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【個】『学生寮 清月館』

567御影憂『ナハトワハト』:2021/06/29(火) 08:43:33
>>566

目の前の少女を見て、『昔の自分』を思い出す。
心に傷を負って長期入院していた頃の事を。
カウンセリングを繰り返したが効果はなく、
アニマルセラピーが行われた事もある。
転機が訪れたのは、ある夜の事だった。
その日は天気が悪く、雨が降り、雷が鳴っていた。
カーテンの隙間から窓ガラスが見え、
ガラスに映る自分の姿が、
一瞬恐ろしい怪物のように思えた。
その時に感じた『恐怖』が、過去の記憶と重なり合い、
自分の中で『何か』が弾けた。

「どーぞ………………」

          シュルルルルル…………

蛇が両手に乗せられると、
サイズに見合った適度な重みが腕に伝わる。
温厚な性質らしく、激しく動き回る事はしていない。
最初は鱗のひんやりした感覚が目立った。
しかし、徐々に鱗の下にある仄かな体温が感じられてきた。
そこにあるのは冷血さではなく、確かな『命の息吹』だ。

「――――――………………」

「ふぅ………………」

寝入ってしまった赤月を見下ろして、小さく息を吐く。
もし自分が本当に『刺客』だったとしたら、
この場で寝首を掻いている所だ。
しかし、そんな事をする必要はない。
直接的な戦闘ではなく、
『情報』を利用して『状況そのもの』を動かす。
それが『一般人』である『リーダー』のやり方であり、
『懐刀』である御影も、それに倣っている。

        ソッ

サウザンパインスネークをケージに戻し、カップを片付ける。
それから机に向かい、ペン立てからボールペンを取った。
一枚のメモ用紙に、以下の内容を書き付ける。

          サラサラサラサラサラ

  疲れた時はまた来ていいよ。
  御影さんの連絡先は→『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
  よかったらお話してね。

         スッ

折り畳んだメモを赤月のポケットに忍ばせ、
夏用のタオルケットを掛ける。
ポケットを探って、
ついでに『情報』を得ようかとも思ったが――――やめた。
『何となく』だ。
そして、借りた本を返すために図書館に向かった。
『小泉八雲著:怪談』だ。


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