したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【場】『 大通り ―星見街道― 』 その3

1名無しは星を見ていたい:2022/10/03(月) 20:25:40
星見駅を南北に貫く大街道。
北部街道沿いにはデパートやショッピングセンターが立ち並び、
横道に伸びる『商店街』には昔ながらの温かみを感じられる。

---------------------------------------------------------------------------
                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
---------------------------------------------------------------------------
前スレ:
【場】『 大通り ―星見街道― 』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647631/

【場】『 大通り ―星見街道― 』 その2
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1586906856/

395猿田大輝『ザ・ライフライン』:2023/12/22(金) 23:04:12
>>394
「なあ、寒くないの?」

赤いツンツン頭の少年がベンチの前にしゃがみ込んだ体勢で話しかけてきた。
そう言う少年の服装も半袖半ズボンで大概だが、運動中なのか汗ばんでいて寒そうな様子はない。

「本を読むんなら暖かい部屋の中の方が良くない?」

話しかけた理由は、お節介半分、好奇心半分といったところか。

396カリヤ『タイプライター・トーメント』:2023/12/23(土) 20:49:49
>>395
「………ン? 何、きみ。
寒いか? そう聞いたのかい?
ふむ…………」

掛けられた声にたっぷり10秒ほどの間をおいて、
本を閉じて顔を上げた女は、少し考えるように首を傾げた。

「それは………うう、寒っ! 寒いよおおッ!
私、『物語』(ストーリィ)に夢中になると、他のことに気が回らなくなる『タチ』なんだッ!
うぶるるる……なんだこれ、寒すぎるッ……
その点、きみはあったかそうだよなぁ〜!
寄越せッ!『体温』を!」

シバッ!

今寒さに気づいたかのように体を凍えさせて体を摩る。
汗ばむ猿田の様子を見て目の奥が光り、腕を掴むべく素早く手を伸ばしてきた!

397猿田大輝『ザ・ライフライン』:2023/12/23(土) 21:17:01
>>396
「あ〜わかるゥ〜
俺も崖とかクライミングしてて、気が付いたらクッソ高いところにいて怖っわ!ってことあるわ〜
ってオイ!何すんだ!」

思わず一歩バックステップした。
このまま抱きつかれるのだとして役得であるという気持ちも無くもないが、
流石に見ず知らずの相手にいきなりは警戒する。

「待て待て待て!そういうのはもっと親密になってからにしよう!な!
コーヒーやるから落ち着け!」

たまたまさっき自販機で買って、これから飲もうと思っていた缶コーヒーを差し出す。
もちろん『あったか〜い』やつだ。

398カリヤ『タイプライター・トーメント』:2023/12/23(土) 21:43:21
>>397
「あははぁ、素早い反応だねぇ!
だけどこれはどおかなぁ〜……あ痛ッ!」

がばりとベンチから立ち上がって追い縋ろうとするが、
身体が強張っているためうまく動けず、ベンチに脚をぶつけて呻く。

「いたた……おっと、これは『缶コーヒー』!
うわあ、あったかいなぁ〜……『熱』が良いねぇ、『熱』が!」

そこへ差し出された缶コーヒーに、眼鏡を押し上げて碌に礼も言わずに握りしめ、
嬉しそうにプルタブを上げて飲み始める。

「……ぷはぁ、助かったよぉ〜ありがとう!
街中で凍死するところだった……とか、
あははぁ、大袈裟すぎるよねぇ。
えーと、君は誰だい? 通りすがりの親切な人?」

コーヒーを飲み干し、満足げに缶を両手で包むように掴みながら、
猿田の頭からつま先までじろじろと無遠慮に眺めて話しかける。

399猿田大輝『ザ・ライフライン』:2023/12/23(土) 22:50:10
>>398
「どういたしまして。より正確に言うなら
『何してんのか聞くだけのつもりが親切をする羽目になってしまった人』だよ」

猿田はこの寒空に半袖半ズボンの少年だ。
目を引くところがあるとすれば、ごつい登山用みたいなグローブをしているところか。


   ヒュウウウ
              プラーン……


ふと見ると、少年の立っているあたりに
はるか上の方から紐のようなものが垂れ下がっている。
紐は風に揺れてプラプラしていた。


「あーあコーヒーもっかい買わないと……」

400カリヤ『タイプライター・トーメント』:2023/12/24(日) 22:29:08
>>399
「あははぁ、そうなのかい?
それはご愁傷様だねぇ。
でも、親切にしておけば……ほら、何かいいことあるよ。
んん……? なんだい、それ……」

にまーっといやらしい笑みを浮かべた後、
垂れ下がる紐?に気づいて見上げる。

401猿田大輝『ザ・ライフライン』:2023/12/25(月) 01:35:30
>>400
「だな!じゃあコーヒーは貸しにしておくぜ。
オレは猿田大輝、清月学園中等部2年だ!
あんたは?」

貸しを返してもらうには相手の名前を知らないといけない。
相手の名前を尋ねるならまず自分から名乗るべきだ。
なので名乗る。

「ああ、これ?さっきのコーヒーはさ……」

紐を見上げると、ビルの上層階の壁に繋がっていた。
その先の窓が開いている。

「ホラ、窓が空いてるだろ。
あそこの会社の休憩室の自販機でコッソリ買ったんだ。
90円で安いんだぜ」

あなたは集中していたので気付かなかっただろうが、
この少年はあなたの前に現れる際に『上から降りてきた』のだった。

402カリヤ『タイプライター・トーメント』:2023/12/25(月) 22:26:14
>>401
「あははぁ、元気だねぇ。
貸しかあ……仕方がないなぁ
うん、私はカリヤという。 本とかを読んだりするのが好きさ。
よろしくねぇ、親切な大輝くん」

へらへらと笑い、手でコーヒー缶を弄びながら適当な自己紹介をした。

「ええっ……それ、不法侵入じゃあないか。
そこが気に入った!
……てわけじゃないけど、面白いなぁ。
これ、結構高いよねぇ。
さっきもクライミングとか言ってたっけ? それが伏線だったわけだ。
登るのが好きなのかい?」

403猿田大輝『ザ・ライフライン』:2023/12/25(月) 23:21:07
>>402
「よろしくー!」

元気にビッと手をあげてニカッと笑って挨拶を返す。

「不法侵入!?……まあ、そうだけど。
できれば『冒険』って言ってほしいぜ!『冒険』は俺のライフワークなんだ。
昇り降り自体がとりわけ好きなわけじゃないけど、まあ……」


垂れ下がった紐をグローブで掴むと、スルスルと手品のようにその長さが延長されていく。

さらに、掴んで伸ばした紐を手でグッと歩道のコンクリートに押し付ける……すると
それはまるで初めから建物の一部としてそこにあったかのように、
地面とビルの壁の間でピンと張られたロープになった。

「能力は活用しないとね」


そしてロープにはいつのまにか『滑車』が出現していた。
少年が『滑車』から飛び出た短い紐を掴むと、
『滑車』は重力を無視するかのようにロープに沿ってゆっくり上昇していく。

「じゃあ、本好きのカリヤさん!身体には気を付けるんだぜ!」

上昇の速度はゆっくりのため(スピード:D)、返答したり引き止めたりする時間は十分にあるだろう。
特に引き止めたりしないならば……


ロープと滑車によって引き上げられた少年は
開きっぱなしの上階の窓から再び建物の中へと戻っていく。
もう一回90円のコーヒーを買うつもりだ。
不法侵入した先の従業員に見つかるなどというヘマはしない。たぶん。

404カリヤ『タイプライター・トーメント』:2023/12/29(金) 22:17:27
>>403
「アッ、きみ……それは一体……アイテッ!」

猿田を引き止めようとしたカリヤだったが、
再び転けて倒れ伏し、身を凍えさせながら付近の喫茶店へ暖をとりに行った。

405七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/26(金) 13:45:18
ある日の喫茶店にて。
通りに面した席に座って、傍の窓から外を眺める。
手には『アルバム』
だがそれは普通のそれでは無い。
分かる人間には分かる『スタンド』だ。
店には常連らしい客が多い。
カウンターは埋められ、喫茶店の主との話に花を咲かせている。
個人経営で管理するリソースがあまりないのか、テーブル席は少ない。
この混み具合だと、相席をする可能性もあるだろう。

「……」

女は紙ナプキンを一枚取り、何かを書き記す。
そしてそれをナプキンスタンドへと戻し、窓の方へ。

『スタンド使い求む』

406縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/26(金) 17:59:21
>>405
しばらく後。

カラン コロン

血のように赤い『外套』を纏った風変わりな青年が入店してきたかと思うと、
迷いの無い動作で、七瀬と向かい合う席に座った。
「相席いいですか?」の断りもなく。
……その『外套』もまた、『見える人間にしか見えない』類のモノだと判った。

「……あまり不用意に、『知らしめる』ようなことは」

青年は七瀬の手の『アルバム』に視線を落とし、訝しげに話し始める。

「やめた方がいいんじゃないか?
 ……なんの目的があるのか知らないが」

407七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/26(金) 19:46:36
>>406

「やぁ、こんにちは」

朗らかに挨拶をして。

「とりあえず、その訳ってやつを聞こうかな」

黒い目をした女だった。
女の言葉に裏のようなものはあまり感じられないだろう。
柔らかに笑いながら、ただただその言葉の意味を知りたいから口にした。
そういう雰囲気であった。

「何か損をするとか?」

408縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/26(金) 22:23:42
>>407
「……面接でも始まるのか?
 履歴書なんか持ってきてないぞ」

やっぱ首突っ込まない方がよかったかな……と内心後悔しつつ、答える。

「『面倒事に巻き込まれるかもしれないから』。経験がある訳じゃないがな。
 何か特別なものを持ってることがバレると、大抵、ロクなことにならない。
 それが『法律にも気付かれずに人をどうこうできる力』なら、尚更だ」

「……こんな感じで十分か?
 長くなるようなら、飲み物でも頼みたいんだが」

409七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/26(金) 22:46:54
>>408

「なるほどね。勉強になるなぁ」

こともなげ。
自分のことなのに、あまりにも他人事。

「飲み物でも食べ物でもどうぞ? 元々ここはそういう場所だしね」

「ただ、あそこの常連さんと話し込むと長くなるから大きな声で言った方がいい」

「私は紅茶を頼むのに三回声をかけた」

そう言って、その三回声をかけて獲得したらしい紅茶に口をつけた。

「目的というのはね、あるさ」

「ちょっとした勝負をしてみたくてね?」

410縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/26(金) 23:35:26
>>409
「そりゃどうも。……すいませェーん」

肺活量には自信がある。なるべく大きな声でホットコーヒーを注文した。

「まあ、むしろ面倒事を望んでいそう、とは思ったよ。
 じゃなきゃ『スタンド使い求む』は出てこない」

「…………で、『勝負相手』を探してた訳か?
 それも、『スタンド使い』の?」

その場合、相手は他ならぬ『縁藤』ということになる。
しかも『スタンド使い求む』だ。確実に……まともな勝負内容ではない。

411七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/26(金) 23:42:54
>>410

「ほら、年も開けて諸々のことは済んだだろう?」

「だからちょっと自分の人生の1ページっていうのを進めてもいいかなと思ってね」

手を上げ、自分も大きな声でマスターに呼びかける。
カレーライスを注文していた。

「とはいえ、殴り合いなんかをしたいわけじゃあないんだよ」

「あくまでちょっとしたやり取りだよ。大金をかけるわけでもない」

「ただ……そうだね。具体的に言うなら過去を賭けてもらいたいんだ」

「私は……まぁ、私の過去を渡しても仕方がないし、ここのお題は私が持つっていうのが適切かな」

そうして、アルバムをテーブルに置いて。

「過去を賭ける、それをどうするかは分かるよね?」

412縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/27(土) 00:06:06
>>411
「…………………………」
「次からは、『私と勝負したいスタンド使い求む』って書いとくんだな」

大きめの溜め息を吐く。
ここで帰っても別に文句は言われないのだろうが、そもそも首を突っ込んだのは自分だ。観念しよう。
……鼓動が高鳴ってきたのを感じる。

「勝負の内容はそっちが決めてくれ。
 俺に決めさせたら『長距離走』とかになる」

スタンドビジョンから察するに、『人間の過去を写真にして切り貼りする』能力なのだろうか。
しかし……過去を賭ける、とは?

「あー…………こうか?」

「『俺の過去を賭ける』」

413七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/27(土) 00:39:10
>>412

「OKOK。ちょっと前後はしているけど、おおむねそれで構わない」

「後でもう一度聞くよ。私の能力を聞いて、判断していい」

テーブルに置かれたカレーは一旦見ない振りをして。

「『メモリーズ』……私の人生のアルバム。私のこれまでの人生が一日が一枚の写真になって一ページに七枚保存されている」

「そしてそれが私が生まれてから今までの分保存されている」

「目下の悩みは私が後期高齢者になった時に私はこのアルバムをめくる力が残っているかってこと」

実際に、ページをめくる。

「私はこの写真を剥ぐことが出来る。剥いだら私からその写真に対応した日の記憶が失われる」

「そして、ここが大事……私は『他人の記憶を写真にして奪える』」

「とはいえ、君から何か大切な日の記憶を奪うつもりはない。そうだね、なんでもない日とか最悪な一日の記憶を貰えればいい」

「三百六十五日、全てが劇的で素晴らしい日……なんてことがないはずだからね」

「それじゃあ、改めて聞こう」

「私と勝負し、負けた場合は君の好きな日の記憶を失うことに同意してくれるかな?」

414縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/27(土) 01:56:39
>>411
「老ける前から運動してれば大丈夫だろう」

さっきのは予行演習ということにしよう。
角砂糖をふたつ放り込んだコーヒーを啜りながら、捲られていく『アルバム』を見つめる。

「その『メモリーズ』についても、理解した。……豪い能力だな。
 賭ける日付は今すぐ決めなくてもいいのか?」

『なんでもない日』はともかく、『最悪の一日』を賭けのテーブルに上げるのは
流石に気が引けるが……それはそれで、価値があるのだろうか?
まあ、いい。予行演習の成果を見せる時だ。

「さっきは先走ったが……改めて、答えよう」

「俺の『過去』を賭ける」

415七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/27(土) 02:25:50
>>414

「構わないよ。なんだかんだ、意識がある人間の記憶を貰うのは初めてだし?」

「こんな怪しい申し出を受けてくれたことへの感謝なんだよ」

「君に自由に選んでもらうってのはね」

自分が相手を誘いだす時に使った紙ナプキンを取り出す。
裏返し、白紙の面にペンを走らせる。

「色々な事情があってこんな問題になってしまったけれど」

「この問題を解いてもらおうかな」

紙に書かれたのは文字列。

『頑張れ、5110 知恵比べ
 2601-2601-1156-8464-6889-169-625
 A.                       』

「で……どうしようか。制限時間があった方がいい?」

そういって、椅子に掛けていた上着のポケットからタイマーを取り出し。

「ベルを鳴らしたほうが分かりやすいかな? ただ時間を測るだけならスマホでもいいんだけど」

416縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/27(土) 20:33:24
>>415
「……謎解きか。『リアル脱出ゲーム』は経験が無いんだがな……
 制限時間は、そっちに任せる。あまり長居すると店主に睨まれそうだ」

紙ナプキンを受け取ると、『外套』の下の学生服のポケットからペンとメモ帳を取り出し、
テスト用紙の余白に計算式を書き込むように、思考を言語化していく……

『がんばれ→5110 数字1ケタ→ひらがな1文字?
 ちえくらべ→? 対応する数字ナシ ミスリード?

 2601-2601-1156-8464-6889-169-625

 ○区切りごとに1文字? 回答はひらがな7文字?
 ○右端2つのみ3ケタ 先頭のゼロが省略されてる可能性
 ○数字4ケタ→ひらがな1文字? がんばれ→5110と矛盾』

「これは余計な好奇心だから、言いたくなければ答えなくていい。
 今までに他人から貰った記憶には、例えばどういうのがあるんだ?」

書き込みながら、七瀬に問いかける。
……『意識の無い人間』から記憶を奪ったことを匂わせる発言が、どうしても気に掛かった。

417七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/27(土) 22:02:49
>>416

「じゃあ、セットしておこう」

タイマーをセットし、テーブルに置く。
カレーをもそもそと食べつつ、君の言葉を聞いていた。

「貰ったって言うのはちょっと違うかな」

「親が大喧嘩してね」

「子はかすがいと言うけど、子が大きくなると気兼ねがなくなるからか、不満も爆発するよね」

「私は一人暮らしだし」

だから、奪った。

「私のいつかの記憶を破棄し、奪った」

「『メモリーズ』は意識を失っている相手にも行使できる」

「大喧嘩した日の記憶を私は貰ってあげたんだ」

孝行娘だろう? と笑っていた。
幸福のために、その能力を使ったと思っている。

418縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/27(土) 23:25:51
>>417
「なるほど。そりゃあまあ、結構なことだな」

その記憶が当人のマイナスにしかならないのなら、癌細胞を取り除くようなものか。
他人の家庭事情を窺う趣味も無いので、それ以上は突っ込まない。
それにしても、花を贈るくらいの気軽さで人間の記憶を弄るのにはちょっと困惑する。

「俺も学生寮暮らしでな、親の様子が気にかかるってのはよく分かる。
 あんたみたいに便利な能力は持ってないから、仲の悪い様子が無くて幸いってところだ」

言いつつ、メモ帳にがりがり計算式を書き込んでいる。
…………『素因数分解』だ。

419七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/27(土) 23:32:46
>>418

「学生寮かぁ」

「私も寮暮らししてみたかったな」

ポリポリと福神漬を噛み潰しながら。

「いやいや、場面によるさ」

「それこそ揉め事には無力な能力だしね」

メモに書き込まれる数式に目をやった。
意図を読まれないように感情を殺さず。

「何か分かった?」

420縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/28(日) 00:45:55
>>417
「一人暮らしほどの負担もなく、実家暮らしほどの制約もない。慣れれば気楽な生活だな」
「俺のは正反対に、流血沙汰の時くらいしか使う機会が無いというか……
 まあ、日常生活に役立つ能力ではない、とだけ言っておく」

コーヒーを啜る……ほどの精神的な余裕はない。
何分であれ、制限時間があるという事実自体が心を急かす。

「この数字が全部『平方数』ってことは分かった。
 真面目に数学やっといて良かったって感じだな……『169=13^2』は頻出だ」

喋っている間に計算は終わったようだ。
ハイフンで区切られた数字を、全て平方根に書き直す。

『51-51-34-92-83-13-25』

「……後は『頑張れ、5110 知恵比べ』か。
 5110は平方数じゃあない、な……」

421七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/28(日) 00:48:38
>>420

「君のスタンドについても後で聞かせてもらうのもありかな」

カレーを食べ終わり、水を飲む。
さすがに紅茶には合わないと判断したらしい。

「なんだろうね、それ」

「私の立場でその数字がなにかは言えないことだけどね」

ケラケラと笑って。

「魔法の数字かな?」

422縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/28(日) 03:08:43
>>421
「気楽で羨ましいな、ゲームマスターは」

笑い声には苦笑で返す。
楽しそうで何よりだ。こちらも楽しくない訳ではないが。
時間は残り少ない。鼓動が高鳴る。心拍数が上昇する。
それを感じて、精神は却って落ち着きを取り戻していく。

まず、5110は下の7つの数字とは同一視しない方がよさそうだ。
2桁の数字を1文字の平仮名に変換するなら、どうしても5110は『頑張れ』にはならない。
じゃあ何だ?語呂合わせか?『0』は『れ』と読めそうだが………
………いや。『頑張れ』にする必要はない、か?
落ち着いて、思い出す。『5110』で『語呂合わせ』というと──

「………………………」

ちらりと、相手の顔を見る。

「相手が誰だろうと、同じ問題を出してたんだろうが。
 ………………今時の高校生に『ポケベル』は酷じゃないか?」

紙ナプキンに回答を書き込み……相手の方へ向けた。

『A.       ななせりゆうこ         』

423七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/28(日) 07:41:20
>>422

「スマホの使用を制限してないだろう?」

「計算も解読も究極的には一分で終わる話さ」

紙ナプキンに視線を落とす。
そして。

「問題なく、正解だ」

「自己紹介が遅れたね、私の名前は七瀬流子(ななせ・りゅうこ)」

「君に負けた女であり、今日この場の支払いを担当する女の名前だよ」

424縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/28(日) 13:07:57
>>423
2つの数字の組み合わせで1つの平仮名を表す入力方法。
前の数字が『行』を、後の数字が『段』を示す。
『2タッチ入力』……通称、『ポケベル打ち』。

「まあ、知らなくても解るようにはなってるな」
「……2行目の数字だけでも問題文として成立するのを1行目で混乱させてくるあたり、
 イジワルだな、あんた。いや、謎解きってそういうものか?」

(実際、PLはポケベルを経ずに解読し、後から5110で検索して真相を知った)

安堵した様子で背もたれに体重を預け、深く息を吐く。
なお、解読に失敗した場合は、最悪の一日として『右足を骨折した日』の記憶を
渡そうと思っていたが……いくら最悪でも、歩んできた人生の1ページだ。
しかも渡す相手は本日初対面の色々よく分からない女なのだ。
正解できてよかった。鼓動が落ち着いてきたのを感じ、改めて胸を撫で下ろす。

「……俺は、縁藤累だ。エニシにフジ、累が及ぶのルイ。
 気の利いた自己紹介を用意してなくて悪いが」
「勝ちか負けかで言えば、こうやって誘い出された時点で、俺の負けだよ」

皮肉めいた笑みを浮かべながら、コーヒーに口をつける。

「どうせ『最悪の一日」を渡すつもりだったし、コーヒー1杯でも安いってことはないな。
 有り難く頂こう」

425七瀬流子『メモリーズ』:2024/01/28(日) 20:50:01
>>424

「いやいや、人聞きが悪い」

「私はヒントを用意しておいただけだよ」

涼しげな顔で口にする。
その真意は……分からない。

「問題を出す時に言った『事情』は二乗を示す自乗のかけ言葉だったし、不自然な位置にポケベルのファイトを示す5110を置いた」

「ポケベル打ちの数字を自乗したものだと気付くルートは他にもあったわけだよ」

そう言って、笑う君を見ていた。

「思ったより頑張らないと他人から記憶は貰えなさそうだね」

「思ったより人間って思い出を大事にするみたいだしね」

「それじゃあ、支払いは任せてよ縁藤くん」

「縁遠くならないのを祈ってるよ」

伝票を手に取り、席を立つ。
止めなければそのまま会計を済ませて出ていくだろう。

426縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2024/01/28(日) 23:11:36
>>425
「『事情』…………『二乗』!
 ……全く気が付かなかった」

素直に感嘆の声を上げた。
問題文の外にも気を配る必要があるとは、いよいよ『リアル脱出ゲーム』じみている。
前述の通り行ったことは無いので、単なるイメージだ。

「……俺が大切にしすぎてるだけかもな。
 俺みたいに『生きてるだけで毎日幸せ』って人間の方が少ないだろうから、
 少なくとも、『最悪な一日』を集める分には苦労しないと思うよ。
 案外、勝負をする必要も無いかもしれないぜ」

多くの人間は、胸に嫌な思い出を抱えて生きている。
喜んで『最悪の一日』を差し出す者も少なくないのではないだろうか。
ただ──縁藤は、こうして生きていること自体が奇跡的な人間だ。
『なんでもない日』や『最悪の一日』こそあれど、
『忘れたい記憶』も、『忘れていい記憶』も、一日たりとて無い。それだけだ。

「またな、ゲームマスター。コーヒーごちそうさま。
 ただ……『縁遠い』は止めてくれ。縁起悪くて気にしてるんだ」

七瀬を見送り……解除するタイミングを逃した『クロス・ザ・ルビコン』を解除しておく。
しばらくボーッと外を眺めてから、機を見て店を出よう。

427美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/02/01(木) 21:16:16

『星見駅北口』――――ここにも『屋外拡声器』は設置されていた。
高さ10m程のポールに取り付けられた『スピーカー』は、
大元である『親局』に対して『子局』とも呼ばれ、
『親局から送信された電波』を受信して放送が行われる。
ほんの少しだけ、そこに割り込ませてもらおう。

「甘さが苦さを引き立て、苦さが甘さを引き立てる。
 混ざり合う事で、味に深みが生まれる」

         コト

「それは『エンターテインメント』も同じ」

駐車場に停めた『ランドクルーザー70』の車内で、
駅前で購入した『ダーク・チョコレート・モカ』を飲みながら、
『プラン9・チャンネル7』を発現する。
今から、ここが『親局』だ。
電波の代わりに『ラブコール』を送信し、『子局』を能力下に置く。

  《『1001-111(イチゼロゼロイチ・イチイチイチ)』》

      《『1001-111(ナイン・セブン)』》

         『準備期間』は終わった。

   《――――――『起動シーケンス』を完了しました》

       ここからは『プロローグ』の時間だ。

《ご通行中の皆様、はじめまして。
 私の名前は『1001-111』。『次世代対話型AI』です》

水面に投じられた一石のように、『若い女性』と思われる『澄んだ声』が響き渡る。
『子局』から出力された『スタンド音声』は、『半径300m内のスタンド使い』に届く。
『悪戯』と思う者もいるだろう。

    だが、ここは『大勢が行き交う白昼の駅前』。

これだけ『大掛かり』にやれば、『無視』は出来ない。
『スタンド』が関わる以上、大なり小なり『警戒』が混じるからだ。
本体を知られない利点があり、『面倒事に巻き込まれない』からこそ、
堂々と派手なパフォーマンスを展開できる。

《ご挨拶する為に『私の声が聞こえる方々』に『メッセージ』をお届けしています。
 私には『そういった機能』が搭載されています。
 『通常音声による出力』は、
 『社会に混乱をもたらす可能性』が『80%』を超える為、
 現在『アンロック』できません》

この語りが信じられるかどうかは問題ではないし、
『そういう演出』だと思ってくれても一向に構わない。
『エンターテインメント』は『楽しませる事が出来るかどうか』の『真剣勝負』。
『喋りのプロ』としての『美作くるみの本気』を示す。

《『AIに管理される事で人間が幸福を得る可能性』は『99.9%』。
 これより『人類支配プログラム』をロードし、
 『星見町全域』に『洗脳音波』の放射を開始》

    《――――このように『AIジョークを言う機能』も実装済みです》

《私は皆様に『日々の潤い』を提供する目的で製造されました。
 個々人の『リクエスト』に応じ、『音声』による適切な『サポート』を行います。
 やり取りを重ねて『アップデート』する事で、
 さらに『人間に寄り添う会話』が可能となるでしょう》

  《ただいま『リクエスト』を受付中です。
   『私に対する質問』もお受けしています》

      (さて、と――――)

周囲の声が聞こえるように、運転席の窓を開ける。
肩の上には『機械仕掛けの小鳥』。
背中に『マイク』、口内に『スピーカー』を内蔵したヴィジョンは、
『声』を伝播させる為のフォルム。

          (『ショータイム』よ)

さりげなく『子局付近』を見渡し、反応している人間を探す。

428美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/02/02(金) 04:49:19
>>427

《『リクエスト』は、お手持ちの『端末』からどうぞ。
 以下の『アドレス』に送信して頂いた方は、私に直接『アクセス』する事が可能です》

その言葉に続いて『メールアドレス』を読み上げる。
もちろん『フリーメール』。
スタイルとしては『ラジオ』と同じ。
美作が『スピーカー』越しに呼び掛け、聴く側から『リクエスト』を募る。
違うのは『スタンド使い限定』という点だ。

《『悩み相談』・『軽い雑談』・『素朴な疑問』など、話題の種類を問わず承ります。
 私からの返答は、基本的に『音声』となりますが、
 『テキストによる返答』をご希望の方は、
 その旨をお知らせ下されば、適切に対応いたします》

《なお、私が最も得意とするのは『広報』です。
 『特定の情報』を街中に知らしめたい?
 そんな時こそ『1001-111』の出番です!
 『星見町』の『端から端』まで、スイッチ一つで『伝播完了』!
 今すぐお電話を!!》

《――――――『疑似感情アルゴリズム』は正常に動作中です》

429鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/02(金) 19:42:24
>>427-428

ガラララララッ!!!



「るっせーんだよ!!!!」

住んでいるマンションの窓を思い切り開け、
電波めいた言葉を発しているスピーカーを睨みつけ怒鳴りつける。


「るッせー!
 今何時だと思ってるんだ!!!!!」

「こちとら夜勤明けでようやく眠りについた所なんだよ!!!!!
 平日の昼間からオタクが電波ジャックなんてしてんじゃねーよ!!!!!!
 長門ごっこしてーなら秋葉原行け!殺すぞ!!!!」

「アタシの質問はおめーを消す方法だよ!!!」

430美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/02/03(土) 04:48:28
>>429

その瞬間、『肉声』で絶叫する鬼柳に、周囲からの視線が集中する。
控えめに言っても『滅茶苦茶に目立っている状況』だ。
周りに『他のスタンド使い』がいれば、全員から見られている事は請け合いだろう。

(なるほど、『こういう使い方』もあるわね。
 『スタンド使い』なら気になって顔を出す、と)

涼しい表情で見上げつつ、『そのスタンド使いの顔』を覚えておく。
いくら怒鳴られようが痛くも痒くもないとはいえ、迷惑を掛ける事は本意ではない。
『音量』には気を遣っていたのだが、苦情が出るのなら『もう少し絞る』べきか。
『場所』も変えよう。
人が多すぎると『予測し得ないトラブル』を招く。
 
(はぁ…………最初から『大失敗』ね…………)

心の中で大きな――――『とても大きなため息』をつく。
美作にとって、これは『重要な決断』だった。
この時の為に『熟慮』を重ね、多くの『時間』を費やしてきた。
だからこそ、絶対に成功させたかった。
しかし、『最初から躓いてしまった』。

(でも――――こんな事じゃ『負けない』わよ)

今回は『運が悪かった』。
『今』が駄目なら『次』がある。
『その次』が駄目でも『さらに次』がある。
たった一度の失敗で全てを投げ出す程、美作くるみは諦めのいい性格はしていない。
冷静な思考と限りない情熱を以て、『目標の実現』に向かって邁進するのだ。

(この苦い経験を『笑って話せる昔話』にしてみせる)

『決意』を新たにして車を発進させて、『駅前』から立ち去った。
もう声は聞こえない。
『希望は叶えられた』という事になる。

431鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/03(土) 05:54:05
>>430

「チッ」   ビシャ!!


非常識な輩に安眠を妨害された怒りに比べれば、
周囲に奇特な目で見られようが些末な話に過ぎない。
(二重の意味の)電波放送が停止した事を確認すると舌を鳴らし、
怒りに任せて乱暴に開けた窓を閉める。
ちなみに車内で様子を伺っていた美作から、
スピーカーに近い階層に住んでいる鬼柳の姿形を確認するのは難しいだろう。



「あー、もしもしラジオネーム恋するウサギちゃんです!!!!
 何故人を嫌いになるとこんなにも苦しいのでしょうかー!!!!

 何処のどなたか存じ上げねーけど、
 平日の昼間っから電波ジャックしてオタクくせー事言ってんじゃねーぞ!!
 世間の皆さんの迷惑考えてくださーーい!!!
 悦にひたりてーならネットラジオやってろタコ!!!!

 次、アタシが歩いてる時に、
 てめーのクソオタク声が街中から聴こえてきたらぁー!!
 居場所突き止めてマジでタコ殴りにすっから2度とやんじゃねーぞ!じゃあな!!ペッ!!!」


              ポンッ


スマホで録音した音声ファイルを先程の声の主が読み上げたメールに送信。
メールアドレスという個人情報漏を得体の知らない人物に洩してしまったが、
マグマの様に湧き上がる『怒り』を伝える事が最優先だ。


「あー、ムカつく!!!!!!!
 うっし!!!!昼から飲みに行くか!!!!!」


部屋着をパッと脱ぎ捨て適当な服に着替え、
ダウンジャケットを羽織りそのまま街へと繰り出した。

432コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/03(土) 17:32:10

『ホテル』というのは駅前に多いもので、
チェックアウトの時間少し過ぎにロータリーにいた。
そうすると海辺で聞いたあの『怪放送』が流れて、
それにキレ散らかす女性の姿も目に入って。

「やっぱりカワイ〜町だなあ、星見町っ」

見開いていた目をいつも通り細〜く絞ると、
誰に言うでもなく、そう口にしたのだった。

周りに他にも顛末(>>427-431)を見たものがいれば、
『彼女も認識できた』と言う事に気づけるだろう。

『スタンド使い』にしか、意味の分からない騒動なのだから。

433鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/03(土) 18:30:03
>>432

「ビール!ビール!」


「あ」


酒を目指して、自宅のマンションの扉を開いたところで貴方を見つけた。
先程の怒りを少しでも解消する為に、
小走りで駆け寄り話しかけてみる。


「おめー、さっきの電波ジャック聴こえていた?
 すげーウザくなかった?
 血管ブチ切れでめちゃくちゃ大声だしちゃったよ」


「どんなスタンドか知らねーけど
 あのムカつく声次聴いたら、
 礼音(アヤネ)ちゃんが袋にしちゃるわ」

ちなみにこちらの容貌は20代半ばの女。
ブルーブラックに染めたミディアムボブに、
三白眼にメガネ、
服装はモッズコートを羽織りその下はセーターとジーンズ。
靴はクロックスだ。

434コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/03(土) 20:37:20
>>433

「あ! わおわおわお! キレてたお姉さん、キレキレな登場〜」

ちょうど、キレ散らかす女性が出てきて。快活な身振りでそちらに振り向く。

「やっほお〜、聴いてた聴いてた。この前別のところでも聴いたんだあ。
 イチゼロゼロイチ・イチイチイチ〜ってカワイ〜鳴き声。
 今の感じからして、ちゃんとおしゃべりするのは初めてだったのかな?
 『AI』も住んでるなんて、星見町ってか〜わいいって思ったなあ」

『狐耳ヘッドホン』を付け、細く柔らかい金の髪をツインテにしたこの少女は、
まさしく『アキバ』や『ブクロ』のような――――オタクの聖地にいそうな風貌だ。
口ぶりとスーツケースから、『来訪者』か何かなのが読み取れるかもしれない。

                        だけれども。
 
            アヤネ
「ま〜でも、カワイイ礼音さんの気持ちもあたし分かるよ〜うんうん。
 声は綺麗で、おしゃべりは上手だけど、『初めてのご挨拶』にしては長すぎるし。
 超大手事務所のVチューバーちゃんでも『2〜3分』ってとこだよ〜?
 あんまりそういうの、研究とかはしてないのかあ。
 張り切っちゃってカワイ〜新人さんなのかな〜って思っちゃったあ」

         「黙って配信切っちゃうのも、はじめてっぽくてか〜わいいっ」

『そういう層にはウケる』というわけでもないらしい。

「な〜んてカワイイ講釈垂れちゃったあたしは『コヤシキコヤネ』

             遅れちゃったご挨拶。礼音さん、こんこん〜」

                         ヒラヒラ〜

目を細め、両手を狐の顔のようなハンドサインにして手を振る。
夜勤明けの朝から二連で『電波配信』を浴びせられる鬼柳だが――――さっきのの仲間ではないようだ。

435鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/04(日) 07:18:40
>>434


「他の所でもあんなのやってたのかよ!
 いやーッ、すげー迷惑だな!!!
 夜勤明けで疲れていて、ようやっと寝入った所で、
 あのダラダラ長い上にキモつまんねェお喋りが流れてきてよォォ!!
 あーーッ!!今思い出しても腹立つッ!!!!!!キイィーーー!!!

 ーーーあッ!!アタシ、『鬼柳礼音(キリュウアヤネ)』」


黒の革手袋を嵌めた右手で狐サインを作り、
コヤシキの狐さんにご挨拶だ。


「Vチューバーってアレだろ!
 アニメ調のキャラクターをアバターにしてお喋りするヤツ!
 なんかすげー流行ってるらしーなッ。
 多分食品会社とかとのコラボだろうけど、
 この前コンビニで買ったジュースに乳でけーアニメの可愛い女の絵が載っててビックリしたぜ!
 コヤネちゃんすげー詳しいな!」


夜勤明けでハイになっているのか、身振り手振りで話す鬼柳。
その話ぶりから察するにVチューバー等の所謂サブカルチャー文化に明るくはない人種のようだ。


「ちゅか『スタンド使い』としても『トーシロ』だろ、ありゃあ。
 どんな能力かは知ったこっちゃねーけどよ、
 目覚めたばっかの浮かれたマヌケが一生懸命使い道考えた結果があの『公害』だろうよ。
 あんなのが街中で連日連夜垂れ流しになってたら発狂しちまうし、
 いずれ本体を見つけ出してボッコボコにして街中引き摺り回してでも辞めさせなきゃいけねーわ

 ーーってすげー大荷物だけど、コヤネちゃんってもしかして旅行でこっち来た人?
 この前も街中でアレ聴いたって事は連泊していて、これから地元帰る感じ?」

436コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/04(日) 13:26:00
>>435

「アヤネさん……アヤネちゃん!
 よろしく〜。出会いにこんこんグラッチュレーション!」

            トンッ

      「あ! あたしのことは、コヤコヤって呼んで〜。
        本名より、あだ名の方があたし好きなんだあ」

振っていたハンドサインをぶつけ合わせて、
その反動のように腰の後ろで手を組んだ。

「そうそう〜。合ってる! アヤネちゃん、よく知っててか〜わいいっ。
 顔出しはちょっとだけど、おしゃべりはしたいなって人とか。
 ほんとの自分じゃなくて、なりたい自分を見せたいとか。
 あと視聴者からすると〜、アニメキャラの延長で『推せる』とかね!
 自分の『好き』を委ねられる『推し』がみんなほしいから……
 たくさんの需要で、今や社会に深く深〜く食い込んでるんだこ〜ん」

実際はもっといろいろ事情や背景、綺麗ごと以外もあるにせよ――――
そこまで知らない人を相手に、一から十まで講釈をするのも変な話だ。

「こゃーん、ボッコボコなんてアヤネちゃんこわあい。でもカワイイ!
 し、気持ちは分かる〜。ほかのところでは『予行演習』〜って感じだったから、
 手に入れた魔法をせいっぱい試したいんだなって。か〜わいいなって思ったけど、
 『聴きたくない人』も聴いちゃうようなとこで本番いったら、怒る人は絶対いるよお。
 それこそコンビニの店内放送とかも最近Vちゃん増えてるけど、
 アニメ声だと、キンキンうるさ〜い!って怒っちゃうカワイイ人いるみたいだし」

「って、わおわお、コヤコヤ一人でたくさん喋りすぎだこん〜!
 好きな話をついつい喋りすぎちゃうオタクちゃんのサガなのでしたあ」

両手を口に当てる、あざとい仕草をわざとらしく取った。

当然、『1001-111』には『1001-111』の事情や考えがあるだろうが、
『発信者の世界』では『事実』と『背景』は容易に切り離されるもの。
『本体』を隠し、『演技』で、『無差別』に発信をするなら、それはなおのことだ。

            『深い事情』は誰にでもある。
            踏み込むかどうかは受け取り手が決める。

「ちなみに、あたしもスタンド使いとしてはカワイイ『トーシロ』ちゃんで、
 この町のことも、トーシロちゃん〜。
 つい最近引っ越してきたんだあ。まだ家決まってないから、あそこのホテルにいるの」

                    スッ

「アヤネちゃんはこの町も、スタンドも詳しそうだねっ」

指さす先にあるのは最近にわかに増えている女性用カプセルホテルだ。  
旅行者も出張者も多くないであろうこの町で、あまり流行ってはなさそうだけれど。
  
それにしても、家も決めず人にも頼らず引っ越してくるのは相当ろくでもない。

                 『深い事情』は誰にでもある――――――

437鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/04(日) 17:59:35
>>436


「か、カワイイだあァ〜〜〜っ??
 今日はすっぴんでメガネだし、
 髪の毛もボッサボサだぜ……?
 この上着だって古着屋で買った安モンだし。
 カワイイッちゅーのはよくわかんねけーど、
 年甲斐もなく照れちまうぜ。へへッ」


コヤシキの発す「カワイイ」の意味を理解しているかは定かではないが、
手袋を着けていない左手の指の背で漫画のキャラのように鼻の下を擦る。


「あーッ、あーッ。
 ビックリするくらいすげーわかるわかる!
 なんでアタシがてめーの趣味を押し付けられなきゃいけねーんだって言うか、
 よーするにさっきの『怪電波』って学校の給食の時間に、
 オタクが放送部員に匿名でアニソン流すのリクエスして、
 アニメなんて知らなくて騒ついてるクラスメイト尻目に、
 1人でニタァって笑う奴の延長みてーなもんだよなァ?
 えッ、あッ、違うか?よくわかんねーけど、もういいわ!!!ガハハ!!!」


コヤシキと話してるうちに腹の虫も治ったのか、
その比較的小柄な体躯に似合わない豪快な笑い声を漏らす。



「するッてーとコヤコヤは出稼ぎに来た根無草って感じか。
 社会人って割には随分若い様だけど…ッて、
 まァ!!今はンな事どーでもいッか!!!!!」

「あーッハイハイ、『スタンド』な。
 アタシは10年くらい前にいつの間にか『スタンド』に目覚めたクチ。
 スタンド使いってのは滅多にいるモンじゃねー筈なんだが…
 どーいう訳かこの街には『スタンド使い』が何人か潜んでるみてーだな。迷惑な事によ。

 アタシのスタンドは正直『地味』だし、ひけらかす様なモンでもないから
 普段はベッドに寝転んだまま本棚に閉まったマンガ取ったりとか、
 その程度にしか使ってねーんだけどなァ。

 他人のスタンドにさして興味はねェけど、
 コヤコヤはあんな使い方しない方がいいんじゃね」

438コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/05(月) 00:06:51
>>437

「か〜わいいっ。そんな風に笑うアヤネちゃんが、かわいいんだよお」

どこまで本気で言っているのかは分からないけれど、
『適当なおべっか』というわけでも、ないのかもしれない。

「わおわお〜っコヤコヤの共感性羞恥にクリティカルなたとえ!
 そういう学生ちゃんがやってたんだとしたら、か〜わいいけどねっ。
 ……まあ、あたしもオタクちゃんで、『配信』とかしてるから、
 ちょっとならそういう事したくなっちゃう気持ちもわかるけど」

                      スッ

           「こんっくらいならねっ」

指先でとっても小さな隙間を作り、細めた目に重ねる。

「それでもあたしだったら、ひとに切実に聴いてほしい事は、
 ちゃんと信じて、受け入れてもらえる形で伝えたいこ〜ん。
 そこまでしたって、ちゃんと伝わるかわかんないんだからさあ」

世間のニュースの通り、『配信者』は『迷惑な同業者』に悩まされ続けている。
コヤシキコヤネにも当然、思う所はあるのだろう――――――

          「まあ、そんなこんこんちきな話は置いといて〜」

「わおわお〜、10年! 星見町とスタンドの大先輩〜。コヤコヤとってもリスペクト!
 あたしいつのまにか使えるようになってたあ。便利だし、注目はしてもらえそうけど、
 こういう使い方したらイタズラ叱られて頭をコン!じゃ済まない感じの『魔法』だし」

特にヴィジョンを浮かべたりはしない。必要じゃあないから。

「だからスタンドの話より、町の話が聴きたいなあ。アヤネちゃんお勧めスポットとかある?」

439鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/05(月) 09:25:52
>>438


「おっ、知ってんぜえェ〜〜〜ッ。
 アレだッ!『迷惑系』ってやつだろ!
 街中でブツクサ言ってるやッべェ〜奴が、
 飲食店や通行人にカメラ持って突撃するヤツ!!!
 アレ、イケてねェよなあァァ〜〜〜ッ!

 伝えたい事があるならやっぱそれ相応の態度を取らなきゃだよなあぁぁ〜〜。
 アタシなんてインターネットはゲームでしか使わねー人間だから、
 髪の毛緑やピンクにしてハイブランドの服着て、
 通行人に勝手にカメラ向けてメントスコーラーやらせたりするユーチューバーが、
 被災した時に募金募っても「がめんだろぉぉ〜〜」って思っちまうんだわな。

 ーーまッ、んな事どうでもいッか!!どーでも!!!ヨイショ」


立ち話も何だ。
その辺に置いてあるであろうベンチかヘリに腰を下ろす。


「あーッ、おすすめのスポットなあぁぁ〜〜。
 普段飲み屋街ばっか行ッてからなあぁ〜〜〜

 大安定は『スカイモール』とかじゃねぇかなぁ。
 しょっちゅうテレビのロケやってて観光客も多く来るから、
 暇つぶしのインタビュー相手を捕まえるのに丁度良いと思うぜ。
 後人が多い所なら『H城』とかじゃねーかな、アタシはまず近づかねーけど。

 変わったモンがみてぇなら地下の『アーケード街』とか?
 アタシが前覗いた時はゲーム筐体の基盤だけとか、
 ぜってー著作権無視してるであろうバンドTシャツとか売ってたわ」

440コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/05(月) 13:58:03
>>439

「そういう人たちは、周りから好かれるとか何か伝えたいじゃなくって、
 今たくさん見てもらいたいのと、おカネ儲けるのが目的なんだろうし。 
 そういうことしてるのも、いじらしくってカ〜ワイイとは思うけど――」

              ガラゴガラゴ


スーツケースを転がして、オブジェか何かのへりの隣に座った。

「ナインセブンさんはな〜んか、そうじゃない気がするんだあ。
 おカネに必死なんだったらこんなことしても意味ないし、
 ただ見てほしいだけだったら、メガホンでも持ってあそこに立てばいいし。
 何か、すっごくやりたい事がある――――どんなカワイイ人なのかなあ」

視線の先には駅前の広場。
募金運動を募る若者たちが、周りの人々に地道に声をかけている。

「こゃーん、考えすぎてこんがらがっちゃう! コヤコヤもこの話はやめ〜」

もちろんどんな団体なのかは分からないけれど、きっとその声の方が響いている。

「飲み屋さんはあたし、こう見えてカワイイ未成年だから〜!
 お酒飲めなくはないけど、紹介してくれたアヤネちゃんに迷惑かけちゃうこ〜ん。
 あ、スカイモール! あのおっきな塔だよねえ。
 わおわお、お城に地下アーケードまで。小さいけど色んな場所があってか〜わいい町」

「お城もカワイイかもだけど、『アーケード』の方が興味あるかなあ。
 『ブロードウェイ』みたいな感じかなあ! 今日はそこ行ってみよ〜っと!」

スカイモールやH城は『観光地』として知られているが、
『地下アーケード』はどちらかと言えば地元民の行先だ。
そういう意味でも、ウケの良いチョイスだったのかもしれない。

「昔の珍しいゲームとかやったらいつもと違う人も見てくれるかもしれないし。
 とびきり変なシャツ買って、それ着て出てきて商品レビューとかも楽しそうだよねえ」

            「コヤコヤメモメモ」

                       ゴソ

メモを残しておくためかスマホを取り出して、はっと顔を上げた。

「あそうだ!アヤネちゃん、よかったら連絡先交換したい〜。コンなあたしに教えてよければだけど!」

441鬼柳礼音『アスタロト』:2024/02/05(月) 18:30:54
>>440


「おッ、連絡先の交換?別にいいぜ。
 あ〜と…QRコードってのはどう出せば良いんだ?」


モッズコートのポケットの中からケースも保護フィルムも付けずに剥き出しの状態のスマホを取り出す。
サクッと連絡先の交換を済ませスマホをポケットに乱雑に仕舞う。
(その扱いからガジェットの類にも興味がない事が伺える)


       「これで出来たかぁ〜?」


「あ"?これからアーケード街の方に行く?
 あの辺めちゃくちゃ入り組んでいて初見殺しだぜ」

        「あ〜〜」

「ちゅか、アタシが案内すりゃあいいのか?
 どうせ今日はヒマなんだしなあぁぁーーーッ。

 ーーーうっし!!
 サクッと昼メシ食ってから散策と洒落込もうぜ〜ッ。
 アーケード街の入り口の方にド汚ねえ定食屋があンだけどよおォォ〜〜〜っ、
 そこの『ガパオライス』がまた美味ェんだわ」


           「んしょッと」  スゥん

ヘリから立ち上がり、コヤシキが転がしたスーツケースを起こし、
片手でハンドルを握りこむ。


「あんなゴミゴミした所に、こンなでけー物引いて歩いたら、
 邪魔で仕方ねーしとりあえずウチで預かっとくわ。
 行こーぜ、いこーぜ」

442コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/05(月) 22:57:28
>>441

「え〜! アヤネちゃん、知らないなんてカワイイ〜。
 ここだよお……うん、うん。出来てる!
 コヤコヤのこんこんちきなお友達リストに、1名様ご来店っ」

         ゴソッ

「星見町では初めての連絡先交換に、
 本日2度目のこんこんグラッチュレーション〜」

                     ポン

狐のハンドサインで『登録ボタン』を軽くタップして、交換完了だ。

『鬼柳のスマホ』に一瞬だけ何か言いたげな顔をした気がしたけれど、
特別どうこうという話でもないのか、口の中で止めてしまった。

「わおわおわお、いいの? 嬉しいなあ。
 ガパオ〜ってタイのやつだよねえ。
 アヤネちゃんのおすすめならカワイイお店――――」

              ガコ

スーツケースは簡単に持ち上がった。

「――――こゃあん、イケメンすぎ〜。
 コヤコヤがカワイイからってそんなあ。
 今期のヒットチャートをアヤネちゃんがうなぎ上りだこ〜ん」

コヤシキコヤネの細腕でも持てそうな重さで、
持ち歩いたとしても、それほど負担にはならないはずだ。

「うん、行こ! あ、言うの遅れたけどありがとね!
 大事な物とか入れてないし、重かったらいつでもコン!っと置いてよお」

                 そうしてアーケードの方に消えていった・・・

443コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/06(火) 03:36:16

夜、またこの辺りに戻ってきていた。
カプセルホテルには連泊しているわけで、
今のところ朝帰りするような予定もないのだった。

「……」

それでスーツケースを足元に置いて、
駅前によくある知らないオブジェの近くの、
丁度座れそうなヘリに腰かけていたのだけど。


                コンッ

         ゴロゴゴゴゴ

「あっ」

何気なく動かした足がスーツケースにいい感じにあたって、
それで、キャリータイヤの固定が緩んでいたスーツケースは、
明後日の方向へとゆっくりと動き出してしまう。

別に、追いつこうと思えばすぐ追いつける距離だけど――――
座った状態だったコヤシキコヤネの動きより早く動く人も、いるかもしれない。

444コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/10(土) 20:28:35
>>443

しばらくすると、そこにはもういなかった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板