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【場】『 歓楽街 ―星見横丁― 』 その3

603美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2025/06/06(金) 16:56:21
>>602

ここを訪れるのは久し振りだが、改めて感じたのは、
歓楽街に軒を連ねる他の店と一線を画した趣向だ。
それは『プロデュース』にも通じる。
だからこそ、多くの客を獲得しているのだろう。

      「――――どうも」

いわゆる『和モダン』に分類されるであろう内装を眺め、案内に従って着席した。
林檎の姿を認めると、軽く片手を振りながら、今日の着こなしを観察する。
やがて目を留めたのは『紫陽花の刺繍』。

「こんばんは、林檎さん。
 皆さんにも喜んでもらえたなら、私も送った甲斐があったわ。
 色々と話したいことがあるんだけど、
 林檎さんの言う通り、まずは楽しまなくっちゃね」

           ────ニコッ

「ええと、『ミモザ』を貰えるかしら?
 それから、何かおつまみを見繕ってくれる?」

林檎が隣に座ると、明るい笑顔で飲み物を注文する。
『シャンパン』と『オレンジジュース』を1対1で割ったフルーティーなカクテルだ。
その名が表すように、『ミモザの花』を思わせる鮮やかな黄色に仕上がるだろう。

「『空織さんに頼んだ物がある』って話したことを覚えてる?
 実は、この『パーカー』をお披露目したくて」

        スゥッ

林檎から見えやすいように立ち上がり、
黒いジップアップパーカーの『胸元』を指し示す。
左胸には『ライオンの刺繍』が入っており、
その『たてがみ』は『蜘蛛の巣』によって構成されていた。
かなり凝った意匠だ。

           キラッ

               キラッ

さらに、用いられているのは単なる糸ではなく、
『シルク糸』に『錫合金糸』が『バネ』のように巻き付く形で、
1本の糸として仕上がっている。
この世に存在しないはずの『全く新しい縫い方』。
極めて精緻に織り込まれた『刺繍』は、
まさしく『神業』と呼べる完成度で、芸術的な存在感を湛えていた。

   「それから『こっち』もね」

                  クルッ

軽やかに背中を向ければ、そこには『別の刺繍』が施されていた。
『女性と蜘蛛が融合した怪物』――『アラクネ』が中心に鎮座し、
その周囲に『魔法陣』が描かれている。
また、『蜘蛛の足』には『引き千切られた鎖』が繋がっていて、
『胸の刺繍』と合わせて、一つの『物語』を感じさせるデザインだ。

(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1658664736/272)

「この『刺繍』は、私と空織さんでアイデアを出し合って考えたの。
 私の『コンセプト』を、空織さんの『才能』が実現してくれたのよ。
 林檎さんなら分かってくれるでしょうけど」

『才能』――すなわち『エラッタ・スティグマ』の『能力』の産物。

「これには『ストーリー』があるんだけど、よかったら話しましょうか?」

再び座り直し、林檎に向き合う。


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