・触覚を使って十分に観察する。
イメージにピッタリなのも気に入ったが、りんが選んでくれたというのが嬉しい。
光が差し込んでくるような気分だが、心の闇は簡単には負けないのだ。
きっとキボウをあたえてからゼツボウさせようという、
ザンコクなウンメイのイタズラにちがいない!!
いてついたココロをもちつづけるコトこそ、ユイイツのすくい…………!!
「じゃあさ、カイモノがおわったらコンビニでスイカバーかってイッショにたべない??」
だが、今だけは罠に乗ってやる…………。
運命という大いなる敵の手の内を探る為だ。
りんちゃんとイッショにスイカバーがたべたかったワケじゃないんだからね!!
607
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/07/19(金) 20:49:19
>>606
じゃあ白いいちごや青いトマトは許されないのだろうか?
「だよね!
不思議な事がいっぱいで全然飽きないよね!」
アリスちゃんも嬉しそうだし、りんも何だか気分が良い
>じゃあさ、カイモノがおわったらコンビニでスイカバーかってイッショにたべない??
「良いねぇ
じゃあさキウイのアイスも買って食べ比べしようよ
うち奢っちゃうからさ!」
しかしキウイのアイスといえば何が良いんだろう?
ガリガリ君か、それともパピコか
608
:
夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』
:2024/07/19(金) 23:41:37
>>607
暴君に見えて、女王様は心が広いところもある。
赤いイチゴや赤いトマトが仲間を弁護するなら聞き入れよう。
なにかいいたいコトがあれば、ジユウにハツゲンしてもよいぞ。
ん??イチゴやトマトはしゃべらないって??
だったらクビをはねるしかないよなぁ〜〜〜〜!!
「くふふふ…………この薔薇さえあれば、ハートの女王は究極形態に…………!!」
――――――トスッ
ルイス・キャロルを一輪買って、それを王冠型のミニシルクハットに挿してみる。
赤い薔薇が加わって、よりハートの女王らしくなった。
黒みがかっているのが闇堕ちっぽくて、なかなかいい感じだ。
「パワーアップした女王の力、りんちゃんに見せてあげる!!」
バ ッ !
ポケットから取り出したのは、ガリガリ君の当たり棒だ。
ちゃんと洗ってから乾かして、サランラップに包んであった。
クーポンは失効してしまったが、これを使えばガリガリ君と交換できる。
「よし!!ついでにパピコもかってシェアしちゃおうぜ!!」
ゼンブひとりじめしたらオナカいたくなるからな。
りんちゃんにもフコウをおすそわけだ!!
ハートのジョオウのおそろしさを、このよにタップリとしらしめてやる!!
609
:
りん『フューネラル・リース』
:2024/07/20(土) 14:11:46
>>608
アタック・オブ・ザ・キラートマトでトマトが喋ってたし
トマトは喋るかもしれないしキラーイチゴだっているかもしれないじゃん
「ガリガリ君の当たり!?
凄いよアリスちゃん、レアじゃん!」
赤城乳業は当たりの確立を公表してはいないが
一説には4%くらいらしい
交換するより棒のまま取っとくか
メルカリに出してマニアに売った方が……
いや、こういうのはアイスと交換するのが楽しいのだろうか?
ともかく、
これからコンビニでアイスを買いに行こう!
って話だが、アイスの話をしていたら
ふとりんにある考えが過った
「鈴蘭の実のアイスなんてどうかな?」
鈴蘭の実の果汁を豪勢に33%配合
果肉もたっぷり入れて本格的な鈴蘭を味わえる鈴蘭アイスだ
鈴蘭の実は赤いから女王様も気に入るだろう、多分
問題は普通の人間が食べれば即死するだろうという事だが
610
:
花園嵐麻『サクラ・フィズ』
:2024/07/31(水) 22:24:23
「クソ暑ぃ」
商店街を歩いている女がいる。
買い物にでも来ているのだろうか。
「……っ!」
ガシャガシャと大きな音がして、何かが倒れた。
「自転車かよ……」
どうやら放置自転車を倒したようだ。
「クソ……」
611
:
有鹿 真冬『アルカディア』
:2024/08/01(木) 20:30:03
>>610
段ボールが荷縄で括りつけられた放置自転車。
この猛暑の中で持ち上げるの相当怠い。
「………」
後方から『鹿角』の生えたカラフルな『エゾユキウサギ』を引き連れた少年がやって来る。
倒れた自転車を目にすると近寄り『エゾユキウサギ』が『鹿角』で荷物を持ち上げ、少年は自転車の方を持ち上げて元に戻した。
『キィキィ!』
『キュルルっ!』
「はいはい…」
少年は手慣れた様子でランドセルから人参を取り出すと『エゾユキウサギ』に投げつけた。
人参をジャンプして得た『エゾユキウサギ』はバリバリと食しながら歩き始める。
612
:
花園嵐麻『サクラ・フィズ』
:2024/08/01(木) 21:20:12
>>611
「……あ?」
汗で濡れた長く黒い髪をかきあげる。
かちり、と丸いサングラスのツルが鳴った気がした。
「なンだ、幻覚でも見てんのか……?」
「おいお前、今のはなんだ?」
613
:
有鹿 真冬『アルカディア』
:2024/08/01(木) 21:43:55
>>612
「んっ、あぁ、居るもんなんだなぁ…スタンド使い…」
「この人参食べてるのはぼくの絶望から発現したスタンド。
なんだけど、そうは全然見えないよね」
「スタンド能力見せれば、一発で世界恨んでるって分かるよ」
濡羽色の髪を背中にまで伸ばしたユニセックスな風貌。色素の薄い黄金の瞳。人間性を感じさせない優美な顔立ちの少年のノリは軽かった。
スタンドも『鹿角』が生えたカラフルな『エゾユキウサギ』で世を恨み尽くそうだなんてヴィジョンには欠片も見えない。
というより小学6年生がそんな精神構造しているはずがない。
614
:
花園嵐麻『サクラ・フィズ』
:2024/08/01(木) 22:05:08
>>613
「あん?」
「見た目によらねぇって話なら別にここじゃなくても聞く話だろうな」
「あ、チャリに関しては礼を言うよありがとう」
ガシガシと頭を掻きながら。
「絶望だとかなんだとか、よく知らねぇけどな」
「まぁ鹿の角生えてるウサギがまともなわけねぇだろ」
615
:
有鹿 真冬『アルカディア』
:2024/08/01(木) 22:23:37
>>614
「あぁ、困ってる人が居たら助けるのは普通だからね」
「こいつは『ジャッカロープ』って未確認動物にそっくりなんだって」
「それでは用がなければこれで…」
お辞儀をすると『エゾユキウサギ』を伴って待つものの居ない屋敷へと帰る。
616
:
花園嵐麻『サクラ・フィズ』
:2024/08/01(木) 22:33:00
>>615
「へぇ、そうかよ」
「そんじゃな」
商店街を歩いていった。
617
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/06(火) 17:57:06
ギラギラと太陽が照り付ける夏の昼
例年よりも暑い気温、はっきり言って今の夏は異常だ
そんな炎天下の中を水分補給もせずに数時間を歩いていれば…
「……」バタン
倒れるのは当たり前だ
618
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2024/08/06(火) 19:35:34
>>617
ゴシック風のドレスを身に纏い、羽飾りの付いた帽子を被った女が通りかかった。
レースの長手袋に包まれた両腕で、『青い眼の西洋人形』を抱きかかえている。
倒れている甘城を見つけると、その場に人形を置き、早足で近寄っていく。
ザ ッ
甘城に肩を貸すような形で木陰のベンチに連れていき、一旦そこに寝かせる。
もし意識があれば、女の身体が妙に硬く冷たい事に気付くかもしれない。
帽子の陰から覗く肌の色も、まるで死体のように白かった。
ソ ッ
近場の自販機で買ったミネラルウォーターを持って、
甘城の上体を優しく起こし、ゆっくり水を飲ませようとする。
619
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/07(水) 18:25:52
>>618
「……」ぼーっ
熱で朦朧とする意識の中、
硬くて冷たい女に肩を貸されている事を何となく感じる
この感触は何だ?
という事を考える事も出来ない
意識が朦朧としているんだから
手足が痺れてきた
熱中症の初期症状の一つとして熱痙攣というのがある
家の中にいても起こり得る症状なので、身に覚えのある人もいるかもしれない
少しでも兆候が見られるようなら早急に熱中症対策をしよう
しかし良い感じに温まったきた…
今OS-1を飲めば絶対に美味いはずだ
平時ではただしょっぱくて不味い水でしかないが
極限状態の脱水症状に陥った時、OS-1は神の飲み物となる
OS-1はどこに入れてたかな…
そんな事をぼーっと考えていたら、口の中に別の冷たい水が入り込んでくる
「……」
これはこれで美味い
こういう時、一気飲みしたくなるが
それは却って危険なんだ
少しずつ飲まなくっちゃいけない
このミネラルウォーターはどのブランドなんだろう?
620
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2024/08/08(木) 04:38:49
>>619
甘城をベンチに運び、水を飲ませている女。
意識が明瞭な状態であれば、人間ではない事に気付けただろう。
血の通わないボディは『FRP』――強化プラスチック製だ。
端的に言えば、それは『マネキン』だった。
リトル・メリーが傷付いた際に修理してくれる、
『老舗人形屋』の主人である『マダム』が貸してくれたのだ。
『メリー・バッドエンド』の能力で『魂』を移し、時々こうして散歩している。
メリーは人形なので、人間のように大きくならない。
仲良くしてくれた子供達が大人になっても、メリーは変わらないままだ。
だから、たまに『大人を模した体』に入ってみたくなる。
もし、今後お金が手に入るような機会があれば、
借り物ではない『新しい体』を買いたい。
どこかに現存しているかもしれない『姉妹』を探す為にも、
『ラージサイズ』のボディがあった方が便利なのだ。
ちなみに、現在の身長は『176cm』。
手足もスラリと長く、まるでスーパーモデルのようなプロポーションだ。
いつもならメリーの方が遥かに小さいのだが、いまは背丈が逆転している。
甘城が口にしているのは、主に東海地方で販売されている『北アルプスの天然水』。
雄大な北アルプスの山々を背景に、
オオルリとシナノキンバイがデザインされたラベルが貼られている。
軟水なのでミネラルの含有量は多くない代わりに、口当たりが柔らかく飲みやすい。
メリーは人間ではないが、人間の事は知っている。
人間は暑いと具合が悪くなり、倒れたまま放置すると死んでしまうという事を。
人間はいつか死ぬ。
でも、メリーは甘城に死んで欲しくない。
だって、大切な友達だから。
リトル・メリーは甘城天音を助けたかった。
だから、水を飲んでいる様子を見て、少し安心した。
熱中症の苦しさは分からないが、きっと辛いのだろうと思う。
甘城が飲むペースに合わせ、零さないように注意しながら、介抱を続ける。
621
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/08(木) 18:09:25
>>620
プラスチック製の硬くてひんやりと冷たく、生気を感じさせない体
これがもっと柔らかかったら、お迎えに来た天使のように見えたかもしれない
でもそうじゃないんだ、これはマネキンなんだ
マネキン…?マネキンが何で?
何故マネキンが生きているかのように動いている?
メリーが動かしているという事に気付いていないあま公
マネキンが何故助けてくれるのか?
「…誰?」
マネキンに知り合いはいないはずだ
カラカラの砂漠を彷徨い、やっと見つけたオアシスの水のように
冷たい水が体に染み渡り、生命力が復活するのを感じる
この状態でなら水の微妙な甘みをより美味に感じ取る事が出来る
だがやはり、脱水症状の時に適するのはミネラルウォーターより真水
更に言えば真水より経口補水液
「…ありがと」
少しは持ち直したようだが、水を飲んで即復活!という事にはならない
622
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2024/08/08(木) 21:22:00
>>621
いつだったか、甘城とメリーは『I県N市』に旅行し、
『ナナちゃん』の名前で親しまれる巨大マネキンに『魂』を移した事があった。
その時に『メリー・バッドエンド』の能力は見せていたが、
意識が朦朧としている状態で思い出すのは難しいだろう。
ナナちゃんは『6m10cm』なので、
まるでサイズ感が違うというのも影響しているかもしれない。
本体の『西洋人形』は放置されている。
人形は熱中症にならないし、なにより甘城の事が心配だった。
いつも優しくしてくれたから。
「今、冷やしてあげる」
シュル…………
レースの長手袋を外すと、それを冷たい水で濡らし、甘城の首に巻く。
……………… ……………… ……………… ……………… ………………
メリーは飲み食いしないので、汗をかいて塩分が不足しているという感覚が分からない。
とりあえず水をあげたり身体を冷やしたのだが、他に何をしたらいいだろうか。
そう考えながら、甘城の容態を見守る。
「これは『お薬』?」
甘城の荷物かポケットの中から、『OS-1』が覗いているのが見えた。
寄贈先の学校関係者によって秘匿され、戦時中の破壊を免れたメリーは、
ずっと日の当たらない場所で忘れ去られていたので、知識には大きな空白がある。
OS-1も知識にはなかった物だが、『病者用』と書いてあるし、
なんとなく薬のような雰囲気を感じたのだ。
――――――ソッ
それを引っ張り出し、甘城の手に握らせる。
623
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/09(金) 17:52:22
>>622
首を冷やすのはかなり効果的だ
熱された体を冷却するには、太い動脈が通った所を冷やすのが良い
比較的涼しい木陰の下、冷たい水を飲み冷たい手袋で首を冷やす
マネキンの介抱に心地良さを感じるが
> ――――――ソッ
「塩水」
マネキンが握らせてくれたos-1を上手く握れず落としてしまった
手の痺れは治っていない
624
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2024/08/09(金) 20:56:45
>>623
塩水が病者用というのは、正直よく分からなかった。
それはそれとして、落としてしまったからには、代わりに飲ませなければならない。
OS-1を拾い、封を開けて甘城の口元に持っていく。
「天音ちゃん、しっかり」
名前を呼びながら、おそらくは効き目がありそうな液体を注ぐ。
地面に腰を下ろした状態で、その様子を見つめる西洋人形。
そこに『魂』は存在しない。
ただガラスの瞳が目の前の景色を映しているだけだ。
心が宿ったのは、いつの事だったのか。
メリーには分からなかった。
しかし、友達を助けたい気持ちは本物だ。
人の気持ちを推し量るのは難しい。
それでもメリーは甘城の事が好きだ。
意地悪な人間は嫌いだが、甘城は違うと信じている。
そう信じていたかった。
625
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/10(土) 19:30:37
>>624
ご丁寧に保冷バッグに入っていたos-1はまだ冷たい
塩が入っている水だから間違ってはいないが言葉足らず
ただ水に塩を適当にぶち込めば良いというものではなく
食塩とブドウ糖を適切な量で溶かさなければいけない
健康な時にこれを飲むと、ただしょっぱいだけのまっずい塩水だ
もしこれが美味しく感じたら
「…あまっ」
ごくっ、ごくっ
さっき飲んだ北アルプスの天然水も美味かった
喉が潤うという言葉がしっくりくる爽やかさだ
しかしこれは、それを数段上回る
体中から抜け落ちていたものが満ち足りるような何かを感じる
平時はまずいとしか思えないそれが、甘くてこの世の何よりも美味い神の飲み物のように感じる
この状態は死に近い危険な状態だ
飲むのを止められずつい一気飲みしそうになる
この瞬間のために灼熱地獄を歩いていたと言っても過言ではない
「っ」こほっ
むせた
一気飲みしようとして気管に入ってしまったか?
626
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2024/08/11(日) 22:41:20
>>625
貪るように飲み続ける甘城を見ていると、だんだん興味が湧いてきた。
『親善大使』としてやって来たメリーは、人間に対して関心を抱いている。
また、それが友達なら尚更だ。
メリーに飲食は必要ないが、『味』を感じる事は出来る。
試しに、指先に付いた雫を唇に当ててみた。
「――――――?」
あんなに勢いよく飲むくらいだから、さぞ美味しいものかと思いきや、
意外にもビックリするほど美味しくなかった。
これが『大人の味』なのだろうかと思う。
それとも『人間にしか分からない味』なのかもしれない。
実際、生理現象が存在しないメリーにとっては、
いつ味わっても『しょっぱい水』にしかならない。
同じ味を共有できないのは、ちょっぴり残念だった。
「天音ちゃん、大丈夫?」
スリ スリ スリ
メリーは気管もないので、人のようにむせる感覚は分からないが、
友達が苦しんでいる姿を見るのは辛い。
硬くて冷たいマネキンの手が、甘城の背中を優しくさする。
少なくとも最初と比べると、体調は良くなったように見えるが、どうだろうか?
627
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/12(月) 18:31:49
>>626
まだ頭はじんじんするし若干吐き気もして気分は悪いが
それでもさっきよりは幾分か良くなった
「だいじょうぶ」
と言いつつ咳き込んでいる
大丈夫じゃない奴ほど大丈夫と言いがちなので
大丈夫じゃない奴の大丈夫という言葉はあまり信じてはいけない
ぴとっ
自分の頭に指先を触れる
一瞬、スタンドの指が本体の指に重なり発現する
どさぁ
するとあま公の頭につめた〜いかき氷(スイ)が出現する
お前マジシャンみたいだなぁ?
多分、メリーには見せた事の無い能力だ
スイなのでシロップはかかってないようにも見えるし
一見すると氷雪系の能力に見えるかもしれない
「ありがと、メリー」
大分思考力が回復してきて気付いたようだ
マネキンの知り合いはいないが、人形を操る人形の知り合いはいる
628
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2024/08/12(月) 21:01:32
>>627
メリーは甘城の能力を初めて見るし、何だったらスタンド使いである事さえ知らなかった。
メリーの声は一般人にも聞こえるからだ。
しかし、甘城がスタンドを持っていた事に対しては、さほど驚きはしていない。
むしろ喜ばしく思う。
OS-1の味は共有できなかったが、スタンド使いという共通点を見つけられたのだから。
「ウフフフフフ、どういたしまして」
表情の変わらないマネキンが楽しげに笑う。
友達を助けたくてやった事だが、お礼を言われるとやはり嬉しい。
それなりに回復してきた事を確認し、安心して『本体』を拾い上げる。
甘城もよく知る赤いドレスを着た西洋人形。
今は本当に『ただの人形』だ。
「わぁ、天音ちゃんは『氷』を出せるのね」
目撃した現象を氷雪に関わる能力だと考え、興味津々といった様子で見つめる。
「あのね、メリーは『メリーランド』から来たんだけど、
冬になるとたくさん雪が降るの。でも、ここはあんまり降らないから――」
『メリーランド州』の冬は非常に寒く、降雪量も多い。
『S県』は三方を高い山に囲まれているので、
雪を降らせる雲が近付きにくいという地理的特徴がある。
そのせいか、こちらに来てからは、あまり雪を見た記憶がなかった。
「なんだか懐かしいっていう気持ちになるの」
かき氷と雪はだいぶ違うのだろうが、砂糖水だけのスイの見た目は雪に似ている。
だから思い出したのかもしれない。
今となっては遠い日の思い出だった。
629
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/13(火) 18:58:31
>>628
「メリーランドから来たからメリー?」
というのは安直か?
ぽた ぽた
異常な熱気に晒されて溶け始める氷
手でちょっと掬うと、溶け始めた春の雪のような感触がする
すっ
何気なく掬った氷をメリーに向けてみる
「雪、食べる?」
いきなり何言ってんだこいつって感じだ
懐かしいからって普通に雪は食べないだろうし、ましてや人形だぞ
630
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2024/08/14(水) 19:42:44
>>629
「メリーがメリーランドに来る前は、よその国にいたの。
その時からメリーだったかしら?ウフフフフ、忘れちゃった」
元々メリーが製造されたのはアメリカ国内ではなく、
メリーランドに因んで名付けられたかどうかは分からないようだ。
「ウフフフフフ、天音ちゃんはどうして天音ちゃんなの?」
差し出された『雪』を見て、その一部を人差し指で掬い取り、自らの唇に触れさせる。
ピト
「――――甘いわ。まるで『かき氷』みたい。
ウフフフフ、とっても美味しいお味ね」
『ビター・スウィート・シンフォニー』の生み出す『スイーツ』は非常に美味。
それくらいはメリーにも分かる。
そして、なんとなく『お菓子を出す能力』という事も理解できた。
「ありがとう、天音ちゃん。メリーの事、気にしてくれて」
631
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/15(木) 18:47:25
>>630
>ウフフフフフ、天音ちゃんはどうして天音ちゃんなの?
名前を付けるのには何か意味がある事もあれば
特に意味もなく何となくで付けられる事もある
この場合はどっちなのか
意味があるなら、本人はその由来を知っているのか?
>――――甘いわ。まるで『かき氷』みたい。
>ウフフフフ、とっても美味しいお味ね
「食べた事あるの?かき氷」
かき氷が完全に溶けていく
BSSで出した物は5分で消滅するという制約があるが
それとは関係無しに異常な気温に氷が溶かされる
再び指を頭部に触れ、かき氷を出す
真っ赤なシロップが全体にかかったやつだ
べちょ…
かき氷が熱に溶かされ崩れると、
頭から真っ赤な血を流血させているようにも見える
自分から血のような匂いがするような錯覚に陥る
実際はそんな事はなく、いちごシロップの匂いがするのだが
匂い五感の中でも記憶に最も強く紐づくもので
血のようなかき氷が液体になり流れるのを見ると、血の匂いを思い出してしまう
よろ…
まだ本調子ではないが立ち上がろうとする
632
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2024/08/15(木) 20:05:54
>>631
「メリーは天音ちゃん達みたいに物を食べないけど、
この味は確かめてみた事があるの」
以前、甘城が学校で自分を傷付けていた時、
メリーは他の生徒や教師が気付くように仕向け、すぐにその場から離れた。
そうした理由の1つは、小さな身体では助けられないと悟ったから。
もう1つの理由は、『血を見ると興奮してしまうから』だ。
メリーの嫌いな人間なら、どれだけ血を流そうが構わない。
むしろ、もっと血を流させてやりたいと思う。
だが、友達が血を流すのは見たくなかった。
しかし、血を見ていると気持ちが昂る。
気持ちが昂ってくると、友達を傷付けてしまいそうになる。
そうしない為に、あの時メリーは逃げた。
「天音ちゃん――――」
もう片方の手袋を外して、ペットボトルに残っていた水で濡らし、
それを使って『甘城の血』を拭う。
もちろん正確にはシロップだ。
だからこそメリーは正気を保っていられる。
「メリーの事、頼ってね。今はメリーがお姉さんだから」
片手で『本体』を抱きかかえると、甘城が倒れないように背中を支えて立ち上がる。
その背丈は甘城よりも高く、頭1つ分以上の差があった。
あの時に助けられなかった代わりに、今日は最後まで付き添いたい。
「ウフフフフフフフフフフフフフフフフ」
633
:
甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』
:2024/08/16(金) 15:59:30
>>632
「…じゃあ、頼る」
ふらふらとした動きで大分危なっかしいが、
冷たいマネキンに支えられているおかげで倒れないでいられる
「…日傘買お」
日傘を買いに再び日向の道へ出る
せっかく血を拭ってもらったが、
暑くなったらまた真っ赤な氷を頭に乗せる
マネキンはまたその血を拭うのだろうか?
暑い夏の昼間の公道を、
頭から大量の血を流しながら、
人形を抱えるマネキンに支えられながら歩く人間が複数の通行人に目撃される
こういうのがネットに拡散されたりして都市伝説の元になるのだろうか
634
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/21(土) 12:58:56
9月後半だというのにギラギラと強烈な日差しが照り付ける
帽子でも被ってなきゃ暑くて死んでしまうだろう
ヒュウゥゥゥ
風が吹くと子供用の白い帽子が飛んで来る
635
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/22(日) 11:55:32
>>634
「ふー…ふー…」
黒一色で固めた服装の少女が
エリーの近くを暑そうな顔で歩いている。
(ふ、普通の格好すればよかったのだわ…)
マオは自分は魔王なのだ!と自信満々に今の格好をしているのだが、
流石に9月も過ぎて今なお暑すぎる状況では挫けそうになっているようだ。
そんな時
ひゅぅぅぅう
ポスッ
「おや?」
飛んできた白い帽子がちょうどよくマオの頭に被さった。
「こ、これは…!」
自分の頭に乗っかった帽子を見てキラキラとした目をする。
「かっこいい!」
636
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/22(日) 12:25:16
>>634-635
ちょうど時を同じくして――――――。
ジリジリジリジリジリ
「あ………………暑い………………」
奇しくも2人と同年代の少女が、太陽の照りつける星見街道を歩いていた。
三つ編みにしたプラチナブロンドの髪に、
宝石のようなエメラルドグリーンの瞳を持つ端正な顔立ちだ。
『有名私立幼稚園』の制服を着こなし、大きな『テディベア』を抱いている。
「――――んん?」
ジィッ
「どこかで見たような…………?」
前方の2人に『見覚え』を感じ、足を止めて注視する。
もしかしたら同じ幼稚園に通っているのかもしれないし、
すれ違ったことがあるのかもしれないし、ただの勘違いかもしれない。
とにかく2人を観察していたのだ。
637
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/22(日) 17:38:33
>>635-636
黒という色は熱を吸収しやすい
こんなジリジリギラギラと馬鹿みたいに太陽が頑張っている日中に
黒で統一した服装はハッキリ言って……自殺に等しい!
そんなマオの頭にポスッとうまい具合に乗っかってきた白い帽子
天の恵みか?
たかが帽子と侮る事は出来ない
白い帽子は頭にかかる日差しを遮断し幾分か暑さが和らぐ
「あ、あぅぅ…」
マオの前に5歳くらいの女の子が出て来る
銀色の髪が特徴的で身なりも綺麗でそこそこ育ちは良さそうだ
「あの…あ……の……」
何か言いたげな感じだがうまく言葉が出ない
638
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/22(日) 20:42:54
>>637-638
「これは天のめぐみ…
じゃなくてじゃあくな神さまが
わたしにくれたのだわ!」
誰かの落とし物という考えがすっぽりと抜け落ちたように喜ぶマオ。
「とてもすずしくかんじるのだわ!」
と、喜んでいたところで誰かが近づいてきた。
それは銀髪の髪の女の子。
自分と同じくらいの見た目だ。
「あら、このわたしになんのようかしら?
とてもかっこいいかみのけしてるのね。」
銀髪の女の子をジロジロと見ながら答える。
どうやらマオから見ればかっこいいらしい。
「…もしかして、このぼうしがほしいのかしら?」
どうにも彼女は眼の前の少女の落とし物だと気づいていないようだ。
…そんな様子を観察するダイアナ。
マオは常に黒っぽい服を着ているためわかりやすいだろう。
同じ幼稚園にマオは通っているのだ。
ダイアナはやたら態度がでかい女として対抗意識を持っている…かもしれない。
639
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/22(日) 21:47:18
>>637-638
片方が『知り合い』であることに気付いた瞬間、
うだるような暑さも吹き飛んでしまった。
「――――六条…………マオ…………!」
ダイアナの好きな言葉は『権威』・『権限』・『権力』である。
ゆえに、『魔王』を自称しているマオが気に食わないのだ。
『頂点』は1人でなければならない。
「フフン!相変わらずマオはお子様ね!
どうせ、また『魔王』とか言ってるんでしょう?
『邪悪な神様』だなんて、そんなものがいる訳ないじゃない」
ズイズイズイズイズイ
無遠慮に2人の前まで歩み寄っていき、鼻を鳴らしながら口火を切る。
「世間知らずなマオに教えてあげるわ。
この世で一番エラくてスゴいのは『CEO』よ!
『CEO』っていうのはね…………」
「…………その、えっと」
勢いで言ったものの、言葉に詰まるダイアナ。
実際のところ、それが何なのかは彼女も知らなかった。
ダイアナの父親はCEOなのだが、具体的な仕事内容などは把握していない。
「あっ、あなた!なかなかキレイな髪じゃない!
まぁ、わたしには負けるけど?フフン!」
とりあえず誤魔化す為に、慌てて話の矛先をエリーに向けた。
マオの言う通り、確かに見事な銀髪だと思う。
しかし、ダイアナも負けてはいない……はず。
プラチナブロンドは白に近い金髪で、透明感が強く美しい髪色だ。
再びマオに視線を戻した時、頭の上に載った帽子が目に留まる。
「どうでもいいけど、『白い帽子』だなんてマオらしくないわ。
それ、ホントにマオの帽子なの?」
訝しげな表情を浮かべて帽子を指差す。
『黒』で固めた服装に『白』は目立つ。
マオの好みを知っているだけに、腑に落ちないものを感じた。
640
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/23(月) 18:48:25
>>638-639
(今更だけど、エリーも二人と同じ幼稚園に居る可能性もあるので見た事はあるかもしれないし
すぐ気付かったのも地味な陰キャだからで説明が付くし、知らなかったとしてもクラスが違うからで説明が付く
そもそも通ってるところが違っても全然問題無いが)
「あのっ、わた、わた……」
>あら、このわたしになんのようかしら?
>とてもかっこいいかみのけしてるのね。
「うぃ、カッコイイ…?」
そう言われると両手頭を抑えながら顔を隠す
けどちらっと隙間から顔を見せている
>…もしかして、このぼうしがほしいのかしら?
「あ…や、わたし、しの…
カエシテクレメン」
と、何か言いかけた所で
>――――六条…………マオ…………!
挑戦者が
現れました
「うぎゅっ!?」
いきなり大声を出さないでほしい
びっくりして心停止するかと思った
心の底からエリーはそう思った
>あっ、あなた!なかなかキレイな髪じゃない!
>まぁ、わたしには負けるけど?フフン!
「え、え?」
CEOが分からなくて明らかに話題逸らしに使われた事は分かる
どんなに鈍くても分かる
「あ、ありがとうやで…」
まぁそれでも褒められればうれしいものではある
それはそれとして隠したい、隠さなきゃという焦燥感のようなものがじわじわとエリーの精神を侵食していく
>どうでもいいけど、『白い帽子』だなんてマオらしくないわ。
>それ、ホントにマオの帽子なの?
「あ、あの、でも…」
「黒い服に、白い帽子……アンバランスでかっこいいと思います、ヤデ…」
「ワタシノダケド」
最後は物凄い小声だった
641
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/23(月) 21:06:52
>>639-640
「む?誰かと思ったら…
えーと…ダイちゃんだったっけ?
わたしはおこさまじゃなくて『さいきょうの魔王』…予定!よ!」
やたら馴れ馴れしい態度で答えるマオ。
果たしてこのようなあだ名っぽい名前はダイアナにとって受け入れられるものだろうか。
「しーいーおー…
ふん!『えいご』がみっつ言えたくらいでえらいわけないもの!
わたしなんてえいご『えー』から『ぜっと』までいえるのだわ!」
ダイアナが偉くてすごいといった言葉。
マオにもよくわからないようで、単なる英語の羅列とでも思ったのだろう。
ふん、と偉そうに鼻を鳴らしながら答える。
「あ、このぼうしはね。きゅうにどこかから飛んできたのよ。
しかもちょうどあつくてしょうがないときに。
きっとおくりものに違いないのだわ!」
見栄えがかっこいいせいなのか、彼女はすっかり自分のものっぽく感じているらしい。
「それで、あなたは…その、なにかしらー?」
顔を隠しながら様子をうかがってくるエリーをジロジロ見ながら首を傾げる。
「ふふふ、このかっこいい髪の子もかっこいいといっているのだわ!
もしかしてとても似合ってる?」
そう言ってエリーをじっと見る。
「…さきほどからなにかいいたそうなのだわ。
きぶんがわるいのかしら?」
ここで少し心配そうな顔になってエリーを見つめる。
642
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/23(月) 23:58:13
>>640-641
ダイアナとマオが通う幼稚園は『有名私立幼稚園』である。
歴史の長い『名門』だが、ただ伝統を重んじるだけではなく、
新しいものを取り入れることにも積極的だ。
徹底した『少数精鋭主義』として知られ、
入園者の定員が少なく、入園できる子供は限られる。
教育の特色としては、『今日のニュース』と名付けられた活動が挙げられるだろう。
園児自身がテレビや新聞などのメディアを見て、
それぞれの価値観に基づいて『気になったニュース』を、
皆の前で発表するというものだ。
これは『社会との関わり』を育てる為の場であり、世の中に関心を持ったり、
友達の発表を聞いて新たな興味を芽生えさせる目的がある。
発表の内容は多種多様で、『気温の変化や天気』を始めとした身近な話題から、
『事件や事故』といった社会問題、はたまた『世界情勢』にも及び、
園児の個性によって視点は様々だ。
ちなみにダイアナは、よく『政治や経済』を取り上げるが、
背伸びしているだけなので、あまり理解していないことが多い。
歴代の制服は『有名ファッションデザイナー』が手掛けており、
『現在の制服』をデザインしたのは『ダイアナの母親』だ。
ダイアナが幼稚園の外でも『制服姿』なのは、その辺りに理由があるのかもしれない。
なお、今の彼女は『冬服』と共通の『エンブレム』が入った『夏服』を着用している。
だから、暑さの度合いはマオより幾分かマシだった。
制服には『帽子』も含まれているので、日差しも防げている。
「まぁ、アンバランスなファッションも悪くなさそうね。
なかなかセンスがいいじゃない」
エリーの言葉を肯定しつつ、ここぞとばかりに続ける。
「ところで、わたしのママは『ファッションデザイナー』なのよ。
この制服もデザインしたの!フフン!」
ク ル リ
あからさまに得意げな表情で、モデルのように回ってみせる。
「あなた、やっぱり会ったことある気がするわ。
フフン、わたしは『ダイアナ』。
さぁ、名乗られたら名乗り返すのが礼儀よ」
ジッ…………
髪を隠そうとする心境には気付かず、改めてエリーの容姿を注意深く観察する。
『同じ幼稚園に通っているかどうか』は、そこから判断できるだろう。
さっき分からなかったのは見落としただけかもしれない。
(――今、『わたしのだけど』って聞こえたような……?)
と――――――
「『Bloody hell』!!」
マオに向けて発した言葉は、
女王陛下も使う由緒正しきイギリス英語の『スラング』で、
『そちらの血』が濃いダイアナも口走る機会が多い。
直訳すると『血の地獄』だが、そんなおどろおどろしいものではなく、
分かりやすく言えば『クソ』という意味だ。
要するに、アメリカ英語の『fuck』と同じだと思っていい。
「ほんのチョットだけ『カチン』ときたけど……
わたしは心が広いから許してあげるわ。フフン」
『ダイちゃん呼び』に関しては『一応』許されたようだ。
ダイアナは極めてプライドが高い。
ついウッカリして軽くキレてしまったが、
あだ名くらいで腹を立てる狭量な人間だと思われたくなかった。
「だって、わたしは『自分だけの椅子』を手に入れたんだもの。
この世で『わたしだけ』が座れる『わたし専用』の『椅子』。
『どうしても見せて欲しい』っていうなら、
特別に見せてあげてもいいわよぉ?」
あくまでも上から目線でマオに宣言する。
本当は見せたくて仕方ないのだが、自分から見せるのはプライドが許さないようだ。
もちろん、マオやエリーが『同じ力』を秘めていることは知らない。
643
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/24(火) 20:22:20
>>641-642
エリーも所謂上流階級・富裕層・上級国民であるので
狭き門を(親の力で)潜り抜けたのだろう
本人が望んでいたか知らないが、幼稚園の選択なんて親の意向で本人の意思が介入される事は基本無いだろう
しかしそんな制度の園で極度の恥ずかしがり屋でいつもどもってる陰キャがやってけれてるのか?
という不安はあるが…
いつも帽子を被って髪を隠してて
常におどおどしてて友達のあんまりいなさそうな影の薄い陰の者で
・・・・・・・
それに何故かいつの間にか姿が消えている事が多いので、印象が薄くて気付かれなかったとしても何ら不思議はない
単にクラスが違うから知らないのかもしれないが
ただ、ダイアナとマオは色々と自己主張が強いので絶対目立つはず(と思う)
なので、エリー側からは二人は知っている
「あの、エリー…でっす…」
名乗りを返せと要求してくるダイアナに応える
「あぁ、ぁぅ…」
何か言うとしているが、
これは恥ずかしがっているとかそういう声ではない
気分が悪いのだ
強烈な紫外線に帽子も無しに晒されて、紫外線に白肌が深刻なダメージを受けている!
「ぼうし、カエシテクレ…メンシュ…」
命を振り絞るような思いで出した声で言い終わるとその場にへたり込んだ
644
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/24(火) 22:36:05
>>642-643
「ぶら…?きゅうにどうしたの?」
幸いマオはまだ子供である。
その恐ろしいスラングの意味は理解できず
驚いた顔になっている。
だが、彼女の態度に改めて表情を変える。
「い、いす?しかもダイちゃんだけの!
それはとてもきょうみぶかいのだわ!
わたしもかっこいい『魔王のイス』がほしいのだわ。」
どうやら興味津々だ。
見てみたい感じのようだが…
そしてエリーがひどく疲れている様子であると見ると
「あ、とても暑そうなのだわ。
…帽子…もしかしてこれは…」
そう言って帽子を外して、エリーの頭に被せる。
「なるほど、これはあなたのもののようにみえるわ。
わるいことをしたかしら。」
似合う似合う、と頷きながらエリーに返す。
645
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/25(水) 02:14:23
>>643-644
ダイアナは自分が1番でなければ気が済まない。
発表では誰よりも褒められようとするし、遊具を使う時にも一番乗りを目指す。
それらが成功しない場合も多々あるが、
目立ちやすいのは間違いなく、捜そうと思えば簡単に見つけられた。
「そう、『エリー』よ!やっと思い出したわ。
あなた、急にいなくなるから覚えにくいのよね!」
さっきまでいたかと思ったら、いつのまにか消えている。
そんな出来事は何度かあった。
しかし、3人が通う幼稚園の敷地は広い。
きっと他の場所で遊んでいるのだろうと考え、今までは特に気にしていなかった。
だが、考えてみれば不思議なことかもしれない。
「フフン!そうでしょうね。見たくて仕方ないでしょう?
わたしの『特等席』!『玉座』!『権力者の椅子』だもの!」
聞きかじった知識で壮大な言葉を並べ立てるが、深い意味はない。
スゴそうに聞こえればいいのだ。
ともかく『期待通りの反応』が返ってきて、ダイアナはご満悦だった。
「マオの『お願い』に応えて、特別に見せてあげるわ」
「フフン!」
――――――ストン
ほくそ笑んだダイアナが、その場で『腰を下ろす』。
その瞬間、『半透明の椅子』が実体化した。
彼女のスタンドは特殊な発現条件を持ち、
『椅子に座る動作』によって、本体を支える形で現れる。
「これが『わたしだけの椅子』よ。どう?スゴいでしょう!」
肘置きの上で頬杖をつきながら、生意気に脚を組んでみせる。
年齢と身長に反比例した『態度の大きさ』は、マオに勝るとも劣らない。
マオが『魔王』になりたがるように、ダイアナは『権力者』に憧れているのだ。
それは『ファンタジー』と『リアル』の対比とも呼べるだろう。
ただ、『頂点を狙う』という姿勢から言えば、意外に似た者同士なのかもしれない。
「………………って!」
明らかに具合の悪そうなエリーの様子を見て、
さすがのダイアナも自慢話を中断してしまう。
あまり話したことはなかったが、同じ幼稚園に通う仲間だ。
放っておくのは気が引ける。
トッ
地面に下りると同時に、『半透明の椅子』が『半透明の人型』に変形した。
各部の『椅子を思わせる意匠』が、変形前の姿を想起させる。
そのスタンドが『ダイアナの帽子』を手に取り、おもむろに構えた。
ババババババババババッ!!
帽子を使って高速(スB)で扇ぎ、エリーに風を送る。
646
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/25(水) 20:02:47
>>644-645
ぽす
マオに帽子を白い帽子を被せられて
紫外線からの攻撃が何割かカットされる
「サン…ガツ〜…」
ダメージが軽減されたからといって
既に受けたダメージが回復するわけではない
「皮膚の36%くらい焼却されたけど、だ、大丈夫…」
それくらい焼却されたら普通に致命傷だが
暑さで頭がやられた者の妄言なので真に受けなくてもいいと思う
> ババババババババババッ!!
「んにゃっ!?」
いきなり『椅子』が変形した『半透明の人型』が物凄い勢いで風を送って来る
涼しくて気持ちいい事は気持ちいいしありがたい、ありがたいけどっ!
「そ、そんなにっ、しなくてもっ」
集中的に強風を浴びせられるとちょっと呼吸がし辛いし、それに
「ゃっ」
ふおぉぉぉ
せっかく被せてもらった帽子が再び頭を離れて飛んで行く
飛んで行くといってもそこまで遠くに行くわけではないが……
ここは、街道の橋の上
下には川が流れている
ぴちょん
647
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/25(水) 22:03:28
>>645
「なるほどー、つまり…
めっちゃえらいひとのイスってことね!
魔王の玉座と一緒!」
そう言ってダイアナを指さした。
ダイアナが腰を下ろしたその瞬間、
彼女の椅子が実体化して現れる。
「あ!」
びっくりしたようにその椅子を見る。
「すごいのだわ!そのイスはどこから取り出したのかしら?
…ん?それってもしかして…」
突然現れた椅子に対しては驚きの表情を浮かべてかなり楽しそうにしているようだ。
だが、同時になにかに気づいたかのようにその椅子を見つめる。
どこから出てきたのか、ということに対してなにか思いつくことがあるのだろうか。
「36…ってことは半分じゃないからセーフね!」
ホッとしたようにエリーに声を返す。
全然大丈夫じゃないような気がするが…
と、突然凄まじい風が吹きすさんでくる
「うわぁ!そのイスにはせんぷうきも付いてるの?
とてもすずしいけど強すぎるのだわ!」
すごい勢いで飛んでくる風に思わず目を細めながら答えるが
直後に強風に帽子が吹き飛ばされて…
「あっ!たいへんなのだわ!」
飛んでいった帽子を見て、マオは川の方へと走り出した。
帽子がどこに飛んでいくか…とにかく追いかけようとすると
バサァ!
「いざとなれば!なのだわ!」
帽子を追いかけるマオの背中からバサバサと『黒い翼』が生え始めた!
648
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/26(木) 09:50:44
>>646-647
「フフン!スゴいでしょう!もっと褒めていいのよ!」
マオを驚かせたことで調子に乗ったダイアナに、エリーの言葉は届かない。
恥ずかしがり屋で声が小さいというのも、この状況ではマイナスに作用した。
力を見せつけようと加減も考えずに扇ぎまくった結果、
見事にエリーの帽子を吹っ飛ばしてしまった!
「あっ」
ダイアナのスタンドは素早いが、
肝心の本体がボケっとしていたのでは、反応が遅れるのは当然だ。
「ま、待って!」
ス カ ァ ッ
帽子を掴もうとしたスタンドの手が空を切る。
このままでは帽子が川に落ちてしまう。
何かリカバリーする方法はないのか?
「――――はっ!?」
今度はダイアナが驚かされる番だった。
マオの背中に現れた『黒い翼』に目を見張る。
あれは紛れもなく『自分と同じ力』!
オンリー・ガール
「『わたしの椅子』を『踏み台』にしなさい!」
バッ!
マオの『翼』が、どこまで飛べるか分からない。
万一のサポートをするために、『オンリー・ガール』がダッシュし、
自らの『半透明の両腕』を構えて差し出す。
『オンリー・ガール』は空気を取り込んで実体化しているので、
生身の身体でも触れることが出来る。
成人男性並みの力(パC)で、バレーボールの『レシーブ』のように、
マオを打ち上げようというのだ。
幼稚園児の体重なら可能だろう。
あとは帽子の行方とマオの動き次第だが…………。
649
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/26(木) 21:23:22
>>647-648
「どうか行かないで…」
扇風機のような風に煽られ
ふわ〜っと帽子が飛んで行く
そして重力に引っ張られ下へと落ち、川の方へと…
ぴちょん、という音が聞こえたが
それは帽子の音かは確認していない限りまだ確定していない
まだ無事な帽子と、手遅れの帽子
確認するまではこの二つが同時に存在しているわけだ
「…シュレーディンガー…」
ぼそりと呟く
もちろん、そんな二つが存在するわけがなく
どちらか一つしか存在しない
>帽子を追いかけるマオの背中からバサバサと『黒い翼』が生え始めた!
「ぇ…あ、え、それ…」
マオの背に生えた『黒い翼』が生えた事に驚くエリー
急な事で反応が遅れてしまったが、ダイアナが出した『椅子』が変形した透明人間にもだ
『空気椅子』だけならトリックと思えなくもないが、これは明らかにそういうのじゃない
「天使…?」
翼を生やしたマオを見てそんな感想が口に出てしまった
魔王を自称するマオには不服か?
ただ、世界的に有名な魔王サタンやルシファーは元々堕天した天使なのだ
魔王になろうというマオには案外あっているのではないだろうか?
帽子を追いかけようとするマオを
『オンリー・ガール』で打ち上げようとするダイアナ
それは上手くいくのだろうか?
そして帽子の安否は?
「わ、わたし、もっ…」
いつの間にかベースボールキャップを被って帽子を追いかけようとしているエリー
2人が何か出しているから自分も……何か出した方が良いのかな……
そんな感じで出したスタンドだが……この場で役に立つ能力じゃ……ない?
650
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/26(木) 22:32:28
>>648-649
(そういえばはっきりと帽子が飛んだと思ってなかったのだわ。
まぁいっか。)
人前でスタンドを出し、そのままの勢いで
川の方へと飛び出していったマオは、割とよく考えないで動いていたような気がする。
だが、とりあえず動かなければということになっていたのだ。
「はっ!イスがとつぜんハシリだしたのだわ!」
突然イスが人になって動き出した!
ダイアナのスタンドがダッシュを始めたのである!
そして、ちょうどバレーボールのレシーブのように
パシーン!
マオの体は更に上に飛んでいった!
「すごーい!
ダイちゃんのイスはすごく『こうせいのう』なのね!!」
果たしてマオはスタンドだと気づいているのか
「あっ、もしかしてもうひとつ帽子があったのかしら?
でもだいじょうぶ!あれはだいじそうなものだから…
ちゃんとゲットしてくるのだわー!」
エリーに対して手を振りながら滑空するマオ。
果たして、川にあるのはあの帽子なのだろうか?
651
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/27(金) 09:29:20
>>649-650
エリーの姿が視界に入った時、不意に現れた『もう一つの帽子』に気付いた。
「え?『帽子』?え?」
「だって、さっき飛んでって…………」
「――――じゃなくて!」
やや戸惑ったものの、急を要する状況だったせいで、
『ベースボールキャップ』はスルーされた。
『半透明の人型』や『黒い翼』とは違い、
明らかに異質と分かるヴィジョンではないことも影響していたのかもしれない。
とにかく今はマオのサポートだ。
パ シ ィ ン ッ !
スタンドの両腕を全力で使い、小さな身体をカタパルトの如く打ち出す。
マオの『翼』に関しては無知だが、
鳥が飛ぶためには大きなエネルギーが必要だと聞いたことがある。
だから、ずっと飛び続けているのは難しいのではないかと考えた。
ダイアナの補助で跳んだ分だけ『飛行に使うエネルギー』を節約できて、
結果的に『航続距離』が伸びるだろう。
滑空を選ぶにしても、高度を稼げば稼ぐほど飛距離はアップするはずだ。
「わたしが助けてあげたんだから、しっかりゲットしてきなさいよね!」
「フフン!」
そもそも自分の行いが招いた結果であることを忘れ、
飛び立つマオの背中に恩着せがましく言い募るダイアナ。
「――まさか、マオも『道具屋』に行ってたなんて……!」
手を振るマオを見つめながら、何となく悔しいような、
それでいて少し嬉しいような、そんな感じの微妙な声色で呟く。
ダイアナの『椅子』は『道具屋』から得たものだ。
だから、『スタンドは道具屋にもらうもの』という認識があった。
652
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/27(金) 21:01:46
>>650-651
『オンリー・ガール』に投石器のように吹っ飛ばされたマオは
上空から川の様子を俯瞰する事になる
帽子は割とすぐ発見出来た
まだ、ギリギリ川に落ちていない
さっきの音は魚が跳ねた音だったのかもしれない
が、落ちるまでに後1秒といったところ
よっぽどの超スピードで追わなければ川に落ちて
どんぶらこと流されていくだろう
まあ、着水しても回収は出来るかもしれないが
>エリーに対して手を振りながら滑空するマオ。
「よ、よろしくニキ…」
手を振っているマオに小さく手を振り返す
>――まさか、マオも『道具屋』に行ってたなんて……!
「ぁ…『道具屋』……」
『道具屋』という言葉にぴくりと反応する
『道具屋』なんて別に専門用語でもない、普通の一般的な言葉だが
この場合は…?
「ぁの…『道具屋』って…」
653
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/27(金) 22:42:51
>>651-652
「だいじょうぶなのだわー!
ダイちゃん、あなたは
してんのうの一人にカウントしてあげるわ!」
そう言ってダイアナに手を振りつつ
ひたすら川へと滑空する。
「あったあった、
あそこ!」
そして川を流れる帽子を確かに発見した。
「ようし、これでぼうしをゲットするのだわー!」
そしてそのままゆっくりと川に向けて滑空し、帽子を回収して…
と、考えたところで
フッ
「あれっ」
ちょうどよくスタンドの滑空時間が消えてしまった。
そしてそのまま…
「にゃああああああああああああああああ」
ザパァアアアン!!
見事に川へとダイブしてしまった!
が、その手は確かに帽子をキャッチしているように見えたのであった。
654
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/28(土) 09:41:18
>>652-653
「そんなの誰がなるもんですか!
だって、マオが『わたしの部下』になるんだから!えーと……」
「『支部長補佐代理』くらいにしてあげるわ!」
深い意味はないが、マオに対抗して適当な役職を捻り出す。
「――――『道具屋』?
四角い部屋にいるスーツを着た男の子のことよ。
『それではお持ちください』って言うの」
「わたしの『椅子』は、その子にもらったわ。
フフン!エリーも何かもらってくれば?」
目の前にあるのが『それ』であることに、ダイアナは気付かない。
そして、エリーには分かるはずだ。
ダイアナの言う『道具屋』が、前に会ったことのある人物だと。
ザパァアアアン!!
「はぁ!?」
盛大な着水音に驚いて、再び川に視線を戻す。
「何してるのよ!早く上がりなさい!」
帽子を回収して、さらに陸地まで飛ぶくらいの力はあるかと思ったが、
意外に飛んでいられる時間が短かったようだ。
マオが濡れてしまったのなら、果たしてサポートした意味はあったのか?
まぁ、補助した上でギリギリ届いたと考えれば、無意味ではなかったのだろう。
「でも、どうせすぐ乾くでしょ。
だって、こんなに暑いんだから。
ほっといても大丈夫じゃない?」
スタ スタ スタ
そう言いながら、マオに向かって歩いていく。
なんだかんだ心配しているのだが、そのことを口には出さない。
気温が高いから乾くのが早いのは間違いないが。
655
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/28(土) 22:48:13
>>653-654
やっぱり…
そんな『道具屋』は一人しかいない
「あの……
もう、もらった、というか……」
>ザパァアアアン!!
「ぁ…あぁ、あっ……」
猫のような叫び声をあげミサイルのように川に突っ込んでいくマオを見て
何と言えばいいのか……
わ、わたしのせいで…
「おお、もう…」
川の流れは然程早くはないとはいえ、緩くもない
さっさと川から出ないとどんどん流されていきそうだ
「あの…あの……大丈夫で、ですか…や…」
身を乗り出してマオの様子を見ようとして
つるっ
「ぁっ…」
あかん
656
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/29(日) 00:28:37
>>654-655
「ぷはーっ!!」
川をダイブしたあと、すぐさま彼女は川から顔を出した。
が、流れもそこそこあるため
「あ、あぶあぶ…
ここはきけんな川なのだわ…」
慌てて泳いで行き、どうにか川岸に
「うぐぅ、あぶないのだわ!」
必死になってしがみつくと
疲れたように一息ついた。
「ふぅー…してんのうのダイちゃん、
わたしはみごとに帽子をかくほしたのだわ。
…ぶかにはならなくても『しぶちょうほさだいり』にはなってもよいのだわ
だからぜひとも、たすけるのだわ。」
なかなか這い上がれないらしい。
それでも帽子はどうにか川から這い上がらせて見せた。
「ところで、どうぐやというのは…?」
と、言ったところでエリーが近寄ってきたのを確認する。
「みてのとおりなのだわ、えっとそこのかっこいい髪のひと!
きゅうしゅつ成功したのでわたしに感謝をするのだわ」
そう言って帽子を見せるが、
つるっ
「ん?」
なにか滑ったような音がして、目を丸くした。
657
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/29(日) 12:21:37
>>655-656
『もうもらった』というエリーの声は聞こえていたが、
この時のダイアナは『川に落ちたマオ』に意識が向いていたため、
頭の中で意味を処理するのに時間が掛かっていた。
「エラそうな『羽』はアクセサリーなのかしら?
それを使って上がりなさいよ!」
偉そうに言いながら『黒い翼』を指差す。
両手が塞がっていても『翼』は動かせるはずだ。
そこに気付かないということは、
まだ『スタンド使い』になってから日が浅いのだろう。
勝手に決めつけたダイアナは優越感に浸っていた。
今日まで負け続けてきたダイアナだが、
スタンドを得てから割と時間は経っている。
スッ
「でも、助けてあげるわ。
こういうのを『器が大きい』っていうの。
フフン!覚えておくことね!」
グググ…………
マオの身体を引っ張って、近くの岸に上げようと試みる。
だが、なかなか上手くいかない。
5歳の腕力では厳しいようだ。
『スタンド』を使えばいいのだが、そのことをスッカリ忘れていた。
人のことは言えないダイアナである。
「こ、この…………!ちょっと!エリーも手伝いなさい!」
後ろにいるはずのエリーに呼び掛けながら、そちらに顔を向ける。
「え?」
眼前の光景が理解できず、反応に一瞬の遅れが生じた。
「――――捕まえるのよ!『オンリー・ガール』!」
ドヒュンッ!
『半透明の人型』が素早く動き、
エリーの身体でも服の裾でも、どこでもいいから掴もうとする。
『ダイアナのスタンド』は、近距離型の中では射程がそこそこ長い方(8m)だ。
おそらく距離的には問題ないだろうが、果たして間に合うだろうか…………!?
658
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/09/29(日) 23:18:54
>>656-657
つるっ、ときたら
そりゃもうどぼんだ
頭から真っ逆さま
でも、そうはならなかった
ならなかったんだよ、マオ
だから、この話はここでお終いじゃないんだ
ガシッ
「……ッ」
「……?」
滑るっ!
頭から川に落ちて呼吸も出来ず溺れて流される事を覚悟し
閉じていた目をパチリと開けてみる
「おち…てない…?」
足を何かに掴まれている感覚がある
『オンリー・ガール』が足を掴んでいるのだ
体勢的に被っている帽子は落ちてしまいそうだが
何故か落ちていない
なお、『オンリー・ガール』が手を離せばそのままポチャン
お魚さんの餌だ
「ぁぁぁぁ、あの」
「ありがと、う…」
「ダ、ダイアナ、サン…ネキ…」
助けてくれたのはダイアナ、それは理解している
659
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/09/30(月) 18:10:44
>>657-658
「はふぅ、わたしのおはねは
そこまでながく飛べないのだわ!」
そう言ってダイアナが引っ張ってくるのを見て
なんとか這い上がろうとする。
「ふふーん、ダイちゃんはうつわが大きいのね。
どれくらい大きいのか、わからないけどすごいことはわかるのだわ。
…とりあえずはやくあがりたいのだわ…」
そう言って必死に上がろうとするが
「はっ、危ない!」
エリーが落ちそうになっているのにびっくりするマオだったが
…直後、『オンリー・ガール』…ダイアナのスタンドを今度は目の当たりにした。
「すごいのだわ、そのイスは…
…あっ、とくべつな力といったほうがいいのかしら?」
エリーが落下せずに済んだのを見てホッと一息ついた。
「あ、そうそうそこのひと」
そう言って帽子をエリーに見せる。
「ようやく帽子を手に入れたのだわ。
なくさないように、気をつけなさい。」
帽子を見せながら、マオはニッコリと笑って見せる。
まだ川から這い上がっている最中であるが。
660
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/09/30(月) 19:10:35
>>658-659
間一髪!『オンリー・ガール』がエリーの両足を掴む!
同時に、掴まれている部分を通して、エリーに柔らかな感触が伝わる。
空気が入ったバルーンとか、そういうものに近いかもしれない。
「フ、フフン!こんなの余裕!楽勝よ!」
本当はギリギリだったが、なんとか間に合った。
ホッと胸を撫で下ろし、改めて『エリーの帽子』に目を向ける。
普通なら落下しているのに、重力に逆らうかのように落ちない。
「――――ん…………?」
そこで、先程のエリーの言葉を思い出す。
『もうもらった』という一言。
それは『帽子をもらった』という意味なのだろうか?
「ねぇ、それって『道具屋』にもらった帽子なの?」
逆さ吊りにした状態で、エリーに問いかける。
傍から見ると、まるで拷問でもしているかのような光景だ。
実際は帽子に気を取られたせいで、
引っ張り上げることが頭から抜けていただけなのだが。
オンリー・ガール
「『唯一無二』よ!今度からは、そう呼びなさい!」
「フフン!」
「それから、この子は『エリー』!同じ幼稚園にいたでしょ?
まぁ、急にいなくなるから覚えにくいけれど」
『姿を消す能力』の影響で、
マオが覚えていなかったとしても不思議はないかもしれない。
それはそうと、ダイアナはマオが這い上がるのを手伝う。
『オンリー・ガール』は動かさず、エリーの足を掴み続けるだけなので、
本体とスタンドの『同時行動』にはならないのだ。
661
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/01(火) 21:01:35
>>659-660
『オンリー・ガール』に足を掴まれ
逆さまにされたまま持ち続けられている
「ウゥ…ゥ……」
頭に血が上るというのか
三半規管の機能が低下するのか
とにかく、そんな状態でいるとこう、気持ち悪くなってくる
ちょっとずつ顔が青ざめてくるが気付いてくれるだろうか……
>ようやく帽子を手に入れたのだわ。
>なくさないように、気をつけなさい。
「あ、ありがとう…」
青ざめたちょっと困り顔で笑いながらマオにお礼を言う
何か気の利いた返しも、猛虎弁を使う余裕も無い
ぐしょ濡れの帽子はしばらくは被れないだろう
>ねぇ、それって『道具屋』にもらった帽子なの?
「は、はぅ…はい
そう、です……わゾ……」
恥ずかし気に帽子のツバを目深に被る
帽子を目深に被る事は隠影の発動条件だが、ここでは不発する
『オンリー・ガール』が接触し続けているからか
そもそもエリーに隠影を使おうという意思が無いからか
そして…
帽子に隠れているグルグルのお目目が原因か
662
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/01(火) 22:44:48
>>660-661
「『オンリー・ガール』…それがその…
なんといったかしら?…その人の名前ね。
とてもかんしゃしているのだわ!」
そう言って這い上がっていく。
どうやらなんとか出られたようだ。
案の定びしょ濡れになってしまっているようだ。
「ちなみにわたしの羽は『イントロ・マモン』というのだわ。
とてもかっこいい『魔王』の羽なのよ!」
「あ、そこのかっこいい髪のひとは…
エリーっていうのね?
名前を…聞いたことはあっても
見た目については覚えていなかったのだわ…
そんなかっこいい髪を忘れるなんて…」
と言って軽く自分の服を絞っている。
暑い日なのでちょうどいいと思っているのかもしれない。
「ええ、どういたしましてなのだわ。」
「…ところで、エリーがひどくかおいろが悪くなっているのだわ」
そう言ってじっと見つめる。
明らかにエリーが危ない顔になっているのだ。
「ところで、『どうぐや』とはどのようなものなのでしょう?」
不思議そうな顔で答える。
彼女は道具屋については知らないようである。
663
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/10/02(水) 06:59:34
>>661-662
マオが岸に上がったことを見届け、ホッとした様子で思わず表情を緩めた。
「『道具屋』っていうのは…………なんてね!
フフン!そんな手には引っ掛からないわよ!」
小さな身体で胸を張りながら、両手を腰に添えて言葉を続ける。
「わたしを試そうとしたんでしょうけれど、
マオの『イントロ・マモン』だって『道具屋』からもらったんでしょ?
ほら、エリーも『帽子をもらった』って言ってるんだから!」
『魔王の翼』を指差して得意げに言い募る。
スタンドを与える存在は複数いるし、自発的に目覚めるスタンド使いや、
生まれつき能力を自覚していた者もいるだろう。
だが、そうした複雑な事情をダイアナは知らない。
「まぁ、その『羽』も結構いいセンスだわ。
わたしの『椅子』程じゃあないけれど……フフン!」
ほくそ笑んでいた時、マオの指摘を受けてエリーの変化に気付く。
「あっ」
「わ、忘れてた訳じゃないんだからね!」
「その………………」
グイッ
「――――――ご、ごめんなさい」
躊躇いつつも自分の非を認め、エリーを橋の上まで引っ張り上げた。
大人が子供を膝の上に乗せるような形で、
『オンリー・ガール』の上にエリーを座らせ、しばらく休ませたい。
『空気』で構成されたボディが背もたれの役目を果たし、
『柔らかい椅子』に腰掛けた状態と近い感じになるだろう。
664
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/02(水) 20:57:11
>>662-663
>――――――ご、ごめんなさい
「え、ええん……やで……」
よーやっと逆さま状態から解放されたが
ダメージは大きく、すぐには回復しない
「あ……
これ、すっごいきもちー……」
空気で出来た椅子はとっても柔らかく、
エリーは座り心地の良いそれにぐったりともたれた
>ちなみにわたしの羽は『イントロ・マモン』というのだわ。
>とてもかっこいい『魔王』の羽なのよ!
「あの……あの……」
「私の……『サドゥンリー・アイ・シー』って……
言うんだけど……ゃ……」
ダイアナの『オンリー・ガール』もマオの『イントロ・マモン』も名乗ったために
自分も名乗った方がいいのかな……
と思って名前を出したが、みんなが名前を出したからといって自分まで名乗らなきゃいけないという道理は別にない
『サドゥンリー・アイ・シー』
ある日、突然分かったという意味だが
一体何が突然分かったというのだろう
ちなみにこの帽子、能力も使わず出している意味が無いかと思われたが
実は今現在、結構役に立っている
川に水没してびっしょびしょの帽子に代わって直射日光から守ってくれているからだ
665
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/02(水) 22:07:36
>>663-664
「むー、なんだかよくわからないけど
どうぐやについておしえてもらえないのだわ!」
少し顔をむくれさせながら答える。
「私のもってるかっこいい羽は、
魔王になりたい!っておもっておもって…
そんなあるときに突然!
誰かがこの力を教えてくれたのだわ!
魔王軍結成のための力、とかなんとか言われて!
もらった…というわけではたぶんちがうと思うのだけど…」
少し自身なさそうに答える。
思えばあの啓示は道具屋と言われるようなお店ではなかったように思うのだ。
「むむむ、羽について褒めてもらえると嬉しいのだわ。
…そのイスもちょっと座ってみたくなってきたのだわ…」
エリーが座り込んだ椅子を見て、どこか羨ましそうな顔になっている…
「サドゥンリあん…サドン…サドゥォン…
あうおー、よめないのだわ!!」
エリーのスタンドを復唱しようとして
思わず舌を噛みそうになってしまったようだ。
「むふ、そのICちゃんが、帽子を作る能力なのかしら?
とても素敵なのだわ!」
なんだかんだ最後までフルで言えずに
最後の部分だけで呼び始めた。
「それで、えっと…お顔はだいじょうぶなのかしら?」
エリーに対して少し羨ましそうに空気のイスを触りながら聞いてきている。
666
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/10/03(木) 11:53:24
>>664-665
『オンリー・ガール』は包み込むように、エリーの身体を支え続ける。
「フフン!そうでしょそうでしょ!
こんなのを持ってるのは、きっとわたしだけでしょうね!
だって、今まで見たことないもの!」
座り心地を褒められると、超高速(スA)で図に乗るダイアナ。
横ではマオが『オンリー・ガール』に触っている。
その感触は柔らかく、まるで空気が詰まっているかのように、
マオの手には感じられるだろう。
「――――『突然分かった』?
そういえば、『エリーの帽子』にも特別なことが出来るの?」
パタ パタ パタ
先程の経験を活かし、今度は自分の手で帽子を持ってエリーを扇ぐ。
風力はかなり落ちる代わりに、不幸な事故が起きることはないだろう。
エリーを介抱しながら、マオの言葉にも耳を傾ける。
『魔王軍結成のため』なんて、随分とスケールが大きい。
そんな話を聞くと、なんだか無性に対抗心が湧いてきてしまうのだ。
「わたしだって、
わたしだけが座れる『わたしだけのための椅子』が欲しいって、
ずっとずっと思ってたのよ!」
「この世は『椅子取りゲーム』なの。
椅子の数と人の数は同じじゃなくて、座れなかったら『ドロップアウト』。
ほら、幼稚園でもやってるでしょ」
椅子取りゲームは定番の室内遊技であり、3人の通う幼稚園でも何度か行われていた。
「でも、椅子取りゲームで勝つことなんて気にしないわ。
そんなのは『子供の遊び』よ。
わたしは大人になった時、誰にも負けない『立派な椅子』に座りたいから。
『わたしだけが座れる椅子』にね!フフン!」
自信満々に言い放つが、勝てなかったら不機嫌になるのがダイアナだ。
椅子取りゲームとはいえ、やはり勝つ方がいいに決まってる。
そんなことを考えていると、ふと思い出した。
「…………そういえば『七夕』の時に『短冊』を見たわ。
【サイキョーのまおうになって、せかいせーふくだ!】っていう。
マオみたいなのが他にもいるなんてね!
せっかくわたしが『自信作』を『目立つところ』に飾っておいたのに!」
『七夕の短冊』。
あの日、ダイアナは『オンリー・ガール』に乗ることで、
通常は手が届かない『高い位置』に短冊を吊るした。
しかし、『翼』を持つマオは『さらに高い位置』に吊るしていたのである。
667
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/03(木) 21:29:33
>>665-666
今度はダイアナが自らの手で風を扇いでくれている
子供の手によるものなので、風力は弱いが
強過ぎたさっきと比べれば丁度良い感じで心地が良い
「あ、あの…
ダイアナさん…ネキ、こんなにしてくれ…もろて
イイ…ええ、の?」
『オンリー・ガール』に座らせてもらったり
こうして風を扇いでくれたり、さっきからお世話してもらってばかりだ
迷惑かけてばかりでちょっと申し訳なさそうな顔になる
>魔王軍結成のための力、とかなんとか言われて!
「魔王軍……カッコイイ……」ボソッ
>むふ、そのICちゃんが、帽子を作る能力なのかしら?
>とても素敵なのだわ!
「え、あの……」
「アイ、アイシーは…この、帽子で…」
帽子を作る能力を素敵と言ってくれたのに
がっかりさせてしまわないかと不安になる
>そういえば、『エリーの帽子』にも特別なことが出来るの?
「えっと、あの……
わたし、のは……
隠れる、能力です……」
帽子を深く被り込んで、軽く自分の能力について話した
能力を他人に安易に話すのはあまり良くはないが
他の二人が話したのに自分だけ教えないのは……
という心理的な効果が働いている
>『椅子取りゲーム』
「椅子取りゲーム……
うぅ……」
こういう遊びの時、エリーは途中から居なくなってる時がよくある
668
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/03(木) 23:13:07
>>666-667
「そうねー、願い事をしたことは覚えているのだわ。
そしたら、誰かに能力を教えてもらって…
それで使えるようになったというふうな…
そんなかんじなのだわ。」
マオの言い方は少しふわっとしている。
能力を自覚したことで覚醒したとも言えるが
或いは、誰かから授かったものであるとも言える。
マオにとってもよくわからないかもしれない。
「へぇ、じぶんだけのイスをねぇー。
私もほしいのだわ…魔王にふさわしいイスを!」
「イス取りゲーム…はよくやるわね!
…イス取りゲームはとても楽しいものよ!
おとなになってもできるなら…それはいいことだわ!」
どこかマオは脳天気な返答である。
マオの考えている『イス取りゲーム』とダイアナのいうイス取りゲームは
まったくちがうのだろう。
更に少し羨ましそうにイスを触るマオ。
「魔王軍、やっぱりかっこいいわよねー!
…あ、その帽子がその、ICちゃんなのね?
勘違いしてしまったのだわ…」
エリーの帽子についてちょっと恥ずかしそうになっている。
そこまでガッカリしてはなさそうだ。
「隠れる能力…
あ、もしかして…あんまりようちえんで見てなかったのは
そののうりょくのおかげかしら?
でも隠れるのもかっこいいわねー」
能力について聞いて、彼女はとても羨ましそうな顔になった。
と、そこでダイアナの話を聞き、振り向いた。
「あ、その短冊…きっと私なのだわ。
お星さまに見てもらうには、それが一番だと思って…」
どうやら彼女はダイアナの短冊については気づいていなかったようだ…
669
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/10/04(金) 15:22:13
>>667-668
こういう時、ダイアナは『なんで自分が』とはならない。
どんなことでも一番になりたいために、あらゆる物事を率先して行おうとする。
具合が悪くなった子を助けることも、その中には含まれていた。
「フフン!別に気にしてないわ。
わたしが頼りになるのなら、どんどん頼りなさい!」
「で、気持ち悪いのは治ったの?」
緩やかな風を送りながら、体調を確かめるようにエリーの顔色を観察する。
「隠れるのが上手なら『かくれんぼ』は得意そうね。
でも、わたし程じゃないでしょうけれど?」
そう言うダイアナは、かくれんぼが『下手』だ。
大体いつも真っ先に見つかっている姿を、エリーやマオも見かけたことがあるだろう。
やはり何かと目立ちやすいのかもしれない。
ただ、ダイアナに鬼をやらせた場合は、なかなか上手かった。
だから、周りが彼女を鬼にさせないために、
『わざとダイアナを見つけない戦法』を取ることがある。
そのせいで、結果的に見つかりにくいという状況が生まれ得るのだ。
ただ、本人は純粋に『隠れるのが上手いから見つからない』と思っているが。
「まぁ、エリーも結構やるじゃない。
あんまりお話したことなかったけど、同じ『道具屋』仲間だし、
これからは仲良くしてあげてもいいわよ」
押し付けがましく片手を差し出し、握手しようとする。
『サドゥンリー・アイ・シー』について尋ねたダイアナだが、
『オンリー・ガール』の能力は『椅子に変形すること』ではない。
特に隠しておこうという意思はないのだが、必要な場面でもないので披露されなかった。
「まったくマオは世間知らずなお子様なんだから。
そんなのじゃあ大人になった時が思いやられるわ」
「って――――『マオの短冊』ですって!?
よくも『わたしの短冊』のジャマを…………!
やっぱり、あなたとは一度キッチリ話をつけないとダメみたいね!」
ついキレそうになるが、びしょ濡れになっているマオを見て思い留まる。
「フン!今日だけは許してあげる!
ところで、その格好で帰るつもりじゃないでしょうね?
今、『タクシー』を呼んであげるわ。
わたしは『タクシークーポン』を持ってるの。フフン!」
ゴソ
「同じ幼稚園に通ってる子が濡れて帰るなんて恥ずかしくて、
仕方なく助けてあげるだけなんだから!」
念を押しつつ、テディベアの中から『子供用スマホ』を取り出し、
『タクシー会社』に電話を掛け始める。
「――今いる場所は『星見街道』の……。
それで目的地は……『マオのおうち』はどこなの?」
何度か利用した経験があるらしく、慣れた様子だった。
支払いは『プリペイド式』のタクシークーポンで行う。
タクシー会社が発行する金券の一種だ。
670
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/04(金) 21:34:58
>>668-669
>エリーの帽子についてちょっと恥ずかしそうになっている。
「わ、ワタシの言い方が、悪かったから…」
ハッキリ喋らないせいで
誤解させて恥をかかせてしまった事を謝る
ガッカリはしてなさそうなのはよかった
>でも隠れるのもかっこいいわねー
「か、かっこイイ?」
髪の毛を隠したいだけで使っているこの力
自分では思った事も無い評価にちょっと分かんない
でも、悪くない気持ちになる
>フフン!別に気にしてないわ。
>わたしが頼りになるのなら、どんどん頼りなさい!
「…カ、カッコイイ……」
自信満々に自分を頼れと言えるダイアナに
素直にかっこいいとエリーは思った
照れ屋で恥ずかしがり屋で、自己主張が出来ないエリーにとって
ダイアナはキラキラ輝いて見えて憧れる存在だ
>で、気持ち悪いのは治ったの?
「ちょっとは……
よくなりました……」
座り心地の良い椅子と、ダイアナの送る風のおかげでリラックス出来たのか
顔色はさっきよりは良くなっている
>隠れるのが上手なら『かくれんぼ』は得意そうね。
>でも、わたし程じゃないでしょうけれど?
「う、うん、せやね…」
子供達の使う戦法はせこいが実に理にかなった戦術だ
責められるような謂れは無い
この事実に関しては……言わぬが花だろう
エリーの隠影はかくれんぼはもちろんだが
盗みや潜入、やろうと思えば暗殺等、使い道は多岐に渡る
欠点としては、機械の目は誤魔化せないし
誰かに触れてしまえば隠影が解除されてしまう事
そしてエリー本人があまりそういう事に使おうと思わない事だ
>押し付けがましく片手を差し出し、握手しようとする。
「よ、ヨロシクオネガイシマス…
ヨロシクニキ!」
片手を差し伸べるダイアナに両手で握って応えようとする
握る手は緊張からか小刻みに震えている
「あ……
あの、代わります、か?」
さっきから椅子を触っているマオに
座りたいのかなぁと思って代わろうか聞いてみる
椅子の持ち主のダイアナにも聞くべきなのだが
>タクシー
「……濡れたまま乗ってええんかな……」
聞こえるか聞こえないかってくらいの声で呟く
こういう事を言うのは水差しな気がして気が引けるようだ
671
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/04(金) 22:50:36
>>669-670
「しんぱいないのだわ!
私が魔王になったときには
世界が私についてくるのだわ!」
世間知らずなお子様…とダイアナに言われても
そこまで気にしている様子はないようだ。
それはそれで将来が思いやられそうであるが…
「き、きにしなくでいいのだわ!
その帽子はとても素敵だと思うのだわ!
そして、隠れて『やみうち』なんてこともできるじゃない!
かっこいいに違いないのだわ!」
と言ってエリーに向けて笑顔で答える。
「話をつけるですって?
ふふふ、それなら魔王である私は受けてた…
ハックシュン!!」
カッコを付けてダイアナの言葉に乗ろうとするマオであったが
流石にちょっと冷えたのかくしゃみしてしまった。
「はふぅ…さむくはないんだけど…
みずがお鼻に入ってしまったのだわ…
タクシー、よんでくれるの?
とてもありがたいのだわー…」
濡れている分、服が重くなっているのかもしれない。
少しぎこちない動きで返事を返した。
「ああ、じゅうしょは…
ここからちょっと離れたところだけど…
ちょっと待って、いま地図を」
そう言ってスマホを取り出すマオだったが
「あっ、動いてない…」
どうやら水没したせいでスマホが動かなくなったようだ。
672
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/10/05(土) 06:55:55
>>670-671
当のダイアナ自身は堂々と『頼れ』と宣言したものの、
実際に頼れるかどうかは別問題だろう。
しかし、そんなことは関係なく、褒められた本人は上機嫌だった。
ダイアナを『担ぐ』のは難しいことではない。
「フフ!なんだかエリーとは気が合いそうね!
元気になったら一緒に遊びましょう」
ギ ュ ッ
対照的な性格の2人が、しっかりと握手を交わし合う。
見たところ、エリーの体調も良くなってきているみたいなので一安心だ。
あとはマオの方なのだが…………。
「えっと――じゃあ……」
チラッ
『水没したスマホ』を横目で見ながら、『幼稚園の住所』を指定して通話を終えた。
ずぶ濡れの客だからといって乗車拒否は出来ないし、
普通のタクシーなら原則しないということをダイアナは知っている。
シートにカバーを取り付けている会社もあり、電話を掛けたのもそういう所だ。
普段は抜けた部分の目立つダイアナだが、
世の中については平均的な5歳児より知識はあった。
おそらくは両親の英才教育の賜物だろう。
「とりあえず『幼稚園』まで行ってもらうようにしたわ。
そこからだったら、おうちまで遠くないはずでしょ?
わたしも一緒に行ってあげるから」
「それと!濡れたスマホは『お米の中』に突っ込んでおくと直るのよ!
お米が『水分』を吸収してくれるの!フフン!」
どこから得るのか不明だが、
たまにダイアナは『変な知識』を披露することもあった。
生米に入れて直すというのは、実際に使える方法だ。
絶対確実ではないとはいえ、既に水没してしまっているのなら、
それ以上に悪化することはないだろうから、試す価値はある。
「まぁ?このくらいは大したことじゃあないけれど?フフ!」
……………… ……………… ……………… ……………… ………………
先程エリーが褒めたお陰で、ダイアナは天狗になっている。
マオが『オンリー・ガール』に座っても気付かなさそうだ。
今がチャンスなのかもしれない――――。
673
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/06(日) 20:20:40
>>671-672
>そして、隠れて『やみうち』なんてこともできるじゃない!
>かっこいいに違いないのだわ!
「そ…せやろか…?カッコイイ…かな?」
隠密行動はお手の物、使いこなせればきっとかっこいいだろう
けど、エリーは今まで生きていて「かっこいい」と称された事は初めてだ
銀髪も綺麗と言われた事はあるが、かっこいいと言われた事は無かった
人生で初めてかっこいいと、それも何回も言われるとは思わなかった
何か分からないけど顔がにやけてしまう
きっと気持ち悪い顔してるんだろうなと思いながら
帽子を深く被り表情を隠そうとする
なお、口元は微妙に隠せていない
>ハックシュン!!
>どうやら水没したせいでスマホが動かなくなったようだ。
「あっ…あっ…」
川に飛び込んだせいで風邪を引いちゃった?
スマホも壊れた?
だとしたら自分のせいだ…
と、責任を感じる
本人は水が鼻に入っただけだというが
「あ、あの…体拭かないと…」
と言っても拭くものが…
ハンカチを出して椅子から降り、マオを拭こうとする
焼石に水とはこの事だ
>とりあえず『幼稚園』まで行ってもらうようにしたわ。
>そこからだったら、おうちまで遠くないはずでしょ?
>わたしも一緒に行ってあげるから
「わっ、わたしも、一緒に行って、イイ…
ええ、ヤロカ…?」
ついて行った所で何の役にも立つわけでもないが
責任を感じているため、ついて行きたいと考えるエリー
「あっ、あの…
わたし、もうええから…座る?」
674
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/06(日) 21:33:55
>>672-673
「ふう…暑かったからちょうどいいかんじでしたけど…
スマホがこうなってどうすればとおもってたのだわ。
ようちえんからお家までの道はよく知ってるのだわ。
…たすかったわー…」
スマホが動かなくなったことにマオはとても不安そうな顔をしていたが
どうやらちゃんと帰れそうなことを聞いてほっと一息ついたようだ。
普段は尊大な態度のマオだが、こういうときは年相応な様子である。
「へぇー、おこめってすごいわね!
おにぎりにするだけじゃないのねえ!!
きょうすぐに!試してみるのだわ!」
と言いつつもチラチラとマオはダイアナの出した
『オンリー・ガール』に視線が向いている。
座りたいとずっと思っているようだ。
「ありがたいのだわ…
ちょっとずぶ濡れで服が重くって…」
エリーがハンカチを出したのを見て、どこか嬉しそうに呟く。
「…すわっていいの?
嬉しいのだわ。せっかくだから…
一休みさせてもらうのだわ」
エリーの座るか?という提案を聞いて
マオは喜んで座り込もうとしている。
ダイアナが気づくよりも早く座ってしまうかもしれないが
果たして彼女はずぶ濡れになったマオが座ったときにどんな反応を示すのだろうか。
675
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/10/06(日) 23:46:28
>>673-674
同行を申し出るエリーに向けて、肯定の意味を込めて首を縦に振った。
せっかく仲良くなれたのだから、1人だけ仲間外れにしては可哀想だ。
エリーの責任感とは異なるが、ダイアナも友達に対する気遣いは出来る。
「エリーも来るの?フフ!遠慮しなくていいわよ。
このわたしがまとめて送ってあげる!」
ただ、相変わらず態度のデカさは健在だ。
もちろん送るのはダイアナではなくタクシーの運転手だが、
自分が呼んだ車に友達を乗せるというのは悪くない。
なんだか『CEO』になったような気分だった。
「まぁ?『髪の美しさ』でも、エリーはわたしと似てるみたいだし。
エリーの髪は、なんとなくミステリアスな感じがするわ。
そんな風に隠してるのはもったいないけれど」
「エリーが『そうしたい』なら、それでいいんじゃない?」
三つ編みにした自分の髪を弄りつつ、エリーの銀髪を眺める。
ダイアナのプラチナブロンドも『白に近い金髪』だ。
似ていると言えなくもないかもしれない。
「でも……フフン!
他の子を認められるなんて、
やっぱりわたしは器が大きいわね!」
ス ッ
橋に寄りかかりながら川を眺め、大人ぶって気取ったポーズを取る。
すっかり自分に酔っていたので、
『オンリー・ガール』に座ろうとするマオには気付いていない。
その隙を突いて、マオは腰を下ろすことに成功した。
――――――ポフッ
本体のダイアナが自慢しているだけあって、
『オンリー・ガール』の座り心地は非常に良い。
とても柔らかな感触で、マオの全身を包み込むように受け止めてくれる。
深々と座って休んでいると、自然と疲れも取れそうな気がした。
「?」
「なんだか『ちょっと重くなった』ような…………」
『オンリー・ガール』とダイアナは感覚が繋がっている。
ただし、ヴィジョンには成人男性並みのパワーがあるので、
幼稚園児を支えるくらいは簡単だ。
だが、マオの服は水を吸って重くなっており、
その『小さな違い』がダイアナに『違和感』を抱かせたのだった。
クルッ
「えっ――――」
その場で振り返ると、『オンリー・ガール』に座るマオの姿が視界に入る。
676
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/07(月) 21:28:19
>>674-675
ダイアナの態度はデカいが器もデカいのも本当だろう
多少偉ぶっても文句は言われまい
多少どころじゃない態度のデカさだが
ダイアナが眺める銀色の髪は
彼女が称したようなミステリアスという雰囲気に相応しく
月光に照らされる夜が映えそうだ
けど昼は映えないという事も決してなく、陽の光に照らされ輝く銀もそれはそれで絵になっている
「から、かわれる、と……
ハジカシイ、から……」
「で、でも……ホントは
ミテホシイ……」
恥ずかしそうにたどたどしくダイアナを見ながら喋る
中々面倒な性格だ
相手によってはイライラさせてしまうかもしれない
「ダイアナネキは、堂々と見せてて、カッコイイから…」
「そ、その…髪、似てるって言ってくれて
スッゴイ、うれしい……デスヤデ」
ここまで言って照れが頂点に達したエリーは
両手で帽子のツバを持ち顔全体を覆って俯き顔を隠してしまった
多分、隠れた顔は今真っ赤になっている
>なんだか『ちょっと重くなった』ような…………
「ぅぃ……?」
顔をあげて見ると、『オンリー・ガール』に座るマオを見るダイアナが視界に映った
「あ、あの……ダメ、だった?」
おずおずとダイアナに聞く
677
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/07(月) 23:00:49
>>675-676
「ふー、それならばタクシーが来るまでの間に…」
そう言ってエリーに席を譲ってもらったマオは
そっとイスに座り込んだ。
「おおー、これはとてもやわらかいのだわ。
今まで座ってきたイスの中でも一番いい…
のだわ。」
そういってふー、と一息ついた。
色々ずぶ濡れになりそうだが、幸いスタンドなので
びしょ濡れのままになるということはないだろう。
「エリー…だったわね?
ゆずってもらえてうれしいのだわ。」
そう言って嬉しそうに手を振った。
>「ちょっと重くなったような」
「ハッ!しつれいしちゃうのだわ!
わたしは重くなんてないのだわ!」
マオは驚いた表情のダイアナに対して
少し頬を膨らませながら答える。
一応許可は得ている(エリーの)だろうが
もちろんダイアナは聞いてないだろう。
678
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/10/08(火) 14:16:52
>>676-677
ダイアナにとって『オンリー・ガール』は単なる椅子ではなく、
どこまでも高い『プライド』の象徴だ。
そこに『ずぶ濡れの格好で座られる』というのは腹立たしい。
一瞬ブチギレそうになったが、
そもそもの『原因』を作ってしまったのはダイアナ自身だった。
ダイアナがエリーの帽子を吹っ飛ばさなければ、
マオが川に落ちるトラブルもなかっただろう。
その事実が、ダイアナの心に『急ブレーキ』を掛ける。
「――――――っ」
ド サ ッ
唇を固く結んだダイアナが俯くと、
抱えていた『テディベア』が腕から滑り落ち、
仰向けの状態で地面に転がった。
ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ
ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ
ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ
そして『マウントポジション』を取り、
テディベアに『本体ラッシュ(パス精DCC)』を叩き込む!!
これは『八つ当たり』だ!
しばらく軽い殴打音が続いた後、
全力疾走した時のように息を切らしながら顔を上げ、マオを睨みつける。
「――――はぁ…………はぁ…………」
「フン!今回だけよ!いい?今回だけだからね!」
ストレスを発散したダイアナは、渋々ながら『許可』を出した。
迎えが来るまで、堂々と座っていればいいだろう。
おそらく、そう時間は掛からないはずだ。
「エリー、もう少しマオの近くに来なさい。マオはじっとしてるのよ!」
自分のキッズスマホを手にして、両者の近くに歩み寄っていく。
「二人とも!『わたしと同じ写真に写れる権利』をあげるわ!
フフン!一生の宝物にしてもいいのよ?」
要するに、ここにいる3人で『記念写真』を撮りたいらしい。
なんだかんだダイアナも、今回の『帽子騒動』は楽しかったということだろう。
インカメラを起動すると、全員が入るように角度を調整し、
シャッターボタンに指を添える。
679
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/08(火) 20:53:28
>>677-678
「あ、あっ、あの
お礼、は、わ、わたしじゃなくて
ダイアナネキ、にっ」
こっちに手を振って来るマオだが
お礼を言う相手が違うというか
> ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ
> ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ
> ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ
「ひゃっ」
(こ、こわe…)
テディベアを無言で只管殴打する姿に恐れ戦く
パDとはいえこれだけタコ殴りにされればボロボロだろう…
「アノ…ゴメンナシャイ…」
>エリー、もう少しマオの近くに来なさい。マオはじっとしてるのよ!
「ふぁ…は、はいっ」
ダイアナに言われるままにマオの近くに寄る
「しゃ、写真…」
ど、どうしよう…
帽子をちょっといじいじして悩んだ様子を見せたエリー
ちょっとだけ悩んで、そして…
エリーは帽子を取った
680
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/09(水) 00:00:49
>>678-679
「とても気持ちい…
んでっ!」
突然ポコポコとテディベアを殴り始めたのを見て
びっくりした様子でダイアナを見る。
「あー、そんなことしたらでっかいぬいぐるみさんに
『ぎゃくしゅう』されてしまうのだわ…
あれはとてもおそろしくておそろしいもの…なのだわ」
テディベアのことよりも何故かダイアナの方を心配しているマオ。
多分以前見たことのあるアニメあたりに似たようなことがあったんだろう。
「ありがとうなのだわ…
きょうはなんだかわるいわね。」
先程のダイアナの様子は只者ではないと思ったのか
ちょっと申し訳無さそうだ。
「その…エリーの言う通りだわ。
席に座らせてもらったこと、かんしゃするのだわ…」
エリーに言われて頭を下げるマオ
「これからは『魔王のイス』として
このイスを認めてもよいのだわ!」
彼女なりに褒めてるつもり…なのだろう。
「写真?すばらしいのだわ!
私はぜひともうつりたいと思うのだわ!」
そう言ってエリーに手を振って見せる。
「ほらほら、エリーももうちょい寄ってみるのだわ」
その様子はとても楽しそうである。
681
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/10/09(水) 15:23:56
>>679-680
ダイアナのテディベアは、見るも無惨な姿になっている。
ちなみに、これは『何代目かのテディベア』だ。
八つ当たりする度に重傷になるので、代替わりが激しい。
「フフ!エリーも分かってきたじゃない?
美しいものは世界に知らしめないと!」
ニヤリ
「そうすれば、わたしの美しさだって、もっともっと引き立つわ!」
帽子を脱いだエリーを横目で見やり、満足げにほくそ笑む。
金髪と銀髪が揃うと、なかなか絵になる構図だ。
無論、ダイアナは自分の髪が一番だと思っているが、客観的な評価は別物である。
「『魔王の椅子』じゃなくて『わたしの椅子』!
わたしは魔王よりもエラくてスゴいんだから!」
「…………魔王よりもエラくてスゴくなる『予定』なんだから」
さすがに現時点で『魔王より上』とは言い難いので、コッソリと小声で言い直した。
「二人とも、『一番いい表情』をして!
わたしが一緒に写るんだから、もし変な顔してたら許さないわよ!」
「『3』、『2』、『1』…………」
パ シ ャ ッ
タイミングを合わせてシャッターが切られ、撮影が完了する。
ダイアナは『自分がセンター』と言わんばかりの我が強そうな笑顔だ。
よく見ると、『オンリー・ガール』も『Vサイン』を作っていた。
一般的には『平和や友情』を表すジェスチャーだが、
英国などの英語圏における本来の意味は『勝利』。
どこまでも態度のデカいダイアナだった。
そんなことをしていると――――
ブロロロロロォ
数分後、徐々にタクシーが近付く音が聞こえてきた。
3人の側で停車し、扉が開く。
シートにはカバーが取り付けられており、濡れた身体で座っても平気だ。
「――――フフン!ほら、大丈夫だったでしょ?」
さも偉業を成し遂げたかのように胸を張るダイアナ。
電話した時のダイアナが妙に自信ありげだったのは、こういうことらしい。
おそらくは、タクシーが到着した時に言いたかったのだろうが、
わざわざ勿体ぶる程でもないだろう。
682
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/10(木) 19:01:44
>>680-681
マオにもうちょっと寄れと言われて近付いてみる
既に結構近いのだが、更に寄るとかなり近い事になる
そこまで詰めなくても…というくらい
>二人とも、『一番いい表情』をして!
>わたしが一緒に写るんだから、もし変な顔してたら許さないわよ!
「うぇ、い、イイ表情…」
こういう時は笑えばいいのか
でも、どう笑えばいいんだろう?
咄嗟に笑うというのも結構難しい
それも、一番いい表情と言われると
> 「『3』、『2』、『1』…………」
「わっ、あっ、あ…」
にへら
咄嗟に笑い顔を浮かべたがちょっとぎこちない
でも、照れはあるが変な顔って事はない
683
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/10(木) 23:56:35
>>681
「なにをー!
魔王よりもエラくてすごいなんて
どんなのよー!
かみさまかなにかなのかしらー!!」
そう言って少しぷくっと顔をふくらませる。
魔王が一番偉いと思ってるだけに
もはや人を超えたなにかになってしまっている。
「よし、エリーもちかくにいるわね!
それならよーし!」
そう言ってニッコリと微笑んで見せる。
「チーーーズ!」
ぐっとチョキポーズを決めてみせた
パシャッ
いつの間にやらその顔は満面の笑顔である。
「はっ、ちょうどよくタクシーが来たのだわ」
ようやくマオは立ち上がってタクシーに視線を向けた。
「これはとても柔らかそうな…イスなのだわ!」
タクシーのシートを見ながら呟く。
カバーが掛かっているので感触はそれほどでもなさそうだが。
684
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/10(木) 23:57:17
//
>>683
のレスは
//.
>>681-682
へのレスです
685
:
ダイアナ『オンリー・ガール』
:2024/10/11(金) 13:19:14
>>682-683
3人の幼稚園児が一同に介し、三者三様の表情で1枚の写真に写り込む。
あくまでも結果論だが、無事に終わった今となっては良い思い出だ。
もしかすると、また集合する日が訪れるかもしれない…………。
「フフン!『まぁまぁ』じゃない。
マオのスマホが復活したら送ってあげてもいいわよ」
「それからエリー、あなたスマホはあるの?
持ってるんだったら、そっちにも送ってあげるから、送り先を教えなさい」
ス ク ッ
『オンリー・ガール』が立ち上がり、その姿が空気に溶けるようにして消えた。
ダイアナが解除したのだ。
タクシーに向かって一歩踏み出しながら、マオに視線を送る。
「…………マオが先に乗りなさいよ。
通りかかる人に見られたくないでしょ?ほら、早く!」
ダイアナにしては珍しく『一番乗り』を譲った。
彼女なりに気を遣っているらしい。
マオが乗り込んだら、次は自分がシートに座り、エリーの乗車を促す。
「――――まで行ってちょうだい!」
既に行き先は伝えてあるにも関わらず、また同じ事を言うダイアナ。
どうしても大人ぶりたいようだ。
全員が乗ったなら、タクシーは『目的地』に向かって走り出すだろう。
686
:
エリー『サドゥンリー・アイ・シー』
:2024/10/11(金) 21:15:58
>>683-685
大丈夫かな…
変な風になってないかな?
己の写真写りにちょっと心配していたが
ダイアナの反応を見るに悪くはないようだ
良かった…とほっと安堵の息をつく
「あ、スマホ…」
送り先を教えるためにスマホを出す
「これ…スマホです…」
だから何だというのだろうか
特に変わりも無い普通のスマホを出して言う
マオに続いてダイアナ、そしてエリーが最後になるだろうか
タクシーに乗り込み車内を見回す
「はぇ^〜…」
別に特に珍しいわけでもない…と思うが
こういうのに乗るとつい見たくなってしまう
「ヨ、ヨロシクオネ…オナシャス」
運転手に話しかけてエリーはシートベルトを締めた
687
:
マオ『イントロ・マモン』
:2024/10/11(金) 22:03:59
>>685-686
「おお、これはとてもいいしゃしんなのだわ!
できればほしいところなのだけど…」
送ってくれるらしいことを聞いて、嬉しそうにマオは返事を返した。
「ありがとうなのだわ!
とりあえずおこめに入れて待っているつもりよ」
どうやらお米に突っ込むというのを実行しようと思っているらしい。
果たしてそんなことをして本当に直るのかはわからないが…
「それじゃあ、おさきにしつれいなのだわ」
マオは一足先にタクシーのシートに座る。
「エリーもいいえがおなのだわよ!
そうだわ!エリーも魔王軍のいちいんにしてあげてもいいのよ!
…その気になったら連絡してちょうだいなのだわ!」
そう言ってシートベルトを締めた。
たぶん電話番号をもらうことができるだろう。
色々会った日であったが、幼稚園ですれ違っていた3人が
こうしてお互いを知り合うことができた。
タクシーの中できっと会話が弾むに違いない。
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