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【個】『学生寮 清月館』

1『星見町案内板』:2016/01/24(日) 23:51:17
月面を連想させる『灰色』のレンガで出来た『洋館』。
親元を離れた子供達だけでなく、一般学生もしばしば遊びに来る。
『自立心』、『向上心』を培う為、多くの『家事』は学生自身で行っている。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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549飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/06/15(火) 21:38:20
>>548

「そうです!
 私にとって憂さんは『従兄』さんみたいに素敵な人です」

『ジャパニーズホラー』な外見は今でもちょっと怖いけど。それでもいい人だと思う。
少なくとも、私にとっては優しくて素敵な人だ。

「あ、はい!
 買い物行きます!」



その後は二人で買い物をして、一緒に『麻婆豆腐』を食べた。
辛かったけど、お母さんのご飯より美味しくて大人のお姉さんなんだって改めて憂さんを尊敬しちゃった。

……テレビとかで見そうなくらい、『真っ赤』な『麻婆豆腐』を食べてる姿はちょっとびっくりしちゃったけど。

今日もそんな、素敵な一日だった。

550御影憂『ナハトワハト』:2021/06/18(金) 18:54:22

    ガチャ…………

夜明け近く、『狩り』を終えて自室に戻ってきた。
その姿を誰かが見ていたかもしれない。
あるいは見なかったかもしれない。

       グラッ
           ――――ドサァッ

いずれにせよ、御影は糸が切れたようにベッドに倒れ込み、
そのまま昼頃まで眠り続けていたという。

551御影憂『ナハトワハト』:2021/06/22(火) 23:56:43

  ガチャ…………

『深夜0時』を回った頃、自室の扉を開けて廊下に出る。
第一は『夜の狩り』を行うためだ。
そして、今日は『別の仕事』もある。

     スタ スタ スタ…………

             行き先は――――『歓楽街』方面。

552赤月『サクソン』:2021/06/24(木) 23:45:06
先日から立て続けにあった『襲撃者』への対応で疲れが溜まっていたせいか
それとも、日毎に蒸し暑くなっていく日本の気候にまだ慣れていないせいか
その日の赤月はいつも以上に寝苦しい夜を過ごしていた・・・・
学生寮の自室のベッドの上で呻き声を上げながら、彼女は一つの夢を見た


夢の中で赤月が目を開くと、そこはかつて過ごしていた『家』の中であった
ふと立ち上がってみると、視線が随分と低く、昔の情景を夢で見ているのだと気づいた
鉄格子が嵌められた窓からは太陽の光が降り注ぎ、今が昼間だと知らせてくれる

ぐぅ、と唐突にお腹が鳴った
夢の中だというのにお腹が空くのか、とそのおかしさに笑いながら、
赤月は今よりもずっと小さな手を伸ばして戸棚を開けた
中には乾いて硬くなったパンがあったので、少しずつ噛んでお腹を誤魔化す事とした

兄が『仕事』に出かけてからもう2週間になる
今までも、『仕事』で長期間家に帰らない事はままある事ではあったが、
ここまで長く帰らないと流石に心配になってくる・・・・

とはいえ、『家』の扉には鍵がかかっているから勝手に出ていく事は出来ない
赤月は『本の部屋』に向かい、暇を潰す事にした

『本の部屋』には兄が仕事に使っているのであろうか、『戦闘』や『兵法』の本がたくさん置かれている
正直、あまり興味が湧く内容ではなかったが、娯楽の乏しいこの『家』で他にやる事もないため、
暇な時はずっとそれらの本を読んでいた

夕方になり、ガチャガチャと扉を開ける音が鳴り始めた
兄が帰ってきた合図だ! 一つ二つと外の鍵が解かれる音が続いたため、嬉しくなって玄関へ駆け出した
やがて、十の鍵全てが解かれ、蝶番を軋ませながら扉がゆっくりと開かれる―――
赤月はその様子を喜びに満ちた顔で見つめ・・・・・そして


兄の存在は『赤月の世界』の『全て』であった
がらんどうの部屋の中に、兄がいる時だけは生きる実感を感じさせられた
だからこそ・・・・『世界』を奪った人間は決して許さない


浅い眠りから目覚めると時刻は午前5時半であった
学校へ向かうには随分と早い時間であったが、寝直す気分でもなかったため起き上がって支度を整える
『アリーナ』の刺客が自分を狙っているという事実は、赤月の精神を確かに疲弊させていた
目の下に隈を作りながら、今日もまた学校へと向かう

553御影憂『ナハトワハト』:2021/06/27(日) 07:57:27

     スゥー………………

談話室のソファーに横になっている。
昨日は『心理学』の講義に出て、
『ホラーモチーフの飲み屋』でバイトして、『ビラ配り』をした。
それが終われば、あとは自由時間。
『ナハトワハト』で不良やチンピラを数人ビビらせて、
寮に帰ってきた。
疲れてソファーに座り込み、そのまま寝入ってしまったのだ。

    「アレ乗りたい…………」

         ボソッ

    「………………来て」

      クルンッ

『寝言』を口走りながら、寝返りを打つ。
一見ソファーから落ちそうに見えるが、
器用にバランスを取っている。
『夢』を見ていた。
楽しかった思い出。
まだ『恐怖』を知らなかった頃の記憶だ。

554赤月『サクソン』:2021/06/27(日) 16:13:20
>>553

「・・・・・・・・。」

学校から帰ってくると談話室で眠り込む女性の姿を認めた
いつもなら、このまま真っ直ぐに自室に帰る所であったが、
連日、気を張り詰めていた事による疲れのせいか、御影の横の椅子に座ると
そのまますぐに意識を手放してうとうととした眠りに落ちてしまう


   「ZZZ・・・・」
            ガタッ

      「ZZZ・・・・」
               ガタッ!!

器用にバランスを取る御影と違い、こちらは大分危ない姿勢だ
首が船を漕ぐ度に座っていた椅子が大きく動き、足元で大きな音が鳴る

   やがて・・・・・

 「ZZZ・・・・」
      グォ・・・
             ガッシャァァンッ!!

バランスが本格的に崩壊し、
遂には背中から崩れる様に大きく倒れ込んでしまった!

555御影憂『ナハトワハト』:2021/06/27(日) 18:02:52
>>554

眠っていても、大きな物音は耳を通して頭に響く。
近くで寝ている人間を叩き起こすには十分な音量だった。
結果、御影の意識は、
夢の世界から現実世界に引っ張り出される。

    パチ…………

            ノソッ…………

ゆっくりと目を開け、まずは体を起こした。

            ササッ

       ササッ

変な場所で寝ていたせいで髪が乱れている。
両手で前髪を直し、髪の隙間から倒れている相手を見た。
『見た顔』だ。

「………………何してるの?」

        ボソッ

内心の考えを表には出さず、その少女に声を掛けた。

556赤月『サクソン』:2021/06/27(日) 18:20:58
>>555

御影が髪の隙間から覗き込むように倒れた少女を見つめると、
先日の歓楽街で『見た顔』である事がわかる

「いたたたた・・・・・
 すまない・・・・起こすつもりはなかったんだ」

床にぶつけた背中に手を当てながら、倒れた椅子を支えにして起き上がる
中学生にしては身長が高いが、全体的に疲れたような表情を浮かべており、
目の下には隈が出来ていた

「少し、休むだけのつもりが寝入ってしまった・・・・」

そう呟くと同時に、忙しなく周囲に視線を向ける
まるで、何かを警戒しているようにも見える・・・・

557御影憂『ナハトワハト』:2021/06/27(日) 18:40:23
>>556

何かを警戒している雰囲気。
理由は何となく分かる――というより、自分が理由だろう。
『尾行』は途中で中断したが、
追われる側からしたら精神を削られる事は間違いない。
それも『ナハトワハト』の強さだ。
どんな人間でも、張り詰めた状態が続けば隙が出来る。

「いいよ………………別に………………」

そして、隙を狙えば力で上回る相手も倒せる。
『ビラ』を撒いたのも同じ理由だ。
直接対峙すれば、『一般人』は『スタンド使い』に適わない。
しかし、『間接的な手段』なら、戦う方法は幾らでもある。
そのために『情報』を利用するというのが『一生』の考えだった。

「良かったら………………『うち』来ない………………?」

         スッ

「『お茶』………………淹れるから………………」

ソファーから立ち上がり、片手を上げて自室の方向を指差す。

558赤月『サクソン』:2021/06/27(日) 19:01:39
>>557

「いいのか・・・・?」

普段であれば、こんな怪しい誘いに乗る事はありえない
普通の家の子でも、まともな危機管理能力があれば
知らない大人について行くなんて事はないだろう・・・・しかし

「では、お言葉に甘えよう」

連日の緊張のせいで危機管理能力がバグったせいか
はたまた、寝起きのせいで状況判断能力が欠けているせいだろうか
御影の誘いに簡単に乗ってしまう

夢遊病の様なふらついた足取りで、赤月は御影の部屋へと向かう

途轍もなく大きな『隙』だ・・・・
恐らく、一般人でも簡単に勝ててしまえるような・・・・

559御影憂『ナハトワハト』:2021/06/27(日) 22:58:15
>>558

「同じ『寮生』だし………………」

(相当参ってるっぽい………………)

「………………『いいかな』って」

相手の反応から、
かなりコンディションは良くない事を理解した。
ともあれ、頷きを返して部屋に向かう。
表の表札から『御影』という名前が分かるだろう。

     ガチャ…………

「………………ここ」

基本的な間取りは赤月の部屋と同じだ。
そこそこ物はあるが、散らかってはいない。
中央に小テーブルが置いてある。

「適当に座ってて………………」

        スッ

「………………『お茶』淹れるね」

そう言って奥に引っ込む。
部屋の隅にはケージが置いてある。
白い布が被せてあった。

560赤月『サクソン』:2021/06/27(日) 23:27:46
>>559

「ああ・・・・・」

どことなく精彩に欠ける返事をして勧められた通りに適当な床に座った
今一つ焦点の合わない目で部屋の中を見回す
ほとんど物が置かれていない自室と比べると生活感のある部屋だ

「・・・・・いけない
 少し、他人と関わり過ぎている・・・今も『奴ら』に狙われているかもしれないのに」

少しずつ、意識がはっきりとしてきた
先日の『高見盛』とのやり取りで今すぐに『攻撃』を仕掛けられる事はないと判断したが、
『歓楽街の監視者』が今も自分を見ている可能性は捨てきれない
他人を巻き込まないように、人との関わりは避けていたのだが・・・・

「私の詰めの甘さのせいだ
 御影、と言ったかな? あの人に累が及ぶ前に早くこの場を離れないと」

そう言いながら、立ち上がろうとしたところで・・・

    ふらっ・・・

「あっ」

      ガシャッ!

体調が悪い時に急に立ち上がろうとしたせいか立ち眩みを起してしまう
ふらついた足が布が被さるケージに躓く

561御影憂『ナハトワハト』:2021/06/28(月) 00:33:16
>>560

『御影』――それが『監視者』の名前である事を、
赤月は知らない。

      ハラリ…………

躓いた衝撃でケージを覆っていた布が落ちる。
そこから出てきたのは『白い蛇』だった。
『サウザンパインスネーク』と呼ばれる種類だ。
急に大きな音を出されて驚いたらしく、
頭を上げて赤月を見つめている。
そうこうしていると、『飼い主』が帰ってきた。

「あ………………」

     コトッ

カップをテーブルに起き、ケージに歩み寄る。

「いい子いい子………………」

ケージに顔を寄せ、蛇を落ち着かせる。
そうしてから、赤月に手を差し伸べた。
拒否されなければ、ベッドに座らせよう。

「………………無理してない?」

「『頑張りすぎ』………………良くない………………」

具合が悪いのは誰が見ても分かる。
こんな状態では、この間のように襲われた時、
とても対処は出来ないだろう。
だから連れてきた。
御影が属する『一派』としては、利用価値がある人間だ。
簡単に倒れては困る。

「何があったか知らないけど………………」

そして、御影個人としても、何となく放っておけなかった。
危なっかしいし、
どことなく自分と似た部分もあるように感じたからだ。
『追い詰めた責任』も――ないではない。

562赤月『サクソン』:2021/06/28(月) 00:57:48
>>561

部屋に上げ、休息を提供しているこの部屋の主人こそ
自身をここまで追い詰めている『監視者』本人である事を赤月はまだ知らない

「す、すまない・・・・あっ」

視線を下げる赤月に顔を合わせる様に『白蛇』が頭を上げた
爬虫類に対して苦手意識を持つ者は多い
しかし、赤月にとっては全てのものが目新しく・・・・

「綺麗だ・・・・」

「・・・・・はっ、申し訳ない、私の不注意で布を開けてしまった」

思ったまま、率直に感想を述べた
驚いた『白蛇』に何かをしてやろうかとも考えたが、宥め方がわからず
御影が差しだした手に従ってベッドの上に座った

「ありがとう・・・・ でも、このままじゃあ駄目なんだ」

御影の言葉を聞き、数秒ほどの間をあけてぽつりと呟く
視線はなんとなく『白蛇』の方をふらふらとさせていた

「すまない・・・ 何を言っているのかわからないと思うけど
 私は・・・・ 私は何者かに『監視』・・・『観察』されている」

被害妄想ともストーカー被害とも言えるような言葉ではあるが
御影にはわかるだろう・・・・目の前の少女が何に恐怖しているのかを

563御影憂『ナハトワハト』:2021/06/28(月) 09:34:45
>>562

「私は………………『御影憂』………………」

御影憂は『恐怖』を与える事を望み、
獲物を求めて夜の街を徘徊している。
それは自分にとって『食事』と同等の行為であり、
ゆえに止める事が出来ない。
しかし、決して無差別ではなく、
自らに定めた『ルール』が存在する。

「………………『大学部二年生』」

決して危害は加えない事。
人に迷惑を掛けずに生きている者は狙わない事。
その二つの『原則』を以って、
自身が憎む『邪悪なスタンド使い』になる事を、
ギリギリの所で踏み止まっている。

(ダメだ………………)

この少女は『獲物』になるべき人間ではない。
『ルール違反』だ。
このままでは、自分が憎む者達と同じになってしまう。

「これ………………」

       ソッ

持ってきたカップを差し出す。
中身は砂糖とハチミツ入りのホットミルクティーだ。
暑い時期なので、温度はぬるめにしてある。
こういう時は、
いきなり言葉で説得しようとしても上手くいかない。
まずは『感覚』に訴える事だ。

       ガシャッ

ケージを開けて、白蛇を外に出す。
蛇というと危険なイメージが付き纏うが、
それはあくまでも一握り。
全てが有毒であったり攻撃的である訳ではない。

        シュルルルル…………

白蛇は、飼い主の腕の中で緩やかに蠢いている。

564赤月『サクソン』:2021/06/28(月) 20:13:01
>>563

「あ、ああ・・・・『赤月ナカレ』だ・・・
 中等部の・・・2年生という事になるか」

赤月がここまで追い詰められてしまっている事は御影にとっては予想外だったかもしれない
心の中にやましい気持ちがあるからこそ、まったく無関係の出来事を繋げて考えてしまっている・・・
それが赤月の心の中に、存在しない『敵』を作り出してしまっているのだ

だが、双方ともにそんな不運な偶然が重なっているとは思いもしないだろう

「だから、すぐにでもこの部屋を離れ・・・・」

>「これ………………」

>       ソッ

「うっ ありがとう・・・・」

ベッドを離れ、すぐに自室に戻ろうとしたところで、カップが差し出される
お茶を用意してもらったのに、飲みもしないのは礼儀に反すると思ったのだろうか
腰が浮いたところで、また腰を落とし、カップの中の液体に口をつける

心地いい温度の甘ぁいお茶だ
ピリピリとした心が休まり、穏やかな気分にさせられる
そのせいか、すぐに部屋を離れる気分が失せていく

「・・・・随分と人に馴れた蛇なんだな
 何か、特別な訓練でもしているのか?」

565御影憂『ナハトワハト』:2021/06/29(火) 00:40:53
>>564

事実、想定外の事態であった。
本来ならば、そこにいることさえ気付かせずに、
終わるはずだったのだ。
そうならなかったのは、他の二つの要因が関係している。
『サクソン』の能力、『フラジール』の襲撃、『御影』の存在。
これら三つの要素が一つでも欠けていれば、
現在の状況には至らなかっただろう。

「ちょっと違う………………」

        ボソ

「蛇を人間に馴れさせるんじゃなくて………………」

「人間が蛇に合わせる………………」

「何を考えているのか読み取る努力をする事………………」

       ボソ

「………………つまりは『愛情』」

相手の事を知り、相手に近付こうとする。
距離を縮めさせるのではなく、こちらから歩み寄るのだ。
習性や好き嫌いが分かれば、
何となく接し方も分かってくるものだ。

「………………触ってみる?」

       ソッ

カップの中身がなくなった頃合を見計らって、
腕の中の白蛇を差し出す。
蛇というとヌルヌルしたイメージがあるが、
実際の蛇はサラサラした質感を持っている。
そして、動物と触れ合えば、
少しは落ち着くのではないかと考えたのだ。
『アニマルセラピー』という療法もある。
もっとも、普通は『犬』や『猫』だが……。

566赤月『サクソン』:2021/06/29(火) 01:20:32
>>565

「へぇ・・・・ なあ『白蛇』、お前は一体何を考えているんだ?」

お茶を飲み干したタイミングで、誘いの声がかかる
赤月はうん、と小さく頷くと両手を白蛇に差し出した

    シャラ・・・・

白蛇はゆっくりとした動きでこちらに乗り移る
鱗と肌が擦れてサラサラとした触感を感じる

「ふ・・・ふふふ、変な感覚だ・・・・冷たくて、さらさらしていて」

直前のアドバイスを実践するように、蛇がしたい事を考える
どうも、この蛇はそれ程動きたがらないように感じたため、蛇を両手に乗せたままじっとしている
だが、それではどうにも腕が疲れるため、やがて両手を自分の腿の上に置いた

「ふぁ・・・・・ん・・・・・・」

お茶を飲んで身体を温めたせいだろうか、
それとも『アニマルセラピー』が予想以上に効果を上げたせいだろうか
蛇を両手に乗せたまま、赤月の身体はベッドの上にゆっくりと倒れ込む

「・・・・・。」

耳を傾ければ、静かに寝息を立てているのがわかるだろう
どうやら完全に眠ってしまっているようだ
先程とは違い、警戒の解けた面立ちで、深い眠りに落ちている・・・・

567御影憂『ナハトワハト』:2021/06/29(火) 08:43:33
>>566

目の前の少女を見て、『昔の自分』を思い出す。
心に傷を負って長期入院していた頃の事を。
カウンセリングを繰り返したが効果はなく、
アニマルセラピーが行われた事もある。
転機が訪れたのは、ある夜の事だった。
その日は天気が悪く、雨が降り、雷が鳴っていた。
カーテンの隙間から窓ガラスが見え、
ガラスに映る自分の姿が、
一瞬恐ろしい怪物のように思えた。
その時に感じた『恐怖』が、過去の記憶と重なり合い、
自分の中で『何か』が弾けた。

「どーぞ………………」

          シュルルルルル…………

蛇が両手に乗せられると、
サイズに見合った適度な重みが腕に伝わる。
温厚な性質らしく、激しく動き回る事はしていない。
最初は鱗のひんやりした感覚が目立った。
しかし、徐々に鱗の下にある仄かな体温が感じられてきた。
そこにあるのは冷血さではなく、確かな『命の息吹』だ。

「――――――………………」

「ふぅ………………」

寝入ってしまった赤月を見下ろして、小さく息を吐く。
もし自分が本当に『刺客』だったとしたら、
この場で寝首を掻いている所だ。
しかし、そんな事をする必要はない。
直接的な戦闘ではなく、
『情報』を利用して『状況そのもの』を動かす。
それが『一般人』である『リーダー』のやり方であり、
『懐刀』である御影も、それに倣っている。

        ソッ

サウザンパインスネークをケージに戻し、カップを片付ける。
それから机に向かい、ペン立てからボールペンを取った。
一枚のメモ用紙に、以下の内容を書き付ける。

          サラサラサラサラサラ

  疲れた時はまた来ていいよ。
  御影さんの連絡先は→『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
  よかったらお話してね。

         スッ

折り畳んだメモを赤月のポケットに忍ばせ、
夏用のタオルケットを掛ける。
ポケットを探って、
ついでに『情報』を得ようかとも思ったが――――やめた。
『何となく』だ。
そして、借りた本を返すために図書館に向かった。
『小泉八雲著:怪談』だ。

568赤月『サクソン』:2021/06/29(火) 22:56:21
>>567

「う・・・・ん・・・・・・っ」

赤月が目を覚ました時、部屋には誰もいなかった
自分にかけられたタオルケットとポケットの中に入れられた『メモ』の存在から
どうやら、この部屋の主『御影』の世話になったという事を知る

「・・・・・・・しまった」

時計を見るとあれから数時間が経っているようだ
一瞬だけ、『敵』の存在が頭をよぎるが、すぐにその発想を打ち消す
久しぶりに不安に苛まれずに安眠したため、心に物事を考える余裕が生まれていたからだ

「違う・・・・大丈夫、大丈夫だ・・・・
 御影がいなくなったのは外出する用事があったから・・・・『奴ら』に襲われたわけじゃない」


「・・・・そうだ」

深い休息で頭が回るようになったおかげか、一つの考えが頭に浮かんだ
その考えを実行するべく、近くにあったボールペンを『仕込み刀』に変えて、自分の手の甲を切る

痛みはあるが・・・・すぐにその痛みは和らいだ・・・・
『サクソン』の能力が発動しないという事は、
この部屋に『目撃者』がいないという事だ

「クッ・・・・・! こんな簡単な事に気づかなかったなんて!
 ずっと私は・・・・・居もしない『幻影』に苦しめられていたのか・・・・・いや」

「ずっと休息も取らずに余計な気を張っていたのは私の方か・・・・
 ちゃんと休んで、頭が働いていればわかったはずの事だ
 憩わせてもらった御影には・・・・本当に感謝をしないといけないな」

改めて『メモ』を読む
簡潔ながら、こちらへの気遣いを感じさせる文章だ
赤月はそれを丁寧に折りたたむと、大事そうにカバンの中に仕舞った

「ありがとうございました」

この場にいない『部屋の主』に一礼をして
自室へと戻っていった

569一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/30(水) 14:03:15
すっかり『復讐者』たちの溜まり場と化した寮。
そこに一匹の『復讐者』が帰…侵入する。
湖畔の適当な枝を切り落とした物で身体を支える少年。

「少し気怠い…家まで遠いし中で休まないと…」

『フラジール・デイズ』との戦闘で負った軽い怪我とスタンド採血で不調だ。
硝子混じりの砂の掠り傷と『反発』で吹き飛んだ際の打撲。どれも軽微だが積み重なるとキツい。

「あっ、七篠先輩に連絡し忘れた…」

杖をスタンドに支えさせながらフラフラする。
タクシーだけは駄目だ。遊部先輩に渡したタクシー代=今月の食事代で使えない。
アリーナの諸々で手にした『百万』は屋根裏にある。

「庭で座ってスタンドエネルギーを…ハァハァ…」

『チラシ』を手に適当な椅子に座って休む。
チラシに描かれた次なる敵の姿に首を傾げながら。

570ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/06/30(水) 21:58:52
>>569

少年は寮の庭に備え付けれた椅子……ベンチに座る。


   ガシッ
                  「……ん〜」


するとベンチの下から手が伸びてきて、少年の足を掴んだ。
か細い鳴き声のようなものもかすかに聞こえる気がする。

571一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/30(水) 23:14:55
>>570
「ホームレス…寮に…?」

スタンドで腕を掴み返してベンチの下から引きずり出す。
自然薯のように優しく折れないように(パス精:CCA)

「悪いことしないから出ておいで」

「風歌さんだったら両手を外して泣かせる」

572ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/06/30(水) 23:28:46
>>571

「……ん」


小さく細い腕がベンチの下から出てくる様子は、
いきなりの事であれば、幽霊か何かかと思ってしまうかもしれない。
だが少年は冷静に、優しく手をベンチの下から引きずり出した。


「うう、眩しいの……
 なんじゃ……? 誰じゃ……?」


出てきたのは、少年よりも幼い金髪の女の子だった。
サイズの合わない大人もののシャツをワンピースのように着ており、
少々薄汚れているが、これはベンチの下にいたからだろう。
ホームレスというほどではない。

573一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/30(水) 23:56:04
>>572
「いや、なんか足を掴まれたから掘り返してみました。
 名前は一抹 貞世。それはそうと汚いです」

スタンドでナイの土埃を落としてあげよう。
『インダルジェンス』の腕は『悪感情』の『鎮静』の効果を常に展開しているので妙な感覚がするかもしれない。

「外国人さんです?」

スタンド使い『通り魔』のチラシを隣に置く。
ウルフカットの白髪である一抹も顔立ちは外国人っぽい。
傍目から見ると外国人同士の交流に見えるだろう。

574ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 00:10:27
>>573

「わしは日差しが熱いのでベンチの下に避難しておった者じゃ。
 名前はない……」


両手で日差しから目を防御しながら、名乗り返す(?)少女。
陸にうち上げられた魚のようだ。


「お? なにか、暑さが気にならなくなってきたような気がするの。
 あ……オバケじゃ」


が、『鎮静』の効果か、少し元気になってきた。
驚きも鎮められたのか、『インダルジェンス』を見て道端に猫がいた時くらいのリアクションをする。
驚きが悪感情かどうかは知らないが……


「外国人? うーん、多分そうなんじゃないかの」


自分の出身をいまいち把握していないのか、小首を傾げながら
ベンチの下からリュックを引きずり出し、水筒を取り出している。

575一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 00:46:30
>>574
「オバケ…ナイちゃんもスタンド使いっぽいですね。
 名前が無いからナイちゃんと呼びます」

「お家も無いとか? 私の家に来ます? 町外れの教会
 の隣に建てられたデカイ家ですよ。
 私を拾ってくれた老夫婦のお家です」

さらっと人を家に勧誘する。
子供同士の会話だからか不健全さもない。
あるのは世知辛さだけだろうか。

「私も人種不明ですし、町の懐の深さに感謝です」
あっ、リュックもある。半分だけホームレスですね」

「そういえば、七篠先輩の部屋の合鍵持ってたんだ。
 無断で冷房を使ってもバレない…」

風歌やナイちゃんのように生きるには図太さが必須。
そして、劣らぬ図々しさを一抹も持ち合わせていた。

576ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 01:04:48
>>575

「別にかまわんが……
 お前さんはここの住民ではないのか」


懐が深い町だが、闇の深そうな住民は多い。
いや、むしろだからこそだろうか。
ホームレスのいない町は、つまりホームレスを追い出すような町なのだ。


「家はあるぞ。わしのではなく死んだ爺の家じゃが……
 レイボウというのは涼しくなるやつじゃな?
 それはついておらんが……
 わしのスタンドはオバケは無いが、氷ならいくらでも出せるぞ。飲むか?」


飲んでいた水筒を振ってカラカラと音を立てさせる少女。
中に氷が入っているらしい。


「合鍵。知っておる。好きに入ってもいいというやつじゃな?
 ここは住みやすそうじゃの。
 やはり爺の家が使えなくなったらここに住むのがいいかもしれん。
 メイドさんもおるしの」

577一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 01:38:28
>>576
「あぁ、そういえば町の住民のつもりでしたが…
 ゴミ袋にねじ込まれていた私を義父母が拾ったのです
 から一応、私も町の住民ですね」

「闇ですか? 『エクリプス』やらスタンド使いの通り魔。それに両親を殺害したい子供とか」

ナイに通り魔の情報が書かれた『チラシ』を見せる。

『○月×日△時頃
    □□□ビル付近で通り魔事件発生
     犯人は身長160cm前後の若い女
       素顔を隠して行動している
       見かけた者は注意されたし』

「ちなみに今さっき実物と戦ってきました。
 人間そっくりの人型ヴィジョンで不審者っぽい格好で
『遊部』なる女性を追いかけて来ました」

「力は弱く動きは人並み。再発現する度に道具を出して
 襲い掛かってきます。珍妙な『演技』をしながら」

一抹の身体には軽い擦り傷や打撲傷が複数ある。
実際に戦って生き残った証拠である。

「そうそう! 涼しくなるやつです!
 七篠先輩って方の部屋ですが、まぁ、平気かな?」

「好き勝手は駄目ですよ。定期的にひっそり入るのです
 というより爺とやらな死体はしっかり埋葬しました?」

ナイちゃんが何処から来たのか不明だが生きてるのか死んでるのか怪しい連中の潜む星見町はホームレスには生きやすいだろう。
そういった者が町を廻しているのだ。逆に逃がしてくれないぐらいだ。

「えっ、メイド? そんなのも? えぇっ…」

578ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 01:58:20
>>577

「全然知らんの……テレビでそんなのやっとらんかったし。
 いや、通り魔とやらはこの間、風歌と百目鬼じゃったか……が、なにか話しておった気がするが……
 そういえばお前さんもさっき風歌の名を出して腕を折るとか言っておったような……
 喧嘩しておるのか?」


風歌鈴音と少女は2度会った事があるが、明確に自己紹介したわけではない。
風歌と百目鬼が互いに呼び合っているのを耳にしただけだ。
なので記憶は曖昧である。


「なんと。襲われたのか。ぶっそうな話じゃの。
 あの……傷口に貼るシールみたいなやつ……いるか?」


絆創膏のことだ。
近年、その効果は疑問視されることもあるらしいが……


「合鍵を持っていたら勝手に入っていいとテレビで見たがの……
 うむ、爺か? ちゃんと庭に埋めておいたぞ。
 苦労したが、死んだことがバレると色々面倒なことになる。それくらいはわしも知っておる。
 それで、ひっそり入るのか?」


テレビで偏った常識を語りながら、リュックを背負う。
リュックから突き出た竹刀からは『こ』『う』『か』『ん』と書かれた布が垂れ下がっていた。

579一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 02:33:12
>>578
「風歌さんは悪事(ワルさ)しますからね。
 定期的に色々折らないと…」

「しっかり埋めたなら大丈夫でしょう。
 日本は屋根さえ有れば生きるに困りません。
 ここが駄目なら教会でも大丈夫です。炊き出しも
 定期的にやるのでナイさんは生きていけますね」

ふと、目にした『交換』の文字に首を傾げる。
それがナイちゃんのスタンド能力なのではないか?

「ナイちゃんナイちゃん。背中の『交換』って何ですか?」

ナチュラルに寮内部へと侵入しようとしながら聞く。
彼女から何か良いものが得られるかもしれない。

580ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 02:48:15
>>579

「風歌のお嬢ちゃんはこの間、ソバを食べさせてくれたんじゃ。
 じゃが悪事(ワルさ)か……やはり怪しいお金なのかの。
 そんな事言っておったような気がする」

「ほう。炊き出しとな。
 今度行ってみようかの」


サイズの合っていないサンダルをカパカパさせながら
少年の後について寮へ向かう女の子。


「うむ。よくぞ聞いてくれた。これは看板? いや、ノレン? じゃ。
 わしは『交換屋』をやっておる。
 さっき氷をいくらでも出せると言ったじゃろう。
 正確には水筒をいくらでも出せる……じゃがな。
 わしの『スタンド』は一度『交換』したものを何度でも出せるんじゃ」

581一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 03:35:44
>>580
「あっ、これは『アリーナ』の連中が欲しがるやつ。
『エクリプス』って組織に捕まりますよ…」

「もしも、ナイちゃんが風邪で寝込んだら危ないので
 寮の合鍵と我が家の合鍵、この2つを絆創膏と
 交換してくださいませんか?」

「咽が渇いたので水筒と氷もください。
 交換素材は抹茶ムースケーキと手作りアイスケーキ。
 私の手作りだから消えようが誰も気にしません」

一抹の図太さが爆発する。『交換』によってナイが日常で
使える物を増やそうとしている。
今年の猛暑を彼女が凌げるように七篠先輩へと作った物も『交換』していく。

「スマホとかは後が怖いから無しにしましょう。
 ナイさんオススメの綺麗な物とかありませんか?
 市場価値が無くても綺麗なら構いませんよ」

一抹は男だが光り物が好きだ。天然石だろうが価値が無かろうと美しいなら好きだ。
偽物の宝石だろうと輝くなら喜ぶ少年である。

「あっ、寮の合鍵と我が家の合鍵は交換で一つ返して
 ください。餅パンケーキとシカゴピザを…」

ナイのことが心配なのか作り置きまで『交換』してくる。
恐ろしいほどの心配性だ!

582ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 03:59:29
>>581

「お、おお……?
 ばんそうこう? あっ、傷口に貼るシールのやつじゃな。
 えーと、水筒……」


急な注文に、わたわたと対応する女の子。
寮の合鍵とは『七篠の部屋の合鍵』だろうか?
いくらでもコピーを作り出せる見知らぬ人物に合鍵を渡されてしまう
まだ見ぬ七篠氏が哀れである。


「ええと? 綺麗なもの、綺麗なもの……ふうむ?
 凄い綺麗なものならあるんじゃが、『解除』したらただの定規に戻ってしまうしの。
 残るものの方がいいじゃろ? うーん
 え? ああ、『交換』が済んだら増やせるから鍵は普通に返してもいいんじゃが、
 別のものと『交換』してくれるならそれは嬉しいが……」


嬉しい悲鳴、というやつか。
怒涛の注文に慌てている。
歩きながらでは受け渡しも難しいし、部屋についてからゆっくりやり取りした方がいいかもしれない。
(もっとも、『所有権』の『交換』であって受け渡しをする必要はないので
 口で言い合うだけでも成立はするのだが)

583一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 09:39:46
>>582
「ナイちゃんと七篠先輩のスタンドは相性が良い。
 だから仲良くなって欲しいです」

「広葉樹とか発現して強いのですから。
 いずれ、私もスタンドが成長して追いつきますが」

このナイちゃんって子のスタンド能力は弁理すぎる。
ある程度は私たちの射程内に納めたい。
それにホームレス生活だって長くは続くまい。

「そういえば、遊部ってスタンド使いには気をつけた方が良いかもしれません。証拠は半分だけですが通り魔スタンドの本体かもしれません」

「『悪感情』の『鎮静』を受けて苦しむ姿など初めて
 見ました」

そうこう喋っていたら七篠先輩の部屋に着いた。
一抹は勝手に入って冷房のスイッチを入れている…

「天然石とか鈍くても光る石は見つかりましたか?」

584七篠 譲葉『リルトランク』:2021/07/01(木) 11:25:41
 部屋に入るとベッドが一つに勉強机、食卓として使う折りたたみ式のちゃぶ台、飲み物用の小さな冷蔵庫。
 壁には手のひら大の付箋があちこちに貼られている。一部の付箋からは『白い花が咲く枝』が生えていてなにやら甘い香りが漂っている。

 エアコンが音を立て、冷気を吐き出しはじめたその部屋に、焦げ茶の髪を背中に流したお姉さん――七篠がいた。

>>583

――あれ、冷房…?
――一抹さんかな、よく涼みに来るもんね。

「お帰りなさい、冷蔵庫に麦茶ありますけど飲みますか…?
 ……あれ? お友達ですか?」

 一抹と、その後ろを歩く子供を見て七篠は目をぱちくりさせている。

585ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 11:50:54
>>583

「そのセンパイとやらもスタンド使いということか。
 そして遊部とやらもスタンド使い……?
 色々おるもんじゃな」


勝手に部屋にお邪魔する子供2人。
冷房を入れたからといってすぐに涼しくはならない。
『交換』で渡された『水筒』の中身は『関 寿々芽』自家製のお茶だ。
味は少し独特だが、さきほど言ったように氷が入っている。
部屋が冷えるまでの間、氷を楽しむことは出来るだろう。


「石な……変わった石は時々、仕入れとして拾うんじゃが、重いからの。
 あんまり持ち歩いてはおらんし……小粒ならいくつかあるが、あんまりピカピカしたのは……
 ああ、石ではないらしいし、光ってもおらんが、綺麗なのはあるの。
 ダイアナちゃんが言うには石じゃあないらしいが」


七篠氏の部屋のテーブルを勝手に使い、リュックから出した石を並べていく。
多くは赤や緑だったり変な模様が入った石で、雲母や翡翠なのかもしれないが、
透き通ってキラキラしているということはない。
ナイが言う、「綺麗なの」はシーグラスだ。
波で洗われた曇りガラスなので、ピカピカはしないが、宝石のようではある。


「それと、さっき言ったように本当はただの定規なんじゃが、コレとか」


こちらは、『小翠 蒼輝』と『交換』した小槌だ。
本体は木製だが、金銀宝石で装飾が施されている、豪華な一品である。
ただしスタンド能力で変身させたもので、解除すると定規になる。

586ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 11:54:10
>>584

「!?」


気づかなかった……入った時は台所とか死角にいたんだろう、多分。
いかにこっそり入ろうと、すでに住民がいるなら無意味である。
そして部屋の主ならば、普通にいて何もおかしくはない。


「おおお、おるぞ。
 いや、合鍵があるならば許可されておるという事じゃからよいのか」

「……お邪魔しておる!」


ちょっと慌てたが、とりあえず挨拶した。

587一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 12:19:59
>>584
「おじゃまします。この子は凄いんですよ!
『交換』したものを無限に出せます!」

「代償として七篠先輩の部屋の鍵が一個増えます」

軽い擦り傷と打撲傷に絆創膏を貼りながら答える。
何やら不気味な『チラシ』も持っている…

「この『チラシ』の通り魔と戦って来ました。
 それでボロボロになってたらナイちゃんと会いまして」

抹茶ムースだの手作りアイスを差し出す。
そして、当然のように部屋の隅っこに座る。

>>585-586
「『シーグラス』とミニアイスケーキを交換で…」

「あっ、彼女の部屋の主です。優しい人ですよ」

と、持ってきた抹茶ムースだの手作りアイスを置きながら隅っこに行く。

588七篠 譲葉『リルトランク』:2021/07/01(木) 12:33:23
>>585-586

――『お邪魔しておる』…。
――このくらいの子がちょっと変わった口調で話すのってなんだか可愛いよね。

「挨拶できて偉いです。
 えっと、私は『七篠譲葉(ナナシノユズリハ)』と言います、お嬢さんはお名前は?」

 勉強机に石を並べていたのを見て、ちゃぶ台を出しながら話しかける。

――『スタンド』の話してたし、こんな小さいのに『スタンド使い』なのかな?

>>587

「いらっしゃい、たくさん増やせるのはすごいですね。
 じゃあ、この子も『スタンド使い』なんですね」
「……一個増えるくらいならいいかな?
 お嬢さん、他の人にあげたらお姉さんはすこし困っちゃうのでやめてくださいね?」

 そうして話しているうちに一抹のボロボロな様子に気付いたようだった。

「一抹さん、また怪我してるじゃないですか!」

 『リルトランク』で壁の付箋に一枚剥がし、一抹の背中に貼る。
 そしてまだ絆創膏を貼っていない切り傷の近くに巻き付くように『サネカズラ』を生やす。
ttp://www.e-yakusou.com/sou/sou320.htm

「『オジロ』の怪我に使ったのと同じ葉っぱです。
 傷のところに揉んで貼り付ければ多少でもよくなりますよ」
「おやつ、ありがとうございます」

 一抹用と思われるクッションが当然のように準備されている。

589ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 12:51:50
>>587-588

「凄いじゃろう。
 名前はない。一抹ちゃんからはナイと呼ばれておるが」


褒められて得意気だ。


「そうじゃ、さっそく見せてやろう。ぬん」


二人が治療している間に、ちゃぶ台の上の上の石が、特にエフェクトもなく、
瞬時に袋詰めの大量の駄菓子やら、今交換したばかりのアイスケーキや抹茶ケーキやらに変わっていく。
まるでパーティだ。
無限に出せる、と言っても本質的に『交換』なので、石が交換素材になったわけだが……
元が石でも交換後の物に影響は無い。食べる人が気にしなければ。

590一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 13:20:02
>>588
「えへへ、『エクリプス』構成員みたい本体は逃がしちゃいましたが…次は本体を頑張って殺ります!」

外国人のような子供二人、大量のお菓子、『エクリプス』構成員殺害宣言をする子供。
普通なら怪しまれるが星見町は懐が深い。

「たまにはナイちゃんもお部屋に入れてあげてください
『交換』した分だけ彼女のレパートリーは広がります」

七篠先輩の部屋が子供たちとスイーツに占領されていく。
一抹がデザートを持ち込む度に七篠先輩は太っていくのだ…

>>589
「私が『殴打変換型』と呼ぶスタンド能力に似てます
 どんどん食べてくださーい!」

当たり前のようにクッションを手に取り食器を配る。

591七篠 譲葉『リルトランク』:2021/07/01(木) 13:26:03
>>589

――名前はナイ、ナイちゃん。

「ナイちゃん、可愛いお名前ですね」

 おそらく天丼である勘違いをしたところで七篠は治療を終えたらしく、ちゃぶ台がおやつで埋まっているのを見る。

「わぁ、この駄菓子懐かしいです…!
 えっと、ナイちゃんの『スタンド』は『交換』するとものが増えるんですよね?」

 『リルトランク』で『みかんの実った枝』を手のひら大の付箋に生やして、付箋ごと手に持った。

「『みかんの枝』と、その駄菓子を交換できませんか?
 私の子はいろんな『木の枝』が生やせるんです。
 もし他のがよければこういうのがほしいって言ってくれれば準備できるかも…」

 子供の欲しがりそうなものとして、食べ物が成る枝を作ったが、『みかん』であることにこだわりはなさそうだ。

>>590

「……『エクリプス』?」

 七篠は悪いスタンド使いがいることがあるというのは知っているようだが、
『エクリプス』という単語に覚えがないらしく、首を傾げている。

「正直、一抹さんがよく来てるので子供が一人や二人増えようと気にしないですよ。
 ナイちゃんもこれからぜひ来てください」

 一抹の肥えさせようという作戦(?)に気付かないまま、七篠は一抹の準備した『抹茶ムース』に手を伸ばした。

592ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 13:54:37
>>590-591

「勇ましいんじゃな。わしは喧嘩はしたことないのー。
 スタンドのオバケもおらんし」


『ベター・ビリーブ・イット』にヴィジョンは無い。
『交換』物は交換元の物質と完全に同じなので、スタンド物質でもない。
よってスタンドに干渉できる方法が少ないのだ。
今ちゃぶ台の隅に置いてある小槌は数少ないスタンド物質である。


「ほう。七篠先輩ちゃんも食べ物が出せるんじゃな。よいぞ!
 食べ物も大分充実してきたの。
 欲しい枝か? ……枝……うーむ。カッコいいやつを頼む」


そういう意味では『みかんの木の枝』……貴重だ。
武器になりそうなものがあれば自衛力が上がるかもしれないが、
ナイには戦闘経験が無いこともあり、あまり思いつかないらしい。


「知っておるぞ。『エクリプス』ってあれじゃろう。新幹線のことじゃ」

593一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 21:58:48
>>591
「少し昔に来たスタンド使いの大集団で町に月を堕そうとし、考えうる悪行を成し遂げた連中らしいですよ」

「現代のナチスみたいなもので今も残党が残り、多くの
『アリーナ』所属者が死ぬほど恨んでいます。
 この前の『緒方』さんは特に…」

知らなくてもいい気もするが三回は連中絡みのせいで死んだから教えておこう。
『エクリプス』構成員を名乗っていない不審者スタンドも見つけ次第、『アリーナ』に確保させたい。

「私が関わった事件が成功したら星見町に『悪霊』が
 彷徨って適合した人は暴走スタンド使いに。
 適合しなくても武器を手にした者の殺傷事件が絶えな
 い地獄が誕生してました」

「ついでにスタンド使い7人で挑んでも軽く皆殺しに
 するのが二人。七篠先輩もスタンドに目覚めた以上
 は逃げられませんよ」

>>592
「殺し合いがしたくなくても勝手に来ますからね…
 ナイさんとか歩くドラえもんですよ。
 知ったら捕まえて良いように使いたいと考える連中
 は無限に現れるかと…」

「私も七篠先輩みたいに『慈悲の刃』を…一体型だから
 無理ですね…」

『インダルジェンス』の手の甲から二振りの刃が展開される。流石に『交換』対象とはならないだろう。
その前にナイちゃんには確たるスタンドヴィジョンが存在しない。

「ナイちゃんは世界一硬い樹の枝とか燃えるユーカリの枝とか自衛のために『交換』した方がいいですね」

と、言いつつ学生鞄からリコーダーを取り出す。
先端が斜めに斬られた竹槍コーダーだ。
地味に斬る突くが可能な武器である。

「この竹槍コーダーもオススメです。斬る突く!」

594七篠 譲葉『リルトランク』:2021/07/01(木) 22:09:30
>>592

「格好いい枝…」

 七篠は片手に『みかんの枝』を持ったまま、もう一枚『手のひら大の付箋』を持ち悩みこんでいる。
 父親はよく家を空け、祖母と二人の時間が多かった七篠には『格好いい』がいまいちわからないようだ。
 そして、なにかを思いついたように『異様に棘が生えた枝』――『スナバコの枝』を生やした。なにやら『木の実』が生えている。

「なんだか、肩とかにトゲトゲがついてたりすると格好いいって聞いたことがある気がするので…。
 こういうのはどうですか?」
「この枝、トゲトゲしてるだけじゃなくて『散弾を発射する枝』なんです。
 強いのは『格好いい』…ですか?」

 『スナバコの枝』は見かけの厳つさに加え、種を時速240kmで周囲に飛ばすことがあるという強さもなかなか魅力的な木だ。
 もちろん、出しっぱなしで破裂してしまったら危険なので交換したものはひとまず七篠によって解除されるだろうが…。
ttps://news.nicovideo.jp/watch/nw5841807
ttps://ryusblog.exblog.jp/17191459/

――ロボットアニメが好きな男の子が『トゲトゲ』と『強いの』を格好いいって言ってた気がするし、ありかな…?

>>593

「『エクリプス』…。
 新幹線じゃなくてそんな怖い人たちだったんですね…」
「『アリーナ』の人たちと今後も関わるようなら知ってた方が良さそう…。
 一抹くん、ありがとうございます」

――とっても怖い人たちがいて、その残党が今もこの街にいるかもしれない。
――また、戦うことになるかもしれない。
――その時のために、すこしでも練習しないと。

「その話を聞いちゃうと…ナイちゃんに強い枝をあげたいですが…」
「『ユーカリ』は摩擦で発火させてるので…。
 ナイちゃんの能力で摩擦させられるなら燃やせるかもしれないですが…」
「『リグナムバイタ』は硬い分、すごく重いですし…」

 そう言いながらナイを七篠は見る。
 『リグナムバイタ』は一抹より年少の少女が持つには重すぎそうに思える。

595ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 22:29:55
>>593-594

「ふーん? 悪い奴らなんじゃな!」


リアクションは軽かった。
実感が無いのかもしれない。
月を堕とすだとか、まさしくテレビの中のフィクションでしか見ないだろう。


「それで悪い奴らをやっつけられるというわけか……
 うむ。カッコいい!
 ではこれと『交換』でどうじゃ!」


とはいえ、悪に対抗する事は乗り気らしい。
それはそれで逆に危ない気もするが。
それとも、いつになく協力的な人間に囲まれてテンションが上がってるだけかもしれない。
無意味に手を振りながら、リュックから取り出した適当なゴミから『交換』で出現したのは、
茶色い塊……『キーウィのぬいぐるみ』だ。よく見ると黄色いクチバシがある。
一抱えもあって無駄にデカい。

596一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/01(木) 22:53:33
>>594-595
「キーウィフルーツっぽい…私の抱き枕に丁度良い…」

「はい、竹槍コーダーです。ナイちゃん強化クエスト!」

年代が近いのもあってはしゃいでしまった。
そして、一抹も子供だ。疲労と眠気に負けつつある。
通り魔を撃退してスタンド採血から同世代との邂逅で疲労した一抹はボロボロだ。

「ナイちゃんさん、これ、私の電話番号…」

「あの野郎…次は滅多刺しに…」

通り魔のチラシを抱えたまま寝落ちする。
既に三回は死んだ一抹は『夢』を見ない。
静かに床で丸くなるだけだ。

597七篠 譲葉『リルトランク』:2021/07/01(木) 23:01:33
>>595

――よかった、格好良かったみたい。

「『ぬいぐるみ』、いいんですか?
 でも…せっかくですから、さっきの駄菓子をいただきますね。
 『スナバコの枝が生えた付箋』と『交換』です」
「それにしても…。
 まるっこくて可愛いですね、その『ぬいぐるみ』。
 なにかのキャラクターかな?」

 七篠は『キーウィ』を知らないらしく、目を丸くして『ぬいぐるみ』を眺めた。

>>596

「あ、一抹くん…また床で寝て…」

 七篠と『リルトランク』、二人がかりで一抹をベッドへと運んだ。(パD*2)
 本人の要望通り、『ぬいぐるみ』は一抹の抱き枕になっている。

 部屋は冷房がしっかりと効いてきて、一休みするにはいい気持ちだ。
 ベッドは子供ならもう一人眠れるくらいの大きさだろうか。

598ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 23:21:52
>>596-597

「これはトリらしいの。羽は無いんじゃが」


ナイは名前は憶えていなかったが、実在の鳥だ。
キーウィフルーツは鳥のキーウィが名前の元らしいので、一抹はある意味正しい。


「おや? 一抹ちゃん? ……寝ておる」


電話番号を受け取り、少年をベッドへ運ぶ手伝いをする。
(助力になっているかは微妙だ)


「家に帰らんでいいのかの?」


一抹は教会の老夫婦に拾われた。と聞いた。
それ以上の事は知らないので、「老夫婦が待っているのでは?」
と思うのは普通の発想だろう。


「わしは一人暮らしじゃがな……ふあ」


ハシャギ疲れたのか、ナイも小さくあくびをもらす。

599七篠 譲葉『リルトランク』:2021/07/01(木) 23:29:56
>>598

「トリさんでしたか、ダチョウの足が短い版…みたいな…?」

 七篠は首を傾げながら一抹の抱く『ぬいぐるみ』を見る。

「一抹くん、最近よくここで寝てるんですよ。
 冷房を求めてくるみたいで…」
「それもあって、合い鍵渡してるんです。
 これから暑くなっちゃうから、私がいないときに来たら困っちゃうだろうし…」

 そう答えながら七篠は思案気な表情を浮かべる。

――…こんなちっちゃい子が、一人暮らし?
――家庭の事情かな…。心配…。

「ナイちゃん、ナイちゃんももし冷房ほしかったりご飯が食べたくなったら気軽にここに来てね
 もう一抹くんがこんな感じで来るから、気にしないで来ていいからね」

600ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/01(木) 23:45:03
>>599

「えらく親切じゃの……」


「わしは、食べ物は種類も増えてきたし、氷も、塩飴も出せるから平気じゃ……
 まあ、冷房は……あると助かるがの……
 冷房を求めてスカイモールに行くことも……あるしの……」


「…………」


あくびはうつるというが、少年の眠気が伝染したのか、ナイも眠そうだ。
まだギリギリ意識はあるようだが。


「……!」

「…………」


寝落ちしかけた時にガクッとなって一瞬覚醒する感じの動きをしている。

601七篠 譲葉『リルトランク』:2021/07/01(木) 23:55:55
>>600

「お店だとゆっくりできないこともありますし、気が向いたときでもどうぞ」

――放置児童、ネグレクト…。
――放っておけないけど、あんまりつっこんで嫌がられてもよくないし…。

「ナイちゃんも寝ますか?
 一抹くんと同じベッドになっちゃうけど…」

 眠そうなナイを見て七篠はベッドを勧める。

602ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/02(金) 00:10:32
>>601

「だい……じょうぶじゃ」

「ななしの……せんぱちゃ……が
 寝るばしょなくなって……じゃろ?」

「……ましまろ……?」


何か遠慮していたようだが、
最後には完全に関係無い寝言になり、そのまま意識を失った。
まあ、夜に七篠がベッドが必要になる頃には起きて帰っていくかもしれない。

そして後には食べかけの駄菓子やらケーキやらが大量に残されたのだった。

603七篠 譲葉『リルトランク』:2021/07/02(金) 00:35:02
>>602

「寝ちゃった…」

――外国人の子供が二人、寮のベッドで寝てるのってなんだか変な感じ。

 七篠は二人にブランケットをかけ直してから、ちゃぶ台の上を片づけ始めた。
 駄菓子はともかく、ケーキやムースは冷やしておかないといけないだろう。

「あ、そうだ。ついでに晩御飯作っちゃお」

 そうつぶやくと二人に書き置きを残し、冷蔵庫のある寮の台所に向かった。
 灯りが落とされた部屋では寝息とすこしの寝言だけが響いていた。

┌───────────────┐
│                      .│
│  今日の晩御飯はカレーです    │
│                      .│
└───────────────┘

604赤月『サクソン』:2021/07/02(金) 22:24:32

「・・・・・・・。」

夜の学生寮・・・・談話室にあるソファに中学生が一人座っていた
まだ着替えていないせいか、服装は制服のままである
そして・・・その左腕には仰々しいほどの『包帯』が巻き付けられている

(『サクソン』の能力のおかげで『監視者』の存在がわかるようになったとはいえ、
 流石に無理をし過ぎたか・・・・痛みが続き過ぎて、これでは能力の発動がわからない
 『自傷』による『探知』は程々にして・・・・  痛ッ!?)

「くっ! 左手が・・・・! 左手が疼く・・・・!」

左手を握りしめ、言葉を発する
また、少女の目の前・・・・卓上には数十本単位でボールペンが置かれていた

605一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/02(金) 23:58:30
>>604
「うん…うん…七篠先輩のお部屋に泊まっていきます
 落ちてきた硝子の破片で打撲を…えっ、無理がある?」

「一年前から私は強くなったから平気なのですよ。
 じゃあね、切りますよ。しつこいと義母に言います」

廊下から『チラシ』を片手に少年が現れる。
外泊許可を得た少年は『チラシ』を目立つ場所に貼るらしい。

       ○月×日△時頃
    □□□ビル付近で通り魔事件発生
     犯人は身長160cm前後の若い女
       素顔を隠して行動している
       見かけた者は注意されたし
    追記:後日、湖畔にて出没。撃退。
    長距離型? 手足を切断済み。DF無し?

貼りに来たのだが身長が低すぎて貼る場所に悩み始めた。
小学生か、中1っぽいが行動力はあるらしい。

606赤月『サクソン』:2021/07/03(土) 00:09:22
>>605

「うん・・・・?」

ふと、廊下の方を見ると一人の少年が『チラシ』を張る場所に苦労している様子であった
ソファから立ち上がり、少年の所へと向かう

「こんな夜分に熱心な事だ
 何のチラシかはわからないが、一つ、私に手伝わせてくれ」

こちらの身長は中学生の割に比較的高く、160cmある
頭一つ分高い位置から、ひょいっと『チラシ』を取り、丁度いい場所を探そうとするが・・・・

「む? これは・・・・ ・・・・・ッ!?
 君! この『チラシ』はいったい誰から受け取ったんだ!?」

『チラシ』の内容を読むや否や、驚きに満ちた表情で一抹を問い詰める

607一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/03(土) 00:27:49
>>606
「お、大きい…! 散歩してたら通り魔に遭遇して撃退
 した後に寮まで帰る途中に拾いました」

「歓楽街の空からパラパラと沢山降ってきたもので…
 倒した後に配られても困っちゃいますね。
 おそらく本体は生きてると思いますが追記しました」

追記の部分は少年が鉛筆で書いたらしいが物騒な内容だ。
謎のスタンドの『チラシ』は多く配られたらしい。
よく見ると外国人らしき少年は手足に『絆創膏』を貼っている。

「落ち着いて落ち着いて。『インダルジェンス』」

『インダルジェンス』を発現して赤月の手を握る。
『悪感情』は『鎮静』されて落ち着いた気分になるだろう。

608赤月『サクソン』:2021/07/03(土) 00:44:47
>>607

(この『チラシ』に書かれている情報は、『襲撃者』のものだ
 そして・・・・こんな情報を得られる人間なんて、私以外には『監視者』しかいない!)

「どういう事だ・・・・?」

思わず、疑念が口について出てしまう
『襲撃者』と『監視者』は同じ『アリーナ』の人間であり、共犯だと思っていた
しかし、この『チラシ』の内容は・・・・緩やかに両者が敵対関係にある事を示している

「それにしても、君は一体・・・・?
 ・・・・・ハッ!?」

頭に浮かんでいた疑念のせいで『インダルジェンス』の出現に気づかなかった
次の瞬間に、少年のスタンドが赤月の手を握りしめる

まずは表層的な感情・・・・『驚き』と『不安』が『抑制』され、落ち着いた気分になる
すぐに手を振り払わなくてもいいや、と思うくらいに・・・・そして

「あ・・・・  あああ・・・・!」

心の奥で・・・・『何か』が摩耗する感覚を覚える
『インダルジェンス』の『抑制』はあくまでも表層の『悪感情』を消すものである・・・
心の奥深くに眠る『あの感情』を『抑制』することは出来ない

だが・・・・心の奥にこびり付いた『あの感情』の表面を優しく撫でられるような・・・・
そんな感覚を覚えた時、赤月の身体は突発的に動いた!

「やめろッ!」

トレンチコートを着た人型のスタンド『サクソン』を発現!
『インダルジェンス』の手を払い、本体は真後ろに跳躍した

「何が目的だ・・・・君は!」

『感情』に触れられる恐ろしさを今更になって覚え、息を荒げる

609一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/03(土) 01:06:23
>>608
「あの、落ち着いてくれませんか?
 私の『インダルジェンス』の能力は『悪感情』の
『鎮静』。失敗した様子ですが…」

「お役に立てなかったようです。すみません」

ペコリと小さな頭を赤月に下げる。
別に隙を突かれても良いのか隙だらけだ。

「騒ぐと他の先輩たちに〆られるので静かに。
 なんか纏うタイプ多いですね…」

「それにしても『チラシ』のスタンドは敵だらけ。
 消滅の間際に『エクリプス』所属っぽいことを…
 あれは『本体』を仕留めないと無駄ですね。
 きっと、スタンドが『本体』を演じる能力…」

一抹も本気で戦うとなれば、食らいつけるが感情の火薬が足りないと眠気が勝つ。
度胸があるのかスタンドも解除されている。

610赤月『サクソン』:2021/07/03(土) 01:25:04
>>609

「余計な事だ・・・! 私のこの『想い』が『悪』である事は否定しない
 だが・・・・だが、決して消させはしない!」

目の前の少年の語る言葉は、恐らく彼にとっては善意の言葉なのだろう
しかし、『悪感情』にこそ、自身の存在基盤を持つ赤月にとっては
その少年の語る言葉は無自覚な死の宣告に過ぎない

「恐ろしい能力だ・・・君のその『インダルジェンス』とやらは
 私は・・・『悪感情』を消される時、恐ろしさを感じなかった!
 心地いいとさえ思ってしまった!」

『インダルジェンス』が消えた後も、警戒態勢は解かない
一抹から一定の位置を保ち、臨戦状態を維持する

「この『怒り』の風化こそが、私にとって最も恐れる事だというのに!」

611一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/03(土) 02:17:08
>>610
「その反応、不審者の本体らしき存在が見せたものです
『悪感情』を『鎮静』されては困るみたいな…?」

「私も戦ってる途中に怒りを力としますが怒鳴り散らす
 のと一瞬の爆発力に使うのでは効率が違う」

「さては復讐者さんですね? 怒りがアイデンティティってことは…」

斑鳩先輩とか纏うタイプは情緒不安定なのが多い。
感情の燃費が非常に悪い。

「私は親殺し希望者ですが『鎮静』など一瞬のものです。 怒りの火は決して消えない。僅かな火種から一気に
 燃え盛るものですよ」

「この程度の力を恐れてはなりません。本当に恐ろしい
 のは自分の力の弱さ。おどおどしちゃ駄目です!」

生まれて12歳。今まで『殺意』と『憎悪』に身を焼かれてきた一抹は『仲間』を見つけて少し嬉しかった。
淡い青色に微かなエメラルドの反射が混じる瞳に『憎悪』の業火を宿す。

「私たちは『お友達』です。復讐者の!」

『鎮静』の力を持ちながら『復讐』を否定しない。
『慈悲』とは様々な面を持つ。ヤバい一面も当然のように持ち合わせる。

「『怒り』が『悪感情』で結構! なよなよは駄目です!」

612赤月『サクソン』:2021/07/03(土) 09:43:09
>>611

>「私は親殺し希望者ですが『鎮静』など一瞬のものです。 怒りの火は決して消えない。僅かな火種から一気に
> 燃え盛るものですよ」

「・・・・・・ッ!!」

途中まで、なんだこの少年は、というような態度で話を聞いていたが、
一抹のその言葉を聞いた瞬間に、逆鱗に触れてしまったかのように表情が一変した

「お前・・・・親を、『家族』を殺すというのか・・・・!?」

赤月にとっては『家族』とは奪われた世界そのものであった・・・

だからこそ、そんな言葉を口にする一抹に対して、
理解できない『怪物』を見るかのような視線で睨付けているのだ

「ふざけるな! お前に『友達』だなんて呼ばれたくもない」

距離を取り、『サクソン』を一度、解除する
そして、『サクソンのトレンチコート』だけを着込むように再発現した
右手に『チラシ』を握りしめる

「選べ! 口を噤んでこの場から去るか!
 それとも、ここで私と戦うか!」

激情に任せて、熱を持った言葉が口を衝く

613一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/03(土) 11:15:01
>>612
「ちょっと談話室は不味いですよ…
 近くの何処かでやりましょう」

「何か良い感じに人気の無い場所とか…」

常にバーサーク斑鳩先輩のような彼女を放ってはおけない。戦って互いに見えてくるものもありそうだ。

(野バトルを承認したいのですが判定が上手く出来る気が
しないのでGMを募集してよろしいでしょうか?)

614赤月『サクソン』:2021/07/03(土) 12:25:59
>>613

「そうだな・・・・『裏庭』に行こう」

確かにこの場所でやり合えば、無関係の人間も巻き込まれるかもしれない
『裏庭』での勝負を提案する

そして、行く前にテーブルの上のボールペンを3本掴んで、
『トレンチコート』のポケットに入れておく

そして・・・・
【戦】『スタンドバトルスレッド』 その1
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453049803/448-

(了解しました では、スレを移動した後、後日GMが見つかった後に再開でいかがでしょう?
 個人的にはいけるところまではセルフジャッジでもいいかとも思っていましたが、お任せします)

615一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/03(土) 12:50:36
>>614
「もし、私に勝ったら襲撃者の本体のヒントを与えますよ!」

ボールペンを取る赤月の不思議な行動に首を傾げるが『リコーダー』と『縄跳び』を手に、彼女の後を追って『裏庭』に向かう

『学生寮』から『裏庭』へ移動。

616飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/09(金) 18:11:47
薄手のパジャマ姿の少女――飯田が共有スペースにいる。
どうやら髪を乾かしているようで、濡れて暗い茶色になった髪を背中に垂らしている。
しっかりと暖まった身体はほんのりと紅潮していて、普段とは違う装いもあいまって見知った相手でも別人のように思えるかもしれない。

ーーーーーーーーーーーーーー

ゴォオオオ…!

「お風呂って気持ちいいんだけど、髪乾かすのって面倒だよね…。
 髪の毛細いからすぐ痛んじゃうし…」

617ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/09(金) 22:45:04
>>616

この寮の風呂事情はどうなっているのだろうか。
個室ごとに浴室があるのだろうけど、大浴場とかそういうのがあったりするのか。
わからないが……


「こういう場合、風呂上りには牛乳を飲むんじゃったか。
 出せんが……というかあんまり飲んだ記憶無いの、牛乳って」


なんかビショビショの小さいのが現れた。
どこかの部屋の主に風呂に入らせてもらったのか、勝手に入ったのか知らないが、同じく風呂上りなのだろう。
迷惑なことに、髪からポタポタ水滴が床に落ちていた。


   わしゃしゃしゃしゃ


一応拭く気はあるようで、持っていたリュックから取り出した、あんまり水分を吸わなさそうな布(ひざ掛け)で、
濡れた犬を拭くような勢いでぬぐい始める。

618飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/09(金) 23:01:31
>>617

「わっ!えっと、だ、大丈夫!?」

ちっちゃい子…小学生くらいかな…?
びしょびしょ…このままじゃ湯冷めして風邪引いちゃいそう…。
さっきまで私が使ってたバスタオルだけど、使ってる膝掛けよりかは水を吸ってくれるかな…。

「こっち来れる…? 拭いてあげるから」

私は一度ドライヤーを置いてその子の近くに行って拭いてあげようとする。
共同浴室に予備のタオルとかないかな…。

619ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/09(金) 23:14:09
>>618

小学校だとしても低学年だろう外見。
普通に考えたら寮の住民ではない。


「なんじゃ? 大丈夫じゃが?」


怪我人を見たときのようなリアクションをされても、
子供自身は別に痛くも痒くも無いので急に話しかけられて不思議そうにしているだけだ。


「自分で拭けるんじゃが……」


談話室にドライヤーを持ち込むのは私物だろうが、
言われてみれば共同浴場があるなら備え付けタオルもあるだろう。
単に知らなかったのか気づかなかったのか、この子供は持ってきていないようだが。

自分で拭けると言いつつも、かといって抵抗するほどでもないと思ったのか、のこのこと近づいていく。

620飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/09(金) 23:24:08
>>619

「ごめんね、すごくびしょびしょだから心配で。
 タオルドライしっかりしないと風邪引いちゃうよ」

私はそう言いながらこっちに来てくれた子を拭いてあげる。
近付くと白に近い金髪に露が伝って、なんとも神秘的な……女の子…だよね?
服を着てるなら服もびしょびしょになってないかな…。

「えっと…ここの子じゃ…ないよね?
 誰かお兄さんかお姉さんのところに来たの?」

もしかしたら迷子かもしれない。

621ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/09(金) 23:36:42
>>620

子供の髪は柔らかい。
先ほどの光景を見た限り手入れは乱暴のようだが、
幼さゆえにか、特に傷んだ様子は無い。


「そうだったのか……心配をかけたようじゃの」


この年齢だとそう性差は無いが、女の子だろう。髪も長い。
服装は、夏だからか大き目のシャツを一枚着ているだけで、
確かに見て見れば多少濡れているようだった。
シャツの下には何も来ていないのかうっすら肌の色が透けている。


「いや……うーむ……まあ、そんなところじゃ。
 ここに来るまでに濡れたのでな、うろついてたらいい感じの湯があったので入ってしまった」


そもそも風呂に入る前から濡れていたらしい。
梅雨の時期だ。いつ雨が降ってもおかしくはない。

622飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/09(金) 23:50:45
>>621

「勝手に心配しちゃっただけだから」

私は髪を拭きながら言葉を漏らした。
髪質は柔らかで、しっかりドライヤーをかければふんわりと仕上がりそう。きっと可愛い。

よくよく見るとこの子の服はシャツ一枚で…いくら小さい子だからってちょっと問題がありそうな気がする。
世の中には幼い子供にしかいろいろできない変な人もいるらしいし…このままにしていられない。

「そっか、今日雨だったもんね…」
「……えっと、着替え持ってる?
 髪の毛濡れたまま出てきちゃったから服濡れちゃってるし…。
 このままじゃ風邪引いちゃうよ」

すこし、部屋にある服のことを考える。
流石に私の服をそのままは着れないと思う。あ、でも『ロングTシャツ』ならワンピースっぽく着れるかも。

「私の服でよければ、貸してあげようか…?」

623ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 00:07:11
>>622

「ん、服は……『記録』にないの。ふあ」


髪を拭かれて心地よさそうだ。
少し眠そうな声と共に、小さくあくびを漏らした。


「風邪になる?
 それは……確かに困るの。薬の『記録』も無いし……
 いままでは風邪になったことは無かったんじゃが……
 うむむ、迷惑でなければ頼もうかの」


『ロングTシャツ』……まあ、今の服装とそう変わらないだろう。
元々サイズの合わない大人もののシャツを着ているだけのようだ。

624飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 00:19:42
>>623

「迷惑なんかじゃないから大丈夫。私の部屋こっちね」

私はそう言いながらタオルとドライヤーを持って、小さい子の手を引いて部屋に連れて行った。

ベッドが一つに、勉強机、食卓として使う折りたたみ式のちゃぶ台、飲み物用の小さな冷蔵庫。
勉強机には教科書や勉強用の本、ベッドにはくまのぬいぐるみがある、いつもの私の部屋だ。

収納から『薄桃色のロングTシャツ』を取り出して渡してあげる。

「はい、これどうぞ。着替えてこれる…?
 ……あ、もしかして…下着も、濡れちゃってる…?」

流石に子供サイズの下着はないから…もしそうなら脱いでもらってドライヤーで乾かしてあげよう。

625ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 00:39:33
>>624

握った子供の手は柔らかく、儚いほど小さかった。
それこそ飯田の細腕でも力を込めたら折れてしまいそうだ。


「うむ、すまんの」


子供はその場で着替え始める。
着ているものはシャツ1枚だけだったらしい。一時的に裸になる。
外見的な性差は無いと書いたが、実は男の子という事もなく、ちゃんと女の子だった。


「髪も拭いてもらって世話になったの。
 牛乳は無いが代わりに……これは服と『交換』じゃ。あちち」


と、リュックから取り出したのは『ホットココア缶』だ。熱いらしい。
じめじめしているが、気温自体はそれほどではない。ホットでも飲めないことはないだろう。
まあ、嫌なら冷蔵庫に突っ込んでおいて後で飲めばいいのだし。


「服はええと……後で洗って返すぞ」

626飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 00:47:09
>>625

は、はだか!??
私は驚いてついじっと見ちゃった…。内心謝る。
…流石に…上はともかく下がないのはよくないよね…。
ばい菌が入ったら大変だし…。

私は慌てて収納からまだ開けていない予備の下着と、針と糸を出して下着をその子に履かせてからサイドを縫って縮めようとする。

「ごめんね、ちょっと大きいのしかないから縫っちゃうね」


「ココアありがとう。
 服は返さなくてもいいから、ちゃんと着てね…?」

本当に変な人の餌食になりかねない。
この子の保護者はどこにいるんだろう…。

627ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 01:01:48
>>626

「なんじゃ? うん? 危ないぞ」


突然下着を履かせられて子供は慌てるが、ヘタに動くと針が怖い。
大人しくしている事にしたようだ。
何故かホールドアップして推移を見守る。


「それではわしがちゃんと服を着ておらんようではないか。
 まあ、しかし、わしの服は爺のじゃからの……
 学校行ってる子らとは違うのは気になっておったが」


大き目の服はお爺さんのおさがりらしい。
見るとリュックも、大人ものの大きいサイズだ。
仮にこのサイズのリュックにパンパンにつめたら子供には背負えないだろう。
あと学校には行っていないらしい。

628飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 01:12:40
>>627

「急に縫っちゃってごめんね。でも、女の子なんだから。
 ちゃんと下着は履かないとこわーい男の人に連れてかれちゃうよ?」

急に変なことをしたからびっくりさせちゃったみたい。
でも、流石に女の子を『ノーパン彼シャツ』状態で放置するわけにはいかないし…。

「お爺さんと住んでるの?
 学校に行ってる子とは違うって……もしかして学校行ってないの?」

日本では滅多に見ない髪の色、細い手足、下着も着ていない、びしょ濡れ、学校に行っていない。
これまで目を逸らそうとしていたことがはっきりと浮かんできた、ような気がする。

「……もしかして…困ってることとか、ない?
 私の知り合いに『地域課の巡査』さん…警察の人がいるから、ちょっとお話ししてみない…?」

629ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 01:31:58
>>628

「なんじゃ、通り魔だの『えくりぷす』だの、怖い男だの、ぶっそうな話じゃな。
 なにかごわごわするが、これを着ておけば襲われんというなら、着るがの……
 というわけで、このケーキと『交換』じゃ。良いか?」


何が「というわけ」なのかわからないだろうが、子供の中では自明なのだろう。
リュックから『抹茶ムースケーキ』を取り出して、ちゃぶ台の上に置いた。


「いんや、爺は死んでしまっての。
 学校は行っておらん。
 警察は……なにかバレるとまずいことになるんじゃないかの?
 よく分からんが……テレビとかを見ると……
 別段困っておるというほどのことも無いしの」


日本語に違和感は無いが、金髪は染めているというわけでもなく、地毛だろう。
目の色も青い。普通に考えれば日本人ではない。
詳しい事情はともかく、テレビ由来の漠然としたイメージだが、
警察に目を付けられるとまずいのではないかとは思っているらしい。

630飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 07:17:11
>>629

「よくわからないけど…ちゃんと着てくれるなら『交換』するね」

この子の中の遊びのルール…かなにかかな…?
出しっぱなしはよくないから冷蔵庫の中に入れておく。

……聞けば聞くほど、よくない状態じゃないかな…。
お爺さんは死んでて、警察に知られたらまずいかもしれないって知識だけで今まで避けてすごしてたの…?

「警察に知られても怖くないから大丈夫だよ。
 警察のお兄さんは『市民の安全を守るのが我々の役目』って言ってたし、
 もし知られても、守ってくれるはずだよ」

外国人の子供が保護者を亡くして一人で生きてるよりは警察に保護してもらった方がマシだと思う…。
私は、クソ親父が来て家から出されて『放置子』になった時も保護してもらえなかったけど…。
以前ここに来た桐谷さんはそんな人に見えなかった。

631ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 13:35:46
>>630

「これで下着については心配はなくなったの」


Tシャツをめくって下着を確認している。
どんな下着なんだろうか……
なおこれは、後の場スレ描写の参考にするためであり、セクハラでは無い。
赦して欲しい。


「そうじゃろうか……
 でもドラマじゃと、警察が守るのは、税金を払っていて日本国民だからと言っておったぞ。
 わしは……当てはまらんような……
 これは秘密じゃが、国籍? とかそういうの、無い……ような気がする、多分……」


『市民の安全を守るのが警察の役目』なのだろう。
しかしこの女の子は、自分が市民であるかどうかという時点で自信が無さそうだ。
実際に町に住んではいるのだが、住民票はあるのか? というと、怪しい。


「わしはこの町を離れられん。
 理由は説明できんのじゃが、この町じゃないとダメなんじゃ」


それでも法治国家の警察だ。賄賂と暴力が横行しているとか、そういう腐ったことは無い。
国籍が無いとしてもそう酷い事にはならないだろう。
が、保護されるということは、身柄を委ねるということだ。
もしかしたら町外の施設に預けられるかもしれない。
この子供自身にもよくわからないが――『ベター・ビリーブ・イット』が正常に能力を発揮できるのは『星見町』限定なのだ。

632飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 15:03:48
>>631

「女の子がそんなことしちゃダメだよ!?」

慌ててシャツをめくる彼女を止めた。
決して、中学生にもなって『前にリボンのついた薄桃色の綿パンツ』を私が持っていたことが恥ずかしかったんじゃない。
小さいとはいえ、女の子がそんなことをするのは流石にちょっとよくないかなって…。
(下着の参考資料 これの左右を縫ってすこし縮めたもの ttps://tshop.r10s.jp/mhfield/cabinet/mh/10-2493-454-6.jpg?fitin=720%3A720 )

「国籍がないし、離れられない…?
 そっか、それで『警察にバレるとまずいことになる』んだね…」

私は考え込む。
学校に行ってないのもたぶん『戸籍がない』から行ってないことを怪しまれないのが大きいと思う。

「それなら今度、私が『知り合いの話』ってことで警察に電話かけてみようか?」
「知り合いの子供がお爺さんと住んでたんだけど、
 お爺さんが死んでしまって一人になってしまったんですがけど、
 この街で保護してもらえるところはないですか?」
「こんな感じで話して、もし大丈夫そうなら…えっと、君に伝えるってことで」

話してて気付いた。
そういえば私、名乗ってないしこの子の名前知らない!
ついでに連絡先があるのかもわからない!

633ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 15:17:59
>>632

「男ならよいのか? 女は色々面倒じゃな」


と無意味にへらず口をたたきながらも、素直にTシャツを下した。


「うむ……? 別にわしは今のままで困ってはおらんがの……。
 電気とか水道とか、自動引き落とし? そのまま使えるし、
 電話も、爺を勝手に使っておるが、動くし」


そう言うと、リュックからスマホを取り出す。ちょっとヒビが入っているが、使えるらしい。
色々と心配されているが、そもそも困っていないようだ。
親切心なのだろうが、保護してもらったとして、今より良くなるのか? というと絶対とは言い切れない。
いや、戸籍とか学校とか、将来を考えると今のままというのは良くないのだろうが。


「あ、爺が死んだことがバレると、なにか色々と面倒になると思って、
 庭に埋めておいたんじゃが……これは大丈夫じゃろうか?」


2人しかいない部屋の中で、無意味に耳に近づいて、ヒソヒソ話す様子は、
『凄い秘密だからこうやって話すもの』というようで、微笑ましいかもしれないが、その内容は犯罪だ。

634飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 15:39:17
>>633

「男の子もよくないけど…。
 女の子はそういうことすると怖い男の人に酷いことされちゃうかもしれないからね。
 ちゃんと下ろせて偉いね」

頭を撫でながら話す。
タオルドライだけだったけどもうかなり乾いてるしドライヤーまでは必要なさそうかな?

「今は困ってなくても、お爺ちゃんのお金がなくなっちゃったら電気も水も止まっちゃうよ?」
「お爺ちゃん、埋めてあげたんだね…。
 お墓を作ってあげるのはいいことだよ、偉いね。
 ちなみにお家ってどのあたりかな…?」

こ、子供のしたことだし、死体遺棄でも許してもらえるのかな…?
とりあえずご遺体を確認しないと…。今の時期だと腐って臭いが出てるかもしれない…。

「あ、スマホ持ってるんだね。
 連絡先交換しよっか、私は『飯田咲良(イイダサクラ)』っていうの。
 君の名前は?」

スマホを取り出して交換する。

635ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 15:49:33
>>634

頭を撫でる。柔らかく細い髪質のようだった。
完全に乾いているというわけではないが、気にならない程度だ。


「うむ。じゃから次の家候補を探したりもしておるぞ。
 家は……」


家は湖畔近く……町はずれの方にあるようだ。
少なくとも庭はあるらしいので、一軒家なのだろう。


「わしはユキシラとか、ナイとか……そんな感じで呼ばれることもあるの」


交換した連絡先によると、『雪白 権六郎』というらしい。
これは本来の所有者である爺とやらのデータだろう。

636飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 16:00:59
>>635

「おうちはあっちの方なんだね。
 今度寄らせてもらってもいい?」
「次のおうちかぁ…。おうちって借りるの難しそうだね…。
 子供だとどうやっても契約できないだろうし…」

考え込む、やっぱり無理っぽい?
次のおうちを見つけたくても、基本的にこんな小さい子に家を貸す人はいない。
家出人だと思われて通報されちゃうのがオチ…。

「ナイちゃん…ナイちゃん、時々ここに泊まりに来ていいよ?
 おうちだとひとりでしょう…?」

このなんとも危なっかしい生活をしてそうな子の予備の家になった方が安心かもしれない。
たぶん洗濯とかもできてないだろうし…ホームレス一歩手前…。

637ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 16:23:52
>>636

「まあ、よいが……結構うろうろしておるんで、居るからはわからんがの」


家は教えたものの、あまり歓迎していない声色だった。
死体を埋めた家だ。出来れば来てほしくないのかもしれない。


「おお、そう言ってもらうのは2度目……3度目? じゃ。
 ここのな……七篠先輩ちゃんにも、入って良いと言わておるんじゃ。
 爺の家には冷房が無いからの。
 知っておるか? 七篠先輩ちゃん」


そんな事を言いながら鍵を取り出す。
その鍵の部屋番号に見覚えは……あるのだろうか?
同じ寮なのだから、別に知り合いでも全然不思議ではないだろう。
それ以上の関係などこの子供が知る由も無い。

638飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 16:34:07
>>637

「『七篠』…!?
 え、えっと、待てよ私…。もしかしたら同じ名字の別人かもしれないし…」

私は早鐘を打つ心臓に手を当てて、深呼吸をする。
私の『腹違い』の『お姉ちゃん』。私がここに来た理由。追いついて、追い越したい相手。

「えっと、七篠先輩『ちゃん』ってことは…女の人…で合ってる?
 私より年上の、ちょっと背が高くて焦げ茶っぽい髪の…」

『七篠』はかなり珍しい名字でそうそう同じ名字の人はいないと思うけど、念のため確認してみる。
さっきまでのナイちゃんのおうちの問題は、私の頭の中からすっ飛んでた。

639ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 16:47:21
>>638

「ん?」


知り合いでは無いが、見知らぬわけでもなさそうな、妙な反応に首をかしげる。


「うむ。女の人じゃ。年上……? かどうかは……わからんが、
 髪も……まあ、そんな感じじゃったと思うが……」


どうもふわふわした返答が続く。
自分より年上だと全員お姉さんという認識なのか、
見た目で年齢を察するスキルがあまりないのかもしれない。


「よくわからんが、同じ苗字の知り合いがいる、というコトかの?
 七篠先輩ちゃんは、名前は……ユズリハと言っておったと思うが……」


特徴はハッキリ答えられなかったが、名前は憶えていたらしい。
背丈や髪色は変化する可能性があるが、それより名前の方が明白だろう。

640飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 17:09:45
>>639

「『ユズリハ』…!??」

「そ、そうなの。
 私の『知り合い』でここに越してきてるのは知ってたから…ちょっとびっくりしちゃって…」

『七篠譲葉』が『お姉ちゃん』であるということ。
そう話してもこの子にはぴんとこないことかもしれない。だから敢えて知り合いだって言ってみた。
性的なことを理解してそうにないこの子に『腹違い』なんて説明できる気が私にはしなかった。

「ちょっと、鍵をしっかり見せてね」

手にとって部屋番号を覚える。
……織姫様、彦星様、ありがとうございます。まさかこんな早く叶うなんて…。

 ┌───────────────┐
─│ お姉ちゃんに、会えますように │
 └───────────────┘

641ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 17:17:58
>>640

「ほう、そうじゃったか」


素直に鍵を渡す。
ここまでの飯田の態度もあり、警戒心はゆるゆるのようだ。


「では今から行ってみるか? おるかもしれん。
 いなくとも、合鍵があるということは、いつでも入ってよいということじゃし」


むん、と腕を組んで頷く子供。
そもそも常識がゆるゆるなのかもしれない。
少なくとも、まともな教育を受けていないのは確実だ。

642飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 17:23:37
>>641

「い、今…!?
 でも、『善は急げ』って言うし…」

流石に合い鍵で勝手に入るのはよくないけど、部屋に行って確かめるのなら…いいよね…?
確認した合い鍵をナイちゃんに返しながら立ち上がる。

「……行ってみよっか。」

643ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 17:30:08
>>642

「うむ」


飯田の部屋を出て、
ぺたぺたと小さな素足が音を立てながら進む。


「やっぱり廊下はちょっと暑いの。
 いるじゃろうか?
 いなかったら冷房が効くまで時間がかかってしまうの」


のんきな事を言いながら、あっという間に『七篠譲葉』の部屋の前だ。
徒歩数分もかからない。同じ建物内なので当然だが。


「おるかー?」

644飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 17:39:14
>>643

ナイちゃんの声と同時にノックをしてみる。
心臓の音が早くなるのがわかる。

…。
……。
………。

へんじがない。

「る、留守みたいだね。
 どこかに出掛けてるのかな…。それとも…お風呂とか…」

ちょっと早口になりながらナイちゃんに声をかける。
会いたいけど、久しぶりすぎてなんだか会いたくない気持ちもあるみたいで…。
このもやもやは…なんなんだろう…。

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646ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 17:48:14
>>644

「入らんのか?」


不思議そうに首をかしげる子供。
飯田の葛藤など知る由も無い。


「わしは……どうしようかの。
 まだ雨は降っておるか……」


ナイは別段、部屋に入る事に躊躇は無いらしい。
まだ雨は降っているとなれば、濡れて帰るということもない。
となれば、七篠の部屋で休むのだろうか。
その場合、帰ってきた部屋の主に、今日あった事を話したりするのかもしれない。

あるいは飯田が誘えば飯田の部屋に泊まっていくだろう。

647飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/07/10(土) 17:59:25
>>646

「ちょっと、躊躇っちゃって…」

場所は確認した。
また来たら…今度は会えるかもしれないし…会えないかもしれない。

「ナイちゃん、もしよかったら私の部屋に止まっていく?
 狭いかもだけど、ぎりぎり二人寝れるかなって」

ナイちゃんに簡単な女の子向けの防犯について教えることを心に決めて、部屋に戻ることにした。

648ナイ『ベター・ビリーブ・イット』:2021/07/10(土) 18:08:55
>>647

「ふうむ?」


子供には世の中のことは理解できない事が沢山だ。
不思議そうな顔をしたものの、いちいち追及はしなかった。


「うむ?
 ではお言葉に甘えようかの」


ナイに誘いを断る理由は無い。
小さな手が飯田の指を掴んで、2人は連れ立って部屋へ戻っていったのだった。


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