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【場】『 星見スカイモール ―展望楼塔― 』

1『星見町案内板』:2016/01/25(月) 00:02:24
今世紀に建造された『東海地方』を対象とする集約電波塔。
低層エリアには『博物館』や『ショッピングモール』が並び、
高層エリアの『展望台』からは『星見町』を一望出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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440鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/20(水) 00:44:57
>>439

「…拾ってくれたのが佐奇森さんで良かった」「ありがとう」

ふぅ、と息をつき感謝の言葉を述べながら、マスクをズラす。
そして差し出された『釘』と『ポーチ』を受け取った。
クラスメイトなら、手で受け取る程度なんでもない。いや、なんでもないは言い過ぎたが。
やはり目は合わせられないし。

「オレは無事だよ。これは『予防』」「母さんが少し前に風邪にかかってね」
「とはいえ、もうすぐ治るだろうけど。念のために、今日の買い物はオレが来たんだ」

分かって言ってるのか、それとも素なのか。何となくからかわれているような気がしつつも、首を振る。
心配させてしまっているなら、それはそれで申し訳ない。


>    「……テスト期間中に『日曜大工』?」

>     「ってわけじゃないと思うけど、どしたのこれ?」

「・・・・・・・・・・」ビクッ

思わず、動きが止まる。しまった、せめてこれは袋の一番下に入れておくべきだった。
いや、そもそも落とさなければ良かったのだが。何か上手い言い訳を探さなくては。

「これは、その、ええと…」

「………」

「…佐奇森さんは、『非常食』とか買っておくタイプ?」

441佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/20(水) 01:00:02
>>440

     「ああ、なるほどね」

      「お大事に、ってお母さんに言わなきゃ意味ない気もするけど」

風邪は感染する病だ。
かかった本人、その身内、そしてまだかかっていない人すらも、感染を防ぐために意識するのは重要なことである。
うんうん、感心なことだ。
佐奇森も手洗いうがいは徹底しているが、体調を崩しやすい時期なのだし。

   「……お、妙な反応」

と、鉄が妙な反応を示した。
まぁ彼が挙動不審なのは今に始まったことではないのだが(失礼)。

       「『非常食』?」

    「ああうん、たくさん買い込んであるよ」

      「こないだ『乾パン』の賞味期限が切れたから買い替えたとこ」

     「それがどうしたの?」


              「……まさか……『釘』を……ッ!?」

食べるのか!?(そんなわけはない)

442鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/20(水) 01:14:44
>>441

「…いや、その気持ちだけでありがたいよ」「母さんにしっかり伝えておく」

佐奇森さんはその瞳の影響でか、やや気が強そうな女性に見えるが
責任感が強く、気配りもできる女性だ。『クラス委員長』を務めているのも納得だろう。
そういえば、『山岳部』にも所属していた気がする。


>              「……まさか……『釘』を……ッ!?」

「ないない」「それはない」

顔の前で手を振って真顔で否定する。
『釘を食べる人間!』みたいなオカルト的な話も意外と信じるタイプなのだろうか。
それならしっかり説明しても通じるかもしれないが、ひとまずは、安全策で行こう。

「そうなんだ、やっぱり佐奇森さんはしっかり備えておくタイプなんだな」
「オレもどちらかと言えばそのタイプで、色んな事態…特に自分にとって、都合のよくない事態を想定しておく方でね」
「できれば使いたくないが、いざという時のために準備しておいた方がいいもの」

「ええと」「まぁ」「『コレ』がそうなんだけれど」

そう言って、『釘』と『ポーチ』を指差す。
…何を言っているか余計分からないかもしれない。自分もよく分かっていない。
元よりウソは得意ではないが、女性相手だと尚更かもしれない。

「さ、佐奇森さんは今日は買い物でここへと?」

とりあえず話題を変えることにしてみよう。

443佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/20(水) 01:35:20

   「あはは、ジョーダン、ジョーダン」

『土』とかは聞いたことがあるが、どう考えても『釘』は食べるものではない。
ショートカットを揺らしながら、カラカラと笑う。

    「ははーん、もしもの時の備えってワケ?」

  「なるほどねぇ……」

うんうん、と神妙な顔で頷いて、

     「いやだからって風邪引いた母親に代わって買うこれ?」

   「っていうか全然説明になってませーん」

    「『コレ』が必要になる状況って何よ。ゾンビパニック? でなきゃ不良の『カチ込み』でしょ」

手首のスナップで虚空にツッコんだ。
露骨に不自然だ。それこそ日曜大工でもするんだろうか。テスト期間に?
流石にそれはこう、『テスト前に片付けが捗る』とかのレベルを超えてないだろうか。

      「私は『方程式』と向き合うのに嫌気が差して気晴らしがてらお菓子買いに来たとこだけど」

    「その言い方だとキミ、『僕は違う理由で来ました』って感じ出ちゃうぞー?」

444鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/20(水) 01:47:58
>>443

>     「いやだからって風邪引いた母親に代わって買うこれ?」

>   「っていうか全然説明になってませーん」

>    「『コレ』が必要になる状況って何よ。ゾンビパニック? でなきゃ不良の『カチ込み』でしょ」

「ごもっとも過ぎる…」

目線を合わせずに、頷いた。
仮に自分でもそう思うだろう。ここまで流暢に反論したりはできないが。
ここは覚悟を決めて話すべきか。
彼女には『頭がおかしいヤツ』と思われるかもしれないが、
仮にそうなったとしても、クラスに吹聴するタイプではないだろう。

「オレも買い物がメインではあるけど、察しの通りこれは『私物』でね」
「・・・・・そうだな」

辺りを見回して、人通りが今は少ないのを確認。
何本も束ねられている『釘』の包装を破いて、その内一本を取り出す。

「佐奇森さんは、『超能力』を信じるタイプか?」
「…いや、話がどんどんヤバい方向に向かってるのは分かってる」
「とりあえず最後まで聞いてもらえれば」

445佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/20(水) 01:57:28
>>444

    「お……」

……話が。
少し妙な方向に動き始めたのを感じる。
楽しげに口角を持ち上げたままポケットから両手を出し、その掌を上に向ける。
続けてどうぞ、のジェスチャー。

        「OK」

     「聞こう。聞くよ」

   「とりあえず最後までね」

面白くなってきた。
そんな感覚があった。

446鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/20(水) 21:26:48
>>445

「ありがとう」

頷き、釘の先端で軽く自分の指を刺す。ほんの僅かに、赤い血が一滴浮き出てきた。
その指を見せ、とりあえず、この釘は『本物』だということを伝えておく。

「先日、オレはとある人から、『超能力』に目覚めさせてもらった」

「それで自分の能力について色々と試行錯誤したり」
「目覚めさせてくれた人に対して訊ねたりしてみたんだ」

「オレの能力には、『刃』が必要なんだけど」

釘を握る右手と重なるように、『シヴァルリー』を発現。釘から『殺傷力』を奪い、『なまくら』とする。

『ビュンッ!』

そしておもむろに、左手へと勢いよく突き刺した。

「…家にある刃物は一通り試したし、『日本刀』も借りて試してみたが」
「あまり大きいものは邪魔になるし、普段から持ち歩くのは危険過ぎる」
「それに、殺傷力が高過ぎるしな」

左手を、佐奇森さんへと見せる。血どころか、傷一つない左手を。
そして彼女へと歩み寄り、その『釘』を渡す。

「それでひとまず出してみた結論が、コレなんだけど」
「…『能力バトル漫画』とか見たことある?それなら理解しやすい か も」

説明しつつも、はたしてこんな説明で理解できるかどうか、不安は残る。
傷付かない『釘』に関しても、途中で手品のように入れ替えたと言われてしまえばそれまでだ。
佐奇森さんの懐の広さに期待したいところだが、どうか。
チラリ、とクラス委員長の顔を伺う。

447佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/20(水) 23:48:00
>>446

   「……へぇー」

          「うわっ」

        「…………痛くないの? マジで?」

受け取った『釘』で、恐る恐る自分の手を刺してみる。
……刺さらない。
痛くない!

    「うへー、すごいね夕立クン」

      「『日本刀』借りられる先ってナニ? って感じだけど」

     「あ、剣道場とかだと結構置いてあるんだっけ」

すごいすごいと感心しながら、『釘』を自分のあちこちに刺そうとしてみて遊んでいる。
当然どこにも刺さらない。とても『不思議』だ。

        「……ん、OK」

       「納得した納得した」

          「『釘』よか『カッター』とか『ハサミ』でもいいんじゃないかって気もするけど」

    「にしても夕立クン、度胸あるよねぇ」

      「『自分は超能力者です』って、フツー信じてもらえないよ? ヤバい奴扱いされるって」

ケラケラ笑って――――佐奇森は、フライトジャケットのポケットに手を突っ込んで仁王に立つ。
超能力者とか、フツーは信じない。
フツーは納得しない。当たり前だ。
……けど。


            「――――『こーいう子』でも無ければね。」


傍らに、『スカイラブ』を発現する。

448鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/21(木) 00:28:34
>>447

「『シヴァルリー』は、能力の対象下に置いた刃物に傷付けることを許さない」
「そういう能力なんだ」

『スタンド』の説明を付け加える。
どうやら信じてくれたようで、一安心だ。女性にヒかれるのは慣れているが、
流石にクラスメイトにあまり距離を置かれると、悲しい。

「いや、『地下アーケード』に『骨董品屋』があってね」
「店頭に並んでいたものから、少し『殺傷力』だけ借りさせて頂いたんだ」
「顧問の先生は持っているのかもしれないけど、学生の手の届くところに置くと危険だからね」

実際振ってみて、リーチも扱いやすさも申し分なかったのだが、値段が高いしかさばるし、何より危険過ぎる。
もし仮に『そういう事態』になったとしても、相手の命を奪いたいわけじゃあない。
ただでさえ、『シヴァルリー』。その能力には、危険が伴う。

「カッターやハサミも、あれば便利だなとは思うけど」
「まぁ『釘』はな…色々な所に刺せるのがいいんだ」


>    「にしても夕立クン、度胸あるよねぇ」

>      「『自分は超能力者です』って、フツー信じてもらえないよ? ヤバい奴扱いされるって」

「その通りだとは思う」「でも事実だからな」
「…いや、ヤバい奴ってところじゃあないぞ」

「説明して、理解してもらえなければ仕方ない。それはオレの不徳の致すところだから」

自分は、あまり嘘は得意ではない。だから単純に話して理解してもらうのが得策だと思った。
この前の風紀委員の少女とのやり取りでも思ったことだ。

「でも、キミは信じてくれただろ?─────」

と、そう語りかけた少女の隣には。自分と同じ、『超能力のヴィジョン』。

「・・・・・・・・・・」
「ここのところ、そういう機会が多かったからな…目玉が飛び出るほど驚く!ってわけじゃあないが」
「『クラスメイト』にいたのは流石にビックリだな」

改めて、自分の隣に『シヴァルリー』を発現する。

449佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/21(木) 00:46:59
>>448

     「……キミは人見知りすごいけど、素直だよね」

   「私、好きだなぁ。夕立くんのそーいうとこ」

傍らに視線をやれば、スマートな宇宙飛行士――――『スカイラブ』が『釘』を手に取る。
それから視線は『シヴァルリー』に。
……なるほど、『おそろい』だ。

      「あはは、せっかく勇気出して信用してくれたのに、悪いことしちゃったかな」

    「あ、ちなみに私は初めて見るよ、『私以外』は。けっこーいるの?」

        「結構違うもんなんだね、能力って。私の『スカイラブ』は――――」

『スカイラブ』が握る『釘』に、刻印。
宇宙船のマークが『釘』の頭に刻まれ――――浮いた。
ひとりでに、ふわりと。

       「物を『宇宙船』にできる」

     「面白いでしょ? 派手じゃないけど、縦横無尽。ある程度ね」

『釘』はそのまま無重力めいた挙動で宙を滑り、鉄の目の前に移動した。

450鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/21(木) 01:06:18
>>449

「うぐっ」「・・・あ、ありがとう」

臆面もなく好きだと言われ、また視線を逸らしてしまう。顔も赤くなっているのを感じる。
当然そういう意味でないことは分かっているが、どんな形であれ、自分が評価されることは嬉しいものだ。

「人見知りというか、単に『女性』が苦手なんだ…」「他の男子が何故緊張せずに話せるのか、不思議なくらいだ」

ぼやきながらも、こちらも改めて『宇宙飛行士風』のスタンドに目をやる。
騎士風の『シヴァルリー』とは違った雰囲気だ。そういえば、確かこの少女の夢も、同じものではなかったか。
これが所謂、心象風景的なものなのだろうか?

「…まぁ仮に佐奇森さんが信じてくれなかったとしても、この事をクラスメイトに言うとは思わなかったからな」
「どちらにしろ、その点に関しては間違っていなかったと思ってるよ」

自分以外を見るのは初めて、という彼女に少し驚く。どうやら自分は中々の偶然に遭遇していたようだ。

「学校の中でいえば、中等部二年生の松尾さん」「高等部一年生の今泉さん」
「外なら、この前会った男性の平石さん」「それに『烏兎ヶ池神社』の巫女さん、鳥舟さん」
「鳥舟さんはまだスタンドを扱えるわけじゃあないけど」

とりあえず、この四人の外見を説明しておこう。いざという時に助け合えるかもしれない。
そして、『スカイラブ』と彼女が名乗ったスタンドの動きに注目する。
そういえば、直に他人の能力を見るのは初めてかもされない。
少しワクワクしてしまう。すると、ひとりでに『釘』
が浮かび上がった。
そしてふわりとした独特の挙動で、目の前に着陸した。

「・・・念動力・・・じゃあないのか」
「『宇宙船』・・・・スゴいな、そんな能力もあるのか」

思わず笑みを浮かべながら、『釘』を手に取る。

「佐奇森さんも、誰かの力を借りて『目覚めた』のか?」

451佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/21(木) 01:39:57
>>450

     「へー……気付いてないだけで、結構いるもんなんだねぇ」

そりゃあ、普通は生きていく中で『超能力』なんて必要なものでもない。
今回みたいなケースでもなければ――――親友がスタンド使いだって気付かないまま一生を終えることだってあるかもしれない。
……というか。

   「……夕立クン、女の子ニガテーって言うけどサ」

      「その感じだと、結構女の子とお話できてるんじゃない?」

    「やるねぇ。このこのっ」

鉄の手の中で、『釘』が軽く暴れる。
と言っても乱暴に動くわけでもなく、ちょっとくすぐるようなものだが。

       「ま、素直だしね、キミ。そういうとこなんだろーけど」

     「目覚めた理由は……んー」

ふと、ぽりぽりと頭を掻いて。

         「ぶっちゃけよく覚えてないんだよね」

    「前に通り魔的ななんかに襲われてさぁ。いや怪我とかは無かったんだけど気ィ失っちゃって」

        「起きたら使えるようになってた。夕立クンは違うの?」

452鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/21(木) 20:21:19
>>451

「いや、そういうわけじゃあ…」
「松尾さんは『女性』じゃなくて『女の子』だし」「今泉さんとは、『スタンド使い』だと知る前から何度か話しているし」

妹と同い年以下の子は『女の子』に属するので平気だ。以前に『子供』と言ったら
妹に蹴られたので、とりあえずは『女の子』と分類する事で納得してもらった。
また今泉さんは、人当たりの良く交友関係の広い子だ。初対面で醜態を見せても、ドン引きせずにまた話しかけてくれた。

「鳥舟さんは…まぁ、大人の女性だったからかな」「情けないが、オレの方に合わせてもらった感じだ」

実際に口に出してこそいないが、彼女にも苦手としている事は悟られているだろう。
よく考えれば、店頭の前で日本刀をジッと見て、話しかけても返事の一つもできない男によく対応したものだ。
それとも職業柄、色々な人の話を聞く機会が多いのだろうか。

「『スタンド使い』、なんだか人格者の方が多いのでは…?」
「うおっ?」

手の中に掴んでなお、動き回る『釘』。なんだか一種の生き物のようで、ちょっと可愛く見えてきた。
ゆるキャラにしてはあまりに飾り気がないのがマイナスポイントだが。

「不思議な『マーク』…これがキミの能力下に置かれたってことか」
「ぬいぐるみとかに能力を使ったら、子供がとても喜んでくれそうだ」「いい『スタンド』だな」

手の中で暴れるソレに微笑んで、暴れる釘を袋の中に戻した。


>         「ぶっちゃけよく覚えてないんだよね」

それを聞き。ああ、生まれついての『スタンド使い』というやつか、と思って。


>    「前に通り魔的ななんかに襲われてさぁ。いや怪我とかは無かったんだけど気ィ失っちゃって」

>        「起きたら使えるようになってた。夕立クンは違うの?」


「───────────────」


鉄が、その切れ長の目を見開いた。佐奇森の顔をしっかりと見て、口早に訊ねる。

「それは、いつ頃だった?」

453佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/21(木) 22:41:46
>>452

    「お、今の『レディキラー』っぽい」

   「そこで殺し文句のひとつでも言えるとさらにポイント高いよー?」

なんて、意地悪くからかいつつ。

   「あんまり精密には動かせないけどね」

  「素敵なコでしょ、私の『スカイラブ』。私もそう思います」

笑いながら、『スカイラブ』を引っ込めさせた。
私の『宇宙飛行士』。うん、お気に入りだ。 

   「……ん。いつってまぁ、『ちょっと前』だけど」

   「なーんも覚えて無いんだよね。急だったし……」

 「…………やっぱ心配?」

  「自分とか家族とか、友達とか」

454鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/21(木) 23:11:58
>>453

>   「……ん。いつってまぁ、『ちょっと前』だけど」

>   「なーんも覚えて無いんだよね。急だったし……」

> 「…………やっぱ心配?」

>  「自分とか家族とか、友達とか」


「・・・・・・・・・・」
「少し前に」「オレの妹が腕を『切られた』」
「人混みの中で。何が起きたか分からないと言っていた」

「命に関わるほどの怪我じゃあない」「『ピアノコンサート』に一度出られなくなる程度だ」

「妹が中学生になってから泣いたのを見たのは、あの時が初めてだ」
「だからオレは、『音仙』さんの所へと赴いた」
「その人が、オレを『スタンド』に目覚めさせてくれた人だよ」

一息に説明し、深く息を吐いて首を振る。

「でもソイツは違うみたいだな」「オレの妹は『スタンド使い』にはなっていないし」

455佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/21(木) 23:35:33
>454

      「……夕立クンってさ」


    「結構『タフ』だよね。やるときはやるぞーって感じ」


     「キミは『イイヤツ』だ。そう思うよ」


にっ、と。
笑ってみせて、彼の隣を追い抜く。

   「……やっぱさぁ」

      「あぶない奴も多いんだろうね。『スタンド』って言ったっけ?」

    「人に見えない超能力とか、悪さし放題だし」

     「私を襲った『なにか』も、夕立クンの妹ちゃんを傷つけた『誰か』も」

   「……いるんだよね。この街に。きっと」

……きっと。
そのために『備えて』いるんだろう。彼は。
また、妹が泣かないように。
くるりと振り向いた。ポケットから出した手を伸ばす。

       「荷物」

   「ちょっと持つよ。また落としちゃうでしょ?」

456鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/02/22(金) 00:14:55
>>455

「…これでも『長男』だからな」

そう言って、笑ってみせる。女性が苦手でも、あまり欲というものがなくても。
譲れないものはある。


>   「……やっぱさぁ」

>      「あぶない奴も多いんだろうね。『スタンド』って言ったっけ?」

>    「人に見えない超能力とか、悪さし放題だし」

>     「私を襲った『なにか』も、夕立クンの妹ちゃんを傷つけた『誰か』も」

佐奇森さんの言葉に、ゆっくりと頷く。

「今のところ、会った『スタンド使い』は皆いい人だった」「キミを含めてな」
「…だから本当は、妹を襲ったのも奇跡的な『カマイタチ』とかで」
「悪い人間なんか元からいなかったっていうのが、一番いい」

「けれど、そうじゃなかった時のために、こうして『非常食』を買っておかなきゃな」

そして、手を差し出してくれる佐奇森さんに驚いた。
…スゴいイケメンだぞ、この子。
いや、見た目は当然可憐な女性なのだけれど。

「じゃあお言葉に甘えておこうかな」「…顔見知り以外の女性に拾われてしまうと申し訳ないし」

袋の中からなるべく軽めなものを選び、別の袋に入ったそれを渡す。

457佐奇森 届『スカイラブ』:2019/02/22(金) 00:39:46
>>456

     「……『オトコノコ』だねぇ」

           「じゃあさ」

      「なんかあったら呼んでよ」

   「私は『長男』じゃないけど、キミの『友達』だし」

……それはきっと、戦う理由には十分だ。
生まれてこの方、喧嘩なんてそう多くしてきたわけじゃないけれど。


   「『宇宙飛行士』は、チームの仲間が困ってる時は共同で問題解決にあたるもの……だからねっ!」


                 ニ カ ッ


うん。つまり――――そういうことだ。
荷物を受け取って、街を歩く。
とりあえず今日のところは、『通り魔』とかは出てこなかった。
それでよかったのだと、そう思った。

458宗像征爾『アヴィーチー』:2019/02/22(金) 01:15:19

カーキ色の作業服を着た中年の男が、ベンチに腰を下ろしていた。
革手袋を嵌めた手の中に、小さな光る物が見える。
それは、一枚の五百円硬貨だった。

親指で硬貨を弾き、真上に放り上げる。
銀色の硬貨が宙を舞い、再び男の掌中に戻る。
しばらくの間、その動作を繰り返す。

何度目かの後で、落ちてきた硬貨を受け止め損ねた。
手から零れ落ちた五百円玉が、床の上を転がって行く。
おもむろに顔を上げ、その行き先を視線で追った。

459一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/02/22(金) 02:13:35
>>458
行き先を視線で追うと小さく青白い手が硬貨を拾う。
血管が薄く見える透き通った肌に見覚えがあるかもしれない。

「写真の次はお金ですか?
物は大事にしなきゃ駄目ですよ」

一度はタッグを組んで戦ったが顔を忘れ去られたりしてないだろうか。
不安になりながらも宗像おじさんに微笑みかける。

「去年の1月でしたね。私達が出会ったのも。
宗像おじさんが生きてて嬉しいです。心配でしたから…」

小走りで駆け寄って硬貨を宗像おじさんに差し出す。

460宗像征爾『アヴィーチー』:2019/02/22(金) 13:40:42
>>459

「暇を持て余していたからな」

「街の景色を眺める事にも飽きてきた」

「今の所は二十九回が最高記録だ」

至って淡白な声色で、聞き覚えのある声に応じる。
硬貨を拾い上げた青白い手が、記憶の一部と重なった。

「拾ってくれた事には感謝しなければならない」

「一抹――久し振りだな」

「君も体調は悪くなさそうだ」

差し出された硬貨を受け取り、相手の顔に視線を向ける。
少年を見やる表情は、最初に出会った時と変わらなかった。

「死相でも出ていたか?」

「俺の方は特に大きな変化は無い」

「強いて言えば仕事を一つこなした程度だ」

461一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/02/22(金) 20:36:34
>>460
「スタンドに目覚めてから大病を患う事が無くなりました。
何事も気の持ちようですね」

青白い肌は変わらずだが身長は少しばかり伸びたと思う。
それに対し宗像おじさんは変わらない。
ただ、以前より目に見えない『重さ』のようなものが増した気がする。

「昔を思い出すから見に来てしまうんですよ。
何だかんだで街が好きなんですよ、きっと」

「うーん、見た目は全然変わりありませんね。
死相とは違う。見えない何かの『重さ』が増したような?」

宗像おじさんの顔を見上げ首を傾げる。
血生臭い事件に巻き込まれたのだろうか?

「そのお仕事で何か有りましたか?
人を深く傷つけるような事とか…」

462宗像征爾『アヴィーチー』:2019/02/22(金) 23:19:43
>>461

「ああ――」

「骨の折れる仕事ではあった」

投げられた問い掛けから、最初に会った時の光景が脳裏に浮かぶ。
記憶が正しければ、その時も似たような事を言われていた。

「君は少しばかり勘が良過ぎるようだ」

「やはり神父の息子だからか?」

一抹少年の言葉は事実だが、それを話すべきでは無いと考えた。
どんな理由があろうと、人殺しをした話は子供にしていい内容では無い。

「――『猫探し』だ」

「スタンドを持つ猫を捜して欲しいと頼まれた」

暴力的な部分に触れる事を避けて、仕事の内容を告げる。
嘘では無いが、少年の質問に対する答えになるかは分からない。

「スタンドに目覚めるのは人間だけとは限らないらしい」

「君も気を付けておいて損は無いだろう」

463一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/02/23(土) 00:38:37
>>462
「スタンドを使う猫の捜索ですか。
人間並の知性を持つ猫ならスタンドにも目覚める…?」

「スタンドは本体の精神を象徴する存在。
猫が本体なら能力は攻撃性より逃走、または飼い主に益が有るスタンド?」

本体が猫だとしたら対処に苦労したはずだ。
依頼主の意向次第では傷つけることが出来ない。
私のスタンドなら猫を『沈静化』できたかもしれない。

「攻撃性の高い猫なら殺処分。益が有るなら捕獲でしょうか?
気紛れな猫がスタンドを使うだなんてゾッとします」

「害虫を駆除するぐらいの可愛いスタンド使いの猫なら飼いたいです!
益が大き過ぎると争奪戦が勃発しますね。絶対に」

それにしても会話する前に感じた宗像おじさんの『重み』。
あれは懺悔室を訪れる人々が共通して持つ雰囲気だ。
程度の差はあれど罪を犯した者が持っていた気がする。

「勘は良くないです。積み重ねみたいなものです。
懺悔に来る人々を観察する内に気がつくように…」

464宗像征爾『アヴィーチー』:2019/02/23(土) 01:26:43
>>463

恐らく一抹は感付いているのだろう。
そう考えながら言葉を続ける。

「俺も詳しくは知らない」

「分かっているのは『金銭的価値を持つ物を増やせる』という事だけだ」

単純な破壊や殺傷のような直接的な危険性とは種類が異なる。
あの猫が秘めている能力は社会自体に害を及ぼす類の代物だった。
存在するだけで抗争の原因と成り得る能力だ。

「俺は処分するつもりだったが別の勢力に阻まれた」

「最終的に猫は他勢力の手に渡ったらしい」

「今は何処かの保護下にいるようだ」

あの猫が生きている限り新たな争いの火種が生まれる可能性は残る。
しかし少なくとも最悪の結末では無い。
今の所はだが。

「君は賢い――こちらが言わずとも大方の事情を察する事が出来る」

「それなら俺が話す必要は無いだろう」

猫は殺せなかったが猫を守る人間は殺した。
それも俺にとっては仕事の一部だった。

465一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/02/23(土) 03:09:46
>>464
「攻撃性を持たないスタンドなら『アヴィーチー』の追尾発動も難しいはず。
ダイヤは人工ダイヤのお陰で価格が大暴落したようです。残るは貴金属。
猫は無傷のまま行く先々で争奪戦の招き猫と化しそうです」

「可哀想に。死んじゃった方が楽だったのに…」

「顔を覚えた飼い主が延々と死に続けるなんて地獄だ。
どんな飼い主でも猫にとっては親みたいなもの。
捨てられた側は、ずっと『捨てられた』って『痛み』を捨てられないのに…」

不幸の連鎖を生むであろう猫を利用する無責任な者達に憎悪を覚えた。
自らを捨てた両親に似通った無責任さを連想してしまう。
自然と声に憎悪の念を込めてしまうのが抑えられない。

「宗像さんが死なずに済んで本当に良かったと思います。
そして無限の富を求めて集まった人たちも覚悟の上でしょう」

「新しく背負った『重み』を大切にしてください。
宗像さんなら途中で捨てないって信じてますから」

466宗像征爾『アヴィーチー』:2019/02/23(土) 07:43:35
>>465

少年の言葉に耳を傾けながら、無言で目を閉じる。
それに対して、俺が言える事は何も無い。
出来る事があるとすれば、彼自身の心からの言葉として受け入れる事だけだろう。

「さっきも言ったように俺自身に大きな変化は無かった」

静かに両目を開き、一抹に語り掛ける。
一人の命を奪い自分も死にかけたが、それは大きな変化とは呼べない。
俺の精神は、その前と少しも変わっていないからだ。

「これからも俺は今までと同じ考えで行動するつもりだ」

「その事を君が覚えていてくれると有り難い」

「俺も君の言葉を覚えておく」

手の中には、少年から渡された五百円玉がある。
曇り一つ無い銀色の硬貨が、日の光を受けて鋸刃に似た鈍い輝きを放っていた。
それを仕舞い、ベンチから立ち上がる。

「――君は何か用事で来ているのか?」

「邪魔で無ければ付き合う」

「何しろ暇だからな」

一抹少年は同じスタンド使いであり、一度は共に同じ場に立った事もある。
俺と彼は対照的のように見えるが、同時に何処か共通点のような物を感じていた。
あるいは、そう思うのは俺の考え過ぎかもしれないが。

467一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/02/23(土) 09:29:33
>>446
「あっ! ちょっと引きましたか?
感情の引き金が普通と違うから反省しなきゃいけませんね」

自分は普通の人たちと感情を発露する場面にズレがある。
『インダルジェンス』の刃も歪みの一部かもしれない。
『沈静化』の能力に反してスタンドの攻撃性が高いのも歪だ。

「今に至るまで宗像さんは色々有って精神的に完成しちゃってます。
そういったところが羨ましいし、悲しく思ったりします。
いつかは私も変われるかな。大人になりたいな…」

「あっ、忘れるところだった」

スタンドを発現して背負ったランドセルから財布を取り出す。
以前の親善試合で払わせてしまったタクシー代と同じ金額を取り出そう。

「親善試合の後に擦り付けたタクシー代です。
お金の問題は後が怖いですからね!」

学校で給食費が消えた時は酷い目に遭ったものだ。
どれだけ貧乏だろうが泥棒に落ちぶれるほど切羽詰ってない。

「一応、小学生だから暇です。遊び相手も居ません。
唯一の趣味と言えるレトロ自販機の撮影で来ました」

「変わらないって意味では宗像さんと似てるような?
けど、レトロ自販機は撤去されちゃうから微妙に似てませんね」

昭和から稼働するレトロ自販機は奇妙な物が多い。
かき氷にうどん、サンドイッチのレトロ自販機まで存在する。
近年は撤去が進み残り100台の物も少なくないそうだ。

「近くにラーメンのレトロ自販機が有るそうです。
撤去が近いと聞いて駆けつけましたが…」

468宗像征爾『アヴィーチー』:2019/02/24(日) 01:57:32
>>467

目の前に差し出された金を、黙って見つめる。
あの親善試合の内容は、良く覚えていた。
だが、その後でタクシーの料金を自分が支払った事は記憶の範疇外だった。

「ああ――」

「そうだったな」

少し考えてから、手を伸ばしてタクシー代を受け取る。
実際の所、今まで忘れてしまっていた。
その点に関しては、一抹少年の方が大人だと言えるだろう。

「君も暇か」

「なら同じだな」

「俺は無趣味だが」

淡々とした口調で呟きながら、少年の隣に立つ。
第三者から見ると、親子のように見えるかもしれない。
二者の間には、その程度の年齢の差がある。

「――探してみるか」

「撤去されない内に見つける事にしよう」

少年の歩調に合わせて、緩やかな速度で歩き出す。
スタンド使いの猫探しの次は、撤去間際の自販機探しか。
少なくとも、災いの招き猫を捜すよりは平和的に済みそうだ。

469一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/02/24(日) 12:48:21
>>468
作業服の男と制服姿の小学生。
傍から見れば奇妙な組み合わせに見えるだろう。
二人の精神的な共通点を知らなければ…

「人間は生きてるだけで精一杯なんです。
趣味は余裕がある人々のやる事ですから」

「私達も生きてる以上に、何かをするなんて余裕は無いんですよ〜」

二人が見つけたレトロ自販機は二日後、撤去されたらしい。
後日、LINEに届いたURLの先には一抹の撮影したレトロ自販機の動画が投下されていた。
ttps://youtu.be/-DDjZWOHSKU

470今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/03/09(土) 23:49:59

         ガヤ

             ガヤ

「……」

    キョロ  キョロ

        キョロ  キョロ

別に首が痛いとかじゃなくって人を探してるんだ。
待ち合わせ場所、ここであってると思うんだけど。

   キョロ・・・

あんまりきょろきょろしてると目立っちゃうかな。
目立って知り合いとか友だちとかに話しかけられる分には、いいんだけど。

とりあえず、待ち合わせの相手が来るか何かあるまでもうちょっと、待とう。

471芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2019/03/11(月) 21:14:08
>>470

「――展望楼塔の下から見下ろす景色よりも 
ウィゴーちゃん お前のほうがよっっぽど美しいぜ
あぁぁぁぁ!! なんて美しいんだウィゴーちゃんっ!
100億ドルの景色なんぞ霞んじまうぐらいに今日もイカしてる!
はぁぁぁうぅうぅぅぅああああぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……フゥ」

『アー ソウデスカ』

「? どうしたの、ウィゴーちゃん??
何時もなら わっ私はウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトですっ☆(裏声)
って可愛らしい声で訂正してくれてるのによぉ〜。
体調悪いなら、今からにでもラブホ行くかい?」

『オメェの話に何時でもツッコミ入れると思ってんじゃねぇゾ 
それとウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトですを、星マーク付けるような
キャラクターじゃない! 私はお前の望む偶像キャラにするんじゃない!!
ケツの穴に指突っ込まれて歯ぁガタガタ言わすゾ それ以上下らない事言うならナぁ!』

「……ウィゴーちゃん、やっと俺の事を掘ってくれる気になったか。
そりゃ 結ばれたいって言う許可が貰えたって事で良いんだよなぁ?」

『クソッ クソォォォオオ!!! どうやったらっっっ
どうやったら、こいつの性根を叩き直せんだ!! どんな薬を与えれば
真人間に戻るんだぁぁ!!!??! 
妖甘様!! comebaaaaaaacK!!!!!』ガリガリ!!

何かをキメてそうな危険な男と、その発言に狂乱して胃薬や精神安定剤らしきものを大量に
噛み砕いてる人型スタンドが通りかかって来た。

472今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/03/11(月) 22:25:28
>>471

うわ。

「うわ……」

間違えて声に出しちゃった。
それくらいフツーじゃないんだもん。

「……」

          ス  ゥゥゥゥッ  ・ ・ ・  →

目を思いっきり逸らしたけど、逸らしすぎたかな。
少なくとも私の方から、あの人たちに話しかける勇気はない。

というか私はあの『スタンド』が見えてるけど、普通は見えないよね。
警備員さんとか、呼ばれてるんじゃあないのかな。大丈夫なのかな。

473芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2019/03/11(月) 22:56:04
>>472

間違いなく正しい判断を貴方は行う。こんな危険なタッグに
勇気をもって話しかけるのは、ソレは勇気とは言えないのだから。

警備員が来る様子はないが、このまま騒げば。貴方が話しかけない限り
暫く(1〜2レス)すればやって来て、彼等? を追いかけるだろう。


「――あぁ! それにしても俺は悲しい! こんなに可憐で
空前絶後の美しさを担う、俺のウィゴーちゃんを見れるのが
限定って言うのはよぉ。『見える』派の人間以外にも俺達の
愛を見せ付けられねぇってのは こりゃアレだよな? 
女神様の僻みってやつだよなぁあ ウィゴーちゃん」

『まず間違いなく 私がアンタの側に降り立った事に関しては
邪神とか何かの介入があったんじゃないかと、心底思ってます。
それとmy name is ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト
……ウッ  ウッウッウゥウゥ……』 ポロポロ

「んおっ!!? おい、おいおいおいおいおいどうしたってぇんだ
ウィゴーちゃん?!! 突然泣き出したりなんてして?
誰が、誰がウィゴーちゃんを傷つけたってんだ? それとも腹でも
痛くなったかい? よし、仰向けになってくれ。直ぐに俺のテクニックで……」

『そう言うセクハラ発言で私のフラストレーションがMAXになってるって
事をいい加減理解しろよ!!!!』  バキィ!

「ごふっ!!!」

『痛いっっ!! クソ! やっぱ半自立ってこう言う時は呪い染みてる!
自我なんてない操縦型になるか、自立タイプになりたかった!』

「ボディーはやめとけな、ウィゴーちゃん……君の何時か俺の子を宿す
腹に傷が付くってなるとなぁ。そう思うと目の前が真っ暗に」

『医者を呼んで欲しい。主に あんたの頭を早急に改善
いや完全に改造してくれる医者をな!!!』

スタンドがボディブローを本体に仕掛け、漫才とも言いつかせぬ
やりとりをし始めた……。

474今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/03/12(火) 01:14:00
>>473

あの男のひととは、フツーにあんまり話したくない。
下ネタが全く無理とかそういうのじゃないんだけど。
セクハラの中身が、フツーに『良くないと思う』ものだから。
でもユメミンなら最初っから話しかけるんだろうな。不思議だもん。

ズズ

             『〝先生〟ヲ』

「あは、呼んでないですよ、先生」
「あの人たちはお医者さんを呼んだんです」
「先生は、先生ですよ」

傷に反応してでてきた先生には、帰って貰う。
先生は改造なんてできない。
私の頭もあの人の頭も『改善』なんてできない。
できるのは『元通りにすること』だけだ。

あっ、今ので、私が見てたの……バレちゃったかな?

「……あのーっ」

「どうか、したんですか?」

だからこっちから、フツーな感じで声を掛けることにしたんだ。
知らないふりしてて話しかけられたら、ややこしいことになるかもだし。

475芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2019/03/12(火) 16:14:33
>>474

>どうか、したんですか?

貴方の声掛けに、危ない気配が発散している男は顔を向ける。

「ん? あぁ、そりゃあアレよ。仲睦まじき夫婦の
愛憎三文芝居って奴じゃねーの」 二ヒヒ

『初っ端から三下り半だよ。コッチからお断りだよ
一体全体何時から誰と誰が夫婦になったんだよ』

「そりゃーウィ」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト。ウィゴーちゃんじゃ
あーりーーまーーーせーーーーん!
……ゴホン、あちらの末期患者はお気になさらず。既に付ける薬は無きもので』

「万病に効く一番の薬効ってのーは、愛だと思うんだがなぁ、ウィゴーちゃん」

『ポケットにある喉飴でも舐めておけば? 生産業者の愛が詰まってますでしょうに』

「生産より性産の気分……へいへい、OK マイハニー 暫く口を閉ざすさぁ 俺は」ガリポリポリ・・・

男は少々つまらなさそうに飴玉を噛み始める。それに溜息をついて、少し背丈の低いスタンドは
貴方へと自己紹介する。

『改めて、私 ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。妖甘様の元を離れて
今はこの社会倫理的有害の主を矯正する為に生きています』

「矯正より、おりゃあ嬌声……」

『喋んなって言ってるだろ』

本体の口に飴玉を再度投げて封じ込めつつ、今泉に溜息を少しつきつつ話を続ける。

『……前途多難ですが、このウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは負けませんとも。
いずれ、この何処ぞの大麻畑から産まれたのか知れぬ男を社会的模範の存在にしてみせます。
えぇ! このウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトの この手でね!!』

『……私ともは散歩をしておりました。今日は散歩日和で、私はこの町を練り歩き
色々と古い物を見るのが好きなのです』

「俺は、ウィゴーちゃんとデートがてら。ウィゴーちゃんに女友達が出来れば
良いなぁって思いつつ歩いてんだけどねぇ」 ガリガリ ゴクン

「俺ってば、まぁ世間一般から見て 頭可笑しい感じだろ?
それに話しかけるってこたぁ、余程のお節介焼きの善人か。
俺の事良いように利用してポイ捨てしようとするかどっちかだろうさぁ」 ニヒッ

今泉に、病的な笑った目を男は向ける。

「あんたは、前者って感じだよなぁ〜
ま、けども俺とお近づきになるのはNO Thanksって奴だろ?
 そんでもウィゴーちゃんとは仲良しこよしになってくれよ」

ウィゴーちゃんは なーんも悪くねぇからな

『……え? 飴玉腐ってました? もう一粒ぐらい食べます?
あと、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトですから 自分』

「あぁ〜 まっ そう言う反応だろうなぁ〜よぉ」

スタンドと変な本体の掛け合いは小気味良いテンポで続いている。

476今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/03/12(火) 22:46:48
>>475

「へ、へぇーーーーーーっ・・・」
「ノーサンクスってわけでは、ないんですけど」

反応に、困っちゃうよね。
とりあえず私も笑うのがいいんじゃないかな。そうした。

「えーと、ともかく、よろしくお願いします」
「『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』さんっ」

でも、このスタンドの人はフツーな性格なのかもしれない。
それに――――この人、『妖甘』さんの所で生まれたんだ。
先生といいこの人といい、あそこで貰うスタンドに『意思がある』のかな。

     イマイズミ ミライ
「あ、私『今泉未来』っていいます」
「それで」

         シュルルル

                コール・イット・ラヴ
           『〝世界はそれを愛と呼ぶ〟』

「こちら、私の『先生』です」

          『ドウモ、ハジメマシテ』
          『〝先生〟カ 〝アイ〟トデモ オヨビクダサイ』

先生が挨拶したそうだし、もうスタンド使いだってわかってるし。

「仲良しになれるかは、ちょっとわかんないですけど……」
「せっかく会ったんですし、本体のあなたの方も、よろしくお願いしますね!」

それで、最後にそう付け加えたんだ。
仲良しになれるかはちょっとかなり怪しいと思うけど、フツーじゃないけど、『悪い人』じゃなさそうだ。

477芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2019/03/12(火) 23:21:21
>>476(お気になさらず)

『宜しくお願いいたします 今泉様 先生』ペコリ

『オォッ 先生も 私のように意思を持ってらっしゃるのですねっ
他のスタンドの見える方々は、これで三人目なのですが。
一人は、こちらの許容範囲外生理的嫌悪№1生物に気をとられて
どんな力かわからなかったですし。もう一人の方は、巫女様ですが
詳しい事情などは聞かなかったので……』

こうして 私と同一の存在に出会えたのは初めてですねと
はにかむように告げる。

「あーぁぁぁあ〜 カメラ欲しいな スタンドのカメラ。
それさえありゃあ、今のすげぇ萌えキュンなウィゴーちゃんを撮るのによぉ
しゃあねぇから心のフィルムだけに焼き増ししておくけどな」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。即刻ハートからデリートしろ
……ハァ もう少し強い胃薬を呑まないとやってられませんよ』

良い雰囲気を壊すなと、言外に含める諭しを。気が抜けた相槌で本体たる男は返す。

>せっかく会ったんですし、本体のあなたの方も、よろしくお願いしますね!

「え? 俺ウィゴーちゃんとしかよろしくしたくねぇし」

『鉄拳制裁!!!』 ゴンッ! 『痛イッ!! 半自立サノバビッチ!』

今泉の歩み寄る発言に対し、真顔で男は拒否り。それを諫めるべくスタンドは
跳びつつ眉間を叩くものの、DFの関係で共倒れだ。

殴られた箇所をさすりつつ、男は肩を竦め呟く。

「いや実際よぉ。ウィゴーちゃんが品行方正で、滅茶ラブリーだから
誤解されてるかも知れねぇが。俺ってば自覚ありの屑で、気に食わない奴にゃあ
平然と男女平等に怪我させる性格だしなぁ〜」 ガリガリポリ

飴を更に口に放り込み、噛み砕きつつ飲んで今泉に説明を男はする。

「もしウィゴーちゃんと出会わなきゃ、そのまま納得が心の中で整理つかねぇまま
通り魔か何かの鬱憤晴らす生き方してただろうなぁって思うしよぉ。
ただ俺がそう言う事しねぇのは、ウィゴーちゃんがそう言う事するとマジで嫌がる
からって理由だけなのよ。俺にとっての存在理由っつうか、悪い事は控えるってのは
ウィゴーちゃんの為だけなのよ」

『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトです。
……ネェ 度重なる心軋むセクハラパレードワードは あんたん中でセーフなの?』

「?? 愛情表現の何が悪い事なの?」

『無自覚の最低下劣天然かよ! 出来ればそこは意図的であって欲しかった!!』

訂正だ。この本体は『悪い奴』だ。
ただ、『スタンドに偏愛』を持ってる故に、やってないだけで最悪の部類であるだろう。

「……あぁ、あと自己紹介流れする感じっぽいから言うが。
芦田 裕(ひろし) 28歳 探偵事務所の従業員やって金稼いでるわ」

『今の流れの何処にもそんな要素ないですけど!?』

あと、かなり『マイペース』な男のようだ。

478今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/03/12(火) 23:53:58
>>477

「へー、つまり『フツーじゃない』んですねえ」

        『今泉サン』
        『コノ方ハ アマリ・・・』

「あはは、ケガさせられるのは、いやですもんね」
「それじゃあ『ウェア・ディド・ウィ……えーと」
「あ、『ゴーライト』さんとだけでも、よろしくお願いしますっ」

私は笑った。
自分が危ないって教えてくれるこの人はフツーじゃない。
フツーじゃないし、きっとどうしようもないんだろうな。
セクハラとか、ケガさせるとか、ろくでもないのかも。

でも、『愛』の『こころ』は、本物なんだろうなあ。

「芦田さんとは――――知り合いの知り合い?」

「それくらいの距離なら、フツーじゃなくても」「悪い人でも」
「『ウェア・ディド・ウィ・ゴーライト』さんに免じて、大丈夫ですかね」

笑いをもう一度作った。

「――――あ」

そうして、どうやら待ち合わせの相手が来たみたいだって気づいた。

「それじゃ、私そろそろ行きますねっ」
「『ウェア・ディド・ウィ・ゴーライト』さん、またどこかで〜っ」

だから私はそっちに歩いていくんだ。なんとなく、この人たちとはまた会う気がするな。

479芦田『ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライト』:2019/03/13(水) 19:51:20
>>478

『えぇ! 今泉さんも先生も またいずれ!
ゴーライト……フフッ 中々良い語感ですね!』

手を振り、ウェア・ディド・ウィ・ゴー・ライトは貴方を見送る。

『……ハァ 何であーいう捻くれた言葉しか出さないんです?
友達とか、親しい絆を作ろうとしないのですか』

「そー言うがね、ウィゴーちゃん。あれらが何かの神様の手違いで
一緒の事件事故や、俺の死に目に偶然合うとかじゃない限り
長くはいねぇじゃねぇか」 ヒヒ

「どーせ 人間。産まれた時は混み混みと囲まれようと
死ぬときゃー、俺のような奴は一人よ。
最後には結局一人なのに、何でそこまでなる過程で友情なり信頼なり
築こうとすんのかねぇ。無くなるもんだってのぉによぉ
そんでも俺はウィゴーちゃんが居てくれるから、寂しいどころか幸せさ。
もし、俺から完全に自立して離れられる時になったら
――そんときゃあ殺してくれ」

『……悲しい人ですねぇ』

「慰めてくれんなら 近くの安ホテルで俺のいきり勃」

『セクハラは止めろっつてっんだろ』 バキィ 『痛い!』

今泉を見送り、一人と一体 光と陰のように対極な性格の二人は
別の道を進んでいく。また何処かで、貴方が思うように巡り会うのかも

480鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/04/28(日) 00:42:15

        スタ スタ スタ

   「ふゥーーー・・・」

モール内の『小劇場』での観劇を終え、
『美術館』の敷地内を見て回る『鳥舟』。

美術館。
あまり普段来る場所ではないが、
こういう『文化の匂い』がする場所が好きだ。

(そーいうのが好きな自分が好き、
 なのかもしれないけどさ――――)

今日は休日を取っている。
スカイモールに来たのは、
観劇のためと、それから・・・

(買い物……は、後でいいや。
 もうちょっといい雰囲気味わっておこう。
 ……霧吹きって何の店で売ってるんだろ?)

今まで使っていた霧吹きが壊れたので、
ここまでちょっといいのを買いに来たのだ。
ちょっといいものはだいたいスカイモールにあると思う。

・・・なぜいいものを買いたいのだろう? そこは『気分』だった。

481鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/05/04(土) 01:22:11

その日はほどよい霧吹きを見つけられず、神社に帰った。

482今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/05/29(水) 14:11:41

「ふう」

        ストン

お買い物をしてるんだよね。
でも、ずっとお買い物してると疲れるから。
こうして休憩もしてるんだよね。

「……」

       キュ キュ

最近暑くなってきたよね。
今日なんて、水筒なんか持ってきちゃった。
脱水症状とか熱中症とか、フツーに怖いし。

「あっ」

        カラン  カランッ  カラッ ・・・

で、そしたらふたを落としちゃって、向こうに転がっていくんだよね。
ここって、もしかして傾いてるのかな。そういうわけじゃない気はする。

483美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/05/29(水) 20:32:55
>>482

      〜♪
         〜♪
            〜♪

その日は休日で、私はベンチに座っていた。
何軒か店を回った後だったけど、これといった収穫はなかった。
だから、窓の外にある街の景色を眺めながら音楽を聴いていた。

「――ん?」

どうやら、何かが足元に転がってきたみたいだ。
ワイヤレスヘッドホンを外して首に掛けて、それを拾い上げる。
それから後ろを振り向いて、落とし主の姿を確認した。

「あら、これはこれは……」

「今泉さん――よね?」

「こんにちは」

ニコリと笑って、私はフタを差し出した。
買い物の収穫はなかったけど、別の収穫はあったみたい。
こんな所で会うなんて、面白い偶然だから――ね。

484今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/05/29(水) 23:05:47
>>483

立ち上がって拾おうとしたら、もう拾ってもらってた。

       キョロッ

「あっえー」「くるみさん!」「じゃないですか〜」
「そうです、今泉です。こんにちはっ」

   スッ

「どーも、ありがとうございます」

ふたを受け取った。
ラジオ聴いてるから、久々に会ったって感じはしないかも。

「くるみさんもお買い物ですか?」
「それとも映画見に来たとかっ?」

買い物袋とか、持ってないみたいだし。
フツーにいらないものは買わないってだけかもだけど。

485美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/05/30(木) 00:36:32
>>484

ラジオで言葉を交わすというのは、職業柄珍しい体験じゃない。
人に会って会話をする事も、どうって事のないごく自然な事だ。
だけど、ラジオで会話した相手と偶然会って話すというのは滅多にない。

「そう、買い物。何か琴線に触れるものがないかなってね」

「でも、今日は『良い出会い』がなくて。それで、ちょっと一休みしてたのよ」

言いながら、少女が買ったらしいものに軽く視線を向ける。
彼女は何を買ったのだろう。
別に詮索するつもりはないけど、話のついでに聞いてみるのも悪くないんじゃないかしら。

「見たところ、今泉さんも買い物みたいね。『良い出会い』はあった?」

私にとっての『良い出会い』は、今こうしてリスナーと会えたって事。
相手が誰でもお喋りするのは楽しいものだけど、リスナーなら更に喜びを感じる。
たとえるなら、生クリームの上に『チェリー』が乗ってるみたいにね。

486今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/05/30(木) 00:47:13
>>485

「へー、『琴線』……」「琴線、か」
「私も、触れないですねえ」

触れないよ。

「まあ日用品とかの買い物なので、フツーでいいんですけどねっ」

          ガサッ ガサ

「ほら、『ガムテープ』とか」
「『梱包テープ』とか」
「あと、『マスキングテープ』も!」

「どれもフツーな感じのばっかりです」

袋の中をちょっとだけ見せてみる。
そんなに面白い感じのテープじゃないんだよね。
マスキングテープも、『末吉』って感じで。

「やっぱり、ラジオのお仕事だと『琴線』とか大事なんですか?」

「こう」「えーっと……」
「あっ、『インスピレーション』!」
「でしたっけ、そういうのを仕入れるため、みたいな?」

くるみさん、話すの上手だし、普段から色々仕入れてるおかげなのかも。

487美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/05/30(木) 01:18:05
>>486

「へえ――」

「何だか『テープ』が多いのね?」

      クスッ

品物を見て、素直な感想を漏らす。
彼女が言うように、確かに日用品だ。
『テープ』が多いのは、気になるといえば気になるけどね。

「んー、そうね……」

「常に『刺激』を得るのは大事だと思ってるわ」

「だから、色んな人と会話をする事は心掛けてるかな」

「今まで自分が知らなかった事を聞ける事もあるし」

「そのためには、普段から積み重ねておく事がプラスになるから」

ラジオパーソナリティーは、誰とでも会話を弾ませる事が求められる。
日常の場で交わす普通の会話も、その糧の一部だ。
もちろん、『今の会話』も例外じゃない。

「その中で『良いな』って思う事があったら、話題の一つに出来るじゃない?」

「日頃から『引き出し』を増やしておかなきゃ――ね」

488今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/05/30(木) 01:30:46
>>487

「あは」「言われてみたら、そうですねえ」

テープ以外は何もないもんね。

「じつはですね〜私、1人暮らしを考えてまして」
「まだ決まってはないんですけど!」
「荷物の梱包テープを買っておこうかな、って」

          ニコ

「このマスキングテープは趣味ですけどね〜」

    ゴソッ

袋はいったん足で挟んで置いておこう。
床に置くのはだし、横だと場所取っちゃうし。

「なるほど」「刺激ですか〜」
「私も、それ、わかる気がしますっ」

それで、私は、笑った。

「いろんな人と話したりして」
「お話の仕方がわかっていくっていうか」
「あは……そのために話すってわけじゃないですけども」

「積み重ねて、引き出せるものを増やすって、大事ですもんねっ」

489美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/05/30(木) 02:00:47
>>488

少女の言葉に、同意の意を込めて頷く。

「そうね、何事も勉強――」

「せっかく経験した事なら、出来るだけ活かしていきたいから」

「元々お喋りするのが好きだからっていうのもあるんだけどね」

ところで、少し気になる話が出てきた。
彼女が一人暮らしを考えているっていう話。
軽く聞いてみましょうか。
もし言いにくい事情があるなら、その時は話題を変えよう。
彼女の方から話してくれたなら、そんな事情でもなさそうだけど。

「ところで、今泉さんくらいの年で一人暮らしっていうのも珍しいわよね」

「理由を聞いてもいいかしら?」

少なくとも、何の理由もなしに一人暮らしを考える事はないだろう。
もっとも、本当に『考えてみるだけ』ならあるかもしれないけど。
でも梱包用のテープを買うくらいだから、『考えてみただけ』ではない気がする。

490今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/05/30(木) 02:37:22
>>489

「それをお仕事に出来るんですからすごいですよねえ」
「ラジオ聴いてますけど」「ほんとお話の引き出しが多くって」
「すごいなあって思いますっ」

      ニコ

本当に、フツーに、そう思う。
話題がとにかく尽きないし、リスナ―への対応もうまいし。
なんだかよくわかんないヒトからの電話も、上手に受け流してたし。

「え? 理由ですか?」
「まー、フツーな感じですし、面白いかわかんないですけどっ」

「えっと」「私『清月学園』に通ってまして」
「……っていうのは前にも言ってたかも。あは」

「それでですね」
「『清月館』っていう学生寮があるんですよっ」
「ご存知ですかね」「あの、グレー色のレンガの」
「そこに住んでる友達も、結構いるんですけど」

学校から近いし。お家賃も安いみたいだし。
高等部以上だと、住んでる子わりといるんだよね。

「それでお部屋見せてもらったりしてるうちに」
「私も、住んでみたいな〜って。思っちゃいましてっ」

「まだ決めたわけじゃないですけどね〜」

私は笑って話すんだ。こう思うのって、フツーだと思うし。私もそうしたいと思うし。

491美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/05/30(木) 03:13:02
>>490

「あぁ!そういえば『寮』があるんだったわねぇ」

「そういうのって気になるものね。その気持ちは分かるわ」

確かに、それなら突飛な話じゃない。
どこかのアパートに部屋を借りるというのは、さすがに難しいだろう。
学校側が管理している施設なら、ご両親も安心するんじゃないかしら。

「何となくのイメージだけど『寮生活』って楽しそうに思えるの」

「友達も同じ所に住んでいたりする訳でしょう?」

「みんなで集まって勉強したり遊んだり出来そうだから」

「もちろん、羽目を外しすぎるのは良くないんだけどね」

振り返ってみると、私は『学校生活』自体があまり経験できなかった。
何せ、その頃は『アイドル』としての活動が忙しかったから。
今は――まぁ、その頃よりは余裕がある。

「一人暮らしって大変な事もあるのよねえ」

「当たり前だけど、全部自分でしなくちゃいけないから」

「私が一人暮らしを始めた時は――メモを取ってたわ」

「家事のこなし方とか、必要な事を色々と書き留めておいてね」

「役に立つかどうか分からないけど、ご参考までに」

        ニコッ

最初は分からない事も多かった。
今は一人の生活にも慣れている。
それがちょっとだけ寂しいと言えば寂しいけど。

492今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/05/30(木) 04:13:15
>>491

「そうっ」「そうなんですよ」「さすがくるみさんっ」
「友達がたくさん、同じところに住んでるわけで」
「遊ぶのもだし」「勉強とかもだし」

「きっと、それはフツーに楽しいんじゃないかなって」

「――――思うんですよね」

楽しくない時間が無くなるってコトだもんね。
もちろんずっと皆と同じ部屋にいるわけじゃないけど。
それでも、楽しいと思ってられると思うんだよね。

「あー、やっぱりありますよね」
「洗剤とか」「何使うか、とか?」
「そういうのも楽しそうだけど」

「あっメモですかっ、いいですね〜!」
「メモできる『テープ』もありますし」
「そういうのいろいろ買ってみよっかな」

メモ付きマスキングテープ、一応持ってはいるんだけどね。
かわいいのがいいかなって思ったから、本格的にメモできるやつじゃないし。

「……っと、そうだ、そろそろお買い物の続きしなきゃ」
「くるみさん、お話しできてよかったです」「私そろそろ行きますねっ」

493美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/05/30(木) 15:26:52
>>492

「こちらこそ今泉さんとお喋りできて楽しかったわ」

「それじゃ――『Have a good day!!』」

軽く手を振って彼女を見送ろう。
それからヘッドホンを掛け直して、また街を眺めながら音楽に耳を傾ける。
こんな休日も悪くないわね。

             〜♪
         〜♪
     〜♪

「――Automatic when you look into her eyes〜♪」

494今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/05/30(木) 23:21:18
>>493

「はいっ、それじゃあまた!」

そういうわけで、買い物の続きをしに行くんだ。

495アウラ『ミ・パライソ』:2019/06/19(水) 20:50:35
日中 ショッピングモール

「えーっと・・・」

「あら? アレの名前って何だったかしら? 天使様 わかる?」

 フルフル

「んー、そうよね。天使様もわからないわよね。
店員さんに聞こうとしても、名称が出てこないと困ってしまうものね」

玩具コーナーだと思うんだけど……と、私立の女学園の制服を身に纏った
少し浮世離れした感じの女性がうろうろとショッピングモールを練り歩いてる。

496アウラ『ミ・パライソ』:2019/06/22(土) 22:12:58
「あ、見つかったわ。これね これ」

探し物を見つけ、帰って行く

497日下部『アット・セブンティーン』:2019/06/25(火) 22:56:44

       スタッ  スタッ  スタッ

「ふぅ〜〜〜・・・・・・」

            ドサササッ

モール内の休憩スペースに腰を落とした。
『ヘアーサロン』『ネイルサロン』などはともかく・・・
『洋服』『小物』『本』『ぬいぐるみ』『食べ物』と、色々買いすぎた。

・・・総額、『3万円』は超える、大きく膨らんだ買い物袋が目立つ。

498嬉野好恵『一般人』&ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/25(火) 23:29:07
>>497

「――わっ」

その大荷物を見て、隣に座っていた少女が思わず声を上げた。
かなり小さい。
具体的には、小学校に上がったくらいに見える。

チラッ

やはり荷物が気になるらしく、それとなく横目で眺めている。
悪いことだと思っているようで、視線は控えめだった。
少女の足元には、ピンク色のリュックが置いてある。

499日下部『アット・セブンティーン』:2019/06/26(水) 00:39:44
>>498

染めたばかりの『バニラ』のような髪は目立つ。
だから驚かれたのかもしれない――――

「んん」

と思ったら、視線が買い物袋に向いているのに気付いた。
何か子供が気になるようなものを買っていただろうか?

         ガサ  ゴソ

買っていた。気がする。

「どしたの? 何か気になる〜?」
「んふふ」「もしかして、これかなあ」

               スッ

「ぬいぐるみ……あんま子供が好きそうな見た目じゃないけど」

買い物袋の一つから出した・・・さっき買った、『カイコガ』のぬいぐるみだ。

500嬉野好恵『一般人』&ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/26(水) 01:01:42
>>499

「えっと――あの」

軽く目を伏せて、遠慮がちに答える。
どう言おうか迷っている、という感じだった。
しかし、ぬいぐるみが出てくると表情が明るくなる。

「わぁーっ」

「何これー!おもしろーい!」

「モコモコしてる」

「可愛いねー」

ぬいぐるみを観察しながら、矢継ぎ早に感想が飛び出る。
大いに興味を持ったらしかった。

「――これって何ていうんですかー?」

ぬいぐるみを指差して質問する。

モゾ

その時、少女の足元に置かれているリュックが動いた。

501日下部『アット・セブンティーン』:2019/06/26(水) 01:59:59
>>500

「んふふ……」

ぬいぐるみは予想外だったみたいだ。
目当てではなかったのかもしれない・・・何だろう?
けれど、喜んでいるようだし、それはそれでいいか。

「『カイコガ』」

「カイコってわかるかな〜」
「『虫』なんだけどね。『糸』を作るいい虫なんだけど」
「それが大人になったのが、『カイコガ』だよ」

        スッ

「かわいいよね〜」「二番目に好きな虫なの」

触れるように、椅子にぬいぐるみを置いておく。

「じゃあね、教えてあげた代わりに私も質問してい〜い?」
「えっとねえ」「今、私、そのかばんが動いたように見えたんだけど」

            「それって、何入れてるの?」

502嬉野好恵『一般人』&ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/26(水) 02:22:32
>>501

「えー!」

「糸が作れるんだー!すごーい!」

「じゃあ――『これ』も『カイコ』が作ってるのかなー?」

そう言いながら、着ているワンピースの袖をつまんでみせる。
糸が集まって出来ているという認識なので、そのような解釈になったようだ。

「ありがとねー」

椅子に置かれた『カイコガ』のぬいぐるみを撫でる。
それから、また視線を戻した。

「あっ――」

「それはねー」

モゾ モゾ

「――『ディーン』だよー」

ピョコンッ

その言葉と同時に、リュックから一匹の犬が顔を覗かせた。
チワワ――世界最小の犬種として知られる超小型犬。
全身の毛は短く、色は黒一色だ。
『DEAN』と名前の入った首輪を付けていた。
首輪には、革紐の『リボンタイ』が結んである。

(……知らない顔だな)

ヨシエの隣にいる少女を見て、そう思う。
一休みしていたら、ヨシエが誰かと喋りだしたのが聞こえた。
それが少し気になって、こうして出てきたのだ。

503日下部『アット・セブンティーン』:2019/06/26(水) 03:28:28
>>502

「えーとね、シルクって言うんだったかな」
「『絹』だっけ?」「いや、一緒か」

「その服は……さあ、どうなのかな〜」
「私もねえ、そんなに詳しくはないからね」
「『お母さん』とかに聞いてみたらわかるんじゃない?」

「それで、カバン――――」

シルクの服は高級品なイメージがある。
見た所身なりは良さそうなので、不似合いではないけど。

「んん、『ディーン』?」
「って何だっけ――――あっ」

頭の中の辞書をめくるよりはやく、それが何かはわかった。

「ああ〜! ワンちゃんだったんだ。かわいいね〜〜〜」

               スゥッ

椅子に座ったまま身を乗り出すようにして犬を見る。

「『ディーン』か〜……なるほどだねえ、『ポチ』って顔じゃないもんね」

                      「良い名前だと思うよ」

504嬉野好恵『一般人』&ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/26(水) 21:40:14
>>503

袖の膨らんだ花柄のワンピースは、どことなく質が良さそうに見える。
長い髪をくくっている花モチーフの髪留めも、安物ではなさそうだ。
全体的に、中流以上の家の子という雰囲気が漂っていた。

「あっ……そうですね!」

『お母さん』という言葉を聞いて、一瞬表情が沈んだ。
しかし、それを隠すようにすぐに笑顔に戻る。

(…………)

それを見て、俺にはヨシエが寂しがっている事が分かった。
何か言葉を掛けてやりたいが、今はマズい。

「ね、これって『カイコガ』っていうんだってー。
 『糸』を作ってくれるんだよー」

ぬいぐるみを指差したヨシエが、俺に言った。
返事する代わりに、俺は軽く頷いた。

「この前も『ポチ』っぽくないって言われたよねー?」

「お姉さんと同じくらいのお姉さんにー」

横丁で遭遇した少女を思い出した。
そういえば、そんな事を言われた気がする。

505日下部『アット・セブンティーン』:2019/06/26(水) 23:08:02
>>504

「?」

1人でいるのもだが、親と喧嘩でもしたんだろうか?
フォローするのは大げさかな、と考え、特に追及もしない。

「へえ? そうなんだ。流行ってるのかな〜?」
「パクった!って『使用料』とか取られたらやだねえ」

「まあ実際なんというか、『りりしい』っていうのかなあ」
「『ポチ』とか『ちび』って雰囲気じゃあないよね」
「体は小さいけど〜」

              ノソッ

「『ディーン』ちゃん、こんにちは〜」

犬としゃべっているかのような様子をほほえましく見守る。
そして身を乗り出した勢いで椅子から体を滑らせ、犬の前に座った。

「ね、ね、この子って触ってい〜い? 他の人には慣れてなかったりするのかな?」

その『お姉さん』とやらが何者なのかは分からない・・・
これくらいの年の子なら、『17歳』も『27歳』も『同じくらい』に見えてておかしくはない。

      おないどし
もし本当に『17歳』だとしても見当がつくわけじゃあないけど。見てる番組やサイトが同じなら、語彙も似るもんだ。

506嬉野好恵『一般人』&ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/26(水) 23:39:15
>>505

「いいと思うよー!ねー?」

ヨシエは確かめるように、俺に言う。
特に乱暴そうでもなさそうだし、まぁいいだろう。
俺としては『そういう意味』を込めて、ヨシエと『バニラ色』の髪の少女を交互に見返す。

クーン

挨拶されたようなので、こちらも挨拶を返した――つもりだ。
もっとも、それが伝わることは期待していない。
何も反応せずにいるのを、『拒絶』の意味だと解釈されても困る。

「前に会った『ルナのお姉さん』はー……。
えっとー、『金色』みたいな『銀色』みたいな髪の毛だったよー」

「――あと、『おっきい人』がいてー」

(おい、ヨシエ……そこまでにしておいた方がいいぞ)

それ以上はトラブルの元にもなりかねない。
注意したかったが――今スタンドを使うのは却って危険だ。
よって、今は傍観するしかなかった。

507日下部『アット・セブンティーン』:2019/06/27(木) 00:22:47
>>506

「んふふ、よ〜しよしよしよし」

           シャシャシャシャシャッ

毛を梳かすような手つきで犬を撫でつつ、話を聞く。

「『ルナ』?」「金みたいな銀の髪、え〜」
「えーっとね、名前〜……なんて言ったっけ」

       ヒヌマ ルナ
「ああ〜。『日沼流月』かな? 知り合いってわけじゃないけど」

知り合いの知り合いくらいだが、目立つ存在だ。
珍しい名前なのもあって、知ってはいる・・・けど。

「ん〜……んん、『おっきい人』っていうのはなんだろ?」
「その子たしか『不良』だからね〜。その方向の知り合いかな」

もちろん身長が高い男子や女子はいるだろうが・・・『人』という言い方が妙に気になった。
この子は年上の人間は『お姉さん』と呼んでいるのだし、何か理由でもあるのだろうか?

「ちなみにだけど〜、その『おっきいヒト』っていうのはどれくらいおっきかったの?」

そういうはっきりしない疑問に毎回首を突っ込むわけでもないが、今日はなんとなく、気になった。

508嬉野好恵『一般人』&ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/27(木) 01:01:47
>>507

キューン

俺は、ほとんど反射的に喉を鳴らす。
撫でられるのは心地良いものだ。
ヨシエに対する心配があっても、この『自然の法則』には逆らえない。

「そうだよー、『ルナのお姉さん』」

「ヨシエとディーンとお話してくれてー」

あの時は、相手が悪意のある人間じゃなくて助かった。
だが、次もそうだという保証はない。
だからこそ、こうして注意しておかなきゃならない。

「えっとね〜――」

「『あれ』くらい、かなー?」

辺りを見回してから、店の前に置かれている『宣伝用パネル』を指差す。
その大きさを人間の身長に当てはめると、かなり『大柄』になるだろう。

「『長いコート』みたいなの着ててー」

「えっと――――『強そう』だったよー」

ヨシエは、『サグ・パッション』について喋っている。
ほとんど見かけだけの情報なのが幸いと言えば幸いか。

509日下部『アット・セブンティーン』:2019/06/27(木) 01:41:09
>>508

「『ディーンとも話した』? ふ〜ん、なるほどだねえ」
「まあ〜、そういう雰囲気はなくもないか」

      「よしよしよし」

           シャシャシャッ

「私は残念だけど、ワンちゃんとおしゃべりは出来ないからなあ」
「『ディーン』ごめんねえ」「って言ってもわかんないかな?」

子供相手だから付き合ってあげたんだろうか。
それとも真剣に犬と話してたのだろうか。

知り合いの知り合い……人柄の奥底までは知らない。

「ふん、ふん」

          キョロッ

「あのパネルくらいのおっきいヒトね〜、結構大きいねえ」
「それに、こんな季節なのに『コート』……珍しいヒトもいたもんだ」

長いコートと、具体的な『身長』。
それがかえって現実味を薄れさせているが……『じゃあ何』って言われると返事に困る。


「ま〜でも、いなくはないか。お話教えてくれてありがとうね」

犬を撫でるのをやめて、もう一回椅子に座りなおした。ハッキリ何とは言えないが、違和感は残りながら。

510嬉野好恵『一般人』&ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/27(木) 02:16:25
>>509

「うん――すっごく『珍しい』と思うよー」

「ヨシエも最初はビックリしたしー」

あれを見た時は、俺も驚いた。
しかし、『ワン・フォー・ホープ』の能力なら『逃げに徹する』事が出来る。
万が一あれが危険なヤツだったとしても、ヨシエに怪我をさせる気はなかった。

「あっ、そろそろ帰らなきゃー。
 今の季節は暗くなるのが早いから、遅くなるとダメなんだってー」

花柄のケースに入ったスマホを取り出して、ヨシエは言った。
もうすぐ家では、家政婦が夕飯の用意を始める頃合だろう。
それが終わる前に帰ると、出掛ける時に言っていたはずだからな。

「お話してくれてありがとー、お姉さん!」

ヨシエは立ち上がり、リュックを背負った。
そして、今まで話していた少女に笑い掛けた。
俺も、リュックの中から少女に視線を向けていた。

511日下部『アット・セブンティーン』:2019/06/27(木) 03:01:46
>>510

謎の大男については、ここでこれ以上考えても仕方ない気がした。
なのであいまいにうなずいて、それでおしまいにした。

「そっかそっか。うん、それじゃあまたね〜」

           サッサッ

「帰り気を付けてね」「危なっかしくはなさそうだけど」
「『ディーン』も気を付けて。暑くなったらすぐ鳴くんだよ」

「んふ、これで私も『ディーンとしゃべった』事になるのかな」

手を振って、椅子に座ったまま少女と犬を見送った。
いたってふつうの会話――――のはず。なのだけれど。

「……あ〜っ、そういえば『名前』聞いてなかった」

               「から?」

                   「じゃない、気がするんだけど〜」

なんとなく、何か『核心』のようなものが見えていなかった気がした。不思議な感覚だった。

512斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2019/07/15(月) 23:35:03
休日に展望台から見る、雨上がりの果ての無い空には虹がかかっていた
斑鳩 翔、彼はただ、その空をぼうっと見上げている。

(…………)

頭の中の泉から、言葉にするのも難しい思考の切れ端が浮かんでは沈んでいく
鏡に映った自分の『スタンド』を見ると、全部を忘れて空を見たくなった。

突き動かされるように、衝動的に此処まで走ってきた
高層ビルと電線に切り取られた空は、自分の姿とダブって見える
広い空がいい、雲一つない青い空が。

(ーーでも、胸に泥が詰まっているような感覚が、まだ消えない。)

時折、星見町から吹き上げる湿った夏の風を受けて、色褪せたスカーフが揺れた。

513<削除>:<削除>
<削除>

514美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/07/16(火) 10:04:32
>>512

その日、私が展望台に来たのは何故だったかしら。
そう――きっと、ちょっとした気紛れね。
そして、私が彼の隣に立っていたのも些細な偶然。

部屋の掃除をしていたら、ステージに立っていた頃の記念品が色々と出てきた。
私にとって、それは栄光の記憶。
眺めている内に、何となくセンチメンタルな気分になって――気付いたら、ここにいた。

ちょうど、目の前を一羽の小鳥が横切っていく。
あれは『サンコウチョウ』ね。
こんな所で見かけるなんて珍しいけど――。

無意識に、その姿を目で追った。
それに従って視線は流れていき――その方向には彼がいた。
いつだったか、ゲームセンターで出会った少年。

「――――こんにちは」

     ニコッ

「『斑鳩翔』君よね。私を覚えてる?」

515斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2019/07/16(火) 20:00:55
>>514

視界の隅で何かが横切った
虚ろな目で追うと、尾の長い鳥が丁度、枝に止まって羽を休めている

(サン…コウチョウ……?)

小鳥が記憶から意識を引き戻すのと、隣から声がかけられたのは、ほぼ同時だった

(……笑顔にしないと)

振り向いた先の顔を思い出すより先に、聞き慣れた声だと思い出す方が早かった
ラジオから聞こえる、カナリアのようなよく通る声。


「雨ばかりの日々だと、貴女みたいな声の方は、忘れられそうにありません」
「こんにちは、美作さん」「覚えていますよ。」

そうして笑顔を作り上げる
自分を見失っていようと、流石に気づきもしなかったのは僕の手落ちだ。

(えっと……)


「美作さん、は」
「ーーどうして此方に?虹でも見に来ましたか?」

516美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/07/16(火) 20:42:17
>>515

「ありがとう。そう言ってもらえるのが、私にとっては何よりの報酬よ」

明るい声色で応じながら、彼の笑顔を見つめる。
その表情は、前にも見た事があった。
ただ――その時と比べると、どこか弱く感じるのは自分の思い過ごしだろうか。

「――――『私』?」

おかしな所なんて何処にもない、至って普通の何てことない質問。
だけど今の私には、まるで不意打ちみたいな響きに聞こえていた。
答えるまでに少し間が空いたのは、多分そのせいだったんだと思う。

「私は――――『君に会いたくて』、ね」

いくらか艶っぽい声色で、囁くように『理由』を語る。
それは、場を和ませるための軽いジョーク。
言ってから、悪戯っぽい笑みを口元に浮かべた。

     クスッ

「ごめんなさい、怒らないで。
 ホントは鳥を見にきたのよ。『バードウォッチング』が私の趣味の一つだから」

「ほら、あそこにもいるでしょう?ここからだと、よく見えるの」

『偶然』見かけた『サンコウチョウ』を指差してみせる。
『バードウォッチング』が趣味なのは本当だが、その時は双眼鏡を持参している。
今の自分は――『手ぶら』だった。
だから、これは咄嗟に思いついた『ウソ』。
『本当の理由』は、さっき自分が頭の中で考えていた通りだ。

「でもね――君に会えて嬉しいのは本当よ」

これは『ウソ』じゃない。
紛れもなく本当の事。
そして、『何てことない普通の質問』を問い掛け返す。

「――――斑鳩君は?」

517斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2019/07/16(火) 22:03:18
>>516

(ッ…)

急に頬が熱くなるのを感じて、冷静さを取り戻そうと首を振る
僕の周囲には僕をからかう女性が妙に多い気がした
(……いや。)きっと気のせいだろう たぶん。
彼はジョークだと解れば、苦笑しつつも同じく茶化すように口を開いた

「悪い人だなぁ」


彼女への問いはバードウォッチングと言われた、成程。
そういえばゲームセンターでも鳥のぬいぐるみを……どうかした記憶がある
鳥が好きな彼女の趣味だと思えば、疑う余地は彼には無かった。



「僕?僕は――」



「空を見に来たんです」

僅かに顎を引く。

「……正確に言うと、少し悩んでて」
「電線と高層ビルに切り取られた空とか、窮屈だと思うんですよ、それで此処に。」

そう言いながら再び空を見上げる彼の眼に、虹が映った
僅かな間、懐かしい景色を見るように目を細めた後に、彼女に向き直り、首をかしげる

「おかしいですかね?やっぱり。」

518美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/07/16(火) 22:48:08
>>517

「『電線と』――――」

「――――『高層ビルに切り取られた』――――」

「――――『窮屈な空』」

緩やかに歌うような口調で、少年が発したフレーズを繰り返す。
透き通るような声が、雨上がりの空に溶けて消えていく。
それが聞く事が出来たのは、隣に立つ少年と『鳥』だけだった。

「『ステキな歌詞』が出来そうね。良いセンスしてると思うわ」

冗談のような言い方だったが、ジョークではなかった。
心に感じた素直な感想を、率直に口に出しただけ。
でも、それは本題じゃない。

「そうね――『私の価値観』だと、それは『ユニーク』と呼んでるわ」

「『独特』という意味よ。その人にしかないもの」

「『外見』も、『言葉』も、そして『心』も――ね」

「それって、とても魅力的な事だと思うの」

「これが『美作くるみの価値観』よ」

果たして、彼の問い掛けに対する答えになっているだろうか。
正直な所、それは分からない。
ただ、自分が発した答えが、自身の信条に基づく『本当の言葉』である事は確かだ。

519斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2019/07/16(火) 23:44:03
>>518

「独特。」

眼を見開き、ぽつりと言い直した、その言葉には驚きが僅かに含まれている

彼にとっては独特というのは聞き覚えがあった
過去の彼には散々聞き覚えがあったのだ。

「成程、独特か……」

彼女、美作くるみの発言をゆっくりと咀嚼する

大体の場合、それは斑鳩にとって、敬称と無理解を通して言われる言葉だった
そしてその全てがどうでもいい事であった
自身の評価を決定していたのは、彼の両親であったから

そして今、もはや彼の良心は、周囲の無理解ゆえに彼の傍から離れた
彼自身が、自らの評価を決定しなければならなくなっている

その中で『美作くるみと言う人物』の心からの本当の発言は
過去に聞いた『独特』という言葉とは、違って聞こえた。

「……美作さんは褒めるのが上手だなあ。」

(ーー多分、これは褒めているんだろう、ならこう答えるのが正しい筈だ。)

照れくさそうに頬を掻きながら、彼は笑った。

「リスナーさんが、貴女に首ったけになる理由が一つ、解った気がしますよ?」

(何故かな、悪い気がしないし、聞き慣れている彼が騒がないのは…寝ているんだろうな。)

520美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/07/17(水) 00:43:42
>>519

「あなたこそ人を褒めるのが上手いじゃない。ねえ、斑鳩君?」

   パチッ★

少年に向けて、軽やかでチャーミングな『ウィンク』を飛ばす。
かつてのアイドル時代に培った『技術』の一つ。
もっとも、『顔出し』がない今は、使う機会は大幅に減少しているが。

(何だか私の方が励まされちゃったみたいね)

少年が返してくれた言葉が胸に響いた。
『今の自分』として、新しい道を歩んできて良かったと思える。
さっきまで胸の中に燻っていた『靄』が、少しずつ晴れていくような感覚だった。

「う――――んッ」

不意に、その場で大きく背を伸ばす。
そして、深呼吸する。
『新しい空気』を胸いっぱいに取り入れるために。

「斑鳩君、これから時間あるかしら?良かったら、ちょっと付き合ってくれない?」

「甘いものが食べたいの。下の喫茶店、結構美味しいのよ」

「何か奢るわ。今は気分が良いから」

「君と、もう少しお話したいし――――ね」

明るく、気さくな笑顔で持ち掛ける。
少年の心の『深奥』までは覗けないし、踏み込む気もない。
それは私の方にしても同じ事だから。
だけど、無理に立ち入らなくたって、お互いに良い影響を与え合う事は出来ると思う。
もしかすると、それは私の自惚れかもしれないけど、でも、きっと――――。

521斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2019/07/17(水) 20:46:17
>>520

「喜んで、ご同行させて頂きます。」

この笑顔は作る必要が無かった。

様々な感情と共に、色々と言おうとして、舌に乗せた言葉は、これだけしか出てこなかった。
上機嫌な彼女について行こうとする最後、もう一度だけ空を振り返る。

何処までも青く、広い広い空
虹はもう消えかかっていて、薄っすらと過去の記憶のように残るだけ

(僕の進む先で、あの虹のように、今を昔として思い出す事があるだろうか…)

青空は何も答えず
それで良しとして斑鳩も後に続いた

そんな彼らの背景でサンコウチョウが一声鳴いた。


    ツキヒホシー

522比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/07/22(月) 23:01:40

スカイモールにある一軒の喫茶店。
その一席に、一人の男が腰を下ろしている。
モノトーンで纏めたストライプスーツにフェドーラ帽を被った優男風だ。

(――――『力』)

(力を得たからといって、それを使わなければならない理由はない)

男のテーブルにはあるのは一杯のコーヒー。
そして、五枚のトランプ。
全てが裏向きにして置かれている。

(しかし――使わずに腐らせるというには惜しい)

(どうしたものでしょうね……)

ここは窓側の席で眺めが良い。
だから、あえて相席をする人間もいるかもしれない。
…………あるいは、単に店内が満席だからかもしれないが。

523塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/22(月) 23:20:19
>>522
隣の席から、女の喋り声が聞こえてくる……。

「――よォ、『ヨシ男』。
あたしを待たせるとは、いい根性してるぜ……何?
………チッ、わーかったよ。行って来い行って来い! じゃあな!」

ふと見ると、高価な服を着崩したような、
アンバランスな恰好の女が、スマホで喋り終わった所だった。
ため息をつき、何気なく『比留間』と目が合う。

「………なんの『マジックショー』が始まるんだ? そりゃあ。
ちょーどヒマなんだ。私にも見せてくれよ」

馴れ馴れしく話しかけて、
対面の席にドカっと腰を下ろす。

524比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/07/22(月) 23:39:44
>>523

その時、男は一枚のカードに手を伸ばす所だった。

(これは『ダイヤ』かもしれないし、『スペード』かもしれない)

(あるいは『ハート』かもしれない。『クラブ』の可能性もある)

(それとも…………『ジョーカー』――――か?)

心の中で予想を立てながら、カードをめくる。
そこに描かれているのは道化師の図柄。
『ジョーカー』だ。

(当たりましたか……しかし、これは単なる『カン』でしかない)

(逆に言えば、完全な『当てずっぽう』でも五分の一で当てられてしまう……)

思案している最中、不意に声を掛けられた。
顔を上げて、その相手を確認する。
全く知らない顔だったため、少々面食らった。

「ああ、いえ――まだ練習中でして」

「昨日から始めたばかりなんです。
 お見せする程のものじゃあありませんよ」

「何しろ出来が悪いですからね」

テーブルに置かれているのは、ごく普通のトランプだった。

525塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/22(月) 23:54:33
>>524
「『始めた』。 なるほど。
これは、どーいうんだ?
私が選んだのを当てるとか、そーいうヤツかな」

面食らう『比留間』を尻目に、
興味深そうにじろじろと観察しながら、
トランプの一枚を適当に捲った。

「『練習』なら、観客が居た方が良いだろーがよ。
『手品』ならな」

526比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/07/23(火) 00:30:54
>>525

カードの中で、白い花を携えた女性が塞川に微笑んでいる。
めくられたのは、『ハートのクイーン』だった。

「なるほど。確かに言われてみれば、そうかもしれませんね」

「では、僭越ながら――――」

それまで置かれていたトランプを退かし、新たに五枚のカードをテーブルの上に置く。
ただし、今度は裏向きではなく、『表向き』の状態で置かれていた。
カードの内訳は、左端から『ダイヤの4』、『ハートの3』、『ダイヤのエース』、『スペードの9』、『ハートのジャック』だ。

「これから、この中のカードを一枚だけ『心の中』で選んで下さい」

「中央に置かれた『ダイヤのエース』――『位置』としては、これが一番目立つでしょうね。
 その隣の『スペードの9』は、たった一枚だけの『黒いカード』です」

「その隣にある『ハートのジャック』は唯一の絵札――これにも何か意味があるかもしれません」

「しかし――あなたは、そんな事を考えたりせず、一枚だけ心の中に思い浮かべて下さい」

これは、ごく初歩の『メンタルマジック』だ。
成功するかもしれないし、しなかったとしても別に不思議はない。

527塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/23(火) 00:45:39
>>526
「ほお……それっぽい感じだなァ。
ああ、思い浮かべたぞ。
だが、私は天邪鬼な人間だからな……
期待には沿えないかもわからんがね」

『比留間』の言葉を咀嚼するように聞きながら、
ひとつのカードを心の中で思い浮かべる。

「これだけで『わかる』のか?
私が選んだものが?」

528比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/07/23(火) 01:02:51
>>527

「ええ――そういう『マジック』です。
 ただ、何事も『例外』はありますから。
 あなたの言われる通り、全ての人間に当てはまる訳ではありませんからね」

そう、例外はある。
『力を持つ者』の存在も、その一つと言えるだろう。

「それに先程も申し上げた通り、まだ『練習中』の身なもので。
 外れてしまった場合は、どうぞご勘弁願いますよ」

「それで、ええと…………」

     スッ

そう言って、おもむろにテーブルに腕を伸ばす。
そして、一枚のカードを手に取った。

「あなたの選んだカードは――――『これ』でしょうか?」

取り上げたカードを塞川に見せる。
左端から二番目に置かれていた『ハートの3』だ。

529塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/23(火) 01:18:01
>>528
眼前のカードの柄に、片眉を上げて比留間を見た。

「へえ……面白いな。
どういう仕掛けだ?
確かに私は『それ』を選んだ。
何か騙くらかされたようで、シャクだがなァ」

そう言って、クックッと笑う。

530比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/07/23(火) 01:54:18
>>529

「――――恐縮です」

軽く会釈して、短く礼を述べる。
それから、原理についての説明を始めた。

「これは『フォーシング』と呼ばれるものですね。
 観客に自由に選んでもらうように見せて、
 実際は手品師が『選んで欲しい答え』に誘導するテクニックだそうですよ」

「今の場合ですと――――
 まず、『目立つが気にする事はない』と言われた三枚のカードを、
 人は無意識の内に除外しやすくなります」

「つまり、これで『ダイヤのエース』と『スペードの9』、
 そして『ハートのジャック』の三枚が対象から外れる事になりました」

「残ったカードは『ダイヤの4』と『ハートの3』ですが、
 日本では『4』は『死』を連想させる数字として知られていますね。
 ですから、他の数字と比べて避けられる可能性は高い訳です」

「それが『端』に置いてあれば、『ダイヤの4』が選ばれる可能性は更に低くなります。
 最後まで残るカードは一つだけ――――『ハートの3』しかありません」

説明を終えて、『ハートの3』のカードをテーブルに戻した。
代わりにカップを持ち上げ、時間が経って冷めてしまったコーヒーで喉を潤す。

「お分かり頂けたでしょうか?」

531塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/23(火) 21:12:34
>>530
「ふん、成程……。
話術によって、心理を誘導する。
この『手品』、これ自体もその一環か?」

真正面から『比留間』をじっと見据えて、
木のテーブルをコツコツ、と叩く。

「こんな事は、態々言ってやる事でもないが……。
あんたはもっと別の事の『練習』。それをやろうとしてたんだろ?
『観客』の要らない事をな」

「ま、それはいいか……・。
私の『手品』も、あんたに見せてやるよ。
その5枚の『トランプ』。
シャッフルして並べな。ただし『裏向きに』……だ」

「そしてあんたが指した『一枚』。
それを私が『当てる』ってのはどうだ?
見事当たったなら……そうだな。ここの払いをあんたが持つってのはどうだ?」

532比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/07/23(火) 22:01:16
>>531

塞川を見つめ返し、コーヒーカップを音もなくテーブルに置く。
その表情は穏やかなままで、特に様子が変わったような雰囲気は感じられない。

「個人的な事で申し訳ありませんが、『ギャンブル』はしない主義ですので」

「ですが――支払いは私が持ちましょう。
 当たっても、そうでなくてもです」

「『お金を出すだけの価値があるもの』を見せて頂けるなら、という注釈が付きますが」

トランプの束を一つに纏め、手際良くシャッフルする。
そして、上から五枚のカードをテーブルに並べた。
全てが裏向きであり、『透視能力』でもない限り当てる事は出来ないだろう。

「――――では、『これ』を当てて頂けますか?」

真ん中の一枚を指差す。
そのカードの表面は、選んだ比留間自身にも分からない。

(このトランプはジョーカーを含めて『53枚』。単純計算だと確立は『53分の1』…………)

(『当てずっぽう』で的中する事も絶対ないとは言えませんが……。
 よほど運が良くない限り、一度のチャンスで当てる事は不可能に近いでしょうね……)

(しかし、彼女からは『自信』が感じられる。
 その『根拠』が何なのか――――拝見させて頂きましょう)

533塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/23(火) 22:37:21
>>532
「フン、こっちは『素人』だぜ。
あんまり『過度な期待』をされてもなァ。
ま、いいだろう………それでいいのか?」

軽薄な笑みを浮かべながら、
指さしたカードを一瞥し、胸元からハンカチを取り出し、
仰々しい仕草で広げ、比留間の手ごと、5枚のカードに被せる。

「このハンカチは『魔法のハンカチ』。
いや、『フーディーニのハンカチ』の方が良いか?
ま、そんなんだ。
こいつを被せ、5秒待つと………」

片眼を瞑り、指を折ってカウントダウンをする。
指が全部折れた頃に、ゆっくりと『ハンカチ』を外した。


「あんたが選んだのは、『スペードの5』」


「………いや、違うな。『同じ柄』は無いからなァ」

  パシッ

そう言った『後』。右端のカードを捲る。
『スペードの5』。

「なら、えと……
『ハートのキング』?
それとも『ハートの3』、『クラブのA』………?」

 パシッ パシッ パシッ

『比留間』が何かを言う前に、
三種類の『柄』を口走り、その『後』に
押さえられている『カード』、『それ以外』を次々と捲っていく。

「あーあ、残念。『すべて外れ』………だったか。
私にゃ、手品の『才能』は無いみてーだなァ」

なんてな、と続けて、肩を竦めた。

534比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/07/23(火) 23:05:40
>>533

(当たった……?それも『四枚全て』……)

(単なる『カン』というのは確立から言って有り得ない。
 何らかのトリックか……。
 彼女の自信を考えれば、それは当然ですが……)

(『あるいは』…………)

「――お見事です。大人しく兜を脱ぎますよ」

「何かあるとすれば『ハンカチ』でしょうか?
 意識を向けさせるための小道具――とも考えられますが」

そう言いながら、ハンカチを一瞥する。
無論、それで何かが分かるとは考えていない。

「それが本当に『魔法のハンカチ』なら可能な技なのでしょうね。
 差し支えなければ、どこで手に入れたか教えて頂けますか?
 私も一つ持っておきたいものです」

「いずれにしても――約束通り支払いはさせて頂きます。
 それに見合うだけのものを見せて頂きましたので」

口元に笑みを浮かべ、自分が選んだカードを引っくり返す。
そこに描かれているのは道化師の絵――『ジョーカー』だった。

535塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/23(火) 23:36:41
>>534
(『クリスタライズド・ディスペア』………。
テーブルを『硝子化』し、『スタンド』が覗き込んだ。
……能力の無駄だな。何ムキになってんだ、私は)

自己嫌悪でため息をつき、
薄くなったコーヒーを一口飲む。
ふと、自らのスマホを横目で見た。

「ま、『世の不思議』ってのは、あちこちにあるモンさ。
あんたが選んだのは当たらなかったんだ。お代は結構」

おどけて言って、テーブル二つ分の伝票を持って立ち上がる。

「私は『塞川唯』という。
次がありゃあ、あんたの『練習の成果』をもっと見たいもんだな。
期待してるぜ」

ひらひらと手を振り、
その出会いと同じように、唐突に去っていき………


  ドヒュウッ!

その背中を追いかけるように、
比留間の机の下より『何か』が高速で飛び出し、
『塞川』に追いつくと、直ぐに消え失せてしまった。

536比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/07/23(火) 23:57:12
>>535

「ええ、何事も『例外』というのはあるものですからね」

「有難うございました。
 あなたのお陰で楽しい時間が過ごせましたよ」

立ち去る塞川の背中を見送る。
同時に、テーブルの下から飛び出す『何か』を目撃した。

(『あれ』は……?ハンカチに意識を向けさせて――という所でしょうか……)

「さようなら、塞川さん」

「『比留間(ヒルマ)』です――またお会いする事があれば」

テーブルの上にあるトランプを片付け、懐にしまう。
やがて、席を立って喫茶店を後にした。

     シュンッ――――

歩きながら、片手を軽く開く。
その瞬間、マジックのように五枚の『カード』が出現する。

       シャッ

滑らかな動作で『カード』を扇形に広げる。
一瞬後には、カードは消えてなくなっていた。

「そう、練習は必要ですね――――『何事も』」

537エマ『ソルトフラット・エピック』:2019/08/03(土) 21:58:59
展望台にある双眼鏡で街の様子をぐるーっと見渡している。

中東系の女性で、服装も少々年季が入っている……端的に言えばボロい。
古ぼけたキャリーバックを携えており、端から見れば、バックパッカーか何かに見えるかもしれない。

538エマ『ソルトフラット・エピック』:2019/08/05(月) 00:07:56
>>537
立ち去った

539日沼 流月『サグ・パッション』:2019/08/22(木) 20:52:20

「あっつ〜〜〜〜〜〜ッ!
 夏始まるの遅かったからってさぁ〜、
 気合い入れて挽回しようとし過ぎでしょ!」

     パタパタ

スカイモール低層階は飲食店が充実している。
流行がピークを迎えるタピオカも、もちろんある。

      チラッ

「流月アイス食べるけどさ〜、あんたどうする?」

が、日沼は同行者と話しながら、アイスの店を見ていた。
反骨心があってもタピオカは惹かれるものはあったが、
今は腹に溜まるものより冷たい物だ。夏だから。
というか店とかよりここは冷房が効いてるのが大事だ。

なお、日沼流月の同行者は……>>540かもしれないし、
別の人間で、>>540はそれを見ているだけかもしれない。
なぜ同行しているのかは……>>540が同行者なら、知っているはずだ。


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